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1954-05-17 第19回国会 衆議院 地方行政委員会 第64号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年五月十七日(月曜日)     午後零時九分開議  出席委員    委員長 中井 一夫君    理事 加藤 精三君 理事 佐藤 親弘君    理事 灘尾 弘吉君 理事 吉田 重延君    理事 門司  亮君       熊谷 憲一君    西村 直己君       保岡 武久君    山本 友一君       床次 徳二君    藤田 義光君       古井 喜實君    阿部 五郎君       北山 愛郎君    大石ヨシエ君       山下 榮二君    松永  東君  出席国務大臣         国 務 大 臣 塚田十一郎君  出席政府委員         自治政務次官  再木  正君         総理府事務官         (自治庁行政部         長)      小林与三次君  委員外出席者         専  門  員 有松  昇君         専  門  員 長橋 茂男君     ————————————— 五月十五日  委員中井徳次郎君辞任につき、その補欠として  山下榮二君が議長の指名で委員選任された。 同月十七日  佐藤親弘君が理事補欠当選した。     ————————————— 本日の会議に付した事件  理事の互選  小委員補欠選任  連合審査会開会に関する件  連合審査会開会申入れに関する件  市町村職員共済組合法案内閣提出第一七七  号)  地方自治法の一部を改正する法律案内閣提出  第一七八号)     —————————————
  2. 中井一夫

    中井委員長 これより会議を開きます。  地方自治法の一部を改正する法律案及び市町村職員共済組合法案の両案を一括して議題となし、質疑を行います。  なおこの際お諮りをいたします。すなわち本委員会において審議中の市町村職員共済組合法案につきまして、厚生委員会より連合審査会を開会したき旨申入れがありましたが、同委員会連合審査会を開くに御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中井一夫

    中井委員長 御異議なしと認め、さように決定いたします。  なお売春法案が目下法務委員会に付託されておりますが、これにつき当委員会より連合審査申出をいたすに御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 中井一夫

    中井委員長 御異議なしと認め、右連合審査会の日時は、厚生法務委員長協議をいたしました上で、公報をもつて御通知申し上げます。
  5. 床次徳二

    床次委員 地方自治法規定の中の市制に関する第八条の親達でありますが、この規定によりますと、現下知事町村合併計画の中に上つておりますものにつきましては、当分の間旧法によつて人口三方で市になり得る、しからざるものにつきましては新法の適用を受けることになつておるのでありますが、知事が掲げておりますところの包括的な町村合併計画に載つているかいないかという問題の認定は、現実に扱つているものによつてこれはきまるのだろうと思うのですが、知事合併計画を立てまする場合に、非常に目前の問題においてのみ第一次案として計画をつくつて、多少恒久的なものはあとまわしにしておるところもあるのじやないか。これは府県合併計画のつくり方によつて、それぞれ特色があるのだろうと思うのですが、現在の合併計画に載つているかいないかということだけでもつて、将来この適用をさせるかさせないかを区別するということでは、非常に不公平を生ずるのではないかと思うのでありますが、その点十分各県に問い合せて遺憾なきようになつているかどうか。あるいは各府県に対して将来こういう自治法改正があるのだ、従つて知事合併促進協議会等の案においても、十分考慮しろということまでやつておく必要があるのではないかと思うのですが、この点について伺いたい。
  6. 小林与三次

    小林(与)政府委員 ただいまのお尋ねはごもつともでございまして、この附則でわれわれの考えております気持は、現在進行中の町村合併に伴いまして市の設置が少くなく、また今後も多少あり得ると思うのでございます。そこで市の設置は、あくまでも町村合併の全体的な計画の一環として進んだ方が市自身のためにもよいし、また残存の町村の地域についてもそれは適当な措置に相なりますので、できるだけ総合的な計画で事が運ぶようなことを考えたい、こういうのが根本の思想でございます。そこで今までも県の課長会議その他がありました場合におきましては、大体市の経過措置についてはこういうことをするということを、かねて申しておつたのでございまして、地方の者は大体その趣旨を知つておると思うのでございます。ただ今までの合併計画は、正直に申しましてまだそれほど進んでおりませんし、床次委員のおつしやいました通り部分的につくつている例も少くないのでございますが、これからは全体的な一応のめどとして計画をつくつてもらいたい考えでおるのでございます。ただその場合に、大体市になりそうなところというものは、客観的に考えてみれば、おおむねある程度の土台を基礎にいたさざるを得ぬのでわかつていることと思いますが、なおこの趣旨はもつとはつきり徹底するように、県の方にも十分に申し上げたいと考えておるのでございます。それとともに、ここに書いてあります合併計画は、今日だけではありませんで、これからこの法律がもし成立いたしましたならば、公布後施行期日が三月ということになつておりまして、大体三月ぎりぎりの線で施行期日を定めるような政令をつくりたいと存じております。その場合までにできている合併計画という考え方なのでございますが、その場合に、県の方におきましてそうした情勢をよく考えて、県の促進審議会意見を聞いて、誤りのない計画をつくることを、実はわれわれといたしましても期待いたしておりまして、県の方もその点一分含んでやつてくれるものと考えているのでございます。
  7. 床次徳二

    床次委員 次に教育君長の問題について承りたいのでありますが、とにかく昨年暫定的に一年延期いたしたのでありますが、この一年の間におきまして、地方委員長任命関係がどういうふうに推移しているか、その推移の傾向をひとつ承りたい。
  8. 小林与三次

    小林(与)政府委員 現在教育委員長任命の、その正確な数字は、ちよつと今手元にございませんが、大体教育長設置の状況を、文部省の調査している資料がございますので、それを申し上げたいと存じます。現在教育長設置している教育委員今の牧が、全部で九千八百十一あるのでございますが、そのうちでその教育長を、一市町村限りで専任教育長を置いているものと、二以上の兼職の教育長を置いているもの、それと事務取扱いになつているものと、大体そういう関係になつております。そこで教育長の数の総数を申しますと、事務取扱いをも含めまして八千九百四十七ございます。その中で一市町村専任教育長のあるのが三千五十七、それから二以上の市町村教育委員会教育長を兼職しているものが三千八百十八、それから助役等事務取扱いをやつておりますものが二千七十二人でございます。それでありますから、多少教育長を置く傾向があるのでございますが、なおこの二千七十二人の——これは小さな町村だろうと思いますが、そういう町村につきましては、助役教育長を兼ねている、あるいは助役教育長事務取扱い、こういう扱いをなしているのが二千七十二人ございます。その部分につきしまして引続き今日の特例が働く、こういう考えでございます。
  9. 床次徳二

    床次委員 今数字をお答えいただいたのですが、これが一年間にどれだけふえたか、前年度との比較がわかりますれば……。
  10. 小林与三次

    小林(与)政府委員 ちよつと今その資料はございませんので、これはすぐにわかるかどうかわかりませんが、たしか文部省ならわかると思いますから、調べて御報告申し上げます。
  11. 床次徳二

    床次委員 大臣が来ておられますので、共済組合の問題について質問したいのですが、この共済組合法を制定せられる趣旨につきましては、私ども同感なんでありますが、ただ私は大臣に対して、国務大臣という立場から社会保障制度に対して、いかように考えておられるか伺いたいのであります。私ども社会保障制度普及させる意味におきましては、何と申しましても国民健康保険というものを普及することが、一番現下の日本においては緊要なことであると思つております。しかしながら国民健康保険が今日伸び悩んでいるということは、その負担割合が、被保険者に対して重過ぎる。国の方におきまして二割の国庫補助を出しておられますが、被保険者が多額の経費負担して今日これを実施している状態でありまして、二割の補助によつて、辛くも苦んでおつた者が蘇生するという程度だろうと思います。このために普及ということに対しては、あまり大きな期待が持てないのじやないかと思います。その原因に関しましてはいろいろ説がありましよう。私ども——私個人の意向として申し上げた方がいいと思いますが、国民健康保険普及せしめるためには、やはり地方公共団体も共同の責任をとりまして、これに対して相当経費負担するということがいいんじやないか。端的に申しますると、国民健康保険におきましては被保険者が半分持つということになりますならば、残り地方公共団体、さらに一部を国が負担する。一例を申し上げますならば被保険者が四割負担する。地方団体、県、市がおのおの二割負担する。残りの二割を国が負担するというような割合で行きましたならば、今後一般健康保険は、事業主と被保健者が半々で負担しておりますが、そういうものを統合する場合に非常に都合がいいんじやないかと考えておるのであります。そこまで行かないにいたしましても、地方公共団体相当熱意を込めましたところに対しましては国民健康保険普及が行われておる。最近は市においてさえも国民健康保険が漸次行われておる。もちろんこれに対しましては、県の方からも相当補助をしておるというのが現状だと思う。しかるに現在地方財政の趨勢を見て参りますと、かかる厚生的方面に対しまして地方財政は支出する道がほとんどない。手持ち財政需要におきましては、ほとんど計上せられておられないばかりでなしに、最近の地方財政はますます逼迫の度を加えておりまして、なかなか社会保険という方には手が出て参らないのであります。かような現状におきまして、今日この市町村共済組合制度を出されるのでありまして、これはけつこうなことであります。しかしはたして市町村の内部におきまする市町村民考え方はどうであろうかということを憂えるのであります。役場におられる方、こういう者に対しては、かかる社会保障制度ができ上ることはまことにけつこうでありますが、かんじん市町村民が医療にもに恵まれず、非常に苦しい生活をしておるという矛盾を来すのではないかと思うのであります。市町村民の方から考えますると、吏員だけ待遇がよくなつて一般社会保障がどうも置き去りになつている感じを持つのではないかと思います。さらに一例を申し上げますと、農業協同組合等職員は、従来は市町村吏員よりも待遇はよかつた。しかるところ最近になりますと、役場の方はベース・アツプの結果待遇はずつとよくなつておるのでありまして、農業協同組合の方が四割あるいは六割、七割というくらいの程度にとどまつておるのでありまして、非常に身分上の差があるのであります。これは市町村内の円滑という点から見ますると、ずいぶん疑問を持たれる点なのでありまして、何とかもう少し市町村民全体としての立場におきまして、これを是正する必要があると思つておるのであります。従つてどもはこの共済組合法ができますことはまことにけつこうであります。できるものから社会保障の完備をして行きたいという気持にはかわりないのでありますが、しかし一般的な社会保障制度普及面に対する政府の意欲が、あまりにも少いということを痛感するのでありまして、私どもはあえてこれに対して反対するものではありませんが、かんじん社会保障普及という面に対しまして、少し政府は閑却しておられるのではないか。少くとも国民健康保険普及する立場から申しましたならば、市町村財政におきまして相当努力いたしまして、その普及をはかるだけのことはすべきであると思います。過去におきまして地方制度改正を見ますと、社会保険税創設等はありますが、これは積極的に国民健康保険組合普及するというための手段ではなくして、単なる一時の財政の窮迫を解決する便法のようにも思われるのでありまして、本質的な地方財政立場からの考え方がなかつたのであります。なお私見を申しますならば、過般の地方制度の改革の際におきましては、地方団体は最低の社会保障制度、少くとも国民健康保険くらいは実施できるところの財政余力を与えるべきではないかということを、私は考えておるのでありますが、これに対する配慮が実際においてはほとんどできなかつたということをはなはだ残念に思つておるのでありまして、今日かかる制度をつくられます以上は、一般町村民に対しましても、もつと社会保障制度普及させる考え方を、地方行政当局としましても持つべきであろう。これは単に厚生行政にまかしてあつて、何ら考慮がないということに対しましては、はなはだ片手落ちのような気がするのであります。ここに職員共済組合法審議する際に、社会保険に対する本質的考え方が何らない。それを除いてこれだけ審議するということに対しては、はなはだ一般地方福祉という立場から見るとはずかしい感じがするのであります。この点に関しまして大臣の根本的なお考えを承つて参りたいと思います。
  12. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 私もいろいろお尋ね伺つてつて感じは同じように感じるのでありまして、この市町村職員共済組合法案を提案いたしまして御審議を願うときにも、やはり解決の正道と申しますか、本道と申しますか、あるいは最終的な考え方としてこういう方向に行くのだという感じではない。ほんとうから行くならば、こういうものもみな社会保障制度の中にとり込まれて行くということが、私も正しいという感じは確かに持つておるわけであります。ただそれをもなお押して、今日の段階でこういうものを提案して御審議を願わざるを得ないという気持が出て参りますのは、一つはこういうものを社会保障制度というものの中にとり込んで、そうしてそれを今度の共済組合制度で救済できると考えられる程度にまで、救済と申しますか、保障を徹底して行く。これはその場合にはただ市町村職員だけではとどまらないで、おそらく国の職員その他全般にわたらなければならぬので、相当先の長い問題になるであろう。そういたしますと、現在すでに国家公務員である職員についても、地方自治団体職員についても一部分こういう制度ができておつて一部分のものだけがその恩恵に浴していないということは、やはり同じような立場にある者に対しての公平措置という考え方から、ほうつておくというわけには行かぬだろというので、とりあえずこの措置をいたしまして、その間の不平等を是正して行く。しかし行く行くは今も御指摘のような考え方で、社会保障制度全般の中に市町村職員共済組合も、国の職員共済組合もみなとり込んで処置するという方向に持つて行く、こういう行き方に努力して行くべきであると考えておるわけであります。その場合に国の負担地方負担をどうするかということについて御意見伺つたのでありますが、大体私もお考えに同感できると思うのであります。地方も一部分負担をして行くという考え方で、その方向に善処して行くというのが正しい考え方であると思います。もちろんそれには市町村におきましての市町村財政全般考慮を必要とすると考えられますので、逐次市町村自治団体財政余力をつけるように努力をして参つて、御指摘のような方向に問題の最終的解決を持つて行きたいと考えるわけであります。
  13. 床次徳二

