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1954-02-15 第19回国会 衆議院 地方行政委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年二月十五日(月曜日)     午前十一時十四分開議  出席委員    委員長代理理事 佐藤 親弘君    理事 西村 力弥君 理事 門司  亮君       加藤 精三君    河原田稼吉君       木村 武雄君    山本 友一君       吉田 重延君    橋本 清吉君       藤田 義光君    阿部 五郎君       北山 愛郎君    伊瀬幸太郎君       大石ヨシエ君    大矢 省三君       中井徳次郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣 塚田十一郎君  出席政府委員         自治庁次長   鈴木 俊一君         総理府事務官         (自治庁財政部         長)      後藤  博君  委員外出席者         専  門  員 有松  昇君         専  門  員 長橋 茂男君 二月十三日  委員相川勝六君及び田中稔男辞任につき、そ  の補欠とし、加藤鐐五郎君及び石村英雄君が議  長の指名委員に選任された。 同月十五日  委員加藤鐐五郎君及び田嶋好文辞任につき、  その補欠とし、尾関義一君及び山本友一君が議  長の指名委員に選任された。     ――――――――――――― 二月十二日  常業用トラツクに対する自動車税軽減に関する  請願古井喜實紹介)(第一一七四号)  同(黒金泰美紹介)(第一二五〇号)  同(西村力弥紹介)(第一二五一号)  同(前田正男紹介)(第一二九七号)  貨物自動車運送事業に対する事業税外形標準  課税廃止に関する請願古井喜實紹介)(第  一一七五号)  同(黒金泰美紹介)(第一二五二号)  同(西村力弥紹介)(第一二五三号)  同(前田正男紹介)(第一二九八号)  償却資産税創設反対に関する請願助川良平君  紹介)(第一三〇六号)  地方制度改革に関する請願佐々木盛雄君紹  介)(第一三一九号) 同月十三日  営業用トラックに対する自動車税軽減に関する  請願外一件(小林かなえ紹介)(第一三五一  号)  同(舘林三喜男紹介)(第一三五二号)  同(赤澤正道紹介)(第一三五三号)  同(勝間田清一紹介)(第一四三五号)  同外一件(小林かなえ紹介)(第一四三六  号)  同(岡村利右衞門紹介)(第一四三七号)  同外一件(楯兼次郎紹介)(第一四九〇号)  同(坊秀男紹介)(第一四九一号)  貨物自動車運送事業に対する事業税外形標準課税廃止  に関する請願外一件(小林かなえ紹介)(第  一三五四号)  同(舘林三喜男紹介)(第一三五五号)  同(赤澤正道紹介)(第一三五六号)  同(勝間田清一紹介)(第一四三二号)  同外一件(小林かなえ紹介)(第一四三三  号)  同(岡村利右衞門紹介)(第一四三四号)  同外一件(楯兼次郎紹介)(第一四八九号)  入場税国税移管反対に関する請願庄司一郎  君紹介)(第一三五七号)  地方財政制度改革に関する請願井出一太郎君  紹介)(第一三八四号)  同(原茂紹介)(第一四八八号)  防災機構一元化促進に関する請願柴田義男  君紹介)(第一四四〇号)  償却資産税創設反対に関する請願牧野寛索君  紹介)(第一四九二号)  同(高木松吉紹介)(第一四九三号) の審査を本委員会に付託された。 同日  地方制度調査会答申に関する陳情書  (第五〇八号)  同(第五〇九号)  町村財政の確立に関する陳情書  (第五一〇号)  町村合併促進に関する陳情書  (第五一一号)  町村会合併促進のため都道府県に対し補助金及  び起債わく拡大等に関する陳情書  (第五二一二号)  地方税制改革に関する陳情書  (第五一三号)  平衡交付金増額交付及び起債わく拡大等に  関する陳情書(第  五一四号)  昭和二十八年度平衡交付金に関する陳情書  (第五一五号)  市町村自治体警察制度廃止反対陳情書  (第五一六号)  公職選挙法における選挙人の住所の認定に関す  る陳情書  (第五一七号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  昭和二十九年度地方財政計画に関する件     ―――――――――――――
  2. 佐藤親弘

