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鈴木説明員
中井委員の御質問に最初にお答え申し上げます。
先ほどの
お尋ねの
趣旨は、
公有水面の
埋立ての免許につきまして、先般の
地方自治法の
改正後、
区議会の
意見を聞かないで
都知事が免許をする、こういうふうにな
つておるかどうか、またそういう点について立法論としてどう
考えるかというような
意見の御質問だと思います。これは今問題にな
つておりまする
河川の
公有水面の
埋立の免許の問題でありますが、これは
公有水面埋立法という法律の二条、三条によりますと、
埋立てをしようとする者は地方長官の免許を受けなければならない。地方長官は期間を指定して
地元市町村会の
意見を徴してこれをなすべしと、こういうふうに根本法はな
つておるわけです。そして一般の府県では府県
知事が
地元の
市町村会の
意見を聞いてこれをやる、こういうことになるわけでありますが、
東京都の場合は一体これは
都議会の
意見を徴してやるか、それとも
区議会の
意見を徴してやるかということが法律解釈上やはり問題になろうと思う。この点につきましては、
先ほども
参考人から
お話がございましたが、
地方自治法の附則の第三条によりますと、
東京都制、都府県制、市町村制は、これを廃止する。但し、
東京都制第百八十九条乃至第百九十一条及び第九十八条の
規定はなお効力を持つ、こういう
規定がございまして、これは要するに
東京都の場合において、
市町村会というような市町村に関する
規定があります場合に、それをどう読むかという読み方の解釈
規定なのであります。その古い解釈
規定によりますと、特別の定めを勅令——今日では政令でしない限りは、市会とあるのは
都議会と、こういうふうに読むということにな
つておるわけであります。そこでこれを原則的に読みますと、結局この場合は
都知事が
都議会の
意見を聞いて、この
公有水面の
埋立ての免許をする、こういうことに法律上はなるわけであります。
そこでいま
一つ問題は、これは区長から
お話があ
つたわけでありますが、
地方自治法の二百八十一条の二の三項という
規定があります。
地方自治法の二百八十一条の二の三項というのは、「
都知事は、その権限に属する
事務の中で主として特別区の区域内に関するものについては、都の規則により、これを特別区の区長に委任して管理し及び執行させるものとする。」こういう
規定があるわけであります。そこで
公有水面の理立ての免許ということは、
都知事の権限であるわけでありまして、それがもし特別区の区域内に主として
関係するものであるというなら、これは区長に委任するという
一つの原則がここにあるわけであります。そこで問題は、
公有水面の
埋立てというのが、はたして主として特別区の区域内の関するものであるかどうかというところが、解釈のわかれ目になるわけであります。これは若干技術上の問題がございますので、私から申し上げることはなお不十分であり、あるいは適切を欠くかもしれませんが、一応の私見を申し上げますと、
公有水面の
埋立てについては、それがいろいろ及ぼす影響、地質の
関係でございますとか、他の
方面の海岸と申しますか、岸壁等に及ぼす影響、その他そういう影響については、相当技術的な見地から判定をする必要があろうかと思うのであります。
従つて各区にそれだけの専門の技術者を用意しておいて、区に委任する方がよろしいか、それとも都の方にそういう仕事をまとめてやる方がよろしいかという、これは
一つの
行政政策上の問題にもなろうかと思うのであります。聞くところによりますと、この三項の
規定による都の規則というものは今日つく
つていないということでございますから、このつく
つてないということはそういうような見地からこれをつく
つておられないのだろうと思うのであります。つく
つてないということになりますと、今の権限は、
先ほど申し上げましたように原則的に
東京都知事が
東京都議会の
意見を徴して免許をする、こういうことに現行法上は読まざるを得ないかと思うのであります。ただ実際問題として、それでは全然
地元区議会というものの
意見を徴する方法がないのかどうかということになるわけでございますが、これは立法論の問題としてはなお検討の余地があろうかと思いますけれども、現行法上の問題としては、どうもそういうふうに解釈するほかはないのじやないかと、一応
考えておるわけでございます。以上が大体
中井委員に対する答弁でございます。
門司
委員の
お尋ねの点について次にお答えいたします。
門司
委員の
お尋ねの要点は、結局
埋立てによ
つて生じました土地の
所属が明確にならない。
従つて課税権とか選挙権というような問題も明らかにならない。これは現行法上調停等の方法によ
つて、
はつきりきめられるのかどうかというような点についての
お尋ねだ
つたと思うのであります。特別区の区域への
所属未定地の編入というのが、現実的な処分の問題として
考えられると思うのでございます。ところが現在の
地方自治法の建前から申し上げますと、特別区の区域、要するに岸壁等を埋め立てまして、
所属末定地ができた場合には、
都知事が
都議会の議決を経て編入処分をするわけでありますが、その際に同時に
関係のある特別区の
議会の議決を経なければならぬ、同意を経なければならぬ、こういうことにな
つておりますので、
関係のある甲区と乙区の
議会がともに賛成をしない限りは、
都知事は実際問題として
決定できない、こういうことにな
つております。そこで第二段の問題は御指摘になりましたように、二百五十一条の紛争調停の方法を使
つて境界について争いがある、そこでこれを調停するという方法が
一つ、これは法律上にも書いてあるわけであります。そこでそれを使うのでございますが、これは職権によ
つてもやれますが、原則は申請によ
つてやるわけであります。いずれによ
つて調停をやりましても、調停案ができ上
つたところで、両当事者が、すなわち甲の区と乙の区がともに同意をしなければ、すなわち
議会の議決がなければ、調停案は遺憾ながら効力を生じないのであります。
従つてこれも両区が賛成をしなければ実効を収めがたいということになるわけであります。
そこでいま
一つは調停ができない場合において裁定をするという方法が残
つておるのでありますが、この裁定というのもこれは両方の特別区が申請をして来なければ、要するに
都知事に裁定してくださいということを申請して来なければいけない。この申請についてはやはり
関係のある甲区、乙区の特別区の
議会が議決をしなければならない。ですから両
議会の議決を経、
都知事に対して裁定をしてくれ、こういうことを申請をして来なければならないのであります。もしそういうふうな
手続で申請をしてくれば、
都知事が
都議会の議決を経て裁定する。これはもう当事者の、要するに両区の賛否のいかんにかかわらず拘束力を生ずる、裁定が効力を生ずるのでありますが、その前提としてとにかく
都知事にすべて一任するという申請がなければならぬわけであります。それは今日おそらくないものであろうと思うのであります。そこでどの方法を用いましても今のところできない。これは両区の
境界にわたりますような
境界の変更でありますとか、
所属未定地の編入というものについて、やはりそういうふうに動きがつかなくな
つてしまうのは困るわけでありますので、
意見が合わないとき、協議がととのわないようなときには、第二段に
都知事の調停でありますとか、あるいは国の機関による裁定というようなものができるようにしませんと、
課税権の帰属も判明しない、住民の選挙権もどこで行使していいか
はつきりしない、こういうことにな
つて非常に困るわけであります。一応その点についても御
質疑があ
つたやに承
つたわけでありますが、この点も現行法上の盲点と申すほかないのじやないかというふうに
考えている次第でございます。