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1954-02-12 第19回国会 衆議院 地方行政委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年二月十二日(金曜日)     午前十一時十三分開議  出席委員    委員長代理 理事 灘尾 弘吉君    理事 佐藤 親弘君 理事 西村 力弥君       相川 勝六君    加藤 精三君       田嶋 好文君    前尾繁三郎君       吉田 重延君    鈴木 幹雄君       藤田 義光君    阿部 五郎君       北山 愛郎君    田中 稔男君       大石ヨシエ君    大矢 省三君       中井徳次郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣 塚田十一郎君  出席政府委員         自治政務次官  青木  正君         自治庁次長   鈴木 俊一君         総理府事務官         (自治庁行政部         長)      小林与三次君         総理府事務官         (自治庁税務部         長)      奥野 誠亮君  委員外出席者         専  門  員 有松  昇君         専  門  員 長橋 茂男君     ――――――――――――― 二月九日  委員相川勝六辞任につき、その補欠として加  藤鐐五郎君が議長指名委員に選任された。 同月十日  委員加藤鐐五郎辞任につき、その補欠として  相川勝六君が議長指名委員に選任された。 同月十二日  委員石村英雄辞任につき、その補欠として田  中稔男君が議長指名委員に選任された。 二月三日  奄美大島復帰後の振興対策確立に関する請願(  山中貞則紹介)(第五一六号)  償却資産税創設反対に関する請願大野伴睦君  外二名紹介)(第五一九号)  警察法の一部改正に関する請願橋本龍伍君紹  介)(第五四三号)  入場税国税移管反対に関する請願田嶋好文  君紹介)(第五四四号)  遊興飲食税国税移管反対に関する請願(前田  正男君紹介)(第五四五号)  狩猟者税軽減に関する請願橋本龍伍紹介)  (第五四六号)  日本国有鉄道等固定資産税課税請願大野  伴睦紹介)(第五四七号)  地方事業税に対する特別措置に関する請願(伊  藤好道紹介)(第五四八号)  古書籍業に対する事業税免除に関する請願(西  村直己紹介)(第五四九号)  町村合併促進に関する請願橋本龍伍紹介)  (第五五〇号)  地方公共団体財政再建整備法制定促進に関す  る請願山中貞則紹介)(第五五二号)  地方公共団体勤務臨時職員取扱に関する請  願(門司亮紹介)(第五五三号)  市営住宅建設事業費起債認可請願原茂君紹  介)(第五七八号) 同月四日  貨物自動車運送事業に対する事業税外形標準  課税廃止に関する請願岡田五郎紹介)(第  六五七号)  営業用トラックに対する自動車税軽減に関する  請願岡田五郎紹介)(第六五八号)  かま製造業者特別所得税第二種業務に変更の  請願岡田五郎紹介)(第六五九号)  警察制度改革に関する請願野原覺紹介)(  第六八三号)  自動車税軽減に関する請願瀬戸山三男君紹  介)(第六八七号) 同月五日  自動車税軽減に関する請願外五件(高橋圓三郎  君紹介)(第七四八号)  貨物自動車運送事業に対する事業税外形標準  課税廃止に関する請願福田喜東紹介)(第  七七八号)  同(櫻内義雄紹介)(第七七九号)  同(徳安實藏紹介)(第八二七号)  同(平野三郎紹介)(第八二八号)  営業用トラックに対する自動車税軽減に関する  請願瀬戸山三男紹介)(第八〇二号)  同(徳安實藏紹介)(第八二三号)  同(平野三郎紹介)(第八二四号) 同月八日  福島県衆議院議員選挙第二区の分離に関する請  願(関内正一紹介)(第八三六号)  町村職員停年制制定に関する請願關内正一  君紹介)(第八三八号)  自転車税及び荷車税随時賦課に関する請願(  關内正一君紹介)(第八三九号)  遊興飲食税国税移管反対に関する請願(中野  四郎君紹介)(第八四一号)  営業用トラックに対する自動車税軽減に関する  請願相川勝六紹介)(第八四二号)  同(小金義照紹介)(第八九六号)  同外一件(平野三郎紹介)(第八九七号)  同外一件(藤枝泉介紹介)(第八九八号)  同(小峯柳多君紹介)(第九七六号)  貨物自動車運送事業に対する事業税外形標準  課税廃止に関する請願相川勝六紹介)(第  八四三号)  同(野田卯一紹介)(第八四四号)  同外一件(平野三郎紹介)(第八九五号)  同(迫水久常紹介)(第九七七号)  地方財政制度改革に関する請願倉石忠雄君紹  介)(第九八一号)  同(小川平二紹介)(第九八二号)  同(松平忠久紹介)(第九八三号)  洗張業に法律第二百二号適用に関する請願(加  藤鐐五郎紹介)(第九八五号) 同月十一日  遊興飲食税国税移管反対に関する請願(高瀬  傳君紹介)(第一〇八〇号)  地方財政制度改革に関する請願中澤茂一君紹  介)(第一〇八一号) の審査を本委員会に付託された。 同月六日  地方自治制度維持確立に関する陳情書  (第三〇九号)  地方財政力強化に関する陳情書  (第三一〇号)  地方制度調査会警察事務配分に関する答申事  項に対する反対陳情書  (第三  一一号)  地方財政力強化に関する陳情書  (第三一二号)  電気事業に対する固定資産税減免に関する陳情  書(第三一三号)  事業税撤廃に関する陳情書  (第三一四号)  青果小売業者に対する事業税軽減に関する陳  情書  (第三一五号)  公営発電事業に対する起債わく拡大陳情書  (第三一六号)  漁業信用基金協会への出資金に対する起債及び  債務者利子補給に関する陳情書  (第三一七号)  地方財政再建のための歳入欠陥補てん債に関す  る陳情書(第三  一八号)  上水道事業費に対する起債わく拡大に関す  る陳情書  (第三一九号)  消防起債わく拡大並びに消防補助対象範囲  拡充に関する陳情書  (第三二〇号)  消防施設強化促進法に基く国庫補助費増額の陳  情書(第三二  一号)  非常勤消防団員公務災害補償組合に対する国庫  補助に関する陳情書  (第三二二号)  公職選挙法第百六十一条第一項中郡道府県議会  議事堂の削除に関する陳情書  (第三二三号)  都道府県議会議長アメリカ視察に関する陳情  書(第三六一  号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  地方自治及び地方財政に関する件     ―――――――――――――
  2. 灘尾弘吉

    灘尾委員長代理 これより会議を開きます。  委員長は都合により本日欠席されましたので、私がその指名により、委員長の職務を行います。  まず地方税法改正に関して、政府より説明を聴取いたします。奥野税務部長
  3. 奥野誠亮

