運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1954-01-27 第19回国会 衆議院 地方行政委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年一月二十七日(水曜日)     午前十一時一分開議  出席委員    委員長 中井 一夫君    理事 灘尾 弘吉君 理事 床次 徳二君    理事 西村 力弥君       河原田稼吉君    熊谷 憲一君       佐藤 親弘君    田嶋 好文君       三浦寅之助君    橋本 清吉君       藤田 義光君    阿部 五郎君       石村 英雄君    北山 愛郎君       伊瀬幸太郎君    大矢 省三君       中井徳次郎君    門司  亮君  委員外出席者         国家地方警察本         部長官     斎藤  昇君         国家地方警察本         部警視長         (警備部長)  山口 喜雄君         宮内庁次長   瓜生 順良君         参  考  人         (警視総監)  田中 榮一君         参  考  人         (警視庁警備課         長)      土田 国保君         専  門  員 有松  昇君         専  門  員 長橋 茂男君     ――――――――――――― 一月二十五日  委員加藤精三君、山中貞則君及び池田正之輔君  辞任につき、その補欠として富田健治君、田嶋  好文君及び松永東君が議長指名委員選任  された。 同月二十六日  委員富田健治君、赤路友藏君及び横路節雄君辞  任につき、その補欠として加藤精三君、阿部五  郎君及び石村英雄君が議長指名委員選任  された。 同月二十七日  委員三宅正一辞任につき、その補欠として中  井徳次郎君が議長指名委員選任された。     ――――――――――――― 一月二十一日  冷害対策としての地方財政平衡交付金増額等に  関する請願(關内正一君紹介)(第一六号)  同(松井政吉紹介)(第一七号)  同(助川良平紹介)(第一八号)  同(山下春江紹介)(第一九号)  貨物自動車運送事業に対する事業税外形標準  課税廃止に関する請願迫水久常紹介)(第  二〇号)  同(相川勝六紹介)(第二一号)  同(舘林三喜男紹介)(第二二号)  自動車税軽減に関する請願相川勝六紹介)  (第二三号)  同(舘林三喜男紹介)(第二四号)  古物営業法の一部改正に関する請願小川豊明  君紹介)(第二五号)  糸井村の平衡交付金引上げ請願小島徹三君  紹介)(第二六号)  地方税法の一部改正に関する請願小平忠君紹  介)(第二七号)  同(岡田五郎紹介)(第二八号)  同外二件(小笠公韶君紹介)(第二九号)  同(中村幸八君紹介)(第三〇号)  旅館の遊興飲食税撤廃等に関する請願原茂君  紹介)(第三一号)  遊興飲食税国税移管反対に関する請願(淺沼  稻次郎君紹介)(第三二号)  同(中村庸一郎紹介)(第三三号)  入場税国税移管反対に関する請願椎熊三郎  君紹介)(第三四号)  同(鈴木茂三郎紹介)(第三五号)  同(春日一幸紹介)(第三六号)  同(赤松勇紹介)(第三七号)  狩猟者税軽減に関する請願小枝一雄紹介)  (第三八号)  町村合併促進に関する請願小枝一雄紹介)  (第三九号)  上村に特別平衡交付金交付に関する請願原茂  君紹介)(第四〇号)  学生の選挙権に関する自治庁通達廃止請願(  三輪壽壯紹介)(第四一号)  倶知安町上水道の昭和二十八年度起債認可に関  する請願椎熊三郎紹介)(第四三号)  地方税制改革案反対に関する請願外一件(高橋  禎一君紹介)(第四五号)  都市水利施設整備費増額に関する請願庄司一  郎君紹介)(第一〇五号) 同月二十六日  らい療養所内選挙演説許可に関する請願(松  前重義君紹介)(第二〇四号) の審査を本委員会に付託された。 同月二十日  地方債わく拡大等に関する陳情書  (第七号)  同(第八号)  地方債許可制度撤廃に関する陳情書外四件  (第  九号)  同(第一〇  号)  同外一件  (第一一号)  同(第一二号)  知事の地方債許可権排除に対する反対陳情書  (第一三号)  地方税改正に関する陳情書  (第一四号)  事業税改正に関する陳情書  (第一五号)  自転車税及び荷車税賦課方法改正陳情書  (第一六号)  給与所得者に対する市町村税控除額引上げに  関する陳情書(第  一七号)  町村議会事務局設置に関する陳情書  (第一八号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  警察に関する件(二重橋関係事件)     ―――――――――――――
  2. 中井一夫

    中井委員長 これより会議を開きます。  本日は一昨日の理事会申合せによりましていわゆる二重橋事件について調査を進めることといたします。本問題につきましては、時も時、場所場所であり、多数の死傷者を出すに至りましたことは、まことに遺憾とするところでありまして、警察を所管といたします本委員会といたしましては、特に関心を有するところでありますが、過日国警本部及び警視庁よりそれぞれ本事件に関する報告書が、委員会あて送付されておりますので、理事会申合せに基きまして本日調査を進めることといたしたのであります。さて、本事件原因等につきましては、警察法改正に関連いたしまし、巷間種々論議せられておるのでありますが、本委員会といたしましてはあくまでも至公至平、白紙の立場により、その原因責任問題等についてたけではなく、さらに一歩を進めて今後再びかかる不祥事件が起らないよう、その対策等についても調査を進めたいという趣旨によつて、この審議を進行させたいと存じます。それではこれより国警警視庁宮内庁よりそれぞれ説明を聴取いたすことといたします。なおこの機会会にお諮りをいたしますが、本日本委員会出席を求めましたのは、宮内庁次長瓜生順良君、国警本部長官斎藤昇君、同じく警備部長山吉喜雄君、警視総監田中榮一君、同じく警視庁警備課長土田国保君であります。そのうち田中警視総監及び土田警備課長政府委員または説明員ではありませんので、このお二人については参考人として聴取することといたしたいと思いますが、御異議は、ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中井一夫

    中井委員長 異議なしと見て、さように決します。  まずこの際宮内庁次長瓜生順良君より、本事件概要につき御説明をお願いいたしたいと存じます。瓜生順良君。
  4. 瓜生順良

