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1954-10-04 第19回国会 衆議院 地方行政委員会 第78号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年十月四日(月曜日)     午後一時四十九分開議  出席委員    委員長 中井 一夫君    理事 加藤 精三君 理事 熊谷 憲一君    理事 佐藤 親弘君 理事 鈴木 幹雄君    理事 西村 力弥君 理事 門司  亮君       生田 宏一君    前尾繁三郎君       保岡 武久君    山本 友一君       藤田 義光君    阿部 五郎君       北山 愛郎君    伊瀬幸太郎君       大石ヨシエ君    大矢 省三君       中井徳次郎君    松永  東君  委員外出席者         警察庁長官   斎藤  昇君         警  視  庁         (長官官房長) 柴田 達夫君         総理府事務官         (自治庁財政部         長)      後藤  博君         参  考  人         (警視総監)  江口見登留君         参  考  人         (横浜助役) 田中 省吾君         専  門  員 有松  昇君         専  門  員 長橋 茂男君     ————————————— 八月十日  委員宮原幸三郎辞任につき、その補欠として  淺香忠雄君が議長指名委員に選任された。 同月十一日  委員西村力弥辞任につき、その補欠として井  手以誠君議長指名委員に選任された。 同月十七日  委員辻原弘市君辞任につき、その補欠として森  三樹二君が議長指名委員に選任された。 同月二十七日  委員藤田義光辞任につき、その補欠として川  崎秀二君が議長指名委員に選任された。 同月三十日  委員井手以誠君辞任につき、その補欠として和  田博雄君が議長指名委員に選任された。 九月三日  委員川崎秀二辞任につき、その補として藤田  義光君が議長指名委員に選任された。 同月十六日  委員灘尾弘吉辞任につき、その補欠として押  谷富三君が議長指名委員に選任された。 同月十七日  委員門司亮辞任につき、その補欠として中村  高一君が議長指名委員に選任された。 同月二十三日  委員押谷富三君及び中村高一君辞任につき、そ  の補欠として灘尾弘吉君及び門司亮君が議長の  指名委員に選任された。 同月二十五日  委員和田博雄君及び門司亮辞任につき、その  補欠として西村力弥君及び冨吉榮二君が議長の  指名委員に選任された。 同日  委員冨吉榮二辞任につき、その補欠として門  司亮君が議長指名委員に選任された。 十月四日  委員森三樹二君辞任につき、その補欠として阿  部五郎君が議長指名委員に選任された。  理事灘尾弘吉君の補欠として熊谷憲一君が理事  に当選した。 同日  西村力弥君及び門司亮君が理事補欠当選した。     ————————————— 本日の会会議に付した事件  理事の互選  参考人招致の件  警察に関する件     —————————————
  2. 中井一夫

    中井委員長 これより会議を開きます。  本日は警察に関する件について調査を進めることといたします。  この際お諮りいたしたいことがございます。すなわち五大市警存置に伴う財源措置関係いたしまして、横浜助役田中省吾君より五大市を代表し、委員会の各位に陳情をいたしたい旨の申出がございました。よつてこの際同君を参考人として、取調べることにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中井一夫

    中井委員長 異議なしと認めさように決定いたします。横浜助役田中省吾君。
  4. 田中省吾

    田中参考人 横浜市の助役田中省吾でございます。本日は五大市にかわりまして、警察費財源につきまして陳情を申し上げる機会をお与えくださいまして、まことにありがたく御礼申し上げます。  御承知のよう五大市財政は従来からもう窮迫いたしておるのでありますが、昭和三十九年度に至りまして、金融引締めと相まつて急激に悪化いたしまして、事態はまさに重大な段階に陥る危険性があるのでございます。その原因といたしましては第一に、さきの国会における地方税法改正と、警察法改正とが関連なしに行われたということであります。  第三は地方交付税の算定が五大市の実情に適合せず、もつぱら国家財政のつじつまを合せることに終始せられておるように思われる点でございます。すなわち今回の地方税法改正基本方針の第一で、地方団体自立態勢の強化に資するため、独立財源の充実をはかることとし、と申しておられるにかかわらず、市町村税を減額して府県税を強化したことになつておりますことは、明らかに警察制度府県に移管することを前提としておられるものと思うのであります。しかるにその後延長国会において、五大市に一年間警察を存置することを議決されたのでありますから、地方税法は当然改正されまして、五大市に対しては他の市町村と異なる税制がしかれねばならなかつたのではないかと存じます。五大市の一年間の警察存置に、要します経費は、国庫補助金その他の特定財源を除きまして、一般財源所要額は八十億七千万円でございますから、これだけの財源が未措置に終つてしまつたと思うのでございます。これについて当時政府当局者は、税法警察法との食い違いの財源措置分は、当然交付税措置さるべきものであると言つておられ、かつ自治庁警察法改正に伴う交付税試算表によりましても、そのよう計算は当時されておつたのでございます。ところが去る九月決定されました交付税交付額は、五大市徴税実態と著しく異なる基準財政収入を算定されましたために、五大市が予期しておりました額の半額にも及ばぬ少額に決定されておるのであります。かようにいたしまして政府警察法改正による財源措置交付税ですでになされているという見解をとつておられるようでありまするが、事実は著しい歳入欠陥となつて現れているのであります。従つてこの問題は政府において何とか別個に特別の措置をしていただかなければ、五大市としては解決の道がない現状であるのであります。例を横浜市の場合にとつて具体的に申し上げまするならば、警察存置のために要する財源は総経費十二億七千五百万円から国庫負担金その他の特定財源差引いた一般財源所要額は十一億八千六百万円でございますから、税法改正によつてこれだけ税収が増加しなければならないと思うにもかかわらず、事実は税収において、旧税制の場合は四十六億七百万円の収入見込みに対して新税制におきましては四十二億四千二百万円でござい欲して、三億六千五百万円の減収と相なつているのでございます。また交付祝におきましては前年度四億四千二百か日をいただいておりますのに対して、本年度は七千万円という御決定で、三億七千二百万円の減収と相なりまして、合計七億三千七百万円の収入減となつているのでございます。このことはお手元に差上げました五大市警存置に伴う財源措置に関する要望、この要望書あとにつけてありまする、昭和二十九年度警察費に関する調というところで、五大市のそれぞれの数字が出ておりまして、ただいま申し上げました横浜数字は、この上から三段目に出ている数字でございます。  かよう警察費負担が前年と同様である、五大市については税制上少くとも前年通り税制に相当するものを与えられるべきものと存するのでありますが、事実はこれに反して一般市町村とまつたく同一の税制の下に置かれまして、警察費については制度上何らの措置をとられておりません。しかも地方交付税の配分はかえつて前年よりも減少しておるのでありますから、以上に申し述べましたように大きな赤字のもととなつているのは当然のことと存ずるのでございます。この事情五大市つたく同一でございまして、この財源不足五大市全体で見ますと、ただいま申しました表にある通り差引八十億になるのでありますが、その次のこれは警察費市費負担額八十一億に比して、差引二十七億二千六百万円に達する不足と相なつております。この二十七億二千六百万というものは補填していただきたい最小限度必要額であるのであります。しかるに五大市には従来からの赤字もありますので、このままに進みますと五大市赤字は厖大なな額に達せざるを得ないのであります。このよう財政状態にありまするので、現在財政の運営にあたりましては日々あらゆる努力を払いまして、経費の節減に努めておりまするけれども、現在の状態では公共事業執行等はまつた見込みが立たない状態であり、職員給与支払いであるとか、社会保障費支払いさえも危ぶまれるよう状態に追い詰められておるのでございます。これは五大市多少の差はありまするが共通の事情でありまして、五大市の市政は重大なる局面に立つておると思うのでございます。全国の府県市町村におきましても多かれ少かれ財政困難を訴えておる今日ではありまするが、皆様のおかげで五大市には特に警察存置をしていただきました結果、存置そのものについては深く感謝、たしておりまするが、これに要する財源措置か私どもの期待と著しく隔たりがありますために、五大市のこの財政危局五大市のみの特殊の事情であると思いまするので、この事態の収拾のために、臨事措置として政府において、あるいは特別交付金—これは交付税ではなく、むしろ国庫補助金ようなもの、または短期政府資金の貸出し等、格別のおとりはからいをしていただきまして、この財政上の危局が切り抜けられるように御援助くださるよう特に御高配を賜わりたく、切にお願い申し上げる次第でございます。何とぞよろしくお願いいたします。
  5. 中井一夫

    中井委員長 参考人に申し上げますが、ただいま御差出しになつた陳情書の最後に税制に関する部分が表に載つてつたようでありますが、それについてもこの際説明しておかれることが便宜だと思います。
  6. 田中省吾

    田中参考人 それでは申し上げます。この一番あとの表をごらんくださいますと、五大市新旧税制収入比較表というのがございますが、たとえば横浜市で申しますると、旧税法による二十九年度の収入見込額は四十六億円になるのでございます。それを新法によりまする見込額は四十二億四千二百万円、差引三億六千五百五十七万八千円の減になつております。それを五大市合計いたしますると十六億七十四百八十七万三千円という減になつております。ところがその次の五大市昭和二十八年度地方平衡交付金並昭和二十九年度地方交付税比較表というのをごらんいただきますと、横浜市におきましては、昭和二十九年度の交付税額七千万円、二十八年度にいただいたのは四億四千二百万円、差引三億七千百十八万円というものが減になつております。これを五大市合せますると十億五千三百万円となります。この税収見積りの減と地方交付税の減、すなわち十六億七千四百万円と十億九千二百万円と合せましたものが、先ほど陳述申し上げました二十七億二千六百万円ということに相なります。
  7. 中井一夫

    中井委員長 別に何か御質疑等ございませんか—皆さんから御質疑もないようでありますから、それでは参考人としては御苦労でございました。  警察庁長官はただいま途中で御出席になつたようでありますが、ただいま五大市を代表しての横浜田中助役の御陳述によりますと、前回の国会において決定した警察法の大改正におきましては、政府原案によれば五大市警というものもなくなるはずであつたのであるが、その後国会において修正せられた結果、これが一年間存置されることになつた。しかるにそれに対しては、原案趣旨に基いて政府予算市警が廃止されることを前提として確定されたのであるが、修正の結果五大市市警残つたから、これに対する財政措置が当然とられるべきはずであつた。しかるにそれに対し、税の改正また交付税関係等から見ても減収になつておるが、増収によつてその財源を補い得るよう措置にはなつていないのだ、まことに困るからこれは何とかしてもらいたいという趣旨なのであります。そうしてその言われるところは、一般財源所要額警察について八十億七千万円であると言われております。この問題はもうすでに政府内部におきましてもだんだんご検討のことであると信じますが、その際政府当局としての意見を承ることができれば幸いだと思います。この問題は自治庁関係の問題でありますが、まず当面の責任者であられる斎藤警察庁長官からお伺いいたしたいと思います。
  8. 斎藤昇

    斎藤説明員 ただいま五大市警察費に対する財源措置が、前国会において地方税法あるいは交付税法等改正を見ずして、ただ五大市存置ということで警察法修正を加えられた結果、五大市においては財源措置に非常に困つているという陳情があるし、これに対してどういうよう警察当局は考えるかという委員長のお言葉であつたと考えるのでございます。先般の当委員会におきましても、府県費支弁に相なりまする費用のうちで、府県財源措置として政府が考えておつたものが過小見積りではないか、この点に対する政府措置いかんという御質問があつたのでございますが、当時から警察庁といたしましては、大蔵省自治庁とともに、はたして国の警察費に対する地方財政計画が適正であつたか、あるいは過小見積りをしておつたのではないか、それにつきまして地方の各都道府県予算実態を十分調査いたしました上、必要であるならば必要な措置を講じますということを申し上げておつたのでございまするが、その後自治庁大蔵省警察庁三者それぞれ調査をいたしておるのでございます。大体調査終了間近くなつておるのでございますが、まだ何十何億という的確な数字を申し上げる段階ではないと存じますが、自治庁から今お見えになつておられまするから、あるいはお話がさらに詳しくあろうと存じます。その際に、五大市につきましても同様に考えまして調査をいたしておるのでございます。ただ五大市につきましては、一応今までわれわれ自治庁との話合いでは、地方税及び交付税等の操作によりまして、法律改正しなくても財源措置は十分できるというように伺つておるのでございまするが、先ほど申しました実態調査とあわせまして、それではたしてできるのかどうかということを十分検討をいたしたいと考えておりまするが、詳細な数字等につきましてはまだ若干時日をおかしをいただきたい、かよう状態でございますから、御了承をいただきたいと思います。
  9. 中井一夫