    佐藤(親)委員長代理 これより会議を開きます。  中井委員長が都合により欠席されますので、その指名により私が委員長の職務を行います。  これより昭和二十九年度地方財政計画について政府より説明を聴取いたします。政府から出席されている方は塚田自治庁長官鈴木自治庁次長後藤財政部長であります。塚田自治庁長官
  3. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 ただいまお手元に配付いたしました昭和二十九年度財政計画につきまして、その概略を御説明申し上げます。  昭和二十九年度地方財政計画策定にあたりましては、わが国経済の現況にかんがみ、地方財政についても国庫予算編成方針に即応して、極力その財政規模合理的縮減を期待するとともに、従来往々にして見られました国庫予算編成のしわ寄せが、地方財政に及ばないように十分考慮を払いつつ、昨年十月行われました地方制度調査会答申の趣旨を可及的に実現することを期し、以下述べます事項を前提といたしまして、策定行つたのであります。  すなわちまず(1)地方財政計画策定基本方針として、調査会答申も指摘しておりますように、現在の地方財政計画に明らかに算入漏れまたは算入不足なつており、ために不当に地方財政を圧迫していると認められる額について可及的に修正を行い、地方財政規模是正した後、給与改訂の平年度化等に伴う経費等明年度当然に増加を予想せられる財政需要額について、その必要最小限度の額を加算し、さらに行政整理警察制度改革に伴う財政需要増減額を加減したのち、(2)地方財政についても国庫予算に準じて所要の節約を期待することとして、その財政規模を測定いたしました。  また歳入面におきましては、(1)地方財政需要増高に即応してその独立財源を拡充し、道府県市町村相互間の財源の偏在を是正するとともに、住民負担合理化をはかるため、(イ)附加価値税廃止、(ロ)事業税合理化、(ハ)道府県民税不動産取得税及びタバコ消費税創設、(ニ)固定資産税の軽減並びに大規模償却資産に対する固定資産税の特例、(ホ)入場税国税移管、(ヘ)譲与税創設等を含む地方税制全面的改革を準備し、(2)地方財政平衡交付金制度改正して、地方交付税制度とし、その総額を国税所得税法人税及び酒税の一定割合とすることによつて地方財政運営の安定及び合理化を期することといたしたのであります。  以上のような前提のもとに、地方財政規模策定いたしました結果、昭和二十九年度地方財政規模は、九千六百三十五億四千八百余万円となり、昭和二十八年度のそれに比して約五百四億余日の増加を見ることとなつたのであります。  次に歳出及び歳入につきましてその内容を簡単に御説明申し上げます。  まず歳出面でありますが、昭和二十八年度財政規模、すなわちいわゆる既定財政規模九千百四十九億円に対しまして加減いたしましたものは、大要次の通りであります。  第一に既定規模是正額百四十九億円でありますが、右は従来地方財政計画に明らかに算入漏れまたは算入不足なつていると認められるものでありまして、その内訳は、(1)単独事業費是正額として四十五億円、(2)経常的物件費是正額として五十三億円、(3)議員、委員期末手当等給与関係経費等是正額として五十一億円であります。単独事業費是正分四十五億は、たとえば、六・三制の建築費とか、港湾の浚渫事業のようにいわゆる公共事業費の施行について、その事業の成果を期するため若干の経費継ぎ足しを要するもののうち、従来既定財政計画算入漏れなつていた額であり、また経常物件費是正分五十三億円は、現在の地方財政計画に織り込まれております物件費の額の不足分であります。すなわち現在の地方財政計画は、昭和二十五年度決算額を基礎として策定せられているのでありますが、右地方財政計画中に織り込まれている物件費は、基準年度である昭和二十五年度からの増加率が、国庫財政のそれに比して著しく過小であり、地方財政窮乏の一因をなしていると考えられますので、これが修正を行つたものであります。さらに給与関係経費等是正分五十一億円は、特別職地方公務員、議員、委員期末手当税務職員に対する税務手当及び教育長指導主事給与費等について、従来算入不足または算入漏れなつていた額を修正したものであります。第二は、本年一月から実施せられました給与改訂の平年度化に伴う給与費増加額等昭和二十九年度において増減する財政需要額でありますが、その額は三百五十五億円の増加なつております。すなわち給与改訂に伴う給与費及び給与関係経費増加額四百十四億円、百二十一万人に上る人口自然増加等に伴いまして当然増加する諸経費増加額五十一億円、公債費増加額百三十一億円、法令の改廃、国庫補助負担金整理等国行政施策に伴う経費差引四億円の増、災害復旧事業費の再査定による災害復旧事業費の減、失業対策費増加明年度における中学校生徒増に対応する建築費増加額等を含めて臨時事業費差引二百四十五億円の減がおもなものでありまして、差引合計三百五十五億円が昭和二十九年度において見込むべき必要最小限度経費増加額となるわけであります。このうち給与関係経費増加額の算定につきましては、地方公務員についても、国家公務員に準じて行政整理を期待することとし、道府県及び五大市一般職員について五・五%、市の一般職員五%、町村一般職員は平均一・七%の整理を見込むとともに、教職員については明年度増加する児童生徒数に対応する要増加人員を含み約三万人程度の増員の抑制をはかることといたしております。  第三は警察制度改正に伴う財政需要増加額百五億円であります。政府地方制度調査会答申の趣旨にのつとり、今般警察制度改革を決意し、本年七月一日より、現在の市町村自治体警察を全廃し、現在の国家地方警察の大部分とともに、新たに都道府県警察創設することとし、関係法案を準備いたしておるのでありますが、これに伴い地方財政において本年度百五億円の新しい財政需要額が必要となつて来るのであります。新警察制度のもとにおいては、国は、道府県警察相互間の連絡調整警察官教育及び鑑識、通信等の施設の維持管理を行い、その費用については全額国庫負担とし、かつまた警視正以上の警察官国家公務員とするとともに、国家的事件に関しては警察庁長官都道府県警察を指揮監督するものとし、都道府県警察の特殊な警察活動や装備につきましては、二分の一の国庫補助を行うこととしているのでありますが、これらの制度改正に伴い、現在の国家地方警察から都道府県に移ります財政需要額が約九十億円、市町村から都道府県に移ります財政需要額が二百十一億円となるのであります。また警察職員につきましては、約三万人を今後四箇年間に整理するものとし、本年度は約一万人を予定するとともに、現在の自治体警察職員給与で新設せられる都道府県警察のそれよりも高い給与を受けることとなる者については、その切りかえにあたり、本俸の差額について当分の間手当を支給することとし、その移行の円滑をはかろうとしているのでありますが、これらの措置により行政整理伴つて十二億円の節減と、退職金、恩給、給与調整費につき二十七億円の経費増加が見込まれるのでありまして、結局警察制度改正によりまして、都道府県において三百十六億円の増、市町村において二百十一億円の減、差引地方財政需要額としては、百五億円の増加うち国庫補助金三十一億円となるのであります。  第四は経費の節減であります。国も地方団体財政規模合理的縮減をはかるべきことは、わが国現在の経済情勢下におきましては論ずるまでもありません。しかし他面また窮乏に瀕した地方財政に現在寄せられているしわをそのままにして、縮減を求めることが困難であることもいなむことかできません。明年度地方財政計画策定にあたりましては、これらの諸点を慎重考慮の上、まず地方財政計画の素因となつている原因を剔別し、既定規模是正行つた後、国庫予算編成方針に準じ、経常物件費中、事務的な経費を除きました節約対象額に対し、府県五大市においては一〇%、市町村にあつては五%、単独事業費について一〇%、合計百二十億円の縮減を期待することといたしたのであります。  第五は、警察制度地方税制度等制度改正等に伴う富裕団体超過財源増減額であります。地方交付税が交付されない地方団体にかかるいわゆる超過財源は、地方財政計画の構造上歳出に計上すべきものでありますが、昭和二十九年度においては、税の自然増収に伴う増加税制改正による減、警察制度改正等による財政需要の減等差引いたしました結果、前年度に比較いたしまして、さらに十五億円の増加を見ることとなるのであります。  次に歳入につきましてその大略を御説明申し上げます。  第一に税収入でありますが、税収入につきましては、前年度に比較して三百七十二億円、譲与税を加えまして六百二十四億円の増加なつております。すでに述べました通り給与改訂の平年度化警察制度改正等に伴う財政需要増高に即応して地方財源を拡充するとともに、道府県市町村相互間の財源調整を行い、他面住民負担合理化をはかるため、今回地方税制度について、所要の改正を行うこととし、まず従来地方税でありました入場税を国税に移管して、その九割相当額を、揮発油税の三分の一の額とともに地方譲与税とし、これを入場税については人口を、揮発油税については道路の面積を基準として、地方団体に配分することとし、道府県民税不動産取得税及びタバコ消費税を新穀し、附加価値観廃止して、事業税合理化して存置することとし、市町村民税及び固定資産税を軽減するとともに、府県において大規模償却資産に対する固定資産税を課する等の措置を講ずることとしたのでありますが、この結果地方税収入におきましては、昭和二十九年度収入見込額は三千四百七十四億円となり、前年度に比して自然増収四百十一億円、制度改正に伴う減三十九億円、差引三百七十二億円の増収が見込まれることとなり、別に地方譲与税二百五十二億円が見込まれることとなつたのであります。  第二に国庫支出金でありますが、一般公共事業費災害復旧事業費削減、少額諸補助金整理等に伴う減と、義務教育費国庫負担金警察費国庫補助金増等により差引三十八億円を減ずることになつたのであります。  第三に地方債でありますが、公共事業費等削減による臨時事業費削減と、現下資金供給事情窮迫等とにより、一般会計において政府資金七百十五億円、公募資金百三十三億円、交付公債百七億円、合計九百五十七億円と見込んだのでありますが、本年度に比較いたしまして約百三十九億円の減少となつております。なお、地方債計画につきましては、右のほかに公営企業会計分として、政府資金百七十五億円、公募資金六十五億円を予定し、電気、水道事業等諸企業の資金需要に応ずることといたしております。第四に雑収入でありますが、雑収入につきましては、昭和二十七年度の決算を基礎として算定が之を行い、使用料手数料等につきまして、それぞれ増加要因推定増収を期待するとともに、自転車競技法等に基く各種国庫納付金廃止等により、地方財政一般会計に添加せられる増加額を二十二億円と推定し、合計千七十八億円と積算いたしたのであります。  以上により歳入合計八千四百三十七億円となるのでありますので、不足分千二百十六億円を地方財政平衡交付金にかわるべき調整財源である地方交付税に求めることといたしたのであります。  以上が昭和二十九年度地方財政計画の大要であります。最近の地方財政の状況はますますその困窮度を強め、財源の不定に悩む団体が著増いたしておりますことは、まことに遺憾とするところでありますが、一方また地方財政の運営につきましても、国も地方団体もともどもになほ検討を加えるべき点があまたあることも、否定できないのであります。政府は今後この計画の実行を通じ、誠心誠意地方財政改善合理化に努めて参りたいと存じております。何とぞ各位の十分の御理解と御協力を賜わりますよう御願い申し上げる。次第であります。
  4. 佐藤親弘

