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1954-09-28 第19回国会 衆議院 大蔵委員会 第73号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年九月二十八日(火曜日)     午前十時五十四分開議  出席委員    委員長代理理事 内藤 友明君    理事 有田 二郎君 理事 黒金 泰美君    理事 久保田鶴松君 理事 井上 良二君       宇都宮徳馬君    大上  司君       大平 正芳君    小西 寅松君       島村 一郎君    高橋  等君       田渕 光一君    宮原幸三郎君       小川 豊明君    福田 繁芳君       春日 一幸君  委員外出席者         大蔵政務次官  山本 米治君         大蔵事務官         (銀行局長)  河野 通一君         大蔵事務官         (為替局長)  東條 猛猪君         国税庁長官   平田敬一郎君         中小企業金融公         庫理事     塙  金太君         専  門  員 椎木 文也君         専  門  員 黒田 久太君     ――――――――――――― 九月十三日  委員並木芳雄辞任につき、その補欠として本  名武君が議長指名委員に選任された。 同月十七日  委員苫米地英俊辞任につき、その補欠として  金光庸夫君が議長指名委員に選任された。 同月二十七日  委員金光庸夫辞任につき、その補欠として苫  米地英俊君が議長指名委員に選任された。 同月二十八日  委員和精一君、坊秀男君、及び苫米地英俊君  辞任につき、その補欠として小西寅松君、田渕  光一君及び高橋等君が議長指名委員に選任  された。 同日  委員高橋等辞任につき、その補欠として苫米  地英俊君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  税制に関する件  金融に関する件  国有財産管理状況に関する件  委員派遣承認申請に関する件     ―――――――――――――
  2. 内藤友明

    内藤委員長代理 これより会議を開きます。  税制に関する件、金融に関する件、国有財産管理状況に関する件の二件を一括議題として審査を進めます。質疑の通告がありますので、順次これを許します。春日一幸君。
  3. 春日一幸

    春日委員 外資法関係する事柄につきまして、まず第一番に東條為替局長にお伺いをいたしたいと思うのでありますが、本委員会はこの法律関係する事柄について、すでに数回にわたつていろいろと議をいたしておりますし、その都度局長に対して、政府方針を伺い、あるいは具体的な事柄事務処理状況等をお伺いしようとしてしばしば出席要求し、御連絡をいたしておるにもかかわらず、その都度御出席に相ならなかった、一体これはどういうことでありましようか。局長の職にあられる方が他にそれぞれの用のあろうことは想像にかたくないのでありますけれども、しかしながら国権の最高の府であるこの国会国会法に基いて出席要求をしたことについて、他の用務になぞらえてこの委員会出席をしない。しかも一再ならず数回欠席をいたしておる。国会法並び衆議院規則に基く本出席要求をどのように考えておられるのであるか。さらにまた数回にわたる出席要求に対して今まで出られなかった理由、そういうことについてまず御答弁を願いたい。
  4. 東條猛猪

    東條説明員 ここの委員会出席するようにというお言葉がありましたが、その都度いろいろと緊急やむを得ない用務のために欠席いたしましたことは、まことに恐縮に存じます。もちろんわれわれといたしましては、御要求がございます段、喜んでいろいろと意見を述べさせていただくのが当然の職責でございますし、その点につきましては十分自党をいたしておりますので、過去の点は御了承いただきまして、今後出席の御要求がございましたときには、できるだけ御趣旨に沿うように努力をいたします。
  5. 春日一幸

    春日委員 われわれは休会中といえども特に重要なる議案について、お互いに万障繰合せてこの委員会を開いておるわけです。違い人によって北海道、九州の選挙区から、国家焦眉事柄についてこの委員会へ参画しておる。しかもあなたは何回も出て来ぬということはまったくけしからぬ。大蔵省の局長の中であなた一人なんです。昨日なんかも、そのように出て来ないということであるならば、これは証人として喚問するのやむを得ざることになろう、こういうような最終的段階に至って遂に出席して来たというようなことで、そういうような人では、重要な外資関係事柄をあなたに信託をして行くということこついてわれわれははなはだ不安にたえないわけである。今後はひとつ必ず本委員会に出て、政府方針について十分本委員会連絡をとって、国会の権威をそこなわないように、のみならずわれわれの職責を遂行する上において支障を来すようなことのないように善処されることを強く要望いたしておきます。  それでは質問をいたしますが、本日の日本経済新聞によりますと、外資制限について米国から抗議が出されているということがいわれているのでありますが、一体先般来のシンガーミシンパインミシンとの提携、あるいはジョンス・マンビルと小野田セメントのフレキシ・ボードについての提携、こういうようなことについていろいろと懸案があなたの手元に残されており、さらにこれらを中心として、新聞の報ずるところによれば、事件がすでに八十件に達しているとのことでございますが、一体こういう事柄についてアメリカ政府からどういう抗議が出されているのであるか。その抗議に対する政府見解はどういうものであるか、この点をひとつ明らかに願いたい。
  6. 東條猛猪

    東條説明員 私が承知いたしております限りにおきましては、正式の抗議とか、あるいはそういう正式のものではないと思っております。日米石綿の問題でございますとか、あるいはシンガーミシン問題等につきまして、政府部内でもいろいろと検討いたしているわけでありますが、これらの案件につきまして非公式に政府考え方を照会したり、あるいはアメリカの業界の希望を取次いで日本側のこれに関する見解を求めるというような程度のものでございまして、シンガーミシンについて、こうであって、これはけしからぬではないか、あるいは日米石綿の問題について、こういう点について抗議する、さような性質のものでないと見ております。  それからけさの日経新聞に未処理案件八十件という記事が出ておりましたが、これも私の記憶する限りにおいては、さようなたくさんの件数には上つておりません。御承知のように、日本技術相当遅れておりますので、技術援助提携をしたいという申請は実はあとからあとから出て参りますので、相当処理はいたしておるつもりでございまするが、未処理案件はおそらく三十件ないし四十件程度現在でもあろうと思いますが、決して日本米国との間の懸案と申しますか、相当技術的にむずかしい問題のある案件が、さようにたくさん現在未処理になつてあるという状況ではございません。
  7. 春日一幸

    春日委員 米国資本並びに技術日本のそれそぞれの工業との提携の問題が、さまざまな形でもつてこの外資法に基く申請政府に出されておるということは、われわれも承知をいたしておるのでございますが、このことについて私どもの申し上げたいことは、いずれにしても、あるいは外国の高度の技術を導入しなければならないものがあるかもしれないけれども、その必要がありとするならば、そういうような方法を講ずることを考えると同時に、なおその未熟な日本国内産業をすみやかに国際水準に高めることのための国内的な措置ということが、独自の立場において講ぜられるということも第一義的なものであろうと考えるのでございます。具体的に申しますならば、たとえばシンガーミシン日本進出すれば、日本国内ミシン工業がこれによつて非常な衝撃を受けて、そうしてあるいは関係労働者四十数万の者が路頭に迷う場合もあるということが非常に強調されております。さらにはまたフレキシ・ボードをめぐつて、同様の衝撃国内同種産業に対して与えられようとしている。さらに先般は明治製パンアメリカ資本との提携によつて日本製パン業が非常な衝撃を受けておるのでございます。こういうような方式によつて次々とアメリカ資本日本進出ということが考えられますならば、これは本日この日経が報道いたしております通り、テレビジョンにおいても、あるいは電気冷蔵庫においても、電気関係の諸製品におきまして、その他自動車関係産業等においても、次々とそういう申請が出されて、結局アメリカの大きなメカニズムによつて日本産業そのものがあるいは大きく損壊するという場合も考えられるわけでございまして、それだけに、国内関係企業家並び関係労働者がこれに対してこぞつて反対をいたしておることは、これは局長においてもよく御認識を願つておることであろうと思うのでございます。ところがこのフレキシ・ポードの問題といい、シンガーミシンの問題といい、そういう申請があなたの方に出され、しかも反対陳情があまねく尽されておるにもかかわらず、三箇月も五箇月もこのことが長く懸案になつて本日に至つておるわけでございますが、従つて次々と相次いで同様規模による申請が出されて来る。そうしてただいまの局長答弁によるがごとくに、すでに三十件、四十件というような懸案をここに堆積するという形になつて参るのでございます。従いまして私どもは、経済の自立ということは何といつてもわれわれが独立を完成する前提条件としてこのことを達成しなければならないのでありまするから、われわれこの経済をほんとうに日本独自の形においてまず自立せしめることのために、政治施策は集中されなければならぬ。すなわち外資の導入によつてあるいはそういうような目的が達せられたとしても、その結果は植民地経済に堕し去るという心配が多分にあるというので、これは関係産業企業家労働者もこのことを指摘しておりますし、なお本委員会においても、さらにはまた通産委員会においても、同様の趣旨が強調されているのでございます。そこで私は、こういうような問題は早期に解決をして、そうしてあとから次々と申請されている事柄に対して、大体の一つの規格と申しましようか、めどをつけてやる必要があると思う。許されるのか許されないのかわからないという形で政府が荏苒日を過しておりますので、あるいは許されるかもしれないという希望を持つところのそれぞれの企業者たちが、同様の規模と構想によつてあなたの方へ申請をし、これがすでに今日三十件、四十件というのであるが、さらにこの問題が等閑に付せられますならば、これは日本経済が指摘するがごとくに、やがては八十件に達し百件に達し、そうして収拾すべからざる混乱が起るということも考えられないことはないと思うのであります。あなたは今につこり笑われたけれども、笑うべき筋合のものではない。これはあなたが非常に困つてしまう問題であつて、あなた自体か困つてしまうということは、日本国内企業者たちが全体的に困つてしまうという形になるのであつて、これを千期診断と申しましようか、そういうような申請が行われたときに、早期にての結論を下すことによつてあとに祝く人々に対する一つめどを示してやるということは、これはまさしく政治の要諦でなければならないと思うのであります。本日までこの問題が何ら両論を出さないで、それぞれ世上に、多くの疑惑とあやまてる風評と、いろいろの揣摩臆測を生ぜしめている責任たるや、実にあなたがこの問題を数箇月間うやむやに捨てていることに原因することが大きいと思うのでありますが、一体どうして数箇月間もこの問題に結論が下し得ないのであるか、あるいはまたこれは最近においてもうすでに結論が出し得る段階に立ち至つておるのであるか、あるいは当分何ともかんとも手のつけようがない状態にあるのであるか、この点について局長の御答弁を願いたいと思う。
  8. 東條猛猪

    東條説明員 外資法に基く申請がございました場合には、私どもといたしましては、外資法法律条文でいわゆる認可基準が定められているわけでございますので、その具体的な条件認可基準に該当するかどうかということのみによりまして、その許否決定されるのでございます。申し上げるまでもないことでございますが、直接または間接国際収支改善こ寄与するかどうか、あるいは直接または間接重要産業または公益事業発達に寄与するかどうかという、外資法の第八条で決定になりましたこの目安に照しましてすべての案件処理いたしているわけでございます。何分にも日本技術が非常に広い分野にわたりまして遅れておりますので、毎回の外資審議会はほとんど十件に近い――もちろんその日によりまして案件の多寡はございますが、数件ないし十件に近い案件処理いたしているわけでございますが、なおかつそういう技術水準の遅れておりますのが各方面にわたつておりまして、新しい申請あとからあとから出て参るということで、やむを得ず三十件ないし四十件にわたる申請が常時私ども手元にあるという実情に相なつておるわけであります。できるだけこの事務処理を急ぎまして、この法律条文合致しているかどうか、そういう基準に照しまして、外資審議会審議に基きまして許否決定を急いでおる次第でございます。従いましてこのシンガーの問題にいたしましても、あるいはその他の案件にいたしましても、判断目安は、直接または間接国際収支改善に寄与するかどうか、あるいは重要産業または公益事業発達に寄与するかどうかということに関する判断のわかれ目が、結局この具体的な案件許否基準になるわけであります。そこで私どもといたしましては、この二つ目安を単に政府部内だけでなくて、広く民間の委員も入つておられますところの外資審議会で諮つて、その外資審議会審議の結果を尊重いたしまして、政府としての意思決定をいたしたい、かような慎重な手続をとつておる次第でございます。日米石綿の問題につきましては、現在の申請では、まだこの二つのいずれかの条項に合致しているかどうかというはつきりした目安が立ちにくいということで、今日までまだ最終的な結論を出すに至つておらない次第であります。シンガーの方につきましては、現在出ておりまする申請の形では、この第八条の基準合致しているかどうかという判断の難易は、日米石綿の方に比べますると容易ではなかろうか、かように考えております。しかし先ほども申し上げておりまするように、われわれといたしましては、政府部内の意見だけでなく、十分に審議会でも議を尽していただきまして、その結論に従いたい、かように考えております。そこで日米石綿の問題に比べますればこのシンガー提携の方は、審議会としても結論も早く出ましようし、また政府としての意思決定も比較的早期にできるであろうというふうに考えておる次第でございまするが、現在のところでは、まだこの許否いずれにも決したということを申し上げる段階には至つておらない次第でございます。
  9. 春日一幸

