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1954-07-24 第19回国会 衆議院 地方行政委員会 第75号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年七月二十四日(土曜日)     午前十一時三十三分開議  出席委員    委員長 中井 一夫君    理事 加藤 精三君 理事 佐藤 親弘君    理事 西村 力弥君 理事 門司  亮君       宮原幸三郎君    藤田 義光君       石村 英雄君    北山 愛郎君       佐藤觀次郎君    伊瀬幸太郎君       大矢 省三君    中井徳次郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣 塚田十一郎君  委員外出席者         自治庁次長   鈴木 俊一君         総理府事務官         (自治庁行政部         長)      小林与三次君         総理府事務官         (自治庁税務部         長)      奥野 誠亮君         専  門  員 有松  昇君         専  門  員 長橋 茂男君     ————————————— 七月二十四日  委員阿部五郎君辞任につき、その補欠として佐  藤觀次郎君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  町村合併に関する件     —————————————
  2. 中井一夫

    中井委員長 これより委理会を開会いたします。  本日は町村合併に関する問題につきまして調査を進めることといたします。まず政府より、その後今日に至りまするまでの町村合併促進状況につきまして説明を聴取いたしたいと存じます。小林行政部長
  3. 小林与三次

    小林説明員 私よりその後の状況を御説明申し上げます。  まずお手元にお配りいたしました資料中心にして申し上げたいと思います。実はまだ印刷中で時間に間に合わなかつたものもありますので、今お配りしました順序で御説明申し上げます。  第一番に町村合併基本計画に対する合併進捗状況、こういう一枚刷りの紙がございますが、これをごらん願いますと、二十八年度、ことしの四月一日現在における合併計画合併による減少町村の、計画と実際の状況をまず表わし、その次にことしの七月一日現在における状況と、それを二十八年度と今年七月一日までに至ります総集計を表わした表をここにつけておきました。二十八年度中の問題はもうすでに御案内の通りでございますが、この一番下の欄を、ごらん願いますと、全計画の一五%を達成するという計画に対しまして、実際の実績が一七%に達しておつたのであります。その実際の減少町村が千六十、それに加えまして七月一日まで、今年度の計画は全計画の六五%でございますが、四、五、六の間に三百五十八の町村減少いたしましてそれの九%に及ぶのでございます。それを集計いたしますと七月一日までに千四百十八町村減少いたしまして、全計画、二十八年度と二十九年度の計画を集計いたしますと八〇%になりますが、それに対する割合からいたしますと、二八%という計画になつておるのでございます。二十九年度に至りましてこの数箇月の状況は、かりに八〇%を月別の計算に直しますと少し低調である。数字的にはそういう計算になりますが、これは合併には御承知通り一つの山がありまして、ある期を選んでやるというかつこうが多い。四月一日を選んでやるのが相当多かつたものですから、五月、六月、七月は数字から言えばやや少いような状況でございます。それでも毎月直ないし百五十の町村減少を見つつあるのでございます。大体数学的に申しますとこういう計算になつております。それでわれわれといたしましては、まずこの合併計画的にやることが一番大事だというので、全県下を通ずる合併計画を合理的に、すみやかに調製するということを、かねて促進法の精神から申しましても各県に対して相当迫つたのでありますが、その都道府県町村合併計画概況を二枚刷りの表に現わしてお配りいたしてございます。これによりますと、全国的に申しますと、報告集まつたものだけ一応集計いたしたのでありますが、合併計画が一応つくられて発表されて進められつつあるもの、これは本式に自治法促進法の定むる手続によつて決定いたしたものもあります。そうでなしに、審議会審議を経て発表をしあるいは進めつつある、こういう段階のものなどもありますが、要するに一応県の段階において案がつくられましてそれが公表され、それを中心合併が事実上進みつつある、そういう意味資料を集めたのでございます。ここにあります県全部で二十八県ありますが、この二十八府県から集まつ計画基礎にいたしまして、大体その計画においては合併後の町村数減少町村数がどうなつておるか、そういう関係を一枚目の紙に表わしておいたのでございます。これは、ごらん通り全国を集計いたしますと減少率が大体七二%、最初の政府のきめました基本計画で三分の一という考えでございましたが、各県における計画を見ますとそれよりも上まわつてやや規模が大きい合併計画され、またそれが進められつつあるというのが、状況でございます。それでこの二十八府県計画の総計で、減少町村が四千二百六十という数字になつております。これは政府の三分の一計画から見ますと四百ほど多い数字でございます。大体今案をつくりつつある他の府県におきましても、おおむねこうした趨勢で計画を進めつつあるという、かうにわれわれは了解いたしているのでございます。  それからその計画におきまする平均人口平均面積人口密度というものを二枚目の表において一応集計しておきました。それによりますと、人口の面におきましては合併前の平均でまず四千四、五百のところが、合併計画によります合併後の案では、大体一万五千という数字になつております。面積は二十四平方キロが八十四平方キロという状況が各県における計画の概要でございます。ただこれは県によりまして地勢とかその他の状況がありますので、多少計画がスケールの大きいのとやや規模の小さいのとありますが、これはそれぞれの事情に応じて審議会その他で研究の結果、大体案が進んでいるものと存ぜられるのでありまして、特にそれぞれの状況に応じて合併計画を立てられてしかるべきものとわれわれは考えております。  それからいま一つの表に町村合併実態表、これはまだ十分な調査では、ございませんが、七月一日までに合併のあつた町村合併実績——実際どういう扱いになつているかという実情調べ資料をわれわれの方でまとめつつあるのでありますが、これは正直に申しまして、全部の資料がまだまとまつておりません。七月一日までの合併件数が五百五十八件ございますが、そのうち三百九件——半分よりちよつと多いのですが、その程度の資料基礎にして一応まとめたものでございます。まとめ方も、正直に申しまして少し不十分なところがありまして、もう少し精査検討しなければならない点が多いのでございますが、急激につくり上げましたので、大体の概況だけを御了解願いたいという気持でお配りいたしたのでございます。  第一は人口に関する調べでございまして人口が今までの既存の合併で八千未満の新しい町村人口を押えてありますが、八千未満合併関係町村が七十で、合併町村数が二十六、こういう数字が出ているのでございます。それから八千から一万の段階が三十四、一万から一万五千が五十、一万五千から二万が二十七、二万ないし三万が二十九、三万以上が百四十三、これは市町村全部ひつくるめて書いでございます。合併町村数と書いてありますが、これは少し表現がよくないので、市も入れて御承知おきを願いたいのでございます。そういたしますと、三万以上なのは、百を越える市の設置がありますので、それは市が大半でございます。それから町村相互間における合併では、一万ないし一万五千の件数が一番多い、こういう数字になつているわけでございます。八千未満のものは、これは地勢その他の関係でどうしても八千を越しがたいというので、やむを得ずこういう形で合併が進められつつあるのが多いのでございます。  それから面積実績調べてみますと、五平方キロ未満の小さい町村もありますが、二十平方キロから五十平方キロが九十二、五十平方キロから百平方キロが百八とそれぞれの数字が出ております。百平方キロ以上が八十四でございます。これはいずれも山林地が入つた数字でございまして、ほんとうの面積ならば、人間の可住地帯と申しますか、活動可能な平地地帯中心計算しなければ正確な面積が出て来ないのでございますが、実際問題としてはそうした数字はきわめて言いにくいので、総面積で一応の数字を出したのでございます。  それから議員任期定数に関する調べでございまして、御承知通り促進法特例を設けておりますが、そこで議員数がいかにも多いじやないかという御批判もありますが、特例を設けているもの、いないものの実際を調べたのてございます。そうすると、町村件数三百九のうち、特例によらないものが百ございます。三分の一は原則通りつておるのでございます。それでありますから、少くとも原則通りつておる町村におきましては、議員の数が——大体これは概数でございますが、三千七、八百人の数は減つた計算になつております。定数通り、やれば、大体四箇村合併といたしまして、総数からいつて三千七、八百人の議員定数減員になつているはずでございます。それから任期延長したものを見ましても、ここにあります六月未満の期間を限つて延長しておるものもあるのでございます。それから、六月から一年ぎりぎり一ぱい延長しているものもあります。そういうので六月未満が七つと、六月から一年のものは百五十二、こういう数字が出ているわけでございます。  それからあとはこまかい数字でありますから申し上げませんが、もう一つの問題は、任期をそのまま延長したものと、九条二項のもの——これは新たに議員を改選しますが、議員定数は特に条例で増加できるという規定を適用したものが九条二項の問題でありますが、これは九件と百五件で、数はそれほどありません。通常の特例はそのまま任期延長するという形をとつているのでございます。しかしこれも一年こつきりの問題でございますから、かりに三百九の調査町村全部につきまして一年後のことを考えますと、一年後ではわれわれの計算概数では一万千人を越す議員数減員になる、こういう数字を得ているのでございます。それで現実のその議員の数はどういうふうな状況になつているかというのが横の定数でございまして、これによりますと、法律に定める定数のものと、それからそれ以上のもので二十人から三十人、三十人から五十人、五十人から百人、百人以上、こういう段階にわけて町村数を押えてあります。ごらん通り百人以上の議員を現においている市町村は三十五ある、これはみな市でございます。町村にはこういうものはありませんが、市では百人以上のものは三十五ありまして、一番多いのはどこかと申しますと、熊本の五名市でございまして、これは十二箇町村合併したせいもありますが百八十四、きわめて正直な話でございますが、それが一番多いのでございます。  それから四番目は支所財産区及び選挙区等に関する調べでございます。支所はかなり設けておりますが、全部設けているわけでもありません。設けていないものも実はあるのでございます。これは数字の書き方がちよつと正確を欠くのでありますが、全然支所を設けておらぬものが三十一、一割は設けておりません。あと支所を設けているのでございますが、支所を設けておりましても、たいてい職員数は半分ないし三分の一くらいに減らしておりまして、本所の方に大体統合しているのが実情でございます。それから従来の合併したモデル町村などの実情を見ましても、とりあえず支所は置いているが、一年たち二年たつに従つて逐次整理してしまうというような状況でございまして、合併前はいかにも役場が遠くへ行くとかなわぬという気持はありますが、実際やつてみると、合併後は気持もかわるというので、特別の地勢上遠いところは別として、逐次廃止の大勢を期待できるというふうに存じているのでございます。  それから財産区の状況でございますが、財産区を設けたものが八十一件ございます。これは合併促進法なり自治法なりの改正で、公有林野を設けておるものにつきましては、財産区の設置を容易ならしめることにいたしてありますので、その規定がずいぶん活用されつつあるのがこの状況でございます。全町村財産を持つておるわけではありません。特に山林地帯の方ではこの財産区を設けておるのでございますが、それでも全部投げ出して、まるまる合併という姿をとつておる町村もございます。われわれの方の考えといたしましては、関係町村が全部山を持つてつたような場合は、これは全部統一する方針で行くべきであつて、持つているものと持つていないものというようなもののある場合に、そのアンバランスを具体的に調整するために財産区の設置を認める、こういう方針で行きたいと思つておるのでございます。それとともに財産区というからには、やはり相当まとまつた林野等中心考えるべきであつて、ちつぽけな一町歩に満たないようなものでもすぐに財産区というのは議論を要するところであります。そういうところはむしろ正しい町村に統一するように指導をいたしておるのであります。  それから選挙区の調べもついでにしてみたのでありますが、選挙区では、この数字のようにむしろ設けないものの方が多い。三分の二は設けておらないのでありますが、あとの三分の一近くのものは、一応選挙区を設けて、大体旧町村の区域を基礎にして選挙をやる、そういう態勢をとつておるものを調べて来たのであります。そのうちでも人口に比例したもの、人口に比例しないものもありまして旧町村間における議員を適当に条例で調節できることになつております。その結果の概況がこの表の通りになつております。  次にその他のほかの法律特例適用状況調べてみたのが第五番目で、ございまして、地方税の不均一の課税をしたもの九十、国民健康保険特例を適用したもの百十六、それから水産業協同組合特例により存置したもの九、それから農業委員会はそれぞれ存置できるし、あるいは選挙をしなくても農業委員の身分を継続できるという考えで、一応道が開かれたのでありますが、そういうものについての内訳を示したのであります。つまり知事の認可を経たとか、経ないとかいうことは、これは技術上の問題で、特に申し上げることもありません。  最後に国有財産申請状況というものを一応報告をとつたのでありまして、われわれはこの報告基礎にしてもつと積極的に話を進めて行かなければならぬと思つておりますが、大体その状況をここに書いておいたのであります。これは大体きわめて大ざつぽで、まだ不十分なところもございますが、今までまとめましたこれまでの結果の概況でございます。ごらん通り各県によりましてそれぞれ多少早い遅いと申しますか、ちぐはぐのあることは事実でございます。そして各県によましてそれぞれいろいろ特殊事情が介在いたしまして、合併の問題は一進一退という点もありますが、大体において合併趣旨はおおむね徹底しつつあると考えられるのでありまして、われわれ聞くところによりますと、七月一日までは多少——こうした数字でありますが、大体において順調に進みつつあるというふうに考えられるのじやないか。しかし問題は来年の四月の選挙を控えましてこの後半期に四月の選挙までに片をつけるという態勢で強く行かなくちや事が進まぬのであります。それが逆に、いろいろな問題が介入して来るというおそれもあるという点からいたしまして今後の動きがこれからの合併計画進捗の成否を決定するものと存じておるのでありまして、われわれといたしましても最大の努力を進めておりますが、また委員会皆さんにおかれましても、この上とも御協力をお願いしたい、こういうふうに存じているのであります。  以上であります
  4. 中井一夫

