運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1954-10-11 第19回国会 衆議院 大蔵委員会 第74号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年十月十一日(月曜日)     午前十時五十二分開議  出席委員    委員長 千葉 三郎君    理事 黒金 泰美君 理事 久保田鶴松君    理事 内藤 友明君 理事 井上 良二君       大上  司君    大平 正芳君       島村 一郎君    苫米地英俊君       宮原幸三郎君    三和 精一君       藤枝 泉介君    小川 豊明君       柴田 義男君    福田 繁芳君       本名  武君    春日 一幸君  委員外出席者         総理府事務官         (自治庁税務部         府県税課長)  細郷 道一君         大蔵政務次官  山本 米治君         大蔵事務官         (日本専売公社         監理官)    宮川新一郎君         大蔵事務官         (主税局長)  渡辺喜久造君         日本専売公社理         事         (塩脳部長)  三井 武夫君         専  門  員 椎木 文也君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 十月一日  委員有田二郎君及び柴田義男辞任につき、そ  の補欠として山口六郎次君及び正木清君が議長  の指名委員に選任された。 同月五日  委員田渕光一辞任につき、その補欠として坊  秀男君が議長指名委員に選任された。 同月七日  委員本名武辞任につき、その補欠として早稻  田柳右エ門君が議長指名委員に選任された。 同月八日  委員稻田柳右エ門辞任につき、その補欠と  して本名武君が議長指名委員に選任された。 同月九日  委員山口六郎次辞任につき、その補欠として  青柳一郎君が議長指名委員に選任された。 同月十一日  委員正木清君、小西寅松君及び本名武辞任に  つき、その補欠として、柴田義男君、三和精一  君及び吉川久衛君が議長指名委員に選任さ  れた。     ————————————— 本日の会議に付した事件  補助金等に係る予算執行適正化に関する法  律案内閣提出第一四七号)  接収解除ダイヤモンド処理等に関する法律案  (中野四郎君外二十一名提出衆法第一五号)  接収貴金属等処理に関する法律案内閣提出  第一二五号)  銀行法の一部を改正する法律案春日一幸君外  六名提出衆法第四六号)  国有炭鉱医療施設譲渡及び貸付に関する特  例法案伊藤卯四郎君外六十三名提出衆法第  四七号)  資金運用部資金法の一部を改正する法律案(福  田赳夫提出、第十六回国会衆法第五一号)  税制に関する件  金融に関する件  国有財産管理状況に関する件  専売事業に関する件     —————————————
  2. 千葉三郎

    ○千葉委員長 これより会議を開きます。  補助金等に係る予算執行適正化に関する法律案接収解除ダイヤモンド処理等に関する法律案接収貴金属等処理に関する法律案銀行法の一部を改正する法律案国有炭鉱医療施設譲渡及び貸付に関する特例法案資金運用部資金法の一部を改正する法律案の大法律案並びに税制に関する件、金融に関する件、国有財産管理状況に関する件、専売事業に関する件の四件を一括議題として審査を進めます。質疑の通告がありますので、順次これを許します。福田繁芳君。
  3. 福田繁芳

    福田(繁)委員 私はただいま議題となりました専売事業に関する件に関連いたして質問いたさんとするものであります。  まず三井塩脳部長に伺いたいのでありますが、前国会の当大蔵委員会において、塩脳部長として御就任されて間もなくこちらへ御出頭願いまして、御承知国内塩自給対策について、昭和二十五年のいわゆる五箇年計画に基く閣議決定に関連してその後の模様を伺ったのでありますが、それに対して就任日の浅い三井塩脳部長から、かねての閣議決定目標である六、七十万トンの増産対策もおおむねでき上り、ここ二、三年後には達成するように大いに努力を払われるという心強いお言葉を伺いましたので、われわれ塩業に格別の興味と理解を持っておる者といたして非常に敬意を表して参ったのでありますが、聞くところによりますと、先般の第十二号台風及び第十五号台風によって、塩業地である瀬戸内海を中心にして数県に莫大な損害を生じ、それがためにせっかく専売公社が抱いておる六、七十万トンの自給対策が根本からくつがえされはしないかということをわれわれ非常に心痛いたしておるのでありますが、塩脳部長のお手元においては、十二号、十五号両台風で生じた塩業地損害の計数も十分出ておることであろうと思いますから、順序としてまずそのあらましをこの際伺いたいと思うのであります。
  4. 三井武夫

    三井説明員 ただいま福田委員から、先般の十二号及び十五号台風によりまして、塩田関係相当被害があって、本年度国内塩生産状況が憂慮されるというお話がございました。私どもといたしましても、今まで毎年国内塩生産天候の不良あるいは災害等に災いされまして、せっかく多額の補助金なり農林漁業資金なりを投入いたしまして、二十五年の閣議決定の線に従って増産努力しておりますにもかかわらず、その成績が上っておりませんので、まことに残念でございます。本年こそはと思っておりましたやさきに、また今度の災害でございます。非常に落胆し、かつその結果につきまして憂慮いたしておるような次第であります。  本年度生産状況は、すでに御承知のように、七月まで非常な長雨が続きまして、七月までの成績ははなはだよろしくなかったのであります。私どもといたしましても、この分では本年また相当生産減少になるのではないかということで憂慮いたしておりましたところが、八月に入りまして非常に天候が回復いたしまして、八月はほとんど毎日のように採鹹ができたというような状況でありましたので、この分でありますれば、今年こそは少くとも昨年に上まわる成績を収めることは可能であろうと期待しておったやさきに、今度の二つの台風によりまして、ほとんど専売制度創設以来の大災害をこうむるというような、まことに情ない状況に相なったのでございます。  十二号及び十五号台風被害状況を概略申し上げますと、私もおもな地方は一まわりいたしまして、実際にもいろいろと調べて参っておりますが、それらの調べに、私の参りません地方のその後に参りました調査員報告等を集計いたしました被害総額は、十二号及び十五号、合せまして十五億九千五百万円に相なります。これが一番新しい報告に基く集計でございます。その内訳は、十二号台風によりますものが七億七千八百万円、それから十五号台風によりますものが八億一千六百万円でございます。十五億を越えます損害は、先ほども申しましたように、塩業としましてはかつてない大きな金額でございまして、その内訳を申し上げますれば、塩田及びこれに付属いたします濃縮施設——枝条架でありますとか、鹹水だめでありますとかいつたような濃縮施設を合せまして九億四千四百万円、被害を受けました塩田面積は九百四十九ヘクタール、約手ヘクタールに近い塩田被害を受けております。それから塩田防災施設、おもなものは堤防でありますが、塩田防災施設関係被害額が五億八千二百万円、その双方合せました直接塩田に関連を持ちまする被害総額が十五億二千六百万円ということになつておるのであります。堤防の欠懐いたしました延長数は千八百四十九メートルということになつております。約二千メートル近い堤防欠壊をいたしまして、そのために海水が塩田に流入いたしまして、塩田をすつかり破壊してしまつたような状態でございます。その他の工場施設、資材に関係いたしますところの被害額が四千九百万円、それから塩、にがり、鹹水を流出いたします等の損害が一千八百万円、合計いたしまして先ほど申し上げました十五億九千五百万円という額になつております。  これに対しまして、公社といたしましては最も速急にこの被害を回復し、今後再びこのような災害を繰返すことのないように、十分な堤防等復旧塩田施設復旧努力いたしたいと考えておりまして、これに対しましてはできる限りの補助金を交付し、また農林漁業資金等での応援をいたしたいと考えておりまして、ただいませつかく関係方面ともその対策についての準備をいたしております。堤防関係につきましては特に重点を置きまして、高率補助措置考えております。  塩田復旧につきましては、この際経営的な計画として進めておりまする新しい流下式塩田への転換を、今度災害を受けました塩田にできる限りやらせることにいたしまして、この際理想的な塩田復旧したいということで、この方にもできるだけの補助金農林漁業資金を動員することにいたしたいと考えております。  そうした対策によりまして、復旧にはできる限りの努力をいたしたいと思うのでありますが、何にいたしましても災害によりまして相当の塩、鹹水を流出させておりますし、また復旧の期間中採鹹がでぎないというような関係もございまして、今年度中におきまする塩の減産見込額は四万五千トンから五万トンくらいになるのではないかというふうに存ぜられるのであります。そういたしますると、本年度生産見込みといたしましては、四十五万トンないし五十万トンと考えておりましたので、ちようどその一割に当るものが本年度減産として見込まれるわけでありまして、本年度またあるいは四十万トンを割るというような成績になることははなはだ遺憾にたえない次第でございまして、いまさらながら災害の影響の大きいことを痛感するのでありまして、今後このような災害を二度と繰返すことのないように、この際復旧にできるだけ努力いたさなければならないというふうに考えております。  なおただいま申しました国内塩生産減につきましては輸入外垣でもつて補いまして、国内一般食用塩の供給はもちろんのこと、工業塩につきましてもいささかも配給の点に不安のないように努力いたすことになつております。この方の措置は十分いたしておりますので、その点は御心配のないようにいたしたいと考えております。
  5. 福田繁芳

    福田(繁)委員 なおつけ加えて伺いたいのでありますが、三井塩脳部長は、食用塩国内需給量を大体どの程度に目安を置いておられるか、それを伺いたいと思います。
  6. 三井武夫

    三井説明員 本年度国内食用塩需要額といたしましては、百万トンを予定いたしております。
  7. 福田繁芳

    福田(繁)委員 昭和二十五年の閣議決定をされた当時、言いかえれば最小限度七十万トンは確保しなくては国策上困るといつた時代があつたのでございますが、その昭和二十五年当時は大体年産何トンほど生産しておつたか。
  8. 三井武夫

    三井説明員 お尋ねのございました昭和二十五年度における国内塩収納高は四十二万六千トンでございました。
  9. 福田繁芳

    福田(繁)委員 なお伺いたいのでありまするが、昭和二十五年のただいま申した七十万トン計画——当時五箇年計画をされて、本年度まで四箇年経過したことになるのでありますが、この四箇年に塩業に対して国費をいかほど補助されたか、その四箇年の総額がおわかりであれば伺いたいと思います。
  10. 宮川新一郎

    宮川説明員 閣議決定に基きまして、当初補助金を支出いたしました年度が二十七年度なつております。二十七年度におきまする補助金支出額は、四億四千九百八十八万八千円、二十八年度が二億四千九百七十万九千円、二十九年度は二億五千万円を予定いたしております。
  11. 福田繁芳

    福田(繁)委員 さすれば、昭和二十五年に四十二万六千トンできておつたのでありますが、先ほどから繰返して申し上げる通り、どうしても国策上七十万トン必要であるというので、七十万トンを生産目標にして五箇年計画をされて、過去四箇年に大体十億のとうとい国費をこれに補助したのでありますが、その結果どれほど増産したかというと、昭和二十五年に、先ほど三井塩脳部長のおつしやる話がその通りならば、四十二万六千トン、しかるに依然として本年も四十五万から五十万トン、災害で一割ほど減ずれば、勢い四一二、三万トンということになつて来るのですが、そうすると四箇年前に五箇年計画閣議決定をして、十億ほどの国庫補助を投じて、そうしてえんえんと四箇年の日にちをここに送つておきながら、何らの増産を見なかつた、こういう結果になるのでありますが、これに対していかようにお考えになりますか。
  12. 三井武夫

