○門司
委員 私はただいま提案されております
地方財政平衡交付金法の一部
改正に関する
法律案並びに提案されております修正案に対して、社会党を代表して反対の意見を申し上げたいと思うのであります。
第一に原案に対して反対をいたしたいと思いますことは、この原案自体が非常に大きな誤りを持
つておるのではないかということであります。すなわち法案の取扱いといたしまして、ここに
地方財政平衡交付金法の一部を
改正する
法律案という題名のもとに、その内容は
地方交付税を交付する、こういうことにな
つております。
法律の取扱いから申し上げますならば、題名がかわれば当然、現行法の
改正案あるいは修正案でなくして、別個の
法律として出して来るということが、私は正しいと
考えるのである。
従つてまずここにこの
法律の取扱いの上において、一点の大きな疑義を持
つておるということであります。
その次には、さらにそれの内容でありますが、内容につきましては、大体この法案が当然、先ほど
北山君からも申し上げましたように、
地方制度調査会の答申案、
説明書に基くといたしますならば、その内容がか
つての配付税法的の性格にな
つて来なければならないのにもかかわらず、まつたく前の
地方財政平衡交付金法の内容と同じような内容にな
つておるということ、
従つてこの法案自身は題名と内容とが違う。これは非常に大きな問題である。
従つて法案全体がいかにも題名にとらわれたごまかしの法案であるということが一応言えるかと思うのであります。
なおこの法案の内容につきましては所得税、あるいは法人税、酒税の二〇%を
地方財源として付与するということにな
つておるのでありますが、この
財源は予算面において見てみますならば非常に過小であ
つて、いわゆる千二百十六億しか予算面に見てない。昨二十八年の
平衡交付金の
総額は一千三百七十六億であ
つて、
従つて百六十億の減収に
地方はなるということになるのであります。
政府はこの間においてタバコ消費税を
地方に与えるからと申しておりますが、このタバコ消費税の中からの百六十億というものは、当然私
どもは
地方に付与されるものから削除して
考えなければならないということにな
つておる。同時にこの法案の内客が、先ほど来申し上げておりますように、配付税的の性格を持たない、交付税的の性格を持ちまする
関係から出て参りますものはどういう欠陥かといえば、か
つての配付税でありますならば、
年度の半ばにおいてもし
財源が足らない場合は、これが
追加更正予算としてこれを見積ることが十分できたのでありますが、今度一定の額に定められます以上は、その額の範囲内においてこれが処理されるということであ
つて、その
年度における
赤字を従来の
地方財政平衡交付金というようなあり方においては求めることができなくな
つて来ておる。それをカバーすることのために、翌々
年度にな
つて初めて決済された
決算額の二〇%の支給するということにな
つておりますので、その
年度年度をおける
地方財政というものは、非常に私は従来よりもきゆにくつなものができるのじやないかということを
考えざるを得ないのであります。この点については、私
どもは遺憾ながら原案の非常に大きな欠陥として、まず
指摘しておくべき点であると
考えておるのであります。さらにこの案の全体を通じて見ますと、先ほどから申し上げておりますようなきわめてあいまいな案であ
つて、整わざる案であるということは、一つの大きな問題である。これによ
つて地方財政の安定感というものは、私
どもは得られないということを申し上げておかなければならないのであります。
次に問問題にな
つて参りますものは、例の修正案の内容であります。なるほど修正案において二〇%を二五%に上げて、一応の
財源を確保するということは、私は
処置としては当然こういう
処置がとらるべきであるということに反対するものではございませんが、しかしこれも三十
年度からということにな
つておりまして、二十九
年度においては何らの効果もございませんし、さらにその
配分の方法はやはり私は当然先ほ
ども申し上げておりますように、ある種のものは、修正案の提案者も申しておりましたように、
地方に対する自主
財源というものはどうしても与えなければならない。そういたしますと、配付の方法をかえて、ただ
財政基準による
需要額あるいは
収入額というようなものの
算定をするだけではありませんで、やはり納税の額に応じてこれを
配分するという、いわゆるほんとうの自主
財源がここに与えられなければ、この税制の完全な役割を演じないだろうということは、何人にもいなめない事実であると
考えるのであります。その
処置が依然として修正案の中に講じられていないのであります。
従つてわれわれといたしましては、率はふえたとは申しながら、この率がふえたことにより、
地方の自主
財源がふえたとはなかなか言い切れない。私
どもは
地方の今日の
個々の自治体の
実態を見て参りますならば、資産内容等を検討いたして参りますならば、当然この修正案の中にはそういうものが織り込まれて、そうして真に
地方財政の
実態に沿う
財政処置が講じられるべきではなかつたかと
考えておるのであります。
最後に私は、先ほど大蔵当局から答弁をされておりますことについて、一言触れておきたいと思いますが、大蔵当局はこの修正案によ
つて三百億の交付税がふえて来るというこうは、国全体の予算の上において非常に大きな問題であるというような御答弁をされたのでありますが、このことは大蔵省はひ
とつ改めてもらいたい、
考え直してもらいたい。ということは、
昭和二十七
年度の
決算が今内閣総理大臣吉田茂氏の名前で衆議院議長あては提出されておりますが、
昭和二十七
年度の
決算の状態を見て参りまするときに、
地方財政の総
収入というものは八千五百三十億である、そうして歳出は八千四百二十億である。そうして翌
年度の繰越し歳出あるいは事業の繰延べ、支払いの繰延べというようなものを
考えて参りますると、これが二百九十六億ある。
従つて、実質的の
決算におきましては百八十五億の
財源不足とな
つておるということは、ちやんと総理大臣が堤衆議院議長に、
地方財政の
決算の状況として知らされている。さらにその次に、総理大臣の報告書をそのまま受取
つて読んでみますると、
財源不足額は、
地方の
個々の
自治団体を十分当
つて行くということにな
つて参りますと、実際には三百億の
赤字であるということで、総理大臣が
自治団体の
赤字というものを、はつきり
決算額において
指定されておるということを
政府当局においては御存じだと
考える。この場合に国庫
財政はどうな
つておるかと申し上げますと、長くなりますから最後の
数字だけしか申し上げませんが、国庫
財政の方を見て参りますと、二十七
年度の
決算額においてのすべての未払い、いわゆる二十八
年度に繰越しまする支払い、あるいは事業の繰延べというようなものを差引いて申しましても、なおかつ八百五十三億の黒字が出ているということがはつきり書かれている。そういう
決算額から見て参りまするならば、三百億くらいのものが
地方に配付されると申し上げましても、国の予算の上には何らの影響はないと
考えるが、その点一体大蔵省は御存じにな
つているかどうか。私は、この点は大蔵省はおそらく御存じなかつたのではないかと思う。こういう点を
考えて参りますならば、先ほどの大蔵省の御意見というものは、いたずらに中央
財政のみに依存されて
地方財政を顧みないところの、私
どもの最も遺憾とする答弁であつたということを、この機会に私は
指摘しておきたいと思う。以上を申し上げまして私の反対の意見を終ることにいたします。