    床次委員 大臣は大体の考え方において同意しておられるものと思つておるのでありまして、この点は今後においても積極的な御努力がなければ、国民健康保険を通じての社会保障制度普及ということは困難である。何と申しましても地方財政におきまして、ほんとうのいわゆる自主的財政、住民の福利増進という立場から申しましたならば、きわめて大事な点の考慮が今までの財政においては欠けておつたということに対しましては、特に強い御努力をお願いいたしまして、その充実を期待する次第であります。かような観点から見ますると、今度の組合ができました場合、市町村負担金がこの規定の中にありますが、はたしてこの共済組合が円満に運営できるかどうか。人数は相当な数にはなつておる。しかし現在の健康保険組合その他に配属しておるものもあるのでありまして、プロパー共済組合としての経営が、はたしてこれで行けるかどうかということにつきしまして、若干の疑問を持つわけであります。その場合におきましては、結局地方公共団体負担になるのではないか。後において今日予想される額以上の負担になるのではないかということが考えられるわけでありますが、その場合におきましては、市町村民の思惑もあろうと考えます。この点に関しまして、いかようなお見通しを持つておられるか、伺いたいと思います。
  14. 小林与三次

    小林(与)政府委員 この共済組合法施行になりますと、共済掛金の半分は市町村負担することになつておるわけでございまして、これにつきましては、実は今度の交付税の中にその金額も一応考えておるのであります。われわれの考えでは、これは来年の一月一日から施行する予定になつておりますが、所要の財源は大体二億七千万円ぐらいいるのじやないかと考えております。これにつきましては、従来特別に市町村恩給組合がございまして、市町村恩給組合掛金として相当金額負担しておりまして、この恩給組合掛金が多少高過ぎるのではないかという問題がありました。われわれも技術的、その他の点から検討を加えました結果、これはどうしても高過ぎる部面がありまして、その分を共済組合負担金に切りかえることによつて、その財源を生み出すという考え方で計算をいたしております。この法律施行によりまして、特別に町村としての新たなる経費が増加することにはならないのでございまして、その点は御懸念のようなことはさしあたり生じない、こういうふうに考えております。
  15. 床次徳二

    床次委員 今日国の公務員に対しましては、それぞれ規定があるのでありまして、今日漏れております市町村職員に対してこういう施設をすることは適当と思います。均衡上やむを得ないことであると思いますが、今日の社会保険対象から見ますと、昨年でありますか、私立学校教職員に対しまして特別な組合考えられ、また今度市町村職員が特別な組織になるのであります。しかしこれが特別の組織ができるということは、現在ない社会保障一部分でも充足して行くための一時的な方法として解するならば成り立つと思う。将来におきましては、統合された社会保険の中に当然これが吸収されて統一運営せらるべきものであると思うのでありますが、そういう考え方を、当局は持つておられるかどうか。これは結局一つの経過的なと申しますか、暫定的なもので、将来は国の統合されたものの中に早く統一されるか——いつまでも特殊な団体におきまして、特殊な範囲における社会保険をやることは建前ではないと思います。これは最初にお尋ねしたことに関連するのでありますが、大臣からその方針を確認していただきたい。
  16. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 積極的にその方向に向つて努力をして参るべき性質の問題と考えております。
  17. 中井一夫

  18. 門司亮

    門司委員 詳しいことはあとから聞こうと思いますが、さしあたり聞いておきたいと思います。大臣提案理由の説明の中に、「すなわち市町村職員共済組合は、都道府県区域ごとにこれを設け、組合議決機関として組合会を、執行機関として理事を置き、その構成は、使用主たる市町村長代表者と被使用者たる職員代表者とがそれぞれ同数となるようにし、」こう書いてあります。この中の職員代表者という意味でありますが、これは大体どういう者をお考えになつておるかということであります。
  19. 小林与三次

    小林(与)政府委員 これは結局役員選任の問題になるのでございまして、法律で申しますと、第四条に組合会規定がございます。第四条の二項に「組合会の議員は、市町村長及び市町村長以外の組合員がそれぞれのうちからそれぞれ同数選挙する。」こういうふうになつておるのでありまして、具体的な選挙手続方法の問題は第三条の組合規約で定めることになつておるのでございます。それでございますからそれその市町村において、市町村長以外の、組合員たり得る職員全部の間から選挙することになると思います。ですからどういう人が出て来ますか、その選挙の結果人がきまるわけでございます。もちろん選挙方法その他はきめますけれども、自由な選挙を行うことを当然規約できめるものと考えております。
  20. 門司亮

    門司委員 私が聞いておりますのは役員でありますが、御承知のように地方公務員にひとつの労働組合があるのであります。この労働組合の中には、これの対象になるもので入るものと入らないものとが出て来ると考えられる。同時に職員組合あるいは従業員組合割合に強いところは大した問題は起らないかと思いますが、少し力の弱いようなところは往々にして、これは理事者の側に立つべきだと思われるような職員役員になつて出て来る危険性がないかと私は思う。やはり組合代表者というようなものが、ここの中に何らかの方法で入り得るような道を——あるいはことさらに明けなくてもいいかもしれない、被保険者の方でといいますか、組合員の方で選挙するのだから、その場合にお入れになつたらいいだろうという御答弁があるかと思いますが、しかし現実の問題は、さつき申し上げましたように、非常に強いところはそれで押せるのでありますが、弱い組合になりますと、だれか偉い人が出かけて行つて、そうしてほんとう職員代表者でないようなものが出て来る危険性がありはしないか。従つてここに求められておる代表者は、もとより労働組合法その他による職員組合あるいは従業員組合代表者であるというふうに限定されて解釈すべきではないと私は思う。しかし実際の問題としてはそういうところから出ておるということが、この組合の本来の性質からいつていいのではないかというように考えられるのでありますが、当局はこの点を一体どういうふうにお考えになつておるか、一応聞かしていただきたいと思います。
  21. 小林与三次

    小林(与)政府委員 ただいまのお尋ねでございますが、これはそういう選挙でありますから、どういう人が出て来るかわれわれも選挙の結果によつてきまると思うのでありまして、こちらといたしましては、おそらく今おつしやいました通り組合幹部もどうせ組合員全部が選挙するわけでありまして、その組合員範囲共済組合員範囲とはほとんど百パーセント一致するはずだと思うのでございます。それぞれ自由な立場選挙せられますから、共済組合性質適任者として組合幹部も出て来ることもありましようし、そうでないものもあるかもしれぬと思つております。われわれといたしましては、どちらでなくちやいかぬとか、どちらにすべしというようなことまで言うわけにも参らぬのでございまして、公正に選挙された人によつて組合組合員の総意を代表して適正に運営をされることを期待しておるわけでございます。
  22. 門司亮

    門司委員 先ほど床次きんからもお聞きになつたのでありますが、これの財政の問題であります。財政の問題についてはよほどはつきりしたというか、明確にこれを処置するようなことをしておきませんと、組合はできたが、実際上の運営の上には非常に困難なものができはしないか。いわゆる掛金その他の問題でありますが、今日の地方自治体は非常に赤字をたくさん出しております。同時にまた当然厚生施設一つとして置かなければならないと考えられておつた健康保険組合すら、まだ十分でない場所があるのでありまして、たといこういう法律が出て参りましても、それらのものを勘案して参りますると、財政上の問題は必ずしもこの法律だけで解決するとは考えられない。同時にまた、今これらの問題は交付税の中にも考慮するのだというようなお話もあつたように承つておりますが、交付税の中でこれを考えるということになつて参りますと、不交付団体はやはり財政がそれだけゆたかであるから、これらの施設までもやらなくてもいいというように必然的に解釈して来るようになる。しかしこの制度は、単に今までの考え方のように、その一つ地方で限られたものでなくて、やはり社会保障制度の一環として考えることが正しいと思う。そう考えて参りますなら、当然これは交付団体、不交付団体というような差別のないような制度を私はとるべきではないかというように考えられるのでありますが、その点についてのお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  23. 小林与三次

    小林(与)政府委員 この共済組合市町村負担すべき負担金の問題につきましては、これはわれわれといたしましても一番気を配つておるところでありまして、この法案立案の過程におきまして市長会、町村会なりと論議した場合におきましても、財源問題が十分な裏づけがなければこうした仕事ができませんので、その点を一番配慮いたしておるわけでございます。そこで今の市町村負担金につきましては、どういう趣旨財源措置を講ずるかということが一つの問題でございまして、共済組合だけでなしに、現にやつております町村恩給組合の場合につきましても、恩給組合財源についていろいろ町村あたりでも御覧のあるところでございます。そこでわれわれの考えといたしましては、共済組合負担金も、市町村吏員の固有——固有のと申しますか、最も中心的な経費の一部でありますので、給与並びに恩給その他こうした負担金は、市町村一般財源として保証することが自治体のあり方として正しいあり方でないだろうか、こういう考え方参つておるのでありまして、それで市町村恩給組合につきましても、恩給組合財源一般財源でまかなうという建前をとつております。この場合の共済組合につきましても、そういう趣旨でもつて一般財源として考えて行くのが自治庁として当然でないかということで、町村会あたりの理解も願つて参つておるのでございます。それにつきまして、現在の一般財源のうちにおきまして、この経費は先ほどちよつと申しました通り、必要な経費を十分に測定して見てあるのでございまして、この法律によつて特別にプラスになつて行くという考え方でないのでございまして、従来恩給組合負担金として現に交付団体、不交付団体ともに負担しております賦源の一部にやや取り過ぎの面もありましたので、その点を調整することによつて共済組合経費に充てよう、こういうことで関係市長会、町村会あたりとも話がついておりまして、それぞれ了承を願つておりまして、この法律の運用につきましては特に支障はない、こういうふうに考えておるのでございます。
  24. 門司亮

    門司委員 それからもう一つ聞いておきたいと思いますことは、これは厚生委員会の主管になるかと思いますし、厚生省の主管になるかとも思いますが、厚生年金との関係であります。現在の厚生年金はこれよりずつと低い程度に置かれておるのであります。従つて官吏というか、国家公務員地方公務員、あるいは教職員というような、これらの公務員諸君に対してこういう共済組合ができておる。そしてしかもこれは一般財源といつても、国から交付するといつても、一般の納税であることに間違いがないのである。従つて厚生年金との差があるということは、この制度自身が悪いというわけでけないが、やはり何らか官尊民卑的な思想にとらわれがちではないかというような非難が当然私は出て来やしないかと考えられる。こういう制度を設けるなら、やはりもう少しこれについてはそうした面を考えたらどうか。それから同時に、これと同じような制度である国民健康保険がやはり財政上なかなか赤字で困つておるということであります。これらの問題は、国民健康保険掛金でなくして、今日は税金のような形で取上げられておる。それにしてもなおかつ財政的にも実質的にも十分のものであるとは言えないというような形ができて来ておるのでありますが、この間の調救を自治庁としては一体どういうふうにするお考えであるか、もう一応聞かしておいていただきたいと思います。
  25. 小林与三次

