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1954-09-11 第19回国会 衆議院 大蔵委員会 第72号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年九月十一日(土曜日)     午前十時四十五分開議  出席委員    委員長代理 理事 内藤 友明君    理事 久保田鶴松君 理事 井上 良二君       大平 正芳君    苫米地英俊君       宮原幸三郎君    三和 精一君       並木 芳雄君    福田 繁芳君       小川 豊明君    春日 一幸君       平岡忠次郎君    山村新治郎君  委員外出席者         防衛庁課長         (経済局施設管         理課長)    高田 賢造君         大蔵事務官         (日本専売公社         監理官)    宮川新一郎君         大蔵事務官         (管財局長)  窪谷 直光君         大蔵事務官         (銀行局特殊金         融課長)    加治木俊道君         大蔵事務官         (為替局外資課         長)      太田 亮一君         日本専売公社理         事         (総務部長)  小川 潤一君         日本専売公社理         事         (販売部長)  石田 吉男君         国民金融公庫理         事       最上 孝敬君         専  門  員 椎木 文也君         専  門  員 黒田 久太君     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  税制に関する件  金融に関する件  国有財産管理状況に関する件  専売事業に関する件     ―――――――――――――
  2. 内藤友明

    内藤委員長代理 これより会議を開きます。  税制に関する件、金融に関する件、国有財産管理状況に関する件、専売事業に関する件の四件を一括議題として審査を進めます。質疑の通告がありますので、順次これを許します。久保田鶴松君。
  3. 久保田鶴松

    久保田(鶴)委員 管財局長にお伺いしたいのでありますが、局長御存じと思いますが、大阪の大正飛行場の問題についてお伺いいたします。これはもう戦争も済みまして、アメリカさんの方も解除されました工地であります。そういたしまして、九月五日でございましたか、農民が三千名ほど集まりまして決議をいたしました。昨日その決議文を持つて局長さんのもとにお願いに参つております。大体見ていただいておると思いますけれども、その決議は「一、大正飛行場即時我等の手に返還せよ 一、自衛隊の基地絶対反対一、民間航空使用を許すこと元より絶対反対する 一、我等の郷土、我等農地我等の手に還るまで一致結束、強力に闘い抜こう右決議する」こういう決議大正飛行場全面農地解放促進期成同盟の名によつて行われたのであります。  この日のいろいろ農民の声でございましたが、昭和十五年五月、時の軍といたしましてピストルサーベルの力によりまして、大正小学校に各農民を集めたのであります。このときにはとにかく判を持つて来い、そこで戦争が済んだら返してやる、そのときの交渉されました方は長谷川少将とかいう人でございましたそうですが、そういうようなことで戦争が済んでしまつたアメリカさんの方ももう土地解除されたというようなことから、先祖からもらい受けました耕作農民といたしまして、決議にありましたように、この土地をぜひ農民に返してもらいたい。これを買い上げられまするとき等も返してやるという約束であつた、こういうようなことであります。そういうようなことからいたしまして、今また自衛隊がここに入つておられるのでありますが、これらの問題等につきましても、これまた飛行場施設内容等を一応管財局の方から聞かしていただきたい、かように思う次第であります。
  4. 窪谷直光

    窪谷説明員 大正飛行場の問題につきまして、あるいは久保田先生御存じのことを申し上げる結果になるかと思いますが、一応概略を申し上げますと、これは当初土地が約九十万坪ございました。そのうちで今日までに四万三千坪のものを住宅敷地等処分いたしまして、現在約八十五万坪が国有地で残つております。これは御承知のように占領直後向うに接収をされまして、講和条約が発効いたしましてからは、行政協定に基く提供施設として、ごく最近までアメリカ軍使用し得ることになつておつたのであります。それが先般七月の三十一日付をもちまして日本政府返還に相なりました。それと相前後と申しますか、まだ提供中のときから、この施設について利用をしたいという申出が若干ございました。一つ農家の問題でございます。これは米軍黙認と申しますか、どうも文書許可はないようでありますが、何か口頭了解は求めてあるということのようでありまして、耕作をいたしておる部分が相当ございます。それから、それ以外の施設につきまして、二十七年の暮れに八尾市から市営飛行場として清川したいので、アメリカ軍に対して返還の交渉をしてもらいたい、返還のあつた後には八尾市に払い下げてもらいたいという申請がございました。八尾市の方では、その後これを市営飛行場として活用するという計画は必ずしも具体化いたしておらないように承知をいたしております。あるいは自然消滅のようなことになつておるのではなかろうかと想像される向きもございます。そのほかに、やはり同年の暮れに新明和興業株式会社から陸軍航空廠――大正飛行場は昔の施設で申しますと、飛行場とそれに付属します航空廠というのがございましたが、これは建物その他のある区域でございます。この区域につきまして使用申請が出て参つております。これもやはり計画は具体化いたしておりませんし、私の方もただ承りおくという程度で今日まで来ております。それから、あと報道関係新関社連絡機でございます。これの発着に使いたいという陳情がございました。これは米軍提供中に、米軍了解のもとに使つておりまして、今日まで引続いて使つております。それから防衛庁でございますが、これもごくわずかの部隊が今施設利用いたしております。そのほかに今回の防衛庁法の成立に伴いまして、航空幕僚監部ができることに相なりまして、それの本隊の教育施設は浜松に持つておるのでありますが、一種の分校的なものとして飛行学校を設置いたしたいということから、防衛庁所管がえをしてもらいたいという申請が出ております。なお運輸省航空局からは、これを民間飛行場として活用したいということから、運輸省所管がえをしてもらいたいという申請が出て参つております。これらの点につきましては、いずれにどういうふうに決定をいたすかということについての確定的なことはまだきまつておらないのではございますが、防衛庁関係航空幕僚監部飛行学校の設置ということは、あの土地状況等から見て無理ではなかろうかという意見を私ども防衛庁の方に申しております。防衛庁の方でも今検討中でございまして、まだ最終的な結論に達しておられるかどうかは承知しておりません。それで、農家の方からは、今お読み上げになりましたように、全部を農地として還元をしてもらいたいという御要望がございました。この決議は私も昨日拝見をいたしたのであります。文書として拝見をしたのは昨日でありますが、そういう御要望があるということは、現地の財務局からも連絡がございまして承知をいたしております。また八尾市長さん等も関係市町村の代表だということで陳情にお見えになつたこともございます。これもごもつともな御要望かとも思うのでありますが、一方民間航空等につきましても、やはり若干の考慮を払わなければならぬのじやなかろうか。それから防衛庁の方も、飛行学校を設置することは無理であるけれども、各部隊間の連絡機発着程度のことの利用は、あるいはやむを得ないのではなかろうかというふうなことに考えております。目下各要望がそれぞれかみ合つておりまして、調整をいたさなければならない段階でございます。各方面の御意見を十分に承り、また関係機関と十分に協議をいたしまして、最終的な今後における利用方法をきめて参りたいと考えておる次第でございます。
  5. 久保田鶴松

    久保田(鶴)委員 今管財局長が話されました中で、特に最近八尾市長さんを初めとして、陳情に見えたという言葉がございました。それは私の申しておりますように、農民にこの土地を返してもらいたい、返してやる約束つたのだからということで、農民はやいやい言つておるのでありますけれども八尾市長さんは農民立場からでございますか、あるいは八尾市の民間飛行場としたい、そのために八尾市に払い下げてもらいたいというような陳情に見えたのでございますか、どうでございますか。
  6. 窪谷直光

    窪谷説明員 八尾市から市営飛行場として使用する目的で返還及び払下げ申請がございましたのは、二十七年十一月二十八日付の書類でございます。この問題につきましては、私当時この職におりませんでしたので、直接お目にかかつてお話を伺つたことはないのでございますが、管財局に残つております記録によりますと、そういう書類提出なつております。私がお目にかかりましたのは今年の四月かあるいは五月ごろだつたと思うのでありますが、そのときには、私は当時はこういう申請が出ているという話を知らなかつたものでございますから、この話は全然しなかつたのでございますが、そのお目にかかりましたときの八尾市長さんの御意見は、農地として処分をしてもらいたいというお話だけでございました。飛行場の問題は全然お話こなりませんでした。従いまして、あるいは市営飛行場の案というのは自然消滅になつたのではなかろうかと想像しておりますと申し上げたのは、そういうことでございます。
  7. 久保田鶴松

    久保田(鶴)委員 それから今自衛隊人たちが入つておられますが、聞くところによりますと、アメリカ軍使つておられました当時から、その後これが解除になりましても、自衛隊が入つておられる。これはアメリカさんから自衛隊がなんぼかの坪数を使つてよいというようなことで、その口頭約束の結果あそこに入つておられるのか、あるいはそうでなくて――局長の話を伺いますれば、いろいろ申請はされておりますけれども、それは目下協議中であるということでございました。従いまして、今自衛隊無断であそこに入つて使つておられるというふうに解釈してよろしゆうございますか。
  8. 窪谷直光

    窪谷説明員 これは提出中に米軍との間に話合いがございまして、米軍許可と申しますか、了解のもとに入つておるのでございます。今大正飛行場利用いたしておる方々利用状況は、すべてそういうことに相なつておりまして、提供中でございますので、向う使用の権利がございますが、向う使用に妨げない限度においては日本側に有用に活用させるということは、向うとしては絶えず考えておりますので、そういう考慮から農家の方にも耕作黙認を、正規の書類ではないようでございますが与えておるようであります。それから報道関係につきましても、そういう状況なつております。それでこれがいよいよ返還になりましたので、日本側において将来の処置を確定しなければならないということになつておるわけでございます。従いましてすべての利用されておる方が無断でと申しますか、あるいは不法にと申しますか、そういう状態利用をされておるということではないのであります。
  9. 久保田鶴松

    久保田(鶴)委員 それでは今自衛隊が入つて使つております問題につきましては、管財局といたしまして、これを黙認しておられるといいましようか、そういうような解釈をしていいのでありますか。
  10. 窪谷直光

    窪谷説明員 これは米軍提供中の状態そのままを継続しておる状態でございまして、おつしやいますところによりますれば、あるいは黙認しておるということでございましようと思います。
  11. 久保田鶴松

    久保田(鶴)委員 それではこの問題につきましては、今入つておられます自衛隊人たちらは、一応話のきまるまでこれを使つてはいけない、こういうことを局長として通達を出してもらいたいのです。あるいはこれ以上なおあそこに入ろうとしつつありますが、入つていかぬとかなんとかいうような手を打つてもらう御意思がございましようか。
  12. 窪谷直光