    瓜生説明員 それでは御説明を申しますが、去る一月二日、新年一般国民参賀の当日におきまして二重橋のああしたことが起きましたことに対しましては、私たち宮内庁の者といたしましてまことに遺憾に存じ、不幸犠牲になられた方に対しましては、衷心より敬弔の意を表する次第であります。  この行事につきましては、これは毎年行われておるのでありまして今年の正月におきましても、昨年の例とおおむね同じやり方で、宮内庁としてはこの行事の取運びをいたしたわけであります。二日の午前九時に皇居正門をあけまして午後の三時まで参入をしていただくということも昨年と同じであります。昨年と幾らか違いますのは、お入りになつてから御記帳を願う場所のことであります。御記帳を願う場合、昨年は机を三十出しまして、これを五列に並べまして、その間をちようど改札口通つて入るようなふうに、ずつと通つて入りになる、そこで記帳をそれぞれされる。それから進まれて、ちようど宮内庁の、バルコニーの上に両陛下がお立ちになるところがありますので、その方にずつと来ていただきましてそれから坂下門通つて坂下門混雑する場合においては、このほかに内桜田門大手門の方からも出ていただくというような取運び方であつたのであります。この記帳場所についてちよつと申しましたが、昨年と違いますのは、記帳場所は同じところでありますが、机の並べ方を改札口のようにずつとこう出しますと、かえつて混雑をしていけないのじやないかというので、本年はこの机を、入られてからあの広場左側の方の片側に並べましてその机の数も昨年よりは少かつたのであります。その机の数につきましては五個でありまして、そこに六冊ずつの記帳帳面を置いたのであります。帳面の数から言いますと、昨年が百八十冊本年が三十冊で少いのでありますが、そのほかに名刺をお受けする机を出しました。その名刺受けを出して名刺を受けた方が、皆さんがお入りになるのに時間をとらなくてよいのじやないかということから名刺受けを新たに設けました。御記帳場所改札口のようにずつと並べないで片側の方に置き、これもある程度数を減らしましたのは、混雑を防いでお入りになる方が早く済むようにしたわけで、昨年は全部の方が御記帳をなさつております。それから陛下お出ましになつて陛下に直接ごあいさつされる場合においては、りくつから言いますと御記帳にならなくてもいいわけで、そういう点もありましたので、たいていの方は陛下お出ましを待つて陛下に、ごあいさつをしてそれから帰られるというのが普通であります。ごく一部の方が陛下お出ましを待たずに、ずつとお帰りになるというような状況もありましたので、そういうように混雑を防ぐ意味から、御記帳場所のつくり方をかえ、帳面の数も幾らか減らしたのであります。それからこのバルコニーに両陛下お出ましのことでありますが、お出まし回数につきましては、これは最初は四回、午前二回、午後二回という予定で考えられておつたのであります。しかし相当多数の方が来られまして中が混雑いたしまするので、この回数を七回にふやしていただいたのであります。昨年も四回の予定でありましたが、一回ふやしまして五回お出まし願つたのであります。今年は三回ふやしまして七回のお出まし願つたのであります。しかし相当多数の方が来られますと、宮内庁のパルコニーの前は、すぐに一ぱいになります。そこで一ぱいになりますと、両陛下にお願いしてお出ましを願うというようなことで、この同数をふやしたのであります。そういうような取運び方をいたして参つたのであります。なおこの正門のあく時間は、昨年と本年は同じでありますが、正門を締める時間につきまして、実は本年は昨年と違う点は、予定通り三時に締めたのであります。昨年は、予定は三時でありましたが、三時半まで開いておりました。これは門の前に相当多数おられたので三十分延ばしたのであります。じや本年はなぜ延ばさなかつたということをいろいろお尋ねを受ける場合がありますが、これはちようど御承知のように、ああした事故が二時二十分前後に起きまして、二重橋からこの門の付近は、非常に混乱をいたしました。これを予定以上に延ばしておりまして、またどういうふうなことがあつても相済まないし、混乱をしている場所善後処置関係もいろいろありまして、予定通りに三時に締めました。そういう点は昨年とは違いまするが、事故の起きた善後措置あと措置としてこれがよかろうというようなことで、予定通りに締めたような次第でございます。このように取運びましたが、ああしたことが起きて、不幸たつとい生命を失われた方、また負傷を受けられました方々が生じましたことに対しましては、先ほど申しましたように、非常にわれわれも遺憾に存じているわけであります。こうした方に対する、十分とは行かなくても、できるだけのお見舞を申すというように、宮内庁としても処置を講ずるとともに、なお今後の問題といたしまして、再びああした事故が起きてはまことに相済まぬのでありまして、行事を取運ぶ営内庁の方といたしましても、参賀方法につきましては、さらに再検討を加えまして、事故の再発のないようにして参りたいと思いまして、目下宮内庁内部並びに関係方々とも御相談をしまして、今後のやり方ついては研究中でございます。  ごく概要を申し上げた次第でございます。
  5. 中井一夫

    中井委員長 次には国警本部長官斎藤昇君の御説明を願います。
  6. 斎藤昇

    斎藤説明員 一月二日二重橋前におきまして、参賀方々が多数死傷せられましたことにつきましては、衷心から申訳ない次第だと存じております。この点は国会を通じましてもおわびを申し上げる次第でございます。当日の参賀客整理警備やり方につきましては、従前から警視庁皇宮警察本部とが打合せをいたしまして、お互い警備整理計画を交換し合つてつたのであります。以前には一緒に集まりまして計画をいたしたこともあるのでありますが、その後は集まることなしに、ことに今回は一緒に集まつて計画は立てませんでしたが、大体従前方針によりまして、皇宮警察ではこういう方針で、こういう警備計画で、こういう整理方針でやる、それに従つて警視庁丸の内署におかれても、自分の方はこういうようにしてやるということで、当日の警備及び整理計画をいたしておつたのであります。当日は非常に好天に恵まれまして、参賀方々が次第に多くなつて来られまして、午前の十一時前くらいまでは、大体計画通りに六列の縦隊で広場前に整理されおつたのでありますが、だんだん人が増すにつれまして、この整理がくずれて参りまして、十一時ごろからはあの二重橋の下の方の石橋に、まつたく人が一ぱいになつて、中に参入するという状況になつて参りました。中の方の、二重橋の上の方の鉄橋は、若干下の石橋よりも人通りが緩慢であり、数が少くしか通れないという状況からいたしまして、石橋鉄橋の間の広場もまた異常の混雑を来して参つた次第でございます。かようなわけからいたしまして、十一時過ぎからは、二重橋の下の方の石橋を通る人たちを、時間的に制限せざるを得ない状態に相なつたのであります。そこで現場におきまして、皇宮警察の方と丸の内署の者と打合せをいたしまして、お互い合図によつて石橋から参入する人を制限するというやり方をやつてつたのであります。ところがその整理方法も非常に困難になつて参りまして、遂に一時五十分一ごろでございましようか、皇居前の広場石橋の境のところに、ロープをもつて一時殺到をせきとめたのであります。ところがそのロープ群衆圧力によりまして弓なりになり、ロープのためにまたむしろ危険を感ずるような人も出て参つたような状況であります。ちようどそのころにさらに参入をさせてもよろしいという合図によりましてロープを上げたのでありますが、そのとたんに先に石橋の上に出られた一、二の方が倒れられた、その上に群衆殺到をいたしまして、ここに珍事を惹起いたしたという状況でございます。まことに申訳ない次第でございます。われわれといたしましては、今後さらに群衆整理等につきましては綿密な注意を加えまして、かようなことが再び起らないようにいたしたいと考えておる次第でございます。  皇宮警察といたしましては、皇居内の混雑整理警備のために、二百三十数名を当日動員をいたして警備に当らせておつたのであります。当日予想よりも参賀方々が非常に多くなつて参つて先ほど申し上げまするような混雑状況に相なりまして現場におきましては整理に努めておつたのでありますが、われわれといたしましては、さらにもつともつと警視庁側連絡を密にいたしまして、この雑沓整理を事前にもう少しいたすことができればという点が、われわれの非常に申訳ないと感じておるところでございます。  詳細の点はまた御質問に応じましてお答えを申し上げたいと存じます。
  7. 中井一夫