    奥野政府委員 お手元に地方税法改正案要綱をお配りしておりますので、それを読みながら簡単に説明を加えさしていただきます。  第一、改正の方針でありますが、その一つは地方団体自立態勢強化に資するため独立財源の充実をはかること。なるたけ地方団体は自分の手で、収支のつじつまを合せて行くという態勢をとりますことが、現在の地方財政が混乱に近い状態を示しておりますときに、必要な問題ではなかろうかと思つているのであります。今度の改正譲与税等も含めました場合には、大体二割程度増収が得られ、その反面国庫補助負担金や、地方財政平衡交付金のような比較的中央政府への依存度の強い財源を、少くすることができるという形になつて参つているわけであります。  その二は、地方団体相互間の税源配分合理化を期することであります。地方税はもとより地方団体の任務から起つて参ります財政需要に応じて、適当な財源が得られるものでなければならないと考えております。そういう点から考えて参りますと、たまたま山村に大きな発電施設があるために莫大な収入が得られる、こういうものにつきましては、もう少し広い範囲収入にした方がいいのではないかというようなことも考えられますし、また小さい団体がある年には莫大な増収が得られるが、その次の年には非常に収入に減少を来すということも、おもしろくないことでございますので、むしろ法人税割のような収入市町村から少くしまして、反面安定性のあるタバコ消費税のような収入を与えて参るということも、必要なことではなかろうかと思つているのであります。  その三は、地方税税種相互間の負担均衡化をはかることであります。個人事業税負担が著しく重い、戦前の二倍にも当つておりますので、これらのものを思い切つて下げる、あるいは償却資産に対する固定資産税税率を切り下げることによつて産業界一般に与えておりまする重い負担をできる限り緩和することが、国際競争等を考えました場合におきましても、必要なことではなかろうかというふうに考えているわけであります。  その四は、道府県住民が広く負担を分任する税種を設けることであります。現在道府県自治団体でありながら、道府県住民道府県税負担いたしますものが、三%ないし四%にとどまるというような状態でございまして、これでは道府県住民が、道府県行政運営に深い関心を持ち、積極的にこれに寄与する熱意を持ちにくいというようなことも言えると思うのでありまして、こういう欠陥道府県民税をつくることによつて、是正して行きたいというような考え方を持つているわけであります。  その五は、税務行政簡素合理化をはかるとともに国、道府県及び市町村三者間の協力体制を確立することであります。シヤウプ勧告は、責任帰属を明確にして行くということを強く主張して参りました。その結果、国、道府県市町村税務行政独立はしたものの、ばらばらに運営されているというきらいが強いのであります。シヤウプ勧告責任帰属を明確にして行くことは、今日におきましてもこれは重んじて行かなければならないことでございます。しかしながらこれを重んじながらもなおかつ協力体制を維持して参りますことによつて、一層税務行政を合理的に、しかもまたやがては国民負担にかえつて参るわけでありますので、国民負担を少くしながらも、最小の経費で最大の効率を発揮して参る、それにはやはりお互いに力を貸し合うことでなければならないのじやないかというように考えているのであります。こういう意味において、事業税課税標準は国が決定したものを用いて、しかしながらそれが寡少であると認められる場合においては、地方団体側から国に対しまして注意を喚起して行く。あるいはまた固定資産評価につきまして、市町村間の均衡を失わないように、不動産取得税運用等を通じまして、府県がこれに力を合せて行くというような体制を考えて参りたいのであります。  第二が要領であります。その一が道庁県民税でございます。市町村民税の一部を移譲して、道府県民税を設けます。言いかえれば道府県民税を設けることによつて、新たに国民負担を増大させるものではない、こういうことでございます。納税義務者はおおむね市町村民税納税義務者同一にしております。個人につきましては市町村民税を課されるものが、道府県民税を課されるものでありまして、反面市町村民税を課されていないものにつきましては、道府県民税も課されない。法人事務所所在市町村ごとに、市町村民税納税義務を負つているわけでありますが、府県民税の場合には道府県を通じまして、一の納税義務を負うだけであり、この点が違つているのでありまして、それ以外はまつたく市町村民税の場合と同じであります。個人に対しては均等割及び所得割を、法人に対しては均等割及び法人税割を課します。税率のうち、均等割個人については百円、これだけは市町村民税均等割を減額いたしております。法人については六百円をそれぞれ標準税率といたします。法人均等割は減額はいたしませんが、市町村民税の場合には、事務所所在市町村ごとに、均等割を納めることになつているのでありますが、府県民税の場合には一府県について六百円を納めるだけであります。事務所をいくら数多く府県内に持つておりましても、均等割は六百円だけで済ませることになるわけであります。  道府県ごと所得割課税総額は、道府県ごと所得税額総額の百分の五を標準とするものとし、これを道府県から市町村に対しまして所得税額に按分して配賦いたします。所得税額に按分して配賦することによつて市町村間の均衡をはかることをねらつております。配賦を受けました市町村は、当該市町村市町村民税所得割の額に比例して課します。こうすることによつて市町村内の住民相互間の均衡をはかることをねらつておるのであります。言いかえれば府県民税所得割は、市町村民税所得割附加税になつております。府県民税市町村民税附加税という形式をとつておるのであります。個々の納税義務者に課せられました結果、課税所得金額の百分の二・五を越えるものにつきましては、これをその額にとどめることにいたしております。法人税割は百分の五を標準税率、百分の六を制限税率といたしました。府県民税に関します限りは、個人法人もまつたく同じ扱いをする。税額の五%を標準税率にして所得割なり、法人税割なりを納めてもらう、こういう形をとつておるのであります。  賦課徴収事務は、個人分にあつては、市町村当該市町村市町村民税賦課徴収事務にあわせて行うものといたしますので、徴税令書は一通であります。一通の徴税令書府県民税の額が幾らであり、市町村民税の額が幾らであるということを記載いたします。徴収いたしましたものは、府県民税市町村民税課税額の割合でわけて行くわけであります。滞納段階に入りましてからは、町村長の同意を得て府県が強制徴収するということもできるわけでありますが、その場合におきましても府県が徴収いたしましたものは、課税額府県市町村とでわけ合つて行く、こういう形をとつておるわけであります。府県民税市町村民税といいますが、住民税という一本の税として国民との間には運営をして行く。そうすることによつて徴税事務をあとう限り簡素にして行きたい、こういう考え方をとつております。法人分にあつて申告納付の方法によります。  (二)が市町村民税でありますが、道府県民税創設に伴い、市町村民税税率のうち、個人分均等割標準税率を、人口五十万以上の市にあつては六百円、人口五万以上五十万未満の市にあつては四百円、人口五万未満の市及び町村にあつては二百円に、制限税率をそれぞれ八百円、五百五十円及び三百円に、それぞれ百円ずつ引下げます。  個人分所得割制限額は、課税所得金額の百分の七・五、現行は百分の十であります。これに引下げます。要するに府県民税に移した部分だけを引下げております。  法人税割標準税率は百分の七・五、現行は百分の十二・五であります。制限税率は百分の九、現行は百分の十五であります。これにそれぞれ引下げます。  (三)は、事業税であります。附加価値税は廃止して、現行事業税及び特別所得税は、これを統合して事業税として存置します。  税率のうち、個人事業税にありましては基礎控除を七万円、昭和二十九年度分に限り六万円、現行は五万円であります。これに引上げます。そうすることによつて所得税基礎控除額に合せて行きたいと考えております。  標準税率物品販売業等——湯屋業クリーニング業及びめん類食提供業を含んでおります。これについては百分の八、現行はおおむね百分の十二であります。括弧の中に書きましたものだけが、さきに百分の八に税率が下つておるのであります。さきに下つているのだから、この際はこのままでがまんをしていただく、こういう考え方であります。原始産業医業及び法務自由業等については百分の六、現行は百分の六・四ないし百分の八になつております。これに引下げます。原始産業法務自由業は百分の八であり、医業は百分の六・四になつております。これもさき軽減されておりますものにつきましてはすえ置かしていただく、こういうことによつてある程度税の区分についての合理化をはかつて行きたいと考えておるのであります。但し、あん摩、はり、きゆう等業務につきましては、現行通り軽減税率の百分の四を適用して参ります。  Bは、法人事業税標準税率のうち所得課税標準とするものにありましては、(イ)所得五十万円までの部分については百分の十、五十万円を越える部分については百分の十二、現行は一律に百分の十二になつております。こうすることによりまして、法人でありましても小企業の面につきまして多少負担の緩和をはかりたいと考えているのであります。但し特別法人につきましての税率協同組合等に用いられまする税率でありますが、これは現行通り百分の八にいたします。  (ロ)は収入金額課税標準とするものにありましては百分の一・五、現行は百分の一・六であります。これも(イ)との関係からこの程度に引下げたいのであります。  (ハ)は、収入金額課税標準とする事挙のうちから地方鉄道事業軌道事業及びバス事業以外の運送事業を除きます。すなわち海上運送事業でありますとか、あるいは小運送事業でありますとか、運送取扱事業でありますとか、こういうものを除くわけであります。要するに料金統制が行われていないか、行われているとしても形式的であつて厳格には実行されていない、そういうふうなものだけを外形課税から除外するのでありまして反面新たに生命保険業をこれに加えることにいたしております。生命保険業の大多数は相互保険の形態をとつております。従いまして利益が上つて参りますと契約者に配当するわけであります。言いかえれば保険料の割もどしをするわけであります。保険料の割もどしをしますから、これは経営上損金に見て行く、従つて形式上の純益が上つて来ないのであります。自然事業税が納められない。これは配当金損金に見ないという行き方もあるわけでありますけれども、それよりはむしろ保険料収入課税標準使つて行つた方がよろしいのではないか、こういうふうな考え方とつたわけであります。  (4)は、税率区分について合理化をはかるほか、非課税範囲法人税及び所得税非課税範囲とおおむね同一にする、但し鉱物の掘採事業並びに個人の行う農業及び林業等については、現行通り非課税といたしたいと思つております。鉱物の掘採事業は御承知のように、別途鉱産税が課せられておりますので、事業税を課することは二重課税になるのではないかというふうな考え方を持つております。個人の行う農業林業は、主として自家労力をもつて行う事業だと考えておるのであります。自家労力をもつて行いますような事業につきましては、やはり非課税にしておいた方が穏当ではないか、反面また農業林業でありましても、その結果法人の行いますものにつきましては課税をして参りたいと考えております。こうすることによつて近来事業税につきまして撤廃運動にまで発展して参るような国民に対する不快感をぬぐつて参りたい、こういう気持を持つておるのであります。  (5)は、課税標準たる所得については、原則として法人税及び所得税において決定したものによるものとし、政府において法人税更正または決定したいときは、その旨を道府県知事に通知するほか、法人税額または所得税額が過少と認められるものについては、道府県知事から政府に対し更正または決定を求めることができるものとして参りました。この辺に協力体制を打立てて行きたいと考えておるのであります。  (6)は、二以上の道府県事務所または事業所を有するものに対する事業税課税標準分割基準のうち、電気供給業ガス供給業及び倉庫業にあつては、国定資産価額に按分いたします。現行国定資産価額及び従業者数の半分ずつを按分しております。地方鉄道業にあつて軌道の延長に按分いたします。現行固定資産価格従業者数の半分ずつを按分しております。金融業にあつて事務所数及び従業者数に按分いたします。現在は従業者数に按分しておるわけであります。こうすることによつてむしろ収入の口を広くして行くことができるのじやないだろうかと思うのであります。同時にまた本店所在地道府県に不当に集中しておりました事業税収入を、それぞれ関係道府県に分散することが可能だと思つております。  (4)は、不動産取得税であります。土地または家屋取得に対し、当該土地または家屋所在道府県において課するものといたします。標準税率は百分の三であります。大体固定資産税の二年分ということになります。課税標準不動産価格とし、この価格は、固定資産課税台帳に登録されている不動産については、これに登録されている価額に基いて道府県知事が決定いたします。すでに固定資産税評価が決定していますものは、原則としてそれをそのまま使つて行こうということであります。(ロ)は、新築家屋などの固定資産課税台帳に登録されていない不動産については、固定資産税について示されている評価基準に基いて道府県知事が決定するものといたしますが、道府県知事が決定しましたときは、これを市町村長に通知し、通知を受けた市町村長は、この価額に基いて固定資産課税台帳に登録すべき固定資産価額を決定するわけであります。こうすることによつて市町村間の固定資産評価のアンバランスを是正して行きたい。市町村間におきましてもある程度固定資産評価均衡のとれた姿になつて運営されて行くことを期待しているわけであります。この不動産取得税創設と関連いたしまして、同時にまた土地家屋値上りの機会をもとらえまして、固定資産税税率を別途引下げているわけであります。(4)は、新築住宅取得につきましては、価額から百万円を控除した額をもつて課税標準とし、住宅建設のための土地取得については、六十万円までの部分については課さないものといたします。アパートなどにつきましては、やはりアパートの居室といいますかあるいは世帯数といいますか、そういうものに百万円ずつを乗じた額を建築費から控除したいと考えております。従いまして大体アパート等につきましては、建築不動産取得税課税されないという姿になろうかと考えております。土地につきましても六十万円では酷な場合がございますので、こういうような住宅についてだけ、床面積の二倍の面積に相当する土地につきましては、課税をしないということにいたしたいと考えております。  (5)は、耐火建築促進の施策を阻害しないよう措置を講ずるということでありまして、防火地帯に建物を建てます場合、木造から非木造にする結果、建築費のふえます部分につきましては、四分の一を国から、四分の一を府県から補助金を交付する制度がございます。こういうような補助金を受けて行いました家屋につきましては、補助金相当分課税標準額から減額するという措置をとりたいのであります。  