○大矢
委員 これは
治安の
責任にある木村さんに今度の
警察法の
改正と関連してお聞きをしたい。
治安を
維持するということは、最も重要なことであります。しかしどうして
治安を
維持するか、どうして目的を達成するかというところに私は重点があると思う。それから今度の
警察法の
改正の案と今度の
自衛隊法案を見ておりますと、非常
事態に対して
内閣総理大臣が
命令を発する、それに対して二十日以内に
国会の承認を求めなければならない。もし
国会が閉会中または衆議院が解散中なら
参議院、さらにまた次の
国会において承認を得なければならない。同じような文句を使
つておる。そういたしますと、非常
事態といのは、主として
警察の及ばぬときに初めて出る、こう書いてある。しかしながら非常
事態を発するときの状態というものは、文字
通り非常
事態であ
つて、私の記憶するところでは、国内において
警察力で及ばないときに出たのは、おそらく米騒動、それから東京の大震災のときに
軍隊が出た、この
二つであると思う。そこであのときにどうしても
警察で、あるいはまた
軍隊が出て来ても鎖圧することができなかつた。あの朝鮮人を虐殺したとき――あとから問題にな
つて、今日なおそのことが朝鮮人と
日本人の間の底を流れている遺憾な点があるのでありますが、あのときに
軍隊が出て来ても、どうしても鎮圧かることができなかつた。それがどうして最後にできたかと申しますと、自警団、民衆の間にみずからを信頼する者だけお互いが通ずることによ
つて、初めて
治安が
維持された。私は大阪で見ておりました。
軍隊が出て来たとき、私の家庭には米はありませんぞ、私を撃つなら撃
つてくださいとい
つて、鉄砲を向けてもなかなか退かない。外敵なら別です。
日本の国内の
治安を
維持するというときに、国民の協力なくして
治安は断じて
維持できない。今度の
警察法の
改正は何ですか。ことごとくが中央集権じやないか。時の
総理大臣が
命令権を持たなければ
承知しない。しかも大臣その
通り、あるいはまた府県の本部長その
通り。私は外国のことはよく知りませんけれ
ども、あの解散をやたらにやります。気にいらぬとすぐ解散、ばかやろうと言うと解散、国民が幾ら信頼して選んだ
国会でも、ただちに解散できるようなこんな権限がどこにありますか。それから今の
軍隊をすぐ出す、非常
命令を出すところの、統帥権にひとしいものを、また
警察をあの
吉田さんに持たしたら、何をしますか。きのうですか、
参議院での録音を聞いておつたが、
吉田さん、あなたは気違いですと言われておる。しかもあなたも御
承知の
通り、今決議しているでしよう。この間法務大臣が権限を発動したことは行き過ぎだ、改めよという決議である。それではたして改めるかどうかわからぬ。そういつた常識で考えられぬような総理が出た場合――私は今後出ないとも限らぬと思うが、そんなことでどうしますか。これではたして
地方住民の協力が得られると思うか。しかも大都市の現在持
つている自治体
警察、これはわれわれせつかく親しんで、せつかくここまで苦労してこしらえ上げて来たのであるから、これを置いてほしいというのを、どうしても取上げる。そんな
住民の意思に対して取上げて、
警察に協力することができますか。そうな
つて、協力のないところに
治安の
維持はありません。あなたは武力をも
つてしたら鎮圧できると考えているかしれませんが、同じ
日本人です。それを武力あるいは権力によ
つて鎮圧できると考えることは、これは昔の最も悪いところの権力政治というか、自分たちのやつた悪いことをちやんとたなに上げて、不平があればそれを武力をも
つて弾圧する、こういう物の考え方は、これは昔の土下座しておつた封建時代のことです。それをやろうというのです。私はどうしてもわからぬ。そこで多くを言いませんが、私の聞きたいことは、いかにしたら
住民のほんとうに
治安に対する共同
責任、われわれの郷土はおれらが守る、われわれの国はおれらが守るという、愛国というか、郷土を守るというか、いわゆる
治安維持の共同
責任に立つような態勢をどうしてつくるか、それは今改めた方がつくれるのか。あるいは現在において能率々々と言
つて犯罪を検挙するために、善良な国民がどれだけ犠牲にな
つておるか。能率をやたらに上げることは
住民に迷惑を及ぼし、
住民の基本的な人権を非常に蹂躙した結果において能率が上るということは、かえ
つて無意味ではないか。そのことは別として、
住民の協力を得られるような態勢はどうしたらよいかということ――私は今完全なものとは言いません。しばしば齋藤さんから
説明のあつたように、自治体
警察と
国家警察の二本建、あるいは人事の交流、あるいは
連絡、その他いろいろな点において改める点が、まだ日なお浅いから、あるかもしれませんが、それがあるならば、その欠陥を補うように努力する。どうしたらできるか、もつとほんとうに衝に当
つておる人が、あるいは
地方の
住民あるいは専門家との間において、それをよりよくしようとする努力をせずに、ただ一挙にして
一つの中央集権的にや
つて来て、
命令一下どうでもできるという物の考え方は――ことに小坂さんがこれを担当してやろうというのですが、小坂さんは官僚とは思わない。私は前の法務大臣にもそう言
つたのですが、あなたの手元でやられるということは、お父さんが泣きますよ、こう言つたことがございますが、こういうことを一体どうして考えるか。木村
長官は同じ
治安に対する
責任大臣でありますから、一体どうすれば
住民の協力が得られるか、この点です。いわゆる自治体
警察を廃止して国警一本にして国警も自治警と言えば、それでもよろしいが、あの人的配置から、
命令系統から、こういう非常
事態をただちに
総理大臣がやれるような機構で、はたして
住民の協力を得て
治安がほんとうに守れるかどうか。こういうことについて、これははなはだ抽象的なことかもしれませんけれ
ども、私の問わんとするところは、どうしたら
住民の協力が得られるか、この法を
改正した方がはたして協力が得られるかどうかということを、
治安に
関係のある大臣だから、特にあなたはめつたに来られぬ人ですから、この
機会にひとつお尋ね申し上げたい。