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1954-03-12 第19回国会 衆議院 地方行政委員会 第29号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月十二日(金曜日)     午前十一時八分開議  出席委員    委員長 中井 一夫君    理事 加藤 精三君 理事 佐藤 親弘君    理事 灘尾 弘吉君 理事 吉田 重延君    理事 西村 力弥君 理事 門司  亮君       生田 宏一君    尾関 義一君       木村 武雄君    前尾繁三郎君       山本 友一君    床次 徳二君       橋本 清吉君    阿部 五郎君       石村 英雄君    北山 愛郎君       伊瀬幸太郎君    大石ヨシエ君       大矢 省三君    中井徳次郎君  出席政府委員         自治庁次長   鈴木 俊一君         総理府事務官         (自治庁税務部         長)      奧野 誠亮委員外出席者         専  門  員 有松  昇君         専  門  員 長橋 茂男君     ————————————— 三月十二日  委員木村武雄君辞任につき、その補欠として、  津雲國利君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会打破に付した事件  連合品審毎会開会に関する件  地方税法の一部を改正一する法律案内閣提出  第五六号)     —————————————
  2. 中井一夫

    中井委員長 これより会議を開きます。  この際連合審査会開会についてお諮りをいたします。すなわち入場税法案につきましては、本委員会より大蔵委員会に対し連合審査申出をいたしておきましたが、明十三日午前十時より、これが審査会を開くことになりました。しかるところ、本委員会に付託されております入場譲与税法案につきまして、大蔵委員会より連合審査会開会したい旨の申出がありましたので、できるならば皆さんの御同意を得て、本問題も入場税法案連合審査会におきまして一括して、その審査を進めたいと思うのであります。すなわち右大蔵委員会よりの申出につき、承諾するに異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中井一夫

    中井委員長 異議なしと認め、さように決定をいたし、当委員会よりの申出大蔵委員会より当委員会への申出、これを一緒にいたしまして、明日の連合審査会において審査を進めることにいたしますから、何とぞ各位におかれましても準備のほどをお願いをいたしておきます。     —————————————
  4. 中井一夫

    中井委員長 地方税法の一部を改正する法律案を議題といたし、これより審議を進めます。  本日より税目別質疑することとなつておりますので、質疑申込み順序によつて、これを許可いたします。審議順序政府より本委員会に提出されております地方税法改正要綱従つて進めたいと存じます。最初は総則からであります。
  5. 加藤精三

    加藤(精)委員 税目別質疑は、第二の道府県民税に入りましてから、たまたま国務大臣が見えられたので、便宜一般質問にしたのでありまして、道府県民税からお始め願います。
  6. 中井一夫

    中井委員長 ただいま加藤理事の御発言がありましたが、まことに御趣旨通りであるということを承知いたしました。従つて道府県民税から質疑を進められんことを希望いたします。北山君。
  7. 北山愛郎

    北山委員 道府県民税につきましては、この前一般質問の際にも触れておつたのでございますが、この税が、現在までの市町村民税の一部をさいて道府県にこれを移して行くんだ、そうしてその徴収には市町村がこれに当るんだというような非常に異例な、変則措置でございます。徴収につきましても、この前指摘しましたように、地方税法の第二十一条でございましたか、徴収義務市町村にやらしてはならぬというような原則の例外でございまして、こういう点において、できればこのような変則の税は避けたい、このように考えるのが常識であろうと思うのでございます。そこでまず第一に、どうしてもこの道府県民税創設方法で行かなければならなかつたという事情——これは地方制度調査会の答申はもちろんございますけれども、その他の、たとえばタバコ消費税創設というような点もからみ合せて考えて、ほかの方法があつたのではないかと思うのでありますが、どうしても道府県民税創設するの方法によらなければならぬというふうになりました事情、及びその理由についてまずお伺いをいたします。
  8. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 御承知のように、先般大蔵大臣から提案理由で御説明申し上げましたごとく、都道府県行政の実態は都市農村を通じまして府県行政の全体についての運営をやつているわけでございまして、公益的な自治団体としての作用、あるいは補完行政としての作品というような面におきましては、予算等において実際措置されますものは、農村方面に相当多くまわつて行くわけであります。ところが御承知のごとく府県税金というものは、事業税にいたしましても、入場税あるいは遊興飲食税にいたしましても、都市から上る税金である。しかもまた実際の納税義務者というものは、府県民の中でごく限られた一部しかないというようなことで、実際の行政とその行政を裏づけする財源との間にまことに不均衡な関係があるわけでございまして、これをやはりもつと府県民全体で支える府県であるという姿を、税制の上におきましても明らかにすることが必要である、そういう点から申しまして、やはり一番負担分任精神にかなうものが道府県民税であるというようなことで、これを創設することにいたしたのであります。
  9. 北山愛郎

    北山委員 この点はこの前も質疑しました通りに、道府県民税創設したという趣旨、どうしても創設しなければならぬという趣旨については、実は十分納得が行かないのでございますが、次に移りまして、一体このように新しい税目を立てるということは、やはり将来増税の原因をつくつて行くような危険があるのでございます。その点についてお伺いしたいのでありますが、まず第一に、すでに二十九年度の地方税収入見込額を見ましても、二十八年度の市町村民税収入見込みは七百九十億でございますが、それが現行法そのままで行きますれば、八百八十一億幾らになる見込みであります。それがその一部を道府県の方に移譲しなければどのくらいの市町村増収になる見込みになつてつたか、その一部を道府県の方に移した結果、市町村の方の減収はどのくらいになるか、道府県はどのくらいの増収になるか、それらの関係について、収入見込願の調べにおきましては、それだけではちよつとわからないのでありますから、その間の関係を説明願いたいのであります。
  10. 奧野誠亮

    奧野政府委員 地方税に関する参考計数資料の一ページのところに上つておるのでありますが、道府県民税を設けます結果、二十九年度におきまして百六十九億一千百万円増加いたします。反面市町村民税におきましては、百七十三億三千九百万円だけ減収するわけであります。平年度におきましては相互に差異はないと思つておるのでありますが、初年度でありますだけに道府県民税徴収ぐあいが若干下る、こういう関係から収入金額といたしましては、総体で若干減るという結果になるだろうと思います。
  11. 北山愛郎

    北山委員 普通の常識考えますと、現在市町村民税というものの一部を都道府県の方へ移譲するのでございますから、そこで市町村民税が減少する分だけ道府県の方でふえるというのが普通じやないかと思う。ところが結果的にこれを考えますと、二十八年に比べまして、道府県民税の方は百六十九億、約百七十億ということになつておる。ところが市町村民税の方で二十八年度に比較して減る分は、わずかに八十一億でございます。そうしますと百六十九億から八十一億を引いた分は、それだけ住民負担がふえる結果になるわけでございます。すでに二十九年度でもそのように、今までの市町村民税道府県民税市町村民税三つにわけたために、約九十億ばかりのものが住民負担となつてふえておるのでございますが、さらにこれが税率その他の関係でもつて固定してございませんから、あるいは道府県民税の方の税率を別個に、県の方の理由で上げるというような場合におきましては、それがやはり増税になつて行く。道府県の方の増税理由と、市町村の方の増税理由とが両々相まつて、将来増税になるおそれはないか。この点を私どもは非常に懸念をするのでございますが、それについてのお考えあるいは見通しを伺いたいのであります。
  12. 奧野誠亮

    奧野政府委員 第一点は、二十八年度の市町村民税収入額改正前の二十九年度の収入見込額と比較すれば相当増収になつている、この点をお取上げになつているようであります。これは二十七年分の所得税額と二十八年分の所得税額とを比較していただくとわかるのでございますが、所得がかなり伸びておるのであります。そこで前年所得基礎にいたしまする市町村民税がふえて来るという結果になつておるわけでございます。  第二点は、府県民税をつくれば両者を合せた負担増額になるのではないかという御意見でございます。これにつきましては、立法にあたりまして、そういうことの起らないようにという配慮を加えておるつもりでございます。地方財政平衡交付金計算をいたします場合に、基準財政収入額の算定にあたつては、市町村民税所得割分所得税額の一八%を基礎計算して参つたのを、今回の地方財政平衡交付金法改正案におきましては一五%を基礎にして計算をして行く。反面、府県民税の部分につきましては五%を基礎にして計算して行く、こういうふうに振りわけをしているわけでございます。同時に裸視制限額につきましても、課税所得金額の一〇%を限度にしておりましたのを、市町村民税につきましては七・五%を限度にするようにいたしているわけであります。総体的に課税限度額を七・五%に下げております結果、課税制限額が若干強く働いて行くわけであります。七・五%と二・五%に振りわけません場合と、振りわけました場合とを考えて参りますと、制限にひつかかつて来るものが多くなるのじやないだろうか。従つてまた全体としては若干収入が落ちるのじやないだろうかという見方もしておるわけであります。さらにまた市町村民税所得割を非常に多く徴収しておりました団体にありましては、府県民税所得一割の税率が低くなるわけであります。反面、少くとつておりますところは高くなるわけであります。こういうところから、自分団体市町村民税が他の市町村に比べて多いのか少いのかということが簡単明瞭にわかるようになつております。ということは、増税に対する住民批判というものが、かなりきつくなつて来るのじやないか。そういうことから増税をチエツクするような力もかなり強く働いて来るのではないか。もちろん北山さんのおつしやるような見方もあるわけでありますが、他面逆な作用もいろいろな面において出て来るのでありまして、総体においてふえないのではないか。また増額にならないように配慮を加えておるつもりでありますし、そういうような点にも注意をして行ぎたいというふうに考えております。
  13. 北山愛郎

    北山委員 なるべく増税をさせたくない方針であるということはわかるのでありますが、しかし増税の道を全部ふさいでおるのではなくてやはり道を開いておるということも、この規定の中で若干うかがわれるのであります。一定の道府原民税の率を固定したものでなくて、幾ら弾力性を打たせるということ、そういうような点にむしろ今後の増税の直を開いておると言つた方が適切ではないか、こう思われるような節もあるわけであります。とにかく一つ税金三つにわけて別々の団体がとるということになりますと、どうしてもそれぞれの事情からいたしまして、増税の機会がふえる危険が多くなる、こう思うのであります。住民批判という点をお話なりましたが、住人の批判でもつて地方税なり国税でももそうでございますが、増税がチエツクされる。これが文字通りに行われますならば、現在の地方税などは今のような不平不満をこぼすようなものでない、もつとよいものになつておるはずなんです。ところが輿論あるいは納税者批判を十分に聞かないで、どちらかといえば一方的に徴収する側の都合のよいような規定ばかりをどんどんつくつて行くというのでございますから、その点のお説にも私どもはどうも賛成することができないのであります。  そこで次に移りまして、きのうのお話でも道府県民税道府県自分の機関でとるということになれば、徴税費が非常にかかるのだ、それでは不合理であるから、これは市町村市町村民税をとると同時にとつてもらうのだ、そこで経費の節約もできるのだというお話でございました。しかしこれは表面に経費として現われないというだけであつて、実際市町村のこれに払ういろいろな労力経費というものは相当であろうと思うのであります。たとえばこの道府県民税徴収市町村が命ぜられることによつて、まず平均二人の人間が必要であるということになれば、約二万人の職員がよけいふえなければならぬ。二万人ということになれば、これは、三十億なりあるいは四十億なり人件費ごそこで出なければならぬということになるわけであります。これは実際におきましてはそれだけの経費が隠れておるというだけにとどまるのではないか、この点を私は非常に疑問に思うのでありまして、それらの点についてはつきとりとお答えが願いたいのであります。さらにその市町村に命ずる徴税経費補償は政令で定めるということにしてございますが、一体どういうような基準を今お考えになつておられるか、それをお示し願いたいのであります。
  14. 奧野誠亮

    奧野政府委員 第一は府県民税市町村徴収させる結果、事務が煩雑になるのではないかというふうな御意見でございます。これは私たちは煩雑にならないようにしたいと思うのであります。またこういう考え立案に当つたつもりでございます。またその結果煩雑になるようでありましたならば、時々その箇所を見出しては立法措置で是正すべきであると考えております。それではどういうやり方をしようと思つておるかということを申し上げますと、徴税令書には府県民税額も書いていただかなければならぬ。内訳は書いてもらいたい。あとの取扱いはずつと今まで通りつてもらう。最後市町村から府県に払い込みます場合は、府県民税市町村民税課税総額割合で、府県民税相当分市町村に払い込んでもらう。そういうやり方をすれば、最初内訳を書く仕事最後総額に按分して払い込む、この二つが加わる程度ではないかというふうに考えておるわけであります。またそういう程度にとどめたいと思います。こういう考え方が中心になつておるわけであります。  第二に、これらの徴税費を補償する意味において、府県がどの程度取扱いを補償するのかという問題であります。現在のところ市町村から府県に払い込みました額の二%と、それから徴税令書一通について二十円を乗じた額の合計額でいかがなものだろうかというふうに思つております。しかしこれはこの間も申し上げましたように、市町村側としては少過ぎるのではないかというような意見もございますので、なお現在研究している最中でございます。
  15. 北山愛郎

    北山委員 言葉の上ではそのように、なるべく簡素に市町村民税と同じようにやれば、一緒にとるのだから別段めんどうな面はふえないというような御説明になるわけですが、実際問題とすると、これは市町村市町村民税令書でもつて一括してとつて総体のまとまつた額から一定割合のものを府県に納めるというならば、それはその通りになるかもしらぬ、しかしやはりあくまで個人々々について一定税率でもつて県民税というものは計算をして、そして切符は別々にどうしても書かざるを得ない、納税義務者が別個ですし、県民税市町村民税と納めるときが別なんですから、同じくつついた通牒でも令書に響くのは別にならざるを得ないと思うのです。そして少くとも個別的にそれを計算しなければならぬということになるわけです。市町村民税計算して記入する、それから県民税の方も記入するというだけの事務は出て来る、納まる分を出納上別々に仕訳をしなければならぬということになる、そうすればやはりこれは事務的には並行してやるにしましても、常に個々のものについて県民税幾ら、あるいは市町村民税幾らということを念頭に置いた事務処理をしなければならぬということになつて、案外これはめんどうくさくなるのじやないかと思うのです。これは出納事務の方のいろいろな技術的な問題もあるのでありましようが、やはりそうならざるを得ないというようなことで、今自治庁でお考えになつているほど、これは簡単に行かないのではないかと思うわけであります。  さらにきのうもちよつと触れたのですが、納税義務者市町村民税県民税とを同時に納めねばならぬという義務を負わされておるのですが、やはり納税義務者納付期限の許す範囲において、どつちを先に納めるかということは自由だと思うのです。それを一緒でなければ納められないということは、やはり県民税というものが、県民に対する税という性格よりも、むしろ市町村に対する配付金負担金割当金といつたような性格を持つておるのであるというふうに解されるのではないか、この税法創設した原則府県民負担の分任をさせる、わけて負担をさせるという趣旨からは遠くなるのではないか、ただ事務上は別々に計算するというだけの話でありまして、実際は一緒に納めなければならぬ、ただそれを市町村でもつてわけて道府県に納めるのだというようなことでは、これは総体から考えれば市町村に対する負担金個々納税義務者県民に対する県民税というよりは、その方の性格が強くなるのではないかと思うのですが、それらの点についてさらにお答えを願います。
  16. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 道府県民税は、考えて行けばこれは結局分付金といいますか、配付金と同じようなものではないかというお話でございますが、これはお話のような筋を立てて参りまして、ほんとう負担分任精神を強調するということになりますれば、これは府県がみずからの徴税機構をもつて県民から徴収するというのが一番自主的な筋にかなつた徴収方法でありますけれども、しかしこれは反面徴税費がよけいかかるという点から、今回の一つの新しい徴収方式考え出したわけでございます。しかしこれも全然新しいと申しますよりも、かつて市町村府県税金附加税という形でとつてつたことがあるわけでございまして、シヤウプ改革税制においてあまりにも府県市町村間の責任の分離と申しますか、徴税機構分離を極端にやり過ぎておるというようなことも反面考えなければならぬのでありまして、そういうようなところから徴税費をできるだけ軽減をする、反面また負担分任精神を可能な限度において具現をさして行くというようなところで、今度の案を考えたわけであります。たとえば徹底した分付金というようなことでございますならば、府県はただ市町村に対して一定の額を一定方法によつて配分をして、それを市町村民からどういうふうに徴収するかということは、市町村が適当な方法考えるということになるわけでございますが、そういうような意味の徹底した分付金制度ではもちろんこれはないわけでございまして、いわばその中間になるような徴税方式を今回とるようにいたした次第でございます。ですから北山さんのおつしやいますように、あるいはそういう分付金的なにおいも全然ないわけではないと思うのであります。立案の過程におきまして、ことに地方制度調査会等におきましては、そういう分付金方式はどうかという意見もあつたのであります。しかしそれは負担分任精神から考えて適当でないということで、今回はいろいろ考えました末、かような方式考えたわけであります。
  17. 北山愛郎

