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1954-04-23 第19回国会 衆議院 地方行政委員会 第50号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年四月二十三日(金曜日)     午後二時四十五分開議  出席委員    委員長 中井 一夫君    理事 加藤 精三君 理事 佐藤 親弘君    理事 灘尾 弘吉君 理事 吉田 重延君    理事 鈴木 幹雄君 理事 西村 力弥君    理事 門司  亮君       尾関 義一君    熊谷 憲一君       山本 友一君    床次 徳二君       阿部 五郎君    石村 英雄君       北山 愛郎君    伊瀬幸太郎君       大石ヨシエ君    大矢 省三君       中井徳次郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣 小坂善太郎君         国 務 大 臣 木村篤太郎君  出席政府委員         国家地方警察本         部長官     斎藤  昇君         国家地方警察本         部次長     谷口  寛君         国家地方警察本         部警視長         (総務部長)  柴田 達夫君         自治政務次官  青木  正君         総理府事務官         (自治庁行政部         長)      小林與三次君         保安庁局長         (人事局長)  加藤 陽三君  委員外出席者         参議院議員   石村 幸作君         参議院議員   内村 清次君         専  門  員 有松  昇君         専  門  員 長橋 茂男君     ――――――――――――― 四月二十三日  委員川崎秀二君辞任につき、その補欠として藤  田義光君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 四月二十二日  町村合併促進法の一部を改正する法律案参議  院提出参法第九号) の審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  小委員補欠選任  警察法案内閣提出第三一号)  警察法施行に伴う関係法令整理に関する法  律案内閣提出第三二号)  町村合併促進法の一部を改正する法律案参議  院提出参法第九号)     ―――――――――――――
  2. 中井一夫

    中井委員長 これより会議を開きます。  昨日本委員会に付託されました参議院提出にかかる町村合併促進法の一部を改正する法律案議題として、まずその提案理由説明発議者である参議院議員石村幸作君より承ります。石村幸作君。
  3. 石村幸作

    石村参議院議員 ただいま上程されました町村合併促進法の一部を改正する法律案提案理由説明いたします。  さきに第十六国会におきまして、町村合併促進法が制定され、昨年十月一日をもつて施行になりまして以来、久しくその必要性が叫ばれておりました町村合併の機運は全国的な輿論となつて高まり、各都道府県において続々と町村行併が行われ、本年四月一日に至るまでに減少町村千六十を越え、同日現在の町村数は、八千五百三十七箇町村となつたのであります。これはまことに驚異的な合併の進捗でありまして、明治二十三年以来六十五年間の一年平均減少町村数八十九、終戦後の昭和二十一年から昭和二十八年に至るまで、一年平均減少数に比較いたしますとき、半年間に千町村を越え、まさに二十倍以上の減少率でありますが、これは兆村規模の適正化町村自治確立のため今日の急務であることがあまねく認められているからだけではなく、町村合併促進法が最も時宜に適して制定せられ、劃期的な町村合併促進に役立つた結果にほかならないのでありまして、まことに御同慶にたえないものがあります。しかしながら、この町村合併の大事業も現在はまだ序の口でありまして、人口八千に満たない小規模町村はいまだに六千有余を数え、町村合併促進法に基く政府町村合併基本計画は一割七分を達成したにすぎず、この歴史的な大事業の本格的な実施は今後に控えておるのであります。  さて、この大事業の支柱をなしております町村合併促進法は、その後の実際の運用にかんがみ、第十八国会におきましてその一部の改正を見たのでありますが、さらに町村合併が進展するに伴ない、種々考慮すべき問題が生じ、すみやかにその解決をはかることが今後の町村合併の円滑な実施を期するために緊務と考えられますのでこの法律案を提案いたすものであります。  以下この改正点概略及び理由を条文の順序従つて簡単に御説明申し上げます。  第一に新町村建設計画に定むべき事項の中に土地改良に関する事項を挿入したいと存じます。土地改良事業は特に農村にとつては最も一重要な事業一つでありますが、本法成立当時は土地改良区が主体となつて行うべきものとされており、市町村事業主体となることは認められていなかつたために、合併町村事業計画である新町村建設計画に掲げることとしなかつたのでありますが、その後土地改良法の一部が改正され、市町村土地改良事業実施することが認められることとなつたのであります。従いまして今回本法改正機会に、土地改良に関する事項を新町村建設計画中に掲げるべき事項として明かにすることとした次第であります。第六条及び第二十九条の改正部分がこれであります。  第二は教育委員会及び農業委員会任期及び定数に関する特例についてであります。議会議員につきましては、御承知のごとくすでにその身分及び任期について特例が設けられておるのですが、同じ公選によつて選出せられる教育委員会委員農業委員会委員につきましては、従来この特例が設けられていなかつたのであります。しかしながら町村合併ひとり町村長議会議員のみの問題ではなく、これらの委員身分についても直接影響があり、町村合併促進するためには議員についてと同様の特例を設けることとすることが適当ではないかと考えられるのであります。しかし教育委員会及び農業委員会議会と異なり、執行機関でありますので、その性質上人数はできるだけ本来の定員に近い少人数であることが適当と認められますので、教育委員会委員については合併関係町村の数だけ、農業委員会委員については現行定数の二倍の人数だけを限度として、従前委員の互選によつて委員身分維持できることといたしました。  なおこれに伴ないまして農業委員会につきましては、農業委員会法中に町村廃置分合及び境界変更が行われた場合の規定がありますが、本法との調整上必要がありますので、附則においてこれを一部改正し、町村合併が行われます際には、合併関係町村協議によつて農業委員会を統合して新町村一つ農業委員会を置くことも、または新町村区域を幾つかにわけて各区域ごと地区農業委員会を置くことも、いずれもできるようにいたしました。第九条の二及び第九条の三の規定並びに附則第十一項及び第十二項はこの関係規定であります。  第三は都道府県境界にわたる市町村境界変更に関する特例についてでありまして、町村の一部の区域住民が他の都道府県に属する町村に入りたいというときは、その相手方の町村に対し都道府県知事町村合併に関する意見を聞いた際に、こちら側からそこへ入りたいという意見が提出できるようにいたしました。爾後の手続現行通りであります。第十条の改正規定及び新たに設けられるのは三十七条の二の規定がこの関係規定であります。  第四は、現行規定では、市町村境界変更に関し、住民投票によることができるのは都道府県知事勧告があつた場合において勧告を受けた町村勧告に従わない旨の議決をしたときとなつておりますが、これを改めまして勧告に従わない議決をしたときのみでなく、勧告を受けて四箇月を経過しても何ら議決をしないときにも投票が請求できることといたしたいと考えています。第十一条の改正規定はこの関係であります。  第五は、現行住民投票によつて市町村の分村を行うことができる特例は、町村合併が行われる際にのみ認められているのでありますが、町村合併後においても都道府県知事が必要と認めるときは、町村合併促進審議会審議を経て市町村境界変更に関する勧告を行うことができるようにし、この勧告がなされたときは、現行規定に準じて住民投票によつて市町村境界変更が行われる道を開いたものであります。これにより、一応町村全体として合併をし、合併後にその一部の境界の不合理の是正を行うことができるようになるのでありまして、分村問題のからんでいる町村合併関係住民の意思を尊重しながらスムーズに進めることができるようになるものと存じております。新たに設けられる第十一条の三の規定はこの関係規定であります。  第六の改正点は、一部事務組合及び事務委託に関する特例であります。一部事務組合または事務委託関係にあつた町村は、通常合併により一町村となるのですが、時にはわかれわかれに合併し、またはその一部の町村のみが合併することがありますが、この場合には法律的には組合または事務委託法律関係は解消するものと解されておりますので、その事務引継ぎをめぐつて争いの起ることが少くなく、合併の大きな障害をなしております。それで合併前に関係町村の間でこれらの事務の引継ぎについて協議がつかないときは、一応合併後も引続き組合関係または事務委託関係が継続するものとし、合併によつて消滅した町村法律的な地位は合併町村がそのままの形で引継ぐこととすることが適当と考えております。第十一条の六はこの関係規定であります。  第七は、国民健康保険法特例に関する現行規定を一部改めまして、社団法人で、国民健康保険事業行つているものがあるときは、合併後も引継ぎ従前区域事業を行うことができるものとし、また合併町村でその一部の区域について現行規定により国民健康保険事業行つているものには、その実施区域を逐次拡張して行くことを認め、町村合併に伴う国民健康保険事業の遂行を円滑に行い得るようにしようとするものであります。第十八条の改正規定がこの関係規定であります。  第八は、市の議会議員に関する、日本国有鉄道法特例に関する事項であります。現行国有鉄道法によれば、国鉄職員町村議会議員になることができるが、市の議会議員になることができないこととなつておりますが、町村合併に伴い町が市となり、または市が設置された場合に、現行規定議員任期に関する特例によつて従前町村議会議員がそのまま市の議会議員となる場合には、その任期中に限り、国鉄職員をやめなくてもよいようにいたしたいのであります。第三十五条及び第三十七条第二項の改正部分がこの関係規定であります。  第九は、町村を市へ編入する場合における議会議員任期及び定数に関する特例でありまして、従来市を設置する場合は別として、市への編入についてはこの特例が認められていないのでありますが、編入を受ける市の議会議員従前町村議会議員が市の議員なつたものであるときまたはその市の議員定数現行特例規定適用により増加されたものは、市への編入についても議員任期及び定数特例を認めることが権衡上適当であると考えられるのであります。第三十七条第三項及び第四項がこれに関する規定であります。  第十は、都道府県議会議員選挙区に関する特例についてであります。従前合併促進法適用のある町村合併による郡市の区域変更についてのみ都道府県議会議員選挙区に関する特例が定められてあつたのでありますが、都道府県議会議員選挙区は促進法適用のいかんを問わず、すべての市への編入や町が市となる等郡市の区域変更を生ずるすべての場合に認めることが適当と認められますので、その趣旨改正をいたしたいと存じます、第三十七条の三の規定がこの関係であります。  最後に、今回の各改正趣旨はすでに行われた町村合併についても適用することが適当と認められる事柄が多く、特に先ほど申し上げました町村合併の多くは、三月末日または四月一日現在で行われておる事情にありますので、附則においてできるかぎり遡及適用または準用することとし、法律技術的に遡及できないものについては、同趣旨単独規定を設けることといたしたいと考えております。附則の第二項から第十項まではこの趣旨規定であります。  以上がこの法律案提案理由及びその内容概略であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに本法案成立を見るようお願いいたす次第であります。     ―――――――――――――
  4. 中井一夫

    中井委員長 この際小委員補欠選任についてお諮りいたします。すなわち委員異動に伴い町村合併促進に関する小委員が欠員となつて、おりますので、その補欠選任をいたしたいと思いますが、これは投票手続を省略して、委員長より指名するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 中井一夫

    中井委員長 御異議なしと認め、同小委員に    吉田重延君   鈴木幹雄君    松永  東君を指名いたします。     ―――――――――――――
  6. 中井一夫

    中井委員長 これより警察法案及び警察法施行に伴う関係法令整理に関する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を続行いたします。  なお御参考のために申し上げますが、本日ただいま出席政府委員は、木村国務大臣小坂国務大臣齋藤国警長官谷口国警次長柴田国警総務部長の諸氏であります。  質疑の保留がございましたから、その順序従つて質疑を許可いたします。門司亮君。
  7. 門司亮

    門司委員 保安庁長官にお伺いいたします。  保安庁法警察法関係であります。これはこの機会に私聞いておきませんと、現在の保安庁法自衛隊法はかなりその内容を異にいたしておりますので、必ずしも今日の保安庁法適用がそのままなされるとは私は考えられませんので、警察法審議いたしまする過程において、自衛隊法内容等について警察との関連性を一応長官にお聞きをしておきたいと思うのであります。それは自衛隊法の三条に、いわゆる直接侵略あるいは間接侵略、その他公共秩序維持することのために自衛隊を設置する、こういうように目的が書いてあります。従つてその中の公共秩序でありますが、自衛隊を必要とする公共秩序維持の範囲は大体どのくらいまでにお考えになつておるのか。その点をあらかじめお聞きしておきたいと思います。
  8. 木村篤太郎

    木村国務大臣 お答えいたします。今門司委員仰せになりましたように、自衛隊任務は、今御審議を願つておりますこの自衛隊法第三条に明確に規定してあります。すなわち、「自衛隊は、わが国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、直接侵略及び間接侵略に対しわが国を防衛することを主たる任務とし、必要に応じ、公共秩序維持に当るものとする。」つまり外部からの不当の武力攻撃に対して対処するとともに、国内におけるいわゆる間接侵略、外国からの不当な干渉、教唆によつて起り得べき大きな暴動擾乱等に備えるために設けられておるのであります。要は、日本の国の安全と秩序を守るためであるのでありまして、警察法との関係におきましては、主としていわゆる間接侵略の場合、大きな暴動あるいは反乱でありまして、警察力をもつてしてはとうてい対処し得ないような場合に初めて自衛隊部隊行動として活動することになることを期しておるのであります。
  9. 門司亮

    門司委員 その場合に、この法案を読んでみますと、七十八条と八十一条の関係でありますが、七十八条には、御存じのように、命令による治安出動という面があるのであります。この七十八条の命令による治安出動と、八十一条の要請による治安出動、同じような公共秩序維持するという中にこう二つにわかれております。そこで私どもが考えなければならないと思いますことは、特に警察法との関係では七十八条の規定であります。七十八条の規定は、明らかに内閣総理大臣が必要と認めたときには出動することができる、八十一条は知事要請に基いて出動することができる、こういうように二つにわけられております。問題になりますのは、警察法における治安維持第一線責任者知事であります。県内におきましては、知事の所轄のもとに公安委員会があり、警察――これは自治警察であるか、あるいは国家警察であるか、われわれはいまだに判断はつきませんが、とにかく政府はこれを自治警察と言つている、そういたしますと、自治警察であります限りにおいては、知事はやはり県内における治安責任者であることは聞違いはないが、知事要請をしないうちに、必要がある場合この自衛隊出動するということになつて参りますと、これは少し行過ぎではないかとわれわれは考える。従来日本軍隊がございましたときにも、やはり知事師団長に対して出動命令要請して初めて軍隊出動行つてつたのであります。ところが、今度の自衛隊法を見て参りますと、そういう要請があつてもなくても、警察力が足りないと認めた場合には出動することができると書いてある。そうなつて参りますと、知事の持つております治安責任と、内閣総理大臣の持つておりまする公共秩序維持することのために出て来る場合という問題との間にギヤツプができはしないかと私は考える。従つてその間の連絡協調はどういう形で行われるつもりであるか、そこを一応御説明願いたいと思います。
  10. 木村篤太郎