    窪谷説明員 今使つております方々に、とにかく一応出てくれということを言いますことも、必ずしも実情に沿わぬように考えますので、その考えは持つておりませんが、今後人を増加するというようなことは、この際最終的な処理がきまるまでは遠慮してもらいたいということで、各方面に話をしておるわけでございます。最終的な案を早急にまとめたいというふうに考えておる次第であります。
  13. 久保田鶴松

    久保田(鶴)委員 局長承知のように、大体戦争中は今申しましたようにピストルサーベルでおどかしてとつた戦争は済んだ。人間も一応兵隊に行きましても、戦争は済んだので帰つて来る。といたしますと、これを取上げるときには、戦争が済んだら返してやるという約束でこれを取上げたのでございますから、アメリカの方といたしましても、もうこれを解除されたのですから、当然先祖からもらつた、またつくつております耕作農民にとつては、当然返してもらうべきもの、こう思つておるわけなんであります。これは私たちは当然返してやるべきだと思います。こういうような考えによりまして、これはいろいろ施設飛行場云云というような声もございましようが、そういうようなことをお考えにならずして、ぜひ耕作農民にこれを返してやるというようなお考えで、今後話を進めてもらいたい、こう思うのでございますが、そういう御意思はございませんか。
  14. 窪谷直光

    窪谷説明員 農家方々といたしましては、そういう御要望が出て参りますことは、まことにごもつともなことだと考えるのでありますが、ただ一方民間航空等の必要もございましようし、それからまた防衛庁最小限度施設利用したいというのもまた無理からぬ御要望であるわけでありまして、これらの要望が重なり合つておるのでございまして、一応現実に即した調整考えなければなるまいというふうに考えております。
  15. 並木芳雄

    並木委員 ちよつと関連で一言。ただいまの久保田さんの御質問は私は非常に重大な問題だと思うのです。この問題は米軍の撤退に伴つて今後各地でひんぴんと惹起して来る可能性があります。そこで私は先般来、当局としてもこの判断を下すのに非常に苦しい問題だから、一つ原則を立てておかないと、あちらではこう、こちらではごうということになると局長としても収拾がつかなくなるのではないか、そういうことを考えておつたのであります。それで考えられますのは、今の御発言にあつた原則として、まず第一に元の土地所有者意向を聞くということではないかと思うのです。とにかくあのころ自分の意思提供した土地でないのですから、無理やりに提供させられた土地なんでありますから、その使用が終つたとたんにおいて、当局としては元の所有主に対して返還希望されますかということを聞いてやる必要があるのではないかと思うのですが、その点はいかがですか。
  16. 窪谷直光

    窪谷説明員 これは、私が調整に苦労をいたしておりますと申しましたのはそういう点でございまして、国有財産であるから国の必要に応じてかつてにやるというふうなことは考えておらないのであります。地元の御要望も、これはまことにごもつともなことであります。ただほかに要望がございまして、その要望もまた無理からぬ点もございます。その辺の現実と申しますか、個々場所に適合した解決策を探し出す以外になかろうかというふうに考えておる次第であります。
  17. 並木芳雄

    並木委員 それは自由意思によつて国財産に譲渡した、そういう土地ならば私は今の局長態度で何らさしつかえないと思います。しかしこれはみんな自己の意思に反して、いやいやながら供出させられた土地なんです。それを思うときに、局長国有財産処分方法に対してただいまおつしやつたような態度をとらざるを得ないかもしれませんけれども、もしそうだとするならば、必要ならば立法措置か何かをとつて、そうして一種の買いもどし付譲渡であつたというような方法がとられれば、これは局長としては今度ははつきり行動ができるのではないかと思う、ですから当局としては、私たち立場が正しい根拠があるとお思いになるならばこれを立法化して、そうしてまず元の所有主にこれが返還されるような優先的な道を開いてやる意思を持つべきであると思うが、そのお考えがおありになるかどうか。また今までなかつたとしたら、今後それを考えていただけるかどうかお尋ねいたします。
  18. 窪谷直光

    窪谷説明員 非常にむずかしい問題かと思いますが、ただいまのところでは、そういう御立法をお願いする考えは持つておらなかつたのでありますが、御意見もございますので、一応研究さしていただきたいと思います。
  19. 久保田鶴松

    久保田(鶴)委員 きようは防衛庁経理局施設管理課長高田さんが見えておりまするが、先ほどから私申しておりますこともお聞きと思います。従いまして、自衛隊人たちらが入つておられる問題等に対しましてお聞きになりましたでしようか。これは今無断であそこに入つておられますのに対してどうお考えなつておるか、参考までに伺つておきたいと思います。
  20. 高田賢造

    高田説明員 今お尋ねになりました大正飛行場施設に関しましては、ただいま管財局長からお話がございました通りでありまして、米軍提供中に、米軍了解のもとに自衛隊があそこを使つておりまして、解除後におきましては、自衛隊といたしましては、あの飛行場の一部を引続き使用いたしたい、かような希望を持つておりますので、そういう希望を大蔵省の方に申し上げてあるのでございますが、ただ他の使用、たとえば民間航空等使用との調整とか、いろいろ他の機関との話合いの問題がございますので、正式決定にはまだ至つてはおりませんが、ほぼ使わしていただくという御希望を申し上げまして、そのもとにお話合いを申し上げまして、今引続きあそこで警備をいたしておるような状況でございます。しばらくの間、なお引続き自衛隊といたしましては、そうよけいな人数ではございませんけれども、将来使わしていただくということを考えまして、警備に従事させたいと存じております。
  21. 久保田鶴松

    久保田(鶴)委員 これは、米軍が去つたあとのあの土地自衛隊使用いたしておりまするが、米軍使つてつた一部力を使用してもよいというようなことで、米軍からは何もそういう譲り渡し等を受けていないのに、ここへ無断自衛隊が入つて来ているということは、私は断じて許せないと思う。そうしてこの話がきまるまで――きまるということは、自衛隊が入つはならぬ、農民にこの土地を返してやるべきだということでございます。だから早く自衛隊の人々に出てもらいたいということ、その後どこかほかに適当な場所があるならやられてもいいと思いますが、そういうようなことでこの問題を進めてもらいたいと思います。その点どうでございますか。
  22. 高田賢造

    高田説明員 ただいまのお話がありました点、八尾市の皆様の御意同等もほぼ承知いたしております。ただ自衛隊飛行場といたしまして、なるべく新しい民間土地を買収するということは非常に困難でありますので、既設国有地の中で地元関係と極力折合いをつけまして、御了解をいただきまして、地元の御使用に支障のない限界において使わさしていただきたい、かように考えておるわけでございます。  大正飛行場施設は、今の考えからいたしますと、あの施設の全部を自衛隊が使うわけではございませんけれども、ある部分はぜひ使わしていただきたい。他の用地取得状況から考えまして、国有地でもございますので、地元八尾市等の耕作をしておられる方方とか、あるいはその他の関係方々意向を十分くみとりまして、管財当局とも御相談して使わしていただきたいつもりでおるのでございます。しかしこれはあくまで地元関係の方の意向を全然無視するということはできないことでございますので、極力お話合いをいたしまして、折合いをつけて使わさしていただく、こういうような考えでおる次第でございます。全般的に新しい用地を取得いたしましてこれを飛行場にするということは、きわめて困難でありますので、既設滑走路等がありますところで、地元関係等考慮いたしまして最小限度使用をいたしたい、かように存じておる次第でありますので、よろしくひとつお願いいたします。
  23. 久保田鶴松

    久保田(鶴)委員 時間もございませんので、結論といたしまして、高田さんのお話もございまするが、自衛隊があそこに入るということは私は絶対反対でございます。同時に私たちは、本委員会と別に大蔵委員会の中に国有財産払下げ処理小委員会を持ち、幸い私委員長をやつておりますし、二十四日、五日に小委員会が開かれますので、そのときに具体的に管財局長あるいは他の方々ともこの問題を掘り下げていろいろ検討してみたいと思います。  他の方々等もお待ちでございますから、私の質問はこれで終ることにいたします。
  24. 内藤友明

  25. 井上良二

    井上委員 国民金融公庫の方にちよつと伺いたいのですが、御存じ通り政府金融引締めの結果、いわゆる地方銀行、特殊銀行特殊金融機関等の各金融機関が非常にきゆうくつになりまして、それで国民金融公庫の窓口に最近申込みが多くなつておるのだろうと思います。これに対して金融公庫としましては、資金需要とそれから貸出し要求に対しまして、具体的にいかなる対策を立てておるか。具体的にたとえて申しますと、資金需要がこれだけふえて来ており、貸出し要求額がこれだけふえて来ておるから、これに対して人員はこういうぐあいに増加をしておる、そうしてその処理を明確にしておる、資金操作においても非常に要求されております。大都市といいますか、特に中小企業の多い方面に対して特別に資金操作を行つておる、こういうことを具体的におわかりでしたら、簡単に御説明願いたいと思います。
  26. 最上孝敬