    北山委員 最近市町村の役場へ行つてみますと、前に比べまして税金をとる課とか、あるいは係というものが非常に多くなつている、これはシヤウプ税制以来市町村徴税事務というものが非常に厖大になつた徴税職員もふえたというような結果だと思うのですが、ある市の市役所に行きますと一階は全部税金の係、ですから知らない人は錯覚を起す、これは税務署に来たのではないか——ほんとう市民のために、市民の生活のためのサービスをする総合的な自治体の役所であるというよりも、税務署のような印象を受ける役所が相当あると思うのです。従来でもその通りであります。これはシヤウプ税制によつて固定資産評価という非常にむずかしい仕事市町村にはふえて参つた、どうしても人間をふやさなければならぬし、また一方では経済界その他の変動により、あるいは増税によつて徴収が非常にめんどうくさくなつた滞納がふえたというようなことで、税の徴収というのは普通の徴収ではなくて、滞納徴収原則のようなくらいにまでむずかしくなつて来ておる。その際にそういう徴税事務がふえて来ているということを、自治庁では念頭に置いたかどうか。さらにこの仕事負担をかけますと、やはりある程度事務量はふえて来る。今まででも相当な負担であるのに、さらにしかもほかの団体税金まで命ぜられてとらなければならぬほど、市町村はひまじやないわけなんです。そういうふうな点を自治庁としてはお考えにならなかつたかどうか。これは市町村道府県協力をするといえば非常にりつぱですけれども、実際は手をあげるのではないか、自分仕事だから苦しくてもやるということはあるにしても、今までは市町村民税の中に入つて一緒にとつてつたものをわけてやつて、わけてやつた分までめんどうしてとつてやらなければならぬというようなことがいかに市町村精神的な、あるいは実際事務上の負担になつて来るかというようなことをお考えになつたかどうか。そういう点をお伺いしたい。
  18. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 地方税徴収のために要します経費、あるいは徴税人員の問題についてお尋ねでございますが、これは御承知のようにシヤウプ税制改革後、固定資産税でございますとか、その他の新しい税種ができましたために、相当市町村徴税費あるいは徴税職員というものは増強せざるを得ないかつこうで相当ふえたわけであります。たしか三十六年ごろは七万人くらいの地方税関係徴税職員がおつたのでございますが、その後たとえば固定資産評価にいたしましても、三年を経過するに従いましてだんだん評価事務にもなれて参りましたし、あるいは事業税徴収にいたしましても、国税所得税あるいは法人税基礎を利用するということで、だんだん手を省くというようなことが可能になつて参りまして、大体考え方としては、やはり少数精鋭主義と申しますか、そういうような形で推移して来ておるのであります、今回さらに道府県民税をとるというようなことになつて、これをまた別個の徴収方式で行くということに相なりますと、さような姿のものをまた再び増強せざるを得ない、徴税費用をふやさなければならないというようなことに相なりますので、御指摘のようにまことに市町村に対しましては迷惑と申せば迷惑、あるいは気の毒と申せば気の毒なような形でございますけれども、しかし府県市町村もひとしく地方住民の福祉を増進するためにある公共目的地方団体であるのでございますから、ほかの団体のことは自分は知らぬ、こういうような考え方でなく、やはり相互協力の大乗的な見地に立つてつてもらいたいということが、今回の立案の骨子でありまして、要するに経済的に徴収費を節約するとともに、また府県市町村間の協力関係を円滑にやつてもらう、こういうようなところに出ておるのであります。
  19. 北山愛郎

    北山委員 次にお伺いしますが、今度の改正法の第三十四条を見ますと、市町村長道府県の方から配賦を受けたものの所得割額、こういうものが違法であるあるいは間違いがあるという場合には異議申立てができる、こうなつておるわけであります。それでその後訴願なり訴訟なり規定がございます。そういたしますと、もしも市町村長の方でこれは違法であるというふうに異議申立てをした場合には、その間道府県民税徴収しなくてもいいかどうか。事務が停止され、あるいは障害があるのじやないか、こういうふうな心配があるのですが、いかがでしようか。
  20. 奧野誠亮

    奧野政府委員 行政事件訴訟特例法によりまして、そういう異議申立てをしておりましても、事務事務として進めて行かなければならないということになつておるわけであります。
  21. 北山愛郎

    北山委員 それから大体結論の方へ行きますが、どうも今までいろいろお伺い申しました通り、わざわざ百七十億の財源を道府県に与えるということによつて、その徴収を忙しい市町村負担をかけるというようなこの通府県民税創設というものには、いろいろ私どもは納得の行かない点があるわけであります。またそれを考えますのは、同時に国の方ではどうも最近府県というものを国の出先機関のように考える傾向がある。知事の官選であるとか、あるいは地方に事務官を置いて、国家公務員が地方の仕事を見る、あるいは監督するというようなこと、あるいは今度の警察法の改正にいたしましても、地方の警察を府県警察——自治体警察とは言つておりません。その通りに内閣総理大臣が大体において全国の警察を統轄するといつたような中央集権化の傾向がある。そうして警察費の負担経費負担の方は道府県がこれを持たなければならぬというかつこうになつておる。そこでかりに警察法だけを考えましても、相当の負担道府県の需要額となつて出て来るわけであります。そこでその費用を補うためにこの道府県民税創設したのではないか。要するに中央集権の警察、その経費だけは地方団体負担させよう、道府県の財源はないからこれを市町村から取上げてやろう、こういう結果になつておるのではないか、私にはどうもそう思われるのですが、その間の関係はいかがなものでしようか。
  22. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 今回警察法の改正によりまして、地方の負担が約百五億ばかりふえる、その負担がまた府県にかぶさつて来るということは御指摘の通り事実でございます。そういう関係も一面にございまして、またできるだけ地方の自主的な税源を増強しようというところから、先般来いろいろ御説明申し上げましたごとく六百二十四億余りの税源を地方に新しくまわす、こういうことにいたすわけでございまして、道府県民税府県創設いたし、反面市町村には府県より以上に一〇%のタバコ消費税をまわす、そういうような処置を講じておるわけでございますが、これらの総体関係につきましては先般来御説明申し上げた通りであります。そういうふうに府県負担がふえました結果、こういう税金を起すということは適当ではないではないかというような意味のお尋ねのようでございますが、これは国家地方警察として運営せられまする限りは、都道府県の議会におきましては全然これに発言する機会を持たないわけでございますけれども、しかし警察運営の費用が都道府県負担であるというところから、やはり都道府県の議会は当然に予算を通じてこれに発言権を持つわけでありますし、また運営自体につきましても都道府県事務という考え方でございますから、府県の議会としては当然にこれに発言権を持つわけでございまして、そういうふうに考えて参りますと、あながち税の負担だけを増したというその方面の不利益だけではなくして、反面の長所もあろうと思うのであります。そういう見地で考えておる次第であります。
  23. 北山愛郎

    北山委員 警察の点につきましては、道府県の方で経費の方は持つのであるから、そこで県議会等でもつて警察費の審議もするのだ、だからその点予算を通じて警察に対する発言権というものは増すのだ、こういう御説明ですが、しかし実際問題として来ますと、あくまで警察運営のやり方については県議会は発言権がないと思うのです。これは当然のことであります。そして経費の点につきましても、新しい警察法では、給与でも何でも大体政令で基準を定めて、その定められた基準によつて県議会は予算も組まなければならぬ、給与もしなければならぬということなんです。ただ問題は、それ以上に自動車をふやすとか経費をふやす場合だけは、あるいは発言権があるかもしれない。それは国家警察といえども、いろいろな設備を道府県負担においてやつてくれるというのは歓迎すべきことでありますけれども、そういうふうな発言力しか私はないのじやないか、こう思うのです。総体として考えれば、これは警察法の問題でございますが、やはり今申し上げたように、あるいはお答えがありましたように、新警察制度によりましてこれはどうしたつて中央の権力下に全警察が置かれる。そうして経費の方は今まで国家地方警察については国が負担しておつたのに、これを道府県負担しなければならぬ、その財源として道府県民税創設する、これを市町村から持つて来る、取立ての方は市町村の吏員にやらせる、こういう機構のようにしか考えられないのであります。  タバコ消費税のことがございましたから、ちよつとお聞きしたいのでありますが、タバコ消費税というものを地方に移譲するのですから、道府県民税創設でなく、そういうめんどうくさい今まである市町村民税から一部をさいてやるというような変則異例なことをやらないで、このタバコ消費税の操作によつてやるような方法がなかつたか、そういうことは考えなかつたか、タバコ消費税の方は徴収事務も楽なわけであります。また実際に道府県の方には百十五分の五でありますが、市町村にも百十五分の十というものを両方にわけてやつておる、それをくふうをしてその配分を考えることによつて、わざわざ道府県民税創設しなくてもいいのじやないか、そういう手数を私はあまりいい制度だと思わない。もつと別な手軽な方法でやるということは、先ほど来お話があつたような徴税上のいろいろな労力負担というものを節減をするという趣旨にもかなうのじやないかと思いまして、タバコ消費税等の関連においてもつと別な方法をお考えにならなかつたか、また今後考えるような御意思がないかどうか、これを伺いたい。
  24. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 御指摘のように財政のつじつまを合せると申しますか、収支を適合せしめるという見地から申しますならば、警察費の増に見合います財源を、タバコ消費税という形において、都道府県に付与するということも確かに一つの案と思うのであります。しかしながら先ほど来申し上げましたように都道府県行政とその裏づけになります都道府県の税源と申しますか、財源というものとの関係が、いかにも今日不均衡で、ございまして、それを是正いたしますのにはタバコ消費税は何と申しましても間接税でございますから、負担分任というような姿が、どうしてもはつきり出て来ないのでありまして、やはり道府県民税というような形のものをこの際創設をいたして、そういう姿で道府県行政をささえしめるということの方が、やはり自治の趣旨に合致するのではないか、そのために若干のタバコ消費税に比較いたしますならばめんどうなことになるのでありますが、しかし先ほど来申し上げましたような新しい方式徴収方法考えますならば、これもさほど大きな経費のロスにはならないのではないかというところで、こういうような案を考えた次第でございます。
  25. 北山愛郎

    北山委員 ちよつと思いついたのですが、この道府県民税創設の際に、町村会とかあるいは市長会とか、そういうふうな市町村団体等に意見を聞かなかつたわけですか。そつちの方ではこれはいやだからやらぬということにはならぬわけですか。法律できまつてしまえばそれは強制的にやらされるでありましようが、私は反対しておるところの団体も聞いておるのです。従つてこの制度をやる場合にはやはり市町村協力を得なければできないわけです。ですからその辺の意向などは十分さんしやくをしておるものかどうか、それを確めておきたいのであります。
  26. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 御承知のようにこのタバコ消費税が今回地方の財源として譲与せられることになりましたもとは、昨年の夏以来ございました地方制度調査会あるいは税制調査会において、地方の財源をどういうふうにするかということをいろいろ考えました末、タバコ消費税を地方に財源として与える、こういう結論が出たわけでございまして、さような結論が出ます段階におきましては、御承知のごとく市町村の執行機関、議決機関の代表の方方もそれぞれ加わりました末、かような結論になつたのであります。道府県民税の問題につきましても、やはり同様な経緯をもつて出て来たわけでございまして、もちろん北山委員と同じような考えをとられました委員の方もおられたわけでございますが、最終の結論といたしまして道府県民税創設いたすし、タバコ消費税創設する、こういうような結論になりましたので、政府といたしましては今回その結論の方向に従つて、かような案を用意した次第でございます。
  27. 北山愛郎

    北山委員 先ほどちよつと申し上げたように、この道府県民税、不動産取得税もそうでございますが、道府県に独立の財源を与える、創設をする。そうして自治体らしき体裁を整えるという方向になつておるわけでありますが、そういう御方針と、それから道府県というものを主として国の仕事を地方でやる団体、あるいは自治団体でないところの国の出先機関にしてしまうというふうに見える政府の方針とが相矛盾するという点は、私はまだよく納得をいたしておりません。そこでその点はやはり塚田長官がおいでになつてからお伺いをいたしたいと思います。その点を保留いたしまして私の質問はこれで一応終ります。
  28. 中井一夫

    中井委員長 門司君。
  29. 門司亮

    ○門司委員 私はこの前に大分聞いておりますので、きようはそう長く聞く必要はないと思いますが、ただ聞いておきたいと思いますことは、今北山君からも再三聞かれておりまするこの税金に対する納税者義務の遂行です。徴税令書が一本になつて来る、その中で書きわけられておるが、しかし納める時期は必ずこれは一つでなければならないというように、われわれはこの法律の条文から見れば解釈をするのであります。従つてこれは別個の税金であるのか、かつて附加税という性格を持つているのか。かつて附加税性格はこういう明細なものでなかつたのであります。ただ附加税については、たとえば所得税附加税を県税にするといつて附加税一つ性格というものが、府県民税というような性格といいますか形を持つておらなかつた。だから一つの税を本体にしてそれに対する一つ附加税であつた。ところがこの場合は税金がはつきりわかれて来ておる。いわゆる都道府県民税市町村民税とがわかれておるが、これはかつて附加税的の性格であるのか、あるいは全然別個の性格を持つた税金であるのか、その点をひとつはつきりしておいてもらいたい。
  30. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 かつて附加税制度府県税の附加税あるいは所得税附加税というようなものを市町村徴収をいたしておりました場合は、たしか徴税令書というのが府県から参りまして、それによつてつておるというような形であつたと思うのでありますが、今回は一つ徴税令書の中にこれだけの金額が道府県民税、これだけの金額が市町村民税というように書くわけでございます。それを二つの徴税令書にわけて書くということも考えられるわけでございますけれども、一本の姿にして簡素化をした、こういう考え方であるのであります。
  31. 門司亮

    ○門司委員 これは観念の問題ですから、附加税の場合は税金の本体がちやんとはつきりしておつて、それに対する一つの附課税であるということで、税の体系からいえば、これはある程度一本化されておつたと思う。だから附加税制度というものは案外問題を起さなかつたと思う。ところが今度の場合は府県民税市町村民税というものが全然わかれておるという、このものの考え方は、私は今までの附加税制度というようなものの考え方と違つた考え方納税者が持つて来やしないか、今までならば、これは附加税であるから同時に納めなければならぬだろうということで、大体納めただろうと思う。今度は二つにわかれておる以上は、納める者の身分から考えれば、きよう納めなければならないときに市町村民税だけを納める能力は持つておるが、県民税を納める能力は持つていないというような場合が必ずあると思う。そういう場合には両方納められない。両方納められないから結局どつちかが滞納するということになるが、徴税令書が一枚である場合には、書きわけて、これだけは納めたが、これだけは納まつていないということができるのかどうか。これは現実の問題として聞いておきたいと思う。
  32. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 これも結局徴税費を最小の経費税金をとるという考え方と、また自治という考え方との一種の調整妥協というような形で、今回は考えたわけでございまして、御指摘のように、道府県民税の方をあとまわしにして、市町村が一番身近かな団体だから市町村民税をまず納めたい、こういうお考えの人もあろうかと思います。しかしまつたく別個の性格の種類の税でございますならば、そういうことも当然と思いますけれども、今まで一つ税金でありましたもので、今回わかれましても、府県市町村と、それぞれ違う団体の税源ではありますが、性格としては同じ種類のものでございますから、先ほど来申し上げますような、ある税額が納まるならば、それは当然に按分によつて道府県民税市町村民税のそれぞれの収納になる、こういうような考え方一つの案ではないかということで今回考えたわけであります。
  33. 門司亮

    ○門司委員 一応その気持はわかるのでございますが、さつきから申し上げておりますように、観念的にそういう気持が必ず出て来ると思う。それで問題になりますのは、もしそうなつた場介に、一体どういうお考えをお持ちになつておるか。これはここに、道府県民税課税徴収については、道府県は大体その条例で、そうして前年度の所得税額の合算額の百分の五とする、こういうことが書いてある。そういたしますと、県税の方は明らかに附加税ではないということがはつきりしている。附加税の場合は、本税がきまつておりまして、それに幾らという附加税でありますから、たとい条例でありましても、大体税額というものははつきりしておる。ところがこの条文を読んでみますと、県はやはり百分の五の範囲でかけることができるという独自の権限を持つておる。それ以上のものは自治庁長官の認可を得なければならないということが書いてある。そうすると、これは全然別個の税金であつて、今のお話のような、便宜的にこれを一つにすべき性質でないのじやないかという気が私はするのです。これはたとえば市町村市町村民税を百円とつた。それの百分の五を県税として納めるのだという性格のもとでなら済むのですけれども、ここには課税権というものかちやんと都道府県に与えられておる。百分の五なら百分の五というものを大体想定することになつておる。課税権を県に与えております以上は、やはり徴収府県が当然別個にすべきである。便宜だけでこれをはかるということになりますと事は簡単でありますが、この条文の本質から考えて行くと、そういうことはできないのじやないかというふうに私には考えられる。従つて当然の結果として生れて来るものは、市町村民税道府県民税というものは、おのずから納税者の観念の中には、別個の違つたものだという解釈が出て来ると思う。そういう解釈をしてもちつともさしつかえないと思う。そういう解釈が正しいということになると、納税の際に、市民税は納めるが、片一方はちよつと待つてもらいたいというような場合が必ず出て来ると思う。その場合の処置を一体どうされるかということであります。
  34. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 門司先生の言われますように、確かに道府県民税という一つ課税権が道府県に、この案におきましてもあるという前提で規定をいたしておるわけであります。従つて普通の場合でございますならば、住民の選択に従つてどちらかの税を納める。一定の金が入つた。それをどつちの税金に納めるかという場合の自主選択権が、本来ならば住民にあるわけだと思うのであります。ただ先ほど来申し上げますように徴税の簡素化、またどちらか先に納める選択を認めるというようなことに相なりますと、実際問題として、税の帰属について府県市町村との間にいろいろとまた紛争が起つて来る。そのことのためにまたいろいろ税自体の運営が非常にむずかしいことになるということも一面考えられますので、この案におきましては、さような選択をこの税の場合には認めないで、とにかく税金を納めれば、両方に按分して収納したものとする、こういう建前をとつているわけであります。
  35. 門司亮