    木村国務大臣 今お話になりました場合は、私も一応の疑問を抱かれることは当然だろうと考えております。しかし大きな擾乱とか暴動とかが起る場合は、御承知通り、一地方で起る場合もありますが、また多数の県にわたる場合もありまして、その形態が非常に違つて来るのであります。一地方における場合におきましては、むろんその土地責任者でありまする知事判断をして要請するのがもつともであろうと思います。しかし各種の連絡を持つた大きな暴動が起る場合においては、ぜひともこれは総理大臣がそのときの情勢を判断して、出動を可能なりとする場合があろうと考えます。その場合におきましても、御承知通り、八十五条に明確に規定しておるのでありまして、内閣総理大臣は、七十八条第一項または八十一条第二項の規定による出動命令を発するに際しては、長官国家公安委員会との相互の間に緊密な連絡を保たせる、ここで国家公安委員というものが大きくクローズ・アツプされて、これに対していろいろの連絡をとつて行く、調節をはかる、こうわれわれはねらつているのであります。
  11. 門司亮

    門司委員 なるほど法律はそういうふうにできておりますが、私の心配しておりますのは、今長官が言われましたように、警察力ではとうてい間に合わないようなものが、あるいは突発的に、同時に多発的に起るかもしれないということを、これは一応の想像でありますが、私は想像する。ただ問題になつて参りますのは、現行警察法の六十一条の二には、内閣総理大臣指示権を与えております。この内閣総理大臣現行法における指示権というものは、こういう事態が起りそうだというときに、国家公安委員会を通じて、国家地方警察、あるいは都道府県とか市町村警察指示することができるというのであります。この場合、今度の新しい警察法の中にも指示権はございませんし、同時にこの自衛隊法の中にも指示権としないで、直接出動する形が示されていると思う。従つてまず国の秩序維持することのために必要があるとするならば、私はむしろ総理大臣あるいは国家公安委員との相談の上に、一応自衛隊出動の前には、そうした事案が起りそうだ、あるいは起りそうな場合にはこう処置すべきではないかというような現行法指示権というものが、当然やはりここには必要ではなかつたかというようにわれわれは考えられるのであります。今の御説明では八十五条によつて緊密な連絡をとるとなつておりまするが、単に私は緊密な連絡をとるというだけでは、こういう事態に対して対処するということがなかなか困難であるというよりも、むしろ非常に混乱を導くのではないか、少くとも警察力において公共秩序維持することができないというような事案は、たとい突発的に起りましても、あるいは起ろうといたしましても、その前に全然わからないわけではないと私は思う。むしろそれをつかみ得るものは警察だと思う。何も自衛隊がこの辺に事案が起りそうだということを、警察よりも先に知り得るということはあり得ないと思う。やはり第一線警察だと思う。従つてこういう指示権のない、いわゆる指示もしないでいきなり自衛隊が、連絡をとるとはいいながら、出動するというようなことになつて参りますと、私は地方第一線治安責任といいまするか、社会秩序責任に当つておりまする警察官との間に、必ずしも考え方の上においても心理的にも、あまりいい結果はないと考える。従つてこれらのものの発動については、単に今の長官説明だけでは私ども納得しがたいのでありますが、もう少し具体的に、そうした場合には第一線警察官との間には、こういう間違いのないようにして行くのであるというように、ひとつはつきりした御答弁を聞いておきませんと、この場合は非常に困ると思う。それではずつと先の方にありまする――いわゆる自衛隊法をずつと読んでみますと、いろいろのことが書いてある。たとえば警察官職務執行法の第四条の適用が書かれてある。そういたしますと当然出動いたしました自衛隊というものがある程度の警察権を持たなければならないと思う。そういうことになつて参りますと、自衛隊警察との間にやはり職権上の争いがないではございましようが、私どもはないとは限らない、いわゆる捜査その他についていろいろな間違いを起しはしないか、こういうふうに考えるのであります。従つて今の説明だけでなくして、もう少し具体的にひとつ、かりにこの命令出動の場合は自衛隊はどういう行動をするのであるという、その行動の一面をこの際聞かしておいていただきたいと思うのであります。
  12. 木村篤太郎

    木村国務大臣 この自衛隊出動し、行動に移ることは、これは最終的のものであります。われわれとしては自衛隊というものはそうやすやすと動かすべきものではない、動かしてはいけない、この建前は十分とつておるのであります。最終段階において初めて自衛隊というものは出動するものである。できる限りにおいて警察力をもつてすべてを処理して行きたい、しかし警察力ではとうてい対処することができないというような場合においては、これは八十五条の規定によりまして、国家公安委員会との間に十分に連絡をとつてつて行こうということでありまするから、今門司委員仰せになりましたような摩擦その他の点は私らはあり得ない、こう考えております。もちろんお互いに提携をして行くべきである、八十六条の規定を設けたのもまたその趣旨にほかならないのであります。
  13. 門司亮

    門司委員 どうもただそれだけの答弁では、私どうかと思うのでございますがね。それから七十八条の次の七十九条には、明らかに待機命令が書いてあります。これは内閣総理大臣の、現行警察法指示権と同じようなものではないかというように、この警察に関する限りは考えられる。ここで事態の起ろうとする場合には、あらかじめ部隊を待機させておくことができる、その場合は長官内閣総理大臣の承認を得る、とこう書いてある。従つてこの七十九条と七十八条との関係は、七十八条には明らかに命令による治安出動ができる、しかしその前に一応長官事態が緊迫しておる場合には、待機命令を出すことができる、というように書いてあります。ここまで親切に書いてありまする限りにおいては、私はこの条項は不必要ではないか、むしろ先要請による出動一本で間に合うのではないかというように考えられるのであります。これはさつきも申し上げましたように、昔から知事軍隊出動はちやんと要請しておりましたので、やはり今日の場合でも七十九条にそういう用心がこう書いてあります。いきなり出すのではないのだ、場合によつては待機しておるという待機命令ができるのだということがちやんと書いてある、こういうことを考えて参りますると、必ずしも事態というものはそう突発的に起るものではあり得ないのではないか、そう考えて参りますると、この条項は削除しておいた方が、警察官の活動その他の上には精神的にも実際的にもよいのじやないか、あまりにも保安隊が出過ぎではないかというように私には考えられるのであります。従つてこの自衛隊のそうした出過ぎた行動はやはり警察力関係、あるいは警察の士気、さらに警察の運営の上からいえば、こうした出過ぎた条項を削除しておいた方がむしろいいのじやないか、従つて要請出動だけで私は十分間に合うと思うのたが、その点について長官はどうお考えでありますか。
  14. 木村篤太郎

    木村国務大臣 先刻申し上げましたように、地域的に事件が勃発した場合には、その当該管轄の知事要請を主としてわれわれは考えておるのであります。しかしながら今後の事態というものは、必ずしも一地域に限つたわけではない、全国的なものもわれわれは予想して行かなければならぬ。そういうことがあつてはわれわれは不幸でありまするから、そういうことについては十分に考慮を払わなくちやなりませんが、しかしながらかりに万々一にもあつた場合において十分の手当をふだんからしておかないと、国民の生活を危殆に瀕せしめるというような事態も生じますから、ぜひともわれわれといたしましては、独自の判断でもつて出動し得る場合をも規定を設けておく必要があろうと考えて、今申し上げまする通り、その際におきましても、十分に国家公安委員会連絡をとつて、正しき行き方をしたいと念願しておる次第であります。
  15. 門司亮

    門司委員 どうも私にははつきりわからぬのであります。ただ国家公安委員会連絡をとつてやる、こういうことであり、さらに同時に多発的に起つて来る一つの府県の範囲を越えた大きな暴動のような場合には、こういう処置をするのだ、こういう考え方でありますが、そういう考え方でありましても、この七十九条のいわゆる治安出動待機命令という条項がここにありまする限りにおいては、この七十八条の治安出動というものについては、私はやはりどう考えてもこれは行き過ぎだと考える以外にないのである。待機命令を出すということになつて参りますならば、その事前にやはり当該都道府県知事との間には、私は十分に緊密な連絡をとれておつて、そしてなおかつやはり第一線治安というものについてはおそらく都道府県警察力というものもそこに集中されるであろうということは、これはだれでも想像のつくことであり、またいなめない一つの事実だと私は思う。従つて今の大臣の答弁だけで私ども了承するわけには参りません。  この機会にもう一つこのことについて聞いておきたいと思いますことは、第三条に書いてあります「公共秩序維持」というものと、それからここに書いてあります「治安」という文字でありますが、公共秩序は一応公共秩序としてわかります。今日の警察力の範囲というものはあげて公共秩序でございます。従つて公共秩序の中にはいろいろなものが含まれおる。それから治安と一口に申しておりますが、治安というものは何も警察力であつたり、あるいはこれを鎮圧する一つの大きな力だけが治安ではございませんで、やはり国の総合的の大きな政治施策というものが治安のすべてである。言いかえるなら、国の施策自体が国を安泰にするかしないかという一つの大きな問題でありますので、従つてここに「治安出動」というように書いおりますが、これはわれわれの解釈から行きますならば、やはりあくまでも社会秩序維持出動でなければならないかと考えておるのであります。従つてここに書かれております治安という字句は、公共秩序維持するということを意味するのか、あるいはそれより以上の――さつき申し上げました国全体の治安というものは総合的施策であることに間違いはありませんが、この三条の前段に「直接侵略及び間接侵略」と書いてありますが、今までの法律を見てみますと、こういう文字はほとんど使つてなかつた。大体国内の騒擾あるいは動乱という文字を使つておつた。従つて間接侵略」という文字は、ここに書いてあります「治安」という言葉と同じに解釈していいのかどうか。  今度の自衛隊法の文章というのはおかしいのです。今まではこういう直接侵略間接侵略ということは言わなかつた。大体内乱、騒擾という文字が法律的用語として使われておつた。ところが新しいこういう言葉が出て来ると、その範囲がわれわれには考えられない。従つて間接侵略というものはどんなものかということを一応問いたい。私ども間接侵略というのは概念的の言葉であつて、実際的には国内の騒擾であり内乱であると思う。従つて概念的の言葉と実際的の言葉というものとの開きが国民に与える影響というものはかなり私は大きいと思う。この場合の治安というものは、三条に書かれておるものがもう少し明快になつて――百歩譲つてもし必要があるとしても、いわゆる国内の内乱あるいは騒擾というときにこれが出動するというような字句に直すべきではないかというように考えるのでありますが、この点についてはどうお考えになりますか。
  16. 加藤陽三

    加藤政府委員 私から大臣にかわりまして申し上げます。  自衛隊法の第三条にはお示しのごとく「直接侵略及び間接侵略に対しわが国を防衛することを主たる任務とし、必要に応じ、公共秩序維持に当る」、こういうふうに自衛隊任務規定しております。直接侵略及び間接侵略といいますのはなるほど新しい言葉でございますが、これは御承知のごとくわが国と米国との間におきまする安全保障条約の前文におきまして使われておる言葉でございまして、国の防衛という建前から考えます任務規定いたします際には、この安全保障条約に規定しております文句をとりまして、「直接侵略及び間接侵略に対しわが国を防衛する」と書くことが適当であろうというように考えておるのであります。  それから「公共秩序維持に当る」ということでございますが、これはどういうことかといいますと、自衛隊法の各条それぞれのところに書いてあるのでございまして、たとえばちよつとさつきお示しになりました第七十八条とかあるいは第八十条、第八十一条、第八十二条、それぞれの内容をこの「公共秩序維持」という言秩葉で表わしております。「治安維持」という言葉がいかがかというふうなお話もございましたけれども治安維持というのは現在の保安庁法の第六十一条におきまして「命令出動」という規定がございますが、この第六十一条におきまして「内閣総理大臣は、非常事態に際して、治安維持のため特に必要があると認める場合には、保安隊又は警備隊の全部又は一部の出動を命ずることができる。」こういう規定を置いておるのでございまして、今回の第七十八条及び第八十一条はそれぞれこの保安庁法の第六十一条及び先ほど御指摘になりました保安庁法の第六十四条に規定いたしております「要請出動」を受けて、引継いで規定いたしたものでございますので、前と同じような言葉を踏襲いたしまして、治安維持のために特別に必要がある場合に出動するということを規定した次第でございます。
  17. 門司亮

    門司委員 今の加藤君の説明だけではあまりわからぬのです。私の聞いておりますのは、先ほどから申し上げておりますように、治安維持のための出勤というのは間接侵略を受けてこういう字句が使われておるとしか考えられません。これが直接侵略の場合はむしろ治安維持ということよりも国土防衛でありまして、防衛という文句が使われることが正しいと思う。間接侵略の場合にはあくまでこれはやはり「治安の」という言葉に該当するかと思う。しかしその場合の実際的なものはあくまでも内乱であり騒擾でなければならないと思う。侵略と考えることはおかしいと思う。概念的にはそういう言葉を使いますが、国内におけるものの処理の仕方としては、どこまでもここは内乱であり騒擾でなければならないと思う。侵略という言葉を使います場合には、その国のものにあらざるものの一つの外敵行為でありまして、明らかに国土の防衛でなければなりませんし、また国民感情から申しましても私はそういうことが言えると思う。しかし間接侵略の場合には、概念的にはあるいは全体主義者の、たとえば共産党その他の内乱、騒擾を起させるということ自体を、総括的に間接侵略ととなえておるのでありまして、事態は内乱であり騒擾であつて、国内の中において、同胞の中においてそういう騒擾が起るということであり、これを侵略者とみなすというようなものの考え方は、私はこの場合少し行き過ぎではないかと思う。ここで使つて参ります文字は、やはり内乱、騒擾に備えるという書き方がいい。そう書いておいてもらわぬと、警察法との関係が非常にまずくなりはせぬか、警察法にはどこまでも公共秩序維持するということだけしか書かれておらない。しかし警察も内乱、騒擾の場合にはやはりじつと見ておるわけには参りません。こういう概念的の言葉をそのまま法律の上に表わすということは、私は日本治安を確保するというものの考え方の上においては、どこまでも行き過ぎだと考える。従つてもしこの点についての御説明等がございますならば、私はもう一応承つておきたいと思います。
  18. 加藤陽三

    加藤政府委員 門司さんのおつしやることもよくわかるのであります。われわれの考えております間接侵略というのは、一または二以上の外部の国の教唆または干渉によつて引起されますところの大規模な騒擾または内乱ということを考えておるのでございます。これは形の上におきましては内乱または騒擾ということになりますけれども、その裏に外国の侵略の意図というものがあるのでありまして、そういう面から見ますれば、これはあくまでもわが国の防衛である、ただしかしこれを実際処理する形から見ますと、内乱または騒擾でございますので、治安維持というふうなことになろうかと思うのであります。第三条におきましては総合的に「直接侵略及び間接侵略に対しわが国を防御する」という言葉を使つておりますけれども、実際にあたりましてこれを処理する部隊出動の仕方を規定した第七十八条におきましては「間接侵略その他の緊急事態に際して、一般の警察力をもつては、治安維持することができない」というふうに書いたのでございます。一応の御説明を申し上げます。
  19. 門司亮