    最上説明員 ただいまお話のありました通り、私どもの方の貸付に対しまする御要望が月々非常にふえておりまして、昨年度と比べますと、まず四割程度ふえ方なつております。月によつてはあるいは六割あるいは五割ふえておるところもありますが、最近までを平均しますと、大体四割というふえ方でございます。これに対しまして貸付も四割ちよつと欠けますが、三割三分という貸付なつております。お申込みに対しまする割合から申しまして、まず従来とそれほど大きな隔たりのない貸付ができておるわけであります。それにつきましては、本年度予定されております資金をできるだけ早くいただくような手配をしておりまして、御承知だと思いますが、本年度の出資金二十億というのは、四月早々いただきまして、これを大体第一・四半期の新資金として流して来たわけであります。それから第二・四半期に入りましてからは、資金運用部の方からの借入金、このうち二十五億を第二・四半期に使うことにいたしました。この借入金は全体で九十一億ございますが、そのうち二十五億を第二・四半期に使う予定にしておりまして、もつともこのうち十億ほどは前に拝借しましたものの返済に充てますので、純粋にこの十五億が新しく流れる資金であります。あと残つておりますのは、第三・四半期に四十六億、第四・四半期に二十億、これを拝借しようという計画なつております。この第三・四半期が四十六億、非常に多いように思われますが、これは年末を控えておりますので、大体十二月だけでも平月の倍の貸出しをしなければなりませんので、こういうふうによけい見込んでおりまして、まず今後のふえ方にもよりますが、今のところですと、この程度でどうやら押えて行けるのじやないか、その点なかなか苦しいのでありますが、どうにかやつて行けるのじやないかと考えております。一番意を注いでおりますのは、私どもの方の店が多いものでございますから、個々の店に一時滞留しております資金、これがばかにならないものでございまして、いつも十数億になつております。ことに代理所は全国で六百二十もございまして、個個の代理所にわずかずつ滞留しておりましても、それがばかにならない数になりますので、これを効率的に使おうということに最近非常に努力しておりまして、盛んに電報を打つて督促などしまして、先月末ではその点大いに改善されて、たしか七億程度に減つたと思います。そこで三億あるいは五億程度の、従来遊んでおつた資金を効率的に使う、こういうことをやつております。それから最近ことに困りますのは――私どもで困ると申しますのは、限られた資金をもつているくなかわつた種類の貸付を次々といたすことになつておりまして、御承知だと思いますが、特別小口貸付をやつております。それから恩給担保貸付を従来単に事業資金に限つておりましたのを、そのわくをはずして、一般消費資金も含めてお貸しするということから、この方のお申込みが非常に多うございまして、大体毎月二億五、六千万円、多いところは二億九千万円程度貸付をしております。この方の人出がなかなかばかになりませんので、いろいろ人のやりくりをして誉ますが、今後どんどんそういう方面貸付か伸びて行きますと、なかなか処理がつかず、荷とか入手をもう少しふやしていただきたいということを考えておりまして、関係方面とのお話合いにかかつておるところであります。本年度は大体予算の上で、資金も、それから人員においてもある限度がございますので、これから始まります来年度の予算作成につきまして、そういうふうな資金並びに人員の増加ということを考えておりまして、関係方面にお願いしよう、こう考えておる次第でございます。
  27. 井上良二

    井上委員 お話のように非常に貸出し件数が大きくなつて参つております。ところがこれを実際処理いたします窓口がこれに伴うてないというところから、これは主として貸し付ける対象が中小企業者が中心になつておりまするので、この金庫の貸付条件に合致する資格を備えておるかいなかということを調査いたしますのに相当の日取りがかかつておるのであります。大体まず平均三十日以上かかつておりはせぬかと思います。しかもかりに調査の結果貸付条件に合格いたしまして、今度は資金がすぐ間に合わぬというところから、今度は、資金操作関係でそこで一週間なり十日なり待たされる、かような実情が事実なんであります。そこで問題は、さように貸付の件数がふえて参り、かつ申込みもそれに伴つて昨年の四割も増加をしておるのに、人はさほどふえてない。しかもこれは普通の営利を目的にした事業ではございませんから、できるだけすみやかに間に合うように処置してやるということが、この機関の一番の目的でありますが、今あなたの御説明を伺つておると、事態はよくわかるから、何とか人員を増加するように努めたいと考えて、来年からやりたい、こういう話ですが、今御説明になりましたように、大体一・四半期二十億から二十五億の資金操作をして貸し付けることに計画をしておりますが、特に年末は四十六億という金を予定してこれを処理しようとしておる。そうしますと、これは今からその対策を講じて、窓口なり、またこれを扱う所要の人員をふやすようにしてもらいませんと、これは実際さばききれぬことになりはせぬかということが予想され得るのであります。これから年末に向うに従いまして、あなた方が資金の準備をされると一緒に、貸出件数も非常にふえて来る。申込みがふえて来る。そこで正規の職員の増加ということは、予算との関係もあり、いろいろむずかしい問題もございましようから、ここで臨時的にこの問題を処理するような措置を講ずることが一つ。いま一つは、人手をふやさずに物をふやす。たとえば調査に行きます場合、大体一人が一日三件から五件しか今の状態では処理できません。そこでスクーターならスクーターを使うとか、あるいは各支所にダットサンくらいの能率の上る自動車を置くとかして、人手をふやさず物でふやしまして、もつと能率を上げるようなくふうはできないものか。御存じ通り国民金融公庫は相当利益を上げて、国庫へ納付しておる。そんなに利益を上げる必要はありませんから、三十日も四十日もかからなければ金にならないというものを、せめてこ週間でも三週間でも早く借りられるようにしてやるにはどうしたらよいかということにもう少し御注意を願えないだろうか。  いま一つ、各支所に対する資金割当の根拠の問題でありますが、たとえて申しますと、東京と大阪と比べた場合、大阪は六割以上が中小企業が占めておるのです。東京は大体四割くらいしか中小企業はございません。大阪は六割以上あります。しかるに資金割は、東京と比べれば大阪の方が、率から言いますと非常に低い。さような点で、もう少し実際の実情に合うように資金のわくをおかえになつたらどうか、もつと実情に合うような資金割当をお考えなつたらどうか、これは今から対策をひとつ考え願いたい、こういうことを私は率直に申し上げますが、御意見いかがですか。
  28. 最上孝敬

    最上説明員 今の資金の割当の方からまず申し上げますが、これはお説の通り、大阪はわれわれ従来見ておりましても、中小企業などの数に比べてどうも出方が少い、これはしいて私ども資金をとめておつたのではございませんで、実際大阪でお申込みがそれほど多くなかつた。それからまた私どもの方の人手もそれだけ十分手配をしてなかつたのでございますが、これは一番根本に、御承知だと思いますが、事務所の問題がございます。非常に狭いところで仕事をしておりまして、適当な事務所が見当らなかつたのであります。それが幸いに各方面の御助力によりまして、最近非常に大きな事務所ができまして、新しく安倍野にもう一つ支所がふえたものですから、最近大阪方面のお申込みが非常にふえて来まして、おそらく最近の割当はほかよりも従来に比べてずつとふえておると思います。今正確な数字を持つておりませんが、ほかに比べれば非常にふえておる思います。今後この点はだんだんと改まつて参ると思います。  それからもう一つの人手の問題、ただいま仰せになりましたスクーター、自動車などのことも、各支所でいろいろ試みてはおります。スクーターなど現実に始めたところもあるのでございますが、いろいろ故障を起しまして、あるいは事故を起して調査員だけがをすることがありますので、今これを急に広めるのはどうかと躊躇しております。それから先ほど申しませんでしたが、人手が足りなくて資金量の多いものを処理せねばならぬ関係上、私ども以外の各方面のいろいろな御協力を大いにお願いしております。一つ代理所の活用でありまして、これは従来全体の約三割ほど貸付をお願いしておりましたのを、最近は三割三分というふうにふえて参つております。今後大体四割見当にしたいというふうに考えておりますが、しかし代理所につきましては、利用される方面からまたいろいろな苦情も出ております。これも限度があります。そこで直接貸付をさまざまな協力団体、市町村であるとか、あるいは商工会議所であるとか、そういうところの御援助によつて割合に私どもの人手を使わないでやつて行く、こういうことを考えておりまして、その方面がかなり伸びております。これにつきましてもまたいろいろな問題もございまして、中間に関係する人が利用者の迷惑になるようなことをするという事件が、これはごくまれでございますが起りますので、やはり慎重にやらなければならぬので、いろいろ頭を悩ましておる次第であります。
  29. 井上良二

    井上委員 いろいろ大所高所から御検討されておるらしいのですが、問題は実際商売の資金として必要な融通をお願いするのに、結果がわかるのに、どだい一月半もせにやわからんということをしてもらうたんじや、商売にならぬ。実際そんなのんきなことをやられたんじや、たまつたもんじやない。だからもう少してきぱき処理いたすように、何とかそこを御検討願いたい。  それからもし人員をふやす、あるいは今申したように能率的な施設をもつと完備するということについて、たとえば大蔵省の方でとやかく議論がありますならば、われわれ著きるだけその蒙を開くように御協力申し上げるのに一向やぶさかではありませんし、それからいま一つ御注意を願わなければなりませんのは、この国民金融公庫一つの地方銀行化しつつあるということです。これはどういうことかと申しますと、一応貸してそこでそれが回収されます。そうすると第二次、第三次というものを貸し付けておるのです。そういうことを繰り返されますと、新しい貸出しのわくというものがそれだけその人によつて独占されます。これはやはり新規な困難な人を助けて行くように主としてやつてもらわなければならぬ仕事であつて、一応この資金によつて事業が更生して、どうにか営業がやつて行ける人については、できるだけ市中銀行とか他の金融機関にこれを切りかえて、やはり新しく資金を必要とする人にできるだけ貸して行く、広く喜んでいただくようにやる。ところがやはりまじめに返したということになりますと、どうしてもその人が信用をされ、かつ内容もわかつておりますから、再びその人に貸し付けるというやり方が繰り返されておることが多いのじやないかと思うのです。その点につきましては、それほど常態化するほどに立ち直つておりますものは、他の金融機関にこれを移す。こちらはやはり新しい人に――何しろ申込みが多くてその何割も貸しておりませんから、ぜひそれを広く貸して行くという意味で、あなたの方でもう一応御検討願いたい。特に大阪と東京との割合品については、私具体的に調べておりますが、相当あなたの方でわくの振当てについては細心の考慮を払つてもらいませんと、これは実際困る。大阪と東京を同じ扱いにしたり、そういう比率になつておるのに、資金はほとんど同じ割合だということであつては、これは大阪は問題が起つて来ますよ。ぜひそこらのところは御考慮願うようにしておきます。
  30. 春日一幸

