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1954-05-07 第19回国会 衆議院 地方行政委員会 第56号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年五月七日(金曜日)     午前十一時十四分開議  出席委員    委員長 中井  一夫君    理事 加藤 精三君 理事 佐藤 親弘君    理事 灘尾 弘吉君 理事 吉田 重延君    理事 鈴木 幹雄君 理事 西村 力弥君    理事 門司  亮君       尾関 義一君    熊谷 憲一君       西村 直己君    床次 徳二君       藤田 義光君    阿部 五郎君       石村 英雄君    北山 愛郎君       伊瀬幸太郎君    大石ヨシエ君       大矢 省三君    中井徳次郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣 小坂善太郎君  出席政府委員         国家地方警察本         部長官     斎藤  昇君         国家地方警察本         部次長     谷口  寛君         国家地方警察本         部警視長         (総務部長)  柴田 達夫君         国家地方警察本         部警視長         (警務部長)  石井 榮三君         国家地方警察本         部警視長         (刑事部長)  中川 董治君         国家地方警察本         部警視長         (警備部長)  山口 喜雄君  委員外出席者         専  門  員 有松  昇君         専  門  員 長橋 茂男君     ――――――――――――― 五月六日  委員濱地文平辞任につき、その補欠として田  渕光一君が議長指名委員に選任された。 同月七日  委員橋本清吉辞任につき、その補欠として古  井喜實君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  警察法案内閣提出第三一号)  警察法施工に伴う関係法令整理に関する法  律案内閣提出第三二号)     ―――――――――――――
  2. 中井一夫

    中井委員長 これより地方行政委員会を開会いたします。  警察法案及び警察法施工に伴う関係法令整理に関する法律案の両案を一括して議題として質疑を行います。  両案に対する逐条審議は、本日は第三章警察庁、これは第十五条より第三十五条まででありますが、これらの条項について質疑をお進め願います。床次徳二君。
  3. 床次徳二

    床次委員 本日は第三章のわけでありまするが、第二章につきまして質疑が漏れておりましたので、第二章をお願いしたいと思います。前会もすでに第二章の第五条についてお尋ねいたしたのでありますが、この第五条の国家公安委員会職務のうちの「国の公安に係る警察運営」ということ、これは国の公安ということが限定せられておるわけでありまして、第二項の第三号に同じ字句が上つておるのでありますが、これ以外の警察運営に対して相当部分が実は残されておると思います。その部分は当然都道府県公安委員会が自由にできるというよりも、むしろ都道府県公安委員会自己責任において運営できるものと思うのでありますが、その点に関して政府の御意見を伺いたいのであります。
  4. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 ただいまの点は床次委員の御所見通りでございます。第五条第二項の第三号に掲げるもの以外の公安に関する事項につきましては、警察庁から何ら指揮監督を受ける点はございません。たた同じく第二項の第四号「緊急事態に対処するための計画及びその実施」これも公安の中に入つております。従つて第三号と第四号を除きましては、御指摘通りであります。
  5. 床次徳二

    床次委員 これも前会にすでに他の委員から質問があつたと思いまするが、第五条の第一項の統轄調整というこの字句はどの程度の解釈に当るべきものであるか、統轄意味並びに調整意味、同時に都道府県警察が持つておりまする権限との関係を御説明いただきたいと思います。
  6. 柴田達夫

    柴田(達)政府委員 統轄調整使いわけの問題でございますが、統轄はこの場合におきましては、この第二項の六号から第十号までに属する事項を、国家公安委員会なり警察庁がその仕事についてみずからこれを行うという意味を表わすために使つた文字でございまして、大体統轄という言葉は、その仕事につきまして包括的にその仕事を統合して行うというような意味合いであると思います。まあ普通の場合におきまして一つの上級の行政機関がその管轄権のもとにあるところの下の行政機関に対しまして統轄するというようなものを、これは国家行政組織法等にも使つておる言葉でございます。そういう言葉でございますから、従いまして今の使いわけといたしましては、この統轄の方は国家公安委員会なり警察庁がこの六号から十号までの仕事につきましては、みずから包括的にその仕事を統合して実施するという意味合いでございます。従いまして統轄と申しますのは、大体におきまして六号から十号までの事項につきましては、国家公安委員会なり、国家公安委員会管理のもとにおいて警察庁実施をするわけでございますが、しかしその範囲内おきましても、包括的に統合してやるという意味でございまして、何もそこに全部を一切合財自分がどんなこまかいことまでもやるのだという意味でないという余地が残る言葉であると思います。従いましてたとえば六号の警察教養というようなことがございますけれども警察教養についての一般的な方針とか警察学校におきまする新任教養教科目はこういうふうにやつてもらいたいと、いろいろの教科目をきめましたり、教養やり方についての大綱をきめるというようなことはきめたいと思いますか、しからば府県の方はその教養についてはみずからその適地適応の独特の方法は何もやることができないかと申しますならば、決してそういう意味ではございません。大体において統合的にみずから包括的に実施をするというのが統轄の方の意味でございます。  それから次の調整の方につきましては、これは主体性が逆になるのでございまして、これは府県警察の方がもう主体的に本来自由にやれる仕事である。府県警察の方の自由な仕事であるわけでありますけれども、しかし警察行政につきましては、やはりいろいろの立場から、一つ法律なら法律が出ますと、その法律の統一的な解釈運用についてはこういうふうな解釈運用でやる、あるいはいろいろの協定というようなものがございまして、いろいろの警察ないし類似機関との間に協定が行われる、その協定に基いてこういうふうにするというようなことがきまりますと、そういうものを一つ基準として示しまして、その自由な活動でございますけれども、この基準従つて連絡調整をはかつて行く、一口に申しますれば連絡調整意味でございます。従いまして片一方はみずから実施するのが本体であり、調整の方は府県警察の方がみずから実施するのが本体である、それに対して連絡調整をはかる、大体そういうような使いわけをしておるわけであります。
  7. 床次徳二

    床次委員 ただいまの御説明でありますと、統轄という場合は、当然指揮監督権を有すると解するわけですか。
  8. 柴田達夫

    柴田(達)政府委員 さように解しております。
  9. 床次徳二

    床次委員 調整をいたしますところの警察行政は、これはむしろ国公安に関する警察運営以外のものが、ほとんどと申していいだたろうと思うのです。これが警察行政のうちに含まれるものではないかと思われるのでありますが、実際面におきましては都道府県にそれだけの自治性というものが与えられないのではないかということを非常に懸念するわけであります。これを法文におきまして都道府県が自主的に行い得るということを、もつと明瞭にされるお考えはなかつたものか、これが不明瞭でありますために、かねて都道府県のいわゆる自治体警察というものの実態があるかどうかかということに対して大きな疑問を持つたのでありますが、この点「並びに警察行政に関する調整」ときわめて簡単な字句で書いてあり、さらに第十二号におきましては「前号に掲げるものの外、警察行政に関する調整に関すること。」というのがあるわけでありますが、この範囲が広いようにも見えますし、非常に狭いようにも見えるところに私どもが非常に問題にしたい点がある。この点をもう少し明瞭にされるお考えはなかろうか。先ほどお尋ねしたのでありますが、国の公安に関する警察運営という範囲が第三号だけでは限定されておるようでもありますが、非常に広くも見えるのであります。この点いかようにお考えになりますか。
  10. 柴田達夫

    柴田(達)政府委員 「警察行政に関する調査」とだけあるということからいたしまして、非常に包括的な感じがするというお尋ねだと思います。そもそも第五条の第一項の任務の方は、いろいろの省庁の設置法等におきましても、任務というものはきわめて抽象的に概括的にその官庁の使命といつたものを掲げているのが多いのであります。これはまだ詳しい方であります。そして二項に当りますところの権限の方は、これは非常に詳しく書いてある場合が多いのでございます。そういう意味からいたしまして一項の方だけごらんいただきますと、「国の公安に係る警察運営」と申しましてもその範囲だけが権限かこういうふうに言われますと、先ほど来御指摘になりましたように実は二項の方で三号、四号といつたふうにしぼられて行く、そういう意味から申しまして一項自体の警察行政調整とか国の公安にかかる警察運営だけをごらんになりますと、実に包括に過ぎて、限定した範囲はつきりしないではないかという御疑念が生ずるのはごつともだと思いますが、一項の方は抽象的な任務ということで代表的なことを掲げ、厳格な意味の限定をしたものは二項の方に掲げておるということで、ごらんいただきたいと思います。  さて二項の方でございますが、この警察行政に関する調整は十一号に大体代表的なものをここに出したつもりでございまして、「警察職員任用勤務及び活動基準」今申しましたように、調整に当る方の部分につきましては、府県警察が自由に自己責任においてそれぞれ独得のやり方で、自己の信ずるところに従つてやるのだ、ただ警察職務特殊性からいたしまして、警察職員任用でございますとか、あるいは勤務活動事務につきましては、先般もちよつとお答えいたしましたように、新任の巡査を採用するについて、各府県かまちまちな経歴や基準でやられては、警察官というものが非常にでこぼこが生じてしまうきらいがある。また犯罪捜査やり方についても、刑事訴訟法に厳格な本則があるわけでありますが、警察内部におきましてもその趣旨に準拠して、やはり人権尊重の見地からも相当監督を厳にしたような意味基準を設ける必要もございます。外勤勤務につきましても同様であろうと思います。そういつたようなことから任用勤務活動といつたようなものについて、警察事務特殊性から必要な限度において基準を示し、その基準で各府県は自由な活動をやつてもらいたいというので、これは基準でありましてこの基準に反したからといつてただちにどうなるものでもない。これは調整の当然の役割だと思います。十二号は、しからば十一号の具体的な任用勤務活動基準だけではなお足りない部分かどうしても事柄の性質上残るわけでありまして、代表的なものはあげてしまつたわけでありますけれども先ほど申し上げましたように、法規法律的な解釈運用の問題でございますとか、あるいは行政協定実施細目につきまして、駐留軍との間にこういう協定がある。これは法規ではございませんけれども、そういうものについてはこういう協定をしたから、各警察におかれてはこういう協定に基いてやつていただきたいというやはり一つ基準のごときものを示すといつたようなことが、個々の場合についてあり得ると思うのであります。しかしこれは個々の場合について指揮監督するということにはまつたくならないので、大体十一号が代表的なものでありまして、それ以外に何かとあり得る場合を考えまして、十二号というものに示してあるということでありまして、決してこれでもつて府県の自由な活動というものをそう制限する心配はないというふうに、私ども考えておる次第であります。
  11. 床次徳二

    床次委員 現行法におきまして自治体警察に対して、国家的事務として中央から指揮命令を下したような実例はありますでしようか。国の公安に関する事項に関しまして、現在いかように処置しておられるか。何ら指示せずして事実上運用されておるのであるか。必要があれば具体的な指示をされておりますか、その点をお伺いいたしたい。
  12. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 事実問題といたしましては連絡でいたしておりますが、法令に基いて指示したという例はありません。
  13. 床次徳二

    床次委員 今後都道府県警察におきましてその職務を実行する場合、いずれが国の公安に関するものなりや、あるいはいずれが都道府県公安委員、会の自主性において解決すべきものなりやの認定をだれがするか、この認定権はだれにあるかをお尋ねいたしたいのであります。自治体警察でありますならば、都道府県公安委員会か一応その権利を持つておるわけだと思いますが、この点いかようにお考えになつておりますか。
  14. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 国の公安につきましてはただいまも御説明しましたように第二項の三号と四号でございますが、しからばこの「大規模な災害」であるとか、あるいは「地方の静穏を害するおそれのある騒乱に係る事案」であるとかいう範囲を、だれが判断するかということになると、これは国家公安委員会認定ということにならざるを得ないと思いますが、しかしこれをいかに拡大いたしましても、このイ号ロ号というものにつきましてはおのずから限度があるわけでありまして、無制限に広げることはありません。またこれを不当に広く解釈いたすというような場合には、もちろん一応、そういう解釈であるかもしらぬが、それを受ける地方としては逸脱した解釈ではないかということで、それは無権限指揮である、無権限監督であるということになるだろう。かように考えますが、まず一応認定するのは国家公安委員会であります。
  15. 床次徳二

    床次委員 第五条に掲げる国の事務といつたものに対しましては、国が認定するのは当然であろうと思うのでありますが、実際問題におきまして、都道府県警察におきまして仕事を担当する場合に、本案によりますならば警察本部長国家公務員であり、なお警視正以上も国家公務員であるわけでありまして、これらの者が、国家公務員という身柄を持ちながら、職務執行するわけでありますので、何が国の事務であるのか、何が都道府県事務であるのかということは、なかなか区わけがしにくい。この点をはつきりいたすことがきわめて大事であろうと思うのでありますが、往々にして都道府県公安委員会とういものがありながら、本部長あるいは警視正等の幹部の人がやることでありますので、それに対して結局見送る、国の事務であろうという考えから手が出せないということがあるのであります。そういうことがだんだん重なつて参りまして、国の仕事範囲がふえて参りますと、おのずから都道府県公安委員会というものがロボツトになつてしまうということをおそれるのでありまして、この権限認定と申しますか、都通府県公安委員会十分自己の権能を、ただいま御答弁になりましたような都道府県公安委員会に残されておるところの事務を、完全に自主的に実行いたすことができますならば、これは国民の自由権を確保するのに、一応民主的な措置として考えられるのでありますが、その判断がなかなかむずかしいということになりまして、比較的国家公務員という立場において職務執行するようなふうになりますると、都道府県公安委員会のいわゆる民主的な運営というものが害されるということがあるのじやないかと思う。この点に関していかようにお考えでありますか、承りたいと思います。
  16. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 ただいまの御所見でございますが、都道府県公安委員会は、これは国の事務であるからくちばしが出せない、それから地方事務だけについてくちばしが出せるというような、もしお考えであれば、その点は誤解でございまして、第三十六条にも「都道府県警察は、当該都道府県区域につき、第二条の債務に任ずる。」、都道府県警察はその都道府県内の事柄につきましては一切その責務任ずるわけでありまして、都道府県公安委員会は国から監督される、あるいは指揮される事柄であろうとなかろうと、一切これは自己責任において警察本部長以下を指揮監督管理をしなければならないわけでありますから、従つてこの第五条二項の三号によつて中央から指揮監督をされるという場合におきましても、その指揮監督通脱をしておるかおらないか、あるいはその指揮監督の仕方が悪いかどうかということまでも、十分これは権限があるわけであります。この第九条の二項に書かれていることについては、これはもう何ら自分らの関知しないことだというのではなくて、やはり民主的な保障としての府県警察管理責任者といたしましては、中央から指されることにつきましても、その指示自分の方の府県の実情から考えてどうであるかということを判断され、それを常時中央にも意見を具申せられる。もし中央指示こ法令範囲を逸脱しておるというような場合には、そういつた態度をもつて拒否されるということが当然でなければならない、かように考えておるのでございます。
  17. 床次徳二

    床次委員 国から指揮命令をいたしました場合に、その国の指揮命令範囲を逸悦しておつて、当然都道府県公安委員責務であるべき場合にありましては、いかにして中央からの干渉を排除できるかという、具体問題において伺いたいのであります。都道府県責任が、なるほど三十六条におきましてはこの第二条の責任から言いまして――第二条というものは警察全般にわたるものであるます。ところが第五条におきましては、相当広い範囲において国がこれに関与し得る道が開いてある。従つて都道府県公安委員会がほんとうに自主的に民主的警察を運用しようという場合に、国からの相当干渉がありましても、なかなかこれが排除し切れないのではないかということを私どもはおそれるのでありまして、この点をはつきり保障するような措置をこの法文だけでは不十分なような気がするのでありますが、その懸念がないかどうかという点について重ねて伺いたいと思います。
  18. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 ただいまの御意見は、あるいはその裏を返しますと、中央指揮監督について保障があるかどうかという、これが裏になると思うのであります。この通常の行政上の指揮監督に従わない場合には、これは罷免とか懲戒とか、あるいは代執行とか、いろいろな法律上のあれがあるのでありますが、この指揮監督を受ける都道府県会安委員会は、これは委員会制度でございまして、これに対しましては中央から何らの、そういつた指揮監督に従わない場合、これに従わせる保障がございません、罷免権限も持つておりません。また従わない場合に代執行をするようなあれもございません。ことに他の行政と違いまして、ある行政処分行つてその処分がいけない場合に取消すという、それもございません。と申しますのは警察はさような行政処分は原則としていたしませんから、その処分取消権もないわけであります。従いまして都道府県公安委員会自己の識見に基いて、これは中央指揮監督が逸脱しているという場合には、部下の警察本部長以下に対して、中央からこういう指揮監督が来ているが、これは逸脱している、本県の警察においてはごのように執行せられたいということでやつて行けるわけであります。
  19. 床次徳二

    床次委員 国の指揮監督が逸脱した場合におきまして、都道府県公安委員会が不当であるといたしました場合には、これを拒むことができるのは当然でありますが、実際問題におきまして、本部長その他が国家公務員という資格において仕事をやつておりますと、なかなかその点が摩擦が生ずるのではないかと思う。この摩擦いかようにして回避できるかということについてお尋ねいたしたい。
  20. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 ただいまのような法律構成になつておりますので、従つてさような摩擦が起つた場合にどうするかというお尋ねも当然だと思います。しかしながらその場合に国家公務員である警察本部長あるいは警視正というものは、これはやはり都道府県公安委員会管理下にあるわけでありますから、従つて公安委員会指揮監督従つてつております以上は、これを懲戒したり罷免したりすることもできないわけでございまして、もし懲戒罷免をするならは懲戒罷免に対する苦情を人事委員会等に申し立てることによつて、その懲戒罷免は筋違いだという判決になるだろうと存じます。実際問題といたしましては、さような権限都道府県公安委員会が持つているということを前提にしながら、無理のない運営が行われるものであろう、そこで摩擦を起しておりますならば、警察行政というものは実際運営できなくなるわけでございますから、その点は都道府県公安委員会良識中央国家公安委員会良識によりまして、私は円満な運営ができるものと、かように考えております。
  21. 床次徳二

    床次委員 先ほどから国の公安に関するものにつきまして、自治体警察に対して国から指示したものがあるかどうかということについてお尋ねしたのですが、これは実際問題において連絡しておられるようでありまして、従つて国事務範囲というものが、明瞭のようであつて実は不明瞭であるということをおそれるのであります。今度の新しい機構になりました場合には、その点よけいはつきりしないのでありまして、これこれの仕事は国の仕事だということがはつきりしておりますと、ある程度まで公安委員会といたしましても仕事がやりやすいと思いますが、国の仕事については具体的に中央から一々種類を区わけして命令されるということになりますか、あるいは国から来たものは全部第三号に当るものとして処理いたすべきものであるかどうか。この点は公安委員会といたしましても、全部に対して非常に責任はありますが、その中に自分たけ責任のものと、それから国の責任のものと二通りあるわけでありまして、職務上にもいろいろ仕事をする場合にやりづらいと思うのでありますが、この点に関して公安委員としてはどういうふうに仕事をすべきか、どういうふうにすればその点区わけはつきりいたしまして仕事ができるかということについて、お考えを伺つておきます。
  22. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 ただいまも申しておりますように、警察仕事の中で、これは国の事務であつて都道府県公安委員公事務ではないというものはないわけであります。国から指揮監督せられる仕事につきましても、第一次責任都道府県公安委員会が負うているわけでありますから、従つて国から何ら指示もないという場合におきましても、指示がないのだから自分たち責任がないというわけではないのでございます。国が指揮監督するというので、この事項につきましては地方公安委員会は第一次に責任がある、そうしてそれを監督をしている中央にも責任がある、両方の責任ということになるわけでございます。さようでございますから、国から指揮監督されるものについては、ただ指揮監督従つておればいい、指揮がない、監督がないという場合には自分らに何ら責任がない、こういうことであつては、これは公安委員会の職責が果されないのでございますから、従いましてその意味におきまして、私は都道府県公安委員会といたしましては、管内の警察事務全般につきましては、全責任を負つているという考えで、当然運営をせられるものとかように考えます。
  23. 加藤精三

    加藤(精)委員 関連して。私も床次委員の疑問を持たれておつた疑問を長く持つておるのでございまして、率直にお尋ねして御意見を承りたいと思つております。問題は十六条と三十六条と、それから例の五条の関係でありますが、どうも現行警察法によりますと、第二十八条には、各都府県に、国家地方警察本部を置くとなつております。それから四十条には「市及び人口五千以上の市街的町村は、その区域内において警察を維持し、法律及び秩序の執行の責に任ずる。」とあります。この二十八条と四十条との関係は――私は法律のことはよくわからないのでありますけれども、大体国家地方警察本部を置くというのは、これは一種の昔の官制みたいなものであると思うのであります。そうするとこの現行法の四十条の方は、地方自治法と関係のある国政事務一つの委任になるような気がするのであります。団体委任であります。今度提案になりました警察法の三十六条も「都道府県に、都道府県警察を置く。」ということになつておるのでありますが、これは国警の方の文章のつくり方の一つのくせになつて、ただこういうふうに「置く。」と書くのだと思いますが、こうなりますと、どういたしましても、何か一つの宜制で機関を置くようなふうに見えるのであります。そういう関係から、いかにも公安にかかる警察指揮し得る範囲は、すべて国家がきめるような感じを抱かせる。政府が説明しておられるように、都直府県警察地方団体に対する国政事務の団体委任だということでございましたら、やはり従来の四十条のように「市及び人口五千以上の市街的町村は、その区域内において警察を維持し、法律及び秩序の執行の責に任ずる。」というふうに、たとえば管区を置くとか、従来の国家地方警察本部を置くとか、その「置く。」というそういう言葉でなしに、団体委任をした規定があれば、その団体委任の規定は、ただいまの憲法の地方自治の方と連絡しました自治権は侵されないというような感じを与えるのではないか。出し抜けに「都道府県に、都道府郡警察を置く。」とあることによりまして、いかにも国家がすべての権限を規定するような感じを抱かせるのではないかと思います。悪意はないのだろうと思いますが、国警「本部の法文のつくり方のくせによつて床次君のような御心配が起きて来るのではないか、そういうような気持がしますので、この三十六条に「都道府県に、都道府県警察を置く。」としないで、都道府県警察はその管内の治安をつかさどつて法律及び秩序の執行任ずるとかいうような規定があれ、は、読む人ももつとずつと安心して読めるのではないかと思います。どういうわけで、三十六条はこういうふうに書いてあるか。及び十六条は、国の国家公安委員会、これはイコール警察庁任務であります。その任務について「指揮監督する。」とあるけれども任務は三項あるのですけれども、その二項は十二にもわかれておる、非常にたくさんのことを指揮監督するように見えますが、実際は第三号と第四号くらいしか指揮監督しないらしいので、そういうところも国家が何もかもやるように見えて、警察法というものが民主的な法律であるのにかかわらず、民主的な法律でないかのごとき錯覚を起させる傾向があるのではないか、そういうような気がしますので、十六条の関係も、よつて来るところを、立法されたときのお気持をお聞かせいただけれは了解するのではないかと思いますのでお話願いたい。
  24. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 まことにごもつともな御質問だと思います。これは先般もどなたかにお答えをいたしましたように、警察事務はすべてこれを都道府県に団体委任といいますか、すべて都償府県事務にはするが、しかし必要な事柄についてだけ中央からやる、こういう建前にしております。従いましで第三十六条の書き方は、ただいまおつしやいましたような誤解を生むおそれがあることを、私もこの委員会でいろいろ御議論を承つて感じたでございますが、原案者の気持といたしましては、三十六条の「都道府県に、都道府県警察を置く。」と申しますのは、都道府県という自治体が都道府県警察を持つ、こういう趣旨でございまして、これは現在の第四十条のような書き方に、すなわち都道参府県警察警察を維持し、この法律またはその他の法令の定むるところによりその管轄区域につき警察の責に任ずる、こう書くのと同じだ、かように考えます。最初からそういうように書いておりましたならば、ただいまのような御疑問は非常に少くなつておるのではなかろうか、かように考えております。従いましてその方がよろしいということであれば、私の方はまつたく同じ意味でございますので、御修正をなすつても、ちつとも意味がかわつていない、こう考えます。決して詭弁を弄するのではございません。  それから第十六条は、これは先ほどからいろいろ御議論がありました国家公安委員会の所掌の事務について、実際の仕事をするのが警察庁だということでございまして、都道府県に与えられました警察責務都道府県が遂行するについて、第五条に掲げてありますような事柄を国の見地からあるいは主管をし、あるいは統制をし統制をする、こういう趣旨でございます。
  25. 北山愛郎