    春日委員 官庁事務能率を高めろということは、これはすでに国内におきまする強い要望でありまして、すでに国会内においてもこのことが強い決議となつて政府要望されておるところであります。たとえばこのミシン関係の問題につきましては、三箇月近い間幹事会にかかつていた。この幹事会官庁関係当局によつて構成されておると思うのでありますが、この幹事会においてとにかく三箇月近い間もこねまわされておつた。そうしてこの外資審議会にこれが付託されたというのが二十一日であるかのごとくに昨日課長から答弁がありましたが、私はもつと早く事務処理をやつてもらいたい。ただいまお伺いするまでもなく、この可否を決するものは、外資法関係においては国際収支改善に寄与し得るかどうかという問題である。これは陳情書もあり、その他資料もあり、この問題はわれわれしろうとが考えても、三箇月も幹事会課長級や、その他の責任者エキスパートたちが研究しなければ結論が出されない問題ではないと私どもは考える。いずれにしてもこの問題が長い間結論を出されていないということが尾を引いていろいろの影響を与えている。そうして次々と他の産業たちからもそういう同種同形申請を出して来るという結果になつて、このことが累をはなはだしく広い範囲へ及ぼして来るということになるから、十分に能率化ということに御留意を願いたいと思うのであります。いずれにいたしましても、一切の問題を一ぺんに解決することは困難でございましようが、ただいまの御答弁によりますると、このミシン関係の問題は他の問題に比べて判断が明確である、資料が明確であるので判断をするのに早いというような御答弁が今あつたのでありますが、いずれにしても昨日私ども委員会で、日本ミシンの社長でありまするか、参考人から聴取した参考意見によりますると、このシンガーミシン進出を許しておりまするイギリスにおいては、国内ミシン産業というものは全部斃死してしまつて、今やイギリス国内産業においては、ミシン用のネジ一つつくる町工場すらもつぶれてしまつて、今は何にもしていないということでございます。年間八千万ドルといわれましたが、いずれにしても相当輸出実績を持つておりまするところのこの輸出産業、まさしくこれは国内重要産業でありまするが、この重要産業の危急存亡にあたつては、私は当局事務処理はもつと的確かつ迅速でなければならぬと思うのでございます。こういうような意味合いにおきまして、米国資本日本進出したということは、これはやはり米国資本がそれだけ進出することによつて利益が得られるという見通しの上に立つ問題でございまして、これはしよせんは日本国内産業と競合するという立場において、そのことはそのまま日本国内産業の大きな損害、これを意味するものであつて、これはもはやそんなにくどくどしく検討を要しない事柄であろうと思うのでございます。従いまして、私はここに結論として申述べたいことは、少くともこのミシン関係申請については、ひとつ政府においてすみやかにこれを不許可にすべきである、かくのごとくに考えておりますが、これに対して政府はどういうような御方針であるか、その大体の見通しについて局長の御所見をひとつお伺いいたしたいと思うのであります。
  10. 東條猛猪

    東條説明員 ただいま申し上げましたように、このパインミシンシンガーミシン提携の今回の申請につきまして、許否いずれにきめた、あるいはこういう方針であるということを現在申し上げる段階ではございませんが、外資法の第八条の国際収支改善あるいは重要産業技術の向上という観点から見ますると、このミシンの現在の申請の形では、積極的に解釈することがむしろ困難である。やはりいろいろ積極、消極両方要素はございます。従つて全部積極あるいは全部消極という判断はすべきでありませんで、おのおの消極面積極面両方要素をこの申請に含んでおると存じまするが、現在のバランスにかけた場合においてどちらが重いであろうかという点につきましては、むしろ消極的に考える方が適当なのではなかろうかという意見の方が、政府部内におきましてもより有力であるという程度のことしか今日のところは申し上げられないと思います。
  11. 春日一幸

    春日委員 ただいま東條為替局長の責任ある御答弁によりますと、不許可になる公算が大である、こういう御答弁を得ました。これは私ども委員会がかねて念願いたしておりまするところの考え方合致をいたしておりまするので、そのような処理が最もすみやかな機会において政府によつて下されることを強く要望し期待をいたしまして、私の質問を終ります。
  12. 東條猛猪

    東條説明員 春日委員の御解釈はこれは自由でございますが、私がお答え申し上げました用語とただいまの御要望用語とに多少隔たりがございますから、その点だけちよつと申し上げておきます。
  13. 春日一幸

    春日委員 それでは決議案を出さなければならぬ形に相なりますが、ただいま政府の御答弁によりますると、外資法第八条に基いて申請されたこの事柄国際収支改善に寄与するか寄与しないか、この立場に立つて判断をする場合、必ずしも寄与するものではないというふうに判断する方がより多い、こういうような御答弁がありました。従いましてあなた方はこの法律に基いてこれに対して決定を下すのでございますから、すなわち外資法に基くところの国際収支改善に寄与するよりもこれは寄与しない方が多い、のみならずそのことが国内ミシン産業に対して重大な脅威を与える、こういうようにいろいろな資料を総合判断いたしますれば、これは何人が考えても、特別の政治的の圧力とかあるいは買収、饗応されない限り不許可になるということは当然の事柄でありまして、東條局長の御答弁を聞きますと、何人もそのような推測を下すということは、これは間違いのないところであろうと思うのでございます。従いまして私が申し述べましたことは、そういうような御弁に基ずいてわれわれの判断できることは、すなわち政府の御方針はおそらく許可しない方針の方が多い、こういうぐあいに判断をいたしましたので、その判断はわれわれが要望しておるところとこれは合致をいたしておるのであります。その方針に基いて処理されるということであれば、これ以上質問を申し上げる必要はないと思う。従つてその処理をすみやかにしてもらいたいということを強く要望したのでございますから、あなたからとやかくのことをさらに付言されるという必要はないと思います。私はこれをもつて質問を終りますから、議事を御進行願います。
  14. 内藤友明

    内藤委員長代理 それでは福田繁芳君。
  15. 福田繁芳

    福田(繁)委員 私はこれから河野銀行局長金融部門に対する数点を質問いたしたいと思うのです。  まず第一点から伺いたいのでありますが、前国会中にわれわれが非常な杞憂の念を持つておりましたところの、本年度の下半期におけるところの金融界情勢でございます。これに対して先般お盆も済んだわけでありますから、お盆中心にして、言いかえれば本年度の下半期金融趨勢をひとつ大まかなことを伺つておきたいと思います。
  16. 河野通一

    河野説明員 上期の金融推移は御承知のようなことで、私どもはまず順調に推移して参つたと思います。これは通貨の発行高情勢についてごらんいただいても、物価の推移に徴してごらんいただいても、また国際収支状況に徴していただいても、大体そういうことが言えるのではないか。しかしながらこの下半期、特に第三・四半期と区切つて申し上げますならば、現在のところでは、これは季節的に毎年そういうことになるのでありますけれども相当程度財政上の散布超過ということが大きく出て来るということは、明らかであります。その原因のよしあしはいずれにいたしましても、結果として相当程度財政散布超過が出て来る。一方におきましては、これはここにおられる為替局長の方が実は担当しておるのでありますが、輸入の関係から、近くユーザンスという制度が実施をされるという問題が一方に考えられる。これは時期の問題は相当まだ検討を要すると思いますけれども、いずれは実施されるという問題であります。そういうことを兼ね合せて考えますと、金融面において相当今までの政策の線を続けて行くということが、どうしても必要である。現在すでにデフレ政策というものは底を入れたというような議論がいろいろ行われておりますけれども、私どもはこの際において、やはり今までとつて参りました、いわゆる俗な言葉でいわれている金融の引締め政策ということは、基調としては今後続けて参るべきであるというふうに考えております。ただ問題は、やはり程度あるいはタイミングといいますか、そういつた問題については、生きておる経済事象に対応して適切なる弾力性というか、伸縮性を持つて問題を考えて行かなければならぬということは、これは当然であると思いますけれども基調としては今後もこれまで申し上げましたような方向を続けて行くということが、絶対に必要であろうと私は考えておるのであります。今後問題になりますのは、具体的な問題といたしましてはいろいろでございましようが、来る十月一日から日本銀行における高率適用の制度をさらに強化して行く施策を実施いたすことになつております。それからさらに輸入金融につきましても、十月に入りますると、相当引締めの効果が出て来るというようなことも現われて参ります。こういった政策をやはり今後におきましても事態に応じて適切に行つて参るということは、今後も怠らず配慮いたさなければならぬ点であろうと考えておる次第でございます。  通貨の状況は、御承知のように大体今年に入りましてから逐次順調な方向をたどつております。八月に入りましてから初めて、中ごろから前年の同日の通貨の発行高を下まわるような状況になつております。これは見方によつては少し通貨が収縮し過ぎるじやないかというような意見もあるようでありますが、私どもは現在の産業、生産、流通の状況から見ますと、まずこの程度の通貨は決して少な過ぎる状況ではない、大体順調なる推移をたどつておるものというふうに考えておる次第であります。今後の金融に対する基本的な考え方は、以上申し上げたようなことになるわけであります。
  17. 福田繁芳

    福田(繁)委員 当委員会におきましても、先ほど私が申し上げましたように、前国会において、本年度の下半期のいわゆる金融関係において非常な憂慮の念を持つておつたのでありますが、ただいま銀行局長から本委員会を通して非常に順調な推移をたどつておるというところの、心強いお言葉を伺いまして、これ実に河野銀行局長中心にしての非常な御努力のたまものである、この意味合いにおいて、私は一応あなたに敬意を表しておきます。  そこで私伺いたいのでありますが、実はそれはほかではありませんが、ちようど先々月から新聞などで御承知のように、目下問題になつておりまするいわゆる新党協議会、こういった問題が起りまして、私も実は北海道を除いたところの全国各地に遊説に参つたわけなのであります。勢いそのことに関連いたしまして、おのおのその土地における財界人等の金融財政に関する御高見も伺つて参つたわけであります。そこであなたに尋ねたいのは、そういつた機会であちらこちらで要望された点を一々拾い上げながら、各般にわたつてつてみたいと思う。まず第一に伺いたいのは、先般御承知のように、小笠原大蔵大臣が日銀の一萬田総裁に関して云々というところの新聞、ラジオの発表がありまして、これが各地で非常に真否をわれわれにただされるわけです。もし新聞に発表されたように、日銀の一萬田総裁の交迭があり得る場合には、言いかえれば、わが国の金融方針に対して多少の変更があるのじやなかろうかしらというところの心配のあまり、われわれに真偽をただされたわけであります。帰つてみますれば、私は御承知のように改進党に所属いたしておりますが、わが党の政務調査会にもそういう照会があちらごちらからあつたわけであります。そこであなたに伺いたいのでありますが、要するに日本の銀行関係の元締めである銀行局長のあなたに、地方のそういつた金融界あるいは財界人などから、一萬田問題に対する御照会があつたかなかつたかということを、ちよつと伺つておきたい。
  18. 河野通一

    河野説明員 一萬田さんの問題について、私に別段地方からの照会があつたということはございません。
  19. 福田繁芳

    福田(繁)委員 御照会がなかつたようでありますが、そうすれば卒直に伺いますが、私が各地で見聞して来たところによりますと、あの小笠原放談としうことが、各地の、なかんずく地方金融に携わつておるところの地方銀行、あるいはまた地方信用金庫、こういったところの理事者諸君に対して、相当衝動を与えたと私は見聞して参つたのでありますが、あなたはこれに対していかようにお考えになられるかということを伺つておきたいと思います。
  20. 河野通一

    河野説明員 どうもはなはだ申訳ない次第でありますが、この問題は先般大蔵大臣からこの席上でお答え申し上げたことでもありますし、私直接この問題についてタッチしておりませんので、従つてそれから生ずる影響その他につきましてもあまり詳しくは承知しておりません。
  21. 福田繁芳