    小林(与)政府委員 ただいまのお尋ねでありますが、これは先ほど大臣の方からも答弁のあつた基本的な問題に相なるのでございまして、自治庁といたしましても、これは政府全般考え方がそうであろうと思うのでありますが、特にあるいは中央、地方を問わず公務員だけについて特権的な処遇をやるというふうな特別な意図はもちろんないのでございまして国全体、国民全体の社会保障制度として均衡のとれたものができることが望ましいのでございまして、われわれといたしましてもそうした理想的な保障制度の体系ができ上つておれば、それの一部として吸収されて、当然統一されてやつてよいという考え方なのでございます。しかしながら、今日の段階におきましてはそこに多少の食い違いがありますので、自治庁といたしましてはさしあたりの経過的な措置として市町村職員、特に警察職員なり学校職員あるいは府県職員と不均衡な一般職員についてだけ、公務員として均衡のとれた制度考えざるを得ない。いわば局部的な不均衡をとりあえず是正しておかなければならないという考え方でこの制度をとつたのでございまして、国民全体の社会保障制度がすみやかに樹立されて、全体としての調子の高い制度ができることを期待もいたしておりますし、自治庁といたしましてもそういう方向に向つて制度の面におきましても、あるいけ運営その他の実施上の面におきましてもできるだけの協力をしなくちやならない、こういうふうに考えておるのでございます。
  26. 門司亮

    門司委員 もう一つ最後に聞いておきたいと思いますことは、例の国民健康保険組合とこれらとの関連性でありますが、国民健康保険組合は、先ほど申し上げましたように、非常に財政的にもあるいは実際的にも行き詰まつておる。そして廃止をしようかというような方向にある組合がないとは言えないのであります。そういう事態になつておりますときに、この町村共済組合法ができて、そして先ほども申し上げましたように役場の諸君だけがこれによつて救われて行くということについては、やはりそうした国民健康保険すら十分にやつて行けないというような町村に対しては、私はそういい影響を及ぼさないのじやないかというふうに考える。従つてこの制度を今日どうするというよりも、むしろ健康保険組合が完全にやつて行けるような制度を打立てて行くことの方が私は急務でないかと考えておる。しかしこれについてもいろいろいきさつがあつて、予算編成の当初にはそれらの予算をあまり政府は見ていなかつたようであるが、社会の反撃で大体去年と同じような予算の組み方をしておるようでありますけれども、これは厚生省の関係であるからといつて、私は自治庁もこれを等閑に付しておるわけにも行かないと思う。やはり市町村の非常に大事な仕事の一環としてこれを見るべきであると私は思います。従つて自治庁としては今日の健康保険組合に対して、これは厚生省の所管であるから厚生省にまかしておけばいいというようなお考えであつてはならないと私は考える。しかも一方においては保険税というような名前をつけて税金で取立てております以上は、自治庁がこれに全然関知しないわけには行かぬと思いますが、これらの点について自治庁として、今の国保を何とか育成して行くというような腹案でもございますならば、この機会に聞かせていただきたいと思います。
  27. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 実は、この御審議つております法案が閣議において最終決定を見ますまでには、おそらく御承知でいられると思うのでありますが、厚生省側からかなり強い反対があつたわけであります。その厚生省側の強い反対の論拠になつておりますのは、本日床次委員から、またただいま門司委員からお尋ねいただいておるところの気持からスタートしておると私も考えるのでありまして、私としてもその考え方には決して異論はないというように考えておるのであります。従つてとりあえず市町村の今までほおつておかれた職員についてこの措置はいたしますけれども、その他の一般的な問題から、さらに御指摘健康保険組合の問題につきましては、私も厚生省の問題であるからということで、ほおつておくということでなしに、今後も努力をいたしたいと考えるわけでありますが、ただ、ただいまのところこういう妙案があるというような妙案も持ち合せておりませんので、結局経営の実態というものをよく検討して、どうしても成り立たないものを国家的に考えて、財政措置をして行きたいということになるのではないかと考えておるわけであります。
  28. 門司亮

    門司委員 ちよつとこれについてあとで資料をひとつお願いしておきたいと思いますが、それは今の国民健康保険市町村民市町村との負担の区分の問題は、一体どういう割合掛金がなされておるか。これについてはむろん国の補助もありますが、その国の補助は、実際は事務費の補助であつて、実質的な補助をしていないと思うのです。従つて役場から出ておりますものと本人の負担しております割合と、この共済組合による職員負担役場負担している区分と、これらの比較表がもしできましたならば、ひとつ出していただきたいと思います。
  29. 床次徳二

    床次委員 ちよつと関連して。ただいま門司委員の質問に対しまして、大臣から国保の将来の問題についてお答えがあつたのでありますが、国保が成り立たない場合には国の方において国家的補助等も考慮しなければなるまいというのが御答弁の要旨のようでございますけれども、私は国の補助も大事であるが、しかし国民健康保険に関する限りにおきましては、地方公共団体相当の責任を持つてつてもいいのじやないかと思うのです。先ほどもちよつと申し上げましたが、地方財政需要の中に当然これは一部見るべきものじやないかと思う。この考え方を自治庁の長官たる大臣がお持ちになつているかどうか。そういうふうに考えて来て、あるいは国の方で国庫の方の予算だけで育成する考えか。この点は大事なところだと思うのです。私は国保に関する限りはやはり地方公社団体にも相当な責任を持たせた方がいいのではないかと思う。現に国保をいろいろ運用いたしておりますところにおきましては、地方公共団体がこれに対して相当補助を出しているわけで、そのために運用が非常にうまく行つているのだろうと思うのですが、地方公共団体がそれに対して何ら深い関心を払わないようなところは、大体これは成り立つていないというふうに考えるのであります。  なお関連してもう一つ申し上げますと、いわゆる大都市におきまして、ほとんど国民健康保険普及していないというところにおきましては、これは大きな欠陥がある。しかも大都市におきましてはこれがいわゆる不交付団体になつておる、あるいは超過財源を持つておるところであるというふうに言われておるのでありますが、しかし実情におきましては、少くとも国保程度のものは一番施設としてやらなければならないところだ。換言いたしますならば、国保のごときは地方のいわゆる自治事務の最たるものではないか、という立場において、先刻も御質問申し上げたのでありますが、その観点に立ちますと、国の補助を当てにして国保の育成をはかるという考え方については、私はどうもそういうふうに大臣がお考えになつておるならばこれはとらないところだと思うのですが、この点大臣の御意見をもう一回伺いたい。
  30. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 漠然と国からの補助と申し上げたのでありますが、必ずしも私は地方がめんどうを見ないというような考え方で申し上げたのじやなくて、この場合には国、地方を含めた気持で言つたのであります。地方も一部負担してめんどうを見るという建前にしたらどうかという御意見は、先ほどもお尋ねをいただいて私もその考え方の方がいいだろうというような感じをいたしております。これはやはり国もめんどうを見る、地方もめんどうを見る、そういう建前で、もし地方財政に不足があるならば、これは地方財政措置をして、その方向に持つて行く、こういうふうに考えております。
  31. 熊谷憲一

    ○熊谷委員 ちよつと簡単に……。この制度につきましては全面的に賛成をするのであります。これは年金の部分もあるようですが、年金がある以上は将来も積立金というような計画があると思います。積立金が最高になつたときにどれくらいの金額になるか。その予想を聞かしていただきたい。  それからその積立金の運用をどうされるかというような点についても伺いたい。
  32. 小林与三次

    小林(与)政府委員 大体横立金の予想は計上第一年度が六億七千万円ぐらいでありますが、それから第五年度に至つて三十五億。計上年度、これは保険数額上の年度ですから、約八十年後の——ちよつとこれは常識に合わないかもしれませんが、その計上年度になれば数額の計算上は三百五十五億、こういう状況でございます。  そこでこれの運用につきましては、数年後に数十億になるわけでございまして、これは相当慎重に考慮しなくちやならない問題があるのでございまして、特にこの共済組合法におきましてもその趣旨だけを明らかにする必要があるというので規定を設けまして、この七十五条に長期給付積立金についての規定を設けまして、この長期給付積立金は市町村共済組合の連合会で一括して管理をすることにいたしておるわけであります。各府県共済組合組合組織を全国に設けまして、その連合組織網を下から積み上げる民主的な組織をとつておりますが、連合会で長期給付の積立金と罹災給付の積立金と両者を管理することにいたしております。  そこでその管理の方法は、連合会がきめることになるわけでありますが、一応その趣旨法律に書きまして、この積立金の管理は確実かつ有利であるとともに組合員の福祉の増進または市町村の公共の利益に資するように運営しなければならないと運営の方針を掲げまして、あくまでもこの相当な省令は関係者に還元するということで、組合員の福祉のためか、あるいは雇用者になる自治体のためかに使う、こういうように目的を限定いたしまして、そうしてこの金を遺憾のないように運用いたしたいと考えておるのでございます。そこで具体的に、しからばどういう事業をどうやるかという問題は、連合会において定款でもつて操作の運用方針をきめることにいたしておりまして、われわれといたしましてもあくまでもこの資金を地元に還元する、こういう建前でいたしたいと考えております。
  33. 熊谷憲一

    ○熊谷委員 承るところによりますと、数年後には何十億かになる、八十年の後に数百億になるというような話でありまして、私どもの計算からすると少くとも八十年後でなくても最高額に達するのじやないかと思いますが、その計算をしつかりしていただくのと、私が心配するのは積み立てた金がすぐ大蔵省の方へ持つて行かれる危険性があるのじやないかと私は思います。従いましてそういうことのないように、ほとんど組合員の利益のために積極的にその福祉の施設に使われるよう運用されるように御注意を願いたいのであります。また後にお開きするかもしれませんが、その点だけ一応御注意と希望を申し上げておきます。
  34. 北山愛郎

    ○北山委員 私は今の問題だけお伺いしますが、今の保険経理のことは、やはり案の審議に非常に重要だと思いますので、ただいまお話のあつた資料はみなに配付されてございますか。もしなければ、それを配付していただきたい。  同時に今後の積立金等の運営につきまして、ただいま御質問があつたわけでありますが、参考になりますのは、現在の恩給組合の積立金をどういうふうに運営しているか。どれくらいの金額になつているか。それを自治庁で把握しておられますか。わかつているならば、その状況をお伺いしたい。  それからまた市や町村有の物件の火災共済の積立金がどのように運営されているか。これは町村会や恩給組合連合会等でやつていると思うのですが、これは自治庁として監督権はないのであるかどうか。特に恩給組合の方について監督する権限がないのかどうか。権限があるとすれば、その実態は把握されておらなければならないのですが、その運営状況は今後の共済組合の資金、積立金等の運営に非常に参考になると思いますので、その点をあわせてお答えを願いたい。
  35. 小林与三次

    小林(与)政府委員 今の長期積立金の資料に関しましては、すぐに配付いたしたいと思います。  それから今お尋ねの類似の恩給組合その他の組合の資金の状況でございます。実はこれに類似のものは、一つ府県職員共済組合、それから町村職員恩給組合でございますが、府県職員のを御参考に申し上げますと、大体二十三億の金額に上つております。町村職員恩給組合は、これは各府県単位になつておりますが、大体一県一組合平均が一億四千万円程度、全国集めれば六十億ぐらいになろうかと思つております。ただこの金額は県単位でありますので、各県ごとで管理運営をいたしております。まとまらなければ大きな力を発揮できない状況でございます。  そこでこの町村恩給組合につきましての監督の問題でございますが、これは現在の地方自治法によつてできた一部事務組合でありますので、地方自治法による一般町村に対する一般的な権限しか自治庁は実は持つておりませんで、財務についての検査権とかいうものは持つておりますが、積極的にこれをとやかくするという意味の指揮監督権は、現在ないのでございます。そこで一府県当りの資金につきましては、それぞれの恩給組合が管理をいろいろ適当に考えているはずでございますが、今までこういう類似のものは主として資金を確実、有利に使うという建前が中心になつておりまして、国の共済組合法でも、それ一本やりで実は規定されておつたのでございます。そこでわれわれといたしましては、これだけの資金を生かして使わなければ意味がない、熊谷委員のおつしやいました通りの方針で事を運びたいという気持がございまして、特に今度の法律ではその趣旨を明らかにいたしたわけでございます。それでわれわれといたしましては、適正な運用をやつてそれを生かして使うという方向に持つて行きたいと考えているのでございます。  町村職員恩給組合につきましては、そういう金がございまして、これは正直に申しまして、われわれ一般的な検査権以外はありませんが、地元におきましてやはり長期有利な方法をとるとともに、各町村の一時の借入れその他のために相当活用いたしているのが事実でございます。実はこの問題につきましては、保険に関する組合もありますし、相当地方公共団体関係には、いろいろ類似の資金を持つている資金源となるべき団体があるのでございますが、これをむしろ総合的に運営管理する方法を近き将来に何か考える必要があるのではないか。一方では当委員会でもいろいろ御意見のあります地方債金庫というような問題もあるわけでありまして、従来こうしてできました類似の団体の資金を集めますと、相当金額になつて、これを生かして使えば相当な仕事ができ得るのでありまして、われわれといたしましては、そうしたものの全体的な総合的な運用をいかにするかということを研究題目として現に研究しておりまして、何らかいい方法考えたい。地方債金庫その他の問題もこういうものを基礎にして一歩前進というか、つくり上げる方法も可能な道が開かれているんじやないかというふうな気持もありまして、せつかく研究をいたして、いい方法考え出したいと存じているのでございます。
  36. 北山愛郎