    ○北山委員 関連して、私今の質疑でちよつと疑問が出ましたのがお伺いしたいのですが、今度の「都道府県に、都道府県警察を置く。」というのは団体委任だ、機関委任ではないというこの間からのお話でございます。かりに団体委任だとしましても、それは団体そのものを機関に見ているのじやないか。要するに府県というものは国家的な事務をやる団体であつて、それ以外の事務もやりますが、団体そのものの性格として国家的な仕事をやるものと見て、そして団体委任をしているという考え方が、今の三十六条ですか、それに流れておるように考えられる。もしもこれが真の意味の団体委任であるならば、その団体の主体性を認める意味において――現行警察法の第三章第四十条には、今加藤委員がお話のように、「市及び人口五千以上の市街的町村は、」として、その市町村というか、そういう自治体が主体的に警察を置くというふうに書いてあるわけです。ところがこの形が三十六条では、そういう都道府県警察を置くというのであ、つ、置く主体が国であるような形に書いてあつて、その間、にとはの違いで、同じ団体委任でもその自治体の自主性というものを今回のこの改正案では認めておらないのじやないか、従つて団体委任の形式はとつても、実際には団体そのものを国家的な地方機関と見てやつているような感じを受けるのですが、その点について御説明いただきたい。  もう一つは十六条と第五条二項の関係でございますが、十六条には、警察庁長官は「警察庁の所掌事務について、都道府県警察指揮監督する。」と書いてある。そうするとその所掌事務というのは、第五条二項の一号から十二号まで全部を含むのだと考えなければならぬ。そうすると先ほど来、一号から十二号までの中で指揮監督する部分と、そうでない単に調整をする部分とあるのだ、こういう説明で、特に第十一号及び十二号については指揮監督しないのだという説明でありますが、それは第十六条の今の言葉と矛盾するのじやないか。十六条では、長官は一切の所掌事務について都道府県警察指揮監督するのでありますから、そのままに解釈するならば、十一号についても十二号についても関連して指揮監督ができる、こういうふうに解釈するのがすなおな解釈だと思うのです。そうすると御答弁の内容とは違う。おそらく警察行政に関する調整に関しても、一般的にこういうようにやれ、やるのだというようなことを内容とした指揮監督都道府県警察に対してもできるのだと、この法文の上では私は考えるのですが、ちよつと矛盾しておるのではないか。矛盾しておらないというならば、その理由をひとつ説明してもらいたい。  それからもう一つは、第十一号について、十一号と第五十九条との関係であります。第十一号というのは、警察職員任用勤務及び活動幕準に関して、今お話申し上げたような解釈であれば、警察庁長官は都道府県警察指揮監督できると思うのです。ところが第五十五条には、そういうような任用勤務等につきましては条例できめるようになつておるわけであります。それは自治体警察として当然のことでありましようが、条例できめることとそれから今の第十一号にありますように、任用勤務及び活動基準について、警察庁長官が都道府県警察指揮監督するということと矛盾するのではないか。それはやはり間接に条例事項として、都道府県の条例の内容を規制して行くのが本則であつて、また五十五条ではそういうふうにしておるわけなんですが、それ以外にさらに行政的な指揮監督があるのではないかと私は思うのです。長官が都道府県警察の職員の任用勤務活動基準に関して指示をしたりするというようなことは、どうもタブつておるのではないかと思うのですが、この三つの点についてお伺いいたしたいと思います。
  26. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 まず三十六条の方からお答えいたします。三十六条の点はただいま加藤委員にお答えいたしました通り都道府県警察を維持しその管轄区域につき警察の責めに任ずると、こう書いたのと同じ趣旨で書いたのでありまして、その趣旨が現われていないということでありますなら御修正をいただきましても私の方としては何ら趣旨がかわつていない、こう存ずると申し上げたのであります。従いまして団体委任と申しますのも、ただいまの警察法の第四十条に書かれておるのと同じ趣旨でございます。都道府県警察事務を処理いたしますのも、市町村が現在の第四十条に基いて警察事務を処理いたしておりますのも、その間には考え方あるいは法令の組み方に何ら混淆はございません。その点を御了承いただきたいと思います。「都道府県に、都道府県警察を置く。」というこの書き方は、都道府県にが都道府県警察を国の機関として置いておるのではないかという感じがするとおつしやいましたが、なるほどそういうお感じもごもつともであろうと存じます。しかしながらこういつた書きは他にもたくさんございまして、たとえば「市町村に市町村長を置く。」「都道府県に知事を置く。」こう書かれておりますが、それは何もの市町村長であつたり、あるいはの機関でが置いておるという意味ではないのであります。他にも例があることでありますので、私どもといたしましては、現在の四十条とその趣旨は何もかわつていない、こういうつもりで書いたのであります。書き方が必ずしも上出来ではなかつたということは、率直に申し上げておる通りであります。  それから十六条の二項で、指揮監督をする、そうすると第九条の二項の各号に書かれておる全部について指揮監督をすることになりはしないかというお尋ねでありますが、これも他の各省の設置法その他に指揮監督という言葉がございますが、それはそこに掲げられておる権限事項一切について指揮監、督するとはならないのでありまして、やはりその各項目の内容によりまして指揮監督のあるものとないものとがあるのでありまして、事柄の性質上指揮監督の伴うものについて当然指揮監督をするというわけでございます。従つて第五条の第二項について申し上げますならば、まずこの第一号の諸制度の企画及び調査というようなものについて指揮監督のないことは明瞭であろうと存じます。それから警察運営に関すること、これは先ほどから申しております通り当然指揮監督が伴うわけであります。それから次の六号から十号までの統轄というのは、先ほど他の政府委員が説明いたしましたような趣旨でございますから、従つてその統轄事項に関する限りにおいては指揮監督が伴う。ところが基準を示したり、あるいはその他調整をするということは、基準を示すということだけでありまして、その基準に従うか従わないかということは、これは良識従つて行われるのであります。この十一、十二につきましては、この「基準に関すること。」「調整に関すること。」という言葉自体からは指揮監督は入つて来ない、かように解釈をいたしておるのでございます。  それから、第九条第二項第十一号の「職員の任用勤務及び活動基準」と九十五条との関係でございまするが、五十五条は、条例あるいは都道府県の人事委員会規則できめるべきものは、家公務員たる警察庁職員の例に準じて地方の条例あるいは都道府県の人事委員会規則で定めるということになつておるのでございまして、その条例や人事委員会規則に定められていない事柄についてのさらにこまかいような基準というものがあれば、これで示すということになるわけであります。先ほど他の政府委員が御説明いたしましたように、警察官の任用の資格につきまして、身長何ぼ以上でなければならぬとか、体格はどうであるというようなことまでは、おそらく地方の条例あるいは人事委員会規則等で書かれるべきものじやないと思います。しかしそういうものをもし書かれるという場合におきましても、中央から基準が示されたならば、できるだけその基準に従うように定めるということでありますが、しかし自分の県については特異の事情があるから、その基準には従えないということで条例を定める、あるいは人事委員会規則を定められるならば、それでやむを得ないのでございます。
  27. 西村力弥

    西村(力)委員 議事進行についてちよつと。  第三十六条の都道府県都道府県警察を置くという問題。ただいまの答弁では、これを維持し、その責めに任ずると書いても同じということになりますけれども、そう言えばそう言つたで、団体そのな機関として見るんだ、そこに差異がないというぐあいに、どうしても、疑念が解消しない。このことは結局政府が堂々と地方自治法の改正を出さないから、こういうとになるのであります。ずつと前の委員会でございましたが、私の質問に対して自治庁長官は、今会期中に成立させるような期間を見はからつて、これを提出するということを言つている。しかし今もつてそれが出されていない。その催促の意味において委員長にそのごとの善処方を要望いたしましたときに、委員長は研究する、こう申されたのでございます。その研究の結果について本日承りたいのでございますが、今もつて結論が出ないとすれば、委員長の鈍根ぶりにあきれざるを得ない、私はかように思うわけであります。それとともにこういう問題は、国会はもちろん委員会としても政府の弁当持ちのようなものではなく、これははつきりとした立法府という立場をとらなければなりませんので、厳正中立であるべき委員長におかれましては、当然その間努力をされ、結論を得られていると思うので、その答弁をいただきたいと思う。
  28. 中井一夫

    中井委員長 お答えをいたしますが、警察法の改正に伴いまして自治法関係もいろいろとあるということにつきましては、私ももとより同感なのであります。従いましてできるならばこの機会に自治法の改正の問題を整理して、本委員会に提出されることが妥当ではないか。実はこの問題につきましては、警察法の問題だけではないのでありまして、その他の問題につき自治法改正の必要を私個人としては感じているものであります。そういう意味から、この際これを機会に自治法の改正について国会に提案をされるがいいじやないかということは、西村委員の御意見だけではなく、他の委員からの御意向もあり、私自身もそう考えておりますので、自治庁並びに長官には申し出た次第でございました。しかし何分いろいろな事情よりして今までその運びに至らないのであります。従いましてこの問題については私ども考えましたことは右様の次第でございますが、これを改正して出すか出さぬかということは、自治庁の意見政府意見によつて定められるよりほかには道がないのであります。この際自治庁長官の出席を求めて、その後の研究とその後の決心はどうなつたかということを明らかにすることが必要であれば、さようにいたしてもいいと思うのであります。
  29. 西村力弥

    西村(力)委員 委員長考え方よくわかりましたが、これはもう一度塚田自治庁長官においでを願つて、私たちはやらなければならない、かように思います。  そこでただいま私が委員長に議事進行の質問をいたしました場合に、小坂大臣は何か委員長に耳打ちされましたので、その間の政府側の経緯を御承知と思いますので、その点を解明していただきたいと思う。  もう一つは、委員長は、自治法の改正が政府から提出されなくとも、警察法案の審議を進め、その成立まで進める意思であるか、その点についてお尋ねいたしたいと思います。
  30. 加藤精三

    加藤(精)委員 西村委員からただいま御意見がありましたが、警察事務地方団体に団体委任するという立法は、従来の警察法においても第四十条で規定して何ら支障がなかつたのであります。その一事をもつて地方自治法の改正を急速にやらなければならぬというのは、これは何か無理な御議論のような気がしまして、西村委員も無理なことを御存じながら、そういう御議論をなさるような疑いがあるのであります。これは失言でございましたら取消しいたします。なおそういうような次第でございますので、そういうような問題は非常に精密に各条の関連をたどつて今われわれが勉強審議しているわけでございます。この進行にも関係がございまするので、自治庁長官に来てもらいまして、自治法との関係をただすというような問題につきましては、議事取運びに関することでございますから、理事会において御相談になられまして御決定を願いたいという希望を持つております。また大臣と委員長がどういう打合せをしようが、私語をしようが、そんな内容はどうだというようなことを釈明せず(「わかつたわかつた」「了解した」と呼ぶ者あり)わかつたそうでありますから、発言を中止いたします。
  31. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 何か私が委員長と私語したということでありまするが、その内容はただいまの御疑念とは関係がございません。なお政府としてはこの法案を十分御審議の上、一日もすみやかに御可決あらんことを希望いたします。
  32. 中井一夫

    中井委員長 私は自治法の改正につきましては警察法の問題と離れまして私ども独自の考えにおいて、この際なさるべきものがあるように考えております。そういうことから自治庁の意向等をお聞きをし、またその研究等につきましても多少の意見を申し述べてあることは事実であります。しかしながらこの警察法を審議するにつき、自治法の改正がなくてはやれないものであろうかということにつきましては、遺憾ながら西村君とはその見解を異にいたしておりまして、自治法の改正は必要はあつても、この警察法とともになければならぬとは考えていないのであります。従いましてその問題は別にして警察法警察法としての審議進行については異議を持たぬものであるということをお答えいたします。  なおこの自治法の改正の問題について政府がどういう態度をとるかとい)ことにつきましては、先般来当委員会におきまして各派の方々からだんだん御意見もあつたところでありまして、機会を見て自治庁長官の出席を求め、親しく長官からこれに関する意見を聞くということにいたしたいと存じますから、何とぞその点は御了承な願いたいと存じます。
  33. 藤田義光

    ○藤田委員 床次委員から御質問がありまして、一部重複いたしますが、第五条と第十六条の関係でまず言葉の問題についてお聞きいたしたいと思いますが、第五条の「統轄」と第十六条の「統括」と字を変更されておりますが、その理由、内容の相違がありましたら、お示し願いたい。  それから第十六条に「統督」という言葉があります。非常にむずかしい言葉を使つておられますが、これの内容をお示し願いたい。  それから第五条第二項の「管理」と第一条の「管理」は同じ意味解釈してよろしゆうございますかどうか、まずその点をお伺いします。
  34. 柴田達夫

    柴田(達)政府委員 まず第五条の「統轄」と第十六条の「警察庁の庁務を統括し、」という言葉の相違でありますが、第五条の「統轄」は先ほど床次委員の御質問に対してお答えしたように、普通こういう官庁設置法のような場合におきまして、国家行政組織法にもあるわけでございますが、上級の行政機関に当るものが下級の行政機関仕事につきまして、これを総合的に統合所轄するといつたような場合に、第五条の方の「統轄」という字を使つておるのであります。     〔委員長退席、加藤(精)委員長代理着席〕 第五条は府県警察仕事になるわけでありますが、それに対しまして国の機関でふりますところの国家公安委員会なり、警察庁がこれらの事項について統轄をして行くというところからこの字を使いました。それから十六条の「庁務を統轄し、」というのでございますが、これは一つの庁の中におきましてこの長に当る者が、その庁の仕事を総合的に締めくくつてやるというような意味で字を使いわけているわけであります。これは各省庁の設置法とか、あるいは国家行政組織法等に例があるのでございまして、もつぱらそういうところから非常にこれは複雑でございますが、法制局的な見地からこの字句使いわけたにすぎないのでございます。  それから「服務についてこれを統督し、」ということでございますが、これも国家行政組織法にある通りに用いてあるわけでありますが、部下の職員の仕事、服務等につきまして、これを統合的に監督する。一番上の者が統括的に監督をする。こういうところから今の国家行政組織法におきましてこの通りの文句を使つておりますので、これに従つたわけであります。  それから第一条の「管理」と第五条の「管理」でございますが、一条の方の「管理」は同じような事柄でありますけれども、この法律の目的をきめる場合の一つの抽象的な言葉して用いたのでございますので、むしろ民主的な理念を基調とするから始まつておるのでありまして、民主的な理念を基調として民衆が警察管理するんだ、警察というものの管理者は一体だれに属するのか、これは前にお答えしましたように、現行法によりますれば、「国民に属する民主的権威の組織」という、こういう非常に名文でできておるのでございますが、今度はこれを条文の中に入れましたので、民主的理念を基調とする警察管理ということで、その内面的な警察事務の主体性がどこにあるか、だれが一体警察事務というものについて責任を持ち、あずかつておるのか、これは国民の民主的な理念を基調としてあるんだという意味で用いた抽象的な管理でございます。第五条の「管理」は、これは一つ国家公安委員会、それから警察庁という事務機関、この両者の関係を表わす意味においての管理でございまして、国家公安委員会警察庁という役所を管理しておる、この管理意味警察庁長官に対する指揮監督を含むものである、最高方針を定めこれを示し、かつその最高方針に従つて警察庁長官に対して国家公安委員会指揮監督をする、行政委員会の場合におきましてこういう字句を使つたのでございます。なお現行法も、公安委員会につきましては管理という言葉を使つておりますので、管理ということになつております。
  35. 藤田義光

    ○藤田委員 旧十三条の指揮監督ということもこの第五条の管理の具体的内容としてあるということでございますが、次にお伺いいたしたいのは、第五条第二項第四号の「緊急事態」という言葉であります。旧法におきましては「国家非常事態」という言葉を使つておられます。この関係の第六章を見ましても大体旧法、いわゆる現行法の国家非常事態であります。どうしてこういう言葉の変更をやられたかをお伺いいたします。
  36. 柴田達夫

    柴田(達)政府委員 これは御指摘通り現行法におきましては国家非常事態という言葉を使つておりますが、国家非常事態という言葉が、実際に国家非常事態の場合に行われまする内容に対しましてやや誤解をされるおそれがある。つまり昔の戒厳法的な、何か国家非常事態におけるところの非常の権限を認めたような考え方にとられやすい。それからその内容から申しましても、地方的な全国または一部の区域についても警察組織について非常の場合のただ組織の変更でございますので、国家非常事態という言葉がやや大げさに過ぎるのじやなかろうか。ことに現行法におきましては警察法で国家非常事態と言い、それから保安庁法では非常事態と言つておる。保安隊が出動する場合の方が――これもしばしばお話に出ましたように、むしろ一般の警察力では事態の収拾が困難になるような場合に、普通の場合におきましては保安隊が出動するということが予想されます。それよりも程度の低い場合、それに比較しますれば低いケースにおいても国家非常事態ということではいかにも誤解されやすい、大げさだというので緊急事態という言葉を用いただけのことでございます。
  37. 藤田義光

    ○藤田委員 私はきのう内閣委員会で採決になりました防衛庁の法案はよく読んでおりませんからわかりませんがただいまの御答弁の中にもちよつと漏、らされましたいわゆる緊急事態現行法の非常事態というのは、旧憲法十四一条でございましたか戒厳、あるいはア」メリカのマーシヤル・ローのいわゆる戒厳的なものに該当する規定であつたというふうに、私は現行法の審議過程における国会速記録におきましては記憶いたしております。そうしますと保安隊、今度の自衛隊隊というものと警察というものがはつきり区別されて、い、わゆる日憲法の十四条の戒厳は、防衛、庁法に規定される戒厳の性質を持つたものは警察法に全然包含していないというような意味解釈してよろしゆうございますかどうですか。  それからこの緊急は組織、機構、の変更だけであるということを言われましたが、往々にしてこの間に憲法に保障されました個人の権利義務等の制約を受けやしないかという危惧の念がありますが、いま一度、その点の国民の権利義務等に対する制約は、全然制限等においても考えておらぬというふうに解釈してよろしゆうございますかどうか。
  38. 柴田達夫

    柴田(達)政府委員 旧憲法の十四条の戒厳といつたような場合と、先ほども申し上げましたように全然別でございまして、この内容は普通の治安の状態がやや撹乱の状態に入つて、平常の警察組織のままではその治安の収拾が困難になるという場合におきまして、公安委員会権限が認められておりますけれども中央におきましては総理大臣が必要の限度においてみずから長官を指揮することができる、かつまたその長官も普通の場合にないような各府県警察に対しまして応援派遣を命令するとかいつたような指揮命令権を持つ、しかもその指揮命令権につきましても直接に府県警察本部長に対して持つことができる、これだけのことでございまして、まつたくこの法律が組織法であり、しかもその範囲内におきましての警察の組織が、普通の警察組織の状態をやや離れた、簡便な能率的な組織の状態に入るというだけのことでございまして、国民の権利義務に影響をもたらすという事項は全然含んでおりません。なお自衛隊法の方に旧憲法の十四条の事項が入つておるかどうかということにつきましては、自衛隊法は私どもの方は存じないところでございますけれども、これも必ずしも旧憲法の十四条のいわゆる国民の権利義務に影響をもたらすようなものとは性質が違うのではなかろうか。自衛隊の出動についての組織を規定しているものである。ただそのケースが、こちらは警察の平常の組織がやや特異な組織にかわる、自衛隊の方は、その警察の力ではなお困難になるような場合において初めて出動を自己認定でやる、こういうケースの違いだと私ども考えておる次第であります。
  39. 藤田義光

    ○藤田委員 そこで小坂大臣か長官にお伺いしたいでありますが、現行法におきましては国家非常事態というものに対する規定が数箇条あります。国会の承認に関する関連におきまして、相当厳重な規定が定められておるであります。これは地方自治の基本的な権限を一時制約する、従つて国権の最高機関たる国会の承認を求めるというようなところから、この国家非常事態の布告あるいは廃止に関する詳細な規定をつくつておるのであります。今回も第六章におきまして、第五条との関連において大体同工異曲の規定が設けられておりますのは、自治体の基本的権利としての警察権というものを立案者が想定された改正案ではないかというふうに私は考えておるのであります。この点に関しし住してはどういうふうな立案者、提案者のお考えでありますか、お伺いいたします。
  40. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 現行法における場合と今度の新しい法案における場合につきましては、この点はかわりがございません。しこうしてなぜ現行法では非常事態の布告の際に、かような丁施な手続をとつておるかという点につきましても、大体藤田委員の御所見通りであります。自治体警察あるいは府県におきましては府県公安委員会、いずれも民主的に地方分権的に運営をして行くという、いわゆる民主主義の原理に即応してつくりました警察の組織運営方法を特別な必要によつてかえるわけでありますから、そういう意味で慎重な手続をいたしておるのであります。その点は現行法とかわりはございません。
  41. 藤田義光

    ○藤田委員 御答弁ではございますが。私はこの改正案の法律構造から申し上げますると、大体第六章というような規定は不要ではないか、これは法制局あたりがとういう意見であつたかということは存じませんが、そういうふうな感覚で実はこの法案をながめておるわけでございます。そこでお伺いいたしたいのは、現在現行法六十一条の二に基きまして、政府はここにあります通り、国家非常事態警備要綱というものを昭和二十三年に出されております。言葉の表現はかわつておりましても、大体同じことだという御答弁からしますと、今回もこういう要綱的なものをつくられまして、当然実施されるということが予定されるのでありますがその御計画をひとつお示し願いたいと思います。
  42. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 緊急事態の場合の計画につきましては、現在の非常事態の場合の計画と同様でございまして、現在のものにつきまして要綱をお手元にお配りいたしましたが、大体その方針で、改正法案が通過いたしました後も基本的な考え方には変更はございません。
  43. 藤田義光

    ○藤田委員 これは相当重大な規定でありまして、おそらく新大臣も御承知になつておると思いますが、その第一章の総則の末項に、国家非常事態の際には保安庁と緊密な連絡を保たねばならぬという規定があります。今回改正されまして通過すれば、自衛隊になるのでありますが、当然ただいまの御答弁から、自衛隊と緊密な連絡を保持しなければならぬということになります。この緊密な連絡ということが非常に漠然といたしておりますが、具体的にどういう方法によつて連絡をとろうとされるのか、お示し願いたいと思います。
  44. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 具体的にと申しますると、たとえば長官が警備計画を定めまする際にも、今度は自衛隊の関係部局とよく連絡をとつて警察は非常事態の際にはこういう計画を立てる、従つて自衛隊としてはそれに即応するようにやつてもらいたい。あるいは自衛隊の活動せられるところから見て、こちらの計画はこれでよろしいかどうかというようなことは、これは事「前の連絡でございます。実際緊急事態の布告がありましたときに、どうして事態の収拾に当るかという場合に、かねがねの計画に基いて行うことは当然でありますが、しかし具体的の場合にそれを当てはめて行きます場合に、必ずしも事前に考えておつた通りには参りませんから、個々具体的な場合につきましても、関係の自衛隊の当該地域を統括するもの、あるいは中央においては警察庁長官と自衛隊の最高幹部というものとよく連繋をいたしまして、お互いに齟齬を来さないようにやつて行きたい、かように御了解いただきたいと思います。
  45. 藤田義光

    ○藤田委員 漠然とした御答弁でございますが、ただいまの御答弁からすれば、当然常時防衛庁当局と治安状況に対する情報の交換をしておらなくてはならぬと思うのであります。警備計画等に関しましても意見の交換をする必要があろうと思いますが、常時治安状況に対して、そういう何か連絡がありますかどうですか。  それからお伺いいたしたいのは、いわゆる防衛庁法の非常事態と、それから今回の改正案が予定しておりまする緊急事態、これはだれが認定するかということであります。どの限度までが緊急事態で、どの限度までがいわゆる防衛庁の出勤を必要とする非常事態であるか、これは現実の問題に際会いたしました場合、非常に微妙な、しかも重大な問題になると思うのであります。その点に関してひとつ立案者の方針をお伺いしておきます。
  46. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 治安の状態につきましては、絶えず保安庁とも連絡をとつております。その点には日常においても遺憾のないことを期しております。それから緊急事態の布告をいたしますのは、御承知のように国家公安委員会の勧告に基いて総理大臣がいたします。自衛隊の治安出動の場合には、総理大臣がその必要ありと認めて出動を命ずるのでありますが、自衛隊法に規定いたしておりますように、さような場合にはいつもあらかじめ国家公安委員会と緊密な連絡を保つということになつておりますので、先ほど申しましたように、日常の状態につきましても情報の交換をし、その間において齟齬がないことを期しております。従つて警察が必要だと認めて、緊急事態の布告を総理に公安委員会が勧告をせられる。その場合に、自衛隊の出動もしなければならぬだろうというときには、自衛隊の方に連絡をいたしまして、同時に自衛隊の出動もされる。自衛隊の方の出動はまだ必要がないだろうというときには、やはりそういつた意味連絡をいたしまして、お互いに緊密な連絡によりまして、適当な布告あるいは適当な出動というものが期し得られると考えておるのでございます。
  47. 藤田義光

    ○藤田委員 私は一国の総理大臣が、たとえば例は適当でございませんが、襲撃を受けるというようなことも、過去においてはありましたし、今後はそういうことはないというふうにわれわれは確信いたしておりますが、最近の世情ようやく騒然として参つておりますので、総理大臣がそういうふうな治安出動の必要の認否をするということになりますと、総理大臣自身の身辺に危険があつた場合にはそういうことが期待できないのであります。現に大磯事件の際におきましては、総理大臣は暴漢が侵入したことを翌日になつて、あるいは二日後に知つたというような官房長官の談話も、新聞に出ておつたのであります。そういう際におきましては、どういうふうなことで治安出動の認否をされるのか、お伺いしておきます。
  48. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 総理大臣にはそれぞれ補佐機関がございますので、総理の耳に入れなければならぬという場合には、補佐機関がただちに総理の耳に入れるわけであります。おそらくお尋ねの点は、総理がどこかで不法監禁をされておつて従つてどうしても総理の自由意思の発表ができない、それと連絡がとれないという場合に、どうするかというお尋ねではなかろうかと考えます。かような場合には、それぞれ代理機関もあり、そういつた場合の処理の規定があるわけでございまして、国家公安委員が五人ともどこかに監禁されてしまつたらどうするか、警察庁長官が監禁されてしまつたらどうするかというのも同じでございまして、そういつた場合にだれが代理をするということがございますので、その点は御心配がないだろうと思います。
  49. 藤田義光

    ○藤田委員 私はこの総理大臣等に対する生命の危険というようなフアツシヨ的な事態の起きることを非常に憂慮しておる一員でありますが、多少その危険を感ずるような事件が数日前にありましたから、この機会に、きのう門司委員からも質問があつたそうでありますが、一言小坂国務大臣の御意見をお伺いしたいのでありますが、吉田総理大臣には現在警視庁の警備がついておるのであります。ところが新聞記事を読んでおりますると、国警の神奈川県本部からも機動隊と称するものが行つております。しかも、これは新聞記事で正確でないかもしれませんが、国警の警察官が警棒をとられたり、あるいは国警の機動隊の詰所の裏を通つて、総理邸の方に闖入するという、こういう不祥事を起しておるのであります。私はこういうところにやはりいろいろと問題が介在しておるのではないかと思うのでありますが、小坂大臣は、この問題は逐一即刻報告を受けておられたかどうか。ただいま、今後この警察法がもし通過すれば補佐機関として予定されております小坂国務大臣に対する質問としていい例ではないかと私は思いますが、何かどうもこの事件を新聞等にも隠しておつたり、箝口令をしいたというような印象を新聞記事で与えております。非常に不明朗であります。この機会にその点に関する小坂大臣の知られておつた範囲内、どういうふうに処理されたかをお示し願いたいと思います。
  50. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 まことに意外と申しますか、まことにわれわれとしては困つた者が出たものたと思つておるのでありますが、私ども別に、特に新聞等に対しましてことさらにこれを隠蔽するというような意図を持つたわけではございませんで、たた一極の無常な英雄心理というようなものが、非常に教養の十分でない、あるいは精神的に多少完全な状態でない者にとりまして、一つの衝動を与えることになると、もつと平たく申しますれば、一つの刺激になつて、ばか者が次々に出て来るようなことを恐れまして、こういう問題をあまり大きく取扱うことには消極的な態度をとつておることはその通りであります。ことさらにこれを隠蔽するというような気持はないのであります。大磯でございますから国警の担当地区でございますが、現在御承知のようにそれぞれの閣僚等にはいわゆるボテイ・ガードというような身辺護衛がついておるわけであります。これは警視庁の方にお願いをしておるのでありますが、これは身辺の護衛でございますから、なるたけ人がかわらぬ方が何かにつけてよろしいと存じまするので、そのようにしておるわけでございます。非常に警備がありながらその裏をかかれたではないかという点につきましては、私どもも今後そういうことのないように十分注意はいたす考えでございますが、このことをもちまして一つの制度上の欠陥であるとか、そういうふうな大きな問題には考えておりませんので、大いに勤務に精励してもらつて、そういうことのなきようにいたしたい、こういう考えでおります。
  51. 藤田義光