    中井委員長 この機会ちよつと皆さんに申し上げますが、ただいま全国都道府県議会議長会窪寺会長の名をもちまして、町村合併促進に関する本会決議についてという文書決議という二つの文書をお配りをいたしましたが、この決議は最近問題となつております町村合併に関連してこれを円満に遂行するためには、都道府県県議会議員任期延長する必要があるのではないか、むしろこれを必要ありとの観点よりして、全国都道府県議会議長会でも研究するが、国会においても研究をしてもらいたい、そうして適当なる措置に出てもらいたい、こういうような趣旨に見えるのであります。最近世間の批判の的となつておる問題でありますので、おそらくはこの決議に、遠慮をしてはつきり県議会議員任期延長を新たにすることをあえてすることあたわず、調査研究自分の方でもしておるから、国会の方でもしてくれと遠まわしに言うて参つたものと思うのであります。私の見解をもつてすれば、最近これほど非合理の身がつてな許すべからざる考え方はないと思うのであります。つきましてはこの際各位の御質疑に入るに先だちまして、委員会を代表して私からこの点につき、政府の明瞭にしてかつ断固たる意見発表されることが必要たと思います。この際政府から御意見発表を願いたいと思うのであります。
  5. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 私もただいまこの決議を拝見いたしておつたわけでありますけれども新聞に伝えられるところによりますと、何か任期延長決議をするということは遠慮した、とりやめたというように承知しておつたのでありますが、ただいま拝見しておる決議趣旨では、新聞紙上で私どもが拝承しておつた感じと若干ずれておるようにも感じられますが、委員長お尋ねもございますので、この機会自治庁としての考え方を簡単にお答え申し上げておきたいと思うわけであります。  この問題が非公式に取上げられましたときから、私といたしましては非公式にお尋ねがあつた場合には、自分としてはこの問題についてはきわめて否定的な見解を持つておるということを、繰返して述べておつたわけであります。しかし各府県府県議会が、町村合併に非常に御協力をいただいて、その御協力町村合併の推進に非常に大きな役割を果しておるということにつきまして、私もよく承知をし、感謝をいたしておるわけであります。そうして町村合併から来る選挙区のいろいろな変動というものが、若干そういう意味におきまして何がしかのマイナス的な働きをしておるということも、これも争うことのできない事実ではないかと考えておるわけであります。従つて都道府県議会側にこういう世上伝えられるような感じの出て来る気持については、私もうなずかれる点が多々あると考えるわけでありますけれども、何にいたしましても議員任期延長するということ、ことに四年の任期をさらに延長するということは、これはよくよくの非常な重大問題であつて、過去の例といたしましてもよくくのことでなければこれを実施はしておらない。そこで今伝えなれておるような、またわれわれに考えられるようないろいろな事情考えてみましても、それを是認するに足るだけの積極的な理由に、乏しいのではないか、私はこういうような考え方を持つておるわけでありまして、その気持が、この問題については自治庁としては否定的である、こういうように申し上げておる理由であるわけであります。ただ現実の問題といたしまして、今の合併促進法がこの合併に伴う選挙区のいろいろな異動について三つ方法選択を許しておる。その選択を許しておる結末が、各府県実情について見ますと、やはりこの三つ方法のどれによるかということが、現在の各議員の万々にとつて必ずしも一様ではない。ある人にはAの方法が非常に有利である、他の人にはBの方法が有利である、また他の人にはCの方法が有利である、こういうようになつておりますので、合併促進法を御立案になつ趣旨からすれば、府県議会側自主判断にまかして、そうしてどちらでもいい方法をおとりくださいというように、自主性を尊重しておる気持が、必ずしもその自主性をもつて自主的な判断をされる上に便利な事情、都合にはなつておらないということで、府県議会側にもかなり悩みがあるということを承知をしておるわけであります。従つてもしも考えて差上げる面があるとすれば、私どもはその面について何がしか検討してみる必要があるのではないか。つまりA方法、Bの方法、Cの方法によるということにするか、あるいは一つ方法に統一してしまうか。まあ私どもとしましては、かえつて自主性を尊重して御判断にまかせるということの方がいいのではないかというふうに感じておるわけでありますが、しかしそれが現実の事態に即応して考えるときに、必ずしも便宜でないということであるならば、これは法律で御統一を願うということも、私どもとして考えてみるのがあるいはいいかとも考えるわけでありますけれども、しかしそうかといつて議員任期をそれでは延長してみようかという方向に、この問題を考えるということは、先ほども申し上げましたように、積極的理由に乏しいので、おそらくこれは問題にならないのではないか、こういうように考えておるわけであります。
  6. 中井一夫