    ○北山委員 ただいまのお話で、恩給組合の各府県ごとの資金の運用等につきましては、自治庁でこの実体をよく把握しておらないようであります。実際は府県によつて違うでありましようが、必ずしも職員の福利厚生とか、あるいはまた地方公共団体の方の資金運営に使われておらぬで、勧業銀行等に確実だというわけで預けられて、それが中央にまた還元をしてほかの方面に使われているんじやないか。恩給組合の資金についてはこういうふうに思うのであります。従つて今度共済組合ができますと、やはり同じような結果になるおそれがありますから、先ほど希望がありましたように、この運営については恩給組合等ともあわせて適切な運営を十分に考えなければならぬと思います。  なおあわせてこの際お伺いしますが、恩給組合につきましては、数年前までは相当額の国庫の補助がございました。その補助が打切られて、今度は都道府県補助ということで、都道府県の平衡交付金の中に算定されている。従つて都道府県は、その財政需要額の範囲町村職員恩給組合に対して補助をするという建前になつてつたわけでありますが、現在でもその通りにやつておられるかどうか。その実態をお伺いしたい。
  37. 小林与三次

    小林(与)政府委員 実は恩給組合は、お尋ね通り最初民営団体という形でできて来たものですから、府県の方からも補助をしておつたのでございますが、恩給組合法をまとめて以来、これは町村の固有の経費として見るのが当然じやないかというので、市町村に関する平衡交付金の中にみなまとめて出すことにいたしたのであります。そこで実は一部の交付団体をめぐつて何とか道がないかという問題が、ここ二、三年間町村会との間にずいぶん議論があつたのでございます。それで従来県が出しておつたようなものに急激な変化があつて町村で非常に負担に困るというようなものにつきましては、特に特別交付金の方で考慮をするという扱いで、その間の調整をはかつて参る。それから町村の方の一般交付金で見る場合におきましても、できたら府県の段階で関係経費恩給組合の方にそのまま入るように、平衡交付金の一部を恩給組合においてかりに受領する方法がないだろうかという問題もありまして、いろいろ財政部あたりなり会計検査院とも技術的に研究した結果、恩給組合負担金に該当するものは、ところによつて話がつけばそのままそれぞれ委任の形をとつて府県の段階でまとめて、組合に受領できるような道も実は開いてあるのでありまして、今日におきましては、どうやらおちついて動いておるのじやないかと考えております。
  38. 中井一夫

    中井委員長 ちよつとこの際理事補欠選任についてお諮りをいたします。すなわち、委員の異動に伴い理事が一名欠員となつておりますので、その補欠選任を行いたいと思いますが、これは投票の手続を省略し、委員長より指名するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  39. 中井一夫

    中井委員長 御異議なしと認め、佐藤親弘君を理事に指名いたします。     —————————————
  40. 中井一夫

    中井委員長 引続きお諮りいたします。地方財政再建整備法案審査小委員も同じく委員の異動に伴い欠員を生じておりますので、その補欠選任を行いたいと思いますが、これまた委員長より指名するに御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  41. 中井一夫

    中井委員長 御異議なしと認め、同小委員佐藤親弘君、阿部五郎君を指名いたします。  午前の会議はこれをもつて中止をいたし、午後二時半より再開をいたします。     午後一時十二分休憩      ————◇—————     午後三時三十七分開議
  42. 中井一夫

    中井委員長 午前中に引続き会議を開きます。門司亮君。     〔委員長退席、佐藤(親)委員長代    理着席〕
  43. 門司亮

    門司委員 聞いておきたいことは、この法律全体を通して自治庁の権限といいますか、これが至るところに出て来ているのですが、自治庁の権限はやはりこういうふうに強くしなければまずいのですか。ある程度自治体にまかせつばなしというわけには行かないのですか。
  44. 小林与三次

    小林(与)政府委員 自治庁の権限はある程度出ておるのでございますが、これの類似の制度として国家公務員共済組合、私立学校共済組合健康保険組合等がありますが、それらから見るとずいぶん違うのであります。この制度がほかの共済組合制度と違う特色と申しますと語弊がありますが、違う一点は、できるだけ自主的なものにしなければならないという考え方で、最小限度にとどめようというので実は出したことであります。ただ先ほども北山委員からもお話がありましたが、市町村恩給組合法とは多少違つております。その考え方は、恩給組合法は自治団体の連合組織でありますので、一般市町村に対する制度と同様の制度にして、ほとんど特別な制度は全然扱つておらぬのであります。共済組合になりますと、市町村とともに市町村職員が構成員になつておりまして、相当多額の金を扱い、しかも仕事も重要な問題でありますから、他の共済組合や健康保険程度にまで強くする必要はごうもありませんけれども、最小限度の監督の規定がいるのではないか、そういうのでとどめたのでありまして、ほかの制度から見ると大分少いのでございます。
  45. 門司亮

    門司委員 ほかの制度から見れば少いというけれども、要するに九章の雑則を読んでごらんなさい。自治庁の長官の権限というのは非常に強いのです。八十六条の二項に書いてありますように、書類、帳簿その他必要な物件を検査させることができるというようなことまで書いておるのであつて、この点は少し行き過ぎじやないですか。要するに長官は報告を求めるという程度で、これが実際問題としてはいいのではないか。そうしてこの場合に聞いておきますが、地方の自治体の監査規定はどうなります。
  46. 小林与三次

    小林(与)政府委員 現地の検査権という問題が、報告を調査するだけでなしに、現地の実際について調査をするということはある程度いるのではないかと思うのでございます。通常の場合は報告の規定で済むことだろうと思いますが、必要がある場合におきましては実地について検査する必要がありまして、これは御承知の通り自治法でも報告をさせるだけでなしに、実地について財務に関係のある事務を検閲する権限がありますので、この点は多少こちらの規定が精細に書いてありますが、ある程度のことは必要があるのではないかと考えております。  それから監査の問題はどうなるかという問題でありますが、実は現在の監査委員の監査の権限は、正直申しまして現行法の規定だけでは多少不十分なところがあると思うのでございます。現行法の監査委員の権限は、もつぱら一般的には公共団体の経営にかかる事業の管理、出納の監査だけになつておりまして、その他特別の要求があれば話は別でございますが、一般的には監査権が及ばないことになつておるのでございます。これにつきましては、実はこういう場合だけでなしに、自治団体経費負担する他の団体その他の事業についても、監査委員の権限を及ばせるという必要が一般的に考えられるのでありまして、この点は監査委員の権限の問題として、一般的の制度としてわれわれはどうしても考慮しなければならない問題だろうと思うのであります。自治法改正の場合にもその点はぜひ考慮したいと思つて、せつかく研究中であつたのでございますが、この次の機会にはぜひそういう問題も一般的に考慮する必要があろうと考えております。
  47. 門司亮

    門司委員 今のお話ですが、この問題はほんとう地方自治体の自主的な一つの仕事であつて、これについて自治庁の長官が監督権を持つというなら、さつき申しましたようにむしろ自治体の監査機構がこれを十分監査することのできるような仕組みにすることがいいと思う。そうしてもしそれでなお不十分だというものなら、不正その他があつた場合提訴の道くらいを開いておけば大体それでいいのではないか、そういうような感じがするのであります。なぜ私はそういうこと言うかといいますと、この自治法に定めてあります、あるいは地方財政法に定めてあります規定というのは、国が地方の公共団体に対してある程度補助をしたり、あるいは財政的の援助をいたしております関係から、そういう規定を一応設けることが必要であつて、必ずしもこの規定は国が地方自治体を監査しなければならないというような古い観念に基いた規定ではないと思うのであります。新しい自治法あるいは新しい憲法のもとにおいては、自治体がどこまでも自治体固有の一つの権利の上に立つた仕事をして行く場合には、やはり本庁の監督はできるだけこれを避けて、自治体自身の内部でこれが十分にやつて行けるようにすることが私はいいと考えております。この点については、今のせつかくの御答弁でありまするが、私どもといたしましてはこれをただちに了承するわけには行きそせん。  それからもう一つお聞きしておきたいと思いますることは、この問題でいろいろな問題が起つて参りまする場合における審査の規定でありまするが、審査の規定がここに六十日と書いてありますが、この日にちが長いか短いかということが往々にして問題になるのでありますが、これは何か最初は相当短かつたものを、私どもの仄聞するところによると、自治庁は考えをだんだん六十日というように幅を置いて来たとうに考えられるのでありますが、実際上の問題としては、六十日というのは一体どうして適当であるかということを、もう一応はつきりお答えを願つておきたいと思いますが、これについてはこの法律を書かれる間にいろいろ異論があつた場所じやなかつたのですか。
  48. 小林与三次

    小林(与)政府委員 今のお尋ねの八十一条の共済組合の審査会の審査の六十日というのは、実はこれはあまり問題はなかつたのでありまして、現在の国家公務員共済組合の審査会におきましても同じような制度になつておりまして、それをそのままとることにしたのであります。おそらくは今の問題があつたと申しますのは附則の二十一項の問題ではないかと存じております。例の健康保険組合をやつておるものがこの新しい共済組合に乗り移るか、乗り移らぬか、こういう問題につきましては組合の方にもいろいろ御意見がありましたので、その問題じやないかという気がいたします。
  49. 門司亮

    門司委員 もう一つ聞いておきたいと思いますことは、この組合の問題点にあげられておりますことは、今まで持つております連合会といいますか、共済組合法のできない前に市町村で内規的にあるいはこうした制度を持つておるものが私は多少あると思う。従つてそれらの既得権との関係は一体どういうことに考えられておるか。もしその点がこの法律で十分解決ができるというなら、その点をひとつ御説明を願つておきたいと思います。
  50. 小林与三次