    佐藤(親)委員長代理 ただいま塚田自治庁長官から説明いたしました補足の部分を、後藤財政部長からいたします。
  5. 後藤博

    後藤政府委員 簡単に補足説明させていただきます。  まず歳出の方でありますが、既定財政規模是正を要する額百四十九億のうち、単独事業費の四十五億の算定を見ますと、二十七年度決算をとりまして、そのうち継ぎ足し単独事業が百五十五億ございますので、これを公共事業伸びで伸ばして参りまして、そうして二十八年度財政規模に含まれているものを引きまして、その約半分、四十五億を見たのであります。それから経常物件費は国の経常物件費との比較をとりまして、これは二十五年以後の経常物件費の国の伸び地方経常物件費伸びを比較いたしまして、その約半額をもつて是正額といたしたのであります。  それから第三番目の点の給与関係につきましては、従来いろいろ争いがあつたのでありますが、争いのない点だけを拾いまして、従来足りなかつた分を五十億入れたわけであります。まず第一に議員委員報酬手当でありますが、これは人口増関係から人員是正いたしますと同時に、一・二五の期末手当分実績単位価基礎といたしましてはじいたわけであります。それから特別職給与知事、副知事市町村長等期末手当分が従来含まれていませんでしたので、これを是正いたしたわけであります。それから特殊勤務手当等でありますが、これは教育委員会関係経費の従来足りなかつた分及び税務職員その他の伝染病職員でありますとか、社会福祉事業職員でありますとか、そういう人たち手当を従来見ておりませんでしたので、これを入れました。  それから二十九年度分の新規財政需要額の分でありますが、まず給与関係増加額、これは四百十四億でありますが、給与改訂の平年度化に伴う給与費の増四百三億、この中には先ほども御説明がありましたように、一般職員及び教職員整理を含んでおります。一般職員は約二万六千であります。五大都市、県は五・五%、市は五%、町村は四%の整理を見込んでおります。初年度二十九年度は県、五大都市につきましては三%、市につきましては三%、町村は四%全部をやる、こういうことにいたしております。教職員につきましては、三万人の増員抑制を考えております。  それからその次の人口等自然増加に伴う経費、これは二十八年度に比べまして百二十三万人の人口がふえますので、それに伴う所要経常物件費等を計上いたしております。  次の公債費の増でありますが、過年度災害起債元利償還がそろそろ始まつて参りまして、公債費が来年から著増して参るのであります。既定規模の中に二百五十億入つておりますが、  さらに来年は百三十億加わつて、三百八十億程度元利償還が行われます。従つて百三十億の公債費の増を計上しております。来年から全部公債費が著増して参る傾向にあります。  それから次の国の行政施策に伴う経費増減でございますが、これは差引いたしまして三億六千万円でございます。まず第一に法令改廃等に伴う経費増減額でありますが、これは非常にこまかいものの増減をいたしまして、その結果十億になつております。これはたとえば海区漁業調整委員選挙でありますとか、農業委員会選挙でありますとか、漁業信用組合の出資の増だとか、土地収用委員会経費だとか、公明選挙経費でありますとか、その他こまかい経費差引きまして、ここに計上いたしたのであります。それから補助負担金増減に伴う経費増減、これは約七億の減になります。これは二十八年度災害対策諸費、主として消費的な経費が落ちて参ります。その他の増減と申しますのは、これは補助負担金増減に伴うものでありまして、補助率変更されますとか、補助金がなくなりますとかそういうものであります。たとえば農業委員会技術員補助率が二分の一から三分の一に変更になります。未開墾地助成全額補助が二分の一になります。それから農業改良普及員補助が三分の二が三分の一になります。保健所の費用が三分の一から四分の一になる、こういつた補助率変更になりますので、それに伴いまして地方財政需要増加いたして参ります。その増七十七億を計上いたしました。  その次の臨時事業費増減でありますが、これは二百四十五億の減になります。そのうち公共事業費は百六十二億の減でありますが、一般公共事業は、国の公共事業が約一一%減つて参りましたために、地方関係いたしまする分二億三千万円の減になります。それから災害凶係でありますが、これが百五十九億の減であります。これは国の災害査定額が千三百三十四億に落ちておりますので、それに伴いまして落ちて来るわけであります。次の失業対策事業費は十七億増加して参ります。これは国の補助額増加になりましたので、それに見合う地方負担額の増であります。それから最後の特別道路整備事業費、これは防衛道路と称するものでありまして、二十八年度に終りますので減になります。それから単独事業費の五十九億の減は、災害関係で六十九億減りまして、その他で十億ふえて、差引五十九億ということになります。災害関係の六十九億の内訳を申しますと、二十八年度災害の単独事業費が六十九億であります。それから二十九年度の現年度災を二十九億と見込んでおります。それから公共事業削減による単独事業の増を三十四億と見ております。それから過災復旧事業二十一億を合せますと百五十三億になります、この百五十三億でありますが、既定規模に二百二十二億入つておりますので、その差額六十九億をここに計上したわけであります。その他の十億は、これは中学校生徒が二十九年、三十年に非常にふえて参ります。約五十万人ふえて参ります。そのために、中学校施設単独事業でありますが、先般の補正予算の国会におきまして、中学校建設費の二十億を見たのでありますが、足りませんので、その分と来年度ふえて再来年の校舎の建設に必要な資金需要を合せまして三十億を、ここに見ております。既定規模に二十億入つておりますので、差引十億をここにあげておるわけであります。  それから次の警察制度改正による増減額百五億、これは制度改正による増八十九億、これは国警から府県警察に移るところの経費であります。次の行政整理による減十二億は、三万人の警察職員を四年計画整理いたします。最初の年度二十九年度は一万人の整理をいたします。その整理によるところの減であります。それから退職手当及び恩給費の増の二十七億五千万円は、退職手当の額が七億五千万円、一時恩給が六億一千万円、それから給与是正が十三億九千万円、合せまして二十七億五千万円になります。警察制度改正によりまして、府県歳出が三百十五億ふえます。市町村の方は二百十億減つて差引百五億の増ということになるわけであります。  それから節約による減でありますが、これは国の節約に合せまして地方団体節約をお願いすることにいたしたのであります。経常経費の減の五十億は府県五大市の旅費、物件費の一〇%、市町村の五%であります。それから臨時事業費の減七十億は、公共事業が一〇%落ちておりますので、地方団体としても単独事業の一〇%の七十億を節約するように見込んだわけであります。単独事業総額は現在七百七十億であります。  それから富裕団体における超過財源等増減額、これは現行制度義務教育及び税の自然増収超過財源関係かかわつて参りますし、また警察制度改正及び税制改正等によつて府県市町村超過財源関係がかわつて参ります。府県におきましては二十一億八千万円の超過財源が減りますが、市町村におきまして三十六億八千二百万円の増がございます。差引いたしまして十五億二百万円の増に相なるわけであります。合計いたしまして二十九年度財政規模は九千六百五十三億四千八百万円、道府県が五千六百二十七億三千七百万円、市町村が四千二十六億一千百万円の財政規模に相なるのであります。  それから歳入の方でありますが、歳入の方は地方税制改正に伴い、また自然増収がありますので、合せて三百七十一億の増を見込んでおります。それから地方譲与税二百五十二億二百万円、そのうちガソリン譲与税が七十九億、入場譲与税が百七十二億円であります。それから地方交付税でありますが、千二百十六億、そのうち府県が九百五十四億四千六百万円、市町村が二百六十一億五千四百万円でありまして、財政の需要関係府県市町村でかわつて参ります。また自然増収等の関係で、交付税が府県に集中いたして参りまして、市町村が非常に減つて参ります。  その次の国庫支出金財政需要増減に見合うものであります。この中で警察費補助金というのがございます。これは、警察の運営費の中で、警察活動費及び一般の警備費、施設費、一般行政運営費等の二分の一が国から参りますので、二分の一の額をここに二十一億計上いたしております。  次の地方債でありますが、昨年の一般会計分の地方債は千九十六億でありましたが、災害及び公共事業関係で二十九年度減つて参りまして九百五十七億になりました。そのうち普通公情が八百五十億、交付公債が百七億であります。普通公債八百五十億のうち政府資金が七百二十億で、公募債が百三十億合せて八百五十億であります。このほかに特別会計分として公営企業債が二百四十億ございます。この方は政府資金が百七十億、公募債が七十億であります。起債計画は昨年と大体同じ充当率を使つております。従つて一般会計分におきましては、昨二十八年度と比べて額は減つておりますが、そうかわらない起債の許可ができると私ども考えております。ただ公営企業債の二百四十億が、水道及び電気等の継続事業の大体七割くらいにしかつかない状況でありますので、この方は多少足りないのであります。  次の雑収入でありますが、使用料、手数料で三十三億増加いたしております。これは使用料の中で発電水利使用料増加いたしております。また高等学校の生徒もふえておりますし、高等学校の授業料が引上げられております。しかし二十八年度から二十九年度増加を多く期待いたしますことは、現在の状況から見て無理と思いますので、大体二十八年度決算と同じような額をここにいたしまして、三十三億の増を見込んでおる、手数料につきましても大体同様であります。  それから雑入でありますが、これは二十四年以後の決算から推計いたしまして、決算伸びの率の約半分をとりまして、伸ばして参つたのであります。百四十九億のうちには政府の宝くじの廃止及び競輪等の国庫納付金の廃止に伴う増のものを二十二億三千万円含んでおります。それから裏の方に先ほど申しました地方債計画の数字が載つております。  以上で簡単な御説明を終ります。
  6. 佐藤親弘

