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1954-04-12 第19回国会 衆議院 地方行政委員会 第42号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年四月十二日〔月曜日)     午前十一時五十四分開議  出席委員    委員長 中井 一夫君    理事 加藤 精三君 理事 佐藤 親弘君    理事 灘尾 弘吉君 理事 吉田 重延君    理事 鈴木 幹雄君 理事 門司  亮君       荒舩清十郎君    小澤佐重喜君       木村 武雄君    三池  信君       村上  勇君    山本 友一君       川崎 秀二君    床次 徳二君       阿部 五郎君    石村 英雄君       北山 愛郎君    横路 節雄君       大石ヨシエ君    小林  進君       辻  文雄君    細野三千雄君       松永  東君  出席国務大臣         国 務 大 臣 塚田十一郎君  出席政府委員         自治政務次官  青木  正君         自治庁次長   鈴木 俊一君         総理府事務官         (自治庁財政部         長)      後藤  博君         総理府事務官         (自治庁税務部         長)      奧野 誠亮君         大蔵政務次官  植木庚子郎君  委員外出席者         総理府事務官         (自治庁財政部         財政課長)   柴田  護君         大蔵事務官         (主計官)   鳩山威一郎君     ――――――――――――― 四月十二日  委員生田宏一君、前尾繁三郎君、濱地文平君、  西村力弥君、伊瀬幸太郎君、大矢省三君及び中  井徳次郎君辞任につき、その補欠として荒舩清  十郎君、村上勇君、小澤佐重喜君、阿部五郎  君、辻文雄君、細野三千雄君及び小林進君が議  長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 四月九日  クリーニング業に対する地方税軽減に関する請  願(松井政吉紹介)(第四二八七号)  同(舘林三喜男紹介)(第四三一二号)  同(臼井莊一君紹介)(第四三四一号)  同(長野長廣紹介)(第四三五八号)  広告代理業事業税免除に関する請  願(池田清志紹介)(第四三一一号)  選挙違反連座制強化に関する請願有田喜一  君紹介)(第四三一三号)  自家用自動車税軽減に関する請願關谷勝利君  紹介)(第四三五九号) の審査を本委員会に付託された。 同日  町村合併に伴う起債わく拡大並びにその確保  等に関する陳情書  (第二六八三号)  市制施行基準に関する陳情書  (第二六八四号)  クリーニング業に対する地方税軽減に関する陳  情書  (  第二六八五号)  バスに対する自動車税軽減に関する陳情書  (第二六八六号)  バス企業における外形標準課税廃止陳情書  (第二六八七号)  市町村自治体警察制度廃止反対陳情書  (第二  六八八号)  同(第二六八九  号)  同(第二六九〇  号)  同(第二六九一号)  警察制度改革に関する陳情書  (第二六九二号)  競輪の国庫納付金制度廃止に関する陳情書  (第二六九三  号)  軽油車税率引上げ等に関する陳情書  (第二六九九号)  知事官選制復活反対に関する陳情書  (第二七四四号)  市町村自治体警察制度廃止反対陳情書  (第二七四五号)  同(第二七四六  号)  公職選挙法改正に関する陳情書  (第二七四七号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  昭和二十九年度揮発油譲与税に関する法律案  (内閣提山第七六号)  地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案  (内閣提出第九二号)  地方財政法の一部を改正する法律案内閣提出  第一〇五号)     ―――――――――――――
  2. 中井一夫

    中井委員長 これより会議開きます。  本日は昭和二十九年度揮発油譲与税に関する法律案地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案及び地方財政法の一部を改正する法律案の三案を一括議題として質疑を続行いたします。質疑の通告がありますから順次これを許可いたします。北山愛郎君。
  3. 北山愛郎

    北山委員 地方財政計画交付税法に関連しまして、若干御質問をいたします。  まず最初に、本年の地方財政計画における基準財政収入算定につきまして、市町村民税計算におきましては、これは自治庁でもお認めになつておるように、半分は第二方式認めてそれでもつて計算をしておるということでございますが、それはすべてをいわゆる第一方式による標準税率——今度の改正でやれば、標準税率に対する百分の七十というものを基準としておらなければならぬという平衡交付金法の第十四条の第二項に違反しておるのではないか、かように考えるのですが、その点について御説明を願いたいと思います。
  4. 後藤博

    後藤政府委員 お答えいたします。財政計画の中には、市町村民税につきましては、半分だけオプシヨン・ツーが入つておるというふうに見ておりますけれども交付金算定のときの基準財政収入の場合の市町村民税はオプシヨンワンで出ております。第二方式をとらないもの、第一方式をとつておるものという計算で出しております。
  5. 北山愛郎

    北山委員 そういたしますと、地方財政計画算定上は交付金法算定と違えてもよろしいというのはどういう理由であるか、御説明願います。
  6. 後藤博

    後藤政府委員 財政計画の場合には、御存じの通り法定外普通税も入つておりますし、雑収入も入つております。しかし平衡交付金の場合には税だけを対象にいたしておりまして、平衡交付金単位費用一般財源をもつてまかなうべきものの費用を見ておるわけであります。従つてその場合には税だけを基準財政収入の方に入れて、その足りない分を平衡交付金で見る、こういう計算をいたしておるのであります。
  7. 北山愛郎

    北山委員 そういたしますと、地方財政計画におきましては大体半分を第一方式、半分を第二方式で見るというのが実態に合つておる、こういうわけでございますか。半分見るということは、これは便宜上だろうと思うのですが、実態はどういうふうになつておりますか。
  8. 後藤博

    後藤政府委員 私ども考え方は、平衡交付金総額をきめますときは、税以外のいろいろな雑収入でありますとかその他の収入を見ておるわけであります。そのきまつた総額個々府県配分いたしますときは、平衡交付金一般財源でありますので、一般財源を補填する、こういう考え方から別な計算方式をとつておるのであります。
  9. 北山愛郎

    北山委員 それでは次に揮発油譲与税に関連してでございますが、この前建設省の道路局長等から説明をいただいたのでございますが、その不十分な点を質問いたします。例の揮発油譲与税の七十九億のうち四十八億というものは、建設大臣指定する府県道に使うようにというような話でございましたが、それは建設大臣府県の方にこれこれの道路に使えと指定をしてやつた場合に、もしも都道府県の方でそれに使わないという場合、何かそれに強制をされるような法律上の根拠がどこにあるか、その点を実はせんだつてはつきりとはつい聞かなかつたものでありますから、その法律上の根拠、要するに建設大臣がこれこれの府県道にこの金を使えということが、一体どういう法律的根拠でできるものであるか、またもしも建設大臣指定通りに使わない場合には、それは法律の規定に違反するということになるものであるか、その点をお伺いします。
  10. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 揮発油譲与税の四十八億に相当いたしますものは、道路整備五箇年計画の実施のために必要な都道府県道改築または修繕のために要する費用に充てなければならないということは、揮発油譲与税法案の第六条に定めていることであります。しかしこれはあくまでもそういうような五箇年計画を実施するために必要な計画道路に使えということだけであつて、それ以上にその計画で定めましたどの部分に使うかということについては、法律上の根拠をもつて特に指示をするというようなことは、これは補助金と違うわけでありますから、そういうことはできないと思うのであります。法律上さような根拠はないと私ども考えている次第であります。ただ実際上の運営の問題といたしまして、五箇年計画つくります際に優先順位をつけまして、五箇年計画の第一年においては、こういう道路とこういう道路とを改築修繕をやるんだということを計画自体の上において明らかにいたしておきますならば、その結果として府県はそういうような経費揮発油譲与税を使う、そういうふうに使途を制限せられるという結果にはなると思いますが、しかし特に主務大臣からああいうふうに使いなさい、こういうふうに使いなさいという法律上の根拠はないと考えられるのであります。
  11. 北山愛郎

    北山委員 簡単にいろいろな問題に触れて行きたいと思うのですが、その揮発油譲与税地方配分される結果といたしまして、地方財政計画上新たに三十八億の需要がふえて参るという説明でございましたが、その関係についてもつと詳しく説明をいただきたいと思うのであります。要するに四十八億というものが都道府県建設大臣指定する道路費として譲与される。その結果として新たに地方都道府県としては三十八億の金が余分にいるというような関係になる。その関係について詳しく御説明をいただきたいと思います。
  12. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 道路整備五箇年計画使途揮発油譲与税のうち四十八億を充当するということになつているわけでございますが、その四十八億のうち十億だけは地方財政計画の中に新たなる財政需要として見込んでいるのであります。従つて残りの三十八億をどういうふうに処置するかということになるわけであります。これは要するに都道府県が自主的に都道府県自体改築修繕をしようと思つているものと、五箇年計画において改築修繕をすべきものと定めたものとがダブつております場合におきましては、その額だけは三十八億から引いて考えてよろしい。その額だけは特に財源の上で考えないでいいと思うのでございますが、それは計画の定め方によるのでありまして、まだ明らかでありませんが、かりにその部分を除きました三十八億につきましては、新たなる財政需要ということになりますので、結局他の何らかの経費を節減をいたすかあるいは新たなる起債わくの拡張によつて、これを処置するということのほかないわけでございまして、政府といたしましては将来さらにそれらの点について検討を加えて処置するようにいたして参りたいと考えているのであります。
  13. 北山愛郎

    北山委員 そういたしますと、いずれにしろ地方財政計画の上におきましては、揮発油譲与税関係において三十八億の財政需要というものの増を見なければならぬ。それからまた別にこれは自治庁の方でおつくりなつ資料によりますと、例の交付公債、これは今までの未納分償還に充てる分として、元利を二十九年度から五箇年に償還する分としまして、本年度におきまして十三億七百万円というものがいるようになつております。それから例の入場税税率を切り下げました結果として、五十九億九千四百万円というものが、本年度におきまして歳入欠陥となる見込みであるというようなお話でございますが、今申し上げたような三十八億あるいは公債費の増の十三億あるいは入場譲与税の減少五十九億九千四百万円というようなものは、本年度においてこれを財源的な措置をしなければならない経費になるのじやないかと思うのでありますが、これに対してどういうふうに自治庁としてはお考えになつておりますか、御説明をいただきたいと思います。
  14. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 ただいま御指摘になりましたような経費につきましては、自治庁といたしましては今後さらに適当な機会におきまして、できるだけ調整をいたすように努力したいと考えているのでございますが、なおただいま御指摘になりましたようなものは国会においても最終の御決定に相なつておりませんような段階でもありますので、それらの点の帰趨を見定めた上、今後考えて参りたいと思います。
  15. 北山愛郎