  7. 北山愛郎

    北山委員 私もこの問題は非常に重大であり、また委員長の先ほどの御意見に賛成いたしますが、ただこれまた新聞に伝えられるところによりますと、吉田首相自身がはなはだ好ましいというように支持をされておるように伝えられておるわけであります。これはどこからそういうニュースが出ておるのかよくわかりませんが、塚田長官の知つておる限りにおいて、さようなことがあるのかないのか、この点をこの機会にはつきりしておいていただきたい。塚田長官がたとい否定的でありましても、吉田首相が賛成だということになれば、これは政府意見がかわらざるを得ないわけでありますから、その点をひとつ塚田さんから知つておる限りお答えを願いたいと思います。
  8. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 この点につきましては、そういうようなうわさ話も私も今までに幾たびか聞いたことがあるのでありますけれども、今までの範囲では、政府のどなたからも、また従つて閣議においても、また与党の内部におきましても、この問題が正式に取上げられ、従つてまた意見が、ある個人からも表明されたということはまつたくございません。
  9. 中井一夫

  10. 藤田義光

    藤田委員 議員任期延長に関しましては、私まつた委員長と同意見であります。自治庁当局におきましても、ただいま塚田長官の御意見で大体われわれは了承いたすわけでありますが、この閉会中に塚田長官地方出張の席上等におきまして、幾多重要問題に言及されております。暑いところをせつかく委員会を開いておりますので、本日はなるべく率直にひとつ答弁を願いまして閉会中のわれわれの勉強の資料にさせていただきたいと思います。  それはます第一に道州制の問題であります。町村合併を促進いたしまして、一応大体理想的な形態が金田的にでき上りますと、当然この問題が表面化して来ると思います。やりたいというような意味の御発言をしばしば新聞で拝見いたしておりますが、委員会の席上で再確認することができると非常に好都合ではないかと思いますので、御答弁をお願いします。
  11. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 出先などでそのように申しておることはまつたく事実でありまして、ただいつもそのときにお断り申し上げておるのでありますけれども、これは重大問題あり、従つて政府としてもまだ考え方を別にきめておるわけではないのであります。また政府考え方をきめる前に、御承知のように地方制度調査会が今月末に再発足をすることになつておりますので、ここでとつくりとお考えを願うべき問題でもあり、またそのつもりでおるのであるということを申し上げて、そういう前提を付して私個人考え方を申し上げるならば、そういう考え方なんだということを申しておるわけであります。またそういうような考え方は実は国会でもしばしば申し上げておるのでありますが、皆さん方も御承知のように、新聞というものは閣僚の出先の談話を非常に大きくお取上げになる傾向があるものでありますから、非常に大きく取上げられておるということになつておるのではないかと考えるわけであります。私の感じといたしますならば、今の都道府県の制度というものをどういうぐあいにするかということは、昨年来自分が所掌の事務といたしまして研究をいたしました国、地方を通じての機構の改革という問題の際に一度と、それから今盛んに問題になつております、そして私どもとしてももう本格的に取組むべき必要の段階に達しておるし、またそういう機運も熟しておると考えております地方財政の赤字を、どう処理するかという問題と関連して、私としましては現在の自治団体の制度、特に府県の自治団体というものについて、もう少し考え直してみる必要があるのではないかという気持から発足をしておるわけです。もちろん地方自治というものを破壊し、もしくは減退させて、そして中央集権にこれを持つて行くというような考え方は毛頭ないのでありますけれども、それにしても日本の国情に照して、もう少し日本は日本らしい、この貧しい狭い国に向いたような地方自治の機構のあり方というものがあるのではないか、こういうように考えておるのでありまして、その気持から今の行政改革をやつたときのいろいろな障害点、難点、それからまた地方財政を健全にしようと思う場合に出て来る幾つかの難点を総合してみると、何か別の機構があるであろう、こういうように考えるその考え方が、今の私の気持では結局道州制というようなところまで行つていいのではないか、こういうように考えておるわけであります。しかし道州制に一気に行けるとは私も考えておりませんので、やはり自治団体、地方自治というものの破壊なしに、今の府県制度というものを道州制というような形に持つて行く場合には、末端の自治団体がもう少し強力なものでなくてはならない。そのためには町村合併をしてこれを大きくし、粒をそろえてこれを育成して行く。次の段階にもし考えられるとするならば、同じような構想で都道府県の小さいのをまとめるという段階考えてもいいのではないか。その次の段階に道州制というようなものを考えてしかるべきじやないか、こういうように順序として考えておるのであります。ことにこの道州制の問題について多少確信を強めた感じに至りましたのは、先般北海道に行つてみまして、北海道は都道府県という一つの籍においてわれわれはものを考えておりますけれども、あれは実は都府県と同じ種類のものではなしに、むしろわれわれの考えておる道州制の道に近いものであるという感じを持つたのであります。それが北海道に行きましてから、従つて逆にあれを県に分解してほしいという意見があることは、皆さん方も御承知通りなのであります。しかし私はこれはよほど考えものであると思う。せつかくあれでやれておるのであるからして、むしろ北海道を手本にして内地を道州制に持つて行くというように、北海道のあのままの行き方を、もし困難な点があるならば、それを直して行く、そしてあれをサンプルにして内地の道州制を考えたらいいんじやないか、こういう感じを持つておる。そういうことがありまして、一層道州制でやれるという感じを強く持つようになつたわけであります。そういうような事情がいろいろ手伝いまして、今申し上げるような気持を、私個人としましては、今の段階で道州制を考えておる。しかしこの問題は最初にも申し上げましたように、重大な問題でありますので、もしそれができるならば、今度の地方制度調査会において任期中に結論でもお出し願えるならば非常に好都合である、こういうふうに考えておるわけであります。
  12. 藤田義光

    藤田委員 ただいまの御答弁から感じたのでありますが、この問題を解明するスタンド・ポイントとして非常に重大なことは、いわゆる道州制というものは、官庁機構として考えられる気持であるか、つまり現在の上級自治体たる府県を拡大強化したいわゆる自治体としての道州制にするつもりであるか、これはわれわれも多少関心を持つておる問題でありますが、この際特に地方制度調査会審議の前に——何かただいまの御答弁からすれば、北海道を一つのサンプルとしたような行き方ということになりますと、自治体としての道州制ということになるわけであります。われわれの一部には、現在の財務局あるいは農地事務局あるいは郵政局その他の出先官庁を統合いたしまして、これを道州制の一部にいたしまして、その上に総合的な道州長官を置こうじやないかというような有力な意見もありますので、この機会にお気持をお伺いしておきたいと思います。
  13. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 これもきわめて素朴なまだ熟さない私個人考え方でありますので、そのように御了承願つてお開き願いたいと思うわけでありますが、私の感じでは、平たい言葉で申しますならば、不完全自治団体というような形、長官はやはり今のような公選の形ではない方が適当ではないだろうか、しかし議会というものはやはり置く必要があるのではないか、こういうように感じておるわけであります。従つて今の公選の形でないということを、そのまま官選だというようにもしとりますならば、昔の府県の制度のあり方というものが、大体考えられる道州制のあり方に当てはまるのじやないか、こういうように考えられるのでありますけれども、しかし公選でない道州の長官が、そのまま官選で行けるかどうかということについては、私もまだ多分の疑問を持つておるわけであります。
  14. 藤田義光