    門司委員 私はそこをあまり長く議論しようとは考えておりませんので、次の問題に移ろうと考えておりますが、どう考えても警察関係はあくまでも公共秩序維持であります。従つてその中に含まれておりますものはやつぱり内乱もあり騒擾もある。いわゆる国内におけるすべての治安に対して警察はどうしても出て行かなければなりません。いわゆる生命財産を守ろうとすれば、いかなる問題でも国内の問題に対しては警察がやはり第一線任務を承つているということである。従つてわれわれから考えて参りますならば、今の説明だけではどうしても納得が行かぬのでありまして、従つて私の方から説明的に申し上げますと、この七十九条、七十八条の治安出動というものは、いわゆる国内における内乱騒擾ではあるが、しかしそれは警察の持つている公共秩序維持することのための対象より以上に出たものだというように解釈してさしつかえございませんか。
  20. 加藤陽三

    加藤政府委員 私の聞きとりようが少し悪いのかとも思うのでありますが、これはやはり国内における内乱、騒擾等でございまして、これは警察が処理すべきものであることは形の上では間違いないと思います。ただこれが一般の警察力をもつてしては困難であるというふうな場合に――これは程度の問題であろうと思いますが、困難であるというときに自衛隊が出て行く、こういうことになるのでございます。
  21. 門司亮

    門司委員 そうだとすれば私は先ほどから申し上げておりますように、この命令出動というものはいらないと思います。要請出動だけあれば事は足りると思います。第一線警察任務を持つておりますものは、現在の場合は知事でありますので、これは三つにまたがつていようと、三つにまたがつていようと、知事であることに間違いありません。おのおのの知事はおのおのの立場からこれを要請すべきである。また同時に公安委員会自体は横の連絡を当然とらなければなりませんし、これをとらなくてもいいという規定はどこにもない。とらなければならないことになつている。従つて私は要請による治安出動の面だけ、いわゆる八十一条以下があれば、大体の事は足りるのではないかというように考えております。そう申し上げますのは、先ほどから申し上げておりまするように、この関係がございますと、いわゆる都道府県警察の仕事と、それからこの自衛隊の仕事とが、たとえば府県において緊密な連絡をとるとは書いてありますが、しかし府県においては自分の持つておりまする警察力で大体問題の処理ができると考えている場合でも、あるいは悪く考えれば自衛隊が出て来るかもしれない。こうなつて参りますと、やはり府県の警察自衛隊との間に感情的にも必ずしもいいものができて来ない。どこまでも治安第一線責任者警察であり、都道府県知事であるとするならば、この規定は私にはどこまでも行き過ぎだと思う。やはり要請で十分事は足りる。だからもう少しはつきり――それならとういう規模のものかどういうふうに起るであろうということの想定があなた方の方でできておりますか。私はそういう想定はできていないと思いますが、できておつたらお話願いたいと思います。
  22. 木村篤太郎

    木村国務大臣 現在の保安庁法第六十一条におきましても「内閣総理大臣は、非常事態に際して、治安維持のため特に必要があると認める場合には、保安隊又は警備隊の全部又は一部の出動を命ずることができる。」いわゆる命令出動の場合を規定しているのであります。しこうしてこれと同時に第六十四条で、「都道府県知事は、治安維持上、重大な事態につきやむを得ない必要があると認める場合には、当該都道府県公安委員会協議の上、内閣総理大臣に対し保安隊又は警備隊の部隊出動要請することができる。」と書いておりまして、この要請出動の場合を規定しております。今度の自衛隊法におきましてはまさにこの規定趣旨をくんで取入れたわけであります。御承知通り外部からのいわゆる不当武力攻撃に対しては七十六条をもちましていわゆる防衛出動規定してある。今申し上げましたように国内の擾乱あるいは反乱とかいう場合においては、国内のいわゆる治安維持のために治安出動命令をする。大きな事態警察力をもつてはとうてい治安維持することができないと認められる場合には、総理大臣治安出動命令を出すことになつている。このときにおいてもなおかつ国家公安委員会と十分連絡をとつて行くということになつているのであります。都道府県知事要請の場合は、いわゆる地方的の事変勃発の際に、府県知事がその自分の警察力をもつてはとうてい処理することはできぬ、またそういう場合に、至らなくても、自衛隊出動して十分な警察力をもつて治安の処理をすることが適当と認めた場合には、要請出動をやるということになつているのであります。いわゆる三段構えになつているのであります。これをもつて警察と摩擦を生ずるというようなことは毛頭ないとわれわれは考えております。
  23. 門司亮

    門司委員 毛頭警察との摩擦はないというお話でありますが、私は必ずしも摩擦がないとは限らないというように考えています。と同時に、こういう命令出動というようなものがあつては非常に大きな弊害だと思う。かつて日本軍隊にしましても軍隊がかつてに出て来るということはできなかつたはずであります。いわゆる統帥権に属しております軍隊を動員しようとすれば、やはり参謀総長が帷幄奏上の権利とでもいいますか、それを持つていなかつた内閣にはその力はなかつた。ところが今度は内閣がただ公安委員会と相談をすると言つておりまするが、その公安委員会もその中心は大臣でありまして、同じ政党の中でこれを行うのでありまして、従つて今度の自衛隊法は明かに日本のかつて軍隊より以上の権限と能動性を持つて来ているものであるというふうに私は考えられる。だから今のような御答弁だけでは私は満足するわけには参りませんがさらにそれならもう一つ聞いておきたいと思いますことは、出動したこの自衛隊員は出動いたしております区域内における任務というものは治安維持に当りまする以上は、当然警察官と同じような仕事をすることになると私は思う。従つてその場合の自衛隊の権限というものは大体どれくらいまでお考えになつているのか。その点をひとつお聞かせ願つておきたい。
  24. 加藤陽三

    加藤政府委員 まず後段の方から申しますと、治安出動命令により出動した場合における権限につきましては第八十九条及び第九十条に書いてあります。海上部隊につきましては第九十一条に書いてありまして、万々御承知と思いまするが、これは現在の保安庁法におけるとまつたく同様でありまして、警察官職務執行法によります規定及び第九十条によりまして特別の武器の使用についての権限を認めております。  それから前の軍隊より以上だというようなお話でありますが、私どもは非常に迷うと思います。治安出動命令を出しました場合におきましては、あとで必ず二十日以内に国会に付議し承認を得なければならない。前の軍隊の当時におきましてはそういうことはなかつたと思うのであります。また御承知であろうかと思いますが、師団司令部でありましたか何でありましたかはつきりとは覚えておりませんけれども知事の出兵請求によりまして出兵するのが原則でありますけれども師団長は便宜兵力をもつて措置することができるというような規定があつたとは私は覚えております。
  25. 門司亮

    門司委員 今加藤君から言われまし例の八十九条でありましたか、いわゆる治安出動時の権限、この中に警察官職務執行法と書いてありまして、これはよけいなことでありまするけれども、この法律は百三十一号でなくして百三十六号がほんとうでしよう。この番号がちがつてやしませんか。これはどうでもいいんだが。それから問題は、この八十九条をそのまま受取つて参りますと、現行警察官等職務執行法とありまして、等という文字が入つておりますが、今度は等という字が抜けており、警察官職務執行法と書いてある。それは警察法改正したからこう書いてあるのでありましようが、この第四条は警察官がその現地において便宜と申し上げまするとおかしいのでありまするが、緊急の場合において警察官としての処置をとつた場合に、公安委員会にその経過を報告しなければならない。いわゆる公安委員会の権限あるいは処置に属する範囲のことを、便宜上災害その他などの場合にはやらなければならない、従つて、それは公安委員会命令を受けておつたのでは間に合わない、あるいは指示を受けておつたのではどうしようもないので、警察官が便宜それを行つたときに公安委員会に報告することが職務執行法の四条の規定になつておる。この場合にこの「公安委員会」を「長官の指定する者」と読みかえる、こう書いてある。そうなりますと、長官は明らかに公安委員会の権限を持つということになるのであります。従つてここではまつたく警察官と同じような仕事をするということになつて参ります。そうなつて参りますと、出動を命ぜられた自衛隊の隊員は、いわゆる警察官に属する司法権を持つことができるかどうかということであります。この点についてもうひとつお尋ねをしておきたいと思います。
  26. 加藤陽三

    加藤政府委員 警察官職務執行法の番号は印刷の間違いであります。  それから警察官職務執行法と等とい字が入つておりませんのは。御指摘になりました通り警察法改正がさきに出ておりますので、それに合わせて警察官職務執行法とした次第であります。  それから出動いたしました自衛官が司法警察権を持つておるかどうかということでありますが、警察官職務執行法規定は、司法警察権とは別なものである。全然関係がないこともないと思いまするけれども、あれ自体によりして司法警察的な活動ができるものでないことは御承知通りであろうと思うのでありまして、私どもは自衛官に司法警察官としての権限を認めておることはないのであります。ただ自衛官で司法警察官としての権限を持つております者は、警務官という制度を設けておりまして、この法律の第九十六条にあります「部内の秩序維持に専従する者の権限」――警務官と称しておりますが、これが司法警察官としての権限を行使するということにいたしております。それ以外の者は出動の場合におきまして司法警察官の権限を行使するというようなことはございません。
  27. 門司亮

    門司委員 そういたしますと少しおかしいのじやないですか。条文を追わないでおかしなところへそれて参りましたが、八十九条の規定は今も多少司法警察官としてのようなことがあるかもしれないというお話でありました。しかし今日の警察官等職務執行法は大体あなたがおつくりになつたようなものだと私は思つているのだが、そのできるときに、大体われわれとしては現行警察法で間に合うのだ、こういうこまかい規定は入れなくてもいいのだというふうに実は考えておつた。ところがどうしても警察権の執行にはこういうものが必要だということであつて、こまかい規定がずつと書かれております。しかしこの規定のすべてというものは必ずしも行政警察の面だけでございませんで、ここには特に司法警察に属する分が多かつたと思います。むしろ行政警察に属するものよりも司法警察に属するものの方が多くて、同時にこういう公安の乱れておりまする場合には、もし権限を執行しようとすれば、刑事警察的のものが私は非常に多いものだと考えております。従つてここで今お話のように司法警察官としての任務を与えないと申されておりますが、実際はそういう仕事をしなければいけないのじやないか、またそういうことが必然的に行われるのではないか。ただこの自衛隊に与えられる権限というものが、いかにも司法警察官であるような感じを持たせることはよくないから、こういう形を法文の上だけで表わしたのであつて、実際は司法警察官としての仕事をするものであるというように考えて、ちつともさしつかえはないと私は考えている。従つてもう一つ聞いておきますことは、今の隊内における憲兵式のものがここに書いてありますが、それらのものがこの治安出動の中に含まれて出て参りますと、これが拡張解釈されて、あるいは憲兵と同じような仕事をして行きはしないかというようなことも、この前の保安庁法のときにもかなり議論になつたのでありますが、今度はことさらこういう治安出動というようなものが出て参りますと、われわれはその点を懸念するのでありますが、そういう面に対しては今どういうふうにお考えになつているか、御説明をこの機会にお願いしておきたいと思います。
  28. 加藤陽三

    加藤政府委員 警察官等職務執行法の規定につきましては、門司さんよく御承知だと思うのでありますが、これに規定してありますことは、私の記憶によりますと、質問に関することと、保護に関すること、それから避難等の措置とか、犯罪の予防とかあるいは立入り、それから武器の使用について規定しております。武器の使用や質問等につきまして、若干司法警察的な分野の関係は出て来るかもしれませんが、あのもの自体は大体行政執行法を新しい時代に即するように改めてつくられたものと私は思うのでありまして、司法警察的な事柄として法律としてつくられたものではないであろうと考えております。それから警察官が非常に拡張解釈をして昔の憲兵のようになりはしないかという御心配でございます。これは保安庁法のときも御指摘になりました通り大分問題になりましたことも記憶いたしております。私どももまつたく同様に、この点につきましては慎重な配慮を加えなければならないと思つております。この警務官というものは昔の憲兵とは違うところから出発をしておるのであります。と申しますのは、都内の秩序維持の権限を持つておるのでありまして、国税庁における国税査察官でありますとか、郵政省における監察官であるとか、そういうふうな大規模な集団におきまして、特別な仕事をやつておる部内の秩序維持につきまして専門的な者を、都内に置く必要がある。そういう者と同じ考え方から警務官というものを規定いたしておるのであります。この法律をお読みくださればわかります通り、この権限を行使いたしまするのは、九十六条の第一項の一号から三号までに書いてありまする通り、今度法律改正になりますと、防衛庁の自衛官でありまするが、防衛庁の自衛官その他の職員の犯した犯罪または職務に従事中のこれらの者に対する犯罪、それが第一号、それから「自衛隊の使用する船舶、庁舎、営舎その他の施設内における犯罪、」または第三号「自衛隊の所有し、又は使用する施設又は物に対する犯罪」、これだけのものに限定をしております。しかも今度の第九十六条は現在の保安庁法の第七十七条に相当する規定でございしますが、時に新しい九十六条におきましては、「自衛官のうち、部内の秩序維維の職務に専従する者は、政令で定めるところにより、左の各号に掲げる犯罪については、政令で定めるものを除き、刑事訴訟法の規定による司法警察職員として職務を行う。」「政令で定めるものを除き」、という言葉を特に入れたのでございます。この趣旨は現在も保安庁法の七十七条によつて、警務官の制度を設けておりますけれども、この警務官の権限の行使について国家地方警察及び自治体警察並びに海上保安庁の方と協定を結びまして、あくまでもこれらの警務官は部内の秩序維持に専従するという趣旨を貫こうという建前からでありまして、この保安庁法の七十七条の規定そのものからいたしますれば、保安庁施設内における犯罪等について警務官がやるようになるのでありますが、それを協定によりまして、保安庁の施設内における犯罪を建前として、保安官または警備官の中の警務官として指定されておる者がやるけれども、施設外における犯罪は、これは国家地方警察、自治体警察でやつてもらうという趣旨の協定をつくつております。その協定の趣旨をさらに政令ではつきりしたいという気持で、今回九十六条においては、今までの七十七条にないところの「政令で定めるものを除き、」という規定を入れたのであります。御心配の点は十分わかるのでありまして、私どもそういうことのないように一層努力をして行きたいと考えておるのでございます。
  29. 門司亮

    門司委員 これはこまかいことでありますが、ここまで来ましたから八十九条の点についてお伺いいたします。「公案委員会」を「長官の指定する者」と読みかえると書いてありますが、そういたしますと、この場合はもう公安委員会はまつたく無視をされたものでありますか。ここは非常に重要なところですが、少くともこの問題が治安出動時の権限になつておりまして、そのときに公安委員会が無視されて長官の指定する者に報告をすればよいということになりますと、結局形は一本建になります。これは私は警察行政の上からいつてあまりいい形ではないと思います。やはり当該公安委員会がそこにありますから、公安委員会がここに何らかの形で出て来ませんと、自分の所轄いたしております範囲内に起つた事犯は――自衛隊のやつたとは自衛隊が始末するのだということになると、あまりいい結果にならぬと思います。公安委員会を無視したような形ですけれども、この場合、どうしてこれはこういうことになつておりますか。
  30. 加藤陽三

