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1954-07-23 第19回国会 衆議院 地方行政委員会 第74号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年七月二十三日(金曜日)     午前十一時五十七分開議  出席委員    委員長代理 理事 西村 力弥君    理事 加藤 精三君 理事 佐藤 親弘君    理事 鈴木 幹雄君 理事 門司  亮君       佐藤善一郎君    宮原幸三郎君       藤田 義光君    石村 英雄君       北山 愛郎君    伊瀬幸太郎君       大矢 省三君    中井徳次郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣 塚田十一郎君         国 務 大 臣 小坂善太郎君  委員外出席者         警察庁長官   斎藤  昇君         警察庁次長   谷口  寛君         警  視  長         (長官官房長) 柴田 達夫君         警  視  監         (警務部長)  石井 栄三君         警  視  長         (警備部長)  山口 喜雄君         自治庁次長   鈴木 俊一君         総理府事務官         (自治庁財政部         長)      後藤  博君         総理府事務官         (自治庁財政部         財政課長)   柴田  護君         大蔵事務官         (主計局次長) 正示啓次郎君         大蔵事務官         (主計官)   鳩山威一郎君         専  門  員 有松  昇君         専  門  員 長橋 茂男君     ————————————— 六月十日  委員山中貞則君及び吉田重延辞任につき、そ  の補欠として森清君及び松山義雄君が議長の指  名で委員に選任された。 同日  委員松山義雄辞任につきその補欠として吉田  重延君が議長指名委員に選任された。 同月二十三日  委員森清辞任につき、その補欠として山中貞  則君が議長指名委員に選任された。 七月二十三日  委員山中貞則君及び山本友一辞任につき、そ  の補欠として宮原幸三郎君及び佐藤善一郎君が  議長指名委員に選任された。 同日  委員佐藤善一郎辞任につき、その補欠として  山本友一君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  警察法施行状況に関する件     —————————————
  2. 西村力弥

    西村(力)委員長代理 それではこれから会議開きます。  中井委員長は都合により本日は欠席されましたので、その指名により私が委員長の職務を行います。  まず警察法施行に関する問題について調査を進めることといたします。最初政府より警察法施行状況について説明を聴取し、そのあと委員各位の御質疑をお願いいたします。斎藤警察庁長官
  3. 斎藤昇

    斎藤説明員 さきの国会におきまして成立を見ました警察法施行関係をいたしまして、若干御説明を申し上げたいと存じます。  警察法成立施行の関に準備期間がきわめて短かくありましたために、十分な準備をもつて施行ができるかどうか心配をしておつたのでございますが、各方面の非常な御協力によりまして幸い円滑に新制度への切りかえができまして、この点つつしんで御報告をいたしまするとともに、各方面の御協力に対しまして、衷心から御礼を申し上げる次第でございます。  政府といたしましては先国会において御審議いただきました聞におきまして、いろいろ御意見、御注意を賜わつたのであります。これらを重々服膺をいたしまして、府県警察がりつばにでき上りまするように、念願をいたしたのであります。法律が通りますると同時に、自治庁長官警察担当大臣の連名をもちまして、知事及び五大市の市長あてに、新警察法によつて、この精神にのつとり、府県警察の新設に御尽力あらんことを打電をいたしました。県におかれましては、知事を中心といたしまして、知事面接の部下はもちろんのこと、従前国家地方警察及び自治体警察方々を交えました準備委員会的なものを、たいていの県においてはつくられまして、旧自警、国警の間において何のトラブルもなく新制度に移行ができた次第でございます。新制度による公安委員任命、また府県警察設置条例都市警察設置条例、その他これらに関係いたしまする都道府県条例及び予算議決等は、ほとんど六月三十日までに結了を見ました。ごく一部は一日の刺に入つたものもございます。予算につきましては若干遅れた府県もございまするが、少くとも公安委員任命は、すべて一日付をもつて正式に任命することができたのでございます。都道府県公安委員と五市の公安委員新旧別、あるいは従前府県公安委員自治体警察公安委員方々の別を申し上げますると、任命せられました公安委員は、都道府県及び五市を含めまして百六十八名でございます。京都府と京都市はル、れぞれ一名ずつ欠員でありますので、百六十八名でございますが、そのうち従前府県公安委員であつた方で、新しく公安委員として任命された方が七十九名、自治体警察公安委員であつて、今度新しく任命せられた方が三十九名、まつたく新しく任命せられた方が五十名という内訳に相なつております。しこうして都道府県によりましては、従前府県公安委員が三名ともそのまま公安委員として任命せられたところが十県、全部新しくなりましたところが七県というぐあいに相つておるのでございます。  それから都道府県警察本部雇及び五市の警察本部長任命も、国家公労委員会都道府県公知委員会同意を得まして、一日付をもつて任命をいたしたのでございますが、制度切りかえの準備及び切りかえ後の措置都道府県議会あるいは知事との関係等いろいろございまして、府県におきましては全部従前の県の警察隊長がそのまま任命をせられました。東京都及び五大市のうち、京都と大阪を除きましては、本部長が入れかわりました。この点は御承知のところと存ずるのでございます。  一番問題になりましたのは、やはり自治体警察国家地方警察職員の間における給与差措置で、ございましたが、新府県警察職員となりました者につきましては、ほとんどの府県も、原則として従前給与をそのまま引継ぎました。また自治体警察におられた人たち給与につきましては、従前都道府県職員給与基準にいたしまして、新しく格付をいたし、都道府県警察職員給与よりも低かつた者につきましては、都道府県警察職員給与まで上げ、また下りました者につきましては、法律にありますように、調整手当を支給することに各都道府県条例がきめられた次第でございます。詳細な報告は今とりまとめ中でございますので、詳細申し上げる資料はまだ整つておりませんが、大体その給与差はわれわれといたしましては、できるだけ全額を手当として支給せられるように望んでおつたのでありますが、都道府県知事等の間の打合せの結果でありましようか、最高を七千五百円で切つたというところが大部分であります。爾余の点では、新らしい本俸額の三割を限度とするというのが、これに続いているという状況でございます。しかし警察職員の間には現在のところ、何ら不平も不満もなく、新制度職員といたしまして、みな新警察法精神にのつとりまして、りつぱな警察をつくり上げて行こうという気持に湿れているように見られるのであります。国家公安委員は、前国会におきまして御同意を得ました五氏が新らしく任命をせられました。不肖私はこの制度の切りかえをもちまして一応御遠慮を申し上げたいと思つてつたのでございますが、いろいろな事情で引続いて警察庁長官をお受けをいたすような次第に相なりました。今後またこの委員会におきまして、いろいろと御指導、御鞭撻をいただきたいと存じます。  以上概略申し上げた次第でございますが、なお予算関係等につきましては、都道府県に対する財源付与が十分であつたかどうかという問題があるのであります。今私どもの方におきましてもこれを研究中でございまするが、詳細は大蔵省あるいは自治庁等から御説明があろうと存じますので、私からはこの点は省略をいたします。  以上申し上げまして報告といたします。
  4. 加藤精三

    加藤(精)委員 ただいま警察庁長官から、自治警から県警察への転移、もつと詳しくいえば自治警及び国家地方警察から府県警察への転移の円滑に行われましたことにつきまして御説明がありまして、この警察法改正に参画いたしました委当員会としては、まことに御同慶に存ずる次第でございます。なお長官が引続きわれわれの委員会とともに警察行政に精進なされることにつきましては、委員会を代表して敬意を表します。  なお、長官からも言及せられましたことく、新警察への財源付与の点について、あるいは十分ならざるものがあるやに聞いておりますし、また地方行政常任委員会が各府県を視察いたしました結果によりましても、往々にして十分ならざる県があるようでございますが、この点につきまして柴田自治庁財政課長よりできるだけ詳細に、御調査になつた全国的の情勢を説明していただきまして、しかる後にわれわれの質問に答えていただきたいと思うのでございます。
  5. 斎藤昇

    斎藤説明員 ちよつと不十分な点がありましたから補足させていただきます。私の報告のうちで、すべて公安委員あるいは条例等が議決せられましたと申し上げましたが、五市のうち京都市を除きましては、これらはいずれも市長専決処分で行われました。この点は補足しておきます。
  6. 柴田護

    柴田(護)説明員 警察予算計上状況でございますが、目下詳細な予算積算方法あるいはその絶対額の内容等につきましては資料照会をいたしておりまして、まだまとまつておりません。ただ警察予算総額につきまして電報照会をいたしましたところのまとまつておる範囲におきまして申し上げますと、大体予算年間予算を組み終つておりますが、問題のあるところは愛媛県が五箇月予算つたと思います。それから福岡県がたしか四箇月の暫定予算を組んでおります。北海道は  一応予算組み終つたようでありますが、これも何か暫定予算といつたような含みで組み終つたというように開いております。結局北海道は幾ら組んだかということは実はわかつておりません。事務当局道議会に提案いたしました額は、大体十六億程度を提案いたしておりますが、結果的にどうなりましたか、まだ詳報は得ておりません。それで愛媛県の五箇月予算福岡県の四箇月予算を入れまして大体推計をいたしますと、府県警察費予算総額が、東京都並びに五大市を除きまして大体二百三十億見当になります。それで福岡県と愛媛県がこれに加わつて参りますと二百四、五十億になるのではないかというように考えます。  そこで財政計画上の財源計算との開きを概算いたしますと、大体四十億見当、実際の予弊に組まれた額と財政計画上に開きがあるという結果が現在のころ出て参つております。この開きがどこでできたかという問題につきましては、私たちの方でも内容を分析いたしております。また大蔵省当局におきましても警察当局におきましても分析していただいております。近く三者で実態調査を行いまして、その結果によりまして所要の措置をとりたいというように考えております。大体の傾向といたしましては、人件費等につきましてはそうひどい、むちやくちやな予算を組んだとも思えないように考えますが、ただ物件費等算定方法につきまして——これも全県を通じて調べてみませんと何とも申し上げかねますけれど、二、三見ましたところでは、従来の警察費が一部国から直接支払いになつておるわけでありますが、その辺のところの割振りが明確でございませんので、まず一応結んでおいて実行上それを操作して行くといつたような考え方で、予算を組んだところもあるやに見受けられます。さような点を考慮いたしますと、この四十億程度開きというものがどの程度縮まるか、あるいはまた暫定予算を組んでいるところでは、さらに追加額があるわけでございますので、それがどの程度計上されて参るかといつたような点で、この開きはなお若干変動があるものというように考えます。至急に調査をいたしまして、その結果によりましてしかるべき処置をとりたいというふうに現在考えております。
  7. 門司亮

    門司委員 今の説明を聞いてみると、当初予算の約二割近いものの不足を期待しておるように考えられるのだが、一体自治庁大蔵省とそれから国警当局との間では、この法案を提案される前に打合せはなかつたのですか。また法案通過の便利のために特にこういう仕組みをしたものですか。発足すると一昨にこういう欠陥が出て来るということは困るのではないか。一体この責任はどこが負うべきものなんですか。
  8. 柴田護

    柴田(護)説明員 財政計画を策定いたしましたときは、警察法法案内容というものは詳細はわかつておりませんでした。大体の大綱に従つて積算をしたわけであります。その結果どこにあやまちがあるかという問題は、ともかく現在わかつております範囲におきましては、実際の予算計上額財政計画上の数字に相当な開きがあるわけであります。どこに間違いがあるかということは、まだ現在三者におきましていろいろ検討いたしておるわけであります。責任の点を問われますとあれでございますけれども、これは財政計画策定の場合に警察費が国からどのくらい来るかという問題の点、それから市町村から府県に移ります点、この二つに問題があるわけでございますが、私の方で現在検討いたしました結果におきましては、市町村から府県に移ります警察費計算については、ほぼ間違いがないというように考えております。問題は国から市町村に移つて参ります警察費算定にあるのではないかということでございます。この国から地方に移つて参ります警察費算定につきましては、大蔵省自治庁とで算定をいたしたわけでありまして、責任を問われれば両方にあるというふうに考えております。
  9. 門司亮

    門司委員 このことは、警察法審議の過程において、すでに知事の代表である友末君がここに来て、この警察法予算を勘定して行くと、年間に約百億くらいのものが不足すると、知事会として言つてつたのです。知事会ではこういうことは大体わかつてつたのです。知事会の方で大体計数してこの警察法予算ではやれない、府県の持出しが百億くらいできやしないかということを友末君がはつきり言つている。知事会の方では、大体計数して、こういう結果になることを予測しておるのに、政府で予測しなかつたということはおかしいじやないか。ことに税制の改革その他が行われて府県民税がだんだんふえて来ておる。警察費というものの住民の負担がふえて来ておるのです。これは大蔵省にはつきり聞いておきたいが、ここから出て来た四十億、あるいはもう少し出るかもしれない、五十億になるかもしれないが、この超過したものは、一体大蔵省責任をもつて国費でこれを支払いますか。
  10. 鳩山威一郎

