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1954-01-30 第19回国会 衆議院 地方行政委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年一月三十日(土曜日)     午前十一時五十七分開議  出席委員    委員長 中井 一夫君    理事 灘尾 弘吉君 理事 門司  亮君       相川 勝六君    生田 宏一君       加藤 精三君    河原田稼吉君       田嶋 好文君    吉田 重延君       橋本 清吉君    阿部 五郎君       石村 英雄君    北山 愛郎君       伊瀬幸太郎君    中井徳次郎君  出席政府委員         国家地方警察本         部長官     斎藤  昇君         宮内庁次長   瓜生 順良君  委員外出席者         国家地方警察本         部警視長         (警備部長)  山口 喜雄君         参  考  人         (警視総監)  田中 榮一君         専  門  員 有松  昇君         専  門  員 長橋 茂男君     ――――――――――――― 一月二十九日  地方自治擁護に関する陳情書  (第一〇七号)  町村自治強化振興に関する陳情書  (第一〇八  号)  地方債許可制度の撤廃に関する陳情書外一件  (第  一〇九号)  同外一件  (第一一〇号)  同(第一一一  号)  同(第一  一二号)  地方債承認簡易迅速化に関する陳情書  (第一一三号)  小中学校々舎改増築に対する起債増額に関する  陳情書  (第一一四号)  民間放送事業会社への地方公共団体出資金の起  債認可に関する陳情書  (第一一五号)  地方財政平衡交付金制度に関する陳情書  (第一一六号)  地方税法並びに平衡交付金制度改正に関する  陳情書  (第一一七号)  保安隊員に課する住民税源泉徴収の実施に関  する陳情書(第一  一八号)  固定資産税等改正に関する陳情書  (第一一  九号)  地方税制改革に関し事業税改正に関する陳情書  (第一二〇  号)  自治体消防施設の運営に関する陳情書  (第一二一号)  消防施設強化促進法に基く国庫補助額増額に  関する陳情書  (第一二二号)  地方議会議員定数の縮減及び常任委員会の廃止  案等反対陳情書  (第一二三号)  公職選挙法改正に関する陳情書  (第一二四号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  警察に関する件(二重橋関係事件)     ―――――――――――――
  2. 中井一夫

    中井委員長 これより会議を開きます。  昨日に引続き二重橋事件について調査を進めることといたします。質疑の通告がありますからこれを許します。北山君。
  3. 北山愛郎