    加藤政府委員 この警察官等職務執行法の第四条の規定公安委員会に報告をたせております趣旨は、そのことによつて行き過ぎを押えるということ、それから会計その他の措置が必要になつて来るということから出たのではなかろうかと思うのでありまして、これらのことは、今度かわりますれば自衛官でありますが、自衛官がこの第四条に規定してありますような措置をとりました場合においては、これはやはり防衛庁長官――保安庁長官が措置すべき事柄になるのではなかろうか。ただ保安庁長官のところに持つて来ますことは、現場の仕事でありますので事柄として適切ではなかろうということで、長官の指定する者、こういうことにしておるのであります。現在は大隊長以上の部隊長をこれに指定しておるのであります。
  31. 門司亮

    門司委員 次に来る問題はいわゆる自治法との関係であります。地方自治法の別表の第二の三十三には、明らかに警察に協力しあるいは援助した者の災害については、療養その他の給付をしなければならないという規定がある。そういたしますと、自治法の適用を受けようとすれば、やはりここで公安委員会というものがこういう事犯のあつたことは知つていなければならぬと思う。だからこれが単に出動された自衛隊だけでものを片づけて行くということになると、これは自治法等の規定はどうなつて行きますか。自治法の規定においては、私が申し上げましたように、明らかに警察に協力しあるいは援助して災害を受けた者には、療養給付その他をしなければならないという明確な条文がある。この自治法の関係から申しますれば、当然当該公安委員会が取上げるということが順序だと思う。従つて警察官に援助した者の災害については地方公共団体が補償するが、自衛隊に援助してけがをした者はけがのしつぱなしになつてしまう。こういうことはあまりいい形ではないと思う。この辺のことを考えて参りますと、やはり公安委員会が知つていなければなぬらと思う。その点についてのお考えがもしあるならひとつお聞かせ願いたいと思う。
  32. 加藤陽三

    加藤政府委員 警察官の活動に協力した者に対する補償給付の規定は、保安官、警備官の方には適用がないのではなかろうかと思うのであります。同様のことは将来においてはやはり保安官、自衛官についてもあるいは必要かもわかりません。しかしこれはよく研究しなければならない問題だろうと思うのであります。その際に財政措置等についてもあわせて研究いたします。
  33. 門司亮

    門司委員 私はそういうことではいけないと思う。やはりここで治安維持のために、たとえばこの出動はかつて出動であろうと――かつて出動というと少し言い過ぎるかもしれませんが、かつて出動であろうと要請出動であろうと、この八十九条の規定はやはり同じだと思う。そうするとどうしてもそういう事犯は起ると思う。これは起らなければならぬと思う。その場合にさつき申しましたように、警察官に援助をすればけがをしてもめんどうを見てもらえるが、自衛隊に援助をしてけがをしても、めんどうを見てもらえないということになると、これは非常に困ると思う。だから警察法との関係を申し上げれば、やはり当該公安委員会に報告をするとして、そうして当該公安委員会責任においてそういうふうにするか、それでなければ国の方でこれを補償するという規定を何らかの形で附則か何かに入れてもらいたい。これは自治法との関係を考えて参りますと、どうしてもそういう規定がなければぐあいが悪いと思うが、あなたの方はそれをどうなさるのか。私どもの考え方から行けば、負担は大きくはなりますが、しかし当該地域内における住民の災害でありますので、あるいはその区域を所轄しておる公安委員会の負担にしていいのではないか。もしそうするならば、やはり報告の義務は公安委員会責任を持たせておかなければ、そういうことはできないはずである。それができないというなら、この自衛隊法の中に自治法と同じような形を入れてもらうか、あるいは自治法を改正して自衛隊出動に関しても、協力した者が災害を受けた場合はこういう補償をするということを書いてもらうか、どちらかにしてもらわないと、自治法との関連が非常にまずいと思う。こういう点についてどのように考えておるかお答え願いたい。
  34. 斎藤昇

    ○斎藤(昇)政府委員 私からお答えしますが、この警察官等職務執行法の第四条の避難等の措置、これは警察がやりました場合に、これにもし費用がいるとすれば、その警察の所属の費用で払わなければならない。現行法で言いますならば、国家警察がやりました場合は、これは国が払わなければならない建前になつておる。自治体がやりました場合は、自治体が払わなければならない建前になつておる。これを自衛隊がやりましたならば、自衛隊が払わなければならぬということになつて来るわけであります。ただいま御指摘になりました自治法の規定は、自治体の警察に対して一般の人が協力をしてけがをしたという場合には、その補償は自治体、国家地方警察に対してやつた場合には国、こういう別の法律がありまして、その法律を受けてそういう場合には自治体が払うということのさらに裏の規定として、自治法に書かれてあるわけであります。たしか海上保安官に対して協力をして、そうしてけがをしたという補償は、国がやります。従つて自治法には書いてございません。自衛官に対して協力をして、もしけがをした者についても国が補償をするという法律ができますならば、それは国が補償をするのであつて、依然として地方自治法の方にはその関係は現われて参らないのであります。四条で公安委員会に報告するとありますのは、警察の管理責任者公安委員会でありますから、警察官のやつたことについてかくかくの処置をいたしましたということを、その管理者たる公安委員会に報告しろという趣旨であります。同様の趣旨において自衛官がやりました場合には、その自衛隊の管理責任者またはその代理者に報告させるというので、その方がつじつまが合つておる、かように考えます。
  35. 門司亮

    門司委員 私は、法律的にずつとしやくし定規に考えれば一応つじつまは合つております。自衛隊がやつたら自衛隊長官あるいは長官の指名した者に報告するということは、一つのその隊の秩序としてはこれでよいと思う。しかし他との関連性でありまして、同時に住民一つの福祉の問題であります。先ほどから申し上げておりますように、こういう出動をした場合に、大体事犯が起るのでありまして、普通の場合は自衛隊が出て司法権を使つたりあるいはいろいろする仕事はないのでありまして、従つてこれに協力するということはあり得ないと思う。出動の場合においてのみそういう事犯が起ると思う。従つて出動の場合にそういう事件が起つたときに、これをどう処置するかということである。あなたのようなお考えであるとすれば、この自衛隊法の中に、この自治法の規定と同じような規定を入れるか、あるいは自治法にもう一本それを入れるかというこの二つの問題が私は現われて来ると思う。だから今の齋藤君の答弁だというならば、この次の機会に、今ここでもいいが、自治庁長官の塚田君をここに呼んでもらつて、自治法にそういう規定を入れる用意があるかどうか確めてみまなければならぬ、これは同じように警察に関連した、公共秩序維持することに関連して、その地方住民が一方に協力して恩典があり、一方に協力した場合にその規定がないということになば、われわれとしては法律をこしらえる上からいえば、そういうことを見のがすわけに行かない。これはどちらかに入れてもらわなければならぬ。私が申し上げまよすのはそういう事犯が起つて参りますので、勢いこの場合に当該公安委員会なりがすべての権限を持つておるというような形にして、そういう不都合日な問題の起らぬようにして行きたいというだけである。だからそれはそれでよろしいのであります。今の齋藤君の御答弁なら、この次にはぜひこの委員会に自治庁長官に来てもらつて、あるいは木村さんの方でそういう条項を、自治法に入れてなくても私の方にそういう規定を入れるという御意思があれば、それでもけつこうでございますが、その点どうなんですか。
  36. 加藤陽三

    加藤政府委員 これは先ほど申し上げました通り今の保安隊、警備隊が出ます場合、長官からお話のありました一般の警察が手に負えない非常の場合というふうに考えております。さような場合におきまして、一般民間人の協力を求めるかどうかということにつきましては、慎重に考慮を要するものがあるのではないか、大体におきましては警察官も一緒におるのでありましようから、警察官を通じて警察官行動に対して協力を求めるということで足りる場合が多くはなかろうかと思いますけれども、しかし保安官、警備官自体につきましてはあるいはそういう必要があるかもわからない。ただ今すぐここで必要があるとかないとかいうことを断定することはまだ早いのでありまして、研究を要するものと思うのであります。お話の点もそれとあわせて研究をすべきものであろう、かように考えております。
  37. 中井一夫

    中井委員長 どうですか、大分質疑をお続けになりましたが、中井徳徳次郎君から発言の要求もありますから、一応この程度にして中井君にお譲りになつてはいかがでしようか。
  38. 門司亮

    門司委員 私はあと八十一条、八十二条、八十三条の規定をまだ聞いておりませんので、せつかくの委員長の言葉でございますが、この条項をもう少し確めておきたいと思います。
  39. 中井一夫

    中井委員長 どうでしよう、願わくは大臣が出席しておられますから、大臣にお開きになるようなことをまず集中してお聞きになつたらいかがでしよう。
  40. 門司亮

    門司委員 大臣に聞くようなということになると、委員長にその範囲を指定してもらいたいと思います。
  41. 中井一夫

    中井委員長 こまかい問題は人事局長がまた次に出て参りますし、大臣が出ておりますから願わくは大臣との応答になるような質疑を進められんことを希望いたします。
  42. 門司亮

    門司委員 それは私ははなはだ委員を侮辱した言葉だと思いますが、もし委員長のそういう言葉があるなら、ここで大臣にどういうことを聞けばいいかということを承りたい。私は大臣からすべて答弁をしてもらえば大臣の方がいいのです。加藤君が答弁したからといつて加藤君は人事局長です。この法案審議責任者ではございません。この法案審議責任者は大臣であります。従つてこれからすべて大臣に答弁をしていただきます。私は先に断つておきますが、大臣にお聞きすることを申しますが、かわりを許しませんから、どうかそのつもりで。
  43. 中井一夫

    中井委員長 門司君に申し上げますが、ほかにも質疑の希望者がおりますから――あなたの御質疑を決して中途にしておやめくださいというのではありません。しかしあなた一人の御質問、だけであまり長くなりますることは、他の諸君の質疑ができぬことになりますから、少しはお譲りになつてもよかろうかという趣旨で申し上げておるのであります。
  44. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 私お尋ね申し上げたいのは、門司さんの質問が済みましてからでけつこうであります。
  45. 中井一夫

    中井委員長 門司君、中井君はあなたの質疑のあとでよいということでありますからお進めを願います。
  46. 門司亮

    門司委員 それでは大臣にお聞きをしますが委員長の気持も十分わかりますので、そう長く一人で申し上げることは避けておきたいと思います。要請出動と災害派遣の場合でありますが、要請出動の場合は明らかに一つの大きな内乱、騒擾に匹敵するものの場合であり、それから災害の場合におけるものは出動と書かないで、ここでは派遣という文学を使つております。従つてこの災害派遣の中で聞いておきたいと思いますることは、「都道府県知事その他政令で定める者は」と書いてあります、「天災、地変その他の災害に際して、人命又は財産の保護のため必要があると認める場合には、部隊等の派遣を長官又はその指定する者に要請することができる。」と書いてあります。従つてこれも第一線の災害の場合のいろいろな処置をいたしておりまする警察官との関係におきましてお聞きをしておきたいと思います。この場合は都道府県知事であります場合には警察官のすべての責任とは申し上げませんが、一応当該都道府県における公安委員会が、その所轄のもとにありまするので話がわかるのでありますが、その下の「政令で定める者」と書いてありますのは、一体何を指して政令で定める考ということが掛かれてあるのか。やはり要請出動の場合と同じように、この場合は都道府県知事でいいのじやないか。災害の場合に自衛隊を派遣しなければならないほど大きな問題になるならば、当然これは当該治安責任を持つておりまする知事要請すべきものだ、こう考えておりまするが、この場合の政令で定める者という範囲は一体どの範囲ですか。
  47. 木村篤太郎

    木村国務大臣 現在施行になつていまする保安庁法施行令六十八条の二に規定があるであります。「法第六十六条第一項の規定により、天災、地変その他の災害に際して部隊の派遣を要請することができる者は、都道府県知事の外、左の各号に掲げるものとする。一 海上保安庁長官 二 管区海上保安本部長」こういうことになつておりまして、この二者が派遣を要請することがあり得るのであります。従いましてこれらのものを総合して規定を設けておるのであります。
  48. 門司亮

    門司委員 そうしますと知事要請権との関係はどうなりますか。私はさつきから申し上げておりまするように、災害派遣と書いてありますが、災害派遣のときのようなときこそ、私は行政警察権との競合がかなりたくさんあると思います。従つて知事要請権とそういう海上保安庁その他の諸君がやるということとの関連性でありますが、この場合も先ほどから聞いておりまするように、司法権の発動、いわゆる災害派遣でありまするから、この場合も単に行政処置だけではなくして、おそらく司法権の発動を見なければならないようなことが私はたくさんあると考える。従つてそういう天災、地変のときのいわばひとつの騒擾でもなければ動乱でもございませんが、それにひとしい混乱の状況のときには、私はおそらく行政処置だけでは済まされないと思う。この場合の警察とのつながりはどういうふうに持たせるつもりであるか。これを読んでみますと、警察とのつながりはちつとも書いてないのでありますが、当該公安委員会並びに警察との関連性はどういうふうにお持ちになるつもりであるか。
  49. 木村篤太郎

    木村国務大臣 八十六条におきまして、この八十三条の場合におきましても都道府県知事あるいは市町村長、警察消防機関あるいは地方公共団体、これと密接な関係がありまするから、相互に緊密に連絡して互いに協力するという規定を設けておるのであります。もちろん災害派遣のときは申すまでもなくその地方にとつては重大なる事項でありまして各方面の協力を求めなければならぬことは当然でありますから、八十六条においてかような規定を設けて協力態勢を整えることに努力しておるわけであります。
  50. 門司亮

    門司委員 揚げ足をとるようでありますが、八十一条がありますが、この場合私が聞いておきたいと思いますのは、八十六条の規定というのは公安委員会ということは書いてないのでありまして、遺憾ながら都道府県知事あるいは市町村長、そう書いてありましよう。だから治安責任は、やはり公安委員会が持つておりますので、この場合も公安委員会との連絡性がなければいけないのではないかということを先ほどから申し上げておるのでありまして、八十六条の規定には、明らかに連絡するということは書いてありますが、これには知事市町村長という、当該治安責任者でなくて、行政の責任者が書いてあります。だからそういうことを書いてあるのでありまして、もう一つつつ込んでお答えを願つておきたいと思います。
  51. 木村篤太郎

    木村国務大臣 八十六条には、まさしく「警察消防機関」と書いてありますが、この機関のうちにまさしくその土地における公安委員会が包含されるものと了承しております。
  52. 門司亮