    北山委員 ただいまお話調整というのは、どういう形における調整であるか。あるいは国会ではまだ最終的にはきまつておらぬと言われますが、そうしますときまらないうちに何らかの予算的な措置を講ぜられるという意味であるか。その点もう少し具体的にお答えを願いたいのであります。
  16. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 政府としましては既定の財政規模の是正あるいは過去から今日に累積しております赤字の解消というようなことにつきましては、今回もある程度調整をいたしたのでございますけれども、なおこれをもつてすべて終れりという考え方ではないわけでございまして、今回の税財政制度改革帰趨を見定めました上、またさらに国会等におきます最終の御決定を見定めました上で、具体的に何らかの方策を樹立いたして措置をするように努力して参りたい、こう考えているわけであります。
  17. 北山愛郎

    北山委員 塚田長官にお尋ねをしますが、ただいま申し上げたような数字は明らかに自治庁の方でお認めになつている。また地方財政計画に計上されておらない、何らかの財源措置をしなければならない経費でございます。またそれと合せまして、すでにたとえば経常物件費における不足五十三億であるとか、あるいは国庫補助職員に対する給与費不足五十二億、あるいはまた先ほどの市町村民税における調整額というようなものを合せますと、相当な三百億以上の財源不足といいますか、すでに提案されました地方財政計画に今後追加をしなければならない必要額というものが、そこに現実に存在するということであります。そういたしますとすでに昭和二十八年度決算見込みにおいて生じて来る三百六十億の赤字プラス今申し上げたような三百億ばかりの赤字というものが、二十九年度計画通り行きますとふえるというようなことに相なるのでございますが、塚田長官はその点についてどういうふうにお考えになつているか。現実にこの計画によるとそういう数字が出ている。二十九年度においてもある種の赤字が過去の赤字追加をされるというような数字が出ているのでありますが、これについてはどういうふうにお考えになつているか。またどういうふうに処置をされるお考えであるか。この点を明確にしていただきたいと思うのであります。
  18. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 先ほどから次ぎ次ぎと問題として取上げていただいておりますものの中で、当初私ども財政計画を策定いたしますときに、すでにいろいろ胚胎しておつたもの、それからしてその後新しく出て来たものと二通りあると私は考えておるのであります。その後に新しく出て来たものにつきましては、私も御指摘のように今後国会側最終の御決定があり次第、少くとも二十九年については何らかの処置をしなくちやならないと考えておる次第であります。しかし当初財政計画を策定いたしました場合にすでにありましたものにつきましては、私どもとしましては、もちろん十分ではないけれども、今日のような国家情勢におきましては、国、地方を通じて最少の費用でもつて仕事をして行かなくちやならないという考え方で、これでもつて赤字が生じないように配分も気をつける、また今後自治団体においても御協力を願う、こういう考え方でおります従つてども地方財政に対する考え方は、必要なものは見なければならない、しかし必要の限りにおいて、今日の情勢というものを考えて節約をして財政運用をやつていただく、こういう考え方であるわけであります。
  19. 北山愛郎

    北山委員 必要なものと言われるのでありますが、その必要なものの数字というのは、ただいまお話を申し上げたような、しかも自治庁でも作業の結果出て来ておる数字がその必要な数字ではないか、私どもはかように考えておるのであります。もう具体的にそういう数字が出て来ておる。必要なものと言われるのですが、必要な現実が現われておる、それに対してはどうするかということをお伺いしたいわけであります。
  20. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 これは重ねてお答え申し上げますけれども、この地方財政赤字が出ているということは、御承知のように個々団体についての累積でありますので、これはまあおのずから別に考えて行かなければならない。ただ全体としてきめました数字配分をする際には、そういう点を十分気をつけて行かなければならないと考えるのでありますけれども、しかし地方財政の全体の総額としては、私どもが当初財政計画を策定いたしましたときの数字は、多少そういう意味不足かと思われるものもあるが、これはこの程度においてひとつまかなつて行くという考え方でわれわれも考え、また自治団体にも御協力を願うということでないと、国のこの緊縮財政と歩調が合わないのではないかという考え方をしているわけであります。
  21. 北山愛郎

    北山委員 そういうふうな、ただ必要なものは出してやるとかというふうな抽象的なお話でございますれば、何も地方財政計画などというような計画をつくる必要もない。必要に応じて出してやれば、小づかいを出せばいいということになるだろうと思うのですが、そうじやなくて、やはり現実政府地方交付税なり、あるいは平衡交付金というものを算定し、あるいは地方起債額決定するというようなものの基礎として地方財政計画というものを毎年々々こうやつてつくつておるのじやないかと思うのです。従つて一応そのような計画を正しいものとして、そうしてこの中に現われておる具体的な数字についてわれわれは物を言つて行かなければ、全然抽象的な言葉のやりとりに終つてしまう。でありますから、私どもは、具体的に、たとえば今の揮発油譲与税の三十八億の問題であるとか、あるいは交付公債償還の十三億という問題、あるいは入場譲与税不足をどうするかというような問題、それを具体的にどうするかということ、このお考えを聞いておるわけでありまして、ただいまの御答弁はきわめて不満でございますが、さらに私どもは、かようなものが地方財政の現状におきまして、大阪が言われるように適当に処理されるというような情勢であれば、あるいは緊縮なり何なりの措置によつて吸収され得るかもしれない。しかしことしの地方財政計画というものは、非常にきびしいものでありまして、そして地方団体には非常な強いわくがはまつておる、こういうような情勢では、今現実に申し上げたような数字地方団体のやりくりによつて吸収をさせようと思つても、それは非常に無理ではないか、こう思うのです。税についても、地方財政計画基礎になる税収見込額つくります場合にとつております微収見込みの率、収入の率というものが非常に強い。私ども昭和二十七年度地方財政決算というようなものをせんだつていただいて、拝見をしておるのでありまするが、それによつて見ると、昭和二十七年におきましても税の徴収率というものは非常によくない。これを二十九年の自治庁がおとりになつておる徴収率と比べてみますと、そこには非常な開きがあるわけです。たとえば事業税につきましても、個人事業税は、二十七年度決算では六九%くらいにしかなつておりません。ところがそれを自治庁では七七%に今年度見ておる。それから遊興飲食税におきましても、二十七年度決算で見ると七七%の徴収です。ところがそれを八八%に見ておる。市町村民税においても八一%くらいにしかなつておりませんが、それを自治庁の方では、申告については八五、源泉については九五というように非常にきつく、徴収率を高く見ておる。そういうふうな非常に税の徴収の率を強く見ておりますので、実際の徴収とはそこに大きな開きがある。それを二十七年度徴収よりも二十八年、九年と、私は地方税徴収はますます悪くなつて行くのではないかと思うのです。二十七年度決算に比べましてもさような情勢である。そういうところから、地方税の自然増収なり、あるいは税収見積りというものが非常に大きくなつて、そうしてその結果として、平衡交付金の方は減らしてもよろしいという結果になつておるのではないかと思うのです。そういう点について、一体どういうふうな根拠でもつて、ことしのこの税の徴収率をきめたのか、その根拠をひとつ話していただきたい。
  22. 奧野誠亮

    奧野政府委員 地方財政計画見込みます場合の徴収率と実際の徴収率とが違うという御意見でございますが、大体は実際の徴収率基礎にいたしながら、地方財政計画にそれを合わして行くというような考え方をとつて来ておるわけであります。二十八年度地方財政計画の場合と二十九年度地方財政計画の場合とにおいて、特に改正をいたしましたのは、たとえば自動車税におきまして、別途車体検査の際に滞納していないというしるしを持つて行かなければならないふうなことにいたしました結果、たしか九四%くらいのものを九六%くらいに高めているというようなことをいたしましたり、償却資産に対しまする固定資産税が、実績におきまして相当徴収成績が上つて来ておりますから、この実績に合せるというようなことをいたしましたほかには、大体従前通り見方をいたして参つて来ておるわけであります。
  23. 北山愛郎

    北山委員 これは自治庁見方としては、従前通りかもしれない。しかし二十七年度の実際の決算数字から見ると、今申し上げたような開きがあるのです。固定資産税がよくなつたといいますけれども、二十七年度固定資産税は、土地については八三%しかなかつたのを、今度の二十九年度自治庁見込みでは九〇に見ておる。家屋については二十七年度決算は八一%、それを八七%に見ておる。それから償却資産については八七%のものを九〇%に見ておる。こういうふうに相当な開きがあるわけなんです。だから、税の徴収率というものは、やはり実際の地方税決算なり、そういうものに現われておる徴収数字をある程度参考にしておらなければならないのではないか。それでなければ、ただ架空に見込みでもつて九〇であるとか八五であるとか、そういうふうに立てると、実際とまるつきりかけ離れたものになつてしまう。数字開きが多少でも接近しておれば別ですが、相当な開きがある。これは、二十八年度においてもそうでありますが、二十九年度においても、自治庁はかつてに税の徴収率を高く見込んだと言われてもしようがないのじやないか。実際の数字がそうなつておりますが、これはどういうわけですか。
  24. 奧野誠亮

    奧野政府委員 お示しになつております数字をちよつと今調べておつたのですが、ただ現年度分過年度分との関係がありまして、地方団体におきましては、新しい制度がしかれました場合、現年度徴収成績が若干ずれて参りまして、過年度として徴収される場合がかなり多いようであります。そういう関係から現年度分徴収成績は、逐次向上して来ておるのではないだろうかというふうに考えておるわけでありまして、府県の場合にも、今数字その他について調べてお答えいたしますが、二十七年度実績と二十八年度実績と比較いたしました場合に、若干よくなつて来ておるようであります。そういうような期待もいたしておりまして、二十九年度地方財政計画上の徴収見積りというものを定めて参つて来ておるわけであります。
  25. 北山愛郎

    北山委員 今のような説明なんですが、それでは実際に数字について、二十七年度決算と本年度自治庁徴収見積りとどの程度開きがあるのか。それをあとで資料を狩つて来て説明を願いたいと思うのです。私ども資料によりますと、そうではなくて、個人事業税についても六九%が七七%というふうに見ておるのです。その結果としてどういうことが出て来るかというと、地方団体としてはしかたがないから、税の水増しをやるわけなんです。調定額をふやして、実際に徴収率が悪くなつているものをカバーしておる。だから決算の最後へ行くと、地方財政計画に見込んだのに近い数字が出て来ます。徴収率が悪ければ調定額を水増しする。従つてまじめに納める人、正直者がばかを見るというような税の徴収のやり方になつてしまう。だからそういう点で地方財政計画をおつくりになるときに実際に合わない税の徴収見込みをやりますと、そのしりが地方団体行つて地方団体はどうしてもその税をとらなければやりくりがつかないから無理をしてやる。ところが滞納がふえ、徴収率が悪いということになるから今申し上げたような結果になる。こういうことを私は心配するがために今申し上げたような率を言うわけなのです。これはあとで資料でひとつ説明を願いたい。  それから寄付金の問題でございますが、地方団体、ことに市町村が国や府県に寄付を仰せつかつて、警察の派出所であるとか、あるいは保健所であるとか、病院であるとかいうものをつくる場合に、市町村は法令で義務づけられておらない寄付金を出させられる。このことはこの委員会でも何回も問題になつておるわけですが、一体その数字がどのくらいになつておるか、自治庁として御調査になつ資料があつたならば、これを御説明いただきたいのであります。
  26. 後藤博