第(五)は、固定資産税であります。(1)標準税率を百分の一・四、昭和二十九年度分に限り百分の一・五、現在は百分の一・六であります。これに引下げまして、制限税率は二十九年度からはなくなるのでありますが、現行の百分の三をそのままやはり存置しておきたいと考えております。土地値上り等に応じて漸次市町村財源不足を生じないように考えながら税率を引下げて行きたい、そういう意味におきまして、経過的に税率を順次引下げるという方式を採用しているわけであります。  (2)は、市町村は(一)の納税義務者の所有にかかる償却資産に対する固定資産税課税標準の額が、当該市町村固定資産税課税標準総額の二分の一を越える場合、すなわち巨大な固定資産がある場合であります。固定資産税税率を百分の二を越えて定めようとするときは、あらかじめその旨を自治庁長官に届け出なければならないものとし、自治庁長官は災害その他避けることのできない事由による緊急やむを得ない特別の財政需要があるため、増税による増収をこれに充てなければならないと認められるときを除くほか、当該市町村について適用される固定資産税税率を、当該届出にかかる税率から百分の二までの間において制限することができることといたします。たまたまたつた一人の納税義務者が巨大な固定資産を持つている。これを不当に増税をいたしまして、そうして不急の、あまり緊急を要しないような施設に投じて行くということはおもしろいことではございませんので、そういう場合にだけこのような制限規定を働かしたいと思つておるのであります。この自治庁長官の権限の行使にあたりましては、地方財政審議会の議を経るというようなことにいたしまして、一方的な考え方に陥らないようにいたしたいと思つております。  (3)は、左の固定資産に対して課する固定資産税については、その課税標準について、それぞれ特例を設け、負担軽減をはかるものといたしまして、(イ)が発電、変電または送電施設の用に供する家屋及び償却資産で、電気の供給、物資の製造、旅客もしくは貨物の輸送または鉱物の掘採を業とする者並びに農山漁村電気導入促進法に基く農林漁業団体がそれぞれその用に供するもの、要するに発送、変電施設に対して、経過的に負担軽減をはかつておるのであります。くどくどしく書いてありますのは、百貨店で発電施設を設ける、キャバレーで自家発電の施設を設ける、そういうようなものにつきましてまで、税の軽減措置を必要としないという考え方から、このようなくどくどした規定を設けたわけであります。取得した年の翌年の四月一日に始まる年度から最初の五年度分は価格の三分の一、その後の五年度分は三分の二、言いかえれば税率を三分の一にし、三分の二にするのと大差はございません。こういうふうにやつて参りますと、十年たつたころには発送、発電施設でありますと、大体取得価格の六割見当に下つて参るのではないだろうかというふうに思つております。要するに収得の当初から一定期間は、ある程度負担をならして行きたい、負担をならすことによつて料金面にも非常な圧迫を加えるようなことのないような、はからいをしたい。また最初の年度だけ、こういう負担の緩和をするのであれば、市町村に与える影響も比較的軽微で済む。今まであつたものを取上げるのではなしに、これから与えられる税源につきましてこのような規定を設けるわけであります。市町村の苦痛も比較的少くて済むのではなかろうかというふうな考え方とつたわけであります。但し昭和二十九年度分に限り電気の供給を業とする者の所有する本文に掲げる固定資産で、昭和二十四年一月二日以降の建設にかかるものについては、価格の六分の一の額とする。物価引下げの大方針をとられておる際でありますれば、また電気料金の引上げもできる限りこれを押えて行かなければならないというようなことがございますので、地方財政の面でも力を合せて行けるものについては合せたいということから、このような異例の措置をとるようにいたして参つておるわけであります。  (ロ)は地方鉄道または軌道昭和二十八年一月二日以後の新設営業路線にかかる線路設備、電路設備等の構築物につきましては、新たに固定資産税課税されることになりました年度から、最初の五年度分は価格の三分の一の額、その後の五年度分は価格の三分の二の額を課税標準に使つて行きます。発電施設と大体同じような考え方をとつております。  (ハ)は、企業合理化促進のための試験研究用機械設備及び施設近代化のための機械設備で、企業合理化促進法において特別償却を認められている償却資産につきましては、新たに固定資産税が課されることとなりました年度から、最初の三年度分は価格の二分の一の額といたします。四年度目からは償却等の関係課税標準額がかなり減つて参りますので、これによりましてもある程度負担をならすことができるのではないだろうかというふうに思つております。固定資産税が機械設備の更新を妨げているというふうな非難もありますので、機械設備の更新を必要とするような面につきましてだけ、このような負担の緩和の措置をとりたいと思つております。これらも、新たにこのような機械設備の更新が行われた際でありますので、市町村に与える影響も比較的少くて済むというふうに考えているのであります。(二)は(ハ)との関連から設けておる制度でありまして、所得税または法人税を免除される重要物産の製造、掘採または採取の事業を行う者が、その事業の用に供するため新たに取得した機械設備で、企業合理化促進法において施設近代化のための機械設備として特別償却を認められるものに類するもの、いわゆる重要物産の免税事業といわれているものでありますが、この種のものにつきましては、企業合理化促進法の(ハ)のような規定が適用されておりませんので、同じような扱いをいたしますために、総理府令でその種の機械設備を指定いたしまして、そうして負担の緩和をはかりたいと考えているわけであります。(ホ)は外航船舶または国際路線に就航する航空機につきましては、これは恒常的に価格の三分の一の額をもつて課税標準といたして参ります。外国との競争を行わなければならないようなものにつきましては、重い負担を背負つて競争することも困難でありますので、特にそういう性質のものにつきましてだけ負担の緩和をはかりたいのであります。昨年国会修正で、利子補給を受けております外航船に限りまして、〇・四%の税率を使うと規定されているのでありますが、この制度をやめさせていただきまして、反面利子補給を受けておりましようと、受けておりませんでも、外航船舶であります限りは、負担の緩和をはかつて行きたい。そのめどを、課税標準価格の三分の一の額で押えることによつてつて参りたい、かように考えているのであります。(ヘ)は航空運送事業を行うものが所有し、かつ運行する航空機につきましては、昭和三十八年までに事業を開始したもので、その事業開始後最初の三年度分につきましては価格の三分の一の額、その後の三年度分については価格の三分の二の額にいたします。航空運送事業は、まだ基礎の確立していない事業でありますので、基礎の確立するまではある程度負担軽減をはかるという趣旨から、この規定を設けようとしているのであります。(4)は償却資産の免税点を五万円に引上げます。わずかばかりの償却資産につきまして固定資産税をあさつて行くような姿は避けたいということが、この免税点の引上げの趣旨であります。  (5)は、左により大規模の償却資産に対する市町村課税権を制限することでありまして、人口五千人未満町村にあつては一億円、但し、昭和三十年度に限り二億円といたします。人口の増加に伴つて逓次にこの額を増加して、人口三万人以上の町村にあつては四億円、但し昭和三十年度に限り六・五億円とします。これは当該大規模の償却資産価格の十分の二の額が四億円または六・五億円を越えるときは、当該価額の十分の二の額といたします。この四億円を越える大規模の償却資産に対しては、市町村はその越える部分については固定資産税を課することができないものといたします。この結果、基準財政収入額が基準財政需要額の一・二倍を下まわることとなる市町村につきましては、当該市町村についてその課税の限度額を引上げまして、一・二倍だけは必ず確保するということにしたいのであります。大規模の固定資産価額を、当該固定資産所在地以外の市町村に配分する制度は、これとの関連において廃止いたします。これらの処置は昭和三十年度から実施するのでありまして、昭和二十九年度は現行制度通りであります。昭和三十年度から実施しますが、市町村課税権の制限をする限度は緩和いたします。昭和三十一年度から平常年度に入るわけでありまして、市町村ではある程度収入を当て込んで事業もくろみを行つているようでありますので、急激な変化を与えないようにすることが必要ではなかろうかというふうな考え方をとつているわけであります。(6)は、左により大規模の償却資産に対しては道府県課税権を与えます。大規模の償却資産について市町村固定資産税を課することができない部分について、道府県固定資産税を課するわけであります。税率等その他市町村税とまつたく同じであります。道府県固定資産税を課する大規模の償却資産については、原則として道府県知事が前年末までにこれを指定し、かつ評価して、その額を納税義務者及び関係市町村の長に通知するものといたします。  第六はタバコ消費税であります。日本専売公社が小売人の営業所あるいは消費者に直接売りをする場合がございます。その売り渡したタバコに対しまして、その小売価格課税標準といたしまして、小売人の営業所あるいはもし消費者に直接売りをいたします場合は、直接売りをいたしました公社の事務所所在道府県及び市町村におきまして、それぞれ日本専売公社に対して課するものといたします。税率道府県分が百十五分の五、市町村分が百十五分の十であります。タバコ消費税相当額は、すでに現在のタバコの小売価格の中に含まれているのだ、それをタバコ消費税の形で専売公社から地方団体に納めてもらうのだという考え方から始まつておるのであります。言いかえれば、日本専売公社が専売益金として納めるものが、タバコ消費税として、独立税の形で地方団体に納められる。さらに言いかえれば、専売益金が地方財政平衡交付金の形、あるいは国庫補助負担金の形で地方団体に与えられるものが、独立税の形で地方団体に与えられる。そうすることによつて地方団体自立態勢というものを強めて行きたい、こういう考え方をとつているわけであります。このような税率の沿革から、百十五分の五というような、あるのは百十五分の十というようなはんぱな数字を使つております。しかし将来機会があります場合には、このような税率はもつときりのよい税率に切りかえて行つた方がいいだろうというような考え方を持つております。徴収につきましては、日本専売公社をして申告納付せしめます。  第七が自動車税であります。税率を次の通りに改めます。乗用車のうちでは、普通自動車の営業用が一万四千円でありましたものが一万八千円、但し、輪距百二十インチを越えるような高級乗用車は三万円にいたします。自家用車は営業用の車の二倍に指定いたしております。小型自動車は、常業用が八千円、自家用が一万六千円にしたいと思います。次がトラックでありまして、最大積載量が四トンを越え五トン以下のものについて、この標準税率をきめているのだということを明らかにしたいと思います。従来これはトラックと規定されているだけでありまして、どのような大きさのトラックについて、この標準税率がきめられているかということが、法文上明らかでなかつたわけでありますが、これを明らかにしたいと思うのであります。揮発油により運行するものはこれを現行にとどめまして、その他のいわゆる軽油を使つておりますディーゼル車等につきましては、大体七割程度負担をよけいしていただく。揮発油により運行するものは揮発油税の負担をしているわけでありますので、その他のものにつきましては若干負担を多くしたい、そういうことで二万三千円にいたしたいのであります。バスにつきましては、主として観光貸切用のもの、これにつきましてもその車の型をここへ書いておきたいのでありまして、乗車定員四十一人以上五十人以下、観光貸切用のバスの中では、この種の自動車が一番台数が多いわけでありまして、揮発油により運行しますものは三万円、現行は二万五千円で、引上げているようでありますが、むしろ引下げられているくらいに考えているのであります。現在府県の大多数が二万五千円の税率を適用しておりますが、観光貸切用のバスは、乗車定員二十一人から三十人以下のものについて規定しているようであります。二十一人から三十人以下のものについて二万五千円の税率を使つております団体が一番多いわけでありますので、四十一人から五十人以下のバスにつきまして、三万円の税率を適用いたしますことは、むしろ若干緩和しているくらいだと考えております。その他のものは七割増しで五万円にしたいと思います。バスのその他といいますのは、いわゆる乗合バスでありまして、乗車定員三十一人以上五十人以下のものにつきましては、現行通り揮発油により運行するものは一万四千円にとどめますが、その他のものにつきましては、揮発油税との負担均衡から、二万三千円にいたしたいのであります。三輪車は四千二百円、二輪車は二千五百円、軽自動車は一千七百円にいたしたいと思います。さらに、自動車税を滞納している者に対しましては、別途法律を改正いたしまして、車体検査証の更新を拒否する、そうすることによつて、自動車税を納めていなければ、その自動車は運行できないというふうなことにしながら、徴収を確保したいと思うのであります。この点につきましては運輸省当局の協力を得て参るわけであります。  第八が狩猟者税でありまして、税率を二千四百円の一本にいたしたいと考えるのであります。昨年、二千四百円一本の税率でありましたのが、狩猟を業とする者千八百円、その他の者三千六百円と改められたのでありますけれども、運営の実際から見て参りますと、その区分が非常に困難のようでありまして、多少混乱を呈しておるような状態でありますので、狩猟業界等の要望もございまして、このような形にもどしたいと思います。  第九は自転車荷車税であります。現行自転車税及び荷車税を統合して、自転車荷車税といたします。こうすることによつて徴税令書も別々に出す必要はなくなり、台帳の整備も一つで足りることになるわけであります。原動機付自転車についても標準税率を法定いたしまして、その額を五百円程度といたしたいと考えます。大多数の市町村におきましては、すでに原動機付自転車につきましては五百円程度税率で、課税しているようであります。法文上このような規定を新たにつけ加えたいだけのことであります。  第十は電気ガス税でありまして、地方鉄軌道業者が直接輸送の用に供する電気並びに銅鉱、鉛鉱、亜鉛鉱、硫化鉱、アンモニア及びチタン地金等の掘採または製造に使用する電気に対しては、次に電気料金が改訂されるときから、電気ガス税を課さないものとしたいと思うのであります。電気ガス税につきましては工業原材料的なものに対する課税は、地方財政の安定と相まちまして漸次とりやめて行く。その半面電気ガス税は消費税に純化しながら、将来にわたつて相当の収入を確保して行きたい、こういう考え方をとりたいのであります。しかしながら市町村に与える打撃も大きいわけでありますので、電気料金が改訂されたときから、さしあたりこういうようなものには、電気ガス税を課さないようにいたしたいと考えております。それだけであります。
  4. 藤田義光