    ○春日委員 関連して……。第一に、本委員会が開かれておるのだが、大臣も出てないし、また政務次官も出てない。わけでこの国民金融公庫に関連する銀行局長も出ていない。これは井上委員質問しておられることも、公庫に対する質問であるが、これは同時に監督者としての銀行局長に重大な関連がある質問であつて、これは当然出てもらわなければならぬ。私は数日来この委員会の運営を見ておるのに、政府の責任者が本委員会に出ていないので、はたしてわれわれはその職責が果し得るであろうか。まつた委員会の権威は地に落ち、われらはこういう状態においては職責を尽すことはできないと思う。ことに委員長のごときは、きのうから出てないのではありませんか。きようだつてまた出ておいでにならぬ。こういうような事故があまり多くあり過ぎるということは、われわれがこの委員会の仕事を遂行する上に非常に困る。私は本委員会を通じて申し述べるが、そんなに委員長があちこちの会合に出るのに忙しくて、本委員会に出席してこの議事を統宰することができないとすれば、われわれはもう少しその点を考えて、できる人にやつてもらうという必要が生じて来るだろうと思う。私どもは、他の委員会もいろいろと行われておるけれども、大臣も政務次官も関係局長も出て来ない、委員長もいやしない、そんなばかげた委員会は他にないと思う。私どもはこの委員会の権威をもう少し高めて、われわれ委員がその職責を遂行できるような態勢でこの委員会を運営してもらわなければ困ると思う。この点を強く要望をいたします。きようなんか河野銀行局長が出て来ていないのだけれども国民金融公庫の業務、これは当然大蔵省がそれA、認可をしなければ相ならぬ問題である。わけて人員をふやすとか、いろいろな施設をふやすとかというような痛切な要望も、銀行局長がおいでになつてしかるべきだと思う。当然こういうことに関連して河野銀行局長が出て来なければならないと思うが、今からでもおそくない、出席を要求しておくから、呼んで来てもらいたい。  それから国民金融公庫にお伺いをいたしたいのでありますが、ただいまのお話によりますと、大体申込みが昨年度に比べて四〇一%アップしておるということなんです。これは中小企業が非常に金詰まりのために国民金融公庫にみんなすがり寄つて来る姿であつて、従つてこれに対して、やはり国民金融公庫も応諾し得るの態勢をもつて臨まなければ相ならぬのでありまして、それでなければ国の機関としての権威を保ちがたい、使命は果しがたいと思うわけであります。それで、これはすべからくただいまお話のあつたように、相当の利益が国庫に納付されておるというならば、これは営利機関ではないのだから、そういうような所得こそはまずその経費の中に充当して、もつと機動的に能率を高めるような運営が必要だと私は思いますので、ひとつ人員の拡充、乗物の拡充、こういう設備の拡充等について、大胆に私は当局要求することを強く要望いたします。  それからもう一つは、中小企業がみんなこういうふうになつているのだが、そのためには本年度は二十億の増資、九十億の資金運用部資金の預託が行われ、資金量も昨年度にくらべて相当増大されておると思う。従つて東京、大阪、あるいは名古屋、あるいは北九州とか、そういうような中小企業地帯というものがおのずからあると思いますが、そういうようなものに対しては、やはり総合的に四〇汚の資金需要のアツプということと考えあわせて、やはりその地方への資金需要の増加要求に対しても応諾するための、いわゆるわくの考慮が払われなければ相ならぬわけであります。ところがその後東京、大阪、名古屋等の方面においてわれわれが調査すところによると、そういり地帯は昨年度の実績を上まわつて貸付をしないように、すなわち資金総額において大体そのわくをきめておるのであつて、本年度の要望に対してこたえ得るの態勢がなされてはいないというのであります。一体これはどういうわけであるのか、この点ひとつお伺いをいたします。
  31. 最上孝敬

    最上説明員 今赤日先生のお話で、東京、大阪名古屋、北九州、そういう方面の新規の資金はない、大体従来のわくの範囲で貸しておるのじやないかというお話がございましたが、新しい資金はやはりそういう方面にも流しておりまして、回収金も年々にふえて参ります。今私正確な数字を持つておりませんが、貸付し得る資金量はそれらの地方でもやはりふえておると思います。ふえ方があるいは御要望通りに行かないかもしれませんが、相当ふえておるはずでございます。この点は御子承願いたいと思います。
  32. 春日一幸

    ○春日委員 東京、大阪、名古屋等のこの中小企業地常には、全般的に四〇%の資金需要の増加のパーーセンテージか示されておると言われておりますけれども、これは全体的なアヴエレージであつて、その中小企業地帯のこの申込みの率というものは、これに上まわること相当のものであろうと思うわけであります。すなわち新規の貸出しの申込みが昨年度よりはるかにはるかに上まわつておるわけです。従つて昨年度のわくからはやはり相当額の増額のわくが考慮されるのでなければ、これらの要望にこたえることはできない。しかるところあなたの方の指令によると、これらの地帯においては大体昨年度のわくの範囲内において、こういう指令がなされておる様子でございまするが、そうでなければそれに越したことはございません。けれどももしもそうであつたとするならば、本年度の二十億の増資並びに九十億の資金運用部資金の預託、こういうようなものはやはりそういう要望にもこたえるために配慮されておるのでありますから、当然新しい未普及の地帯に普及する資金として活用されることは望ましいが、同時にそういう地帯でもやはり同じような配慮を加えて、昨年度の実績とかなんとかいうものを相当上まわつた考慮がなされることを強く要望いたしまして、私の質問を終ります。
  33. 小川豊明

    小川(豊)委員 私も公庫のことについてお伺いいたします。今の井上委員質問で、大体人の少いことはわかつておりますが、これが非常な影響を来しております。ことに私どもちよつと聞いたところでは、公庫が市町村に委託するのか何か、ともかく自分のところではとうてい人手がなし、経費がなくて、要求があり、要望があつても、それを調査することができないので、遅れるばかりであるということで、市町村に委託して市町村が借主になるのか、市町村は借主になれないはずであるから、おそらく業者の団体か何かをつくつて、それをさらに市町村長が公庫に来て、そうして一括して何百万円というものを市町村自身がその割当をやつておる、また回収もやつておる、返済にも当つておる、こういうことを聞いておるのであります。そういうことはどういう根拠でなされるのか、ちよつと私には解せない。
  34. 最上孝敬

    最上説明員 その問題はちようどお話申し上げようと思つておりましたが、先ほど申しました人手不足を補うために、各方面の御協力をいただいておるわけであります。これは、私どもの方で事務をそういうところに委託しておるのではないのであります。事務の委託ということは代理所以外にできないことになつております。そういうことではないのでございまして、地方地方で私どもの方と個々の人がお取引をするということになりますと、遠方まで個々の人が出て来なければならぬ。また私どもの方でも個々の調べに行かなければならぬ。非常に手数のかかることで、とうていそういう方法では遠隔地の取扱いはできないわけであります。そこで利用なさろうという方たちがお互い同士に結合されて、自発的に組合をつくられて、その際に、その駒方の市町村なりあるいは商工会なら商工会というものが多くの場合に世話役になりまして、私どもの方に申込みをまとめてお出しになる。あるいは個々にお出しになる場合もいろいろございますが、その方面の申込が相当数たまりますと、私どもの方の係の者がそこへ行つてお調べする。その場合に、たとえば市町村役場なりあるいは商工会の事務室を拝借する。そこへ皆さんお申込みなつた方がお集まりくださつて、そこで面接調査をやる。なおいろいろな疑問があれば、この地方に出て行つて実地調査をする。こういうことによつて遠隔地の調査が割合に少い人でもつてできるということなのであります。それからまた遠隔地ですと、いろいろ滞りのあつた場合、われわれの方で一々督促に行くことはまたたいへんなことであります。そのときに、お互い同士に牽制し合つて、その中の若干の人が世話役になつておられまして、その方にお知らせして、そこから督促する。こういうことによつて成績を上げておるわけであります。御利用になる方々がお互いにそういうふうな組織をつくつておられて、私どもの方で協力団体というふうに呼んでおりますが、決して私どもの方の仕事をおまかせしておるわけではない、私どもの仕事がやりやすいような地盤をつくつていただいておる、こういうふうに考えております。
  35. 小川豊明

    小川(豊)委員 これは今の御答弁によると、協力団体である。もちろん協力してくれておることもわかる。それが今相当効果を上げておることは私どもも否定するのではない。ただやらなければならない業務を、人手が少い、経費が少いということから、自分の方で調査ができない。いつも周辺だけに行つてしまうから、遠隔の地にそれを及ぼしたい、こういう気持はわからないわけではない。しかしそういうことをやつて、市町村の当局なり、あるいはその町なり村の商工会のようなものが間に入つて金を借りるためにそういうものができて、その団体とか市町村長等が各県の県庁所在地なり事務所の所在地に出て来ることになると、この弊害が今度出て来ることはきまつておる。もうすでにわれわれが聞いたところでは、そういう話がある。借入れ申し込んだらいいじやないか、それは市町村にそういう団体があるからそこへ行けと言われた。そこへ行くと、今度はお前はこの線へ入れないと言つてそこで差別をつける。あるいは回収もそこでやる、貸付のわくもそこできめる、こういうようになつたら協力団体の域を逸脱してしまうことになる。そういうことをしていいか悪いかの前に、そういうことは公庫の業務の中にそういう根拠がなければできないと思う。それを何の根拠でおやりになつておられるのか。この点をお尋ねしたい。
  36. 最上孝敬

    最上説明員 私が先ほど申し上げましたことは、私の方では、貸付につきまして決してそういう方たちにおまかせしているわけじやないのです。あくでも取次いではいただきますが、私どもの方でちやんと調べるわけです。今お話のように、ある場合そこである方はだめだというようにはねつけるというのは、非常によくないことです。そういうことは極力ないように、各方面に私ども相当に徹底するように努力しております。直接お客さんから送つていただくことを建前としておるのですが、便宜上そういうところでまとめていただいておるのであります。
  37. 小川豊明

    小川(豊)委員 これに非常にあなたの方ではそれが便宜であり、また便宜上いいと思つておやりになつているが、必ずこれは弊害が出て来る。そうして公庫の使命というものを逸脱して来るような事態が出て来る。これは十分に注意しなければならぬ。  いま一つは、こういうことが起るのは経費が足りない、人が足りない、ここから出て来る。そこであなたの方では経費が足りないからこういう問題が出て来る、人手が足りないからこういう問題が出て来るということはよくおわかりだと思う。そこでこの経費の増額なり人員の増加なりを要求なすつておるのか、要求しておられないのか。なさつてつてそれができないとすれば、どういうわけでできないでこういうような処置をとらなければならないのか。この点は私は公庫の運営に対して非常に重大な問題だと思うので、この点をお尋ねいたします。
  38. 最上孝敬

    最上説明員 ただいまのような協力団体を利用しておる状態におきましても、実は人手が足りないのでございまして、もしこれをやめるということになりましたら、私どもそういうことを実際問題として考えておらないものですから、まだ計算しておりませんが、よほど人をふやさなければならないのじやないか。これはおそらく昨年度あたりの剰余金の四億というものを使い切つてもできないのじやないかと考えております、と申しますのは実際私どもの扱う貸付件数というものが最近五十六万件ございます。全国の銀行の扱う件数がおそらく八十八万件というようなことをいわれております。その半分と三分の二の間、相当な件数でございます。しかもこれが県の各小さな町村にまで行き渡つておるのであります。それをちやんとしてやろうと思つたらよほど大きな人員がいります。私ども現在予算定員千六百名であります。なお新しい二つの支所の人員を除きますと千五百何人でございますが、その数でもつてそういう五十五万件というような貸付処理して行くというようなことは、ちよつと望めないと思います。どうしても先ほど申しました代理所のごやつかいになる。代理所で行けないところは、こういうような協力団体を使わなければならない。それにしてもやはり人手は足りないのでありまして、今増員のことを関係方面にお願いしようと考えております。来年度予算においても相当たくさんな増員を実は計画しております。現在の五割程度になるかと思いますが、但しそれがはたして実現するかどうかということは、私どもも不安に思つておりますが、このことは予算関係のことで、御承知だ患いますが、なかなか私ども要望通りに実現されないものでございます。
  39. 小川豊明