    中井委員長 次には警視総監田中榮一君から御説明を願います。
  8. 田中榮一

    田中参考人 御説明を申し上げます。一月二日一般参賀に際しまして、二重橋石橋土におきまして、不測の事態が発生いたしまして、多数の死傷者を出すに至りましたことは、まことに遺憾にたえないのでありまして私どもも衷心からその責任を痛感し、かつまた各方面に多大の御迷惑をかけ、また多数の犠牲者を出したことに対しまして、衷心からおわびを申し上げておる次第でございます。  なお本件につきましては、ただいま宮内庁次長、並びに齋藤国警長官から大体の御説明がございまして、いささか重復する点があるかと存じまするが、なお事態をはつきりさせるために重複をいとわず、御説明を申し上げたいと存じます。  大体の事故の発生いたしました日時は、一月二日の午後二時十分ごろから二十分ごろの間と推定をいたされます。事故の起きた場所は、二重橋石橋上のやや中央のところでございます。死傷者の数は、入院後の死亡者を合せまして死亡者十七名、負傷者はその後所轄署において判明したものを合せて、合計八十二名に及んでおります。まことに申訳なく、お気の毒に存じておる次第でございます。  当日の警戒配備参賀者状況について申し上げますと、昨年十二月二十二日付書面により警視庁警備課及び丸の内警察署皇宮警察本部より連絡がありましたので、これに基き、丸の内警察署において警備課の指示を受け、警部を中隊長とする三十六名の警戒部隊を編成いたしまして、午前八時五十分現場到着警戒に当り、予備といたしまして、第一予備隊一個中隊警視庁中庭の自隊に待機せしめておつたのでございます。参賀者は午前九時前すでに約二千名が、二軍橋広場開門を待つており、午前九時の開門と同時に続々と入門いたしまして、午前十一時三十分ごろまでは桜田門方面参賀者を四列、馬場先門坂下門方面を四列として、これを二重橋広場において八列に合して参入せしめ、警戒員は半数を配置して整理をしておつたのでございます。午前十一時三十分を過ぎるころから、参賀者は漸次その数を増して参りました。現場皇宮警察官連絡によりまして、御記帳所付近群衆があふれておるから、参入者整理をしてほしいという連絡に基きまして、石橋駒寄に六名を配置して、駒寄阻止に協力せしめておつたのでございます。次いで第二回目の連絡が、これが十一時五十五分ごろと思われるのでございますが、現場皇宮警察官の方から丸の内署に対しまして、鉄橋が腐朽してあぶないから、祝田の線で後続者を一時遮断をしてはしいという再度の連絡によりまして、祝田警備出張所から坂下門方面に向つてロープ張つたのでございます。ロープと申しましても、これは最初警察官の持つておりまする捕縄を結び合せまして仮のロープを張りまして、一般参賀者を一時阻止する方法をとつてつたのでございますが、この阻止は間もなく参賀者が多数のために中止せざるを得なくなつたのであります。正午ごろになりますと、石橋手前広場参賢者が進まないために、次第に停滞をいたしまして、八列による参入も次第にその形が失われがちで、整理に困難を来したのであります。大体十二時ごろになりますと、皇居に向いまして、砂利広場左側に芝ふがございますが、それまでは芝ふの上を通らすに、砂利道だけを通りまして参入しておつたのでありましたが、正午ころからこの芝ふの中に多数の参賀者入りまして、芝ふを斜めに三角形によぎりまして、二重橋方面に多数が殺到いたして参りまして、ほとんどこれによつてこの八列の整理も乱れてしまつたというような状況でございます。午後零時三十分ごろになりまして、容易に参入できない参賀者の中に、婦人子供等は帰る者ができて参りまして、帰る者と参入せんとする者との間に、非常に混雑を来したのでありますが、丸の内署におきましては二個分隊をもちまして、お手元に差上げました書類の第一図にございますように、この参賀者の中に第一、第二の図のように、ロープによる遮断線を設けまして、さらに帰宅しようとする人々のために、祝田警備出張所——祝田警備出張所と申しますと、この広場の下の方の桜田門寄りの交番でございますが、これを祝田警備出張所と申しておりますが、この祝田警備出張所のそばのほりぱたに沿いまして、丸の内署員によりまして、一メートルくらいの仮出路をつくつて、この仮出路から婦人子供で帰宅せんとする者を相当助け出しまして、帰宅をさせておつたのであります。  午後一時十五分ころになりまして、二重橋はますます混雑を増しましたので、丸の内署といたしましては二十六名の当番員を緊急召集いたしまして、お手元に差上げました別図の第三の通りに、祝田警備出張所のすぐ上のところからこの右側の芝ふに向いまして遮断線を設けまして、混雑を防いでおつたのであります。  さらに午後一時三十分ごろになりまして、ちようどこのときに参賀のために来合せました第六予備隊員応援を求め、これが大体四十三名でありましたが、この予備隊員ちようど団体参賀のために来合せましたので、中隊長からただちに部署についてくれという要請によりまして、この第六予備隊員がこの要請に応じまして、この避難路をさらに確保いたしまして、老幼婦女子の救護及び参賀者整理警戒に当つたのでありますが、少くとも数百名は、この退路によつて救出せられたのであります。  次いで午後一時五十分ごろ警戒員の不足を認めた丸の内署では、第一予備隊の出動を要請し、次いで石橋上が参賀者で一ばいとなりまして、広場よりはなお続々と後続音が押し寄せますので、午後一時五十分ごろ、石橋ぎわの駒寄せ付近阻止をはかりましたが、なおとどまらぬので、やむなくこの阻止と申しますのは、あそこに木製の棚がございまするが、その棚等を利用して、阻止をはかつてつたのでありますが、とてもそれでは及びもつきませんので、やむなくロープをもつて参入者の中に割つて入りまして、ようやくこれを阻止することができたのであります。  午後二時ごろには、二直橋石橋上は、これがため相当空間ができましたが、このロープによる阻止後方から押して来ました圧力のために中央がふくらみましてややもすれば突破される状況となりまして、警戒員もじりじりと中央に押されるような状況でございました。警戒線石橋おおむね三分の一程度までぶくらんで、後退するのやむなきに至つた次第でございます。午後一時十分過ぎごろ、石橋上の阻止線前方参賀者参入いたしましてまばらになつて参りましたので、鉄橋上から——鉄橋と申しますと、二重橋の上の方の橋でありますが、鉄橋上から皇宮警察官合図があつたと思われましたので、ロープをはずして参賀者の頭上高く上げて遮断線を解除いたしましたところ、これは第五図を御参照願いたいと思うのでございまするが、ロープをはずしたときの現状であります。最前線の者はどつと進行しましたが、その際石橋のおおむね中間より少し手前橋上中央で、一人の老婆が倒れ、これに折り重なつて次々と倒れ救助を求めたのであります。倒れた者は容易に立ち上ることができず、そのまま二重、三重になつて押し倒されるありさまでありました。現に倒れました地位は橋上のほぼ中央でございましたが、両側の方は相当進行いたしておりましたので、群集はり両側がどしどし進行しておりますので、それにつられて中央もどしどし進行したという状態でございます。現場警戒員はこの状況を認めまするや、ただちに全員をもつてこれが救助に当る一方、付近丸の内署員、第六予備隊員皇宮警察官保安隊約二十名の応援を得ましてスクラムを組んで必死となつて後続者を押し返し救助に当つたのであります。警戒員重傷者と認められる者は、正門付近欄干ぎわに運び人工呼吸を施す等応急の措置をとつたのであります。そのとき保安隊員及び米軍人その他一般参賀者による救出作業も行われたのであります。そうして救急車到着を待つてつたのであります。  これより先、応援要請を求められました第一予備隊は二時十三分祝田警備出張所到着、ただちに後方遮断に当つていたのでありますが、事故現場よりの連絡によりまして、ただちに現場に向い、救出及び遮断線の強化に努めたのであります。  午後二時五十分ごろ、この事故に対する最初救急車祝田橋附近より現場に向つて進行して来ましたので、警戒員は、参賀のために来合せた保安隊員約五十名の応援を得まして、あとからあとから続いた参賀者整理して通路を開き、負傷者の収容をはかり、引続き到着した救急車によつて、それぞれ病院に搬送いたしたのであります。  午後三時正門は閉鎖され、参賀者参入は締め切られたのであります。なお石橋広場には多数の群衆が押し合う等、混乱状態が続けられたので、警戒員は広報活動に努めるとともに、これを整理いたしました。  午後三時三十分ごろになつて歩行可能の状態となり、危険も去つたので、逐次整理し、午後四時ごろにはようやく平穏となつたので、午後四時十分警戒を解除いたしたのであります。  死傷者に対する措置といたしましては、消防庁に連絡して収容病院を調査の上、ただちに警備課長、警衛課長その他丸の内署員を派遣して弔問、慰問を行い、翌日さらに各収容所の病院を訪ね、死亡者に対しては供花と弔慰金を呈し、負傷者に対しましては見舞と果実等をお贈りいたしまして、つつしんで遺憾の意を表明するとともに、厚く弔慰並びにお見舞を申し上げた次第でございます。  さらに宮内庁皇宮警察関係当局と打合せの上、事後の措置に遺憾のないように、ただいまも努めておる次第でございます。  以上をもつて概要だけを御説明申し上げたのであります。また御質問によりましてお答えを申し上げたいと思います。
  9. 中井一夫