    後藤政府委員 寄付金でありますが、私のところに現在あります資料としては、たしか兵庫県の市町村の調べた資料がございます。最近調べた資料でありますが、それによりますと、はつきりした数字は覚えておりませんが、たしか一人当り二百五十円ぐらいの寄付金を出しておる勘定になる。こういう調査が兵庫県から参つておりますが、全体の計算はそれを引延ばしただけでは問題がございますので、現在調べておりますから、あとでまたお答え申し上げます。
  27. 中井一夫

    中井委員長 ちよつと今の点ですが、全体でどのくらいの寄付金になるか、またその調査の結果によつて寄付の目的が別々にわかりますか。
  28. 後藤博

    後藤政府委員 ここに資料を持つておりませんが、兵庫県のものはたしか町村会である程度こまかく調べたものがあつたと記憶しております。ごく最近調べをしております。しかし寄付にはいろいろなものがありまして、強制的なものと、そうでないようなものもありますし、税にかわるべきものが寄付金の形になつて参るものもありますし、いろいろなものがございますので、寄付だけをとらえますと、おつしやいますような形にすぐはならない。こういうようなことも言えるのであります。現在調べておりますので、推計が出ましたらお答え申し上げます。
  29. 阿部五郎

    阿部委員 今の寄付の場合ですが、過年度の、たとえば二十七年度は最近決算ができたのだからわからないとしても、昭和二十六年度決算地方団体はいずれもできておるはずだと思いますが、その決算書を集計すれば全国にわたるそういう寄付の総額、あるいはその種類、そういうことが一応わかるはずだと思うのですが、自治庁におきましてはそういう作業といいますか、それは従来やつたことがないのでありますか。それとも従来やつたことがあるとすれば、相当古いものでもよろしいのですが、おわかりになりますかどうか。
  30. 後藤博

    後藤政府委員 決算の分析を調査課でやつておりますので、大まかな資料はありはしないかと考えております。
  31. 阿部五郎

    阿部委員 あるとしましたならば、それのできるだけ精密なる分析の結果を資料としてお出し願いたい。
  32. 北山愛郎

    北山委員 この問題は、この委員会でもよほど前から何べんも問題になつておることで、そのたびにいろいろ資料を要求されておるはずなんです。また市長会なり町村会なり、そういう団体で大会があれば寄付金、負担金の問題が出て、それは何とかやめるようにしてもらいたいという決議がなされておるわけです。だからしてこれから調査してやるというよりも、もうこれに対する対策の段階である。大体町村会の推定によりましても、全国的に市町村の分は、市の分が三十億、町村の分が百億ぐらいあるのじやないか。これは二十府県の町村会の調査でございますが、一町村当り百余万円ですか、そういうふうな基礎で推定をして行くと、大体百三十億ぐらいになるのではないか。厖大な数字であります。従つてこれに対する対策については、何べんも政府あるいは国会にも陳情があつたわけです。従つてこの対策をどういうふうにお考えになつておるか。今の地方財政法第四条の二、あるいは第十二条などの寄付金を制限するような規定がございますが、まだその規定が不十分である、もう少しこれを強くして、ことに第十二条のごときは、国家警察というようなものには絶対寄付などを許すべきものでないのです。たとい自発的な寄付にしましても、警察に寄付を許しますと、いろいろな弊害の原因をつくる、そういう意味からして十二条があるわけです。そういう趣旨をもう少し強く出すような立法的な措置考えられていいのではないか、かように思いますが、自治庁としてはどういうふうにお考えになりますか。
  33. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 だいま御指摘になりましたように、強制的な割当寄付というものは地方財政法が先般改正されました結果、明らかに禁止をされておるわけでございますが、これは直接間接を問わず、要するに実質的にそのような結果になることはやつてはいけない、こういう一つの運営上の基本方針を法律上の要求として掲げておるわけであります。このことはまさにその通り励行されなければならぬと思うのでございますけれども、御指摘のように若干そのような趣旨に違反をしたような措置もあるいはありはしないかと考えております。しかしながら全然寄付金といいますか、負担金あるいは分担金というものを否定することも、それが自主的な発意に基くものでございますならば、これは避けがたいことでございますし、また特別な利益がそれによつて生ずるようなものについては、たとえば国と地方団体との間において分担金という制度があると同じく、府県と市町村の間におきましてもそのようなことも一切これを否定するということはできないと思うのであります。そういう意味で純粋ないわゆる割当寄付という式のものは廃止し、そのようなことがあつてはならないのでございますが、実際問題としてそれが根絶していないという事実は、遺憾ながら私ども認めざるを得ぬのであります。これはしかし逐次努力をしてその理想を達するようにしなければならぬというふうに考えております。
  34. 北山愛郎

    北山委員 ただいまの御答弁は趣旨としては一応わかるのですが、純粋な自発的な寄付を全然押えつけてしまうということはどうかと思う。私もその通りと思うのですが、しかしいわゆる受益負担という考え方を、国と地方公共団体相互の間に持つということは、私は行政上非常にいろいろ弊害があるものだと思うのです。国がやること、府県がやること、あるいは市町村がやることというものは、それぞれ仕事の限界がきまつておる。責任の範囲がきまつておるし、またそれによつてそれぞれの財源措置が講ぜられておるのですから、それ以外にお前のところへ高等学校をつくるのだから、お前の近所がそれのために利益を受けるからさらに負担金を出せ、校舎を建ててくれ、建てたらやろうというようなことは、そういう責任と負担の限界を乱るものである、かように考えられるわけでありまして、そういうようなものについては、はつきりと法律なり何なりで明定した以外のものは許すべきものではない、かように考えるわけであります。それから同時に警察あるいは検察庁あるいは税務署というものは住民の権利義務関係、権力関係の微妙な仕事でありますから、これなどはたとい自発的な奇付であろうとも絶対的な寄付であろうとも絶対に禁止すべきものである。それが曖昧模糊たる、措置をしてはならないとかいうような規定であるからこそ、そこに抜道があつて、実際は自発的でないのだが、自発的な形式をとつて寄付をさせられるという場合が起るわけです。残念ながら日本人はまだ民主主義的にはつきりしておらぬから、いやなものをいやだとはつきり言える市町村長はあまりおらない。そこでそういう結果が出て来るのでありますが、それをひとつ規定の上でもう少し厳密に規定をして、そういう弊害を避けるというお考えはないかどうか、それを重ねてお伺いします。
  35. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 たとえばただいま御指摘になりましたような税務署ございますとか、そういうようないわゆる国の行政機関の設置維持及び運営に要する経費、そういうものを地方公共団体に負担をさせるような措置をしてはならないということを、これは国に対して地方財政法十二条は要求しておるわけでありますが、税務署の設置でありますとか、あるいは現在の国家地方警察の警察署の設置というようなものについては、まさに十二条の趣旨から申せばあるべからざることなのでございますが、実際問題として若干そのようなことが慣行として行われておるということは、御指摘通りであろうと思うのであります。やはりこの点は負担の区分といいますか、事務の性格から申しまして、地方に負担をさせることは適当でない、のみならず、法律上これは禁止をされておるものというふうに考えておるのでございますが、これが必ずしも励行されておらない点は認めざるを得ない。逐次これは直して行くほかはないと考えております。
  36. 北山愛郎

    北山委員 立法上の問題は単に政府を責めるだけでなくて、国会の方におもな責任があろうと思いますから、この問題は一応この程度にします。  時間がないようでありますが、もう一つだけお伺いします。それは今度の地方財政計画の中での雑収入の見積りであります。使用料、手数料というものは一応の法令なり、あるいは条例の規定があつて基準があるわけでございましようが、そそれ以外の純粋の雑収入が莫大な金額に上つておるわけであります。昭和二十七年でも七百二十二億ですか、今度の財政計画でも相当な金額に上つておりますが、これはどういふうな計算基礎か。それからどういう種類のものがあるか。手数料、使用料以外の雑収入というものはどういう種類のものがあつて、——どんどん毎年相当額ふえて行くようでありますが、どういう内容のものであるか、これをひとつ説明をしてください。
  37. 後藤博

    後藤政府委員 雑収入計算決算基礎にいたしておるのでありますが、二十七年度決算を拾つてみますと、毎年決算上は非常に伸びておるのであります。二十七年度決算と比べて二十七年度財政計画等を見ますと、二十七年度決算では五百六十六億の雑収入が出ておるのであります。しかし財政計画では五百六十億、二十七年度決算は五百六十六億でありますが、その決算基礎にいたしまして従来の伸びを見ますると、二十八年度は六百六十六億になるわけであります。大体毎年一割七分程度伸びております。ところが二十八年度財政計画では五百九十八億しか見込んでおりません。従つてこの伸びの率を半分程度のものを加えたのであります。伸びの率を半分程度にいたしますと七百二十五億になる。七百二十五億から二十八年度財政計画の五百九十八億を引きますと、百二十七億の雑収入の増、こういうことになりまするので、この額をここに加えたのであります。
  38. 柴田護

    ○柴田説明員 通常地方団体の歳入の決算を分析いたします場合に、難収入としてあげられますのには、繰上げ充用額も含まれておるわけでありまして、さようなものは除きまして計算しているわけでありますが、雑収入の中にいわゆる財産売払代とか、あるいは出資金の利子であるとか、あるいは貸付金の回収額などがあるわけでありますが、各地方団体は民間等に資金を貸し付けまして回収いたしますものの元本、すなわちこれは収入にはなりませんので、さようなものは省いております。利率とか、寄付金とか、分担金、さようなものが雑収入に入るだろうと思います。そこで地方団体ごとには雑収入の内容は、年度ごとに非常に変動するわけでありますが、総体計算の場合には一定の傾向があるわけであります。その傾向をつかまえて財政計画雑収入計算をいたしております。
  39. 北山愛郎