    中井委員長 重ねてお尋ねいたしますが、その詳細なる調査は目下進行中のようであります。本委員会は来る七日まで引続きこれを行います。その間に御報告ができる手はずになつておりましようかどうか、承つておきます。
  10. 後藤博

    後藤説明員 先般十七府県につきまして警察庁及び大蔵省、私どもと三者で共同いたしまして調査をいたしました結果を現在まとめておるのでございます。ここ数日のうちに生の数字は全部固まるかと思います。ただ内容につきまして切りかえそのものに、いろいろこまかい点でありますが、差があるようでありますので、内容数字につきましては、さらに精査検討を要すべきものがあるように考えております。今までのところ大まかに申しまして、予算の上で差がありますのは大体七十億くらいではないかというふうに考えております。それから今後追加見込みがございまするので、百億くらいの差になりはしないか、かように考えております。大体そのくらいの数字——あとから参りました県がありますので、はつきりした数字は申し上げかねますが、大体そういうことになりはしないかと思います。ただ先ほど申し上げましたように、個々の切りかえにつきましていろいろこまかい点でやり方が違つておる点がございます。それから数字そのものもやはり内容に入つて、もう少し検討すべき点がございまするので、もう少し時間を拝借いたしたいと考えております。
  11. 門司亮

    門司委員 これは今の後藤君の答弁ですが、特に五大市警察費用については、これは最初からわかつてつた。これはあの修正案が出たときに私はきいております。修正案を出されれば必ず財源措置をしなければならぬではないかということは、これは鈴木君からかだれからか必ず財政措置をするということが答弁せられておる。今ごろその数字をひねくりまわすのは私はおかしいと思う。最初からわかつてつた。ほかの府県については多少政府の方で変なごまかし方をやつておるから八十三億助かるのではないかというようなこと言つて、いよいよふたをあけてみたら違う。これも計数違いと言えば計数違いだが、計数違いのものはやむを得ぬとして、五大市警察費だけは最初からわかつていたと思う。これに財源措置をしなかつたということは、今の答弁では私らは納得することはできないのであります。一般警察費とは全然別のものである。警察が発足した七月の一日からこの問題は起つてつた問題で、わかつてつたはずだ。だからここではむしろそういことでなく、今斎藤君の答弁を聞いてみれは、税制改正はいらぬだろうというようなことだから、そうすると交付税なら交付税交付で何とかこれは補えるものだというのなら、私はやはりこの機会にそういうはつきりした答弁をしておいてもらいたいと思う。これはほかの警察ちよつと違うので、ほかのものと同じようにものを考えられたら迷惑する。
  12. 後藤博

    後藤説明員 私がただいま申し上げましたのは、五大市以外の府県警察調査のことを申し上げたのでありまして、五大市のことは今お答えしなかつたのでありますが、五大市だけ残りました場合に財源措置をするかしないかという問題は当時ございました。しかしその当時いろいろ各方面と協議いたしました結果、五大市については新たに財源措置をしない、従来通り計算方式交付税を配付する、こういうことに相なりましたので、そういう計算をいたしたのであります。その結果多少問題があるようでありまして、私どもいろいろ承つておりますが、交付税計算そのものは別に従来と違つたことをやつておるわけではございません。ただ収入が非常に伸びております関係で、交付税の額が減つたという結果になつております。従来の考え方とはかわつておりませんで、従来も五大市警察費については特別な補正の方法をとつて警察費計算をいたしておりました。実際の警察費との差額というものは、財政需要額と比較いたしますと、そう大きな額ではないのでありまして、むしろ収入が増加したことによつて交付税そのもの減つたというところに問題があるのであります。これは私ども収入計算自体に間違いがございますれば、やはり特別交付税のときに考えなくてはならぬと思つておりますけれども、しかし現在のところでは計算そのものの問題ではなくて、新たに財源措置をしてくれ、こういうことでありますので、私どもはそれは現在の段階ではちよつとむずかしいのではないか、こういうふうに言つておるわけであります。
  13. 門司亮

    門司委員 どうもその話も少しおかしいのです。もしあなた方の考えだとすれば、さつきから田中助役からも話されたように、当初の見積りの誤算があろうとなかろうと、五大市警察もなくなるということで、税制その他の改正が行われたと私は思います。ところが税制の面はちつともかえないで、警察の方だけは残つておる。そうするとそこに必然的に財政措置を何らかの形でとらなくてはならぬことは、これはもうわかり切つておることです。これは計数がどうであるとか、伸び方がどうであるとか、今考えるべき筋合いのものでも何でもない、結果においてそういうものが出たので知らないというようなことではいけない。もしかりに五大市警察が全部府県原案通り移譲されておつたとすれば、約十億ないし二十億の——私は二十億近いものが府県負担分としてふえておつたと思う。これは当然あなた方は承知されなければならないはずだと思う。その市から、たとえば今考えられておりますような、従来の警察費基準としたよう交付税の基礎によつてこれを片づけて行くとしても、その中に当然今五大市が困つておるくらいの財政上の赤字は出て来ると私は思う。その財政上の赤字というものは、どうしてもあなたの方でこれを補われる責任が生れて来ると思う。これは法律改正したのは国会改正したのだと言われるかもしれませんが、しかし改正になつた以上は、少くとも財政上の措置はあなたの方でされるのが当然だと私は思う。だからわれわれから考えると、今のような一般的なものの考え方ではなくして、少くともそういうことを前提とした、いわゆる警察が全部府県に移譲されるということを前提とした府県市町村との間の税制改革が行われておることに間違いはないのであります。従つてそれの実現化されなかつたところには、府県に対して市から負担しただけの財源は市の財源から当然減るわけであります。私は具体的に言うならば、市民税の中からたとい人頭割の百円をとり、あるいは法人税の百分の五をとつたところで、それが吾のまま横浜市にあればそれだけのものは補えたはずであります。ところがこの財源は普通のほかの市町村と同じよう府県財政の中に入つておる。さらにタバコの消費税にいたしましても、ほかの都市と同じような配付しか受けておらない。こういうことが現実の姿として出て来ております以上は、現実に足りない分だけは、これは法律がああいう形に改正された以上は、やはり財政措置が当然伴うべきである。今ごろ数字をあらためてどうのこうのと、言つておるようでは何としても誠意がなさ過ぎる。むしろその差額があるならば私はすなおに、たとえば交付税なら交付税の中で按分していただかなければならぬ。ということは、五大市はみずからの財政府県にとられて、そうして赤字に苦しまなければならぬというのが現状だ。五大市警察を持つておるから、もう少し苦しんでもいいというようなものの考え方なら別ですよ。これは法律できめたのだ。だからやはり五大市財政もその点は見てもらわぬと、五大市警察官だけは苦しんでもいいという考え方は、私は少し酷過ぎはせぬかと思う。もう少しはつきり答弁してもらいたい。
  14. 後藤博

    後藤説明員 私どもお話はわからないことはないのでありますけれども基準財政需要額として、警察費五大市の場合見ました場合に、それが府県警察の場合とどういうふうになているかということを考えて、もしもそれが府東警察と比較して決して損の計算になつていないということであれば、この財政需要額というものは見ておるということになると思うのであります。従つてどもは従来の方式を基礎にいたしまして、大体府県警察に移つた場合と同じよう計算の仕方をいたしております。その計算をしましたけれども、先ほど申し上げましたように、収入の方が増加したものでありますから、逆に交付税の額が減つたという結果になつたのであります。その減つたものが警察費から生み出したものであるかどうかということではなくして、それは財政全体から出て来ているのではないか、こういう考え方をいたしております。従つて交付税の少くなつた分がすぐ警察費の方から出て来るんだという考え方は、どうも交付税計算方式からは、ちよつと出て来ないのではないか、かように私どもは考えておるわけであります。新しく財源措置をすべきであつたかどうかということは、これはいろいろな判断が、私はあると思つております。した方がよかつたかもしれませんけれども、その当時しないという方針にきめましたので、大体その方式にならつて、私ども交付税計算をいたしたのであります。
  15. 門司亮

    門司委員 どうもおかしいのですが、かりにあなたの方の言うことをそのまま聞いておつて、しないという方針にきまつたのだから、それでいいのだということで、一体自治行政がやつて行けますか。政府がきめてしまえば、地方財政がどんなに赤字が出ようと知らないということで、国の財政が運営できますか。問題は現実の問題だから、そこから来る財政の貧困というものは当然何らかそれについて考えなければならぬ。そこで私が聞いておりますのは、今税制の問題は、ここでかえようといつて現実の問題としてなかなかかえられない。従つてそれを救済するには、さつきも斎藤長官が言つたように、これはおそらく私どもは、やはり交付税の中で何とかこれを措置する以外に方法がないんじやないかということしか考えられないのであります。そうでないならむしろあなたの方で財源措置をなさる方法がほかにありますか。税制改革を行うという意思があるのならけつこうですが、もう今からでは間に合いません。国会が開かれているわけでなし、もう間に合わない。同時に、やはり何と言つても全部移譲するつもりであつたものが残されて、今七十億、百億というよう赤字が出ているようなことは、あの当時わかつていなかつた。誤算の基礎がこういうところにある。全部移すつもりであつた。全部移してもこういう赤字が出ないつもりであつた。三年間かかつて三万人減らして、八十億黒字が出るつもりであつた政府の方はそういうつもりだつたが、地方財政の方で八十億も赤字を出さなければならなかつた。それと同じことだと思う。やはり五大市もその影響を受けていると思う。その赤字というものは、当然政府責任措置すべきである。非常にくどく言うようだが、そのほかに方法がないから、率直に交付税交付の方法だけでひとつこれを解決してもらいたいということを言つているのであつて、やるかやらないかをはつきり言つてもらいたい。
  16. 後藤博

    後藤説明員 先ほど申しましたように、交付税の全体の計算と、参りました交付税が、その五大市赤字と比較しまして少かつたために、赤字がさらに出て来る、こういうお話であります。それは警察費だけに責任を帰すべきものでないのじやないか、警察費だけを中心に考えますと、警察費基準財政需要額と、現実予算との間にどういう開きがあるのか。またわれわれの府県警察費の出し方と、五大市警察費の出し方との間に差があるかどうか。そういうことを検討した上で、私どもはきめなければならぬのではないかと思います。従つて五大市だけ特別扱いをして少くしたというのなら、われわれは直さなければならぬと思いますけれども、そうでない計算をいたしておりますので、現在のところは交付税をさらに警察費のために増額するということはすぐ結論が出て来ないのじやないか、こういうことを申し上げたわけであります。
  17. 門司亮

    門司委員 実に奇怪な答弁を聞くのですが、それなら税制改革は何で行いました。今まで市町村民税であつたものの中から少くとも三分のというものは府県にやつているはずです。このやつた基礎はどこにあるのです。さらに府県に対する新しい税源も設けられている。だからもしあなた方がそういうことを言わわれるなら、五大市市民税というものはそのまま残しておいてもらいたい。税制改革を行わなければいい。税制改革を行わないで、そうして伸びがあつたとか縮みかあつたというなら、これは多少話がわかる。しかし税制改革を行つて警察を移譲した都市も、警察を持つている都市も財源措置を同じように考えるということは不都合だと思う。川崎が県に警察を移譲したことによつて市の財政が二億ぐらいの黒字が出ている。逆に横浜警察を持つことによつて一部の財源をとられて、それが赤字に苦しむというような不合理なものができ上つている。私どもはこれを何とかしなさいというのです。あなたの言う通りなら、税制改革を今すぐ行いなさい。そうして昔に一ぺんもどしてしまえばいい。そうすれば都市との均衡がとれると思う。警察を持つているということは重荷なんです。それにはやはり重荷を持つているだけの財源措置は当然あるべきだ。だからその財源措置をしないというならおかしいと思う。ただ伸びがあつたからそれを減らしたのだということ自身、財政の建前上おかしいと思う。財政の建前からいつて、特別の市に特別の仕事を押しつけておいて、財源措置は他の一般都市と同じようにするということは成り立たない。これはもう少し考え直してもらわぬと、ただ数字とりくつだけでわけのわからぬ——言つては怒るかしれませんが、われわれの納得の行かない答弁だけではどうしてもわれわれは承服しがたい。その点ひとつはつきりして、財源措置をするならするということ、その点だけでいいから、はつきり答弁していただきたい。
  18. 後藤博