    ○藤田委員 ちよつと議事進行について発言しますが、ただいま奥野税務部長から御説明がありました地方税法改正の要綱に関しましては、いずれ正式に法案が提案されましてから審議するといたしまして、現在国家予算が予算委員会で審議中でありますので、これと並行いたしまして地方財政計画に関して、この際いろいろ質問する必要があるのじやないか、なかんずく昨年の災害にあたりまして議員立法いたしました元利償還の起債の特例等に関しましては、非常に府県偏重の配分をやつているような情報を聞いております。特に五十億と称せられております元利償還の起債の特例法に基くわくに関しましては、十六億を理財課にわけまして、残る三十四億を財政課で配分するということになつておりますが、これが全額府県にまわされたというような不届きな風評を私は聞くのでありまして、補助事業にあらざる、市町村が直接負担する災害復旧ということが、年度末を控えまして非常に深刻な問題になつております。また昨年の災害にあたりまして百数十億の大蔵省の資金運用部資金が貸し出されておりますが、これが来月の年度末を控えて、すべて一応返還するという深刻な事態が目睫に迫つております。かくのごとき問題に関しまして、この際徹底的に真相を究明することが、当面当委員会として最も重大な問題であると私は考えております。従いまして税法の御説明もありまして、大体われわれの勉強の資料もできましたので、頻繁に当委員会を開催していただきまして、災害に伴う年度末の地方財政対策、あるいは国家予算の審議に並行いたしました二十九年度の地方財政計画に関しまして、当委員会は真剣な論議を展開すべきである、かように考えておりますが、本日は委員長代理であります灘尾理事からこの機会に所見を伺いまして、われわれの審議の資料にしたい、かように考えておりますから、灘尾委員長代理の御所見をひとつお伺いしておきます。
  5. 加藤精三