    北山委員 今の年度割の増加率一割七分六厘七毛という、そういう平均増加率というものを見るということは、ただいまお話のようにその内容が非常に変動するということからして危険な見積りではないか、このように思うのです。事実昭和二十五年には四百三十七億、それから二十六年には四百二十七億と逆に減つている年もある。二十五年から二十六年には逆に減つている年があるというのに、数年間これを平均して平均増加率一割七分幾らというものを算定するというのは非常に乱暴じやないか、見積りが過大である。たとい二十九年度にはその増加率を半分に見たといたしましても、それでも私は過大じやないかと思うのです。これを国の財政の場合に見ますと、国の方では昭和二十七年には五百三十九億、ところが二十八年には三百七十一億というふうに減つておる。それから二十九年には三百五十二億とさらに減つておる。そういうふうに財産の売払いなり、あるいは官業収入というようなものを国の財政ではだんだん年次的に低く見ておる。こういう国の傾向と地方団体の方の雑収入の傾向は逆なんです。一割七分平均でもつてふえるなどということは、数年間だけの数字で見るということは、非常に危険じやないかと思うのです。この金額が七百何十億というような厖大な額でありますから、ここにも税と同じように見積りの過大があるのじやないか、こういうふうに思うのですがいかがですか。国の方との関連で、国の方の見方がむしろ堅実である、地方財政の方は少し乱暴じやないか、こう思うのです。
  40. 後藤博

    後藤政府委員 お話の点雑収入はその性格上、いろいろの財源に使われる場合ももちろんあるのですが、二十四年以降の伸びの半分程度は見られるのではないか、こういう意味で半分だけをとつたわけであります。それから二十六年に減つておりますのは、御存じの通り二十六年は税収は非常に多かつた年であります。従つてその関係で財産売払いその他雑収入が減つておるのではないか、かようにわれわれは決算を通して見ておるのであります。
  41. 石村英雄

    ○石村委員 この前赤字のことでお聞きしたとき、従来は算定漏れになつておつたものを今度百四十九億ですか、今年入れられたということがあるのですが、それを御質問したのです。すなわち二十六年以降の算定漏れの金額が幾らあるかということをお聞きしたのですが、まだ御答弁がないのです。これをぜひ出していただきたいと思うのです。
  42. 柴田護

    ○柴田説明員 既定規模の是正の内容に関しまする御質問だと思いますが、既定規模の是正の中には単独事業費なり、経営的物件費なり、その他の経費を見ているわけでございますが、単独事業費につきましては昭和二十六年度の実際の決算基礎にいたしまして、それが二十八年度にどうなるかという姿を描き出してあるのでございます。その中でいわゆる継ぎ足し単独事業と言われるものでございまして、公共事業費等におきまして一定の事業のわくがきまりますが、それにプラス・エックスを加えなければ事業効果が上らない。早い話が六・三制の学校建築の事業を考えますと、国の認承事業に属します範囲のものだけでは十分な学校ができない。またところによりましては、それにプラス・エックスをした方がむしろ長い年月持つところのいい物ができ上るといつたようなものにつきまして、どうしても継ぎ足してやらなければならないという費用が、大体二十七年度決算で言いまして府県市町村を通じまして百五十五億あるわけであります。その府県市町村を通じまして二十七年度決算で百五十五億ありますものを昭和二十八年度に引直しますと、昭和二十八年度は百五十億程度を要する。そこで地方財政計画に見込んでおります額が府県で五十三億、市町村で九十六億、この差額が大体府県で二十五億、市町村で六十六億であります、この六十六億、二十五億を、大体半分程度是正をするという計算でもつて単独事業費の是正分の四十五億という計算をいたしております。それから経営的物件費でございますが、物件費の増加状況は昭和二十五年度基礎にいたしまして計算いたしますと、国の場合におきましては増加率が三〇%、地方の場合には一三になつております。地方と申しますのは、もちろん地方財政計画上の話であります。これに対しまして職員数の増減を見ますと、職員数は国の場合は昭和二十五年度に比較いたしまして昭和二十八年度は九六%、地方の場合は一〇三%になつております。そこで職員数で物件費の増加率を逆算いたしまして、そうして国と地方団体におきまするそれぞれの増加率を算出いたしますと、国の場合は二十五年に比較いたしまして一・三五という計数が出て参ります。地方財政の場合におきましてはこれが一・一〇になります。この場合国の財政におきまする物件費の計算が、予算の関係で分析不可能なものが若干入つております。そこでこの両者を平均いたしますと、大体一・二二という計算が出て参ります。そこで二十八年度財政計画上の物件費といたしまして昭和二十五年度財政計画上の物件費にこの一・二二の率をかけまして、二十八年度財政計画上の物件費との差額を見まして、その差額の半分程度を是正する、こういう計算をいたしたわけであります。言いかえますと昭和二十五年度決算中におきます物件費は千二百四十六億であります。これは昭和二十八年度におきましてあるべき姿として考えられるべき物件費に引直しますと、千二百四十六億の物件費が千五百二十二億になります。財政計画上は千四百十六億しか見ていない、そこでその差額の半分程度、それが五十三億という数字でございます。それからその他の財源措置または不足額に関します是正につきましては、議員、吏員等の報酬手当、特別職に対します給与、特殊勤務手当等につきましては、財政計画上の基礎計算が、議員、吏員等につきましては選挙あるいは人口の増加等によりまして定数がかわつてつております。そういうものの人数の計算が古い計算をいたしております。まな特別職につきましても同じでございます。特殊勤務手当につきましても財政計画上は二十五年度決算基礎にいたしております結果、二十五年度において入つておりますものがそのまま伸びておりますけれども、その後におきましてつけ加えられたものは入つていない、早い話が税務職員につきましては、国は税務職員につきまして特別の俸給表を適用いたしておりますが、地方団体の場合は小さな団体でありますし、人事の交流の面等から考えまして、税務職員に対しまして国が適用しております特別俸給表に相当するものを税務吏員手当として支給しております。さようなものが財政計画上は昭和二十五年度以降の問題でありまして算入になつております。さようなものを削減いたしたのであります。
  43. 石村英雄

    ○石村委員 たいへん詳しい御答弁だつたのですが、実は私の聞きたいのは、今の御答弁もけつこうですが、今まで財政計画をお立てになるとき当然算定しなければならないのを落しておつたのだということを今度おつしやつておられる、そうすると地方財政赤字についても今度の大臣の御説明を見ましても、地方財政赤字の素因たるべき原因とか何とかいうものを別決するというふうにちやんと書いておいでになつて地方財政赤字になつて来た原因のうちには、財政計画をおつくりになる場合に見落しがあつたということをお認めになつておる、その見落しの金額は今までに幾らあるか、こういうことを強く申し上げますのは、実は塚田さんが地方財政制度説明をなさるときに、ああいう説明をしておいでになるくせにあとでいろいろお聞きすると、赤字はいかにも地方団体にだらしのないやり方があるから赤字なつたというようなお話があつなわけです。もちろんそうした地方団体もままあることだと思いますが、しかし一般的にはやはり塚田さんの説明の場合に指摘されたように、従来国がお立てになる財政計画に算入漏れがあつたということが、大きな原因になつておるのではないかということをわれわれは考えるわけであります。その具体的な数字が、当初計画せられたときに算入漏れだつたということがあとでわかつた金額は幾ら、二十五年度決算でやつたんだということですから、六年度以降ですね、二十六年度については実は最初やつたときは算入漏れはこれだけあつた、七年度は幾らあつたということを、幾らの金額になるか教えていただきたいということを申し上げたので、今は御無理かと思いますからあとで書面で出していただきたいと思います。
  44. 中井一夫

    中井委員長 門司委員
  45. 門司亮

    ○門司委員 それではいろいろこまかいことはあとで説明員でもいいと思いますが、大臣に聞いておきたいと思いますのは、財政法の改正の四条に新たに一項を設けておる。今度の改正法はほとんど四条の改正にすぎないのですが、これは順序をこういうふうにかえなければ執行のときに悪いですか。     〔中井委員長退席、佐藤(親)委員長   代理着席〕 これは何か大臣の方ではこの法律をこしらえるに、こういう法律の体裁でなければ悪いというそのことがあるかどうかということを、一応私は先に聞いておきたいと思います。要するに四条の規定というのは、さつき北山君から聞きました寄付その他の強制についての禁止の条項であります。その前に財源調整を入れておかなければというので、今度の調整はこれは財源調整を入れよう、こういうことになつておりますが、この間の事情をひとつ話してください。
  46. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 実は四条の二の規定は、当初の交付税の構想では全体の額で足りない部分は借入れて来る、余つたらばそこで積み上げておくということになつておつたのでありますが、それが折衝の経過においてだんだんかわつて参りまして、今御提案申し上げておるような形になつて参りました。結局あつただけは全部地方団体へ行く、そういうことになつて参りまして、私が非常に心配いたしましたのは、よけいあつた年に、ことによけいあるということは、前年度に予算よりも決算の方がうんとよけいになると、その分が後年に繰越されて行く、繰越して行つてその年に非常にたくさんになつたときに、それがそのまま地方団体に流れて行つてそこのところで、もちろん地方団体が必要でありますから、どうしても財政規模が大きくなる、一たん大きくなつ財政規模はなかなか縮小できなくなつてしまうということを懸念いたしまして、どこかそういうところをチェックする考え方がないだろうかということでいろいろ検討いたしました結果、こういう構想におちついたわけであります。ここのところでもつて、ある年度において非常によけいに金が入つてもそれをむだに使わない、むだにということもありませんでしようが、金があるからといつて財政規模をあまり大きくさせないようにというような考慮が、ここのところに入れてあるわけなのであります。
  47. 門司亮

    ○門司委員 四条の本文といいまするか、その規定は予算執行に関する規定が設けてありますので、あるいはこの条項が入つてもいいのではないかというようなことも一応考えられるし、今の大臣の答弁を聞いていますと、あるいはこれが中に入つてもある程度の矛盾はないように考えています。従つてこれが矛盾がないということになりますと、次の三十六条でありますが、三十六条は現行法ではこれが削除されてなくなつております。これは新しい条項にまわるわけであります。三十六条という各項はありますが、条文を削つておりますので、これは三十六条を新しく一条を設けようとするものの中には、結局十条の七号の二、いわゆる母子相談員に要する経費と、それからさらに同条八号の規定中の母子手帳に関する部分というものが除かれるというわけでありますし、従つてこれは法律の体裁からいえば、私は当該条文でこれを除いておいた方がいいのじやないかというふうに考えられる、ところが将来この問題はやはり本条の方には残しておく、いわゆる十条の方にはこれを残しておいてそうして、三十六条でこれを一応落そうというこのものの考え方でありますが、新たに一つの条項を設けて、この二つのものを落して行くということになると、これは見方によつては臨時的のようにも見えるし、見方によつては恒久的のようにも見えるのですが、一体自治庁としてはどういうふうにお考えになつておりますか。この問題は実にこまかい問題ではありますが、しかしこの母子相談員に要する経費というものと、それから母子手帳というものに対する考え方というものは、これは社会的には、問題は小さいのでありますが、かなり深い意義を持つた二つの条項だと思われる。従つて自治庁の意向は一体どこにあるのか、これを削ろうとされるのか、あるいは当分の間これを三十六条に置いておいて、適用しないようにされるのか、その辺の御意思を伺つておきたいと思います。
  48. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 これは御指摘のように、私どもとしてはこの三十六条で当分の間これを停止しておく、本質的にはぜひこういうものはあつてほしいという考え方になつておるので、こういうように扱つたわけであります。
  49. 門司亮