    後藤説明員 私ども事務的に今お話したわけですが、事務的には現在の交付税の中でちよつと財源処置はむずかしいのではないか、これは私ども計算が間違つておれば特別交付税措置すべきものだと思います。そうでない限りは五大市の問題としてはむずかしいのではないか。こういうことを申し上げているわけです。  それから税制改革の問題につきましては、私だけで答弁するわけに行きませんので、上司によく伝えることにいたします。
  19. 大矢省三

    ○大矢委員 それではこういうふうに解釈してよろしいのですか。財政上事務的な立場からいうと、いたし方ない、何ら財政措置ができない、こういうように考えていいのですか。私は先ほどから聞いておりまして、これは長官が自治警の廃止を主張しそれで一貫して来た。従つて廃止を望んでいる者が存置したところの赤字を熱意をもつて解消しようとする意思のないことは明らかである。自治庁またこれに同調して共同戦術をとつている。従つて私はあなたたちの手でどうにもできない、結局ひねり出すわけに参りませんから、そこで大蔵省に交渉する熱意があるのかないのか、この赤字は、何べん言つても同じでありますが、門司君が今言つたように、これは法律が当然警察は移管すべきものとしてきめた税法改正をそのまま置いて、それが残つたのだから、当然何らかの措置を講じなければならぬことはあたりまえだ。そこで私のお聞きしたいのは、事務的にいたし方ないというが、しかしこの赤字をどうしてもいたし方ないといつて放任するのか、何らか別な形においてこれを処理しようとして財源大蔵省に交渉する熱意があるかないかという点だけを聞いているのです。
  20. 後藤博

    後藤説明員 先はど申し上げましたように、五大市赤字というものと警察の移管というものとは直接結びついていないのではないか、五大市の問題としては、私ども基準財政需要額で相当見ているつもりでございます。従つてそのために赤字が非常に増加したということは、すぐ結論的に出て来ないのではないか、やはり全体を考えて赤字がどこから出たかという判断をすべきものでないかと思います。従つて現在の赤字対策のために、財源の配分を新しくするとか、何か特別のことをちよつと考えるのは、そうすぐ簡単に結論は出ないのじやないか、こういうふうに考えておる次第であります。
  21. 大矢省三

    ○大矢委員 あなたはわかつてつて、そういうことを言うのだと思う。先ほどから門司君が何べんも言いますように、警察を移管するものとして地方税改正になつた。説明も何べんもした通りです。それが警察はそのままにしておいて、地方税だけがとられたから、赤字が多くなつたということは、すぐわかるじやないですか、わかりませんか。つまり今の府県民税を納めずして、それが町村民税に残つておれば、——これは所得税もそうですが、そういうふうに残つておれば、この赤字がかりに十あるものが七にとどまるとか、少くなることは事実だ。行くものとして改正した、これはわからぬはずはないと思う。故意にそういうことを言うのか。交付税は前とちつともかわつておらぬ、そういうふうに事務的なことだけ考えればそうだろう。実質的には、今言つたように、地方税法改正になつた。しかも警察は移管されることを前提としておる。それが、一方はとられる、警察は残されたんでは、赤字が多くなるのは当然じやないか。いや、警察だけの費用は全部やつてあるのだ、やつてあるから、ちつとも警察の問題に関係ない、こういうふうに事務的に扱われる。それじや移管した府県五大市をかかえていないところは、それだけ赤字が少くなつて行く。関係はないというわけはない。あるいはまたそれが移管すれば、それだけ少い負担で行きますから、赤字が出ない。事務的に考えれば、今までと同じように扱つているのだからかわらないと言われるが、自治庁のいわゆる財政面から見た関係が全然ないということは、どうしても甘えるはずがない。それはどうなんですか、やつぱりちつとも関係ないと思いますか。
  22. 後藤博

    後藤説明員 私ども五大市から聞いておる話によりますと、つまり交付税計算そのものの問題ではなくて、実財源がほしい、実財源をプラスしてもらいたいということのようであります。実財源をプラスするということになりますと、どういうことになるかと申しますと、交付税計算と比較して実財源をふやせば、超過財源が多くなる。超過財源が多くなれば、その額だけ赤字が減る、こういうことになるのであります。そういう意味の実財源がほしい、こういうことであります。そういう意味の実財源がほしいというのは現在の段階ではおかしいじやないか、こういう議論が出るわけであります。そういう意味の、赤字を消すための実財源をプラスしてもらいたい、そのプラスの方法は、住民税のうちで府県民税を出すというのをやめるとか何とかという方法でやつてもらいたい、こういうことを申しておられるように私ども聞いておるのであります。従つてちよつとお話とは違うのじやないかと私ども考えております。
  23. 北山愛郎

    ○北山委員 財政部長にお聞きしますが、先ほど十七府県調査の結果、予算の上で七十億不足しておる、これは追加を入れるとおそらく百億くらいになるだろうというお話であつたのですが、そうしますと、このよう計算をやつて行きますと、全府県ではもつともつと多い数字になるのか、そのへんのところがはつきりしませんから、ひとつ数字をはつきりしてもらいたい。
  24. 後藤博

    後藤説明員 調査しましたのは十七府県であります。実際生の資料を全府県について集めた結果を見ますと、予算との食い違いが七十億くらいじやないかと私ども見ております。それからこれに追加所要額を合せてみますと、大体百億くらいになりはしないか、こういうことを申し上げたわけであります。
  25. 北山愛郎

    ○北山委員 そこで七十億ないし百億くらい不足だといういろいろな原因が府県によつては違うというお話でございますが、それぞれ原因があると思うのです。給与の扱い方等についてそれぞれはつきりとした原因があると思うのですが、調べた結果では一体どういうふうな原因になつておりますか、お話願いたい。
  26. 後藤博

    後藤説明員 調べた結果ではなくて、それは切りかえ等が、たとえば調整額を全然調整しないで、まるつきり出したところもあります。それから調整の方式につきましても、一本の方式でなしに、二つの方式をとつているところがあります。そのほか管理者手当のつけ方でも違つておりますし、こまかいところでいろいろ各県でやり方が違つておるようであります。そういう違つておる状態をそのままにしておいて、生で集めた数字が、今申しました数字になるわけであります。こまかい点はそれぞれ個々の府県一つ一つについて数字を洗つてみなければ、ほんとうに必要であつたかということは出て来ないのではないか、かように考えまして、現在そういう作業もあわせていたしております。
  27. 北山愛郎

    ○北山委員 この点は、実は今度の委員会は四日間やるわけでありますが、その間に何とか結論を得たいと考えますので、その調査の結果、概略の数字でも、二、三日中に資料を出して、大臣にも来てもらつて、この措置について委員会で結論を出したい、こう考えますので、委員長はそういうふうな御処置を願います。
  28. 中井一夫

    中井委員長 了承いたしました。
  29. 北山愛郎

    ○北山委員 それから斎藤長官にお伺いいたしますが、この八月に行われました天皇の北海道巡幸についてであります。これは八月の六日からおいでになつて、北海道の各地を視察なさつたのでありますが、この天皇の警護につきまして、現地ではどうも今までと違つて、非常に厳粛なやり方であつて……。
  30. 藤田義光

    藤田委員 発言中ででありますが、われわれは財政部長に、先ほどの門司委員の発言の問題をまだ追究したいんですが、今の問題をあとにしていただきたい。
  31. 北山愛郎

    ○北山委員 よろしうのございます。
  32. 藤田義光

    藤田委員 了承を得ました。  この警察制度改正に伴う財源の問題に関しまして質問がありましたが、先ほどの百億という数字五大市を含んでおりますか。
  33. 後藤博

    後藤説明員 含んでおりません。府県警察だけであります。
  34. 藤田義光

    藤田委員 五大市は大体どのくらいと踏んでおられますか。先ほど横浜市の助役から資料が出ておりますが、自治庁の見通しはどのくらいでありますか。
  35. 後藤博

    後藤説明員 ちよつと手元に資料を持つておりませんので、はつきりした数字は申し上げかねます。
  36. 藤田義光

    藤田委員 資金運用部資金のわくの増額を折衝中のようであります。その事実があるということは肯定されると思いますが、これはどういう方面に使われる予定でありますか。
  37. 後藤博

    後藤説明員 資金運用部の資金を今お願いしておりますのは、水道の資金がどうしても足りない。今年百億で割つて参りましたが、五十七、八しか完成ができません。これを二十億ないし三十億ふやして参りますと、完成分が非常に多くなつて参ります。需要が非常に多くなつて参りますので、どうしても三、三十億のものをふやしてもへいたいという希望を申し上げております。それ以外のところは現在私承知いたしておりません。
  38. 藤田義光

    藤田委員 水道の起債の増額ということは焦眉の急であるということは私も率直に認めますが、現在水道をめぐる起債の折衝状況は厚生省、自治庁大蔵省の三者間で行き悩んでおる。これはおそらく自治庁発足以来前例ない事務の渋滞であろうと考えております。大蔵省の理財局長等は、継続事業に対する起債の割当以外、新規は全然認めぬというようなことを大蔵省方針として言明しておる。にもかかわりませず、厚生省は真剣になつて新規あるいは拡張に至るまで起債のわくをほしいと言つております。大体自治庁も同意見であります。今の財政部長の答弁通りであります。私は今起債の増額をやつておられるならば、この機会に、はつきり税法改正等によつて矛盾が生じておる先ほど来の質問の点に対しましても、何か準備をする必要があるのではないか、これは法律改正の時世的余裕もないということならば、財源措置は急いでやる必要があるのではないかということを考えております。新聞の報道でありますが、交付税法のパーセントの引上げということも言われておりますが、そういう準備をさせられておりますか、どうですか。
  39. 後藤博

    後藤説明員 新聞に出ました交付税の税率の改正の問題というのは、来年度の財政計画を基礎にしたものでありまして、本年の警察費不足分と奄美大島の分が今度入つて参りますので、その分と合せて一%だけ来年は増額して参りたい、こういうことを目途としております。最少限度その程度は考えております。これはりくつの通つたものである、こういうふうに考えております。
  40. 藤田義光

    藤田委員 われわれは全国都道府県市町村財政の現況からしまして、五大市警察費に伴う一般交付税食込みというようなことは、これはほかの自治体に非常に悪影響がある。どう上ても別個の財源を考えなくてはならぬということを痛感しております。特別交付税というようなものでまかなうということになりましても、ほかの自治体に非常な悪影響を及ぼす。財政部長の率直な気持を伺いたいのでありますか、何か考えるかどうか、考えるとすればどういう方面を考えるか、研究題目としてわれわれも研究したいからお示し願いたい。五大市警察費、それに関連してほかの自治体の問題も自然われわれの研究題目がはつきりして参りますから。
  41. 後藤博

    後藤説明員 五大市警察費ということではなくて、五大市全体の財政につきまして従来からのいろいろなやり方が、たとえば起債の問題にしてもあるのであります。起債はご承知のように一般財源並みの取扱いをいたしております。従つて五大市ような大きな団体に対しては、十分に起債が参つておりません。そういう五大市の起債につきまして、従来と同じ考えをするか、本年から少し府県に近いところの考え方をして行くか、こういう問題があるのであります。できれば、一挙に府県並というわけには参らぬかも存じませんが、起債の充当率等を上げまして、一般財源をできるだけ節約できるようにして行きたい。これは財源措置をするのと同じよう考え方になるのでありますが、起債事業のうち公共事業の充当率を考えて行きたい。どの程度考えられるか今検討いたしております。そういうことによつてある程度財源的な措置をして行きたいというふうに思います。
  42. 藤田義光

    藤田委員 本年度単独一般起債の査定はもう終つておりますし、おそらく近県まで交付さしてしまつておると思いますが、現在公共事業の起債の査定中であります。だんだん話がはつきりして参りましたが、公共事業の起債において警察のみならずもう少し広い視野から、五大市財源等を考えて行きたいという財政部長の御答弁でありますが、大体お気持はわかりましたが、わくの問題です。これが当初のわくでまかない切れるかどうか、それを一般府県あるいはほかの市町村にしわ得せされやしないかという懸念がありますが、この点は何か公共事業のうち費目によつて重点的に削減され、前年に比べて非常な変動を来すという結果になりはしないかと思うのですが、その点はいかがですか。
  43. 後藤博

    後藤説明員 私どもが今困つているのはおつしやるような点でありまして、できるだけ他に大きな影響を与えないでやつて行きたいと思つております。ただ今までのやり方が五大市府県と同じような取扱いをすることになつておりながら、起債の充当率等におきましては、やはり市町村に近い考え方をいたしております。そういうことでは五大市の投資的な事業というものは十分行われないのじやないか、そういうことも考えつきまして、昨年から研究いたしておりますが、本年はできれば他に影響のない限度において充当率を引上げて行きたい、かように考えているわけであります。
  44. 藤田義光