    ○藤田委員 条文の質問に入りますが、私は新しい憲法下におきまして、暴力的な犯罪を計画いたしまして、重要な人物に対する危害を計画するというような犯罪に対しましては徹底的に極刑をもつて臨むべきであるということを常に考えておる一人であります。われわれの政敵でありますが、吉田さんは五回も総理の要職にあります。こういう人に対しまして施政のよしあしは国会を通じて堂々と攻撃すべきである。ああいう直接行動のけはいが見えた、これは少し問題を大きく見ておるかもしれませんが、これは実にけしからぬ事態だと私は考えております。従いまして一方警察官ももし警備に手落ちがあつたならば、この際はつきりと責任をとらせておいた方が、今後のこういう事態を防止する上に非常に効果があると私は思うのであります。そういう点に関しまして何かお考えがありますかどうか、これは責任はつきりする、と同時にあの容疑者に対しましては、徹底的な処断をする、両方相まつて行くべきだと思いますが、御意見をお伺いしたい。
  52. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 ただいまの藤田委員の御意見はまことにごもつともでございまして、警備の点に手抜かりのあつた者につきましては、十分処置をいたすべきであると考えております。またこういうた被疑者に対しましては法の命ずるところに従いまして厳重な処断が下されるだろうと思つております。現に被疑者は検察庁に送付をせられ取調べを受けておるのであります。
  53. 加藤精三

    加藤(精)委員長代理 食事のため暫時休憩いたしまして、午後二時より再開いたします。     午後零時四十八分休憩      ――――◇―――――     午後二時三十七分開議
  54. 中井一夫

    中井委員長 午前に引続きまして委員会を開会いたします。警察二法案を議題といたします。どうぞ御質疑をお始めください。藤田君。
  55. 藤田義光

    ○藤田委員 午前中に引続きまして質問を続行いたします。  現在実施されております国家非常事態警備要綱についてお伺いいたします。この要綱の五十一条には、「特例の情報隊を編成する」というようなことが規定されております。それから六十四条には「災害警備における重点は概ね次の通りである。」という規定の中に、「流言飛語の防止」ということがあります。特別の情報隊を編成し、流言飛語の防止等を災害警備の重点にするということになりますると、私はいろいろと国民の権利義務に対する問題が――今後自衛隊の発足とともにいろいろ誤解を起すような事態が起きはしないかというふうにも考えるものであります。まだ一度もこれは発動されぬように私は記憶しておりますが、発動された場合にはどういうふうな情報隊を編成される予定でありますか。また流言飛語の防止ということを災害警備の重点にされるということは、これは自由なる言論の抑圧等に波及しはしないかというような懸念も持つておりますので、この流言飛語の防止ということを災害警備の重点の一つにされました経緯等をお知らせ願えば非常に幸いです。
  56. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 流言飛語の防止は、こういつた相当規模にわたつて治安が乱れるという場合のやはり一番の重点として考えなければならないものの一つだと考えるのであります。流言飛語の防止をいかようにしてやるかという御質問でございますが、これは何といたしましてもいわゆる流言に惑わされないように、正しい情報を正しく皆に伝える、そういつた意味の宣伝といいますか、そういう事柄が主になされるべきものでございます。情報隊と申しまするものも、正確な情報をつかんで初めてこういう事態の鎮圧あるいは対処をなし得るのでございますから、従つて治安の状況につきまして詳細な情報を迅速に、正確に集める、そのためにそういつた仕事に従事する者を編成する、こういう趣旨でございます。決してこれらのために人権を無視したり、言論を抑圧したりするような考えはありません。のみならず、午前中の御質問にもありましたように、こういつた事態になりましても、言論、報道等の自由を抑圧するような法的根拠は何もございません。先ほども申しましたように、現在の法律のもとにおきまして、われわれの適当な方法によつて正しい情報と申しますか、正しい事態を広く一般に伝えることを主にしてやるべきものだと考えておるのであります。
  57. 藤田義光

    ○藤田委員 同じく要綱の第五章の六十九条に、「警察は国家非常事態の原因となる虞ある不法行為に関し」云々とあります。この規定からしますと、これは当然破防法に基いて公安調査庁が調査をする事項ではないかというふうにわれわれ解釈される節があるのでございますが、この点はかねて公安調査庁と緊密な連絡があれば、当然公安調査庁の調査権に基いてやれるのではないかと思います。警察がここまで入つて行くことになりますと、政治警察の再来の危険がありはしないかと私は危惧いたしておるわけであります。その点はその次の条文で、「警察は世論調査を行つてはならない。」という規定もありますし、この点の調整も非常に問題かと思いますが、こういう規定を置かれました根拠をひとつお示し願いたい。
  58. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 警察仕事は犯罪を未然に防ぐという点が一番かんじんであろうかと考えるのでございます。ことに非常事態の宣言の原因になるような、相当地域にまたがつて擾乱を企てるような企図があるということを耳にいたしました場合に、それがはたしてどの程度真実であるか、どういうものであるかを知ることが、警察責任を果す上で最も肝要なことたと存ずるのであります。お尋ねのように破壊活動防止法に基きまして、公安調査庁は破壊活動自体について調査はいたすのでございますが、公安調査庁の破壊活動防止に関する調査の目的は、それによつて破壊活動をなそうとする団体を行政的に規制をすることでございます。われわれ警察仕事といたしましては、事前にこれを防止しまたは事柄が勃発いたしました場合に、できるだけ迅速に的確にこれを鎮圧するというのが目的でございまして、対象は場合によれば同じものが対象になる場合もありますけれども警察公安調査庁の両方において、それぞれ違つた意味合いから調査をしなければならない場合があることはやむを得ないのであります。ただ同一対象になる場合が多いのでありますから、お互いに連絡を緊密にいたしまして、情報を交換しながら万全を期しておる次第であります。
  59. 藤田義光

    ○藤田委員 ただいまの長官の御答弁からいたしましても、私は公安調査庁を当然吸収すべきではないかというふうに考えておる一人であります。国会審議の時間等の関係がありましても、この点は急速に、残りました会期中に具体化すべきである。非常にトラステイツクのようでありますが、公安調査庁をこの際吸収して行つていいのではないか、それを国会できめれはいいのではないかと思いますが、受入れる側の長官のお気持をお伺いしておきたい。
  60. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 御意見はまことにごもつともな点が多々あると思うのであります。私どもにおきましても傾聴に値する点が点が非常に多いのでありますが、たた公安調査庁は、今も申しますように、団体規制の行政処分をすることを目的にいたしております。警察はそういう行政処分はやらないという建前になつておる。しかし同じような対象たからやつてもいいじやないかという御意見は、ただいま申しますように非常に傾聴いたすのであります。そういつた面もございますし、両方わかれていながら連絡を緊密にしてやるという面においても、またいい面もございますので、これはよはど慎重に研究をいたさなければならない問題であろうか、かように考えておるのであります。
  61. 藤田義光

    ○藤田委員 会期もあまり長くありませんし、これはほかの委員諸君と意見が違うかもしれませんが、私は第一章、第二章をやれば第三章、第四章、第五章の機構の点はあまり質問もございませんし、第六章と第二章の関連を大分詳細にお聞きしておるわけでありますし、残る問題は財政負担の問題と給与の問題だけでありますので、もう少し質問させていただきたいと思います。  この第五条第二項の第十一号であります。「任用勤務及び活動基準に関すること。」とありますが、この基準任用勤務すべてに関連しておる基準であるかどうか。ただ活動基準だけであるかをひとつお示し願いたいと思います。これを拡張いたしますと、たとえば地方警察官の任用に関しましても、基準という名目のもとに、地方公務員に対しても相当な影響力を持つ実質上の人事権が握られてしまうということもあり得ると思いますので、この機会にお伺いしておきたいと思います。
  62. 柴田達夫

    柴田(達)政府委員 この基準任用基準勤務基準活動基準、こういうふうにかかるわけであります。
  63. 藤田義光

    ○藤田委員 活動に関することだけでなくて任用基準に関するということになりますと、私の申しました懸念はほとんど解消するわけであります。  それから第十二号に「警察行政に関する調整」云々とありますが、これはほとんど全警察行政関係して参りまして、第十六条との関連等におきましても、私はいろいろ誤解を生ずるのではないかと思う。先ほど委員から質問がありましたが、これは少し聞き漏らしたところがありますので、警察庁長官の所管事項と第十二号の関係をお示し願いたいと思います。
  64. 柴田達夫

    柴田(達)政府委員 十六条の警察庁長官の権限と第五条の二項の十二号の調整関係、こう承りましたが、これは午前中お話が長官の指揮監督との関係においても出たわけでございますが、長官の指揮監督権というのは、第五条の二項の各号を警察庁の所掌事項といたしまして、警察庁の所掌事項すなわち第五条第二項の各号の事項について都道府県警察指揮監督する、」こういうことになつておりますが、その各号の事項の中で、事柄の性質上、あえて指揮監督を要しないということについては、そう害いておきましても、当然事柄がないのだから該当がない。そこまで出しました。たとえば第一号の「警察に関する諸制度の企画及び調査に関すること。」これもあえて都道府県警察指揮監督する権限はないわけであります。そこで運営については第三号の事項、イ、ロの事項、それから第四号こういつたことについて指揮監督をいたします、それから第六号から第十号までの関係におきましては、その統合のため必要な範囲内におきまして指揮監督があるわけであります。  最後のお尋ね調整は、十一号に基準を明示いたしてございます。この調整は本来都道府県警察の方の責任において自主的に実施し得る事項でございまして、ただそのために必要な連絡調整限度において、それぞれの主体性を尊重しつつ調整するということでございますので、その調整限度においてだけ中央権限がある、こういうことでございまして、これはあえて指揮監督というものには当らないかと存じます。
  65. 藤田義光

    ○藤田委員 次に第三章についてお伺いいたしますが、第二章の第五条の第二項の規定があります関係上、第三章の第十七条の規定は不要ではないか、かように考えます。これは立法技術の問題でありますが、総務部長から御答弁願いたい。
  66. 柴田達夫

    柴田(達)政府委員 第十七条は第五条があれはいいのではないかというお尋ねかと思いますが、第五条の方は国家公安委員会任務権限とを規定してあるのでありまして、十七条の方は国家公安委員会管理のもとにあるところの付属機関としての警察庁自体の権限を書いたものでございますが、その権限国家公安委員会警察庁におきまして、その幅においてはかわるところはないわけでございます。本来ならば十七条であらためて第五条第二項の各号を書くところでございますけれども、前の条文と幅においてはかわるところがありませんので、第五条第二項の各号に掲げる事務をつかさどる。つまり警察庁の方は執行機関と申しますか、実施機関であります、こまかいここに掲げてあることについては国家公安委員会管理のもとではありますが、普通の官庁がその直轄するところの仕事を何から何までやると同じ意味警察庁がやるわけであります。国家公安委員会の方はその仕事の幅は同じでございますが、この仕事について警察庁管理しているという立場行政委員会として警察庁長官を通じて指揮監督し、これらの仕事をやらしている、こういうことになるわけでございます。それだけの違いでございます。うらはらになるわけでございます。
  67. 藤田義光

    ○藤田委員 前後しますが、十六条の第二項に「警察庁長官は、国家公安委員会管理に服し、警察庁の庁務を統括し」云々たとありますが、これは服し、統括し、任免し、統督しとありまして、対等の資格においてこれらの権限があるというように解釈できるのでありますが、この立法体裁から言いましては国家公安委員会管理のもとに統轄し、任免しと言つた方が非常にすつきりするのじやないか。これは日本語の微妙な点でありますが、解釈によりましていろいろと誤解を受ける点ではないかと私は考えますが、その点に関する立案者の気持をお伺いしたい。
  68. 柴田達夫

    柴田(達)政府委員 警察庁国家公安委員会と対等の立場ではなくて、その管理のもとに仕事をするという形におきましては、いすれの条文も同じことであります。ただ十七条の方が警察庁という役所の場合には「管理の下に」いう言葉を使つてある、警察庁長官というその官職の者としましては公安委員会管理に服する、こういう言葉使いわけたわけでありまして、気持においてはかわりありません。現行法におきましても国家地方警察の隊長は、公安委員会運営管理に服し、管区本部長行政管理に服するというような言葉を使つております。さように使い品わけしたわけでありますが、意味の内容はかわりありません。
  69. 藤田義光

    ○藤田委員 次に第二節十九条の警察庁に四部を置くとありますが、この四部を置くという規定はわれわれが地方自治法の修正等をやりました体験からしまして、これは現行法がむしろベターではないかと思います。五部以内の部――私は将来の機構運営上四部ではあるいは足らなくなるのではないか。地方自治法の修正にあたりまして、たとえば東京都庁の港湾部を港湾局にするとかいろいろな問題で国会が非常に紛糾した前例があります。それとこれとは問題の性質が多少違いますが、むしろもう少し部数を多くしておいて、それ以内という表現をお使いなつ現行法が、将来を考えました場合は、ベターではないか、かように考えますが、従来よりも表現をかえられて四部と限定せられました何か理由がありましたらお示しを願いたい。
  70. 柴田達夫

    柴田(達)政府委員 現行法に五部以内と書きまして、実際に現在は五部あるわけであります。部は四部になつておりますが、長官官房というものを実は新設いたしまして、総務部にありましたそのものを名前をかえまて長官官房で出しましたので、実質は五部ということであります。
  71. 藤田義光

    ○藤田委員 次に非常に飛びますが、二十八条であります。これに科学捜査研究所というのがあります。これは数年前に齋藤長官にお願いし、お伺いしたのでありますが、法務省にも同様な機関があります。これは従来の犯罪捜査の実績からしましてもどうしても警察を一元化すべきである。私は、法務省で同様な施設を持つておることは不自然である、どうしても警察に一元化するように強く要望したのであります。ところがその後この点に関しましては法務省と意見調整がつかないのか依然として法務省にも、名称は多少かわつておりますが、こういう研究所が現存するように記憶いたしておりますが、この問題に関しまして即刻この法案審議中にでも小坂国務大臣が政治的にひとつ加藤法務大臣に折衝していただきまして、何か御回答を求めていただきたいと私は思います。  それから先ほど不在中に質問いたしましたが、公安調査庁のやつておる仕事の実体は行政処分等がありますが、私は、これは現在の国家警察でやれる仕事である、まあ運営上は注意すべき点もありましようが、公安調査庁は統合すべきであるということを考えておる一人であります。この二つに関しましてひとつ担当大臣のフレツシユなお考えをこの機会にお伺いして、これを少し具体化するよう特に善処していただけますかどうですか、お伺いしておきます。
  72. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 ただいまお示しの二点につきましてはごもつともな点もあると存じます。ことにこの公安調査庁問題については、従来からもそういう意見を承つておつたのでございまするが、なおよく研究さしてみていただきたいと思ます。
  73. 門司亮

    ○門司委員 委員長、議事進行で、実は本会議で採決に入つてくれと言つて来たのてすが、どうしますか。     〔休憩しましよう」と呼ぶ者あり〕
  74. 中井一夫

    中井委員長 それでは本会議が始まりましたので、ことに本日は記名投票によつて採決が行われるそうでありますから、暫時休憩をいたします。  本会議が終りましたら、ただちに本委員会を開会いたしますから、ぜひ御出席を願います。     午後三時一分休憩      ――――◇―――――     午後六時八分開議
  75. 中井一夫

    中井委員長 休憩前に引続いて会議を開きます。  警察法案外一件につき質疑を続行いたします。西村力弥君。
  76. 西村力弥

    西村(力)委員 私どもの前から要求しておりました宣誓書の案文ができて参りましたので、これに関連してちよつとお尋ねしたいと思うのであります。それは、前の警察法あるいは警察基本規程にあるものと比較しますと、「不偏不党」という言葉が新しく入つておるわけでありますが、これを入れた理由についてお尋ねをいたしたいわけであります。この前国警長官は大体前のと同じでいい、しかし「不偏不党」というくらいなら入れてもいいと言われたのですが、これを私はいかにもこの不偏不党という言葉を皆さんのお気持に沿うようにするためには、という軽い気持のように聞いておつたのです。しかしこのことはそう簡単に用いられる言葉であつてはならないと私は考える。この点についてひとつ御答弁を願いたい。     〔委員長退席、佐藤(親)委員長代理着席〕
  77. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 このことは第三条のときに御答弁を申し上げましたがこの警察法の中に「不偏不党の公平中正に」という言葉を入れなければならぬような、何か警察法自体にそういつた仕組みがあるのかどうかということでございましたから、それはそういうことはございません。しかしながら「不偏不党且つ公平中正に」ということは当然の事柄であり、また強調してもいいことでありますから、この法案には入つておりますということを申し上げたわけであります。従つてそういう趣旨からこの宣誓書にもこの法案の趣旨をくみまして、それを入れた方がよろしかろう、かように考えておるわけであります。
  78. 西村力弥

    西村(力)委員 そういう御答弁では、いやしくも服務の宣誓をやる宣誓書の尊厳をゆがめるものであると思う。こういうものを入れないと服務の際にあのやつはきかないとか、こういうぐあいに受取れて、宣誓書というものはまつたくの形式的なものであつて意味のないものだということになるわけです。そうしますと小坂国務大臣にお尋ねしなければなりませんが、私は第一章において、初めにもどつてぐあい悪いけれども、こういう訓示規定の意義というものが、警察職員勤務意識にどれだけの影響度を持つものかということに対して質問したのでございましたが、どうも宣誓書までがそういうぐあいに取扱われるものたとするならば、この法文にある第二条第二項あるいは第三条というものは全然飾りであるということになつて来るわけでございます。そこで小坂国務大臣も、先ほどの国警長官の答弁通りでよろしいとかように考えるかどうか、お尋ねをいたしたい。
  79. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 現行の国家地方警察基本規程の第七十三条に、宣誓書の規定があるわけであります。これは本来の規定でございますので、服務の宣誓書の書き方等については、これは行政機構のみにおいて決定し得るのでございますけれども、国会におきまして国民の総意を代表する方々から始終御意見を承るということは、行政機関としてはその点については十分つつしんで承らなければならぬと考えておるのであります。従いまして本委員会におきましてしばしば傾聴すべき御意見に接しておるのでございますが、当局といたしましても謙虚に皆様方の御意見を承る、こういう趣旨におきましてただいま国警長官が言われましたように、不偏不党ということもこの法文にあるのであるから、この点を特にうたつたらどうかという御意見に従いましてこの原案をお見せ申し上げる、こういうことであろうと考えるのであります。
  80. 西村力弥

    西村(力)委員 それではお尋ねしますが、政府がこういうぐあいに立案をし、これを提示するにあたつては、政府自分責任立場から諸般の事情を研究し、万遺憾ないものを提示するという方向をとられるべきものであると思うのです。先ほど資産再評価の問題の投票の際に、政府原案が修正せられたという際において、大臣が一国会議員としてそれに賛成の投票をした、ここに私たちは非常に問題を持つのでございますが、政府としても自由党の修正に同意をした、そのためにそれに賛成投票をやつた、こういうぐあいにおつしやるだろうと思うのです。それはそれとしてこれをどうこうしようとは思いませんけれども、今のようなぐあいに国会の意思を尊重してといいまいても、何もされはわれわれだけの声によるものではない。政党的な偏向が行われる、これはこの警察法の仕組みであつてはそう行かざるを得ない。われわれはその点を指摘して参りましたけれども政府としてはそういう懸念の余地は一切ない。こういうぐあいにつつぱねられて、諸君の言う通り政治的偏向という結果を招くことに対して、なるほどそうだということは一言も私たちは聞いていない。資産再評価は同意したから投票したということで一応割切れたという議論もありますけれども、今までのような一方においてわれわれが指摘し不偏不党ということに対して同意をせずに、こういう条文だけで、いかにもわれわれの方に同意したがごとく言いのがれをしようということは、これは明らかにごまかし的なものであると私は言わざるを得ない。そういう答弁を大臣からもらつても、私たちはとうてい満足できない。またこれは国家地方警察の基本規程の規定として出るものでございますという話でございます。そもそもその淵源は基本法の第三条に発するのだ。そこの権威の裏つけとしてこの宣誓書が出ているんだということを考えるときに、そう軽々に扱つてはならない問題であろうと思う。確かに不偏不党というものは、われわれがそういうことをごてごて言うから出しただというような――尊重したと言いますけれども、そうじやなくてうるさい口を封じようというようなぐあいにしているんだというふうに、私は今の答弁を受取つている。そういう私の疑念に対して明確な答弁を願いたいと思うのであります。
  81. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 本委員会において傾聴いたすべき御意見は始終承つているわけでありますけれども、その御意見の中に私どもとして御意見は承るが了承しがたいという御意見と、なるほどこれなら私どもも了承し得るという御意見と、二通りあるわけであります。ただいま御指摘のように、警察の組織法そのものが政治警察を生むであろう。こういう御意見に対しては、私どもは、そうなつておりませんとはつきりお答えを申し上げているわけであります。ただ現在の国家地方警察基本規程と同様のものを、新警察法に基いてつくるわけでありますが、この基本規程の中に書く案文につきまして、私が申し上げておりますのは、これは本来行政当局としてやり得るものであるけれども、法案の第二条及び第三条に不偏不党という文字が使つてあるではないか。そういう文字が使つてあるのに規程の中にこれを抜いて宣誓書を書くということは片手落ちだという御意見がありますから、それならばただいま御指摘のように法案そのものに渕源を発している規程であり、宣誓書であるから、そいうことは書いてもけつこうでございますというので、その御意見を尊重してこういう案文を出した。こういうふうに御理解をいただきたいと思います。
  82. 西村力弥

    西村(力)委員 そういたしますと、基本規程にこれを入れたから宣誓書にも入れなければならないということにもなるというので、基本規程そのものは認めている。すなわち今までの答弁とは逆な立場政府でははつきり認めている、すなわら不偏不党ということを明文化し、警察官の職務執行一つの心得として訓示しておかなければならないということを予見しているんだということになるわけでございます。今の答弁ですと、そういうぐあいには決して行かないと考えているということでございまして、この原案そのものに対して一致しないように私には思われるのであります。どうかこの点を明確にしてもらいたいと思うのであります。
  83. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 私はただいまの答弁できわめて明確だと思つております。不偏不党という文字が法文にあるのであるから宣誓書にも入れたらどうかということであるから、それはそれとしてけつこうでございましようというのであります。何も入つていないから不偏不党であるとか、入つているからことさらに不偏不党であるべきものがそうでないと思われるから入れたのだとか、そういうふうな持つでまわつたような考えはございません。先ほど国警長官の御答弁申し上げました通り、非常にすなおに、あつさりお考え願いたいと思います。
  84. 西村力弥

    西村(力)委員 私は頭が悪いからなかなか理解に苦しむのですが、今まで不偏不党という言葉警察法になかつた。それほど民主的なものを短刀直入に追求している警察の組織法であつたということでございます。その際の審議過程におきましても、警察官の政治的偏向ということを、とやかく考慮に入れる必要はないというわけで、その言葉は入らなかつたのたろうと思う。ところが今回政府提案によりますと、不偏不党という言葉が新しく入つている。そこには、政府がこの組織法は能率と民主的コントロールとをはつきりと調和するためにやむを得ずこうやるんだ。しかしこのことは相当政治的偏向への危険を包蔵するのであると考えられて、この不偏不党というものを入れられたと思うのです。ところが先ほどの答弁では、この警察法でも決してそういう懸念を持つことはない、われわれは持つていないと先ほど大臣は答弁せられている、そうすると、本法の不偏不党そのものが、ただ言葉の羅列にすぎないことに相なるのではないか。こういうふうになりますと、その他の宣誓書におけるいろいろな問題、すなわち憲法あるいは法律の忠実な擁護とか、命令の遵守、綱領の優先遵奉、そういうことすべてがそういうことになるのかと疑うのであります。しかしそういうことはあり得るはずはない。憲法を守り法律を忠実に擁護するという、そういうものと同列のものとして、警察官の服務基準として不偏不党が掲げられている、かように私は思わざるを得ない。その点、この警察法では政治的な偏向に知らず知らず進んでしまう危険性を全然予見していない。法に不偏不党という文字を羅列しておりましても、そういうことは全然政府としては考えていない、かように答弁せられるかどうか、もう一度伺いたい。
  85. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 警察職務そのものの中に本来不偏不党であるべきものである、あるいは公平中正を旨とすべきものであるということがあると思われる。現行警察法におきましては、公平中正という言葉が入つております。それだからといつて、それじや現行警察法には公平中正ということがないか、このままで行くと公平中正という基準を失いがちであるから公平中正という言葉を入れたかというと、そうではないので、やはり公平中正であるべぎものであるから公平中正と書いたというのと同じ意味において、不偏不党であるべきものであるから、今回はさらにそれを加えた、こういうことにすぎないのであります。従いましていろいろな御意見がございましたが、先ほどから申し上げている通り、あつさりとこの点は本来警察職能の中に不偏不党であり公平中正であるべきものであるということがありますので、第二条、第三条の法文にはそうなつているし、法文にそうなつているから、宣誓書の中にもそれを入れることがよかろうという御意見がありまして、これもまことに傾聴すべき御意見である、こう考えまして入れた、こういうふうに御理解願いたいと思います。
  86. 西村力弥