    ○門司委員 そうすると、税の建前は、一応都道府県に権限を与えておつて、そうして徴税方法は、かつて附加税と同じ方式ということに解釈するよりほか方法がない。かつて附加税は、御存じのように附加税としてちやんときめられておつたので、これは県が条例で定めてどうしようということは、そうかつてにできなかつた附加税というものはきちんときまつてつた。ところが課税権を与えている以上は、やはりそう簡単に行かないと思う。ここでつつ込んで話をいたしますと、当局の考え方のような解釈をするようになるのであるが、なぜこういう苦しい法律をこしらえたかと言うと、日本の今の税体系というものが、県税は県税でとり、市税は市税でとり、国税国税でとるというような、おのおのの団体別においてその責任を明確にする、いわゆる納税の場所を明確にするということになつているということが、シヤウプ勧告の大きなねらいであつた従つてこのシヤウプ勧告の大きなねらいであつた体系をくずさないで——と言うと言葉は悪いかもしれないけれども、何とかごまかして行こうという物の考え方が、こういうあいまいな法律になつて現われて来ているんじやないか。もしここに課税権を与えるなら、はつきりと県税は県税として分離して納税する制度にするということが、税の本来の建前から行けば正しい筋だと思う。そういう筋が通つていないところにあいまいなものがあるから、さつきから質問しているようなややこしい質問をしなければならぬようなことになつて来る。そうした場合が必ずあると私は思うのだが、片一方の税金は払うけれども、片一方の税は払わないという人ができたときには、この法律をそのまま読んでみれば、結局それはやはり滞納者になるわけである。そうすると、やむを得ざる滞納者ができる。滞納したくないのだ、一方の市税なら市税は払いたいのだが、それだけではとつてくれないから、滞納するのだという、やむを得ざる滞納者ができる。こういうやむを得ざる滞納者ができるような税法なら、あまりいい税法でないと思う。この辺ははつきり法律に何とか書けないものですか。
  36. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 かような方式というものは、昔の附加税方式府県市町村協力態勢の新しい姿というふうに考えているのでありますが、これは門司先生も御承知のごとく、アメリカにも、財産税について市町村がとります場合には、その一部はカウンテイの税である、一部は市町村の税であるというふうに、初めから振りわけをいたしまして、そうして一枚の徴税令書でとつているというような例もないわけではないのでありまして、そういうようなことも若干参考にいたしつつ考えたわけであります。御指摘のように、滞納がありますならば、これは市町村都道府県町方について滞納の状態が発生する。延滞金がつく場合においても、それは両方に行くというような建前でみな立案をいたしているわけであります。根本の考え方がそういう考え方に出ておりますものですから、門司さんの考え方とはちよつと違うわけでありますが、徴税費を節約したいというようなところから、こういう案を考えた次第であります。
  37. 門司亮

    ○門司委員 徴税費の節約ということですが、徴税費の節約なら、これは昔の附加税なら附加税市町村に与えた方がいい。市町村で集まつた市町村民税の何割納めるということが、むしろ的確だと思う。その内容はこうしたものだという一つの規則を定めて行けばそれでいいと思う。こういうふうに課税権を片一方に与えて来るということになれば、今のような答弁だけではなかなか承服できない。少くとも課税権を狩つておる。従つて税の徴収について、もし滞納があつた場合には、おのおの別個の立場からこれを処分することになる。これはこの法律の三十四条ですかに、そういうことが必然的に規定されるようになつておる。要するに附加価値税を抜いたところにこの条文があてはめてある。だから税の徴収の技術というか、徴収方法がそういうあいまいな方法になつていることのために、一方においては課税権を認めているから、結局滞納の場合には、両方の滞納の処分を受けなければならない。まん中だけは何か附加税のような形で一緒に納めてくれということで、これにはかなり無理があると思う。その無理をなくするには、ただ徴税の手数を省くということなら、私はかつて附加税的のものの方がまだはつきりしている。そうして市町村はその責任性というものがはつきりして来て、市町村は、市町村民税の納まつたものの同割かを納める方がまだはつきりしていると思う。この責任の問題と徴税者の関係というものは、今のお話のように、ただ単に徴税を簡素化するということだけで納める方に迷惑をかけてはならないと思う。役人の方は徴税の簡素化になるかもしれぬが、納める方はそれによつて処罰を受けなければならない。よけい複雑なものができるということは、あまり感心した行き方ではない。これは改められる意思があるのかないのか、これを聞いておきたい。
  38. 奧野誠亮

    奧野政府委員 これは一つ考え方の問題であると思いますが、門司さんも御指摘になりましたように、住民との関係におきましては、道府県民税であるか市町村民税であるかということを明確にしております。しかし府県市町村との関係におきましては、なるたけ国民によけい手数を煩わすようなことは避けて行きたいという考え方が根本になつているわけでございまして、先ほど御指摘になつた通りであります。それではなぜこういう考え方を新しく採用するようになつたか。たびたび議論がありましたのでよけいなことを申し上げるのは恐縮でありますが、ひとつ沿革的にお話させていただきたいと思います。  御承知のように昔は府県から市町村に主要な経費の一部を分賦しておりました。その間において市町村府県経費を分担しておりますけれども住民府県経費を分担しているということが必ずしもはつきりわかつていなかつたわけであります。住民に対しまして府県経費を持つているのだという観念が必ずしも出ていない。このことがやはり府県の自治行政を発展させて行きます場合には、必ずしもいい方法だとはいえないと思うのであります。その次にとつて参りました方法府県民税をつくつた府県民税をつくりましたが、府県ごとに人口一人当り何円というようなきめ方をいたしまして、これをいろいろ資料を使いながら市町村へ割当てておりました。割当てたあとは大体は市町村にまかせつぱなしであります。そうして市町村府県民税市町村税と同じ割合徴収しているところもございましたし、若干違つたやり方をとつてつたところもございました。もちろんこの場合には徴税令書は二途に出る場合が多いわけでございます。御指摘になりましたように、これは市町村民税として納めるのだ、これは府県民税として納めるのだというようなやり方がとられておつたわけであります。今回とろうとします府県民税は、両者の中間を行くものだというふうに私ども考えております。言いかえれば、住民との間において府県民税負担しているということを明確にして行きたい。しかし府県市町村との関係においては、煩瑣な手数はできる限り避けて行きたいし、また住民に対しましても府県市町村から別個な取扱いをして行くということも避けて行きたい。こういうような考え方を持つてつたわけであります。そこで現実にどういうやり方になつているかということは、もう要綱で御承知通りでありますが、府県所得税額総額の五%を標準税率としてきめる。これはあくまでも府県民税所得割総額に関する税率でありまして、あとは市町村民税所得割附加税という規定にしております。三十六条にそのことがはつきり出ているわけでございます。税率市町村民税所得割に乗ずる率できまつて参るわけであります。附加税ということがはつきり出ております。附加税でありながら、しかもあとの箇所におきましては延滞金の計算なんかは一つでするのだ。また市町村民税について減免をした場合には、当然その割合府県民税も減免になるのだ。また徴収猶予をした場合には、府県民税徴収猶予になつて来るのだ。まつた市町村考えに基きまして府県民税が決定されて来るといつた形でありまして、府県協力するけれども課税権の行使はできないのであります。それでは滞納になつてつて府県は手をこまれていなければならないのか。それにつきましては七月一日から十二月三十一日までの五箇月の間においては、市町村長の同意を得て一月ごと一月ごとというような期間を限つて、今度は府県が逆に市町村の立場に立つわけであります。府県民税のみならずその場合には市町村民税徴収する義務を負います。反面その場合には市町村は手出しをしてはならない、こういうような形で協力関係を持つて行きたい。そのかわり納めますものは按分によつて納められるという形をとつておる。その点は門司さんのいやがられておられる点でありますが、しかし総体的に考えた場合には、その方が徴税事務は簡素化されていいのではないかという考え方に立つておるわけであります。もちろんこれにつきましては賛否いろいろ意見があるだろうと思うのですが、まつたく新しい形で今までの方式徴収をひとつこの際まとめた形に持つて行けないものだろうかというように考えたわけであります。
  39. 門司亮

    ○門司委員 今、非常に御丁寧に説明を受けたのですが、もちろんかつて住民税から市町村民税というものが出たことはわれわれも承知をしておる。しかし住民税の場合は、こういう形でなかつた。全然形が違つてつた。私の聞いておりますのは、先ほども三十六条が云々と言つておりますが、三十六条をこの条文の通りに解釈すると、なお悪くなると思う。明らかにここへ持つて来て課税権がはつきり出ておる。それによつて市町村がきめなければならぬ義務を仰せつかつておる。これは附加税ではない。この条文をこのまま読んでごらんなさい、何と書いてあるか。あなたの方でおつくりになつたのだと思うのですが、私どもはそういうややこしいことをしないで、一方において課税権を与えておるから、結局滞納その他については処分権を持つておるということ、納めることについては、市町村と同じように納めなければならないということになると、あまりにもこれは納める者の立場を忘れた、ただ単に事務的に簡素化すればいいというものの考え方であつて、役人のものの考え方であつて、国民のものの考え方でないと思うのであります。私どもの言いたいのは、こういう無理なことをしないで、そしてもしできるなら、簡素化することが必要だというなら、今の税の徴収の体系をもう少し崩すというと語弊がありますがかえてそしてむしろ都道府県民税市町村にこれを委託して徴収することができるというふうにした方がまだいいのではないか。たとえば東京都の同じ区の中に区の税務事務所があり、都の事務所があり、あるいは国の税務署があるというようなことで、税務事務所と税務署一つの区の中にたくさんある。何だかそこらじゆう行けばみんな税という文字にぶつつかるような気がするというように国民が税におびえておるというようなことが観念的にもよくないというなら、私はもう少し方法がないのではないか。こういうふうなことで、単に行政を簡素化だ、徴収を簡素化だといつて住民の方に迷惑をかけるという役人的のものの考え方については、私は必ずしも賛成するわけに行かない。それ以上私はここで議論しようとは思いませんが、次に聞いておきたいと思いますことは、この税金の中で、たとえば法人割については、これは県が独自の立場で徴収することができるようになつておる。私は市町村民税をこれが附加税的な性格を持つておるとするならば、やはり法人に対しても同じような措置をとることの方がわかりやすいのではないか。ここにも道府県民税が独立の性格を持つて来ておるということが現われて来ておる。だからさつきの答弁のように、ただ単に便宜上だけであるというなら附加税的な性格を強く持たせるというなら、これは附加税的な性格でよかつたのではないかというように考えられる。こういうようにこの法律を全部見てみますと、あつちにもこつちにもおかしなしつぽが出ておるようで、どうもつじつまが合わないのですが、この法人に対する県独自の徴収方法というものは、必ずしもこれでなければとれないのですか。
  40. 奧野誠亮

    奧野政府委員 今度の府県民税制度の制定にあたりましては、従来の市町村民税徴収の手続を、そのまま持つて行きたい、こういう考え方が中心でございます。従いまして、また市町村民税の法人割も法人自身が申告納付されております。手続をとりますのは法人でありまして、市町村ではないのであります。従いまして今の手続のままで申告納付してもらう。そうしますと面接市町村民税の分は市町村に納める、府県民税府県に納めていただく。これをもし市町村民税の問題のみならず府県民税の分も、直接市町村に納めるということになりますと、また市町村から府県へ払い込むというような手続も加わつて参りますので、むしろやはり今の申告納付の手続にその分はなつておるのだから、それはそのままに乗つかつて行く方がいいのではないか、このような考え方を持つております。
  41. 門司亮

    ○門司委員 それはおかしいです。これは申告納付といいますけれども、シヤウプ勧告の企図したものは大体市町村民税の申告納付なんです。これがシヤウプ勧告の一貫した理想です。だからたとえば市町村民税にいたしましても、われわれはちやんと申告しておる。去年の所得税幾らであるというふうにちやんと申告しなければならぬようにできておる。これは申告納税と大体同じたと思う。このように今日の現行税法というのが、申告納税を主体とした税法であるということには間違いがないのであります。これが昭和二十五年に大きく税制改革をした一つ理由になつておるということである。いわゆる税の分担といいますか、納税の先を住民にはつきり知らせるということが一つ考え方である。従つて国は国、県は県、市は市でとるという一つ方法が現われて来ておる。その次は、税金は国民が納得して納めるものであるから、一方的であつてはいけない、できるだけこれは申告制にしようというのが、シヤウプ勧化案の大きな骨子であつたことは間違いがない。従つて税法はちやんとそのようにできておる。だから個人の市町村民税にいたしましても、現存はつきり申告書をとつているでしよう。われわれは申告しておるのである。法人だけが申告しておるのでは決してない。そうすれば同じことじやないですか。申告制というものについては大して違わないのじやないですか。だから法人だけにこういうことにされるということは、さつき言つたよりに、これはひがみじやないが、個人の方は両方金の都合のつくときでなければ納めるわけにいかないのに、法人はまあ別々に納めていいというような結論が出て来て、精神的に法人の方に少し有利になるような気がするのです。やはり税の取扱いであるから、同じように義務づけるなら義務づけるということの方がいいのではないかと思うのですが、どうしてこういう形になつているのですか。
  42. 奧野誠亮

    奧野政府委員 門司さんは、市町村民税を納めておいて、道府県民税を納めたくないという個人の意思がある場合を、かなり御心配になつておるようでありますけれども、その点につきましては、徴収猶予した場合には道府県民税も当然徴収猶予になる、こういうような形を持つて行きますことによつて、御心配の点が大部分省かれて行くのではないかというふうな考え方をしておるわけであります。同時に、法人について申告納付の制度をとつているというのなら、個人についても申告納付の形になつてもいいじやないか、こういうようなお考えのようであります。しかしながら、法人の場合には自分計算をして税額をそのまま払い込むわけでありますけれども、個人の場合には、御承知のように徴税令書市町村側で作成いたしまして、個人に渡しているわけでございます。事実問題といたしまして、計算は全部市町村でこまかく行つておるわけでありますので、その点はかなりつて来るというふうに私たちは思つております。
  43. 門司亮

    ○門司委員 私はおかしいと思うのですがね。法人といえども徴税令書自分で書いて納めるわけには行かないと思う。徴税令書役所から出るのでなければ徴税令書にならぬのじやないか。だからもしそれに間違いがあれば検査することのできる手続がちやんととつてある。何でもかでも法人が納めるものだけを収納しておるのではない。そういうことでは私はいけないと思うのだが、これ以上議論してもしようがないから、あなたがもう一ぺん区役所へ行つて税務吏員になつてみればよくわかると思う。  その次に開いておきたいと思いますことは、問題になつておりまするいろいろな徴税令書取扱いについてであります。先ほどから申し上げておりますようなことで、この徴税令書の内容が二つになつておることのために、納める方から考えればそういう不便ができて来る。現在両方の税を納めることができないというのならば、これは猶予期間があるじやないか、こういうことでありますけれども、猶予期間はあるかもしれないが、もし滞納にひつかかつて来れば、それだけよけい徴収されるということになる、不必要なものをとられるということになる。そういうものが必ず出て来る。従つてここではつきり聞いておきたいと思いますことは、そうした場合に、徴税令書は一枚であつても、書いてある道府県民税滞納を区分して認めるかどうかということであります。これは納める方の者にとつてはかなり大きな問題だと思います。だからこれを政府がお認めになる御意思があるかどうかということを聞いておきたいのであります。
  44. 奧野誠亮

    奧野政府委員 どちらか一方だけ滞納する、そして滞納処分をする、こういうことは法律上認めておりません。また六月三十日になりますまでは府県側は滞納処分はできません。従いまして大体従来と同じような形になつて行くのではないだろうかというふうに思つております。
  45. 門司亮

    ○門司委員 どうもわからぬのです。それではこう解釈してよろしゆうございますか。納める国民といいますか、都道府県民は、自分の財政の都合で片方だけは納めることができるが、片方は納めることができないという場合でも、それは納めてはいけないという解釈が出て来る。納めても受取らないならば、納めてはいけないという解釈ができる。そうすると、そこに出て参ります滞納に対する処分というものは、両方を負わなければならないことになつて来て、それだけよけいに住民が重い負担をしなければならないということになるから、両方納めなければ役所徴収しないということにはつきりしておいていいですね。
  46. 奧野誠亮

    奧野政府委員 納められたものが両方に按分して納められたものとするという規定をしておるのでありまして、納める場合に、これは都道府県民税だ、これは市町村民税だというふうに納税義務者が観念しておりましても、納めた場合の効果というものは、両方に按分されて納められたものとみなすのだという規定を置いているわけであります。これはあまりいい例ではございませんけれども滞納している租税債務を履行するにあたりまして、これは本税額を納めるのだ、あるいはまたこれは延滞金の分だ、こういうふうにいたしますと、まず延滞金から納めて行かなければならないという制度になつておりますのと、しいて言ええば若干関係したところがあるのじやないだろうかというふうに思います。
  47. 門司亮