    鳩山説明員 警察費算定につきまして私ども考えました考え方について、どこが間違つたかということが問題になるわけでございます。私どもの想定いたしました警察費考え方といたしましては、今度制度改正になりますが、従来国費地方費を合せました警察費総額は、そう変化はないものという仮定に立つたものでございます。従来の国費地方費総額というものの考え方についてこれは自治庁の方で基準財政需要というものをおはじきになつておりますが、それを何割かふやしたところで計算しなければならぬ。そこにふやす数字現実の姿と若干の開きがあるのではないかという問題がございます。そこで私どもといたしましては、国と地方と合せまして二十九年度の警察費総額は五百二十三億六千九百万円、こういうふうに考えたのでございます。その国費総額につきまして、警察費総額にそう変化がないという仮定に立ちましたのは、警察官の数を今後減らして参るということでございますが、初年度につきましては早急に減らすというわけに参りませんので、これは次年度以降減つて参るという想定に立つたわけであります。この総体警察費におきまして、従来の系統におきまして国家地方警察が支弁して行くべき系統のものが、従来の制度では二百三十八億あつたのでございます。その二百三十八億円が今年度の制度改正後におきまして二十九年度分を計算いたしましたのが百五十三億、これは予算計上した数字でございます。従つてその差額というものは、地方負担増加になる、こういう計算をしたわけでございます。私ども考えとして、それ以上警察官が何人、警察署が何個減るからそのためにどれくらい経費が浮くとか、いろいろこまかい計案ずる余裕がなかつたのでありまして、総体計算としてそういう計算をしたわけであります。その結果八十九億円という数字地方負担増加ということになつたのであります。この八十九億円というものが今度府県に引取つたために生じた額である、こういうふうに解釈されている向があるのでありますが、私ども考えはそうではないのでありまして、国費負担分がそれだけ減つたから、地方負担増加になつたであろうと考えたのであつて、その国費負担の中には地方に対する補助及び従来自治体警察で支弁しておつたもので今度は国費の支弁になる装備費通信費警察学校経費、そういうものがあるわけでありまして、こういつたものを総体的に見て八十九億地方費がふえる、こう考えておるわけであります。従つて制度改正前、国家地方警察であつたときの職員費その他の経費計算いたしまして、それが八十九億より多いのだという計算を出しましてその結果それだけ足りないという計算に対しましては、考え方の上に私ども開きがあると考えるのであります。ただいま自治庁柴田課長から説明が、ございましたが、その点は私どもとも検討した上で結論を出したいと思つておりますが、一番大きな計算上の差異といたしましては、従来自治体警察警察費算定について問題があつたのではないか。従つてもしそれが過小評価された場合には、その部分府県のしわ寄せになつて来ているのではないか。ただいま柴田課長からは、自治体警察の方から移つた分計算については誤りがないような御説明でございましたが、その点私どもとして自治庁との間でよく検討した上で結論を出したい。その得た結論に対しまして、もちろん何らか適当な、適正な財源措置をとらなければならないということを考えております。その点は今後検討した上で、必ず何らかの解決方法、手段を講ずるということにつきましては、自治庁との間で研究いたしたいと思う次第であります。なお数字の、詳細につきまして、はつきりした結論が出ました上で、あらためて御審議願いたい、こう考えます。
  11. 門司亮

    門司委員 これはあと藤田君の方からも意見があると思いますが、これは非常に大きな問題で、政府がこの警察法政正の一つの大きな題目として経費が安くなるということを宣伝しておる。実際やつてみたらこういう結果が出て来た。だから警察法改正自体について政府はうそを言つたということになる。ずさんな、現実に合わない計算をして来て、そうしてこれだけ瞬くなると言つておる。ところが今、年間予算全部でなくても約四十億の赤字が出ておる。年間予算つたらもつと大きな赤字が出て来る。政府が九十何億安くなるというのは、三万人の人間を三年間首切つて初めてこういう数字が出る。ところが地方では五十億、六十億という足らない金が出て来るのでは、安くなるどころではない。少しも経費が少くならない。事実上の問題は地方にそれだけ負担よけいかけて来る、国の経費だけが安くなつて来る。だから政府警察法を出したときの説明とかなり大きな食い違いが出て来る。従つてどもはこれをこのまま見のがすわけに行かない。これはわれわれが警察法を認めるとか認めないとかということでなくて地方がそれだけの負担をしなければならない現実の姿として、われわれはこれを難しなければならない。検討しなければならない。と言つてあなたに答弁ができなければ、大蔵大臣に出て来てもらつて、足りない分は国が必ず負担するという、はつきりした答弁をしなければ将来に問題を残すことになると思います。これ以上質問しませんが、一応われわれはこういう考え方を持つているので、自治庁にしても、警察を受持つている小坂君にしても、大蔵大臣にしてもひとつ意見をまとめてもらいたい。
  12. 斎藤昇

    斎藤説明員 財政問題は大蔵自治庁で十分御研究を願うことにしておりますが、警察庁といたしましても重大な関心を持つておりますので、大蔵自治庁両方から答弁がありましたように、今後詳細に調査をいたしたいと存じております。ただ、ただいまおつしやいましたように、提案の際に安くなると言つてつたのが、これはだましたじやないかという御意見がございましたが、これはさようなことではないのでありまして、三万人を減らすことは確実であります。三万人減れば安くなることは当然であります。ただ先ほど柴田財政課長答弁せられましたように、四十億というのが、われわれ考えておつたのよりも、どうもよけいかかつておるようだと言われましたのは、結局現実国家地方警察経費は明瞭になつておりましたが、自治体警察経費、ことに人件費につきまして、今まで過少に見ていたのではないであろうか、これは今回の切りかえによりまして今まで市町村、国が負担しておりました以上の新しい負担を、この制度改正によつてよけいにかけるということでは決してないのであります。従来市町村負担しておつたものを過少に評価しておつた、かように考えてみるのが妥当ではなかろうかという鳩山主計官の御説明も、私はさようであろう、かように考えておるのであります。従いまして、制度改正によりまして安くなると言つてつたのが、実際はよけい経費のかかる制度になつたのだということではないということだけは御了解をいただきたいと存じます。
  13. 門司亮

    門司委員 私もその通り考えておる。三万人を首切つて九十何億の金を出すのは、国費がそれだけ空くなるということだ。予算書内容説明をそのまま国会は通しておる。ところがさつきも言つたように、友末君がここへ来て百億足りないことは事実だ、もう百億予算処置をしてもらわなければ困るということを言つておる。もしあのことが正しくて四十億の予算処置をしなければならないということが最初からわかつておれば、国費が安くなるなら地方費はこれだけ安くなる、この経費だけは必要はないのだ、人間の首を初るからそれだけ安くなるということは一応言える。しかし実際の国と地方を通じての財政計画というものにこれだけ大きな食い違いがあつた、これは争えない事実だと思う。だからこういう問題が出て来ておるのたと思う。警察法審議の際の政府説明は、やはりただ単に安くなる、安くなるという説明だけであつた予算処置違つておる。友末君が言つて来た。もう百億地方に金を出してもらわなければやれませんよ。あるいは百億が妥当であつたかどうかということは別の問題で、とにかく政府予算処置数字では地方はやつていけない、何がしかどうしてもふやしてもらわなければならない、何がしかの不足があるのだと、ここで明らかに言つておる。だから地方自治体がそういうことを計算してそういうことをやつておるにかかわらず、政府の方では一向それが考えられない。あの予算数字がそのままいかにもそれだけ費用が安くなるかのように考えられておつたということは私は事実だと思う。もう少し政府が親切にものを考えて、あのときに出して参りました計数よりも、四十億なりあるいは八十億のものを加えて、国の経費はこうなるが、地方経費はこれだけになるのだということが明瞭でなければならなかつたはずだと私は思う。この数字食い違いは、われわれ警察法を通したとか通さぬとかいうことは別の問題として、とにかく警察法改正のときの説明にあつた話と非常に違つて、しかもやつてみてから出たというわけではありませんで、すでに出発当初からこういうものが出て来ている。だからこれについては責任のある政府答弁を聞いておかないと、地方が非常な迷惑をすると思う。地方にそれだけよけい負担をかけるということになるのです。警察の形がかわつて来て、市であろうと県であろうと、県民であり市民であることに間違いがないのであります。これらの諸君がそれだけのものを、よけい負担しなければならぬということはわかり切つたことです。だからこの点についてはもう少し詳細に、政府側の意見をまとめてから、はつきりした答弁をしていただきたいと思います。
  14. 藤田義光

    藤田委員 議事進行について。先ほど来の門司委員の御質問、非常に重大な問題でありますが、本日国家公安委員長あるいは自治庁長官大蔵大臣、どなたも御出席がありません。非常にけしからぬ話でありますが、特に国家公安委員長は労働大臣が兼務する、自治庁長官は郵政大臣が兼務するというような、こういう警察地方自治に対する政府考え方が端的に人事に現われて来ております。私たちはただいまの発言、質問に対する答弁を、どうしても担当の大臣からはつきり聞かなければ、議事の進行はできないと思う。非常に重大な問題であるにもかかわらず、どうして出席しないのか。特に非常な自信を持つて留任した国家公安委員すら出て來られない。心外であります。その点の事情をひとつ委員長から御説明願いたい。それによりまして、私はさらに議事進行に関する質問を続けたい、かように考えます。
  15. 加藤精三

    加藤(精)委員 ただいま藤田委員からせつかくの動議がございましたけれども、私率直に言えば、この警察の定員に関しての財源付与の問題のごときは専門的な事項でございまして、警察当局自治庁当局や大蔵省当局の実際その衝に当つておる者だけがわかることで、国家公安委員長や大蔵大臣自治庁長官なんか連れて来たつてわからないのですから、それより実質的にわれわれで詳しくこの問題をまじめに調査して結論を出した上で、そういう偉い人に来てもらつて、その意見を確かめ、また善処さしたらどうかと思うのでありまして、今回の委員会は日数もまだ四、五日ありますので、本日はこの程度にして、なおわれわれと事務当局の間で、具体的な視察に行つたときの各府県、各市の数字等によつて打合せしたらどうかと思うのでございますが、その点につきまして委員長から諮つていただいたらどうかと思います。
  16. 藤田義光

    藤田委員 それはちよつと加藤委員のかねての感覚に似合わない、代議士が自分で自分の手足を縛るような御発言で、驚いておりますが、当然大臣が責任を持つて答弁しなくてはならぬ問題である。むしろ政府委員答弁の補佐をするだけでありまして本筋は大臣が出席していなければ開かれないというのが委員会の建前であります。ぜひともさよう委員長におとりはからい願いたいと思いますが、今委員部から何か打合せがあつたようでございますから、何か各大臣が出席されないいきさつがありましたら、御説明願います。ぜひとも午後は出ていただきたい、かように考えます。
  17. 北山愛郎

    ○北山委員 ただいまの問題は、この委員会警察法の審議をした場合におきましても、新しい警察法が結局地方財政にしわ寄せになるのじやないかとうことが非常に懸念され、またその点がいろいろ質疑の中心になつたわけであります。ところがはたしてそういう事態が起つておる。私どもは今度の警察法はにせものであるという立場に立つておるものでありまして、従つてほんとうかうそかという問題については、別な方法で決定されると思うのでありますが、しかしにせものにしてもいいものと悪いものとある。特に悪いにせものであるというような感じがいたすのであります。この問題はすでに六月の知事会議におきましても問題になつて政府はこれに対して善処をするという答弁をしておるのです。ですから今新しく出て来た問題じやないのです。もうすでに一月も前から、その間の経費開きというものが相当額あるということが指摘されておる。しかも政府はそれに対して善処すると言つておる。ところがただいまの自治庁大蔵省答弁でありますと、これから検討する、こう言つておる。一月何をしておつたのか。こういう重大な問題をすでに一月も前から全国の各県知事から要望があつて政府は善処すると言つておきながらいまだ何らの相談もしておらない、その点私どもは非常に疑問を持つのであります。従つてただいま藤田さんが要望されましたように、この問題は必ず本日自治庁長官あるいは大蔵省あるいは担当大臣等に来ていただいて、はつきりとした答弁を願いたい。私は藤田さんの意見に賛成するものであります。     〔「採決々々」と呼ぶ者あり]
  18. 加藤精三

    加藤(精)委員 採決で決定するということでございますから、これは不可抗力でございまして、御採決を願います。
  19. 西村力弥

    西村(力)委員長代理 委員長としましては、警察担当大臣自治庁長官大蔵大臣三者の出席は当然と思いますので、それを要求します。  ただいまより休憩に入ります。     午後零時四十二分休憩     午後二時二十三分開議
  20. 西村力弥

    西村(力)委員長代理 休憩前に引続き、会議開きます。  警察関係予算の問題について質疑を許します。門司君。
  21. 門司亮

    門司委員 これは大臣にお伺いしておきたいと思いますが、午前中の委員会で問題になつております警察官の切りかえに伴う給与から来る府県赤字の問題であります。これは自治庁説明によると大体年次予算を組んでおるところで、この予算で見ても約四十億くらいのものが赤字になる、こう言つている。従つて年次予算を組んでおらない府県の分をこれに入れて参りますと、これよりさらに上まわる数字が出て来るであろうということが当然わかつて参ります。ところがこのことは何も今にわかつたわけじやないのであつて、すでに警察法の審議の際から、知事の代表として来た友末茨城県知事が、ここで約百億くらいのものが政府予算見積りの中では不足をしておるのではないか。府県予算としてはもう百億くらいいただかなければ、とても警察の維持は困難であろうということを陳述したことは御存じの通りであります。そのことはすでに府県予算の中にも現われて来ておる。これは警察法改正の一つの大きな理由になつてつた警察の費用が非常に安くなるということ、国の方で三万人ばかりの首を切れば、それだけ給与が浮いて来るということはわかり切つたことであります。ところが地方としては、今まで府県警察費をほとんど出しておらない、そして自治警察を持つておる地方だけが警察費負担しておつたのでありまして、従つて今まで警察費負担をしなかつた府県でも新たにこれの負担をしなければならないことになる。いわゆる警視正以上を今度は国が負担するといいましても、全国一万数千を持つてつた国家地方警察地方におつた職員給与というものがその割合で、国の方はある程度安くなつておるかもしれないが、府県の方は市町村で支払つてつた分を背負い込んで来たわけである。ところがこの場合に政府の見積つてつた警察費と実質的の警察給与というものに、相当大きな開きがあつたことは友末君が指摘した通りである。またその指摘したことが、今度の府県予算を組んだときに、はつきりと現われて来ておる。従つてこのことはしばしばここで大臣からも答弁があつたように、府県予算ができる前に、各個人々々の警察官給与その他に大体差額のないように改めた、新しい警察法ができたからといつて、個人の収入が著しく減るようなことのないように、またそういうことをしないのだという答弁がしばしばここで行われておる。従つてそれがそのまま府県に引継がれるということになれば、先ほどから申し上げておりますように国の見積つた数字と実際の給与の差額だけを、府県がそれぞれ負担しなければならないことになります。御存じのように府県財政は非常に困つておる。佐賀県のごときは、つい二、三日前の新聞にも書いてありましたように、県の職員給与を払うことができないので、分割払いをしなければならないということになつておる。今ここに書類が参つております。これは舞鶴市の報告をもらつたのでありますが、舞鶴市などにおいても職員給与の大体一割を、市の条例で献納することをきめようというようなべらぼうなことを考えておる。こういう地方自治体の非常にきゆうくつである際に、政府の今度のこの警察法改正に基いて、結局地方負担が非常に重たくなつて来ておる。警察法改正のいきさつから見て、当然政府はその差額を負担する、いわゆるめんどうを見るということがわれわれには正しい考え方であり、そうでなければならないと考えておりますので、一体この警察を担当されておる大臣としては、この府県赤字政府責任で埋めて行く、いわゆる政府責任をもつてこれを解決して行くというようにお考えになつておるかどうか。この点をひとつはつきりこの際聞いておきたいと思います。
  22. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 新しい警察制度への切りかえは、七月一日より御承知のごとく行われました。おかげさまをもちまして円満に新制度への切りかえを完了することができました。この点御協力に対して感謝をいたす次第であります。問題は、今後の運営を円滑にするためには、どうしても給与の問題が非常に重要であるということでありまして、地方の実際の給与が、自治庁も午前中御答弁を申し上げたようでございますが、今のところ四十億程度を見込まれておるようでございます。この差額の負担につきましては、見るものは当然見てあげなければならぬのでありますが、大蔵省自治庁もさらに実際にあたつて調査したいというふうに申しておるようでございます。私どもとしましては、実際に支払われるものが不足であるということでございますれば、給与の問題は非常に重要でございますから、十分実際を調査した結果を待ちまして、これが円滑に行われますように努力をいたす考えであります。
  23. 門司亮