    佐藤(親)委員長代理 ただいま政府より説明を聴取いたしましたので、これより質疑を許します。
  7. 藤田義光

    ○藤田委員 ただいま大臣、部長から御説明がありましたので二、三お尋ねしてみたいと思います。まず第一に本年度、二十八年度末の地方財政の見通し、どのくらいの赤字が出そうかということを、率直にお伺いしたいと思います。
  8. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 二十八年度末の地方財政の収支の見込みでございますが、これは今自治庁といたしまして、鋭意資料を整えておりますけれども、何分まだ将来の出納閉鎖の最終のところになりませんと、的確な基礎ができないわけでございますが、ごく大ざつぱな見通しをいたしまして、二十七年度末におきますものか、約三百億であつたわけでございますが、ただいまのところの予想では、二十八年度の赤字は三百六十億程度になりやせぬかというふうに、ごくラフな計算をいたしております。
  9. 藤田義光

    ○藤田委員 二十八年度地方財政のうち、特に臨時費として非常に厖大な負担となつたの災害費であります。ただいま後藤財政部長から、二十九年度の大蔵省の前年度災害に対する査定総額を千三百三十四億というふうにしぼられたという御説明がありましたが、そうなりますと、二十八年度年度末対策、地方財政計画にも当然変動を来して来ると思いますが、これに対して何か手当を考えられておりますか、どうでしようか。
  10. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 災害関係事業費の再査定がさらにございまして、当初政府の補正計画の際に予定いたしておりましたものから、さらにしぼられたということになるわけでございます。従つてそういう点はそれだけ総体の経費におきましては浮いて来るわけでございますけれども、しかし御指摘のように、かねて災害工事の二割施工を三割施工にするというようなお話もあつたわけでございまして、これらの点につきましては、将来政府はできるだけ資金の状況等を勘案いたしまして、地上の充足ができまするように、起債等において考えて参りたいというふうに考えておる次第であります。
  11. 藤田義光

    ○藤田委員 大蔵省の査定額がかわつて参りますと、当然地方財政計画に大きな変動が来るわけでありますが、大体大蔵省の千三百三十四億という額を、自治庁としては是認された建前で、いろいろな計画を進められておりますかどうかをお伺いしたいと思います。それにつきまして、また当然その基本数字が動いて参りますと、例の昨年の災害国会における三党協定の起債のわく、三日までの百五十七億という数字にも変動を生ずるのではないかというふうに考えますが、この点はどういうふうに解釈されておりますか。お答え願いたいと思います。
  12. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 この問題につきましては御指摘のように大蔵省も地方財務部等を督励いたしまして調査いたした結果によつて災害査定変更いたしておるように聞いておるのでありますが、これはなお建設省等との間における話合いも残つておるようでございまして、自治庁といたしましては、その辺の関係がはつきり確定いたしましたところで、それに応じて措置いたしたいというふうに考えておる次第であります。
  13. 藤田義光

    ○藤田委員 政府から出しました、特に大蔵省の主計局がつくりました二十九年度予算の説明の中にも、ただいまの数字を前提に種々な予算が計上されております。従いまして自治庁でつくられましたこの二十九年度財政計画も、当然国家財政計画と即応するものでなければならぬというふうに私は考えるのであります。またこの千三百三十四億という数字が浮動しているという鈴木次長の答弁は、どうもはつきりしないのでありますが、その問題に関連しまして、具体的事実をひとつお伺いしたいと思います。先般の新聞報道によれば、自治庁におきましては都道府県に対する特別平衡交付金を配分されておりますが、この配分にあたりまして、おそらく災害に対する特平ということが、特平の性格上最も重視された一つの大きな費目だろうと想像しております。そこで特別平衡交付金を配分するにあたりまして、どういう基準、どういう方向で、この災害問題を認定されたかということを、この機会にお伺いしておきたいと思うのであります。
  14. 後藤博

    後藤政府委員 先ほどの次長の説明にちよつと補足させていただきますが、本年度災害対策につきましては、本年度の国の査定額千七百七十五億というものを私どもはまだ変更されないものという考え方で進んでおります。しかしこの査定減つて参りますと、やはりそれに合せた計画に直したいと考えております。従ってそれに基く百五十七億というものも変動されないものとして、百五十七億の差額の支出をお願いいたしているわけであります。それから災害分の特別平衡交付金につきましては、災害関係市町村の特別法の指定地区がまだ十分決定しておりませんので、私ども起債の配分七について非常に困つておるのでありますが、特別平衡交付金は二月一ぱいに配分するようになつておりますので、一応災害分を特別交付金に加えまして、特例債の分の五十億のうち三十四億だけを特別交付金の中に加えまして、府県及び市町村の配分をいたしたい、かように考えておるのであります。災害関係といたしまして、特別債を含めてですが、府県に三十五億、それから市町村に二十三億程度の配分をいたしたいと考えておる次第であります。
  15. 藤田義光

    ○藤田委員 そうしますと、ただいまの御答弁から、資料として提出されました二十九年度地方財政計画の中における歳出歳入においては、大蔵省の査定が千三百三十四億を見込んで計上されておる。二十八年度内においては、その前の千五百億の線を堅持して地方財政計画を推進する。こういう二段構えの方式というふうに了解してよろしゆうございますか。
  16. 後藤博

    後藤政府委員 その通りであります。既定財政規模の九千百四十九億はやはり元の通りの数字でありますので、さように御了承願います。
  17. 藤田義光

    ○藤田委員 そうしますと、大蔵省から、災害に伴う短期融資として、はつきりした資料を持ちませんが百数十億が出ておるのでありますが、これはいずれも三月の年度末に一応返還するという必要に迫られておるのであります。しかしながら三党協定という災害予算を承認する最大の条件でありました百五十七億に対する起債の見通しがはつきりしない限りは、この短期融資の問題等は処理できないというふうにわれわれは解釈いたしておりますが、自治庁としては、年度末の災害に伴う短期融資の償還対策に対しまして、何か成案がありますかどうですかお伺いいたしたい。
  18. 後藤博

    後藤政府委員 短期融資は百十八億だつたと思いますが、百十八億の短期融資は、大体国の補助金と、それから特別交付金、起債等に見合うものであります。従つて補助金が早く決定されまた起債が早く決定上、交付金が早く決定いたしますれば、大体それは国の計画通り動くのではないか、かように考えております。そのほかに超過工事分として考えられますものが、百五十七億であります。従つて関連はございますが、百五十七億も早く決定してその幾分かでも出してもらいたいという要求をいたしておる次第であります。
  19. 藤田義光