    ○門司委員 どうもおかしいから聞いてみたのですが、わからない。大した費用ではないと私は思うが、この費用だけをこの中から除くということは、対外的にといいますか社会的にどうかと思う。こういう経費は大した経費でもありますまいし、残しておいた方が社会政策的にいいのではないかという気がするが、この三十六条のここに入れてあります部分を大臣は除かれるような気持はございませんか。母子手帳にいたしましても、相談所の所員の費用にいたしましても、今の財政額からいつて、これがあるからよけいな費用を使わなければならぬというほどの大きな費用はいらないと思いますし、単に社会政策的のゼスチユアにすぎないとしても、この規定だけは残しておいていただきたいと思うが、大臣の意向はどうですか。
  50. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 これは例の補助金整理の特例法の結果、当然こちらではそれに応じた措置をしなければならないことになるのでありまして、その場合にどういうぐあいに措置するか、十条でもつて恒久的に抜いた形にしてしまうか、十条はそのままにしておいて、三十六条で臨時にこれだけをあの特例法と歩調を合せて停止しておくようにするかということになるわけでありますが、これは先ほども申し上げましたように、向うの法律も臨時の法律であるものでありますから、それと歩調を合せて十条は置いて、ここのところで抜いて一時停止した、こういう考え方でおるわけであります。従つて、これを抜くということになりますと、補助金整理の特例法との調子が合わなくなるわけであります。
  51. 門司亮

    ○門司委員 それでは条文に関する一応の質疑はおいておきまして、あとは例の交付金法関係の交付税の問題でありますが、この前も大臣にしばしば聞きましたように、どうもこれは何といつてもおかしな法律であつて、われわれとしてはどうしても承認するわけに行かない。そこで、ここで大臣にもう一ぺんはつきり聞いておきたいと思いますことは、この法律によりますと、当該年度収入見込額ということが書いてあつて従つてこれはきわめて不確定である、不確定であれば、それを補うために翌々年度あたりにこれを調整して行く、こういうことになつておる。しかし私ども考え方としては、そういう不確定なものではなくして、前年度の所得総額を追つた方が確定するんじやないか、地方財政もやりいいのではないか、同時に前年度収入を見て参りましても、大体七月には一応の収支はつきましようし、九月にはほぼ確定したものが出て来るんじやないかと思う。そういたしますと、予算編成の時期までには前年度収入額は大体わかると思う。前年度収入額に対して二〇%あるいは二五%、三〇%というようないろいろな議論はありますが、いずれにいたしましても、そうした確定財源の方がいいのではないか。当該年度というようなことになつて、残りの分だけは、予算額以上のものは次の次の年あたりに配付されるというような不確定なことであつてはならないのではないかと考えられるのであります。このことは地方財政が非常にやかましく叫ばれております今日、地方財政をほんとうに充実したというか確定したものにすると同時に、地方の冗費を節約する意味から申し上げましても、翌々年度にこういうような金がもらえるんだというようなことであつてはならないと私は思う。その年に十分のものをあてがつて行くことが、やはり地方の自治体の自主性の上からいつてもやりいいのではないかと考える。従つて、こういう当該年度の予算の収入見込額というのでなくて、前年度の酒税あるいは法人税、所得税の何パーセントときめた方が、財政調整の上からいつてもやりよいのじやないか、また地方の自治体もその方が安心感も持てるし、国の予算を編成する場合にも、額が決定いたして参りますので、割合に仕事がやりやすいのじやないか、こういうふうに考えるのでありますが、当局の御意見をひとつつておきたい。
  52. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 これはどういう気持でお尋ねになつておるか、ちよつとつかみかねるのでありますけれども、当年の予算と申しましても、予算が編成されます時期的な関係からいたしますならば、大体十二月ごろに予算が出て来るのが普通でありますので、大体その年度の国の税の予算は、おそらく前年度もしくは前々年度決算実績を見て、それを基礎として予算を組んでおりますから、それに対して何パーセントというように出て来る方が——ことに近年はだんだんと税収がふえておるという情勢でありますので、むしろその年度の国の税の予算を頭に置いて、それに対してリンクして行くということの方が、実情に近いのじやないかと私どもは思うのでありますが、門司委員はその点どのようにお感じでいらつしやいますか。
  53. 門司亮

    ○門司委員 これはものの考え方ですが、私は大臣とはまつたくほかの考え方を持つております。この法案に書いてあります当該年度収入見込額というものは、いわゆる見込額であつて地方公共団体に交付いたします場合には、やはり一切が見積りの上でこれが計算されておる。それよりもむしろ前年度の所得というか、三つの税金収入総額を確定して地方に配付した方が、はつきりきまると思う。なぜそういうことを申し上げるかといいますと、ここに法案に書いてあります基準財政需要額の算定基礎は、おそらく毎年々々かえなければならぬ、同じようなことを繰返すと私は思う。ここに掲げられております測定単位あるいは単位費用というようなものが確定されて、そしてその足りない分だけを是が非でも出すということが、今までの平衡交付金法であつたのであるが、実際はそれが実行されておらない。従つて毎年のようにかえられておる。これはこの法案をそのまま実行して行けば、おそらくやはりその通りに行われると思う。この単位費用なんというものはあてにならない。ただ逆算してこの数字をかえただけだ。しかも、逆算してかえただけの数字がぴつたり来ないということはわかり切つたことである。そういう逆算的なことをするよりも、同じ逆算をして行くのなら、最初から前年度収入総額の二五%なら二五%ときめて行けば、地方にその年に交付しようとする金高が、はつきり予算のときにきまるのであります。予算のときにきまつた数字地方財政を立てて行く方が私は正しいあり方だと思う。今年どれだけとれるかわからぬから、その差額だけは二年後にやりますからというような不確定なことであつてはならないと思う。そういうものをあてがつて参りますと、そこに地方の冗費というものが必然的に起つて来やしないか。その年度にはこれだけしか金がなかつたが、その次の次の年に国の収入がよけいあつたからといつて交付金がよけいふえて来たというような場合、使途その他等に関しては、地方の自治体のことを考えてやると、金高が多いとか少いとかいうよりも、むしろ地方の自主的の運営について弊害があるのではないか、こういうふうに考えるわけであります。従つて端的にいえば、当該年度の予算の見積願がいいのか、あるいは前年度収入額の何パーセントといつて確定した方がいいのかという、この結論であります。
  54. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 よくわかりました。そういうように行くといたしますと、確定的な数字としては前々年度でないととれないというぐあいになつて参ります。前の交付税のときにも前々年度のものが基準となつておつたと覚えておりますが、前年度にはまだ数字は使えない、前々年度ということになりますと、確定はしておるけれども、確定しておるという点が確かなだけであつて現実の状態というものと非常に遊離してしまうという考え方があるものでありますからして、私どもとしましては、当該年度ということにいたしたのでありまして、ほんとうは、確定することができますならば、当該年度収入で当該年度経費がまかなわれるということが、一番りくつに合つたことである、こういう感じであります。門司委員のおつしやるように、そういう場合に、あとで決算の上に出て来る剰余が逐年うしろへ繰越されて行く。ただこの作用は毎年々々そういうように繰越されて、大体経済の進め方が同じような勾配で行きます場合には、ある年度が非常に多くて、他の年度が非常に少いという状態はあまり出て来ないのではないか、こういうように感じておるわけであります。
  55. 門司亮