    藤田委員 首長の公選ということ、すなわち自治体の性格を持たせるということにあまり考えが制約されますると、国家全般から考えまして中央官庁の出先機関の統合というような、財政的あるいは従来のいきさつからも、非常に大きな問題が困難になつて来る。そういうところから、私は議会制度は認めつつ首長の公選を遠慮したい、その一点で現在の中央官庁の出先機関を統合できる余地が非常に強くなつて来るのではないか、そういうふうに考えておりますが、これはまだ私見でありまして、党の方とは相談をしておりませんが、その問題と関連いたしまして、昭和十六年でございますか、統制行政と申しますか、国家の統制が非常に強化されつつあつたころにできました中間機関、いわゆる地方事務所、これは当然即時廃止すべきである。これは失業救済の問題等もありまするが、何はさておいてもほとんど不要の存在になつておる。特に町村合併が強化された今日においては、率先してこれと並行してこの問題は具体化すべきである、かように考えておりますが、大臣の御所見を承りたいと思います。
  15. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 大体において藤田委員の御意見に同じでございます。また現実にもすでにこの地方事務所を持たれない県もあるわけでありましてそういう実例から見てもやつてみてやれるのではないか。ことに町村合併が推進されて参りますならば、各末端の市町村というものは直接県とつながるに十分ないろいろな意味においての能力を持つようになるわけでありますから、そういう条件がいよいよ熟して来るのではないか。従つてどもといたしましても、都道府県の機構についてのいろいろな再検討をお願いする場合においては、そういう面はぜひ考慮に入れていただきたいというようにお願いする考え方でおるわけであります。
  16. 藤田義光

    藤田委員 ただいま全国でたしか約五百二十の郡があると記憶いたしておりますが、この地方事務所の廃止によつて地方財政は飛躍的に改善されると私は考えております。できましたならば、来るべき通常即会において、ぜひともこれを法制化してもらいたいという個人的な気持を持つておりますが、何かそういう準備がありますか、お伺いをいたします。
  17. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 地方団体の機構をどういうくあいにするかという問題も、私どもといたしましては、やはり問題が重大でありますので、地方制度調査会に今度の御審議において御検討願いたいというように考えておるわけでありますが、ただ今度は問題の基本に関する部分が非常に多いのでありまして、はたして地方制度調査会の答申を受けて、私ども政府案を練り、その上で次の通常国会に御審議を願う段階まで行けるかどうかということについては、私も若干の疑念を持つておるわけであります。そういう意味におきましても、なるべく早く地方制度調査会を開いて、なるべく回数を多くお集まりを願つて、お進めを願いたいというようにお願いはするつもりでおります。
  18. 藤田義光

    藤田委員 次にお伺いしたいのは、町村合併と関連し、また知事の官選問題その他と深刻な関係があります現任知事の三選問題であります。四十六都道府県のうち、たしか二十七名の知事が再選されております。私の知る範囲内におきましては、明年四月の選挙においてほとんど三選の気持があるようであります。これはアメリカ大統領の例等もあるようでありますし、憲法上の基本的な権利に関連した問題でもありますが、現に国会内特に参議院においてはこの問題を真剣に考えておる。何とか自治体の運営の妙を発揮するためには、常に清新はつらつたる新人を首長にすえまして、地方自治の発展をはかるという趣旨からしましても、昔のような大名的な存在化しつつある強力な権限を持てる知事の特殊性からしまして、三選問題を考える必要があるのじやないかと私は考えておりますが、大臣の御所見を伺います。三選を阻止すると申しますか、三選に関して何か大臣のお気持があれはお伺いしておきたいと思います。
  19. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 この問題も、先国会中に衆議院でありましたか、参議院でありましたか、はつきり記憶いたしませんが、お尋ねのとき一応お答えを申し上げたように記憶しておるのであります。私の気持は当時と少しもかわつておらぬのでありますが、ただこの三選禁止という考え方が出て来ます基盤になるいろいろな諸情勢というものは、私が公選制度の現状のままでいいかどうかということに非常に懐疑的な気持を持つておると、やはり共通した面が多々あると考えておるのでありまして事柄自体については私もそういう考え方の出て来る理由と環境というものは、よくうなずかれる面が多々あるわけでありますが、ただ何にいたしましてもこの問題は、私はやはり事憲法に関する問題であると思うわけでありまして、三選を禁止するということは、端的に申しますならば、これは被選挙権の制限になるわけでありますから、そういうことが現在の憲法の上でできるかどうかということについて、かなり疑点をなお残しておると考えておるわけであります。従つて国会側におきましてはどういうようなお考えで、今後御対処になりますか、私どもとしてはそう簡単にはこの問題はそのように踏み切るというわけには行かないのではないか。ただそういうようないろいろな弊害が起るという事情を考慮して、立候補をされる方が自発的に御遠慮くださるということであるならば、一層けつこうじやないかという感じもされないではありませんけれども、これを一気に法制的に三選禁止というところまで持つて行けるかどうかということにつきましては、今申し上げたようになお十分検討しなければなられ面が多々あるのじやないかと考えております。
  20. 藤田義光

    藤田委員 あと二点ばかり簡単にお伺いしますが、現在地方債の査定中でありまして自治庁と大蔵省は非常に苦労されております。これに関連しましてわれわれは町村合併促進法立案にあたりまして、起債は相当優先的に扱うというようなことを法文の上ではつきりうたつております。現実にはわくが少ないためになかなか難渋されているようでありまして、この起債が実は町村合併促進法施行以来、最初の断固として合併をされた関係町村に対する恩典の具体化の第一歩であります。もしこれが合併促進法に意図するような結果が現われないというようなことになりますと、非常に合併促進が阻害されるということをわれわれは憂慮いたしております。その点に対しまして、何か行政部と財政部の調整をやつておられますかどうですか。これは部内の問題でありますが、お伺いしておきます。  それに関連いたしまして、最近厚生省の所管する厚生年金の貸付等が非常に活発化して参つております。ところがこれの貸付に関しまして、どうも自治庁の発言が非常に弱い。私は地方財政に関連する貸付におきしましては、どうしても自治庁がイニシアチーヴをとつてもらいたい。にもかかわりませず、なかなかこれは厚生省のとりでが固くとざされておりまして、自治庁の言い分が通りにくいという現実を、われわれは、再三拝見いたしておるのでありますが、この点に関しまして、厚生大臣と自治庁長官とお話がありますかどうか。なければひとつ至急御相談願いまして、今起債の問題は最後の締めくくり、今月中に具体的な結論が出てしまいそうな段階にありますので、大臣の御答弁をお願いしておきます。
  21. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 済みませんが次長から……。
  22. 鈴木俊一

    ○鈴木説明員 ただいまのお尋ねの点、便宜私からお答え申し上げます。  町村合併関係の起債の許可についてでございますが、これは御指摘のように、法律の中に優先的に合併事業につきましての起債を許可するという方針が明示されておるわけでございますから、自治庁といたしましては、たとえば水道の起債あるいはいわゆる単独事業の起債というような、市町村の本来的な起債事業の許可にあたりましては、やはり合併を優先をして考えるという、こういう考え方を、法の示す通りつておるのであります。ただ何分起債のわくが御承知のごとくきゆうくつでございまして、本年は昨年に比較いたしましても、百三十九億程度少くなつておりまするので、相当きゆうくつでございます。そういうような関係から、町村の方で要望をされました額にはなかなか達しない、こういう状況でございます。また町村の方にいたしましても、合併後のあるべき町村の姿を描いて、それの事業を起債財源をもつてつて行く、こういう計画を立てておるわけであります。いわゆる新町村建設計画をつくつておるわけでございますが、この建設計画をやはりある程度自己の財政力というものと見合つて、実施をして行くという調節が必要なわけでございますが、この点やはり、なるべく早い機会に理想的な新町村をつくり上げたいという熱意のあまり、相当短期間に多くの仕事をやろう、こういう計画いろいろ起債の許可申請を持つて参る。これに対して、県の段階におきまする指導調整が十分行つておりまするところと、行つていないところなどもございまして、行つておりませんようなところでは、相当大きな額を合併関係の起債として要求をして参るのでございます。その要求に対しましては、どうしても額が少いものでございますから、すべてを満たすことができない、また取上げられましたものにつきましても、要望するだけの額に達する起債の許可ができないというような実態でございます。これは総体の起債の中のわくの配分の問題もあるわけでございますが、総体のわくそれ自身の問題もございますので、それらの点について将来なお十分合併優先の趣旨を生かすように配慮を加えて参りたい、こう思つておるのであります。  それからいま一点のお尋ねの厚生年金の関係の起債でございますが、これは病院でございますとか、住宅等につきまして、起債を許可するということになつておるわけでございまして、この関係は厚生省も当然に所管の年金の運用の問題でございますから、本来的な関係を持つわけでございます。また自治庁といたしましては、借入先のいかんにかかわりませず、起債の一種でございますから、当然これに対して許可権を持つわけでございます。そこでこの具体的な許可にあたりましては、常に厚生省と個々の案件について緊密に連絡をとりました上で許可をする、こういう方式になつておりますので、あるいは厚生省と個別的なさような案件についてまで協議をせざるを得ない関係から、厚生省の見解が相当多分に入る、こういうようにお考えかも存じませんが、そのようなことは実際の運用上の問題としてはあろうかと思いますけれども、年金の趣旨等も考えまして、私どもの方といたしましては、厚生省の立場も十分尊重はいたしますが、やはりその団体に対する起債全体の割当の額等との調整を考慮しつつこれを行う。私の方はどちらかと申しますと、そういう見地からこれをさらに調整を加えて行く、こういうような考え方で許可をいたしておるわけでございます。何らか具体的な案件について特にそのような疑念をお持ちになりました点がありますといたしますならば、それはその問題としてまた承り、御返事をいたしたいと考えます。
  23. 藤田義光