    門司委員 私はそういう拡張解釈はどうかと思いますが、警察消防の機関というものは、当該公安委会の所轄であることに間違いはございませんけれども、もしそうだとするならば、やはりここは治安責任を持つものである公安委員会に権限を持たすべきではなかつたかというふうに考えるのでありまして、警察消防といえども、やはり公安委員会の運営管理のもとに動いておる一つの団体であります。だから私は今の答弁は少しこじつけのように聞えるのであります。ここに市町村長、知事と書いてあるところを見ると少しこじつけではないかと考えておりますが、長官の方でそう考えておるという御答弁であれば、それ以上私は追究はいたしませんが、私どもから考えて参りますと、ここはやはり警察との関連性をもう少しはつきり持たせておいていただきませんと、災害時のような混乱時におきましては、私はいろいろな問題が起つて来る。自衛隊が出て参りましても、その自衛隊は、ここに書いてあります当該市町村長あるいは警察消防の機関というようなものだけでは処理し切れない問題が出はしないか。あまりにも災害というものが行政措置だけに限られておるようにわれわれは感ずるのでありまして、この場合もう少し警察関係との連絡を十分持たせておいていただきたいというように考えております。  それからその次にはずつとあとにもどつて参りますが、要請出動でありますが、この場合は先ほどからしばしば申し上げておりますので、あまり聞く必要もないかと思いまするが、「都道府県知事は、治安維持上重大な事態につきやむを得ない必要があると認める場合には、当該都道府県公安委員会協議の上、内閣総理大臣に対し部隊等の出動要請することができる。」こういうふうに書いてあります。そうして、内閣総理大臣は、事態やむを得ないと認めた場合には出動をさせることができる、こう第二項に書いてあるのであります。従つてここでは、国家公安委員会との関連性は一体どうなつておりますか。要請出動の場合には、国家公安委員会との関係はいらないのかどうか。要請出動でない命令出動の場合には、国家公安委員会に相談することになつておる。この点はもう少しそれをはつきりしておいていただきたいと私は思いますが、その点はどうでありましようか。
  53. 木村篤太郎

    木村国務大臣 その点につきましては、八十五条において「第八十一条第三項の規定による出動命令を発するに際しては、長官国家公安委員会との相互の問に緊密な連絡を保たせるものとする。」、この規定を設けまして、連絡をとることになつております。
  54. 門司亮

    門司委員 命令出動の場合と要請出動の場合でありますが、少くとも要請出動をいたします場合は、命令出動の場合よりもむしろ地方の公安委員にとりましては重大な時機であり、しかもそれが先ほど申し上げておりますようにすべての建前でなければならないと考える。国が出すときには国だけでかつてに相談して出す、要請された場合には八十五条で緊密な連絡をとればいいのだということが書かれております。こうなつて参りますと、国家公安委員は、国の非常事態に対しては、これはむろん国全体の非常事態ではございませんが、こういう知事要請、それから国が考えた場合の出動等に対してはほとんどつんぼさじきに置かれるというほどではございませんが、八十五条で連絡をしなければならないと書いてあるから、あるいは連絡くらいはあるかもしれませんが、これでは国家公安委員会のこうした公安に対する責任というものが、いかにも薄いようにわれわれは感じて、心もとないのでありますが、やはり第一線治安責任警察が持つております限りにおいては、都道府県知事要請がありましても、総理大臣は自分の所轄のもとに公安委員会があるとは言えるのであります。従つて総理大臣が知つておればそれでいいのではないかというりくつは一応成り立つかもしれませんが、しかし実際上の警察の運営というものはやはり公安委員会でやつておりますので、公安委員会にただ緊密な連絡ということでなくて、この場合は公安委員会との間で協議して、要請のあつた場合には内閣総理大臣はやはり公安委員会に相談してこれを出して行くというように、単なる連絡というような申訳的なものでなくて、もう少し国の公安委員会というものに権限を持たせた方がいいのではないか、こういうように考えます。また同時に公安委員会を尊重した方がいいのではないか、警察法の建前からいえばわれわれはこう言えるのであります。その点に対する長官の御意見がございますならば、ひとつお聞かせを願いたいと思います。
  55. 木村篤太郎

    木村国務大臣 要請による治安出動の場合においては、都道府県知事は当該の都道府県公安委員会と十分協議を遂げて必要ありと認めた場合に、初めて総理大臣出動命令要請することは八十一条の規定上当然の事理であります。しこうしてこの場合におきまして、総理大臣が必要やむを得ないと認めた場合に出勤命令を出すわけでありますが、この際において今お話の国家公安委員会はやはりふだんから総理大臣と十分の連絡を持つておることは当然でありますから、その際には総理大臣長官に対して国家公安委員との間に十分の連絡調整をするようにということになるわけでありますから、国家公安委員を無視するわけでもありません。相互に緊密な連絡を保ち、いろいろな方面から互いに協議して善処することになつておるのでありますから、国家公安委員会との間に何らの摩擦が生ずるおそれはごうもないものと考えておる次第であります。
  56. 門司亮

    門司委員 その次にこれは、ごくこまかいことでございますが、ここに書いてあります「海上における警備行動」でありますが、海上における警備行動につきましても、今日の事態からいいますと、これも制限はあるのでありますが、同時におのずから任務は違つてはおりますが、しかし港湾を持つておりますところにおのおの海上に対しまする警察権の発動ができるようになつております。従つて海上におけるどんな警備行動等につきましても、ただここにありますこの条文だけで、八十二条に「長官は、海上における人命若しくは財産の保護又は治安維持のため特別の必要がある場合には、内閣総理大臣の承認を得て、自衛隊部隊に海上において必要な行動をとることを命ずることができる。」こう書いてあります。これが自衛隊任務でありますから、私この条文についてとやこうは申し上げませんが、この場合に水上警察を持つております警察との関連性でありますが、これについてはどういうふうにお考えになつておりますか。もしお考えがございますならばひとつお聞かせを願つておきたいと思います。
  57. 木村篤太郎

    木村国務大臣 水上警察との関係については別段の規定は設けておりませんが、海上におきまするふだんの警備その他の治安任務に当つております海上保安庁と間に、終始連絡を保つ必要はありますので、第百一条におきまして「相互に常に緊密な連絡を保たなければならない。」、また二項におきまして「長官は、自衛隊任務遂行上特に必要があると認める場合には、海上保安庁等に対し協力を求めることができる。」、こういう規定を設けておりますから、相互の間に緊密な連絡をとつて行けるものかと考えております。
  58. 中井一夫

  59. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 同僚門司委員から詳細な御質問がありましたので、私はこまかいことば省略いたしまして、基本的なことで一点だけ、ひとつ保安庁長官の率直な御意見を伺いたいのであります。  それは御案内の通り現行警察制度ができましたときには、まだ警察予備隊というものがありませんでした。従つてそれの変身でありまする保安隊もなかつた。また今度あなた方が自衛隊という名前になさろうとしてやつておられますが、それもなかつたわけなのであります。従いまして、私は先般犬養前国務大臣にお尋ねしたのですが、現在の警察制度はそういうものがないものとして組み立てられておるのであります。そこで東京におきましては人口二百二十名に一人の警察官、いなかにおきましては十名に一人、大阪におきましては三百五十名程度に一人、中小都市では六百五十名程度に一人というふうで、いわゆる内容は現在ありまする警察予備隊あるいは保安隊、実はそういうものも含めたようた任務を持たして、あの警察制度はできたと私どもは考えておるのであります。そういう意味から言いますと、今回の警察制度の改正によりまして政府は大いに経費の節約を叫んでおる。私はこの間犬養さんに、そんなことはあたりまえの話だ、あなた方が五年間ほつておいたのはけしからぬ、予備隊ができたとたんに東京警視庁何名減らせ、大阪の警視庁何名減らせという勧告をするのが、国として最も合理的な行き方ではなかつたか、実はこういうふうなお尋ねをしてあるわけであります。過去の政府のこういうずるいやり方についていまさらとやかくは申しませんけれども、そういう点から見まして、今や警察予備隊は保安隊になり、さらに自衛隊になる、それがこの間からたびたび問題になつておりまするように海外への派兵は絶対やらない、従つて任務間接侵略と直接侵略、こういうことになりますると対象はおのずから明らかであります。今の保安隊は昔の軍隊ではないということになつておりますし、われわれも大きくなるのに反対をいたしておるので、ありまするが、しかし保安隊として計画を立てられるに際しても、昔の軍隊などに比べますと非常に簡単な計画だろうと私は思うのであります。昔の軍隊でありまするならばは、アメリカとやらなければならぬかもしれぬ、あるいは蒋介石政権と戦わなければならぬかもしれない、あるいはソ連とやらなければならぬ、八方見合しての軍事計画というものが、毎年々々立てられておつたように思います。ところが最近は非常に簡単であります。いわば敵はきまつておる。われわれはまだ敵と判断するまでの自分の考えは持つておりませんけれども、一応はそういう形で進んでおられると思う。しかも海外派兵はやらないということになりますと非常に範囲が狭くなる。従つて今のあれだけありますものによつて日本の内乱あるいは間接侵略などに対しては、私はそうむずかしい努力を要せずしてできると思う。これは非常に独断だとおつしやるかもしれませんが、私はできると思う。そういうせめてそれぐらいの力が保安隊になければ何もなりはせね。私どもはこの間も極左の問題をとらえて、実は秘密会いろいろな情勢を聞きましたが、私が自分の持つておりまする考え方あるいは情報、知識というものと、特に大きな隔たりを説明で聞いたわけではありません。一、二新しいことも伺いましたが、その程度のものでありまするならば、私はもう現在でこれは大き過ぎるというような考え方をする。それなのに、なぜまた今度警察法改正するか。人員の整理は、これは当然です。こんなものは現状のままで、そのまま減らしたらいいでしよう。なぜ警察まで中央集権にして、そうして説明のときは、警察法改正もあるいは自衛隊の問題も同じような一つ理由をもつてやる。日本の現在の国情から言つて、経済力から言つて、どうして今の内閣はそんなにあわてて何もかも一挙にやろうとするのか、私はこのことがどうしてもわからない。私は反対のために反対するのではありません。あなた方があれだけがんばつておられるならば、まあ一つでけつこう、それだつてわれわれは多過ぎると思う。さらに警察まで大変革をやろうということについては、どうしても国民の一人として私は納得ができないのであります。この点についておそらく閣議でもいろいろな問題があつたと思いますが、木村さんの率直な御感想というか御意見というか、それを私は伺わせていただきたい、かように思います。
  60. 木村篤太郎