    ○藤田委員 ただいま百五十七億を幾分でも出してもらうという、要求をされておるという御答弁でありますが、その折衝の状況をひとつ鈴木次長からお伺いいたしまして、また大蔵省はどういう気持であるか、この機会に率直にお開かせ願いたいと思います。
  20. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 百五十七億の数字は、先ほど来お話が出ておりますように従来の査定基礎に立つた数字でございますが、一方これだけの数字がさらに査定が現実に進んで参りますれば、関係者問の話合いがまたつきますれば、これは若干減つて参ると思うのであります。そこでとりあえず、査定のはつきりいたしましたものからできるだけ政府資金の許す限りのことをやつてもらいたいということを申し入れておるのであります。これは一方政府資金が非常にきゆうくつでございますので、補助金の早期の交付、あるいはわれわれの方にも関係を持つております単独の各種の災害起債、あるいは補助災害起債あるいは先般来配分いたしました特別交付金の配分の問題あるいはさらに一般の公共事業補助起債のうちで残つておるもの、これらのものが約三百億以上あると思いますが、そういうものを今鋭意配分いたしておりまして、そのうちすでに特別交付金の府県分というようなものは了しましたし、近く補助公共事業起債の残額あるいは単独災害の百億というようなものも配分をいたしますので、そういうものが現実に地方団体に参りますならば、それとある程度見返りにつなぎ融資等が返つて来ることになると思うのであります。そういうようなものが出ましたところを見合いまして、百五十七億の方のつなぎ融資に、それをまわしてもらいたいということを申し入れておるのであります。さしあたりこの三重と愛知の海岸の災害関係の分につきましては、できるだけ早く交付いたしたいという程度の話はついておるのでございますが、なおその他の点につきましては、今後の折衝を要する点が多々あるように考えております。
  21. 藤田義光

    ○藤田委員 そこでお伺いいたしたいのでありますが、ただいま大蔵省が再査定をやつておる。その結果におきまして、建設、農林、その他関係各省が持つております二十八年度災害の基準というものは、非常にかわつて来るわけであります。しかしながらすでに自治庁におきましては、地方財政平衡交付金法に基きまして、二月一ぱいに特平は配分すべきものであるために配分を終つておる。配分にあたりましては、その基準としては、いわゆる大蔵省が言いまするところの水増し査定額に基きまして、それを基準災害分の特平を出しておる、これは当然想像されるわけであります。そうしますと、再査定の結果数字が狂つて来るということになりますと、災害府県のいわゆる特平のうちの災害分に対する不平あるいは不公正というものが出て来る。それはどういうふうにして是正して行かれるか、こういう点を、私たちは非常に心配しておるわけでございますが、何か措置を考えておられますか、どうですか。
  22. 後藤博

    後藤政府委員 二十八年度の特別交付金の交付の際に使つております数字は、先ほども申しましたように二十八年度の国の査定額を基礎にしてやつております。従つてお話のような再査定の結果が出て来るかと思います。しかしこれはやむを得ないのではないか。もしもさような場合には本年度は間に合いませんから、二十九年度の特別交付金でもつて差引勘定をする以外に方法はないのではないか。先ほど申しましたように、指定町村というのはまだ第一次、第二次指定までしか参つておりません。従つて全部の査定を終えるのは三月になるのではないか。さような時を待つておりますと、地方団体といたしましては起債額もきまらないということになつて参りまして、非常に助政運営に困難をいたすと思いますので、現在の段階といたしましては、やむを得ず従来の査定額を使いまして、そして一応先ほど申しました特例債もあわせて配分しておきまして、きまつたところで特例債をその中から抜き出して、平衡交付金の特例債と区分して行く、こういう方式をとらざるを得ないと、私ども現在考えておるのであります。
  23. 藤田義光

    ○藤田委員 特別平衡交付金の総わくは、法律に基きまして本年度は百十億であります。そのほかに財政部としましては、特例起債三十四億円をこの際特車のわく内に加えまして百四十四億を配分されたようであります。その内訳は、府県が七十九億で大都市が五億、合せて八十四億というふうに了解しておるのであります。私はこの特例起債を特平の中にミックスされたということは、非常にいい案だというふうに考えておりますが、特例起債のわくは五十億。そのうち三十四億だけを特平と一緒に配分に使われたということでありますが、残る十六億の使い道に関しまして、特にこの災害関係都市としては非常に関心を持つておるというふうに、私たちは想像いたしております。たとえば災害に伴う減免税の措置はどうするか、それからつなぎ資金の利子はどうするか、こういう問題が個々の具体的の問題でありますが、非常に関心を集めておる問題になつておりますが、残る十六億におきましては、つなぎ資金の利子あるいは市町村民税その他の減免税の補給に使われる予定でありますかどうですか。この前の補正予算におきましては、四億二百万というつなぎ資金の利子を、一応計上されておつたようでありますが、それは特平の中に入れられて、利子としてこの際特平の中に配分されるのであるかどうかこの点をお伺いしたい。
  24. 後藤博

    後藤政府委員 特例債五十億のうち三十四億と先ほど申し上げましたのは、内容は災害対策費と、それから先ほどのお話にありましたつなぎ資金の利子、それから税の減免に見合うものであります。合せまし三十四億、残りの十六億は、本来単独事業でありますところの、いわゆる単価切下げ分、市町村で申しますと十万円以下の単独土木事業であります。府県で申しますと十五万円以下の土木事業であります。そういうものが十六億でございます。これは特例法の適用のある市町村に配分することに相なるわけであります。十六億を府県市町村に割りまして、そうして特例法の指定地区につけたい、かように考えておりますが、先ほども申しましたように、町村分はまだ特例法の適用地区の指定が完全に行われておりません。従つて、一応私の現在の考えでは、単独災害起債と合せて、その中にある程度含めて出して、そうして先ほど申しましたように指定地区が確定したところで、はつきり割つて行くというふうにいたしたいと考えております。
  25. 藤田義光

    ○藤田委員 ほかの委員諸君の質問もあると思いますから、いずれ明日またいたしたいと思いますが、最後にお伺いしておきたいのは、この三十九年度地方財政計画の費目計算の基準となる単価の問題でありますが、これは政府説明によりますと、二十九年度政府予算は、大体二十八年度の単価で計上されております。しかるに吉田総理大臣以下のいろいろな演説によれば、年度平均して、二十九年度は五%ないし一〇%の物価の引下げが実現するということを確言されております。そうしますと、予算計上の基準たる単価に当然変動を来して参りまして、地方財政計画にも五%ないし一〇%の物価値下りに伴う変更ということが当然想定されるのでありますが、その点に関しましては、この財政計画に何か考えておられますかどうですか、お伺いしておきたいと思います。
  26. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 ただいま御指摘の点は、将来物価が低落をして、五%ないし一〇%下るということになれば、物件費その他の一切の経費がそれだけ落ちて来るわけでございますが、これは地方財政計画における全体の数字でございますので、個々の地方団体におきましては、さような結果それだけ財政上やりくりが楽になるとは思うのでございますけれども、何といたしましても、地方財政計画全体といたしましては、先ほど申し上げましたような赤字を背負つておるわけでございますし、従つて今の五%、一〇%程度物価が低落したからというて、ただちにこの地方財政計画を訂正する必要を生ずるかどうか、この点はなお既定規模是正、赤字の問題等とにらみ合せた上で、考えて参るほかはないと考えておる次第であります。
  27. 佐藤親弘

    佐藤(親)委員長代理 門司亮君。
  28. 門司亮

    ○門司委員 きようは簡単に一、二の点だけを附いておきたいと思いますが、最初に聞いておきたいと思いますことは、地方交付税算定基礎をどこに、求められておるかということであります。この予算説明書によりますと、「所得税、法人税及び酒税の収納済歳入額に対して、それぞれの法定割合を乗じた額の合計額に相当する額とされ」こう書いてある。従つてこれの算定基礎かどういう数字になつておるか、教えていただきたいと思います。
  29. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 地方交付税の率をいかに定めるかという御質問でございますが、これは地方交付税法案において具体的に定めた上提出し、御審議をいただきたいと考えておりますが、この地方財政計画におきましては、従来の平衡交付金算定基礎と同じような基礎に立ちまして、調整財源として国からどれだけ交付しなければならないかという総額を、先ほど説明申し上げましたように千二百十六億計上いたしたわけでございまして、これを所得税、法人税及び酒税に対しまして、一定のパーセントで規定をするようにいたしたいと思います。
  30. 門司亮