    三井説明員 ただいま御指摘の通り塩業に対します補助金なり農林漁業資金効果というものは、数量の上においてはまことに成績が上つておらないのでありまして、その点私どもといたしましても常々まことに努力の足りないことを遺憾といたしておるのでありますが、大体二十七年度までは、補助金及び融資金を主として防災関係に注ぎ込んでおつたわけでございます。つまり堤防の補強、新設というような方面相当部分使つてつたわけでございます。当時改修補強いたしました堤防は、今回の災害におきましても、幸いにほとんど決壊いたしませんで、防災の役を果しておつたのでありますが、今度やられました堤防は、当時一応安全であろうということで補強いたしませんでした堤防相当やられておるというようなことで、今度のような大きな災害を受けてみますと、いまさら防災関係の充実ということが痛感されるわけなのであります。しかしながら防災関係に金を使いましても、実は災害を防止できるというまことに消極的な効果しかしらないのでありまして、塩の増産という方面には直接の効果がないのでありますが、しかし今度のような災害でその個所が、堤防が切れずに済んだということは、考えてみればこれまた大きな効果であつたと思うのでありまして、私どもとしても決して補助金なり農林漁業資金なりがむだに使われておつたのではないということで慰めておるような次第であります。その後二十八年度以降におきましては、御承知のような塩田の新しい流下式転換の方に重点を置きまして、その方の仕事を急速に推進して参つております。今年度流下式転換の三年目に当るのでありまして、本年度におきましても、大体四百町歩近い面積流下式転換することにいたしております。そうしますと、今までに転換を了したものが大体四百町歩近い面積なつておりますので、それを合せて、七、八百町歩くらいの面積が今年度末におきましては流下式転換を了するわけであります。この流下式転換をいたしますれば、相当量増産が期待できるわけなんでありまして、私どもとしては二十七年度以降の補助金融資金を導入した流下式転換効果が、本年度くらいには数量の上に現われて来ることを期待しておつたのでありますが、不幸にして先ほど申しましたような災害を受けまして、その効果がまた本年度もお示しできるような状況にならないというようになりまして、まことに遺憾に存じております。しかしながら、今度の災害を受けた状況を見てみましても、流下式塩田と従来の入浜式塩田とが同じ冠水を受けた場合を比べましても、流下式塩田粘土でもつて下に固い地盤をつくりますので、その上に水が入つてどろが乗りましても、上に乗りましたどろが下の粘土とくつきませんので、水が引きますと、きれいに皮がはがれるようこはがれてしまいます。従つて上の撒砂さえ補強いたしますれば、完全に流下式塩田復旧ができます。それに比べますと、入浜塩田の場合には地盤が全然荒されてしまうのであります。塩田毛細管現象が全然起らないという状況なつて参りますので、相当下まで掘り起して復旧しなければならない。これを考えましても、流下式に直しておりますと、かりに災害を受けて水をかぶりましても、入浜塩田に比べますと、復旧がかなり容易であるというような事実をもはつきりつかんだわけであります。入浜塩田流下式転換することの効果が一層見られるわはであります。今後この流下式転換計画災害復旧計画をあわせてできるだけ強力に実施いたしまして、国内塩増産に努めなければならぬというふうに考えております。流下式転換効果は必ずここ一、二年のうちには数字の上にも現われて来ることを確信しておるわけでございます。どうぞひとつこの点について公社努力しておりますことをお認めいただきたいと思います。
  13. 福田繁芳

    福田(繁)委員 お説のごとくに塩田の所在地と申しまするか、こういうところは立地条件上予期しないところの台風などが生ずる場合に、えてして甚大なる被害をこうむるということもわれわれ了承ができるのです。そして過去四箇年に十億ほど投じた国費というものは、防災関係重点において、一つ生産工場の過程でいうならば、基礎工事に注がれて、そうして今度の災害にもそれは比較的効果的であつたということもわれわれは了承できるわけなんです。さすれば残されるところは、いかにしてこの七十万トン計画に即応するようにやるかというならば、あなたの後半の話にあつたことくに、いわゆる技術の改良と申しますか、生産工程検討重点を置いてこそ、毎年毎年、所期通り増産ができると私は考えます。その点において一段とごくふうをされんことを願います。  なお少し参考に伺うのでありますが、今申したところの生産工程改良によつて増産をはかるという意味合いにおいて、専売公社は非常にそういうことを御研究されて、そうして補助金なりあるいはあつせん融資をされたということを聞いておるのでありますが、その一つとして現われましたのが、あのYE十二型の三重効用蒸発罐、こういうのがありまして、全国二十六箇所ほどすえつけされたと聞いておるのでありますが、これは一体その後どうなつておりますか、これを伺いたい。
  14. 三井武夫

    三井説明員 お尋ねYE三重効用蒸発罐でありますが、これは御承知のように現在各地で利用されております真空式工場機械の初期的な一つのタイプでございまして、その当時同じような機械相当各地で用いたのでありますが、各地ともそのまま残つておりますところはおそらくないと思います。その後いろいろと改良を加えまして、利用しておりますものはまだ各地にございます。公社の小田原の試験場におきましても、今お尋ねYE型を現在でも使つておりまして、いろいろの試験に役立つております。当時としてはこの真空蒸発罐の非常に新式のものであつたのであります。公社相当研究をいたしまして荏原製作所に製作させたものでございます。
  15. 福田繁芳

    福田(繁)委員 ただいま伺つた問題は非常に専門的になりますので、いずれ席を異にして伺いたいと思いますが、これに対してはあなたも相当検討を加えてもらいたいと思う。われわれの灰関するところによりますと、この機械製作よろしきを得なかつたというので、あたら国費を投じ、とうといあつせん融資を加えたにかかわらず、ことごとくのものはスクラップ同然に処分されつつあるということを聞いておる。非常に国家財源の不足を来しておる今日、国家のためにも嘆かわしい問題だと思いますので席をかえまして篤と懇談いたしたいと思う。  なお質問を続けたいのでありますが、先ほど十二号、十五号台風で十五億九千五百万というところの甚大なる損害があつたということを聞いて、専売公社も寒心にたえぬ、われわれも懐然とするという状態でありますが、これに対する大体の操作と申しますか、この十五億九千万の被害に対していかように善処されるか、その内訳を伺いたいと思うのであります。
  16. 三井武夫

    三井説明員 今回の塩業にこうむりました損害に対しまして、ただいま公社として考えております復旧の概要につきまして申し上げます。  先ほど申し上げましたように今回の災害堤防の決潰に基くものが非常に大きな原因であつたのでありまして、堤防関係復旧をすることが最も緊要であると考えます。従つて災害復旧にあたりましても、堤防関係復旧を最重点的に採用いたしまして、堤防復旧につきましては、単に原状の回復を目標にいたしませんで、原状以上に強固な堤防をつくることを目標にいたしまして、あらゆる面から技術的な検討を加えまして堤防復旧をやつて参りたいというふうに考えております。この堤防復旧につきましては、いわゆる高率補助措置を適用いたしまして、一定額を越える部分につきましては、最高限度九割までの補助考えることにいたしております。  それから塩田関係復旧でありますが、先ほど申しましたように、問題の一つは今度入浜塩田災害を受けました場合に、これを元の入浜塩田復旧する方がいいか、それとも新式流下式塩田転換させる方がいいかという点でございます。その点につきましては、入浜塩田災害を受けましてこれを原状復旧する場合に、相当額復旧費を要する場合、その標準といたしましては、災害を受けました一ブロック塩田ブロックごとに計算いたしまして、原形復旧する場合に一ヘクタール当り十五万円以上の復旧費を要するような大きな被害を受けておりまする場合には、できるだけこれを流下式塩田にこの際積極的に転換をはかるということを原則にいたしたいというふうに考えております。一ブロック標準といたしましては、一般の場合に流下式転換を行います場合、標準を四ヘクタール以上にまとまつた塩田ということにいたしておりますので、今度の災害復旧の場合にも、原則といたしましては四ヘクタール以上にまとまりました塩田につきましては、今申しました一ヘクタール当り十五万円以上の復旧費を要する場合に、これを流下式転換させるということを原則として考えております。もつとも立地条件上四ヘクタールどうしてもまとまらないというような地域もございまするので、そうしたところにつきましては、四ヘクタール以下でありましても流下式転換を認める場合があり得るわけであります。それから一般流下式転換につきましては、御承知のように荒廃塩田改良ということで取上げておりますので、一ヘクタール当り年産が百トン未満でありますような成績の悪い塩田流下式転換させることにいたしております。この条件に当るものが災害を受けました場合でありますれば、一ヘクタール当り復旧費が十五万円未満でありましても、繰上げて流下式転換をこの際認めるということにいたしたいと考えております。これらの流下式転換塩田につきましては、どろのとりのけ等の今回の災害にあたりまして特に一般の場合よりよけいにいります費用を除きまして、流下式転換は普通の場合一ヘクタール当り二百万円というふうに金額を押えておりますので、一応二百万円の流下式転換に対しまして三割の補助金を出すことにいたしたいと考えております。残りの七割のうち、農林漁業資金でもつて四割を融資あっせんいたしまして、従って残り三割を自己資金でやってもらいたいというふうに考えております。それからただいま申しましたような条件当りませんで、入浜塩田災害を受けまして、これを入浜塩田原形復旧する場合、それから流下式塩田災害を受けまして流下式塩田復旧する場合、それから濃縮施設鹹水だめ等被害を受けましたものに対して原形復旧する場合、これらの原形復旧につきましては補助率を五割といたしまして、農林漁業資金融資率を三割考えております。流下式転換の場合の災害補助率が三割でありまして、原形復旧の場合の補助率が五割でありますのは一応均衡を失するように見られるのでありますが、流下式転換の場合につきましては、平生の場合の転換に対しましては二割しか補助をいたしておりませんので、それとの権衡を考えまして、今回の場合には災害復旧でありまするので、一割だけ優遇したわけでございまして、一応流下式転換につきましては三割、それから原形復旧につきましては、これまた五割では十分とは言いかねるのでありまするけれども、一応この際五割の補助率、これに対して三割の資金融資考えまするので、残りの二割の自己負担ということで参りたいと考えております。なお原形復旧につきましては、単に原形のまま復旧するというような機械的な考えではなしに、将来の改良事業等十分考慮に入れまして、周到な復旧計画を立ててもらうように特に配慮して行きたいと思います。  以上申し上げましたような復旧事業につきましては、すべて組合直営でやってもらうということに考えております。組合直営というのは、工事を組合が直営する、あるいは工事を組合が監督するというような意味だけではなしに、災害を受けました組合員も、災害を受けなかった組合員もこの復旧費の負担についてはできるだけ平等に負担する、組合員一致して復旧努力してもらうという意味をも含めまして、組合に直営でやってもらうということにいたしております。この方針に基きまして、先ほど申しました約十六億ほどの被害額に対して所要の補助金融資金とを概算いたしますと——この点は詳しい計画がまだできておりませんので、ごく概算でありますが、補助金といたしましては大体六億円ないし七億円くらい、それから農林漁業資金といたしましては五億円ないし六億円くらいの資金を要するのではないかというふうに考えております。この補助金農林漁業資金の支出負担につきまして、大蔵省その他関係金融機関等にただいまいろいろとお願いをいたしておるのでありますが、補助金については、公社予算災害復旧予算として認められておりますものの残額をまず優先的に使いまして、それでも足りませんものは、予備費からの流用を認めてもらうなり、あるいは他の費目からの流用を承認してもらうなり、とにかく今年度必要な補助金につきましては、その支出方について支障のないように措置いたすことに大蔵省とただいま打合せをいたしております。農林漁業資金につきましては、今年度資金の増額ということがなかなかむずかしいように伺っておりますので、できるだけ公庫の資金のわく内でもつて増額をお願いすることにいたしまして、それで行きませんものは、明年度農林漁業資金をできるだけいただくようにお願いをいたしております。そうして今年度内においては、それらの分を見返りにして関係金融機関につなぎ融資をお願いすることにいたしまして、実際の資金の調達につきましては、遺憾のないようにそれぞれお願いをいたしておるような状況でございます。
  17. 福田繁芳