    藤田委員 財政措置としては大体起債ということが当面重点の対策になつたようであります。そうしますと、近く十二月から始まります国会の常会等におきまして、これらに伴う立法措置等は全然考えておられないかどうかお伺いしたい。
  45. 後藤博

    後藤説明員 立法の問題ではなくして財政計画自体の問題でありまして、財政計画には御存じの通り公共事業費の負担部分につきます起債は総額的に幾ら、大体負担部分の何パーセント、こういうように大きく出ております。その中の振りわりの問題でございますので法律的な措置を必要としないと思つております。
  46. 藤田義光

    藤田委員 この問題は将来いろいろ影響がある問題でありますが、税務部でたとえば道路税の創設というよう地方税法の相当の改正を計画している、あるいは交付税の方は明年から実施する予定で改正するというようなことが報道されておりますが、財政部としては何か税制改正に対しまして、改正の根拠としていろいろもちろん税務部に資料が出ていると思いますが、現在地方税法改正の準備の進捗状況について何かお話つたらと存じますが、またその改正の根拠をお示し願いたいと思います。
  47. 後藤博

    後藤説明員 税制改正方針でありますが、交付税制度になりましたために、従来の交付制度の時代とはかわつた考え方において、財政規模においていろいろしなければならぬことに相なつたのであります。従つて財政需要額と実際の収入額との間の差額をどうして埋めるかという問題、これは従来は交付金でもつて行われておつたのでありますが、この交付金にかわるべき交付税が一定率でもつて定まつて参りますと、さらに不足分が出て参ります。その不足分をどうするかという問題の一環としまして、ガソリン税を廃止するという建前でもつて、ガソリン譲与税にかわるものとして地方道路税というものを考え、さらにその不足分をカバーする方法として、他の税制改正をある程度しなければならない、こういうことになつているわけであります。これは税務部の方におきまして、それぞれ研究をいたしてもらつております。
  48. 中井一夫

    中井委員長 藤田君に申し上げます。御質疑の点はまことに重要なる問題とは存じますが、一般財政に関する問題としましては明日これを行うの予定になつております。従いまして本日は警察に関する問題に質疑を集中していただきたいと存じます。
  49. 藤田義光

    藤田委員 最後に一点だけ……。そうしますと、警察の問題に関連して、関係自治体の財政状況は非常に悪化しておりますが、特別交付税の配付期日を思い切つてこの際繰上げる。これはたしか交付税法にも配付期は政令等で規定はしておつたと思いますが、これはすぐ改正できることであります。国会は必要でない。年内に特別交付税を配付してしまうという緊急措置を考えることも一つの有力なる方法ではないかと思いますが、何か研究されておりますかどうか。
  50. 後藤博

    後藤説明員 お話通り早くやりたいのでありますが、早くやれない事情がございまして、今までもう一月か二月になる。これは災害の関係とか、補助事業等の関係がはつきりいたしますのが、どうしても十二月の終りになつて参ります。公共事業もそうでございますが、本年はできれば早く概算でも起債をつけたい。こういう意味で九月中にやりたいと私ども考えまして、起債の方を早く急がせておりますが、しかしこれなかなか各省の補助金がこまかくきまつておりません。これは十月の中旬にならなければきまらないのじやないかと思います。それから収入の方の関係におきましてできるだけ年度内の正権な収入に合して行きたい、かように考えておりますので、やはり九月決算でありますれば十一月にわかりますけれども、十月決算になりますと、十二月になります。ですから十月決算くらいまでは正確に捕えるようにいたしまして、特別交付税の上に反映いたしたい。かように考えますと、一月の終りか二月の初め、こういうことになるかと思います。これはやむを得ないのではないかと考えております。
  51. 門司亮

    門司委員 警察庁の問題はこれ以上追究しませんが、自治庁にはつきり答えておいていただきたいことは、先ほどからの藤田君の質問の中でわかつたのでありますが、今の警察費赤字の問題については、五大市は考えてない、こういうお話ようにわれわれは聞いております。ところが府県の分は何らかの処置をしなければならないだろうということは、私はお考えになつていると思う。従つてこれを具体的に、私は税制改正をせよとか、交付税でこれを按配せよということは申しません。府県警察費に関する財源処置をされるときに、五大市もこれに含めてされる御意思があるかどうかということを、この機会にはつきり聞いておきたい。
  52. 後藤博

    後藤説明員 同じ府県警察でございますので、私ども五大市につきましても同じような考えで計算をいたしたいと考えております。     —————————————
  53. 中井一夫

    中井委員長 この際お諮りをいたしたいことがございます。これはこの委員会の終りにいたすべきものではあるのでありますが、通知等の関係もありますので、この際特にお諮りをいたす次第でございます。すなわちビキニの灰のために久保山無線長の死亡せられた等の問題よりいたしまして、わが国において原爆第一回の犠牲となりました広島、長崎市民から痛切なる要望が起りつつあるよしであります。このために両市長が原爆の被害が市政に及ぼしました影響その他に関連した問題、ことにこれが救済の問題につきまして本委員会陳情をいたしたいとして上京せられております。この問題は事の性質から見まして、地方行政上の問題としても重視すべきものと存じますので、明日の委員会におきまして参考人として両市長の出席を求めたいと存じます。御異議がなければさように決定いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  54. 中井一夫

    中井委員長 御異議なしと認め、さように決定いたします。ただちにその手続をいたすことにいたします。     —————————————
  55. 中井一夫

    中井委員長 引続き改札に関する問題について質疑をお進め願いたいと思います。北山君。
  56. 北山愛郎

    ○北山委員 警察費財政的の面につきましては、私も他の委員と同じように大きな関心を持つております。先ほどの財政部長の資料をすみやかに得て、そうして地方財政一般を審議する際、さらに徹底的にこれをやりたいと思いますので、さよう処置をしていただきたいと思います。  それから先ほどの質問を続行いたしますが、八月の北海道に行かれました天皇の巡行の警衛の問題であります。これは途中の盛岡あるいは北海道内におきましても非常にたくさんの警官が動員をせられて、今までかつてないような厳重な警護をやつてつたということで、また昔のような天皇と国民との間に警察官の垣をつくるのではないかというようなとかくの批判もあるわけであります。従つて警察庁、国家公安委員会としても今までの天皇の警護方針について相当な変更があつたのかどうか、どうもそういうふうに見えるのですが、この警衛なりあるいは警護の方針について変更があつたか、あつたとすれば、それはどういうふうな理由に基いておるか、この点について斎藤さんにお伺いをいたします。     〔委員長退席、佐藤(親)委員長代理着席〕
  57. 斎藤昇

    斎藤説明員 天皇の警護につきまして、最近特に方針をかえたということは全然ございません。先般の北海道行幸啓の際におきましても、今までの方針とまつたく変更はございません。警察官をたくさん動員したかのような御意見でございましたが、特にさような意味で警官をたくさん動員したということもございません。御承知のように今度の陛下の行幸啓は、天皇、皇后おそろいで北海道全土にわたつて行幸啓されたわけであります。特に北海道と、いたしましては、皇后陛下は初めての行啓でありますし、相当道民がたくさん奉迎場にあるいは沿通に集まるというような状況を呈しまして、われわれといたしましてはそれらのために特に老幼婦女子にけが人が出はしないかということを非常に心配をいたしたのであります。盛岡におきましても、あの日はたなばたの日であり、また花火も上る。しかも行幸啓のお道筋はきわめて短いというので、狭いところにたくさん集つて、けが人が出やしないかという点を心配をいたしましたが、それらのけが人の出ないための整理に要する警察官は動員いたしましたけれども、それ以外には何ら方針はかえておりません。御了承願いたいと思います。
  58. 北山愛郎

    ○北山委員 従来と何ら警備方針がかわらなかつたというお話でありますが、これは実際として昭和二十二年でありましたか東北においでになつた際は、私もその実際の状況を拝見したのでありますが、その当時は戦前あるいは戦時中とはまるで違つて、一般の国民と天皇の接触というものをできるだけ自由に許すというようなかつこうであつたのでありますが、今度は盛岡での状況を、私は自分では見ないのでありますけれども、伝え聞くところによりますと、県下の警察の約半数以上を動員して、そうしてこれを並べて非常に警戒が厳重であつたということも言われております。また新聞等によりますると、北海道でこの警護に当つた警察官の延人員というものは二万人に達するということで、婉曲ではありますけれどもいろいろな批判があるわけであります。ですからこの点は長官はこのよう答弁をされておりますけれども、やはり従来とは異なつた相当丁寧な警護がなされておるということは明瞭だと思うのであります。そういう点も私は問題だと思いますが、さらにこれに関連して財政的な方面としてお伺いしたいのですが、実は今度の警察法の三十七条によりまして、天皇、皇族あるいは国務大臣というような方々の警衛、警護というものは国費でもつて支弁するということになつておるわけであります。そこでこういうふうな警備費というものは十分に府県の方へ渡つてつて、その国費の範囲内で警護、警衛ができるということであれで、これはさしつかえないと思うのでありますが、それが十分に行つているかどうか。国費の方の予算はどのくらいあるか。たとえば今度の北海道巡幸の際の警備費というものは、一体国費でもつてどのくらい支弁したか、はたして北海道庁や岩手県等の自治体にその警備費の一部を負担せしめなかつたかどうか、こういう点についてその警備費の予算なり、あるいは使用状況ということを、ひとつ数字的にお答えが願いたいのであります。
  59. 斎藤昇

    斎藤説明員 ただいま昭和二十一年ごろの警備の状況と大分違つておるようだというお話がございましたが、この点主要な御質問の点ではございませんでしたが、私といたしましてはその点は明らかにいたしておきたいと思うのであります。御承知のよう昭和二十一、二年というころは、何と言いますか、非常に無秩序な奉迎の仕方であつた。これもいいと言えば一つの方法だとは思いますが、このために自動車も立往生して、動かないというような状況であり、お迎えしたいと考える人たちも前の方へ行つた力の強い人たちは近くで接触ができたかもしれませんが、もう女、子供というものは顔も見ることができぬというような状況であつて、そうしてけが人等もときどき出る。お召しの車に触れてけがをしかけたという少女も出るとか、そういうような状況で、これはやはりお迎えしたいと思う者がみなお迎えできるようにするというには、やはり秩序正しくなければぐあいが悪いというので、そういつた整理はするようにいたしました。これは二十四、五年から後のことだと思います。従いまして昭和二十一年ごろの様子とは大分かわつております。その点だけははつきり申し上げておきたいと思いまするし、私はその方がかえつて陛下が数多くの人たちに接触のできる機会を与え、またけが人等も起らない方法だ、かように考えております。それからこれらの警護の費用は国費支弁に相なつておりますから、都道府県等には御迷惑をかけないようにいたしたいと思つております。北海道の警護に要しました費用は七、八百万円ではなかつたか、かように考えております。詳しい数字はまだ精算ができておらぬかもしれませんが、精原ができ次第御報告を申し上げたいと思います。
  60. 北山愛郎

    ○北山委員 前の方のお答えなんですが、伝え聞くところによりますれば、私どもはそうじやなくて、北海道の方の公安情報が相当穏やかでないということて、天皇の巡幸がむしろ延期されたというような話さえあるのであります。そういうことが一体あるのかどうか。これもあわせてお伺いしたい。  それからなお今後の警衛あるいは警護につきましても、やはりなるほど終戦後におけるこの巡幸の際の国民のお迎え、歓迎というようなものはあるいは秩序という点においてはどうかと思う点もあつたかもしれませんが、しか上その他の点においては非常なプラスがあつたのでありますからして、そういうプラスの面を殺してしまつて、そうしてまた雲の上に上げてしまうというようなことのないような、そういう警衛方針というものをおとりになる方がいいのじやないか。また大多数の人もそのように希望しておると思いますので、その点をつけ加えて要望しておきます。  それからなお今の経費の点でありますが、たしか第三十七条の第一項にある国費支弁の経費は、いろいろな範囲にわたつておるわけであります。それで犯罪捜査とか、あるいは警備というような点につきましても、いろいろな種類の犯罪の捜査があり、あるいは広汎な警備、警衛というものにわたつておりますので、少しばかりの経費では足りないのではないか、特に日本の総理大臣は国内の旅行があぶないというような昨今の状況でありまして、そのために地方の遊説すら中止をするというようなことで、滞在しているところと東京との間を往復する場合の警衛なども、非常に厳重をきわめておる。そういたしますと、これはしよつちゆうあることでありますから、相当警備費がかかるのではないかと考えるわけでありますが、そういうものが一体どの程度の予算になつておるか、国費支弁のそういう警備関係予算は全体でどのくらいあつて、そうしてそういうものに使われる経費というものはどの程度になつておるか、これは特に数字的にお伺いをしておきたいのであります。
  61. 斎藤昇