    ○門司委員 実にけしからぬ話であつてこの予算説明書と全然違うということであります。同時に地方制度調査会答申も、この予算書に書いてある通りに大体書いてある。従つて政府はここにこの譲与税を書こうとするならば、やはりまずそうした法律が先にできて、そうしてここにはつきりした数字が書かれなければ、これではただ名前がかわるだけであつて明らに地方財政平衡交付金であります。われわれは決してこういうものを要求しておるわけじやございません。さつきの塚田長官の説明でも、そこが非常にあいまいであつて、何か今までと同じように逆算してきめたようなことを言われておりますが、これではまつたく地方財政平衡交付金の性格と同じようなものであつて、私どもそういうものであつてはならないと、実は考えておるわけであります。従つてもう一つつつ込んで聞いておきますが、その構想は一体どのくらいに考えておられるのか、もし構想だけでもおわかりになるなら聞いておきたい。私がそういうことを聞きますのは、この地方財政平衡交付金を改めて地方交付税という、たとえば仮称の名前にしましてもこしらえましのたは、地方財源が非常にゆたかでない。従つて現在の地方財政平衡交付金算定基礎というものはきわめてあいまいであつて、いつも政府が国家予算の割合の中から考えて、大体このくらいでよかろうという数字を一応きめて、そうしてそれを逆算して、この平衡交付金の配分の算定基礎がつくられておる。こういうごまかしであつてはならない。少くとも地方財政を確保しようとするならば、国のそうした税収入の中から、はつきりした額を地方に毎年出すことにしてそうして地方財政かそれによつてやや健全化するというかあるいは見込みがはつきり立つて行かなければならない。一体今年は地方財政平衡交付金かどのくらいもらえるのかわからぬというような、不安定なことであつてはならぬ。いわゆる地方財政が当初予算において安定化するということのために、こういうことが考えられて、さらに地方制度調査会もその通り答申しておる。政府もその答申のりに、ここに書いて説明しておる。そうするならば、当然ここにはその数字の基礎というものが明確でなければならない。もしこれが明確でないとするならば、この地方財政計画というものは、きわめてあいまいなものである。この説明書と合わない。私はこういうことであつてはならないと思う。従つて今聞きましたように、もし構想だけでもおわかりになつたら、ひとつ話していただきたいと思う。
  31. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 地方交付税制度は、ただいま御指摘のように、地方制度調査会答申に基いて、今回政府がとろうといたしている案でございまして、地方制度調査会として答申されました趣旨は、年々予算の編成に際上て、地方財政と国家財政との間のいろいろなやりとりをめんどうにすることを避けて、国税一定割合というものを確保して、それだけは当然地方財政調整財源として使われるようにしようというところにねらいがあつたと思うのであります。その点はまさにその通りでございますが、ただ一番最初に、国税法人税及び所得税の何パーセント、また酒税の何パーセントを地方にまわすかということの計算の基礎をいたしましては、やはり年々とつて参りました地方財政計画の立て方を基礎にいたしましてそれから一定の割合をはじき出すほかないのであります。地方財政計画自体につきましてはいろいろ御指摘のような問題がないわけではございませんけれども、今回もある程度ではありますが、既定規模是正等の措置を講じまして、できるだけ合理化の線に持つて参りましたそのものを基礎にいたしまして、一定の割台をはじき出すことにいたしたわけであります。これは地方交付税法案において、いずれ御審議願う考えでございます。法人税及び所得税の一定割合、それから酒税の一定割合というふうに、この一定割合を二つの種類にわけて考えてみたいと思つておるのであります。法人税及び所得税は税率の変更その他がございます場合には、直接税でございますので、いつも同時に調整されますので、これに対しては、両方の税総額に対して一定の割合をとるようにいたしたい。また酒祝につきましては、この直接税の二税と同じ比率できめておきますことは、実際動かされる場合が別でありますので、酒税を別にした方がよいというふうに考えております。そういうことで、法人税及び所得税の一定割合というふうに国税一定割合を定めることにいたし、大体その二〇%程度が、この一千二百十六億の基礎になりはしないかと考えておりますが、この点はなお平年度化いたしました場合、二十九年度はこの地方財政計画で一応立つので、すぐ数字が出るのでありますが、平年度化いたしました場合にいかがなるかということにつきまして、さらに検討を加えて行きまして、地方交付税としては、さような恒久の姿における一定割合というものを出さなければなりませんので、その点をさらに大蔵省との間で研究している次第であります。
  32. 門司亮

    ○門司委員 私は今の説明では承服しかたいのであります。もしそうだとするならば、何もここであらためて交付税というようなことを書かなくてもいいのである。この交付税の算定基礎がはつきりしていないなら、これは交付税じやない。これはむしろ地方財政平衡交付金と書いておいた方が完全で、こういうことはごまかしをするものじやないと考える。  それからもう一つ聞いておきたいと思いますことは、七十九億のガソリンの譲与税の問題であります。これは地方財政計画を立てられるときには非常に大きな問題でありまして、これも私は一つの大きな問題がされていると思う。ガソリン税は、御存じのように国税でありますが、これは目的税として、大体道路維持管理に使うということに国の方針がきまつている。従つて国の方針がきまつてります以上は、当然これは地方道路維持管理に使われるであろうということに間違いはない。ただこの中で危惧されるのは、建設大臣がこれを指定するとか、あるいは認定するとかいうようなことで、思うように全部に平均して行かないような危険性がないとは言えない。しかしそのことは、一面平均していないとは言えないが、しかし道路は御承知のように、面積だけでその道路維持管理費を考えるということは、非常に大きな誤りでありまして、道路は面積も一つの基礎にはなるが、しかし使用量というものが道路をいためる大きな原因になつておる。従つてあの法律の中には、建設大臣がこれをよく調査し、さらに建設大臣の考えておるようなところに、これが出せるようなつておつて、もしあのガソリン税が目的税になりました昨年からの法律の中で誤りがあるとするならば、その法律を直して、そうしてこのガソリン税は道路維持管理費に十分役立つように、向うの法律を改正すべきである。その中からこれを抜き出して来て、これを地方道路の面積によつて配分するというがごときことは、これは明らかに地方財政の一つの行き方として間違いではないかと私は思う。当然この七十九億という金は、地方財政に持つて来なくたつて、国か地方財政に使う金に間違いないものである。従つてもし自治庁がこのガソリン税の使用目的とされておる部分が、あるいは国道とか県道とかいうことに限られておつて市町村道というものの維持管理費が非常に少いというならば、これはやはり別個に案を一つ立てるべきではないか。当然国が地方に流すべき目的税として定められておるものの中から、地方に七十九億の金をここにさいて、譲与税として持つて来ておるということは、地方財政計画の上で誤りではないかと考えておる。もしこういう必要があるならば、それはやはり配付税その他で、当然これを別個のものとして要求すべきではないか。この金の中から地方税としてとるということはこれだけ地方財政計画の上に一つのマイナスができておるように考えるのでありますが、この点について、どうしてここに七十九億がわけられたのか、ひとつ御説明を願つておきたいと思います。
  33. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 揮発油譲与税と申しますか、地方譲与税の中の揮発油税に対する部分につきましては、なお政府関係省間で目下話合い中でございますので、ここで確定的なこととして申し上げる段階ではございませんが、私ども考えておりますのは、この揮発油税の相当部分地方に譲与いたしまして、地方において道路に関する費用に使わしめるという基礎は、やはり国道なり府県道なりにつきましては、府県並びに五大都市がそれぞれ維持管理に当つておるわけでございまして、従つて揮発油税のうちのある部分は、国が直轄事業、あるいは直接補助金というような形におきまして、これを使用いたしますとともに、地方が直接維持管理に当つておりますものにつきましては、地方が目的税的にこれを使用するという方法を考えることも一つの方法ではないかということで、今回三分の一を地方に譲与し、国は三分の二を直接使用し、あるいは補助する、こういうふうな形にしようというのでございます。ただ国が補助金として地方に交付するというようなことに相なりますと、当然その補助に見合います地方負担がそれだけつくわけでございますが、譲与税として直接五大市なりあるいは府県に対しまして、国道並びに府県道の維持修理の費用として交付いたしますならば、それだけがその経費に使われるということになるのであります。その意味では、若干この事業が違つて来るのでございますけれども、しかし趣旨といたしましては、国が直接やりまするほかに、地方のある程度の自主性を持つたものとして、目的税的にこれを使わしめる方法を考えることは、やはり地方自治の建前から申しましても、一つの適当な方法ではないかと考えるのであります。
  34. 門司亮