    加藤(精)委員 ただいま藤田委員から審議順序につきましてお話がありましたけれども、地方税法改正案の要綱につきまして、まだ引続き御説明をしていただきたい部分がありまして、それを要求しようと思つていた途中でございますので、大体理事会決定通り進行を願つた方がよろしくないかと考えております。
  6. 藤田義光

    ○藤田委員 ただいま加藤委員の発言でありますが、私は本日のただいまの委員会の途中において、突如として地方財政問題を論議しようというのではございません。日をあらためまして早急にこの問題を論議していただきたいという要望であります。
  7. 灘尾弘吉

    灘尾委員長代理 私の所見をお求めになりましたので申し上げますが、藤田君の御発言まことに、ごもつともと思います。理事諸君ともよく相談いたしまして、できるだけ御期待に沿うように議事の進行をはかつて参りたいと存じます。  そこで一つお諮りいたしたいことがあるのであります。ただいま地方税法改正に関しまして政府から説明を聴取いたしましたが、これにつきましてはなお委員各位におかれましても、要綱をよく、ごらんになる必要もあろうかと思いますので、この方に対する質疑はしばらくあとまわしといたしまして、ただいま行政部長が出席いたしておりますので、町村合併促進状況について説明を聴取いたしました後、その問題及び久留米市議会の議員除名問題について質疑の通告がございますので、この問題から議事を進行して参りたいと思いますが、いかがでございますか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 中井徳次郎

    ○中井(徳)委員 ただいまの藤田君の発言に関連するのですが、これに関連しました委員会をできるだけ早く開いていただきたい。従つて来週早々ひとつお願いいたします。
  9. 灘尾弘吉

    灘尾委員長代理 政府の準備の都合もあろうと思いますので、よく相談いたしまして、できるだけ御希望に沿うようにいたしたいと思います。  それでは久留米の方から先にいたします。田中稔男君。
  10. 田中稔男

    ○田中(稔)委員 昨年十二月十八日に開かれた久留米市議会の本会議において、久留米の市議会議員の寺崎耕君というのが、公友会所属議員二十五名の多数をたのむ横暴によつて、除名されたのであります。同僚委員諸君に事情をわかつてもらうために、少し前後の経緯を私が申し上げますと、昨年の十月二十七日に市議会委員会条例の一部を改正する条例が議決されまして、それに基いて委員の広汎な改選が行われ、寺崎君は競馬競輪委員会から警防及び総務委員会へ転属させられたのであります。     〔灘尾委員長代理退席、西村(力)委員長代理着席〕しかるに寺崎君はこの委員改選そのものに疑義を抱きまして、かかる違法の措置によつて成立した常任委員会には出席できない旨の通知書を、議長あてに提出したのであります。ところが公友会に属する議員古賀某というものは、このことをもつてみだりに議論を立て、議会の秩序を撹乱するものである、こういうことを申しまして、その通知書については全然審議を行うことなく、地方自治法第百二十九条に基いて強引に同君を懲罰に付する動議を提出したのであります。議長はさつそくこの動議を議題として取上げまして、地方自治法第百十七条に基きまして同君を議場から除斥しようとした。ところが同君は、右の懲罰動議について何ら具体的な理由の説明が行われてなかつたわけで、その理由を聞こうとして、しばらく議席を離れなかつたのであります。しかるに右の古賀某は再び動議を提出して、この寺崎君の態度をもつて、自治法第百十七条及び第百二十九条に違反する行為である、こう称して懲罰の追討ちをかけたのであります。懲罰委員会の決定は、今申しましたように除名ということになつたのでありますが、これは久留米市議会始まつてから最初の除名であります。そこでこの機会に自治庁の政府委員に若干お尋ねしたい点がございます。  まず第一点は、一般に市議会常任委員の任期は、条例に特別の定めがある場合を除くのほか、議員の任期と同じだと解釈していいかどうか。第二点は、条例に特別の定めがある場合を除くのほか、本人の意思に反して常任委員の改選を行うことはできないと解してさしつかえないかどうか。それから第三点は、昨年十月二十七日に行われた久留米市議会委員会条例の一部改正は、単に従来の競輪競馬委員会の名称を事業委員会に改めたにすぎないものであり、しかもこの条例改正を議決した当日の議会は、公布に必要な成規の手続をとる時間もないうちに、この条例改正に基いて委員の改選を行つたのでありますが、私はそういうことは妥当でないと思うのでありますけれども、これについての御見解、右三点について自治庁の政府委員の御答弁をお願いいたします。
  11. 小林与三次

    ○小林(与)政府委員 ただいまのお尋ねの第一点の、常任委員の任期は、条例に特別の定めがある場合のほかは、議員の任期と同じと解してよいかどうか、これはわれわれは議員の任期と同じであると解してよいと考えております。  それから常任委員の改選についての問題につきましても、今お尋ねのような場合におきましては、お尋ねの通り、常任委員会条例に特別の規定がない場合においてはこれはできない、こういうふうに考えております。  それから最後の条例の公布の手続、その他の問題につきましては、実はその点の事実の問題をわれわれは今初めてお伺いしましたので、その間にどういう問題点があるのか、よく承知いたしておりませんので、その点につきましては、今のお尋ねの点だけではこの席ではちよつとお答えいたしがたいので、事実を調べてお答えいたしたいと考えております。
  12. 田中稔男

    ○田中(稔)委員 私の第一問及び第二問に対する御答弁については満足いたしますが、第三問についての御答弁は、どうも私満足いたしかねるのであります。実は久留米市議会が、先月市民各位に対しまして、寺崎議員除名に関する声明書というものを配付したのであります。その中にこう書いてある。「山下市長佐藤議長は上京の際念のため、平島東京駐在員を伴い自治庁に赴き、右久留米市議会が議決した常任委員会条例改正及びこれに基く委員改選のことを報告し、その手続の適否を質したるところ、何れも適法である旨の確答を得ております。更に自治庁より久留米市議会が議決した条例改正及び委員改選は適法である旨の通知があつております。」この点について御説明を願いたいと思います。
  13. 小林与三次

    ○小林(与)政府委員 ただいまお尋ねの点は、おそらく久留米市の議長から行政課長の方に照会が参りましたのに対する回答の問題だろうと思うのであります。その議長の照会の問題は、実はこういう趣旨でございます。ただいまお話の通り、市の常任委員会条例の改正の議決をなして、その結果常任委員定数の改正を必要としたので、委員会条例第三条の規定により、議長が議会に諮りこれを決定し、即時公布のため暫時休憩した。市長はただちにこれを公布したので、議会は再開し、改正後の委員会条例第四条の規定により、各常任委員会のそれぞれの委員の選任を指名決定した。この場合に、委員会条例の一部改正及びその改正条例の公布並びに委員改選の議決は、いずれも適法であるか、こういう問題が一つ。それから改選前の旧委員は、辞表を提出しなくても当然その身分を失うものであるか、この二点の質問が参つておつたのであります。それに対しまして行政課長名で、この委員会条例の一部改正は、その手続上の瑕疵がない限りは——その手続上の瑕疵の有無等についての質問が別にありませんし、その事実についての説明もありませんので、瑕疵のない限りは、その条例は適法なものと見なくちやなりません。その結果、委員改選の議決も適法で、それに基く委員の選任は有効と考える、こういう趣旨の回答をいたしておるのでございます。
  14. 田中稔男