    福田(繁)委員 銀行局長の非常に御謙遜なごりつぱな御態度で、今のお立場としてそれ以上のお答えはできないだろう、御意見の開陳はできないだろうということはあらかじめ私も予測しておりましたので、一応それで満足いたします。  そこでその次にもう少し具体的な問題に入つてみるのでありますが、ちようど幸い本日の委員会中小企業金融公庫の方から定刻前から来られておりますので、まず中小企業金融公庫に関連した問題を一応伺つてみたいと思うのであります。どうですか、来るところの国会において中小企業金融公庫法を改正する意図があるかないか。私は今度、先ほど申したような機会で地方へ伺つて参つたのですが、この中小企業金融公庫というものは、制度は非常によいという。よいのだけれども、地方によりますと、これがまつたく浸透してない。それで利用者も今なお中小企業金融公庫というものがあるかどうかということも知らない状態である。せつかくそういうところの最も大事な中小企業を対象とするところの政府金融機関があるならば、われわれも即刻その恩恵に浴したいという強い意見もあり、また中には中小企業金融公庫という制度があるけれども、その機構というものがよろしきを得ない。卑近な一例をとつてみると、あの広汎にわたつた金融機関の窓口を通しておるので、あまりに窓口が多いために、おのおの代理店の割当額が少い、どうにもならぬ。ひどいところになりますと、一・四半期に二、三百万しかない。そういうのはもう一、二件の希望者のみで満されて、大多数のものは取次もできぬのだというような声も実はあるわけであります。そういう声を一々御紹介しておりますと切りがありませんから省略しますが、、そういう点から考えて、法律をある程度検討つて改正されて、たとえば今申すところの代理店を減らす。代理店を減らすという問題で思い出すのでありますが、こういう意外な現象もあつたわけです。たとえば中小企業者に一番密接な関係のあるところの信用金庫あるいは相互銀行、こういうところの割当が非常に少い。少いがためにさつき申したような結果になる。さればというて、大銀行には実に割当数が多いのに、それを利用する中小企業者が比較的少いので、わくがうんと残つておる。これは具体的な事実を申し上げますが、大阪であつた問題でありますが、大阪の三和銀行のある支店の方に参つたところが、たちまち一千万円のわくをその日に引受けくださつたと言うメリヤス商店があつたのです。そうしてその三和銀行支店で聞いてみますと、まだ御入用なら五百万円や七百万円は幸い残つておるから、いくらでも受付だけはしようという声もあつたというのですが、私はそれを聞いてびつくりしたのです。同じ大阪でありましても、信用金庫のごときは、一四・半期に三、四百万円、申入れますのが五千万円、そこで十五、六人に対して一人しか当らぬというような現象もあつたわけです。こういうこともありますから、言いかえれば、あまり中小企業に関連の少いところの大銀行のごときははずして、むしろ零細金融に携わつておるところの、今言つた信用金庫とか、あるいは相互銀行を重点にやるような方法も再検討の必要がなかろうか。あるいはまたこの中小企業金融公庫は御承知の本店と支店というものがあつてあとは全国約四十県にわたつて代理店営業なんですが、これが非常に不自由をきわめておる。少くとも四国なら四国ぐらいに直轄の支店をつくつてもらいたい、九州なら九州に直轄の支店をつくつてもらいたい、地方ブロック別ぐらいに直轄の支店をつくつてくれという声が非常に多いのであります。そこできよう配付されましたところの中小企業金融公庫のこの資料を見ましても、今申しましたことが如実に実際問題になつて現われて来ておる。最終ページにあります貸付決定都道府県別内訳表、これを見ますれば、いわゆる昔言葉で申しますると、三府四十三県の昭和二十九年度の実績が出ておりまするが、これをごらん願つてもわかるように、先ほどからるる申し上げましたような欠陥があるがために、私は四国だから四国の例をとるようなきらいがありますけれども、今現に四国四県の総金額、あるいは総申込み人数を見まする場合には、あるいは兵庫だとか、福岡だとか、こういう一県にすら足らないような不公平な結果になつておる。さようでありまするから、どうしても主要なところには直轄の支店をつくつて、そうしてその支店を中心にしての近県の調節というものと、そうして四半期ごとの割当量を適地適当に分配するということをやつて、もう少し、せつかく中小企業者が喜んでおるところの中小企業金融公庫を事実花咲き実実るような結果にいたしたい、こういうようなことを考えておるのでありますが、銀行局長はこれらに対していかようにお考えになられますか、御所見を伺いたいと思います。
  22. 河野通一

    河野説明員 中小企業金融公庫の問題でありますが、今福田さんのお尋ねは、この法律を改正する意思があるかないかというお話でありますが、結論的に申し上げますれば、現在のところ改正をする考えを持つておりません。今御指摘になりましたもろもろの問題、これは一々ごもつともな点が多いと思います。しかしこれは主として――主としてと言いますよりは、私はほとんど全部運用の問題であろうと思います。従いましてその運用の点を十分に考えて参りますならば、たとえば今お話のありました代理店があまり数が多過ぎる、従つてもう少し重点的にやらないといけないという問題、これはまさに資金量と代理店の数とのバランスという点から考えて、私も実は同じように考えておる。この点は後に公庫の理事の方からお話があると思いますが、この点については十分に再検討を要する点があるから、至急成案を得るようにということを私の方からも申しつけてあります。検討をしていただいておるはずであります。それからたとえば直接貸しを少しやつたらどうだ、代理店だけにやらしておくと、やはり手がよくまわらぬという問題がある。この点もおいおい私どもは考えて行かなければならぬと思っております、現に支所をすでに大阪に設けまして、その他各地に相談所というものを各公庫の人を派遣いたしまして、現に七箇所設けております。開いておるのと、まだこれから開くのもありますが、大体決定いたしました七箇所に人を出す。そういうことによつていろいろな相談を受ける。それによつて一々の貸出しについて手数を要して日にちがかかるといつたような問題は、その場その場で相談を受けて迅速に簡単に解決するような方策を立てております。これはおいおい進みますと、あるいは必要に応じて現場仕事として直接貸すというところまで行く必要があるかないかという問題が起つて来るのじやないかと思います。現在のところでは、相談に応ずる、一々そこ限りでさしずをして処置をしてしまうというふうなことを逐次拡張いたして参つておるような次第であります。  それからさらに、今お話がありました地域間において資金の配分が一体公正に行つておるかどうか、これらの問題も私はあると思います。この点は私どもは特に公庫にも申しつけまして、できるだけ地域間のバランスをとるようにということは申しております。この点は公庫においても一番苦労をされておるところだと思うのであります。これは見方によつていろいろな立場で、自分の関係のところはやはりどうも少いというような議論がえて起るわけなのでありますが、この点はやはり経済状況あるいは中小企業の分布の状況とか、そういつたことをよく見まして、今後もできるだけ公正にバランスがとれて行くように、改善が必要なところは改善をして参りたいと考えております。  それからちよつとお話がございましたが、代理店の中で銀行はわくだけとつて金を余しておる、それから信用金庫等はわくを一ぱい使って金が足りないのだ、従つて信用金庫の方にもう少し重点を置くべしという御意見でありますが、この点については私も非常に関心を持つておりまして、常時公庫の方から報告を聞いておるのであります。これはいずれ詳しく理事の万からお話があると思いますが、私が承知しておるところでは、最近のところはむしろ信用金庫の方が資金の出方が不活発である。銀行の方の資金の出方が非常に活発である、むしろそちらの方がわくが足りないというような状況になつておるというふうに私は聞いております。今福田さんが御指摘になりましたことよりも、むしろ逆なような現象が少くも最近の数箇月には起つておるように聞いております。この点は公庫の方から詳しくお聞き取り願いたいと思います。
  23. 福田繁芳

    福田(繁)委員 ただいまの銀行局長の御答弁、前半はいたく敬意を表して伺いましたが、後半、なかんずく末尾の点については事実と非常に違つておる。もちろんあなたの方に来られるところのいわゆる地方銀行あるいは銀行協会、金融機関からの御報告がさようなことは当然と思う。私は実際そういつた主要なところを数日間ずつ要しながらつぶさに一巡して参つて、そうしてその土地の相互銀行なり信用金庫なりあるいは地方銀行なり、そういつた諸君に直接声を聞き、なおまた一般の各種金融機関に取引もあり、そうして中小企業金融公庫の金を借りたいという中小企業者から聞いたところの生きた事実の点もあるということも一応御念頭に置いて、両者の話をお聞きになられて、そうして唯一無二のとうといこの資料に基いてつぶさに御検討されて、御監督のよろしきを願いたい、こう思うのであります。  さすれば今度は中小企業金融公庫の理事者にお伺いしますが、先ほどから私の質問に対して、銀行局長がお答えなすつたことはつぶさにお聞きになつたことと思うのであります。いいかえれば法律を改正しなくても、一にかかつてこれは運営にあるというわけなんです。さすればあなたの方の責任は重大なものです。勢いそういう運営にあるから、細心の銀行局長の指導命令のもとにおいて御研鑚されておることはわかりますが、現に今あちこちに参つても、各地に一箇所ずつ中小企業金融公庫の窓口、相談所というものをつくつてあるのもその現れだと思います。しかしあの相談所というのは、あれはお役人さんの考えでよいと思つておるのであつて、実際の中小企業者に何らの役に立つていないのです。と申しますのは、ああいう相談所というのは、主として県庁の所在地に一箇所ありますが、中小商工業者というのはどこにもあり、先ほど銀行局長がその県において需要者の何があるというお言葉もありましたが、そういうことはわれわれも百も知つておるのです。そこでその中小企業君が、たとい五十万なり百万なり二百万の金を借りように、どこへ行けば相談所があるのだというので、一日費して、汽車に乗つて、バスに乗つて、弁当持つて相談所に行つて、いろいろなお話を聞いて帰つて来ると、その相談所で話されることが、あまりにも手続の煩雑さにおいて、地方民はうんざりしてしまつてさじを投げたしまうのです。これか実際、状態なのです。ですから私たちの言うのは、たとえば各県の県庁所在地に一箇所ずつ直接の支店ができなければ、それができるまでは、たとえば同じ系統の国民金融公庫の調査機関、窓口、店頭を利用するとか、あるいはまた今のような各種金融機関の窓口を利用してやるとかしてもよろしゆうございますが、もう一歩進んで、すみやかにイエスかノーかきめる、イエスときまれば可及的すみやかに金を出してやるというような、手続の簡素化、調査方法の簡素化、これは一にかかつて経営の点にあるのでありますが、もう少し間に合うように、生きたところの、金を借りる考の経済学の基礎において検討してもらいたいと思うのであります。そういつたことを盛り込んで、先ほどの私の質問とあわせてあなたの方から一応の御所感をこの際話してもらいたいと思うのであります。
  24. 塙金太