    ○門司委員 どうも今の説明でもはつきりわからぬのでありまして、私の考え方としては、やはりこれは国の法律を直した方が安全だ。同時にその方が筋が通る。それから地方財政というものが今説明された範囲では、私ども納得行くわけに行きませんが、それは一応それとしておきます。  次にもう一つ聞いておきたいと思いますことは、この財政規模の総体の中で問題になつておりますものに、給与その他の関係であります。先ほど藤田君から聞かれたと思いますが、物価の値上り、あるいは値下げをするという見通しのもとにというお話でありましたが、これはいかぬと思う。やはり給与はどうしても上つて来ると思う。それをただ人間を三万人ばかり減らすとか、あるいは五万人ばかり減らすとかいうようなことで、つじつまを合せようということは、これは予算の最終の査定で無理ではないか。しかし自治庁は事実上今度の財査計画を立てられるときに、新聞で伝えられておりますような五万人くらいの人間は減らすんだという御自信のもとに、これが立てられておるのかどうか、それをひとつはつきりしておいていただきたいと思います。
  35. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 国家公務員人員整理に対応いたしまする地方公務員整理ないし増員抑制の問題につきましては、政府といたしまして先般閣議次定をいたしまして一応の方針を立て、それを地方に要望するということにいたしておるのでございますが、これは先ほど、財政部長から説明いたした通りでございまして、今回の二十九年度地方財政計画におきまして、さような人員の減少を見込んで特に規模を圧縮いたしておりません。二十九年度は何ら人員増減関係なく、今までの既定のものを押えておるのであります。ただ教員の新規増員の分につきまして、これは先ほど申し上げましたような考え方の基礎で計算をいたしておるのであります。なぜさようにこの人員減を見込んでおらぬかと申しますならば、この人員減を見込んでおりませんゆえんは、結局地方につきましても特別待命の制度でございますとか、あるいは行政整理に伴います退職手当の特別の支給というようなことを考えておりますので、従つて人員整理がございましても特に給与費を減少することはできないだろう。これは国の予算の編成の場合も同様な仕組みに立つておりますので、三十年度以降におきまして人員整理関係は影響を持つて来るというふうに考えております。
  36. 門司亮

    ○門司委員 最後にこれだけ聞いておきますが、この地方財政計画を立てられる場合に、先ほどから申し上げておりますように、いろいろ地方の財政の規模の中に無理があるのであります。それからもう一つ非常に無理が生じはしないかと考えられるのは、この地方財政平衡交付金が、ちようど今度の交付税の関係からいうと、百六十億ばかり減ることになつております。そのことのために、数字はここに書いてありますが、さつきの一定の割合をどうするかというのとこれとの関連性でありますが、私はこの点非常に杞憂するのでありますが、もし今の鈴木さんのお話のようなことであるとするならば、私はやはりこの財源は当然去年と同じような形であることが正しいのではないかというように考えられる。割合がきまつておらないときに、いろいろなさつき申し上げましたようなものをずつと継ぎ合して来て、そうしてたとえげ七十九億のガソリン税の配付であるとか、あるいはそのほかに配付をされるいろいろな富裕団体の十五億とかいう問題があるのでありますが、こういう問題で総額が大体二百九十九億になつておるように説明書には書いてある。この二百九十九億は去年よりもふえるのだという考え方のもとに、この平衡交付金の百六十億というものが減らされておりはしないかというようなこれはわかりにくいかもしれませんが、私の考え方ではそういう感じがするのであります。そうしてこの百六十億を減らしたものを交付税として一応千二百億ばかりのものを見ておいて、これを基礎にして三つの税金の一定割合を出されるということになると、地方の公共企業体は非常に迷惑されると思う。われわれが従来考えておりまするものはこういう数字の魔術というか、数字のやりくりをしないで、地方財政に少くとも三百億、あるいは五百億と言う人もありますが、大体三百億くらいのものがなけれげ地方団体はやつて行けないのだということになつている。そうすると地方財政平衡交付金の昨年度の、十三百二十六億を基礎として、地方交付税が少くともこれより少い額であつてはならないということに解釈する方が正しいのじやないかと私は考える。もし今の自治庁の考えておられますようなことであつては、地方財政はだんだん今までより以上に悪くなると私は考える。それではなぜ私がそういうことを言いますかというと、先ほど申し上げておりますように七十九億の譲与税というようなきわめてあいまいなものであつたり、あるいは人員の問題などについても、ことしはと言われますが、これらがやはり平年度なつて参りますと、だんだん縮小されて、来るというか、縮小を強要されるというような形がだんだん出て来る。こういうふうになつて参りますと、地方財政というものは計画の上において、ことしのこの数字では非常な誤りだというように私は考えておりますので、もう一度念のためにはつきり聞いておきたいと思いますことは、地方財政平衡交付金地方交付税との差額百六十億というものが、自治庁としてはいらないのだという基礎を、もう少しはつきり聞かせてもらいたいと思う。さつきの話では、ずつとつじつまを合せてやると大体これくらい足りないから、これくらいやつたらよかろうときめたという長官の説明だつたと思いますが、このくらい足りないからこれくらいやつたらよかろうという考え方では、どうにもならないと思う。従つて地方制度調査会答申にも、三百億くらいはやるべきだということが書いてあつたと思う。どうしてもここで問題を解決しておかなければ、ほかで解決することはなかなか困難だと思う。従つて一応百六十億でいいということを考えられた基礎を、もう少しはつきり聞かせておいてもらいたいと思う。
  37. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 門司委員の現在及び将来の地方財政を非常憂慮せられましての御熱意のある御質問でございますが、この百六十億の差額だけをとつてみますと、何かいかに減つたように考えられるのでありますが、かりにすぐ目につくものだけを拾つてみましても、たとえばタバコ消費税というものは、従来なかつたものが今回新しく約三百億加わるわけであります。そのほかに揮発油税譲与税、これが七十九億あるわけでありますし、またここに出ておりますものでも義務教育費国庫負担金給与の増に見合うものでありますが、百五億前年よりふえているというふうに、そういうものだけ拾つてみましても、国から参りますものは相当程度ふえておるわけでございますし、なお税の自然増収などということも考えられるわけでございますので、この百六十億という数字だけを取出しますと、いかにも少いように考えられますが、総体的に見ますと申し上げましたような次第で、一応これでつじつまが合うとうふうに考えておる次第であります。
  38. 北山愛郎