    ○田中(稔)委員 ただいまの御説明によりますと、自治庁からの回答には一つの仮定があるわけで、委員会条例の改正の手続において瑕疵がないならば、それは適法である、こういうような御回答であります。ところが私どもは、その条例改正の手続において瑕疵があつたということを主張するものであります。これは事実の認定の問題であります。きようここでそれについて、さつそく御答弁をいただくことは困難かと思いますから、自治庁としてよくお調べ願いたい。  それから、たとい百歩を譲つて委員改選が適法であつた、従つてその違法を主張する寺崎君が間違つておつたといたしましても、寺崎君が一片の通知書を議長に提出したということだけで、その通知書の内容の審議すら行われないで、これを懲罰にかけるということは、これはあまりに乱暴な市議会の処置であると私は思う。これは議決権の濫用であります。さらにその懲罰の種別が除名であるというに至つては、まつたく非常識に驚くばかりであります。申すまでもなく、除名というのは議員にとつてまさに死刑である。直接その議員の政治的生命を断つとともに、その議員によつて代表される多数の市民の市政に対する発言を封鎖するものである。従つて除名処分を行うにあたつては、きわめて慎重な考慮を払い、いやしくも一時の感情にかられるというようなことがあつてはならないと考えるのでございますが、この意味において、久留米市議会における寺崎君の除名処分をはなはだ不当と考えます。この点について当局の御見解を伺いたい。
  15. 小林与三次

    ○小林(与)政府委員 ただいまの問題は、久留米市議会の除名処分の適否の問題でございますが、この除名処分の内容の適否につきましては、これはいろいろ意見があり得るものでございます。しかしながらこの議会の処分は、まつたく議会の自主的な立場で、自主的な判断をする建前になつておりますので、自治庁といたしましてこれが適当とか不適当とかいう見解の表明は、差控えた方がいいのじやないかと私は考えております。
  16. 田中稔男

    ○田中(稔)委員 最後に一言いたしたいと思います。昨年青森県議会は、米内山議員が本会議において、反対党の議員に対して、侮辱的言辞を弄したという理由で同君を除名したことは、同僚委員諸君の記憶になお新たなところであると思います。同議員は除名処分の取消しを要求して、行政裁判を提起したのでありますが、遂にこれに勝訴いたしまして、議席に復帰することができたのであります。  寺崎君の場合は、米内山君の場合に比べまして、一層乱暴な除名処分であると私は考えております。思うに寺崎君はわずか二十七才の、久留米市議会における最年少議員でありまして、常に市民の正義と良識を体して、情実と利権にからんだ市政の腐敗を、白日のもとに暴露し、これが粛清のために今日まで容赦なく闘つて来た男であります。このことがいわゆるボス議員の宿怨を買うことになつたのでありますが、今回無理な委員改選によつて、寺崎君を競輪競馬委員会から他の委員会へ移したというその動機は、同君がとかく不正や腐敗の起りやすい競輪競馬事業を主管する委員会におつては、どうも都合が悪いと、彼らボス議員がじやまになると考えたからである。そのことに反対した同君は除名されたのです。私は日本の地方自治の健全にして民主的な運営のために、この問題をきわめて重視するものであります。寺崎君はすでに除名処分取消しの行政裁判を提起しておりますから、行政裁判の結果は必ずや同君の勝訴に帰することを疑いませんが、自治庁当局も地方自治の健全にして民主的な運営という見地から、何らかこの問題について適当な処置をとつていただきますように要請して、私の質問を終ります。
  17. 西村力弥

    ○西村(力)委員長代理 私からちよつと塚田国務大臣にお尋ねいたしますが、米内山議員の場合、裁判所で除名が不当だという判決になつた場合、吉田総理がそれに対して対抗した。こういうことになつておるわけですが、対抗できるとするならば、やはりこういう地方自治体の問題でも何らかそこに指導し得られるというか、そういうものが関連性を持つのではないかと思うのですが、それは全然なくて、こつちでは地方自治体に対して助言なり、勧告なりをやつてならないと言つておるのに、ああいう裁判の結果が出まして、総理から云々するということは、筋が違うのではないかと思われるのですが、その関連性は、いかにお考えになるのですか。
  18. 佐藤親弘

    ○佐藤(親)委員 その場合はやはり行政裁判の手続をとつているのですかいないのですか。それを聞いて、その方におまかせになつたらいかがでしようかという意見を述べておきます。
  19. 北山愛郎

    ○北山委員 議事進行について……。今の問題は質問者においても大体要望をつけて、そのことを打切られたようでありますから、進行上次の町村合併の報告を聞くことに移りたいと思うのですが……。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  20. 西村力弥

    ○西村(力)委員長代理 けつこうです。それでは質問者が質問を終了しましたので次の議題に移ります。
  21. 西村力弥

    ○西村(力)委員長代理 町村合併の進行の実情について、自治庁当局から御説明をお願いいたします。
  22. 小林与三次

    ○小林(与)政府委員 町村合併のその後の進捗状況を御報告申し上げます。大体お手元に最近までの行われました状況の資料を提出しておきましたが、一つは市町村数の増減調べで、昭和二十八年十月一日から昭和二十九年一月一日までに合併した町村の増減の数をまとめておいたのでございます。この表は正直に申しまして、市町村の合併そのものの場合だけでなしに、町村という行政団体の増減でありますので、村が町になるとか町が市になるという数字も実は現われておりますが、大体の傾向はこれで御了解願えると思うのであります。ちようど合併促進法が出ましてから三箇月の間でございますが、その間に増減数として市が四つふえ、町が六つふえ、村が七十八減つたという計算になつております。その後まだ本日まで引続いているく容集あるわけですが、今私はそれの内訳を持つておりませんが、合計して百四十七の町村が減少になつておるという計算でございます。それから具体的な町を市としたもの、村を町としたもの、また市町村の合併状況は、別の印刷物で各県市町村名を書いたものをお配りいたしておきましたから、それを、ごらん願いたいと存じております。おかげさまで町村合併の問題は、全国的にその気分が盛り上つておりまして、全体的な立場といたしましては、さしあたり二十八年度は、例の計画の一五%を実現したい、こういう考え方でございますが、全体的にはまず現在の総合的な合併計画をすみやかに確立してもらう。これがわれわれといたしましては基本的な考え方で、ございまして、この総合的な合併計画に基いて、合理的に個々の町村の廃合を推進して行くということが必要だと考えております。そこで各県におきましては、大体合併計画の作成過程に現在あるのでありまして、それぞれの県で町村合併推進審議会を設けて、あるいは試案をもうすでに出しておるものもあるし、まだ出していない段階のものもある。そこですでに島根県はこの合併計画を正式に決定いたしております。大体そういう過程でありまして、総合的な合併計画をつくつていただく。それと相並行して、個別的な町村の統合も逐次進んでおりまして、それがただいま御報告申し上げましたような結果になつて現われておるので、ございます。われわれの方に入つておる情報によりますと、特に四月一日を機会として合併が行われる事例が、全国的にきわめて多いのでありまして、大体四月一日を基準といたしますならば一おおむねわれわれの輩ております計画通りの数字が出るのではないかと考えておるのであります。なお正確な数字はちようど今集めておりますので、その数字がまとまれば、あらためて当委員会に御報告申し上げたいと存じております。大体以上申し上げましたのがその後の状況でございます。正直に申しまして県によつて相当のむらがあるというのが実情でありまして、ある数府県は非常に進んでおるし、その他多少出足がにぶつておるという県もありますが、それにつきましては、過般中央にできました推進本部の委員の方々にも出向いていただきまして、それぞれ地方に出て、いろいろな趣旨の啓発に当つていただいたので、ございまして、引続きそうした必要があれば、推進本部の方々の出動を煩わしまして、中央地方相呼応しまして、この大事業を円滑に進めたいと考えております。
  23. 北山愛郎