    ○門司委員 ますますおかしくなるのですがね。延滞金なんてものは、これは特別の場合のものの考え方なんです。税の本質論を論ずるときに、そういうことを言うものじやないと思う。これは納められない場合に延滞金というものが出て来るのであつて従つて税の本質から言いますれば、とにかく本税というものが一体納まるか納まらぬかということが問題であつて、本税の納まらぬ場合に初めて延滞金というものが出て来るのである。そのときの処置はこの本税とは全然別だと思う。今お話のように、もし納めたものが両方に納めたものと解釈するというなら、私は税金は一本でいいと思う。そうして納まつた場合にそれを道府県市町村でわければいい。市町村道府県の間の事務的折衝で納まると思う。むしろ道府県民税だの市町村民税だのとややつこしいことを書かないで、かつて住民税という言葉にかえれば一本でとれるじやないですか。そうして、市町村が一〇〇%とつてしまつた中で五%は直府県に納めるのだ、九〇%しかとらない場合でも、その中の五%を割合によつて道府県に納めるのだということにして、市町村道府県との間の考え方だけでこの問題は処置できるじやないですか。むしろ住民税という一本の姿にした方がはつきりすると思う。そうしてただ市町村道府県との間の事務的折衝で解決した方がもつといいと思う。こういうややつこしいものをどうしてこしらえるのですか。
  48. 奧野誠亮

    奧野政府委員 御指摘になりましたように、実体的にはそう観念しております。しかしながら住民に対しましては道府県民税だという意識を持たせたいのであります。しかしながら納められたものは按分してわけるのである。だから減免の場合には同じ率で減免されるのたし、徴収の場合にも当然道府県民税にも効果が及ぶのである。また納められたものも同じ割合で納められたものとするのだというふうに書いてあるわけであります。政治的な効果というものを強くねらつて規定をいたしておるわけであります。
  49. 門司亮

    ○門司委員 これは納める方の身になつてごらんなさい。こんなばかなことをしておいて、これを住民税のようなものの考え方できめているということは、課税権を与えて罰則をきめている以上は、そういう解釈では済まされぬと思う。もしそうだとするなら、ここに課税権を与えないで、罰則も一本なら一本にしておけば、それで話は済むと思う。ところがさつきから申し上げておりますように、現在の税のきめ方というものは、行先をはつきりするということを一応シヤウプ勧告の建前にしているから、この建前を当局はくずしたくないということから、こういうあいまいな法律ができているのじやないですか。税制改革をしようとすれば、もう少しすつきりした税制改革をしておかぬと、納める方が非常に迷惑すると思います。この税金が高いとか安いとかいうことでなくて、納める方が迷惑するから聞いている。
  50. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 だんだんとお話でございますが、道府県民税性格をどちらかに割切つて行く、要するにまつたく独立の税として道府県市町村が別々にとつて行く、こういうことならば、徹底した一つ考え方であります。それからまた御指摘になりましたように、かつて配賦金といいますか、分賦金というような考え方で行くというなら、これまた一つの徹底した行き方でありますが、この案は先ほど来申し上げておりますように、その両者の中間をとつた案であります。中間をとつた案と申しますことは、やはりそのような形で、一枚の徴税令書によつて府県民税も納め、市町村民税も納める、こういうことは、要するに二枚の徴税令書を配付するかわりに一枚の徴税令書で事を済ませるということであつて、しかもその反面、一枚の徴税令書の中に道府県民税市町村民税額を書くことによつて、それぞれの負担分任の姿を明らかにする、こういうことをねらつておるわけでございまして、何と申しますか、一つの税のとり方を非常に集約した姿で、住民の方といたしましては、必ずしも自分市町村税を常に先に納める、あるいは府県民税の方を先に納めるというふうに、両方の税の間に区分をして考える人ばかりはないわけでありまして、要するに税金というものはみな納めなければならぬわけでございますから、これを気持の上で二つ区分があるのだということをあまり強調して、この場合問題を考えるのは、私はいかがかと思うのであります。そういうふうに考えまして、実際問題といたしましては、とりました税金市町村が分賦金のような姿で一定部分を納めるというようなことになりますと、府県市町村の間に、その配分につきまして、額自体については問題が起りませんでも、納める時期というようなことについて、いろいろ問題が起つて来るというようなことで、せつかく円滑に行つている府県市町村の間が、お互いにぐあいが悪くなるというようなことも考えられますので、法律の上ではつきりと効果が両方に現われる——これは、ひとり、滞納処分とかそういつたようないわば不利益の場合に効果が両方に現われるということだけでなくて、徴収を猶予する、あるいは税を減免するというような場合におきましても、両方に効果が現われるのでありまして、この考え方は、いろいろ御批判もございましようけれども、やはり一つの新しい方式として実施をする価値が十分あると思うのであります。しかし将来さらにこれをやつてみました上で、もしもその間になお改善をする必要があるという点がありますならば、これは経験に徴してまた改善を加えて行くということで、ひとつこの新しい考え方を実施させるように考えてみたのがこの案でございます。
  51. 加藤精三

    加藤(精)委員 関連して。道府県民税の問題につきまして、その理論構成というようなものにつきまして、北山委員及び門司委員からいろいろ御説明があつて政府から御答弁があつたのでありますが、理論的に言いますと、どうも私も北山委員や門司委員の説の方が正しいように思うのであります。しかしながらそれは実際問題といたしまして、私、六つの県の地方課で実際上戸数割と戸数割附加税なんかの関係で、県税だけ先に納めよう、あるいは市町村附加税だけ先に納めようというような事件にぶつかつたことはごくたまにしかなかつたのでございまして、この点につきましては、独立に市町村府県民税を別の切符で賦課徴収したり、あるいは地方事務所か税務事務所が府県にあつて、それが実務をとるわけでありますが、そういうところで賦課徴収したりいたしますものよりも、今回の手続の方が実務的には事務が簡捷になりまして、地方全体の経費負担を安くするのではないかと思われるのであります。ただ、最近市町村の税収が十分に集まりませんので、これの奨励のために、納税組合なりまたは納税奨励金等を使う場合が非常に多いのでございます。ことに、納期内納付者は劇場へ招待するとかあるいは宴会を開いて呼ぶとか、あるいは表彰するとか、種々の方法をとつて、苦心して市町村住民税その他の税金を集めている事情が多いのでございまして、こういう場合におきましては、コストの高くつく市町村民税の場合が、ある村にあり、コストの非常に安くつく市町村民税が他の村にある。そういう場合に、それに伴つて府県民税徴収されて行くわけでございますが、府県市町村にあげる徴収手数料はかわらないわけであります。そういうような点がありますが、そういう際は、たとえば入場税市町村税から府県税にかわりましても、府県市町村というものは、一種の妥協というか、調和がつく間柄でございまして、従来、多額の金をかけてグランド等をつくつた場合に、入場税府県税になりましても、その間のことを相当同情してくれまして、入場税の税額等について顧慮してくれておつたことが非常にたびたびあるのでございます。そんなふうに調和のつく間柄でございますから、この徴収手数料につきまして、市町村府県との談合の余地が、徴税費が非常にかかつた場合等についてはあるだろうと思いますし、また劇場に招待するような場合に、その経費の一部を府県が持つてくれるというようなこともあり得ると思うのであります。そういうロスを計算に入れましても、今回政府がきめた徴収方法の方が実務的には便益を与えるものじやないかということを考えておりますが、理論上はどうもおかしい点が多々あると思いますので、この際は政府に一歩を譲つていただきまして、百六、七十億の経費に関することではございますけれども府県民税は、その最も大きなねらいは府県民負担分任精神を深く拡充するということに一番大きな必要価値があるので、新しい時代に新しくきめたところの、府県住民という概念を充足するための、そういう具体的な新しい考え方にとどめをさしたいい制度だという意味も成立ちますので、そういう意味におきまして生かしていただきたい。それには、理論的に少しおかしい点はあるものの、例外はなるべく狭きに解釈するという意味におきまして、道府県民税税率は、これは、一種の市町村府県に納付する分担金というような考え方の構成において定率にしていただいたらどうか。不定率にいたしますと、府県の都合でどこまでもとれる税金のようになりまして、どうも別個の税のような観念を与えるのでございます。また、ある村にあります課税物件についての税率の決定が、今度のタバコ消費税のごとく、あるいは揮発油税のごとく、あるいは交付税のごとく、他の機関によつて決定されるような例があるのでございまして、定率にいたしましても、理論上府県民税たることについてはおかしくないような気がいたします。そういうことで政府側と調整をしていただいたらどうかと思うのでございますが、それに関しまして御当局の御感想をお尋ねいたしたい気がいたします。
  52. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 加藤委員から、いろいろ御経験また御見識に基いての御意見拝聴いたしましたが、最後道府県民税を定率にするという点につきましては、やはりこれは税の一つの建前の問題といたしまして、電気ガス税といつたような、料金に織り込んで行くようなそういう種類の消費税でございまするならば、そういうこともいいと思うのでございますが、この点は、市町村民税と同じような方式に立つ一つの標準税率であり、また総額もそういう意味の標準的な賦課額、こういうような形に政府としては案を出しているわけでございまして、そういうような建前をやはりこの場合も維持していただきたい。しかしこれを維持いたしましても、立て方といたしましては実際上そう支障はないのではないか。これを定率にいたしましたからといつて、それでは先ほど来いろいろ御議論のあつたようなことがなくなるかというと、やはりそれは残る問題だと思いますので、今の御指摘の点は、やはり原案のようにお考えをいたたぎたいと思うのであります。
  53. 門司亮

    ○門司委員 さつきから聞いておりましたが、奥野君のさつきの答弁と鈴木君の答弁はけしからぬと思う。あなたが税法をお書きになつているのだから、わかつておるはずだ。罰則が両方くつついている。課税権を与えて、罰則がついておつて、そして税金をとつて、納めた税金は、たとい府県民税の分が納まらなかつた場合でも、これを分割するというようなばかなことは成り立たぬと思うのです。課税権を持つてつて、これを罰する権利を持つているものが、納めたものを中で二つにわけたら、罰則はどうなるか。両方の罰則をまた受けるのですか。こういう矛盾したことは私は言うべきじやないと思う。税金は全部国民が納めるべきものであるということはみんな承知している。納めるべきものであるから、私は文句を言つている。国家権力をもつて税金を徴発するなら、文句は言わない。しかし納税の義務を持つているからには、理解と納得の上にやらなければいけないというのが本則だと思う。だからできるだけ納める者の立場に立つてものを考えてもらいたい。納める者の理解と納得があれば、納まることはわかり切つている。大部分の人が納める気持を持つている。ごく少数不心得な者があるかもしれないと言うが、そういう不心得な者の立場に立つて私は弁明しているのではないから、その点ははつきりしてもらいたい。さつきの奥野君の言うことが正しいとするならば、分割を認めたということにすれば、罰則の規定はどうなるか。府県民税なら府県民税だけは都合か悪いから待つてくれという場合に、今の奥野君の話のように両方納めたものを分割するというのなら、滞納に対する一つの延滞金ですか、そういうものが免除されなければならない。それが別々である場合には、府県民税の方が残つておれば、府県民税にはやはり滞納の延滞金がついて来るはずである。だから今の奧野君の答弁から言えば、両方納めたものをわけるのだということになれば、理論的におかしい。県の課税権もなければ、徴発権もなくなるわけである。それを百歩譲つて認めるとしても、一応分割払いというものかその中に認められておるかどうかという点、この点を聞いておかぬとぐあいが悪い。
  54. 奧野誠亮

    奧野政府委員 今延滞金と関連して分割払いの問題が起きたのでありますが、延滞金を市町村が減免しました場合には、やはり府県民税にかかる延滞金も当然減免したことになる、そういう法律構成をとつているわけであります。分割払いの点は、先ほど門司さんが御指摘されましたように、府県民税市町村民税という名前にはなつているが、実体は住民税一本だ、実質的にはそういう取扱いをして行きたい。法律構成の上からは、住民に対して道府県民税負担して行くのだという気持を強く植えつけて行きたいという気持なんです。しかし扱いの上では、実質的には一本の税金として処理して行けるような運営に持つて行きたい、これがこの税の構成をとつたゆえんであります。
  55. 門司亮

    ○門司委員 そうなるとますますおかしくなる。それでは罰則の規定は、市町村民税かどこか一箇所にあればいい。ところがこれには二箇所に書いてある。府県民税も納まらなければ、罰則が適用されるように、はつきり書いてある。その点はおかしいじやないですか、これは一体どうなるのですか。
  56. 奧野誠亮

    奧野政府委員 これは法律規定の仕方の問題になるのかもしれませんが、先ほど来たびたび申し上げますように、あくまでも府県民には政治的な効果というものを強くわれわれねらつておるものでありますので、二本の税金だというふうな形にしているわけであります。そうしますと、道府県民税というものもございますし、市町村民税というものもあるわけであります。かりに脱税の罪ということになつて参りますと、税額が一つ基礎になるわけであります。市町村民税の方に書いてあれば、それでよろしいじやないか、こういう御意見一つ考え方だと思うのでありますが、税額はやはり両者を合せた税額を基礎考えておるものでありますので、その関係規定は準用する、こういう意味合いで、できているだけのことであります。法の形式の問題といたしまして、そういう場合には、税額は両者を合せたものと見るのだという規定市町村民税に置くことによつて、その間の脱税の罪は府県民税には準用しないという行き方もあるだろうと思う。ただ先ほど言つたように、二つの税という観念を植えつけて行きたい、しかし税務行政の上では一本の税として扱つてつて簡素化して行きたい、こういうのであります。
  57. 門司亮

    ○門司委員 あなたは法律をお書きになつたんだから、よく読んでごらんなさい。どう書いてあるか。法人税の問題についてもちやんと更正決定ができるようにできている。納税申告したものをそのまま納めるようにできてはいない。都道府県に更正決定権は与えられている。従つてさつきの答弁は間違いだと思う。  それからその次に何と書いてあるか、法案を一々よく読んでごらんなさい。五十六条に「法人等の道府県民税の不足額及びその延滞金の徴収」と、こう書いてある。これは税金がはつきりわかれておるということである。今のように、両方に分配するということはどこにも書いてない。あなたがお書きになつたんだから、私が読むより、あなたが読んだ方がよくわかるだろう。私はここに書いてあることについて聞いているのである。そういうごまかしの答弁では困ると思う。別個のものであるから、別個のものに取扱うということをはつきりしていただきたい。  但し別個のものであるということのために、徴税令書が一枚であるということがまた問題になつて来る。一枚の徴税令書で、市民税だけは納めたが、県民税滞納したという場合の処置はどうするか。一枚の徴税令書であるから、両方まとまらなければとれないということなら、やむを得ず滞納する者が出て来る。それらの処置はどうするのか。
  58. 奧野誠亮

    奧野政府委員 門司さんは、府県民税の場合に、法人割と所得割一緒にして述べられておるようでありまして、私は法人割と所得割を別にして議論しておつたのでありますから、両者の間に食い違いがあつたようであります、この点お詫び申し上げておきます日、  先ほど申し上げましたように、法人割の方は、現在でも、市町村の方で別に徴税令書は出しません。市町村側徴税令書を作成するということは何らないわけでありまして、法人は自分税金計算して、市町村に払い込んでいるだけでありまして、この形を府県との間にもとつて行きたい。この関係においては形はまつたく別であります。二つの税金でありますし、運営の面も二つであります。従いまして罰則もそれぞれ別個の取扱いであります。また納税者は、これは市町村民税だ、これは府県民税だという取扱いもします。徴収猶予を市町村民税にしたからといつて府県民税にも徴収猶予になるということはございません。まつたく別でございます。私が先ほど一緒一緒だと申し上げましたのは、個人分の問題でございまして、個人分につきましては、現在市町村徴税令書納税義務者に交付して、税金を納めてもらつておるわけであります。これは府県民税ができたからといつて、さらに新しい手続は加えたくない。納税者との関係においては、一通の徴税令書でやりたいし、徴収を砥ばしてもらいたいと言いました場合に、市町村民税について言えば、それで府県民税もおのずから延ばしてもらえる。二通の申請書を出す必要はない、こういう形になつておるわけであります。
  59. 北山愛郎

    北山委員 今の問題についてでありますが、ちよつと疑問があります。市町村市町村民税を賦課する場合に、地方税法の第六条ですか、例の不均一課税、あれがたとえば町村合併の際に旧町村ごとに市町村民税——市民なりそういうものを別個の基準でやるということもあり得るかもしれない、あるいはしまた何かの場合に、市町村民税を減免する場合がある。市町村民税を減免した場合にどういうことになるか。それが納まつた金額を一定の率で按分をして、県民税市町村民税をわけるということでありますと、今のような市町村だけの事情によつて均一でない課税をした場合、やはり県民税の方もその通りになつてしまうのか、それは理由がないのじやないかと思うのですが、それらの取扱いはどうなさるつもりですか。
  60. 奧野誠亮

    奧野政府委員 市町村が不均一の課税をいたしておりましても、その市町村に賦課される総額従つてまた市町村住民全体に課税する総額はかわりはございません。しかしながら住民相互間の負担は、市町村が不均一課税をいたしておりましたならば、それにそのまま府県民税が乗つかつて参ります、府県民税もまたおつしやいましたような趣旨におきましては不均一になつて参ります。  第二に、市町村課税後に災害があつたとかいうようなことで減免をいたします場合には、その割合府県民税も減免があつたものとするという規定を置いております。
  61. 北山愛郎