    北山委員 昨日二重橋事件現場実地に視察いたしました結果の所見を申し上げまして、関係方々からこれに対する御意見を伺いたいと思います。  こまかい点は除きまして、ごく大ざっぱに申し上げますと、やはりあの正月一般参賀受入れ計画というものに、相当不十分な点があつたのではないか、こういうことが検証の結果判断されるのであります。それは、参賀を受ければ相当多数の参賀者が来るということは、昨年の例から見ましても予想されることである。しかるにあの中には幾多のあぶない場所があるわけであります。一つ鉄橋の腐朽した部分であります。鉄橋鉄柵が腐つておるあぶない場所であるために、幅員が十二メートルであるものを真中の部分六メートルくらいしか通行に使つてない。従つてそこで行列がせかれる。しかもその手前記帳所を設けましたために、ますます鉄橋手前に群集がたまるというような事態が起きたのではないか。実地に見ましてもさような説明でございます。それから宮内庁の前の広場、これを実際に見ますと、あそこの場所が、たくさんの群衆を集めて陛下が出御をされる場所としては、どうも適当ではないのじやないか。というのは、地形が非常に複雑をいたしておりまして、多数の群衆を整理するのに非常に困難をきわめるであろうということ、それから広場に入る手前が下り坂になつてつて、そこにもしたくさんの人が押しかけたならば、あそこでも事故が起る危険がある場所である。それから、宮内庁本庁の前に丸池という池がありますが、その池の水の深さは五尺ないし八尺であつて、そこに落ちる危険がある。それから、そのほりに沿うた方の土手にすぐ登れるようになつておりますが、それに多数の者が登りますと、うしろほりに落ちてしまう危険がある。その間百メートルの幅があるわけであります。そのような非常に地形の悪い場所で、多数の群衆にああいうふうな行事をされるということは、それ自体非常にその場所があぶない場所じやないかということ、そしてまた現地を見ましても、昨年も相当あの場所混雑をしているということが言われましたし、また警備計画にもその場所における混雑を予想して、そして警官の多数の者を主としてあそこの場所に配置をしておるわけであります。従つてこの状況全体を見ますると、もしもあの参賀者行列石橋及び鉄橋をずらずらと多勢の人たちが、あのままどしどし通つて行くとした場合に、おそらく宮内庁前の広場で、あるいは事故が発生したかもしらぬと予想されるわけであります。幸か不幸か、鉄橋のところでせきとめられたために、むしろ宮内庁前の広場の方には事故が起らなかつた。そしてそのしわ寄せが、結局石橋の一番手前の入口に起つたと推測されるわけであります。従つてこのようないろいろの危険な場所がございますまま、予想される多数の参賀者を受入れる準備を十分やらないでやるところに、一番の問題があるのじやないか。そのような設備状態にしておいて、あとは警察の取締りというだけでは、やはり警察の方としても警備上の負担が非常に重くなつて、これはむしろ気の毒だとも考えられるわけであります。宮内庁といいますか、その行事計画をなさる担当の方々としては、そういう点においてやはり計画に不十分な点があつたのじやないか、それが原因一つじやないかと思うのです。それから警備の方から言いますと、昨日も指摘されました通りに、警護、護衛警備計画というものは、やはり全体を通じてみますと、陛下護衛という趣旨が強いのであります。そして参賀者混雑を整理するという面は、どうも第二次的に考えられておるのじやないか、そういうふうな計画に基いたこの警備であります。従つて広場との関係、要するに皇居外との関係において、国警警視庁との事前打合せが不十分であつた。両者が一緒に集まつて十分に検討すべきものを、単に書類を一方的に皇宮警察の方から丸の内署に出して、それで済ましておつたところに、やはり警備の方に不十分な点があつたのじやないか、しかもあの事態が起つて参りましてから、すでに十一時半ごろには相当人が詰めかけて、鉄橋の前は非常な混雑であつたということは、この報告書によつても想像されるわけでありますが、そのころすぐに非常の手配をやらないで、実際に皇宮警察から正式に丸の内署の方へ連絡したのは零時四十分、約一時間たつておる。しかも今度は丸の内署の方で第一予備隊第一中隊を、実際に応援出動手配をしたのは一時五十五分で、それからまた一時間くらいたつている。もちろんこの中間に参賀に来た第六予備隊三十九名の者を投入して一時、間に合せておりますけれども、この人たち自体がそういう危険が発生しそうだというようなことが、相当前にわかつておるにかかわらず、早急にその手配をしなかつたという点で、この場合の臨機処置というものにも不十分なものがあるのじやないか、こういうふうに考えられるわけであります。もちろん現地で伺つた際におきましても、参賀に来られた一般人たち群衆心理といいますか、やじうま気分というか、節度失つた行為というものが一つの直接の原因をなしておることはこれは疑いありませんけれども、しかし今のどこの行事を見ましても、非常に多数の人が集まつた場合には節度を失いがちである。残念ながら日本人はそういう欠点を持つておるわけであります。一般のこういう行事計画なり、あるいは警備計画をする場合におきましては、そういうこともあわせて計算に入れてやらなければならぬじやないかというふうに考えられるわけであります。  私としましては、あの実地検証によつて、大ざつぱに言つて以上のような点を感じたわけでありますが、これが間違いであるかどうか、国警あるいは警視庁宮内庁方々のこれに対する御意見を承りたい。
  4. 中井一夫

    中井委員長 北山君に申し上げますが、ただいま田中警視総監衆議院出頭の途中にありますから、田中警視総監答弁出頭後にいたしたいと思います。そこでただいま出席されておるのは齋藤国警長官瓜生宮内庁次長でありますから、このお二人から御答弁を願うことにいたします。齋藤国警長官
  5. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 ただいま北山委員の述べられました通り事前計画打合せを、もう少し細密にやつておく必要があつたということは私どもも御意見通りだと考えております。また現場臨機措置に欠ける点があつたことも、ただいまお述べの通りでございます。御趣旨にはまつたく私といたしましては同感でございます。
  6. 瓜生順良