    ○北山委員 私はただいまの説明に対して、相当不満を持つているものであります。昨年の委員会で私どもが町村合併の進捗についての資料を出していただきたい、こう言つたのは、こういう村が何ぼ、市が幾らふえたとかいうような統計数字よりも、むしろ現在全国的に相当町村合併の機運が盛り上つおる。圭ろ李の虐はいろいろな傾向が出て来ているんじやないか。たとえば都市偏重の傾向があるのではないか、都市に対して周辺の村をどんどん合併されて行くというような形、あるいは町村を合併して市をうくる、その市が従来の都市的な形態でない農村市的な形態の、新しい型の市ができる傾向、あるいはまたそういうような合併の機運から取残されて、交通の不便な、合併すればかえつて不便になるというような山間僻地等の町村が取残されてしまう、そういうところも出て来るのではないか、そういうようないろいろな町村合併の傾向を形態的に一つ求めておるわけなんです。従つてただいまの御説明であれば、どうも自治庁は町村合併というものを、町村の行政整理のような観点から一五%減つた、やれ六〇%だ、三年後には三分の一に数を減らすのだということばかりを主目標にして、数さえ減ればいいのだというような気持が非常に強く出ておるように思いますので、その点で私は非常に不満に思います。それに関連いたしまして私どもは、どうしてもこの町村合併というものが、結局その合併した個々の町村がほんとうにいい自治行政を行い得るような力のある適正規模のものになつて行くかどうかということについて、深い関心を持つておるわけであります。そこでひとつ現象として出て来たものを申し上げたいと思うのです。それは今度伝えられておりますものによりますと、三月の末までには市が五十くらいもできるのだということも聞いておるわけなんです。それに関連して、どうも町村合併が市制促進みたいな傾向が強いのではないか。せんだつて全国の町村議長会の会議があつたわけでありますが、その際にも、どうも都市偏重でもつて、この町村合併の促進は、農村というものを軽く見ておるのではないか。そういうような相当な不満も出たようなわけであります。ところが自治庁は、何でもこの前の地方課長会議の際に、市の要件として自治法の第八条に書いてあります人旦二万以上、それからいわゆる市街地区域の連櫓戸数が六〇%以上、商工業等の都市的な業態の人口が六〇%以上というような、あの自治法第八条の要件というものを緩和するようなこと、人口が三万以上さえあればその他の要件については、大目に見てもよいのだというようなことを指示された、あるいはそれと同じような通牒を地方にお出しになつておるというようなことを聞くのでありますが、私どもはこれは先ほど申し上げたような観点からいたしまして、非常に重大な問題であると思いますので、そういうようなことがあつたかどうか、通牒を出したとすればどういう通牒を出したか、それをまずお伺いしたいのです。
  24. 小林与三次

    ○小林(与)政府委員 ただいまのお話、しごくごもつともでありまして、大体さつきの資料をごらんになりましておわかりになりますように、市の設置が非常に多くなつておる、これは事実でございます。それからいま一つ、市域への編入がかなり目立つておるのも事実でございます。それだけでなしに、もちろん町村だけの合併も相当進んでおるのでございますが、全般的に目立つ傾向としては、そういうことは確かに今日の段階においては言えると考えております。われわれといたしましては、今度の合併は御案内の通り、町村として規模を合理化するということを本旨として、出発いたしておるのでございまして、それぞれの町村として合理的な再編成ができる限りそれが一番望ましく、またそういう方向に進むべきものだと考えております。しかしながら地勢、交通その他の状況で、市と不離一体の関係にある地域も少くないのでありまして、そういうものはそれぞれ実情に応じて市域に入ることも自然の流れと申しますか、発達傾向としてこれは容認せざるを得ない場合が、相当あることだと考えておるのであります。それと今お話に出ましたように、その小さな、特に弱小の村が取残される、これはわれわれとしては一番心配いたしておるのであります。そこで合理的な府県全般にわたる合併計画をつくつております。その方向に基いて村の内容、都市の内容に検討を進めて行くということが、一番念願といたしておるところでありまして、それは機会あるごとに強くわれわれとしても要望いたしております。先ほど申しました通り、今日府県の段階は、その合併計画をつくるというところにあると申しましたのも、そういうことでございます。  なおこの前の地方課長会議に、市の要件として自治庁として何か発言したじやない一か、通牒等が出ておるのじやないかということでございますが、通牒など別に出しておりません。ただこういうことを申したのは事実でございます。全般的に市の設置の機運があり、現地のきわめて熾烈な要望がありまして、そこで市の設置を具体的にどう扱うか。現在自治庁へ協議を申し出る建前になつておりますので、その方針をどうするかということが、われわれとして一問題であつたのであります。しかしながらこの町村合併という大目的も考えなければなりませんし、それから従来はそれほど合併というものを前提にしておかなかつたものだから、線に出なかつた市になり得るような地帯も、現実に相当あるのでありまして、そういうものが浮び上つて来ておるのも事実でございます。それとともに一方地方制度調査会で、御案内の通り市の要件を五万に引上げようという答申も出ておりまして、これもこれからの将来の発展を考えれば、市は市として相当の実力を持つておるものを考えた方がいいという考え方もあり得るのでございまして、その方向で実はわれわれといたしましては、自治法の改正の準備も進めておるのでございます。しかし一面市の設置につきまして強い要望もあるし、本委員会におかれましても、そういうお考えのお方も少くなくおられるように存じておるのでありまして、市の要件として法律に書いてあることは、もちろん曲げるわけに行かないが、法律の運用上さしつかえのない限り、許容される限りは、現地の一致した熱烈な要望があれば、それにこたえていいじやないか。市の設置は奨励しないけれども、これはいわば受動的にすべて受入れるという考え方を持つて来ておるのでありまして、それが各県あまりちぐはぐになつてもいけませんので、そういう趣旨のことは会議の席上で、私自身が申したことはあるのでございます。しかしながら人口三万さえあればいいということにはならないのでありまして、自治法に市街地を形成する区域が六割ということをはつきり書いてありますので、その要件の認定の問題といたしまして、法律の趣旨から逸脱しない限り、運用上さしつかえない限り認めて行こう、こういう考え方で扱つておるのでございます。ただその結果行き過ぎて、三万さえあればいいじやないかというようなことで、ところによつてはいささかどうかと思うようなものが、市とならぬかというような交捗、折衝を受けておる事例も実はございます。しかしながらわれわれといたしましては、やはり現行法がある限りは現行法の建前はくずさないように、運用上遺憾のないよう考えたいと思つております。
  25. 北山愛郎

    ○北山委員 たいへん抽象的な御答弁でありますが、問題は、そのようないわゆる農村市というような形態が生れるという現地の素朴な要望は、これは無視できない、しかし現在自治法の第八条には市というものの要件が書いてある、そこに矛盾があるわけであります。今の御答弁は、その法律は曲げない、現行法のもとでは曲げないが、なるべく受入れ得るようにして行こうというようなお話でございますが、私どもは根本的に考えて、現行法のもとではという、その現行法そのものを、やはり検討する一つの傾向を、その中から見なくてはいかぬじやないか。農村市というものが出ても、そういうものをつくりたいという要望あるいは実際上の必要というものを、現在の自治法は受入れ得ない。現在法にはそこに一つの制限がある。現行法そのものをかえなければならぬということも、その実際の機運の中からくみとつて行かなければならぬのではないか、こう思うのでありますが、今後の方針として、現行法のままで、そのわくの中で、どう考えても都市ではないようなものを市という名前をつけて——地方では、市という名前をつければ何か信用がふえるというようなことで、村よりも町、町よりも市というように格が上のような、非常に間違つた考えを持つておるが、その間違つた考えをいつまでも続けさして行くつもりなのか。現在の機運をどういうふうに把握しておるか、現行法がもしそれに適切でないというならば、かえてもよろしいというような考えを自治庁として持つておるか。これは塚田大臣のお考えもお聞きしておきたい。
  26. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 今町村合併促進の機運をじつと見ておりまして、やはり私はその中から出て来る傾向というものをつかんで、その他いろいろな面で、自治法の改正を今度企図いたしておりますので、その機会にそういう傾向ではつきりしたもの、しかもその中から助長してしかるべき傾向というものがあれば、そういうものが法律と矛盾して、その勢いをすつかり阻害しておるということであれば、それを助長するように法律の改正もやつた方がいいのじやないか、こういうふうに考えておるわけであります。ただいろいろめんどうな問題がたくさんあります。たとえば農村市というような形のものが出ました場合に、そういうものを今までの市という概念でくびつてしまうかどうか、ここにも問題が一つあるので、やはり農村市というような傾向が出て来るとすると、現地に非常に希望があるのであるから、そういう希望を入れた場合に、そこに出て来ておる新しい、また出て来る新しい自治団体というものを、どう規定するかということも、考え方の一つの問題点であると考えております。非常に本質的な大きな問題がたくさんあると思つておりますので、おそらくそういう根本的な問題は、引続き制度についての御検討を願つております地方制度調査会の御意見も聞いてみなければならない、こういう気持であります。しかしそういう問題を包含して、この機会に新しい自治団体の動き、趨勢、動向、そういうものを察知しながら自治法の改正を意図しない、必要があれば改正をしたい、こういう考え方であります。
  27. 加藤精三