    門司委員 今の大臣の答弁はきわめて常識的な答弁であるように一応承つたのであります。努力をすると、こういうお話でありますが、これはいずれ自治庁なり大蔵省によく念を押さなければ、どうも大臣だけではなかなか返事ができないで、努力するというような御答弁になつたと私は思いますが、責任の帰属はやはり大臣にあるのであります。これは警察を受持つておられた大臣がしばしばここで言われているところであつて大蔵省あるいは自治庁との了解の上で、政府の一体の意見として言われたというように解釈するのが正しいと私は思います。従つてやはり自治庁大蔵省に実質的の相談はされるかもしれないが、責任者としては警察大臣がこれを言明されることが私は妥当であると考える。だからただ努力するというようなことでなくて、必ずやるというふうにここではつきり言つておいてもらわないと困るのであつて、その数字が出るか出ないかということは、それは自治庁大蔵省でお調べになればわかるかもしれない。しかし出た場合にはそれに努力するというような不安定なことでは困る。それでなくてさえ本給が少くなるとか、給与が少くなるということで優秀な警察官ほとんど全部と言つていいほどやめて行つているのです。あとつている警察官が優秀でないとは言えないかもしれませんが、大体そういう事態になつているときに、給与の差額等について国がめんどう見ないということになればちよつと困ると思う。従つて大臣は、ただ努力するというだけでなくて、必ず支払うという答弁のし直しを私は要求するものであります。
  24. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 私は公式の席上において努力すると言いますことは、これをやるということに極力努めるということでございまして、もとより責任を持つてお答えを申し上げておるわけでございます。六月十八日に御承知のように全国知事会議がございまして、その際私も自治庁長官と同席いたしておりまして、給与切りかえ後、政府はその責任においてすみやかに実情調査を行い、各府県の所要経費の総計が地方財政計画に示す二百五十億円を上まわるときは、これに適正な補正措置を行うということを政府の言明として言つておるのでございまして、知事会議もそれに信頼するということを申合せておられる次第でございます。以上のようでございますので御了承を賜わりたいと思います。
  25. 西村力弥

    西村(力)委員長代理 この際御報告申し上げます。先ほど委員会の要求に基きまして小坂国務大臣、小笠原大蔵大臣、塚田自治庁長官の出席を求めましたが、小笠原大蔵大臣はFOAの折衝のため出席できかねる、よつて大蔵省主計局次長、正示啓次郎君が代理に出席になりました。それから塚田長官も用事のため出られないので、次長の鈴木俊一君が御出席になりました。関連しての御質問をお願いいたします。
  26. 北山愛郎

    ○北山委員 ただいま問題になつております府県警察費のことにつきまして、私も二、三お伺いします。ただいま小坂大臣は、六月十八日の知事会議におきましても、各府県の所要経費不足しておるということで知事会議から申入れがあつて政府責任において善処するというように言つておるのだということでありまして、今も門司委員の質問に対しましては、そういうふうに努力をすると言つておられますが、しかしすでに六月の十八日においてこの問題が起つておるわけであります。しかも善処するということまで言つてあるわけであります。従つて今までに具体的に一体どういうふうな話合いをしておるのか。実情の調査をすると言つておりますが、実情の調査をやつておるのかどうか。こういうことを具体的にお答え願いたいのです。
  27. 鈴木俊一

    鈴木説明員 警察法施行関係地方財政上の措置の問題でございますが、先ほど来小坂大臣からお話がございましたようなことで、政府としては、具体的な調査を行いました上で、これに対して所要の措置が必要であればこれを行うという態度をとつておるわけでございまして、そのための具体的な手続をどういうふうに進めておるかというお尋ねでございますが、これは自治庁警察庁並びに大蔵省関係の部課長たちが、それぞれ資料を持ち寄りまして、調査方法等、従来のいろいろな調査の経験を基礎にいたしまして、今話合いをいたしておる最中でございます。七月一日からの施行でございますので、また県によりましては予算的の措置が若干ずれて遅れておつたようなところもあるような次第でございまして、やはり一応安定すると申しますか、措置ができ上りましたところで、調査をいたしませんと、土台がぐらついておるわけでございますので、まず大体八月の一日ごろを基礎にいたしまして、八月中に調査を完了して所要の措置を講じたい、こういう考えで進めておる次第でございます。
  28. 北山愛郎

    ○北山委員 どうも予算は七月の一日から実施ということでございますから、それまでに、どの県も一応予算は組んでおる。たとい暫定予算にせよ組んでおる。でありますから、今まで約一箇月の間、何もしないでおるというのはおかしいと思うのであります。ことに各府県状況は、すでにそれ以外の通信簿においては、ある程度それぞれ明らかになつておる。にもかかわらず自治庁においては予算の実態をつかんでおらない。二十何日もたつてからつかんでおらないということは、午前中お答えがありましたが、まことに私どもとしては不満に思うわけであります。すでに先月大きな問題となつておることについて、その実態の数字ですらつかんでおらないということでは、一体ほんとうに実情調査をやる気持があるかどうかということさえも疑われる。そこでお伺いしますが、一体この調査の中心となるものはやはり自治庁が中心となつてやるのであるか、そういう点について一体どこが中心になつて責任を持つてやるのであるか。自治庁が中心になつてやるのであるか、その点をはつきりとお答、え願いたい。
  29. 鈴木俊一

    鈴木説明員 これはそれぞれの所管の事項に関しては、関係の省庁みな関係があるわけでございますので、自治庁といたしましては、地方財政という面から、警察庁としましては警察という事務の面から、また大蔵省としましては当然国の財政というような見地から、これについて調査を行うわけでございまして、自治庁地方財政の問題で、直接の担当者でございますから、ある程度積極的にこの問題についてはとり運ぶ考えでおりますし、またそういうような請合いをいたしておるのであります。調査をいたさないとかいたすとかいうような不確定なことではありませんで、これはそれぞれ関係の機関の間ではさき申し上げましたような時期におきまして調査を行う、こういうことははつきりときめておるのであります。今具体的にどういう方法調査するということに、いろいろと協議を重ねておる次第であります。
  30. 北山愛郎

    ○北山委員 こまかいようでありますが、それでは今までとにかく大蔵省警察庁自治庁の間で相談になつた調査方法というようなものについてきまつた点がありましたならば、どういう方法でどういう地域をどういう事項について調査をするか、それをお話願いたい。
  31. 鈴木俊一

    鈴木説明員 まだいろいろ案持ち寄りまして、協議相談中でございまして、これというふうにきまつたものはございません。御承知のように昭和二十六年の予算措置の際に、地方公務員のベースを予算算定上切り下げた、こういうことがございますが、それに対して実情は必ずしもさように相なつておらぬというようなことで、実際がどうかということを調査しよう、こういうことで地方公務員の給与実態調査を行つた経験が一度あつたわけでございます。そういう経験を基礎にいたしまして、またその他の新たなる要素を加えましてどういうものがよろしいか、今調査方式をおいおい確立しようということで努力中でございます。
  32. 門司亮

    門司委員 関連して。今の自治庁の次長の答弁ですが、この問題は従来の給与の問題とは違うのであります。今度は支給の対象が違うのであります。今まで市町村であつたものが今度は県が支払うことになつておる。従つて今までの市町村のとられた処置がいいか悪いかということも一応考えられる。しかし受入れる府県としては、たとい処置が悪くてもそれは市におるときに処置が悪かつたのだから県が責任をとらないのだということは、この場合は言えないはずだ。少くとも府県は、ここでしばしば警察法改正のとき問題が出たように、給与その他についてはできるだけそうしたトラブルが起らぬようにして行くということは、政府当局もしばしば言明している。しかも責任の主体が今度かわつて来るのであります。従つて今までのように、昔こういう考え方を持つてつたからそれによつて調査をするということは、私は自治庁考え方はどうも政府の言うことを聞かないで、給与が高かつたのだ、だから高い分だけはめんどうを見てやらないという考え方政府の頭の中にあるんじやないですか。だからわれわれから考えれば、市町村の分を県が受継ぐのだから、そのままの姿で受継いで来て、そうして足りない分は素直に国が支払つてやるという態度が最も望ましいと思う。たとえば大蔵省自治庁調査をするということは、その報告がまとまつたらそれをうのみにする寛容な態度でちつともさしつかえないと思う。調べようと思えば当該市町村がどういう待遇であつたかということはすぐわかるのであるから、それより以上の待遇は許されないかもしれないが、しかしその限度においては当然私は政府がこれを認容してやらなければ、府県警察職員に対する調和はとれなくなると思う。だから責めるものは地方には何もないと思う。だから今のような調査方法についても、そういう経験があるからひとつそれでという、へんににおわせるようなことを言わないで、実態がそれであつて県がそのまま受継いだのなら、支払うべきものは支払うというすつきりした答弁をこの際してもらはなければ困ると思う。
  33. 鈴木俊一

    鈴木説明員 今回の調査警察給与費の調査ということではございませんで、警察全体についてはたして財政計画現実警察関係予算上の措置とが、どういうふうに食い違つておるか、食い違つている理由は何であるかを明らかにいたして、それに対する政府としての講じなければならない点があるならばその必要なる措置を講ずる、こういう趣旨のものでございますから、さつき私が例として申し上げましたのは、それら各種調査の中で一番ウエートの強い給与費の関係調査の場合に利用する一つの手段として、かつての例を引いて申し上げたわけでございますが、もちろんそれだけにとどまるわけではありません。従いましてその方法に拘泥するつもりでもないのでございますが、そういうものを参考といたして全体的に調査しよう。こういう意味でございます。
  34. 門司亮

    門司委員 どうも言葉じりをとつて文句を言うわけではないが、もう一つの問題は警察費全体の問題になるということになればいろいろ問題があると思う。たとえば予算の上で多少の食い違いができはしないかと考えるのは財産の問題である。無償で渡すという規定も一応あるようだが、しかしこれはやはり地方自治体市町村の議会でおのおの有償でなければ困るという議決をした場合には没収するわけにいかぬと私は思う。たとい無償と書いてあつても、どこからどこまで無償とするということは書いてない。同時に自治法の関係からいえば、重要なる財産については市会の議決を経なければならないということになつておる。しかもそれは大体有償ということになつておる。従つて自治法から来るものと、おのおのの市町村の持つています条例もまた大体同じようなことになつておると思う。従つて警察財産をかりに国の方ではこの程度まで無償で譲渡ができるであろうと考えておつたところが、案外無償譲渡が少くて、有償の譲渡がふえて来るということもわれわれ一応考えられるので、その辺の食い違いが出て来ないか、これらの数字にたとい食い違いが出て来ましても、それらについては何も自治体自治体との間の関連性であつて、それを政府が責めるべきではないと思う。一つの市の議会で議決されたものが高いとか安いということについて、国がそれを査定して、実質上県の支払つた額よりも少いものを国が県に支給するというようなことであつてはならないと思う。従つてこの場合はそういうものを含めて指すといつておるが、その調査の実態というものはあくまでも県の申請が間違つておるかどうかという点についての調査で、それは必要と思う。しかしそれ以上につつ込んだ調査の方針を自治庁が立ててやるということは、私はこの場合差控えるべきじやないかと考えます。これについての自治庁側の御見解を承つておきたい。
  35. 鈴木俊一

    鈴木説明員 政府としましての地方財政上の措置といたしましては、地方現実に支出いたしました経費をそのまま見るということは、これはそれぞれの団体によつて違うわけでございますから、これはできないわけでございますが、しかし財政措置をいたします以上は、やはり一定の基準従つて、その基準を基礎にして、それぞれ算定をして参るほかはないと思うのであります。そういうものを算定基準としてとりますものが、はたして実際上の現実警察費の支出とはなはだしく食い違つて実情に沿わないものであるということになりますと、全体の財政措置というものが不適当である、こういうことになるわけでございますから、算定の基礎としていろいろ用いておりますものが、はたして実際の警察費の上からいつて実情に適するかどうか、こういうふうなところがやはり調査の主たる眼目であろうと思うのであります。従つて御心配の点もごもつともと思いますけれども、大体今申しましたような考え方で参りますならば、そう国家の筋とは違うことにならないのじやないかというふうに考えておる次第であります。
  36. 北山愛郎