    中井委員長 ほかに御説明の補充等はありませんか。一応それでよろしゆうございますか。——一応当局の説明は終りました。  これよりただちに質疑に移ります。ただ本日は午後一時から本会議におきまして、総理大臣初め施政演説が行われますので、この質疑は十二時半で打ちとめたいと思いますが、そういう進行の程度で御異議はございませんか。一応お諮りをいたしておきます。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 中井一夫

    中井委員長 質疑の通告がございます。それは田嶋君、藤田君、門司君、西村君、阿部君、この五君からの質疑通告があります。もとより引続き続行をいたすことではございますが、本日はその程度の時間しか、ございませんから、何とぞ御質疑については互いにお譲り合せを願つて、できるだけ進められるよう御配慮を願います。  通告順によりましてこれを許可いたします。田嶋好文
  11. 田嶋好文

    田嶋委員 時間がないようでございますので、なるたけ簡潔に質問いたしたいと思いますが、しかし事柄が事柄でございますので、相当われわれはつつ込んだところまでお聞かせを願いたい、こう思つているわけであります。従いまして他の質疑者もあることでございますから、私が十分ただし得ない点は後日に譲る点も多々出ると思いますので、この点は委員長にあらかじめ御了承願つておきたいと思うのです。そして政府その他の関係者に対してもお含みを願つておきたいとおもうのであります。  ただいま宮内庁次長さんから御説明を聞いたのでございますが、私たちはいま少しく宮内庁参賀を受ける計画内容というようなものを、詳細に知りたいと思うのです。第一、最近は参賀者が年々歳々ふえておる傾向を見受けることができる、それに対しても相当宮内庁として御計画がなければならぬものだと私たちは考える。それから今の御説明を聞いておりますと、宮内庁自体はこういうようにしたというのでありますが、当然大衆が集まるのでございますから、警備関係等独立した警備関係になるかならぬか、これらの点もわからないわれわれとしては、当然に宮内庁警備警戒等に対する打合せその他の計画についても、何らかの措置がとられておらなければならぬものだと私は考える。これらの点に対して宮内庁はいかなる対策を立て、またいか国警その他自治警察打合せをして進んでおるか、この点をひとつおお聞かせを願いたいと思います。
  12. 瓜生順良