    ○塙説明員 私からお答え申し上げます。公庫の存在が地方の方に浸透していないという問題であります。これはわれわれも十分に承知しておりまして、何とかこれを浸透させたいものであるということを考えまして、この下半期におきましては特に経費の方もお認め願いまして、現在置いてあります相談室に専任の職員を公庫の方から派遣いたしまして、この職員にその関係地区をまわつてもらう、あるいは各地に相談事務のために出張をする。あるいは連絡協議会を各地に行うというようなことをいたしまして、もう少し広く皆さんに公庫というものを知つていただくようにこの際努めたい。そうしてさしあたり北海道、九州、名古屋、この三箇所に二名すつ常駐させることにいたしました。これらの者にその周辺の広報活動に従事してもらうことにいたしております。その他に相談室が先ほど申しました七箇所ございますが、これは現在商工中金に委託してあるわけでありまして、向うも本来の業務がありますから、そうそう遠くの方まで活動してもらうことは、要求しても無理かと思うのであります。漸次われわれの方の職員ができ次第、これらの箇所にも職員を派しまして周辺地区を広く歩いてもらう、こういう広報活動によつて広くその存在を各業者に知つてもらいたいと思つております。気に支店までというお話もございますが、実は支店をつくりまして業務を行うということになりますと、相当慣れた職員がたくさんいるのであります。現在国民金融公庫が各県に一箇所ずつの支店を持つて仕事をやつておりますが、これは大体二千人くらいの人を要しております。公庫は設立当初において簡素な組織をもつてやれということで、昨年五十名の定員でスタートしたのであります。その後だんだんと職員をふやしていただきましたが、現在の人数はとても支店を各地に持つほど行つておりません。できるだけ早く職員を養成いたしまして、御希望に沿うように努力したいと現在考えております。職員の養成期間にある程度時間をかしていただかないと、急速に千名、二千名という職員をつくることは、事は金を扱うことでありますから困難であります。そうかといつていつまでも待つているわけにも参りませんので、今度置きます駐在員その他を督励いたしまして、現在の代理貸しがもつと円滑に行つて、公庫の趣旨通りに資金が流れるということにさしあたり努力する。その間に職員を養成して次のステップを考えるというように進めております。それから窓口が多過ぎるというお話でありますが、これも確かにそうでございまして、非常に多過ぎるのでございます。われわれが今窓口の整理について考えておりますことは、本店といいますか、代理店自体を整理するということより、一代理店がたくさんの窓口を持つております。たとえば地方銀行なう地方銀行が、本店のほかに各支店をたくさん持つて、これらの支店がそれぞれ代理業務をやつているわけでありますが、どうも支店に参りますと公庫のことをよく知りませんで、窓口という看板だけ掲げて、仕事が思うように行つていないというところもございますので、そういう点を多少整理して行つて、よくわかつている窓口、めんどうをよく見てくれる窓口に資金を年中して流そうか、こういうふうに考えます。  それから信用金庫、相互銀行の資金のわくが比較的少いのじやないかといりお話でございますが、これは先ほど銀行局長からもお話がございましたように、今まで、特にここ数箇月の実績から申しますと、どうも信用金庫の取扱い件数が非常に少い、但しこれは全体から見ますとそうなるのであつて、特定の信用金庫についてはわくを出し切つておりますが、ある信用金庫はわくを使い切れない、こういうようになりまして、全国的には信用金庫はわくを非常に余しておる。そのわくの融通をいろいろはかりまして、足りないところにはわくを現在どんどんふやしております。そうしてあまり熱のない、やらないところはわくを減らす、こういうような形でやつております。大銀行の方は、最近になりまして非常に積極的になつてつて来た関係もあると思いますが、これはもう一つは、大銀行は支店をたくさん持つておるということから、わくの消化が――わくが非常に足りなくなつて来ているので、わくをふやせふやせという声は大銀行の方が強くなつておるというような現状でございます。地方に資金が公正に散布されていないという問題でありますか、これもわくをつくりますときには、地方を非常に頭に置きましてわくをつくつてあるのでありますが、地方の小さい信用金庫あたりは非常に使わないために――これは一つはわれわれの連絡が不十分ということにも原因があると思いますが、地方では非常にわくが余つて、都市では非常に足りなくなる。こういうことから、期の初めにせつかくわけたわくをまた直しまして、期末になりますと都市の方が多くなるという結果になる。これにつきましては、今申し上げましたように、連絡不十分ということが非常に大きな原因をなしていると思います。この点にこれから特別努力をして行きたいと思います。
  25. 福田繁芳

    福田(繁)委員 非常に具体的に詳しい御答弁、満足いたします。それでこの問題についての御質問に対してお答えを願つておると、きよう一日あつても尽きぬことになるので、御案内の通り同僚議員からも質問がたくさんあるようですから、もう御答弁はけつこうでありますから、ほんの一、二分私の見聞して来たことをあなたに申し上げて、そうして今あなたがお答えになりましたことが実際と理想とは非常に食い違いがあるという点を指摘申し上げておきますから、いずれ次会の委員会までによく御研究されて下そのときに御答弁願うということにいたしたいと思うのであります。  それでまず申しますと、先ほどの相談室も全国に四箇所とか六箇所とか申されましたが、それは主として申込み件数が多くて貸出しが多いところにそういうことをやつておられる。私の言うのは、これはもう少しまんべんなく全国に普及したいと思う。そうするのが本質なんだから。しかしながら、東京、京都、大阪というところと、宮崎県、滋賀県とは違うじやないかと言うが、もちろん違うのです。けれども大した違いというものはあり得るはずはない。どこにも中小商工業君がある。やつておる仕事自体は性質が違う。中には海産物屋がある、また木材があるとか、塩田があるとか、砂糖があるとかいうように、各種の事業別は違おうとも、全国三府四十三県に中小商工業者があることは間違いないのだから、あなたの方の宣伝機関が満足に成功して、希望申込み件数が多いところへ重点的におやりになることはどうかと思う。これは再検討してもらいたいのが一つ。  それから、あなたも銀行局長も、中小企業金融公庫は、いわゆる銀行が非常に活発になつて来た、信用金庫なりというものが不活発だと言われました。これは卒直に申しますが、間違いなんです。公開の席上で申し上げることはできませんから、あなたたちが御必要ならば材料を提供いたします。地方銀行でも市中銀行でも、中小商工業者にこの中小企業金融公庫の金を貸し出して、最近は自分の方で貸してある不良貸付の回収をやつておる。これは相当顕著な問題がある。具体的に聞きたければその銀行と債務者との名前の資料を出してもようございます。こういうのがあるのですよ。それと同時に信用金庫が不活発だというのは、信用金庫なり相互銀行に対して割当ててあるところの金額が少い、間違いなく少い。これもよく御調査願つておきたい。中小企業金融公庫はこの程度にしておきましよう。  銀行局長にもう一点伺いたいのであります。それはほかでもありませんが、これもあちらこちらに行つて顕著な事実として見聞して参つたのですが、例の昨年の不祥事件でありましたところの保全経済会あるいは日殖、こういったような問題は、大体時の流れに従つて一応議題にならないような今日の事態になつたのですが、ことによると、対象が違うけれども、こういったものによく似たものが次々に出て来るの方はないかしらと思う。これもおそらく法の盲点をついておるといえばついておるに違いなかろうが、たとえば具体的な問題を申しますと、毎月々々掛金をかけて、相手は住宅という一つの会社がある。あるいは毎月々々零細な掛金をかけて、相手は百貨店に売つておるものをくれるという約束になつておる。あるいは毎月々々掛金をかけて、いわゆる保険――火災保険、生命保険など保険法によつてないところのそういう会社が出てからに、そういつた金をどんどん吸収しておるというのが、各地に今はびこつておる。私たちがそういうことをつぶさに聞くというと、ちようど去年の今時分にあなたたちに申しておつたところの保全経済会だとか、あるいは日殖とかいう、あれらが倒壊する前夜をしのぶような、住宅会社、保険会社、あるいは百貨店の月賦販売、こういう問題が所々方々にあるのです。これは銀行局お一人の御所管ではないと思いまするが、これに対してあなたはどういうようなお考えを持ち、今後どういうような態度で臨まれるかということを、この際承つておきたいと思う。
  26. 河野通一

    河野説明員 俗にいわれております類似金融、こういうものが例の保全経済会あるいは日殖等の破綻の後においても形をかえて、いろいろ起つておるということは事実でございます。実はもつと正確に申し上げれば、あの問題が出ました前に、すでにそういつた形のものが、実は並行してあつたのであります。その中で今私どもが一番問題として非常に関心を持つて検討いたしおりますやり方は、いろいろ上げれば五つ、六つあると思います。一つは今御指摘がありました保険の形、一種の類似保険と申しておりますが、これは生命保険よりは主として損害保険、火災保険が多いようであります。こういったものが相当各地にできております。その中には類似保険でも組合の形でやつておるものもありますが、これはこの前当委員会でいろいろ御議論のあつた問題でありまして、現在私どもも法制化について検討いたしております。  それからもう一つは、起りは地方のいわゆる原始的な講から始まつたものでありますが、それがだんだん無尽の形をとつて来ておる、こういうものが地方、特に東北地方に多いようでありますが、相当行われておるのであります。この問題も現在いろいろ調べておりますが、被害が起つたということは絶無ではありませんで、若干起つておりますが、これをどうして行くかということは、現在各財務局から資料を集めまして検討を加えておるところであります。  それから今デパートのお話が出ましたが、これは例の友の会といつた形においていろいろ議論されておる問題で、この前当委員会でどなたからか御質問がありましてお答え申し上げたのでありますが、結論的に申し上げますと、現在法務省当局と私どもの考えと、法律の解釈において若干食い違つた点が、卒直に申し上げまして実はございます。がいずれにいたしましても、これが金融法規の対象になるかならぬかという問題はさておいて、これが濫用されますと弊害を起すおそれがあるということは、私は言えると思うのであります。これが金融法規の問題であるといなとにかかわらず、そういつた弊害が起るおそれのある問題につきましては、何らかの対策を講ずべきであるという考え方で、今大蔵省全体として、この問題の立法化の問題について、検討を加えておる段階であります。  それからもう一つは住宅の問題、これはお話のように実は殖産住宅という形で行われておるものがあるわけであります。この住宅の問題については二つの形態がある。一つは殖産住宅といわれておるいわゆる割賦販売、割賦販売と申しますか。金を月々とつて、そして住宅を渡すというものと、無尽の形態をとつておるものと二つあるわけであります。いずれこれは実態はそう差異がございません。私どもは、これはやはり今のところそう大きな弊害は出ておりませんが、放置しておくことは適当でないのではないかというふうな観点から、これも私個人の考えといたしましては、これは金融の問題ではないと思いますが、いずれにいたしましても、弊害の起ることを何らか法制上未然に防いで行く必要があるのじやないか。今弊害が起つているというわけではありませんが、そういつた観点から、この問題は実は主として建設省の問題だと思いますけれども、今検討を加えておる段階であります。いずれにいたしましてもいろいろな形のものがまだあるわけでありまして、これをしらみつぶしに私どもが一々しさいに検討を加えて、これに対して必要な対策を講じて参りたい、かように考えておる次第であります。
  27. 内藤友明

    内藤委員長代理 ただいまの福田君の発言に関して関連質問を小川君がしたいというのですが、小川君にこれを許します。小川君。
  28. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 銀行局長の方にお尋ねいたしますが、最近六・三制が実施されて、学校の増築なり、新築なり、あるいは腐朽校舎の改築、こういうふうなことが盛んに行われているような状態になつておる。そこで地方自治体が非常な財政難から、市自体が、あるいはPTA自体が資金を集めるために金利をつけて各方面から金を集めてその増築に当つたという事実がたくさんあるわけです。これはこの資金の受入れ、預かり金の規定の第一条に反することになりはせぬか、こういうふうに考えられるのですが、あなたの解釈はどういうふうになつておりますか。
  29. 河野通一

    河野説明員 私はこの問題は実は今まで聞いておりません。それでここで今すぐこれが新しい出資等の取締りに関する法律の第一条に該当いたしますかどうか、ちよつとまだ研究をいたしてみないと申し上げられないと思いますが、資料がございましたらひとついただかしてもらいまして、十分検討した上で、次回の委員会においてお答えを申し上げることにさしていただきたいと思います。
  30. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 あなたの手元にそういうことの報告がないならば、これはやむを得ないのですけれども、私どもは各地の、ことに新しくできた市等において財政難から盛んにこういうことをやつて、市内の各所から幾日ということで出資をしてもらつて、それに金利を付して、一年後には抽選で償還して行くとかなんとかいう規定が設けられてやつておるということをたくさん見ており、聞いておる。あなたの手元にそういうことがないとするならば、次回の委員会までにはあなたの方で研究して、調査をして、あなたの明確な見解というものを発表願いたいと思います。
  31. 福田繁芳