    藤田委員 最後にお伺いをしたいのでありますが、われわれは教育と警察というものを、市町村自治行政の二本の柱というふうな見解でマッカーサー元帥の地方自治に対する政策に同調して参つた一人であります。自分たちの税金で自分たちの子弟は教育しようというような美点を十分活用したい。向う三軒両隣りの平和をお互いの税金で採用した警察官で守りたいということで、昭和二十四年のシヤウプ勧告も喜んで受入れたのでありますが、今回の警察法改正によりましてこの態勢は警察に関してこわれてしまつたのであります。従いまして残る教育に関しましても、この際何らかの措置が政府において考えられておりはしないか、警察だけに関しまして特別な措置がされるということでは、何か二本の柱の片方がとれてしまうというような、非常に不自然な町村行政の姿になりはしないか、かように考えておりますが、これは町村合併が進むにつれまして町村の執行機関あるいは議決機関の間に、教育委員会の存廃等も関連して参りまして、非常な深刻な問題になりつつあります。教育というものはあくまで自治体固有のものという警察の従来の姿と同じような気持で守つて行かれるつもりでありますか。あるいは教育行政というものは文部省に返上してしまうのか、その辺のことを警察法を改正実施された今日におきまして、私たちは非常に心配しておるのであります。その点に関しましてひとつ大臣の御見解を伺つておきたいと思います。
  24. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 これは警察にいたしましても、教育にいたしましても、基本の感じ藤田委員が御指摘になりましたような感じであることは毛頭かわつておらないわけなのでありますけれども、ただ警察の場合にはその仕事の特殊性からして、過去何年間か従来の制度でやつてつた実情に照しても、いろいろ不便な点があるということで、それを最小限度に除去して、しかも今藤田委員が御指摘になつた基本の気持をくずさないようにということで考えた場合に、どういう機構が考えられるであろうかというのが、今度の警察法改正の基本の構想になつておると考えております。そういう気持でありますから、同じ気持で教育の問題を見ました場合に、私どもは教育の問題の面にはそういうような現実の必要というものが全然起つておらない。起つておるようには承知いたしておりませんので、教育は今後長く自治団体本来の仕事として、今までのような形において残つて行くであろう。こういうように考えております。
  25. 中井一夫

    中井委員長 西村君。
  26. 西村力弥

    ○西村(力)委員 委員長が劈頭に質問なさいまして、あるいは藤田委員が質問いたしましたので、私は簡単にお願いしたいのですが、町村合併計画は当初予定したよりも上まわつた状況であり、進捗状況も大体よろしいというふうにお考えでございましようか。各関係市町村の中にはあちこちトラブルが起きておるのです。そのトラブルはそれぞれの姿を持つておるでしようが、類型的にわけられるのではないか、こう思うのです。こういうような御研究はございますかどうか。
  27. 小林与三次

    小林説明員 今お尋ね通り、現地におきましては多少と申しますか、各県ともある程度問題点がございます。大づかみにわけますと、一つは全村合併か分村合併、これが一番正直に申しまして深刻になつておる争いの一つであります。村をわけてやるか、あるいは一部落だけ離れて行くかという問題がありまして、合併促進法におきましても、合併はあくまでもそれぞれの地域の具体的な諸条件を基礎にして、住民の福祉を建前とする。それから新しい自治団体の区域なり規模の合理性というものを基礎にして考えるべきものであつて、分村の道も十分開いてあることになつておるのでございます。しかしながら、実際の問題をさばく場合におきまして、事前にはつきり話をつけてやる場合、それから合併後にこの問題を善処しようという考え方と両方ありまして促進法でも両方の道が開いてある。この問題は、村としては従来一本でやつて来ておるからなかなかわかれたくないという気持が強いと思います。しかし、個々の部落では離れたい、隣の村へ行きたいという気持と両方強くありまして、われわれとしてもこの問題を合理的にさばくということが非常に重大な問題の一つだと考えておるのであります。県によりましてはもう事前に問題を片をつけて処理するところもありますが、また県の行き方として、一般的にまず合併を進めて、あとから調整をしようという考え方がありまして、それぞれのやり方で全体が合理的に、終局的には円満に解決するように、われわれは望んでおるのであります。  それからもう一つ合併の単位を非常に大きくするかあるいは今言う三分の一なり、四分の一程度なりに数箇村にまとめるか、あるいは大きな範囲でまとめるか、これは一つの大きな問題になつております。小さく数箇町村にまとめるというと、地勢その他の関係で話をつけやすいところもありますが、どうもまとまりにくい、どうせ緒になるなら一部単位でまとめるならまとめるということでないとまとまりようがない、しかし一部にすると何かしら自治団体として一応のまとめように無理がありはしないか、こういう問題もありまして、この点も各県におきましてはしばしば聞いておるのであります。これはりくつとか抽象的に割切れる問題ではないのでありまして、結局個々の市町村実情、経済的、社会的、あるいは文化的その他の実情によつて、きめて行くよりしようがないのでありまして、ところによつては広範囲にほとんど一部一つにまとまつておるところも現にあるのでございます。しかしながらそれの場合は一つ大きな中心がありまして、それを中心にまとまる場合は、いわば似たような町村がまとまる場合には、そこのところをどう扱うかというので、相当論点になつておる問題が現実にあります。それからいま一つは、市を中心にまとまるか、農村同士でまとまるかという問題が、大きな考え方一つだと存じております。この問題はわれわれもうりくつや観念で割切るべきではない。具体的な事情に応じて、一つの市街地を中心にまとまらざるを得ないというところは、かりに山奥に入つてでもやむを得ないと存じておりますし、それから市街地をはずして農村部落に適当な中心点を基礎にしてまとめ得るものならまとまつて一向にかまいませんので、これも具体的な実情によつて判断するよりしようがないのじやないかと思つておりますが、現地ではそうした点が一つの論点になつておると存じておるのであります。その他あとは具体的な話は、今役場の位置をどうするとか村の名前をどうするとか合併自体には関係がないが、具体的な問題でどうするかという、いわゆる合併条件についての論議に花が咲いておるというところもありますが、これは大局的な問題が片がついたあとの問題点であろうと思います。その上にさらに考えるとすれば、郡界に及ぶ問題あるいは県界に及ぶ問題でありましてこれは全国的には数はそれはど多くはありませんが、具体の問題といたしましては相当そのこと自体が一つの問題点になつておるのでございます。それが先ほどの県会議員選挙区などにからむ問題点の一つでありますが、現に郡界を越える合併も、相当円滑に進めておる例が少くないのでありますが、なお具体的にはそれは問題になり得る点だと考えています。しかし実際は、県会議員選挙区も郡界にまたがる場合よりもむしろ市の設置手続、その区域の拡張にからまる問題の方が、県会議員選挙区の問題としては実際問題が大きいのじやないか、そういうふうにわれわれは見ておるのであります。それから、県界を越える問題も、まあ今までは県内の合併中心になつておりますが、ぽつぽつ今後そういう問題が出て来るはずでありまして、われわれの耳にも多少入つておる問題もございます。しかしこれはいずれにいたしましても、郡界以上に大きな問題になつておりまして、この前に一度御報告をしたことがあるかもしれませんが、今日までに広島と島根で円滑に郡界にまたがる合口併をやつた例がございますが、それ以外には話が具体的にまとまつたものは、ございません。しかしながら現地におきましては、今後その問題が多少出て来るのじやないかと思います。そうすればこれは当然総理大臣が事をさばくという段階になるのでありますが、促進法趣旨によりまして、地勢的その他の関係でだれが見てもかえた方がいいというところもないわけじやないので、ございまして、そういうところはひとつ大局的な立場で関係府県におかれましても、関係町村の住民の意思を基礎にして善処されることを希望いたしておるのであります。しかしこの問題はそれほど具体的になつておる例が少いのでありましてこれからの問題だろうと存じております。  大体以上申し上げましたようなものが、大きな全国的な問題でございます。そのほかには特殊の財産があるからどうとか、特殊の発電所とか事業場があるからどうとかいつたふうな問題も、現実には正直に申しましてないわけじやありません。あるいはある村にそれぞれ内部的な事情があつて、紛争があるとかなんとかいうので、ああいううるさい村は入れたくないというふうな気葉、なかなか話が進まぬという実例も、正直に申しまして全国的にないわけでもございません。大体以上申し上げましたのが問題点だろうと存じております。結局大勢といたしましては、何とか合併をしなければいけないとか、そういう具体的な方法論あるいは段階の問題につきましていろいろな論議が盛んになつておるというのが、今日の状況だと考えております。
  28. 西村力弥