    斎藤説明員 北海道の治安があぶないということで、特に警察官をたくさん動員をして強い警備をしたという事実はございません。また北海道の行幸啓につきましては、私ども警察関係といたしましては、いついかなるときでも警備、警衛の上からは心配することなしという報告を、今までずつと聞き続けて来ておつたのであります。それからたとえば総理の警衛等についてどのくらいの金を使用しておるかというお話でありますが、この警衛に要する費用の大部分は、警察官の出張旅費と申しますか、そういうものでありまして、自分の管轄下の警察署内で警衛に従事する場合にはさよう費用もいりません。自動車に使うガソリンとかいうような程度のものであつて、人件費はいらないわけであります。陛下の行幸というふうになりまして、非常に広い地域にわたりますと、警察官を一つの署から他の署へ動員をしなければなりませんから、これに要する旅費、宿泊料というようなものが主たるものに相なるのであります。従いまして総理大臣あるいは大臣、あるいは部内における外国使臣等が参内をされるという際の警衛費というようなものは、特に費用としてはいりませんので、さように御承知を願いたいと思います。
  62. 門司亮

    門司委員 せつかく警視総監に来ていただいておりますので、警視総監にちよつとお聞きをしておきたいと思います。それは警視庁の組織の問題でありまして、警視庁内の組織の問題は法の四十七条で政令の範囲で組織する、自由に条例でできるようになつておりますから法的には私は何もさしつかえないと思います。それから同時に条例でできるものであれば、東京都の条例であると思いまするし、これにも何も干渉する意思は毛頭持つておりません。しかし東京の警視庁の中にはいわゆる予備隊の制度があるわけであります。これは戦争中から、昔あつたいわゆる新選組と称しておつた、あれにひとしいものが実は置いてある。その数は相当数実は持つておるわけでありまして、この警視庁だけにある予備隊制度というものが、往々にしてわれわれの立場から考えるとこれは主として大衆行動に対する取締りに当るように大体考えられる。従つて、かつてはこれが新選組と称しておつたが、あるいは新選組にひとしいような役割りを演ずる一つの警察の実力行使の制度であるということを言つてもさしつかえのない関係を持つておるものと思う。普通の治安というか、犯罪の予防、取締りということとは別な性格を持つた一つの制度だと思う。この制度について総監はどうお考えになつておるか、もしお考え等があるならばこの際伺つておきたい、こう思うのであります。
  63. 江口見登留

    ○江口参考人 警視庁の予備隊制度につきましては、時々いろいろな御批評をいただくのでございます。確かにお話ように、集団暴力行動などあります時分の鎮圧部隊として、そういうときに出勤するということが多いことは御指摘の通りであります。しからばその集団暴力行動というようなものが頻繁に繰返されるならば、引続き今の組織で維持されていいではないか、但しそういう事態が非常に減少するというような場合には、この組織自体について考慮し直してはどうかというような点もしばしば指摘されるのでございます。ことに相当多数の人員を擁しておりまするので、都庁方町におきましては予算の面、財源の面から申しましても考えてはどうかという意見もまま出ております。但し現在の事情から申しまして、ただちにこれをそれでは何百人減らす何千人減らす、どういうふうな組織にかえるという点については、よりより研究中ではございまするが、今全般的にその組織を改編するというような具体案は持つていない次第でございます。
  64. 佐藤親弘

    ○佐藤(親)委員長代理 ちよつとお諮りいたします。後藤財政部長が会議を持つておるそうであります。後藤財政部長に対する質問がなかつたならば……。中井君。
  65. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 警察経費の問題につきましてこの前の委員会でも大分議論がありましたが、結局そのときはまだ調査中ではつきりしておらぬということであつた。ところが本日今までの委員会の経過を承りますると、やはり七十億程度の赤字、年度末まで行くと百億程度になる、こういうことです。そこでどうもそういうことになりますると、この前の警察法改正のときには、結局のところ九十億の節約になる、今年度はかからないけれども、二、三年の間には九十億の節約になるということが、われわれに対する警察制度改正の説明の中の最も大きな原因の一つであつた。原因が大体三つあつて、能率的になる、それから責任のある警察制度になる、第二は経費の節約である、こういうことであつた。これがわずか二箇月か三箇月の間にもろくも崩壊した、このことを簡単に、そうですが、それなら予算を組むというような態度に出る前に、われわれは一つこの締めくくりをしておいてもらわないと困ると思うのです。そこで警察庁長官後藤さんにお尋ねしたいのですが、そういう筋の違つて参りましたことについては、最初からはたしてわかつてつたのか、あるいは皆さんの計算がはなはだずさんきわまるものであつたのか、あるいはまつたく不明のいたすところであつたのか、この点をはつきりしておいてからでないと、私たちはこの審議をさらに進めるというのにはどうもふん切りがつかないような気がいたします。従いましてこの点につきまして長官と後藤財政部長のはつきりとした見解をひとつ伺いたい、かように思います。
  66. 斎藤昇

    斎藤説明員 警察法審議の際に、警察法改正によりまして将来警察職員の減員が行われるということに相なれば、約九十億程度の節減になるということを申しておつたのでありますが、これは今日におきましても何らかわつておりません。三万人減らせば当然九十億あるいは百億近く減ることは当然であります。そして、この減員をするという方針は決して撤回はいたしておりません。ただこのたび府県予算を編成をしてみて、警察費財政需要額が国で考えておつたよりも実際はもう少しよけいいつたということであつたわけであります。その理由はどこにあつたかと申しますと、端的にいえば警察費の実際の需要額を過小に見積つてつたと言うしかないと思います。これはしかし、一時的にいるものを少し少くてよいと考えておつたものもあります。たとえば退職金のようなものですが、思つてつたよりも退職金が実際はよけいいる計算になつて来ておる、あるいは通信費のごときは計算を若干誤つてつた、また自治体警察で実際に給与をこのくらい払つているだろう、従つて調整金はこのくらいで済むだろうと考えておつたのが、案外もつと多かつた、自警時代における警察費の実際の支出の状況が完全に把握されていなかつたという点もあつたと思いますが、しかし、そうだからといつて九十億節約になると言つたのがならないというのではないのでありまして、それは実際の自治体警察において使つてつた金を、若干過小に見ておつたという点もあつたでありましようし、今申しましたような原因から国の財政需要額として見ておつたものが、若干過小であつたのじやなかろうか、今こういう結論になりつつあるわけであります。
  67. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 そういたしますと、この前の説明のときに隠れておつた数字が出て来たというのですか。新しく経費がかかるのじやなくて、隠れておつた数字が出て来た、こういうのですか。
  68. 斎藤昇

    斎藤説明員 見方によりましては隠れておつたものも入る……。
  69. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 そういうことになりますと、今度は自治庁の方に伺いたいのですが、過去何年問隠れておつた数字を、一体どこが補つてつたのか、こういう問額になつて来ます。
  70. 後藤博

    後藤説明員 私どもといたしましては、国警の従来の配付予算を基礎にいたしまして、また自治体の方は自治体の従来の財政規模を通じましてはじいた数字であります。ところが、国警の予算そのものの中で、われわれの方は係が非常に未熟な点からいたしまして、はつきりいたさなかつた点もございますし、過小に見積りをいたした点もございます。それから年度の途中でありまして、決算を見る余裕がなかつたということもございます。そういう点で、私どもの方としても過小の計算をいたしてまことに相済まぬと思つておるのですが、これはどこの責任ということでなくて、三者の共同責任じやないか、私どもももちろん責任はございますが、さように考えておる次第でございます。
  71. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 三者と言われましたが議会は入つてないと思うので、国警と大蔵省自治庁だろうと思いますけれども、隠れた計算違いというか見込違いというか、それが百億もあるというに至つては、どうもこれ以上は何をか言わんやということになつて来るのじやないかと思います。その点をもう少し伺いたい。
  72. 後藤博

    後藤説明員 今百億と申しましたのは、先ほど二回も申し上げましたように、生の数字、つまり現在府県にあります予算と、それからわれわれの基準財政需要額との差額を比較すると、七十億、これを年間に伸ばして行きますと、全部一年間の予算が組んでないところがあります。従つてそういうものを伸ばして行きますと、百億になるのでありまして、やり方によつては、その中に相当余裕がありまして、国が財政措置をやらなければならぬものがどのくらいあるかということは別の問題でありまして、その点はいわゆる精査検討を要すべきものがあるということを申し上げたのでありますから……。
  73. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 どうもはつきりとはしないようでありますが、大体警察経費なんていうものは、昔からどうもそういう傾向が多少あつたのではないかと思います。従いましてそういう済んだことをとやかく言うわけじやありません。しかし私どもといたしましては、十九国会において九十日間もみましたあの三大目標の一つがどつかに行つてしまつた。さつき斎藤さんは九十億の節約ができると言われましたが、しかしその節約の基本をなす、どれくらいかかつてどれだけ出るかという基本は言わなかつたのでありますから、どつかで七十億出さなければならぬということをたびたびやれると私どもは困りますので、この際正確な数字をひとつ出していただきたい。その当時私ども警察ではずいぶん寄付をとつておるだろうという話をいたしましたが、そのときに寄付をとつておるとかないとかいうことでありまして、今考えまして少し苦笑ものでありますが、どうぞひとつこういう機会にこれからはきれいなはつきりとした予算を出していただくようにお願いをしておきます。お願いしてもだめかもしれませんが……。
  74. 佐藤親弘

    ○佐藤(親)委員長代理 西村力弥君。
  75. 西村力弥

    西村(力)委員 先ほど北山君もちよつと言われましたが、天皇の警衛を厳重にするという考え方と違うのか一緒か知りませんが、吉田総理の各方面の警術というものは、実に厳重をきわめておる。去年でしたか、九州に行つたときには六メートルごとに一人の警官を配置した。またこのたびの外遊に際しては五メートルごとに一人の警官を配置した、こう報ぜられておりますが、そうした国内ではまくらの暖まるひまもない吉田総理は、外国へ行つてのうのうと急速しておるように聞いております。またその笑顔はまことに百万ドルの笑顔のように新聞に出ておる。あれだけの警戒をしなければならぬ吉田総理をめぐる治安状況、あれだけやらなければならぬ状態と把握されるのですか。  それからまた吉田総理は大磯その他から参るときにゴー・ストップは一切無視して来るということを聞いておりますが、それは事実ですかどうですか。事実であるとすれば、それを許しておる根拠はどこにあるか、そういう点について御答弁を願いたい。
  76. 斎藤昇

    斎藤説明員 吉田総理御出発の際の警衛でありますが、御指摘のように御出発前には相当身辺に対するいろいろの情報がありまして、警視庁においてある程度警備に意を用いたことは事実であります。しかし五メートルに一人というのはあまり大げさであると思いますが、さような状況であつたのであります。われわれ責任者といたしましては、そういう不法行為のないように事前に防止する責任がありますので、警視庁のとられた措置は私は適当であつた、かように考えております。  なおゴー・ストップを無視して往復するということがございましたが、これは警衛その他の必要によりまして交通整理をやるというような場合には、普通のスピードよりも早くやる。あるいはふだん信号燈のついておるところを信号をやめて手信号でストップしたいで行けるようにするということは、警備交通整理のやり方でありまして、吉田総理に限らずあるいは陛下の行幸の場合でも、あるいは外国使臣が参内されます場合でも、警備の車がついて参ります際はあの赤、青の信号をやめて車がとまらないでずつと行けるという整理をいたす場合があるのであります。これは交通取締法規にも別に違反はしていない、かように考えております。
  77. 西村力弥