    瓜生説明員 参賀の際の計画の内容でありますが、これは多数おいでになるようで、普通の儀式とは大分かわるものでありますから、これにつきましては、この年末に宮内庁の各部課で集まりまして、それぞれ分担をきめましてこの衝に当るようにいたしておるわけであります。この所管はやはり一つの広い意味の式でありますので、式部職が中心になつて、その式部職の方でまずこの計画の大要を立てるのであります。その概要は先ほど申し上げましたが、正門からお入りになるときに、これを閉じるのは三時ということ、それから記帳所、名刺受けをどこにどれくらい設けるかというようなこと、それからずつと進んでいただいて、陛下バルコニーお出まし願うのは、何時と何時くらいというように計画をし、それから出ていただくときは、どういうふうにするかということを計画いたす。そこでその係員関係は、全体の儀式についての取運びは式部職がこれに当る、普通の行事と違いまして、それぞれ多数の式部職が出ましてこれに当る、それから記帳所、名刺受け関係は主として管理部がこれに当るというようにしまして、管理部がその日、これに当つておりました。  それから救護の関係、これも管理部の中に衛生官というのがありまして、この衛生官以下係員が五名でありますが、この五名が出まして救護に当る。昨年の新年参賀の際も、今年のようなことはありませんでしたが、数名の方があるいは脳貧血あるいは擦過傷というようなこともございましたが、それの係はこの五名が今年も記帳所の近くにおつたわけであります。  それから外部の警備の方との関係につきましては、これは主として宮内庁の総務課がこれに当る。総務課が皇宮警察とまず連絡をとり、皇宮警察警視庁の方とさらに連絡をとり、また総務課が直接警視庁と御連絡をするということもあるわけでありますが、主として皇宮警察連絡をしてお願いをし、それから、皇宮警察警視庁にまた連絡をするというような筋をとつておつたわけであります。なお内部の多数の方の整理関係皇宮警察が当られる。外部の関係については皇宮警察警視庁とのお打合せ警視庁が当る。しかしその他宮内庁としましてもこの監守の係がおりますので、これが当日出勤をしまして、その立場からある程度この整理のお手伝いをするというようなかつこうになつておつたわけ、であります。その参賀を受けられる立場につきまして、陛下お出ましになる場所につきましても、事前にいろいろ話が研究されておりまして、例年宮内庁バルコニーお出ましを願つておるのであります。一応旧宮殿のありました焼跡がどうだろうかというようなことも検討をされたのでありますが、焼跡につきましては坂があつたり、その坂の関係等で難点があつたりして、本年も従前通り宮内庁バルコニーお出ましを願おうというように計画を立てたのであります。なお警備との関係につきまして、これは宮内庁の係でありますが、警備関係警察の方にお願いをするという立場でありまして、面接やるのではありません。皇宮警察にまずお願いをし、先ほど申し上げましたように、それから警視庁、場合によつては直接警視庁にお願いするというようになつておりまして、いろいろの行事の場合に、そういうような方法でやつておりましたので、新年の参賀の場合の警備につきましても、従前の例によりまして年末に警察にに御連絡をいたしまして、お願いをしたという形であります。特に集まつて会議をやつたというようなことは、これは先ほど国警長官からもお話がありましたようになかつたのでありますけれども、従来そういうような方法でやつておりますので、その方法とつたわけであります。なお将来のことにつきましては、さらにもつとつつ込んでお願いをする方法を考えなくてはいかぬとも思いますが、今のところそういうようなことで考えておるということを申し上げます。
  13. 田嶋好文

    田嶋委員 今の説明で一応わかりましたが、昨年度の新年の参賀者というものは新聞報道で見ますと、実際のところは二十四万人ぐらいじやないか。しかし世間ではこれを五十万と称し、六十万と称しておる。こう昨年度の参賀者を報じております。実際に最小限度二十四万人として考えましても、これはたいへんな人数だと思う。これだけの人数が集まれば、当然そこにはいろいろな問題が起ることが予想されなくちやならぬと思います。今日の日本の現状をもつてすれば、いくら皇室のおたつとい方、天皇陛下のところに御参賀するといたしましても、私はいろいろなことが一応想像に上つて来ると思う。第一番に二十四万人が集まれば、そこには当然けが人とか病人が出なければならぬと思う。聞くところによりますと、宮内庁の救護衛生官というものは、今御報告にも五名ということでありますが、五名としても私はたいへん人数が少いと思う。報道によりますと、それは形ばかりのことであつて、そこに備えてあつたものはヨーチン一つだというようなことが、事実かどうか知らないが、報道されております。二十四万人の人間が参りまして、ただいま御報告の五名、これでは私は報告自体を真実として受入れても、たいへんな手抜かりな点があるのではないかと思うのです。これらの点についてはどういうお考えを持つてつたのですか。騒々しい問題は起らないものである、けが人、病人は出ないものである、こうした不祥事は起らないものだということを前提にしてのお考えでございましたか、そういうものも考慮に入れての御対策を講じておつたのですか、この点を次長にお伺いいたします。
  14. 瓜生順良

    瓜生説明員 今度の際には、ざつくばらんに申し上げますと、まさかああいうことまで起きるということを事前に予想もしていなかつたのであります。毎年の例もありまするから、ごく軽微な目まいとか、あるいはすり傷などがあるかもしれない、それに備える態勢を考えておつたのでありまして、従つて今おつしやるように救護の態勢につきましては十分ではなかつたということは反省いたしております。そこで今後多数の方が参観をされるような行事の場合においては、宮内庁の職員の衛生係以外にも、場合によつて応援をお願いして、そういうような対策の万全を期さなければいかぬじやないかということを考えておる次第であります。そういう点はおつしやるように十分ではなかつたということは反省いたしております。今後改めたいと思つております。
  15. 田嶋好文

    田嶋委員 そうお無づきになつていただいて、今後の御対策を講じていただけば、これがかえつて不幸が転じて幸になると考えられますので、私どもも将来に期待いたしておりますが、言葉じりをとるわけではございませんがただいまの御説明を聞いておりますと、警備の点に対しては皇宮警察にお願いをするのだ、こういうような御説明でございましたが、一体宮内庁は自分のところを守つていただき、いろいろ警備をしていただくのに、お願い一程度の気持でございますか。もう少し突き進んで警察としつかりと打合せをして、今申しました昨年度二十四万人、今年は当然国の情勢によつてはふえるのではないかという予想もつきます。そうした場合に、もつとつつ込んで、御協議をする、お願いでなしに、こういうようにしてくれというように、あなたの方から指揮的なものにならなくては、完全を期することはできないと私は思いますが、指揮というところまで行かなくとも、指揮的なものにまで至らないと、完全を期することはできないように思います。これは決して言葉じりをとらえて言うわけではございませんが、お願いするというようなお言葉が出ましたから、これはつつ込んでおきたいと思うのですが、一体どういうように皇宮警察とは御連絡したのでございますか。それらの点について宮内庁は立案をして、これだけの人が集まるから、こういうようにというようなところまでつつ込んで御協議しておりますか。ほんとうにお言葉通りに聞いていいのでございますか、お願いしますというようなことで……。この点はどうなつておるか。
  16. 瓜生順良

    瓜生説明員 その点は、今おつしやいました指揮的というようなところまでは行つていないし、これも宮内庁の権限というものもありますので、指揮的になつては権限を越えることになりますので、その点は避けておるわけであります。従つて横の密接な関係のある役所という関係で協力をしていただく、それを先ほど申し上げましたようにお願いというような言葉で申し上げたわけでありますが、その協力をしていただく場合に、いろいろ希望を述べる、それをお願いというようなことで申し上げたわけであります。そういうような点で、今度の場合、その希望の述べ方については、またさらにもつとつつ込んで希望を述べた方がよかつたじやないかというようなことは、反省としてわれわれは持つおります。将来の希望の述べ方についても、今度のこの事故を契機に、さらに十分考えたいと思つております。しかしこれも他の官庁の権限を侵すようなことも、これは役所同士としてできませんので、そういう点は今後避けたいと思います。
  17. 田嶋好文

    田嶋委員 ほかの委員の質問もございましようから、宮内庁関係はこのくらいにいたします。ほぼこれで見当がつくと思います。どうかよろしく今後万全の御対策を御考慮願いたい。  次に国警にお尋ねをいたしたいのですが、今年の参賀に対しまして、二百二十数名の皇宮警察官を動員したという話でございますが、この参賀に対する警備の甘的というものはどこにあるのでございましようか。集会その他集団に対しての警備の目的はいろいろあると思いますが、この参賀の日の警備の目的をどこに置いて、国警は御対策を立てたのでありますか。
  18. 斎藤昇