    ○北山委員 この問題については、自治庁の方としてはまだ資料がそろつていないというお話ですが、いろいろ伝えられるところによると、大体どこの府県でも同様の傾向を示しておるわけです。それはまず警察側の予算要求、それから自治庁の所要額の基準というものの中間にちようど各府県警察予算がきめられておる。たとえば広島県でいえば警察側の要求は八億七千万円、自治庁の方の査定というか基準額というものは、五億五千九百万円、これに対してその中間の七億一千百三十万円というところにきまつておる。あるいは愛知県であれば警察側の要求は十五億六千六百万円、自治庁基準額というものは六億三千九百万円、その中間の九億四千万円のところにきまつておる。こういうふうにどこの府県もみな共通して、まず警察側の非常に厖大な予算要求がある、ところがそれよりも低いところで実際の警察費予算がきまつておりますが、自治庁基準というものはそれよりもまたずつと下まわるものであります。従つて府県の三段階のちようど中間のところにきまつておるというような同じような傾向を示しておる。  そこでお伺いしたいのは、一体警察側の方では今申し上げたように、各府県とも実際の予算よりは、自治庁基準額よりはずつと上まわる予算要求をしておる。また実際のきまつた予算よりも、その要求は上まわつておるわけですが、一体府県警察の要求というものは正しいものと思うかどうか、これをひとつ小坂さんからお伺いしたいのであります。結局警察の要求としては予算の多い方がよろしいだろう。しかも今回の場合は、国警の方から移つて行く警察官給与をこの機会に上げてもらおうというところに、その大きな理由があつたようでありますが、そういうふうな要求を一体正しいものとして今後支持して行くおつもりであるかどうか、これを警察側の立場からひとつお聞きをしたい。もしもその要求が正しいとして、どんどん国警側から移つて行く警察官人件費というものをふやすということになりますならば、府県警察費はどんどん増大して、自治庁基準よりはますます離れて行く、こういうふうな傾向を示しておると思うのです。ですから、警察側のこのような要求というものは、これから正しい傾向として支持して行くおつもりであるかどうか、この点をまず小坂さんからお伺いしたい。
  37. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 警察側といたしましては、それぞれ具体的なデータに基きまして予算要求をしておるわけでありますが、具体的な問題にわたりますから、警察庁長官からお答えいたします。
  38. 斎藤昇

    斎藤説明員 警察庁といたしましては、やはり政府の立てました中央の財政計画あるいは地方財政計画というものにできるだけ即応して参らなければならぬということは当然だと考えます。しかしながら現実に第一線において予算を要求するものといたしましては、できるだけいい行政をやりたいという意味から、地方の財政当局に予算要求をするというのも、これは十分了解のできることだと思うわけであります。そこで府県の財政当局とされましては、中央で立てられた地方財政計画というものと自分の県のほんとうの自力というものをにらみ合せまして予算を決定されるというのが、現在の府県なりあるいは市町村自治体のほんとうのあり方であろうと考えるのであります。従いまして府県警察で要求いたしました経費というものは、そのままにどうしても貫徹をしなければならないものだ、かようには警察庁としては考えてはおりません。しかし財政余力のある、力のある県におきまして、知事がこの程度は当該の県としては妥当である、こういうようにきめられました場合に、これが自治庁あるいは政府のきめた財政計画よりも若干上まわつておるというような場合がありましても、これは適当であろうと思うわけであります。ただその際、中央できめました地方に対する財政計画というものが、あまりに事実とかけ離れておるというようなことであれば、われわれの方は府県の意向を自治庁側あるいは大蔵省側に伝えまして、その点の是正を願うというようにすべきであろう、こう考えておる次第でございます。
  39. 北山愛郎

    ○北山委員 警察側のお考えはただいま御答弁の通りでありますが、自治庁としてはこの問題についてはどういうふうにお考えになつておるか。地方財政計画に盛られておる警察費基準額、これをオーバーした場合には、これは当然府県に対してそれだけ財政負担を増すということになることは明らかなんです。それで警察側としては、ただいまお話の通りに基準額以上に実力があるならば、府県の方としてもできるだけめんどうを見てやつてもらいたい、こういう御希望のようであります。ところがそれがはたしてできるかどうか、現在の府県総体として一体そのような財政計画に盛られている以上の警察費負担する能力があるかどうか、これについてのお考えを塚田長官からお伺いしたい。
  40. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 当初警察都道府県に移管されるにつれての財政計画は、一応政府としてこういう形で警察が移管されるということを頭に置きまして、その形で移管されるならばこのくらいの金がいるであろうということを頭に置いて財政計画を策定いたしたわけであります。従いましてわれわれとしてはこれで十分やつて行けるんじやないかと思つてつたのでありますが、先般知事会議のころから盛んに問題になりまして、どうも検討してみると、若干考えに足りなかつた部面もあつて、少し足らない部分があるのではないか、その数字が大体三、四十億の間ではないだろうかということは、先ほど来小坂大臣及び私の方の次長からお答えした通りであります。だが個々の団体について、財政余力があるものがどういうぐあいにするかということは、これは形式的なお答えになりますけれども、これはおやりになるところがあるとすると、私どもとしてはそれまでやつてはならないというように指示するわけにも参らない性質のものなのでありますが、ただ全体としてそういうところが出ますと、何にいたしましても全国にわたつて一つの組織なものでありますから、調和がとれなくなつて、結局少いところから問題が起きて来るというようなことになつて、あまり好ましくないと私どもとしては考えているわけであります。しかしまたそういう問題とは別に、そういう財政余力が全体としてあるがろうかどうだろうかということになりますと、私どもといたしましては、今日の府県の財政の状態でそういうような財政余力が、一般的に見てあるとは少しも思われないのでありまして、大体予算ぎりぎりのところであろう、それに若干足りないくらいというところが実情であろう、こういうふうに考えております。
  41. 北山愛郎

    ○北山委員 財政余力が大体においてないというお話なんですが、おそらくそれは今年度の自治庁考えられた地方財政計画が精一ぱいである、私どもはそういうふうに解釈するのであります。そうでなくとも、すでに二十八年度のおしまいに何百億という赤字が出ている。しかもわれわれが前の国会で指摘をいたしました通りに、今度の財政計画というものは非常に無理があつてその中には赤字をますます増大させる原因があると私ども考えるという点を指摘いたしまして、しかも地方から伝わつて来る各府県の情報というものは、地方財政の危機を伝えているわけであります。その際において私どもは、自治庁が今度の地方財政計画の中に組んでいる警察費というものは、地方財政の能力としてもぎりぎりのところだ、かように考えるのですが、その点についてはどうお考えですか。
  42. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 私も大体にその通りだと考えておるわけです。
  43. 北山愛郎

    ○北山委員 そういたしますと、これは長官も御出席になつた六月十八日の全国知事会議におきまして、二百五十億というものを超過した場合におきましては、その分について補正してもらいたいという各府県知事の方の、要望に対して小坂大臣並びに塚田大臣は、これに対して善処するということを答弁しておられるわけでありますが、塚田長官としては、二百五十億を上まわる分については何らかの財政措置地方財政上必要であるというふうにはつきりお考えになつていると思うのですが、当然そうだろうと思うのですが、あらためてお答えを願いたい。
  44. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 その通りに考えまして、調査をした結果不足額が出て参つた場合には、これはどうしても地方財政計画の補正をしなければならない、かように考えております。
  45. 北山愛郎

    ○北山委員 非常にこまかい調査をなさるような御予定のようでありますが、しかし大ざつぱに言つてもすでに四十億くらいは赤字になるそうだという午前の財政課長答弁でありました。それではかりに四十億として、これをどういう方法で一体財政的な措置をおとりになるお考えでおられるか、これは政府全体として自治庁あるいは大蔵省にもお答え願いたいのであります。
  46. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 地方財政計画を策定する場合の大体の考え方は、北山委員もよく御承知の通りだと思うのでありまして、結局その不足額がどこから出て来るかということを見ました上で、それに応じて地方財政計画を策定する場合の考え方従つて、ある場合には交付税を考え、ある場合にはまた起債を考えるということになると思うわけであります。交付税を考える場合に、今度の交付税の式が昔の交付金と違つて、足りないから予算措置でふやすという考え方になつておりませんから、その場合の具体的な問題はそのときたなつてみないとわかりませんけれども、大体抽象的に申し上げますならば、そういう考え方で補正をして行くことになるわけであります。
  47. 北山愛郎

    ○北山委員 これは調査をしてからというお話でありますが、実際の府県の実情からいえば、たとえば毎月の人件費を出す場合におきましても、今度は警察というものを背負い込んだために、毎月の支払いというものが非常に大きくなつておるということは、もう御承知の通りなんです。従つて今後どういうふうにしてやつて行くか、これが今の問題だと思うのです。すでにある府県においては、八月の給与が支払えるかどうかということを非常に懸念をされておる、こういうように窮迫しておるわけであります。従つてこれに対して一体どういう措置をとるかということは、その方法をすみやかに明らかにしなければならぬのじやないか、かように考えるわけでありますが、大体いつ、ごろそのめどがつくか、その調査は八月一ばいという話ですが、そんなこまかいことをやらなくても、大体結論としては出て来るのじやないか。おそらくはかの費目についてもそれほど詳しいことをやつておらぬと思います。しかもこの問題については、新しい問題じやなくて、すでに市町村においてやつてつたものを持つて来る、あるいは国警でやつてつたものを移したということでありますから、こんなややこしいことをやらなくても、すでにおわかりになつておる部分が多いのだろうと思う。従つてすみやかに調査なら調査をやつて、早く結論を出していただきたいのですが、一体その結論というのがいつごろになるのかという点をお伺いしたい。  もう一つは、すでにその原因としてはわかつておる分があるのじやないかと思います。たとえば今度の場合に、定員外の職員に対しての給与措置をとつておるかどうか、あるいは日直、宿直の手当等について、今までの状況よりも非常に不足になつておるのじやないか、あるいは被服の手当についても不足になつておるのじやないかということで、すでに自治庁なりあるいは警察側においてその原因がわかつておる分があるのじやないか、こういうふうに考えるのですが、その点についてはどうであるか、これをお伺いしたい。すでにその原因は調査せぬでもわかつておるのじやないかということなのです。この二点についてまずお答え願いたい。
  48. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 もちろん調査はなるべく急ぎまして早く結論を出して解決をしたい、こういうように考えておるわけでありますが、ただいま北山委員がおつしやいましたように、最近の地方財政が支払い資金に困つておるという事情は、むしろこの問題とは別個に起きておると私は考えます。これは一般的に過去に赤字が累積しておるということと、それから例年の財政計画でも、第一、第二・四半期には収支がバランスがとれないで、たいていつなぎ融資でまかなつて来ておつたという事情がからみ合いましてそれに今年の緊縮政策で地方銀行があまり資金的な協力を各自治団体にしてくれないということなどがからみ合つて、問題が起きておるのでありまして、従つてこの額は三、四十億なんという問題ではないのであります。私ども非常に心配をいたしまして、その問題はその問題として、別個に最近いろいろな実情を調査をして、早急に何らか打つ手があるならば、大蔵省あたりとも相談をして手を打ちたい、こういうように考えておる。それとは別個にこの警察問題の不足というものは考えます。そうしてなるべく早く結論を出して、是正すべきものは是正する、こういう考え方で行きたいと存じております。
  49. 北山愛郎

    ○北山委員 その他いろいろ財政あるいは予算については問題があるのであります。たとえばこれはある府県で特に問題になつた例でありますが、ガソリン譲与税というものを今度の警察費財源に充てて予算を組んだ。そこで非常な問題が起つた。問題が起らないような県においても、財源としてはガソリン譲与税を充てておるところがあるわけであります。これはなるほど全体の予算の収支、いわゆる追加予算のみならず、当初予算等を通算して考えてみれば、一応つじつまは合うようでありますけれども、しかしそうなると、これが今度追加財源として組まれたガソリン譲与税というものは、実は前の土木費の中にある道路費に見合うものであるというような解釈になろうかと思います。そうすると理論的にいつて、前のすでに当初予算なら当初予算に組まれた道路費というものは、このガソリン譲与税による建設大臣の指定府県道に充てられるということにならなければならぬ。前後非常に矛盾するのであります。こういう点については一体どう考えておるか、これは鈴木さんからでもお答え願いたい。
  50. 鈴木俊一

    鈴木説明員 ガソリン譲与税は七十九億あるわけでございますが、この中で四十八億と三十一億、性質が二つあるわけであります。四十八億の分の方は、五箇年計画の指定道路にこれを使わなければいけない。三十一億の方は道路の一般財政、需要にこれを使う、こういう形になつておるわけであります。前者の方は従つて道路費の中でも特に特定された方に使う、後者は一般の道路費、こういうことになるわけであります。そこで先般揮発油譲与税を配分いたしたわけであります。これは性格といたしましては、そのように定められたる使途に充てなければならぬわけであります。従つて通常の状態でありますならば、配分せられましたものがただちに道路費の方に支出せられ、あるいはその費用を今使う必要がないものは積立てておつて年度内に道路費に出す、こういうことになるわけでありますが、最近の地方財政の実情は、御指摘のような非常にきゆうくつな状態でございますので、さような具体的な経費の費途とは一応別の問題として、いわゆる金繰りの問題として、さしあたつて県の金庫にあります金を、最も緊急を要する経費にこれを使う、こういうような実際上のやむを得ない必要から、そういう処置を行つておる県が、御指摘のようにないわけではありません。そういうことが一般化することは確かに好ましくないことでございますけれども、しかし年度内において今の七十九億がそれぞれの目的の道路経費に支出されますならば、その中間の過程において他のそのときにおいて特に緊急な経費に支出せられましても、これはどうもやむを得ないのじやないかというふうに考えておるわけであります。そのために道路関係の事業費の支出が遅れ、あるいは道路関係の事業の執行そのものが遅れるということは、まことに好ましくないことでございます。そういうことになりますことは、遺憾ではありますけれども、しかし行きました金を、ただちにすぐすべて道路費に支出する必要がないような場合もあり得るわけでございます。そういう場合には、一時その余裕のある期間だけこれを他に流用するということがありましても、これは絶対にいけないということは申し上げかねるので、金繰りだけの問題であるというふうに考えております。
  51. 北山愛郎