    西村(力)委員 あつさりと行きたいですけれども、新しくこの文字を取上げて来たところに一つ考え方があると私は思うのです。ただ単に私たちの方で懸念を持つから、その懸念を文字面において払拭しようというだけでこれを出したんだとはとうてい考えられない。そうでないと私は思うのです。  そのことをいつまでも言つておりましてもどうにもなりませんが、こういう不偏不党の原則がありますが、警察官が不偏不党を犯した場合、そういう事例、政治的偏向を犯した場合というのが、一体今までありましたかどうか。その点について警察法懲戒処分の具体的事例をお願いしたところが、幸いに出していただきましてありがというございますが、この事例を見ますと、どうも警察官も人間としての人間らしい行動をした。それが職務上ひつかかつて、そして厳罰に処せられたという事例が多くて、私の懸念しておるようなことは一つも載せられておらない。そういうことはないのかあるのかわかりませんが――一体私の懸念しておるような事例は今まで皆無であつたかどうか、ひとつ齋藤国警長官にお尋ねしたい。
  87. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 私の記憶では警察官が職務執行にあたつて政治的に偏向したということで懲戒にいたしたという例はまだ聞いておりません。
  88. 西村力弥

    西村(力)委員  ところが、この前もちよつと申し上げましたが、私の周辺である交通事犯で取調べがあつた、そうして取調べが済んだあと、あるいはその過程において、一体お前が左派社会党を支持して何になる、こういうことを警察官が言つた、こういう事例があるのです。これは私は問題にしようとは思わない。しかし将来私たちはこういうことを問題にせざるを得ない段階になるであろうと思うのです。まあ私の言つたのはただ一警察官がそういうことを言つただけでありまして、これよりもつともつと大きい仕組みのこういう動きが将来出るであろう、それをはつきり予見して、だから不偏不党という今まで使わなかつた言葉を使つておるという場合になつておるのでありまして、うすうすは――あるいはうすうすでなくて本音からか、そういうことを予知しておる、こういうぐあいに思われるのですが、そういう場合に、この警察官は政治的に偏向を犯したということを訴えるわけだが、その訴える場所はどこであるか、地方警察官がそういうことをやつた場合にどこに持つて行つたらいいか、これについてお尋ねしたい。
  89. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 警察官が政治的に偏向を犯した場合に、これを是正するにどこへ申し出たらよろしいかという御質問でございますが、私は最終的にはやはり府県公安委員会会あるいは警察本部長というところに申し出ていただくのか、一番適当ではなかろうかと考えているのであります。これがまた行き過ぎまして、人権を侵犯したというようなことがありますならば、人権擁護局に申し出ていただきますことが適当であろうと私ども考えております。
  90. 西村力弥

    西村(力)委員 そういうぐあいにやつていろいろ調査した結果、たまたまときの政府に都合の悪いこと――たとえばこういうぐあいに任命権の系列が立てられておる以上、地方警察本部長は野党、ことに敵視せられておる社会党に対して、警察官がその反対の言動をやつたという場合においては、とかくするとそのことが隠蔽せられるというぐあいになるのではないかと思うのです。そのほか地方公安委員会が、これはけしからぬから警察本部長にその者について徴戒なら懲戒罷免なら罷免というぐあいにすべきであるということになつて、それを本部長意見として出した。ところが罷免なら罷免ということについてその本部長がそれを用いないということもあり得ると思うのですが、そういう場合には、その本部長に対するわれわれの追究を一体どうすればいいか、お伺いしたい。
  91. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 都道府県公安委員会都道府県警察本部長を信用するに足らずということになりますれば、都道府県公安委員会はその本部長罷免あるいは懲戒の勧告をなされるのが至当であろうと考えます。
  92. 西村力弥

    西村(力)委員 ところがその勧告をせられてその本部長罷免が行われればいいけれども、それはそれで、絶対に勧告以外の何ものでもない。こういうことになりますと、その勧告が国警長官のところまで行つても、その勧告を取上げて罷免しなければ何にもならない。そういう場合に、国警長官の立場というものは、体どこを一番尊重するかということになるわけですが、その警察官の方向というものは、ときの政府にくみするかどうかということか判断の基礎になるのではないか、かように私たちは疑わざるを得ないのであります。そういうことを言つておりますと、疑心暗鬼、どこまで行つても切りがない、こういう御答弁になると思うのでございますが、国家公安委員会がほんとうに警察のそいう不偏不党のあり方を監視するためには、一体どういう組織にならなければならないか。一般的に言うと、行政委員会の性格として、あるいは権能として持つておるものを十分に果すためには、どんな具備しなければならぬ条件があるかということを、ひとつ国務大臣から御答弁を願いたいのであります。行政委員会を全然否定する立場でなく、そのものの存在を日本の行政の行き方として認めておる以上、これが本来の使命とか権能とかを正しく運営するために、これの具備条件というものはいろいろあるだろうと思うが、それはどういうものであるか、ひとつ大臣から御答弁を願いたいと思います。
  93. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 公安委員各位の具備すべき条件は何かということでございますが、公安委員会の制度そのものが、一般の良識を十分に警察行政に反映しようという建前でありますから、人格識見の高遇な良識のゆたかな人であるというような点は、必須の要件だろうと思つております。
  94. 西村力弥

    西村(力)委員 委員会として人格識見だけでは、これは行政委員会として――人格識見は大臣だろうが、国警長官だろうが、みんな必要である。人格が下男で識見が下等な者は存正することはできない。そういう一般的なものではなく、もつと別にはつきり行政委員会として絶対に欠くべからざる条件というものがあると思う。それをどうお考えになるかということをお尋ねしておるのであります。
  95. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 御質問が非常に抽象的なので、こういう場合にこういう欠陥があるではないか、それにはどういう対策があるかということであれは何でございますが、行政委員会としての、ことに公安委員会としての円満なる運営をはかるのには、どういう素質を持つた構成因子がそれを構成するのが適当であるかということでございますれば、やはり良識ゆたかな人格識見の高趣な人というのが骨組みであろう、こう御答弁申し上げるよりほかに方法はないと思います。
  96. 西村力弥

    西村(力)委員 抽象的な質問であるから、それ以上答弁ができないというお話ですが、法律的に行政委員会に保障しておかなければならない条件にはどういうものがあるかというぐあいに質問の言葉をかえてみたいと思うのですが、おわかりになりませんか。
  97. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 保障すべき要件いいますと、結局公安委員会そのものは安定して、いわゆる時の権力の不当なる干渉から趨然とするという意味からいたしますれば、やはり任期を安定させるということが必要であるという意味で任期については相当長いものになつております。
  98. 西村力弥

    西村(力)委員 だんだんと答弁が具体的になつて参りますが、確かに身分のの安定ということは、政治的な支配から隔絶して独立させるためには絶対的な条件であると私は思う。それとともに生活面においても、給与などにおいても、当然用事のものをやらなければならない、前の警察法では大臣と同率の給与を国家公安委員には支給すべきだということであつたが、今度はそれを格下げしたように見える。それをそこまで言わないで別に法律で定めるというふうになつておりますが、そういう点もぜひ必要ではないかと思うのです。  それから政党的なバランスというか偏在を避けるということになるわけですが、身分の保障という点において、大臣が国家公安委員長になつたら身分というものは一体どうなるか。大臣というものは時の総理大臣によつて任命され、罷免されるまことに足元の落着かない状態にある。ことにこのごろの大臣はそういう点において安定性を欠いておる。おそらく国民は今大臣がだれであるかというようなことも知らない場合が多いのじやないかと思われる。そういうぐあいに大臣の身分というものに不安定である。これが国家公安委員長として純対的に必要な身分の安定というものが保障されるかどうか、私はそこに非常な疑念を持つわけなのであります。国家公安委員個々の者についてはそうでないでございましようけれども、その代表的な立場にあつて委員会を主宰する委員長がいつ忌諱に触れてばつさりやられるかわからないという状態にあることは、国家公安委員会自体のほんとうの安定性というか、政治的な立場からの隔絶ということが全然保障されない状態にあるということではないかと思う。この点についてひとつ御見解を承りたい。
  99. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 表決権を行使します僻者は委員長ではなくて委員であるわけであります。そのために委員は五名、地方においては三名という奇数になつておるのであります。国家公安委員会の場合をただいまあげておつしやつたわけでありますが、委員長はそういうふうに奇数委員会の上にあつて採決権を行使する、こういう立場でございますので、実際の判断をされるべき委員の任期は五年間という相当長い期間安定しておりまするし、第九条の各号に掲けておりますように、非常に身分の安定を保障されておる。こういうふうになつております。このことにつきましては先般来もしばしばお答えを申し上げておいたかと考えます。
  100. 西村力弥

    西村(力)委員 その点は前々から他の委員からも質疑があつたと思うのですか、委員長は五人という奇数委員の上に立つて表決権を持たない、こういうぐあいにいつでも答弁をなさるのでございますけれども、しかし常に五人が出席しなければ会議を開かないわけじやなし、また可否同数の場合に委員長の一票が威力を示さないというわけでもなし、そういう御答弁はまじめさを欠くものではないかと私は思う。具体的に言つて、五人がいつでもそろつていて、委員長の一票を行使せずとも、委員五人の意思によつてこの公安委員会の意思が決定せられるというわけけには行かないと思うのです。そういう答弁については、私はとうてい納得されないばかりでなしに、答弁そのものがどうもあまりにつつぱねた答弁であると思わざるを得ない。私から言わせれば、たとえば警察本部長の何か事件が持ち込まれても、そういう場合に国家公安委員会の意思が決して正しく反映するときばかりじやない、時の政府の大臣がその委員会をリードするのであるから、どうしてもそういうものについての処罰の緩急というものは、政治的に相当変更を来すであろうということを思わざるを得ないと思う。この点はお互いに真剣に考えて行かならけばならぬところなんでございますから、あまりに形式的な答弁じやなく、そうではないというもう少しはつきりした御答弁を願いたい。
  101. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 この点に関しましても、先般来しばしば申し上げておることでございまして、国家公安委員会は奇数から成つておるのでございますが、それじや欠席した場合どうなるか、こういうことでございます。しかし重要なる議事を採決いたすような場合は、公安委員長の責任におきまして出席を促すべきものでありますし、また実際にそうするのが常識であります。また委員各位におかれましても、重要なる採決の行われます場合に表決権を行使するということは、委員の職責上当然のことであります。そういう場合に欠席するということは考えられない。しかし万一にも出席が不可能でありますような際には、委員長委員の意向というものを十分に承知いたしまして、その際にその委員の意思を表明する適当なる方法を他にとりまして、その採決な決定することになると思うのであります。でありますから御懸念のような点は私どもはあり得ない、かように考えておる次第でございます。特に公安委員会委員各位というものは、先ほど申し上げましたように、身分が安定しておるのであります。その良識と識見に訴えまして、時の政治的な勢力から超然として自分が非なりと思うことについてはあくまで非であると主張するごとによつて、何ら身分が動揺することはないのであります。今お話のように委員長たる国務大臣が非常に地位が不安定であるとすればするほどに、その委員の発言というものはさらに安定性を増すということは御理解願えると思う、そういうよ一うな趣旨でございまして決して私は御懸念のようなことはないと思つております。
  102. 西村力弥

    西村(力)委員 それは普通の場合はその通りでしようけれども、私たちがこういう問題を考えるときには、善意を信じてのみ行つたのでは決してその通りに行かないので、善意あるいはその善意を持つ持たないにかかわらず、決してそういうぐあいに行かないという保証を要求したい、それをつくりたい。ただ善意だけを信じてやつたのでは決してそれは満足に行かないことである。具体的に言えば、私は知らぬのですけれども、ときどきこの委員会でもお話になりましたが、現在の齋藤国警長官が吉田総理から罷免せられようとした。しかしそのときに国家公安委員会がそれを頑としてはねのけたということでありますが、その逆もやはりあり得ると思う。今のこれがあまりにも政治的偏向を持つておるから、これではよろしくないというわけで罷免の勧告をしたい、かように国家公安委員会の多数の委員考えた場合に、その委員長は会議をそういうぐあいに手放しで開くかどうか。これは絶対に開かない。開かないばかりじやなく、それを逆に利用して行つて、むしろ他の策動を行い、または会議のかけ引き的なものを用いて、反対の委員、その罷免をしようというようなぐあいに考えておる人たちの出席の少い場合に、強引にやつてしまおうというような場合もあり得ると思う。そういう点からいいまして、これは善悪に立つて考えなければそれで済むのであります。そういうぐあいに当然ぎりぎりの段階に行くと、国家公安委員会委員長は、時の政府の大臣としての立場に立つた行動をするに違いないと私は思う。そういうこともあり得ないと、やはり今のような立場で御答弁なさるかどうか、お尋ねいたしたい。
  103. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 私は国の治安に関する責任というものは非常に重いものであると考えております。そういう非常に重い責任を背負うものといたしましては、ただいまお話のような行動に出るということはできないことであると考えております。治安の責任を負うというようなことに、決して一本勝負ではないのであります。そのときによし今おあげになりましたような強引な横車を押しましても、これは決して長続きするものじやないのであります。その結果としまして国の治安に重大な支障を来し、悪影響を及ぼすということになる、そういうことはとうていできぬことである、こういうふうに思つております。もしそういうことを強行されるにおきましては、公安委員の各位におざましても、それに対する当然の報復手段をとるであろうと思います。そういうことは、当然国務大臣が委員長であればあるけど、その責任の所在というものは明確に内閣にかぶつて行くものでありますから、すなわち内閣の存続を許されぬくらいの重大失態を招くということになるのでありまして、その点につきましては、治安の責任の重大さというものが御懸念のようなことを吹き消して行くであろうと思います。
  104. 西村力弥

    西村(力)委員 なるほど大臣は警察行政に対してそういうぐあいに言われますが、私はむしろ逆に考える。それはどういうことかというと、警察行政。が一つの無理をすれば、その無理を打開するために次から次へと強い立場をとるのであつて、これは今までの歴史がはつきり示しておる。権力を行使した場合においては、そのことの不当性を鳴らされるということ、あるいは逆に自分に反撃が来るということに対しては、これはますますその権力を強化して、それをけ飛ばす方向に行くということは、権力機関の堂々の進む道なんです。だからこういうことになる危険性を私は十分に防がなければならないと考えておる。しかしいくら御質問申し上げましても今のような御答弁以上に出ないということになれば、私はこれ以上追究してもしようがない、こういうぐあいにあきらめざるを得ないわけでございます。  次に国敬長官にお尋ねいたします。今度この警察法ができて来れば、国家地方警察基本規程というようなものは当然整理されると思いますが、今度はどういう規程になるか。この国家地方警察の基本規定というぐあいに規程づけて、それをどうこうということもなかなか困難ではないか。そのよるべき基準なんかを示すことができるでしようけれども、こういう場合に一つの規程ががつちりと組まれるということ  はむずかしくなるのではないか。一体どういうぐあいにこれを書き直されるつもりでございますか、お考えがありましたらお話願いたい。
  105. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 この新警察法案通りました場合に、この基本規程の内容は相当に変更を来さなければならないであろうと存じます。それは申し上げるまでもなく、法律が変つたことによりまして当然受けるべき変更であります。個々の点は省略いたしまして、こまかい点、ことに都道府県警察に関する事柄は、この法案に基きます基準というようなものを示すようなものが多いと存じます。この基本規程自身で府県まで縛るというわけには参りません、この基準従つて都道府県でそれぞれ規程をおつくりになることに相なるのでございます。ただ警察庁内部の事柄につきましては、こういつた規程は形式は基本規程という名前はつけますけれども、その点はまだ考慮の余地があると存じますが、内容は大した変更はないと考えております。
  106. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 関連して、先ほど西村委員からお尋ねもあつたのでありますが、先般第三条の宣誓書を出していただきたいというようなことを申しておきましたが、ここに案をお出しになつた。この宣誓書は現在行われております宣誓書と同じでありますか。どこか違つておるところがありましたならば、お教えいただきたいと思います。
  107. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 お手元にお配りいたしました宣誓書の案でございますが、それをごらんいただきますと、第四行目の中ほどに「不偏不党且つ公平中正に」という文句がございます。この点が現在はただ「公正に」となつておりまして、この点だけがかわつております。こういうような考え方で行つたらいかがであろうと考えております。
  108. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 この宣誓書に「その綱領が警察職務に優先してそれに従うべきことを要求する団体又は組織に加入せず、ということがありしますが、これは具体的にはどういうことをさされておりますか。
  109. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 これは御承知のように、たとえば秘密結社といわれるようなものにつきまして、これに加盟した以上は鉄の規律であつていかなるものに対するよりもその結社の規律にまず優先して従うというような誓いをする結社がございますが、そういうものに人づてはいけない、こういうことでございます。
  110. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 私も実はあまり勉強していないのでございますが、警察官は政党に入ることは禁止されておるのでありましようか。
  111. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 おりません。
  112. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 そういたしますと、この辺のところは常識的に判断ということになると思いますけれども、政党に入るだけではこの宣誓書に反しないということになりますと、政党の種類によりましてはいろいろなものもあるだろうと思うのでありますが、その政党の種類を御調査なすつてこの宣誓に何しておるとか、何しておらぬとかいうことをあなたが見なさるのであるかどうか、その辺のところをひとつお答え願いたい。し
  113. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 たとえば警察官について申しますならば、警察の規律よりも自分の政党の規律に優先して従わなければならないというような規律をもつておられるのがあるとすれば、そういう政党には入れないということになるわけでありますが、そうでなければどの政党あるいはどの結社に入つてもさしつかえないわけであります。
  114. 佐藤親弘

    ○佐藤(親)委員長代理 ちよつと御相談申し上げます。通告順が西村委員、門司委員、大矢委員床次委員の順になつておるのですが、関連というのでずつとやつてしまうと、通告の先生におしかりを受けますので、関連関係をなるべく短くしていただきたいのであります。
  115. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 先ほどからの御質問に対して私関連でありますから、もう少し時間をいただきたいと思います。  今問題はかなりデリケートな面があると思いますが、こういうことについては現実の面で常識で判断をなさるというのでありましようけれども、もう少し事情を深く御研究なさる必要があるのではないかというように考えます。  それから先ほどから公安委員会の性格とか任免とかにつきまして、西村さんからお尋ねがありました。そこで私も前に一度お尋ねしたのでありますけれども、関連いたしましてさらに念のためにお尋ねをしたいのであります。この警察法案の十条の二項でありますが「委員は、国又は地方公共団体の常勤の職員と兼ねることができない。」こういうことになりますと、常勤でない職員と兼ねることができると思うのであります。このことは今度の非常な変革でありまして、私は原則としてけつこうであろうと思うのでありますが、ただ非常勤の各種の委員会がございます。一例を申し上げますと、選挙管理委員会の委員というものがございますが、こういうものと国家公安委員会あるいは都道府県公安委員会と兼ねるというふうなことは実際問題としてどうかと思うのでありますが、その辺のことについて政府は成案に際しまして、そこまで御研究をなすつたのであるかどうか。なすつておればそれに対する御見解を承りたい、かように存じます。
  116. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 非常勤の職員と兼ねることができるというのは、反面解釈になるわけでございますが、しからばいかなるものと兼ねても実際上それはどうであるか、さしつかえないかというお尋ねでございます。ことに例を引かれまして、選挙管理委員会の委員と兼ねることはどうであるか。これは選挙管理委員会も、何と申しますか、不偏不党、中正に執行する機関でございますから、そういう意味から申しますならば選挙管理委員会の委員と兼ねられることも何ら支障はないと存じまするが、しかし一方は選挙の取締りに当ります。一方は選準を管理いたします。両方が公平中正であるわけで、兼ねてもさしつかえないと存じますけれども、しかしやはり選準の取締り、管理というものは、でざれば別の人がやつた方が望ましい、かように考えております。しかし法律でこれを禁止するほどのこともなかろう。実際は任命をされます際に、都道府県の知事、府県会の議員の良識あるいは国会と総理大臣の良識というものによつて解決せられてしかるべきものだと考えております。
  117. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 この点今の御答弁でわかるのでありますが、これはやはり李下に冠を正さずといいますか、法律を改正することができれば、私はそこまでやつてもらいたいと思います。修正できればしたいと考えておりますことをつけ加えておきます。  最後に、先ほども私は第七条の委員の資格につきましてちよつと触れましたが、「警察又は検察の職務々行う職業的公務員の前歴のない者」このことについて一応御答弁がありましたけれども、その御答弁はあくまで警察官僚ができるのを防ぐとか、警察の非常な官僚化になるのを防ぐというような御答弁であつたように思うのでありますが、どうもその点において私は政府の答弁がしつくりと行かないのであります。私ども解釈では、これを入れたこと、さらにまた現行法公安委員会の制限の基本は、やはり警察という権力を背景として仕事をしておる。それになれておる人、それを防がなければならない。官僚化というよりもやはり権力を行使してそれになれておる人を防がねばならない。従つて権力の非常に強い時代におつた人はなおさら悪い。私が憲兵とか海軍の憲兵関係をやつでおる人か特にお尋ねしたのは、現在の警察官よりも憲兵の方がさらに悪いという意味お尋ねしたのであります。そういう意味から言いますと、ほんとうに民主化された警察というものがあり得るならば、現在でも私はあると思います。従つて終戦後の警察の業務に携わつておる人ならまだよろしいが、戦争前の日本が非常な警察国家であつた時代の警察、あるいは検察の業務に携わつておつた人は絶対にいけないというふうに解釈をして行きたい、かように考えておるのでありますが、その点についてさらに深い御答弁がいただきたい、かように思うのであります。小坂大臣にもこの点ひとつ特に御見解を私は伺つておきたい、かように思います。
  118. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 なるほどおつしやいますように、いわゆる終戦前の権力機関にあつたものは、戦終後の権力機関にあつたものよりも権力を振りまわす習慣がついているから、そういうものは厳に排除しなければならぬが、終戦後の官僚はみな非常に民主化しているからそれはさしつかえないじやないかという御意見だと存じます。一応私は賛意を表しますが、しかし終戦後でありましても、民主化された権力機関でありましても、やはり権力機関の中に入り込んで仕事をしておりますと、民主化された中におきましても、自然にそれになじむということにもなりますから、私は民主化というものは、これは日進月歩進めて行かなければならぬ問題だと考えます。従つて終戦後の警察、検察の職務にあつたものにおきましても、やはり権力になれておるという面から見ますと、そういつた全然なれていない良識を持つた人が管理をされる方が適当であろう、だから終戦後のものにつきましてもやはり排除した方がよろしい、かように考えるのでございます。
  119. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 齋藤国警長官の言われました通りでありまして、私どもといたしましては、民主的管理を保証するという建前からいたしますれば、この方面に対して非常にくろうとであるということよりも、むしろ一般的な良識を代表する人によつて構成する方が適当であろう、こう考えまして第七条のようにしておるわけであります。
  120. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 今私がお尋ねいたしましたのは、終戦後の警察または検察の職務を行う人はさしつかえないとは申しませんが、程度の問題において戦争前のこういう仕事をしておつた人の方がひどいじやないかということを申し上げたのであります。その点について、それはそうだということならば一応けつこうであります。私の関連質問は大体以上で終ります。
  121. 西村力弥

    西村(力)委員 基本規程の問題でございましたが、やはり地方に管区警察局ができる、こういうことになりますと、従来の基本規程はどういうぐあいにかわるか。報告をしなければならぬとか、その関係はどういうぐあいになりますか、ひとつ長官の御答弁を願いたい。
  122. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 現在の国家地方警察におきましては、行政管理はすべて国家公安委員会、その線を通じまして、長官、管区本部長、体調とございますが、そういう線からこの規程が出てをるのでございます。ところが先ほども申しましたように、今度の新警察法になりますと、府県警察は自治体繁察でございまして、法律に規定をいたしております以外につきましては、何ら指揮監督あるいはその他のことをいたしません。従つて法律に書かれております基準というようなものは別の形式になつて残りますが、そうでないものにつきましては全部削除されます、さように御了承願いたいと思います。
  123. 西村力弥

    西村(力)委員 そういう法律案ができたあと、いろいろ警察に関連する規定なり何なりが整備されると思うのですが、その点に対する研究というものがまだ不十分であると思うのです。これはちよつと話が違うように思いますが、たとえばガソリン譲与税が三十八億ですか、あるいは府県の自由になるというような、道路整備五箇年計画という一貫した国の方針のわく内で行われるということになりますので、検察庁あるいは自治庁においては、具体的計画をもつてつて行かなければならぬのに、その点に対して何らの詳しい計画を持たないでああいうぐあいにやつておるというような点も非常に不満なのでございますが、警察法につきましても、それに伴つていろいろ整備しなければならぬ問題に対する検討が十分に行われて行かなくてはならない。そして万全の遺漏のない研究の結果、提案されなければならないのじやないか。私はその点いささか遺憾に思うのです。  最後に警察官の政治的偏向の問題でございますが、こういう場合があつて、それを処分をするという場合に、これはやはり行政処分以上には出ないということになりますか。
  124. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 これが人権を毀損をし、他の刑罰法に触れるということになりますと刑罰をこうむることになります。
  125. 西村力弥