    斎藤説明員 皇宮警察といたしましては、警備の目的はいろいろございますが、まず陛下の御安泰ということが第一、それ以外は雑沓の整理、この二つが私は一番大きなものじやないかと思います。
  19. 田嶋好文

    田嶋委員 陛下の御安泰、それから雑役の整理というところに警備の目的があると聞きましたのですが、昨年度は二十四万の方が確実に参加したといわれております。それからことしは当然ふえることは予想されたと思いますが、陛下の御安泰という面から参りまして、雑沓の整理という面から参りまして、二百二十名の警官をもつて適当とお考えになつたのでございますか。
  20. 斎藤昇

    斎藤説明員 本年はやはり参賀の方がふえるだろうという見込みから、前年の倍にいたしまして、昨年百十名でいたしまして事なきを得ましたので、倍もあればよかろう、かような計画でおつたわけであります。
  21. 田嶋好文

    田嶋委員 二百二十名の警官は、警備をどういうような方法でおとりになつてつたのでしようか。
  22. 斎藤昇

    斎藤説明員 それぞれ、まずお出ましになるバルコニーの近辺、この辺が一番集まるわけでありますから、われわれあそこには一回に、今年のごときは四万人であつたと思つております。その周辺、それから二重橋の入口、それから鉄橋の前、ここらを中心にいたしまして、二百二十名を配備いたしております。その二百二十名のうちの八十名は、予備隊といたしまして、必要に応じてどこへでも応援に行かれるという配置をいたしております。
  23. 田嶋好文

    田嶋委員 そういたしますと、結局警備の目的が、陛下の御安泰というところに向けられ過ぎて、大衆の雑沓によるところの被害、こうした面は今の警備計画からいたしますと、おろそかのように考えられます。それから宮内庁も率直に認めておりますように、そうした事故救出に対する万金の措置は遺憾ながらどうも不備であつたという点、これらをあわせて考えますとき、やはり雑沓者を防いで、今回起つたような事故の防止策を講ずるという点に対しては、手抜かりが見られるように考えますが、この点はいかようにお認めになつておりますか。
  24. 斎藤昇

    斎藤説明員 仰せの通りではありますが、皇宮警察といたしましては、バルコニーの前の広場、ここが一番けが人も起りやすいところであります。あそこに一回四万人集まるわけでありますし、しかもそこに陛下お出ましまでの間、四十分あるいは三十分ひしめくわけでありますから、ここにやはり主力をそそぐのは、私は当然であると考えております。それまでの間は列をつくつてずつと参入して来るというわけでありますから、ここに主力をそそぐというのが、本来の計画としては穏当じやないかと思つております。ただ列が二重橋前から乱れて、非常に雑沓して、もう押せ押せで入つて来るという状況になりましたので、警視庁の方にその整理をしてもらうように頼んだのであります。従いまして私はさような意味から、配置の計画といたしましては、適当であつた、かように考えております。それから救護の設備でございますが、皇宮警察といたしましては、本来そういつた救護等をやるような仕組みになつておりませんし、またそういう事態も今まではありませんために、皇宮警察官身には救護施設を持つておりませんので、営内庁と相談して、宮内庁の方の救護施設を貸してもらつしおるわけであります。それで昭和二十二年から今までずつと続いておるわけであります。それで先ほど瓜生次長からお話がありましたように、目まいがしたとか、あるいはどこかすりむいたとかという人が数名おつた程度であります。このたびのようなああいう事故は、予想をいたしておらなかつたのが、われわれの失態といえばまさに失態であつた、かように考えます。
  25. 田嶋好文

    田嶋委員 私は警察当局だけをこの問題について責めようと思つていないことを、ひとつ御了承願つておきたいのであります。日本の大衆の自覚をも促すことが大切であると思います。しかしお正月というのは、酒気分が伴うことは当然なのであります。酒気分をのけた正月はない。従つて正月の大衆というものは、日常の大衆よりも、相当気分の点においては浮かれ気分、荒れ気分になつておる。ここに相当警戒をしなければならぬ点があるとわれわれは考えておる。だから大衆もああいうふうに、ワツシヨワツシヨというような声をかけて押し寄せた。これは一応肯定できると思います。こういう点から、やはり大衆の責任も追究しなければいかぬと思つておりますが、この大衆の責任を追究する前に、やはり警察といたしましても、これらの大衆の正月気分をもつて集まつて来るということを、勘定に入れた警備態勢というものを考えておつたかどうか、これも一応聞いてみなければいかぬことだと思つております。普通の日常における状態と違つた警備態勢、これを一応考えてかからなければ問題にならないのじやないかと思いますが、この点に対しては一体御勘定に入れて対策を講じておつたのでございましようか。普通の日常の警備態勢というような形においての態勢のみを考えておつたのでございますか。
  26. 斎藤昇

    斎藤説明員 御指摘のように、お正月気分というものは、これは当然考慮に入れなければなりません。われわれの方も先ほど申し上げますように、昭和二十二年からの行事でもございます。さようなことも考慮に入れながら、皇宮警察といたしましては内部の整理に当つておつたわけであります。ただ先ほどからも申し上げますように、皇宮警察警備は、警視庁との打合せによりまして、六列縦隊、もし非常に込んだ場合においても、八列縦隊で参入をしてもらうという計画になつておりました。その状態において参入せられるということで計画をいたしておりましたために、皇宮警察といたしましては、ただいま申し上げましたような計画配備をいたしておつたのであります。
  27. 田嶋好文

    田嶋委員 前後いたしますが、これもわかつたようなことでわからぬので、お聞きするのですが、皇宮警察と東京都の自治警察、この管轄というものは、どこが境になつて、どういうような連絡をとつて、日常皇居の安全に処しておるのでございましようか。
  28. 斎藤昇

    斎藤説明員 皇宮警察の一応の境は二重橋の入口、石門とあの広場の境、駒寄と申しておりますが、あそこが境になつております。皇宮警察といたしましては、宮城内の警備のことは、一応皇宮警察でやるという申合によつてつておるのであります。法律上はあの中も全部警視庁の管内ではありますが、しかし特別の皇宮警察を置きまして普通の場合における警備警戒というものは一応皇宮警察でやる。こういうとりきめによつてつておる次第でございます。
  29. 田嶋好文

    田嶋委員 ちよつと今度は警視総監にお聞きいたしたいのですが、警視総監の御説明によりますと、当初三十六名の警視庁警察官を現場に駐屯せしめる、こういう話で、予備隊の話もありますが、現実に出動したのは三十六名、こういうように承りましたが、何十万の人間が参賀するその場合に、宮城前広場は相当広いといたしましても、相当に雑沓すると考えられるのですが、三十六名程度の警察官というものは適当な警察官であつたのでしようか。どうお考えになりますか。
  30. 田中榮一