    西村(力)委員 そうしますと、日本では警衛を連れておる吉田総理と天皇とそれから外国使臣、そのほか消防自動車とか救急自動車とかが通りますが、それだけはゴー・ストップを守らないでもよろしい、こういうふうに格付されておるわけですね。それはそれとして、私たちはあまりに問題を大きく取上げ過ぎておるのではないか、かように思われるわけであります。それは警察法改正の際に、秘密会で治安状況の説明もいろいろありましたが、その説明を聞きましても、われわれがもうもつともである、言語に絶する治安の緊迫状態であるとはうなずかれない。わざわざ秘密会をやつて説明を聞くまでもない状態であるというぐあいに私は受取つてつたわけですが、ことさらに吉田総理をああいうぐあいにするということは、暗に吉田総理の地位というものを高くする、そういう政治的な意味以外にないのではないか、かように考えるし、また国民全般としてもそういう点は決して親近感を持つてよろしいという気持になれない、特別別個の人間として扱うということには国民は反感を持つておるから、そういう点から言つても警視庁その他治安を守られる皆さんにおいては相当考えられるべきではないか。常時あれだけの警備をやり、常時一般国民が遵守して、ちよつとでも造反するならばひつくくられるとか罰金をとられるというような、そういうゴー・ストップを無視してよろしい状態にしておいていいというのは、決して国民の宰相を扱う道ではないというふうに思います。  次に私が質問をしたいのは、自治体から府県警察に行つた人々の俸給格差は何年ぐらいで解消する予定であるか、その解消するために、この俸給の低い国警におつた人々が自然に昇給して追いつけるまで、それをいたずらにというか、むなしくというか、何もせずに待つておるというようなぐあいにせずに、やはり国警側に行つた人々を特別に昇給させて行く。すなわちその考え方は、自治警において受けておつたあの俸給が警官として当然だ、こういう考え方に立つて財政的にちよつと急にはできないにしても、順序正しく特別措置をせずに昇給するのを待つておるのではなくて、そこには特別の措置をやつて、最も短期間にやる、こういうぐあいにした方がいいのではないかと思う。警察官の職務からいつて、これは一般の官公吏と違つた何らかの調整号俸なんかを考えるべきではないか、そういう意味からいつても特別な措置を講じて、その期間をうんと短縮するような方法をぜひとるべきではないか、かように考えるのですが、長官の御意見をひとつお伺いしたい。
  78. 斎藤昇

    斎藤説明員 府県へ自警、国警を統合いたしましたことに関係をいたしまして、自警において旧国警時代に、旧国警の職員であつた者よりも自警の職員であつた人たちの方が俸給が高かつた。そのための給与差額の給与というもの、なるべく旧国警の職員の給与を早く特別昇給なりの方法によつて高めることによつて解消すべきではないかという、警察官にとつてまことに御同情のある御意見は私は感謝にたえません。われわれといたしましても、同一職場におつて過去の給与体系がどうであつたからということで、この差額給与がいつまでも続くということは、職務の遂行上もきわめておもしろくない事柄でありまして、ただいま仰せのように低かつた者に対しては、特別昇給でもやつて早くそういつた差額をなくしてしまうということは、これは理知的な行き方でありまして、警察法を提案いたしまする際にも、その点は何とかしてというのでいろいろ考えたのでございますが、たださようにいたしますると、どうしても費用がよけいかかるということから、結局やむを得ず差額調整ということで法案の御通過を願つたわけであります。このまま放置をいたしておりますると、自然の昇給によつて差額がなくなるまで解消しないわけでありますが、まあ二年たてば、数においては過半数の差額給与をもらつてつた人たちは、調整を行わなくて、よろしいということに相なると思います。しかし多額の差額給与をもらつている人を解消するというためには、やはり数年をどうしても要する、こう思います。これは数が少うございますが……。しかしそれかといつて旧国警時代の職員の給与をベース・アツプするということは、先ほどから府県財政が非常に困つているという御意見もございましたが、その通りでありまして、われわれといたしまして財源の裏づけがないのに、府県に対して早く給与水準を引上げてもらいたいということを強く要望するわけにも参りませんので、非常に御同情の点はありがたく思うのでございますが、しかし国全体の財政という点も考えますると、やはり法案を提案いたしましたとぎに御説明いたしましたように、自然の昇給によつて差額給与がなくなるまで待つしか道がなかろう、かように考えておるのでございます。
  79. 西村力弥

    西村(力)委員 私は同情や何かでなくて、それは警察官の勤務が朗らかにできるというようなそういう点から言うのですが、それとまつたく逆なような問題でございますが、今府県財政の緊迫状況から、各府県で昇給ストップもしくは昇給をやつても、それを全額府県に寄付とかそういうものが広範に行われておるわけなんです。ところが府県職員、教職員そういう人々のストップはストップされますけれども警察官ははそのままストップされない。地方職員でありながらもそのままストップされないで行く、こういう事態もあるやに聞いておる。そういう行き方は警察官のセクト的なというか、そういう立場からのみ考えればそれでいいでしようけれども府県自治体一般の職員という公平さから行きまして、あまり好ましくないのではないかと思われる。こういう事態を御承知かどうか。そしてまた府県警察のみが他のものがストップされておるにもかかわらず正規の昇給をやつて行く、こういうことに対しては長官としては自分の警察界のわく内の人間ですから言いづらいでしようけれども、高い見地に立つてどういうふうにお考えになられるか承りたい。
  80. 斎藤昇

    斎藤説明員 この点もまことにごもつともな御質問だと存じます。これはしかし府県によつていろいろ事情が違うだろうと存じますが、先般もある県の知事さんがお見えになりまして、いろいろお話を伺つたのでありますが、私もその知事さんの御意見はまことに傾聴に値する、ごもつともだ、かように考えております。それはなるほど府県職員の昇給停止ということは財政上やむを得ざる措置として自分の県としてはやらなければいけない。しかしながら考えてみれば旧国警の職員であつたものは、もし昭和二十三年の警察制度の抜本改革がなかつたならば、府県職員と同じように歩調をそろえて給与水準が上つてつたであろう、それが国家公務員になつたがために、給与の引上げが非常に遅れておつた、自治体警察へ行つた人は給与がそれと無関係に自治体なるがゆえに上つた、今度府県警察へ統合されてみると府県の職員は昇給停止だ、そこでまた府県職員でずつとあつたならば上つたであろうものが、国家公務員であつたがために府県水準まで上つていなかつた。今度府県になつたためにまたもう一ぺんストツプ、これはあまりにも実情に反するじやないか、そういう意味から府県職員の水準が上つていないと認める範囲においては、やはり昇給はストップすべきではないじやなかろうか、公平に考えてそんな気がすると、そんなお話をしておられましたが、私もさようにお考えであることはまことに筋の通つた点でもあるし、ごもつともではなかろうかとかように考えているのであります。過去六箇年間でありましたが、六箇年間給与体系が違つてつたところにおつたがために、給与水準が非常に下つてつたという事実があるならば、警察だけは府県の昇給ストップも例外に置く、こういうことをされましても私は決して公平を欠くものじやなかろうとかように考えております。従つてような考えで府県で御検討を願つて府県の給与水準よりも警察の給与水準が非常に下まわつているという御結論が出ている府県では、さようにおとりはからいを願うことが望ましい、かように考えております。
  81. 門司亮

    門司委員 この際委員長にお伺いしておきますが、小原国家公安委員長出席をきよう実は要求しておつたわけでありますが、いまだにおいでになりませんが、きようおいでになりますか。
  82. 佐藤親弘

    ○佐藤(親)委員長代理 ただいま中井委員長からかわつてお答え申し上げます。     〔佐藤(親)委員長代理退席、委員   長着席〕
  83. 中井一夫

    中井委員長 門司君にお答えをいたします。委員会といたしましては当然出席あるべきものと期待をいたしているのであります。なお承るところによりますと、二時半までは他の会合によつて出席ができないから、その後ならば出席することができるとのお話でありましたので、それから後でもよろしいから出席するようにということを要求いたしておいたのであります。もはや三時半でありますが、いまだに出席がないのでありますが、政府当局におきましてはただいまあらためて大臣の方に連絡いたしに参りましたから、しばらくお待ちを願います。
  84. 門司亮

    門司委員 非常に私遺憾です、今ごろ聞きに行くと言つても二時半に来ることになつてつたのですから非常に遺憾に考えます。これは別にいたしましていずれわかつてからにいたしたいと思います。  この際もう一度警視総監にお聞きをしておきたいことは、仄聞いたしておりますと東京都内におきまする十六か七の朝鮮人の特種の教育を行つております朝鮮人学校の閉鎖が命ぜられるやに聞いておるのであります。このことは教育上から出たものであるか、あるいは治安上の関係から出たものであるか、いわゆる治安上というのは思想上の問題から出たものであるか、その点をひとつお話を願つておきたい。
  85. 江口見登留

    ○江口参考人 ただいまの学校閉鎖の問題でありまするが、私らといたしましては、正式にはまだ何らの相談を受けておりません。また教育上の立場から、あるいは予算上の立場から、この問題を都庁の方で考慮しておることと存じます。最近の機会において、何らかの申入れを学校側にするということを、新聞紙上で私どもつておりまするが、それから後の問題がどういうふうになるかという点については、多少懸念いたしておりまするけれども、あらかじめどうだというような御相談は、ただいま都庁の方からまだ受けておりません。
  86. 門司亮

    門司委員 それではこういうふうに解釈しておいてよろしゆうございますか。実はこの問題は今総監も触れられましたように、この前に、一応こういう問題が諸所であつたのであります。従来完全に朝鮮人だけで経営をいたしておりました学校を日本側に接収をするということは、その当時も相当部分的に問題を起しております。これは私のおります横浜にも、三つばかり学校があるのですが、これも相当問題を起しましたし、大阪等でも相当流血事件もあつたと思います。それで今度もこの問題が、必ずあなたの方に何とか影響を持つことになりはせぬか。いわゆる最後の跡始末は警察がしなければならぬのじやないかと考えられる。従つて今のお話では、何も聞いておらぬというお話でありまするが、ああした学校のあるということが、日本の教育上の問題であるとするならば、これは文部省に聞く以外に私はないと思います。また予算上の問題であるとするなら、東京都の関係で、都知事にでもお伺いしなければならぬと思います。いずれにいたしましても、われわれの考えておることは、少くとも一つの学校を閉鎖しようというものの考え方の中には、やはり単に教育上、予算上というものでなく、同時に教育上と申し上げて参りましても、これはやはり日本の国内の秩序の維持をすることのために、何らか教育上の処置を誤つておる、従つてこのまま放置しておくわけには行かないというわけで、必ずこれは治安に関係のある問題だと私は考える。同時に思想に関係のない問題ではないと考えられる。従つて思想の自由は許されておりまするから、憲法の十九条を踏みにじるわけには、いかなる警察も行かないと思います。しかし御承知のように、内閣には調査室というようなものができ、かつて特審局と同じような性格で仕事をして来ておる。事実上思想の調査が行われておることに間違いはない。こういう状況下において、おそらくこの学校の閉鎖は主たる目的というものは、やはりこの辺に大体問題があるのではないかということが考えられるのでありますが、そういたしますると、表面上は教育上あるいは予算上というようなことが考えられても、実体はやはりひとつの治安関係から来る問題ではないかというように考えられる。もしこれが教育上の問題であるとするなら、全国各所にありまするものを一切これを閉鎖すべきであつて、東京だけ特別の措置を取られるということはおかしいと思う。だから今総監は相談にあずかつておらないというお話ようでございますけれども、どうも私どもは、その辺少しふに落ちないのでございます。事実そうだということであれば、国内の治安と関連いたしまして、やがてこういう学校のあることを、思想上あるいは日本の秩序を維持することのためにいけないのだというようなことであるとするなら、これもやはりわれわれ一つの警察行政の建前から、このまま見のがすわけには行かぬので、よくこれをただしてみなければならぬと思いますが、ほんとうに総監の方には何らの関係はないのですか。もしないといたしましたなら、総監はこれらの学校について、どういうふうにお考えになつておるか、この際簡単に、発表されること、あるいは気づかれておること等がありますなら、ひとつ聞かしておいていただきたいと思います。
  87. 江口見登留

    ○江口参考人 朝鮮の人々に対する教育の根本的な問題に触れるお尋ねがございまして、私からお答えできるかどうか危惧いたしますが、他府県事情は存じませんが、東京都におきましては、朝鮮人学校における教育の内容が都庁の目から見て、あるいは教育委員の目から見て、教育秩序を乱しておるというような見解から、いろいろな警告もしばしば発したようでありますし、また他府県と違つたいろいろな条件もついておつたのではないかと思うのであります。従いましてただいまのお話ように、何か一本の筋からそういう行動がとられるというようなことになるなら、これは全国一斉にそういうことになると思いますけれども、各地方つていろいろ条件が違いますので、あるいはそういう態度に出ない府県もございましようし、あるいは今、お話ように、最近都庁だけはそういう態度に出ようとしておるのでありまして、やはり今申し上げましたように、教育秩序の維持と申しますか、それに対するいろいろな条件違反が行われておるということを非常に遺憾とした都庁側の措置ではないか、かように考えますので、その措置がとられることについて警察側として何ら意見を申し述ぶべき筋でございませんし、あるいはその後の措置については事務的に多少連絡があるかもしれませんが、その態度に出ました後に、はつきりどうしたらいいということの具体案は、警視庁側にはまだ相談はありませんし、われわれとしてもまだそういう点までは考えておりませんので、その点御了承願いたいと思います。
  88. 中井一夫