    ○門司委員 むろん今の答弁からいいますと、技術的の問題になると思いますが、もし大臣のそういうお考えなら、たとえば前々年度でなければならないということは、おそらく技術的の問題であつて、前年度の分にいたしましても、算定はできておるはずであると私は思う。ただ提出の時期その他が前々年度になるというだけであつて、おそらく五月の最終に一応の収支を締め切るといたしますならば、九月ごろまでには、大体の収入額というものはわからなければならぬ。それがわかつていないというなら、私はよつぽどどうかしておると思う。ただいろいろ累積されたたくさんの国家財政すべてを集約して行くには、あるいは前々年度になるかもしれない。がしかし当該年度が非常に困難であるということはわかりきつておるが、前年度の分であるならば、一年あれば大体そのことはわかると思う。これは決算の書類の上では、むろん前々年度を追つておることは、われわれもよく承知しております。それはすべてのものの収支の決算がそういう形になるのであつて、事務的に行えないというだけであつて、もし事務的にこのことだけを計算して行くとするならば、これは大蔵省はそのくらいのことはわかつていなければならぬはずである。決してむずかしい相談じやないと思う。もしあるいは滞納だとか何とかいう処理があれば、それは次の年に繰越されることは当然でありますが、何もその年その年のものが翌年度の予算編成までに間に合わぬことは毛頭ないと私は考える。従つて今の大臣のような事務的の答弁だけで、それが行えないんだというようなことは考えられない。それから同時に年々歳々来る経済の移行その他でありますが、私の心配しておりますのは、経済の問題も非常に問題でありますが、自由党の内閣が長く続くとは私は思わぬが、今までの自由党の持つております地方財政に対するものの考え方であります。このものの考え方が毎年々々かわつて来ておる。ことに今年の地方財政が出ておるが、地方財政なんか見てごらんなさい。一体この地方財政で承認ができますか。承認できぬと思う。一兆予算のしわ寄せがここに出て来ておるのであつて、来年度は、地方財政はどうなるかということも段取りがつかぬ。揮発油譲与税なんかは来年度なくなるというが、その対策は何にも出ていない。さらにそのほかの税制にいたしましても、おそらく同じようなことが至るところにあるでございましよう。私はこういうものを考えて参りますと、政府処置というものが、そう塚田さんが答弁されるような簡単なもので済ますわけには行かないと思う。できるならばやはり法律ではつきりしたものを、地方に出して行くという形をとつて行けばいいと思う。前年度の分で地方に交付すれば、金が少いというならば、二五%を三〇%に上げておいても毛頭さしつかえないと私は思う。今日の財政状態からどのくらいのものがスライドして行くかということは大体おわかりだと思う。われわれはやはりそういう確定的なものを与えておかないと、この際この平衡交付金法の一部を改正して、そうして交付税なんというような名前にかえてみたところで、これは名前をかえただけであつて地方財政には何にもならぬと思う。むしろまごまごしておると今より悪くなるかもしれぬ。今なら多少の考え方はあつても当該年度の予算の範囲内で出しておるし、同時に足りなければ追加あるいは更正もできるのでありまして、おのおの現実に即したやり方ができるのでありますが、今度はそのやり方はできない。翌々年度でなければ余つた金は出て来ないということになると、地方財政はますますこれによつて圧迫されることになると思う。絵に描いたもちみたいなものであつて、実際の運営に非常に大きな支障を来すのではないかと考える。従つて今のような考え方のもとに、この税法は改正すべきであるというように考えるのでありますが、この点についての大臣の御意見をもう一度伺つておきたいと思います。
  56. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 いろいろ御指摘がありまして、本年度財政規模というものに見込んでおるものにあるいは欠けているものがあり、あるいは額に不足しておるものがあるといういろいろな御意見であります。私ども部分指摘通りのものもある。それから財政計画を策定いたしましたあとで、いろいろな変更が出て参つたものもあるのであります。財政計画策定後に出て参りましたものは、私どもといたしましては、これはいろいろ国会側の御意見があつて、そういうぐあいになつたものもありますので、これは国会側の御意見が最終的に決定いたしました上において、年度内において欠減を生じないように何らか処置いたさなければならない。たとえば揮発油譲与税の変更による部分でありますとか、また地方財政の改訂による部分その他のものは、あるものはなるほどある考え方からすれば足りないということもあり得るでありましようが、国全体の緊縮財政の調子からして、今年地方財政もこの程度のものはやむを得ないだろうかということで、当初の財政計画に見込まなかつたものもありますので、そういうふうないろいろな事情を頭に置きまして、新しい制度というものの上で、どのくらいの率が交付税に必要であるかということを考え、それからしてその率の上に将来の見通しを立てて、国の税収のだんだんとふえる状態というようなものをあわせて考えながら、これならば大体このくらいの率をしつかり押えて置く、そういうことによつて今までの制度よりははるかに自主性もふえ、おそらく御指摘のような非常に抜き差しならなくなるというような状態は出て来ないのではないだろうかという見通しのもとに、この制度考え、その率を考えたのでありまして、ぜひこの線で運用して参りたい、こういうふうに存じておる次第であります。
  57. 門司亮

    ○門司委員 それならばこれ以上私は議論はいたしませんが、最後に一つだけ聞いておきたいと思います。さつきも申し上げましたように、これもわかり切つたことであつて、聞くのもどうかと思われる、あるいは大臣はそう思うかもしれぬが、私の方から一応聞いておかなければならぬことは、来年の財政規模の中に、これは帳面といいますか、表面上の問題でありますが、一つは七十九億のガソリン譲与税がなくなるということ、それからその次には本年度の予算に関係を持つておる入場税の減額分、こういうものが来年度地方財政の上に及ぼします影響——本年度入場税にいたしましても足りないものは一般会計から出すというような妙なことが書いてありますが、これは出せるか出せないかわからぬ。とにかく妙なことが書いてある。それは一応おくとして、来年度分のこれらの穴埋めは、自治庁としてはどういうふうな計画でなさるつもりであるか、その点をひとつつておきたいと思います。
  58. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 先ほど申し上げました通り、当初の構想から大分かわつて参りましたので、その程度においては、どうしても三十年度におきましては財政制度というものの出直しをしなくてはならぬと私は考えておるわけであります。その場合に、ただこの額だけでなしに、こういう譲与税という形で考えられておつた相当程度の弾力性というようなものもあわせて得られるような何らかの財源措置というものをぜひ考えて、三十年度以降において不足を生じないようにしたい、こういう考え方をいたしておるわけであります。
  59. 門司亮

    ○門司委員 何らかの処置ではわからぬのですが、一体増税されるつもりなのか。増税をするか、あるいは徴税を強化するか、あるいは交付税の率をふやして行くか、こういうこと以外に私はないと思う。そのほかにもしありとするならば、地方財政を切り詰めて行き、補助金をなくして行く。地方に対する補助金を相当額切り詰めて行くという手は今度も使われておりますが、そういうことでこれをなさるつもりかどうか。
  60. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 税収の増加でありますとか、それから節約の強化ということは、それ自体に理由があればできることでありますけれども、こういうような当初見込んだ、ことに二十九年度の当初において見込んでおつた財源に、欠陥が生じたからということの理由では私はできない、またやつてはならないと考えております。従つてこの場合に一番考えられることは、私どもといたしましてはやはりこの交付税の率をふやし、変更して行くということに一番重点が置かるべきものではないだろうかと考えております。
  61. 門司亮

    ○門司委員 だんだん問題がはつきりして来ましたが、大臣が交付税の率をふやすということになりますと、ことしの交付税の率というものについてはわれわれも相当考えなければならぬし、来年度政府はどう出て来るかということも考えなければならぬ。  それからもう一つ、これは最も大きな、ことしから関係を持つものでありますが、それはさつき申し上げましたいわゆる三十六条にああいうことが書いてある問題と関連した問題でありますが、補助金等の整理に関する法律案が出ておりまして、このことのために、額ははつきり言うわけに参らぬと私は思いますが、相当額の補助金その他が打切られて、それが地方財政にしわ寄せをされるのではないかということが、一応われわれには考えられる。それは補助金がなくなつて参りますと、国から来る分は減るが、地方ではそういう仕事をそう簡単に打切るわけに行かないのじやないかというところに、地方行政のむずかしさがある。国の方から机の上で打切ればいいのでありますが、現実地方行つておる、衝に当つておる者はそう簡単に打切るわけに行かない。そういたしますと本年度財政の中でも、この補助金等の整理に関する特例の影響というものは、相当地方の自治体の財政負担が大きくなりはしないかと私は思う。従つてそれらに対する自治庁で調べた数字、あるいはそれにどういう財源措置をされるお考えであるのか、考えておられるならこの際承つておきたいと思います。
  62. 後藤博

    後藤政府委員 補助金整理に伴いまする財政需要計算につきましては、率の下つたものはその部分だけ財政計画地方負担が重くなる。こういう計算をいたしております。ただ問題は廃止されたものでありますが、廃止されたものがそのまま地方団体の方でも仕事をやめてしまうかと申しますと、必ずしもおつしやいますようにそうはならぬのであります。そのうちで幾分か平衡交付金の方に振りかえたものがございます。そういうものもある程度財政計画の中には織り込んだ計算をいたしております。たとえば母子相談員の設置費でありますとか、国民健康保険の費用、母子手帳の作成費、そういうふうなものであります。そういうもので、どうしてもおつしやいますようにやらなければならぬものがございます。そういうものはやはり地方団体でもやるという計算のもとに、含めておる次第であります。
  63. 門司亮

    ○門司委員 ここの答弁だけではないでしような。そういう財源措置が非常に問題になるのであります。実際はこの委員会としても、補助金等の整理に関する問題等については、やはり大蔵委員会に連合審査か何かで十分ただした方がいいと考えておつたのですが、その時期がなかつたものですから、結局きよう聞かなければならぬようになつて来たのです。問題はさつきも申し上げましたようにどうしてもやらなければならない仕事、やりかけたものをそう急に打切るわけに行かない仕事が必ずしもないわけではない。そういうものに対しても、今の後藤君の答弁では、何とか財源措置をしてやるのだといこうとでありますけれども、私は簡単に財源措置をしてやるのだという答弁では済まされないと思う。従つて自治庁としては、それらの事業等については何らかの——何らかのと言うよりも、むしろ継続すべきものはやはり支障のないようにこれを継続するようにというような通牒でも、各地方の公共団体にお出しになる御意見があるかどうかということを承つておきませんと、地方の自治体ではある程度の混乱が出て来はしないか。国が打切つたからもういいのだというようなことで、地方の住民との間に支障を来すのではないかと考えるが、そういうことをされる御意思がありますか。
  64. 後藤博

    後藤政府委員 廃止されました補助金のうちで、やはり地方でどうしてもやらなければならないものにつきましては、それぞれ課長会議、部長会議等で説明をいたしております。それからまた単位費用計算にもやはり落しておりません。そのままにしております。
  65. 佐藤親弘

    ○佐藤(親)委員長代理 大分時間も経過いたしましたので、午前の会議はこの程度にいたし、三時まで休憩いたします。     午後一時二十五分休憩      ————◇—————     午後六時三十四分開議
  66. 中井一夫

    中井委員長 休憩前に引続きまして会議開きます。  地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案を議題といたします。床次徳二君外三名より委員長の手元に修正案が提出されておりますので、この際提出者より修正についての趣旨弁明を願います。床次徳二君。     —————————————
  67. 床次徳二