    西村(力)委員 他の刑法とか何とかに触れなければ行政罰になるということになりますか。その点について大臣にお尋ねしたいのですが、現在教育基本法ですか、あれに、学校は政治的な中立を保たれなければならないという規定があろにもかかわらず、それを体刑をもつて臨むというぐあいに強くやられた。この点は政治的中立な強く希求せられる立場であると思うのですが、それと同様の立場で、警察官が政治的中立を侵した場合は、これは影響するところまことに大きい。先ほど申したようにちよつとした交通違反で呼び出されて行く。日本人全体はまだまだ権力というものにおそれをなしておる。しかも事実上ある程度ひつかけられる罪を犯した場合において、そういうことを言われると、その者はへえ、そうですかとおそれとともにもう引下つて来るに違いない。それほどこういう政治的偏向というものは警察官にとつては重大なものであると思う。そういうことばかりでなく、大きくそれが作用し場合においてわれわれとしてこれほど恐ろしいものはない、こう思われる、そういう場合に警察官の処分行政罰にする意思を持つていないかどうか。行政罰でなくて刑事罰、体刑なら体刑、そういう方面までに強める意思を持つていないかどうか。私たちもは教育の中立性維持というためにあのような体刑まで々もつて臨もうとする政府の方針は、警察の行ぎ過ぎに対する体刑までの決意によつて初めて了解される、それでバランスがとれる、かように思う。その点について小坂国務大臣の答弁をお願いしたい。
  126. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 教育基本法におきまして教育の中立性を堅持しなければならぬということが明記されておるにもかかわらず、教員の政治活動があまりに偏向しておるという実情に基きまして、教育二法案が制定され、国会の御審議を煩わしておることは御承知の通りであります。警察官につきましては、そうした政治的偏向の実情がない。従つてそういうものを考える必要はない、かように考えております。
  127. 西村力弥

    西村(力)委員 実情がないと言つたつて、それはもうないんじやなくて、たくさんある。私が指摘したのはもうほんとうにこまい問題ですが、それは大小にかかわらずたくさんある。しかもあればこれは決定的な一つの人権に対する侵害を来すものでございますので、そうないから必要なしというまでには行かないとなれば、もし具体例があつた場合にはほんとうに刑事罰まで行くかどうか、その予測を持つだけでも、予防措置としてでも、そういう場合にやる意思はないかどうか、そういう点をひとつ御答弁願いたいと思います。
  128. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 教育者の場合は地方公務員法五十二条におきまして職員団体をつくるとなつておる。それからなお教育公務員特例法におきまして、県単位の職員団体をつくるということは許されております。なおその上に憲法に保障する結社の自由ということで、国の単位の日教組というものができておるわけであります。そういう団結をすることが警察官の場合はできないのであります。その団結する教員の力というものが非常に政治的な偏阿な来しておる。これは法律に根拠を持つて出て来ておるわけなんです。警察官の方はそうした団体的な行動ができないのであります。いやしくも団体交渉をするというようなことができない。でありますからそうした偏向というものは現在も起きていないし、また近き将来においてもそういうことが考えられることはないのです。従つてそういう必要はない、こう申し上げておるわけです。
  129. 佐藤親弘

    ○佐藤(親)委員長代理 門司君。
  130. 門司亮

    ○門司委員 それではごく簡単に聞きますから、ひとつ簡単にわかりよく御答弁願いたいと思います。  最初に聞いておきたいと思いますことは、第十六条の警察庁の長官は警察官でございましたね。
  131. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 さようでございます。
  132. 門司亮

    ○門司委員 警察庁の長官が警察官であるということになつて参りますと、もう一つ聞いておきたいと思いますことは、国家公安委員会の長は大臣である。そうしてその警察官であります警察庁の長官を任命するのに総理大臣が任命するようになつておりますが、これはやはり内閣を代表するものであるとするならば、私は総理大臣の任命でなくして国家公安委員会の任命の方が正しいのではないかというように考えますが、どうなのでありますか。
  133. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 それは現在は国家公安委員会が任命をするということになつておりますので、それも現行法の建前といたしまして、これは一つやり方であると考えます。しかしながら政県の政治責任という面を強く考えました場合に、長官の任免を、総理大臣が国家公安委員会意見を聞いて任免をするというのも一方法である。現行法国家公安委員会が総理大臣の意見を聞いて任免をするとなつておりますが、これは政府責任を重く見、そうして長官の人事管理面を正しくすることによつて警察責任の一端を政府が負うという面からいたしますと、この法案の考え方が適当であろう、かように考えて原案を作成いたした次第でございます。
  134. 門司亮

    ○門司委員 その点が私にはわからぬのです。さきから申し上げておりますように、公安委員会委員長は、今度は大臣なのであります。従つてこれは閣僚であることに間違いない。従つて内閣を代表してこれがやつて、任命は総理大臣でなければならないというりくつにはどうしてもならないと思う。同時に日本の今までの行政組織の中では、外局の長であります場合にはあるいは内閣総理大臣が任命することもいいかもしれない。しかし警察庁の長官が警察官であるということになつて参りますならば、これを総理大臣が任命をするということはあまりにも大き過ぎやしないか、どうもほかの庁とのつり合いがとれなさすぎやしないかというようにわれわれは思います。従つて国家公安委員会の長官に大臣がなるのたから、どうしても私はそれでなければぐあいが悪いと思う。ほかにこういう例がありますか。総理大臣がそのまま任命するというものが、……。
  135. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 たとえば調達庁長官はやはり総理大臣が任命いたしております。最高検察庁の検事総長は、これは法務省の所属機関でありますが、法務大臣が任命するのでなくて、内閣が任命するのであります。従つてそういう例はあると思います。
  136. 門司亮

    ○門司委員 これは非常におかしいと思う、なるほど検察庁は行政府に属することは一応わかつております。しかしこれは普通の行政府ではございません。やはり三権分立の建前から身分を保障された一つ行政庁であります。私はこれを必ずしも一般行政庁と同じように考えることは少しこじつけりくつたと考えます。調達庁の長官はなるほど総理大臣が任命しております。しかしこれは担当の国務大臣がおります。長官は大臣ではないのであります。従つてこの場合の警察庁の長官とはおのずから違う。同時に、警察庁の長官は、警察であります限りにおいては、この警察法に規定されておりますすべてのものを守らなければならない立場に置かれておる。われわれはこういうふうに考えて参りますと、どう考えても現職というか、悪い言葉で言えばよろいを着るというか、の警察官が総理大臣の任命であつてはならないと思う。かつての警保局長でも、あれは警察官ではなかつた、警察に対するある程度の指揮命令はするが、しかしこれは背広であつたことに私は間違いないと思う。この点は、警察官である以上は少くとも国家公安委員会という外局の長が、しかも今度は大臣になつておるのでありますから、この外局の行政委員会であります公安委員会がこれを任命するのが私はどこまでも正しいと思う。内閣総理大臣が現職警察官を任命することは少し行き過ぎだと思う。私は今の答弁だけではどうしても承服しがたいのです。
  137. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 これはどちらが正しくてどちらが正しくないかという問題でなくて、この警察運営について政府警察関係、また警察の中立性の関係という点から考えまして、どちらがよろしいかという問題だと考えます。政府といたしましては原案が適当であるというので、かような案を出したわけであります。
  138. 門司亮

    ○門司委員 これがこの警察法の非常に重大なところでありまして、警察官であります限りにおいては、この警察法に規定されておりますすべての職務権限を一人で握つておるわけであります。そういたしますと、これは次田先生の論の中に書いてありますが、この警察庁の長官がクーデターをやろうと思えばやれるのであります。この人はすべての警察官を指揮命令監督する現職警察官としての権限を持つておるわけであります。私はこれは警察庁の長官についてそこまで権限を持たしたのでは、少し持たせ過ぎると思う。この警察法のすべては警察庁長官は守らなければならぬ。現職の警察官なら犯人の逮捕でも何でもやれるでしよう。そういうことの指揮監督もできるでしようが、しかし単に警察行政指揮監督するというのなら背広でたくさんだと思う。警察官である限りは現場に、至るまでやらなければならぬ権限はつきり持つておる。ここに非常に大きな危険性があると思う。だからただいまの齋藤君の答弁のような、どつちでもいいのだというようなことでは済まされないと思うんです。この点はここに出て参つております警察法では、特に重大な条項であります。この条項をこのまま今の答弁で見のがすわけには参りません。これは大臣に一応お聞きいたしておきまするが、私が先ほどから申し上げておりまするようなことで、もし警察庁長官が背広でなくて、単なる行政警察をつかさどる、あるいは企画その他をやるというのではなくて、現職警察官であるということになつて参りますると、先ほどから申し上げておりまするような危険性が必ず出て来る。また可能性があると思う。それに対して大臣はどうお考えになりますか。一応御所見を承りたい。
  139. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 ご意見のほどは承りましたが可能性の問題といたしまして、そうした独裁な警察庁長官ができるかということになりますると、公安委員会という制度がありまして、その点は次田さんの論文には抜けておつたと思いまするが、公安委員会というものの管理に服するという前提での警察庁長官は、いわゆるベリヤのごときことはできぬことになつておる、私どもはそう考えております。
  140. 門司亮

    ○門司委員 これは公安委員会管理のもとにと言いますけれども、この警察法には、こういうことを警察官としてやつてもいいということがちやんと書いてあります。警察官の行動というものは、この警察法に示してあることは全部警察官である以上やれるんですよ。私はこの点に非常に危険性があると思うんです。今の齋藤国警長官の地位というものは、国実地方警察としての一つの限られた範囲においてでありまするけれども、今度の場合は一つ事務局部というようなものでなくなつて来る。現職の警察官がすべてを支配して、警察官としての任務を遂行することになつておりまするので、これは単に公安委員会でこれを束縛しようといたしましても、それは警察庁長官にまかせられた範囲内であるにおいては、公安委員会はいかんともしがたい、こうなりはしませんか。
  141. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 警察官としての職務権限はここに書いてございますが、これはこの条文に示しておりまするように、都道府県警察官はその管轄区域内で原則といたしまして職権が行えるというわけでありまして、そうでない管区、あるいは警察庁警察官は、ふだんにおきましては現行犯の逮捕、これはだれでもできるわけでありますが、それ以外にはできません。従いまして緊急事態の布告がありました場合には、その布告の地域内におきましては、長官も警察官としての職務権限を行使いたしますが、そうでない場合は職務権限の行使は警察官としてはございません。緊急事態の場合、あるいは援助の要求があつて援助に行つた、これも都道府県公安委員会からの要求があつて行つた場合であります。従いましてただいま仰せになるような御心配はないと思います。
  142. 門司亮

    ○門司委員 今の御答弁は警察庁長官としての都道府県警察に対する指示事項というものはここに書いてある。しかし警察官としての任務警察官としての職責もあるわけであります。従つて最上級の警察官でありまする限りにおいては、私は都道府県のすべての警察官というものが、やはりそこから指揮命令されることは当然でありまして、決して限られた地方の自治体の、今日行政警察にひとしいようなものだけが大体限られておる。その他の警察というものはやはり国がこれを握つておることに間違いがないと思う。従つて行政警察の面くらいのものは何も地方の自治体にあるから、それまで権限が及ばないのだ、その辺まで何も権限を及ぼす必要は毛頭ない。私はまつたく大きな立場から言えば、明らかにこの警察法で、警察庁長官も、これを一警察官として行い得る、また指揮命令することができるということになると、これほど危険なものはないとか思う。だから何度も繰返して申し上げるようでありますが、納得が行きませんから申し上げておきますが、もし警察庁長官がこの警察法範囲内において、クーデターをやればやれると思います。そうした場合には、一体国家公安委員会はこれに対してどういう権限を持つておりますか。ただ罷免懲戒の要求をする権限を持つておるだけでしよう。
  143. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 門司委員は前提においてずいぶん誤解をしていらつしやるのじやないかと存じます。警察庁長官としてはこれだけしかできないが、警察官としては何でもできるとおつしやいますが、それは非常な誤解でございまして、この警察庁長官の職務権限として書いてあります事柄以外を、ふだんにおいて警察官として執行ができるという点は一つもございません。現行犯の逮捕、あるいは援助の要求があつて行つて、そこの警察官としてやる場合以外は、これはないのでございます。その点は誤解のないようにお願いいたしたいと思います。
  144. 門司亮

    ○門司委員 私は誤解だと言われると少し聞かなければならぬ。警察官である以上は、警察官としての職務執行してももつともさしつかえないでしよう。警察庁長官としてきめられた部分はあるかもしれない。しかし一方においては警察官としての身分と職権があるわけです。これは同じことでしよう。
  145. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 そこは誤解をしていらつしやいますので、たとえば東京都の警察官は、東京都内において職務権限が行えるのであります。ただ警察官であるからと言つて、どこへ行つて何でもやれるというわけではございません。管区本部の警察官、警察庁警察官というものは、ふだんの管轄区域がありません。従つてふだんは職務権限の行使ができないのであります。  これがどこかの都道府県に所属されて、初めてそこで警察官としてのこういう権限が行使できるのであります。その点は誤解のないようにお願いいたしたいと思います。
  146. 門司亮

    ○門司委員 その点は誤解はしておるかどうかわからぬが、あなたの方で誤解しているんじやないかな。一つ警察官としての任務は、警察官である限りにおいてはあるはずですよ。警察官でないというなら、今のような答弁でいいと思う。限られた指揮命令範囲しかできないのです。それ以上はやれないのだということでいいかもしれない。しかし警察官である限りにおいては、ここに列挙されている範囲内においては、公安委員会のさしずも何も受ける必要は毛頭ない。まかされておる範囲警察官として自由にやれると思う。私はこういう点は何度も押問答をして進めて行くようですが、今の齋藤君の答弁はどうしてものみ込めない。それはそれとして、その次の条項に入りたいと思います。  次は第十七条でありますが、これについては先ほど来北山君から非常にたくさん聞かれておりまして、そうして国家行政組織法の八条との関係その他がかなり聞かれておりますので、きようは私ここに書いてはおりますが、一応これを省略しておきたいと思いますが、あるいはまた答弁でひつかかつて来るかもしれません。  その次に聞いておきたいと思いますことは、第二十一条であります。二十一条の一に「機密に関すること。」と書いてありますが、この「機密」というのは警察庁内の機密であるのか、あるいは犯罪捜査の機密であるのか、その点を明らかにしていただきたいと思います。
  147. 柴田達夫

    柴田(達)政府委員 これは各省庁設置法等にありまする明文でございまして、いわゆる官房事務の中の秘書的な仕事といつたような意味でございます。警察に関する独得のものではございませんし、特に「機密に関すること。」ということはどこにもあるのであります。
  148. 門司亮

    ○門司委員 次に二十二条の警務部の所掌事務のところでもりますが、第二に「警察職員の福利厚生に関すること。」と書いてありますが、この「警察職員」というのは一体どれたけの範囲をさしておるのか、その点をひとつ聞いておきたい。
  149. 柴田達夫

    柴田(達)政府委員 警察職員範囲は、当然警察庁の職員、それから府県職員のうちの国家公務員の者、これが入ります。しかし特別法に基きまして共済組合の仕事でございますとか、そういつたようなことなどにつきましては、府県警察部分についてもそれに関する仕事をする場合が例外としてあり得ると思います。
  150. 門司亮

    ○門司委員 それは実は例外があるだろうと思つて私は聞いてみたのですが、例外があるということになりますと、府県地方公務員であります限りにおいては、地方公務員の福利厚生施設というのは条例でこれをきめなければならぬようになつております。だから条例と競合するような場合がありはしないかと思うから、従つてもしわかつておりますなら、あとでもよろしゆうございますが、福利厚生に関する今の構想を一応知らしておいていただきたいと考えております。  それからその次にあります「警察教養及び監察に関すること。」と書いてありますが、この警察教養というのは、この法律の中にずつとあります各学校をさしておるのでございますか。
  151. 柴田達夫

    柴田(達)政府委員 この「警察教養」は、学校におきまする教養と一般の勤務を通じまする一般教養の両方を含んでおるものでございます。
  152. 門司亮

    ○門司委員 これはちよつとあとさきになりますが、この先をちよつと考えてみますと、三十二条には管医学校があり、それから同時に二十七条には警察大学校がある。それからさらにその次の都道府県警察に参りましても、やはり都道府県警察学校がある。三つの警察学校制度がしかれております。この内容については後ほどお聞きをいたしますが、これらの三つの学校の教養に対して、国警本部の所掌のいわゆる警務部の事務ということになつて参りますと、これらの三つの警察教養に対して何か本みたいなものをお出しになるようなことがあるのですか。いわゆる牧科材料というのはここから出るのですか。
  153. 柴田達夫

    柴田(達)政府委員 今御指摘がありましたような三つの段階においての学校におきまする学校施設の維持管理のほかには、それぞれのそういう学校におきます教義課程の教科目でございますとか、あるいは今御指摘のありましたような牧材の中で、特に地方においてその教科目関係上統括的につくつた方がいい点がありますればこれをつくります。これはけさほどちよつと御質問があつてお答えをいたしましたが、五条の警察教養につきましての統轄意味でございますが、これは中央がこまかいことまで全部やつてしまうという、そういう統轄というつもりはないのでございまして、学校教養に例をとりますと、教科課程をきめるといつたようなことについてはやりますけれども、それに基きまして地方々々においてまた独特の教え方でそれをまた教えて行く、あるいは特別に必要なものを追加して行くということは、もちろん府県警察で自由にやれる余地があるわけであります。
  154. 門司亮

    ○門司委員 私がこのことを聞きましたのは、現在国警本部が教科あるいは教養に名をかりて、というと少し悪いかもしれませんが、かなり強い教科内容を指示しているのじやないかという疑いを実は持つておるわけであります。なるほど本に書いたものは大したことは書いてないようでありますが、個人の意見としては、かなり中央集権的な強い教科内容を持つた教授が行われていると思う。そのことは、地方の自治警察警察官というものが東京の大学にまわつて参りますと、大学は全部国警の仕事になつておるということで、国警の警察官がこれを教育しておる。従つて地方の自治体の機能というものがある程度削減されていやしないか。いわゆる教科的にこれが削減されている危険性がかなりあると思う。この事例をあげろと言えば、私は少し行き過ぎの例をあげられないわけではない。しかしあなた方が書いている、あるいは教科書として出ているものについては大したことは書いてないようではあるが、個人々々の教養の内容については地方の自治体に相当無理がありはしないか、こういうことが強要されやしませんか。
  155. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 ただいまお述べになりまするような危険に陥らないようにと思いまして、警察大学校あるいは管区学校等におきましても、自治体警察からも教養のために講義に来てもらうというようなことも配慮をいたしておるのでありますが、何分国家地方警察の職員は、自然に国家地方警察事柄になれまして自治体警察の実情がよくわからぬということから、今お述べになりましたような、あるいは自治体警察にとつて必ずしも満足な教養でないんじやないだろうかという点をおそれておるのでございますが、しかし今度のような制度になりますれば、警察全体として自治体あるいは国家地方という区別がなくなるわけでありまして、そういう面からはこの教養に携わる職員も、あるいは都市において勤務したもの、また勤務しなくても都市の状況はよくわかるというわけで、教養実施の上にも現在よりもよくなるのじやなかろうか、かように存じております。
  156. 門司亮

    ○門司委員 これは十六条で申し上げましたように、ここにも非常に警察中央集権の危険性が出て来ておると思います。今の話の中にもありましたが、今度は一本になつたということになると自治体警察は忘れられてしまつておる。そうして教養がより以上強くなつて、国家警察的の色杉が非常に強くなつて来て、そうして地方の自治警察としての色彩がだんだん薄らいで来る一つの大きな原因がここにあるということをわれわれは考えなければならぬ。  それからその次に第四号の「警察装備に関すること。」であります。この「警察装備」は、今日より以上これを進められようとするようなお考えがございますか。
  157. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 警察の装備といたしましては、まだ車両が十分でないとかいう点はございまするが、装備自身の、もつと重装備のものとか、そういつた面につきましては、ただいまさような必要はなかろう、かように考えております。種類等は現在のままでよろしい、かように考えております。
  158. 門司亮

    ○門司委員 次の二十二条の三の規定ですが、これにありまする「保安警察」は何を意味するか、一応御説明願つておきたいと思います。
  159. 柴田達夫

    柴田(達)政府委員 現在特別の法律におきまして警察職務にいたしておりますものがございます。これは風俗営業取締法でございますとか、銃砲刀剣類等所持取締令でございますとか、そのほか火薬類取締法、これは全面的に警察だけじやございませんが、維持管理権とかいつたような、一定のものにつきまして危険物と警察として認めているようなものがございます。これらの事柄、これらの諸法規につきましての、いわゆる制度の企画立案ないし法律解釈、こういうことが保安警察のおもなる事項でございます。
  160. 門司亮

    ○門司委員 私がこれを聞いておりますのは、もう一つ先に出てきますからついでにここで聞いておきますが、管区警察局の中に公安部というのが一つ書いてある。いわゆる総務部、公安部、通信部と書いてあります。このことを考えてみますと、前には所掌事務の中には公安という文字はないのであります。そうして管区警察局の中に初めて公安部という文字が現われて来ております。これとこれを総合いたして参りますると、この保安警察というのは、今のお考えのような単なる保安警察ではないんじやないかというようなことが私には考えられるのであります。これはある意味におきまして思想警察意味するものじやありませんか。そういうことを考えているんじやないですか。現在警察署の中に何か公安係というようなのがありますが、あれをこれは意味するのじやないですか。
  161. 柴田達夫

    柴田(達)政府委員 管区警察局の内部組織にだけ公安部の名称があることは、御承知の通りでございますが、これは実は中央警察庁におきましては、官房のほかに四部、警務部、刑事部、警備部、通信部、かようになつておるのでございます。現在管区本部におきましては、中央国家地方警察本部の内部組織と同じ名称で五部制があるわけでございますが、今回は管区警察局の内部組織を、五部制を三部制に改めまして簡素化したい、こういうことから、三部制にいたすわけであります。そのことからこの管区警察局は、いわゆる中央地方出先機関になるわけでございますので、官房警務部という名前にいたしますと、これは片方の方の部の仕事しか管区の方はやらないのだというような誤解を、内部的な問題ですが、受けますし、これを警備部とか刑事部とか一方の名前にいたしますと、一方の仕事しかしないようなふうになりますので、刑事部、警備部と現在は言つているわけでござざいますが、この二部を統合統一いたしまして、一つの部に簡素化するという関係上、そのいずれかの名称にしないで公安部ということにいたしまして、刑事、警備についての第九条の第二項の国の公安、つまり災害、騒乱に関する事務をつかさどる、こういう意味でございます。
  162. 門司亮

    ○門司委員 さつき申し上げましたように、おそらくこれと保安関係との関連性があると、私も最初から考えておつたのでありますが、そういたしますと、これは第五条の二項ですか、ここに書いてありますのは、今の警察内部公安部といつておりますか、公安課といつておりますか、何か思想警察のできそこないのようなものがあるわけですが、ああいうものは一体保安警察の中に属するつもりですか。たとえば集会の届出あるいはデモ行進の相談をするとか、具体的にもう少し言えば、区各政党の動ざ等を、大体思想警察がないものですから、表面だつてこれを昔の特高のようにやるわけには行かないので、やや特高に近い仕事をやつている部局が現実にあるのですが、それはこの警察部に入るのですか。
  163. 柴田達夫

    柴田(達)政府委員 お話の意味は、いわゆる思想警察という意味ではなくて、現在犯罪の鎮圧等いろいろの警備自体に対しまして、事前に情報を予防的な意味において聴取したり、これの鎮圧処理等に当つているところの警察、こういう意味だろうと思いますが、これは警備警察という観念が戦後打立てられておりまして、警備警察として理解されております。これは第二十四条におきまして、警察庁の本部におきましては警備部の所管になつております。それから先ほど指摘の管区警察局におきましては、警察庁の刑事部、警備部の両方の仕事公安部になるわけでございますので、お話の警備警察仕事は、管区警察におきましてては公安部がする、かようなことになります。
  164. 門司亮

    ○門司委員 だんだん組織が明確になつて来たようですが、そうすると二十三条の保安警察というのは、単なる保安警察だけをやるということにはつきり解釈しておいてよろしゆうございますか。そういうものだということに……。
  165. 柴田達夫

    柴田(達)政府委員 二十三号保安警察は、まさしく狭い意味の風俗警察並びに危険物警察といつたような意味の保安警察でございます。これは戦前も保安課というのがございまして、戦後におきましては、むろん特殊の法令は非常に狭くなつて限定されて来ておりますが、保安警察といえばそういうことに理解されておりましたので、ここではわかりやすい保安警察という言葉使いましたけれども、その内容はきわめて限定されております。お話の通であります、
  166. 門司亮

    ○門司委員 そうすると、条文をちよつと飛ばしますが、三十一条の公安部というのは、これとは全然別の、警備その他をこれに兼ね合せたものであつて、現在はいわゆる公安課、そんな名前を使つていると思います。警備課というような名前はおそらく使つていないと思いますが、そこに思想警察の子供みたいなことを現実にやつているわけであります。そういうことは、この管区警察局ではやれるというふうに解釈してさしつかえありませんか。
  167. 柴田達夫

    柴田(達)政府委員 三十一条の管区警察局の公安部は、先ほどお話申し上げましたように、警察庁におきましては、刑事部、警備部の両方の仕事に当るものでありまして、その一部を一部に、出先機関でございますけれども統一したものでございます。従つて先ほど来お話の警備警察に当るものは、管区警察局の中ではこの公安部に入るわけでありますが、二十三条の保安警察というものは、この公安部とい)のとは意味が違います。
  168. 門司亮

    ○門司委員 その次に二十四条について一応お聞きしておきたいと思いますが、二十四条に「警備及び警備警察」と書いてありますがそれは、ただいま承つておりますと、この警備警察の中で、治安関係といいますか、俗に言ういわゆる行政警察以外の治安関係は、ここでやるのだというように解釈してよろしゆうございますか。
  169. 柴田達夫

    柴田(達)政府委員 さようでございます。
  170. 門司亮

    ○門司委員 そういたしますと、その中に含まれておりますものが、先ほどから言つておりますような、例の集会あるいはデモ行進等の現場の調査、いわゆるこれが思想警察としての思想の取締りや何かやる一つの危険性を持つているのでありまして、特高とまでは行かないが、やや特高に近い仕事をしているということは事実であります。たからそれについては、その職務内容をこの際ごく簡単でよろしゆうございますから、一応お聞かせ願いたいと思います。
  171. 山口喜雄

    ○山口(喜)政府委員 警備警察といたしまして、ただいまやつておりますのは、いろいろの社会的な事件が起ります際に、それを制服の部隊で鎮圧するということが一つありますが、しかし事が起りましてから鎮圧に出勤するというのでは非常に手遅れなんです。従いまして、そういう事件になるおそれのある動向について情報を集めるということもやつておるのであります。ここに害いてあります警衛と警備警察という意味は、大体そういうことであります。次の警邏と申しますのは、これはいわゆるパトロール、外勤の関係であります。
  172. 門司亮