    中井委員長 門司君にちよつとお諮りいたしますが、ただいまの問題につきましては、実は委員諸君の間から教育委員会を廃止するという問題につきまして、文部大臣の出席を要求されているのであります。これは地方財政問題にも直接関係いたしますし、一般行政に関係することはもとよりであります。従つて明日以後の機会に、文部大臣の出席を求めたいと考えております。その折に、もしこの問題を検討せんとせられるならば、あるいは東京都の関係者、教育委員会の人々を呼ぶというようなことにでもいたし、審議を進められたらいかがかと思いますがいかがでしよう警察の問題としては関係なしというわけではございませんが、しかし一応はほど遠いものがあるのではないかと思われます。それゆえまず根本を教育の関係者から明らかにされることが必要ではないかと思うのであります。
  89. 門司亮

    門司委員 けつこうです。小原さんは来ますか。
  90. 中井一夫

    中井委員長 ただいま小原警察大臣の出席せられるやいなやを確かめましたところ、本日は二時半後といえども出席はむずかしいとの返事でありました。従つてもし御要求があるならば、日を改めて出席を求めることにいたしたいと思います。
  91. 門司亮

    門司委員 それはやむを得ませんから、ひとつぜひ日を改めて適当な機会に呼んでもらいたいと思います。警察関係の問題につきましては、警察庁の長官がおいでになつておりますから、大体いいとは思いますが、しかし今度の場合は少くともやはり公安委員長制度のかわつた後における初めての会議でもありますし、ぜひひとつ公安委員長に来ていただいて、警察法改正後の国内の治安状況等ついてもわれわれ承りたいと思いますので、ひとつぜひ公安委員長出席を願いますように、委員長からおとりはからいを願います。
  92. 中井一夫

    中井委員長 了承いたしました。
  93. 藤田義光

    藤田委員 委員長にまずお伺いしますが、ここに見えております江口警視総監の本日出席されました身分は、どういうふうに解釈されておりますか。今後随時警視総監に当委員会に出ていただく必要がありますので、この身分の問題はきわめて重大でありますからお伺いしておきます。
  94. 中井一夫

    中井委員長 藤田君にお答えをいたします。警視総監の身分は申し上げるまでもなく地方警察本部長と同じ資格であるべきものでございます。国家公務員としてその立場を持つものであります。従いまして、本委員会としては参考人として出席を求めるというのが相当のことであると存ずるのであります。
  95. 藤田義光

    藤田委員 私は不幸にして委員長と見解を異にします。これは給与関係、身分関係すべて国家公務員であります。特に東京警視総監の地位というものは別個の法律規定もあります。従いまして、本日は当然説明員として出席されて、おる。政府委員ならば衆議院議長に対しましてその手続が必要であります。私は警視総監の出席をなるべく遠慮させようというような、議員みずからが自分の手足を縛るような審議の先例をつくるというようなことからの先例をつくるというようなことから参考人という身分を与えられることには絶対反対であります。非常に重大な問題でありますから、参考人として手続されたならば、いつどういうふうに手続をされたかお示し願いたい。私は政府委員ではないが説明員である、かように考えます。
  96. 中井一夫

    中井委員長 政府委員としての出席国会が終りました後でありますので、その指名もございませんでしたから、政府委員として呼ぶことはできないのであります。しかし参考人として呼ぶことが適当であつたのでありますが、その点につきましては参考人として召喚するの手続をいたさないままでありましたことを、ただいま発見いたしました。これはまことに委員長の手抜かりであります。ただしかし実際の問題といたしましては、皆さんの大体御了承を得て、そうして参考人として出ておるものとして取扱つて来たのでありますが、ただいま藤田さんから正式に手続をとつたかと言われますと、この際念のためにあらためて皆さんの御意見を承つて参考人として呼ぶということにいたしますならば、将来事穏やかに済むのではないかと存ずるわけであります。右様の次第でありますから、どうか江口警視総監を参考人として呼ぶということにつき、御同意あらんことを望みます。御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  97. 中井一夫

    中井委員長 異議なしと認めましたから、さように決定をいたしました。
  98. 藤田義光

    藤田委員 ただいまの委員長の御発言、まことに苦衷お察しいたします。それでそれは本日だけの例としてわれわれも了承いたしまして質問を続けて行きたいと思います。  警察総監は本日がたしか当委員会には初めての御出席と了承しますが、この法の盲点と申しますか、今回の改正法案には、御存じの通り関東管区警察局というのがございます。これとの関連は警察通信だけになつておりますが、現実の運営におきましては、東京都を除く各県との治安上の関連は非常に深刻であります。どういうふうな連絡調整をやつておられるのか、まず改正法の一つの盲点になつている点でありますので、お伺いしておきます。
  99. 江口見登留

    ○江口参考人 ただいまの御質問でございますが、確かに通信関係だけが都の通信部として別になつておるのでありますが、それでは他の警察との関係をどういうように連絡をしておるのかというお話がございましたが、随時個個の事件につきましては、刑事面あるいは経理面につきましていろいろ連絡をとつておることは従来とかわりはございません。特に新警察法の施行後においてどういう点が非常にかわつたかという点につきましては、特にかわつた点を私は認めないものでございますが、ただ通信関係が非常に迅速になつたということは言えるかと思います。それからまた今までと違いまして、地方警察から警察庁に対する連絡ということも、今までよりはあるいは頻繁になつておるのではないか、これは警察庁でなければわかりませんが、そうするとそれによつて地方との連絡や、またそれぞれの指令が流れるということは、従前よりはスムーズになつて行きつつあるのではないか、こういうふうに私としては考えております。
  100. 藤田義光

    藤田委員 ただいまの答弁からわれわれが懸念する一つの問題が出て来るわけであります。警察は申すまでもなく権力行政であります。従いましてチエツク・バランスの原則を守らないと非常な危険性を伴う行政であります。警察庁との連絡が緊密になつたことは、まことにけつこうでありますが、都の公安委員改の同意を得て、総理大臣の承認を得てあなたが任命されておる。従いまして総理大臣あるいは国家公安委員会と都の公安委員会との両方に気持を配りながら、警視庁の警察行政を運営しなければならぬ、非常にむずかしい立場にあるのではないかと思う。これは法律の規定はとにかくとしまして、関東管区警察関係とも現実には従来通りつていると言われますあなたが、警察庁関係だけは、従来の国警本部と警視庁の関係とかわつておることは認められております。そしてあなたの就任のあいさつに民主警察をあくまでも守るということを言つております。しかし往々世間はあなたが吉田内閣の官房副長官であつたので、吉田の番頭だ、どうもへんぱな警察行政をやられやしないかという危惧の念があるのは当然であります。従いましてあなたにお伺いしますが、あなたは都の公安委員会あるいは国家公安委員会とどういうふうな連絡をされておるのか、たとえば一週に何回都の公安委員会にこういうことをしているとか、決済に関しましてはこういう了解を得ておるとか、国家公安委員会ないしけ警察庁にはこういう連絡をやつておるとか、定期的なものもきめられているのではないかと思いますが、お伺いしておきたいと思います。
  101. 江口見登留

    ○江口参考人 ただいまのお話通り警視総監の任命につきましては、手締上は総理大臣の承認あるいは国家公安委員会の任命、都の公安委員会の承諾、そういうものがかかわつておるわけでありますが、警視総監としましてはそれは任命する際の手続でございまするし、またそれを罷免する際の手続でございまして、任命されました後にはやはり知事の管理する都の公安委員会から警察の運営というようなものをまかされておるというわけでございますので、私といたしましては都の公安委員会とはきわめて密接な連繋を保つようにいたして行きたい。先ほどお託がありましたように、できるだけ警察は民主的に運営すべきものだと考えておりますので、都の公安委員会とは常時—と申しましても、現実に公安委員の方たちと面接をしますのは一週間に一度でございますが、そのほか書類上の連絡等によりましてできるだけ密接にその間を保つて行きたい、かように考えております。国家公安委員会に対する関係といたしましては、私としては任免、罷免の関係があるだけでありまして、それ以外には常時警察事項についての連絡というようなことを、警視総監から直接する必要はないと考えております。いまだ一度も国家公安委員会に私出席したこともなければ、警察事項について連絡申し上げたこともございません。また総理大臣の承認がいるというお話でございますが、別に直接私から総理に対して警察事項について連絡するほどの大きな問題は一度もございません。その他の用事で一、二度総理府の建物をくぐつたことはございますが、常時連絡をするということはやつておりませんので、その点御懸念のないようにしていただきたいと思います。
  102. 藤田義光

    藤田委員 警察に関する都条例等は、今回の警察法改正機会に何か再検討されましたかどうですか。そのまま受継がれておりますかどうですか。
  103. 江口見登留

    ○江口参考人 新しい警視庁の発足に伴いまするいろいろの設置的な、あるいは給与的な、手続的な条例は、私の新任される前に六月三十日の都議会で手がつけられたように聞いております。それ以後におきまして治安関係に関するいろいろな条例に手を触れたかというお話でございますが、いろいろ目下勉強中でございまして、今のところそれらの条例について改正を持ち出そうとか、あるいは改正をしたとかいうようなことはございません。
  104. 藤田義光

    藤田委員 次にお伺いしたいのは、東京都下の従来の国家地方警察の合同に伴いまして、何か総監からお話を伺つていい問題——財政上の問題、人事上の問題等に関しまして、当委員会として拝聴した方がいいというようなことがありましたら、ひとつお示し願いたいと思います。
  105. 江口見登留

    ○江口参考人 特に、国会と申しますか、地方行政委員会お話申し上げておいた方がいいということはないように思つております。
  106. 藤田義光

    藤田委員 本日の質問は簡単でありますし、答弁もきわめて簡単でありますが、今後具体的な問題が生じた場合の有力な速記録としてわれわれは参考にしておきたいために、項目だけ簡単にお伺いしておるのであります。先ほど西村君から質問がありました総理の警衛、警備の問題、特に先般の洋行に関する警衛態勢というものは当然、その管轄区域とする関係からいたしましても、江口総監が立案されて命令された、かように考えてよろしゆうございますか。
  107. 江口見登留

    ○江口参考人 そういう際の警護の仕方等につきましては従来の例が多々あるのでありまして、特にそれに対してどういう点を考慮に加えたかと申しますと、先ほど斎藤長官からもお話がありましたように、総理の出発以前にはいろいろな風評が飛びまして、それらに対して万全の措置をとつておく必要がわれわれ法律上あるということで、多少従来より以上に配意した点はございますが、そういう外遊と申しますか、外国出張を阻止するような具体的な風評がなければ、あるいはそういう情勢がなければ、あるいはあれよりはもう少し簡単にやれたかとも思いますが、その時折の情勢によりまして警護の仕方もかわると考えておりますし、それほど著しい、手厚い警護をしたというふうには考えておりません。
  108. 藤田義光

    藤田委員 非常警備に関しましては一つの基準ができておりますが、ああいう現実の問題に関しまして新聞報道、あるいは現地の目撃者の談によれば、目黒の総理官邸の前は見送りの人よりも警視庁の警察官の方が数が多かつた。こういう非常識な警備をして一国の代表として外国に送り出すということはまことに醜態であります。これは前例があると言われるが——北山君の質問もありましたけれども、どうも両陛下の北海道行幸とはけた違いな厳重な警備をやつた。民主国家の総理大臣が外遊するに際しましての警備としては非常に非常識ではないか。地方財政の苦しい際にそれほどまでして警備する必要がどこにあるか。警察庁長官答弁とあなたの答弁は今一致しております。いろいろな風評があつたと言うが、この際どういう風評があつたか、簡単でけつこうでありますからお示し願いたい。
  109. 江口見登留

    ○江口参考人 あるいは沿道に飛び出す者がありはしないかとか、あるいは思想的背景を持つた行動が行われはしないだろうか、そういう風評が間々ございましたので、それについて万全の策をとるために、多少従前とは違つた警護方法を行つた次第であります。
  110. 藤田義光

    藤田委員 まことに児戯に類するような風評に基いて非常な警備をされた。どういうルートを通じてそういう風評を聞かれたのか。日本の首府の警察の最高責任者が単なる巷間の風評で、ああいう非常識な警備をするというとはけしからぬ。風評でなくして、現実の動きがあつたのではないか。正直に言つていただけば私は納得するのでありますが、どうもちまたの風評で、ああいう警備をやつたというのでは国会の速記録を汚すことになりやしないかと思いますから、いま一度なるべく具体的にお示し願いたいと思います。
  111. 斎藤昇