    北山委員 そういうことになると、なるほど徴税者は便利かもしれませんが、理論上は非常に重大なあれが出て来るのではないかと思うのです。町村合併等の場合に、旧町村ごとに税の負担をかえるということは、特殊の事情によるわけです、その合併町村内のいろいろな、たとえば財務関係であるとか、そういう特殊の町村内の内部事情から出て来る。だからこそある町村においては、他の町村よりも、合併された前の町村の経費においては、よそよりもよけいな負担するということがあり得るわけなんです。しかし県民税という場合にはその関係はないわけです。理論的にはあり得べきはずがないのです。だからそういう市町村の内部事情によつて県民税負担がかわつて来るということは、どうしても理論上の基礎がない、おかしいと思うのです。納める方からいつても、県民税までよけい納めることはない、こういうことになる。それらの理論構成といいますか、どうにもつじつまが合わないのじやないかと思うのですが、どうなさるおつもりですか。
  62. 奧野誠亮

    奧野政府委員 おつしやいました市町村内で不均一の程度をきめます場合に、市町村民税だけで解決してしまおうとしての不均一の率をきめるか、府県民税市町村民税合せた負担の形において、不均一の率をきめるかという問題にかわつて来るのじやないだろうかというように思つております。法律構成の上では、それにそのまま府県民税が乗つかつて来るということになりますので、不均一の程度をきめます場合には、両者について不均一の率がきまつて来るのだ、こういう考え方で、その割合を決定していただくことになるのではないかというように思つております。
  63. 北山愛郎

    北山委員 言葉の上ではそういう御説明になるのですが、しかし実際問題としては、そういうことはできないのじやないかと思うのです。個々の人のあれをきめるのですから、どつちかに、県民税を含めたもので不均一にするか、市町村民税だけで不均一にするかということを条例なりなりできめればいいというお話でございますが、個々の人については、徴税技術上両者  一体になつておるというような取扱いの場合におきましては、それが今のような取扱いで一貫して全部やるということになれば、その場合の取扱いはもうきまつて来るのですよ。取捨選択のあれはないのです。初めから県民税についてはこうだ、市町村民税についてはこうだということを、当該の市町村できめる余地がないということになるのじやないのですか。先ほど来の御説明ですと、個々の人についての納税額のうち、幾ら県民税であり、幾ら市町村民税であるということで、一定のあれでもつてきまつて来る。減免の場合でも市町村民税を減免したら、その割合で当然県民税の方も減免になるのだということは、そのこと自体もおかしいのです。減免の事情というものは、市町村民税の立場において減免の理由がある、県民税においてはないという場合もあるわけです。だから先ほど来のような建前で貫くとすれば、今のようなことは、ちよつと合理的な処理ができないのじやないか、それについてはどういうふうに考えておるか、あるいは一つの懸案として残つておるのじやないか、もう少しお答えを願いたいのです。
  64. 奧野誠亮

    奧野政府委員 もちろん御指摘のような点はあるのであります。それはそういう点も意識しておるわけなのでありますが、ただやり方考えます場合に、こういうやり方もできるのではないでしようかという意味で申し上げたわけであります。あくまでも府県民税市町村民税とを一体にして当該市町村考えていただく、そうして不均一の程度というものかどの程度でよろしいのか、こういうふうに結論を出してきめていただけぬものだろうか。市町村民税だけについて負担を不均一にすればどういう程度にしたらよろしいだろうかということから結論を出さないで、両方一結にして結論を出せばどういう率になるだろうか、こういうことできめてもらえぬだろうか、その意味で申し上げたのであります。ただ先ほど門司さんも御指摘になりましたように、税の考え方としても、府県から市町村までは分賦的な考え方で、その実態は、その間におきましても市町村間の所得税額というような比較的公平なものを基礎にして分賦して行く。市町村から納税者に対しまする関係におきましては府県民税だ、独立税だという形であります。そういう形をとつておるものでありますので、おつしやつたように若干割切れない点は生じて来るわけであります。しかし、割切れない点が生じて来ても、あえてこのような方式を選ぼうという考え方に立つておるわけであります。おつしやいました点も今申し上げた方で処理できるわけではないだろうか、そういうふうに思つております。
  65. 北山愛郎

    北山委員 そういうふうに便宜々々と考えて行つて、そうして県民税市町村民税を一体的に処理をしようというようにして、ただいま申し上げたような例においても減免するということになれば、県民に対して負担を分任させるという、この税を創設した根本の理由が非常に弱くなつてしまうのではないか、やはり分任をするという以上は、これはこの前にも申し上げたように、同じ県民である以上は、同一条件ならばやはり同じような県民税負担するのだ、そういう建前でなければ、道府県の税としてはどうも理論的に基礎が弱くなるのじやないか。市町村事情によつてかわつて来る、減免についてもその他の場合についても、その市町村の都合によつて県民としては不公平な場合が起り得るということになればおかしいのではないかということで、便宜上その市町村の都合でもつて市町村民税とあんばいして考えて行つたら、何とかなるのではないかという話でしたが、しかしこれは理論から言えば、その不均一の課税というものは市町村内部の事情であつて、絶対に県民税に対して影響を与えてはならぬものだ。これは県民税とは別個の税なのですから、その県民税に対してまで影響を及ぼすということは、これは納税義務者を納得させることができない。市町村としては県民税はただ請負つて来て徴収を委託された税である。それが町村内の事情によつてAの地区とBの地区は違うのだというようなことでは、住民を納得させることができない。だから便宜の問題では解決がつかないと思う。これは実際おやりになればわかるのです。おそらく市町村なら市町村の議会でそういうふうな条例をおつくりになると、必ずこれは論議の種になるのです。だからこれは単に便宜だけで解決はつかない問題ではないか。もつと法律なら法律の上ではつきりしておく必要があるのではないか。もしその点についての規定がないとすれば、この法律は不備だと思う必ず問題を起す。どうです。(「まければいいじやないか」と呼ぶ者あり)まけるのではない。不均一課税というのはA地区とB地区と違うでしよう。県民税の分までこれを背負わなければならぬということはない。理論的に成り立たぬと思うが、どうですか。
  66. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 合併等の場合に、特別の部落有の財産としてある財産権が残る。そこには何か特別に負担の上で不均一の賦課で行くというような場合、これは確かにそのことだけは当該市町村の特有の事情でございますが、しかし道府県民税の建前としましては、甲の町村でもあるいは乙の市でも、同じような条件がありますならば、同じような状態において、やはり道府県民税についても同様な不均一の課税になる、こういう一体に物を見る考え方であります。そういう限度において公平である、同じような条件の場合にはどの県のどの部分に住んでおつても、そういう部落の財産のある地区におるなら、同じような状態でやはり軽減されるのだ、こういう建前の税としておるわけであります。そのことがいいか悪いかという点は確かに御議論の点があろうと思います。思いますが、しかしそういうものとしてこれは立案をいたしておるのでありまして、それがやはり負担分任精神と半面徴税簡素化という両方のバランスをとつた結論の案、こういうことになつておるわけであります。
  67. 北山愛郎

    北山委員 今の点は非常に重大な欠陥だと思うのです。これは実際徴税の実務の上からいつても、そこに行つてひつかかるのです。不均一課税というものは割合に少いのですけれども、今度は町村合併等の場合に、ある町の借金が非常に多い、だからそれを返す間は旧の町の人たちは、よその地区よりも少しよけい税金を、ある年間負担するのだということもあるわけです。だからそういうことを考えますと、そういう場合の処理に困つてしまうのではないかと思う。とにかく頭脳明晰なる自治庁の人たちがこの案をお考えになつたのだから、もう少しそういう点も考えてやつてほしかつた。私は実際もう少し検討していただきたい。お願いしておきます。
  68. 大矢省三

    ○大矢委員 今議論になつておることは、結局府県民税市町村がとるというので、徴収手続が簡易であるということを非常に強調されておりますが、府県民であるから府県でとれはいいものを、府県民税を町村にとらそうとするから問題が非常に複雑になつて来る。その理由を聞きますと、同じ府県民だから、結局は同じ扱いにするといつておりますが、私もきのうお尋ねしましたように同じ国民であるが、国税の方は国がとらなければならない。入場税のごときはそうなのであります。しかもこれは手数料というか徴収料というか知りませんけれども、十九億という一割ピンをはねておる。一方はただ扱わせておる。そうしてこういう問題になつておるようないろいな疑問が生じて来る。一方には扱わすことは無理だ、こう言つて国が徴収する。この点は国の方でそれだけ徴収料がかかるから、一割も減じて配付するのだ、これは一応わかります。しかるに市町村の方はそういうことには触れないで扱わそう、しかも今のような矛盾が出て来る。こういうところに問題があるのです。私は徴収方法についてもつと考慮を願いたいのですが、ただ一点この機会にお尋ねしておきたいのは、平衡交付金制度のために、地方自治体があまりに国に依存をしていけない。いわゆる自治の精神が軽んぜられておもしろくない。経済上の面にもいろいろ不経済なことが行われるということが列挙されて来て、そのためにどうしてもこれは少くして、自主的に扱わそう、こういうふうに説明されておりますが、今度の税制改革では府県というものを非常に重要視している。そうなりますと市町村行政の上では、いろいろな費用の上においても逆に府県に依存するような傾向が強くなつて来る。     〔委員長退席、灘尾委員長代理着席〕 自治体が国に依存しておるからしていかぬというので、務めて地方に財源を与えようとしておるのが、今度は逆に町村と府県との間で府県を強くして行く。今度はそれに依存して行こうとする傾向が非常に強くなつて来る。これが私どもとして一つの心配なんです。ちようど国に依存するのがけしからぬというのと同じように、府県に依存する傾向を持つて来ると思いますが、その心配がないかどうか伺います。
  69. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 平衡交付金制度が、何か地方が国に依存するような風潮を馴致したという面は、あるいは若干あつたかも存じません。そういうことも考えて今回地方交付税という制度に切りかえようということであつたのでありますが、しかし今回の政府が提案いたしておりまする地方税制の改正案におきましては、その結果府県が非常に有力になつて市町村がこれに依存する、こういうかつこうになりはしないかという御懸念でありますが、そういうことはまずないと思うのであります。先般も申し上げましたように、今回の税源の配分といたしましては、府県の方は約三百十五、六億の警察費の負担を新しくするわけであります。しかもこれに見合つてふえまする税というものは、タバコ消費税道府県民税等でありまして、三百八、九十億ぐらいのものになると思います。ところが市町村の方はこれも総体計算で参りますと、タバコ消費税がたしか百九十億くらい、その他合せまして大体二百三、四十億の増税になる。そこへ持つて来て警察制度改正の結果、約二百億余りのものが府県の方に負担が移ります。ですから両方合せて考えますと市町村の方は約四百億くらいの財源が、警察制度の改革と税制改革だけで考えれば浮いて来るわけであります。府県の方はその開きが数十億くらいしか浮いて来ないということであつて、財源的には府県の方は市町村に比較いたしますならば、まだ苦しい面が残つておるのであります。そういう状態でありまして、市町村府県から金をもらうような意味で依存する、こういう形にはとうていならないのではないかと考えるのであります。
  70. 大矢省三

    ○大矢委員 これは昨日ですか、一昨日ですか、門司君から伺いましたが、警察がなくなるということで、地方自治体の方は経費が少くなると言うけれども市町村の中で警察を持つておるものは、この間も言つたようにごくわずかなんです。それをトータルでこれだけ少くなるからというのは、そういうことで実際面と非常に違つて来る。私の言うのは、貧弱というと言葉がちよつと足りないかと思いますが、小さな市町村を言うのです。市町村は警察を持つていないのです。この警察が今度は府県に移るから市町村の方は非常に経費が少くなるというのは、大きな都市だけなので、全体平均してみての数字であります。市町村には、そういうことはあまり影響はないのです。従つて私はどういう説明があろうとも、結局府県民税をとられるだけ市町村の方では財源が少くなる。そのために勢い府県に対して依存の傾向が強くなるということは事実だと思う。しかしながらその点はその程度にして、どうも今度の地方税法改正府県を強くする。言いかえれば国の出先機関で国のなすべきことを地方に扱わせる。府県を強くすることは、国のなすべきことを府県が、市町村から費用をとつてこれをカバーする。国の仕事を地方に負担さすという結果になる。自治体はあくまでも市町村だといいつつ、実質の上では一切をそこに集中しようとしておる。この傾向を見ると、しばしばいろいろ言明されることと、実際に行うこととが正反対になつていると思う。こういう傾向が強いが、これは矛盾ではないか、こういうことをお聞きして、おきます。
  71. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 現在の地方制度の実情から申しまして、府県市町村は同じような地方公共団体という建前になつておりますけれども、やはり府県は国に直結しておる地方団体でございまして、その関係でやはり国と府県との間は非常に密接な、有機的な関係があるわけであります。そういう意味でこの府県と国との間の関係も、今回提案をいたそうと考えております地方自治法の改正案におきましても、地方制度調査会の答申の線に沿つて密接な関係を持つて律するようにしておるのでございますけれども、しかしそのことは決して府県という自治団体性格を変更しようという考え方ではないのであります。やはり府県というものは、今日の段階におきましては市町村と国との中間の自治団体といたしまして相当に広域自治体、あるいは市町村の処理できないような行政の補充的な行政をやる自治体として、相当多くの任務を持つておるわけでございまして、今回警察法の改正によつて警察に関する事務もやる、こういうことになつたのでございますから、どうしてもこれは府県に対してそれに見合うような財源を増強しなければならない、こういうことであります。そういうことから今回財源の増強をいたすような税法を提案いたしたようなわけでございまして、すでにこの財源の増強が地方制度の現在のあり方と矛盾するものであるというふうには私ども考えていないのであります。
  72. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 私ども原則的に府県民税を置くということについては絶対反対であるという立場では実はないのであります。先ほどから門司委員北山さんの質問を伺いまして、ちよつと私一点だけ疑問に思いますので簡単にお尋ねしたいと思いますが、そういうふうに市町村民税附加税であるかないかはとにかくとして、分納の場合にも、たとえば十万円の税金を納めるのに、五万円だけにしておいてくれというときには、市町村民税は四万五千円で、五千円は府県でやるというふうな形であくまで行かれるというふうな形であるならば、私はどうもこの徴収事務は徹底的に市町村の吏員にまかしてしまつたらどうか、どうして滞納一定の期間だけ府県の手にゆだねてそれに徴収をやらすのか、この点がどうもちよつとわからないのでありますが、お尋ねいたします。
  73. 奧野誠亮

    奧野政府委員 お話のようにこの点につきましては徹底的に市町村にまかしておるわけであります。府県は口も出せないのであります。ただ年度を経過いたしましてから後に滞納分があります。この滞納分についてだけ市町村長の同意を得て府県が整理ができる。この場合市町村長がその市町村内のいろいろな事情から適当でないと考えました場合には拒否ができるわけであります。市町村長の同意を得て、しかも三箇月以内の期間を限つて府県滞納整理に当ることができるのであります。これは穏当でない面があるかもしれませんが、また市町村の税務行政の円滑化の上におきまして、相当の役割を果す市町村もあるのではないか、そういうふうに思つております。とにかく両者の協同関係というものは強く打立てて行きたい、こう思つておるわけであります。
  74. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 今の点をお尋ねしたわけでありますが、年度を越えた滞納分といいますか、実際面を考えますと、税金というものは令書を出しますと、大部分の善良なる国民の皆さんは第一回で納める。督促をするとその次程度で納まるのでありまして、きわめて少数の人たちが生活難その他の原因でもつて納められぬ。あなた方御専門だからその辺のことはよく御案内かと思うのでありますが、税務事務の中で一番煩瑣であつて、一番手数がかかるのは、今言つたような年度を越えたものなのであります。この制度を設けまして府県民税を置いて、そうして経費の節約をはかる。そうして市町村にまかすというのならば、それを徹底しませんと、翌年度にまわすというものは案外手数がかかりまして、府県は人員の整理その他なかなかこの問題だけでもできにくいと思います。現在入場税国税になつたからということでありましようが、この府県民税は件数がなかなか多うございます。この点で私はこれを置くということならば、むしろ市町村側に置いて、これはもう県でひとつつてくれと逆に応援を求められたときだけにするのでないと、同意を得てということでありますが、おそらく同意しない市町村長はないと思います。どうもこういう条文を置きますと、かえつて地方事務所などというものが今半分くらいは徴税仕事をしておりますが、それがだんだん大きくなつて行くということになる。それで私は逆の場合を考えるのですが、市町村にこういう制度を置きますと、少々の金額なら県が来るまでほうつておけというようなことでほうつておくだろうと思います。この点かえつてどうも市町村の吏員の熱意をさめさせてしまう。どうせ来年は県が来てくれるんだ、あと三十万円くらいのものできらわれてまでやるかいということでほうつておく。そうすると県の仕事が非常にふえる。これは皆さんが机上でお考えになつたり、また県の税務課長あたりの御意見だと思いますが、この制度を設けた最初考え方から行きますと、かえつて最後まで市町村にまかす、やむを得ない場合、応援を求められれば承知をして出て行く、こういう形の方が円満に行くと思うのですが、どうでしようか。
  75. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 ただいまの御指摘の点はなるほどそういうふうな考えも成り立つかと思いますけれども、しかし何と申しましても、税額が府県へ参りますものは三割程度でありまして、七割余りは市町村自体の税収でありますから、この滞納整理に非常に関心を持つのは当該市町村であると思います。従つてこの案におきましては市町村の同意を得なければ府県は直接入り込まないという考え方をとつているわけであります。
  76. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 それではこれでやめますが、どうも今の御意見、私はあまり承服できないのであります。これは実際にとられる側から見ますと、こういう人たちについては五回も十回もたずねて来ると、また新しい人が来てピツチヤー交代ということになるわけですが、そのピツチヤーがホーム・グラウンドでもありませんし、ウオーミング・アツプをしているわけでもありませんし、いたずらに紛争を起しやすい。しかも逆に言いますと、私たち社会党からというようなことを離れて、こういう制度を置きますと、——これは自由党の皆さんに申し上げるのだが、現実問題として人員整理はなかなかできませんよ。私はそれを心配するのです。これはわれわれの方も研究させてもらうが、同意を得てということではなくて、応援を求められたときに出る。しかも御心配のような金額はそう大きなものにはなつて来ないと私は思う。徴収費がたいへんかかります。その点は私はそう思つておりますから、それだけ申し上げておきます。
  77. 奧野誠亮