    小川(豊)委員 千六百名という少数の人で少額の金を大勢の人に出すというのであるから、人手が足らないのはあたりまえです。政府は公庫の果しておる役割、使命に対して認識があるならば、またそれを推し進めなければならない今日の情勢の中であれば、当然経費の増額、人員をふやすということは認められなければならない。それを認めないでやれというから、こういう問題が出て来た。今は弊害がないかしらないが、今に起つて来る。そういうことをなからしめるためには、あなたの方はもつと強力に、信念をもつてごの増額の要求をなさるべきである。またわれわれとしてもそれに対して協力しなければならない。その点を申し添えて私は質問を終えます。
  40. 福田繁芳

    ○福田(繁)委員 国民金融公庫の運営に関して、いい機会だから一点参考に伺つておきたいと思います。国民金融公庫が開設されて今日に至るまで、いわゆる期日到来したところの融資金額の中において、回収不能に陥つているのはどの程度あるからできることでありますれば、パーセンテージで、この程度くらいあるということをおわかりになればお聞かせいただきたいと思います。
  41. 最上孝敬

    最上説明員 回収不能ということの見わけが実はむずかしいのですが、世間で一般的に申しておりますことからいたしまして、多分こうだろうということを私ども想像すれば、二%程度だと思います。
  42. 井上良二

    井上委員 次に専売公社の関係について質問をいたしたいのですが、ただいま専売公社の方から、四月から八月までの主要紙巻タバコの売上げの実績と、前年度の比率の資料をいただいたのですが、これによりますと、ピース、ひかりのいわゆる高級タバコの売上げが、いずれも前年度に比べますと五〇%方城つて来ております。これはいかなる理由によつてかくのごとく売上げが激減したかということについて、まず伺いたい。
  43. 宮川新一郎

    ○宮川説明員 ピースの値上げをいたします際に、予算の編成には、ヒースの値上げによりまして相当量売行き数量が減少するということは織り込んだのでありますが、その際見込みましたのと見込み違いがたいへん生じまして、御指摘のように、ピースの売行きが非常に減つております。従いまして全品種を通じましての売行き数量の増加に対比いたしまして、非常に減つております。これは主として新生に移行したのによるわけですが、なぜこういうような現象が起つて来たかを研究いたしてみまするのに、やはり何と申しましても、五円値上げいたしましたのと、新年度に入りましてからの経済各界のデフレ的傾向がからみました上に、御承知のように最近アメリカ等におきまして、肺臓癌とタバコの害ということがとりざたされまして、これが日本の新聞等にも記事になつて出るというようなことから、のんでみまして、何となしに軽いような感じをいたします新生の方へ需要が殺到して来ておる。こういうのが主たる原因ではないかと考えておるのでございます。
  44. 井上良二

    井上委員 タバコは嗜好品でありますから、その嗜好者によつていろいろかわるということはあり得ることでありますが、しかしながら特に四月以降急激に売上げが減つて来たという理由は、やはり値上げがこれに相当影響しているわけなんです。そこであなたの方はもちろん政府の財政一計画の上から、ピースを五円上げて、年間四十五億を見込めということを大蔵省の方から専売公社の方に話がありました場合、これに対して別に大して異議も申し上げずに、まあ大体そこそこに行くじやないか、こういうような安易な考え方といいますか、そういうことで値上げを認め、増収を引受けられたのじやないかと思うのであります。ところが実際はそれと逆になつて参りまして、恐ろしい勢いで売れ行きが悪くなつて来た。もちろんピースよりも新生の方が健康上いいとかなんとかいう一部の宣伝も利用されたことは事実でありましようが、何と申しましても、そういうことよりも、この値上げが急激に影響してかくのごとく減つたのじやないか。そこで問題は、これはまつたく見込み違いであつたと思うということをお考えなつていますか、それとも計画通りやはりふえるものである。上半期では悪いけれども、下半期ではこれを取返し、年間の計画は四十五億を増収するという自信をお持ちでございますか、これをまず伺いたい。
  45. 宮川新一郎

    ○宮川説明員 専売公社の販売部長が見えておりますので、公社としてのお考えはまたあらためてお話があると思うのでありますが、大蔵省から専売公社の方に値上げにつきまして話を持つて参りました際、もちろん非常に反対を受けました。値上げをいたしまする影響が、大蔵省で考えておるようなふうに参らないで、ひかりのみならず、新生の方にまで及ぶであろう。従つて値上げをすることによつて、かえつてその分だけをとつてみますと、減収を来すというようなことも考えられるということで、公社からは反対がございましたが、御承知のように本年度の税制整調に関連いたしまして、奢侈高級品に課税するという建前をとりまして、酒その他の物品税ともにらみ合せて、ヒースについてもひとつ値上げをいたしたらどうかという点も加味いたしまして、大蔵省といたしましては公社の方にのんでいただいたような次第でございます。公社といたしましてお、ここまで落ちるとはよもや思つておられなかつたと思うのでありますが、先ほど御説明いたしましたような事情で、私どもも驚いたような数字に相なつておるので、はなはだ申訳ないと思つておるのでありますが、ただ八月の数字は、これは今回年三回、このタバコを小売りいたしておるものの販不成績の優秀なものを表彰するというシステムをとりましたために、前四月ないし七月に比べまして、この表によつてもおわかりになりますように、各品種にわたつて非常にふえております。従いまして新生の前年同期に対する増加率なんかでも、七五%というふうに非常に多くなつております。八月の数字は特殊なものでございますが、七月のピース、ひかりの売れ行き減と、新生の売れ行き増が四、五、六月とずつと上カーヴになつて参りましたのが、七月になつて多少停滞ぎみになつておるのであります。さようなわけでございます。それからはなはだ卑近なことを申し上げて恐縮でございますが、私どもの知り合いの中でもいろいろ話し合つておるのでございますが、新生は軽いと思つてのんだけれども、どうも舌が荒れて来て困る、やはりピースがうまいというような声も出て参つておりまして、近く公社におきましてもピースの葉組みをかえまして、できるだけ味の悪い内地の在来葉の混入率を下げまして、米葉の混入率を多くいたしますとか、あるいは内地でできます米葉の中でも一級、二級という高級葉を使用することによりまして品質の改善をはかる。その他タバコの小箱の中箱の横が半分でありますために、ポケットに入れると折れるので、これを上まで倍にすることによつて、ピースの箱の折れないようにいたしますとか、あるいは今まで販売宣伝にいたしましても、御贈答にはタバコをというように、一般的にタバコの販売宣伝をいたしておつたのでありますが、先ほど申しましたような品質改善の機会等をつかまえまして、銘柄宣伝と申しますか、ピースとかひかりを吸いましようというような宣伝を行いますとか、年末年始の贈答期にはさらに宣伝を強化いたしますとかいうような措置をとることによりまして、現在の傾向を若干修正できるのではないか。ただいま正確な見通しをつけることは困難でございますが、予定いたしました販売収入ないし国庫納付金をあげることは困難かと思いますが、現在の傾向をかなり是正することができるのではないかと思いまして、今申し上げましたような手段をとりまして、せつかくピース等の高級品の販売に努力いたしたい、かように考えている次第でございます。
  46. 井上良二

    井上委員 問題は大体この上半期の実績から割出しまして、最初の計画から行けば相当悪い。そこでこの下半期にこれに対する対策を相当立てませんと、国庫収入の上にも非常に支障を来して来るわけであります。従つてどもきようここにあなた方お忙しいのに来ていただいたのは、さような意味からこの問題を取上げているからであります。もうすでに私どもの手元へ出されているものだけでも、計画からいいますと五十七億の減収になつている。そうしますと、これらは年間四十五億かりにピースでよけい上げようと思つているのが飛んでしまつておる。販売部長の石田さんがおいでになりますが、かりに専売局が大蔵省の方からさような無理な増収を要求されても、政府みずからデフレ政策をとつて、全体的に生活を引締めて、貯善増強の宣伝を盛んにやつておるときに、高級タバコを大幅に引上げてそれで増収をはかるがごときは、およそ商売の実態を知らぬやつじやと言うて、あなたはもう少しがんばるべきである。そうでないとかような赤字が出る、こういうことになると販売部長の責任問題が当然問われることになる。私どもはさようなことを言おうとは思つておりませんが、しかし事態は非常に重大であります。そこで問題は、今監理官の方からお話がございましたが、一体販売部長として、これから来年の春まで懸賞金をつけて小売屋によけいタバコを抱かすというが、売れもせぬタバコを抱かされることほど小売屋として迷惑なものはないので、そういう数字だけを見て上げて行くことは、危険この上もないやり方です。それよりも外国タバコと比べてみても、実質において、またかおりにおいて実際太刀打ちができるという品質の向上をはかつて、そうして消費を促進して行くという行き方をおとりにならなければならぬのじやないかと思う。いろいろ御検討を製造部の方とされておると思うのですが、これからどういう計画を立てて売上げ増強の対策をおとりになつて行くか、これを石田部長から伺いたい。
  47. 石田吉男