    ○北山委員 そうすると、金繰りだけの問題だということになると、今回各府県において警察費財源としてガソリン譲与税を引当てたという場合に、一応それを警察費に充てて行く。しかし今後の追加更正予算においてそのガソリン譲与税に見合うところの歳出の方の道路費を置かなければならぬ。当然こうなると思うのですか、その財源は一体どうするのですか。必ずそうなるとはみ出してしまうような感じがするのですがどうですか。
  52. 後藤博

    ○後藤説明員 先ほどのお話、私は具体的によく知つておるのでございますが、警察費の歳出を組む場合に、歳入の方に立てるものがないのでガソリン譲与税を組んだ。それが県議会で問題になつたお話だろうと思います。ガソリン譲与税はお話のようにひもつきのものでありますから、警察費財源として見るのはおかしいじやないか。こういう議論が県議会の方であつたのであります。私どももそうだと思います。しかし当初予算に、ガソリン譲与税を含んでおれば問題はなかつたのでありますが、当初予算の他の歳入の方を非常にかたく見ておりますので、つじつまを合せるためにガソリン譲与税を持つて来て、警察の方の財政需要に見合うところの歳入に充てた。すこぶる関連があるようなふうになりましたので県議会で問題になつたのであります。それで私どもとしてそれはひつ込めた方がいいだろう。歳入の方をガソリン譲与税で立てるということはそういう誤解を招くからひつ込めて、そうして歳入の方を検討しましたところが、起債の充当率その他で歳入の見積りをもう少し延ばした方がいいと思いましたので、そちらの方でかげんをして行つた方がいいではないか。ガソリン譲与税の問題は五箇年計画の関連がございますので、少くともそちらの方の財政計画がはつきりきまつてから、はつきり歳出歳入の方に載せた方がいいだろう、こういうことで話をつけたのであります。おそらくそのお話だろうと思います。たしか一つの県であつてどもそういう指示をしたことを覚えております。
  53. 北山愛郎

    ○北山委員 それは岡山県の例だと思うのですが、しかしほかの県でもおそらく今度の警察費財源としてガソリン譲与税を引当てている県があると思うのですが、その県では問題になつても大した問題にならないで済まして来ておるという県が私はあると思うのです。そういう場合にはどうなりますか。そうすると結局将来はガソリン譲与税に見合うべき道路費の歳出というものを立てなければならぬと思うのですがどうですか。
  54. 後藤博

    ○後藤説明員 歳入の関係はそれぞれひもがついた財政需要があるわけではないのでありまして、一般財源としての歳入を見て歳入にあげておるのでありますから、私どもはすぐそれに見合うところの歳出を立てなければならないとは考えておりません。歳出の方が確定した場合には、歳入の方と見合つて、そうして新しい計画でもつてつてもさしつかえない。すぐ同じように載せて行つていいのではないか。これは一般財源という関係から、私どもは常にそういうことを申しております。
  55. 北山愛郎

    ○北山委員 この問題はあとで財政を審議する際にまたお聞きしたいと思うのです。   この際、これは直接の予算のことで、はございませんが、これもこの前の全国知事会議で問題になつた、一つの点は、例の警察法の三十七条に言ういわゆる全額国庫支弁の経費の経理についてであります。これは委員会でもいろいろそのやり方について問題がありましたが、府県本部長を支出官として、それに支出事務を委任しておる、こういうことになつておるようでありますが、それについては大体そのようにやつておられますかどうですか。
  56. 柴田達夫

    柴田(達)説明員 ただいま北山さんからお話がございました国費についての支出官の問題でございます。法規に基きまして大蔵大臣と協議するという手続を経まして、警察庁といたしまして府県本部長をこの関係の支出官に指定をいたしましてこのように手続をしております。
  57. 北山愛郎

    ○北山委員 そうしますと、本部長府県職員であるから、そこで府県職員国費の支出事務を、委任するという会計法の四十八条ですか、あの形において処理されておるわけだと思うのですが、前国会委員会における御答弁とは若干違うように思うのでありますがどうでございますか。
  58. 柴田達夫

    柴田(達)説明員 ちよつと根拠の条文を忘れましたけれども府県職員に処理せしめる、委任するという方ではなくて、国の行政機関でございましたか、その方の条文によりまして大蔵省の方と御相談いたしまして支出官に指定することにいたした次第でございます。
  59. 北山愛郎

    ○北山委員 そうするとただいまのお話でありますと、会計法の第十三条、いわゆる各省各庁の長が所属の職員にその支出事務を委任するという規定だろうと思います。そうしますと、これまた柴田さんの前国会委員会における説明と違うのです。というのは、府県本部長とかそういうものもこれは府県警察職員である。明瞭に国の行政機関の職員ではない。府県自治体警察職員である、こういうふうに言つておるのです。府県本部長というものはいわゆる各省各庁の長である。警察庁なら警察庁職員ではないと言つておるのです。ですから会計法十三条の規定は当てはまらぬ。一体どこに根処を置いてそういうことができるのですか。
  60. 柴田達夫

    柴田(達)説明員 ただいまお話がございました国会におきまする警察法関係の御答弁として、そういうふうに申し上げたことはお話の通りでございます。それで今お話のございました国費の支出官の指定につきましては、会計法の二十四条によりまして、各省各庁の長は、当該各省各庁所属の職員に、その処理をせしめる。この所属の職員を、今お話がございましたように行政組織としての国の行政機関というふうに厳密に見るか、あるいは府県警察の一定範囲におきましてはこれを国費支弁にいたしまして、そうして費用の関係におきましては予算の部局といたしましてもそういう扱いをいたしておりますので、所属の職員と呼べないことはない。こういう大蔵省との間の話合いが、ございましたけれども、まさしく今お話が、ございましたような疑念がございますので、会計上におきましては府県本部長警察庁に併任をするという措置をとりまして、成規の手続を経ました上で、二十四条によりまして指定いたした次第であります。
  61. 北山愛郎

    ○北山委員 そうすると、警察本部長というのは警察庁の所属にもするような処置をとられておるということですか。
  62. 柴田達夫

    柴田(達)説明員 会計事務のこの二十四条に関する限りにおきまして、警察庁職員を併任いたす、そういうことになります。
  63. 北山愛郎

    ○北山委員 警察本部長は、やはり府県警察の運営に当る職員として、府県公安委員会の管理のもとに置かれておる、そういうふうなのが本筋だろうと思うのであります。従つてそのように面接その府県職員である本部長が、国の行政機関の構成員であるというふうな措置は、一体警察法のどこに根拠を置いてそれをおやりになつておるか。単に身分上国家公務員であるということは書いてあるけれども、しかし職務上、警察の運営上、やはり経理事務も、大きく言えば予算経理という問題も、これは警察の大きい意味の運営です。その運営においては府県警察の中になければならぬものが国の行政機関の方に入つて来るというのは、一体警察法のどこにその根拠があるか。どうも非常にその点が不明瞭なんです。
  64. 柴田達夫

    柴田(達)説明員 ただいまのお尋ねでございますが、一般的に府県警察本部長の職責が——たとい国家公務員でございましても、府県警察の機関としての職責であるということはお話の通りであります。ただ会計経理の関係につきましては、警察法の三十七条によりまして、一定の範囲国費として面接支弁することになつておりますので、その国費で直接支弁する経費の管理につきましては、これはやはり国が監督する、今根拠を示せというお話につきましては、警察法の三十七条が根拠となりまして、国がこの国費の経理につきましては監督するという考え方が当然生じて参ると思います。そういうことからいたしまして、会計法の支出官の指定につきましては、会計法の二十四条によりまして処置をいたす、こういうふうに御理解願いたいと思います。
  65. 北山愛郎

    ○北山委員 たとい警察法にそういう規定がありましても、いわゆる国費で支弁するものについて、府県に対して府県職員にその仕事を委任するという方法は会計法上別にあるはずです。たとえば出納長でもだれでもいいのですから、いわゆる会計法上の四十八条ですか、そういう方法によつてやり道があるのであります。従つて警察法にたといそういうふうな規定があつたとしても、私どもとしては当然四十八条の規定によつてその建前をくずさないでやつて行けるものだ、かように当時としては解釈しておつたわけでありますが、この点はおそらく府県側においても同様に考えると思うのです。直接府県警察職員が国の出先になつて国費を直接もらつて、それも全然府県関係のないことなら別でありますが、府県警察の運営に要する経費を、直接国の機関になつてもらつて来る、そうしてこれを使うというようなことは、府県側としては、よく言われる府県自治体警察というような建前からも、私は不満だろうと思うのです。これについても例の知事会議において、政府側においてはしかるべき措置を将来は考えるというようなことを答弁しておられる。従つてはたしてそういうふうにおやりになる考えがあるかどうか。国費支弁についても、府県の出納長なら出納長にこれを委任するというような道があるのですから、それによつておやりになる方が適当であろうと私どもは思うのですが、そういうふうな措置をおとりになる考え方をしておられるかどうか、これをお伺いします。
  66. 柴田達夫

    柴田(達)説明員 先ほど来のお尋ねにつきましては、法律上の根拠の方でどういうふうに措置したかということで申し上げたわけでございます。ただいまお話が、ございましたように、知事会議等におきまして、一つの方針の問題として府県警察経費の中に国費支弁のもの、それから地方費支弁のものと、二通りできたわけであります。両方経費警察活動の上において役立つて行くことになるわけてあります。これを総合的に経理して行くには、知事側としてはむしろ府県の出納の職責において総合経理する方がうまく行くのではないかというような御意見があつたことはお説の通りでございます。ただそれに対しまして、私どもの方といたしましては、同じく府県警察の中に、国費支弁のものと、それから府県費支弁のものと二通りをつくりました趣旨から申しまして、やはりこれは警察活動の特質から考えていることなのであつて、そういうことから国費支弁というものを設けました以上は、警察活動の総合的な経理という点から、国費につきましてはむしろ府県本部長のところで支出ができ、かつ府県費につきましてもむしろその範囲内において、実情に応じて警察側において、実際問題として出納事務そのものでなくても、実際の経理の運用においては警察の活動を総合的にかつ敏速にやつて行くという意味から、どつかで総合経理をするという趣旨はかわりはないわけですが、むしろ警察の会計機関側において総合経理をする方が警察の実情に合うのではなかろうか、こういう見解をとりましていろいろ知事側の御意見のありましたことも確かでございますが、国費につきましては大蔵省自治庁とさらに相談いたしまして、その他いろいろな意見もございましたけれども、とりあえず警察法のそういう警察の特殊事情から生じているところの経費制度の方針をとつていただきまして、国費については府県本部長を支出官にするということで出発いたしまして、実際運用して参りまして、そのために国費の経理につきまして、かえつて総合経理がつかないというような事情が起れば、これはまた研究をしようじやないか、とにかく一応そういう方針で出発してやつて参る、こういう処置をとろうということにいたした次第でございます。知恵会議の際にも、とにかく最初はそういうかつこうで出て、さらに研究して参る、それが実情に非常に合わないということなら、もちろんまた考究しよう、こういう意味におきしまして出発したような次第でございます。
  67. 北山愛郎

    ○北山委員 ただいまの点を考えましても、今度の国費支弁になつておる四十八条ですか、ああいうものは、警察の最も中心になるような犯罪の捜査であるとか、そういうような警察運営の中心をなしておるような部分についての経費国費支弁だ、それから今度府県で組んでおる予算、それは人件費であるとか、あるいは事務費であるとか、そういうようなほんとうの警察というものを維持しておる、食わしておる、まかなつておるだけの経費であつて、捜査活動等の活動部門の経費は国でちやんとにぎつておる。これを見ても、私ども予算の実態を見ても、しかも今の経理の方法を見ても、自治体警察というのは、単に府県自治体にその警察人件費等をまかなわせる、負担させるという趣旨だけであつて、その運営の方の、中身の方は国の方でちやんとにぎつておる、こういうような点がますますもつて明らかになつておると思うのですが、それは別として、最後にお伺いしたいと思うのは、今までの状況から考えまして塚田長官は、今度の警察法というものはそうでなくても困つておる府県財政というものにますます赤字を加えることになるのではないか、こういうふうにはお考えにならないかどうか、この点を最後にお聞きしたい。
  68. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 これは先ほど来お答え申し上げましたように、今のままで放つておくとそういう結果になると思うわけであります。私ども警察制度改正考えましたのは、そういう財政面の考慮は自由に考えまして、日本の警察機構のあり方として、どういうぐあいにする方がいろいろな面から一番合理的であり、また便宜であるかということを考え結論なのであります。従つてその結論が出て、こういうぐあいの制度になりました以上は、今度その制度を頭に置いて、財政面の措置は必要なだけはして行く、こういう考え方をしておりますから、先ほど来申し上げましたように、この制度の上で出て来る不足額はぜひこれは措置をして、そうしてこの制度をこうしたら府県財政が一層きゆうくつになるということにはならないのだ、もし府県財政がきゆうくつになるということであれば、全般として考えて、それを是正して行く、こういう考え方で対処して行きたいと考えている次第であります。
  69. 門司亮

    門司委員 いろいろ議論はあつたが、大蔵省の見解はどうですか。府県の財政で赤字が出るということは、これは決定的なことでその通りだと思う。これに対しては今までの警察法の審議の過程においてはいろいろ議論はあつたが、今の塚田長官答弁は少しおかしいのです。それは経費が非常に安くなるからというが、国の経費が安くなつたということであるいは逃げるかもしれませんが、いずれにしても経費の問題については、国はこれを警察法改正の一つの大きな理由にしていることは間違いない。従つて国の経費が八十三億ばかり安くなつて現実地方費はふえておる、そうなつて来ると、地方費のふえただけはやはり国が補償するのはあたりまえだと思う。いわゆる制度の切りかえによつてできた一つの国の施策に基く経費である。従つて大蔵省としては、赤字の出ただけの分は府県に無条件で交付するであろうということが私は常識的に考えられるのだが、どうも最近の大蔵省は常識的に物を考えればぐあいが悪いようである。私はひとつ聞いておきたいのだが、当然政府責任だと考えるが、その点出すか出さないかはつきり言つておいていただきたい。
  70. 正示啓次郎

