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門司委員 私はこれ以上議論はしませんが、そういうことでは納得できない。これはさきにいろいろのことを言われておりまするが、たとえば現行
自治法における百五十条の
規定にいたしましても、全然縁もゆかりもないところを、国あるいは
府県が調査したり監督したりするというような建前はないのである。いわゆる国の
立場からいうならば、いろいろな問題が起るかもしれないが、今日の都道
府県と
市町村との間に上級機関であるという
感じを持たせること自体が私はよくないことと思う。しかも職権で裁定ができるということになると困ると思う。なるほど自治庁が
考えておられるように、たとえば大きな森林を持
つておる、それが防風林のために必要であるとかあるいはなんとかいうような問題があるかもしれない。それなら防風林なら防風林として県が指定して、個人の財産であるが、しかしこれを自由にすることのできないような
方法かあるはずである。あるいは風致地区の指定もありましよう、あるいは緑地地域の指定もあるでありましようけれ
ども、これを制約する
規定は、現行法のほかの
方法であるはずである。何もその財産を持
つておる者が、一切合財自分の意思によ
つてむやみやたらに木を切り出して、防風林が裸になるようなことは、おそらく現行の
規定でもそれを制約することは私は他の
方法でできると思う。紛争があ
つたときに、ただちに職権で
知事が出かけて行かなければならないというようなことは言語道断で、自治庁のものの
考え方は、
地方自治体は憲法の
趣旨に沿い、自治体の本旨に基くというのを間違えて、自治の本旨は
府県会であるというふうに最近お
考えにな
つたのじやないかというようにわれわれは
考えるのであります。いわゆる警察法が
府県に力をつけて来るというようなことで、大体日本の自治行政を昔と同じようにして、そうして
市町村の権限はだんだんこういうことで少くして行く、そうして
知事が上級官庁であるかのような
感じにしておる。これはこの条文を見れば、明らかに
知事は上級官庁です。必要のあるときに無断で帳簿を検査する、あるいはそれを提出させることができるということを書いてある。「必要があると認めるとき」と書いてあるから、いつでもやれるということである。その次の条項は、申請があろうとなかろうと、紛争をしておれば、強制的に職権で裁定ができるということであるから、これは実に行き過ぎた問題である。労働争議等でも強権の発動ということがあるけれ
ども、これも
法律では限られております。一切の労働争議に対して、何も総理
大臣が出て来てやるわけではございません。これはやはり公益その他というようなことで一応限られておる。そういう例外的のものがあるからとい
つて、これでただちに県
知事にそういうばかばかしい権限を持たせるということは、私は行き過ぎだと思う。だからこの点については、自治庁の
意見がどうあろうとも、私
どもとしてはこれ以上の質問はいたしませんから、ひとつ自治庁長官は、こういうばかばかしい、いかにも
地方の自治体で、都道
府県と
市町村が階級的の自治体であるかのごとき
感じを
自治法の中に織り込むことは私は間違いだと思う。この点については私はどうしても承服するわけには参りません。これ以上この点は質問いたしません。その他についてのこまかい質問が少しずつあるのでありますが、これは字句の
範囲でありますから、
大臣がおいでにならなくても私はさしつかえないと思いますが、ほかの方がおる必要があればお
つていただきたいと思います。
その他のこまかいことについて私は一、二点聞いておきたいと思いますことは、今度の
改正の中で、先ほど北山君からも聞かれたのでありますが、人口を五万とするということに一応きめられたという、このことであります。このことは
地方制度調査会にもそういうことが答申をされまして、どうも最近の市の単位が小さ過ぎる。
従つてこれは大きくした方がいいのだということで、五万という
規定が設けられておる。ここで私
どもが
考えなければならないことは、できたときたは三万であ
つたが、現在は非常に小さく
なつた町あるいは市があるのであります。市にいたしましても、二万内外の市がいまだに存置されているところがある。これらに対しては何らか整理を加えられるお
考えはございませんか。