    ○床次委員 ただいま提案になつております地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案に対しまして、修正案の提案をいたしたいと思うのであります。  一応お手元に配布いたしておりますが、案文を読んで参りますと、  地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。  第六条の改正規定中「百分の二十」を「百分の二十五」に改める。  附則第三項中「それぞれ百分の二十」を「それぞれ百分の二十五」に改める。  簡単に理由を説明いたしたいと思います。すでに本法審議におきまして各委員から詳細にわたつて質疑があつたのでありますが、将来の地方財政計画は相当増加を来すのではないかということが憂えられておるのであります。現在の地方財政計画そのものにつきましても、当委員会におきましては著しく異論があるのでありまして、必要なる財源を予測いたしますには、今日の交付金の額ではなおさ少ではないかという意見を持つておる次第でありますが、特に三十年度以後におきましては、種々増加が今日において予見せられるものがあるのでありまして、一例をあげてみますと、既定財政計画の是正におきまして、歳出の是正を要するものが二百九十四億近くあるのであります。なおこの内訳は特に詳しく申し上げることを要しないと思うのでありますが、目前の問題といたしましては、本年度におきまして公債費の増を来すものがあり、あるいは揮発油譲与税の振りかえ等によるところの増も三十年度におきましては考慮いたさなければならぬということがすでに譲与税法案の審議においても明らかにせられておるのであります。これらの財源につきまして、また本年度の予算審議におきまして関連を生じて参りました地方税改正におきまして、およそ九十二億の赤字が出て参ります。御承知の通りこれは個人事業税基礎控除を拡大いたしましたことが、三十年度以後におきましてはこの数字が予定せられるのであります。なお過般国会におきまして政府がとりましたところの入場譲与税等につきましても、財源の減少がおよそ六十億近く見込まれておるというような事情がありまして、その他厳格に地方財政計画を見て参りますと、なかなか増加を要するものがあると思つております。特に当委員会等におきまして強く要望せられておりますのは、地方財政の自主性を持たせるためにはぎりぎり一ぱいのあてがい扶持の財政ではなくして、若干の自主的財源を持ちまして、自主的に運営するところの余地がほしい、今日国庫の財政が窮迫いたしておりますることにつきましては、もとよりであります。できるだけ圧縮すべきことはもちろんでありますが、しかしながらある程度まで地方財政において自生性を持たせるということはこれと並行して必要なことである。今日地方財政の節約が叫ばれておりますが、わずかの財源を与えまして節約を叫びましてもなかなか節約の実績が上らない、十分責任を持たして、しこうして自己の責任において節約を実施せしむるということが、地方財政上においても必要ではないか、かように考えておるのであります。従つてただいまの修正案は、三十年度以後におきましてとりあえず必要と認めますところの財政計画の是正をいたし、しこうして過去におきまする赤字に対しましては、将来再建整備その他の計画によりましてできるだけこれを是正して参りたい、かような二つの方針をもつて臨みましたならば、一応今後の地方財政計画のめどがつくのではないか、かように考えておる次第でございます。  以上はなはだ簡単でありますが、修正案を提案いたしました趣旨の弁明といたす次第であります。各位の御賛成を切にお願いする次第であります。
  68. 中井一夫

    中井委員長 ただいまの修正案に関連しまして、質疑の通告がありますからこれを許します。加藤精三君。
  69. 加藤精三

    ○加藤(精)委員 地方行政委員会の大多数な全部の委員は、政府地方財政に対しましてとつておりまする処置について、なお十分満足しておるというわけではないというふうに私には感ぜられるのでございますが、今回床次委員外三名の御提案にかかる線の修正案は、その最低限を示すものではないかというふうに私たち考えるのであります。あるいは地方行政委員会委員の一部には、より程度の高い修正案を提案したいという気持の方があるのではないかと考えておりまするが、そういう気持に対しまして政府御当局、特に大蔵省当局におかれましては、この修正案につきましてどういう御見解でありまするか、念のために承つておきたいのであります。
  70. 植木庚子郎

    ○植木政府委員 お答え申し上げます。ただいまの修正案の内容は、三十年度以降の交付税の交付の率が、政府原案では百二十となつておりますのを百二十五にしたいという案と承りました。大蔵当局といたしましては、もちろん原案でぜひともお願いいたしたい考えでおるのであります。その理由は、皆様のお立場から地方財政財源をでき得る限り確保して行きたいというお気持は、十二分に大蔵当局も理解いたしておるつもりであります。しかしながら今日この際におきまして、三十年度以降の率を、百分の二十を二十五にすることがいいかどうかにつきましては、少なからぬ研究の余地があるものと考えております。すなわち、ただいまお話がございましたが、歳出において是正を要する額の問題にいたしましても、あるいは歳入について是正を要する額の問題につきましても、その中には部分的にはなるほどと思える節があることは申し上げるまでもございませんが、その根拠数字につきましては、多大の研究を要する、かように考えておる次第であります。従いまして大蔵当局の率直なる考え方を申し上げますと、かりに国会におきましてこの修正案を可決になりますならば、その場合におきましても——大蔵当局としてはこの際皆様にお願い申し上げておきたいことは、三十年度の予算編成に際しましては、国の財政地方財政との両方につきまして十二分に検討を加えて、そうして百分の二十五の問題についても研究をさしていただきたい、かような考えでおるのであります。今回のこの交付税の基礎の税となつております所得税、法人税あるいは酒税この三つの税は、御承知のように二十九年度におきましても、租税収入全体の七千七再億ばかりのうちで六十百億からを占めておるのであります。それの百分の五をふやすということになりますと、三百億を越ゆる大きな額に相なります。この三百億を越ゆる大きな額を、来年度以降の国の財政において、そのまま地方に交付することができるかどうかということについて、国の財政の運営上多大の疑問があるのではないか、かような立場に立つておる次第でございます。
  71. 中井一夫

    中井委員長 他に御質疑はございませんか——他に御質疑がなければ、質疑はこれをもつて終局いたしました。  これより原案及び修正案を一括して討論に入ります。討論の通告がありますから順次これを許します。北山愛郎君。
  72. 北山愛郎

    北山委員 私は日本社会党を代表いたしまして、地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案につきまして、政府の原案に反対をし、かつただいま説明がありました修正案に対しましても、反対の意思を表明するものでございます。  今回地方財政平衡交付金というものを改めまして、交付税の制度にするという根本の趣旨は、地方制度調査会等におきましても、いろいろ御検討になりましたように、地方団体に対しまして安定性のある財源を与えよう、こういうことが一つの目的であるようであります。また毎年々々予算の編成期におきまして、平衡交付金の額につきまして、いろいろ紛糾することのないように、国税の一定の率に準拠をいたしまして、しかもその国税が増収を見まする場合には、それに応じて交付税がふえるというような制度にして行こうというのが根本の趣旨のようでございます。そういうふうな趣旨につきましては、私どもも必ずしも反対する者ではございませんが、しかしながらその趣旨を実現するためには、いろいろな条件があるのではないか、まず第一に正しい地方財政計画というものが前提になるわけでございます。すなわち地方府県なり市町村の財政実態をよく反映したところの正しい地方財政計画が立てられて、それにマッチするところの交付税の正しい率が定められるということが、前提条件でなければならぬと思うのであります。ところが今回御提案になりましたこの百分の二十という率は、昭和二十九年度のきわめて臨時的な、しかも非常に苛酷な地方財政計画地方財政赤字で苦しんでおる実態に対しましては、非常に冷酷な財政計画を基本にいたしまして、その上に百分の二十という率、すなわち所得税、法人税並びに酒税の百分の二十という率がきまつておるのでありまして、これでは今後地方財政が真に安定性のある財源を得るというこの目的には合わないということが指摘されなければならぬと思うのであります。もうすでは本委員会におきましても何回も質疑されました通りに、本年の地方財政計画というものが、地方団体にとりましては非常に苦しいものである、また実態に合わないものであるということは、異常な地方税の自然増収を見込み、また事業費というものを大幅に切り捨て、あるいは雑収入等において不当な水増をしておる。そうして地方税収というものをよけい見積ることによつて、交付税を百六十億円も減らすとか、あるいは地方起債を減らすとかいうような非常な無理な財政計画に立つておるわけでありまして、こういう点から見まして、われわれは、百分の二十というような非常に低い率で見ますならば、本来の交付税の趣旨であるところの安定性のある収入というものが期せられない、かように存ずる次第でございます。また同時に国税の伸び。自然増収に応じた地方財源の増加という点につきましても、この制度によりますれば、本年におきまして自然増を見たものは、昭和三十一年度でなければ地方財政の足しにはならないということでございまして、今や瀕死の状態にあります地方財政にとつて、そのような自然増収、交付税の増額というものが、二年も先でなければ手に入らないということでは、地方財政の現状においてはむしろ平衡交付金制度の方がましである、かように考えられるわけでございます。  なお今回改進党から提案されました修正案も、これは百分の二十五に五%率を上げますと、なるほど来年度におきましては約三百億の増加となるわけであります。しかしこれまた本年の地方財政の急には間に合わない。しかも本年の地方財政の状況から見ますと、まず当面入場譲与税の減額によつて五十九億九千四百万円、約六十億というものが地方財政に穴が明く。これは入場税改正によりましてかような穴が明くということは現実の問題となつておる。あるいは今までの滞納となつておる交付公債を、二十九年度から五箇年間に償還をしなければならないが、その分が十三億ある。あるいは揮発油譲与税地方に四十八億与えても、建設大臣指定する府県道の事業をやりますにつれまして、約三十八億というものが地方財政計画の新しい需要としてはね返る。あるいはまたすでに今年の地方財政計画の中でも経常物件費不足が五十三億もある。あるいは国庫補助職員に対する給与費不足が五十二億もあるというように、二十九年度現在当面しておる不足というものは約二百五十億に上るわけであります。従つ二十八年度のおしまいに赤字として見積られております三百六十億に、二十九年度は二百五十億も赤字がふえるというような実態にあるわけでありまして、この実態に対しては今の百分の二十五に五%上げるということは何らの効果もない。この点において私どもは、この百分の二十五に上げるということ自体は、なるほど来年度以降においては改善であろうけれども、しかし問題は今二十九年度の問題をまず解決しなければならぬ、あるいは二十八年度までの赤字の問題を解決しなければならぬという要請の解決にはならないという意味から、遺憾ながらきわめて不十分な改善であるという点におきまして賛成することができないのでございます。せめてこれが二十九年度から百分の二十五でなくて百分の二十三でも実施されるということでありますれば、あるいはわれわれも歩み寄れたかもしれませんが、そのことができなかつたということは、きわめて遺憾に存ずる次第でございます。  これを要するに、このような新しい交付税制度というものは、将来長年にわたりまして地方財政を安定化せしめるという正しい趣旨を含むものであるけれども、現在の変転する情勢のもとでは、むしろ花よりだんご、当面する地方財政赤字というものをまずもつて解決をして、しかる後にこの交付税なり何なり安定性のある地方財政の確立ということのために措置をすべきであつて、それなくしてかような改正をしても何の意味もない、むしろ本年の問題を回避する手段にしか過ぎないという意味におきまして、私どもは反対するということを申し上げまして、討論を終る次第でございます。(拍手)
  73. 中井一夫