    小林(与)政府委員 今お尋ねの点は、実はこの法案の立案の過程におきまして、一番われわれ問題にいたした点でありまして、それから立案過程で各省、特に大蔵省との折衝においても問題になるし、逆に社会保障制度審議会においてもその点は問題になるし、また内部的には組合との関係においても実は問題になつた最大の点でございます。そこでこの法律考え方といたしましては、共済組合制度をつくるのなら、社会保障制度審議会でも建前上一般社会保障との関係上望ましくないけれども、もし自治庁の立場としてやむを得なければ、国の共済組合制度と同一のきちつとした例外のない制度をとるべきじやないか、こういう意向が技術的に社会保障制度審議会からも開陳されましたし、大蔵省の方でもそういう趣旨意見がずいぶん強かつたのでございます。しかしながらわれわれの考えといたしましては、そうではなしに、この法律をつくるのは、一般市町村で全然放置されておるところの職員に対して、最小限度の府県公務員その他警察職員なり、教育職員並の共済制度を確保しようというのがわれわれの趣旨でありまして、何もそれに全部くぎづけにする必要はない。個々の、今お話のありました通り健康保険組合をそれぞれ資力のある団体がつくつておりまして、その資力のある団体では健康保険組合制度の活用によりまして、国の共済制度より以上の有利な条件で健康保険制度を運用しておるところが少くないのであります。そのよいものをこの制度に画一する必要は一つもない。自力でやつておるものは地方自治の建前からいいましても、多少給与のいいものがあつても、それを下げる必要がないと同様に、共済制度につきましても、下げる必要は一つもない、そういうのがわれわれの基本的な態度なのでございます。  そこでそのうちの第一番の問題は、実は健康保険組合では例の附加給付という問題がございまして、法律できまつておる給付より以上の給付を組合規約で定むるところによつて自由にやり得る、こういう道が一つ開かれておるのでございます。その附加給付と申しますのは、一般に国の共済制度健康保険組合との差を充足するのが附加給付であります。一部の富裕な団体の行う健康保険組合では、それ以上の給付を現にやつておるところがあるのであります。そういうものをどうするかという問題が一つ。  それからもう一つは、健康保険組合組合負担金割合が事業者と職員とが半分々々というのが法律の建前でありますが、これも組合規約の定むるところによりますと、事業者側においてよけい負担することができることになつておるのであります。場合によつては三対二、きわめて例外の場合においては三対一というふうな割合で事業者側が経費負担しておる場合がありまして、この共済組合制度では全部建前上半分々々、こういうことになつております。これをどう調整するか、この二点が実は根本的に問題になり得るのであります。  いま一つ申し上げますと、共済組合組合員になる範囲と、それから健康保険組合対象になつておる範囲とがまた多少食い違いまして、この範囲は、むしろ健康保険組合法の建前の方が広いのであります。共済組合になると、狭くなるおそれがある、その問題をどうするか、実はこの三点が根本的に違い得る問題なのでございます。  そこでその扱いをやるのに、まず第一番の問題は、すべての健康保険組合を強制的にこの法律に入れるか入れぬかという問題でありまして、これは先ほど申しました通り、最小限度保障すればいいのであつて、それぞれ自立できる有力な団体が自主的にやろうというものまでを、強制的に組合に入れる必要がないのであります。そこで附則の二十一項に規定を設けまして、現にこの健康保険組合組織しておる市町村で、組合員の過半数の同意があつた場合におきましては、この共済組合制度によらずに、自力で引続き健康保険組合をやつて行くことができる、こういう道をまず第一番に開いてあるのであります。その場合に、全然この制度によらずに、みずから療養その他の短期給付もやれば、年金に当る長期給付も全部自力でやり得る、こういう道を開くとともに、場合によつては短期給付、療養保険給付だけを自力でやり得る、こういうふうにこの道も割と自由にふくらみを持たせまして、組合職員の意思でもつて独立してやり得るという道を第一番にこしらえてあるのであります。  それからその次は今の附加給付の問題でありますが、附則の二十八項で特にまた規定を置きまして、従来健康保険組合で附加給付をやつてつたものが、新しい共済組合に転換いたしました場合におきましても、その附加給付は共済組合法規定にない場合でもそのまま引継いでやれる、こういう道を開いてありまして、これによつて給付が質的に低下することのないような考慮をいたしてあるのでございます。  それといま一つ負担金の問題でございますが、それは附則の二十九項でその規定を設けまして、町村組合員負担町村分が非常に多くなるという場合におきましては、これも引下げる必要はなし、町村が自主的にやり得るというものはそのままにしておいていいのでありますから、引続いて二十九項でもつて、同様によけいの部分市町村負担し得るという建前をつくつてあるのであります。  それといま一つは、組合員範囲の問題でありますが——これはちよつと前後しますけれども、二十七項で、従来健康保険の被保険者であつたものは、引続いてこの共済組合対象になり得るという規定を設けまして、経過的措置といたしましては、従来有利な扱いをされておりましたものは、ことごとくこの制度によつて救い得る建前にいたしてあるのでございます。それを特に附則に書きましたのは、一般的の制度といたしましては、これはやはり国及び府県を通ずる制度に合せておくことが適当であろうと認めまして、一般的な制度府県並、国家公務員並にするとともに、そういう特殊例外的な扱いをしておるものは、附則でもつて全部救う、そういう措置をとつたのでございます。
  51. 門司亮

    門司委員 経過措置は一応それでわかりますが、その場合の国の財政的の関係ですが、今度出す交付税ですか、これとの関係はどうなりますか、そういう一般的な組合に入らない場合、独自でやれる場合の市町村は、交付税の必要経費についてはどういうふうに大体当局は見ておりますか。
  52. 小林与三次

    小林(与)政府委員 これはごもつともでございまして、この制度のない現在の建前を考えますと、現在の建前におきましては、特に共済制度なり年金制度なりについては、一般財源というものは実は考えておらぬのであります。ところがこの制度によりまして、この共済制度というものをつくつて、最小限度の費用を確保しなくてはならないという制度を立てる以上は、共済組合に加入するものと同じ程度財源だけは、当然法律上確保してやらなければ筋が通らないので、それと同じ程度財源はすべての町村についてひとしく確保しよう、こういう考え方をとつておるのでございます。でありますからそれ以上よけい出す部分は、それぞれの団体の財力と自主的な意思でやるのでありますが、その部分は見ておりませんが、最小限度の部分はひとしく平等にやる、こういう建前をとつております。
  53. 北山愛郎

    ○北山委員 地方自治法改正についてまず二、三お伺いします。まず第一に、先般警察法が通りましたのですが、あの最後に修正案が出たわけであります。修正案の関係でもつて、この地方自治法の一部改正にも多少は影響があるんじやないかと思うのでありますが、あの修正案に伴う地方自治法の一部改正、これの修正の方は必要がない、こういうようなことでございますか。
  54. 小林与三次

    小林(与)政府委員 これは実は一つの問題点でありまして、今度の自治法改正で警察法の改正に伴うものは、まあ実は実質上の問題は警察法で全部解決をしておりまして、むしろ技術的な整理、こういうふうに考えておるのであります。法律の建前としてはもちろん一致しなくちやならぬりくつでありますが、必ずしもこの自治法改正がなければ警察法が動かぬわけではない、こういうのが一般的な考え方であるわけでございます。しかしながら制度の建前としては合せるのが一番筋でありまして、その面からいたしますと今度警察法が国会で修正になりまして、そのうちで特に問題になり得るのは、本文の五大市に市警察部を置くという関係自治法改正には全然関係がありませんが、この一年間だけ暫定的に五大市については府県並の警察組織にする、こういうことになりますと、今度の自治法改正では、たとえば公安委員会というものは全部府県に置くという建前になつておりまして、市にそれを置くという道が開いていないわけでございます。それでそうした部分は少くとも何か技術的に調整をつけるということが、理論としては当然の筋だろうと思うのであります。それともう一つは、実質的にやはりどうしても考えた方がいいと思われるのは、自治法改正のうちで、例のリコールの規定がございまして、リコールの場合に、選挙権を有する者の範囲が、五大市の場合はその市の区域、府県の公安委員会の場合はそれ以外の区域、こういうふうに読みわけなければ実は法律が読めないわけであります。それですから少くともその部分は、実質的にもしそういう問題が——起り得るわけでありますから——解決しなかつたならば、これは動きがつかぬという面が出て来るわけです。どうしても動きがつかぬという面が実は二箇所今調べたところではありまして、あとのところは形式的な規定の整備でありますが、(「まだあるぞ」)ありますが、いずれにしろそういう意味で、技術的にはこれを何かするということは、もう少し私の方でも調べますが、考えなくちやならぬだろうと思つております。
  55. 北山愛郎

    ○北山委員 そうすると修正案も最終的にはきまつておるわけではないようでありますが、あの修正通りに決定するということになれば、自治法についても今の二点、それを修正しなければならぬという点は了解しました。     〔佐藤(親)委員長代理退席、委員   長着席〕  それから次に、この市の人口要件でございますが、三万を五万にする、これは前々から、この委員会でもいろいろ質疑されているわけです。ただ問題になるのは、市の要件、例の連檐戸数であるとか、そういうような都市としての形態の要件の方を従来のように非常に融通性をつけて、いわば大目に見るといいますか、その運用の妙を発揮されて今後ともおやりになるということになれば、三万を五万にしても七万にしても、それほど大した意味がないといいますか、人口の上で五万だけをかき集めれば——三万よりはむずかしいかもしれませんが、その他の要件のブレーキがかからなければ、それほどの意味がないように思うのです。そこでその他の市の要件というものを、今後はどういうふうに取扱われるつもりであるか。まあ従来とも必ずしも法に違反したような処置はしてない、法の解釈し得る範囲でうまく運用されておるというような御答弁でございましたが、やはり実際は、いろいろ聞いてみますと、これは相当運用の妙を発揮されているようでありますが、今後ともそのようにするということになれば、人口要件をきびしくするということが、さして意味をなさなくなるんじやないかと思いますから、ひとつその点を、今後の方針等につきましてお答えを願いたいと思います。
  56. 小林与三次

    小林(与)政府委員 実は市の要件は、人口だけかえまして、あとのところがふえてないのでございますけれども、人口をかえればあとの要件もそれに随伴いたしまして実質的には当然にかわつて来ることになりますので、特にかえなかつたのでありまして、現在の建前におきましては、人口三万を基礎にして、運用は現行法の許す限りという考え方でやつております。やつてはおりますが、これも単に人口さえあればいいというわけではないのでありまして、現行法の解釈が許さなければ——ある程度市街地の状況なり、あるいは産業の構成なりというものは法律に書いてありまして、これを無視しておるわけでは全然ないわけでありますが、人口が五万になれば、たとえば全戸数の六割というものも五万の六割ということになりまして、これは実質的に当然に縛られるのでありまして、五万になつたから今までと同様な、実質上かわらぬものによつてやるかというわけには当然に参らぬだろうと思うのでございます。それでありますから、事実上行われますのは、現在のような形でつくつておる市は、現在の人口の要件の場合においてしか許されぬのでありまして、もし五万になれば、現在できておるような市は事実上できなくなる、こういうふうにわれわれは考えております。
  57. 中井一夫

    中井委員長 北山君にお伺いしますが、塚田大臣が参議院から出席要求されておるのですが、退席されてよろしゆうございますか。もしそうでなければ、この際大臣お尋ね願いたいのでありますが——、それでは恐縮ですが、大臣への質問を先にお願いして大臣はこつちを済ましてから向うに行つてもらいましよう。
  58. 門司亮

    門司委員 これは解釈だけでなくて、問題は将来に残ると思いますから、大臣によく考えておいてもらいたいと思いますことは、今の警察法の改正に伴う自治法改正でありますが、一つは例の修正された案によると、五大市の存する、いわゆる百五十五条の市のある府県においては公安委員を五人にして、二人は市会の推薦ということになつておる。その場合のリコールは一体どうなりますか。これは県の公安委員として、県のリコールが行われるのか、あるいは市が市会の同意を得ております以上は、市でその二人だけについてリコールができるのか、それはどつちにリコールの権限があるのか、はつきりしておいてもらいたい。
  59. 小林与三次

    小林(与)政府委員 これは現行法で言えば、県の公安委員会ということになつておりますから、県だけの形でリコールが行われ得るということに一応なるのでありまして、立法的にどうするかという問題が一つの問題として残りますが、現行法の解釈から行けば、自治法をこのままにしておけば、当然その県の公安委員会だから、ただ任命方法が違うというだけであつて、あくまでもリコールは全部、こういうふうに理解せざるを得ないと考えております。
  60. 門司亮