    ○石田説明員 見込み違いの点につきましては、数量は、大体計画では昨年の実績に比べまして約五%ふえるという見込みを立てております。ところが実際は、数量はそれ以上にふえております。大体六・五%から七%くらいふえるのじやないか、今の状況ではそういうふうに思います。そこでその見込み違いいたしましたのは、その数量の中の割振りを間違えたと申しますか、見込み違いをいたしまして、お手元に差上げてありますように、ピースとか、ひかりの売行き見込みというものが非常に違つて、それがみな新生の力にまわつてしまつたというのが原因でございます。私ども、昨年まで非常にタバコの売れ行きがよかつたのと、それから政府のデフレ政策により、ここまで新生の方にかわるような一般的なタバコ銭の出し方がみみつちくなる気持といいますか、そういう点は大分見込み違いをいたしましたので、ただいま申し上げましたようなことで、公社の内部としましても、製造方面では、とにかく予定以上に数量が出るものですから、製造計画を直すのは非常に困つております。一方大蔵省に対しては、歳入の見込みに非常に御迷惑をかけるということで、先ほどお話がございましたが、これは民間の会社でありましたらおそらく私は首だろうと思いますが、そうも言つておられませんので、何とかしてこれを取返そうと思つて、製造の方ともいろいろ相談いたしております。そこで一たびこういうふうにピースなりひかりから新生にかわるという一つの勢いがありますと、宣伝に金を使つたとかということだけではなかなかもどらないのでありまして、このままほうつておくとかえつてその勢いが強くなる。何と申しましてもやはり品物自体をよくいたしまして、ああ、やつぱり新生よりもピースの方がうまかつたとか、ひかりの方がうまかつたのだという認識を一般の人にしてもらうことが第一だと思います。そこで先ほど監理官からもお話がございましたが、ピースの味をよくすることにいたしております。八月の初めから葉組みをかえたものを大分製造しておりますが、どうもこういうふうにピースの売れ行きが予定より落ちるということになりますと、本来新しいタバコができれば、それだけうまいものが吸えるわけですけれども、こういう見込み違いをいたしましてだんだん先に落ちて参りますときは、手持ちの在庫がふえるものですから、それも、製造の計画もそれにあわせて直してはおりますが、十日や一週間ですぐ直るものでもありませんので、少しずつずれております。大分その辺の調整もできて参りましたので、まあ本月の末ごろから来月の初めごろからは、その新しいいい葉組みのピースが出て参ると思います。それから十月からひかりの方も品質を直しまして、これも品質の点で新生に行つた人をまたピースなりひかりの方にもどつてもらうということで、これも準備をいたしておりますが、十月から製造を始める予定にしております。そのほかは、何と申しましても小売屋さんに売つてもらわなければ、これは商売になりませんので、私の方の販売の系統全力をあげまして、幸いにして地方の方でかなり強力な小売屋さんの組合がありますので、そちらに働きかけて、できるだけ売つてもらうということになりますので、たとえばお話がありました懸賞金の制度をつくるというふうなことをいたして、下期でできるだけの回復をいたしたいというふうに考えております。
  48. 井上良二

    井上委員 ちよつとこれは監理官に伺うのですが、ただいま石田さんのお話を聞いておると、どうもピースの売れ行きが悪い。これを元にもどすのには、多少外国産のタバコの原料をこれにぶち込んで品質をよくして、それで売上げをよくするようにとこう言う。すると、それだけ実際はもつと高くつくわけですね。それだけいわゆる製造単価は事実上るわけです。そのことはさておいて、今までつくつておるものはどうするのですか。そんないいタバコを四十五円で売つて、片方もやはり四十五円で売るのですか。それは値を引くんですか。そんなむちやなことをしてもらつては困る。片方は品物をよくした、片方には悪いやつを依然として四十五円で押しつける、それではあまりぐあいが悪いから割引をしてお売りになるのか、どうするのですか。
  49. 宮川新一郎

    ○宮川説明員 どうもいろいろ御糾明があるものですから、何とか品質改善によつて売上げをよくすることに努力いたしますとかなんとか御説明いたしまして、かえつて非常にいいものを使つておるように印象を受けられたかと思うのでありますが、葉組みを改善すると申しましても、一〇〇%のうちの二%くらいでございまして、それほど偉そうに言うほどのものでは実はないのであります。現在出ておりますタバコもそのうちだんだん売れてしまいまして、しまいには新製品だけになりますし、今までのタバコを安くしてあとのタバコを高くするというほどの差をつけるのもいかがかと考えております。
  50. 井上良二

    井上委員 現実にわずか五箇月で約六十億近い赤字が公社としては出ておるわけですね。売上げにおいて予定通り売れなかつたわけですが、このタバコの販売計画というものは大体予算に出ておる数字ですか、どうなつておるのですか。
  51. 宮川新一郎

    ○宮川説明員 さようであります。
  52. 井上良二

    井上委員 さようしますと、上半期に約六十億赤字が出たということになりますが、一体予算はどう調整するつもりですか。
  53. 宮川新一郎

    ○宮川説明員 ただいま売上高におきまして、予算に対しまして五十数億の減収になつておるわけでありますが、御承知のように益金の計算、国庫納付金の計算におきましては、固定資産の増、たなおろし資産の増、支出の減等、いろいろ調整する費目がありまして、たとえば収入はこれで年間かりに百億減るといたしましても、それに伴いまして支出の方も若干減少いたします。たなおろし資産も、製造いたしました分は、本年度の現金収入にはなりませんが、それだけの在庫ができるわけでございますので、たなおろし資産がやはり増加いたします。それで益金計算におきましては、売れ行き減が百億そのままになるわけではありません。もちろん御承知のことと思いますが、そういうわけで百億程度の売れ行き減になりますと、大体五十億前後の益金減。さらに努力いたしますと益金減が非常に小さくなることも考えられると思いますので、国庫といたしましては、歳入全体で、税収その他ともにらみ合せまして、さらに予算補正を要するかどうかということを検討されることと思いますが、この程度のことならば、その必要はないのではないか、かように考えております。
  54. 井上良二

    井上委員 これは製造部長がおりませんからわかりませんが、この資料によりますと、ごらんの通り非常にピース、ひかりの売上げが減つて来た。公社としてはこれまで予定通り売れるものなりとしてずつと生産をして来て、それが相当量手持ちになつているはずです。そうすると、これを生産しております工場は、やはり多少手控えて生産をしているのじやないかと思う。そうしてその工場に新しくピースの生産をやらしておるか、それとも依然としてそこは機械施設や原料配置等の関係から、手控えはしても、従来通りピース工場、ひかり工場としてやらしておるかどうか。というのを伺いますのは、最近専売公社は年々売上げも多くなつて来、需要も人口の増加に伴つてふえるということもありましようが、一方またこの数字にも現われておりますように、やはり実質的な方面へ国民の嗜好が移行しようとしておる。そういうような全体の傾向をにらみましたときに、新しく工場を多額な固定資本を投下して新設する必要があるかないかということは、いま少し経済動向なり、また国民の経済生活の動向なりを見てお考えなつた方がいいのではないか。しかるに最近専売公社は、新しく工場をあるいは増設し、または拡張しておりますが、これは一体どういうことですか。現実に片一方においてはそういうストックを多数かかえておる事態が起つておるのに、片一方ではどんどん多額の資本を投下して近代的な新しい工場をつくるという行き方は、全体にタバコのコストを高めて、専売局全体の経理から言えば非常に大きな負担になるんじやないか、そういう点について監理官はどうお考えになりますか。
  55. 宮川新一郎

    ○宮川説明員 先ほど御説明申し上げましたように、ピース、ひかりは前年度に比べましてもずつと減つておりますが、全体といたしましては、先ほど販売部長からも申しましたように、年間五汚程度、二十八年度の実績に対しふえるであろうと思つておりましたのが、八月までに八・二%という数量の増加になつております。従いまして、各工場におきましてはできるだけ超過勤務をいたしまして、鋭意この需要増に応じておるわけでございます。御指摘になりましたように、もちろんピース、ひかりの製造は公社において特定の工場に限定いたしておるのでありますが、それ以外のところにおきましても、できるだけ新生の需要に応じまするように新生の方の製造をやる、そうしてピース、ひかりは売れ行きに即応するような製造をいたしておつて、決してむだな製造をいたしておりません。大体一月程度の需要を持たないと、国内の輸送その他を考えましてタバコの品切れを来すというようなこともございますので、その辺のことを考えまして製造いたしておるわけでございます。今後どの程度タバコの需要がふえるかということは、これは見通しでございまして、なかなか困難ございますが、大体欧米諸国と日本の国民一人当りのタバコ消費量とを比べてみましても、なおもう少し需要が数量的にふえるのではなかろうか。御指摘のように、この際こういう時代におきまして、むだな資本の投下をいたしまして大きな工場を随所に立てるということはもちろん避くべきかと思いますが、すでに工場能力がフルに達しておるようなところにおきましては、拡張いたしますとか、あるいはもう拡張の余地のないようなところは、新しい近代的な工場を建てるというようなことも若干必要ではないか、かように考えておりまして、需要増と経費の節減その他をにらみ合せまして、できるだけむだな投下をいたなさいような心組みでいたしたいと考えております。
  56. 春日一幸

    ○春日委員 ただいまお話を伺つておりますと、当局の見込違いのために採算が狂つて来て、その上でいろいろと製造方法にも販売方法にも手が打たれつつあるのでありますが、伺つたところによりますと、そのしわが小売屋に寄せられるようなきらいなしとしないのであります。タバコの小売屋もいろいろ困つている面があるのでありましようから、従つて押しつけがましいような形になつたり、過重にそういうようなものをかかえなければならないことがないように、あくまで公正に、冷静に、その点については注意を怠りなくやつてもらいたい。  それから、他の面からお伺いをいたしたいのでありますが、この小売の免許についてであります。これは一昨々年でありましたか特に法律を設けて、母子家庭、未亡人の家庭については特別に配意を加えるように、たとえばその条件が完備していなくても、八〇%程度でこれを認めるように、そうしてまた各行政官庁はその許可が受けられるように協力しなければならぬという特別の規定が行われていると思うのでありますが、はたしてその法律が定めたような方向に許可がされているかどうか。現地の実情をわれわれが見ますと、必ずしもさようなぐあいに行われていない面の多いことを遺憾とするものであります。そこで私は、こういう論議を繰返したことはすでに両一、二回にわたつておりますが、実際的にそういうような許可認可はもう少し高度の社会性を付与するとか、あるいは国家的見地から与えるとか、こういうことにすることが専売公社の使命、性格等から考えて私はふさわしいと思う。現在タバコ小売の免許申請に対する許可は、これは専売公社の職員が具体的に、事務的にこれを処理いたしておるのであります。しかし私は、公社の職員も公務員であるから、それでよいといえばよいようなものであるけれども、この法律の観点から考えて見まして、もう少し社会性を持たせ、さらにもう少し高度の政治性を付与する必要があると思う。たとえば八〇%でしろというような免許基準の緩和に関する法律規定なんかも、私はそこを指していると思うのであります。ついてはこの機会に御検討願いたいことは、ただ単に担当社員の選考にのみこれをゆだねるということではなくして、許可認可に対する一つの諮問機関とか、あるいはさらに進めてそういうような協議機関、執行権限を持つところの機関を持たして、公社が――いろいろと世上に流布されている事柄の中には、小売の組合と公社とがはなはだ強く結ばれていて、新しい申請者に対してはなかなか許可が与えられないように制肘が加えられて、その方針で現在許可認可が行われているというような浮説もあるわけであります。かりにそういうような事柄が浮説であつても、そういうことがあつてはならぬと思うのであります。従つてそういう浮説も一掃し、さらに――このタバコの許可を受ければ恩給がついたようなものである、あるいは月給が付与されたようなものである、これは生活が保障されますから、どういう人を最も早く生活保障をしなければならないか、こういうことを考えますならば、当然生活困窮家庭とか、あるいは未亡人家庭とか、あるいは身体障害者とか、こういう人に優先的に許可が与えられることがふさわしいと私は考える。ところが現実には、そういう人たちも含まれておまりすけれども、第一流の商店がこの権利を得て、相当厖大な利潤を受けている。従いまして、私は、タバコ専売によるところの許可の基準は、もつと零細なものにこれを所属せしめるということがふさわしいと思つているのであります。そういうような考え方を推進するために、許可認可に対してその地方地方の専売局に諮問機関、あるいはまた協議機関を置くことについてどういうふうに考えておられるのであろうか。この点は監理官並びに当事者にお伺いしても的確な御答弁が得られぬかと思うのでありますが、これはわれわれの強い要望でありますから、ひとつ御検討をいただいて、次の機会あたりにこれに対する適当な御答弁を伺いたいと思います。
  57. 石田吉男