    瓜生政府委員 ただいまお話の、陛下のお出ましを願いまして一般の方のあいさつを受けられる場所の問題につきましては、バルコニー前にいろいろ難点があるという点は、私も感じております。この計画を立てる前に、そういう難点もあるので、旧宮殿焼け跡にしたらどうかという意見が、宮内庁内部にもあつたのであります。いろいろ聞いてみますと、あそこに多数の方が集まられて、それからそれが終つて退出される際に、すぐその下に坂があるので、そこでぐつと押しますと非常にあぶない、かえつてあそこはそういう危険があるから、宮内庁前の方がまだいいのだというようにいろいろ検討の結果、そうなつたというふうに承知をしておるのであります。しかし旧宮殿焼け跡のあの広場を使い、しかもあの坂で危険のないようにする方途がないかということを、今皇宮警察本部の方とも打合せをして、検討を加えておるのであります。そうした点で結論が出ますれば、何とかそういうような改善の方策を講じたい、こう思つておるわけであります。  なお鉄橋の点でありまするが、あの鉄橋の木の板の部分で腐蝕しておる部分があるのは、これは事実でありまして、なお鉄柵の欄干の一部が腐蝕しておるのも事実であります。そういうような点がありまして、一昨年の夏に、東大の田中教授ほか研究しておられる学者の方十数名に御依頼をして、いろいろ検討してもらつた。あの鉄橋の下は鉄でありまして、鉄の上にまん中の方は砂利が敷いてありまして、両側のところに木の板が張つてありますので、下の方へ落ちる危険はないのでありますが、しかしながらそういう腐蝕しておる部分があるということはおもしろくない。それから手すりの部分で一部いたんで弱くなつておる部分がある。これもおもしろくない。いわゆる上からの強度計算から行きますと、あそこ一ぱいに人が乗つてもまだ落ちるような心配はありませんけれども、横の関係において、これはぐつと押しますとあぶない。たといあれを修理しても、あれはあまり高くありませんので、鉄柵を越して落ちられる危険もあるというふうなことで、改修をどうしてもやらなければいかぬとともに、多数の方がお通り願う場合は、やはりあそこの砂利を敷いてあります車道のところを通つてもらうことが、安全だというような結論を得ておるわけであります。それで門から順調にずつと入つて来られますと、門の幅が十四尺、それから鉄橋車道の段のところが二十尺四寸ということで、鉄橋車道の幅の方が、門の幅より広いのであります。それで木のところをお通りにならなくてもずつと広いのであります。順調にずつとお入りになりますれば、その車道のところをお通りになつても、特にあそこで停滞するというふうなこともないということを、いろいろ研究の結果聞いておるわけであります。しかしそれにしてもこれを改修しなければならぬというので、二十八年度の予算で、改修予算として三百六十万円をお願いして、これが昨年の夏にきまりまして、それに基いていろいろ設計等を願いまして、実はこの一月中旬ぐらいから三月一ぱいには、直そうということになつてつたのであります。現在すでに請負契約も済んで、いろいろ準備をしておりますので、三月の末日までには、この不完全な部分も直るというような状態になつておる点を申し上げておきます。但しこれは言い訳ではありませんので、一層注意いたしまして、この施設の点でこれが悪いために、それが関連して非常に混雑を来し、事故の起ることのないように十分注意して参りたいと思つております。
  7. 中井一夫

    中井委員長 北山君、御質疑はそれでよろしゆうございますか。——警視総監がいまだ出席されないことは遺憾でございますが、警視庁当局がおられたら急ぎ出席せられるよう、お手配を願いたいと思います。  いかがでしよう。総監出席を待ちましようか。それともこの程度で進行いたしましようか。
  8. 北山愛郎

    北山委員 先ほどの警視庁に関する質問の点は、別な形ですでにきのうまでの質疑の中で、総監もある程度認めておられることでありますので、そういうことに了承して、総監答弁はなくても議事を進行していただきたいということにお願いいたしたいと思います。
  9. 中井一夫

    中井委員長 二重橋事件につきましては、委員方々から御質問はなしと承知してよろしゆうございましようか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり]
  10. 中井一夫

    中井委員長 それでは質疑はこの程度で終了いたしました。  本問題につきましては、去る二十七日から連日委員会を開き、関係当局質疑するとともに、昨日は実地について調査行つたのでありますが、本日は本問題をいかに取扱うかについて、御意見を伺いたいと存じます。灘尾弘吉君。
  11. 灘尾弘吉