    福田(繁)委員 結論に進むに従つで、一応このあたりで山本政務次官に伺いたいのであります。本来ならば、この問題を始める劈頭に日本の虚業国策に関して根本的な所信をあなたから伺いたい、かように思いまして、委員会が定刻に始まって以来約三、四十分お待ち申しておったのでありますが、依然としてお見えでありませんから、ほかの政府委員諸君から質問を始めておったわけです。山本政務次官は、先ほどからの断片的な質疑応答を繰返してお聞きなさって御承知のように、実は昭和二十五年に閣議決定というのがありまして、わが国の自給製塩はどうしても七十万トンは確保しなければいけぬという国策のもとに閣議決定があつた。それで資金、資材あるいは税制、こういった方面において政府が極力これに協力して、そうして七十万トン計画を実現させたい、こういうのが今申した昭和二十五年の閣議決定でありますが、それを行われて以来大体四箇年経過いたしたわけであります。その閣議決定した昭和二十五年のときには、四十六万トンほど生産しておったようであります。それから昨年まで大体三年半というものが経過したのでありますが、国費を約十億ほど投じて、そうしていかほどこれが増強できたかというと、依然として四十四、五万トンを前後しておるような情ない状態、それがどこに原因があるかということを専売公社といろいろ質疑応答を繰返したところが、徐々にわかって参ったのでありますが、過去三箇年ほどの時日と十億ほどの国費を投じたのは、根本的な基礎工事に投じたのである。これからその生産工程のくふう改良において、ここ二、三年の間に七十万トン、あるいは塩脳部長もおっしゃるごとくに、大乗的に見て百万トン確保するというところの心強い、力強いところの専売公社の意向がわれわれに示されたわけなのです。  そこで政務次官に端的に伺いまするが、もう五箇年計画は明年で尽きる今日でありまするが、依然として五万トンも増産ができてない。あくまでも政府は、この昭和二十五年の閣議決定を、多少五箇年を延期しょうとも国策のために七十万トンなり八十万トンなりを確保するところの熱意を今なお持っておられるのかということを、準閣僚の一員としてあなたから責任ある御答弁を聞きたいと思う。
  18. 山本米治

    ○山本説明員 私実はまだ就任以来日が浅くて、虚業の方面においてはあまり詳しいことを承知しないのでございますが、数年前そのような閣議の決定があったことは承知しております。今までの経過において所期の効果を上げていなかったことはまことに遺憾でございます。来年度までに当時所期した効果が出ないということはまことに残念でございますが、ただいまも申しました通りな理由によりまして、従来設備の方へ投資して来た。従つてすぐには効果が上らないが、これから着々効果が上る段階になるのじやないかと思いますので、時期は多少ずれるかもしれませんが、この国内製塩の助成策ということに対しましては、何ら方針はかわっておらないのでございます。
  19. 福田繁芳

    福田(繁)委員 一言政務次官に要望いたしておきますが、なるほど御就任以来日が浅いのでございますから、その限界しか御答弁できないと思います。しかしてこれからまだ多少質疑いたしますから、この大蔵委員会において、政府自身が抱いたところの五箇年計画に対して、これほど強い追究と申しますか、あるいは専売公社との質疑応答が繰返されておったという点をつぶさにお聞き願って、あなた独自の有しておるところの政治感覚を持って次官会議なり、あるいは閣議なりにおいて具現されるように、小笠原大蔵大臣に御伝達をしてもらいたいということをあなたに要望しておきます。  それで三井塩脳部長に伺いますが、そうすると専売公社昭和二十五年の政府の五箇年計画は依然かえる方針がなくして、あくまでも国策のために七十万トンなり八十万トンというものは自給対策を樹立したいのだという熱意はかわっていない、こう見てようございますか。
  20. 三井武夫

    三井説明員 その通りでございます。むしろ七十万トンという数字が出ておりますのは、当時の国内の食料塩の必要高であったと私は考えておりますので、その必要高は、先ほど申しましたように、現在では百万トンになっておるわけでございます。現在七十万トンというのは、むしろ目標としては小さ過ぎるのでありますから、一層の熱意を持つてこの目標達成に努力をいたしたいということを申し上げる次第でございます。
  21. 福田繁芳

    福田(繁)委員 専売公社の積極的な意のあるところを了といたします。さすれば塩脳部長に伺いますが、いかにしてごく短期間、二、三年、数年間のうちに残されるところの倍額増産をするか、今あなたのおつしやつたところの設備のくふうなり、あるいは改良ということも必要でありますけれども、何としても日本は過去の歴史に示す通り、毎年か隔年か、予期しないところのああいう災害がある。なかんずく塩田立地条件上、その災害の都度被害をこうむるわけなのです。毎年々々同じことを繰返しておつてはどうにもならぬ。そうして災害が起ると業者に莫大な負担をかけることになる。塩田業者は、昭和二十年から昨年までに二十三億という借入金を起しておるのであります。その前の借入金あるいは本年の二回の台風による借入金を入れますと、五、六十億ほどの借入金が生ずることになる。一面こういう状態に置いておつて塩の収納代金の値上げもしなくて、そうしてもつて増産計画を求めるということは、いかにその工程を改良しようとも、私は山におつて魚をつるようなものではないかしらん、こう思うのでありますが、この点に対していかようにお考えになるか、御答弁願いたいと思います。
  22. 三井武夫

    三井説明員 お尋ね国内塩増産対策でありますが、この点につきましては、前会の福田委員からのお尋ねに対しましても大体のところを申し上げてあるのでありますが、現在公社考えておりますのは、第一は何と申しましても塩田流下式の新しい様式に転換することによつて増産をはかるということでございます。公社といたしましては、現在塩業に携わつております塩業者をどこまでも育成いたしまして、何とかして塩の増産をはかるということが第一でありますので、その手段といたしまして、この流下式転換ということを最優先的に推進しておるのであります。この流下式転換を行いますれば、それぞれの塩田におきまして少くとも五割のかん水の増産ができるわけでございますが、これによります増産効果は非常に大きいわけであります。ただこの流下式転換だけで国内塩増産が心配ないとは考えておりませんので、それに並行いたします方法といたしまして、公社が取上げておりますのは、御承知の新しい加圧式の方法によります海水直煮の製塩法であります。この点は前会のときにも申し上げましたが、長年の公社の研究が実を結びまして、公社の直営しております福島県の小名浜工場におきましては、相当成績を収めておるわけであります。この方法にならいました民間の製塩事業をできるだけこれから育成したいというのが公社考えでありまして、その第一着手としてすでに工事を始めました民間の一会社におきましては、予定よりは少し遅れたのでありますが、今月中あるいは来月の初めには実際に塩ができるというところに進んでおるわけでございます。これは年産二万四千トンという計画でやつておりますが、このやり方は、多少細部にわたりますと公社の小名浜工場のやり方と違う点がございますが、私どもといたしましては、その成果に非常に期待をいたしておるような状況でございます。これを民間の第一着手といたしまして、現在各地に加圧式の製塩事業をやらしてもらいたいという計画が出て参つております。私どものところにいろいろと話のありましたものは、すでに十指に余るような状況でありまして、私どもといたしましては、資金の見通しさえつくならば、今後相当程度加圧式の工場の育成ということに努力を尽して参りたいというふうに考えております。この方は、御承知のように災害の心配ということも塩田の場合とは比較にならないわけでございます。また電気の料金さえある程度安くきめてもらいますれば、現在の収納価格によりましても十分に採算がとれるのでございます。かつまた瀬戸内海の塩田地帯を離れました地方に適当にこの工場を分散させますならば、塩の輸送配給上から行きましてもプラス面が非常に多いわけであります。われわれといたしましては、今後相当数量を加圧式海水直煮の方法による製塩に期待したい、この両方合せますならば、国内塩としまして相当増産が期待できるのではないかというふうに確信しておるような状況でございます。
  23. 福田繁芳

    福田(繁)委員 流下式なり加圧式によるところの改良によつて増産をはかること非常にけつこうで、われわれ心から同意して、その成功を祈願するわけなんです。しかしながら繰返すようでありまするが、塩田立地条件上どうしても災害を未然に防ぐ、同時にまたやむを得なくして災害にはまつたときには、その復旧費についてあまり政府なりあるいは業者に負担をかけないようにして、それを全うするということも大いに考えなければいかぬと思う。そこで、その方法として私考えますのに、業者に対して専売公社から収納代金を出すときに、その収納代金のある部分を積立金とさせて、それをもつて災害復旧資金に充てる。そうしてその積立金は、災害復旧以外には絶対に業者におろさないというような条件とする。そういう制度でもつくると、この十二号、十五号台風のような場合に遭遇したときに、業者全体がまつ青になり、専売公社自身がまつ青になつて、被害地をまわりまわてて、のみならず各所に対して国策のために哀訴嘆願せなければいかぬというようなことにならなくても済むと思いますが、塩脳部長いかようにお考えになられますか。
  24. 三井武夫

    三井説明員 実は昨年収納価格を六百円引上げたのでありまするが、この際にも、多少の無理は考えたのでありまするけれども、その引上げの六百円については各虚業組合ごとに積立てて、その積立金は将来の改良事業のほかには使わない。さしあたり流下式転換のための資金にこれを役立てるということに指導いたしまして、全国でも相当塩業組合がこれを実施しておるような状況でございます。公社の防府工場、あの地方塩業者からの鹹水の買上げ価格も今年引上げたのでありますが、その引上げた額だけは積立てをさせ、それを改良事業に使うというような状況でございます。現在までは流下式転換を最重点考えておりますため、積立金の使途は流下式転換改良工事に限つてつたのでありますが、今回のような災害にあたりましては、特に復旧の一部に積立金を使用させるということは、これは承認いたすべきだと考えておりますので、さような方針で今後参りたいと思つております。今後できるだけその積立額をふやしまして、流下式改良あるいは災害復旧なりにこれを役立てるということは、まことにけつこうではないかと考えております。
  25. 福田繁芳