    木村国務大臣 ただいま御質問の御気持はよくわかります。しかしここで非常にお考えを願いたいことは、何がゆえに今度自衛隊をつくつて直接侵略に対し対処することになるかということであります。いろいろ問題の考え方はありますが、ただいまの世界情勢は、一時平和のきざしが来ていることは御承知通りであり事。われわれもこの平和がいつまでも続くことを、心中から希望するのであります。しかしながら現実の事実としては、私はなかなか容易ならぬものがあると考えております。しかも日本周辺における軍事配置の他を見ますると、われわれといたしましては、ぜひとも日本の国力の許す限りにおいて、日本の防衛体制を立てて行かなければならぬということをしみじみ考えるのであります。申すまでもなくただいまは日本の国力が思うように参りませんので、日米の間に安保条約を締結して、アメリカの駐留軍と互いに手をとつて日本の防衛体制を立てて行つているわけであります。この防衛体制が万一くずれるときにおいて、日本がどうなるかということをわれわれは十分認識しなければならぬ。現在極東方面において、少くとも日本を中心として平和を保つて行けるというのは、私はいわゆるバランス・オブ・パワーだろうと思う。これによつて平和が保つて来ておるのだろうとわれわれは考えておるのであります。力関係であろうと思う。この力関係が一たびたびずれると、私は容易ならぬものがあると思う。従つて日本の防衛体制だけはどうしても立てて行かなければならぬ。この気持が私から常に離れることができないのであります。しこうしてアメリカの駐留軍にいたしましても、これをいつまでも日本に駐屯させておくことはできぬという気持は、われわれはよくわかるのであります。わかるけれども今ただちにアメリカの駅留軍全部が引揚げるというようなことになりますと、それこそ日本の防衛体制がくずれる。ひいてはアジアの防衛体制はくずれる。従つて世界の平和はどうなるかということになるわけでありますから、アメリカといたしましても早急にこれを全部引揚げるというようなことは、とうていあり得ないことを私は考えております。しかし少くとも、ある部分については日本自衛隊の増強に相呼応して、幾分か引揚げることになるのじやなかろうかと考えております。これがわれわれとして、自衛力漸増方針に基いての考え方であります。そこで今申し上げました通り自衛隊の将来の主たる任務とするところは、不時に外部から来る武力攻撃に対して対処し得るように、これが主眼の目的であります。と同時に国内における間接侵略、すなわち外国からの不当な干渉、教唆によつて日本に起るべき反乱、大動乱とかいうことの備えをしよう、これが任務であるのであります。しかし内部に起る事柄については、これの主たる行動というものは、さつき門司委員からるるお述べになりましたように、これは国内の関係であり、主として日本人そのものであります。これに対して、ただちに自衛隊出動して鎮圧するというようなことは望ましくないのであります。何としても自衛隊は外部からの不当の侵略に対して、主としてこれに当るということが任務でなければならぬ。それを軽々しく自衛隊を動かすということは、私は決してあつてはならぬと考えております。これは警察力でもつて、でき得る限り対処すべきものであります。さらに進めて言えば警察力を用いずしてさようなことのないようにしたいことがわれわれの念願であります。いわんや事あるごとに自衛隊出動させるというようなことは、私はとんでもないことだと思います。最悪の場合、やむにやまれぬ場合に初めて自衛隊出動すべきものであろうと考えておるのであります。そこで警察との関係でありますが、われわれ国内情勢を勘案いたしましても、やはり相当警戒すべきものがあると考えております。そこで自衛隊ができれば警察力を減らせばいいのじやないかというような御議論は一応は出ますが、私はそれは相当考えなくちやならぬと思います。今申しました通り、主なる任務自衛隊警察とは根本的に異つておるのであります。自衛隊が増加するから国警の方を減らせというようなことは、早計であろうと私は考えております。やはり日本の国力の許す限りにおいては、自衛隊は漸増的にこれをふやすとともに、警察もしつかりしてもらう。今申し上げました通り、国内で起るさような不祥事に対しては、どうしても警察力でもつてこれを取締つて行くということ、すなわち双方相まつて日本治安維持して行く、ひいては日本の平和と自由と安全を期して行こうというのがわれわれの念願であります。警察力を、自衛隊がふえたからといつてただちにこれを減らすというようなことは、私としては少し行き過ぎじやないか、こう考えております。
  61. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 御意見のほどはわかりますけれども、認識の点におきましてやはり私どもはどうしても納得のできない点があるのであります。大臣も、国力の許す限りという言葉を二度も三度もお使いになりました。私が心配いたしまするのはそれであります。また先はど門司さんの御質問に対して、消防の話が出ました。こういうものでもつていざというときにどうこうするというふうなことは、これはちと私は飛躍したお考えであろうかと思うのであります。消防はもとより自然に対する防衛であります。はつきり申しますが、消防隊員の中には、共産党員、だつてたくさんおります。私もよく知つております。またそういう革命行為というものについて、この間もいろいろお話があつたのですが、現実に成功いたしておりまするのは、第一次世界大戦のあとのソ連とか、さらに第二次世界大戦のときの中共、あるいはチエコとかルーマニアとかいうふうなものでありまして、その間の途中においては一つもそういうものは成功はいたしておらぬ。中国には中共というものがありましたけれども、これはあの国の広大な面積から申しますると特殊な地位、しかも実際そういうものが成功する場合には、あなた方が管轄しておられる保宏隊だとか、先ほどから言われた消防隊だとか、警察そのものとか、そういうものの内部崩壊といいまするか、そういうものが必ず最後には出て来る段階なんであります。そこで私は現在の日本の客観的な情勢から見まして、今のお話は保安隊を増強せよ、あるいは保安隊は必要であるというふうな御意見としては受取れると思いますが、それを推し進めて警察にまで持つて行くということについては、私はどうも納得できない。私は警察をそういうふうにすることによる欠陥ということを、やはり皆さんが深く認識していただきたいと思うのであります。日本の過去の政治がよかつたというふうなお考えであれば、これはもう何をか言わんやでありますが、私どもは過去の政治がどこに欠点があつたか。あれだけの戦争をして負けました、これにはいろいろな欠陥もありましようけれども、その中にはやはり国力不相応に軍備をやつたとか、力一ぱい張り切り過ぎて休むひまがなかつた。軍艦だけは世界一ではあるけれども、住宅とか道路とかいうものは、明治以後ちつともかわつておらぬ。あなたの御郷里に行つてもおわかりだろうと思う。そういう中央集権的な――中央棄権の最もはつきりしたものは軍と警察であります。そういうものをあまりはつきり出すことは私はどうかと思う。明治維新後の日本の八十年の歴史を静かに考えて、私はそう考えるのです。従つて今の保安大臣の御答弁は、警察の組織をかえて中央集権にするという理由には、私はどうしてもならないような気がするのであります。あなた方はどうしてもやらなければならないといつても、それは国民を納得さすだけの十分の事態が起つて来なくては私はいけないと思う。今全国の平和な市町村に対して、この警察法改正案は非常な波乱を巻き起している。こういうものに対する人の考え方は、またやはり昔の警察になるんだろう――事実はならぬとおつしやいます。私も公安委員その他がありますから、昔のような暴力警察にならぬだろう、またなつてはたいへんでありますけれども、そういう話がすぐ出るということ、この民心の動向、それから日本の旧態依然たる、中央集権をやればあつさりと行くという非常に安易な、民主主義を安易に歩もうという考え方、これについて私はどうしても納得できないのであります。そういう意味において、この警察法について二箇月間説明を聞きましたけれども、その根本の建前において首肯できないものがあるのでありますが、この点について小坂さんの率直なる意見を伺つてみたいと思います。
  62. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 わが国の平和を維持しつつ世界における平和を愛好する諸国と手を携えて、世界の平和を達成したいという気持においては、木村長官からお話の通りでありまして、そのゆえにこそ極東における力関係の均衡を保つことが必要だということも、お話があつた通りと思うのであります。今お話を承つておりますと、今度の警察法改正は、非常な中央集権的の強権を持つた警察をつくるという意図を持つたもののようにお考えでございますが、これは私もしばしば御説明を申し上げているように、この法律の目的は非常に民主的な警察をつくるんだ、それは国民の負担にならぬ能率のよい警察制度、こういうことであるのでありまして、どうも考えの根本において違うと思わざるを得ない。認識の問題ということでございますけれども、根本の認識において違うということであれば、これは議論してもいたしかたないのであります。私どもはそのように考えております。できるだけ費用をかけない、また民主的な機構をつくるということにおいては、一方においてそれだけの費用を、お話のような住宅であるとか、その他の民生安定関係の経費に入れることができる、こういうことでもあるのであります。何も現在の機構ができれば、それでもう未来永劫全然その制度について改正を考えることは必要ないというお考えは私どもは了承しかねる次第であります。
  63. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 今のあげ足をとるような御答弁じや困る。どうしても中央集権になるというのが二月御質問申し上げたわれわれの結論なのであります。  それからまた財政の問題に触れましたが、何も現在のままで行くという意味じやなく、ますます節約すべきものは節約しなければならぬという気持であります。ただ先ほどからお尋ねいたしておるのは、この警察制度を改正する根本の理由として、極右、極左の活動ということは言えないと思います。極右の方はあまり大したことはない。おそるべきものは極左である。その極左については、私が先ほどから言いましたように警察予備隊、保安隊というものがあるじやないか。警察がそういうものに治安の上からタツチすることももちろん必要ではありますが、それにもわれわれの解釈からは限界がある。過去のあれだけ強力な警察でも、ああいう思想的なものについてはちやんと限界があつたことは、過去の歴史が証明している通りであります。そこで、保安隊も自衛隊にするわ、警察も大改革するわ、なぜそんなに両方一挙にやる必要があるか、やらねばならぬか、そういうことなのであります。
  64. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 私の答弁が足りなかつたかもしれませんが、要するに日本は敗戦後に諸制度を根本的にかえたのであります。これは占領軍の治下においてかえたのであります。今独立いたしまして、占領行政下のわれわれのいろいろな体験にもかんがみ、国民の動向をも察知いたしまして、われわれ日本にふさわしい諸制度をつくりたい、こういうことが諸種の改革の根本であります。またそうしたことのほかに、内外の情勢というものを勘案いたしまして、独立国日本にふさわしい諸制度をつくる、これはわれわれ政治家に与えられたる職務である、かように考うております。
  65. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 もうこれで質問をやめますが、占領下にできたものであるから、日本独特の、日本の国情に合つたものにと、こうおつしやる、しかしこの点も問題があります。いくら占領下のものでありましても、いいものはやらねばならぬ。またそれだからこそ戦いにも負けたのであります。そうして日本のいいものと言われますが、皆さんの頭の中にある日本のいいものというのは、いつも明治維新後の日本を対象としておられる。日本の歴史というものはそんな短かいものじやありません。私はもつと深く民族の過去、将来を考えて判断をしてもらいたいのであります。占領中のものでぐあいの悪いことは確かにありましようけれども警察法のようなものはむしろやり足りなかつたと思う。一ぺん民主的に日本全国を自治体警察にして、その上に立つて考えてみたらどうだ、実はそういうふうな考え方を持つてつたのであります。途中でしり切れとんぼになりまして、もとにもどすような策動がその当時から行われておつたのじやないかとさえ私は考えておるのであります。私の質問ははなはだ幼稚で、あるいは単純で、原則論的であるかもしれませんけれども、このことは日本の民族の総ざんげというか、再出発のためには、そう簡単に戦争に負けたからであるというのじやありません。日本人の世界に対する物の考え方をどうするかという基本から、人間の生命を大事にするとか、あるいは人権を擁護するとか、ああいうようなあたりまえのことをわざわざきつくいわなければなぬところに過去の日本の欠陥があつたと思う。それにのつとつたものから出発した警察制度の改正であつたと思う。そういう点で、はどうも小坂さんと幕末的に意見が違うのではなはだ残念でございますが、以上にしておきます。
  66. 中井一夫

    中井委員長 西村君。
  67. 西村力弥

    ○西村(力)委員 治安が乱れる想定というものは以前まではどういうぐあいに考えたか。とにかく命令出動以外にない、保安庁のもとにおいてあれだけの訓練をされたのであるから、外部からの侵略と内部からの間接侵略というか、そういうものが今後常に同時に発生する、こういう認識に立つておられるのかどうか。
  68. 木村篤太郎

    木村国務大臣 お答えいたしますが、必ずしも常に同時とは考えておりません。しかしそういうことの発生を見る場合においては、おそらく同時的の場合が多かろうとは考えられます。
  69. 西村力弥

    ○西村(力)委員 ちよつと小坂国務大臣にお尋ねしますが、警察法の第七十条の災害とか騒乱とか、その他の緊急事態、こうありますが、その他の緊急事態というのは、結局自衛隊法案の防衛出動を行わなければならぬ、あるいは防衛出動待機命令を出さなければならぬ、こういうような事態をさすのであるか、具体的にお示しを願いたい。
  70. 斎藤昇

    ○斎藤(昇)政府委員 これ以外に外敵侵略も、ただいまおあげになりましたようなものも、皆これに入ると思います。
  71. 西村力弥

    ○西村(力)委員 私は大臣に答弁を求めておるのでありまして、長官の御答弁はどうもはつきりしませんし、大臣からはつきりと、もう一度お願い申し上げたいと思います。
  72. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 その他の緊急事態でございますので、ここにあげられております以外の緊急事態、すなわち今おあげになりましたような例も含んでおります。
  73. 西村力弥

    ○西村(力)委員 そうしますと、防衛出動待機命令も保安庁の長官が出す。そういう場合には相当機密的のものじやないかと私は思うのです。それは機密でなくて、おおつぴらなものであるかどうか。今後何か機密の法案も出そうですから、ますます機密になつて来るのじやないかと思うのです。そうすると、国家公安委員会勧告に基いて緊急事態の布告をするのだから、その機密な条項というのは、国家公安委員会にはつきりと示されるということが前提になる、こう思うのです。そこで私どもとしては、国家公安委員会の性格そのものを疑わざるを得ない。こういう関連性があると思われるのです。そういうことになるかどうか。国家公安委員会というのは、任意よりよもそういう事態に常に内閣というものの立場と直結をしておるということが、主流となるのではないか、かように思われるのですが、その点解明していただきたいと思う。
  74. 木村篤太郎

    木村国務大臣 防衛出動のものは何も機密ではありません。外国からの武力侵略が明らかに行われようとした場合においては、まずもつて防衛出動すべきやいなやということを、事前に国会において議決を求めることが、原則として先決問題であります。そのいとまのない場合においては、独自の見解でもつて総理大臣出動命令を発し得るのであります。しかしその場合においても、事後において国会の承認を得る建前をとつております。従いまして、防衛出動そのもの自体が何も秘密性を有するものでないと考えております。
  75. 中井一夫

    中井委員長 大矢君。
  76. 大矢省三

    ○大矢委員 これは治安責任にある木村さんに今度の警察法改正と関連してお聞きをしたい。  治安維持するということは、最も重要なことであります。しかしどうして治安維持するか、どうして目的を達成するかというところに私は重点があると思う。それから今度の警察法改正の案と今度の自衛隊法案を見ておりますと、非常事態に対して内閣総理大臣命令を発する、それに対して二十日以内に国会の承認を求めなければならない。もし国会が閉会中または衆議院が解散中なら参議院、さらにまた次の国会において承認を得なければならない。同じような文句を使つておる。そういたしますと、非常事態といのは、主として警察の及ばぬときに初めて出る、こう書いてある。しかしながら非常事態を発するときの状態というものは、文字通り非常事態であつて、私の記憶するところでは、国内において警察力で及ばないときに出たのは、おそらく米騒動、それから東京の大震災のときに軍隊が出た、この二つであると思う。そこであのときにどうしても警察で、あるいはまた軍隊が出て来ても鎖圧することができなかつた。あの朝鮮人を虐殺したとき――あとから問題になつて、今日なおそのことが朝鮮人と日本人の間の底を流れている遺憾な点があるのでありますが、あのときに軍隊が出て来ても、どうしても鎮圧かることができなかつた。それがどうして最後にできたかと申しますと、自警団、民衆の間にみずからを信頼する者だけお互いが通ずることによつて、初めて治安維持された。私は大阪で見ておりました。軍隊が出て来たとき、私の家庭には米はありませんぞ、私を撃つなら撃つてくださいといつて、鉄砲を向けてもなかなか退かない。外敵なら別です。日本の国内の治安維持するというときに、国民の協力なくして治安は断じて維持できない。今度の警察法改正は何ですか。ことごとくが中央集権じやないか。時の総理大臣命令権を持たなければ承知しない。しかも大臣その通り、あるいはまた府県の本部長その通り。私は外国のことはよく知りませんけれども、あの解散をやたらにやります。気にいらぬとすぐ解散、ばかやろうと言うと解散、国民が幾ら信頼して選んだ国会でも、ただちに解散できるようなこんな権限がどこにありますか。それから今の軍隊をすぐ出す、非常命令を出すところの、統帥権にひとしいものを、また警察をあの吉田さんに持たしたら、何をしますか。きのうですか、参議院での録音を聞いておつたが、吉田さん、あなたは気違いですと言われておる。しかもあなたも御承知通り、今決議しているでしよう。この間法務大臣が権限を発動したことは行き過ぎだ、改めよという決議である。それではたして改めるかどうかわからぬ。そういつた常識で考えられぬような総理が出た場合――私は今後出ないとも限らぬと思うが、そんなことでどうしますか。これではたして地方住民の協力が得られると思うか。しかも大都市の現在持つている自治体警察、これはわれわれせつかく親しんで、せつかくここまで苦労してこしらえ上げて来たのであるから、これを置いてほしいというのを、どうしても取上げる。そんな住民の意思に対して取上げて、警察に協力することができますか。そうなつて、協力のないところに治安維持はありません。あなたは武力をもつてしたら鎮圧できると考えているかしれませんが、同じ日本人です。それを武力あるいは権力によつて鎮圧できると考えることは、これは昔の最も悪いところの権力政治というか、自分たちのやつた悪いことをちやんとたなに上げて、不平があればそれを武力をもつて弾圧する、こういう物の考え方は、これは昔の土下座しておつた封建時代のことです。それをやろうというのです。私はどうしてもわからぬ。そこで多くを言いませんが、私の聞きたいことは、いかにしたら住民のほんとうに治安に対する共同責任、われわれの郷土はおれらが守る、われわれの国はおれらが守るという、愛国というか、郷土を守るというか、いわゆる治安維持の共同責任に立つような態勢をどうしてつくるか、それは今改めた方がつくれるのか。あるいは現在において能率々々と言つて犯罪を検挙するために、善良な国民がどれだけ犠牲になつておるか。能率をやたらに上げることは住民に迷惑を及ぼし、住民の基本的な人権を非常に蹂躙した結果において能率が上るということは、かえつて無意味ではないか。そのことは別として、住民の協力を得られるような態勢はどうしたらよいかということ――私は今完全なものとは言いません。しばしば齋藤さんから説明のあつたように、自治体警察国家警察の二本建、あるいは人事の交流、あるいは連絡、その他いろいろな点において改める点が、まだ日なお浅いから、あるかもしれませんが、それがあるならば、その欠陥を補うように努力する。どうしたらできるか、もつとほんとうに衝に当つておる人が、あるいは地方住民あるいは専門家との間において、それをよりよくしようとする努力をせずに、ただ一挙にして一つの中央集権的にやつて来て、命令一下どうでもできるという物の考え方は――ことに小坂さんがこれを担当してやろうというのですが、小坂さんは官僚とは思わない。私は前の法務大臣にもそう言つたのですが、あなたの手元でやられるということは、お父さんが泣きますよ、こう言つたことがございますが、こういうことを一体どうして考えるか。木村長官は同じ治安に対する責任大臣でありますから、一体どうすれば住民の協力が得られるか、この点です。いわゆる自治体警察を廃止して国警一本にして国警も自治警と言えば、それでもよろしいが、あの人的配置から、命令系統から、こういう非常事態をただちに総理大臣がやれるような機構で、はたして住民の協力を得て治安がほんとうに守れるかどうか。こういうことについて、これははなはだ抽象的なことかもしれませんけれども、私の問わんとするところは、どうしたら住民の協力が得られるか、この法を改正した方がはたして協力が得られるかどうかということを、治安関係のある大臣だから、特にあなたはめつたに来られぬ人ですから、この機会にひとつお尋ね申し上げたい。
  77. 木村篤太郎

