○安武
参考人 信用金庫の窓口を通じましての
中小企業の
金融の現状を申し上げますと、お手元にお配りしております信用金庫の
預金と貸出しの趨勢の大きい表でございますが、それをごらん願いますと、大体
預金が十月末で二千百七十億という数字でございまして、この
増加の
状況は、本年の初頭、四月までは、三月きを除まして
減少をいたしたのでございます。しかしながら、五月から若干持ち直しまして、八月が最高の三十七億というような
増加でありますが、九月には御
承知の災害のために、被災地の方の
預金の伸びが、意外に伸びません
関係から、三十一億にとどまりましたし、十月は一部推定が加わ
つておりますが、二十五億
程度にな
つておるわけでございます。これらの事情は、上の欄の前年同期の表をごらんになりますと、大体金額におきましては昨年の六、七割、率にいたしますと半分くらいにしかな
つておらない、こういう実情でございます。
貸出しの方は、十月末に千七百二十四億という数字でございますが、借入れの申込みの
状況は、前の表でごらん願いますと、業者の方の
手控え等も若干ありましたのか、累月
減少をいたしております。信用金庫全体といたしましては、
預金の伸びが思わしくありません
関係で、
資金の不足を告げておりますので、貸出しの方も一応引締めざるを得ない、こういう実情でございます。しかしながら、九月には災害地の
資金需要もございましたので、本年最高の貸出しの増とな
つておりまして、この貸出しも、全体を通じますと、大体昨年の半分
程度、こういうことでございます。貸出しの申込みと貸出しの実績とにつきましては、そこに表に出しておりますが、特異の現象は見られないのでありまして、大体申込みに対しまして八割
程度を、件数におきましても金額におきましても満たしておる。これが金庫といたしましては手一ぱいのところじやないかというふうに考えております。ただここに貸出しの申込みとい
つておりますのは、窓口に口頭でも
つて来たのではなくて、直接書面が出され、借入れの申込みがなされたものだけの件数でございますので、口頭なりその他で来ます分はこの件数に入
つておりませんので、それらの方の
状況を考えますと、これよりも
相当上まわる数字じやないかと考えております。
そこで年末の方の予想は、一番前の表に出して見たのでございまして、これは一応各金庫の
資金の第三・
四半期の需給見込みを別表のような表でと
つてみたのであります。それを累計したのでございます。それによりますと大体三箇月間に千五百七十七億
資金の需要が考えられる。それを
預金の
増加なり、貸出しの回収、それから
政府の指定
預金の引揚げ、公共
企業体の方の
関係、こういうものを過不足いたしまして、千五百九億
程度はどうにかまかないがつく。
従つて差引六十八億が金庫全体としては足りない額になりはしないか。十一月、十二月の指定
預金の引揚げが延期されるというようでございますが、これを見ましても、せいぜい七億六千八百万という数字でございますので、やはり六十億
程度が不足する、こういう実情のようでございます。この
関係はすでに御案内のように、いろいろ
銀行さんの
お話のように、
中小企業についての御熱心な御
検討が進められておりますが、数字の上におきましては、
中小企業向けの貸出しが、昨年の九月には総貸出しの三二・三%から今年の八月には二九・二%ということで、
中小企業向けの全体の
比率は
銀行さんの方はかなり下
つて参
つておりますので、そうしたしわ寄せなんかがやはり信用金庫なり
相互銀行の方に来ておるということが言えるのではないかと思います。どうしてもこの年末を越しますためには、その
程度の
資金を必要といたしますので、何としてもこの
政府の指定
預金の新規の預託を御考慮願うなり、先ほど島崎さんから話したような、日銀の別
わくの
資金というようなものを考えていただきたい。これは
要望を申し上げて恐縮でございますが、そういうふうに考えるのでございます。
それからもう
一つお願い申したいことは、ことしあたりは御
承知のように豊作でございますので、
地方ではこの十月、十一月にかけましては
供米代金等の
支払いが進みまして潤
つておるわけでございますが、この
供米代金の取扱いにつきまして、信用金庫なり
相互銀行では取扱いができないのでございます。これは特に米作地におきましてはそうした声が強いのでございますが、現在のところまだその実現を見ておりません。さらに農協の取引も、これは系統
機関を
強化して行く上におきまして当然のことかとも思いますが、信用金庫なり
相互銀行なりに対します農協からの
預金取引ということができないのでございます。
従つて現在
農村の方におきましては、ある
程度の
資金の余裕がありますにもかかわらず、その土地にあります信用金庫なり
相互銀行なりにはその
資金がまわ
つて来ない。こういうような
関係で、農中に集まりました金は、大
銀行のコールなりあるいは最近は売オペレーシヨンなりに使われております。これをじかに農協との取引なり
供米代金の取扱いということができますならば、その土地におきます金が中央まで来なくて、年末におきましての
中小企業向けに充てられるのではないか。そういたしまして、また
中小企業者の方がある
程度余裕があります春先になりますれば、また農協を通じまして肥料の
資金なりにまわす、こういうそのときにおきます
資金の還流ができるということからかねがね
要望しておるわけでございます。特にこの年末にさしかかりまして、そうした
供米代金がたくさん出ておるわけでございますので、格段の御
配慮をお願いしたいと思います。
それから
全国信用金庫連合会におきましても、かなり年末
金融に対しまして考慮を払いまして、現在大体百億
程度の余裕金を持
つておりますので、このうち十億ないし二十億を特に年末に放出しよう、こういうような
計画で進めております。特にそれには現在の
中小企業者が一番最後の担保として持
つておるのは、
店舗なりあるいは若干の不動産でございまして、不動産に対しまする貸出しが、信用金庫の場合におきましては昨年の一九%からことしは二一%というように、一年間に不動産担保
貸付がふえておるのでございまして、この不動産担保
貸付の担保にな
つておるものを連合会に持ち込みまして、
資金化をして年末に間に合せよう、こういうことで進んでおるのでございまして、自主的な貯蓄増強はもちろんのこと、連合会自身といたしましても、何とかそこに
資金の配意をしておるわけでございますが、総体におきましては、先ほど申しましたように、まだ十分と言えないわけでございますので、
政府その他日銀の特別の御高配を願いたい、こういうふうに考える次第であります。