    ○門司委員 それは逐条説明で一応聞いている。なぜこの条項をやかましく開くかというと、たとえばメーデーがあると、現実に警察官が労働者の中に入つている。それは顔を知つた諸君がいるからわかるのです。あれなど明らかに皆の特高の行為と見てさしつかえない。これはどこへでも行つてごらんなさい、すぐわかる。メーデー事件などの場合においても、やはりある程度警察官が挑発したとか何とかいわれているけれども、必ずあの中にいる。ことし横浜のメーデーに出たが、やはりいないとは言えないのであつて、顔を知つた諸君が入つている。これは情報なとるということかもしれないが、これが今のように市町村警察である場合には大した影響はないのであります。公安委員会がついておりますし、警察が身近にある関係から大した問題ではありませんが、これが今度のような組織になつで来て、警察官と住民との間に親しみがなくなつて来る。いわゆる警察官というものが、どこからいつ来たのだかわからないような状態になつ  て来るというふうになつて参りますと、この制度はだんだん昔の特高に返つて来ると思う。この危険性は必ずあると私は思う。しかしこの警備警察の内容については、そういうことのないように警察自身で自粛することができますか。現実に私はやつていると思う。
  173. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 新警察法になりましてもやはり警察、たとえば横浜の警察は横浜にあるわけでございまして、住民と非常に密接な連絡を朝夜持つているわけでございます。これを公安委員会管理をしているのでございますから、そういつた御心配は私はないと思つておるのでございます。形の上で何かそういう心配があるのじやないだろうかということのお尋ねでございまするが、むしろこういつた面は国家公安委員会あるいは都道府県公安委員会なり、民主的な管理機関が十分そういつた心配をなくするように役立  つ機関である、かように考えるのでございます。
  174. 門司亮

    ○門司委員 それはとてもできない仕事であつて、今度の警察法ができればこの条項がかなり特高的役割をするであろうということは、一応私には言えるのであります、  その次に聞いておきたいと思いますることは、「第七十条の緊急事態に対処するための計画及びその実施に関ること。と書いてありまするが、これは公安委員会が、この規定からいいますると一応内閣総理大臣なら内閣総理大臣に話をする場合に、大体ものの順序として、内閣総理大臣が単独で、公宏委員会に相談しないで命令をするというようなことは、法律にあつてもそう簡単にできるものではないと考えておるのであります。ここで書いてありますように、緊急事態に対処するための計画及びその実施に関するものということは、すべて警備部でやるということになつて参りますと、警備部の仕事というものはある意味においては今回の刑事警察と、それからそれを除いたその他の行政警察と、それから非常事能に対する警察とを全部、ここで持つてしまうようなことになりはしないかというように私は考えるのであります。従つて警備部の仕事というものは非常に大きな仕事になつて来ると思いますが、この場合の計画及び実施に関するものというものは、どういうものを一体予定されておるのか、一応お聞かせを願つておきたいと思います。
  175. 山口喜雄

    ○山口(喜)政府委員 これは非常事態に備えまして、たとえば警察官の非常召集の方法であるとか、あるいは召集さました警察官の部隊の編成の仕力でありますとか、あるいは活動に必要ないろいろな輸送機関その他の装備の準備計画でありますとか、そういうものであります。そうして警察庁といたしましてはそれらの警備計画につきましての基準等について示すというのが、警備部の仕事であります。
  176. 門司亮

    ○門司委員 それではその次の付属機関でありまするが、この場合の警察大学の問題はちよつと聞きましたが、学校を三つにわけたという理由であります。それは何か特別の理由がありますか、ここにはみんなおのおの書いてあります、たとえば警察大学校は「上級の幹部として必要な教育訓練を行い、警察に関する学術の研修をつかさどる。」こういうふうに書いてあります。また管区本部でありまするか、地方局にはそれぞれそういうことを規定しているようでありますが、この学校を三つに置かなければならないという一つ考え方でありますが、私にどう考えてもこの学校が三つあるということは、これは少しく教養の上で行き過ぎではないか、いわゆる階級制を非常に強くすることのために、こういうものが出て来ているのじやないか、同時にこれは閥をこしらえる危険性を持つていはしないかというように考えられるのであります。たとえば大学を出た者でなければ警部になれないとか、あるいは今の地方の管区学校でありまするが、たとえば管区学校を出た者でなければどこまで昇進ができない、そういうふうな規定をこの中に設けるのですか。
  177. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 三つにわけましたのは、それぞれその教養の内容とそれから入学する生徒の質が違つて参りますから、たとえば都道府県警察では初任教養を中心にいたしまして、巡査、巡査部長等の特殊の一般教養もやりますが、これは非常に数が多いのですから各都道府県にわけて置かなければなりません、管区学校は巡査部長あるいは警部捕になる者の教養をいたすところでごいまして、この数は巡査、巡査部長、ことに初任教養に比べればずつと減ります。それでも大学で警察の最高幹部として必要な教養をいたします人数よりは多いわけでありますから、管区程度にわけて置きませんと、収容人員その他から支障を来すわけであります。警察大学は警部あるいは警視という者を教養するわけでありまして、これを各府県にやらせるといいましても、やらせる職員を各府県にばらまくわけにも参りません。これは事柄の性質上当然こうならざるを得ないのでございます。われわれといたしましては、今日ではできるだけ教養を高めることが、警察の民主化あるいは警察の能率の増進に肝要でありますので、従いまして警部になります者は、これは警部の試験を受けてこれに合格した者が警部になるわけでありますが、その前にできるだけこの試験に合格した者は、まず警察大学で最高の教養を受けるということを原則にいたしているのであります。また警部補の試験に受かるという者は、警部補になる前にできるだけ管区学校でその教養を受ける、かようにいたしたのであります。
  178. 門司亮

    ○門司委員 これは国家公務員法、地方公務員法のいわゆる研修の資格条件との関係がありますか。
  179. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 そういうものはございません。地方公務員ならばどう、国家公務員ならばどうということはございません。
  180. 門司亮

    ○門司委員 その点ははつきりしませんが、あとでどうせ附則のところで多少出て来るようでありますから、そのとと、もう一応この点を明確にしたいと思います。それはさつき申し上げましたように現在国家公務員地方公務員は試験制度をやつておりますので、試験を受ける者との競合はありはしないかと考えて聞いたのでありますが、ないというなら一応そういうことでこれはおいておきます。  その次に聞いておきたいと思いますことは、皇宮警察のことについて一言だけ聞いておきますが、皇宮警察を特殊の警察として認めなければならない理由がどこかございますか。
  181. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 皇宮警察は主として警護、警備というのが主でございますので、従つて犯罪の捜査とか、そういつた面よりも警備、警衛というものに特に習熟させる必要があるのでございます。これはずつと旧制度の時代から皇宮警察は一般の警察と若干色彩のかわつたものとして置き、また教養もいたしておるのでございます。
  182. 門司亮

    ○門司委員 せつかく警察法を改正するなら、この皇宮警察というような特殊のものをやめて、そしてこれは警視庁なら警視庁にまかせた方がいいじやないか。そうすればこの前の二軍橋事件のような事件が起らなくて済むじやないかというように考えますが、今の御答弁であればそれでいいと思います。  次に聞きたいと思いますことは三十条でありますが、三十条の中に、北海道に管区警察局を置かなかつた理由は一体どういうわけでございますか。
  183. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 北海道は全体として一つの道警察になりますので、ここに管区を置きますことはまつたくの重複をいたしますから、その必要を認めなかつたのであります。
  184. 門司亮

    ○門司委員 私の聞いておりますのは、現在の北海道にもちやんと一つの管区本部が置かれておる。同時に北海の警察一つであるからということでありますが、北海道はその中がずつとたくさんにわかれておりまして、わはり方面警察というものができております。これは御存じの通りであります。従つてこの方面本部というものと、警察庁の管区本部というものは、必ずしも一致したものではないのでないかと私は思います。そういたしまと、北海道にあります本部は、この管区本部の仕事と同じ仕事をする、いわゆる併用してやるというふうに考えてよろしゆうございますか。
  185. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 大体そう理解していただいて間違いがないと思うのでありますが、今日の制度では、北海道は各方面隊が都道府県警察相当するものになつておりまして、その上に管区本部があるわけであります。ところが今度の制度によりますと、北海道警察というものが一つになりまして、ちようど府県に匹敵する警察になるわけでございます。ただその一つ府県警察相当いたします組織ではありまするが、しかし地域があまりに広うございますから、方面本部を北海道道本部の下部組織として設けるという趣旨にいたしましたのであります。実際の働きは現在の管区本部、方面本部というものが、今度の新しい機構では一つなつたと考えていただいて大して間違いがないと思います。
  186. 門司亮

    ○門司委員 そういたしますとこれは組織の上でまずいのではありませんか。北海道は自治警察だとおつしやるのでありますが、自治警察と、国家警察の下部組織である管区本部といいますか管区警察局と併用してやるということになりますと、ここで初めて国家警察地方警察一つになる、こういうことになりはしませんか。
  187. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 そうではありませんで、北海道は今度は道全体として一つ自治体警察になつてしまいますから、現在は各方面隊がそれぞれわかれた警察であるために、その連絡をはかるために管区がありますが、その組織を御破算にしてしまいまして、北海道全体が一つ自治体警察ということになるわけであります。従つて管区本部というようなそういう役割をするものは、北海道ではいらない、北海道の道警察はこの警察庁のやる仕事関係いたしましては警察庁の直属になる、かようなわけであります。
  188. 門司亮

    ○門司委員 それが私はよくわかりません。国家警察地方警察のけじめをつけようとするのには、その点をやはりはつきりさせなければいかぬ。地方警察の中に、国家警察の管区本部と同じような仕事をさせるというのは混乱して来るでしよう。この点をもう少しあなたの方ではつきりしておいてもらいたいと思う。もしこの管区警察局を置くとするならば、北海道にも置くべきである。そしてやはり国の警察庁の出先機関としての仕事をこれにやらすべきである。おのずから命令系統というものは違う方がよいのではないかと私は思う。同時に北海道に対しては通信事務だけであるというようなことがここに書いてありますが、やはり方面における仕事を別々にさせておくべきである。こういうべきである。こういう点から考えると、どうしてもこういう警察庁の出先と地方の自治警察一つにするというようなことは、やはり国家警察のしつぽがこんなところに出ておるのもはないかと私は思う。これは地方警察も自治警察もないではないか、これは国家警察だから一つにしておくのだということになるのではないかと思う。その点はそれでよろしゆうございますが、その次に聞いておきたいと思いますことは管区全体の問題で区あります。  管区全体も実際はいらないのではないかと私は考えておる。こんなものを置いておくからいろいろな問題が起つて来るのである。この間も同僚の大石さんから、姥捨山という言葉で大分攻撃されておつたようでありますが、まつたくその通りだと思う。少くともこの管区本部を置いてここで各都道府県警察指揮監督するということ、それから同時に三十条を見て参りますと、これはまつたく五条にあります所掌事務をそのまま受継いでおるのであります。どこが違つておるかと言えば、わずかに「警察の装備に関すること。」「皇宮警察に関すること。」「警察に関する諸制度の企画及び調査に関すること。」が除かれておるだけであつて、あとは本部の仕事をそのまままる写しにしておる。これはまつたくの一つの出先機関である。     〔佐藤(親)委員長代理退席、委員長着席〕 従つて地方の道府県警察というものは、一方において警察庁の長官がこれだけの所掌事務について指揮監督し、同時にその下にはさらに管区の局長がまた同じことを指揮監督することになつておる。これは明らかに組織の上の二重制度であつて、こういうものはおやめになつたらどうかと考えるのだが、これをどうしても置かなければならない理由が何かございますか。
  189. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 たびたび申し上げておりますように、今日の犯罪は非常に広域にまたがつておりますので、従つて犯罪情報の交換にいたしましても、あるいは犯罪が発生いたしました場合の連絡にいたしましても、非常に緊密に府県区域を越えていたさなければならないのでございます。また前大臣もたびたび申しておられますように、同時多発の大きな事件が方々に起るという場合におきましては、どうしてもこういう管区程度の範囲を常時見て行くという機関がありませんと、時宜に適した方策がとれませんので、さような意味からどうしてもこの管区が必要である、かように考えておるのでございます。
  190. 門司亮

    ○門司委員 これは討論するわけじやないのでありますが、この警察管区というものは、実際問題からいえば今の警察制度ではいらぬのです。この警察管区本部を考えられた、警察法をこしらえた当時の状況というものは、今のように保安隊があつたり、自衛隊があつたりしなかつたのであります。日本の治安をどう保つかということで、これを単に一つ地方の自治警察あるいは国家地方警察だけにまかせておいたのでは、いろいろな騒擾、内乱があつた場合に困るだろう、その場合にはやはり管区本部というものがあつて、ここに少数の警察官を養成しておいて国内治安の維持をすることがよいだろうということを最初に考えられた、そのときの遺物なんですよ。今のように警察が充実して来て、そうして同時に一方あんな変なものをこしらえておる以上は、ほんとうに二重の組織であつて何にもならないと思う。かりに横浜でしたら、東京に管区本部を置きましようが、横浜の場合は東京に持つて来てそうしてそれが国警の本部に入るというようなむだなことは私はやめたらいいと思う。ただちに国警本部に入つた方がよいと考える。通信にしても二重の手間がかかつて何にもならない、コードの問題にしても二重にコードを使わなければならない。こういうことはほんとうに警察行政の上ではその必要のないものであつて、昔はこういうものはなかつたはずであります。こういうものはおやめになつた方がよいと思いますが、どうしてもやめられないのは、ただいま申されましたような同時多発的の問題が起るようだかうこういうものを置くということだが、これは昔日本が無防備であつて警察予備隊も何も持つておらなかつた時代に考えられることであつて、今日の時代には何にもならないことであると思いますが、ただそれだけの理由で置かなければならないのか。そのほかに何か非常事態があつたときに役立つというの一か。あるいはもう少しつつ込んで聞くならば、いわゆる警察庁地方における探題というか、目付役のようなものであつて、そうしてこれが――地方自治体警察と申されておりますから一応自治体警察にしておいてよいかもしれませんが、道府県警察指揮監督すると書いてあるから私はその通りだと思いますが、こういうように二重の監督組織になつておるようにわれわれには考えられるが、そういう必要がございますか
  191. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 ただいま仰せになりましたように、緊急事態の際には、最もこの機関を必要とするときになるのでございますが、そういうような緊急事態でありませんでも、その管内の治安の情勢につきまして、各府県から報告を受けたものをまとめて分析する、そして必要な連絡をするということは、今日のように犯罪が非常に広域になつてつておりまする実情におきましては、この機関がありませんと、どうしても円滑な警察実施が困難に相なるのでございます。今日の保安隊あるいは自衛隊というものがないときには必要であつたが、これができるようになつたならば必要がないという仰せでございまするが、これはさようではございませんで、今日の保安隊にいたしましてもあるいは予備隊にいたしましても、騒擾内乱等の場合に警察にかわる機関ではありませんで、警察の力の及ばない際に出動をいたすものでございます。しかもその機能たるや普通警察のやつておるような訓練、装備ではないのでございますから、保安隊や自衛隊ができたからといつて、この管区の果しておりました役割があちらの方に吸収されて必要がなくなる、こういうものではないことを御了解いただきたいと思います。
  192. 門司亮

    ○門司委員 七十一条から七十二条にそういうことが書いてあります。非常事態の場合の管区警察局長の任務を書いております。しかし七十一条の規定を見てみますと、非常事態の場合には、内閣総理大臣が直接警察庁長官を指揮監督することができるようになつておる。これらを考えあわせて参りますと、今の齋藤君の答弁のようなことではないのじやないですか。実際に非常事態の宣言が行われた場合には――この七十一条、七十二条にはあなたの答弁のようなことが確かに書いてはありますが、実際問題としては、この七十一条に、ただちに総理大臣が警察庁長官を指揮監督することができると書いてありまするので、それで事が足りるのではないか。警察庁長官はむろん府県警察本部長指揮監督もやりますが、ここにこういう管区警察局というものがあるものだから……。七十一条あるいは七十二条にそれの任務が少しばかり書いてある。私は、今のような御答弁ではこの必要を実は認めないわけでありまして、これはよけいなものであると考えなければならないと思います。  その次に聞いておきますことは、さつきもちよつと申し上げましたように、北海道の地方警察に通信部を特に置いておるのであります。これは非常に地域が広いから特に通信部が必要だということに大体なると考えておるのでありますが、この場合に「北海道地方警察通信部の位置及び内部組織は、総理府令で定める。」と書いてあります。これは北海道の警察本部が――自治体警察であるということにいたして参りますと、さつきの御答弁のように、管区本部の仕事と同じような仕事を兼ねてやるということになつて参りますと、総理府令で定めるだけでよろしいのかどうか。やはりこれは、北海道の警察本部にそれらの権限をある程度まかせる方がやりよいのではないかというように私は考えるわけでありますが、内部組織その他が全部総理府令で定められて行くということになると、北海道の本部の意見がこの中に入るのか入らぬのか。その点を一応聞いておきたいと思います。
  193. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 通信施設の維持管理は、原則といたしましてすべて警察庁が行うのでございまして、都道府県内の通信施設の維持管理にいたしましても、これは管区の通信部が直接行うのでございます。北海道におきましては管区はございませんが、北海道内の通信施設は警察庁が直接行いますので、さような意味でやはり通信部を置いておく必要があるわけであります。管区がありませんでも、通信施設の維持管理という面から必要でありますためにこれを置くのでございます。
  194. 門司亮

    ○門司委員 あと職員の点でもう少し聞いておきたいことがありますが、非常におそくなつておりますので、ただ一点だけ聞いておきたい思います。  第三十条に「警察庁に置かれる職員の定員は、別に法律で定める。」こう書いてあります。従つて、これは警察庁の職員だけに限られるものというように解釈することがよいと思いますが、その通りでありますか。
  195. 柴田達夫

    柴田(達)政府委員 さようでございます。
  196. 門司亮

    ○門司委員 私もその通りだと考えておりますが、「別に法律で定める。」と書いてある。これはそれほど大きなものですか。ほかのところは、われわれ政令に譲るベきでないと考えているところであつても、総理府令であつたり政令で定めると書いてありますが、ここだけ特に「別に法律で定める。」と書いてあります。これはやはり国家の定員法か何かできめるのですか。
  197. 柴田達夫

    柴田(達)政府委員 お説の通り行政機関定員法のことをこの法律意味しているのでありまして、国の行政機関についての定員は、現在は定員法でみな定めることになつておる。警察庁も国の行政機関として、国家公安委員会に属する総理府の一つの機関でございます。国の行政機関として行政機関定員法の中できめなければならない。現在も国家地方警察本部並びにその付属機関のようなものは、行政機関定員法できめているわけであります。その意味におきまして、これはほかのいろいろな行政機関設置法等にもある通り「別に法律で定める。」ということを書いたただけであります。
  198. 門司亮

    ○門司委員 もう一つ聞いておきたいと思います。この警察庁の中に皇宮警察関係はどの範囲まで入りますか。
  199. 柴田達夫

    柴田(達)政府委員 この警察庁と申しますのは第三章の全部でございまして、いわゆる内部部局と付属機関、地方機関全部を含むものでございまして、皇宮警察本部はその付属機関の一つでございますので、この警察庁の中に入つております。
  200. 門司亮

    ○門司委員 そうすると、皇宮警察官はすべて国家公務員、こう解釈してよろしゆございますか。
  201. 柴田達夫

    柴田(達)政府委員 さようでございます。
  202. 門司亮

    ○門司委員 きようはこの程度でよいです。
  203. 中井一夫

    中井委員長 北山さん。
  204. 北山愛郎

    ○北山委員 先ほど関連質問の申込みをしたのですが、その後ずつと問題が移つてしまいましたが、警察職員の服務に関する宣誓書案というものが出ておるのです。今後新しい警察法ができればこういうような宣誓書を出すのだというようなお話でございますが、それは一体どういうふうな根拠に基いてやられるのであるか。新しい警察法ができれば新しい国家公安委員会がこういうような案をおそらくおつくりになると思うわけで、今この法案を出された政府としてこのような案を出すのは一体どういう根拠に基いていられるのであるか。ただこういうような案になるではないかという想像であればこれは格別ですが、こういう案をぼんぼんぼんぼん出されたのはどういう根拠に基いているのですか。
  205. 柴田達夫

    柴田(達)政府委員 国家公務員なり地方公務員なりは、服務の宣誓の義務をそれぞれ国家公務員法、地方公務員法によつて負うているのでありまして、国家公務員法におきましてはその九十七条に「職員は、人事院規則の定めるところにより、服務の宣誓をしなければならない。」それから地方公務員なるものにつきましては、地方公務員法の三十一条におきまして「職員は、条例の定めるところにより、服務の宣誓をしなければならない。なおこの場合に、国家公安委員につきましては国家公務員法が準用され、あるいは都道府県会安委員については地方公務員法が準用されるということをこの警察法に書いてあるわけでございまして、それぞれによりまして宣誓の義務を負うているわけでございます。従つてこの宣誓文の内容も、その定めるところの国家公務員については人事院規則によりまして、地方公務員につきましてはそれぞれの府県の条例によりまして、それから国家公安委員につきましては、この法案の第十条に基きまして総理府令により、それから都道府県公安委員につきましては四十二条の規定によりまして地方公務員法が準用されますので、これまた条例によりましてそれを根拠として定めることになる次第であります。
  206. 北山愛郎

    ○北山委員 それはわかつておるのですが、そういうものが出てからどういうふうな宣誓書をつくるか。それは条例なり人事院規則できまることであつて、将来こういうふうな宣誓書をお出しになることはどういう根拠で言われるのであるか。それは新しい公安委員会なりそういうものが出てみなければわからないじやないか。不偏不党という言葉を入れるということを言われますけれども、それは何もただ今の考え方だけであつて一つの参考案にすぎない。こういうものをお出しになつて何の意味もなさない。そういうことをお聞きしておる。(「これは出せと言うから出したんじやないか」と呼ぶ者あり)
  207. 柴田達夫

    柴田(達)政府委員 参考までにお配りいたしました宣誓書の案がいかなる根拠であるかというお尋ねであつたかと思います。これは国家公務員につきましては今の人事院規則でぎめることになりますので、人事院規則で国家公務員全部を律しておりますけれども警察の方としましては、国家公安委員会の万は、特に警察法の第三条の精神に従つて、その内容にはこういう宣誓が入つていなければならないという法律があるわけでございますので、その内容のものを入れてもらいたいということを人事院の方に話しまして、人事院規則で定めてもらうというつもりであるところのものを参考までに出すようにというお話がございましたので、まだもちろんそこまで正式に折衝ができているわけじやございませんが、つもりのものを出しました次第でございます。地方におきましては、これはお話の通りそれぞれの府県の条例できめることでございまして、こちらでこれにきめてしまうというわけではございませんので、大体これと大同小異のことにこの法の三条があります限りなると思いますが、これはいわゆる国家公務員についての一つのモデルのつもりのものであるというふうに御解釈いただきたいと思います。
  208. 北山愛郎

    ○北山委員 最初からそういう御答弁があれはそれでいいのです。問題は、草案や腹案どんどんお出しになつて、これがさも将来の宣誓書の案であるかのごとくお話しになるその心構えにあるのではないかと思うのです。先ほど来国務大臣は何かというと、この民主的な保障という点について、これは公安委員会管理しているから、公安委員会公安委員会というようなことを言われる。しかしすでにこういうようなきまつた問題につきましても、正式の正しい答弁としては、これは将来の公安委員会がきめることであつて、内容はこうであろうとか、あるいは条例できめることであろうとか、そういうようなお答えが正しいのであつて、立ちどころにこういう草案を将来はこうするはずでございますなどというような答弁をするところに、将来国家公安委員会を十分に尊重してその管理の下に服するかどうかというところに非常に疑念がある。国家地方警察の基本規程についてもそうなんです。将来の内容がやはり同じようなものになるであろうというようなことを、あつさりと国警長官はお答えになつておる。これは何の根拠に基いてそういうお答えができるのですか。
  209. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 この法律の趣旨はどういう趣旨であるか、そしてこの法律に基いてどういうものが出されることを前提として考えておるかというお問いでございますから、さように答えておるのでございまして、ただいま北山委員のようなお説でありますならば、国家公安委員会委員はまだだれも任命されておりません。従つてどういうように運営するかということを答える者は一人もない、こういうことでございますが、われわれ政府といたしましては、こういうように運営をしてもらいたいと思つておるということをお答えしておるのでございます、すべてについてさようでございますので、一々はお断りしておらぬのあります。
  210. 北山愛郎

    ○北山委員 政府の答弁としてはもう少し厳正にお答えが願いたいのです。先ほどは、将来の基本規程はやはりこんなものになるだろう、特にそれを区分して、都道府県の分についてはかわるであろうけれども、国家の方の警察庁とか国家公安委員会とか、そういう分については大体今のものになるだろうというようなことをあつさり答えるということは、非常に重大なんです。なぜかならば、将来この警察法が施行になつてからこういうものをおつくりになつて、それが問題だとしても、それは委員会として何ら疑問の点はないとして了承されたものとされてしまう。そこで私はその答弁というものは、単なる言葉のやりとりではございませんから、将来の基本になるので、もつと厳密に御答弁を願いたいのです。先どのお答えのようであれば、私は現在の国家地方警察基本規程なるものを第一条からみんな各条をお聞きしなければならぬ、一体第一条はどうなんだ、第二条はどうなんだ、こういうふうに聞いていかなければ心配でしようがない。それで特に現行の国家地方警察基本規定の第二条に「長官は、国家地方警察執行の長とする。長官は、国家地方警察職務の遂行について、国家公安委員会に対して責任を負う。」こういうふうな規定がございます。これは警察法が改正になれば現行と制度が相当つて来るでしようが、問題は将来、このような大ざつぱな規定によつて警察庁長官は国家公安委員会に対して責任を負うなどというような一般的な規定をぽんと置かれて、そうしてあとの執行は全部警察庁長官がどんどんやつてしまうというような基本規程になつてしまうようなことを、今の政府がお考えになつておるかどうかということなんです。第二条について特にお聞きをいたします。
  211. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 今度の新警察法におきましてはそういう点が明瞭に書かれておりますので、従つてただいまおあげになりましたような規定は、おそらく不要になつてしまうだろう、私はかように考えます。
  212. 北山愛郎