    木村国務大臣 大矢委員のお話の、日本治安維持するについては国民の協力をまたなければならぬ、まつたく同感であります。すべてのことは国民の協力を得なければならぬが、特に日本治安維持するについては、国民の協力をまたなければならぬということは、最も重大なことである。同感しごくであります。いかにして国民の協力を得るかということについては、いろいろな方法がありましよう。私は及はずながら、小にしては自分の生れ故郷の県において、いかにすれば県民一体となつてその県のよきところを伸ばして行くかということについて頭を悩ましております。警察の問題にいたしましても、私は特に考えられることは、何も自治体警察の建前をなくそうというわけのものじやないと考えております。いわゆる府県警察なんであります。そこでこの法案の一番ねらつておるところは、機動的に連絡をよくして、能率的にやろうということであろう。ここがねらいであると思います。従来の警察を見てみると、これは率直に申しまして非常に非能率的であり、また機動的に欠くところがある。つらつら思うに、私も直接関係しておつたのですが、あの大阪の吹田事件なんかでありましようか。互いに責任のなすり合いでああいうことになつたらどうなるか。(「あれは違うよ」と呼ぶ者あり)そうじやないか……。(笑声)われわれはどうして警察がきわめて能率的に、経済的に、機動的に目標に向つて進むことが、もつと必要であろうと考えております。民衆と離反した警察をつくろうという考えは毛頭ないのであります。この警察法ができましても、国民の協力を十分お願いしたい、こう私は考える次第であります。
  78. 大矢省三

    ○大矢委員 私は議論しようとは思いませんが、そういう具体的な問題についてはいろいろ意見があります。また実際的にも私はよく聞いておるから知つておりますが、日本軍隊責任を持つている木村さんに、警察のああいう小さな問題を話したつてしようがない。(笑声)ただ一つ、今自治体警察を残してほしいという非常に強い意見があることは御承知でしようね。それから特に、あなたが生まれたところの選挙母体といいますか、選挙区の奈良市において、この間ラジオの放送討論会か街頭録音かがあつた。この参考資料を見てもわかるように、一人もあれがよいと言つておらぬ。自治体警察が一番いい、こう言つておる。それなのにあなた一人ががんばつても、それはもういけない。輿論を無視した政治というものはあり得ない。それを独断という。従つてこういうことになる。これは吹田事件のことだけじやない。正月の三重橋の事件等も、みなそれはここで論議したことなんです。参考人も呼んだが、そんなことは一つもないと言つておる。だから、そういうことに何かりくつをつけて、しかも大きな改革をやろうとするときにはそうあるのですが、個々の問題は別として、いかにも輿論に対して感覚が薄いといいますか、特に郷土の奈良県の街頭録音でもわかるように、あれほど反対のあるものを、まだその方がいいんだと独断されることについては、私はもう一度考慮願いたいと思います。これは意見ですから、答弁はよろしゆうございます。
  79. 中井一夫

    中井委員長 木村国務大臣に対する御、質疑はございませんか。それでは国務大臣に対する質疑は終了しましたから、御退席あつてよろしゆうございます。  引続き大石ヨシエ君。
  80. 大石ヨシエ

    ○大石委員 小坂さんに聞きましても、小坂さんは新米ですから、それで気の毒でありますから、私は別の観点から齋藤国警長官に質問いたします。それは齋藤さん、先ほど大矢先生、それから中井先生がおつしやいました通り輿論というものを無視しては真の民主政治ではございません。そこで、ひとつ私が交換条件を出したい。それはどういう交換条件を出すかと申しますと、自治体警察国家警察二つ置いてほしい。  そこでこれは私今思いつきでありますが、税務官吏というものは――酒、タバコ、アルコールの密造、これの逮捕権は大蔵省の者が持つておる。さようでございますか、お教えを願いたい。
  81. 斎藤昇

    ○斎藤(昇)政府委員 ただいまおあげになりました税務官吏の中には特別司法警察官として、密造酒あるいは税関法違反というものを取調べ、逮捕する権限を持つております。
  82. 大石ヨシエ

    ○大石委員 それから第二点、麻薬取締り、これは私は厚生省の事務官が持つておると思うが、いかがですか、お教え願いたいと思います。
  83. 斎藤昇

    ○斎藤(昇)政府委員 厚生省の所管のもとにあります麻薬取締官というものは、ただいまの御意見通り、やはり麻薬に関係して取締り権限を持つております。
  84. 大石ヨシエ

    ○大石委員 それから第三点、出入国審査官、これは管理庁が持つておりますか、やはり私は出入国に対する管理に対して、この人たちが逮捕権を持つておると思うのですが、いかがでございましようか。
  85. 斎藤昇

    ○斎藤(昇)政府委員 入国管理局、ただいま法務省の所管でございますが、入国警備官、これはやはり密入国あるいは出入国管理令違反の事案に対して、取締りの権限を持つております。
  86. 大石ヨシエ

    ○大石委員 しからばパスポートの、ヴイザを検閲する。これは一体たれが検閲する権限を持つておりますか。
  87. 斎藤昇

    ○斎藤(昇)政府委員 パスポートを持つて入国して来た場合というのは、これはやはり入国審査官が権限を持つております。
  88. 大石ヨシエ

    ○大石委員 そうすると、パスポートを持つてつても、日本に入るのには、日本に入国するパスポートにヴイザがなければならぬ、それを検閲するのは外務省と違いますか、いかがですか。
  89. 斎藤昇

    ○斎藤(昇)政府委員 ヴイザを与えますのは、日本の外務省、あるいは外務省の出先の大使館、公使館とかいうところでウイザを与えます。このヴイザを持つて入国しておるかどうか、外国から日本へ入つて来ますね、そのときにあなたは適法にヴィザを持つておりますかどうかといつて検閲するのは、これは入国審査官であります。
  90. 大石ヨシエ

    ○大石委員 そうすると不法入国した者に対して、これはだれが逮捕権を打つておりますか。
  91. 斎藤昇

    ○斎藤(昇)政府委員 これは一般警察官あるいは海上保安官等の一般の警察取締権限を打つた者と、それから先は先ほど申しました入国審査官であります。
  92. 大石ヨシエ

    ○大石委員 先ほどの一般警察官等というのは、自治体警察ですか、それとも国警ですか。何をさしてあなたはおつしやつておられますか。
  93. 斎藤昇

    ○斎藤(昇)政府委員 これは法律違反でありますから、自治体警察の吏員も、国家警察警察官も、どちらも持つております。
  94. 大石ヨシエ

    ○大石委員 それから山林があります。その山林を管理するため、盗伐を取締るために、山林主事というものが各府県におります。この農林省の人たちは一体どうなのですか。逮捕権を持つておるのですか。この点もお教え願いたいと思います。
  95. 斎藤昇

    ○斎藤(昇)政府委員 国有林野あるいはその国有林野から生ずる産物等に関する罪でございますけれども、これを盗伐するとか何とか、そういう問題につきましては、営林署の職員が特別司法警察官として取締りの権限を持つております。
  96. 大石ヨシエ

    ○大石委員 すると、これは逮捕権を持つておるのですね。
  97. 斎藤昇

    ○斎藤(昇)政府委員 持つております。
  98. 大石ヨシエ

    ○大石委員 そうすると税務官吏、麻薬取締官、入国審査官、森林主事、海上保安庁、管区海上保安本部、水上警察、鉄道公安官、こういうようなものは区々別々に警察事務に携わつておる。こういうことは非常に煩雑であります。これは私は国警でこういう仕事をなさるのがほんとうであると思います。決して私は齋藤さんをひいきするのではおりませんよ。こうした逮捕権はあなたの方の国警に、全部今回の法案にお入れになつて自治体警察を置いておきたい。この交換条件はいかがですか。御返事いただきたい。
  99. 斎藤昇

    ○斎藤(昇)政府委員 ただいまおあげになりましたような特別司法警察職員と、一般警察職員、これをいかに統合按配するかという問題もございますが、特別司法警察職員はそれぞれその職域に応じまして、特別な知識とか特別な経験というものを持つているということも必要でありますので、ただ一概に各種のものがいろいろある、それだけの理由から一つにして、しまうというわけにも参りません。たとえば営林局の職員が森林盗伐について権限を持つておるといいます場合に、それじやこれるやめて、そのかわりに普通の警察官で充てるか――やめればそれにかわりを置かなければなりませんがにこの営林署の職員は、同時にまた他の営林局関係の仕事もいたすわでありますからどちらが経済的で、どちらが能率的か、必ずしも全部一つにしてしまう力が経済的だとはかり限らない場合もあるのでありますから、これらの点は十分よく考えて参りませんと、一挙にやりますと、りくつは通つたようでかえつて仕事がやのにくくなつたりする場合もありますので、十分研究をいたしたい、かのように考えておるのであります。
  100. 大石ヨシエ

    ○大石委員 それから海上保安庁と管区本部があります。この管区本部と海上保安庁とタブつた仕事をしておる。一昨日も言いました通り。それと水上警察、これはみなタブつておる。こういうようなものは私は国警に入れて、今度の法案の中に入れる、但し自治体警察は残す、この条件のもとにこれを一括して、そうして国家警察と自治体警察の二本建にしていただきたい。これはいやですか、好きですか、どうですか。
  101. 斎藤昇

    ○斎藤(昇)政府委員 海上保安庁と水上警察関係は、先般も申し上げた通りでございましてこれはそう簡単には処理できない問題であります。自治体警察国家地方警察の二本建を府県警察の一本建にかえるというのは、また別の理由で、普通の警察を、大臣もお述べになつておりますように、できるだけ日本の国情に沿うた、国民の信頼にもこたえられる民主的な警察にしたいという趣旨でありますから、これは振りかえるというわけには参りません。
  102. 大石ヨシエ

    ○大石委員 実はよく研究しているのです。海上保安庁と管区本部と水上警察と三箇所へ行つて調べてみたのですが、三つがダブつている。これを何とか国警に一つにかためる必要があると思う。これは私が実際痛切に感じておるのです。舞鶴には海上保安庁がある。そして第八管区本部がある。それから水上警察がある。そうするとこの三箇所に行つて漁師は調べられる。これでみな非常に困つております。それで私はずつとこれを調べて来たんですが、これは確かに国警にすべきであります。そうして自治体警察は良治体警察としてあくまで残す。先ほども中井先生、門司先生からおつしやいましたから私はくどくどしく言いませんが、こういうことをしますと、先日秘密会議で共産党のことを聞かしていただきましたが、一体日本が今日負けたのはいわゆる防共協定、つまり日本、イタア、ドイツこの三国が共産党をなくしようじやないかという協定のもとに、日本に遂に戦争に負けたゆえだ。私はぜひ今回民衆の輿論を尊重して、自治体警察を置いていただきたい小坂さん、あんた新米ですけれども、ひとつくよ考えていただきまして、ぜひとも国家警察と自治体警察二つ置いてくださいますことを切にお願いたしまして私の質問は打切ります。どうです、頼みますよ。
  103. 石村英雄

    石村委員 小坂さんに簡単なことをお尋ねいたしますが、今度の警察法改正政府の意図はどこにあるかは別といたしまして、この改正案を見ますと、これは結局独裁者に対して都合のいい警察になるように思われるのですが、小坂さんがそういうふうにお考えになるかどうか知りませんが、もし独裁者に都合の、悪い現行警察法よりも都合の悪い改正案だというお考えなら、今度の改正案のどの点とどの点が、従来の警察法よりも独裁者に対して都合の悪いものだという点をあげていただきたいと思います。
  104. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 独裁者に対して都合がいいか悪いかというお話がございましたが、われわれ民主的な日本を建設するということで考えておりますものにとりましては、独裁者ということは実は予定していないので、この法案について、しばしば御説明申し上げましたように、要するにこの法案は民主的な保障をまず第一にして、具体的に申しますと、公安委員会という良識ある機関があるのであります。この公安委員会警察長を管理するのであります。そこで私どもの意図しておりますのは、現在のように国警と自治警とが並存しておりますということは、いろいろな点で運営上の円滑を欠く点もあるので、これはひとつ民主的な府県警察にしよう、こういうことなんであります。その連絡をよくいたしまして、しかも経費のかからぬようにする、経費というものをできるだけ節減して、日本の経済の事情は困難なのでありますから、そうした経費をできるだけ民生安定の諸経費にまわそうということで、独裁なんということは毛頭考えておりません。
  105. 石村英雄

    石村委員 さつき大矢さんのお話だと、吉田さんも独裁者になつて来るわけなんですが、そうした論議は別にいたしまして、今度の警察法改正は、独裁者がかりに現われたとする場合、この警察を使つてやることが、現在の警察法よりも非常に都合がいいように思うのです。その点どの点がどうだ、どの点がどうだということは、意見の相違になると思いますから申し上げませんが、小坂さんにお尋ねするのは、今度の改正法のどこに、そうした独裁者が出たときに都合の悪い用意がしてあるのだというこということをお聞きするわけなんです。現在でも公安委員会はあるわけですから、現在の警察法よりも、より独裁者が出ないようにどこにちやんとしてあるのだということをお聞きするわけなんです。
  106. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 独裁者が出たらどうするかというお話ですが、そういう仮定の問題に対しては、仮定をもつてお答えするよりほかないと思います。たとえば幽霊が出たらお前どうするか、私は科学的に幽霊というものは存在しないと考えておりますから、その場合どうすると言われても、私は返事のしようが、ちよつとむずかしいと思います。
  107. 石村英雄