    ○正示説明員 実はけさほど来私ども鳩山主計官からお答え申し上げたのでありますが、警察関係予算の編成につきましては、警察庁なり自治庁なりの非常に正確ないろいろの資料をいただきまして、大蔵省としては最善を尽したのであります。理論的に申しますと、大体国で減りましたものは地方でふやすというような措置が講じてありますので、あと市町村府県との間の振りかわりの問題、こういうことに大きな筋はなつておるのであります。その筋から申しまして大きな違いはないというように考えておるわけであります。ただどうもいろいろ不足が出ておるというようなお話でありますので、先ほど来両大臣からお答えのように私ども驥尾に付しまして実情を調査いたすことに努力いたすつもりであります。その調査の結果が出ました場合、どういう措置をとるかということでございますが、これは財政全体の問題にも関連をいたしまするので、今後慎重に検討をいたさなければならぬわけであります。御承知のようにこれは門司委員が非常に大きな原動力になられたのでありますが、地方財政につきましては新しく交付税制度というものを設けられまして、これまた実施第一年でございます。その実施の状況等もこれからだんだんわかつて参るわけであります。従いましてこの際いろいろの部分的なデータを基礎にいたしまして、不足に対してどうするかということを軽々に申し上げることは非常にいかがかと思うのでありますが、要するに全体のわくの中の問題でありますれば、これは配分の問題に相なろうかと思います。そういうときには自治庁なり警察庁におかれまして配分を適切にしていただくことに、私どもとしては十分お願いを申し上げなければならぬと思うのであります。今度はわくが全体として非常にきゆうくつであるということに相なりますれば、これは先ほどお話のようにいろいろの全体の財源とどう調節するかの問題になつて来るわけでありますが、御承知のように交付税、譲与税その他起債というふうないろいろの方法で、また国有の税源の調達というふうな方法地方財政が整備されておることは申し上げるまでもございません。税制等につきましてもいろいろ改正が加えられておるのであります。私どもとしては今後この新しい制度の実施の実情をよく見きわめました上で、また先ほど申し上げましたところの実情調査の結果を見ました上で、これらに対する対策を講じて参りたいというように考えております。
  71. 門司亮

    門司委員 それではまるきりめちやくちやじやないですか。実情調査の結果だというが、結果であろうとなかろうと、とにかく出たものは国が補償するという態度が私は望ましいのである。ことに交付税なんというものは、これは、こういうものがちやんと政府の物の考え方の上に立つて交付税はきめられているのである。しかもその交付税の範囲は非常にきゆうくつです。それからさらに内容は平衡交付金とちつともかわらない。だから今のお話で交付税によつてこれをカバーするとかあるいはこれで按配するとかいうことはできない相談だ。それができたらたいへんです。もしそれができたとする、その範囲内でこれが納まるということになれば、これはあの交付税自身にも、あれをこしらえたときにも私は問題があると思う。問題は新しく出て来ている問題なんです。予算審議のときにもこういうことが一応考えられておつたが、私はそのことを聞き入れておらない。従つて今の予算措置の中にはあるいは財政の規模の中には含まれていない一つの問題である。だから出て来たものは調査の結果が多かろうと少かろうと、あるいは百億あるかもしれません、あるいはそれが三十億でとどまるかもしれない。しかしいずれにしても調査の結果赤字が出た場合には、それを大蔵省が何とか考えるということでなく、これは必ず国が補填するという建前をとつてもらわないと困るのです。あなた方の方では地方の市の方から県の方に行つただけだというかもしれませんが、これは台所が別なんです。同じ台所ならどつちでもかまわないが、とにかく市の財政と府県の財政は全然別の財政です。だからそういう考え方では私は困ると思う。もう一ぺんひとつはつきりと答弁しておいてもらいたいのだが、いずれにしても調査するとかしないとかは——われわれ先ほど来自治庁警察庁に申し上げたことであるが、本来ならすなおに、調査するなんというやかましいことを言わないで、市から移されたものをそのまま府県が支出するのであり、その間に何も水増しがなければ、足らないだけはすなおに見てやることが正しいと思う。そのことが警察官に対しても一つの動揺を与えない原因だと思う。それは大蔵省としては調査した結果考えるというのではなくて、調査した結果赤字があれば必ず出すということをひとつはつきり言つておいてもらわないと困る。
  72. 正示啓次郎

    ○正示説明員 お言葉でございますが、大蔵省は御承知のように受身の立場でございまして、先ほど申したように編成のときも両庁からの御要求を審査して、これで大丈夫ということで予算を組みまして国会の議決をいただいたわけであります。今回も非常に受身で、ございまして、足らぬということでございますが、先ほど申し上げたことを繰返すようで恐縮なんでございますが、国から出した金と市町村から府県に振りかわつた財源と、こういうものがつき合されまして府県警察というものをまかなつて行くわけであります。おつしやる通りなるほど台所は別でございますが、その台所の下の方で調節作用をいたしているのが交付税かろうと思います。この交付税その他の配分から考えまして要するにわく内の操作の問題か、あるいはわくを超過しての問題かということは、さらにその次の問題かと思うのであります。そういうこともよく考えました上でよく研究いたしたい、こういうことを申し上げたわけでありまして、決して見ないわけではない、何らかの措置を講じないわけでは、ございません。ただその態様をよく見きわめませんと、軽々に国が全部しりをぬぐいますという申し上げ方は、これは無責任な申し上げ方になろうかと思いますので、そういう結果を見きわめました上で処理いたしたいということを申し上げたのであります。何らの処置を講じないというような無責任なことは毛頭考えてないのであります。
  73. 門司亮

    門司委員 大蔵省は受身だというけれども一向受身ではない。実際は一番大蔵省が攻撃して来ているので、弱つている。今のお話のように、私もさつきから申し上げているように、現在の交付税の中にはこういうものは含まれていないはずです。これがもし含まれておつたとすれば、これは考え方違つておりはせぬか。そう私が言つているのは、国の考えていること、交付税の中に国が見積つてつた警察官一人当りの単位費用というものは安いのであります。実際よりも安く見積つておる。従つてこれを実際の姿で市から県に移せば、これだけのものがオーバーすることは最初からわかつている。だから何も、交付税のわくの中だといつているが、わくの中では操作できないはずです。大蔵省が始終やかましいことを言つて、わくを最小限度に締めている結果、それがいよいよ最終になつて来るとこういうものが出て来る。これはやはり大蔵省責任だと思う。国の交付税をきめたときの警察官一人あたりの単位費用というものを実際よりも非常に安く見積つたところにこういうものが現われて来ている。交付税に対してかつてそういうことがなければこういう結果は現われておらない。そこにこういう問題が出て来ているのだから、これは国が当然承知しておることである。従つてこれは交付税なんということでまた地方をいじめるような、またごまかすようなことを言わないで、ひとつ出ただけはすなおに支払うということを、はつきり答弁しておいていただきたい。あなたが答弁できなければ大蔵大臣に来てもらつてその点をはつきり聞いておきたい。
  74. 正示啓次郎

    ○正示説明員 今門司委員がおつしやられたことが、すなわち私どもとしてはよく調査をいたしたい、また資料をいただきたい点でございまして、単位費用の見方あるいは給与の単価その他が、やはり予算ときも十分いろいろ打合せをいたしたのでありますが、どうもそれが違つておるというような点も指摘されておるのでありますが、そういう実情をよく調べてみたいということを先ほど来申し上げておるのであります。この際お前はその結果をみな国が見るということを言えとおつしやいますが、それはどうも御無理かと思うのでありまして、まあ実情をまず調べますということを申し上げるのが、私どもの常識からいいまして、できることを責任をもつて申し上げる筋かと存じますので、そういう事態をまず明らかにいたしまして、予算の見方と実情がどう違つておるかということをまず明らかにすることが、第一歩だというふうに考えておるわけであります。
  75. 門司亮

    門司委員 これは実に奇怪な話ですが、今になつてそういうことを言われることは私はおかしいと思う。自治庁長官はどうなんです。今までの警察費の単位費用と今度新しく組まれた——変則国会でできたうその警察だとわれわれは言つておるのですが、化けものみたいな警察というものができたことはできたに間違いない。それの単位費用の見積り方が非常に違うので、ここにこういう問題が必然的に出て来たのであります。だから最初から政府のものの考え方が間違つてつた最初からでなくて何年か長い聞こういう間違いをしておつた従つて地方自治体では、おそらく警察を持つてつた市町村では、警察が持ち切れないというのが——警察にかかる単位費用というものを国が十分見てくれれば、あのような自治体警察のたくさんの廃止はなかつたと思う。国の警察費用の単位の見積りが少かつたということのために、自治体警察の持続の困難性が出て来たということは明らかな事実だ。無理をしておつた。その無理の、今までの罪悪の報いがここになつて出て来ておる。だから当然その罪悪については罪滅しのために政府がこれを全額支給する、この辺でひとつ罪滅しをするということが私はいいと思う。政府はもう一応の目的を達したのだから、そう地方自治体をいじめなくとも、出したらどうなんです。これは自治庁長官はどう考えるか。今まで単位費用の見積りが非常に安かつたということについて、あなたは是認されるかされないか。
  76. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 これは門司委員の今お述べになつておるようなお気持だと、若干私ども考えておるところと違うのでありますが、私どももちろんこの間の財政計画を組んだときには、ある構想を頭に置いてこういうぐあいにしていただけばこれで足りるはずだということで財政計画ができておつた。その構想でいろいろな条件を頭に置いて考えたものの中で、考え足りなかつた点があるというように私どもに思える。そこでそういう点を拾い上げてみると、これくらいの総額になるのじやないか、そこのところを第一には実情調査をしてみる、第二段には大蔵省とその点について話合いをしてみる、そこで納得の行つた線でもつて財政計画の是正をしなければならぬというように考えておるのでありまして、おそらくその中には門司委員がお考えになつておるような部分もあると思うのですけれども、今まで足りなかつた従つて地方警察を持てなくなつちやつたのだと言われるような全部のものが、その中に入つておるとは私には思われないのであります。やはり一部分であるというふうに了解をしておるわけであります。
  77. 門司亮

    門司委員 水かけ論みたいだけれどもこの点おかしいのです。それならばもう少しはつきりした方がいいと思うのだが、今まで従来の平衡交付金当時に見積つてつた警察の費用の単位と、それから今度の警察法人件費の単位はかなり大きな開きを持つておる。その開きは当然今度の問題で現われて来なければならない一つの筋だつたと思う。従来去年までの地方予算の査定のときの警察官一人当りというのは、大体十八万円くらいから二十二、三万円くらいにしかなつておらなかつた。今度の警察法関係から言えば、大体三十万円くらいのものを見てあるようだ。そうすると一人七万円くらいのものが違つてつた。ところがこれは国警に言わせれば、国警の方はいろいろな施設その他の費用がかかるから、それだけふえたんだとこう言つておる。ところが自治体の方はそれとはまつたく逆で、やはり装備その他にも費用がかかるが、同時に自治体警察の方が給料が割合に高かつたということが私は事実だと思う。そうすると警察官一人当りの単価をきめられるときに、国があまりにも単価を安く見積つてつた結果、やはり今日のようなことになつた。同時にそれによつて予算というか財政規模が立てられておるということになれば、これが赤裸々に出されて来て、地方警察官の実態というものを、政府は十八万か二十万かあるいは二十二、三万しか見ておらなかつたが、実際は三十万かかつてつた。その差額というものが四十億か五十億ここに浮き上つて来た。これは私は当然出て来ると思う。その責任をやはり今度は府県が負わなければならぬ。従つて国の今までのもう何年か長い間のこの単位費用の見積りが低かつたということがここに来て、さつきも言つたようにしわ寄せされたものがここに爆発されているというか、全部集積されて出て来た。決してこれは地方府県のせいでもなければ、市町村のせいでもない。この費用というものが実際の姿である。実際の姿であるとするならば、それは当然国が支払うという——、これが実際の姿でないということが自治庁長官には言えるのですか。今の御答弁を聞いておると、何だかわれわれには、大した間違いはない、少しもそんなものがないというわけではないが、出て来たんだと、こういうふうにわれわれは叢れるのです。全然なかつたとは言わなかつたように闘えるのだけれども、私は政府の今までの財政規模を立てるときの見積りが誤りであつた、その結果がここに出て来たのだ、だから、さつきから変なことを言つたようだが、政府もこの辺で一応自治体警察というものをなくしたのだから、今度は府県警察府県をいじめて、いよいよ男繁にしてしまうかもしれない。今まで財政的にずつと地方をいじめて来たその報いがここに現われて来たのだから、今度は財政的にはあまりいじめないように、現実の姿をそのまま認められることがいいと思う。従つてごく簡単に率直に聞いておくが、今のこの都道府県警察市町村から移された警察官の待遇その他は絶対にかえないということを、しばしば答弁されておるのであります。その通りに実施する。従つて府県でそれを実施するために赤字の出た場合は、国が補填するということは間違いがあるかないかということだけは、はつきり聞いておきたい。
  78. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 どうもいろいろ伺つていて、あるいはお尋ねの趣旨を正確につかんでいないかもしれぬのでありますが、私ども考え方としましては、過去の様相がどうであつたかというようなことは別に、今度新しい構想において出て来る警察制度というものを頭に置きながら、それに必要なものは財政計画の上に全部組み上げる。それをさらに幾らか削つてどうこうしようという考え方は毛頭持つておらぬわけであります。そういう構想でもつて一応策定いたしたのでありますけれども、やはり考えが十分でなくて足らなかつたと思われる面があるので、その面は調査の上で必ず補正をいたしますと、こういうようにお答え申し上げておるのでありまして従つてどもの気持からすれば、決してそのために府県に無理をかけるというような気持は毛頭ないので、警察制度が今日のあり方でわれわれの考えておる通りに行われておつてなおかつ府県財政に、自治庁財政計画の策定の上での警察費に、不足があるとするならば、これは当然見なければならぬと考えておるわけであります。
  79. 西村力弥