    灘尾委員 正月の二日に、親愛なるまたきわめて善良なる国民の諸君が、皇室とともに新年をお祝いするという心持をもちまして、参賀せられました際に、はからずも起りました不幸な事件につきましては、まことにお気の毒に存じまするとともに、同情にたえないところでございます。不幸死亡せられました方々に対しましては、その御冥福をお祈りいたしますとともに、御遺族の方々に対し心からなるお見舞を申し上げたいと存じます。と同時にまた負傷せられました方々につきましては、一日もすみやかにその御回復を、お祈りする次第でありますが、本委員会といたしましては、この事柄重大性にかんがみまして、特にその原因を究明し、将来再びかかる不祥なる事柄が起らないようにすることが、最も緊要であると考えまして、ただいま委員長も仰せられましたごとく、二十七日以来三日間にわたりまして、連日事情を聴取いたしますと同時に、実地につきましてもその検分を行いましたので、この際委員会といたしまして決議をいたしまして、委員会所見を声明する必要があると考える次第であります。そこで私はこの問題に関する地方行政委員会決議を行つていただきたいと思います。ここに案文を朗読いたしますので、皆さんの御賛成を請いたいと思います。    二重橋事件に対する地方行政委員会決議案  本年正月二日午後二時二十分頃皇居正門外石橋上に於て発生した、いわゆる「二重橋事件」につき本委員会関係当局たる警視庁田中栄一警視総監国家地方警察本部斎藤昇長官及び宮内庁瓜生順良次長等より事情を聴取し且現場検分をなしたる結果左記の事実を確認した。   即ち、悲惨事発生原因左記の如くである。   一、 関係当局たる警視庁皇宮警察本部国家地方警察本部所管)並に宮内庁昭和二十三年以来毎正月初頭に行われた参賀行事が無事であつたのになれ、本年の参賀者三十七万余に上りたる大衆を迎へ入れ又、之を退出せしむるにつき、相応設備と適当なる整理誘導なすを怠り、殊に悲惨事発生防止につき臨機処置構ずるに欠くる所ありし事。   二、 現場石橋上並にその附近に来集せる群衆互譲相助節度を失せる行動をなしたる者ありし事。   依つて委員会警視庁皇宮警察本部国家地方警察本部)並に宮内庁当局に対しその責任の重大なるを思い、将来再度斯くの如き悲惨事を繰り返えさないよう最善方策を構ずべき事を厳に警告すると共に、我国国民一般に対し、大衆集合の場合、互譲相助節度を失うが如き行動をなさないよう深く反省をうながすものである。  以上の通りでございます。何とぞ御審議くださいまして御賛成をいただきたいと存じます。特に内容につきましては御説明する必要もないかと存じますので、これを省略いたします。
  12. 中井一夫

    中井委員長 ただいま灘尾委員より提出されました決議案内容は、ただいまお聞きの通りであります。これを決定するに御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 中井一夫

    中井委員長 満場一致をもつて決議案決定をされました。つきましてはこの決議に関する取扱い、字句の整理等については、委員長及び理事に御一任を願いたいと存じまするが、御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり]
  14. 中井一夫

    中井委員長 よつてさように決定いたしました。  この際国警長官宮内庁次長警視総監にその御所見をお伺いいたしたいと存じます。すなわち本決議案によりまして、本委員会の確認いたしましたところ、関係当局の用意と臨機処置につき、欠くるところありと認められた次第であります。将来かくのごとき不祥事が再び繰返されないよう、心より念願をいたす次第なのであります。すなわちここに関係当局に対して、将来最善方策を講ずべきことを、厳に警告することと決定をされました。この際関係当局の御所見を承りたいと存じます。
  15. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 本年の正月二日、二重橋前において起りました惨事につきましては、われわれといたしましてまことに申訳がない次第だと、衷心から考えておる次第でございます。当委員会におかれましては、事の重大なるにかんがみ、慎重にしかも御熱心に御調査をいただきまして、事態原因その他につきまして、まことに適切な御調査の結果を御発表いただきまして、私ども関係者に御警告をいただいた次第でございます。当委員会においてたびたび申し述べておりまする通り、われわれといたしましては、今後再びかかる事柄を繰返さないよう、関係当局ことに警視庁宮内庁十分連絡を密にいたしまして、事前計画また今後行われます際における当日の臨機処置に、あやまちのありませんよう、最善注意努力をいたしまして、この惨事に関して死傷せられました方々に、せめてものお報いをいたすことができれば、幸せだと考えておるのでございます。委員会の御親切な御注意に対しましては、衷心からお礼を申し上げます。
  16. 瓜生順良