    ○石田説明員 御返事にならないかと思いますが、二十八年度の申請の件数でございますけれども、これは大体一般の小売の申請のうちで、許可になりましたのが約二四%でございます。大体四分の一であります。それから母福法の関係では、申請した人のうちの約半分が許可なつております。それから身体障害者の方は、少し割合が落ちますが四三%ということで、これはすべり出しのころにはいろいろ御不満もあつたかと思いますが、最近では各出張所の方でも立法の趣旨をよく了解いたしまして、かなり円滑に行つているのではないかというふうに考えおります。数から言ますと、一般の申請のうち許可になりました件数が約九千件でございますが、そのうち母福法の関係の人が約七百件、全体の一割ばかりございます。それから身体障害者の方が約三百件で、母福法の約半分でございます。そういうことでございまして、全体の指定の割合から見ますと、相当優遇されているという数字が出て来ております。なお御不満があれば、いろいろ御指摘をいただければ研究をしてみたいと思います。
  58. 春日一幸

    ○春日委員 そういうようなな御答弁ならばなお伺わなければならぬのだが、われわれが要求しておるのは、こういうパーセンテージが逆にならなければならぬ。たとえば母子家庭とかあるいは身体障害者とかが九〇%を占めて、一般は一〇%というような形になつて、働けば他に働けるような人々はそういうような困難な仕事におもむいて、きわめて簡単に所得を得られるような仕事は、そういう稼働能力のきわめて少い人々をその衝に当らせる、これがふさわしい売りさばきの方法であろうとわれわれは考えておるから、これについてはもつと深く政治的に社会的にいろいろ御検討願つて、それを専売局の意見とし、なお大蔵省の意見として、次の機会に答弁してもらいたい。これはパーセンテージが四三%であつても、許可された件数が一〇%ということであつては、法律の趣旨から見ても、そしてわれわれが考えるところの社会保障制度とタイアップ、リンクアップするということから見ても、なおこれは未熟である。だから百尺竿頭一歩を進めろということも私は申し上げておる。それから許可認可の権能にもう少し高度の公共性を持たせる。こういう意味で、公社社員の専決事項とはしないで、これを諮問をして、そうして共管にしてそういう申請に対するいろいろの問題をもつと高い視野から判断して結論を出すようにされたい、こういう要望をしおるわけでありますから、これはひとつ御検討をいただいて、次の機会に御答弁を願いたと思います。
  59. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 今春日君の質問に対するあなたの方のお答えにつきましては、許可申請に対するパーセンテージの高下が論ぜられておりますが、しかし春日君が指摘されたように、許可された絶対数に対しまして御配慮いただきたい、こういうのでありますすが、実際に母子家庭で困つている方が専売公社の出張所、あるいは小売組合に参りましてその点を相談するようなときに、たとい許可なつても、いきなり最初の資金が二十万円とか、一番少くても十五万円くらいのものがいる。このことが小売商たらんとする意思を途中で挫折させてしまう例がとても多いのです。そこで今普通の母子福祉法とか、そういうことの例外ではなしに、一般の方の申請の場合、最初にスタートするに必要な資金の最低限というものは引かれておりますか、その金額はおわかりになりますか。
  60. 石田吉男

    ○石田説明員 これは小売屋さんの店を出す場所によつて違いますが、一番少いところで最初はやはり十万円くらいいるかと思います。それからそれよりもつと多く売れる場所になりますと、二十万円から二十五万円くらいいると思います。
  61. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 そうすると、十万円が普通の方の場合の最低とするならば、その八〇%程度の要件を備えるべしという母子福祉法の建前から、八万円とかいうような数字が一応目安に出て来ます。しかし八万円でもなかなかくめんがつかぬという点で、むしろその八万円のくめんがつかぬような家庭こそ、こういうような売店を出すことを切実に希望している方々なのでありますが、とにかく戦争の非常な犠牲をこうむつて、夫とか父をなくしたという家庭は八万円をくめんすることはなかなかむずかしいと思う。だからこの点は画然と幾らなければならぬということでなしに、実情に応じて出発できるような配慮がぜひとも望ましいと思うのです。大体二十万円いるというようなことで初めからおどかされて途中で申請書もひつこめる、こういうふうなことになれば、受付けられた申請書と許可数のいわゆる比率は、あたのおつしやつたような比率が出るかもしれぬけれども、その申請に至らぬうちに葬り去られる未提出申請を含めた比率はかわつていると思う。この点を指摘して皆さんの御善処を要望したいと思います。  それから今の吉田さんの政治は、いよいよ専売公社の販売政策にも反映しまして、およそピース――平和とかひかりとかいうものは国民の前から後退ししまて、バットが少し顔をもたげたようでありますけれども、今の同僚委員との応答から私が推測されることは、結局ピースの価格を引下げなければならぬということに帰着するように思うのです。一つの誤りを他のうそをもつて飾るというようなことでなしに、むしろ簡明直截にピースの値下げというような面で、これ以上損害を大きくならしめないような方途に出ていただきたいと思います。こういうような点はなかなかあなた方ではむずかしいらしいのですが、しかし時としては断固として上司にそういうような点を稟議する必要があろうと思います。  それからなおお伺いしたいのは、今申し上げた通り、価格の問題がこの問題の解決の大筋であろうと思いますが、ただ販売網というような点から、今あなた方はどういうふうにこの問題克服のために対処されておるか、小川総務部長にその点をお伺いしたいと思います。
  62. 宮川新一郎

    ○宮川説明員 価格の点につきましては、公社内部あるいは大蔵省においてももちろん考慮に上せております。ただ先ほど私からも、販売部長からも申し上げましたように、最近のこの傾向を価格の値下げによつてすぐ取返せるかどうかという見通しはなかなか困難で、値下げをしたためにさらに現状に輪をかけるようなことがあつてはならないという配慮を加えて検討しておる次第でありますただことしはできなくても、来年度値段を下げることを考えてはどうかということも、また三十年度予算編成に関連して問題になるかと思います。ただいま別に下げるべしとも、すえ置くべしとも結論に達しておりませんが、先生の御意見のありましたところも十分しんしやくいたしまして検討いたしたいと思います。  それから販売については総務部長との御指名でございますから、小川総務部長からお答え申し上げます。
  63. 小川潤一

    小川説明員 御指名ですが、私は名前は総務部長ですけれども、実際の所管は経理担当で、あとは雑用をやつておりますので、店の問題その他販売政策のことは、やはり石田販売部長所管されておりますので……。
  64. 石田吉男

    ○石田説明員 一船的なことにつきましては先ほど申し上げたのでありますが、あるいは小売を増加してもつと売る店をふやしたらというふうな御意向かと拝察しているのですが、現在のところ、別に小売をふやさない方針とか、あるいはふやす方針とか、そういうきまつた考え方は持つておらないのであります。小売の申請を調べますときに、大体繁華街は距離はどのくらい置かなければいかぬとか、いなかの方になるとどのくらい置かなければいかぬとか、そういうふうにやつておりますが、その標準にかないさえすれば、かなつたところは許可をいたしておりますから、自然に少しずつはふえて行くような状態でございます。しかも現在かなり接近した配置をいたしておりますので、それをさらに距離を半分に縮めるとか、そういうふうなことは今のところ考えておりません。
  65. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 今のは販売網の一番下部の、末端の販売店の増加あるいは減収の問題に対するお答えですが、この小売機関に対する卸機関としてのいわゆる出張所がございます。この改廃の問題、あるいは既往一年の間にこれが増加しているのか減つておるのか、その点についてお伺いしたいと思います。
  66. 小川潤一

    小川説明員 ただいまの問題は、私の方といたしましては、経費節減の意味で、出張所はなるべく増加しないという方針をもつて臨みたいと思つております。従いまして、やむを得ないものはふやした例が二、三ございますが、積極的に廃止した面も数件ありまして、全体としましては増加していない状態でございます。なお具体的な数字ならびに箇所については、後ほど書面をもつてお出ししてもいいのですが、全体のわれわれの方向としては、むしろだんだん文明が進んで、それこそスクーターとか何かでみな配つてやりますので、一箇所の出張所で多くを受持つという方向に行くべきじやないかということで、出張所はできるだけ整理統合して行きたいというような気持を持つております。
  67. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 武士の商売というか、大体デスク・プランというのが往々とんでもないことになる。その証拠には、ピースの販売価格の絶対値を上げればそれだけ増加になるように思つたかどうか知らぬですが、しかしそこで相当期待しておつたのが逆になつた。数学的にはマキシマム、極大価になつておる。ですから、その逆の場合、あなた方の今の出張所を減らすことによつてちつぽけな経費を減らされるかもしれないですけれども、それにつらなつて、出張所を置けば販売がふえるという点はあるだろうと思います。そうすれば、経費としての今の出張所を一つ廃止することは、確かに経費を減らすことに貢献しますけれども、今の国家の収益から、そのことがいいかどうかは別問題であろうと思います。  それから専売公社ですから、そうでなくても独占のよろいが衣からちよちよい出て、そういう点で今の小売販売網に迷惑をかけておる筋も相当あろうと思うのであります。たとえば今こういうふうな売れなくなつておる時期に売ろうと思えば、確かに公社であろうと何であろうとサービスをしなければならぬ。しかし現状は、たとえば武蔵野市なら武蔵野市のあなたの出張所が、田無町というとんでもなく遠いところまで管轄しておる。そこに十四、五軒の販売店があるはずです。ところがそこの販売所の十四軒の一つくにあなた方はタバコ一つつてつておらぬ。二箇所に持つてつて、とりに来い、こんな調子で商売をやつておられる。ですからこういうような点は、あなた方のデスク・プランとはまるで別に、実際はあなた方のプランとはおよそ逆な箇所も間々あるのです。私はそういう具体的な事例にぶつかりましたので、大いにあなた方と話し合つて誤りなきを期したいというようなことで出かけました。国会休会中ですから、上京してわざわざ行つたのです。ところがなかなかお会いくださらない。あなた方はいろんな用があつたと思いますが、そういうような点をもつと話し合つてつていただきたいと思うのです。デスク・プランだけ引かれて、実際のいろいろな意向が反映されないような形で今の出張所の改廃問題なんか打出されるということは、われわれは非常に不満であります。そういう点について御所見をお伺いいたしたいと思います。
  68. 小川潤一