    福田(繁)委員 趣旨はわかりますが、私の言うのは、もう少し飛躍しまして、改良工事に使うための積立金ではなくして、災害復旧を対象にするところの積立金、これをせひともつくつたらどうかと思う。  それに関連して渡辺主税局長に伺うのでありまするが、こういうように食料塩の自給対策ということは実に目下の急務なんです。いかにしてこれを早く七、八十万トン確保するかということに対して、大蔵省なり専売公社、われわれ一丸となつ検討を加えておるのです。問題は、先ほどから繰返して言うように、災害々々で、実にこういうような状態なつて因つておるわけなんです。そこで今言つたように、災害が生じたときに、国費を使わなくて、業者の生産意欲をそれ以上妨げないようにするためには、未然に災害を対象にして、生産業者からある一定の積立金をさせ、その積立金に対しては、これは赤字ということにして、税の対象にしなくて、全然課税からはずす。そうして先ほどちよいと申したように、災害以外には、工程の改良であろうとも、家庭の事情であろうとも、会社が存亡の岐路に立とうとも、一切使わせない。災害復旧のみに使わすのだという条件でこれを税の対象から除外する、そういう意味合いにおいて、現在大蔵省の主税局長はこれに協力する御意思があるかないか、これを伺いたいと思います。
  26. 渡辺喜久造

    ○渡辺説明員 結局いろいろお伺いしておりますと、その災害積立金という制度をどういうふうに考えるかという問題にも結びつこうかと思つております。それで御承知のように、普通火災のような場合でございますと、火災保険の制度がある。そういう場合保険料はわれわれ損金に見ております。そんな意味において、今の災害復旧積立金という制度を、たとえば一つの保険的な制度に持つて行く。今お話を伺つてみましても、実際災害が起りますと、業者自身の手だけではなかなかまかない切れないので、どうしても積極的に国が相当補助金を出す、あるいは専売公社相当補助金を出すというところまで行かなければならぬような状態であるようであります。従いまして平素それに備える意味において、塩田災害について何か特別な保険制度的なものをお考えになるということが一応制度的に考えられ、できて参りますれば、われわれの方としても非常に考えやすいのではないかと考えます。  ただ業者が自己保険する、従つて積立金を積み立てておき、その分を云々ということですと、おそらく個々の災害の率とか関係がいろいろ違います。し、またそういう心配があるものはあえてひとり塩田だけの問題でございませんで、大きく言えば、地震のような問題もございますし、いろいろ問題もありますから、なかなか他の権衡とかなんとかいつて、われわれが始終申し上げるいろいろな問題が出て来るのではないかと思います。  従いまして、むしろ塩田なら塩田について何かそうした災害に備えて、一つの保険的な制度を——それも今お話を伺つておりますと、一部の塩田だけが災害にかかつただけで、ほかの人たちは災害にかかつておらぬ。そうすると、個々に積み立てた業者自身の資金を使つたとしても、結局その一部の人の資金だけでは、おそらくほんとうの意味の役には立ちますまい。従つてつて一丸となつ一つ資金をとめ置くような保険制度でもお考えになるということになりますれば、われわれとしてもそれに相応できるような措置が講ぜられるのではないか。そこまで一歩踏み込まれるようなお考えがあつてしかるべきではないか。これはほんの私見でございますが、そういうような制度が片方にできて参りますと、それに伴つてわれわれもそれに応ずるような税制考えて行くことができるのではないか、こう考えられますが、専売公社の意見などもよく聞いてみたいと考えております。
  27. 福田繁芳

    福田(繁)委員 ただいま主税局長のう災害対策としての保険云々ということは、非常に妙味のあることで、私も初めて伺いましたので、さすがは渡辺主税局長だと、私はいたく敬意を表します。それだけ御熱意を持つて検討くだされておれば、どうぞ閣議決定の線に基く協力として、そのお気持を冷却されないように、さらにもう一歩つつ込んだところを専売公社ととくと御協議されて、御研究を願いたいと思うのであります。私たちも今新しい保険云々のお話を聞きましたので、そういつたことを基礎にしてこの増産に即応するように大いに検討を加えてみたい。これはあなたに敬意を表するとともにお願いいたしておきます。  そこでついでに自治庁の細郷さんに伺いますが、あなたも食料塩の自給対策には大わらわになつている。しかし私は自治庁を恨みたいのであります。自治庁は食料塩の増産を非常に阻止されている。どういうように阻止されているかというと、去年までは非常に御協力くださつてつてよかつたんですが、どういう風の吹きまわしか知りませんが、去年から自給塩の一番大事な鹹水製造業者に対して事業税を課している。その事業税も個人ならばとらぬけれども、法人ならとるんだという。そういう通告を末端にされて、それがため法人の鹹水製造業者の負担が非常に重くなつている。あれをやられてからというものは、法人の鹹水業者は税金は重くなる、さればといつて塩の代金は引上げてくれない。この塩田業者は、御承知のように、焙焼を建前にやつておりますから、そう利益があるものでない。しかるにそういうような状態なつて困つておるのでありますが、この事業税をとることに昨年のたしか九月の法案と思いますが、なつておりますので、これを来国会で改正して、免税するだけの御意思があるかどうか、細郷さんに伺いたいと思う。
  28. 細郷道一

    細郷説明員 塩田業に対する事業税の取扱いにつきましては、従来農業との関連におきまして非課税の取扱いをしておつたのであります。ところがことしの春国会で成立を見ました地方税法中の事業税におきましては、農業に関しましては、個人の場合はいざ知らず、法人の場合はこれに事業税を課するというふうな改正をいたしたわけであります。それに伴いまして、今まで農業との関連において特に取扱い上非課税の扱いをしておりました法人の営みますかん水製造部門につきましても、同様これと同じように元の姿にもどるという形において、課税の扱いとなつたわけであります。そこで問題になりますのは、結局農業の場合に法人と個人で取扱いを異にしておるのはどういうことかということが、この塩の場合の前提になるわけでございます。法人の場合を特に課税という状態に置きましたのは、農業の個人の場合は非常にその企業が零細な業態である。それからいま一つは、非常にその事業自体が自然的な条件に左右されやすいということが一つ。さらには農地に対する固定資産税の負担というものも相当ございます関係もあつて、そういつたような点から、農業の個人については特に非課税の取扱いをいたしたのであります。なぜそれじやあ法人の方についてしないかというと、御承知のようにいわゆる法人は、企業を営むことを主体とする事業でありまして、その点個人の場合とはやはり取扱いがかわつてもいいのではないか、こういうふうな考えに基きまして、農業の場合も法人と個人の場合とわけたのでございます。それに伴つて塩の場合も、やはり同様な条件でございますから、取扱いを異にするようなことにいたしたのであります。
  29. 福田繁芳

    福田(繁)委員 どうも今の問題は合点が行かないのですが、農業と塩田と同様である、農業の場合も法人の場合には課税して、個人に課税しないのだ、それと同じことを塩田にも適用するんだ、こうおつしやるのでありますが、一体日本の国の今日の農家の状態を見て、農業を法人でやつておるのはどの程度ありましようか。それに関連して塩脳部長に伺いたいのでありますが、専売公社は、私の聞いておる範囲においては、製塩業者を増産計画をはかる意味合いにおいて、個人よりかも法人へ、個人よりかも法人へというので、どんどん法人一の組織がえをあなたの方で奨励しておると思うのですが、どうでございましよう。これをまず自治庁と塩脳部長順次御答弁願いたい。
  30. 細郷道一

    細郷説明員 農業の法人経営のものは、ちよつと私も数字を手元に持ち合しておりませんので、詳細なことは申し上げかねるのでありますが、たしか法改正の当時では数十あつたかと記憶いたしております。
  31. 三井武夫

    三井説明員 御指摘の通りでありまして、公社といたしまして、虚業の経営は塩業組合を中心にして経営することをできるだけ奨励いたしております。また実際のところも、塩業組合が中心になつて採鹹をいたしておりまする面が非常に大きいのであります。二十八年度末の状況で申しますると、全国の塩田面積四千四百八十九ヘクタールのうちで、組合経営でやつておりますものが三千五百八十九ヘクタール、会社組織でやつておりますものが七百三十八ヘクタールあるのに対しまして、個人でやつておるのはわずかに百三十九ヘクタールという状況でございます。企業形態としては会社または組合経営のものが圧倒的に大きいのであります。
  32. 福田繁芳

    福田(繁)委員 細郷さん、ただいま専売公社の実情はお聞きの通り塩田と農業とは非常に数字的に違うのでございます。あなたが依然として現職におられる当時、今から約三、四年前、あなたの方の政務次官の小野君の在職中に、これをすつかり免税にしてしもうた。それがために一躍鹹水の製造が非常にふえまして、それが塩の増産にずつと影響しておつた。昨年そうされたばかりに、ぴたつととまつてしまつて非常に困つておる。でありますから、お帰りになりまして、なるほど農業と塩田とは主食関係で同じだとおつしやいますけれども、りくつはそうであつても、実際がそういうようなわけなんで、日本にはこんだけの農業の数が莫大にありながら、わずか百足らずの法人しかない。塩田はこれだけあつてもことごとく法人だというように、りくつと実際と違うのでありますから、その点は多分に御検討されて、もしあなたの方からお出しにならなければ、われわれ議員立法として、ひとつ今度のかん水に対する事業税は免税するというところの法案を出すのにやぶさかじやないのでありますから、どうぞよろしく御検討を加えていただきたいと思うのであります。  委員長、私は大体この程度で質問は打切りまして、長時間非常に同僚諸君に相済まなかつたということを心から謝罪して、次の質問者に譲ります。
  33. 千葉三郎

    ○千葉委員長 大平君、関連質問を許します。
  34. 大平正芳

    ○大平委員 ただいまの質問に関連して、二つばかり専売公社と大蔵省に伺いたいと思いますが、専売公社の方で今度の災害対策といたしまして、いち早く総合的な対策を立てていただきましてありがとうございました。そこで災害対策として今考えられる方策といたしましては、今御披露がございましたように、現行法規でありますれば、われわれもやむを得ないのではないかと存ずるのでありますが、提防関係につきまして九割まで、考えるというのは、決壊した堤防だけでなく、腰巻がやられてしまつたとか、内面が洗われてしまつたとか、次の台風が来たらとても持ちこたえられそうにもない、そういつた箇所の復旧にも適用されるおつもりかどうか、特に地盤沈下地帯におきましては、そういつた必要を前から痛感しております。原形復旧主義を越えて改良的な意味で強化してやろうという御趣旨のようでありますが、補助率の適用についてはその点どう考えるのか、そのことを塩脳部長に伺いたしと思います。  もう一つ銀行局長に伺つておきたいのでありますが、先ほどもございましたように、農林漁業資金ですが、塩田の方も相当期待しなければならないが、同時に今度の農業災害、漁業災害で営農資金や着業資金の方は、あるいは農中その他で特融の道が講ぜられております。しかし漁船で、たとえば保険にかかつていないものとか、保険にかかつてつても保険金額が少い。あるいは漁網、漁具なんか全滅した地帯がございます。それから農業土木災害、これは比較的今度は少うございますけれども、それにいたしましても全国的に見積りますと相当金額になります。ところが農林漁業資金の方は、本年度災に充当した資金わくが。聞くところによりますと三億円しかないということで、われわれも心配しておるのですけれども、しかし大体本年度は回収が非常にいい、予算で見積られた以上良好だ。してみると今年はそれだけのゆとりが出て来るのではないか。そうしますと塩田災害だけでなく、今度の十二号、十五号台風全体を通じまして、予想以上に回収があつた金を災害関係資金に本年度内に使えるのではないかと思うのでございますが、その点大蔵省の方で配付する用意があるのかどうか。
  35. 三井武夫