    ○北山委員 そうすると先ほどの御答弁はお取消しになるわけですか。今の方の答弁が正しいのであつて、これは将来国家公安委員会なりそういうものができて、その委員会がどういう基本規程をつくるか、それはできてみなければわからぬ。だから先ほど来お話になつたような答弁は取消すということでございますか。
  213. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 取消しというわけではありませんで、たれが考えましても、先ほど申しましたようなこの新しい警察法によつて変更せられた分はおそらく変更されるであろうし、変更されないで残しておいた方がいいというものは残されるでありましよう、かように申し上げたのであります。
  214. 北山愛郎

    ○北山委員 だからだれが考えましてもというのが実は問題なんです。たとえば必ずしも同じじやない。この前に質問したのですが、この基本規程の第十三条のごとき、「長官は、皇宮警察の行う職務について、国家公安委員会委員長を定期的に協議するものとする。」というような規定、これは現行でも問題だと思うのです。現在でもむしろ改正法以上に国家公安委員会の長官に対する権限というものは大きいはずた。ところが現行のもとでも当然国家公安委員会管理のもとに属しておる、指揮監督範囲に属しておる問題について、皇宮警察の行う職務について定期的に協議をするというような、そういう運営の基本規程になつておるということが問題なんで、将来やはりそういうふうなお考え政府国家公安委員会運営がなされると考えて現在の警察法をつくつているかどうか、これが問題なんです。
  215. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 かような規程は、新警察法によりますと不要になる。常時何どきでも公安委員会警察長官を呼びつけて必要なことは聞けるという建前でございます。
  216. 北山愛郎

    ○北山委員 同様に基本規程の第五十六条、「隊長は、その指揮の下にある国家地方警察運営の方針に関して、定期的に、又は要求のあつたときは、都道府県公安委員会に出席するものとする。」というように、これで見ると警察隊長というものは、現在でも府県公安委員会管理のもとにあると思うのですが、そのもとにありながら、この規程で見ると、単に委員会に定期的に、あるいは要求があれば出るような相互関係にあるというふうに見えるのですが、こういうような規程は、将来国家公安委員会の方でのいわゆる基本的な運営の規程としてはなくなる、こう考えていいわけですか。
  217. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 こういうものは、全部都道府県自治体警察になりますから、都道府県の方で必要に応じた規程をつくられると思いますが、われわれの考えといたしましては、こういうような規程を都道府県においても置く必要がないであろう、かように考えます。
  218. 北山愛郎

    ○北山委員 まだ若干あるのでございますが、委員の基本的人権を尊重せよというようなお声も相当あるようでございまして、この委員会としてはまず食事のため暫時休憩するなり、あるいはまだほかに質問者もあるようでございますから、私はきようの質疑はこれで一応終つて、あした続行せられんことを望みますが、委員長いかがですか、
  219. 中井一夫

    中井委員長 大矢省三君。――大矢君にお許しを得たいと思います。実は北山君の御発言は関連ということでございましたが、その時期を私が失しましてああいうふうになりました。あしからずお許しを願います。大矢省三君。
  220. 北山愛郎

    ○北山委員 私の申し上げたことを委員長がお取上げにならなければ、私は先ほど来の問題についての関連の質問をいたします。
  221. 中井一夫

    中井委員長 大矢君、はなはだ相済みませんが、北山さんから関連質問の趣旨をまたあらためて聞きたいということですから、ちよつとお待ち願います。これは関連ですから簡単だと思います。
  222. 北山愛郎

    ○北山委員 簡単に進めているのです。それで第五条と第十六条の関係が将来非常に大事な点だと思うのでお聞きをするのです、が、第十六条のおしまいのところに書いておる「警察庁の所掌事務について、都道府県警察指揮監督する。」という所掌事務に関して指揮監督するというのは、第五条第二項に列挙している事項のうち、先ほどの御答弁によりますと、第二号、第四号、六号、七号、八号、九号、十号、それについては指揮監督であつて、その他の事項について、これは指揮腰掛の範囲外だというようなお話でございましたから、これは問題を明確にするために今の各号を除くそれ以外の事項、第一号、第一号、第五号、十一号、十二号、これだけのものを除くという趣旨をこの十六条の中に明確にする方が適当じやないか。そうでないとこの法文だけを見ると、その点が明らかでない。そういうふうに修正した方が確になるのじやないか、こう思うのでありますが、これについて御答弁いただきたい。
  223. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 この点は、法制局におかれましても先ほど他の政府委員から説明いたしましたように、他の行政組織法等において若いてありまするように、指揮監督するとありましても、その事柄の内容によつて指揮監督のあるものないものが当然あるという解釈でございましたので、このように原案を作成いたしたのでございます。従いまして、法律解釈といたしましてはここに疑念がない、かよりに考えておるのでございます。
  224. 北山愛郎

    ○北山委員 くどいようですが、その解釈というものはやはりいつまでもこの説明者が規定を運用するわけではありません。それで、性質上、この第五条第二項の列挙事項の明文の中でこれは指揮監督の対象にならないというようなものは、もちろん良識で明らかであります。しかしながら、考えようによりましては、第一号の「警察に関する諸制度の企画及び、調査に関すること。」についても、必ずしも指揮監督の対象にならぬとはいえない。なるほど大部分警察庁仕事でございましよう。しかしながら、調査についてこういう資料を提出せよとか、そういうこ[とはやはり命令で出させ得る。あるい、は単に依頼をするという程度の違いがそこに出て来るわけなんです。同様に、ことに第十一号あるいは第十二号という点につきましては、調整といつても全般的な調整基準を与える、それを守らせるか、単に連絡調整範囲にとどまるか、そういうふうな点で非常にこれは重大だと思うのです。単に基準を示して、それを守つてもらおうがもらうまいがそれは自由であるというのと、あるいは、基準を示しい、その基準従つてやることを命令し得ることと、そういう点で非常に違うのであつて、この各条項に掲げられている事柄の表現だけでは、当然良識によつては区別がつかない。そこで私は、今申し上げたように、やはり十六条の中にその点を明らかにした方がよりいいのじやないかと思う。ただいまの解釈で、それが一つの記録に残つてそうなるとは思いますけれども、その方が職務権限というような厳密な問題について、ことに都道府県警察警察庁との関係が問題になつて、問題が非常にデリケートであるという場合には、やはりその点は明文化しておいた方がいいんじやないかと思いますが、重ねてお答えをいただきたい。
  225. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 現在のこの法案で何ら支障がないと考えますが、その方が明らかであるということであれば、さように御修正くださいましても、解釈は同様でございますから、われわれ何ら異存はございません。
  226. 北山愛郎

    ○北山委員 もう一つ府県警察に対する指揮監督でございます。その指揮監督をやつても、この前の御答弁では、都道府県委員会は一応守らなければならぬが、違反してもしようがないんだ、救済手段がないというようなお話だつたのですが、それは命令が法令に違反しない場合には守らなければならぬ義務があるのであるか、あるいはどつちにしたところが、法令範囲内であろうが、あるいは違法のような命令を受ける場合であろうが、都道府県公安委員会は、これを守らなくても救済手段がない、こう考えるべきであるか、そこが非常に微妙でありますから、それを伺いたい。  それから、いわゆる上司ということがございますが、都道府県公安委員’会の上司の警察庁の長官がなるのであるか、いわゆる命令し得る場合があるのでありますから上司になるのであるか。その点なぜお聞きするかといいますと、服務に関する地方公務員法の準用規定かございますが、その中で都道府県公安委員会法令を守つて、しかも上司の命令に従うという義務があるわけであります。その規定と、それから今の都通府県の公県安委員会が長官の命令に服従しないという関係をひとつ御説明を願いたい。  また警察庁長官は都道府県警察に対して指揮監督をし、あるいは命令するという場合においては、府県公安委員会を通ずるのであるから、都道府県警察本部長警察庁長官との関係は直接の上司ではないのかどうか。要するに一番上に警察庁長官があり、その次に公安委員会があり、そうしてその下に、その管理のもとに府県警察本部長があるという関係に立つと思いますので、本部長から見れば警察庁長官は直接の上司ではないのかどうか、その点をあわせてお答えを願います。
  227. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 都道府県公安委員会警察法第五条の適正な指揮監督というものには従う義務がございます。しかしながら、その義務違反の場合に公安委員罷免したり、あるいはこれに強制的に従わせるという手段はこの法律にはございません、かように申し上げておるのであります。  それから上司でございますが、都道府県公安委員会警察庁長官との関係でございますが、警察庁長官はその場合には上司ではございません。それから都道府県警察庁長官長の上司は都道府県公安委員会でありまして、従つて警察庁長官は、都道府県警察本部長から見ましても上司ではございません。別の人格のものでございますから、そこで上司の関係は切れております。ただ緊急事態の布告がありまして警察が統括されました場合には上司になります。
  228. 北山愛郎

    ○北山委員 ただいまのお答えで当然出て来ることだと思うのですが、そうするとあとの方の都道府県警察本部長に対して警察庁長官は直接の上司ではないから、従つて警察庁長官の命令に従うという直接の関係にはない、こういう点はさよう了解していいと思いますが、それで正しいかどうか。それから府県公安委員会警察庁長官の正しい命令には従わなければならぬ義務がある、しかし従わなくても何ともしようがないというようなお話でありますが、そういたしますと、府県公安委員会がそれに従わなかつた場合に、一体たれがこれの責任を問い得るものであるか。その点が非常に明確じやないのですが、たれに対して一体責任を負うものであるか、そういう問題について無責任ではないかと思いますが、それでもいいのですか。
  229. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 前段は御所見通りであります。それから都府県公安委員会が適正な指揮監督に従わないという場合に責任はたれが負うか。警察庁長官なりあるいは公安委員会行政責任を負うかという点でありますならば、これは適正な指揮監督をしておつた限りにおきましては責任は解消されるわけでありますが、しかし命令に従わなかつたについて何らかふだんからのやり方が悪いとかなんとかいう点があれば、これは政治的あるいは道徳的な責任を追究されるでありましよう。また都道府県会安委員会が適正な命令に従わない、そして、府県の事態から見て非常に不適当だというような場合には、公安委員のリコールができますし、またこれまその仕事を怠つたということで、知事が正当に罷免ができると思います。しかし、警察庁長官あるいは公安委員会が知事に対して罷免をせいという、そういう指令はできません。そこらが非常な民主的な保障だと考えております。民主的な保障があります以上は、責任を非常に明確にするということはどうしても困難でございますが、しかしながらお互いの良識によつてこれを運営して行くということは、民主的機関の当然の前提でございますから、その点はあまり御心配にならなくても運営ができるのではないか、かように考えております。
  230. 北山愛郎

    ○北山委員 これは先ほどから門司さんが言われましたのにちよつと関連しているのですが、例の警察庁の内部の部局の所掌事務でありますが、第二十三条及び二十四条、この二十三条は刑事部、二十四条は警備部のやる事務を書いてありますがその中で二十三条の一、刑事警察に関すること。二、犯罪の予防に関するごと。三、保安警察に関すること。この三つあります。それでその次の犯罪鑑識とかあるいはその次の犯罪統計というものは、警察庁都道府県警察に対しても、一つ統轄事務範囲でありますから、これは府県との関係においてはやはり相当統轄するという仕事があると思います。ただ一号、二号、三号の刑事警察、犯罪予防、保安警察という範囲につきましては、一般的には第五条の第二項との関係におきまして、いわゆる統轄なりあるいは指揮監督事項範囲外であるのではないか、こう思うのです。従つてこの五条との関係、特に都道府県警察と関連する事務については、一号、二号、三号の問題は一体第五条のどこに当てはまるのであるか、ちよつとこの関係が疑問でございますからお答えを願いたい。
  231. 柴田達夫

    柴田(達)政府委員 お尋ねの点は、第五条でありますと、この刑事部、警察部、今御指摘事項につきましてはお話の通りでございまして、指揮監督の部面に相当する部面といたしましては、三号の大規模な災害と騒乱に関する部面につきましては、これはもちろんあるわけでございます。それから緊急事態に対処するための計画、実施、それから皇宮警察、この事項はございますが、それ以外に関しましては、諸制度の企画及び調査、国の予算、警察教養、それから第十一号の警察職員勤務活動基準、その他十一号の警察行政に関する調整、この範囲内の事項に限るわけでございまして、そのことを示すために「警察庁の所掌事務に関し、左に掲げる事務をつかさどる。」ということを念のために入れておる次第でございます。
  232. 北山愛郎

    ○北山委員 それで問題は、刑事部てやつておる第一号、第二号、第三号の仕事範囲について、都道府県警察に対しては一体どういう関係に立つか、おそらく指揮監督あるいは統括というような範囲ではないのじやないか。刑事警察、犯罪予防、保安警察の部面は、まあしいて言えば先ほど来問題になつておる第十二号の警察行政に関する調整という範囲に程度を限つた刑事警察、犯罪予防、保安警察というような仕事をやるのではないか、こう思うのですがどうでしよう。ことに今お話があつた国の公安にかかる警察運営及び第七十条の問題は、警備部の方の所管でありますから、それに関する犯罪予防とか刑事警察というようなものは警備部の方に、いわゆる警備警察の方に入つてしまう。それ以外の刑事警察とか、犯罪予防、保安警察というものは都道府県警察との関係においては一体どういう仕事をやるべきものであるか、これは非常に疑問でありますからお答え願いたい。
  233. 柴田達夫

    柴田(達)政府委員 大体お話の通りでございますが、刑事部にだけ限定してのお尋ねのようでありますが、それも第三号までの事柄に限定してのお話のようでございますが、その中の刑事警察に関することにつきましては、大体お話のよう三号の災害、騒乱にかかる事案は警備部に属する場合が多いかと思いますが、それもやはり内容によりましては刑事警察に属する場合があり得るわけでございます。過去の騒擾事件等についても、この間お話が出ましたように、非常に暴力団式のものが、博徒その他の暴力団等が騒ぎましたために、騒擾事件が起つておる例もあるのでございまして、そういつたような集団暴行、破壊といつたようなことにつきましては、これの捜査に関します方針につきまして警察運営について刑事警察という条項によつて刑事部が所管する場合もあるわけでございます。しかし大体お話がございましたように、そういうのはきわめてまれな場合でございますので、御指摘の三号にありますのは、先ほど御説明いたしましたように、いろいろの諸法規関係の企画等がございますが、これは府県警察に直接関係がないというお話でございましたが、やはりその法規の立案にあたりましての統一的な解釈運用等につきまして、これを示すというようなことになつて参りますと、お話にありますような十一号、十二号の事柄がおもななものになるわけでございます。たとえて申しますならば、たびたび申し上げますように、犯罪捜査規範といつたような犯罪捜査警察内部におきますところの基準を定めましたり、あるいは被疑者の留置場の取締り関係につきまして、各府県警察の被疑者の留置というようなものがあまりまちまちになるということは、非常にぐあいの悪いことでございます。最低の規格を示すといつたような意味においての基準を示す場合もございます。それから移動警察実施につきましての基準を示すような場合もございます。それからいろいろの行政協定に基くところの渉外事犯の処理要領というようなものにつきまして中央機関の間において協定ができ上りましたような場合に、これについてやはり一つ基準ないし調整といたしましてそれの準拠すべき一つ基準としてこれを示して連絡調整をはかる、こういう事項が今お話の刑事警察、犯罪の予防、保安警察についてはおもなものになる次第でございます。
  234. 北山愛郎

    ○北山委員 大体わかつたようでございますが、一体連絡調整あるいは今まで行つておる行政整理といつたようなこと、あるいは教育、教養の問題、あるいは基準を示す、いろいろなことを表現されておるようですが、具体的に申し上げますが、これはこの前にもお話申しヒげましたが、現在――現在というより昨年あたりおやりになりました国家地方警察本部の方から各都道府県警察、現在の国家地方警察の方にお出しになりました、たとえば衆議院あるいは参議院の選挙おけにる選挙法違反の犯罪捜査についての相当具体的な指示みたいなものをお出しになつておるわけです。たとえば重要被疑者はこれこれの通りであるから、これを全国一斉に捜査を実施してしつかり検挙に努められたいというような表現を用いておるわけでありますが、警察でいう連絡調整というようなこと、あるいは基準を示すというようなことは、こういうような表現でおやりになるわけでございますか。こういうふうに、今一例をあげましたが、そういう処置をとつてもらいたいとかというようなこと、こういう表現で連絡調整をおやりになるかどうか。それからまた今までおやりになりましたような公職選挙法違反被疑者というものの捜査とかいろいろな選挙関係のことは、この二十三条なりあるいは二十四条各部の中のどこで一体お扱いになるのであるか、これもあわせてお答えが願いたい。それからこういうふうな形式でやるのか、一体指揮命令でなくて、連絡調整一つの形式であるとされるならば、ほんとうの指揮監督に基く命令というのはどういう形態でおやりになるのであるか。普通の役所でございますれば、それは訓令とかいろいろなものもあるでしようが、やはり一つの通牒でお出しになつたり、表現としては今あげた具体的な例の表現でもつて、上級の役所から下級の機関に対して命令あるいは指示というような形式が、今例をあげたようなものであるようであります。もしもこれが一つ基準を示す、あるいは連絡にすぎないのだということになれば、命令というのは相当強いものでなければならない。どういうふうな形式でおやりになつておるのであるか。非常に今後のことが問題でありますので、ちよつと例をあげてお聞きをしたわけであります。
  235. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 これも新しい公安委員会、新しい長官が大体型を……(笑声)たとえば自治庁が知事あるいは市町村長等に出されるような連絡事項、そういうような様式がこの連絡の場合におそらく採用されるであろう、かように考えられます。命令、指揮という場合には、あるいは次のごとくすべしというような命令の用語になるのではないかと思いますが、あるいはせられたしというのでもけつこうだと思います。さよう御承知を願います。
  236. 中井一夫

    中井委員長 大矢省三君。
  237. 大矢省三

    ○大矢委員 私は実は二、三日前から、重複を避けるために答弁なり質問を丁寧に聞いている。ところがそのうちでどうしてもわからぬ点がございますからそれでお聞きするのですが、答弁は簡単でよろしい。  そこでこの説明によりますと、府県公安委員があるから自治体警察だ、しかしながら今の自治体警察はあまりにも地方にとらわれているから今度は国家的性格を帯びなければいかぬというので、任免ということで国家公安委員会の性格を非常に強くして来た。その下に警察庁がある。こういうことであつて、最初の大臣の説明と、ここに現われていることを見まして、あるいは答弁を聞いて非常に違う点がある。そういう事例は先ほど来門司君も尋ねており、今も尋ねておりましたが、この第五条というものは、いわゆる警察庁仕事だ、地方の事情に沿つた自治体というものは、自主的に公安委員が決定したことを公安委員会管理のもとに行うのだ。従つて二つになつておる。いろいろずつと答弁を聞いたり、これを見てみますと、この五条は、大体警察行政調整とか、あるいは職員のいろいろな勤務状態から何かの基準を示す――ほんとうに公安委員がやる仕事は国家的ないわゆる第三号と四号、これだと私は思つている。これだけをやつてあとは単なる指示事項だ。従つてそれを受ける方の府県警察というものは、ただ基準を示す、あるいは指示するだけで、ほんとうの自主性というものはあくまでも地方公安委員会によつて運営される。  そこで繰返すようですが、結局三号と四号がほんとうの公安委員の重要な仕事であつて、あとは直接指示事項だ、基準だ、あくまでも地方公安委員を重要視しているところで、われわれの言うように自治警察は決してそういう国家警察にならないのだということを強く説明された、そういうふうに考えていいかどうか。違うとか、いいとかということを簡単に言つてください。
  238. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 大体お考え通りだと思うのでございますが、都道府県公安委員会都道府県警察事務と申しますか、都道府県管内の警察事務につきましては、その自主性に基いて行うのでございます。ただ第五条に書かれてあります事柄につきましては、たとえばここの三号、四号というような事柄につきましては、警察庁国家公安委員会から指揮監督される。それから六号以下の統括事項については、それぞれ統括すべき事柄について統括の指示がある。十一号、十二号については連絡がある。こういうようにお考えをいただきたい。それがない限りは、三号の事柄につきましても指揮監督がない限りは、自主的におやりになる権限責任は持つておられるのでございます。さよう御了承願います。
  239. 大矢省三

    ○大矢委員 先ほど門司君も尋ねましたが、警察庁内の部局の中に、二十三条、二十四条の中に交通、警邏、保安、犯罪予防、こういうものに対していろいろ指示をされた場合、その地方公安委員で決定した公安条例あるいは警察の意思と違つた場合に、どつちを尊重されるのか。
  240. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 これは現実に都道府県公安委員会できめられた事柄が物を言つて動くわけでございます。
  241. 大矢省三

    ○大矢委員 それではこういうことでございますか、警察庁長官は都道府県警察指揮監督していろいろな命令を出す、指示する、それは公安条例と違う、私は公安委員会管理のもとにやつていると思つている。それだからちよつとこつちと板はさみになる。そういう場合には一体責任を問わぬのかどうか。
  242. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 都道府県警察本部長責任は問いません。
  243. 大矢省三

    ○大矢委員 それから今度はだれが見ても面接総理大臣が任命するとか、監督するとかいうことで国家警察なんだということを非常に心配しておる。そうでないということをいろいろな角度から説明されておりますが、そこで私は具体的に尋ねます。昔の警察は、内務大臣は総理大臣のもとに監督され、警保局長は総理大臣と関係がなかつた。今度のやつは、公安委員会委員長は総理大臣が任命したいわゆる国務大臣になつておる。その下に警察庁の長官は直接また総理大臣が任命するとある。昔よりか強くなつておりますか、弱くなつておりますか。
  244. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 任命形式から申しますと、以前はたとえば警保局長も内閣の任命でございます。内務大臣の任命ではございません。府県警察部長も内閣の任命であります。知事の任命でもありません。内務大臣の任命でもありません。そういう意味から申しますと、前のは地方諸機関も内閣の任命でありますから非常に強かつた、かように考えうるべきではないかと考えます。
  245. 大矢省三

    ○大矢委員 それは事務的にそうあつたかもしれませんが、明らかに公安委員長は国務大臣、それから警察庁長官はまた総理大臣みずから直接にやる。そこで私の言うのは、ほんとうに事務を簡単に処理するという国家的な事務についてかくありたいというならば、むしろ命令系統を明らかにし、責任の所在を明らかにするのだというのだから、そうすると公安委員会委員長は国務大臣であるし、総理大臣から任命されたのだから、その人のもとに任命された方が事務的にもその能率がいい。ただこういうことはどうも私は総理大臣から任命された、同じ任命された警察庁長官、公安委員会委員長は国務大臣だからどつちをきめていいか、これは心持の問題です。私はあれを言うのではない。そこでどうして両方とも任命しなければならぬか、公安委員会管理のもとに行うということになるならば、公安委員会委員長は国務大臣であるし、その管理のもとにあるならなぜ一体総理大臣が任命しなければならぬのか。そこで先ほど長官の任免についてそういうことは非常に複雑ではないか、おかしいではないかということを門司さんが言われた。だから私は今それを二度と聞かぬでよろしい。ただ私は、前の警保局長に比べて政府の意図、総理大臣の意図がもつと強く百反映しているように思うが、いやそうじやない、前の警保局長よりかもつと責任の軽い、そういう警察庁長官だというのか。もつと簡単に言うと、昔よりかかえつて民主的になつているのだというのか。私は、二人になつておるのだから、政府の面接の命令系統が二つあつて、強くなつているように思うが、それはどうですか。
  246. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 その点は、長官が総理大臣から任命されて、そして総理からすべて指揮監督を受けるということであれば、これは非常に強うございます、しかし総理から任命はされるけれども指揮監督公安委員会からされるということでありますから、そういう面からいいますと、総理の権限というものはほとんどなくなつてしまつている、こういう状況でございますから、非常に民主的であると思います。
  247. 大矢省三

    ○大矢委員 私はそれを言いたい。それはそうです。それほどに薄い総理がなせ一体任命しなければならぬか。警察庁長官は管理のもとにあり、しかもその管理をする公安委員長は国務大臣ですから、それのもとでちやんと連絡もとれる。なぜ一体別にしなければならなかつたかということです。
  248. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 私はその薄い程度で総理が監督するということが、政府責任を明確にする場合に若干役立つということで、こういうことになつたと思つております。このために非常に明確になるとは考えませんが、しかしその薄い程度で持つておつた方がよかろう、こう考えております。
  249. 大矢省三

    ○大矢委員 薄い程度だというなら、われわれなるほどと思います。しかし法文で明らかになつたときすなわち、国民というか、第三者がこれを聞いたときに、なるほどこれは強い、時の政府の意図というものが非常に強く反映するというように思うことは無理がない。そこでそれを私が言うのです。実際に管理のもとにあるのだから、そうなる。そんな必要がないものなら、任命しなくてもいい。こういうふうに現われて来ると、一般が見たときに、言うまでもなく法律といものは自分に都合のいい解釈ができるものだから、いくら小坂大臣がこれでいいと説明したつて、そのようになりはしません。一一速記録を見てそのままやるのじやない。必ずそうなる。私は、時の政府の意図が非常に強く警察運営の上に反映して来るということを思うし、どうしてもそのようにしなければならぬということがわからぬから、それを聞いたら、それは結局意見が違うというか、法案の通り説明しようというのだから、何ぼ言つたつていたし方がないので、それは言いません。  そこで次にお聞きしたいことは、三十五条で、「定員は、別に法律で定める。」とありますが、いわゆる警察庁の定員は、幹部から下の者までいろいろありましようが、一体どのくらいの人数の予定なんですか。それと、ついでに聞いておきますが、管区警察局が七つですか、ありますが、それの全体の数です。これを聞くと、仕事の性質がわかつて来ますから……。
  250. 柴田達夫

    柴田(達)政府委員 警察庁の内部部局、いわゆる本庁におります管区警察官、それからほかの附属機関を入れまして、警察官が二百九十二名であります。それからそれ以外の一般職員を加えますと、附属機関等を合計いたしまして千百九名になります。
  251. 大矢省三

