○北山委員 ちよつと関連して。
地方財政の窮状あるいは赤字の問題につきましては、この
委員会で再々塚田長官の御
意見を伺
つておるわけであります。長官の御
意見は、この問題に限らず時時刻々に相当変遷を見せておるようでございますが、ただ一点かわらないのは、
地方財政の赤字に対して、その原因が
政府の側にあるというよりも、むしろ
地方一体の内部にあるというお考えを持
つておられること、それからまた、先ほどのお言葉でもわかります
通りに、その赤字は普遍的なものでない、やはり赤字
団体というのは一部の
市町村なり
府県であるからして、これは何か一定の理論というか、
一つの普遍的な原因によ
つたものでない、個別的な原因によるのではないか、要するに赤字を出した
団体の責任がそこにあるのではないかというような御
意見を一貫して持
つておられるようであります。他の
機会におきましても、長官はそれに近いような御
意見を甘見ておられるようであります、そうして、このような
意見は、
大臣の御
意見であると同時に、また大蔵省でも、
地方団体に対しましてそのような態度でおられるようであります。私どもは
地方財政のみならず、
地方団体の仕事、
地方自治の内容についての認識というものにつきまして、若干の疑いを持たざるを得ない。なるほど赤字の原因の一部として、
個々の
団体のやり方のまずさとか、あるいは幾らかのむだ使いとか、そういうようなこともあるいはあるかもしれない、しかし
地方財政の赤字というものは、やはり一般的なものでございまして、たとい、かりに赤字を出さない
地方団体がありとしましても、それは他の面、すなわち仕事の面において普通のサービスをしない、ただ経理のつじつまを合せておるという程度にとどま
つておるので、赤字がないという健全
財政であるならば、それは
団体としてのほんとうの任務を果しておるということは言えない。そういう意味において、単に収支に赤字が出て来ておるとか、来ておらないとかいう面だけでなく、
地方自治全般に対して根本的な認識を持
つた上で、
地方財政の赤字問題を考えていただきたい、こう思うのであります。
そこでまず第一番に長官に申し上げたいと思いますのは、日本の、明治維新以前は別としまして、維新以後における約一世紀に近いこの期間におきまして、国民の
経済、産業方面における努力は非常なものでございました。生産力も非常な発展をいたしましたが、結局中央
政府のやり方によ
つて、その努力のほとんど大
部分が軍備や戦争に使われて来たんじやないか、そうして
地方団体がやるような、道路であるとか、あるいは河川の改修であるとか、あるいは教育の施設であるとか、住宅であるとか、そういうものに対しては、その国民の努力のほんの少しの
部分しか使われておらなか
つたのではないか。そのような中央、
地方の今までの政治のあり方、そういう何十年来のあり方、こういうものの結果、現在、
地方の
自治体の仕事というものは、や
つてもや
つても尽きないほどあるのではないか。これが、後進国は別としまして、欧米などに比べまして、日本の公共的な施設あるいは文化的な施設というようなものが非常に遅れている大きな原因だと思うのです。
地方団体としてはその問題と
とつ組んでおる。ところが中央ではそのことを深く考えておらない。そういうことから、中央
政府の方で、今までの国政全般の行き方は、軍備とか、そういう
関係のところに努力を払い過ぎて、国民の幸福というものを軽視して来た。これを今回補う意味において、
地方自治を考えるならば、
地方財政の赤字問題ということもよくわかるのではないかと思うのですが、まずこの点についての
大臣の御
意見を承りたい。