○後藤
説明員 私からお手元に配付いたしました
地方財政再建促進特別措置法案要綱について、簡単に御
説明をいたしたいと思います。
地方財政出廷整備法につきましては、すでに国会
議員提出の形で出ておりますので、その案を土台にいたしまして、さらに地方制度調査会の答申の線に沿いました案を加え、新しい規定をさらに加えて要綱をつく
つた次第であります。新しく入れましたところ、多少かえましたところをその都度申し上げ、かえておりませんところは単に朗読いたしたいと
考えます。
地方財政再錐促進特別措置法案要綱
一 この
法律は地方公共団体の財政の再建整備を促進し、地方公共団体の財政の健全性を確保し、も
つて地方自治の発達に資することを
目的とすること。
二
昭和二十八年度決算において歳入が歳出に不足するため、繰上充用、支払繰延又は事業繰越を行
つた地方公共団体でこの
法律によ
つて財政の再建整備を行うとするものは、その旨を
自治庁長官に申し出で、その中出に基いて
自治庁長官か指定する日現在により財政再建整備計画をたてなければならないものとすること。
2 前項の財政再建整備計画は、当該地方公共団体の長が作成し、当該地方公共団体の
議会の
議決を経た上、
自治庁長官の
承認を受けなければならないものとすること。
三 財政再建整備団体は、指定日の属する年度から七年度間以内に財政再建整備のために起した地方債の償還を完了するとともに、各年度において歳入と歳出とが均衡を保つ
ように財政の再建整備を行わなければならないものとすること。
この三項までは大体元の案
通りでございます。
四 財政再建整備計画においては、左に掲げる事項を定めなければならないものとすること。
(一) 財政再建整備の方針
(二) 財政の再建整備に必要な具体的措置並びにこれに伴う歳入の増加額及び歳出の減少額
(三) 財政再建整備期間中の各年度ごとの歳入及び歳出に関する綜合的計画
(四) その他財政の再建整備について必要な事項
2 財政再建整備計画の内容は、実行可能であり、且つ、誠実に財政の再建整備を図ろうとするものでなければならず、その中には、左に掲げる事項が含まれていなければならないものとすること。
(一) 前年庭分以前の租税その他の収入で滞納に係るものの徴収計画及びその実施の要綱
(二) 租税その他の収入について、その徴収成績を通常の団体の成績以上に高めるための計画及びその実施の要綱
(三) 税の増収計画又は経費の節減計画
ここのところがかわ
つております。これは今までの国会での
話合いで「税の増収計画及び経費の節減計画」、こういうことにな
つておりまして、再建整備特別税はどうしても創設する、必須の条件ということが
話合いできま
つてお
つたのですが、私どもといたしましては「又は」といたしまして、どちらか選択させることにいたしております。
3 前項(三)の税の増徴は、法定外普通税である再建整備特別税を創設して行うこととし、当該再建整備特別税による増収額は道府県にあ
つては道府県民税及び事業税、市町村にあ
つては市町村民税及び固
定資産税をそれぞれ標準税率の一、二倍以上の率で諌した場合における増収額に相当する額でなければならないものとすること。この場合地方税法における個人に対する市町村民税の所得割に関する制限税率は課税総一所得金額の百分の九とすること。
これは「この場合」以下は新しく挿入いたしました。
4 再建整備特別税は、道府県にあ
つては道府県民税及び事業税、市町村にあ
つては市町村民税及び固定資産税の納税義務者に探するものとし、その賦課徴収の方法については、政令で特例を設け簡素化の方途を講ずるものとすること。
五 地方公共団体が財政再建整備計画を実施するに当
つては、その要領を住民に公表するとともに、その協力を得るために必要な措置をとらなければならないものとすること。
六 財政再建整備計画の中に、国の負担金又は補助金の支出を伴う事業費の節約を図ろうとする計画があるときは、
自治庁長官は、財政再建整備計画を
承認するに当り、あらかじめ、当該主務大臣の
意見を聞き、当該財政再建整備計画を
承認したときはその旨を
通知しなければならないものとすること。この場合において、当該主務大臣は、当該財政整備再建計画の実行について協力しなければならないこととすること。
七 政令で定める国の負担金又は補助金を伴う事業を財政再建整備団体に実施せしめ