    三井説明員 お尋ねのありました提防の決壊以外の、たとえば崩壊した分の復旧でありますとか、あるいは腰巻がやられてしまつておるものの復旧でありますとかいうようなものは、すべて今回の災害復旧の範囲に入るものと認めまして、指定されました地域内のものでありますれば、九制補助を適用しようと考えております。
  36. 河野通一

    ○河野説明員 お話のように回収金が割合予定よりもふえております。これらの回収金をできるだけ効率的に使つて行く、しかも今お話のような非常に緊急に復旧の必要のあるものにつきまして優先的に考えて行くという配慮のもとに現在検討を加えておるのであります。ただ具体的にどの程度の数度の数字をそれに充てられるかと申しますと、一般災害数字を実はまだ私ども的確につかんでおりませんので、今各地方を督促いたしまして災害の数字等も集めております。これらの数字が出そろつたところで、なるべく早く緊急なものから先に優先してやつて行くという配慮のもとに、現在具体的に検討いたしております。     —————————————
  37. 千葉三郎

    ○千葉委員長 大正飛行場返還に関する問題につきまして、去る十月一日から三日間にわたつて委員会の委員が現地調査を行つたので、この際調査委員から現地の実情を聴取いたすことといたします。内藤君。
  38. 内藤友明

    ○内藤委員 前回の委員会において決定せられました大正飛行場の現地調査の件につきまして、きわめて簡単に御報告を申したいと思います。去る十月二日に派遣を命ぜられました久保田委員、井上委員、それに私、黒田専門員が同道せられまして、二日の午前十時に近畿財務局に集合いたしまして、調査方法につきましていろいろ打合せいたしました。十一時半に八尾市の市役所に参りまして、農民代表並びに八尾市外四箇町村の代表と懇談いたしまして、いろいろ農民もしくは市町村関係の諸君から意見を聴取いたしました。そして十二時に現地におきまして朝日新聞社、毎月新聞社、読売新聞社並びに産業経済新聞社の各航空部長と面接いたしまして、この立場におけるいろいろなことを聴取いたしたのであります。そうしまして午後の二時ごろ再び近畿財務局に集合いたしまして、今度は関係官庁の諸君からいろいろとこのことにつきまして事情を聴取いたしたのであります。さようにいたしまして、派遣されました私ども両三名の者で大体見当がついたのでありますが、もう少しその見当に基きまして、作業いたしまして、近く御開催願いたい国有財産に関する小委員会におきまして一応まとめたいと思つております。しかる後本委員会に正式に小委員会から御報告いたしまして、皆様の御審議を願いたいと思うのであります。簡単でございますが、以上参りましたことの御報告を申し上げた次第であります。
  39. 井上良二

    ○井上委員 ただいま内藤委員から大正飛行場の国有地の管理及び払下げ状況についての視察の結果が報告されたのでありますが、いずれこれは国有財産管理状況に関する小委員会が近く開かれまして、この問題を主題にしての一応の態度がきめられることと思います。つきましては、私ども現地を見ました場合、あの地帯はかつて駐留軍が占拠しておつた当時に、一部耕作農民に耕作を許し、あるいはまた民間飛行会社にその使用を許し、あるいは自衛隊といいますか、そういうものに一部使用を許しておつた。ところがあれがいよいよ日本政府に正式に返還され、返還と同時にこれらの各駐留軍との間に了解的に使用を許可されておりましたものは、いずれもその使用権を失つていることになつております。しかるに国有財産の管理の上において、当然その契約が解除され、使用する何らの権限がないのにかかわらず、自衛隊においても耕作農民においても、あるいはまたは民間航空各会社においても、これを無断で使用している実情にあります。これはまあ駐留軍との間に契約がかわされておつて、しきたりでそうなつているということは言われますが、正式の文章の上では、何ら貸借関係や払下げその他の条件は、一切が無効になつているのであります。従つてただいま大正飛行場の国有財産を使用しているものは、いずれも無断で国有財産を使用していることになつている。しかもその使用の面積が明確でございません。また土地、建物等においても、はなはだその管理の状況の上において、まだ返還されて間もないのでございますから無理もないのでございますが、それらの調書が十分できておりません。そこでわれわれ現地に参りました者も、一応至急にその実態を明確にすることを要求いたしておきました。実はこの十九日ごろに小委員会を開きたいということが寄り寄り相談をいたしておりますから、できれば十九日ごろまでに自衛隊が使用しております用地、建物、各民間航空会社が使用しております用地、建物、それから耕作農民が現に耕作している耕作反別、その地域、これらを至急に一覧表をおつくりを願つて委員会の審議に用をなしますように、ひとつ資料として出せるように当局に御準備をお願いしておきたいと思います。     —————————————
  40. 千葉三郎

    ○千葉委員長 春日君。
  41. 春日一幸

    春日委員 税制上の諸問題につきまして渡辺主税局長に二、三の点についてお伺いをいたしたいと思います。ようやく予算編成期に入つておりますので、これの裏づけとなります税金の事柄について、いずれ税制各般にわたつての御検討が始められていると思うのであります。そこで本委員会におきまして、この数国会にわたつていろいろと問題として論議され、しかもそれが解決をしていないような諸問題も幾多あるわけでございます。そこでこの際伺つておきたいことは、そういうような問題となつたいろいろな事柄、さらにまた将来取上げなければならないようないろいろな税金、これについて政府はあるものは改正し、あるものは新しくつくる、こういうようなことについていろいろ御検討なつていると思うのでありますが、この際総括的に、現行税制の上において改正せんとしているものは何であるか、どういうぐあいにこれを改正せんとしているか、あるいは新税に創設されんとする税制がありますならば、それはどんなものであるか、まずこの点をお伺いをいたしたいと思います。
  42. 渡辺喜久造

    ○渡辺説明員 明年度予算の編成時期が近づいて参りましたにつきまして、お話の点につきましてはわれわれずつと検討を続けております。ただ明年度の特色といたしまして、こういう点が一つあるのではないかというふうに思つております。と申しますのは、本年度は実は現在のところ歳入の入り方が比較的順調に入つて来ておりますが、明年度の税収というものを見通す場合におきまして、これは少くとも現在のような国際収支の改善をやはり十分頭に置いた予算が組まれる限りにおきまして、法人の収益がそうインフレ的に伸びて行くとは考えられないのではないか。従いまして本年度におきましては、まだこの三月の決算も相当よかつたし、それから九月の決算がどんなふうになつておるか、われわれ非常に関心を持つて見守つておりますが、いろいろ民間の方のお話などを伺いますと、相当苦しいけれども、九月決算までは何とか過去のいろいろためてあつたものを持ち出して、配当も持続したい。しかし来年の三月以降になりますと、今のような情勢が続いておる限りにおきましては、ちよつとそれもできかねるのではないだろうかというようなお話ですが、これはわれわれもそうではないだろうかというふうに感じて来るということからしますと、明年度の法人税というものの歩みがどんなふうになるだろうか。ほかの税につきましてもいろいろ問題はありますが、何と申しましても法人税か現在相当の額になつている。それだけにここが一割、二割上下しますと、相当歳入に大きな影響を及ぼすのではないか。従いましてわれわれが現在やつております仕事は、まず一つの面としまして、明年度の歳入がどれくらいの見通しになるか、これはもちろん税収入の問題もございます。   〔委員長退席、黒金委員長代理着席〕 それから専売益金その他雑収入というものを大体見通しまして、税制を現行制度のままでもつてつてつた場合において、明年度どの程度の収入が見込めるか、これか二つの柱として考えて行かなければならぬ。もう一つの柱として考えなければならぬのは、もちろん明年度の歳出が一体どの程度の規模なつて行くか。いろいろ緊縮的なことも考えておりますが、同時に片面におきまして、相当義務的にといつていいほど必然的にふえて硬く経費も相当あるようでございます。そうしますと、歳入の剰余から生れる減税というようなものが、はたして可能であろうかどうか。この点がます第一に問題になつて参ります。その意味におきまして、われわれは一つにおきましては歳入の見通しをつける、一つには歳出の見通しをつける、どうもこの二つを押し詰めて参りますと、遺憾ながら現在におきましてはあまりそこにゆとりがないのではないかというふうに実は感じておりますが、これはまだほんとうのわれわれの勘だけでありまして、もう少し問題を詰めてみなければ、まだ何とも言えないと思つております。  同時にそれでは新し税を起すか、この点につきましては、昨年もずいぶんいろいろもみまして、繊維品消費税というようなものまで持ち出して、それが皆さん方にずいぶん御批判を受けたというようなことは御承知通りでありまして、なかなか新しい税をつくるということもむずかしい問題のように思つております。同時に既存の税につきまして、これの増徴をはかるということにつきましても、ずいぶんわれわれ昨年も試みてみたわけでありまして、本年さらにそれを重ねてやるということにつきましても、あまりこれに大きな額を期待するといつたようなものもないのではないだろうか、こういうふうになつて参りますと、明年一体どの程度、いろいろ皆さん方から伺つております問題を直し得るかという点につきましても、実は非常に消極的な結論しか出ないわけでありまして、今われわれといたしましては、一応冒頭に申しましたように歳入の見通し、歳出の見通しを立てるとともに、問題として取上げればどういうものがあるか。これは一面においては新税あるいは増徴といつたようなもの、これもなかなかそうありませんが、これを一面においては考えると同時に、それでは減らすべきものはどこにあるか、検討しておりますが、どうも少し先走つたものの言いようて恐縮でございますが、新しくする方も下げる方も非常に問題の幅は狭くならざるを得ないのではないか、こう考えておりますが、まだ多少時間もございますので、今後の検討をさらに続けて参りたい、かように考えております。
  43. 春日一幸