    門司委員 それだからその点が問題なんですがね。県の公安委員会といえば、任命権が一体どこにあるかということですね。あの警察法の改正をそのまま読んで見ると、任命権というか推薦権というか、それはやはり市長にあるように見受けられるのです。県知事はあれに対しては何にも書いてない。県知事が承認するとか、拒否することができるとかいうことは、何にも書いてない。ただ市長が市会で承認を得たものが、ただちに異動することができるようになつておる。そこで私がさつき言つたような問題が起つて来るのであります。知事が県の公安委員を推薦するというのと同じ形で、一方においては市会にそういうことを委嘱したのだということであり、一方は知事が当該都道府県会に諮つてこしらえたのだということになれば、やや今の御答弁のようなことがあてはまるかと思うけれども、実際は市会限りでこれが決定されておる。そこに今のような問題が起るのでありますが、この点については、あとでひとつ小林君によく研究して答えてもらいたいと思う。  そこで今度は大臣に一応聞いておきたいと思いますることは、これは大臣にはしばしば申し上げておりまするので、私はそうやかましいことは言わなくてもいいと思いますが、自治法改正と、それからさきに通つておりまする警察法の改正とは、非常に大きな関連性を持つているのであつて地方制度調査会が答申をいたしましたあの答申案に基く自治法改正が行われるといたしますと、五大市を初めとした市町村に対しましては、かなり大幅な権限が委譲されることになつて来る。そういたしますると、その中には多くの警察の行政部門に属する権限が市町村に委譲されるのではないかということが考えられる。こういう形になつてつて、ことさらに市町村の自治警察というものが必要になつて来る際に、無謀にも——私に言わせれば無謀だと言つた方があてはまると思うんだが、無謀にもこれを県に取上げようとしておる大きな矛盾がありますが、この矛盾の点に対して、大臣は一体どういうふうにお考えになつておるかお聞きしておきたい。
  61. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 これはおそらく警察法の審議の過程において、しばしば担当の国務大臣もしくは政府委員からお答え申し上げたと思うのでありますが、私の自治庁長官としての立場では、今までの警察制度が過去何年間かの運用の実績にかんがみて、どうもうまく行かない点があるというので、それを頭に置いて、その点が是正できるようにこれを直して行く。そこで御指摘のように、いろいろな現在ある地方制度そのものについての考え方、それからそういうものを基礎にして、地方制度調査会などで考えられておつた考え方、そういうものと新しくできた警察制度というものと、多少調和のしにくくなつておる点ができておると私も思うのであります。そういうようないきさつで警察法の改正というものが行われたわけでありますから、国会の御意思が最終的に決定して、警察の制度はこれで行くということになれば、自治法の方は、その考え方を前提に置いて、今までの法律、それから今まで行われておつたいろいろな考え方、そういうものを十分に調和のとれるように整理をして直して行く、こういうようにせざるを得ないだろうとは考えております。
  62. 門司亮

    門司委員 これは自治体にとつては非常に重大なことでありまして、警察権がだんだん中央集権になつて来る形を示して参りますると、地方行政というものが、これまただんだん官治行政の形を現わして来るということに大体解釈ができるのでありますが、そうなつて参りますると、明らかに憲法に規定したこととかけ離れた問題が出て来るのでありまするが、一体自治庁の長官として、それでいいとお考えになつておるかどうか。
  63. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 この点も地方自治というものの基本に対する考え方として、私は憲法の考え方はどこまでも維持して行かなければならない。維持するどころではない、ますますこれを発展、推進させて行かなければならないと思うのでありますが、地方自治の実態をどういう形で運営させて行くかということは、いろいろの運営の実績などにかんがみ、ぐあいの悪いところは逐次直して行くということも、またやむを得ないと思うのであります。しかしそういうぐあいに直します場合にも、絶えず基本の考え方の線はくずれないようにということは気をつけなければなりませんけれども、そうかといつて、憲法の地方自治の精神、それから現存の地方自治法の精神、そういうものを頭に置いて地方自治を育成するという方向に行くときに、現在のあり方を全然かえられないというように固く考えるということは、どうだろうかというように私としては考え、十分そういう調整をいたします場合にも、御指摘のようにこの地方自治というものの本来のあり方に大きくくるいがないということを頭に置きながら、善処して参りたいと考えております。
  64. 門司亮

    門司委員 われわれがそういうことを一応聞いて行きたいと思いますことは、自治行政のあり方というものがだんだん中央集権的になりつつあるのではないかということが実は考えられておるのであります。たとえば今出されておりまする地方自治法改正におきましても、財産区の問題等につきましては、町村が合併いたしました場合における不均一の課税の問題等についても、都道府県知事のあらかじめ許可を受けなければならないということが書いてある。私は財産区の設定をいたしますることのために、その財産から生ずるものが当該市町村の収入になり得る場合は、その財産区を持つておりまする住民の負担を軽減するということが、一応これは負担の均衡の上から行けば、正しい一つのあり方であるかもしれない。しかしそのことをあらかじめ知事の許可を得なければならないということは行き過ぎじやないかと私は思う。それはやはり地方の賦課権を持つておりまする市町村にそれをまかしておけばいいのであつて、これをあらかじめ知事が許可するというような改正は少し行き過ぎだと思うのですが、今の大臣のお考えとは逆に、実際はだんだん中央集権を強化して行こうという考え方じやないのですか。
  65. 小林与三次

    小林(与)政府委員 財産区の規定の技術上の問題だけ、ちよつと私から御答弁申し上げたいと思います。財産区の規定は、今お話の通り知事が出て来ることが一、二回あるのでありまして、今の不均一の賦課が一つ、いま一つは、財産区が財産を目的外に処分するような場合が一つ、もう一つは、財産区と町村との間における争いが起つた場合に、何か調停する必要があるというので、裁定をするという規定を入れてあるのでございます。この意味は、何も中央集権とか、そういう考え方をいたしたわけでは全然ないのでありまして、この財産区の今度の規定は、御案内の通り今度町村合併がいろいろ進むにつれまして、特定の町村がこういう財産を持つており、ほかの町村は持つていないという場合に、こういう林野を持つておるものはなかなか合併に応じないというのが実は根本の問題になりまして、これは結局現在の財産区の規定があるではないかというので、いろいろわれわれもやつて来たのでありますが、現在の財産区の規定だけでは何とも安心がならぬというのが、実は根本だつたのでございます。と申しますのは、現在の財産区の規定では、それぞれ旧地域は財産権の主体にはなり得るのでありますけれども、一たび財産区をつくりますと、当該財産の管理その他の問題は地方自治法一般原則によりますので、特に財産区の議会を設ければ特別、そうでなければ町村議会でこれを議決し、予算も町村の予算の一部として編成され、さらに管理は町村長が管理する。こういう建前になつておりまして、名前ばかりその財産権の主体になつても、あとが心配でならぬ。こういうことが実は根本の問題だつたのでございます。そこでなるたけみんなが安心して財産区を持つて、その財産区の管理についても旧町村の人たちが発議権を持つようなことを一面において考え、その旧町村の区域と、新しく合併してできた新町村全体の区域との間におけるいろいろな調整を合理的にさばくことをどうしても考えないといかぬ。こういう点が問題になりまして、そこでいろいろ研究し、くふうし、それからそれぞれそうした町村などの意向も聞きまして、今度の財産区の改正考えたのでございます。  そこで今のたとえば財産区の財産を町村に利用した場合におきまして、不均一賦課の規定を置きましたのも、そういう意味一つあるのでございまして、一面におきましては旧財産区の関係者が安心するとともに、他面におきましては、新しい町村の一体性というものをなるべく保障して、そこの間を円満に調整して行く方法考えなければいかぬじやないか、こういうのでそれぞれの財産区の収益は旧部落だけでは使わず、新町村一体となつて使うようにする方法考えるとともに、その間における調整措置として、不均一の賦課ということも考えたのでありまして、こうした一連の問題の解決策として、両者の間がうまく調整をとつて行くためには、何か間の人がいるのじやないかというので、実は知事が出て来たのでございます。それがそのあとの財産を処分する場合などでも、これはまことに異例な措置でありまして、現在の自治法では財産を処分するのに、知事の許可なんというものは何もないのでありますが、一面におきまして林野の処分が、合併をめぐつてしばしば行われまして、ずいぶんやかましく言つておるのでありますが、なおかつ問題があり得る。そういう意味で、これはわれわれといたしましてはまつたくいやな規定でありますけれども、最後の保障として最小限度こういうこともやつて、全体の財産の管理の適正を期するということを考えざるを得ぬじやないかというので、この規定を入れたのであります。大体そういう考え方でこの規定が設けられたのでありまして、中央集権とかその他そうしたような意味合いは全然ございませんので、この点はひとつ御了承をお願いいたしたいと存じます。
  66. 門司亮

    門司委員 大臣はどうなんです。
  67. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 いろいろ御意見伺つてつて、私も同感に考えられる点があるわけであります。ただ今部長からこまかく御説明を申し上げましたように、御指摘のような規定を置きました考え方はそこにあるのでありまして、これによつてだんだんと中央集権化の方向を打出して行こう、こういう考え方は毛頭ないのでありまして、先ほども申し上げましたように、現実運営をしてみて、支障のある部分については、大きく自治という精神をくずすということでない限りは、やはり運用に便利なようにして行くということの方が、財産保全の観点からもいいのじやないか、こういう考え方をいたしておるわけであります。
  68. 門司亮

    門司委員 私が心配していますのは、自治庁の考え方は非常に安易な道を実はたどつておるわけでありまして、現在の自治法の建前からいいますと、都道府県といつても、市町村といつても同一なことに間違いがない。何も知事の指揮監督を受けなければならないということはどこにもないはずである。ことに財産区の問題等につきましては、ことさらに財産区の区会議員を設けるか、あるいは当該市町村議会でやるか、あるいは総会でやるかといういろいろな運用の面については問題は残されておりますが、いずれにいたしましても、これを管理する者は大体市町村長であるということに私は間違いがないと思う。そういう一つの形式上の問題について、何も知事が出て来なくてもいいのではないか。ことに今度の自治法改正では、この点を非常にたくさん改正しておる。二百九十六条に関して二から六までくらいですか書いておるが、私は財産区の問題では、こんなに町村合併があるからといつて、こういう問題をたくさん書かなくても、従来の財産区の問題ではそうやかましい問題は起つていなかつたのではないかというふうに考えられる。従来でも町村合併のときに問題になるのは往々にしてこういうことでありました。今日いわゆる町村の部落有財産というものが、そういう形でまだ残されておる。従つて私はどこまでも自治庁の改正は行き過ぎである、こう解釈する。ことに二百九十六条の六に「都道府県知事は、必要があると認めるときは、財産区の事務の処理について、当該財産区のある市町村市町村長、特別市の市長若しくは特別区の区長に報告をさせ、若しくは資料の提出を求め、又は監査することができる。」こう書いてある。この規定は、これはまつたく財産区に対して知事の監督権を認めておる。これはほんとうの行き過ぎだと私は思う。一体ここまでどうして認めなければならぬか。よけいなお世話じやないですか。これは明らかに自治庁のものの考え考が、やはり中央集権的のものの考え方があるからここに出て来るので、「必要があると認めるとき」というのは、一体何です。紛争があつたとか、あるいは提訴をされたとかいう場合に、これの解決方法知事が査定するとか何とかいうならまだ話はわかる。いわゆる当該市町村ではどうもうまく行かない。そこで一応知事さんに相談しようじやないかということで、知事がこれを査定するというならまだしも、二つも地方自治団体があり、一方は少くとも市町村一つの区域としている公益団体であることは間違いございません。その一つの区域の中の地方の自治体の紛争に対して、やはり大きな団体がこれに仲介をするということは、一応社会通念としては考えられる。がしかし、ただいきなりここに、都道府県知事は必要があると認めるときは、これの資料を提出させたり、あるいはこれを監査することができるということになると、これはまつた知事にその権限を一任しているのである。これは明らかに市町村の行政を、知事の権限が侵害する一つの条項だと考える。この点に対して一体自治庁の長官はどうお考えになつておりますか。
  69. 小林与三次

    小林(与)政府委員 技術上の問題もありますので、その点は私から御説明申し上げたいと思います。実際この財産区の規定は、今度かなり精細にいたしたのでありまして、これにつきましてはわれわれとしても、現行法のままで済むものなら済ませたい考えでございますが、実は財産区の概況を調べたものを資料として提出しておきましたが、既存の財産区は、これはどちらかと申しますと、御承知の通り明治の初めの町村合併の際の旧部落が、そのまま財産区になつているのでありますけれども、今度の大合併におきましては、あとに市町村有林野に関する調べも、ちよつと手元にあつたものをお配りしておきましたが、きわめてたくさんの、数百町歩、千町歩を越えるような大きな林野を持つている町村も実はあるのでございまして、この町村の持つているものを、合併の際どう解決するかということが、一番われわれの悩みの種だつたのでございます。     〔委員長退席、佐藤(親)委員長代理着席〕 それでそういうものを統合するとともに、統合後の管理と申しますか、そういうものの運用を間違いのないようにすることが、一番考えなくちやならない問題でありまして、一面においては、この林野の売却その他の処分ということで、当委員会においても、参議院の方におきましても、しばしば議論になつた問題もあるのでありまして、なるべく町村あるいは関係の財産区にまかせたいとともに、財産区だけにまかせておいては、場合によつては不当にあるいは不都合に処分をされるという事例も少くないのでありまして、そういう意味の最小限度の監督——と申しますか、保障規定だけはどうしても残す必要があるのじやないか、こういうのが考え方の基本になつているのでございます。それでありますので、そういう意味のことを最小限度確保するために、場合によつてはこれを実際に現地へ行つて調べる必要もあるのじやないかというので、この規定を置いたのでありまして、必要があると認めるときとはどういうことかといえば、もつぱらそういう意味で財産区の財産の管理というものを適正にやつて行くという建前の必要上、何か問題が起つた場合というのがわれわれの考え方なのでございます。これは御案内の通り一般の財務の検査権、検閲権につきましても、現在でも一般的に内閣総理大臣なり府県知事が、それぞれ府県市町村に対してそうした検査権を持つているのでございますが、その趣旨と似たような考え方でございまして、これは特別にどうこうという問題じやないのでございます。最小限度この程度のものがいるだろうという考え方に立つて規定を設けた次第でございす。
  70. 門司亮