    中井委員長 次は加藤精三君。
  74. 加藤精三

    ○加藤(精)委員 自由党を代表いたしまして、簡単に修正案に賛意を表したいと思います。  第一番目の点は、平衡交付金制度ないし平衡交付税制度に対しまして、政府部内にはとかくその必要を不必要に過小評価している向きがあるように見受けられますが、地方団体間の貧富の懸隔、住民所得の懸隔が非常に大きな現実にある際、この平衡交付金制度ないし平衡交付税制度という調整作用を過小評価することは、非常に妥当でないものと認めるという点からも、ますますこの種の調整作用は地方財政財源としては、重要な場所を占めるべきだという信念を持つているのであります。  第二に、交付金法の第三条から交付税法の第六条への移りかわりは一つの進歩だと認めているのでございますが、交付金制度時分に、第三条が空文化しており、そして財源不足額の総額よりも交付税の額が少い場合に、十六国会以後にも種々の方法をもつてたびたびその措置をしたのでありまするが、これによりまして地方団体は当然享有すべき財源をある程度制限されたわけであります。そういう意味におきまして、今度比較的弾力性のある所得税、法人税、酒税の一定割合を持つて来たということは非常に有利なことでございますが、しかしながらたびたびこの地方行政委員会において論議がございましたるごとく、地方財政計画上から逆算して、この率をきめることになるおそれのある点を解消する必要もございますので、その点におきまして回の修正は意味があるものと考えます。  第三番目には、地方制度調査会の答申には少くとも三百億程度の規模の拡充を要請されているのでございますが、それにもかかわらず政府におきましては百四十九億何がしかの財政規模の拡充しかいたしておりません。この点を補うものとしても今度の修正案は意味があるものと考えるのであります。またこの規模の拡大につきましては、全国知事会、都道府県会議長会、市長会、市議会議長会、町村会、町村議会議長会の六団体の一致した要木であるのにかかわりませず、これが十分採用せられなかつた点を補うものとして意味があるのであります。  第四番目に、二十九年度当初予算が国会にかかりますや、保守三派におきまして共同修正をいたしております。なお次に、当初予算に計上されておりましたる公共事業費の打切りによりましての単独事業への移行と、それによりましての地方財源需要額の見積りを三十四億幾らしか計上しておりませんが、これではまつたくしのげないのでございます。またガソリン譲与税の面におきましても、当初七十九億の地方財源に与えられました金額のうち、十億円だけが道路整備費に特定されておるような形になつておりまして、六十九億は一般財源に予定しておつたのでありますが、その後財源調整について三省間にある程度の協定はつけたとは申しましても、これは歳出の経費の節約、あるいはこの財源といたしまして起債財源でもつて一時的に補うという程度でございまして、抜本的な恒久財源を与えたわけではないのであります。  さらに入場譲与税の減少におきましては、御承知のごとく臨時一般会計より繰入れることあるべしという保証がついておるのでありまして、これらの財源はいずれも恒久財源化する必要がある。その他はまた近く地方行政委員会におきまして、地方税法の修正をいたしました点につきましても、この財源を考慮する必要があるのでありまして、それら二十九年度財源問題に関連いたしましても、一つの解決を与えるものとしてこの修正案を重視するのであります。  なおさらに第六番目といたしまして、特に全国を通じて地方団体が三百六十億もの赤字に悩んでおるのでございまして、この修正案による財源の増加を処理することは、特にこの赤字処理と並行いたしましてきわめて重要だ。特に翌年度歳入の繰上げ充用との関係がございますので、そういうような関係から平年度化したる場合においての交付税の税率というものは、将来の財政規模について目途を与えるものとしてきわめて重要なる意味を持つている。二十九度におきましては、あるいは一時借入金、あるいは一般会計からの繰入れ、あるいは起債の増額、あるいは歳出の節約、諸種の処理方法を用いて糊塗いたしましても、二十九年度としてはある程度しのげましても、将来の希望がまつたく失われております地方財政のために光明を与えるものといたしまして、床次委員外三名の修正案に賛意を表するものであります。(拍手)
  75. 中井一夫

    中井委員長 次は門司亮君。
  76. 門司亮

    ○門司委員 私はただいま提案されております地方財政平衡交付金法の一部改正に関する法律案並びに提案されております修正案に対して、社会党を代表して反対の意見を申し上げたいと思うのであります。  第一に原案に対して反対をいたしたいと思いますことは、この原案自体が非常に大きな誤りを持つておるのではないかということであります。すなわち法案の取扱いといたしまして、ここに地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案という題名のもとに、その内容は地方交付税を交付する、こういうことになつております。法律の取扱いから申し上げますならば、題名がかわれば当然、現行法の改正案あるいは修正案でなくして、別個の法律として出して来るということが、私は正しいと考えるのである。従つてまずここにこの法律の取扱いの上において、一点の大きな疑義を持つておるということであります。  その次には、さらにそれの内容でありますが、内容につきましては、大体この法案が当然、先ほど北山君からも申し上げましたように、地方制度調査会の答申案、説明書に基くといたしますならば、その内容がかつての配付税法的の性格になつて来なければならないのにもかかわらず、まつたく前の地方財政平衡交付金法の内容と同じような内容になつておるということ、従つてこの法案自身は題名と内容とが違う。これは非常に大きな問題である。従つて法案全体がいかにも題名にとらわれたごまかしの法案であるということが一応言えるかと思うのであります。  なおこの法案の内容につきましては所得税、あるいは法人税、酒税の二〇%を地方財源として付与するということになつておるのでありますが、この財源は予算面において見てみますならば非常に過小であつて、いわゆる千二百十六億しか予算面に見てない。昨二十八年の平衡交付金総額は一千三百七十六億であつて従つて百六十億の減収に地方はなるということになるのであります。政府はこの間においてタバコ消費税を地方に与えるからと申しておりますが、このタバコ消費税の中からの百六十億というものは、当然私ども地方に付与されるものから削除して考えなければならないということになつておる。同時にこの法案の内客が、先ほど来申し上げておりますように、配付税的の性格を持たない、交付税的の性格を持ちまする関係から出て参りますものはどういう欠陥かといえば、かつての配付税でありますならば、年度の半ばにおいてもし財源が足らない場合は、これが追加更正予算としてこれを見積ることが十分できたのでありますが、今度一定の額に定められます以上は、その額の範囲内においてこれが処理されるということであつて、その年度における赤字を従来の地方財政平衡交付金というようなあり方においては求めることができなくなつて来ておる。それをカバーすることのために、翌々年度になつて初めて決済された決算額の二〇%の支給するということになつておりますので、その年度年度をおける地方財政というものは、非常に私は従来よりもきゆにくつなものができるのじやないかということを考えざるを得ないのであります。この点については、私どもは遺憾ながら原案の非常に大きな欠陥として、まず指摘しておくべき点であると考えておるのであります。さらにこの案の全体を通じて見ますと、先ほどから申し上げておりますようなきわめてあいまいな案であつて、整わざる案であるということは、一つの大きな問題である。これによつて地方財政の安定感というものは、私どもは得られないということを申し上げておかなければならないのであります。  次に問問題になつて参りますものは、例の修正案の内容であります。なるほど修正案において二〇%を二五%に上げて、一応の財源を確保するということは、私は処置としては当然こういう処置がとらるべきであるということに反対するものではございませんが、しかしこれも三十年度からということになつておりまして、二十九年度においては何らの効果もございませんし、さらにその配分の方法はやはり私は当然先ほども申し上げておりますように、ある種のものは、修正案の提案者も申しておりましたように、地方に対する自主財源というものはどうしても与えなければならない。そういたしますと、配付の方法をかえて、ただ財政基準による需要額あるいは収入額というようなものの算定をするだけではありませんで、やはり納税の額に応じてこれを配分するという、いわゆるほんとうの自主財源がここに与えられなければ、この税制の完全な役割を演じないだろうということは、何人にもいなめない事実であると考えるのであります。その処置が依然として修正案の中に講じられていないのであります。従つてわれわれといたしましては、率はふえたとは申しながら、この率がふえたことにより、地方の自主財源がふえたとはなかなか言い切れない。私ども地方の今日の個々の自治体の実態を見て参りますならば、資産内容等を検討いたして参りますならば、当然この修正案の中にはそういうものが織り込まれて、そうして真に地方財政実態に沿う財政処置が講じられるべきではなかつたかと考えておるのであります。  最後に私は、先ほど大蔵当局から答弁をされておりますことについて、一言触れておきたいと思いますが、大蔵当局はこの修正案によつて三百億の交付税がふえて来るというこうは、国全体の予算の上において非常に大きな問題であるというような御答弁をされたのでありますが、このことは大蔵省はひとつ改めてもらいたい、考え直してもらいたい。ということは、昭和二十七年度決算が今内閣総理大臣吉田茂氏の名前で衆議院議長あては提出されておりますが、昭和二十七年度決算の状態を見て参りまするときに、地方財政の総収入というものは八千五百三十億である、そうして歳出は八千四百二十億である。そうして翌年度の繰越し歳出あるいは事業の繰延べ、支払いの繰延べというようなものを考えて参りますると、これが二百九十六億ある。従つて、実質的の決算におきましては百八十五億の財源不足となつておるということは、ちやんと総理大臣が堤衆議院議長に、地方財政決算の状況として知らされている。さらにその次に、総理大臣の報告書をそのまま受取つて読んでみますると、財源不足額は、地方個々自治団体を十分当つて行くということになつて参りますと、実際には三百億の赤字であるということで、総理大臣が自治団体赤字というものを、はつきり決算額において指定されておるということを政府当局においては御存じだと考える。この場合に国庫財政はどうなつておるかと申し上げますと、長くなりますから最後の数字だけしか申し上げませんが、国庫財政の方を見て参りますと、二十七年度決算額においてのすべての未払い、いわゆる二十八年度に繰越しまする支払い、あるいは事業の繰延べというようなものを差引いて申しましても、なおかつ八百五十三億の黒字が出ているということがはつきり書かれている。そういう決算額から見て参りまするならば、三百億くらいのものが地方に配付されると申し上げましても、国の予算の上には何らの影響はないと考えるが、その点一体大蔵省は御存じになつているかどうか。私は、この点は大蔵省はおそらく御存じなかつたのではないかと思う。こういう点を考えて参りますならば、先ほどの大蔵省の御意見というものは、いたずらに中央財政のみに依存されて地方財政を顧みないところの、私どもの最も遺憾とする答弁であつたということを、この機会に私は指摘しておきたいと思う。以上を申し上げまして私の反対の意見を終ることにいたします。
  77. 中井一夫

    中井委員長 以上をもちまして討論を終局いたしました。  これより採決に入ります。まず床次徳二君外三名提出の修正案についてお諮りをいたします。本修正案に賛成の諸君は御起立を願います。     〔賛成者起立〕
  78. 中井一夫

    中井委員長 起立多数。よつて本修正案は可決されました。  次に、ただいまの修正部分を除く原案に賛成の方の御起立を願います。     〔賛成者起立〕
  79. 中井一夫

    中井委員長 起立多数。よつて本案は床次徳二君外三名提出の修正案の通り修正議決されました。  この際お諮りをいたします。ただいま議決いたしました議案に関する委員会報告書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  80. 中井一夫

    中井委員長 よつてさように決定をいたしました。  明日は、他の法案の討論採決に入りますから、ぜひ正十時に御出席を願います。  本日はこれをもつて散会いたします。     午後七時十四分散会      ————◇—————