    ○西村(力)委員 次に、資料を拝見しますと、人口も一番よけいになつておるのが三万人以上というぐあいに出てるし、面積関係も五十平方キロ以上、こういうところが一番よけいにでき上つておるので、こういうことは当初合併促進法を制定したときの見込みというか、希望というか、こういうものと相当違つた姿に現われて来ておるのじやないかと思うのです。しかしこれは自然の成行きとして認められておるし、またこれを認めないといけないのですが、こういうことに対する反省というか批判というか、こういうことについては、どうお考えでございましようか。
  29. 小林与三次

    小林説明員 これはちよつと数字の書き方が間違つておりますが、合併町村と書いてありますけれども、実は市が入つておりまして、三万を越えておるというのは、市の新設がほとんど全部であります。百四十幾つ市ができましたので、それが人口が三万以上になつておるわけであります。それから面積もずいぶん広いのは、正直に申しましてやはり市が大半であります。それとともに先ほどもちよつと申しましたが、日本は御承知通り山地が非常に多いものでありますので、厖大な山林地帯をかかえておるところが面積が非常に大きくなつておるのでございまして、特に西村委員の御郷里の山形あたりも面積が非常に大きな計画になつておりますが、山林を除いて平地地帯だけにすれば、それほどでもないかつこうになつておると存じております。それでありますから、数字上単に面積が大きいからといつて、それほどびつくりする必要はないのじやないか、平場地帯だけならばそれほど大きなものもないのでありまして、それはむしろ今後の問題で、先ほど申しました一部でまとまるか、あるいは二部、三郡にわけるかという程度のところが議論になつておるところでありまして、平地だけで非常に大きな面積というのは今日ありません。あとはみんな山間地帯を含んでおるのでありますから、これはこの点だけではそう気にする必要がないのじやないか、また事実上これは日本の地勢上やむを得ないものが大半じやないか、特に奥の山地であればそれ以外にくつつけようがない。くつつけようがないとすれば、多少面積が大きくなつても、ある町、ある村にくつつけざるを得ないという実情のものもあるのでありまして、これは合併実情から考えましてやむを得ない結果じやないかと存じております。
  30. 西村力弥

    ○西村(力)委員 現在の進捗状況について長官の御見解はどうでございましようか。
  31. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 当初の計画からすれば合併がかなり進んでおるという事実は、先ほど来資料をもつて説明申し上げた通りでありますけれども、ただ今までの進み方が、ただいまも問題になつておりますように、多分に市に合併するという形で、町村合併促進法が意図しておつたものとは、必ずしも一致しておらない面においてかなり進捗状況を見せておるという点で、私どもも、数においてかなり合併が促進されておるということに対しては、必ずしも百パーセント楽観をしたり喜んだりはしておらないわけでありまして、むしろ今後、ほんとうに町村合併促進法が企図されておるような堅実な形の市、町、村の合併が行われるということに対して、非常に大きな期待を持つておるわけであります。しかしそういう気持からいたしましても、今日私どものところに集まつて参つております日本全国のいろいろな情報を総合いたしましても、そういうような合併が相当程度ことし一箇年において行われるんじやないか、おそらく計画を下まわるようなことは万ないのではないかというように考え、またぜひそういうように実現したいということで、合併推進本部といたしましても、万全の策を講じておるわけであります。
  32. 西村力弥

    ○西村(力)委員 起債の問題でありますが、町村合併実施に伴うものは優先するというふうに法律にうたつてありますので、少いわくの中からいろいろ御苦心をなさつていらつしやるんですが、優先する場合にわくをわける基準というか、合併を実施したものに対しては最小限度これこれ必要だと、こうとつて、その残余を従来の、あるいは一般の起債にわけて行くのか、それとも一般の事業継続そのほかやむを得ないところをとつて、その残余を合併町村にやる、こういう方針で進まれておるのか、それぞれ個々のケースに従つてやつおるんで、その場その場の場当りだというふうなぐあいなのであるか、そういう点についてお尋ねいたしたい。
  33. 鈴木俊一

    ○鈴木説明員 市町村合併に伴います起債の許可でございますが、先ほども申し上げましたように、単独事業等におきまして合口併を理由とするものが相当出て参るわけであります。道路の整備の関係のものでございますとか、あるいは役場の庁舎の新築の関係でございますとか、あるいは橋梁のかけかえといつたようなものが相当出て参るのであります。合併関係のものとして、合併の各種の起債のわくの中に、別個に合併のための起債ということで、事業の内容を問わないで、そういうわくを一つ設けてやるやり方も、考えれば考えられるわけでございますけれども、しかし具体的の合併事業の内容を検討して参りますならば、それは水道の新設であつたり、あるいは道路の改修であつたり、庁舎の建築であつたり、こういうことでございまして、合併以外の町村のたとえば庁舎の新築でありますとか、道路の改修とか、あるいは水道というようなものと同じ種類の事業を営むことにしておるものが大半でございます。従つて本年度の起債許可の方針としましては、合併のための特別の起債わくというものを設けないで、それぞれの水道なり、あるいは単独事業なり、あるいは今後学校の関係の起債もさらに許可をすることになるわけでございますが、そういう学校関係のわくの中なりにおいて、それぞれ今の合併関係の点を傍死して考えて参る、同一の条件にありますものについては、合併の方を当然優先する。しかし、一般の水道の起債もみな押えてしまつて合併にまわして行くということを非常に強くやることが、合併の点から申せば望ましいのでございますけれども、一般の水道に例をとりますと、水道起債でありましても非常に水が悪い、ことにガソリン等に汚染されて、そういう関係の水が使えない、従つてどうしても水道をつくらなければならない。あるいは水道の量が少くて、これを拡張しなければどうにもならないというような緊急事態のものも他にあるわけでございますから、そういうようなものはどうしても見て行かなければならない。それからまたいわゆる継続事業につきましては、いつまでも水を出さない状態において二年計画のものを三年に延ばし、四年に延ばすということも経済的効果において不合理でございますので、やはり継続事業のものはできるだけ完成年次の通りに最終的な完工になりますように持つて行かなければならないというように思います。従つてそれらのどうしても見なければならないものを見た後において、弾力性のある分については極力合併の方にまわして行くというような考え方をとつておるのであります。従つて合百併の方から申しますと、若干なまぬるいという感じを私どもも持つておりますが、来年度の起債の根本方針をきめます際にあたりましては、合併の点についてどうすれば優先の趣旨がよく達し得るかという見地から、今年の経験を十分考えますけれども、さらに改善するようにいま少し案を練り直してみたいというふうに思つておるのであります。本年は今申しましたようなことでやつております。しかし結果的には、相当多くの額が合併町村に参つておると考えております。
  34. 西村力弥

    ○西村(力)委員 少いところでいろいろ苦心されておりますから、そんなことだと思います。しかしどちらもよくしたいということでありますけれども、はずしてはならない線、継続事業あるいは資金計画とか、そういうものが一定のめどをもつて仕事に着手されておる、こういう点は経済効果からいいましても、あるいは自治団体の資金繰りの問題からいいましても、はずさないという点は確保して、しかもその上において合併町村の優先措置を考える、こう言つていただかなければ困るのじやないか、私はさように思つております。そういう点については、継続事業は絶対的にはずさないという御答弁でありませんでしたが、やはり実際においては継続事業も実態を見て、やむを得すそれを延長や何かしなければならぬということも、事実としては存在しておるかどうか。それに対して、そうしないでやれるような方途を別途にでも考えていられるかどうか。その点について御答弁を願いたい。
  35. 鈴木俊一