    春日委員 まあ課税の権衡をはかつていただくということは当然あなたに課せられておる重大な任務であろうと思うわけでありまして、先国会以来いろいろな税制審議にあたりまして、わが党の主張もそれぞれの委員会におきまする討論においてその趣旨は十分御了解願つておると思うのであります。特にこの機会に申し上げておきたいことは、法人税において、中小法人に対してはこの税率に一定の段階を設けてはどうかということが強く主張されたところでございます。大法人は租税特別措置法の各項自において、それぞれの優遇措置が講ぜられており、さらにまたこの交際費一つをとつて見ても、相当額の優待が行われておるのであります。従つて中小法人の実際の税負担というものは、大法人に比べてはなはだ過大に失する。従つて中小法人については、現実的にはひとつ百分の三十未満のものにしてもらいたいという討論をいたしておつたわけでありますが、この問題もやはりいろいろと御検討つて、不権衝がありとするならばこの機会にひとつ御修正を願うように立法措置を御検討願いたいと思うわけであります。もしそれ政府においてそういう提案がなされないといたしますれば、これは議員立法の形においてもわれわれの立場において法的措置を講じて行かなければならぬと思いますので、この点もひとつ強く要望いたしておきまして、修正の意図ありやなしやというようなことについても早期にひとつ意思表示を願いたいと思うわけであります。  それからもう一つつておきたいことは、これは特に先国会におきましてたいへんな問題となりました社会保険診療収入、これは医師、歯科医師にかけられておる。これをいかに課税するかという問題が、今までは国税庁の行政措置にゆだねられておつたのでありますが、しかしながらこの行政措置は現実には地方国税局でまちまちの方針がとられておりまして、結局これは地方においていろいろと紛議を起しておりますし、さらにいろいろな不公正、不均衡というそしりを免れてはいないのであります。こういう問題についても、やはりこれは租税特別措置法の中で明確にいかにこれを課税して行くか、所得のあるところにはこれを捕捉して課税するというのが税の建前であるならば、それを捕捉して行くべきであるが、しかしいろいろな各般の事情等をも参酌して、免税しなければならない、減税しなければならないとするならば、それはやはりすべからく法律の中に明確にうたい上げて、地方々々の執行にゆだねるというようなことでなく、そういう立法措置を講ずることによつて明確、的確な処理をして行かなければならぬと思いますので、この問題なんかも、来るべき国会においては租税特別措置法の中にひとつうたい込んでもらいたいと思うのでありますが、あなたの方にそういうような意思があるかどうか、これまたなければ、われわれの側において議員立法をしてこの問題の解決をはかつて行かなければならぬと思いますので、この点もひとつ大体の御意向を御明示願いたい。  それから大工、とび、左官、こういうようなものに対しまする方法、これも現実には彼らが日雇いのものであるか、あるいは事業による所得のものであるか、すなわち勤労所得であるか、あるいは事業所得であるか捕捉が困難でありまして、これまた地方国税局、それから地方庁、それぞれまちまちの措置を行つておるわけであります。これも大きな問題となつておりまして、早晩法律によつてその危惧を一掃しなければならないと思います。この問題も相手が数多いものでありますので、いつまでもこういうようなもやくした形において不権衡な状態を許しておくべきではないと思います。これまた的確なる立法処置を要望し、解決することが大切なことであろうと思うのであります。この二つの問題についてあなたの方で立法措置を講ずる意思があるならば、われわれがとかくの措置をする必要はありませんが、もしなければ、これは少くとも国会の責任においてあなた方のサボタージュを補つて行かなければならないと思うのでありますが、おやりになる意思があるやいなや、これは、われわれ各政党の立場においても準備をいたさなければならぬと思いますので、最終的に御答弁を願います。
  44. 渡辺喜久造

    ○渡辺説明員 今ここでまだ大分時間もある先の問題を、あまり端的に結論づけて御答弁するのはまだ早いと思つております。しかし私の考えていることだけを一応申し上げまして御参考に供したいと思います。  第一の中小法人の問題でございまするが、そういう声が相当高いことはわれわれ伺つております。しかし中小法人におきまして、現在なおかつ盛んに個人の企業が法人にどんどんなつて行くという事実は、やはり見のがし得ない問題だと思つております。といいますことは、結局個人の事業者と法人の企業者を比べると、どうも法人の方が負担が安い。これはほかに原因があるとかいろいろ言えましようが、やはり一つの事実じやないかというふうに見ております。大企業と中小企業、中小法人と大法人の問題がよく議論されておりますが、大法人につきましては、いろいろ免税、積立金があるじやないかとおつしやいますが、これも金額的に見て参りますると、大きいのは貸倒準備金、退職準備金、それから価格変動準備金、これは中小法人にも相当あるわけでございますが、同時にそれは政策の面から出て来たというよりも、負担権衡の面からも相当りくつのあることでありまして、私は必ずしも大法人と中小法人の間にそう負担がどうこうという問題があるとはまだ考えておりません。  同時に今申しましたように、個人企業と法人企業とをどう考えるか、この問題も考えて行かなければならぬ問題じやないか。そういうふうに考えて参りますと、中小法人だけが云々といつたことが、はたして中小法人だけがそんなに負担が重いだろうかという点については、私はまだ多分に疑問を持つております。同時に現在法人税の建前が、御承知のように二副五分の控除を配当についてやるといつたようなこともございまして、法人税の建前から考えてみましても、はたしてそういうことがいいかどうか、われわれはもつと検討してみる必要もあろうと思いますし、そう簡単に結論づける問題でないのじやないかと思います。  第二は、お医者の問題でありますが、これは結局社会保険診療の一点単価の問題が結びついて、そして特別な課税がなされていたということが問題の種のようでございますが、しかし税の面から見て参りますると、社会保険診療のお医者さんだけ特殊の扱いをしなければならぬということは出て参らぬのではないかとうふうに思つております。従いまして、この問題につきましてお医者さんだけを云々、これはいろいろお聞き願いたいと思つておりますが、われわれの方の耳に入つて参りますところでは、お医者以外の方から、お医者の特殊の扱いには相当の不満があるという声が聞えて参ります。たとえば産婆さんとお医者さんと比べてみますと、お医者さんの方がむしろ税金が安いのはどういつたわけだ、こういったような議論もありまして、一点単価の問題もございます。同時に最近の状態から見て参りますと、お医者のかせぎ高の点数もかなりふえております。これを税でどうこうしなければならぬかということにつきましては、われわれの方としてはどちらかといえば消極的に考えておりますが、さらにもつと検討してみたいと思つております。  それから大工と左官の問題、これは非常に具体的な問題でございまして、大工の中にも御承知のように請負大工もございますし、人を雇つて請負つておる大工がある。春日さんのおつしやつているのは、結局雇われている大工のようであります。これはどちらかといいますと、私は法律で片づく問題というよりも、結局具体的に個々の人がはたしていずれの範疇に属するかといりところで片づけて行くべき問題ではないか。抽象論でもつて法律的に、こういうものは日雇いである、ああいうものは請負大工というふうに書き得る問題だろうかどうかという問題に関しても疑問を持つております。具体的に個々の方でやらなければならぬということで、それがいかぬ——確かにできればそういうふうに片づけたいと思いますが、具体的な一人々々の問題になるわけでございますから、一片の法令を書くだけで、右か左か書いてみましても、その事態に該当するか該当しないかという争いがさらに残るわけであります。この点は御趣旨はよくわかりますから、われわれの方としてもさらに検討してみたいと思つております。
  45. 春日一幸

    春日委員 時間がありませんので簡単に申し上げますが、この法人税の問題等につきましては、にわかに結論が出しがたいということでございますが、これはもうすでに長い問の論議であり、さらに業界からの陳情もあまねくあなたに尽されております。なおかつあなたがわからぬというりくつはないので、なおそういうかたくなな態度をあなたがおとりになるならば、しよせんわれわれは議員立法の権威によつてこの問題を解決しなければならぬと思つております。  それからお医者の問題でありますけれども、これはあなたがほかの法律をお調べになればわかると思うのでありますが、生活保護法でも健康保険法、めるいは労災の法律、その他結核予防法、そういう法律の中には、先般申し上げました通り、この法律による給付は租税公課の対象にはならない、すなわち渡された金額が百パーセントそれてれの医療目的あるいはそういう方向に効果を高め得るような法律の措置が講じられておるのでございますから、その精神をもつて敷衍すれば、医者がそういう収入に対して税金を納めるということになれば、実質的の金額が、やはり何がしかのものがそういう方向へ、治療目的以外に減損されるということは常識的にも考えられるのでありますから、基本法の精神を敷衍して行けば、その社会保険の診療報酬に対して、課税をしない方がいいという考え方は筋の通つた問題である。従いまして、この問題もあなたと私どもとは意見の食い違いの点があるようでありますから、これまた議員立法によつてあなたに間違つておるところを十分示したいと思っております。  なお大工、とび、左官の問題は非常にむずかしいと言われておりますけれども、これはむずかしくない。すなわち先般われわれが本委員会において審議をいたしましたあの輸出に対する減免措置、これははなはだ難解な措置でありますけれども、あのようなむずかしい措置をとれば、その複雑にわたる輸出収入に対しても、二次、三次にわたつてのいろいろな措置もできるのでありまして、従つてこの勤労所得、事業所得に対しての区わけは易々たるものであると思うわけであります。これもおやりになる意思がなければ、われわれの方でやりますから、あなたのお世話にはなりません。  もう一つつておきますが、実は問題がはつきりして、あなたの方でおやりになれば、あえてわれわれは労作をする必要はないのでありますが、やらぬという意思がはつきりすれば、国会においては四百人のアシスタントがおるのでありますから、やれるわけであります。しかしこれはあなたの方でやつていただけそうな問題ですから、ひとつ申し上げたいのでありますが、所得税における例の勤労控除の問題です。零細所得者から勤労控除を認めてくれという要請が行われておるわけであります。現在給与所得者に対しましては、給与所得税の控除の制度があり、所得を得るに必要とするものは、所要経費として認められておるわけであります。ところが零細所得者は、常識的にもまた現実的にも勤労による所得であるわけでありますから、事業による所得であるとはいいながら、その事業所得の中の八〇%、九〇%は勤労によつてもたらされた所得であると思うのであります。一方給与所得者に対してこの勤労控除の制度が認められ、こういう零細所得者に対して勤労所得の基礎控除が認められないということは、これはしよせん片手落ちのそしりを免れないのではないかと思うわけであります。この際権衡をはかる意味合いにおいて、零細所得者に対して勤労控除を認めるの意思はないかどうか、これを一つつておきたい。またやらないとすれば、なぜやらないのであるか、その理由も伺つておきたいと思うわけであります。
  46. 渡辺喜久造