    奧野政府委員 非常に深くお考えいただいておる御意見だと思つております。実は立案の過程におきましても、こういう問題をずいぶん論議したのであります。滞納になつておるものなら、府県が全部徴収に出かけて行つてもいいじやないか、こういう考え方もしておつたわけであります。そうしますと、今御指摘になりましたような懸念が出て来る。これをわれわれとしては非常におそれたわけであります。その結果、まあ中間説といいましようか、二十九年度分の税金であつても、三十年の一月一日以後でなければ滞納整理はしない。しかもそれをその年の十二月三十一日で打切らなければならない。しかも市町村長の同意を条件にする、こういう形におきまして、市町村長自身が全面的に原則としては過重徴収の責任を負つておるのだ、こういう建前を貫いておるつもりであります。現在市町村によりますと、多い例ではありませんけれども徴収成績が五〇%ぐらいで、滞納整理はとてもようやらない、こういう団体があるわけでございます。     〔灘尾委員長代理退席、委員長着席〕 こういう団体が、それでははたして知事が滞納整理の請求をする力を持つているだろうかどうだろうかといいますと、やはり町村の実情から行きまして、イニシアチーヴをとることは困難じやないかというような場合があるのであります。それらを総合して考えますと、知事がイニシアチーヴをとりますが、やはり市町村長の同意を条件にしておるのだ、こういうかつこうの方が円滑に行くのではないか、こういうような意味でこういう結論をとつたのであります。先ほど北山さんのおつしやいましたように、市町村の現状と、府県民税の現状とは必ずしも一致しないのではないか。そこでわれわれはそういう場合には条例で例外を設けることができるのではないか、こう考えておつたのでありますが、それではまた府県市町村との間でいろいろな摩擦が起るだろう。それよりは多少問題があつても、一律的な考え方の方がいいのではないか、こういうように考えたのであります。いろいろそういう考え方があろうかと思いますけれども、総合的にはこの方がいいのではなかろうかという結論を選んだわけであります。
  78. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 どうも今のお話は、やはり最後までとる方で百万円なら百万円きれいにごそつととつてしまう。これはその建前でありますが、実際住民税の本質というものをずつと考えてみますと、これが必ずしもいいものであるかどうか、ほんとうは疑問なんであります。零細なる金をたくさんの口にわたつてとる。個々に調べてみますと、去年までは景気がよかつたが、ことしはたいへんだつたとか、そういう特殊的な、例外的なことが非常に多いわけでありまして、そこに市町村が直接とるところに味があるわけです。私はその味を最後まで残しておきたい、どうもそういうふうに感じます。今の御答弁も一応そういうりくつも成り立つのでありますが、住民税の大きな性格から考えまして、半分もとれないような市町村もある。これは非常な不幸なことではありますが、それにはそれの理由もあるであろうし、またほかにもあるのでありまして、こういう例外的なものを、一般的な法令で規制するというのも少しどうも行き過ぎのように思います。これは私の意見であります。それだけ申し上げておきます。
  79. 北山愛郎

    北山委員 さつきの大矢さんの質問に対する鈴木さんの答弁の中で、ちよつと確かめておきたいのですが、府県の方が今度の税法なりそういうものの改正の結果、割合有利になるのではないかというような質問に対して、そうじやないんだ、市町村といえども警察費は減るし、それからタバコの消費税ももらうというような関係でよくなるような御答弁があつたようですが、大体こういうことになるのではないでしようか。これは私が聞違つておれば誤りを指摘していただきたいのですが、タバコの消費税が市町村に行く分が百九十四億、それから警察費の負担減といいますか軽減されるのが二百十億、大きいものを言いますとそういうことになるから、市町村としては昨年に比較して楽になるといいますか軽くなる。それから明らかに国からもらつて収入がふえるというのが、百九十四億の二百十億ですから四百四億というものがふえる。ところが減る方を見てみますと、今審議しております県民税の方へ百六十九億持つて行かれるということ、それから平衡交付金、今度の交付税、この方が昨年に比べて二百三十七億減るのではないか、そういう計画になつておる。それから起債の方が四十七億市町村分が減る。そうしてみます。と百六十九億プラス平衡交付金の減額が二百三十七億、それだけでも四百億以上になるわけです。さらに約四十七億の起債減がございますからして、昨年に比較すると市町村分はマイナスになるのではないか。ほかの経費の方は相当膨脹するのでありますから、このようにプラス、マイナスしてみると、むしろマイナスが多いというような、大ざつぱに言つてそういうふうな情勢では決して市町村などは楽じやないのじやないか。私は非常に苦しいのではないかと思う。その一つの原因をなしておるのがこの県民税創設であり、市町村民税からそれだけさいてやる、しかもそれを徴収しなければならぬというような立場からあわせ考えて行けば、私は市町村の二十九年度の財政あるいは仕事やり方というものは、昨年に比べると非常にやりにくくなるというふうに判断する。これは鈴木さんの意見とちよつと違うのですが、私のこの計算は間違いでしようかどうでしようか、お答えを願いたい。
  80. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 この地方財政の計画全体として県と市町村との配分、出入りといいますか、それがどうなるかということは財政計画に示してある通りでございますが、今の税の問題としていま少しはつきり申し上げますと、六百二十三億という増収内訳は、府県が三百八十八億、市町村が二百三十五億であります。一面警察制度改正関係市町村は二百十一億減ずるが、しかし府県の方は三百十六億ふえる、そういうことであります。そこでこの点は先日門司さんから御指摘のございましたように、それを全部市町村にかぶせてそういう議論をするのはいかぬと言われましたが、これはその通りでございますけれども、少くとも市につきましては、それが警察負担の緩和されます分はほとんど市にかぶさつて行くわけですから、市はそういう意味では町村に比較いたしますと、むしろ財源的に楽になると思うのです。府県に比しますればもちろん楽になると思うのであります。そこで府県と町村との総合的な、総体的な関係としましては、府県の方は三百八十八億ふえますけれども、反面警察の方で三百十六億もふえる。こういうことになりますし、市町村の方は二百三十五億ふえるということで、これは制度的の改正は今回直接負担増というようなものはないわけですから、そういう意味ではやはり町村としては、総体計算では県よりもむしろ余裕——ということは少し語弊かございますが、県よりは緩和されておるのではないかと思うのであります。しかしこれはいずれにしましても税と警察との関連において政府計算を申し上げたのでありまして、この結果総体に生じますでこぼこは、富裕団体の分はこれは財政計画にござしいますように十五億だけ超過財源がふえるということでございますから、あとは結局地方交付税をもつて調整をする、こういうことになるわけでありまして、今回の財政計画の性格いかんということに最後はなるわけでございますが、この点は先般来申し上げました通り、遺憾ながら赤字の問題につきましてはなお解決ができなかつたわけでございますが、とにかく既定規模の是正をあの程度つたというところで御了承いただきたいと思うのであります。
  81. 伊瀬幸太郎

    ○伊瀬委員 ちよつと簡単にお伺いしたいのですか、先刻来門司委員からいろいろと質問をなされたのですが、どうも私には納得ができぬので、この際奥野さんに、よく御存じだと思いますので、聞いておきたいのですが、実際問題として、善良な、納税をする意思を持つておる人であつても、府県民税と町村民税とともになら納められないという場合があると思うのです。府県民税だけなら納める金があるんだが、村民税とともでなら金がないとい場合に、一緒でなかつたら受取れないということで、みすみす納税する意欲はあり、善良な納税者であつても、そういうものを受取らないということになつて滞納処分にされるということが実際問題として起ると思うのです、奥野さんも奈良県の農村事情なんかよく御存じだと思うのですが、五〇%も滞納をしているというようなそんな町村は、別に何か原因があつてのことだと思うのです。その町村の半数以上も滞納しているというようなところはまれにしかないと思うのですが、そうすると、これは徴税する側から言うならば、非常にとりやすいところの方法である。村民税もぐずぐず言うな、これは県庁で滞納整理をしてもらうのだ、こういう態度に町村役場でも出られると思うのですか、そういうことになつたら、せつかく納めたいというような意図のある人でも、この全部は納められないが、一方だけなら納めるという場合に、何か特例でも出すという考えがあるかどうかということをちよつとお伺いしたい。
  82. 奧野誠亮

    奧野政府委員 従来市町村民税課税額が千円だといたしますと、それが今度は七百円が市町村民税であり、三百円が県民税となつて参るわけであります。その納税者が千円は納められない、七百円だけなら納められる、こういうことになりました場合には、やはり七百円は納めてもらうのであります。しかし七百円は納めてもらうが、その七百円のうちの二百十円は県民税として納めてもらう、四百九十円は市町村民税として納められたということになるわけであります。従つてあとの三百円につきましては徴収猶予する。徴収猶予した場合には、これは一々県の承認を必要とするわけではありません。市町村の承認だけでよろしいわけであります。従来千円市町村課税されておつた。今は七百円しか納められない。そういう場合には、やはり三百円の部分だけについて徴収猶予するわけであります。これは県民税についても同じようなことになる。ただその徴収猶予を認められた三円のうち九十円が県民税、二百十円が市町村民税だ、こういうことになつて参るわけであります。
  83. 伊瀬幸太郎

    ○伊瀬委員 その説明はよくわかるのですが、そうすると、今度三百円の滞納であつても、村民税と県民税二つの滞納処分ということになるのですね。
  84. 奧野誠亮

    奧野政府委員 かりに三百円の滞納か生じたといたします。しかしこれの滞納処分をするのは、従来と同じようにずつと市町村がやるわけであります。かりに市町村民税が千円、その納めた額は七百円しかなかつた。三百円はやはり市町村が場合によつて滞納処分をするわけであります。県民税市町村民税なりましても、この滞納処分は市町村がやつて行くわけであります。少くとも翌年の六月三十日まで県が働きかける余地はないのでございます。それ以後でありましても、市町村長が同意しなければ県が出て行く場合はあり得ないわけであります。ただ滞納しました場合には、両方滞納処分をしたということになつて行く。どちらだけしたというんじやなくて、滞納をした金額は、両方にしたのだ。従つて処分して得ました金額は、両方の額に按分してわかち合うということになるわけです。
  85. 伊瀬幸太郎

    ○伊瀬委員 それが何と言われても納得できぬのです。村民税だけなら納まつたという場合、県民税だけ残つている。そうすると、今度滞納処分をやるとき、両方滞納したということになつて、村民税と県民税とともにそれをやるのでしよう。たとえば三百円の滞納に対してはそういうことになるんじやないですか。一方だけ滞納処分をやるというんじやないでしよう。
  86. 奧野誠亮

    奧野政府委員 先ほど門司さんの言われましたように、扱いの上では住民税という一本の税として扱つて行く、こういうような構想に立つて立案をしているわけであります。従いまして、町村民税について滞納いたします場合には、同時に府県民税滞納処分をしなければならない、こういう形になるわけであります。
  87. 伊瀬幸太郎

    ○伊瀬委員 住民税ということならわかるのですが、別個の税金であつて、別個の徴税をするのに、二つのものを一つでなければ受取れぬというようなことに対しては、どうおつしやつても私は納得できぬのです。これはもう少し納得の行くような御説明をしていただきたい。
  88. 奧野誠亮

    奧野政府委員 純然たる従来の府県の独立税という観念でお考えになつたら、おつしやる通り納得できないと思うのであります。まつたく新しい形をここにつくり出そうとしているわけでありまして、先ほどもちよつと申し上げましたように、府県から市町村に対する段階においては一種の分賦金として百取扱い市町村から納税義務者に対する段階においては、府県の独立税として取扱おうとしているのであります。従つて徴税する側としては一本の独立税として扱つて行く。そうすることによつて税務行政をできるだけ簡素にして行きたい、こういうふうなねらいを持つているわけであります。納める者にしてもその方が便利の場合が多いだろうというふうにわれわれとしては考えているわけです。
  89. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 お尋ねをやめようと思つたのですが、今の問題は具体的の場合こういうことが非常に多いのです。おれは県民税なら納めるけれども市民税は納めない——あなた方の方からいえば鼻曲りであるかもしれないけれども、納める方の側から見れば、十分りくつのあるようなことが多い。その場合に徴税吏員が、そんなことはできません。そんならやめた。そうすると滞納がふえて来はせぬか。とる方から見れはそういう口実を与える。しかし納める側から見るとすなおに考えてやらなければいけないと思うのでありまして、従つて伊瀬さんが聞いているのは、それに対する例外の規定を——原則はあなたの方でそれでよろしいしかしこういう場合というふうなものかつくられないかというふうな気持だろうと思うのです。特に今のような地方分権に一応なつておりますから、そういう町村の合併の問題とか何とか錯綜して参りますと、なおそういう村民感情というものはひどく出て参ります。それをおそれて御質問申しているのです。それもやむを得ないと言うてしまえばそれまでですけれども、どうも本質的なものかその中にはある。住民の自由というものが基本的なねらいとしてあると思う。こういうことであります。
  90. 奧野誠亮

    奧野政府委員 お話のような点もあろうかと思うのであります。立案にあたりましても、そういうことをいろいろ検討したのでありますけれども、やはり法律的に一つの方町に持つてつた方がいいんじやないだろうか、こういう考え方をとつたわけであります。しかしこれはまた今後の推移を見まして、必要な例外規定がいるということになれば、その際にあわせて考えた方がいいんじやないか。出発にあたりましては、一応こういうような、われわれから言えばすつきりした形であります。納税者からいえば、おつしやるようにあるいは不満があるかもしれません。しかし相対的に考えた場合には、この考え方で行つた方がいいんじやないだろうか、こういう結論をとつたわけであります。
  91. 中井一夫

    中井委員長 それではこの程度で休憩をいたします。  お諮りいたしますが、第二の道府県民税についての質問は終了したりといたしてよろしゆうございますか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  92. 中井一夫

    中井委員長 さように決定をいたします。  午後は二時半に開会をいたします。     午後一時四十分休憩      ————◇—————     午後三時開議
  93. 加藤精三

    加藤(精)委員長代理 休憩前に引続きまして、会議を再開いたします。  委員長の指名により、私が暫時委員長の職務を行います。  事業税の部門について質疑を行います、通告順に従いまして質疑を開始いたします。大石ヨシエ君。
  94. 大石ヨシエ

    ○大石委員 事業税のことについて鈴木さんにちよつとお伺いしたいのでございます。今まで非課税の範囲でありました教科書供給事業に対して、先日も私は発言いたしましたが、今回はこれに課税されておる。現に私の方に陳情がございましたが、新聞の送達を行うのも非課税になつておる。出版業も非課税になつておる。教科書の供給事業というものは、出版業者から供給されて、ただその意思のままに動いておるのでありますから、これに対して何ゆえ課税なさいますか、この点について私は鈴木さんにお聞きしたいと思います。
  95. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 教科書販売の問題について、なぜ非課税をやめたかというお話でございますが、これは今回事業税等の非課税につきまして、その後いろいろと非課税あるいは税率の軽減というようなことが行われて参りまして、事業税の各業種の間の負担の均衡ということが若干くずれて参つておるように思われるのであります。そういうことから非課税規定をできるだけ整理しまして、反面事業税及び特別所得税を通じまして税率を合理化いたし、また軽減いたしまして、従来の一二%、八%、六・四%というようなものを、それぞれ八%、六%というふうにいたしたのでございまして、さような機会に従来の非課税につきましても一々検討をいたしまして、比較的他との権衡から考えて非課税をやめる方が適当であろうと思われるものを整理いたしたのであります、教科書の出版事業自体につきましては、これは出版業といたしまして、新聞なり雑誌なりと同じように非課税でございますが、ただ教科書の駅売につきましては、これは相当大きな組織を持ち、また安定いたしました要するに生徒を対象にいたします配給事業でございますので、その販売に至るまで、特に非課税にする必要はないのではないかということで、今回非課税をとりやめることにいたしたのであります、なおこれは地方制度調査会及び税制調査会におきましても同様の趣旨の答申がございまして、その答申の考え方を尊重いたしまして、かような措置を講じた次第でございます。
  96. 大石ヨシエ