    門司委員 非常に時代逆行的な御答弁を聞くのでありまして、国あるいは県が市町村財政その他を見なければならないということは、国その他が市あるいは町村に対して補助あるいはその他の財政的な援助というか、たとえば交付税等もその一つの仲間でございましようが、広くそういう関係を持つておるのであるから、従つてこれらに対して国がある程度の調査あるいは資料を提出させるということは、一応うなづけるのであります。しかし財産区の問題はまつたくそういうこととは関係がないのであります。府県とは何も関係がない。しかももし財産区の問題等について処分の不適当その他がございますならば、これに対しては地方住民が監督する権限を持つているはずだ。従つて私は自治の本来の建前から言うならば、地方の住民の監督権限の必要がもしここにあるとするならば、これを規定した方が私はまだ問題がはつきりして来ると思う。いわゆる不当なる処分についてはこういうことを当該住民はやることができる、つまり自治法にあります監査の請求権を持つております。やはり監査の請求権等がここに適用されて来ることの方が望ましいのであつて、財産区と県は何にも関係がないのであります。その関係のないところに、知事が必要があると認るときということになつて参りますと、知事がどうしても上位に置かれているというものの考え方だろうと思う。この自治庁の考え方はけしからぬと思う。もし自治庁がそういうものの考え方をしているならば、自治庁をさつそくとりかえてもらわなければどうにもならぬものの考え方だと思う。従つてその次の第二項には何を書いているかといえば、職権によつてこれを裁定できるとまで書いてある。当事者の申請に基いてこれを裁定するというならまだわかるのであるが、職権においてこれを裁定するということまで書いてある。これは知事の権限の行き過ぎだと思う。どうして一体こういうばかばかしい権限が知事にあるのですか。知事が何ですか、内閣総理大臣といえどもこんな権限を持つていないでしよう。これは自治庁のものの考え方は少し行き過ぎではないか。知事というものがそれだけこの地方の財産区に対して何も権限を持たなくてもいいのである。いわゆる申請に基きあるいは提訴を受けた場合にこれに裁定をするという立場は、先ほどから申しますように、あるいは最小限度に必要かもしれないと思う。それとてもさつきから申し上げておりますように、地方住民の責任における監督の上でこれの解決はある程度できるはずだ。にもかかわらずこの二つの規定はまつた地方の自治体、いわゆる市町村の権限を認めない。知事が上級の官庁である、いわゆる県は市町村の監督官庁であるというものの考え方から来た一つの行き過ぎだと私は思う。この点に対して一体どうお考えになるのですか。これは確かに行き過ぎだと思うのですが、一体行き過ぎでないとお考えですか。
  71. 小林与三次

    小林(与)政府委員 これは地方自治法考え方で、県と市町村との関係をどう考えるかとい根本論に関係があるわけでございますが、われわれといたしましても、県が市町村に対して昔の考え方と同じような上級の自治団体として指揮権をとろうとするという考え方はもちろんとるべきでもなし、とつてもおらぬのであります。しかしながら府県は現行自治法の上におきましても、市町村を包括する団体としてある程度の権限を知事が持つておるのでございまして、これは御案内の通り町村の合併自体でも知事が最終の決定権者になつておりますし、それから先ほどもちよつと申しました一般町村の財務についての検閲権につきましても、内閣総理大臣が持つておると同様な権限を都道府県知事が持つております。その他都道府県知事は、市町村の事務につきまして指揮監督権を全然持たないわけではありませんで、委任事務等につきましてはみな保留されて自治法でも規定されておるのでございます。そこで財産区の問題につきましては、先ほど申しました通り財産区と財産区に属する町村との間における利害の調整につきまして、非常に問題がデリケートでいろいろ議論もあるし、現に問題の起きている場合も少くないのでありまして、特にこれから、今申しました通り多くの林野をかかえておる町村の合併を円滑に進めまして、安心して合併をするとともに、しかも全体として円満な町村の行政をはかつて行くということのためには、最小限度その地方をまとめておると申しますか、まとめておる団体の長である知事に、ある程度の権限を持たせておくということは必要な規定であろうという考え方に立つておるのでございます。現に今知事は何も国の官吏でもありません。公選された地方公務員でもありますし、地方全体の住民の与望をになつて行政をやつておるわけでありますから、特に官僚的な統制とかいうような問題があるとは考えておりませんので、要するに財産区の問題が円滑に行くように、最小限度の保障を確保しようという意味にほかならないのでございます。
  72. 門司亮

    門司委員 私は自治法に言う知事市町村を監督するということは、これは段階的の一つのものの考え方が、現行自治法の中にもあるわけであります。しかしそれは大体国の委任した行政事務に限られているはずではないですか。それらのものについては、都道府県にあつては主務大臣が監督をし、あるいは市町村にあつて知事が国の一つの委任の事務として、これを指揮監督するということは私はあり得ると思う。しかしそれ以外のこういう全然独立した一つのその町村内の固有の事務というよりも、むしろその市町村内の一つのできごとにすぎないのである。これは固有の事務であるかないかというところまで行かないのである。それは単なる財産をどうするかという問題だけであつて、言いかえるならば私有の財産といつてもちつともさしつかえない財産であつて、何も県のごやつかいにならなくても、市町村の住民の考え方によつてこれを十分処理することができるのではないか。従つて今度書かれておりますこの財産区の部分につきましても、あるいは現行の自治法の中にも財産区に対しては、これをどう処分して行くか、また運営して行くかということ等については当該市町村議会にまかせるとか、あるいは財産区から議員を選んでそれに運営させるとか、あるいはそういうものがめんどうならば人数の少い場合はこれを総会というような名前で、全員の意思決定によつてきめて行くとか、いろいろな手段がここに講ぜられておるはずである。ここまで財産区というものについては自由にその運営等についてもあるいは管理等についても認められておる。にもかかわらずただこの最後に来て、これは知事が必要のある場合には監督をしたり、監査をしたりあるいは申請があつてもなくても、職権でこれを裁定することができるというような、こういうばかばかしい規定はどこにもないと思う。先ほども申しましたように自治法に定めておる現行の規定も、おそらく国につながりがあり、府県につながりがあるものについては、当然監督の権限も生れて来るでございましようが、いろいろの問題が出て来る。その場合でも、何ら提訴もない、申請もないものに対して独断でこれを裁定することができるというようなばかばかしい規定は、おそらく今度の規定が初めてだと思う。普通の行政事務と財産区の問題は私は違うと思う。これを同じに考えておるところに私は自治法の非常に大きな誤りがあると思う。自治庁の長官はこの点をどうお考えになりますか。こういう規定が正しいとお思いになつておるのですか。私はこういう規定こそはずして行つて、そうしてたとい町村が合併いたしましても、その財産区に対しては、やはり旧町村の住民の自由なる意思に基いてこれを処置するというようなことが正しいと思う。もしこれを逸脱しておつた場合には、住民の意思によつて、あるいは当該町村の管理者に提訴されるとか、それでもなおかつ解決しない場合に、提訴あるいは申請のあつた場合に、知事がこれを裁定するというようなことにしておくのならば、まだしもわれわれは了承できるのでありますけれども、そういう規定を設けないで、いきなりこういう規定で、申請があろうとなかろうと知事が裁定することができるというような権限は、非常に大きな権限であります。私どもといたしましては、こういう権限を知事にまかせるわけに参らないのであります。この点について、自治庁の長官はどうお考えになりますか。
  73. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 これはいろいろ考え方があると思います。門司委員のお考えのような考え方も確かにあり得ると思いますが、私は実はこういうようにこの問題を考えております。大体市町村の中にある一部分の者が特殊の財産を持つておるということ自体は、自治団体のあり方としてきわめて異例なものの考え方だ、しかもそうせざるを得ない特殊事情があつてこれをこうしておくということになつておるのが、今の財産区の基本の考え方であります。そこでこの財産区が、市町村——自治団体の中にあるという場合を考えてみますと、これはなかなか強いのです。財産を持つておる自治団体の中の一つのグループというものは非常に強いのであります。そして門司委員のお考えのように、自治団体の中で自主的に運営をさせるという場合に、必ず非常な困難が出て来る。これは過去の実績にかんがみても、理論的にものを考えても、まさにあり得ると考えられる。普通の状態の、ただまかせておけばうまく行くという運営の仕方では、どうも運営がうまく行かない実例が幾多あるし、また今後そういう心配がある。そこで今後また新しくそういうものがたくさんできるので、あちこちにそういう問題が頻発することがあり得ることを想定いたしまして、この場合にどういう形でこれをさばいて行くのが財産の保全の観点からも一番いいだろかということで、これはやはり国が直接監督するわけに行かない問題なので、都道府県知事にさばいてもらうのが一番いいのではないか。そこでそういう問題が起きないようにするために、二百九十六条の六の第一項の規定、問題が起きた場合に二項の規定、こういう考え方規定を置いておるわけであります。職権に基いてというのは、御指摘のような感じは私も若干いたします。ただしかし、想像すると、おそらく申請に基いてということでは、なかなかさばき切れない事態ができて来るのではないかというので、そういう場合には、申請がなくてもさばけるというような規定を置いておくことが、万全を期する上において必要じやないだろうかというのが、この規定考え方であります。
  74. 門司亮

    門司委員 私はどうしてもそういう規定には承服できません。知事地方の財産区の問題に対して、職権でこれを裁定することができるということになると、職権で裁定したものに服従しなかつた者には、行政措置はできるのですか。
  75. 小林与三次

    小林(与)政府委員 もう一ぺん私からも申し上げておきますが、職権に基いてということが強過ぎるという問題が一つと、それからもう一つは、行政事務でない、いわば固有事務に類するようなものについて検査権を持つのは強過ぎるのではないかというのと、問題が二点あるわけであります。これは現在の自治法をひつぱり出すわけでもありませんけれども、現行法でも、たとえば財務の検閲権などというものは、一般的に認められておるわけでありまして、地方団体の財務全般について監督できるわけでございます。たとえばその一番標本の例は町村の合併だろうと思います。合併こそ当事者にまかせておいていいではないかという問題がありますが、これは全般関係のある問題でありますから、知事が県議会の同意を経てきめる建前にいたしておるわけでございます。そこで財産区の問題は、昔の財産区ならば財産の分量も少いし、それほど問題がないのでありますが、現在の町村とこれから行われる合併ということを考えますと、数百町歩から千町歩以上も持つておる、いわば現在独立の町村がこの財産区になつて町村に発展するわけでございまして、その場合の今後の財産区というものと、従来の財産区とは質的にまつたく違うものであります。そういう重大な財産を持つてつて、これをどう管理して行くか、しかもそれが妙に処分されましたならば、公有林の性質上山を荒したり何かいろいろの問題もありまして、地方でいろいろ評判をされておる問題もあるのであります。それは住民ももちろん住民の意思で監督はいたすでありましようけれども、これは国全体として見ても、住民だけに放置しておきがたい性質のものでもあるだろうと思うのでございまして、そういう意味でやむを得ない最小限度の調整の権限だけは置いておく必要があるのじやないか、これはわれわれの考えなのでございます。それと職権によつて争いに乗り出すのはよけいじやないか、なるほどそれはごもつともな御意見でありますが、これもたとえば現在でも自治紛争などの場合に、当事者の申請と、同時に職権で総理大臣が紛争調停に乗り出す道も開いてもありますので、そういう例もあわせ考えるとともに、ともかくも現在の一村とそれを含んだ五、六箇村との間の争いの問題になるのでありまして、これは相当深刻な争いになるわけでございます。特に現在町村合併を片方に推進いたしておりまして、お前たちも安心して合併していいぞ、そうして財産の管理についても安心して行けるぞという道を一面において開いてやるわけの問題でもありますので、その後の調整は、ほんとうに問題のないように、円満に行くように——当事者の紛議だけにまかせておいて、知らぬ顔をしておられる問題じやないのであります。その点だけは、どうしてもある程度のことは考えておかなかつたならば問題が円滑に進まない、こういう事情もございまして、かたがた従来の制度のいろいろな規定も参酌して、この程度のことならば許せるのじやないかという考え方規定を設けたのでございます。
  76. 門司亮