    石村委員 独裁ということは考えられない、こうおつしやるのですが、しかし今まで独裁者というものは、外国でも出て来るわけなんで、絶対に出ないという予想はできないと思います。だから今度の警察法というものは、独裁者に非常に都合がいいようにできておるように思うわけなんですが、そうでないというところをあげていただきたいというわけなんです。
  108. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 私は今のお答えで足りておると思いましたが、重ねての御質問でありまするが、まず第一に議会政治というものが、今日日本の政治の根本で、あるという点を申し上げれば、われわれは何ゆえに独裁者というものは存在し得ないかと言つておるということのお答えになるかと思います。
  109. 西村力弥

    ○西村(力)委員 仮定の問題でなく、事実で私は一つお聞きしたいと思うのです。申すまでもなく、検察庁法の第十四条があるからというて、犬養さんの詰腹を切らしてまでも強引に押し切つた吉田総理の独裁ぶりというものは、これは国民が全部憤懣しておると思う。しかもそれは形式的に十四条があるからやれるのだというぐあいに逃げておるだけであつて、実際は独裁そのものである、私はこう思わざるを得ない。そういう現実の問題があつた。それは国政の審議促進するとか、あるいは国際的な見地とか、さまざま言いまするけれども、新聞論調に批評しておる通り、それは政府のためであり、また一部の人々のためであるというぐあいに、はつきり評価されておるわけなんです。そういうことがこの警察法の仕組みで防ぎ得るかどうか。吉田さんがああいうぐあいに一喝を食らわして、そして犬養さんが詰腹を切らなければならぬぐあいに持つて行く、そういう場合に、これを阻止する方法があるかどうか、そういう保障をこの警察法のどこでやつておるか。それは公安委員会が中間的にやつておるとかなんとかおつしやるでしようけれども、そういうことはとうていわれわれは受入れられないところに来ておる、かように思うわけです。その点についてひとつはつきりとお答え願いたい。
  110. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 独裁者云々の保障についてでありますが、まず日本国憲法並びに国会の制度、並びにこの警察法においては、公安委員会制度というものが民主的に運営さるべく規定されておるのであります。そういう懸念がないと申し上げておるのであります。今お話の検察庁法十四条の問題でありますが、あれは法務大臣が検察庁を指揮し得るということに十四条はなつております。従つてこれは適法でございまするが、その当、不当というものは、国会できめられればいい問題であります。そういうことが独裁的に、いわゆる一人の意思をもつて、当、不当までも規律することができないようになつておるというのが、民主主義の社会だ、国会制度のある社会だ、こう思つております。
  111. 西村力弥

    ○西村(力)委員 そういうことになりますると、犬養さんは前々から法務委員会では、こういうことは話合いで、これを強引に執行しようとは思わない、そういうことは指揮権の逸脱である、こういうことを言つておつた。それからまたあの人の苦悩の状態をずつと見ておると、決してみずから進んでやつたわけではない。それは圧力でもつてやつだということになるわけであるから、それほどおつしやるならば、国会の何でやられるとするならば、はつきり犬養さんが検察当局の要請を受入れて、国会に許諾云々を堂々と出してくれればいいわけです。そこではつきり国会の意思がきめられる。そういう情勢に置かないで、国会においてきめられるのだからそれが民主主義、こういうようことはわれわれとしては受入れられない。それはいかがなものでございましようか。
  112. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 私は国会の意思というものが何ものにも優先する、これが民主主義政治の根本であるということを申し上げておるのであります。
  113. 西村力弥

    ○西村(力)委員 国会の意思を表明することをシヤツト・アウトしておいて、それが国会の意思が最優先するのが民主主義だというのは、これは言いのがれ以外の何ものでもないと思うのでありますが、そこはいかがでございますか。
  114. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 シヤツト・アウトするというお話でございましたが、そういう意図は全然私どもは持つておりません。
  115. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 先ほどから小坂さんは、日本の現在の憲法で行けば、独裁者は出ない、仮定の問題だと言われておりますが、これは私は少し軽卒だと思います。過去の歴史をひとつ考えてもらいたい。ヒトラーは今フアツシヨの大将だと言われておりますが、あのヒトラーも一九三三年には議会で絶対多数をとつて出たのです。そのときの大統領はヒンデンブルグ、これを大いに担いで四年間やつて、一九三七年に、私はちようどドイツに行つたから言うのですが、ドイツ全国に標語を張つて、何と言いましたか。われにさらに四年間を与えよという運動をやつた。やはり二回目も一応議会の形をとつた。しかも全部脱法行為的な法律をどんどんつくりました。絶対多数々とつておれば、そこまで行けるのです。過去においてそういう例がある。それは日本とドイツは違うでありましようし、われわれはそういうこと希望はいたしませんよ。またそんなこと予言もいたしませんが、しかしそういうことは絶対にないというふうなお考えは、私は実に甘いと思うのですが、どうですか。
  116. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 私は日本国憲法は非常に民主的な憲法であると考えております。それが独裁者がかりに出るといたしますと、これは結局独裁者を出すか出さないかということは、憲法の適正な運営がなされるかどうかという、ことにかかると思うのです。私どもは右も左も独裁者を出さぬように努力をいたしたい、こう考えております。
  117. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 努力をすなというお考えならまことにけつこうでありますが、そういう心配は実際ある。あなたは憲法々々と言われるけれども、憲法も改正すればいいわけです。三分の二以上になれば改正できる。まあ努力するということで私はわかりました。
  118. 門司亮

    門司委員 ちよつとこの機会に、警察法審議をいたしますについて、この辺でぼつぼつ当局にお願いしたいことがありますから、申し上げておきます。この委員会が今までずつと開かれておりまして、各委員から資料の要求があつたのがたくさんあります。従つてその資料の要求をされたものはぜひひとつすみやかに出してもらいませんと、これから先の各条審議その他に支障ができると考えられます。従つて今まで要求した資料を全部一応そろえてもらいたいと考えております。  それで資料の内容は、二月十九日に大矢委員から、警察が自治警と国警にわかれた以前の警察官数、及び府県の配置、警察に身柄を拘束されて起訴された者、及び不起訴または単なる嫌疑であつた者の対照表、ピストルによる暴発数及び威嚇発射数これに対する処分及び負傷者というものの資料の要求がなされております。その中で、一と二は資料を出されておるようでありますが、三が出ておりません。それから二十五日に伊瀬君から左翼共産党の地下組織に対する実態並びに私から右翼の状態を要求してありますが、これは一応書類となつて出ておるようであります。それから二十六日に北山君から、国警本部で地方の府県警察に対して出した訓令、指示事項、注意事項会議に示したもの等の資料をひとつ出してもらいたいということになつております。それから中井委員長から、警察関係の官吏数及び各予算、今回の行革に対する人員予算増減関係の調査の資料を要求されております。それから三月の二日には人権擁護に関する過去三箇年間の事例を出してもらいたいということになつておりますが、これが二十六年度中の資料しか出ていないようであります。従つて過去三箇年の分をひとつ――これは何か勘違いしたのではないかと思いますが、三年前のものが出ておりまして、二十七年と二十八年が出ておりません。それから二月の五日には、私から、各自治体警察の今日までの費用と府県の公安委員会の費用、これは府県別であります。それから市町村公安委員会の費用、この資料の要求をいたしております。これは出ておるようでありますか、これは単なる公安委員会の使つた費用であります。府県はもちろん警察費用はございませんので、これは市町村公安委員会等の費用の関係であります。警察費とは別の関係であります。それから三月の九日にやはり私から、国家公安委員会の活動状況月報をひとつ出してもらいたいということを要求をいたしておりますが、そのことのためには、一応書類の提出がございましたが、それは会議録ではございませんで、単なる会議録の目録みたいなものでありまして、ただ何日に会議を開いたということだけでありまして、出席委員の名前も書いてなければ何もないのであります。こういうものは資料にも何もなりはしない。われわれの聞きたい思うのは、今までの公安委員会がいかなる形で開かれたかということであります。仄聞するところによりますと、委員会に二人ぐらいしかお出にならぬときがある。公安委員会に二人ぐらいしか出ていないときに、可否同数になつた場合には、結局今度の委員会では委員長が決することになつておりますから、この点詳細な、従来の行き方を見たいと思つておるのに、そういうことがちつとも書かれていない、こういうずさんなものではなく、もう少し会議録らしいものを書いてもらいたい。国家の治安の一番大元の公安委員会に、会議録がないというような不都合な話はないと思う。ぜひひとつ出してもらいたい。それから同じ日に国警と自治警察費用の資料を大矢委員から要求されております。同じ日にやはり藤田君から、国警と自警との能率に関する各国、各地にわたる総合的の資料を出してもらいたいという要求があります。たとえば自動車免許に関する実際の専従者数、あるいは件数等の比較というように書いております。それから四月の十四日には私から、国家公安委員会責任の明確化が期されていなかつたというが、一体責任の明確化の実例があるなら、その実例を示してもらいたいという要求をいたしてありますが、これらの資料は出ておりません。それからさらに四月の十七日に、いわゆる市町村の寄付行為に関する資料を要求いたしておりますが、市町村国家地方警察に寄付いたしましたその資料がまだ出ておりません。これらの資料をひとつぜひ逐条審議に入ります前に提出していただきませんと、われわれの審議の過程において、われわれが必要ありとして要求した資料でございますので、当局は責任を持つてすみやかにこの資料の提出を委員長からお願いをしていただきたいと思います。
  119. 西村力弥

    ○西村(力)委員 資料を一つだけ追加してもらいたいと思います。警察官の懲罰事例、これをひとつ出してもらいたいと思います。これはずつと長い期間にわたりましてのものを、お願いしたいと思います。
  120. 中井一夫

    中井委員長 それは国警、自警両方にわたつてですね。
  121. 西村力弥

    ○西村(力)委員 両方できるだけお願いしたい。できないならば、国警だけでもけつこうです。
  122. 中井一夫

    中井委員長 今の西村君の御要求は、できるならば両方がいいが、もし、できなければ国警だけでよろしい、こういう趣旨であリます。それから今の門司君から御要求になつたあの問題はいかがですか、準備はされておりましような。
  123. 斎藤昇

    ○斎藤(昇)政府委員 準備をいたしております。ただいまお読み上げになりました部分を、もう一度検討いたしまして至急に出すようにいたしたいと思います。大部分お出しをいたしておりますが、若干取違えておつたところがあるかと思いますから……。ただ今の資料の中で藤田さんから御要求になられたという、世界各国の警察の能率の比較とかいうのは……
  124. 門司亮

    門司委員 世界各国という言葉があれば間違つておりまして、ここに全国と書いてありますので、日本全国の各地のものであります。
  125. 灘尾弘吉

    灘尾委員 本委員会における警察二案法に関する審議も、各委員の熱心なる御審議によりまして、よほど進行いたしたように考えるのであります。この辺で三法案に対する総括質問を打切られまして、次の段階に進まれんことことを希望いたします。
  126. 中井一夫

    中井委員長 お伺いいたしますが、今の趣旨は、一応総括質問は打切つて、逐条審議に入るという趣旨と承つていいのでございますか。
  127. 灘尾弘吉

    灘尾委員 さようでございます。
  128. 門司亮

    門司委員 国警の長官に来ていただきまして長い間審議いたしておりますが、しかし審議の過程から申し上げますと、犬養大臣の出席がきわめて悪かつたのであります。従つて総括質問と申し上げましても、大体説明員を対象にしたことが非常に長かつたのであります。それから小坂さんにおかわりになつてから、あまり総括質問というものはなされていないというのが実情だと思います。私自身といたしましては、塚田長官出席を求めたままであり、その後犬養さんに聞いておりませんので、実際は相当総括的のものを聞かなければならないと思います。しかし審議はかなり長く行われておりますので、次の段階に移ることに私どもは必ずしも反対はいたしませんが、しかし問題によりましては、やはり大臣に出て来ていただきませんと、結局つかえてどうにもならない事態が必ずできると思います。従つて大臣にはできるだけ毎日出席していただきます。そして十分審議が行われるように御配慮願つておきたいと思います。  それから同時にお願いしておきますことは、――これはこの際特に委員長にお願いすることでありますが、この警察法審議いたしますには、先ごろの委員会で私からも申し上げましたように、自治庁の関係法律整理するか、あるいは地方自治法の改正を行わなければならないことに私はなりはしないかと考えているのであります。警察法改正されますについての関係した法令をいろいろ改正されておりますが、その中には自治法の関係はほとんど入つておりません。従つて現行自治法と新しい警察法との関連性がありますので、自治法の改正政府当局において用意されているとするならば、これも警察法審議の終らないうちに、すみやかにここに出してもらいまして、われわれはやはりそれに対する質疑行つて行きたい。そして警察法改正警察法改正として、各方面から完璧を期して行きたい。警察法改正を急いだあまり、自治法の改正のときにそれらの意見というようなものが、まつたく無視されるようなことがあつてはならないと思いますので、委員長からひとつ自治庁の方に督促をしていただきまして、地方自治法の改正案を今国会中に提出するというならば、すみやかにそれを出していただきまして、警察法審議に便宜を与えていただきますようおとりはからいを、この機会に願いたいと思います。
  129. 中井一夫

    中井委員長 お答えいたします。自治法の改正案の提出につきましては、先般も同様の御趣旨の御要求がありましたので、自治庁へはよく申し伝えてございますが、なおあらためてさらにこれを申し伝えることにいたします。  なお小坂国務大臣出席につきましては、特別に勉強して必ず出席する旨の申出がございましたから、これからも必ずそうなることであろうと思います。
  130. 西村力弥

    ○西村(力)委員 自治法の改正を申し伝えるだけでは、私はちよつと不満でございます。委員長も、警察法審議と自治法の改正というものが不可分のものであるという見解をお述べを願いたいたい。そういう見解を委員長としてはとられませんか。
  131. 中井一夫

    中井委員長 お答えいたします。自治法と警察法の問題がきわめて緊密なる関係にあることは申し上げるまでもございませんが、これが不可分の関係にありということを申し上げてよろしいか、どうかは、ひとつ研究いたしました上、お答えすることにお許しを得たいと思います。
  132. 石村英雄

    石村委員 小坂さんにお願いですが、委員長は勉強してと言われたが、出席も勉強していただきたいのですが、法案もよく勉強して御答弁願いたいのです。にわかにお引受けになつたので、これまでのところはあるいはやむを得ないかもしれませんが、答弁を聞いておると吉田さんみたいな答弁が多くて困りますので、その点もよく御勉強願いたいと思います。
  133. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 しかと心得ました。
  134. 中井一夫

    中井委員長 それでは本日をもつて警察両案に対する総体質問は終了いたすこととし、次会よりは逐条審議に入ることに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者在り〕
  135. 中井一夫

    中井委員長 御異議なしと認め、さように決定いたします。  明日は午前十時半より開会をいたすこととし、本日はこれにて散会いたします。     午後五時四十二分散会