    瓜生政府委員 正月の二日のああした事故が起きまして、それも新年に皇居参賀に来られる方々が、ああした事故にあわれましたことに対しましては、行事を取運びました宮内庁といたしまして、衷心より遺憾の意を表し、将来再びこのようなことの起らないよう、皇居内の施設等につきまして、十分検討を加えて行くようにいたしたいと思つておる次第でありまして、本委員会決議されました御趣旨に対しましては、十分これを尊重いたしまして、再びかかる事故の起きないよう、万全の方策を講ずる所存でありますので、その点を申し上げておきます。
  17. 中井一夫

    中井委員長 警視総監がただいま登院されたそうでありますから、しばらくお待ちを願います。——ただいま警視総監出席されました。この際お諮りをいたします。田中警視総監政府委員ではございませんので、参考人として発言を許すことにいたしたいと思いますが御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 中井一夫

    中井委員長 御異議なしと認め、さように決定いたします。  田中警視総監に申し上げますが、ただいま当委員会といたしましては、二重橋事件につき、その調査の結果に基いて決議をいたしました。それによりますると、この二重橋事件ができたその原因は二つ、一つ群衆中に互いに譲り、互いに助くるの節度を失うた行動をいたしたものが多数あつたということが、その原因一つであります。さらに一つの大きな原因は、警視庁が従来たびたびなされたこの参賀行事が無事であつたのになれて、本年の参賀者三十七万余に上りたる大衆を迎え入れ、またこれを退出せしむるについて、相応設備と適当なる整理誘導なすを怠り、ことに非惨事発生防止について、臨機処置を講ずることを怠つたということが、その原因と認められております。すなわち警視庁責任皇宮警察本部宮内庁責任ともに重大でありますが、将来かかることの再び繰返されないように、最善方策を講ずるよう本委員会警視庁に対し厳に警告するということにきまつたのであります。つきましてはこれに対し警視総監の御所見を伺いたいのであります。
  19. 田中榮一

    田中参考人 本年正月二日、二重橋上におきまして発生いたしました不祥事件に関しまして、当衆議院地方行政委員会とせられましては、本問題を取上げられまして、連日にわたりまして熱心に御調査をいただきました。私ども事件発生以来、非常に憂慮いたして参りましたのでありますが、今回本事件に対しましていろいろ御調査をいただき、またわれわれのとつた措置につきまして種々御質問があり、またわれわれからも事情を陳述いたしたのでありますが、私どもも最初から申し述べておりますごとくに、今回の二重橋事件につきましては、先ほど委員長からもお話がございましたごとくに、確かに警視庁皇宮警察との間に、連絡の不十分の点もあつたと思いまするが、要するにあまりにも事が従来なさすぎたために、非常になれすぎてしまつたということが、最大の原因であつたと考えております。私どもも本事件発生以来、いろいろと原因その他につきまして、内部といたしましても自己反省をし、今後再びかようなことのなからんことを期しておる次第でございます。  ただいま御決議になりました案につきましては、私どももまつたくこの通りでございまして、仰せのごとくに今後再びこうした事件のまつたく起らないように、最善努力をいたしますることが、われわれの責任であると深く痛感いたしておる次第でございます。  なお本事件につきまして各方面に多大の御迷惑をかけまして、私個人といたしましても非常に責任を痛感し、またそれぞれ関係者につきましては、ただいま厳重にその事故調査いたしまして、それぞれの措置をとりたいと考えておる次第でございます。今後は絶対にかような不祥事を起すことのないように、最善努力をいたしますことをお誓い申しまして、私の意見といたしたいと思います。
  20. 中井一夫

    中井委員長 二重橋事件に関する調査は、これをもつて終了いたしました。本委員会は、これをもつて散会いたします。     午後零時四十一分散会