    加藤(精)委員 ただいまの北山委員の質問に関連いたしまして——いろいろ新しい問題が起きつつあるのでありますが、私は北山委員が平素抱懐しておられます中型自治体と申しますか……(笑声)県と市町村との中間に属する団体が、直接国の行政庁に連なるという構想を、非常に重視しているのであります。自治庁長官の、今回の合併促進法は第一次であつて、第二次があるという御説に対して敬意を表しておるものでありますが、合併促進法を審議しますにあたりましては、あまり市に対する編入がないように、いわゆる農村市というようなものが起きないように——人口政策上の御配慮を政府当局はされておられたようでありますが、人口政策として町村の境域合理化制度は別に考えていただきたいということを、私は合併促進法の審議の過程におきましても、常に絶叫しておつたのであります。そうして町村が市と合併するのを比較的困難にし、町村同士で合併するのを比較的容易にしようというような立法は無用である。それよりも、小町村で近代的な生活文化の施設が何一つできないようなさんたんたる状況をおしまいにした方がよい。相当強力な、相当な面積と、人口と、財政力とを有するものになつて、自治体が繁栄した方がよいという理想を、非常に強く持つて審議をして参つたのであります。ところがふたをあけてみますと、自治庁の考えている人口政策的配慮に基く、町村が市と一緒になつたりすることをなるべく防ごうという考えは、完全に敗北になりまして、新しく市に入るのが非常に多いという結果を見ているのであります。いかにりつぱなる立法操作をしたところが、生活の必要と大衆の要望というものには勝てないのでありまして、この点から言いまして、もはや時期が来たと思います。私の結論とするところは、北山構想の中間自治体論より、自治庁長官の抱懐しておられる第二次合併の実施に向つてどんどん邁進した方がよい。それには、あえて市とか町村とかいう名前にあまりこだわらないで、どんどんどんどん第八条を緩和して行つて、市という名前で、上水道の水も飲め、またどぶの排水もできるような近代的生活文化に対する国民のあこがれが、実現しやすいようにした方がよいではないか。そういう意味におきました北山委員が、町村合併促進法は各市への編入と、市の誕生という方向に、少し片寄り過ぎておりはしないかと言われたのに対して、私はそうした小さなきずを問題にするよりも、この際どんどんどんどん合併した方がよいと考えているのでございますが、これに対する政府御当局の御意見を承りたい。  なお町村合併の中央機関を設置し、あるいは独立の部または法律による審議会等をつくつてやるべきものなのであります、これだけ事が重大になつたら。それが国家の利益なのでありますから、そういうものをつくることに進みなさるか、あるいはそういう法律案等を出しなさる御意思があるかないか、それが第二の質問であります。  第三の質問は、現在中央に審議会まがいのものができておるようでありますが、これはとかく国会議員を締め出しているようでありますので、そういうことをなさらぬで、国会は町村合併にはほとんど各党をあげて、また参議院、衆議院をあげて協力しておるのでありますから、国会議員も多数入れてそういう大きな町村合併促進の方向の審議に力を入れさせていただきたいと思うのです。以上三点に対しての大臣の御所見をいただきたい。
  28. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 第一の合併の方向に対する御意見は、加藤委員考え方も確かに一つの考え方であり、私もそういう考え方に相当同調して物を考えておる面があるのであります。ただ先般来、国会側にはまた全然別の考え方からする考え方もおありのようでありますので、そういう考え方も伺つて頭に置きながら、正しい方向を見出して行きたい、こういうように考えております。それから、合併を促進するいろいろな機構につきましては、大分検討はいたしたのでありますが、とりあえずただいまは合併促進本部という形になつております。従つてああいう機構である場合には、国会議員の方々に御加入願うということも適当でないと考えて、今の段階では国会議員の方々の御加入は願わないという形になつておりますけれども、なおだんだんと問題が本格化して来るならば、あるいはもう少し検討した方がいいのかもしれないと思いますので、そういう機構につきましては、今後十分検討して参りたいと思つております。
  29. 北山愛郎

    ○北山委員 塚田大臣のお考えは、いろいろな要素がたくさんおありになるようで、しかも方向がはつきりわからないのです。もう一ぺん考え方としてお伺いしたいのですが、先ほども大臣がお認めになつたように、現在全国的に盛り上つておる町村合併というものは、やはりいろいろな問題を引起しておるように思われる。われわれはこれを立法的あるいは行政的に十分注目をして、正しい地方自治を確立するために最善の努力をしなければならぬと思うのです。大臣のいろいろな談話等では、何か今度の町村合併促進法によつて市町村が非常に適正な規模になりつつある、だから県の方は知事官選にしたり、あるいは警察機構を中央集権にしたり、これは国の出先の方にやつてもよろしいというように受取れるのですが、私どもはやはり町村合併というものは、今度の促進法だけではむしろ新しい問題を提供するだけであつて、ほんとうの適正規模の市町村なり、地方自治体をつくるその解決には、まだ遠いと考えておるのです。その辺大臣はもう、町村合併促進法でどんどんやればよろしい、県の方は出先機関の方にしてもよろしいというお考えであるか。何でも新聞等を拝見しましても、町村合併が進めば今度は府県の方の合併をやる、あるいは、道州制ということも考えられる——それと関連して何かお考えになつておるようですが、その辺いかがでしようか、お考えを伺いたいと思います。
  30. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 これは先般農林委員会でいろいろ御質問がありました機会に申し上げ、またそのあと予算委員会でも若干申し上げたのでありますが、基本のものの考え方としては、大体ただいま北山委員が御指摘になつたような考え方をいたしておるわけであります。  私の自治団体というものに対する基本の考え方は、自治団体が二段階にあること自体が、どうもおかしいのじやないかという、きわめて素朴なものの考え方から出発をしておるのであります。(「賛成」と呼ぶ者あり)大体広い意味の中央、地方を含めた国の事務のうちに、おのずから自治団体の仕事としてしかるべきものと、国の仕事としてしかるべきものとある。自治団体の仕事としてしかるべきものというのは、大体どれか一段階の自治団体で片づけてもらえば済むはずのもので、それが二段階になつておりますから、無理にその間に事務配分をしてしまう。従つて現在の府県というものは、性格的には自治団体でありながら、大部分の仕事は実は国の事務をやつておるというかつこうになつておる。それはやはり自治団体が二段階にあるべき性質のものではないのに、二段階においてあることから来る無理だと私は思う。それでは現在の状態をすぐにそのままそういう考え方で持つて行けるかというと、それはやはりそうは行かぬ。本来育てなければならぬ自治団体、つまり第一線の自治団体がまだ規模も非常に小さく、財政力も弱く、従つて行政能力も小さいものですから、それはいけない。従つてこれを育てるという方向が一つの方向だ、従つてそれが育つて来れば、当然二段階の自治団体は一段階になるはずだ。こういう感じでものを申し上げておるのであります。あと府県の統合でありますとかその他は、そこまで至るいろいろな段階のことを申し上げておるのであります。また従つて私の新聞紙上などで伝えられておる考え方は、今すぐにその通りに法制化しようというような感じで、申し上げておるわけではないのでありますから、その点は御了承願いたいと思います。
  31. 北山愛郎

    ○北山委員 問題が非常に大きいので、さらに十分な時間をかけていろいろお話を聞きたいと思うのですが、時間がございませんから……。その点は現在の町村合併でうまく行くのだというようなお考えで、そうしてこれを踏台にして一段階にしてやるということには、私どもは非常に疑問を持つておる。従つて現在全国的に進んでおる町村合併というものを、もう少し真剣に、その実態を見ていただきたい。地方に参りますと、合併したらいいかどうかということを個々の住民はわからない、判断がつかないのです。ただこの際政府の方針だから、自分だけ合併をしないと何かバスに乗り遅れてしまつて補助金や交付金などで損をするのではないか、いじめられるのではないか、こういう気持が非常に濃厚なんです。住民についてもほんとうは迷つておる。迷つたままで、政府の方針だからということで、どんどん進められて行く危険があるのではないか。私どもはそのような方向のない町村合併をさせて行きたい。そのバスに乗り遅れる者が出て来たり、あるいは単に市になつたら格が上つたというような素朴な感じを、そのままに放置して行くようなことでは、ほんとうの自治行政というか、自治のために考えるわれわれとしては不十分だ。もつともつと実態を見ていただきたい。  そこでさらに要望いたしますが、今各府県でいろいろな計画をされておると思うのです。その計画、あるいはそれを形態別に直して、市をつくろうとするものがどれくらいあるか。その人口なり、あるいは連檐戸数なり、あるいはその形というようなものにいろいろわけて、資料を出してもらいたい。これは自治庁そのものが自分でそれをやる必要があるわけなんです。私どもとしても必要がある。その資料をさらに要望いたします。そのほかにも町村合併の問題はたくさんありますが、たとえばこまかい問題では、地方で合併以前に村の財産をあわてて売つてしまつて、それを慰労金に使おうとしたりするような傾向も、ちよいちよい見えるようであります。いろいろな問題がありますから、その質問はまた別の機会に譲ることにいたしますが、先ほど申したような趣旨で、私はこの資料は重大だと考えますので、ひとつ十分よいものをつくつて出していただきたい。これで私の質問は終ります。
  32. 西村力弥

    ○西村(力)委員長代理 本日はこれにて散会いたします。     午後零時四十八分散会