    ○大矢委員 管区は幾らですか。
  252. 石井榮三

    ○石井(榮)政府委員 それでは私からかわつてお答えいたします。警察庁の本庁並びにその附属機関、すなわち警察大学校、科学捜査研究所、これらを合せました警察官の今われわれが予定しております新定員は二百九十二名でございまして、一般職員が八百十七名、それを合せますと千百九名になります。それから皇宮警察は、皇宮護衛賞が八百二十二、皇宮警察関係の護衛官以外の一般職員が七十一、合計いたしまして、皇宮警察関係が八百九十三、次に管区警察局でございますが、警察官が六百六十三、一般職員が四千八百八十二、これは通信で人数が非常に多くなつているのであります。従いまして、管区警察局は、今申し上げました警察官と一般職員を合せまして五千五百四十五ということになります。今申し上げました三つを総合計いたしますと、七千五百四十七という数字になります。
  253. 中井一夫

    中井委員長 今の中で通信はどのくらい入つているのですか。
  254. 石井榮三

    ○石井(榮)政府委員 それでは御参考までに通信を申し上げますが、管区警察局の通信は三千八百九十四という数字であります。これは各府県に通信出張所というのがありますが、その職員も合せての総数でございます。これはすベて一般職員でございます。非常にややこしい数字でありますので、先ほど御要望もありましたから、いずれあらためて表にして差上げたいと思います。
  255. 大矢省三

    ○大矢委員 この三十五条の「別に法一律で定める。というのは、何か総理府で定員のことで先ほど必要だと言つたが、それでは今度の改正に伴つて別に出すのですか、出さないのですか。
  256. 石井榮三

    ○石井(榮)政府委員 ただいま申し上げ数字が行政機関職員定員法に新定員として入つて来るもので、ただいま審議されているものであります。
  257. 大矢省三

    ○大矢委員 それはもうすでに出て、通過しておるわけですか。
  258. 石井榮三

    ○石井(榮)政府委員 衆議院の内閣委員会は通過いたしまして、目下参議院の内閣委員会で御審議中と承つております。
  259. 大矢省三

    ○大矢委員 それは今申されましたいろいろの各部で人数が発表されたその数なんですか。
  260. 石井榮三

    ○石井(榮)政府委員 ただいま申し上げました数字が、今審議中の行政機関職員定員法に載つております数であります。
  261. 大矢省三

    ○大矢委員 それからこの間齋藤さんに尋ねたけれども、相談して答弁があるかと思つたがどうもなかつた。私も新しい警察ができるのですから、公安委員はもちろんのこと一切の者がいわゆる新しく出発するんだ、こういうことについて何かあなたから答えられたから、国務大臣と自治庁と相談して答弁してもらいたいと言つたのですが、この国家公安委員は国会の承認を得ている、今度もそうなつているが、七月一日から実施するということですから、議会は閉会中です。そこでまあ国家公安委員の場合は全国を通じて適任者を選ぶのだから、これは私はさしてかわりはないと思うが、それはそれとして私の気になることは、自治体警察も国家警察も御破算にしたのだ、そこで府県公安委員というものは自治体警察が現存しているときの公安委員なんです。これはもう申すまでもないことです。そこで府県全体から見れば最も適任者があるけれども、自治体の公安委員になつているために、府県公安委員にならなかつたという場合に、これは新しく出発するんだから、一切府県で前にとらわれずにやるのか、それともせつかくなつておるので今まで人的関係もいいからそのままにしておくというのか、実際問題としてどう考えられておるか。私がこれを聞くのはなせかと申しますと、どうせ推薦した人だから適任者に違いない、しかし府県と自治体の間にこれだけ問題が起きたんだから、府県に統一された場合に、府県に併呑されて吸収されたという感じが抜けないと思う。また何か知らぬが自治体はもう抹消したような感じになつて来ますから、そこで本当にそうではない、県全体からいい適任者を選んで新しくされる、こういうようになるのか、実際問題としてはそうならぬ、現実の者、現在やつておる人だ、こうなるのか。それは実際問題としてかりにこういう感じを起しちやいかぬから、もし選ぶならばむしろこういう人を選んでもらつたらいいという指示をされる意思があるのか、一切干渉というか、そういうことはしないのか、自主的に地方自治体に一切まかすのか、重要なところですからぜひひとつ大臣から御答弁していただきたい
  262. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 ただいま大矢委員のお考えは、おそらくどの県の知事さんも、あるいは都道府県議会もさようなお考えで臨まれるものであろう、私はかように考えております、
  263. 大矢省三

    ○大矢委員 どうですか、そこまで親切に指示する御意思がありますか。
  264. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 大体国警長官がお答ええいたしましたようなことで尽きると思いますが、指示をするかどうかという点でございますが、指示というところまで立ち至るのもいかがかと思います。大体大矢委員のお考えのようなことを、やはり都道府県においても、知事も現在の公安委員府県会議員も、さようなことを考えまして、最も適任者を選ぶにはどうしたらいいかということを中心に考えられることかと考えております。
  265. 大矢省三

    ○大矢委員 それではこういうことにしていいですか。われわれが自分のかつて解釈ですが、必ず両方とも解散して新しく出発するんだから、そういうことにとらわれずに府県はやるであろう、そしてまた国の方も淡会が閉会中だけれども、そういう気持である、そういうことなんですか。
  266. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 府県議会側の方では、これは国警もやめ町村単位の自治警もやめる、あわせて府県自治体警察が新しく出発するのでありますから、そういう趣旨で公安委員の選任も考えられることと期待しております。それからの国の方は全国的に選びましたものでございますし、現在の任期もあるわけでございますから、この法案の進行状況によりまして、現在の公安委員意見も聞いてみたいと考えております。任期があるからさらにやるという気持がおありのようでありますれば、大体全国的に選んで国会で御承認を得た方でありますから、この点については特に私どもとしては積極的にどうこうという意志を持つておるのではないのであります。
  267. 大矢省三

    ○大矢委員 それから、齋藤さんを前に置いてこういうことはちよつと聞きにくいのですけれども、私は聞きにくいことを聞いておかなければならぬと思う。国警、自治警が解散になつて一つなつた。具体的に言うと、東京都の警視総監も齋藤さんも、これは白紙で行くんだ、適任者であればまた再任することは妨げないのだが、実際には一体どうなるのか、そういう気持であるのか。これは齋藤さんに尋ねるのじやないのですよ。これは今度新しくなるのだから、警視総監も国警の長官であるところの齋藤さんも、新しく出発するのだ、言いかえればサラにするのだ。たとえばこの間も藤田さんがひやかされたのだが、新党をつくる、改進党も自由党も解散するのだ、そのかわり民主的に党首は選ぶんた、こういうことで新しく出発するというのだから警視総監もまた新しく出発するために御破算になつて行くのか、いやもう現状のままで行くのか、これは大臣でないとわかりません。私はこれを聞くのは、ほんとうに真剣に開いておるのは、こういうことなんです。各府県警察長といいますか、本部長といいますか、今のあの人たちは、国警が今まで管理しておつた。ところが今度自治警はみな解散するのだ、そうしてその長である、国警の長である齋藤さんがおつて、必ず人事の問題の相談を受ける。そうするとこれは神様でない人間ですから、しかも正しいことをやつても、よその目から見て、やはり国警は部下を引取つた――今度の部長の任免についてはこういうことをしたということになると、これは今後からだを張つて命がけで治安を守る警察官に心理的に及ぼす影響はきわめて大きくなつて来る。そこでいくら正しくやつても、一方はそうひがんでいるのだ。おれはまつたくたれに見られてもガラス張りでやつたのたと信じてやつても、そういう疑いがある。あることはこつちでいくら説明したつてどうしたつて、取消すことはできないのですから、相手があるのですから、その点でこれはまつたく御破算になつて行くのか、ちやんと新しく出発するとこうことなのか、いやもう現在せつかくあるのだから整理するために当分残ると、こういうのか、これはひとつ大臣から――私は個人がいいとか悪いとか言うのじやない、これはやめさせなければならぬ、そんな気持で言うておるのじやないということを前提にして、そういう一般に大きな人事の上に問題になつておる、残せという、廃止せよという、しかも国警一本でなくちやいかぬと言つておるその感情というものは抜けないのでありますから、きわめて重要な問題でありますから、齋藤さんを前に置いて、齋藤さんをかえろというような気持で言つているように思われると残念ですけれども、どうかその点を……。
  268. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 まことにごもつともな意見であると、私も思います。どういうふうにするかということにつきましては、新しく公安委員も任命されることであります。その新しい公安委員の各位と新しい見地に立つて御相談をしてみたい、こういうふうに考えております。最も適任者を選ぶという気持で、いろいろな行きかがりは抜きにいたしまして、白紙で御相談をしたい、かように考えております。
  269. 大矢省三

    ○大矢委員 まあさいぜんから聞いておると、新しい公安委員、新しい公安委員と言われて、みなそこに逃げ込まれますけれども、心構えだけは聞いておきたい。私はこれ以上聞いても――人事のことでありますから、聞きませんが、そういうことは非常に気をつけてやつてもらわぬと、これは非常に今後警察運営の上と治安に大きな影響があるということを、老婆心かもしらぬが思いますから、その点を申し上げておきます。  あまりおそくなりますからこれをもつて終ります。  私はただちよつと言つておきますが、第三章でまだ少しあるのです。多少もどつても――もどつたよ)に言われますことは、きわめて遺憾ですから、その点を御了承願いまして私の質問を打切ります。
  270. 中井一夫

    中井委員長 了承いたしました。  石村英雄君。
  271. 石村英雄

    ○石村委員 やれと言うならやりますが、私たちは夕飯も済ましていないのです。会期も大分延びたのですから……
  272. 中井一夫

    中井委員長 もしできましたらお進めを願いたいと存じます。石村さんだけ残つておられるのです。従つて今日できるなら石村さんにお願いして、一応第三章まで区切りをつけたいと思います。お疲れとは思いますがどうぞお進め願います。政府委員もお疲れとは思いますが、しばらく国家のためにごしんぼう願いたいと思います。
  273. 石村英雄

    ○石村委員 それではごく簡単にお聞きします。今までずいぶん議論されたことなんですが、今度は警察庁というものは今までの事務部局と違いまして独立の官庁になる。そうして長官は十七条で第五条第二項各号の権限を持つことになる、こういうことになるのですが、これについては国家公安委員会管理に服す、こういう建前になつておるようですが、これは管理に服すというので、国家公安委員会が今後十四条にあるようなことをどうきめるかこれはわからないかもしれませんが、長官は十七条で国家公安委員会意見に反したこともやり得るのではないかと思うのですが、もしやり得るとすると、国家公安委員会意見に反したことをした場合に、国家公安委員会はこれに対する処置はどんな処置を講じ得るものでございましようか。
  274. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 総理大臣に対して懲戒罷免の勧告をいたすことができるのでございます。
  275. 石村英雄

    ○石村委員 懲戒罷免の勧告ということは十六条の三項に書いてあるのでわかるのですが、総理大臣が勧告を聞かなければ国家公安委員会はそのままに引下るか、自分が辞職するか、これ以外には手にない、こういうよりに考えますが、そうなんですか。
  276. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 最後の場合はおしやる通りでありまするが、国家公安委員会懲戒罷免の勧告をいたしましたならば、総理は当然それに従つて懲戒なりあるいは罷免をされることだと考えます。     〔委員長退席、灘尾委員長代理着席〕
  277. 石村英雄

    ○石村委員 それはただそうなるであろうという想像にすぎないわけなんです。だからたいへん偉い総理大臣が国家公安委員会の勧告も聞かなくたつてこれはやむを得ぬということにおちつくのじやないかと思うのです。
  278. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 さような場合に国家公安委員会がおそらく黙つているわけはございますまいし、こういつたいやしくも警察庁長官の任免について、国家公安委員会懲戒罷免の勧告をしたということでございまするならば、普通の小さな事柄とは違いますので、私はさような御心配のような事態はないであろうか、かように思つております。
  279. 石村英雄

    ○石村委員 これが国家公安委員会が長官を任免するのなら、その点は非常にいいわけなんですが、任免しないのですから聞かなければしようがない。問題は起こるでしようが、問題が起つてもいわゆるほほかむりでやつておかれれば、それつきりになるのだということに話は尽きると思います。  そこで、その点は何ですが、長官は国家公安委員会に対して、自分権限としておやりになつたことを、逐一報告をせられる義務があるということが管理に服すということであるのかと思うのですが、またあらかじめ意見を聞いてやるということもあるのではないかと考えますが、いかがでございますか。
  280. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 御所見通りでございます。
  281. 石村英雄

    ○石村委員 ところが今までの国家公安委員会を見ましても、国家公安委員会のやつていることは、たた悪口を言えば茶飲み話、よまやま話でもしたようなことですが、どういうことについては長官はあらかじめ――これも齋藤国警長官が今後長官になられるかなられぬかわからないことなんですが、特に政府としてどういうことについては国家公安委員会意見をあらかじめ聞いて処理すべきことだ、こういうようにお考えになる事項でもありましたらお聞かせ願いたい。
  282. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 これらは官庁を管理せられる人と管理を受ける外局あるいは付属機関の長というものの間には、自然にそういつたことは慣習上きまつておりますので、特にこれこれということを書き出す必要がなくて当然やつて行けるものだ、私はかように考えております。
  283. 石村英雄

    ○石村委員 その点は私はまだ役人をやつた経験がないので、どういう慣習があるのかわからないのですが、そういう慣習があるとすれば大体おわかりになつておると思うのですが、こういうことは慣習上国家公安委員会意見を聞いてやるので、いわゆる独立官庁で権限があるにしても、国家公安委員会意見を聞かなければやれないことだ、それはこういう慣習上のことがあるということでもありましたら、どのようなことがあるのかお聞かせ願いたい。
  284. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 ただいま石村委員がお述べになりましたように、重要な事柄は必ず事前に伺つて、そうしてきめるというのが一般の慣習でございます。
  285. 石村英雄

    ○石村委員 その重要なというのは、だれが判断するわけですか。聞く方の長官が判断してやるわけですか。
  286. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 これは国家公安委員会の判断、長官の判断、両方でございます。
  287. 石村英雄

    ○石村委員 長官が権限としてやることについて聞くのですから、国家公安委員会の判断を聞けというのは、これは十四条で規定が出て来れは別ですが、出ない場合には、これは結局長官の判断によるほかしようがないと思いますが、いかがですか。
  288. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 これこれの重要なことはあらかじめ相談をしてもらいたいということは、公安委員会がみずから言うこともできるわけでありますし、あるいは長官が相談することを忘れてやつた場合に、ああいうことは相談してやつてもらわなければ困る、よくわかりましたというようなことで、うまくやつて行けるものと考えております。
  289. 石村英雄

    ○石村委員 これはあまり聞いても押問答になるからやめますが、都道府県指揮監督する、ここいうことになつておるのですが、これは今までの説明を聞きますと、都道府県公安委員会を通じてやる、こういうようにお聞きしておるのですが、この場合長官は長官名で、または依命通牒というような形で指揮監督をお出しになるのですか。国家公安委員会名で出て行くのですか。
  290. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 長官名で出されるものと考えておきます。
  291. 石村英雄

    ○石村委員 国家公安委員命名で出るような場合は予想されないのですか。
  292. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 ございません。
  293. 石村英雄

    ○石村委員 そうしてこれは必ず地方公安委員会に対してのみであつて地方警察本部部長に対して出るということは法規的にないわけですか、それともただ常識としてそういうことはない、こういう意味ですか。
  294. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 常識と申しますよりは、この法律解釈といたしまして公安委員会に対して指揮監督するというのは当然でございます。
  295. 石村英雄

    ○石村委員 その法律解釈というその解釈せられる法律ですが、これは地方警察地方公安委員会管理するということによる解釈なんですか、それともほかの条項による解釈によつてそういうことが行われるのですか。
  296. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 公安委員会都道府県管理するというのでありますから、その管理している機関に命令書を出すというのは当然であります。
  297. 石村英雄

    ○石村委員 それのみに限られておるわけですか。
  298. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 正式なものはさようでございます。たとえば自治庁長官が都道府県に何かを言われるというときには、これは知事に言われるのが当然でございます。しかしながら軽微な事項につきましては、自治庁長官の補佐機関が知事の補佐機関に事実上連絡する場合はございます。しかし成規なルートといたしましては、大臣からあるいは長官から知事にというのと同じように、今度は警察庁長官から公安委員会に行くのでございます。
  299. 石村英雄

    ○石村委員 正式なところこうおつしやつたのですが、警察庁長官が不正式にそういうことをおやりになることはないでしようか。
  300. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 不正式と申しまするか、事実問題としては補佐機関が補佐機関に連絡するという場合があるということを申し上げるわけでございます。
  301. 石村英雄

    ○石村委員 そうすると長官としてはそんなことはないという意味なんですか、補佐機関という意味はつきりさせていただきたい。
  302. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 さようでございます。
  303. 石村英雄

    ○石村委員 それからさつきの北山君の聞いたことですが、二十三条の刑事部の一号、二号、号の問題、北山君は主として地方警察に対する指揮監督という面で聞いたのですが、この一、二、三に限らず、これは何も地方警察指揮監督に限らず五条の二項の各号によつて行われるのたと思うのですが、たとえばそのうちの一の「刑事警察に関すること。」というのは具体的に五条の二項のどの号とどの号に当るものであるということ、犯罪予防及び保安警察ということについて一々具体的に、単に地方に対する指揮監督という意味ではなしに、職掌としての各号をあげていただきたい。
  304. 柴田達夫

    柴田(達)政府委員 先ほど同じような御質問に対しましてお答えいたしたのでございますが、第五条に当てはめますと、第二項一号の「警察に関する諸制度の企画及び調査」二号の「警察に関する国の予算」それから三号の「左に掲げる事案で」という「警察運営に関すること。」それから六号の「警察教養」、十一号の「警察職員任用勤務及び活動基準」十二号の「警察行政に関する調整」これらでございます。
  305. 石村英雄

    ○石村委員 刑事警察に関することで、やはり教養のこともあるのですが、教養は警務部の三号に「警察教養及び監察」とあるのですが、刑事部もやはり教養を扱うわけですか。
  306. 柴田達夫

    柴田(達)政府委員 一般的に警察教養自体を所管いたしますところは警務部でございますが、その教養個々の問題といたしまして、刑事警察官に対するところの科学的な犯罪捜査の方法というようなことにつきましては、刑事部において所管をいたすことができるわけであります。
  307. 石村英雄

    ○石村委員 それは犯罪の予防に関することについて各号おあげ願いたい。
  308. 柴田達夫

    柴田(達)政府委員 ただいま申し上げましたのは刑事警察、犯罪の予防、保官警察、ほとんど同様のつもりで申し上げましたが、厳密に申しますと、今御説明いたしました各号中で三号の部分がない、かように考えております。
  309. 石村英雄

    ○石村委員 保安警察について……
  310. 柴田達夫

    柴田(達)政府委員 三号の部分だけがないと考えます。
  311. 石村英雄

    ○石村委員 二十四条の「警衛及び警備警察に関すること。」これについてやはり各号。それと二号の「警ら及び交通警察に関すること……」。
  312. 柴田達夫

    柴田(達)政府委員 二十四条の一号の「警衛及び警備警察」でございますが、警備警察に関しましては、第五条の二項の一号、二号、三号、四号、五号、六号、十一号、十二号といつたようなものか入ると思います。そのほか警衛、それから二号の「警ら及び交通警察に関しましては、今の三号、四号五号の分がない、かように考えます。
  313. 西村力弥

    西村(力)委員 ちよつと関連して。先ほど都道府県警察警察庁長官が指揮監督をするということは、正式には都道府県公安委員会に行われる、こういうことでございましたが、その前に北山君の質問に対しては、都道府県公安委員会にとつて警察庁長官は上司でないとういうお話がございました。上司でない者が指揮監督をするということ、上司でない者から指揮監督を受けなければならぬという考え方、二つの答弁は何かそこに齟齬があるように思われてならないのですが、その関係を御説明願いたい。
  314. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 上司と申しますのは、一つの組織体における上と下の関係を現わすために主として申すのでありまして、全然人格の違つた機関と機関の間には上司、下僚という関係はございません。
  315. 西村力弥

    西村(力)委員 そうすれば指揮監督じやなくて、何というか自治庁あたりて都道府県の知事――これはもう地方自治体として何も指揮命令をすることができないから、そごは何というか、勧告的なものだけにとどまつているのが普通なんじやないかと思う。そういう立場であると、これは指揮監督ではなく、その程度にとどまるのが当然ではないか。指揮監督という言葉は、こういう二つの人格のはつきり違うものの関係ではなくて一体的なもの、指揮する、指揮されるという立場にあるものに使われるべきものだと私は思うのですが、これはいかがなものでございましようか。
  316. 柴田達夫

    柴田(達)政府委員 先ほど長官からお答えいたしました通り、上司というのは、一つの組織の中で職務上の上司、こういう場合に使うものであると思います。それで中央の国の組織がまた別の組織に対しまして指揮監督をするという関係は、この上司ということを離れまして、ただその仕事の上においてのさしずをするという意味におきまして使われる場合が多いのでございます。たとえば自治庁が地方の選挙管理委員会に対しまして指揮監督をするといつたように、例は多々たあるものと考えております。
  317. 石村英雄

    ○石村委員 さつき北山君かあげました例の中で、刑事部長名で各府県の隊長に、今まで選挙の取締りなんかの通達を出したのは連絡事項だという御説明だつたと聞きましたが、ああしたものが連絡事項として今後も刑事部長とかいう部長名で地方本部長に対してこの警察法が成立した後においてもやはり出し得るものですか、出されるものですか。
  318. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 連絡事項としては私は出し得るものだと考えます。国家公安委員会なり警察庁長倉がそれが適当であるかどうかという判断はされるでございましようが、法制上は連絡事項としてこういうようにやつた方がよろしいと思うという連絡はできると思います。ことに各府県にまたがつて行われた参議院議員の選挙について被疑者が逃亡している、その被疑者の逃亡手配というものは各府県それぞれやるものでありますが、これが中央において連絡責任に当つてそれをやる場合に、各府県が一斉にやつた方がよろしいというような場合には、これこれが今逃亡中であるから従つて捜査をやられた方がよかろうと思うという連絡は、私はやつてさしつかえないと思います。
  319. 石村英雄

    ○石村委員 さしつかえがあるかないかは別として、この警察法にもあるのですが、国家公安委員会及び各都道府県公安委員会は相互に緊密な連絡をとらなければならない、こういうことがあるのです。そうするとそうしたことはやはり公安委員会公安委員会との連絡になるのが法律上むしろ正当な行き方ではないか、個々刑事部長連絡と称して相当問題が起ることをやりえる危険性が非常にある、その点いかがお考えですか。
  320. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 たとえばそういうような事柄は、各都道府県公安委員会の方々がごらんになつて、ああいうようなことはやつてもらつては困るということであれば、これは差控えると思いますが、今日におきましても各都道府県でいろいろな連絡をしてやります事柄を、抽象的に全国の公安委員会がこういうような事柄については中央に一応報告をまとめ、そこから連絡をしてもらうというような申合せをし、それによつてつているというような事柄もございますので、そこらは都道府県公安委員会の意向を汲み、またその意見によりまして最も適当と思う連絡方法をとることか望ましいのではないか、かように考えております。
  321. 石村英雄

    ○石村委員 私の言うのは、この警察法の法の精神から見て、法にちやんとそういうようなことも書いてあるし、その方が穏当ではないか、危険性かむしろなくて公安委員公と公安委員会連絡としてやるべきか正当ではないかということに対する長官の御意見を聞いたわけなんです。長官はどつちでもいい、地方公安委員会の希望もあろうからというようなお話なんですが、この法律のねらつているところは、やはりそうしたことを防ごうとしておるのではないかと思うのですがいかがですか。
  322. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 たとえば刑事に関する情報連絡というのを各府県どこにもあるというような場合に、一つ府県から全国に連絡する。他の府県も全国に連絡をするというよりは、個々府県中央連絡をして中央から一斉に各府県に出す。その方か敏速であり、正確である。だからそういう連絡方法をとる方がよろしいということであれば、そういう連絡方法をとることは適当であろう、かように申し上げたのであります。
  323. 石村英雄

    ○石村委員 国家公安委員というものは中央委員会なんです。何も長官や警察庁刑事部長に対して連絡をとらなければならないということはないと思います。地方がまた警察庁刑事部長に対して連絡をとらなければ全国的に行きわたらないということはないと思う。やはり国家公安委員会連絡をとれば国家公安委員会としての処理をなさるのたから一向さしつかえないのではないのですか。ただいまの長官の説明では納得が行かないのです。
  324. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 それは事柄の性質によりまして事務的に済むような事柄は、これは刑事部長から府県刑事部長あるいは警察本部長というように、事柄の性質によつて公安委員会かう公安委員会に、あるいは長官から公安委員会にというものもあろうと思うのであります。
  325. 石村英雄

    ○石村委員 事柄の性質ということになりますと、ごく単純なことを何も公安委員会とか何とかやらなくてもいいと思うのですが、とかくそうしたことでいろいろなことがやられるおそれがある。今までの刑事部長通牒というものを、見る人が見れば意見相当に多い。だからその点はよほど注意をしたいという希望を申し上げたわけです。
  326. 門司亮

    ○門司委員 この機会にあしたの準備に頼んでおきたいのだが、それは三十七条を今読んでみますと、柴田君の説明の中で経費についての政会の範囲はいずれ資料で差上げますと言つておるのだが、それを出していただきたい。
  327. 柴田達夫

    柴田(達)政府委員 逐条説明の際に申し上げますと長くなりますので、さように申し上げたのであります。三十七条の八号の特殊の犯罪の捜査に要する経費、これにつきましては資料がございますので、御要求がございますれば、明日でも……。
  328. 門司亮

    ○門司委員 君の方で出すと言つてい、るのだよ。
  329. 柴田達夫

    柴田(達)政府委員 その予定で逐条の際にお配りする予定でおりまして、きようここに持つて来てあるわけであります(
  330. 灘尾弘吉

    灘尾委員長代理 長時間御苦労さまでございました。  本日はこれをもつて散会いたします。     午後十時十五分散会