    田中参考人 現在の事件が起りまして、結果論から申しますと、私は三十六名ではきわめて不足であつたと思います。齋藤長官からもお話がございましたごとくに、宮中参賀につきましては、過去六回の実際の経験を積んでおりまして本年がちようど七回目に相なつております。一昨年は宮中参賀のことはなかつたのでありまするが、昨年は大体三十名程度でこれの整理に当つておりました。それから立太子礼のときには四十名の警察官で当つてつたのであります。なぜそのような数の警察官で当つておつたかと申しますと、これは根本的に私どもの宮中参賀というものに対する考え方が建つておるわけでありまして、私どもの考え方としましては、現在宮中参賀は無制限でございまして、何人といえども、橋を渡つて行く者は子供であろうが、赤ん坊であろうが、年寄りであろうが、だれでも行けるという建前、従つてわれわれ警視庁側といたしましては、なるべく多数の者が参賀ができるようにというのが私どものねらいでございまして、従つて参賀者に対しまして元来から言いますると四列に並べとか八列に並べということ自体が、警察としては少しどうかというきらいもあるのでありまするが、しかし混雑を緩和する意味におきまして、丸の内署員が指導いたしまして、従来におきましては大体六列または八列の縦隊に整列させまして参内をさせるように便宜をはかつております。それから、御承知のように、あの祝田通りは非常に交通量が頻繁でございまして、多数の参賀者がこれを横切る場合におきましても、交通事故発生のおそれも多分にございます。ことに婦女子等が非常に多いために、かような観点からしまして、なるべく参賀者を交通事故から防止する、それでなるべく整理という点に重点を置きまして、従来群衆の指導、参賀者の指導ということに当つておりました関係上、むしろ警備という観点でなくして、参内に便宜を与えたいという一つの整理員というようなかつこうで、三十六名の者が参つておつたわけであります。かような関係からいたしまして、根本的に宮中参賀者というものは自発的に参賀される一種の通行人であるというような考え方からいたしまして、交通整理に重点を置いてやつておつたわけであります。
  31. 田嶋好文

    田嶋委員 この皇宮警察が二百二十名、それから自治体警察が三十六名という数、これは双方の警察打合せによつて、この程度ならいいということで、お話がきまつたのでございましようか。それとも皇宮警察なら皇宮警察で二百二十名、警視庁なら警視庁で三十六名ならいいだろうということできまつたのですか。この点は当然両者の打合せがなければならないのですが……。
  32. 田中榮一

    田中参考人 この点は別に壁画警察側に了承を求めずに、警視庁側といたしまして三十六名の警戒員を配置するということを決定いたしまして、これはしかるべき方法をもつて当方は三十六名をもつて一応やる、さらに第一予備隊を出動待機せしめるということは、あと連絡してやつたと思います。
  33. 田嶋好文

    田嶋委員 今の国家警察、自治体警察の御説明を開きまして感ずることは、齋藤長官はいろいろといつていられるようでございまするが、やはり警察本来の職責が、治安警備にあるというようなところから、どうも治安に対しては警察官は非常に万全の対策を講じておるのだが、こうした大衆の集会から生れるところの事故の発生というものに対しては、どうも考えの重点が置かれていないように推察ができるのですが、やはりそうした面に対しての警察官の考えというものは相当検討し、今後是正して行かなければならぬようにお考えになつておるでございましようか。治安警察の大切であることはわれわれも認めます。そうしてしつかりこれはやつてもらわなければならぬが、その反面大衆が集まるときは、治安と同時に衛生、保安というような面、これも相当重点に考えてかからなければ、警察官の万全なる職責を全うすることができないのではないか、こういうようにわれわれは考えるものであります。実は各雑誌その他の評論を見てみますると、とにかく日本の大衆にこうしたことに対して訓練ができていない。救護の問題にしてもアメリカの兵隊が一番活躍した。日本の大衆というものは、百の前に死人を見ながらそうしたことに対して手を出すことをようしなかつた。幸い参賀者の中にアメリカの軍人がおつてたいへん活躍し、また保安隊が出て、これに協力して活躍したということで、大衆がこういうことに対して訓練ができていないということを指摘しておりますが、大衆はやじうま的で訓練ができていないということは、とりもなおさず大衆指導の立場にある警察官というものが、治安の面に対しては非常に神経を使つておる、メーデーなんかがあると、非常に神経を使つて万全の対策を講じておるが、そういう集会に対しては、そうした保安の面を忘れがちで、従つて大衆の訓練もうまく行かないというようにもわれわれは推察できる。大衆の訓練ができていないということが指摘できる。この点は国警、自治警どうでございましようか、お考えになつたことがございますか。
  34. 斎藤昇

    斎藤説明員 ただいま御指摘のことでございまするが、われわれといたしましてはやはり今おつしやいますように、治安の面もさることながら、しかし大衆が集まればこの整理ということは絶えず念頭に置いておるのでありまして、一例をあげますると、陛下の行幸というような際のわれわれの警備はあれに警察官をたくさん出しますのは、そのためにけが人が起つては申訳ないということで、陛下のおつきになる駅前とか広場とかいうものに、もつぱら意を注いでおるのであります。また教養の面からいたしましても、警察官には今後すべて人工呼吸あるいは救急といういわゆる人命保護の技術を一応修得させて、そうしてこの証書をもらつた者でなければ警察官として働かせないというくらいにまで今日やつておりますので、私はその点は以前よりももつと留意が行き渡つておる、かように考えておるのでございます。
  35. 田嶋好文

    田嶋委員 実はここに警察の大切な面が見出されるのでありまして、今回警察法改正なんかが起る場合にも、やはりこれが問題となつて来ると思うのです。とかく日本人は警察というと、治安の面だけを重く見る傾向があるのは、これは非常に大切なことで忘れてはならない第一の問題ではございまするが、警察官には治要が大切であるとともに、大衆に対する保安、大衆に対する秩序の訓練、行動の訓練、これがやはり警察官に課せられた治安に匹敵する大きな任務でなければならぬ。警察が自治的な面から国家的なものに移ろうというような形があることは、治安の面のみを考えて、そうした大衆保護的な面が置き去りにされるというような傾向の見られることを遺憾に思う一人ですが、齋藤国警長官はこの点関していろいろと陳弁はいたしておりますが、やはり二百二十名の警察官を動員して、八十名を予備隊として予備隊をわざわざ置いて、そうして二百二十名の中で治安の一面のみを考えられているような警備状態も見られると思うときに、長官は非常に陳弁いたしておりますが、率直に言つて私は治安の面に重きを置き過ぎて、こうした保安の面、衛生の面その他に対してはおろそかな傾向が国警自体にも見られると遺憾ながら認めざるを得ないのですが、この点は見解の相違になりましようから、この点もう一度いかがでございますか、今の警察で完全にそうした面も織り入れて、国警として目的を達しておるとお思いでございますか、どうでございましようか。
  36. 斎藤昇