    ○北山委員 きよう初めてこの財政計画をいただきましたので、こまかい点は調べてからお尋ねをいたしたいと思いますが、きようは大ざつぱに伺つておきます。  先ほど塚田長官の御説明の中に、今度の地方財政計画をつくるのには、中央の方から地方へのしわ寄せを極力避けたいというような方針があつたのであります。しかし今拝見します地方財政計画を見ますと、これはやはり中央のしわ寄せが、地方財政に非常にかぶせられておるのではないかというような感じがするのであります。今年度財政計画の特徴というのは、まず地方税の自然増を非常に大きく四百十一億見込んでおる。それから臨時事業費及び既定経費節約というもので三百六十五億というようなものを見ておる。そのように税金はよけい地方税をとらせて、そうして一方では三百何十億というような節約をやらせ、地方には平衡交付金を百六十億、それから地方起債のわくも百三十九億というものを減らしてもいいのだというような結果が、大ざつぱに計画の中に出ておると思うのであります、これは何といいましても、中央における三十九年度のいわゆる再軍備予算の圧迫が、地方団体におつかぶせられるということを、端的に示しておるのではないかと思う。従つて先ほどの塚田長官の説明は、この現実の地方財政計画とは矛盾しておるのではないかと言わざるを得ないのですが、この点について御説明を承りたい。  それからもう一つは、今申し上げました地方税の自然増が四百十一億というような非常に大きなものであります。これは地方税の一〇%以上ではないかと思うのでありますが、一体、どういうような基礎でもつて、この四百億以上の地方税をよけいとれるという見込みが立つのであるか。普通考えればことしは昨年よりも経済的にも不景気が来ると言われております、がそれにもかかわらず地方税の方は自然増を四百億以上も見ておる、これの基礎、根拠を承りたいのです。  それに関連いたしまして、国税の方ではこの伸びを見ていない。国の租税の方は、所得税にしましても何にしましても大体昨年通りの税収見込みを立てておつて地方税の方では今申し上げたような税の伸びを見ておる。これは大きな矛盾ではないか。もし地方税伸びを見るというのならば、やはり国税の方でも見るのが普通ではないか、ここに大きな矛盾を感ずるのでありますが、それらの点について承りたいのであります。
  39. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 来年度地方財政計画において相当多くの節約を見込んでおり、一方税の増徴をしておる。これは国庫財政のしわ寄せじやないかというような御指摘でございますが、半面先ほども申し上げましたように既定規模是正ということを地方制度調査会答申の線に沿つて、半額程度でありますが、約百五十億の是正をいたしておるわけでありまするし、また節約のうちの二百四十五億といいますものは臨時事業費の減でございまして、災害関係の減に伴いまするおのずからの減であるのでございますから、節約と言うのは必ずしも当らぬのではないかと思います。実質的な節約に当りますものはやはりこの地方財政計画の上で節約とうたつておりまする百二十億というものが中心であろうと考えるのであります。しかしこれは先ほど申し上げましたように既定規模是正等も見合つて、おりますのでそう無理なしわ寄せでないのではないかというふうに考えるのであります。  一方税の増収でございますが、これはただいま配付いたしました資料の一番最後のところに歳入として「昭和二十九年度地方税及び地方譲与税に関する調」というのがございます。国税の方で法人税その他所得税等について特に伸びを見ておらぬのに、こつちの方だけでどうしてそんなにふえるのだという御疑念のようでございますが、この法人税とか市町村民税の所得割あるいは法人割というものは、これは国税算定基礎とまつたく一つのものを使つておるのでありまして、国税地方税との間において見込みの開きはないのであります。また事業税につきましては、法人事業税も同様国税基礎に立つておりまするが、個人事業税は前年の所得を押えておりまするから、これも一応はつきりしたものでありまして、これらの間におきましては、特に異同はございません。結局税の増収基礎は、やはり固定資産税でありますが、固定資産税につきましては年々新たなる償却資産、あるいは土地家屋の値上り、あるいは新築というようなことがございますので、この表で拝見願うとわかりますが、現行法で参りましても、二十八年度と比較いたしまして百八十億あまりの固定資産税の増が見込まれるのであります。この改正地方税法案で予定いたしておりますのは、それに対してさらに税率を〇・一%程度下げるということで、減収を立てておるような次第であります。従つてさような、今年度に比較いたしましての増は、減税をいたしましてもなお九十八億、約百億程度の増がございますし、また電気、ガス税等も、生産の増加あるいは若干の料金の引上げ等で、これもある程度増徴になります。そのほか先ほども申し上げましたような、やや性格が違うといえば違いますがタバコ消費税、これも三百億あまりの増が見込まれておるのであります。そのほかに不動産取得税約四十億、また自動車も、これは増徴いたしますとともに、車体の台数もふえて来て参つておりますので、これも相当にふえておるわけであります。そういうふうなものが地方税増収基礎なつておるわけでございまして、私どもといたしましては、さほど無理な見方はしていないつもりであります。かように地方税がふえますことが、むりろ地方自治の建前から申しますならば正しい行き方であろうというふうに考えておる次第であります。
  40. 北山愛郎

    ○北山委員 ただいまのお話は、税をとる手続とか、あるいは徴税技術というような観点、税をとる方の立場から考えると、そういうことになると思うのでありますが、要するにとる基準が昨年のものを用いるから、自然ふえて行くのだというお話でありまして、そういう意味では私は国税においても伸びがあるのではないかと思うのです。一説には、国税はだまつて現行法のままで参りますと、五百億ないし、一千億の伸びがあるんだ、しかしそれを上げたのではいろいろな関係でさしさわりがあるから、そこでこれは伏せておくのだというような話さえ聞いておる。しかしそういう立場を離れて、税をとるという大きな政治的立場から考えた場合には、国民にそれだけの担税力があるかどうかということをやはり基礎にして、考えなければならぬのではないか。もしも現行法通りのやり方で行くと、今のような伸びがある。しかし現実には、やはり去年の金を貯金しているわけでないのでから、ことしの皆のその日その日の所得から、これを払うのでありますから、そこでこの地方税というものの制度を考える場合には、ことしにおいて、国民が地方税をどの程度に払い得る能力があるかどうかということを基礎にして考えなけれげならぬのではないか、そういう点において、私はやはりことしの経済活動なり、あるいは国民所得なり、そういうものを考えました場合に、四百億円以上というような来年度伸びを見るということは、地方財政計画自体が非常に無理がある。必ずそれは実際上滞納その他の形において金が入らない。滞納がふえて来る、地方団体が困る、住民が困るという結果が出る。数字の上、計算の上では出て来ますけれども、しかし実際の生活というものあるいは経済というものとの開きが大きければ、それだけの結果が出ることは無理だということを、私は申し上げておるわけであります。この点はまだいろいろ疑問もあるのですが、次に町村合併の問題であります。町村合併は、政府においても非常にこれを奨励しておられる現状ですが、合併町村市町村建設計面というものをつくるように奨励をして自治庁がおつくりになつ建設計画の準則の中にも、中学校はどこへ建てるのだ、病院は国庫補助をもらつて、どこへつくるのだ、あるいは保育所をつくるんだというような、きわめてけつこうな準則を配付なさつておられる。また町村合併促進法の二十九条には、そういうような地方民の福祉に関係のあるいろいろな施設、そういうものをつくるために優先的にいろいろ国が考えてくれるのだというような規定があるわけでありますが、その規定は一体財政計画のどこに現われているが、どの程度にお考えになつているが、町村合併について財政的にはどういうことを考慮されたか、それを承つておきたい。
  41. 鈴木俊一

    鈴木(俊)委員 最初の、先ほどの御質疑につきまして私が申し上げました点が、あるいは若干言葉が足らなかつたかもしれませんが、ちよつと簡単につけ加えさしていただきたいと思います。ただいま御指摘のように国民負担の本年度における状況というものを考えて、税率等を定めるべきではないか、税の改正を考えるべきではないかという点は、まことにその通りだと思うのであります。今回予定をいたしておりますのも、国税地方税を通じまして、一方国税所得税におきます減免というものが地方の所得割の負担能力にも影響を持つて来るわけでございますし、また地方税の問題といたしましては、事業税の税率を下げる、あるは固定資産税の税率を下げるということを考えているわけでございまして、さようなこととにらみ合せて、なおかつ、先ほど申しましたような税の増収が出ますには、やはり大きな地方税それ自体と申しますよりも、地方事業税あるいはタバコ消費税といつたような、若干別の色彩のものがふえて来たことが、増収の最も有力な原因になつているわけであります。その点だけつけ加えさしていただきます。  次に町村合併の関係で、各種の財政需要がふえる、さような点を取上げ、考慮するかというお尋ねでございますが、この点は特に別に項目を抜き出して書いてはありませんけれども、補助、負担金の項目の中に、町村合併の補助金の十九億というのが入つておるわけであります。十九億の補助金を見込んでおりますとともに、それに対応いたします地方負担を財政需要の方に見ておるわけでありまして、従つてそれだけは財政規模がふくらんでいるわけであります。
  42. 北山愛郎

    ○北山委員 時間もありませんから、次の機会にまたこの問題を続けさせていただきます。
  43. 佐藤親弘

    佐藤(親)委員長代理 それでは明後日午前十時から開会することにいたしまして、本日はこの程度で散会いたします。     午後零時四十九分散会