    ○鈴木説明員 継続事業あるいは、どうしてもやらなければならない起債事業、合併と閥係なくどうしてもやらなければならぬ起債事業があるわけでございます。その継続事業の中で、完成年次を若干先に延ばしてもさしつかえないものが全然ないわけではない。多くの件数でございますから、そういうものもあり得ようと考えますが、なるべく既定計画によるものはそれを尊重して参りまして、今年は水道起債のわくがたとえば百億、昨年と同額でございますが、継続関係の案件が非常にたくさんございますので、新しい分にまわつて来ますものが非常に少いのであ先させたい、こういう占うに考えておるのであります。単独関係におきましても、結果的に申しまして大体五割程度は合併関係の事業に占められておるように考えております。  なおこれは今後の問題でございますが、学校関係の起債につきましては、文部省の方の補助金のつけ方も関係が出て参りますので、文部省の方にも合併優先の趣旨で補助金をつけてもらいたい、それに応じて起債の配分もいたす、こういうような考え方で、文部省と学校関係の起債につきましては、両々考え方を一にして措置して参りたいと考えておるのであります。
  36. 西村力弥

    ○西村(力)委員 私の県だけの問題ですが、県会議員選挙区の関係ですが、お先まつ暗で県会議長がおるわけです。すなわち旧選挙区でやるか、新しく合併した選挙区でやるかということがきまつていないために、合併促進のことについて腰かすわらない、こういうことがあるのです。それよりも旧選挙区なら旧選挙区でやるのだというふうに県議会ではつきりきめてしまつた方が、むしろ進捗するのじやないかと見ておる。こういう点の御指導はなさつておられるか、どうか。
  37. 小林与三次

    小林説明員 今のお尋ねはごもつともでございまして、われわれといたしましてもこれは早くきめた方が、実際はいいのじやないかと思つております。しかし県会議員選挙区の問題でありますから、県会自体でおきめ願わぬと、理事者側でどうこうというのもいかがかという気持理事者側にもあるのでございます。全国の模様を見まりますけれども、とをきめております。今ちよつと資料がございませんか、数県かその態度をはつきりさしております。それから新選挙区によという趣旨のことをきめたところもあります。これは合併のかつこうによりまして、どつちがいいのか、われわれはわざわざ衝警護けになつたのでありますから、会’後非常にその先のことについて気になれば、従前の選挙区によるということでやつていただいた方がいいのじやないかと考えておるのであります。生としてやはり市部選出の議員と郡部選…田の議員との間に意見の不一致が出て来る、こういうのが実情のように開いておるりであります。いずれにしろ各県におきましても何とか早くきめたいという県もあるのでありまして、われわれもこれはとちらでもいいのであいノますので、それそ、御溝民の行、ようにおきめ願いたいということを申し上げておるわけであります。
  38. 中井一夫

    中井委員長 宮原肇二郎君。
  39. 宮原幸三郎

    ○宮原委員 私は大臣に簡単な質問をいたしておきたいと思います。自治庁の本来のを書くどく申すことはありませんが、全国的に見て特殊事情のあります市町村に対する協力援助ということが、どうもまだ特別の考慮が、自治庁内の空気として、昔の内務省時代やそのほかの古いことを言うのではありませんが、当時と比べると調子が低いように思われてならないのでございます。その特殊事情のあります、ような市町村に対しましては、特別の援助、協力の考慮が加えられなけれげならないのでございますが、その例として全国的に見ていわゆる駐留軍の基地がある。その実例をあげれぼ際限がありませんが、私の選挙区であります呉市なんかもその一つでありまして、この特殊事情を今ここで時間を費してとくと述べるまでもなく、大臣もよくおわかりいただいておることと思うのでありますが、駐留によりまして、まことに地元としては迷惑をいたしておる。景気がいいように見えるのは表面の話でありまして、実は駐留軍によつて利益を得ておる者は市民の一小部分であつて、大部分の者は御案内の通りの治安とか、そのほか物価騰貴とか、いろいろな悩みをいたしており、また市といたしまして被害を受けておるのであります。警備を増強し、消防、衛生、道路、橋梁等の特別負担、この過重にあえいでおります。一方においてはこのたび国連行政協定ができて、地方税が非課税になつておるために巨額の税収の予定財源を失つておる、こういう状態であり、しかもこういう特殊の都市であり、海軍助成金等によつて戦前は辛うじてつじつまを合しておつたのでありますが、現在は財政窮乏の極に達しておる。これを全国の普通の市町村のように取扱つていらつしやらないことは万々知つてはおるのでありますけれども、しかしその考慮の加え方というものは、われわれが受取る限りでは、交付金とか起債とかいうことだけを申すのではありませんが、まことに取扱いが冷静過ぎるというような感じを従来受けて来ておるのであります。  ところがここで大臣にお尋ねしたいのは、本年の四月二十八日に、本院の外務委員会におきまして、国連行政協定の承認の際に、私は自由党を代表いたしまして希望歳見を述べ、改進党及び両社会党の御賛成を得まして——速記録を今ここで読むような時間がありませんから略しますが、その希望意見というものは、国連軍の基地である市町村に対しては、米軍の駐留する市町村と同一の補償あるいは代替施設の建設を行うほか、喪失したる財源の補償をなすよう立法的、予算的措置を講じ、善後措置に誤りなきを期せられたい、こういう趣旨であります。その後政府の各省におかれては、担当官を現地に出張させられて、担当部面の予算要求を一昨日大蔵省に持ち込まれたという事実があるのですけれども自治庁におかれては、あるいは大臣のお耳にはこれらのことが入つてはいないかもしれませんが、いささかこの問題の取扱い方につきまして御冷静が過ぎるのではないかと思うのであります。それで広島県及び呉市から市税補償五千九百万円、特別負担補償三千六百万円、計九千五百万円の村政補償の要請を中央政府に対していたしておるのであります。現にこの席にもこの問題の議題となることを憂慮して呉市長、呉市会剛議長等が多数傍聴に参つております。こういうような問題についての大臣のお取扱いの御見解を伺つておきたいと思うのであります。
  40. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 まことにごもつともなお尋ねであると思うわけでありまして、ただいま御指摘になりましたように、国連軍もしくは駐留軍関係市町村財政に及ぼす影響というものは、一方の面において当該自治団体の需要が増加するという面があり、また今度のようにいろいろな税の上の特別措置をいたしました場合には、収入が減ずるという面があつて、両方の面から財政的な補償をして行かなければならないということになるわけであります。現在の交付税制度におきましても、その両面の財政補償をすべきものであるというふうに規定をいたしております。一方は大体特別交付税で措置をし、一方は収入減が当然基準財政収入というものの判定の上に影響して来るから、法の規定通りにすれば相当程度の額を必ず当該自治団体に差上げるということになると思うのでありますが、ただその額が宮原君が御指摘のように双方合せて九千万円に上るものであるかどうか、私もまだ検討しておりませんので早急に申し上げられませんけれども考え方といたしましては当然にこれは出してしかるべきものと考えておるわけであります。ことにこの間の地方税法の特例によりましては、かえつて今までは税法の上では免税をしない——電気ガス税のごときはそうだつたと思うのでありますが、従つてどもが基準財政収入を算定いたします場合には、当然とれるものとして計算をしておる。ところが相手が相手でありますために、当該自治団体においてはその収入があげられないではないかということがあつたと思うのであります。今度の法律の上にはつきりとそれはとらないということにきまつたのでありますから、当然私どもが基準財政収入を算定いたします場合にも、当該税収入がないものといたしまして財政収入を検討し、従つてそれだけの面は交付税の面でカバーをするということになつて、必ずよくなる、こういうようになると思つております。ただ全体としてそういう特殊事情についての考慮が薄いということは、あるいはあるかもしれないと思つております。     〔委員長退席、加藤(精)委員長代理着席〕 しかしこれは制度そのものの上から来ろものではないか。もつと具体的に申し上げますならば、何にいたしましても、特殊の事情考える面は今の制度で行きますならば大体特別交付税だけ、特別交付税は全体の八%、これも場合によつてはさらに食われて六%になつてしまうという場合もあり得るわけでありまして、総体の交付税のうちの非常に少い部分が特別交付税に向けられるということになつておりますので、総額が少い関係上全体としての考嘱があるいは十分でないという御意見がまさに出るのではないか、こういうように考えておるわけであります。その根本の問題につきましては、今後なおその運営の実情を見て検討して参りたいと考えるわけであります。
  41. 宮原幸三郎