    斎藤説明員 私どもの考えが末端に十分徹底していないといたしますれば、非常に申訳ないことだと考えておりますが、少くとも私はただいま申し上げました意味において絶えず指導をし、監督をいたしておる次第でございます。しかし今後ただいま仰せのような意味合いから、さらに御鞭撻をお願いできれば仕合せだと考えております。
  37. 田嶋好文

    田嶋委員 さつき説明をした点は、これは警視総監からもお聞きしたいのですが、私は今日の警察国警と自治警を比較してみた場合に、やはり自治体警察の特色かもしれませんが、国警ということになりますと、もちろんこれは、いなかに今日国警警察がおるということからも生れることにもなりましようが、国警というのは、治安面が非常にすぐれており、治安面を重点的に取扱つておるような傾向が見られる。自治体警察の特色といえば、治安面も非常にやつているが、その反面、やはり自治体警察であつて、自治の、大衆の監視を受けているという点から、国警よりも自治体警察の方が保安の面、衛生の面その他にはすぐれているような傾向が見られるのですが、この点は齋藤国警長官、お答え願わなくてもいいのですが、お答え願えればまことにけつこうですから、私見を述べると同時に、お答えを願いたい。それから今申し上げましたように田中警視総監には、私の先ほどの質問に対してのお答えをお願いいたしたいと思います。
  38. 田中榮一

    田中参考人 もちろん自治体、国警の区別はございますが、警察の任務というものは両者何ら差異はございません。やはり治安関係も大事でございまするし、また大衆関係のものも当然大事なことでございます。そこで従来警視庁といたしまして、たとえばいろの実例がございます。両国の川開きであるとか、あるいはとりの市であるとか、池上本門寺の御会式であるとか、いろいろ雑沓取締りに、従来いろいろな経験を積んでおりまするが、このときには、多いときには二、三千名、少くとも二、三百名ないし五、六百名の警察官をいつも出しまして、雑雑沓整理に当つております。ただ正月二日に関しまする限りは、最初申し上げましたごとくに、私どもの見方が全然甘いといえば甘いことでありまするし、誤つておつたといえば誤つてつたのでありますが、要するに宮中参賀であるということから、多数の警察官を繰出して警戒警備に当るということ自体が、どうも適当でないという考えから、三十六人の警察官を交通整理の必要上繰出したのでありまして、今後はさような点も十分考えまして絶対に再びかようなことがないような対策を講ずるように、今いろいろと準備いたしております。
  39. 田嶋好文

    田嶋委員 重点はさつきの私の申し上げた点にあると思います。要するに警察官は治安維持が大切であると同時に、私はやはり保安の面、衛生、それから大衆訓練、こうしたことは、ぜひ警察官にやつてもらわなくてはならぬ任務である。ところがとかく日本の警察官というものは、戦前から今日まで——今日はうんとかわりました。自治体警察ができてかわりましたが、戦前においては特にそれが顕著でありました。それがやはり風習的に今日に残つている点がある。治安の面のみがどうも重く取上げられて、そうした消極的な面が少い。この点に対して齋藤国警長官は、もう一度お聞きをいたしますが、現益の警察官で十分であつて、考える余地はないものとお考えになりますか。もう一度お尋ねいたします。
  40. 斎藤昇

    斎藤説明員 ただいまの点は、私田嶋委員とまつたく同じ考えでありまして、まだまだ伸ばして行かなければならないと考えております。何と申しますか、人命の保護、民衆の保護、こういつた場合の大衆整理というような点については、もつともつと伸ばして行かなければならないと考えております。先ほども申しますように、以前の警察ではほとんどやつていなかつたのでありますが、数年前からは警察官にはすべて救急法を習得させ、人工呼吸あるいはけがをした場合の応急処置、これをかついで行くことから全部教えまして、そうして検定をとらせて、その検定の満足な者でなければ監督者にしない。それからまた水難救護、これも検定をとらせまして、そういつた人命保護というものが、まず警察官の一番の、心得るべき事柄だというわけで、この検定をとることを要件にさえもいたしてやつて折るのであります。そういつた趣旨から、もつともつとこういつた考え方を伸ばして行きたい、かように考えております。
  41. 田嶋好文

    田嶋委員 それでわかりましたが、そこでそれを伸ばして行く一つの方法として、私は官僚意識の強い国家警察というもの、治安の面を取締るには非常にこの方がいいが、しかしそうした消極的な保安の部門、衛生の部門、大衆訓練というようなものは、大衆に親しみのあるところの官僚意識のない自治体警察の方が、大衆に親しみを持つておるのですから、より多くの効果を発揮できるように考える。この点は今日の警察を見て、齋藤国警長官そういうふうにお考えにならないでございましようか。治安の面は、あるいは官僚意識を持つたしつかりした警察官にやつてもらつた方が、効果が上るような気がするが、それと反対に、消極面はやはり大衆に親しみを持つた警察官に当らした方が、両方とも重大であるとすれば、効果がより上るのではないか。
  42. 斎藤昇

    斎藤説明員 これは、またいずれ警察法の際に十分御検討をいただくことだと存じますが、御承知のように、自治体警察を廃止いたしまして、国警の方に編入をいたしました所が施行後大分できおります。われわれといたしましては、そこらにおいて警察が官僚化したじやないかという声を聞くのではないかという心配をいたしておるのでありますが、幸いにして、あるいは私がつんぼであるのか存じませんが、特に官僚的になつたというようには聞いておりません。要は私は教養なり監督なり、それから国家警察といえども、やはり大衆から絶えず監視をされておるわけでありますから、さように違つたものじやないのじやなかろうか、かように考えております。
  43. 門司亮

    ○門司委員 ちよつと資料だけ……。きようはこれで時間が来ておりますので、これ以上聞ききませんが、資料をちよつと要求しておきます。それは皇宮警察の方から警視庁に対して、この事態について打合せをしなかつたというお話がありますが、打合せをしなかつたとするならば、文書か何かでも、当日はこういうふうにするというふうな書類がとりかわされておるかどうか、もしそういうものがあつたとするならば、それをお示し願いたいと思います。これを次の会議までに、ぜひ届けてもらいたいと思います。
  44. 中井一夫

    中井委員長 おわかりになりましたか、ただいまの門司委員の御要求は。
  45. 田中榮一

    田中参考人 皇宮警察から十二月二十二日付の今回の参賀に対する警備計画の通達がございますので、その文書をひとつ差上げたいと思います。
  46. 中井一夫

    中井委員長 それでは本日はこの程度で質疑を中止いたします。  なお本件につきましては引続き明日午前十時から進行いたしてよろしゆうございましようか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  47. 中井一夫

    中井委員長 それではさように決定いたします。当局におかれましては、明日正十時何とぞ重ねて御出席を望みます。  これをもつて散会いたします。     午後零時三十二分散会