    福田(繁)委員 最後に銀行局長に申し上げますが、今の小川君の質問も、先ほどから私が申しましたいわゆる類似金融に関連する問題でありまするから――あなたの先ほどの御答弁ではずいぶん御検討されて、それに御苦心されておることはわれわれわかりまするが、要するところは、あなたも昨年の保全経済なり日殖のこの舞を踏まれぬように、事あなたの銀行局長の所管でないからといえども、やはり建設省なり、あるいは文部省なり、あるいは厚生省などの同僚諸君に関連しておる問題ですから、そういつたことを再び繰返さないように、十二分の御検討もけつこうでありまするが、可及的すみやかにこの対策を立ててもらわぬと困る問題が出て来る。一つの例をもつて申し上げまするが、これは住宅関係の会社のやつておることなのですが、かつての保全経済なり日殖みたいに、時の政治家を顧問にするとかいうことではもうだめだというので、顧問にもなりたがらないというので、どういうところに目をつけておるかというと、地方なら警察、東京なら警視庁の署長、こういった諸君を完全に自家薬籠中の人間に出しまして、そうしてその会社の総会だとか、あるいはその支店の開所式に何百人、何千人の加入者を集めまして、いとも荘厳に警察署長がその仕事を推讃し、その会社を称揚しておるということに私どもぶち当つたのですが、これを見ても、おそらく去年の今時分の日殖なり保全経済の前夜を思うて、わきの下から汗が出てぞうつとしたというのは、そのことを言つているのです。これ決して大蔵省銀行局長の所管でないというので、対岸の火事見というようなことをやらないで、あなたも当委員会出席して保全経済、日殖関係に対してずいぶん御検討され、御苦心されておるのだから、その二の舞を同僚諸君にさせないように、あなたの経験をもつて全同僚者の生きた経験にさすように、十二分に御苦心をされて、可及的すみやかにこれ以上被害者を起さないように――あなたのお話はまたそこまで被害がないとおつしやいますけれども、被害者が出て来たらたいへんなんです。こういった被害者がまたぞろ新聞をにぎわすようになれば、中小企業金融公庫がいかに運営よろしきを得て、中小企業者に金を貸そうとも、また国民金融公庫がいかに金を貸そうとも、何ら役に立たないことになるのだ。これは私が言うまでもなく、あなたがおわかりの通りなんだから、再び失敗を繰返さないようにやられることをあなたに御要望するとともに、一点あなたに伺いたいのは、中小企業金融公庫の地方の代理店の窓口にも、相当御苦心されておると思いますが、どうですか、今お話のありました国民金融公庫は地方の在府四十三県に各支店があるのだから、同じ一つ政府の資金を融資するので、ただ対象の金額が違うくらいなのだから、これをうまく活用して、国民金融公庫と中小企業金融公庫と仲よく出先機関の建物なり資料なりその他を生かして、可及的すみやかにその中小企業者を助けてやるようなくふうはできないものかしら、塙理事さんのお話を聞いておると、人的に制限もされておるので、地方に支店を出すという理想に到達するには、お話のように十年も二十年もかかるというのですが、そんな中小企業者のなま殺しならば、中小企業金融公庫をつくる必要はない。むしろ中小企業金融公庫をつくるときは、本年度の下半期、来年度の上半期には、日本産業に一番大切なるところの中小企業者が、池田さんがおつしやつたように軒並的に倒産するということになるならは――そうしては困るから助けてやるというので、あれだけの予算を計上し、わが党があなたたちに憎まれながら四十億というものを増額したゆえんもそこにあるのだから、広い意味で同じ政府の融資機関が一体となつて、すべてを総合くふうされて、健全に運営するような方法を講ずることができればと思うのだが、あなたの御所感を伺いたい。
  32. 河野通一

    河野説明員 この問題は従来からも研究をしておりますが、今後も実は研究をして参りたいと思います。私は政府機関の運営のやり方に二つ方法があると思います。国が直接貸すという形のものが一つ。もう一つは代理店の形で行くというものと、二つあり得ると思うのです。国民金融公庫が前者の形をとつておりますのは、それ相当の理由がありますが、そういつた金融は大体金融機関の対象にならない層の金融であります。従いましてこれを代理金融機関の形だけで行くということは、実際問題として支障がある。もちろん国民金融公庫の貸す金が、金融機関の対象にならないものばかりじやありませんから、この限りにおいては、代理金融機関の形で行けるものももちろんあると思います。そういつた形に比べまして、たとえば農林金融公庫でありますとか、あるいは中小公庫というような形は、本来その金の性質としては金融機関でまかなつて行くべき性質の金だと思う。しかし現在の状況では、それがやはり私企業といいますか、そういつた形としての金融機関としては、預金者保護とか、そういつた観点からなかなか自分の責任では金を出せないといつたような性質でありますから――審査能力とか、そういつた点については金融機関が十分持つている性質のものであります。従つて私は農林公庫とか中小公庫とかいうものは、やはり代理店主義で行くということを原則として行くことが適当ではないかと思う。ただしかしこれは程度問題でありまして、支所という制度で直接貸しの制度が全然いらないか、あるいはある程度は置いて行く必要があるかという点は、これは今お話の点にもあつたように、私どもも逐次そういつた方向へ持つて行かなければならない、全然代理店だけにまかしておくということは適当でないと思います。これは人の充実の問題とかいろいろ技術上の問題がありますけれども、方向としては、そういつたふうに直接貸しは未来永劫全然やらないのだという方針で私はこの問題を割切つて考えて行くことは適当ではない、かように考えております。御趣旨の点は十分含んで検討いたしたいと思います。
  33. 春日一幸

    春日委員 中小企業金融対策について、本委員会はとにかく過去一箇年間くらいにわたつて委員会が開かれるたびにあなたに深刻な具体的な事柄をあげて政府の善処を要望して参つたのでありまするが、結局振り返つて考えて見ますると、あなたは結局何にもやつていないわけなんですね。これはまあまつたく何と言つていいか、言語道断なことなんで、われわれは重ねて質問することすらもいやになつてしまうくらいなんだが、しかしそれでは物事が処理できないから、もう一ぺんしやくにさわりながら質問いたします。  そこでこの東京手形交換所の不渡り手形届出処理状況、これで見ますると、この三月、四月、五月、六月にかけて非常に悪化しておりまして、特にこの五月のごときは、一日平均がこの東京手形交換所だけの集中決済のものが千八百三十九通、これはもうゼネラル・パニックになるのではないかといつてわれわれは非常に心配し薫つたのです。ところがその後これがどういうぐあいか、六月には千四百五十八通になり、七月では千三百五十五通、八月になるとやはり同じような線ということで、不渡りが減つておる。しかしながらわれわれは、それで現実の中小企業者の金融状態が緩和されたかというと、これは上層きゆうくつになつて来ておる。きゆうくつになつて来ておりながら、不況はさらにその度を加えながら、一方滞納税金はどんどんと一千百何十億も出ているというようなぐあいに、いろいろ中小企業者の経理内容が悪化して来ていながら、この中小企業の不渡りが少くなつて来ているということは、これは患部の深いところにメスを加えてこの原因を摘出して行かなければならぬと思います。ただのできものならその表皮を突いてうみを外に出す場合は、これは軽症なんで、あるいはこれが内訂して行く場合には、敗血症になつたりするように思うのだが。そこでこの中小企業者が非常に困つて来ておる。さらに不況の度が深刻化しているにもかかわらず、不渡り件数が減つて来ておるということについてあらゆる角度から検討しなければならぬと思います。あなた方はあるいは金融状況が好転しておると考えられておるかもしれないが、われわれはもうこれが内訌して来ておると思う。たとえば手形が出され、不渡りになる。不渡りになるとこれは結局一片の紙切れになつてしまつて、しかもこの債権取立ての方法というものは、ないものは払えないということでなかなかもらえないから、これは切りかえてやるとか、あるいは一応回収してさらにどうとか、あるいはあなたの手形は受取れないから品物を売れないという形で、いわばその受信範囲というものが圧縮されて商売の規模が小さくなるとか、いろいろなそういう悲観的な面からも、これは現実に考えなければならぬと思う。そこでこの手形不渡りの件数が減少しつつあるというこのケースの上に立つて、あなた方の大体の認識はどこにあるかということをまず伺つておきたい。  それからもう一つ伺いたいことは、いずれにしても本委員会並びに本会議がこの指定預金及び中小企業者の融資資金源を政府において措置せられたいという要請は、これはしばしば強調して来たところでありますけれども、結局政府はこれをやつていない。やつていないから、今は何とかやれる範囲内においても、他による方法でもあなた方によつて講じてもらうようなことをするのでなければ、結局これは中小企業者が困ると思うのだが、そこでひとつ伺いたいのは、この九月期限到来の分、これは御延期願うことは先般の措置で決定しておりますが、十月引揚げ予定の十六億六千六百万、十一月引揚げ予定の同額、十六億六千六百万、十二月引揚げ予定の十六億六千六百万、この一月末になれば、この指定預金は全然なくなつてしまうわけなんです。昨年同期においても中小企業の金詰まりは非常にひどかつたのだが、九月の末においては五百六十九億の指定預金になり、十月は四百三十一億九千九百万、こういうぐあいに相当の指定預金が準備されておる。そこで今度は現在わずか六十六億のものでありますけれども、これは中小企業金融機関がその資金量を大体において貸し付けてしまつておる。従つてこれらの六十六億という金なんかは、中小金融機関が資金を操作する上において、ちようどこの表面の水のように流れ出る活動的な、能動的な役割を果しているのであるが、六十六億六千四百万という金を、これはあなたは九月の分だけは引揚げ猶予の措置をしてあるのだが、十月以降の分については一体どういうような御考慮を願つているか。ひとつ真剣な切実な問題として申し上げたいことは、本委員会も議決しているのだし、本会議においても新規預託をすべしと言つているのですし、それからすでに預託されている分については引揚げを猶予されたいということを具体的に議決している、そしてその当時の答弁は、国会の議決を尊重してこれを善処すると大臣は答弁しているのだから、これは十月以降の分も、わずかの金額のものではあるけれども、とにかく引揚げが延期されるものとわれわれは理解をしておりますが、どういうような方向で処理されようとしているか、その点ひとつ伺つておきたいと思います。
  34. 河野通一

    河野説明員 二つお尋ねがあつたと思いますが、最初の不渡り手形の発生枚数がこの数箇月若干減少して来た、こういう事態を一体どう考えるかという御質問であります。この問題は、私も枚数が減つて来ていることの事実はもちろんよく承知しておりますが、私はこの不渡り手形の枚数が減つたこと自体、ただちに中小金融がそれだけ金融上楽になつたとも思いませんし、またそれが減つたこと自体非常に中小金融が悪くなつたということの事態でもないと思う。私は中小金融の事態は、そういつた問題はもちろん関係がありますけれども、そういうこととは、むしろ別に非常に深刻な問題であるという点については私はかねがね十分にその点は考えている次第であります。できるだけそういつた問題については善処いたしたいということでかねがねやつて参つたのであります。この点も実は申し上げてたびたびおしかりを受けておる通りでありますが、金融を引締めて行くという大きなわくの中で、中小企業に対する金融というものをできるだけ重点的に考えて行くという配慮はいたしたいと思いますけれども金融を引締めて行くというわくをはみ出てもこの問題を講じて行くということが考えられなければならぬかどうかについては、私は今のところはやはりそのわくの中でこの問題を考える、かように考えておるのであります。  それから第二点は指定預金の引揚げの問題でありますが、これは国会でたびたび御決議もありまして、その御決議従つて、引揚げる予定のものを現在まで延ばして参り、九月も御案内のように引揚げ予定のものを延ばすということにいたしたのであります。しからば十月以降の指定預金についてはどういうふうに考えておるかという話でありますが、これは実はまだ結論を得ておりません。今後財政散布超過等がどういうふうになつて行くか、そういつた問題も十分に考慮いたしたいと思います。ただ財政の散布が多ければ当然に引揚げるべしという結論は、私は必ずしも出す必要はないと考えておりますが、財政状況あるいは金融状況等をさらに十分検討いたしまして、十月以降の指定預金の引揚げ予定のものをどういうふうに処置して行くかということは、事態に応じて善処いたしたい、かように考える次第であります。
  35. 春日一幸

    春日委員 大体の御答弁によりますと、いくらか心にこたえて聞いていたたいておるようで、その方針でひとつ善処を願いたいと思うわけであります。  もう一つ具体的に伺いますが、いずれにしても他の方法をいろいろあわせて講じてもらわなければならぬ。中小企業金融の問題は、これは金融問題であり経済問題ではありましようけれども、同時にこれには社会問題というまた特別の要素のあることをお忘れになつては相ならぬのでございまして、やはりそういう総合的な施策の中からこの問題に対する結論を出していただかなければならぬ。これを一言申し添えておくのであります。特に二千数再億の供米代金の散布超過等の問題がありますが、昨日も申しました通り、農民のふところに入るのと中小企業者のふところに入るのとでは資金ルートが違うのであつて、これにはいろいろの問題がある。さらに二百億内外の、貿手再割に使用したものが余裕を生じて来る。これについても、あなた方において日銀との間の考慮がなされておる様子でありますが、中小企業者が当面する年末に対する資金源というものは、やはり政策的に高度の措置が必要であるということは、これは例年の措置から考えましても、必要にして欠くべからざる事柄であろうと思いますので、ひとつ十分御善処を願いたい。  それからもう一つ、これにあわせて行わなければならぬことは――これは当面の措置としてはできないかもしれませんけれども、やがて来年度の予算編成期等にさしかかりますので、あわせてあなたの御方針も伺つておきたいのだが、たとえば中小金融公庫とか国民金融公庫に債券を発行せしめてはどうかというような問題も、すなわち中小企業の資金をいろいろな方法を通じて充足するの一方法として政府が考えておるようでありますが、この問題について、ひとつ本委員会を通じて政府検討しておられるところを一応伺つておきたいと思うわけであります。  それから、時間がありませんので、もう一つだけ質問いたします。昨日あなたに資料をお渡しいたしましたが、本委員会において有志が寄り寄り協議をいたしております、指定預金預託制度が廃止せられるような場合、また現実にこういう引揚げによつてその残高がなくなつてしまつた場合、他のこれにかわる方法といたしまして、日銀の中小企業別わく資金、こういうようなものを日銀を通じて流さしめてはどうかというようなこの案に対してどういう御検討を願つておるか、これもこの機会にあわせて――これは中間的な御意見でありましようが、大体の指向されるところをこの際述べておいていただきたいと思うわけであります。
  36. 河野通一