ようとするときは、主務大臣はこれらの負担金又は補助金の交付について予め
自治庁長官に協議しなければならないものとすること。
これはせつかく再建整備計画を立てましても各省の方で国の負担金をふやしまして、それに伴うところの再建負担金を多額に出すということになりますと、再建整備がくずれるということでありますので、あらかじめ協議してもらいたいということであります。
八 教育
委員会、公安
委員会、その他地方公共団体の執行機関として置かれた
委員会の所掌事項のうち当該地方公共団体の財政再建整備計画の樹立及び達成につき必要があるので、当該地方公共団体の長が
議会の同意を得て指定するものについては、
委員会はその執行について当該地方公共団体の長に協議しなければならないものとすること。
これは財政再建整備のために各
行政委員会の協力を得るために必要最少限度の規定を設けた次第であります。
2 教育
委員会法第五十七条から第五十八の二までの規定は、財政再雄整備団体には適用がないものとすること。
財政再建整備期間中に教育
委員会法の第五十七条、これはいわゆる二重予算の規定であります。この制度は一応停止するということにいたしたいということであります。
九、財政再建整備団体の区域内の公共的団体等は、財政再建整備計画の達成につき、当該地方公共団体に協力しなければならないものとすること。
十 財政再建整備団体の長は、当該地方公共団体の
議会の
議決が、財政再建整備計画に適合しないものがあると認めたときは、理由を示してこれを再議に付することができるものとすること。
2 前項の場合において、
議会の
議決が、なお、明かに財政再建整備計画にていしよくする場合においては、当該地方公共団体の、長は、その
議決を不信任の
議決とみなすことができるものとすること。
これは新しく入れました。
議会が協力しない鳩合に、財政再建整備はできないのでありまして、その場合にどうしたらいいか、これは
自治法の一般原則に返
つてそういう再議を求め、そうして再議をしてもなおかつ再建整備計画に抵触する
ような
議決がありました場合には、その
議決を不信任として解散することができる、こういう方式をと
つたわけであります。この点につきましては、さらにもう少し強く原案執行権を持たしたらどうかという
意見もありますので、さらにその点について検討してみます。
十一 財政再建整備団体は、財政再建整備計画の定めるところにより、退職した地方公務員の退職手当のうち、普通退職金に相当する金額をこえる
部分の支給については、
条例の定めるところにより分割払の方法をも
つて支給することができるものとすること。
実際問題として自主的な再建計画を立てましたときには、従来でも普通退職金以上のものにつきまして分割払いの方式を相互の
話合いでや
つているところがございます。これを法的に認め
ようということであります。
十二 財政再建整備団体は、
地方財政法第五条の規定にかかわらず、財政再建整備計画に基きその歳入欠陥を補てんするため及び再建整理計画に基いて支払うべく退職金の財源に充てるため、地方債を起すことができるものとすること。
2 前項の歳入欠陥を補てんするために起す地方債の額は歳入不足額のうち、左の各号に掲げるもので財政再建整備計画に基き、その財政の再建整備のために必要と認められる額とすること。
(一) 翌年度歳入の繰上充用額
(ニ) 支払繰延に係る事業の事業費のうち未収入特定財源を差引いた額
(三) その他政令で定める金額
3 市町村(五大市を除く。)は第一項の地方債を起そうとするときは、すべて
自治庁長官の
許可を受けなければならないものとすること。
これも新しく入れました。退職金が起債の財源にできるということであります。第一項は新しく入れてあります。
十三 国は、前項の地方債を引受けるために必要な資金を予算に計上しなければならないものとすること。
これは新しく入れてあります。
十四 財政事理整備のために起した地方債は、指定日の属する年度から二年据置とし、その後五年度以内に財政再建整備計画に基き、毎年一定の期限までに償還しなければならないものとすること。但し、災害その他の特別事由により、その償還か著しく困難と
なつたものについては、
自治庁長官の
承認を受けて、その償還を延期し、又は毎年度の償還額若しくはその期限を変更することができるものとすること。
