○井上
委員 ただいま渡辺
主税局長から
税制改正に関する政府当局の御答弁を伺
つておりまして、これは政務次官にも聞きたいのでありますが、問題は、来
年度のわが国の財政
計画がどの規模まで行くであろうかという想定でごさしますが、これに対しては、すでに大蔵大臣にいたしましても、また他の
関係の方々におきましても、大体一兆円をそう大きく上まわるということは、やはり現在の諸般の情勢から困難ではないか、こういうことが大体において言われております。もちろん外資の導入がどうなるか、あるいは外国為替の
関係がどうなるか、その他諸般の問題が大体出そろわないと、来
年度の財政
計画は具体化されないということは、常識的にはわか
つておりますけれ
ども、その点が多少日本に有利に展開されるにしても、
国内の財政規模としましては、一兆円をそう大きく上まわるということは大体
考えられないのではないかということが、
一般的な常識ではないかと私
どもは見ております。そういう見地から、来年の
税制の大体の構想を、政府としてもおよそすでに腹構えをきめて行かなければならぬときに
なつておりはしないか。それはどういうものが新しくどれだけいるかという見通しがつかない限りは、その財政収入の一番大きい税収入をどの程度に押えて行くかということがわからぬ、こういう言い方を今渡邊さんはしておるのであります。そういう見方も
考え方によれば立つかもしれません。しかし政府の今と
つております緊縮財政政策によ
つて、これをインフレにもどすなら別ですが、もどさずに、わが国の堅実な財政
計画を立てようとするなら、大体この政策はそう簡単に変更できないではないかと私
ども考えるのであります。そう見ますと、わが国の国民生活なり、あるいはそれから出て来ますわが国の産業全体の動きというものを見て、国民所得が一体どう動いて行くかということはおよそ推定がつくはずであります。それがつかぬということはおかしな話じやありませんか。大体政府の政策は動かされるものではないじやないか。これはまた内閣がかわりまして、非常に極端な政策をとるなら別ですけれ
ども、しかしわが国の置かれております今日の国際的な地位から、また国際的に日本の置かれておる経済上の姿から
考えて、いずれの内閣ができましても、大きな変革が行われるとはそう簡単に
考えられない。ただそれを
計画的に、総合的にやるのかやらぬのかという問題はありますけれ
ども、私は大体そういうように見ておる。そう見ますと、来年の財政
計画の上における税収入の占める位置がおよそどういうものであるかということについては、おそらく渡邊さんの方ではもう
検討しておるに違いないと思う。そこで、私
どもそれから推定いたして参りますと、結局今の政府のデフレ政策が浸透して参りますと、結局中小企業という弱い面がこの犠牲になることは隠すことのできない事実だと思う。しかも弱い面、つまり所得の少い面がこの犠牲を受けておるのです。この所得の少い面がまた一番納税人員として多いのです。そういうところから、政府全体の収入が、税収入の上において実際
相当減ります。個々の
金額は少くとも、数が多いので、私はそういうように
なつて行くのではないかと思う。その税収入全体が来
年度は減りはせぬかという
一つの見通しの上に立
つて、現
税制度を大きく改正するということ、特に低額所得者に対し不合理な
税制をかえるということがこの際困難であるというような議論は、私はどうも納得できない。政府のデフレ政策が徹底すれば徹底するほど、大衆のふところは苦しく
なつて行きます。
従つてその反対に、
税制をできるだけ緩和してあげて、減免の
措置を講じてやるというやはり片一方で生きる道を
考えてやらなければいかぬと思う。あなた方の机の上のそろばんでは、
さきに申しますように、全体が非常に大きく犠牲を受けますから、税収の面も非常に減
つて行くという
一つの見通しが立ちますので、だから減免の処置は講ぜられないという
考え方がそこに出て来ますけれ
ども、しかしまたその反面、一番収入の少い者が政府の政策の一番大きな犠牲を受けるということもまた事実です。そういう面で、特に低額所得者の減税ということについて格段の
対策を講じてやることが政府の政策をうまく遂行さす上からも必要ではないか、私はそういう
考え方なんです。だから、単に政府の財政規模がきまらぬから、税収の面についてもまだどうするという見通しがつかぬということでなしに、およその筋はわか
つておりますから、その上において少額所得者に対して来年もまた
相当減税することが正しい、こういう
一つの確固たる信念で
税制改革に乗り出してもらいたい。去年の
税制調査会の答申においても、あなた方の
国会における答弁では、これが全部実現できぬなら、国の
予算の許す範囲において漸次や
つて行くということを言明しておりますから、そういう面からも、特に新しい
税制を取捨選択いたします場合お
考えを願いたい。
それからまだ
一つ懸案に
なつております例の高級織物に対する消費税の問題でありますが、これが
国会において審議未了になりまして、政府の方においては税収上大きな赤字が出ておるわけです。政府としてはこれを次の
国会に
提出する腹でおりますか、それともこれはやむを得ない、悪税として再び
提出する意思はない
考えでありますか、これは政務次官からもひとつ御答弁を願いたい。私の今申し上げましたことについて、政務次官並びに
主税局長はどうお
考えに
なつているか。
それからもう一点、時間がありませんから簡単に伺いますが、先般十二号、十五
号台風が日本本土に上陸いたしまして、農林
関係あるいは建設
関係その他の
方面に非常な
被害を受けておりますが、その
被害総額と
災害復旧の
見込額、及びこれに要します応急
復旧費は一体どれだけ見込んだか、そうしてそれを
予算化せずに予備金で一時まかなうという話でありますが、
年度末までに予備金をどれだけ出す余裕があり、それが要求額とどのくらい違
つているか、それからその間つなぎ
資金を出そうとするでありましようが、つなぎ
資金の
状況はどう
なつているか、今後出せる見込みのものがどれだけあるか、これらについて御答弁願いたい。