    河野説明員 中小金融公庫あるいは国民金融公庫に債券を発行させることによつて資金源を拡充するという構想のこの問題は、内部で検討はいたしております。この問題は単に中小金融公庫あるいは国民金融公庫だけでなしに、あるいは開発銀行でありますとか、あるいは輸出入銀行でありますとか、そういつた政府金融機関の債券発行がいいか悪いかという問題として検討しております。ただこの問題はまだ結論が出ておりませんが、私どもといたしましては非常に多くの問題を含んでおると思います。従つて簡単に債権を発行してこれを民間で消化するという構想を今ただちに取上げることが適当であるという結論は、そうにわかには出ない問題であると思います。しかし今後といえどもさらにこの問題については検討を加えたいと思います。
  37. 春日一幸

    春日委員 もう一つだけ資料の提出を求めておきます。輸出入銀行並びに長期信用銀行の資金運用状況がどうなつておるか、これは本委員会に対してあまり資料の提出がありませんが、これも政府出資金融機関として、本委員会としては一応その資金運用の状況をよく把握いたさなければなりませんから、来月の十日までにその資料を御提出くださることを要望いたしますとともに、ただいま御要望のあつたがごとく、せめてこの六十六億だけは相当の期間延長されることを強く要望いたしまして、私の質問を終ります。
  38. 内藤友明

    内藤委員長代理 井上良二君。
  39. 井上良二

    ○井上委員 銀行局長にちよつと一、二点伺つて国税庁長官質問いたしたいと思います。  ただいままで福田及び春日両氏から金融全般の問題についていろいろ御質問がございましたが、その答弁を伺つておりますと、金融引締めの成果は非常にあがつておる、こういうふうに非常に楽観をしておりはせんかとわれわれは考える。ところが私どもしろうと的に見まして、最近の経済界はデフレの底入れ観が強くなつておるということについて、大蔵省も日銀も否定をいたしておるようであります。しかし経済界がデフレの底入れ観を呈して来たという一つの見方、そうしてこれを政府が否定しておる事実、これは政府金融引締めの政策が現実の問題としては大きな壁に突き当つたことを示しておりはせんかと私どもは見ておる。言いかえますと、政府金融政策財政政策とがまつたく矛盾をしておるのじやないか。財政面では財政インフレを来しておる、金融面ではデフレを推し進めておるという、まつたく相反した事態が起つておる。これはもうすでに私が申し上げるまでもなく、本年の二月から全国主要商品の取引相場にどんどん下つて参りましたが、七月に入つてから反騰して来ております。同時に八月もまたそれを続けておる事情にあることを一体どうごらんになつておりましようかということであります。これは政府財政政策が表面的にはデフレ予算となつておりますが、実際はインフレ予算になつておりはせぬか。というのは、この第三、四半期の政府財政の散布資金というものは、全体で二千二百億ぐらいになりはせぬかと見ておる。この二千二百億の財政資金の散超に対して、一体引揚げをどのくらい予定されておるか、そうして実際に散超となる部分がどのくらいになるかというように見られておるか。この点について伺つておきたい。
  40. 河野通一

    河野説明員 私が先ほどお答え申し上げましたのは、必ずしも現在の状況を楽観して、これでもういいのだという考え方で申し上げておるのではないのであります。今お話のように、七月、八月に物価等が、若干でありますけれどもつておるということも事実であります。こういう事態でありますからこそ、私どもは今まで続けて参つた施策をさらに続けて行かなければならぬという立場に立つておる。世間にはいろいろなことがいわれております。その中には、いろいろな意味で、あるいは金融の緩和に対して非常に待望をするという意味から、そういつたあるいは底入れとか、いろいろなことがいわれておる面もあると思います。私どもは先ほど来申し上げておりますように、決して現在の事態を観楽しておるのではない。今後の事態に対して私どもはさらに決意をかたくして、従来とつて参りました政策を進めて参らなければならぬと思つておるのであります。お話の財政金融との関係でありますが、私は実は財政の方の専門家でございませんので、お答え申し上げることははなはだその任を得ないわけでありますが、財政が、従来年度初めに予算を編成いたします当時に考えておりますところと、若干収支の状況がかわつて来ている点は確かであります。ところがそのうちには、たとえば貿易の状況国際収支状況が予定よりも非常によくなつて来ているといつた点等が影響しているといつたような問題もありましようし、昨年の予算の使い残りが繰越されて、ともに当初予定しなかつたような多くのものが出たといつたようなこと等もあると思います。しかもこの第三・四半期には、今お話のような、そのまましておけばそういつた金額のものが散超として出て行くということも見通されるわけであります。財政全体につきましてはまた主計局長なりその他の者から聞いていただきたいと思いますが、今後の問題といたしましては、決して財政をそのままに放り出して、インフレ的な予算という形になるようなことにして行つていいとは思いませんし、また私は必ずしも今の予算がそういつた意味のインフレ予算とも私は考えませんが、少くとも第三・四半期におきましてはそういつた状態に対処するために、財政面自体においても、支出について相当な調整が加えられてしかるべきではないかと私は考えております。詳細は担当者の方からお聞き取り願いたいと思います。
  41. 井上良二

    ○井上委員 そこで私どもも、推定ではなはだ自信のないようなことでございますけれども、大体散超がやはり第三・四半期で七、八百億出やせぬかという推定を私どもは立てておるのであります。そういう財政面の散超を放任しておいて、あなたの方は銀行だけを締めつけて行くというやり方がどうも矛盾しておるように思われるのです。本年三月から高率適用制度というものを実施いたしまして、日銀の貸出しについて抑制の手を打つていただいた。しかしこれはいろいろな抜け穴があつて、なかなか効果が上らないというところから、さらに本年三月から二厘金利を引上げまして、第二次高率適用制度を考えられて、今回その調整率を九〇%を七〇%に下げておる、そうして銀行の日銀活用をできるだけ締めて行こうという手をお考えになつておるようですが、しかし銀行もまた政府からそういう網をかぶされ、締めつけられて来ると、どこかのがれ道を設けなければいかぬというところから、問題の両建制度というものが非常にやかましくなつて参つたことは御存じの通りであります。すなわち貸出金の場合において、その一部を預金させる、あるいは手形割引の交換条件に預金を強制する、そういう両建のやり方による歩積み預金というもので実質の金利をかせいでおる。こういうことから、片一方を締めれば片一方で出て行こうというように――これは最近政府からやかましく言われたから、自粛の申合せを最近しておるようでありますが、さようにあなたの方では銀行の窓口を締めよう締めようとするが、一方どんどん財政インフレの方が押し寄せて参りまして、ここに非常に政策的に相矛盾するものがありますので、これはあなたとしては当然主計局なら主計局の責任者と、この調整をどうはかるかということについてもう少し御検討されぬと、せつかくの御苦労が成果をあげて来ないことになりはせぬかという杞憂を私は持つておるわけです。そういうように金融界がこの秋から年末に非常に困難な事情が横たわつておるところへ、地方銀行を中心に銀行ストライキが計画されて来ておりますが、これに対して、このストライキ自身に直接干渉するということは政府としては困難でありますが、しかしこのストライキがかりに行われることになりますと、そのこと自身が金融界に非常な不安と動揺を与えるということがわれわれにには予想されるのですが、これに対して一体政府はどう対処しようとするか。これは非常に重大な問題であります。従来ありましたように、師方銀行が一つ二つ部分的にストライキをやつておるのと違つて、ゼネスト的な傾向を持つて立ち上ろうというニュースが新聞にも報道されておる事態を見て、政府当局としては、この地方銀行を中心にする全銀連のストに対して、金融の不安、動揺を食いとめる立場からどう対処しようとするか、これを一応伺いたいと思います。
  42. 河野通一

    河野説明員 第一の問題につきましては、二本建預金、歩積みという問題は、かねがねこれを自粛するということで指導いたして参つております。お話のように、最近そういつたことをさらに自粛を強化する案を今考えておりまして、私どもはその程度でいいかどうかについて今検討いたしております。お話のように、さらに一層そういつた点について厳重な自粛をやらせたいと思つております。  それから財政金融との関係の調節については、これは今井上さんのお話があるまでもなく、私ども部内では、この問題について、当局の間で検討を加えております。できるだけちぐはぐな状態にならないように、この二つは歩調を合せて同じ方向に進むべきであるということは同感でありますから、今後もそういう配慮で進みたいと考えております。  それからいわゆる銀行のストライキの問題でありますが、これはこの前の委員会でもお答え申し上げました通りでありまして、現在のところいろいろな経緯をたどりましたが、まだ問題の残つておるところが数行ございますけれども、さしあたり近い将来において、今お話のようにゼネスト的な問題が起るということは、私は全然ないと思つております。今懸案として残つておる問題がどういうふうに解決するかが問題でありますが、私どものこれに対する基本的な考え方は、先般の委員会で私からはつきり申し上げた通りでありまして、個々の労働法等に基いて行われておる労働争議に私ども行政当局が介入をいたすことは考えていません。しかしながらこういう政府政策がとられておる現状において、はたして現在行われているような争議が適当で、あるかということにつきましては、私はさようには考えておりません。はなはだ遺憾に存じております。これらの問題についての対策等も、私は過去二年間における経験に徴して十分に考えて参りたいということで、現在具体的な結論はまだ得ておりませんが、検討を加えておるところでございます。
  43. 福田繁芳

    福田(繁)委員 関連して。私は至つて簡単に先ほどの春日君の質問に対する銀行局長の御答弁、この両舌に関連した問題を伺いたいと思うのであります。  先ほど春日君から、東京手形交換所の資料に基いて、昨今不渡り手形が非常に減少しつつあるという表現方法を使われたのでありますが、理由あるいは結果はさておいて、この表現方法には銀行局長も同じであつた。私はこれは間違いだと思う。なぜかというと、私たちの信ずる範囲においては、たとえば七月に千五百なら千五百の不渡りを出したというならば、その大半以上は不渡りによつて銀行の取引が停止になつたわけだから、その七月に不渡りを出した大半以上は再度手形を出せぬことになる。そうすると、八月には一割減つて千三百の不渡りを出したというならば、それだけの新しい取引の停止者が出て来るわけです。手形交換所の資料によると、毎月一割ずつ不渡りは減りつつあるけれども、実質は不渡り者がふえつつある、こういうように私は考える。それに対して銀行局長はどうお思いになりますか。これは非常に大事な問題だから、あなたの御真意を伺いたい。これが一点。  もう一点は、先ほど新しい中小企業者に対する政府融資に対して、春日君が盛んに力説しておりましたが、銀行局長の御信念ある御答弁でわれわれもわかりました。そうすると、新融資ができないということになると、せめても中小企業者に一番密接な関係のある例の信用金庫に対して政府歳入代理店でも与えて、その零細金融機関の資金量にでも一時的に間に合わしてやることが非常に得策だと私は信じておるんだが、これに対して銀行局長はどうお考えになるか、これが二点。  もう一点は、御承知の一昨日吉田総理が出発されてから、ふしぎにもああいつた全国的大台風がやつてまいりまして、あなたの手元にも刻々と全国の被害状況が入手しつつあると私は考える。私たちが聞いたところによりますと、少くとも二府三十二県にわたる被害があるという。そうすると、勢いこれに対する復旧あるいは商取引に対する故障、そういつた問題が結論として金融機関に対する陳情あるいは請願という急を要する問題になつて現われて来ると思うのであります。そこで銀行局長なり大蔵省の首脳部が、金融関係に対して依然として吉田さんが外遊される前と同じ御持論をもつてやられると、全国的に大被害をこうむる商取引をやるもの、あるいは復旧に関連するもの、結論金融に影響して来るもの、こういったものに対して何らか特別の措置を講ずる必要があると思いますが、その御意思があるかどうか。たとえば中小企業金融公庫は被害者に対して無条件で何がしかを出してやるとか、あるいは先般の九州の風水害のごとくに、国民金融公庫に臨時措置を講ずる意図があるかないかということ、以上三点を銀行局長に伺いたい。  それから、もう一つ塙さんに伺いたいのでありますが、先ほどから申しましたように、最近中小企業金融公庫は代理店をもつて九〇%運営されておりますので、その代理店が申込者に対して、あくまでも、担保物件、確実なるところの抵当権がなければ貸さぬ、その抵当権というのも、不動産ならばわれわれがこれは百万の時価があると認めても、それに対しては三十万くらいしか貸さぬという、非常に辛辣な、地方銀行を上まわるような担保物件重点主義に考えて、全然その信用ということを考えてないきらいが至つて濃厚にあるのですが、中小企業金融公庫はあくまでもそういう方針で行くのか、それともこの法律条文にあるように、多少対人信用というものも考えましようと言われますか、一番最後に塙さんからそれを伺つておきたい。
  44. 河野通一