これも新しく入れてあります。これはたしか修正案は七年でなくて十年にな
つてお
つたと思います。これを二年すえ置きの五年と直してあります。
十五 財政再建整備のために起す地方債は無利子とすること。
これも新しい規定であります。これは調査会の
意見そのものをや
つております。
十六 財政再建整備団体は、
昭和二十七年度以前の国の直轄事業に係る分担金で、未だ納付していないものにつき、地方債証券をも
つて納付することができるものとすること。
直轄分担金の支払いについて、現在残
つておりますものが、五大都市まで入れまして、大体九十五億ありまして、これは二十七年度以前のものであります。二十八年度から交付公債でありますが、財政再建整備団体につきましてはこれも交付公債の杉で支払うこと、こういうことにいたしたのであります。
十七 財政再建整備団体は、一時借入金の限度額について
自治庁長官の
承認を得なければならないものとすること。
これは新しく入れたものであります。一時借入金につきましても、やはりある程度の規制をして行きたいということであります。
十八 財政再建整備計画を樹立し、又は実施し
ようとする地方公共団体は、
自治庁長官その他
関係行政機関に対し助言を求めることができるものとすること。
2
自治庁長官は、前項の地方公共団体からその財政再建整備計画の樹立又は実施につきあつせんの申出があ
つた場合においては、
関係行政庁に対しあつせんしなければならないものとすること。
十九 財政再建整備団体は、毎年度五月三十一日現在により七月三十一日までに前年度における財政再建整備計画の実施状況を
自治庁長官に報告するとともに住民に公表しなければならないものとすること。
二十 財政再建整備団体は、毎年度四半期の当初ごとに、当該四半期における資金計画を
自治庁長官に報告しなければならないものとすること。
これは新しいものでありますが、資金操りの計画を出してもらいたいということであります。
三十一
自治庁長官は、財政再建整備団体の財政について、毎年度一回以上監査しなければならないものとすること。
二十二
自治庁長官は財政再建整備団体の財政の
運営がその財政再建整備計画に定められたところに適合しないものがあると認めるときは、当該地方公共団体に対し、予算の一部の執行の停止又は財政再建整備計画の変更を命することかできるものとすること。
2
自治庁長官は、前項の命令を受けた地方公共団体がその命令に従わなか
つた場合においては、政令の定めるところにより財政再建整備のために起した地方債に利子を付することができるものとすること。
この二十二は新しく入れてあります。これはせつかく財政再律整備をいたしまして財政資金を貸し付けましても、その財政の
運営がそれに適合しない場合には、予算の執行の一部の停止または財政再建整備計画の変更を命ずることができるということであります。さらにそれに従わなか
つた場合には地方債に利子をつけるということであります。
二十三 この
法律の定める
自治庁長官の
権限のうち、市町村に係るものについては、
都道府県知事に
委任することができるものとすること。
二十四 この
法律の施行に関し必要な事項は、命令で定めるものとすること。
二十五 この
法律は、公布の日から起算して三月を超えない期間内において政令で定める日から施行すること。
二十六
地方財政法の一部を改正し、赤字が生じている地方公兵団体は、財政再建整備計画を定め
自治庁長官の
承認を受けた場合でなければ地方債をも
つて出資金若しくは貸付金又は公共施設着しくは公用施設の
建設費の財源とすることができないものとすること。但し、継続事業等で命令で定めるものについては、この限りでないものとすること。
半分くらいは前の規定にあるのでありますが、財政再建整備の指定を受けない団体で赤字のある団体につきましては、継続事業とか災害の起債以外には認めないという
考え方をいたしております。そういう規定を設けたのでありますが、これはすぐ来年からあわせてやるということでなく、一年くらい後にやらなければならぬと
考えております。ただ全体の再建整備計画の実行の円滑化をはかりますために、長と
議会、国と地方団体、国と
行政委員会の間の合理化の規定を新しく入れたわけであります。
簡単でありますが、以上御
説明を終ります。