    ○渡辺説明員 最初の問題につきましては、あまり繰返して申すこともありませんが、お医者の問題について、ちよつと私の申し上げることをお聞き願いたいと思います。生活保護法の方で非課税規定をつくつている。これはおつしやる通りでございまして、これはそれぞれの法律に入つております。主税局も納得し、閣議においても賛成して入れておるわけですが、それは結局そうした補助をもらつている、生活保護を受けなければならぬような人に対して、政府が出す比較的少い金額なるがゆえに、これは非課税にしよう、こういうものでございまして、お医者の方は結局社会保険の診療に携わつて所得を得ているわけなんで、これはあるいは意見の違いということになるのかもしれませんが、生活保護費とかなんとかいうものとは大分違うのじやないかというふうに思つております。生活保護費によつて、たとえば米を買う人もあるでしようし、いろいろなものを買う人もあるでしようが、そういうものを売つた人の方の所得と関連はないわけで、結局社会診療というものにおいて、その携わつた医者の所得と生活保護費というものとの間に連繋がある、あるいは同じものだというふうにお考えになるのは、どうも私には納得でぎないように思います。  それから最後にお話のございました勤労控除の問題でございますが、現在の給与所得控除というものは、これは多分にほかの中小企業あるいは事業所得と違つた性格を持つておりますことは、御承知通りでありまして、勤労者といえども一応必要経費が全然ないわけではございませんが、一々必要経費を計算するわけにいかぬということが、大きな問題の中心になつておつて、現在の一別五分控除を行つているわけでございまして、勤労所得なるがゆえにといつた点よりも、むしろその点が相当大きく働いておることを御了承願いたいと思います。従いまして片方で事業所得の場合には、必要経費を全部経費に見ているわけでございますから、必要経費を全然見ないで、給与の手取額そのものを一応の標準にして、それから一割五分控除する、こういった性格のものを、必要経費を見る他の事業所得にそのまま使うということは、適当じやないのじやないかというふうに思つております。そしてわれわれの方にいろいろ意見がございます点は、むしろこれは現在の課税の実態とかなんとかいうものと結びつく問題でしようが、勤労控除をもつと上げないかというような意見が相当出ております。従いまして昨年税制調査会でいろいろ検討していただきました際におきましても、一つ考え方として、勤労控除を二割にしようか、同時にほかの農業とか中小企業に対しても五%の控除を認めようか、こういうような考え方も実は出て来たわけでございます。そういうようにして参りますと、結局やはり大きな人に控除が大きくなつて、小さな人の控除が少い。それよりはむしろ基礎控除を上げる方がまず第一ではないか。結局事の先後から言いますと、基礎控除を上げるということに重点を置いた方が、割合に小さな所得者にまずもつてフエーヴアが行くのではないかというのが、昨年の税制調査会の結論のように伺つております。そういうわけでございまして、給与所得と事業所得との間には、そうした所得の計算のプロセスにおいて相当違いがあるということも、十分御考慮の上で御検討願いたいということた申し上げておきます。
  47. 春日一幸

    春日委員 今お話を承りましたけれども、結局われわれの意見とは正面から対立するものでありまして、なお御理解を願つておきたいのは、特に医者の収入についてであります。これは生活保護法ではそういう立法がされておるが、社会保険関係の法律では、これはまた別個のものだと思うというお説でありますけれども、これは生活保護法にも、あるいは健康保険法にも、あるいはまた結核予防法にも、あるいは災害保険法、すべて生活保護法の租税公課の対象としないという条文が、そつくりそのまま同じ文字で全部一行ずつ挿入されておるのであります。従いましてそういうふうに給付を受けたところの金品がいささかも減耗されないように、百パーセントその治療目的に使われるようにというのが法律の精神でありますから、その金を行使して治療を受ける場合、その金の中の一部が税金に減損されて行くということは、その法律の精神に沿わないのではないか。従つてこれはやはり免税にすべきである、こういうわれわれの所論は決して間違つてはいないと思いますので、なお御検討を願いたいと思うのであります。  それから零細所得者の動労控除の問題でありますけれども、給与所得の諸君は何といつたところで、これは働きさえすれば収入が得られるわけで、そこに勤めておる限りは月給がもらえるわけであります。ところが事業所得の諸君は、一生懸命働いて商売をやるわけなんだが、もうからない場合には、損をするいろいろな危険も含まれておるわけなんです。いろいろそういう事柄等も含めまして、給与所得の諸君にそういう特別措置が講ぜられておるとするならば、やはりそういう零細所得者に対しても同様の措置を講じてやるということは、これは当然のことであり、だから彼らが要望してやまないところであろうと思うわけであります。いずれにいたしましても、あなたと私とは大体意見も違うし、縁なき衆生度しがたいとでも申しましようか、時間も参りましたから、また明日続けることにいたしまして、本日はこれで終ります。
  48. 黒金泰美

    ○黒金委員長代理 井上良二君。
  49. 井上良二

    ○井上委員 ただいま渡辺主税局長から税制改正に関する政府当局の御答弁を伺つておりまして、これは政務次官にも聞きたいのでありますが、問題は、来年度のわが国の財政計画がどの規模まで行くであろうかという想定でごさしますが、これに対しては、すでに大蔵大臣にいたしましても、また他の関係の方々におきましても、大体一兆円をそう大きく上まわるということは、やはり現在の諸般の情勢から困難ではないか、こういうことが大体において言われております。もちろん外資の導入がどうなるか、あるいは外国為替の関係がどうなるか、その他諸般の問題が大体出そろわないと、来年度の財政計画は具体化されないということは、常識的にはわかつておりますけれども、その点が多少日本に有利に展開されるにしても、国内の財政規模としましては、一兆円をそう大きく上まわるということは大体考えられないのではないかということが、一般的な常識ではないかと私どもは見ております。そういう見地から、来年の税制の大体の構想を、政府としてもおよそすでに腹構えをきめて行かなければならぬときになつておりはしないか。それはどういうものが新しくどれだけいるかという見通しがつかない限りは、その財政収入の一番大きい税収入をどの程度に押えて行くかということがわからぬ、こういう言い方を今渡邊さんはしておるのであります。そういう見方も考え方によれば立つかもしれません。しかし政府の今とつております緊縮財政政策によつて、これをインフレにもどすなら別ですが、もどさずに、わが国の堅実な財政計画を立てようとするなら、大体この政策はそう簡単に変更できないではないかと私ども考えるのであります。そう見ますと、わが国の国民生活なり、あるいはそれから出て来ますわが国の産業全体の動きというものを見て、国民所得が一体どう動いて行くかということはおよそ推定がつくはずであります。それがつかぬということはおかしな話じやありませんか。大体政府の政策は動かされるものではないじやないか。これはまた内閣がかわりまして、非常に極端な政策をとるなら別ですけれども、しかしわが国の置かれております今日の国際的な地位から、また国際的に日本の置かれておる経済上の姿から考えて、いずれの内閣ができましても、大きな変革が行われるとはそう簡単に考えられない。ただそれを計画的に、総合的にやるのかやらぬのかという問題はありますけれども、私は大体そういうように見ておる。そう見ますと、来年の財政計画の上における税収入の占める位置がおよそどういうものであるかということについては、おそらく渡邊さんの方ではもう検討しておるに違いないと思う。そこで、私どもそれから推定いたして参りますと、結局今の政府のデフレ政策が浸透して参りますと、結局中小企業という弱い面がこの犠牲になることは隠すことのできない事実だと思う。しかも弱い面、つまり所得の少い面がこの犠牲を受けておるのです。この所得の少い面がまた一番納税人員として多いのです。そういうところから、政府全体の収入が、税収入の上において実際相当減ります。個々の金額は少くとも、数が多いので、私はそういうようになつて行くのではないかと思う。その税収入全体が来年度は減りはせぬかという一つの見通しの上に立つて、現税制度を大きく改正するということ、特に低額所得者に対し不合理な税制をかえるということがこの際困難であるというような議論は、私はどうも納得できない。政府のデフレ政策が徹底すれば徹底するほど、大衆のふところは苦しくなつて行きます。従つてその反対に、税制をできるだけ緩和してあげて、減免の措置を講じてやるというやはり片一方で生きる道を考えてやらなければいかぬと思う。あなた方の机の上のそろばんでは、さきに申しますように、全体が非常に大きく犠牲を受けますから、税収の面も非常に減つて行くという一つの見通しが立ちますので、だから減免の処置は講ぜられないという考え方がそこに出て来ますけれども、しかしまたその反面、一番収入の少い者が政府の政策の一番大きな犠牲を受けるということもまた事実です。そういう面で、特に低額所得者の減税ということについて格段の対策を講じてやることが政府の政策をうまく遂行さす上からも必要ではないか、私はそういう考え方なんです。だから、単に政府の財政規模がきまらぬから、税収の面についてもまだどうするという見通しがつかぬということでなしに、およその筋はわかつておりますから、その上において少額所得者に対して来年もまた相当減税することが正しい、こういう一つの確固たる信念で税制改革に乗り出してもらいたい。去年の税制調査会の答申においても、あなた方の国会における答弁では、これが全部実現できぬなら、国の予算の許す範囲において漸次やつて行くということを言明しておりますから、そういう面からも、特に新しい税制を取捨選択いたします場合お考えを願いたい。  それからまだ一つ懸案になつております例の高級織物に対する消費税の問題でありますが、これが国会において審議未了になりまして、政府の方においては税収上大きな赤字が出ておるわけです。政府としてはこれを次の国会提出する腹でおりますか、それともこれはやむを得ない、悪税として再び提出する意思はない考えでありますか、これは政務次官からもひとつ御答弁を願いたい。私の今申し上げましたことについて、政務次官並びに主税局長はどうお考えなつているか。  それからもう一点、時間がありませんから簡単に伺いますが、先般十二号、十五号台風が日本本土に上陸いたしまして、農林関係あるいは建設関係その他の方面に非常な被害を受けておりますが、その被害総額災害復旧見込額、及びこれに要します応急復旧費は一体どれだけ見込んだか、そうしてそれを予算化せずに予備金で一時まかなうという話でありますが、年度末までに予備金をどれだけ出す余裕があり、それが要求額とどのくらい違つているか、それからその間つなぎ資金を出そうとするでありましようが、つなぎ資金状況はどうなつているか、今後出せる見込みのものがどれだけあるか、これらについて御答弁願いたい。
  50. 山本米治

    ○山本説明員 来年度予算の規模が大体一兆円以内であるということが常識であることは、ただいまお話の通りでありますし、かつ大蔵大臣も閣議においては、来年度もまた一兆円以内ということを言つております。しかしその一兆円以内がどの程度であるかということはなかなかむずかしい問題でありますが、先ほど主税局長も述べましたように、来年の一種の特徴といたしまして、歳入の側から歳出の規模が制約されて来ることがあると思うのであります。そこで歳入がどのくらいになるかという見積りの問題があるわけでございますが、これがまた、税制が現在のままである場合とかわる場合と非常に違うわけでありまして、現在のままであるならばどのくらいの見通しになるかということは、目下作業中のようでございます。一方、先般新聞等にも発表されておりますが、自由党政調会の新政策によりますと、資本蓄積に寄与したものに減税する、あるいは輸出関係で減税するとかいうようなことが出ております。現在のままの税制であるならばどれだけになるか、そういう種類の減税措置を一部やつた場合にはどうなるか、またその減税が行き過ぎになると歳入が減りますので、それでは一部増税が考えられるかどうかということについて目下いずれも検討中でございます。特に繊維消費税を再びやる気があるかどうかというお尋ねでございますが、この点につきましてもまだはつきりしておりません。目下研究中でございます。私個人の考えといたしましては、前回つぶれたものをまた出すのも問題が多いかとも思つておりますが、目下のところわかつておりません。  今度は歳出の側から考えますと、これまた先ほどちよつとお話がありましたように、来年度は自然増というものが社会保障費の関係、あるいは教育費等の関係、あるいは地方交付税の関係等でありますので、一兆以内に収めることもなかなか困難な状況であります。われわれは歳出規模はできれば小さいほどいいと思つておりますが、実際問題としては、一兆以内で非常に大幅な圧縮ができるかどうかということを疑問に思つておるわけでございます。  それからもう一点、災害の点につきお尋ねでございますが、今日まで十五号台風がまだ全部判明いたしておりませんが、報告額は七百三、四十億というところでございます。従来の例によりますと、大体その七割くらいが査定になりまして、さらにそのうち国庫負担が大ざつぱに七割くらい、こういうふうに見ますと、大体三百五、六十億というところが国庫負担になるのではないか。その中でもまた直轄事業と補助事業がございますが、これらも必ずしも同率ではございませんが、たとえば二十九年度において直轄事業は四割くらいやるとか、補助事業は二割くらいやるとかというふうにしますと、大体七十数億くらいが今年度いるのではないか。こういうふうに考えられるのでございますが、さてその財源といたしましては、今日まだ予備費が七十億弱残つておりますし、また一部は節約の解除というようなこともいたしますれば、従来の台風被害は大体予備費その他でまかなつて行けるのではないか。こういう見通しでございます。  もう一点は、これに対するつなぎ資金をどうするかという問題でございますが、先ほど申しました七十数億の今年度国費負担のうち、補助事業分が五十億くらいございますが、その五十億に対してつなぎをするというわけになるのであります。前年の例によりますと、大体四割くらいをつなぎに出しておつたのでありますが、かりに五割出すといたしましても、五十億の補助事業分に対しましては、二十五億のつなぎ資金を出せばいいということになるわけであります。そのうち台風五号くらいまでの分についてはすでにつなぎが出ておりまして、これが五億くらい出ておりますから、二十五億から五億を差引きますので、大体今後つなぎを出すべき金額としては大ざつぱに二十億くらいではないかと考えておるわけでございまして、国庫負担分につきましても査定等が済みますれば、できるだけ早く出しますし、またただいま申しましたつなぎにつきましても、一刻も早く出すように目下対策考えておる次第であります。
  51. 渡辺喜久造