    河野説明員 第一のお尋ねの不渡り手形の数字に対してどう考えるか、これは私も、お話のように、ただ交換所に出ておる数字だけが実態のすべてを現わしておるとは思いませんが、お話のような要素も確かにあると思います。その他の要素もいろいろ込み入つて錯雑して出て来ておる数字だと思います。従つて私はむしろその数字が若干下つたから楽観してよいとも思いませんし、上つたから悲観しなければならぬとも考えていないという意味において、私はこの数字自体にそうとらわれていないということだけを申し上げておきます。  それから第二は、信用金庫に歳入代理店をやらせて、その資金を一時でも使わせるようにしたらとうかというお話であります。この点は研究はいたしてみたいと思います。問題はただ金融対策という点だけでなしに、やはり代理店の政策として、そういう国庫の収支の関係の点から必要かどうかということも十分考えて参らなければなりません。大体国庫の代理店に金が残つてそれが使える状態にあるということは、どつちかというとあまり適当でないことで、そういうことを当てにしてこういう歳入代理店をつくるということが、はたして制度として適当かどうかについては相当検討を要すると思いますが、研究いたしてみたいと思います。  それから台風の対策といたしまして、これは昨年御案内のように、ある程度手形の決済を延期したり、あるいは国民金融公庫なり、中小公庫の前身である開発銀行の中小貸出しについて特殊のわくを設定したり、あるいは期限の延長、つまり弁済期を延長いたしたり、そういう措置を講じて参りました。今年も台風の被害の実情等を見てそういう手を打つ必要ありやなしやを今検討いたしております。被害も非常に大きいようでありますので、その被害の状況に応じてそういう手を打つことの必要があるという場合におきましては、時期を失しないように善処いたしたい、かように考えております。
  45. 塙金太

    ○塙説明員 公庫の貸付は長期の貸付でございますので、担保を一応ちようだいするというやり方を大幅にゆるめるということは、現在考えておりません。ただ信用保険法の保険に付するとか、あるいは信用保証協会の保証を徴するとか、こういうような場合には、担保をある程度減免するということでやつて行きたい、こう考えております。  それから担保主義と申しますか、担保の査定が非常にきついというお話でありますが、これは個々の場合によりますので、ここでどの場合がきつかつたかということになりますと、私も御返答に窮するのでありますが、特にきつくしているということはございません。ことに担保というものは、御承知のように最終段階に参りまして、につちもさつちも企業が行かなくなつたという場合に初めてそのものがいるというのでありますので、代理店が担保を査定する場合に、この事業は十分利益があつて、担保に手がつくことはまずあるまい、そういうぐあいに考える場合は、おそらく担保を非常に甘く査定しておるのじやないかと思います。それから全然事業の見込みがなくて、初めから担保処分を考えておるというような貸付がもしかりにあるとすれば、その場合には初めから処分価格を担保価格としてとつているのだと思います。われわれとしては特に査定をきつくしているということはございません。ただ個々の貸付について多少かげんがあるだろうということは想像しております。
  46. 福田繁芳

    福田(繁)委員 塙さんに私格別希望を申し上げておきまするが、今のあなたの御答弁を、それをどうぞ地方末端の代理店に、至るまで誤解しないように、あなたの今答弁されたようなことが浸透するように、理事者としてよくそういうおぼしめしをお持ちになられんことを私は希望申し上げて、おきます。
  47. 井上良二

    ○井上委員 一言国税庁長官に伺いたいのですが、たいへんおそくなりまして長官に申訳ないですが、実は大阪の国税局管下の茨木税務署管内の高槻市において、湯浅商示株式会社と称する会共社が、警察官を利用いたしまして所得税及び法人税等の脱税行為を計画的に行つていることが先般発覚いたしまして、目下大阪府の警察部においてこれが取調べ中であると新聞は報道いたしております。この事件について税務当局は、かくのごとく組織的かつ計画的な脱税が長い間にわたつて行われておるのを一向関知しなかつたという理由はどこにあるかということをまず伺いたいと思います。が摘発したということになつておりますが、どういうことで税務署はこれを知らなかつたかということをまずお伺いしたい。
  48. 平田敬一郎

    ○平田説明員 御指摘の会社につきましては、先般御注意がありましたので、私どもも重大な関心を持ちましてさつそく事実関係を調べてみたわけでございます。それによりますと、今御質問の点でございますが、これは前身はたしか個人でやつていたようでございますが、湯浅某という人が二十三年ごろから何とか研究会と称しまして、いろいろな手口で税理士法違反的な行為をやつておりましたのでございまして、そういう点が見つかりましたので、二十四年の十二月ころ税理士法違反で摘発いたしまして、そのころは茨木簡易裁判所でございますが、二千円の罰金に処せられております。ところがまたその後手をかえ品をかえやつておりましたことは御指摘の通りでございまして、その後湯浅商示株式会社というものをつくりまして、この際は表面上は非常に法律をうまく抜けるようなやり方をやつておるよりでございます。そこで会社自体は決して税務代理士行為はやらない、しかし弁護士さんや代理士さんなどと契約を結びまして、そういうものに対する事務の委託と申しますか、そういう内面に立ちましていろいろな税務に関する問題の紛争の解決というようなことを職務にするような会社にいたしました。そういたしまして、その後やつて来ているようでございます。その中に、やはり何と申しますか法律の盲点をくぐりました税の軽減方法等をいろいろ示唆して来たり、教えてやつたりしている例がございまして、私どもは事実をよく調べまして、まことにどうも質のよろしくないものだと考えます。ただ法律をうまくくぐるようなことを一方においてやりますので、なかなか急にとこを押えるか、つかまえにくいというような点が一方においてはあつたようでございます。しかし、それにいたしましても大分問題がありましたので、たしか最近この会社が間接関係しておりまする会社につきましては、大きなものにつきましては大阪の国税局で査察等も行いまして、徹底課税をいたよすこうなことをしております。この会社自体に対しましては、なおそういうことをもとにしましていろいろ調べているようでございす。ただ会社自体は比較的小さいもので、会社自体の所得はそれほど大きくないというので少し遅れておるようでございますが、私どもこういう事態になりましたので、さらによく徹底して調べまして、税法上あるいは税理士法上の責任の問題につきましても十分遺憾ない措置を講じたい。今大阪の検察庁で取調べておりますので、そういう方面にも十分協力いたしまして、将来このようなことのないように十分注意するようにして参りたいと存じております。
  49. 井上良二

    ○井上委員 この湯浅商示が行いました脱税行為は、日本において初めての新しい一つの脱税のやり方を示したものでありまして、そのやつております実情をいろいろ間接に聞きますと、もしかようなことが今後各地において計画され、行われることになりますと、まじめに税を納めている者は非常な疑惑を持つことになるし、かつまたかようなことについて全然税務当局が知らなかつた、あなたが今お話になりましたように、すでに昭和二十四年に一度税理士法によつて検挙された前科者が再び同じ税を対象にした犯罪を起しつつあることについて、全然その所轄署も知らなかつたということははなはだうかつきわまることでないかと思います。そういう点から、地元では何か税務署がこれに関係しておりはせぬかということで、いろいろうわさも飛んでおるようなわけでございまして、私どもはさようなことはないように信じておりますけども、これは国税庁としてて全国的な一つの新しい犯罪のケースでありますから、十分これに対策をひとつお立てになつて、いかなる点に法の盲点をついておるか、あるいはどういう点についてこちらが手抜かりがあつたかというようなことについての十分な対策が講じられなければならぬと思いますが、さようなことはまだ取調べ中であつて事件の事態が明らかにならぬから、そういうものは事件が明らかになつた後にというのですか、すでに調べて対策を立てておりますか、その点について伺つておきたいと思います。
  50. 平田敬一郎

    ○平田説明員 今のお話の点、大体二つにわかれるかと思いますが、一つは、こういう変なことをやつているのを税務関係者が知つていて見のがしている、あるいは中にはぐるになつているというようなことがありはしないということ、これは一番重大な問題でございますので、そういうことも調べて報告いたさせております。今大阪の国税局の調査によりますと、今まで調べたところでは、積極的に関係しているという者はない。ただ調査が不徹底だつたかどうか、これはむずかしい問題でございまして、今後さらにそういうに点つきましては私どもは徹底的にはつきりいたしまして、世間の誤解があるとすれば誤解も解き、また事実関与しておりますれば必要な制裁を加えまして、再びないようにしなければならないと考えております。  それからこういったようなやり口をやるのがほかにあるかどうか、あるいは蔓延するかどうか、これは非常に大きな問題でございます。いろいろ関心を持って少し私聞いてみたのですが、記帳指導を業とするものがどうも若干あるように本庁へ情報が入っているようでございます。これは単純な記帳指導でございますれば、非常にけっこうなことなので、別段どうこういう問題ではないのですが、脱税を前提とした記帳指導をやる会社となりますと、これはゆゆしい問題だと思います。そういう問題につきましても、よくひとつほかの場合も調べまして、本件については大阪の検察庁で調べておりますので、十分こちらも協力するところは協力いたしまして、あるいはまたこちらでも独自の立場で調べ得るところは調べまして、こういうのが今後再び出て来ないように万全の対策を考えたいと思っております。
  51. 井上良二

    ○井上委員 時間が来ましたからもう終りますが、最後に一点政務次官に伺いたい。政務次官に大蔵委員会が開かれておるということの連絡がありますかありませんですか、それをまず最初に伺いたい。
  52. 山本米治

    ○山本説明員 ございます。
  53. 井上良二

    ○井上委員 大蔵委員会が、あなたが就任されてから数回開かれておるが、あなたは大蔵政務次官の任務はどういう役割でございましようか御存じでありましようか。はなはだ失礼なことを聞くようでございますけれども、少くとも国会政府との間の円満なる政務を運営するというのが政務次官としての重大な任務ではないですか。しかるに主管の大蔵委員会にほとんど出席しないということは、はなはだもって私は遺憾にたえません。特に今大臣は外遊中でありまして、その留守を預かるあなたといたしましては、非常にその責任は重大であります。さようなときに、こちらから二度も三度もやかましく言わなければ出て来ないというようなことでは、任務はなはだ怠慢きわまるものであって、その責任は重いと私は思います。  責任追究ばかりが私は目的ではありませんが、御存じの第十三号台風、十二号台風、十四号台風、今度の十五号台風、これらによって被害地に対する政府の予備金の支出はどのくらいになっておりますか。それから今まで出した分はこれ、そして十五号台風はまだはっきり災害の全額がわかりますまいから明確なことは御答弁できないと思いますが、大体の見通しはどのくらいか。政府の手持ちの予備金には一応限度がありますが、そこへ持って来て政府は一方的に供米代金の改訂を行ったのであります。さようなことになりますると予算上に非常な支障を来しやせぬか。そうなって来ると一体政府としてはいかに予算を処置しようとするか、補正予算でも組むおつもりがあるかないか、組もうとすれば臨時国会を開くのか開かないのか、それらについて政府部内には一体どう話が出ておりますか、政務次官として御答弁を願いたい。
  54. 山本米治

    ○山本説明員 今まで出席が悪くて御叱責の点、たいへん申訳ありません。今後十分注意いたします。  台風の予算措置の問題でございますが、これはさしあたりは農林省あるいは建設省、そういう方面へ報告が来ております。それがぼつぼつこちらにも連絡がございますが、これを具体的に予算的にどう扱うか、予備金をどう扱うかというようなことはまだ決定しておりません。  なおこの間の米の問題につきましての予算措置はどうかという御質問でございますが、これは実は政府の諮問案から二百円基本価格を引上げるということになりまして、その金額約四十二億円ほどいるのでございますが、食管会計内ではどうも処分しきれないのでございまして、従って何らかこの支出をする方法を講じなくちやならぬのでございます。それにつきましては、外米の輸入補給金等が予算に計上されておりますが、これはほとんど使われておりませんので、その一部を使うかどうか目下研究中でございます。その場合には、やはり外米補給金というのは本来外米を入れた場合に国際価格と国内価格との差額を補給する建前でございますので、これを流用するということは本来あまり好ましくないことでございますが、そういう基本価格を二百円引上げるということになりますれば、やはりこれを転用すると申しますか、そういう措置をしなければならぬと思っております。これがためには、やはり補正予算を提出しなければならぬではないかと考えております。その時期につきましては、臨時国会がまだはっきりしておりませんのでわかりませんが、臨時国会があれば多分それに提出することになるのじやないかと思つております。
  55. 井上良二