    西村(力)委員長代理 大矢君。
  80. 大矢省三

    ○大矢委員 これもどなたか御質問があつたかもしれませんが、二、三お尋ねしたいのです。今度の改正によつて引継がれた自治体並びに国警の方からの警視正以上が、いわゆる国家公務員になつたが、いまだにベースが決定していないということを聞くのでありますが、決定したかどうか。
  81. 柴田達夫

    柴田(達)説明員 警視正以上の者につきましては、給与を七月一日にすぐきめるわけには行かなかつたのでありますけれども、その後七月の月給日等も近づきまして、その前におきましていずれも決定をいたしております。ただその中に二、三その適用をどういうふうに扱うかといつたような問題につきまして人事院等と協議をしなければならないようなものがございまして、ほんとうに具体的な二、三の問題につきまして保留があるものがあるかと思いますが、それらの方々につきましては、いわゆる仮払いといたしまして一応の措置をとつております。全体といたしましては、少し遅れましたけれども、俸給日までの間において個々に格付をして給与を決定いたしております。
  82. 大矢省三

    ○大矢委員 府県自治体警察から引継いだ人は調整をするということですが、今度警視正以上に引継がれた人たちに対してはベースでいかんともしがたい、非常に自治体警察の者が悪くなつた、これは調整の方法があるのかどうか。  それから、これはごく少数であるから全般的には大した問題ではないかもしれませんが、指揮監督に当る人たちが従来の俸給よりか非常に下るようなことがあると、士気の上にも大きな関係がある。地方の方はそういう調整ができますけれども、国家公務員になつた警視正以上はベースでちやんと決定されておるから非常に困ると思うのですが、実際きまつたというから、いつごろきまつたのか。それから、そういうでこぼこがどうして調整されたのか、非常に安くなつたのではないか、その点……。
  83. 斎藤昇

    斎藤説明員 警視正以上の給与は、俸給の支払い日がたしか十五日でございましたが、その前日か前々日に大部分はきめたわけであります。ただ一、二名——具体的に申しますと、東京の警、視総監と大阪市の自警の本部長、この二人につきましては、従来の俸給と勘案をいたしまして、人事院の許す範囲においてできるだけ高くきめたいというので交渉をしておりまして、今、明日中にはきまると考えております。その爾余のものは全部俸給支払い日前にきまつております。それは十四日か十五日だと思います。  それから、その給与をきめました結果手取りがとうなつておるかという問題でありますが、私ども警視正以上については、調整の手当がありませんから、相当下るんじやないんだろうか、かように考えておりましたが、現在の問題といたしまして当該都道府県の警視よりも低いものはできていない、また今までの自治体警察におきましては、たとえば東京の警視庁あたりが最も高かつたわけでありますが、東京の警視庁におきましても警視正になりました者が十数名ございますが、しかし規定の許す範囲で高いところにきめましたのと、それらについては管理職手当というものがございましてそういうものを合せますと、さしたる手当上の減俸にはなつておりません。若干は下つたところもありますが、これはしかし士気に影響するという程度のものでは、ございません。この点は御安心をいただきたいと思います。
  84. 大矢省三

    ○大矢委員 これは自治庁にちよつとお伺いしたいのですが、今度の警察法の最後の自由党、改進党の修正によつて、一年間は大都市に残すということになつた。答申の中にもありますように、五大都市は残して、その五大都市は府県と同様な財政的処置をする、こういうことの答申だつたが、結局府県一本にするという方針で最後まで持つて来た。ところが修正になつた結果は、大都市は、結局税制の改革はそのままになつて府県事務費は納めた、警察だけは持たされた、警察に対する財政上の処置は何ら講じていない。これは当然修正した方から出せというならば、自由党、改進党にお願いして出さねばならぬわけですが、これに対して改正の結果どういう財政的処置をとられたか、このことは重要です。  なお一緒に聞きますが、私は全国的に見て幾らあるか知りませんが、私どもの知つた範囲において、市会で承認してない大都市が相当ある。私の関係しておる大阪市のごときは承認しておらぬ。また次の市会に承認するというが、今の形勢では承認しそうにない。そうすると、これは大問題です。これは法律できまつたのだ——私はきまらぬと思うのだが、きまつたのだといつて押しつけてそれで聞かなければ聞かぬでけつこうだ、結局その法律は国の法律でやるのだから市会が承認しなくてもよいのだというのか、承認しない場合に市長がやめるのか解散するのか、どういうことになるのか、この点をひとつ……。
  85. 鈴木俊一

    鈴木説明員 修正の結果の財源上の影響でございますが、これは特別に措置はいたさなかつたのでございますけれども、あのような修正の結果といたしまして、五大市の関係がいわゆる超過財源が減つて参りました。しかし総体としては依然としてまかなえるということでございますので、不足部分は交付税の調整によつて調整ができるというふうに考えたわけでございます。全体の財政計画といたしましては、超過財源は減つてつた、こういうことであつたわけであります。従つて特別の措置を講じないでいたわけで、ございます。  それから第二の、承認と申しますか、議会が審議未了にいたしました関係上、警察関係予算なり、あるいは条例案を市長がいわゆる専決処分をいたしたという場合の問題でございますが、その場合には、市長から次の議会に報告をして承認を求める、こういうことが法律の規定にあるわけでございます。これは市長としましてはそのような手続を当然にとらなければならぬわけでございます。もし報告はしたが承認をしなかつたという場合にどうなるかということでございますけれども、これは法律上効果の問題としましては、承認をしないということは、結局その結果として市長は何らかその自分がとつた措置を変更しなければならぬという一つの政治的な責任を負うことになると思いますけれども、それによつてただちに、法律上承認をされなかつたから、従つて警察関係の専決処分をした条例なり予算が将来に向つて効力を失うものだ、こういうことにはならないと解釈をいたしております。従つてもしも市会がさらに賛任を追究するというようなことでありますならば、それは条例なり予算案なりそのものを変更しない限りは、その目的を達することはできないのでありまして、承認をしないからといつてただちに今申しましたようなそういう法律上の効果を生ずるものではないと考えております。また市長に対しましては、承認を得られなかつたわけでございますから、自分のやりました専決処分に対して何らか適当と思うところの措置を、市長がとつて行くという一つの政治上の責任が生ずるというふうに解釈いたしております。
  86. 大矢省三

    ○大矢委員 何か今交付税でカバーするように言つておりますけれども、必ず交付税で逃げる。これは現に府県に一本に行くものとして新しく税制制度が改革されておる。だからして大都市に残された市民というものは、これはちやんと府県民税というものを納めておる。警察がいますと、それが警察だけ残されておる。そうしてその金が府県と残された大都市の間に話ができるのであれば別だけれども、交付税である、交付税であると言つておる。そんなにたくさん交付税があるのですか。これは一体残されるものとして決定したあれだからして、これは新しい措置が当然講じられなければならぬ。それでないところは、これは極端なことを言いますと、自治体警察がそのまま残つて府県にある。それで移るものとして、府県民税をとつてつている。それは残つておるところの警察には関係ないのだ、こういうことになつたら全部国が見る。この点は税制改革は移るものとしているし、それから残されたものはこつちで、しかも今言つた交付税でちやんと何かするからして心配はないと言つて何でもかんでも交付税、交付税と言つておる。これはわれわれは安心ならない。それと一つは、今の自治体警察というものが、これはあなたが何べんも言つたように、その住民が承認をして、そこに協力がなければ、これは一体どんなことを言つたつてだめだ。ところがそれを承認しない。あんなものは違うんだ。それをもしできなかつた場合に、専決問題で法律的には何ら関係ない、市長の責任で、道義上どう考えるか知らぬが、法律のことにはちつとも関係がない、それはほおかむりで行ける市長ならいいけれども、もし良心的な市長であるならば、自分のやつたことに対して必要ないならばやめるとか、解散で住民の意思を問う、こういうことになるかもしれない、そういう場合に自治庁として一体どう考えるか。市長まかせだと考えるのか。法律の効果があるかないか別です。自分は専決にしてその次の市会に承認を経よと書いてあつて、出したものが承認できなかつたら、道義上その市長はやめるか、私の考え方が間違つておるかどうかわからぬが、住民に問うとか、解散して問うとかするのは当然だ。そうした場合には、これは考え方を自由にまかすのか、どうなのか、これは自治庁として方針をきめなければならない。これでは自治体警察として住民の意思も、民主主義も何もない。命令機関はみなかつてにやる、そういうことでは地方議会も地方住民の意思を代表したいわゆる議会の議員も何もありはしない、そういうことで行けるなら、これはたいへんなことです。それについてはつきりした方針かあるいは指示を与えるか、もし良心的市長が法律で行けるから黙つて行こうということならば別ですが、自治庁にお伺いを立てた場合に一体どういう解釈と、どういう方針を示されるのか、それを伺つておきたい。
  87. 鈴木俊一

    鈴木説明員 最初の点でございますが、要するに五大府県に委譲されるべき警察がそのまま大都市に残つた、こういうことでございますから、それに要しますところの所要の財源計算というものは、一般的に出ておるわけでございます。そこで問題は警察基準財政需要額を政府の原案においては、府県の方に入れて計算をしておつたわけでございますが、修正の結果として府県警察基準財政需要額を大都市分を落して、そうしてこれを大阪市とかその他の五大市の警察基準財政需要額の方に加算するわけでございまして、しかし税収それ自体にはその関係で何ら影響はありませんから、従つて政府の原案においては府県の方が警察を新しく背負い込みます関係として交付団体にみななつたわけでございますが、修正の結果としては府県の方がいわゆる不交付団体、交付税をもらわなくて済む団体になつて、そうして五大市の方は交付税をもらわなければならない団体になつておる、こういうことでございます。ですから総体財源に特に影響を与えないで交付税の調整によつて処置ができる、こういうことを申し上げたわけでございます。具体的な数字は、これはなおはつきりと試算をしてみなければわかりませんけれども総体としてはそれでまかなつて行ける、こういうことに考えております。それから承認の関係でございますが、これは先ほど申し上げましたが、要するに法律上の解釈でございます。従つてそういう不承認という議決に対して、市長がこれをどのようにとるか、それに対して市長としてどういう処置を自分として考えるか、あるいは自分としては何ら処置をする必要はないというふうに考えるかもしれませんし、あるいは何らか処置をしなければならぬと考えるかもしれませんが、しかしそれは、それこそ公選市長のむしろ政治的な立場からの考えでおきめになることであつてそういうことに対して自治庁からこうすべきである、ああすべきであるといつたようないわゆる指揮を行うということは、これは法律上も認められないことでございますし、また適当でない、こう思うのであります。
  88. 大矢省三

    ○大矢委員 その交付税の問題ですね、それはわかるのです。当然国にやるべきものが市に残つたから市にやる。ぼくの言うのはそれもあるが、もう一つは府県に残るものとして府県民税がきまつた。そのために百円ずつ納めた、これは百分の十五ないし十八、それをまた百分の五をとられておる。そういうふうに納めたものは、これは前にたくさん行つてつたやつ、そういうものが今度は財政に余裕ができたから消すぞということが出ておるが、大阪のごときは一つももらつてない。そういうところについては、出して、こつちはもらつた、向うはちやんと計算されて引継がずに——もちろん小さいところは引継いで、大都市の大阪だけは引継がれて、その方へ余裕ができておる。それを一体どうするか。こつちは出しつぱなしだ。そういう根本的な修正があつたのだから、財政当局が全部それに使つているかどうかわかりませんけれども、新しい府県民税はおもなるものは警察へ行くからこしらえた。それが出しつぱなしで、警察だけ残された。いや、お前のところは交付税がちやんと財政需要額だけはあるからして、警察が何ぼしてもかわりはないのだ、こういう答弁ではわれわれ完全なることはできぬと思う。それも何らかの方法考えられておるかどうか。府と交渉するというと、また府と市とけんかする。そういうことはできやしないのだから、修正して残つたら、それに対する処置は当然しなければならぬ。もし修正がなくても、あなたの方では一緒だ。こういう根本的な修正があつたのだから、これに対して財政処置はどうするか。
  89. 鈴木俊一

    鈴木説明員 政府といたしましては、あのような修正がありましたのでございますから、それに対しては現行法制の上において許されておる方法によつて処置をとるほかはないわけであります。税の関係は御指摘のような考え方もあろうかと思いますけれども、しかし今の交付税をどれだけ交付するかという計算をいたします場合には、これは大阪府なりあるいはその他の五大府県に対しては、今御指摘のような府県民税とか、あるいはその他の新しくできました税金も全部一緒に計算に入れてどれだけ収入があるか、そして一方需要がどれだけあるか、こういことを総体計算をした上で、交付税をやるかやらないか、やるとすれば幾らやるか、こういうことをきめるわけでございますから、そういう全体の計算の上には御指摘のような新しく設けられました税もやはりプラス、マイナスの計算の中に入れて勘定されておるわけでございます。従いまして一応考え方としましては、さつき申し上げましたように今度五大市というものは警察を委譲いたしますと、みんな交付税をもらわない国体になるべきはずのものが、ほとんど全部これが交付税をもらうことになります。こういうことでございまして、そういうことによつて調整をいたす、そのかわり五大市にまわつて来ます分だけは、当然に五大府県の方は減つて参る、こういうことに相なるわけでございます。
  90. 門司亮