    ○宮原委員 大体においてただいまの大臣の御答弁で了承いたしました。なおこれに付帯しまして、自治庁事務御当局にも伺いたいこともありますが、明後日重ねてこの委員会が開催されるそうでございますから、この次に質問を保留いたしておきます。
  42. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 先ほどの県会の選挙のことですが、ちよつとお尋ねしたいと思います。私ども合併促進法案を通しました折に県会の選挙について例外の規定を設けたということは、やはり促進を大いにはかるというためにやつたのでありますが、先ほどから伺いますと、それがかえつて害になつてこのような決議案のようなものまで出されておるということで、私ども合併促進法案をつくりました委員といたしまして、どうも逆のような結果になつて、非常に遺憾に考えておるのであります。そこで府県におきましては県会の選挙区をきめるということについて先々に延ばしてはおりますが、実際けはなはだきめにくいというようなことが非常にあるようなのであります。たしろこの際合併促進法案をさらに修正して、そしてひとつ指導的な線を出してもらいたいというふうな要求さえあるように、実は伺つておるのであります。それで政府お尋ねいたしたいのでありますが、そういうお考えがあるかどうか、いましばらく様子を、ごらんになるのではないかと思うのでありまするが、押し詰つて参りまして、ことしの十二月、一月になりましてまだきまらぬというふうな場合には、どういう方法をとつたらいにかということについて何かお考えがあつたら伺つておきたいと思います。
  43. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 私もただいまの中井委員が御指摘になりましたような意見を、ことに自分の出身の新潟県あたりからも聞いておるのであります。政府がびしやつときめてくれる方が、かえつて好都合だというような意見もおりらくその他の県にもあるのではないかと思うのであります。しかしすぐに今それをそのような方向に持つて行くかことにこの法案は国会での法律案でありますので、私どもといたしましてもなお検討しておりますが、国会側におきましても御検討を願えるならば、非常に仕合せであるというように感じておるわけであります。
  44. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 この問題について将来私どももあるいは考える必要があるのではないかと思う。現在の状況を承りたいのですが、現在の選挙区の問題について、最後的な確定をいたしました県がどれくらいあるか。そうしてその県はどういうふうにきめたかを伺いたい。
  45. 小林与三次

    小林説明員 きよう実はちよつと手元に資料を持つて来るのを忘れたものですから申し上げにくいのですが、この前六月の県会で従前の選挙区によるという特例を設けた県が、多分近県か大県あります。これははつきりきめてしまつた。また特例を設けないという方針をきめた県もその際一、二県あります。あとは考慮中ということで、その報告を見ますと、従前の例によるという考え方が多いのであります。これははつきりしておりません。
  46. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 これは申し上げるまでもなく、原則的には私は市町村でもつて新しい行政区画による選挙区というものをつくるのが正しいと思う。それに対してまあ温情と言つては何ですが、うまく行くためにというので、こういう法律案を出したのであります。従いましてあくまでも、原則はひとつ新しい市町村でもつてやるというふうなことの理論的な裏づけをなすつて——私は法律を改正するということにつきましては今伺いますと、さらに反対の決議をした県もあるそうでありますからなかなかそれをひつくり返すというのはむずかしい。せめてそういう行政措置でもこの際やつていただけたらどうだろうと考えるのですが、大臣の御所見はどうでしようか。
  47. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 これはなかなかそう一概には行かないかと思うのでありまして、考え方といたしましてはまさに中井委員が御指摘になつ通りでありましてそういうぐあいに行政区画がかわつた場合には、それにのつとつて選挙区もかえて行くということはその通りであると思うのでありますし、そのように私どもも望みたいのでありますけれども、それがかえつて合併の促進の障害になつたのでは角をためて牛を殺すというたとえば当てはまらないかもしれんが、そういうことにもなりますので、そういうことも御勘案になつて国会でもつてこういう方法のどれかをとるならばとつてもよろしいということになつたのでありますから、この問題に関しましては法律が今のままである限りは、なるべく自主判断におまかせしたいという感じでおるわけであります。
  48. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 長官にお尋ねしたいのですが、実は町村合併問題は愛知県の場合においても非常にもめているわけです。それでこの法律が出ましていろいろ長い間、感情の問題ももありますし、いろいろの問題がありますが、そういうことについて自治庁はどこまでこれを合併する方針か、どういう方針でおられるのか、現在の実情について簡単に御説明願いたい。
  49. 小林与三次

    小林説明員 今のお尋ねでございますが、具体的にどういう事件をおさしになつたか知りませんけれども、いろいろ現地の市町村において問題になるのは事実でございます。しかしながら自治庁といたしましては合併促進法の根本精神にのつとりましてあくまでも政府がきめた基本精神に従つて大同団結して行きたいという基本精神で、すでに町村合併はそれぞれの府県においては、基本的な具体的の合併計画を進めておるのであります。この具体的な合併計画も県独自でというわけには参らないので、それぞれ御承知のように審議会を設けまして、各方面の権威者を集めて現地の実情に即するようなことで計画を進めつつあるのですが、現実の場合には町村によつてはいろいろな問題がありまして、場合によつては県の計画通りに行かない。しかしながらこれは合併という基本目的を根本にいたしまして、しかもその間は新市町村ができ土つた場合には、仲よくやつて行かなければならない。ただ集めるだけが目標ではないのでありますから、その間現地におきましては十分住民の理解と納得、関係者の和衷協同の精神によつて、円満な妥結点に達して事が済むようにしたいということが、われわれの基本的な考えでありまして、これは繰返し巻き返し地方にも申しておるので、ございまして、そういう基本方針にのつとつて、それぞれ妥当な解決に達せられるであろうことを、切に期待しておるのでございます。
  50. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 実は愛知県であまり町村合併を無理したために、江南市で乱闘事件が起きたのです。このように無理をすると、いろいろもつれて来るおそれがあるのですが、こういうことについてどういう見解を持つておられるかということが第一点。  もう一点は、私どもの愛知県に名古屋という都市がありまして、その付近の町村合併するしないということで、現在もつれておるわけです。おそらくこれは大阪、東京というような大都市の付近にはこういう問題があると一思うのですが、こういうことについてはどういう方針でおられるのか、この際長官の御説明を願いたい患います。
  51. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 江南市で非常に争いがあつたということは私も承知いたしておるのであります。ただ私どもといたしましては、ことにそういう場合には積極的にどちらの線で行けというようなこちらからの指示は、なるべく差控えて行きたい、地元の側において機運が熟し、意見がまとまつて来るのを待つて、これを許可するという形になるべく持つて行きたいと考えておるのであります。またそのように指導いたしておるわけですが、ただ何にいたしましても長年の伝統がかわつて来るということにおきまして、過渡の段階におきましては、いろいろなところで、いろいろな形の争い、もめ事が起きるということはある程度やむを得ないのではないかと感じております。ただそういう場合には決して無理をしないようにということだけは、私ども基本の考え方といたしておるわけであります。  なおこの大都市周辺の町村が大都市にくつつきたいということは、町村合併促進法の考え方からすれば、必ずしもそういうものを促進するという考え方ではありませんし、そういうものを無理に、まあ非常にけつこうなことだから、ぜひそういうようにしなさいというほどには考えておりませんが、自然の、いろいろな交通、文化、そういう環境のかわつて来るにつれて、そういう機運が自然に醸成されて、大都市周辺の町村が大部市に合併されるということは、今までもあつたことでありますから、今後もおそらくあると思うわけでありまして、それをあながちとめなければならないというようにも考えておらない。これは自然の発展にまかせて行きたいと存じておるわけであります。
  52. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 最後にもう一点、お尋ねなり、希望なりを申し上げてみたいのですが、昨日も問題になつたのですが、地方財政は非常に枯渇しておりまして、おそらく小さい町村は今非常に経済的に困つておると思うのであります。そういう点で先ほど中井君からも質問がありましたが、やはり日本人は、政府方針がきまらぬと、どうでもいいというような感情にとらわれて、なかなか思うように行かないのです。そういう点から、こういう法律が出た以上は、できるだけ合併が促進されると同時に、地方財政の現在の非常に貧弱な状態から考えまして、この法律が生きるように努力していただきたい。そういう点について自治庁の方に希望だけ述べてここでお願いしまして、私の質問を終ります。
  53. 加藤精三

    ○加藤(精)委員長代理 これをもつて散会いたします。     午後一時二十一分散会