    門司委員 私はこれ以上議論はしませんが、そういうことでは納得できない。これはさきにいろいろのことを言われておりまするが、たとえば現行自治法における百五十条の規定にいたしましても、全然縁もゆかりもないところを、国あるいは府県が調査したり監督したりするというような建前はないのである。いわゆる国の立場からいうならば、いろいろな問題が起るかもしれないが、今日の都道府県市町村との間に上級機関であるという感じを持たせること自体が私はよくないことと思う。しかも職権で裁定ができるということになると困ると思う。なるほど自治庁が考えておられるように、たとえば大きな森林を持つておる、それが防風林のために必要であるとかあるいはなんとかいうような問題があるかもしれない。それなら防風林なら防風林として県が指定して、個人の財産であるが、しかしこれを自由にすることのできないような方法かあるはずである。あるいは風致地区の指定もありましよう、あるいは緑地地域の指定もあるでありましようけれども、これを制約する規定は、現行法のほかの方法であるはずである。何もその財産を持つておる者が、一切合財自分の意思によつてむやみやたらに木を切り出して、防風林が裸になるようなことは、おそらく現行の規定でもそれを制約することは私は他の方法でできると思う。紛争があつたときに、ただちに職権で知事が出かけて行かなければならないというようなことは言語道断で、自治庁のものの考え方は、地方自治体は憲法の趣旨に沿い、自治体の本旨に基くというのを間違えて、自治の本旨は府県会であるというふうに最近お考えになつたのじやないかというようにわれわれは考えるのであります。いわゆる警察法が府県に力をつけて来るというようなことで、大体日本の自治行政を昔と同じようにして、そうして市町村の権限はだんだんこういうことで少くして行く、そうして知事が上級官庁であるかのような感じにしておる。これはこの条文を見れば、明らかに知事は上級官庁です。必要のあるときに無断で帳簿を検査する、あるいはそれを提出させることができるということを書いてある。「必要があると認めるとき」と書いてあるから、いつでもやれるということである。その次の条項は、申請があろうとなかろうと、紛争をしておれば、強制的に職権で裁定ができるということであるから、これは実に行き過ぎた問題である。労働争議等でも強権の発動ということがあるけれども、これも法律では限られております。一切の労働争議に対して、何も総理大臣が出て来てやるわけではございません。これはやはり公益その他というようなことで一応限られておる。そういう例外的のものがあるからといつて、これでただちに県知事にそういうばかばかしい権限を持たせるということは、私は行き過ぎだと思う。だからこの点については、自治庁の意見がどうあろうとも、私どもとしてはこれ以上の質問はいたしませんから、ひとつ自治庁長官は、こういうばかばかしい、いかにも地方の自治体で、都道府県市町村が階級的の自治体であるかのごとき感じ自治法の中に織り込むことは私は間違いだと思う。この点については私はどうしても承服するわけには参りません。これ以上この点は質問いたしません。その他についてのこまかい質問が少しずつあるのでありますが、これは字句の範囲でありますから、大臣がおいでにならなくても私はさしつかえないと思いますが、ほかの方がおる必要があればおつていただきたいと思います。  その他のこまかいことについて私は一、二点聞いておきたいと思いますことは、今度の改正の中で、先ほど北山君からも聞かれたのでありますが、人口を五万とするということに一応きめられたという、このことであります。このことは地方制度調査会にもそういうことが答申をされまして、どうも最近の市の単位が小さ過ぎる。従つてこれは大きくした方がいいのだということで、五万という規定が設けられておる。ここで私ども考えなければならないことは、できたときたは三万であつたが、現在は非常に小さくなつた町あるいは市があるのであります。市にいたしましても、二万内外の市がいまだに存置されているところがある。これらに対しては何らか整理を加えられるお考えはございませんか。
  77. 小林与三次

    小林(与)政府委員 実は今お話の通り既存の市でそれほど大きくない市も現にあるのでありまして、特に最近は国勢調査の人口でぴちつと押えておりますけれども、その法律の前は事実上まかしておつたものですから、国勢調査の人口から見ると二万何千という市もあるのであります。しかしおそらくは実際の人口はみな三万を越しておるのではないかと思いますが、これは正確には国勢調査をまたなければわかりません、そこでそうした弱小の市ということになりましようが、こういう市につきましてはわれわれはやはり市自身を積極的に、かりにこれを五万とすることによつてどうするかという問題になれば、現に市になつておるものを落すわけに参りませんので、そのままにしておきますが、今度の町村合併計画の一環といたしましては、その程度の市はみなわれわれは町村と同様な考え方に立つて、そこへ町村を統合した方がいいと思うものはむしろ積極的に統合さして、全体として適正な市町村をつくりたい、こういう考え方でもつて臨んでおる次第でございます。
  78. 北山愛郎

    ○北山委員 先ほどの質問を続けますが、市の要件につきまして、実はこの前に、この三月の末あるいは四月の初めにたくさんの市ができた。それを自治庁の方で指導なさつたわけでありますが、その際にはやはり地方の方へ行つて聞いてみますと、四月になれば人員要件が五万になるのだから、今のうちならば三万でよろしいというようなふうに、どうも現地には伝わつておるわけです。それがこの三月の末、四月の初めにかけてたくさんの市が簇生をしたということに拍車をかけたわけであります。そこで私どもは今後についてちよつと心配をするのでありますが、さらに三箇月なら三箇月というような期限を置いて、そしてその後は五万であるというようなことを指導するとするならば、また同じような事態が起つて来るのではないか、これを心配するのであります。これらの点について一体どういうふうに指導なさるつもりであるか。そうでないと、やはりどうもおそまつな市がこの短かい期間に先を争つて出て来るということになりかねない。この問題を防ぐためには、先ほどもお話申し上げたように、その他の市の要件というものを、やはりある程度は厳密に考えて行く必要があるのじやないか。市というのは単に人口だけの問題じやないと思うのです。その町なら町の態様がいわゆる市街地としての性格を持つているかいないかということを基本にして市という名前をつけるべきであつて、人口ということはそれの副次的な条件だ、そういうふうに考えて行かないと、三万を五万にしても同じような結果が出る。また今申しヒげたように、今後についても非常におそまつに急いで市をつくるというような弊害が、このことによつて起るのじやないか、こういうことを心配するのですが、この点をお答え願いたい。
  79. 小林与三次

    小林(与)政府委員 ただいまの点でございますが、私は今度はそういう問題は起らぬだろうと実は考えております。と申しますのは、この間われわれも地方制度調査会の答申もあるから、五万にする考えだということを毎々申したのは事実でございまして、その結果相当市ができたのも事実でございます。と申しますのは、もしそういう扱いをする以上は、やかましく言うところだけできて、ほかのところほできなければ、これは不均衡でありますので、全体として扱いを調整するためにも、そういう方針を実は明らかにしたのでございます。しかしながら、大体今日におきましては、たいていの府県におきましてはそういう考え方で、現行法のもとにおいて市になり得るところは、たいてい市になつておると私は見ておるのでございます。ただ今まで、ある数府県は、実は全般的に町村の合併も進んでおらぬところでありますが、市の設置も絶無の県がかなりございまして、そういう点はほかの府県並のレベルにまで事が運ぶということは、しごくあたりまえの話でありまして、われわれといたしましてはその程度のことは当然容認した扱いをしなくちやならない、こういうふうに考えておるのでございます。     〔佐藤(親)委員長代理退席、委員長着席〕 しかしながら、大体一県で数市ができておるところは、現行法のもとにおいてはなり得るものはおおむねなつておるのでありまして、そういう府県におきましては、今後別に特に問題がない。われわれもだんだん地方の状況も聞いておりますけれども、多く問題になることはないと考えておるのでございます。それからかりにこれを五万に上げたといたしますれば、他の法律上の要件の問題は、規定を特にかえなくとも、実質的には扱いがおのずからかわつて参りまして、特に事実上五万になれば市ができるということは、きわめて珍しい稀有な場合ということに、さしあたりはなることと考えております。
  80. 北山愛郎

    ○北山委員 その問題はその程度にいたします。  それから財産区の問題につきましても、先ほど門司さんから質疑がありましたから、それも省略いたします。  次に今度の改正案の中には入つておりませんが、地方自治法の中で例の二百三十一条ですか、普通地方公共団体が寄付や補助を出す場合、公益上の必要があれば寄付、補助をやれるという規定があるわけであります。先般来この委員会でも、主として市町村に、国あるいは府県等の、当然法令によつてそういう国あるいは府県負担をしなければならないような事業あるいは施設について、寄付を円滑に強要されているという問題が出て来て、警察の場合なんか大いに論議されたわけなんです。あれを立法的に解決をする道は、地方財政法の改正という点もあるでありましようし、また自治法の今の二百三十一条を改正するというような方法もあるかと思いますが、その点については何らお考えにならなかつたのか、またそういうことをもう少し立法的に制約するのには、地方財政法の方が適当であつて自治法の二百三十一条の改正という点では適切ではないのか、私どもはこの機会に地方自治法の二百三十一条の中に別の項を設けて、そういう場合には寄付金とかあるいは負担をするようなことを制約する規定を設けたい、それが適当ではないか、かように考えるのでありますが、この点について長官から御意見を承りたい。
  81. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 寄付金の問題につきましての私ども考え方は、先般いろいろな方からいろいろな角度よりお尋ねをいただいてお答えを申し上げておるのでありますが、私どもも何らかの法的措置がうまくできるならば、そういう考え方でしたいというように考えているわけでありまして、やるならばおそらく自治法よりか財政法の中において、現行の規定改正するなり、あるいは新しい規定を挿入するなりしてやつて行きたいと思つておるのでありますが、なかなかうまい構想——われわれの考え方とぴつたりするような構想が出て参りませんので、まだ具体化するところまで至つておらぬのでありますが、今後大いに検討いたしてみたいと存じております。
  82. 床次徳二

    床次委員 おそくなりまして恐縮ですが、市の要件が五万になつたことにつきましては、市としてのいろいろな要素を考えているからで、これは説明にもあるのでありますが、そうなりますと当然将来の平衡交付金その他の寄付について、基準財政需要を市としての必要な要件に対して、これを多少増額されることが必然的だと思うのです。これは社会施設その他に対しても、今までと相当かわつた基準を加えられて私はいいと思うし、あるいはその前提のもとに考えられておられるとも思うのですが、その御意向がありますれば、意見を承りたいと思います。
  83. 小林与三次

    小林(与)政府委員 実は市であるがため、あるいは町村であるがためにその扱いを別にするかどうかということは、これはなお研究すべき問題であると存じますが、市はどうせ人口が調密で、それにふさわしい社会的な需要、行政的な需要が当然あるわけでありまして、これは現在でも人口のいろいろな増減の状況その他の態様を考えて、ある程度措置は講じておるのでありますが、なおこれは研究いたしまして実際の需要に即するように必要な措置だけは考えて行かなくちやならないと存じております。
  84. 中井一夫

    中井委員長 それでは地方自治法の一部を改正する法律案と、市町村職員共済組合法案の一案に関する質疑は、本委員会といたしましては一応終了いたしたことにいたしまして、明日は、午前中は共済組合法に関する厚生委員会との連合審査会を開き、午後は当委員会に付託されておりまするその他の法案について審議を進める、かようにいたしますから何とぞさよう御承知をお願いいたします。  なおこの委員会が終りましたら再建整備に関する小委員会を開きますから、何とぞ御出席を願います。  本日はこれをもつて散会いたします。     午後五時五分散会