    門司委員 さつきの次長の答弁でどうもはつきりしないところがあるからもう一度聞いておきたいのだが、例の専決処分の問題ですが、これは今の自治庁答弁の通りであると大体私は考える。しかし警察の問題は単に自治法の百七十九条の解釈だけではいけないのではないか、やはり百七十七条が相当関係を持つておるということに、私はみなされると思う。これは予算が伴わないでできる仕事じやないのであります。従つて専決処分が百七十九条たけの解釈では、私はこの場合いけないのじやないか、どうしても百七十七条の解釈をこれに併用して考えることが正しいのじやないかというように考えられる。従つて予算の執行が困難になりはしないかというふうに解釈するのが私は正しいのではないかと思います。この百七十九条はそういう予算を伴わないいろいろな条例その他基くものがあるいは出て来るかもしれない。たとえば財産の委譲その他について、もし議会が承認しない場合に、これを自治体の長があるいは専決処分で他に委譲することがあり得るかもしれない。そういう場合にはそれが直接予算に響くかどうかということは考えられない。今度の場合は警察を認めるか、認めないかという問題であつて、これには当然予算が大きく関連して来る。従つて百七十九条だけでこれを解釈すべきではないと私は考えて、当然これが承認をされなければ百七十七条の四項の規定がここに生きて来るのじやないかというふうに考えられるわけでありますが、これについての自治庁の見解をひとつはつきりしておきたいと思います。
  91. 鈴木俊一

    鈴木説明員 自治法の百七十七条と百七十九条の関係でございますが、これはそれぞれの市会におきましてどういう議決をしたか、あるいは審議未了にしたか、どうしたかという議決の実体に応じまして、あるいは百七十七条が適用になる場合も、ございましようし、百七十九条が適用になる場合もあろうかと思うのであります。百七十七条の方は確かに御指摘のように警察法府県が執行しなければならぬわけでございますから、七月一日からは百七十七条の二項の第一号の「法令により負担する経費」こういうことに警察関係経費はなるわけであります。従つてもしも市会がこの警察関係予算を削除した、あるいは減額した、こういう場合におきましては市長は当然これを再議に付さなければならない。再議に付してもなお改めなければ、これは原案の執行ができる、こういうことになるわけであります。そういう事態のところがあつたといたしますならば、これは百七十七条で御指摘の通りのことになろうと思います。従つてそういう場合には百七十七条の四項でございますが、第四項は、いわゆる非常災害の応急もしくは復旧施設のために必要な経費、または伝染病予防のために必要な経費についてのみ適用があるものでありますから、四項は動いて来ないと思いますが、今申しましたようなことで市長が原案執行ができる、こういうことになろうと思います。しかし今回の場合は多くはかような削除あるいは減額という議決をしなかつた場合が多いのではないかと思います。従つて百七十七条でなく、やはり百七十九条が働いた場合が多かつたのではないかと思います。こちらの方は議会において議決すべき事件を議決しないで、そういうときは長は専決処分ができる、こういうことになつておるわけでございますから、審議未了になつたときがすでに七月一日になつておるというような場合におきましては、この条項に該当しまして、専決処分をすることができるということになろうと思います。
  92. 門司亮

    門司委員 その点、専決処分でできるという規定があるから、これを専決処分にするのだということなのですが、たとえば大阪にしても福浜にしても、明日か月曜日あたりに議会を開いて承認を求めるかどうかという問題が出て来る、そうなつて参りますと、これは当然百七十七条の規定、いわゆる法令に基くものであることは間違いないのであります。そして警察制度自身を認めるか認めぬかということで、性質の上からいえばやはり百七十七条との関連性を考えないわけには行かないとわれわれは考えます。だからどこまでもこういう形が続いて来た場合に、一体市長の専決でそれがやれるのかどうか、これは議会は何も議決しなくてもいいのだから、この法律通りにやつても市長は徳道上とか政治上の責任を負えばいいので、それをほおかむりして行けば何も行けないことはない。しかしこれは事予算の執行に関連して来るのでありますから、単に百七十九条だけのそうしたほおかむりをして行けば行けるのだからという考えでは、やはり済まされないと思う。従つてそれに費された支出というものは、認定が一体どういう形で現われて来るかということは別な問題でありますが、ひいてはそういう問題が出て来やしないか。従つて自治庁としてはやはりそういう点をこの際明確にしておかれる必要がある。こういう予算に大きく関連のあるものをもし市会で認めない、そういう条例は認めないというようになつて来ると、これは実はかなり問題を起すわけでありますので、今のようなただ条文についてだけの答弁でなく、この条文から来る疑問の点等についての自治庁の見解を、もう少しはつきりさせておいていただきたいと思います。
  93. 鈴木俊一

    鈴木説明員 百七十九条の専決処分を長がいたしました場合に、次の議会にその承認を得なければならない。こういう規定を特に入れております理由は、やはり議会が議決をしないのに自己の独断をもつて処分をするのだからして、事後に承認を求めよ、こういう趣旨であります。すぐ隣の百八十条の条文に、議会が比較的事柄の軽いものであるとして、議決によつて長にこれが専決処分をしてもよいと委任したものがあるのであります。ともに専決処分でありますけれども、こちらの方は議会が事前に、やつてよろしい、こういうことで委任をしておりますから、事後の報告だけで承認ということが書いてないのであります。こういうふうに、百七十九条、百八十条においてひとしく専決処分でありながら、一方は承認を要するようにして、一方は承認を必要としないと書きわけております趣旨は、やはりわざわざ市長に承認を求めしめて、その承認の結果によつて市長の政治的な責任を解除する、こういうような作用を期待しておるものと思うのであります。それで具体的の問題について承認を得られなかつた、あるいはその承認の案件を否決したあるいはそれを審議未了にした、こういうような場合においては、やはりその事態に応じて市長としては何らかの政治的な措置をとらなければならぬ、こういうふうに思うのです。その考慮をいたした結果として、自分はどうする必要もない、あるいは自分はどうしなければならぬ、あるいは予算計上の片方をこういうふうに直そう、あるいは条例をこういうふうに直そう、そのいずれかの措置を市長としてはとることになろうかと思います。要するにそれらの措置の選択ということを、法律上では市長にまかせておるわけであります。必ずしもどういう措置をしなければならぬ、どういう種類の措置をとるべきであるという、こういうふうな法律解釈上の議論までは出て参らないと思うのであります。事態に応じた措置をとつてよろしい、こう言うほかはないわけであります。
  94. 門司亮

    門司委員 それはその通りでありまして、法律上の解釈としてはほおかむりで通せば通れる。ですから法律の解釈をどうこうと言つておるのではないのですが、ただ自治庁の見解がどうあるかということを聞いておけばよいので、自治庁の見解がその程度のものであるならばあるいはその程度でよいかもしれません。ただ警察担当の大臣の小坂さんに聞いておきたいのでありますが、こういう事態が日本に起つておるのであります。今に警察の問題を中心にしてあるいは市長が辞職をしなければならないような問題ができるかもしれない。しかしこの問題は議会の解散まで持つて行くわけには行かぬと思うのです。どうしても市長の専決処分が認められないからといつて議会を解散するわけにはなかなか行かない。従つて一方的の市長の責任において解決するものと私は考えておる。従つて警察法成立に無理があつたということと、警察法の審議の過程においてそういうものが十分に咀噛されていなかつたという結果が、こういう自治体に対して市長の進退にまで影響を及ぼしはしないかということが危惧されておる。これらに対して一体警察担当の大臣としてどういう御感想がおありになるのか、この場合ひとつ……。
  95. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 自治法の百七十七条あるいは百七十九条の解釈につきましては、事務当局からお答えした通りであります。そうして規定に基いて市長が専決処分をする。その結果どうなるかということは自治体自体の問題でございます。その結果ただいまのようなお話のことがあるかないか、これは仮定の問題でございますが、私どもはなかろうと考えております。
  96. 門司亮

    門司委員 総理大臣もときどきそういうことを言われる。そういう無責任なことでは困ると思う。事治安に関係することだから、わざわざ地方でいろいろな問題が起らぬと思う。起らないように、これはあるいはなるかもしれない。しかしそこには無理がある。すでに議決しなかつたということに無理がある。北海道で三時間と四十分ほど警察がなかつたことを、あなたも御承知でしよう。これは事実上議決がされてなかつたんですから、警察がなかつたのじやないですか。一日の日の三時四十分に議決した、こういう報告を受けているんです。警察法施行にあたつてはそういうことが出ておる。あの三時間四十分の間は何事もなかつたかもしれないが、これをやかましく言えば、警察権を発動する警察官の身分というものがはつきりきまらぬうちは、正しい意味の警察官でなかつたと解釈していいかもしれない。同時に今度の問題でも、たとい四つの市あるいは五つの市にしましても、やはり自治体にはそういう混乱を起して来る。これは仮定の問題だから知らぬというような無責任答弁では済まされないと思う。すべての警察を持つている大臣は、治安の関係であるから、地方自治体ではそういう無理なことはしないであろうということは、一応想像がつくかもしれない。しかしそれだからいいんだというりくつにはならぬと思う。こういう重要な治安に関する問題を議会が承認をしないで、市長の専決で行われたということは、今までの日本の自治行政の上における非常に大きな汚点だと思う。こういうことがあつてはならないと私は思う。警察というものはやはりすなおにすべり出すときはすべり出すべきものである。そのすべり出しのときから、市長が一体辞職をしなければならぬかどうかということが考えられるというばかくしいことはあり得ないと思うが、そういう事態が現実に起つておる。私はそれならつつ込んで聞くが、これは仮定の問題だから答えられないというなら、私も仮定に基いて聞くんだから、仮定答弁でもけつこうだと思う。もし大阪の議会でこれを承認しない。そうすると、市長の専決問題は解決されない。これは未解決であります。承認するかしないかということをいずれかに議会がきめれば、それで一応のきまりはつくわけであります。議会にかけたが、それをさらに審議しない、聞いただけだということになれば、いつまでも未解決である。一体いつまでも未解決のままに警察行政というものはほつておいていいか悪いか。こういうことは日本の治安の、ことに大きな都市の治安に関係しては、相当士気に影響を持つて来はしまいか。これらに対して大臣としては、今のような仮定の事実だから答弁ができませんということしやなくて、一体責任を感じておるかいられないか。よいことか悪いことかくらいの御答弁はできると思う。
  97. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 私は何も仮定の事実だから答えられぬと言つた覚えはございません。仮定の事実であるからあるかないかわからぬ。私はなかろうと言つておる。今北海道警察のことをおつしやいましたが、警察官自体というものはある。警察はある。ただ任命権者の任命がなかつた、あるいは警察法についての府県警察の承認というものが遅れておつた。これは三時間程度のものである。これは議決が午前三時になつたとか、そういうことは言えると思いますが、それをもつて警察がないということは言えぬと思う。大体御承知のように警察官が宣誓をし、新しい警察法に基いて警察官任命いたしましたのが、一日の午前九時か十時かになる。その任命がなかつたから警察がなかつたということも言えぬのでありまして、要するに一日の間に全部これは円満に解決しておる問題でございますので、それがいいか悪いかという価値判断は、その人のお考えに基いて自由でございます。とにかくそういう状況において警察法改正されたという国会の空気があつたことは、門司委員初め、お互いに御承知の通り、暴力が国会で振われた、今までなかつたような事態があつたことは遺憾であるということについては、私ども同様に考えております。それについてはすでに法律が六月七日に国会を通過し、公布されておる。公布された法律に対して地方議会がこれが無効であるということは、法治国の建前としてはとらざるところであります。一般もまたそう認識しておると思います。そこで自治体の長が法律公布された事実を施行するに際してとつた態度というものがよいか悪いか、それに対する責任を市会がとる、これは市会の自由であります。そうしてとつた市会の態度をどう市民が判断するか、これまた市民の自由であります。そういうことから私は、地方議会における政治の価値判断政治の運用、運行というものがだんだん育つて行くのだと思いますが、私はすべてそうしたことを判断する場合の市民の良識、市会議員各位の良識、そういうものを信じておりますので、さようなことはなかろう、かように申しておる次第であります。
  98. 藤田義光

    藤田委員 私は本日は質問は遠慮いたしまして明日にいたしたいと思いますが、委員長にこの機会に資料をお願いしたいと思います。新しい警察法が実施されまして、全国的に重要な人事が行われております。つきましては国家公安委員及び都道府県公安委員の一覧表、その内容は前歴、従来公安委員であつたかどうかという一覧表がほしいと思います。それから都道府県警察本部長、これらの前歴、前任地を知りたいと思います。  それから明日はぜひとも国家公安委員長以外の委員の方にどなたか御出席願いたい。それで私は、この新しい法律の運営は結局人でございまして、人事問題に重大な関心を抱いておる一人であります。そういう観点から見ましても、ぜひとも国家公安委員にも御出席願い、警視総監も、当然今回は国家公安委員でありますから、要求しなくても出て見えるかもしれませんが、明日はやむを得ない用があるやに拝聴しておりますが、御連絡をお願いいたします。私の所属する政党は新党運動の成行きいかんによつて、ただいま御答弁中の小坂公安委員長と同じになるかもしれませんが、委員会の審議は政党を超越しておりますので、特に先般三派の修正が電撃的に行われたために、われわれ非常に不勉強の点があります。そういう観点からしまして、できれば小坂公安委員長あるいは斎藤長官が、新警察法施行後に公開の席上で言われた演説、指示等がありますれば、それも資料として御提出をお願いしたい。その材料が出ませんと、実際現在のところ非常に不勉強でございまして、質問材料が豊富ではございませんので、明朝資料を出していただきましてひとつ質問を展開いたしたい。ぜひとも委員長において善処されるようにお願いいたします。
  99. 北山愛郎

    ○北山委員 私も資料をお願いしたいのです。私の方は人の方じやなくて、金の方です。先ほど問題になりました各府県及び五大市の今度の警察費について、警察側の要求額、それから自治庁の方の基準額、それから府県及び五大市の実際に議決した予算額というふうに、大体三通りにして、府県及び五大市ごとの警察費資料を、これは大体そろつておると思いますので、今度のこの委員会のうちに提出をしていただきたい。
  100. 西村力弥

    西村(力)委員長代理 本日はこれをもつて散会いたします。     午後四時三十二分散会