    ○大石委員 しからばお尋ねいたしますが、ただいまも伊瀬先生から、お前たち教科書供給の販売業者は、学校の先生あるいは教育委員会と提携してうまい汁を吸うておるのではないかということであつたから、私もそれに気がついてその人たちに聞きました。ところがそのうまい汁を吸うておる者は出版業者だ。教科書供給販売業者は出版業者からの指令をまつて、どこそこに販売しろと言うたらそれを販売するたけであつて、一割の手数料をとつておるだけだ。しからばなぜ同じように新聞の送達をしておる者にこの事業税をおかけにならないか。同じことではありませんか。この点を私はお聞きしたい。
  97. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 教科書の販売も、非課税である新聞の販売と比較いたしまして、これは非課税にすべきではないかというような御議論でございますが、敬科書を販売する書籍の販売店におきまして、他の書物、書類の販売と教科書の販売との分別というようなことも、実際問題としてはなかなかむずかしいようでございますと同時に、反面新聞の方におきましては、出版業を営みます者が送達まで一貫してやつておるような形態が多いわけでございまして、これも経理上その他の収分をすることが非常に困難のようでございます。そういう意味で教科書の方は出版と販売がわかれておつて、しがも販売の場合には教科書と他の印刷物との販売を区別することができないというところから、やはり他の一般の用版物の販売と同じように非課税にしないでいいのではないか、新聞につきましては、新聞の特殊性から考えまて、一貫いたしまして非課税にするという考え方をとつたわけであります。
  98. 大石ヨシエ

    ○大石委員 今教科書販売業者は大きなグループを持つて日本全国に供給販売しておる。しかしそれは出版業者である。こういう零細な教科書の供給事業者に課税をなさいまするならば、なぜ出版業にも課税なさらないのか、一番よくもうけておるのはこれは出版業一であります。いわゆる講談社、いわゆる婦人の友、婦人公論、文芸春秋、こういうような出版業者がもうけておる。そのもうけておるものは課税せずに、零細なものに課税をなさるということは、私は非常に均衡を欠いておると思う。弱い者いじめである。あなた方は官僚であつて、机上の空論のみをなさる。なぜこうした零細な供給業者に対して事業税を課されるか。この点について再度お伺いしたい。
  99. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 新聞と申しますと、結局かつては新聞紙法というような法律で律せられておつたわけで、この中にはいわゆる新聞紙なり、雑誌なり、そういうような定期刊行物がみな包含されておつたわけでございますが、そういうようなものにつきましては、従来とも事業税と申しますか、営業税と申し出ますものは非課税になつてつたのであります。これに対しまして今の書物の販売というのは、要するに物品の販売業でございまして、これは各種の物品を販売いたし、ます販売業と同じような考え方で、従来は課税をされておつたわけであります。そういうようなところから、今回におきましては、従来の沿革を尊重いたしまして、新聞紙等につきましてはさような特殊な地位を引続いて認める。しかし書籍販売につきましては、教科書の販売もやはり同じであるという考え方から、従来もさようなことがなかつたというようなところから、非課税を認めないという方式をとつた次第であります。
  100. 大石ヨシエ

    ○大石委員 さつき申しました通り、出版業者が非常にもうけておるのである。その出版業者を非課税にしておいて、こうした零細なものに課税するというならば、新聞の送達業にも課税するのが私は至当と思う。あなたはどういうふうに思われますか。
  101. 奧野誠亮

    奧野政府委員 お話のように出版業全体にも課税すべきである。純理論としてはそういう考え方が妥当かと思うのであります。ただしかしながら長い伝統を有して参つた営業税の課税規定でありますので、また他面出版事業というものにつまして、一つの特殊性も見出せるわけでありますので、あえて非課税規定を存置したわけであります。ただ今鈴木次長からもお話がありましたように、教科書の販売事業について非課税の扱いをするということは、昨年でありますか、一昨年でありますか、そういう規定が入つて来たわけなんであります。そうしますと、ほかの販売業につきましても同じような取扱いをすべきだという議論があちらからもこちらからも起つてつて来ておるわけであります。同じ物品であつて菓子であるとか、野菜であるとかいうことで区分するのは穏当でないのではないか、しかも課税標準というのは損をしておれば課税されないのであつて、もうけがあつたときに課税されるのだ、もうけの大小によつて事業税が課せられるのだ、それならば販売する品物のいかんによつて取扱いを区分するのはいかぬではないか、こういうような意見も多分に出て参つておるわけであります。そこで出版業というようなもので全体を包含できるものは、従来の沿革を尊重してはずす、しかし教科書供給業といえども物品販売業である、そういうものについては、全体を事業税を課さないということにするのも一つ方法かもしれませんが、それでは大きな減収を来しますし、事業税性格からいいましても穏当ではありませんので、全般的に課税をして行きたい、従つて物品販売業の中での特例を残さない、こういうような立場に立ちまして今度立法したわけであります。
  102. 大石ヨシエ

    ○大石委員 われわれはこの席上で入場税を、十割を半額にしました。ところが何ら大衆に影響はなかつた。それは一体どうなんですか。出版業の方はたくさんもうけて、学校に教科書として供給するものは一割の利益で、遠隔の地まで配達しておる。それは新聞配達と同じである。しかるになぜこした新聞配達にも課税をなさらいか、出版業者というあの大きなものは非課税にしておいて、こんな貧乏人のしておるものに対して課税をするということは私はどうかと思う。これは弱い者いじめである。こういう二とをなさつてよろしいと思われるか、私はこの点再度あなた方の意見を伺いたい
  103. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 新聞の販売と教科書の販売との間に、同じ書籍の販売でありながら権衡を失するような扱いは不適当ではないかとおつしやる御意見は、私もまことにその通りだと思うのであります。ただ先ほど来申し上げしまするように、新聞につきましては従来のさような沿革がございましたから、そういう意味で今回はその過去の経緯を尊重して、新聞につきましては非課税にいたしたのでございます。もつとも教科書の供給業につきましては、これは先回の国会におかれまして御修正になつたものでございますから、私どももこの立案にあたりましてずいぶんいろいろと研究をし、各方面の意見も伺つたのでございますか、やはり地方制度調査会なり税制調査会なりの、非課税をできるだけ整興して、各業態間の不均衡をなくするようにすべきであるというようなところから、実は新聞との権衡から申しますとおつしやる通りでございますが、教科書以外の出版物の販売ということとの権衡を考えますならば、かようなことでいいのではないかというふうに考えたのであります。
  104. 大石ヨシエ

    ○大石委員 しからば民間放送もあれは非課税でしよう。なぜあそこから事業税をおとりにならないのですか。NHKはどうなんですか。そういう大きなところから専業税をとずして、こんな零細なものからおとりになる。一体それはどうなんですか。これは新聞配達と同じですあなた方がどんなにおつしやいましても、われわれはこれは修正案を出します。
  105. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 日本放送協会は御承知のように、その事業計画なり予算なりというものは、国会にこれを提出いたしましてその承認を求めるという、いわゆる公社組織になつておりますので、これはひとり事業税のみならず、他の税についても特殊な地位を認めております。  それから民間放送につきましては、要するにこれはニュースの供給でございますから、そういう意味におきましては新聞と同じような性格でございますので、従つてこれは課税をしない、こういう扱いをしているわけであります。
  106. 大石ヨシエ

    ○大石委員 私が申しますのは、課税の対象があまりにかわいそうである。それなら出版業からおとりになるのがあたりまえです。出版業者がここへ持つて行け配達せよという、こんな教科書配達業者からこういう事業税をおとりになるということは、私はほんとうにかわいそうに思う。あなた方はどんなにお思いになりますか。あなた方は官僚であつて机上の空論をやつている。何も下情に通じておらぬ。それでこういうものをおつくりになつた。それでよいと思つていらつしやいますか、どうですか。あまりにかわいそうじやありませんか。
  107. 奧野誠亮

    奧野政府委員 次長からるる説明をいたしておりまするところで、大体尽きると思うのでありますが、新聞送達業を残した、課税をしない措置のままにとどめたということについて御指摘になつておりまする点でごもつともな御意見だと思うのであります。実はその取扱につきまいしいろいろ苦心をしたわけでありますが、しかしながらその場合に考えましたことは、第一には、長い沿革を持つているということでございます。昔から新聞の発行と新聞の送達は一体のものとして扱われて参りまして、営業税を課さないという取扱いを続けられて参つて来ておりました。これが一つであります。  第二には、新聞送達というふうな言葉が表現しておりまするように、新聞の送達業をやつておりますのは、教科書の販売をやつておりますものと違いまして、まつたくそれだけだ、言いかえるならば、先ほど御説明いたしましたように、新聞の発行と送達とが一体の観念で律せらるべきものではないだろうか、また業態もそういうようになつているのではないだろうか。ところが教科書販売ということになつて参りますと、特殊な例外を除きまして、大多数は多数の書籍に見合わして教科書を販売しているので、書籍と教科書の利益をどう区分したらいいであろうかという点に、課税にあたりまして非常な困難が起きるのであります。区分のしようがないのであります。しかも書籍の販売のうちで、はたして大多数が教科書かといいますと、必ずしもそうじやないのであります。そういうような事情もございまして、教科書につきましても非課税とすることができなかつたわけであります。同時にまた先ほど来たびたび申し上げましたように、課税標準は純益に求めているんだということもあわせて御了承を願つておきたいと思います。
  108. 大石ヨシエ

    ○大石委員 それだつたら、その根本の一番たくさんもうけておるものは大物の出版業者ですが、この出版業者からなぜおとりにならないのですか。大きなところからとらずして、零細なものからこうした事業税をおとりになるということは、私は非常に納得が行きません。なぜ出版業を非課税にしたか、この点を明らかにしてください。
  109. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 出版業につきましては、先ほど来いろいろ申し上げましたように、この業態から申しましていわゆる知識を供給する業であるというところから、営業税時代からこれは非課税の扱いを受けて来ておるわけでございます。一面新聞にかけぬのはどういうわけかという議論もあるわけでありますが、そういうようなところから、出版業に対しましては初めから非課税という扱いをとつて来たわけでございます。もちろん大石先生のおつしやいますように、これに税をかけてもいいじやないかという御議論も十分納得し得る点があるのでございますけれども、私どもといたしましては、これにまで課税するということはこの際いかがであろうか、従来の沿革もやはり尊重すべきであろうというところで、こういうような扱いにいたしておるのであります。
  110. 大石ヨシエ

    ○大石委員 先ほど新聞送達業は長い歴史があり沿革があるから非課税にするとおつしやいました。しからは親伝来から、ずつと長い沿革があり歴史があつたら、あなたの方は何でも非課税になさるのですか、そう解釈してよろしゆうございますね。
  111. 奧野誠亮

    奧野政府委員 いろいろむずかしい理論になつて参りますと、やはり長い伝統というものはその際の判断の一つ基準になるのではないかと思つております。
  112. 大石ヨシエ

    ○大石委員 民問放送は別に長い歴史も沿革もございません。ところが、民間放送は非常にもうけておるか非課税であります。正直なものは損して強いものがボロもうけする、そういうような妥当を欠いた課税方法でよろしいでしようか。国民が納得するでしようか。たとえていうと入場税は十割を五割にした。けれどもわれわれ大衆に何ら影響を及ぼしておらぬ。これは一体どういうふうにあなた方はお考えになるか、それをお聞きしたい。
  113. 奧野誠亮

    奧野政府委員 民間放送の問題につきましては、さつき次長から説明があつたわけでありますけれども、今御指摘になつております種類のものを二つに区分できると思つております。教科書の供給業と類して参りますのは新聞の送達業だろうと思います。それから民間放送事業は新聞の発行業あるいは教科書、雑誌等の発行業に類しているものであろうと考えているわけであります。業態自体を二つにわけました場合には、放送事業は新聞の発行業に当るものだろうと考えておりまして、そういう意味合いで非課税にしたわけであります。それで、同じような物品販売業的な面を持つている教科得と新聞とを、それではどうして二つに引裂いたのか、これが一つの議論になるだろうと思うのでありまして、これにつきましては長い沿革も一つの判断の基準にしたということを申し上げ、末端の業態は、新聞送達の場合には完全にそれだけに終つているけれども、教科書の場合にはむしろ従たる地位に立つているのじやないだろうかというに考えたのだということを申し上げたわけであります。
  114. 大石ヨシエ

    ○大石委員 そうすると、新聞の送達業の中では、雑誌も配達しておる、それからサンデー毎日とかそういう類似のものも配達しておる、それはみな非課税ですね。それで教科書の供給業者はこれを課税される、これは不当だと私は思う。これでもつてあなた方は妥当な課税であるとお考えになるかどうかであるか、そのあなた方の考えを私は聞きたい。
  115. 奧野誠亮

    奧野政府委員 新聞送産業をやつている新聞売りさばき店が雑誌その他の販売等もやつております場合には、それらの販売にかかる利益につきましては、事業税課税対象として参ります。実際問題としてはそういうものは新聞送達業の全体の姿から見まして非常な例外的なものだろうと思つております。その点、教科書販売も、教科書の供給だけをやつているものもあるだろうと思いますが、これはまた逆の意味において例外だろうと思います。
  116. 大石ヨシエ

    ○大石委員 私の知つている範囲内では、新聞の送達業をやつておる人はみな金持です。新聞——朝日なら朝日、毎日なら毎日、これを一手に引受けて送達をやつておる人はみな巨万の富を有しております。そういうものは非課税にしておいて、こういう零細なものに課税をなさるということは妥当でないと思う。先ほど私入場税のことを申し上げましたが、それも一体どうなんですか。私たちここで入場税を五割引いた、けれども大衆には何ら影響はない、この供給業者から事業税をおとりになるならば、それは出版業者に課税されるのが当然だと私は思うのです。出版業者は大きなものがたくさんあるじやないか。そういうものは非課税にしておいてこんな零細なものから税をとるというその趣旨が間違つておるということを、私はじゆんじゆん申し上げておるのです。
  117. 奧野誠亮

    奧野政府委員 御指摘になりましたように、新聞を発行するにしてもあるいは書籍を発行するにしても、相当の資本かなければできない事業であることはその通りだと考えております。また入場税の例をおとりになりまして、課税上減免したところで、大衆の利益にもどらないのじやないだろうか、こういう点につきましては、一面ごもつともな点が伺えるのでありますけれども、しかし現存の社会制度の上においては、自由競争の上に立つていろいろの経費の節減をはかつて行くということになるのじやないだろうかと考えるのであります。出版業全体が同じような取扱いを受けまして、課税上非常に有利になつた場合には、おそらく他にも出版業をやるものがふえて参りましようし、その自由競争の間におのずから合理化も行われて来るのではないだろうかと考えておるものであります。
  118. 大石ヨシエ

    ○大石委員 奥野さんと鈴木さんのおつしやることに私は納得が行きません。これはいくら言つても、あなたの方は課税しようとおつしやる、私はこれを非課税にせよと言う。こういうことをいつまで続けておりましても、加藤精三先生からしかられるばかりでありますから、私はこれくらいで切り上げますか、もつと公正妥当なる税金をかけませんと、いかに共産党退治をいたしましたところが、だんだんと税金攻勢で日本の国民が思想が悪化して行く。この点を鈴木さんと奥野さんは頭の中に入れておいて、いただきたいと思います。  それから私は、課税標準率は、個人の場合は基礎控除及び扶養控除を含めた所得額を標準とすれば、個人の税額は法人に対して非常に高額となる。そうしたら、三人でも四人でも法人にしたら非常に税額が安くなる、個人の場合は税金が高くなる。そうしたら、皆法人にして脱税行為をしたらよいということになる。一体こういうような考え方を大衆に持たすということは、よいことでしようかどうでしようか。この点を私は御両人にお尋ねしたい。     〔加藤(精)委員長代理退席、委員長着席〕
  119. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 事業税基礎控除をもつと上げなければ、法人事業税との間の権衡がうまくとれない、個人事業税の方がどうも負担が、重過ぎるという点は、まさにおつしやる通りでございます。今回の立案におきましてもそういう見地から、個人事業税税率を特に法人事業税の場合に比較いたしまして引下げたわけであります。法人の方は、純益が五十万未満のものについてだけ一二%から一〇%まで引下げたのでございますけれども、個人事業税におきましては、一二%のものを八%、八%のものを六%というふうに引下げております。そういうふうに税率自体を軽減いたしましただけでなく、基礎控除につきましても、これは御承知のように事業税は前年の所得基礎にいたしておりますので、所得税計算基礎になつておりまする所得をとつて参りますから、一十八年度の所得におきましては基礎控除が六万円になつたわけであります。現在の事業税は五万円になつておりますが、それを今回は六万円に引上げ、また二十九年度以降はそれを七万円にする、これも今回改正される所得税基礎控除の額と歩調を合せるという建前になつておるわけであります。そういうわけで、基礎控除につきましてもそういうような配慮を加えたのであります。しかしこの基礎控除の六万円あるいは七万円というものが、なお実際の法人、個人の関係から申しまして、もつと引上げるべきであるという御議論も、たしかに傾聴に値する点があると思うのであります。法人につきましては、各種の積立てその他によりまする償却の方法があるわけでございまして、そういう点から考えますと、たしかに基礎控除をもつと引上げてもいいんじやないかという議論も立とうかとも思いますけれども、全体の財源との関係考えまして、また一面この徴税なり納税の便宜という点から、二十八年度の所得を押えております。今年度の個人事業税につきましては、所得税基礎控除と歩調を合せるというところで、一応案を立てたような次第でございます。
  120. 大石ヨシエ

