○奧野
政府委員 この前の建設
委員会との連合会で一億円の建築を例に出したものですから、
西村さんからまでひやかされてしま
つて、いささか面くら
つたのでありますが、あのときの
議論は、たとえばビルデイングならビルデイングを建てる場合に、
不動産収得税があるために耐火構造にしないで木造にする場合があるのではないか、こういう
ように聞いたものですから、かりに一億円としても三百万円程度の税
負担ではないか、か
ように申し上げたつもりであります。これは別にいたしまして、新築住宅の場合に、百万円未満の
部分については課税しないことに定めた根拠は何か、こういう御質問だと思います。御
承知の
ように住宅金融公庫が建築資金を貸し出す場合に、坪当り建築費の
基準にと
つておりますのは三万三千円であります。かりに三十坪といたしますと九十九万円になるわけであります。実際問題といたしまして、たびたび申し上げます
ように、百万円投じて建築したから
といつて、すぐ百万円に売れて行くわけでございませんので、課税標準にとります適正な時価というものは、大体この七割見当ぐらいになるわけであります。そうしますと、かりに三万三千円建築にかかるとしますと、四十坪までぐらいのものは課税されない。大体三十坪前後のものが課税されないなら、それでいいのではないか。大体庶民住宅というものを目標にして非課税の限度をきめたわけであります。なお累進税率を採用しないのか、こういう
趣旨の
お話もございました。いろいろな税金を個人に集約して課税いたします場合には、その個人の生活費その他のものも考慮いたしまして、あとどの
ような
負担能力があるか、こういうことにな
つて参るわけであります。所得税でありますと、人税といたしまして、その人のあらゆる所得あらゆる収入を一人の人にまず集約いたしまして、それからさらにその人の生活費としてどうしても引かなければならないものは幾らあるか、そうして残りのものから税を払
つてもらう、
従つて所得の高に応じて累進税率を採用するということが可能にな
つて来ますけれ
ども、個々の行為なり個々の物件なりに着目して、課税をいたして参りますものにつきましては、そういう人的
事情を考慮することが困難にな
つて参るわけであります。またそういうことでありますと、なかなか課税ができなくな
つて来るのではないかというふうに思うわけでありまして、物税の普通一般の理論に従いまして税率を採用する。あと人的
事情を考慮するのは、収入をすべて個人に集約した上で
考えます人税において行
つて行くよりいたし方ないのではないか、か
ように
考えているわけであります。