    ○渡辺説明員 歳入の見積りにつきましては、われわれの方では確かに絶えず毎年の見積りをつくつておりますが、ただ何と申しましても——先ほど春日委員に御答弁しましたように、法人税の動きというものが相当大きく響きますので、現在この程度でといつたようなことを申し上げる段階にまだなつていないわけですが、相当減る原因があるようでございます。従いまして、本年度は割合に順調に入つておりましても、明年度はなかなかそういうわけには行かないのではないか。こういう点が心配されるわけでございます。井上委員の御説は、そうであつてもなおかつこのデフレの影響を一番受けておる少額所得者に対しては税を減すべきではないかということで、もしその線で参りますと、そうでなくても減る歳入がさらに一層減るわけでございまして、それで歳出が持てるかという問題が出て来るわけでございます。それで税の方も、確かにわれわれもまだ軽いとは思つておりませんし、重いと思つおりますが、同時にいろいろ社会保障費を必要とするような階層の人は、さらにまだ税を納められる人よりももうちよつと下の階層の人もあるわけでございまして、そう考えて参りますと、社会保障費といつたようなものについてはやはり相当増加があるのもやむを得ないといいますか、当然だ、こういった面で、歳出の面におきましていろいろ節約はし、いらないものは削りましても、やはり相当の額が出て来るのではないだろうか。従いましてわれわれの方といたしましては、御説のように少額所得者の負担をできればもつと下げるということも考慮してみたいと思いますが、しかし歳出歳入の食い違いがインフレ的な手段で穴埋めされるということになりますと、結局一番その犠牲を受けるのは少額所得者である。こういった問題も出て参りまして、お気持はよくわかりますが、われわれの方もそれがすぐ実行できるだろうかという点につきましては、まだどちらかといえばちよつと悲観的な見通しこそ持つておれ、楽観的な見通しは持つていない。同時にまた資本蓄積のために云々といつたような議論も片方に相当ございますし、その全体をにらみ合せて行きまして、はたしてどういう結論になるか、正直に言えば、他に新しい財源でも探さない限りちよつと手がつかないのではないかと実は思つておるのですが、それでは去年のようにもう一ぺん奢侈繊維税を出すか。これは山本次官の言われておるように、われわれもまだどちらとも決心しておりませんが、しかし昨年のこの委員会の審議の経過を見ましても、あまり頭から受付けていただけないような法案をはたしてもう一ぺん出してどうだろうか。もう少し全体の空気もはつきり見きわめた上で、最後の結論を出すべきではないか、かように考えております。
  52. 井上良二

    ○井上委員 最後にもう一点伺つておきたいのは、あなた方の税収の把握の問題でございます。御存じの通り本年の政府の財政計画から行きますと、一方緊縮予算でもって、昨年度に比べて約二、三割予算は圧縮しておるわけであります。一方金融引締めを行つて相当国民経済を引締めて来ておるのであります。そういうところから税収を推定いたしました場合、ことしは税収は相当困難であるという見通しの上に、大体徴税人員はこれだけで、課税額はこれだけで、税収はこれだけあるという一つの見積りが予算として出て来ておるわけでありますが、私はあの見積りというものを非常に甘く見ておりはせぬかという考え方なんです。といいますのは、政府の政策がほんとうに国民の所得に影響しておるということになりますならば、当然税の面でもそれが響いて来なければならぬ。ところが現在あなた方の関東財務局、あるいは関東地方の国税局、それから関西の近畿方面の国税局をずつと調べてみましても、いずれも昨年より増収になつておる。一体これは何を意味するのか。これは八月末までの大体の数字でございますから、これから下半期がどうなるかということは——あなたも九月決算がどうなるかということを法人税において言われておりますが、法人税を除くいずれもの税収は昨年度よりも増収になつておる。この事実は、あなた方の税把握の上において非常に甘い数字を持つておりはせぬかということが言い得られるのであります。そういう意味から、あなた方は相当にゆとりのある課税をやつているなという一つの見通しを持たざるを得ない。そうじゃなかつたら、去年よりももつと少くなるのがほんとうであるにかかわらず、去年よりも税がよけいとれているということは一体どういうことか、私はふしぎでかなわない。一方においては、緊縮によつて金融を引締めて相当苦しい経済状態に追い込んでおりながら、片一方においては財政運用面において相当散超もあるのじやないか、その面で物価が下らぬのじやないかということも言い得られるのでありますけれども、全体あなた方の税の把握が相当甘い数字を持つているからだ。そうでなかつたらこんな数字は出て来るはずはない。それとも、不景気になつて税収がうまく行かぬからという認定に立つて、徴税攻勢を相当積極的にやつているかどちらかだということがこれで言われるのじやないかと思うのです。それは数字ですから動かすことはできない。あなた方の管下にわかれておる各国税局の八月までの実収というものは、昨年に比べて決して悪いことはないのであります。この事実を一体あなた方はどうごらんになつているか。この上から考えてみても、来年度税収の上において相当減額をしてやるということのゆとりは十分ここに出て来るのじやないかと言い得られる。現に今お話に出ました織物消費税の減収、あるいはまたタバコの専売益金の減収、これら両方合してもおそらく二百億くらいになりはせぬかと私は見ておる。二百億からの大きな穴が明くにもかかわらず、政府が予算の更正もせずにそのままやつて行けるという意味は、土半期までは税収で思わざる金が相当つて来ておるからだと私どもは見るわけです。そういう事態から考えて、来年また二百億くらい減収を見込んでも行けるのじやないか。それならば二、三百億ここで低額所得者の減税をしても、あなた方が心配されるほどのそんなに大きな歳入欠陥は生じないということが、私どもの大まかな見地から言い得られる一つの見通しを持つていますから、そうおじないで、年末から春にかけて困る人がたくさん出て参りますので、ぜひ少額所得者に対しての減税というものを真剣に取上げてもらいたいということを私は特に要望しておきます。  それからいま一つ政務次官に伺いますが、あなたはここで七十億くらいあれば大体行けやしないか、こういう大ざつぱな御見解でございますが、これは例の農林関係、建設関係等を中心とした台風災害に対する復旧費用のおよその見積りであろうと思いますが、この中には例の洞爺丸関係の運輸省関係災害復旧費は入つておりません。あれはけさあたりの新聞を見ましても、運輸省関係では全体で約百五十億ほどの損害を受けたと発表しております。そうしますと政府では七十億というが、運輸省所管だけで百五十億の被害を受けておる、これだけいる、こういう話をしておる。洞爺丸の犠牲者に対する弔慰金だけでもものすごい金がいりやせぬかと思うしまたあの船を引揚げて役に立つようにいたしますためには相当の大きな金もかかりましようし、これは公社なつておりますから直接政府の予算には関係ないと言えば言えますけれども、しかし、これも結局政府がめんどうを見て行かなければどうにもならぬことになりやしないかと思いますが、これは別個になつておりますから、今の御説明とはちよつと違うことになりますから、その点を明らかにしていただきたい。
  53. 山本米治

    ○山本説明員 まず第一点の問題でございますが、これは一口に申せば時のずれという問題で解釈できるのじやないかと思うのであります。源泉徴収の方では、必ずしもまだ国民所得のベースが下つたとか、そういうことはありませんし、失業者は多少出ておりますけれども、その点で減るということもなし、また農村関係は国税は少いのでありますが、それにいたしましても農村の所得も米麦等も——麦は特に豊作でございましたが、そういう関係で所得が減つておらない。それから一方景気に関係のある問題は法人税の方でございますが、法人税にいたしましても、この九月決算に初めてデフレの影響というか、相当の影響が出て来るのでありますが、これにいたしましても、各会社が景気の変動によつてそう三割配当にしたり、次の期にはゼロにしたりということはできませんので、そういう関係を多少調節といいますか、そういうこともいたしますし、そういう関係で今までの税収は多いのでありますが、これから景気が下つて来ますと、この九月決算、来年の三月決算は非常に悪い、税金というものは景気の上り坂と下り坂とでは非常に違うので、今まで数年は初めの見つもりに対して数百億ないし千億も自然増収があつたこともありますが、今後一、二年はむしろこれが逆になるのじやないかということが考えられる。その点が一番大きな問題だろうと思います。  それから国鉄の関係はどうかというお話でありましたが、これは先ほど申し上げた数字と別個でありまして、国鉄の関係では船舶の喪失、見舞金等相当失費があつたことは申すまでもないことでございますが、これの方では、私の聞くところによりますと、百億近く損失があるのじやないかというふうにいわれておりますが、国鉄内部にまだ二十億ほど使える金がございますので、これを差引きましても八十億ということになりますが、国鉄の伝えられるその数字がそのまま真実であるかどうかもわかりませんが、これらの数字を十分検討いたしまして、最後に国鉄がどれくらい資金が不足するか、その場合にいきなり国鉄へ財政支出をするということよりも、さしあたり資金運用部でつないで行くのじやないか、何十億になるかはつきりいたしませんが、いろいろな損害、自分の使い得る財源等を勘案した上で、資金運用部で出すことになるのじやないかと、こう思つております。
  54. 黒金泰美

    ○黒金委員長代理 それでは本日はこの程度にとどめ、次会は明十二日午前十時より開会することといたします。  なお来る十九日火曜日午前十時より大正飛行場返還に関する件について国有財産に関する小委員会を開きたいと存じます。あらかじめ御了承を願います。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時九分散会