    ○大石委員 この事業税に対して非常に重税なるかゆえに、私たちの知つた人は自殺をした人もあります。こういうように三人寄つたら法人で、何とかうまく脱税の道が立つ、そうして個人でやつておる者は重税を課せられる。一体今度の地方税法というものは、弱い者いじめじやないですか。正直な者か損をする。しからばわれわれは、何とか働かずして、そうして脱税の道を講ずるのが一群かしこい方法であるということを、日本の国民に教えているのも同じであると私は思う。こういうように事業税を苛酷な取立てをして、そうして哀れな人か多数出ておるのでありますが、それでもあなたは何とも思われないのですか。あなた方は自治庁におられまして世の中のことを御存じありませんが、大きなものは脱税しておる。そうしてこんなこまいものからとつている今度の地方税法というものは、実に弱い者いじめである。この点あなたはどういうふうにお考えでしようか。私は事詳細に——事詳細じやないと承知しません、聞かしてください。
  121. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 中小の企業者が今日非常に困窮している状態にあるということは、私どももよく承知いたしておるのであります。その上に先ほども御説明申し上げましたように、法人の事業税につきましても所得が五十万未満というところは、やはり小さい企業の形態でございますから、そういうものにつきましては、法人につきましても税率を一二%から一〇%に引下げている。しかし個人の事業税の場合になりますると、なおその状態は気の毒であるということを考えまして、先ほど申し上げましたように一二%のものは八%、八%のものは六%というふうに、税率をそれぞれ三分の一ないし四分の一引下げているわけでございまして、そういうふうに考えて参りますと、これは減税といたしましては相当の思い切つた減税でございます。御承知のように昔は営業税は百分の六ということでやつたわけでございまして、今回のこの減税によつて第二種のものは昔と同じような状態になつたわけでありますし、第一種のものはまた若干高いとも思いますけれども、しかし今までに比較いたしますれば、相当御議論のような点を考慮いたしまして、かような措置をとつたということを御了承いただきたいと思います。
  122. 大石ヨシエ

    ○大石委員 この事業税について、各業種ごとの業別標準賃金を定め、これに主人及び従業員数を乗じて個人事業者の勤労分の経費を算出し、総所得の金額から控除する方法をお考えになつたらいかがでございましようか、この点について鈴木さんから御意見をお伺いしたい。
  123. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 個人事業税は、税の区分から申しますと、これは人税ではなくて物税と申しますか、常業を営んで参りまする上に、地方団体からいろいろとサービスを受ける。その対価として税を納めるというような意味税金であるわけでございます。そういう意味で、所得税とかそういうような税金とは、やや性格が違うのでありますけれども、それでも基礎控除というような形を特に取入れて、法人の場合と比較いたしましてそういうような控除をいたしませんと、非常に苛酷であろうということで、基礎控除の方式が取入れられているわけでございますが、ただいまお話の点は、おそらくそのほかに勤労控除といいますか、そういうような趣旨のものも取入れて考えろということではないかと思いますが、そういう声の相当あるということは私どもよく承知しておるのでございますけれども、今申し上げましたような趣旨において、今回は税率の引下げを三分の一ないし四分の一やるという、相当大幅の軽減をいたしましたので、それによつてさような要望も、実質的の負担の緩和によつて、ある程度実現し得るのではないか。今後の問題といたしましては、ただいまのような点も研究はしてみたいと思いますが、ただ税の性格との関係もありますので、これはとくと検討してみたいと思う次第でございます。
  124. 大石ヨシエ

    ○大石委員 奥野さんにお尋ねしますが、全国の各府県の税務課長ないし部長か今日集まつております。その人たちとよく御相談くださいまして、私がただいま申し上げた点、それから一昨日申し上げた遊興飲食税、この点をよく御考慮くださいまして、そして遊興飲食税に対しては百五十円以上に課税する——現在は五十円である。五十円のものを三さらも、四さらもとる。そうしたら、これは幾らでも脱税方法があります。これはどういうふうにお考えでございますか。
  125. 奧野誠亮

    奧野政府委員 現行法では、主として一品五十円未満のものを取扱つているものにつきましては、遊興飲食税を課さないけれども、合せて百円以上になつた場合には課税対象にするという規定になつております。御指摘のようにこういうことは脱税を誘発しやすいと思います。しかし納税者の納税意欲といいますか、道義といいますか、他面にはそういうものの高揚をも兼ねまして、漸次定められました制度に従いまして成績をあげて行きたいというふうに考えております。昨日来お話のありました点につきましては、税務課長会議で相談をして行きたいというふうに思つております。
  126. 大石ヨシエ

    ○大石委員 その点よく私が申しましたことを皆さんにお伝えくださいまして、全国の課長と御相談を願いたい。  それから私は、これは婦人のことですから、一言言いたいと思うのです。現行税法の十万円を二十万円に、各未亡人は課税を引上げてほしい、それで非常に困つておるということを、私の方へ陳情して参つておりますが、この点についてあなたはどういうふうにお考えでございますか。この点をお聞かせ願いたいと思います。
  127. 奧野誠亮

    奧野政府委員 できる限り負担の緩和をはかつて行きたいという趣旨から申し上げますれば、これらの金額が高ければ高い方がよろしいというふうに思います。今回の措置にあたりましては、国税の、取扱いとまつた一つにして行くというふうな考え方をもちまして、遺族年金等の受給者であります場合には、扶養親族の有無を問わないというふうな改正にとどめておるわけであります。
  128. 大石ヨシエ

    ○大石委員 ちよつとお尋ねしますが、現在市町村民税の非課税の範囲において、六十五歳以上の老人や未亡人は非課税になつておるのでございますか、どうでございますか。この点ちよつとお教え願いたいと思います。
  129. 奧野誠亮

    奧野政府委員 年所得十万円未満のものにつきましては、課税することができないという規定を設けております。
  130. 大石ヨシエ

    ○大石委員 しからば、全国の未亡人から特に私に懇望して来ておるのでありますが、現在十万円を越えない所得ではとうてい生活することはでき得ない、ゆえにその恩恵を受けることができないから、何とかしてこれを二十万円以上に引上げてほしいと言うておるのでございます。これは私がここに婦人の立場から、四千万の婦人を代表してあなたに申し上げるのですが、どういうふうにお考えでございますか。
  131. 奧野誠亮

    奧野政府委員 寡婦に対しまする特典を漸次拡大して参りました方が、負担の緩和になることは、これは言うまでもないことであります。ただしかしながら税法上の扱いとしては、十万円未満のものについては課することができないということにいたしておるわけであります。もちろん十万円未満でありましても、実態的にはあるいは担税力のあるところもあるかもしれません。しかしながらそういう有無は問わないで一律に課税してはいけない、こういう制度をとつているわけであります。それ以上の所得があります場合には、課税しなければならないということよりも、むしろ実態的に見まして非常に気の毒な方であります場合には、当該地方団体が条例の定めるところによりまして、実情に応じて減免の措置をとつて行く。それ以上の部分につきましては、しかるべき措置をする、こういう地方税法の建前になつておるわけであります。ただ一律的な扱いにいたしまする部分は、金額を上げませんかわりに、所得税と同じような扱いにする部分だけを今回は取上げておるわけでございます。
  132. 大石ヨシエ

    ○大石委員 実は全国の未亡人から私たちに頼んで来るのですが、だうしてもこれを二十万円に引上げてほしい、そういたしませんと、今日の経済事情では生活困難に陥る、この点考慮をしてほしいというので、非常に私の方へも陳情して参つております。私は女の人たちの気持はよくわかりますから、この点は何とか、十万円を二十万円に引上げるということを、あなた方はお考えでございませんでしようか、どうですか。
  133. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 全国の未亡人の方からの御要望につきましては、上の実情につきましては十分にわかるのでございます。これはただ国税所得税市町村民税、あるいは今回の道府県民税、三者やはり課税基礎を同じようにすることが、全体の上から便宜だと思うのでございまして、まず今の問題は国税についてはやはりそういうような問題を取上げ、同時に道府県民一税、市町村民税等につきましても同様の問題を取上げて解決をする。こういう考え方、そういう方向で進んで行くべきものだと思うのであります。二十万円に一挙に引上げるということがよいかどうか、かりに引上げるというふうにするかということはなお研究を要すると思います。さような御要望も十分考慮いたしまして、今後国税の当局とも十分話合いました上で考えて参りたいと思うのであります。
  134. 大石ヨシエ

    ○大石委員 ただいまそういう問題についてよく考慮いたします、こうおつしやいましたが、考慮という意味は非常に広汎ですが、考慮のその内容を聞かしていただきたい。
  135. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 御要望の趣旨を実現するように考慮するという意味でございます。
  136. 大石ヨシエ

    ○大石委員 その実現をいつごろしてくれますか、これははつきり言つてください。
  137. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 今申し上げましたように、国税所得税取扱いと同じようにいたしたい。従つて国税所得税の問題と同時並行いたして考えて参りたいという意味で、なお大蔵当局と十分懇談いたしたいと思います。
  138. 大石ヨシエ

    ○大石委員 あなた方は大蔵当局とよく相談するとおつしやいますけれども、いつも大蔵当局にやり込められては引込み、やり込められては引込みしておるのでありますから、大蔵当局と話し合うと言われても、いつもあなた方は大蔵当局に負けておられる。これはどういうわけですか。あなた方が力がない、いわゆる力がない証拠であるということを私は言いたい。いつも負けております。これは一体どうするのですか。
  139. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 はなはだ微力で恐縮でございますが、ひとつ今後大いに御支援を願いたいと思います。御趣旨は十分体しまして、今後すみやかに実現するように努力いたします。
  140. 大石ヨシエ

    ○大石委員 それから鈴木さんと奥野さんにお尋ねいたします。今回の改正法案では、自転車税と荷車税と一括して、自転車荷車税として皆さん方御課税になつておられますが、荷車については依然として現行法通り税率を定めるといつていらつしやいます。荷車のように零細なもの、しかも勤労大衆を主としたこれらの荷車を引いている者に対して税金をかけるということは、私は苛酷だと思う。なぜこういうものに少額の税金をおかけになるか。それならば、なぜキャバレー、カフエー、ダンス・ホール、そういうところへ重税をおかけにならないか。こうした農民が引く、哀れな勤労大衆が引く荷車に対して課税をするということは、私は不当であると思う。どうですか。どういうふうにお考えになるかはつきり聞きたい。
  141. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 荷車とか自転車のようなものは、あるいは農家の生活において、あるいは一般の社会生活において必須のものであり、従つてかようなものを課税の対象にすることは適当でないという御意見も確かに私どもよくわかるのでございますが、しかし農村等におきましては、荷車というようなものを一つの手がかりとして、そういうものから担税力を考えて、少額の税金をとるということも、他に目ぽしい課税の対象がないような関係もあつて、やむを得ない措置ではないかと思うのであります。現在自転車は二百円、荷車は年額八百、四百、二百というように規模の大小によつて差がございますが、その程度の税額をとるということは、事情としては非常に苦しい場合もございましようけれども、多くの場合におきましては、かような程度の税をとるということは、そう無理でないのではないか。それが国の方に吸い上げられて国家行政一般に使われるというのならばまた別でございますけれども、結局その村なりその町の自治行政のサービスとして返つて来るわけでございますから、この程度のことを農村社会の各戸において負担をするということは、やむを得ないことではないかと思うのであります。
  142. 大石ヨシエ

    ○大石委員 しからば、こういう零細な荷車を引いておる人の姿をあなた想像していただきたい。汗だくだくです。かわいそうです。そんなものからサービス料としてこうした年二百円という少額な税金をとる。こんなことがありますか。一体世界中で荷車を引いておる国民といえば、これは日本国民よりほかありませんです。オートバイを使つたり、自家用自動車を使つたりしている人にこそ課税してもいいのに、こんな荷車に税金をかけるとはあんまりではありませんか。こういうものをかけて公平妥当な税金であると、あなたはお考えなりますか、どうですか。実はこれは弱い者いじめである。
  143. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 荷積みの牛馬車あるいは大車、そういうような荷車を使用するものは、第一には農家とかあるいは小さないなかの方の各戸だと思います。従つて荷車税と申しましても、これを負担するものは、さようなものにおいては農家でありますが、そのほかにもつぱら専業として物を運搬するいわゆる馬力と申しますか、そういうような人もおるわけであります。そういうような人もそれが一つの業態としてやつておるわけでございますから、それは事情によつては非常に気の毒な場合もありましよう。そういうようなものにつきましては、別途また減免の措置が一般的にあるわけでありますから、税の体系として、農村において農家が所有しておる牛馬車に税をかける、あるいは農村において物の運搬を業とするようなものに対して、年額その程度の税をかけるということは、かけずに済み得るなら、それに越したことはありませんが、やはり農村一つの実際の問題として、そういうようなものに課税するということも、あなかちまつたくいかぬとも言い切れないと思うのであります。もちろんこういうものの税をなくして済み得るようになることが理想ではございましようが、ただいまの段階では、かような税も存置するほかはないと私ども考えておるわけであります。
  144. 大石ヨシエ

    ○大石委員 こういうものに税金をかけることは、勤労者の手や足に課税するのと同じであるということを私は鈴木さん、奥野さんに申し上げたい。そこで奥野さん、今日税務課長が寄つておりますが、ダンス教習所に課税しますか、どうですか。これは実に課税すべきが至当である。その至当であるものに課税せずして、こういうものに課税をする。私は実際よく知つておるのです。ダンス教習所というものは、タンス・ホールである。このダンス・ホールに課税せずして、こういうものに課税する。私はただいま本会議がありますから、もうやめますが、私が言いましたことを一つでも聞かなかつたら私は承知せぬ。奥野、鈴木。ダンス教習所、キャバレー、カフエー、待合、あんなところに課税せよ。これはどうだ。
  145. 奧野誠亮

    奧野政府委員 ダンス教習所につきましては、昨日でありましたか、お答え申し上げた通りでありまして、その実態がダンスホールでありまする場合には、現行地方税法のもとにおいては課税すべきであります。ただ、今回の政府案におきましては、四月一日から入場税国税に移るということになつておりまして、その実態につきましては、現に大蔵委員会において討議されております。
  146. 大石ヨシエ

    ○大石委員 その入場税は、大蔵委員会の人が、大蔵委員会も困つておるから、これは現在のままにしておけ、こう言うて来ております。これは一体どうするか、これは大問題です。入場税は非常にとりやすい。遊興飲食税はとりにくい。とりにくい税金は地方にとらさせて、とりやすい税金国税に移管しようという。そういう不合理なことはわれわれは承知しない。それから私が言いましたことに対して課税したら、私はあなたの方に断固として抗議を申し込むということを最後に一言して、私はこれで終りといたします。
  147. 奧野誠亮

    奧野政府委員 入場税についての考え方は、現に政府案として御審議を求めております通りでございます。大石先生の御意見は、ほかならぬ大石先生の御意見でありますから、よく研究させていただきます。     —————————————
  148. 中井一夫

    中井委員長 この際お諮りいたした  いことがございます。すなわち目下審議中の地方税法の一部を改正する法律案及びすでに提案理由の説明を聴取いたしました昭和二十九年度の揮発油譲与税に関する法律案の両案につきまして、建設委員会より連合審査会を開催したき旨の申出がありました。同委員会申出を承諾して連合審査会を開催するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  149. 中井一夫

    中井委員長 異議なしと認め、さよう決定いたします。開催の日につきましては、来週月曜日すなわち十五日に、なお時間につきましては両委員長協議の上これを定め、公報によつて御報知申し上げることにいたします。さよう御承知を願います。     —————————————
  150. 中井一夫

    中井委員長 質疑を続行いたします。石村君。
  151. 石村英雄

    ○石村委員 本会議も始まるようですから、事業税について簡単にお尋ねいたしますが、大体大石さんからお尋ねになつたことと同じことで、あらためてつけ加えることもないのですが、事業税の個人事業税と法人事業税というものは、私はあまり学問的には存じませんが、どうも現在では、法人事業税と個人事業税は、事業税という名前はついておるが、性格的には違つておるのではないか。先ほど鈴木さんの御説明では、事業税は物税という御説明だつたのですが、なるほど個人事業税については、そうした本来の性格を持つておるとは思いますが、法人の事業税は、そうした性格がかなりかわつて来ているように思うのですが、その点いかがお考えでありますか。
  152. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 事業税は、要するに地方団体の区域の中におきまして、個人なり法人なりが事業を営んで参るという場合におきましては、その地方団体からいろいろの施設、たとえば道路をよくしてもらいますとか、あるいは各種の社会衛生施設を整備してもらいますとか、そういうような、その事業経営に伴つていろいろサービスを受けるわけであります。従つてそういうものである限りは、ほんとうは事業の収益にかかわりなく、かようなサービスを受ける反対給付として、これは事業を経営する者が個人であろうと、法人であろうと地方団体税金として一定のものを払うというのか、一つ考え方であろうと思うのであります。ただそういうような考え方から申しますと、現行法にございます附加価値税なんというものも、確かにさような趣旨に合つたものと思うのでございますが、しかしそういうような外形標準を持つて参りましてやるということにつきましては、今の負担の激変を来すというようなことから、やはり従来からずつと引続いて今やつておりますような所得を中心とする一つ課税方式をとるわけであります。法人につきましてもさような方式をとつておりますために、あるいはその実質が見失われて、いかにもこれは一つの収益的な税金、人税的なものであるというふうにも見られるようなおそれがあるわけであります。しかしあくまでも根本の考え方といたしましては、今申し上げましたような趣旨のものであつて、法人事業税も、個人事業税も、その点についてはさしさわりがないというふうにわれわれは考えておるのであります。
  153. 中井一夫

    中井委員長 石村君、今本会議が開かれようとしております。お進めになりますか。
  154. 石村英雄

    ○石村委員 それでは保留いたします。
  155. 中井一夫

    中井委員長 それでは一応休憩いたしまして、本会議が早く終りましたら引続いていたします。  それではこの程度で休憩いたします。     午後四時二分休憩      ————◇—————     〔休憩後は開会に至らなかつた