    ○井上委員 これは予算執行の上における問題でございますが、現実に政府は予算の範囲内においてしか財政支出をしていいということを許されておりません。それを予算以上の米価を決定されたということになりますと、当然予算的措置をただちに国会に求めなければならぬわけであります。あなたのおっしゃるように臨時国会が近く開かれればいいが、もし開かれぬということになりますると、政府は不当支出をしたことになります。国会の承認を得ずに予算以外に金を出したということになりまして、不当支出になると思う。もうすでに供米はどんどん行われ、その代金の支払いは行われて参ります。そうなると事後承認の形をとることになりますが、それで財政法の建前から一向さしつかえないとお考えになっておりますか、これはどうでしょうか。
  56. 山本米治

    ○山本説明員 ただいまの米価に関する段階は、御承知のごとく政府が諮問案を出しまして、これに対し米価審議会が二日間にわたり開かれてその答申が出たという段階でございまして、この答申に対し政府が最終的にどういうふうにきめるか、まだそこまで行ってない段階でございます。それでその答申に基き――もちろんそれは極力尊重する建前をとるのでございますが、これを尊重して閣議で決定いたされました上は、予算措置がどうしても必要になることでございまして、それに関連しまして、ただいま申し上げました通りの補正なら補正という措置が必要と考えております。
  57. 井上良二

    ○井上委員 大事な問題だから伺っておきますが、そうすると米価審議会で修正決定されました新価格というものには政府は同意をしておりません。私どもあの経過を伺うところよると、当該主管大臣である農林大臣及び大蔵臨時大臣というものがこれに参加をいたしまして、与党たる自由党の総務会で意見を聞いて最終的に案がきまった。従って本年の新米価は米価審議会の諮問を経て決定したのが本年の新米価だ、かように私どもは考えておるが、政府は全然タッチしてない、米価審議会の意向だけであって、政府はこれから実は閣議を開いて、これに対する賛否をきめるということになっているのですか。
  58. 山本米治

    ○山本説明員 先ほど申し上げました通り、今の段階といたしましては、審議会の答申があったという段階でございまして、これにつきましては実質上政府といいますか、保利農林大臣も何か米価審議会で秘密会を開いて御相談されたようでございますから、実質上はもう決定と考えて間違いないのでございますが、形の上から申しますと、やはりその答申に基いて閣議決定をして本ぎまりになるのではないかと思っております。
  59. 井上良二

    ○井上委員 そうしますと、閣議決定をされるということですが、それはいつされることになりますか伺いたい。
  60. 山本米治

    ○山本説明員 まだそれは伺っておりませんが、近々と思います。
  61. 井上良二

    ○井上委員 御存じの通り新米穀年度はこの十一月から始まりますから、新米穀年度までの食管特別会計の問題と、十一月から先の問題とになつて行くわけであります。そうしますと、閣議決定後においては、大蔵当局として財政をあずかるものとしましては、当然予算以上の支出になりますから国会の承認を得なければ支出できないということになりますか。それとも、予算範囲内でことしは米を買つておいて、あとから追払いをいたすつもりですか。その間どういう処置をされるのか。臨時国会を開くことを要求されるか、それとも予算以内だけの支払いをしておいて、あとは追加払いで国会の承認を得て払おうとするのか、どういう形をとりますか。
  62. 山本米治

    ○山本説明員 これはいつも九月になつてから政府の諮問案がきまり、それが最終的にきまるのは九月末ないしは十月と過去の例がございますが、それより以前にもすでに米は供出されつつあるわけでありまして、それらに対しましては概算払いしておるわけでございます。従つて最終的な価格がきまりませんでも、支払いは実際上行われておりますし、また米価というものと政府の支払いとは、支払いの総額の上においてきまつておりますけれども、米価幾らということはやはり閣議決定がなければ最終的にきまらないことでございますから、予算の範囲内ならばそれ以前でも支払つてさしつかえないものだ、そうしてその総額が最後に足りなくなる筋合いになりますから、その際にやはり予算措置、従つて補正というようなことが必要だということになるかと思います。
  63. 春日一幸

    春日委員 時間がありませんから平田国税庁長官にお伺いいたしますが、今税金の滞納金額並びに滞納件数が莫大な額に上つておると思いますが、これは国の側においてもまた納税者の立場に立つても、これが解決するための措置が必要であろうと思うのであります。そこで伺いたいことは延滞日歩ですが、私が先段地方に遊説に参りましたとき、新聞に報道されておつたと言つて質問されたのでありますが、昭和二十八年度以前の滞納税金にかかる延滞日歩、重加算税を含めまして、こういうものは、本税を納める場合においては延滞日歩並びに重加算税は免除される措置が講ぜられておるがという質問がありましたが、そういうような措置がとられましたかどうか。あるいは将来とられるようなお考えはないかどうか、この点まず伺いたい。
  64. 平田敬一郎

    ○平田説明員 お話の利子税率につきましては、先般実はこのような措置をとつたわけでございます。それは過年度の滞納をたくさん中小企業者がかかえて、一方において納税貯蓄組合をできるだけ結成してもらいまして、計画的に資金を積んでもらつて、その中から将来はあまり滞納がなくて済むようにということで、今盛んに納税貯蓄組合の奨励をいたしております。これに関連いたしまして、過去の古い滞納に対する利子税でございまして、利子税を持つておる納税者が貯蓄組合に入る場合におきましては、一定の資金計画をつくつて、本税を必ず納めるという計画のもとに貯蓄を始めまして、一定期間それを続ける場合におきましては、その利子税の強制的な徴収を見合せよう、こういう措置をとる。それは行政上の一種の手かげんになるわけでございますけれども、それくらいの程度でございますれば、まず社会的にも認められるところじやなかろうかというので、それを中心にいたしまして御指摘のような措置をとりまして、地方にそれぞれ通達して、貯蓄組合の奨励をはかろうということにいたしておる次第でございます。
  65. 春日一幸

    春日委員 それは私どもがここで主張いたしておりました要望の線に一歩前進ざれたことだと思いますが、ぜひともひとつ、そういうような強制的な徴収を猶予するというような措置も効果がございましようけれども、しかし結局納税者に納税義務がなお残存しておりますることは、これはやはり滞納者にとつては現実の負担でございましよう。いずれにしても行財政の全般を通じて、中小企業のいろいろな重荷を逐次除去して行くという立場で、適当な機会にそういうような延滞利子税関係のものはこれを打切つてつて、そうしてこの巨大な滞納税金、これが一応国の側においては整理ができ、さらに業者側においてはその負担が免除される。御承知の通りいろいろ批判もありましようけれども、そのような高い日歩がかかるということを知りながら、なおかつ滞納の余儀なき事情にあるということについては、これは十分のごしんしやくも願えると思いますので、この点ひとつ十分に御考慮を願いたいと思います。さらに個々の減免措置が講じられますけれども、そういうような減免措置について本委員会に対して何の御連絡がないわけです。われわれが不勉強といえば不勉強でありましようけれども、百般にわたる事柄で聞き漏らすこともありましようが、少くとも所管事項については、委員会はやはり知識として把握をしておかなければなりませんので、今後いろいろな措置、先般は手形による延納制度やいろいろな措置が講じられましたけれども、本委員会に御連絡がありませんので、われわれは的確な資料に事次いて判断に困る場合もありますから、今後十分御留意を願いたい。  それから先委員会において造船疑獄、保全疑獄、陸運疑獄の贈収賄にかかる金銭の授受、これについての税金がいかに捕捉されておるかという問題について質問いたしましたが、これはいろいろの事情があつてしばらくその質問を猶予されたいということで本日まで待ちましたが、伺いますとさらに的確な資料に事欠くので十分の御答弁ができないから、しばらくさらに猶予ということで、これを次の機会まで猶予いたしますが、どうか問題は、零細な所得君たちに対してそれぞれ、の徴税の捕捉、追究が強力に行われておることは御承知の通りであります。従いまして造船疑獄にまたがる三十数億の金銭の授受をめぐつてどういう徴税行政が行われておるかということは、国民の重大な関心事であり、そうしてこの内容をつまびらかにするということは本委員会に課せられた使命の一つであろうと思うのであります。従いまして来月の十日、十一日、大体この頃を目途といたしましてさらに私はこの問題について具体的な質問を展開したいと考えておりますから、御答弁ができ得ますよう、ひとつその調査を御進捗願うことを強く要望いたします。  それから山本次官に一言申し上げておかなければなりませんが、ただいま井上委員からお話のございました通り、これはなはだけしかりません。代々大蔵大臣は傲岸不遜と申しましようか、鉄面皮と申しましようか、そういうような人々が大臣に就任して来たが、政務次官は幸いに愛知君といい、植木君といい、あなたといい、何となくヒユーマン・ビーイングのようなかおりが多少ある人々で、この委員会は誠実に閣議の決定あるいは高度の政策、こういうものの資料に事欠くことはなかつた。御欠席になるようなことはきわめてまれであつた。しかしながらあなたはすでに御就任になつてから二箇月、この間本委員会に御出席になるということは本日が初めてである。こういうばかげたことはあり得ることではございません。  そこで私が申し述べたいことは、ただいま井上委員とあなたとの質問においても、いろいろ閣議決定の事項や、あるいは政府自体の高度の政策があなたを通じて伺える。ところが今まで局長さん、特に河野銀行局長くらいが出て来るのが関の山で、あとはだれも出て来ない。そういうことでわれわれはまるで事務的な事柄に局限されての小乗的な質問しかできない。国政審議がいかに渋滞したかということは、あなたの責任まことに重大である。従いまして、私は今ここに決議案をつくつておるが、ごらんの通り野党が多い。この決議案を出せば、あなたは非常にひどい目にあうということはわかつておる。私は念のためにこの決議案を読んでみます。    決 議 案   大蔵政務次官山本米治君は、本委員会出席要求を無視して、その就任以来、この間二箇月にわたつて一  回も出席しないことは、きわめて遺憾である。   政務次官本来の職分にかんがみ、かくのごとく政務次官が国会への出席を懈怠することは、本委員会が国政審議するため支障甚大である。   よつて政府は、この際随時国会要求にこたえ国会出席できる政務次官とこれを更迭いたされたい。   右決議する。  こういう決議案を出そうと野党連合で決定をいたしました。ところがあなたがまぎれ込んで来た。そこで罪一等を減じて、本日はこの決議案を提出することを猶予いたしますけれども、少くとも政務次官たるものは、この国会出席要求に対して、これを無視して出席しないというようなことは、かつて前例のないことであり、あるいは他の委員会においても、そういうばかげた政務次官というものはないと思う。あなたは郷党の先輩であり、私がこういうような毒舌を吐くことはまことに恐縮であるけれども、大義親を滅するということもあるので、今後は委員会出席されることを強く要望いたしまして私の質問を終ります。     ―――――――――――――
  66. 久保田鶴松

    ○久保田(鶴)委員 動議を提出いたします。すなわち大正飛行場返還に関しましては、先日の当委員会におきまして政府当局より意見を聴取いたしたのでありますが、当委員会といたしましては、さらに詳細な調査を行い、本問題のすみやかなる解決をはかる必要があると認めましたので、現地に委員を派遣し、実地調査をせられるよう委員長におきましてとりはからわれんことを望みます。  なお委員派遣承認申請等の手続につきましては、すべて委員長に御一任いたしたいと思います。
  67. 内藤友明

    内藤委員長代理 ただいまの久保田君の動議についてお諮りいたします。久保田君の動議のごとく大正飛行場返還に関して当委員会より委員を派遣し、実地調査をいたすことに御異議はございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  68. 内藤友明

    内藤委員長代理 御異議なしと認めます。よつてさよう決しました。  なお委員派遣承認申請の手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと思います。  本日はこの程度にとどめ、次会は十月十一、十二日の両目開会することといたします。  本日はこれをもつて散会いたします。    午後一時二十三分散会