    斎藤説明員 児戯に類する風評とおつしやいましたが、しかしあの当時のいろいろな政治情勢その他から考えまして、総理を暗殺するのだといつて総理の屋敷の辺を徘徊をいたしたり、あるいは脅迫状のようなものを送つたり、それが相当あつたことは御承知の通りであります。これらについてはそれぞれあるいは逮捕をしたり、あるいは捜査中のものもございますが、そういつた事柄と、あの前、数目と申しますか、十数日、数十日といいますか、いろいろの情勢から考えまして、あの程度の警備は当然だ、もし誤つて万一にも拳銃を発射するとか、あるいは手榴弾を投げるというような者ができて、何ら警備していなかつたということであれば、これは警察の大きな手落ちである、私はかように考えるのであります。
  112. 藤田義光

    藤田委員 私は警視総監の答弁を求めております。総監の答弁あとで、警察長官に御答弁を願います。警視総監の直接の責任ある答弁を願います。
  113. 江口見登留

    ○江口参考人 ただいま長官からもお話がありましたように、二、三日前には短刀をふところにして、総理の外遊を阻止するのだというような、そういう事例もございますし、また先ほどどういう筋から得た情報かと申されましたが、情報の筋は申し上げられません。われわれも相当多数の警察官を動かすわけでありますから、根拠のない児戯に類するような風評をもとにして動かすというようなことはいたしません。相当調べてみる価値があるという情報だけをキャッチいたしまして、それに対する措置をとつたわけであります。
  114. 斎藤昇

    斎藤説明員 私が江口総監の前に申し上げましたのも、ただ警視庁の管内におけるいろいろなことだけでなく、全国的にそういつた情報がある。全国的な動きもなかつたわけではありません。全国を見渡しましてかような状況であつた、そういう事柄を特に警視庁にこれこれかくかくの事柄があるということで伝達いたしておつたわけであります。さよう責任上私は申し上げた次第であります。
  115. 西村力弥

    西村(力)委員 それを申しますと、あれだけの警備をやつた結果、事態が未発に終つた、こういうぐあいに思つておられるか。枯尾花におののいた、こういうぐあいに今お考えになつていらつしやるか。当初先行きはわからないものであるから、非常に情報を重大視してやつたが、その結果はやはり割合に誇大視したと考えられるか、あれだけの警備をやつたからこそ事故なくできたんだ、こういう具合に反省せられるか、どうですか。
  116. 中井一夫

    中井委員長 警視総監に答弁を求められますか、長官に答弁を求められますか。
  117. 西村力弥

    西村(力)委員 私はどちらでもいい、責任者答弁するのが当然じやないかと思う。
  118. 斎藤昇

    斎藤説明員 私はあの程度の警備をしなかつたならば、必ず出たであろうというところまではつきりは申し上げられませんが、警備が手薄かつたならば、少くともじやま程度のものは出たであろう、かように考えます。場合によれば、あるいは暗殺をしようというので飛び出した者もあつたかもしれない、かように考えます。
  119. 西村力弥

    西村(力)委員 私はそういうぐあいに反省されることに対しては、非常に危険を感ずる。警察の立場だけが重要視されて来る、あるいは警察の任務が非常に重要なものに、自己陶酔というか、そういうぐあいに治安の問題をことさらに大きくしてやつて行くのじやないか、かように思われるのです。ああいう場合警備することは当然であるにしても、これを最小限にとどめるという努力こそ、ほんとうの警察のあり方ではないか。民主主義を守るというような、そういう大方針を持つておるとするならば、そういう方針が一番大事じやないか。ところが今仰せられるように、ああやつたからこそ未然に防ぎ得たのだ、こういうようなぐあいにあまりに警察のやり方を弁護し、警察の地位というものを大きくして行くようなぐあいだけの取締りというのをその基本方針とされておる、かように思えてならない。そういう点は考え方としては改めてしかるべきではないか、私はかように思うのでございます。警察はそういう警護なんかを最小限にとどめてやつて行くという方針をとつて、初めて日本の国が危険な状態に行かない、民主主義の基本線が守れる、かように考えるわけなんです。そういう考えに対する長官の御見解を承りたい。
  120. 斎藤昇

    斎藤説明員 警護のごときは最小限に考えるという点は、私もまつたく同感でございます。さような場合に警察官をむやみに使うべきではないのであります。最小限度にすべきだと私は考えます。江口警視総監も同感であろうと存じますし、私といたしましても、相当大げさであつたと申されますが、あの当時の状況といたしましては、あの程度が最小限だと考えます。
  121. 西村力弥

    西村(力)委員 今の御答弁、私の思うところでございましてたいへんけつこうでございますが、ただあれが最小限度と考えるのはどうかと思うのです。一般常識がそれを許さないのじやないか。それと同時に、各方面でいろいろ軍事基地の問題なんかでトラブルが起きておる。ところがそういう場合にその所轄の警察署の警備係が、連日その軍事基地反対をやつている農家の一々に対して、いろいろな威圧を加えておるという事実がある。なぜ来るのかと言うと、私たちは何も干渉する意思はないのだ、しかしながら不測の事態が発生することをおそれるから、われわれは来ておるのだ。実はあの善良なる農民たちはそのために非常な威圧を感じて、自分たちの耕作権を守る闘いなんかも、そういうために次第々々に鈍つて来る。農民の土地を守る当然な、切実な要求が、そういう警察官が毎日意味もなく各戸を訪問するということからゆがめられて行つている。だんだんと各方面から脱落者が出始めている。こういうことになつて来る。そういう事例がたくさんあるのでございます。これは決して最小限なんとは言えない。意識的な妨害であり、警察官の権能を次第々々に拡大して行く。こういうぐあいに思われるが、ああいう点はひとつ十分なる指示を与えてもらいたい。御希望申し上げておく次第であります。
  122. 中井一夫

    中井委員長 実はこの際皆さんにお諮りいたしますが、なお警察の問題につきましては御質疑も残されておると思うのであります。それゆえ明日より続行されます委員会におきまして、警察の問題についてはなお質疑を留保せられるものとして、機会を見て警察の質問を進める、こういうことにいたしてよろしゆうございますか。まず、ただいまのお諮りにつき、意見を承ります。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  123. 中井一夫

    中井委員長 異議なしと認め、さように決しました。——藤田君。
  124. 藤田義光

    藤田委員 これは国権の最高機関たる地方行政委員会でありますから、私は警視総監の答弁中に非常に不安な、危険なものを感じますから、この際委員長の注意を喚起すると同時に、次回の委員会においてこの点詳細にきわめたいと思いますが、それはどういう風評に基いてあの警備をやつたかという質問に対しまして、情報のルート等は言えないということを言われております。よく速記録を調べますが、私はここでは自由、率直に真相を明らかにすることが、警視庁の行動を正当づける一番有力な武器であると思う。国民の代表が集まつておりますから、三権分立という声もありましたが、私は国会法四十二条の規定から国政調査ということは、地方行政立法の上に存する国会の固有の権能であります。従いまして風評、情報の系統すら言えないというよう答弁をされるところに、私は戦争中ここに新聞記者として傍聴しておつた当時と同じような感覚の答弁を感じます。これは党にも相談する問題でありますが、情勢によつては証人として出ていただきまして、もしそれが職務上の秘密であるかどうかということがはつきりすれば納得いたしますが、そうでなければ、ただいまの御答弁は将来警視総監が再三ここに出て来られて答弁される場合に有力な逃げ口上ができる危険がありますので、委員長の御反省をお願いすると同時に、速記録をあとで調べていただきまして、ひとつ今後かよう答弁をされないよう委員長としても善処していただきたいということをお願いいたしまして、本日は私の質問を終つておきます。
  125. 中井一夫

  126. 大石ヨシエ

    ○大石委員 江口総監にお尋ねいたしますが、私はあなたはちよつと見まして、前の田中さんよりは非常に人格者だと思います。それで私あなたに質問をしたいのは、先日暴力団狩りをなさいました。その結果はいかようでございましたか。それを、まずお聞きしたい。今後またそういうことをなさいますでしようか。
  127. 江口見登留

    ○江口説明員 九月三十日の朝一斉手入れをいたしまして、いわゆる暴力団と称せられるところの幹部と申しますか主要な者につきまして、百数十名を検挙いたしました。その後調査の結果さらに多数の者を検挙いたしまして、目下取調中でございます。まだその詳細は申し上げる段階にまで至つておりませんが、できるだけすみやかにこれを送検するように運びたい、かように考えております。  それから二番目ののお尋ねの、今後もそういうことをやるかというお尋ねでございますが、私はいわゆる暴力団をなくすためには、常時手入れをしなければなかなかなくならないものと考えております。結局警察と暴力団とのおつかけごつこをしておるようなことになるかと思います。今後とも常時—と申しましても、定例的にやるということではまた警戒されますので、できるだけその点の措置は万全を尽くし、今後とも十分に取締りを進めて行きたい、かように考えております。新聞の伝うるところによりますと、過去長い問に暴力団狩りをやらなかつたというようなことを書いてあるものもございますが、決してそうではないのでありまして、今回のように一斉に内査を進めて手入れをしたということは数年ぶりかもしれませんが、個々の事件が起りますたびに、やはり暴力団の根元をつくというようなことをやつておりますので、今後も引続きこの方面には力を尽して行きたい、かように考えております。
  128. 大石ヨシエ

    ○大石委員 それから私婦人の立場から伺いますが、あなたは赤線区域に対して、どういうふうな考え方を持つていらつしやいますか。それから赤線区域と違つて、いわゆる山谷におるようなあの街頭の女、それをどういうふうに区別をなさつておりますか。それから。パンパンというものに対してどういうふうな考え方を持つていらつしやいますか、この三点をお伺いしたいと思います。
  129. 江口見登留

    ○江口参考人 御質問の点につきましては、ただいま勉強中でございまして、詳細を承知いたしておりません。私総理府にありまする売春問題対策協議会の委員にも、警視総監になりまして任命されまして、その会合にも一回呼び出されたのでありますが、そのためにも目下いろいろ資料を取寄せて勉強中でございます。簡単に申しまするならば、いろいろ種類があるようでございますが、そのうち最も社会悪というか、弊害の多いと思われる点から、重点的に取締つて行きたい、かように考えておりますし、問題は、ただ表面に現われた事象だけでなかなか論ぜられない点が多々ございまして、いろいろな社会問題、あるいは防貧問題、そういうような点からも原因を持つておる複雑な問題でございますので、これらに対して措置いたしますためには、十分な研究を積んでからでないと軽々しくやれない、かように考えております。
  130. 大石ヨシエ

    ○大石委員 しからば芸者がまくら金をとつた場合、これは売春にならぬのですか、なるのですか、あなたの見解はどうですか。同じことじやありませんか。秀駒が何とかいう代議士に三百万円でどうしたというたつて、やはり売春の行為です。それをあなたはどういうふうな見解ですか。山谷におるおなごは弱いがゆえに検挙して、そうして待合で楽してもうけて旦那をとるのは、これは売春婦とあなたはお思いになるかどうですか、この見解を聞かしてください。
  131. 江口見登留

    ○江口参考人 売春行為というのはどういうものを言うかという定義づけからの問題だと思いますが、いわゆる芸者と申しますか、そういうようなものが同様の態様をとつた場合に、売春か売春でないかという問題につきましては、売春なら売春ということの資料と申しますか、その裏づけが必要でございます。芸者の場合にはその裏づけがなかなか出て来ない、非常にむずかしいということを聞いておりますので、もしその裏づけができますならば、たとえ芸者という名称を持つていても、そういう行為は売春になる、かように考えます。
  132. 中井一夫

    中井委員長 本日は一応この程度で審議を終了いたします。先ほども申し上げましたように、警察の問題につきましてはなお多々御質疑の御希望もございますから、適当な時期を見て、あらためてこれを進めることにいたします。     —————————————
  133. 中井一夫

    中井委員長 なおこの際理事補欠選任についてお諮りいたします。すなわち委員異動に伴い理事が欠員となつておりますので、その補欠選任を行いたいと思います。これは投票の手続を省略いたしまして、委員長より指名するに御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  134. 中井一夫

    中井委員長 御異議なしと認め、理事熊谷憲一君、西村力弥君及び門司亮君お三方に煩わしたいと存じます。本日はこれをもつて散会いたします。     午後四時二十六分散会