    小川説明員 まつたく先生の言われる通りで、われわれはデスク・プランなどで問題を誤らないように注意いたします。もちろん国会議員の方々が来られたのに対して面会を拒むということはけしからぬことでありまして、われわれとしては大いに気をつけて協力して、できるだけ円滑に行くように心がけます。今度のことは御容赦願います。
  69. 春日一幸

    ○春日委員 私は昨日から東條為替局長に対して質問をいたしたいことがあるから出席をしてくれと、これは委員長を通じて強力に要望しておるのでありますが、この閥再三再四にわたる要望にもかかわらず、東條為替局長は本委員会に出席を拒んでおります。かくのごときはまことにもつて容易ならざることでございまして、私どもはその任務を遂行することができません。こういうことでありまするならば、少くとも外為関係の事柄については、委員会がその国政調査権の職権をもつて今後証人として喚問する。強制力のある要請でなければその出席要請に応じないということでありますれば、今後は国政調査権によつて証人として喚問するであろうことをこの機会に申し述べておきます。お帰りになりましたら東條為替局長に対し、大臣でもその他の局長でも要請があればみな出て来るのに、東條君一人ちつとも出て来ない。ボイコットするというようなことは不見識きわまることであるから、これに対する委員会の鉄槌は別の形で下されるであろうということをよく伝言をお願いしたいのであります。  次いで質問をいたしますが、昨日本委員会に対しまして、シンガー会社とパイン・ミシン製造会社との提携によるところの、いわば技術導入並びに外資算入についての申請が大蔵省に申請されておるのであるけれども、これは絶対反対である、こういう陳情書が出ておるのであります。当然反対陳情当局においてすでに聴取されておるところでありましようが、それは彼らが心魂を傾けて今日ようやく国内需要も満たし、さらに進んで海外貿易に対しても相当巨大な実績を収めつつある現段階において、どうもシンガー・ミシンの資本と技術とを導入する必要はない、のみならず、もしそういうようなことが許可されるならば、現在日本にあるところのミシン商業に対して重大なる脅威を与え、さらに関係労働者の労働条件に対しても相当の衝撃を来す結果になるので、これは断じて反対であるから、本委員会においてこれを阻止してもらいたいという陳情が寄せられてあるのでございます。そこでお伺いをいたしたいことは、このパイン・ミシン並びにこの関係者からそのような申請が出されておるのかどうか。さらにまたこの出されたその申請は現在あなたの所管においてどういうような取扱いを受けておるのであるか、この点をまずもつて御答弁を願いたいと思います。
  70. 太田亮一

    ○太田説明員 局長が出て参りませんことについておしかりを受けましたが、御趣旨は帰りましてよくお伝えいたします。  御質問のござましたただいまのシンガー・ミシンの件でございますが、申請書の取扱いにつきましては、これは一般の例にならいまして、目下事務的に検討を進めておる段階でございます。国会の方に陳情がありましたように、ただいま伺いました同趣旨の陳情、これにつきましては、私どものところにも、また大蔵大臣、為替局長あてにも、相当多数参つております。しかもわれわれとして当然考慮しなければならないような問題点をそこに数々あげておられますので、私どもといたしましても、この点は、十分にシンガーの申請を検討いたします場合に考慮に入れなければならない点だというふうに考えております。
  71. 春日一幸

    ○春日委員 ただいまの御答弁によりますると、その反対陳情の趣旨は大いにしんしやくに足る内容を持つておるので、従つて大蔵当局はその趣旨を大いにしんしやくしつつ検討中、こういうぐあいに了承をいたしまして、そこでお伺いをいたしますのは、同一のケースが、たとえば本委員会においてすでに問題になつておりまする事柄には、ジヨンス・マンビルと小野田セメントとの提携によるフレキシ・ボードの問題がございます。さらにはまた明治パンとアメリカのリドコとかいう会柱の提携の問題がございまして、いずれも外国技術と外国資本、すなわちいわばアメリカのメカニズムと日本のテープ・レーバーとがタイアップいたしまして、そこで画期的な大生産を日本国内で起そうという企画があり、そのいずれも外資審講会にそれぞれ付議されておるように伺つておるのでございます。ところがこれら一連の申請が、すでに爾来数箇月を経過いたしておるにもかかわらず、いずれも結論が出ていない。結論が出ていないものでありますから、これはそれぞれの業界に大きな波紋を投げかけ、衝動を与え、それぞれその反対運動が猛烈に行われておりまするし、また片一方においては促進運動が強烈にまた行われておる。そうして関係労働者はこの間不安におののいておるのでございます。これはあなた方が事務的に、また政治的にこれを検討されて、こういうことがふさわしくないとかりにお考えになるならば、あるいはまたそういうようなことは日本の経済の自立の上において、アメリカの植民地経済に堕せしめる心配があるというような事柄等もいろいろあわせて指摘されておるのでありますが、いずれにしても、これは早期にその結論をお出しになる必要があるのではないかと思うわけであります。かりにこういう問題が結論が出されないままに、ペンディングのままにずつとこのままもまれておりますと、関係者の受けておる衝動というものと、それから生じて参りますところの弊害というものが、これはけだし厖大なものがあるのみならず、ただいまは私は寡聞にして知りませんが、とりあえずこの製パン事業とそれからフレキシ・ボードと、それからミシン、この三つのように聞いておりますけれども、こういうようなケースの企業、たとえば米国資本導入、米国の機械導入、これと、日本の一特定商社との提携が許される、こういうようなことが許されるといたしますと、これは次々とみなが申請して来る、そうしてこれが次々と大きな波紋を生じて行つて、国内経済の基礎はために攪乱される心配がなしとはしないのである。私は、これは早期に結論を出される必要があると思います。一つのものに結論を出すごとによつて、それに後続するところのいろいろの問題について、一つの事例をそこに具体的に示すことによつて、それぞれ制肘を加えることができると思うのでありますが、願わくは、このフレキシ・ボードの問題といい、あるいは明治パンの問題といい、さらにはシンガー、パインの問題といい、これはあまり長くもんでおかないで、ためならばだめと、しかもだめにしてくれということは国民大多数こぞつての要請でありますから、早期に結論を出してもらいたいと思うのであります。許可になるかならないか、いずれにしても結論が出るのはいつごろであろうか、すでに何回か審議を経ておりますし、基礎的な御検討ももはや進んでおると思いますので、大体のお見通しについてこの際伺つておきたいと思うのであります。
  72. 太田亮一

    ○太田説明員 早急に処理するようにわれわれの事務処理上の心得をいろいろお聞きいたしまして、たいへん恐縮でございます。ただいまのミシンの件の方、これは時期的に私からはつきり見通しを申し上げる段階にはございませんけれども、ほかの件と比べまして、現在すでに日本の技術でもつてこれが海外に輸出されておる、しかもアメリカにも出ておるというような程度のものでございますので、割合に早く片づけ得るのではないかというふうに私自身としては感じておるわけであります。  それからジヨンス・マンビルと小野田セメントとの件でありますが、これは従来輸出の経験もございませんし、国内でできました製品の歴史というものもきわめて新しいというところで、いろいろ検討さるべき問題がございまして、実は延引に延引を重ねておるような次第でございます。その間にいろいろ関係者に御心配をかけているという点はまことに申訳ないと思つておりますが、私どもとしては、できるだけ促進できるように努力をいたしたいと考えております。  それから最後に明治パンの問題でございますが、これは実は単純なる機械輸入の形で話が出て参つております。外資導入の形でわれわれの方の所管で問題が出て来ておりません。実は、通産省の方で、機械輸入を認めるか認めないか、こういう問題で現在ひつかかつているように伺つております。従いまして、事柄の内容についてもあまり詳しく聞いておりませんので、この点については御了承願いたいと思います。
  73. 春日一幸

    ○春日委員 これは明治パンの問題でありますけれども、伝えられるところによると、一日三十万食の生産力を持つ機械を導入するという申請であるそうでありますけれども、これをかりに明治パンに許されますと、他のいろいろな製パン会社が同様にそういう申請を行う。これは生産が合理化されて、コストが切下げになつて、サービスがよくなるかもしれませんけれども、一社に許して他に許さないというわけには行かない。そういう形になつて参りますると、これに要するところの外資の総合的な消耗がどうなつて行くか、さらに関係労働者がここから離職するというような形になるであろうけれども、それに対する失業対策はどうするか。たとえば、生産の合理化という立場からいろいろ重油の輸入が考えられたが、重油をあまり輸入することによつて石炭産業にああいう大きな衝撃を与えて、結局重油の輸入も節減しなければならないというような堂々まわりの結果を得たような事柄等もあわせて十分ひとつ御検討願つて、早期に結論を出していただきたいと思うのであります。  それからただいまお伺いいたしましたミシンの問題は、幸いにすでにアメリカから資本を導入する必要も技術を導入する必要もなく、これは現にアメリカヘも相当量輸出が出来ている問題でありますから、国内の需要を満たすためにも、また輸出振興のためにもこうも必要としないのであります。こういうように明確なものだけでも早期にひとつ結論を出していただいて、そういう申請はこれを却下する、こういうことで疑惑を一日もすみやかにはつきり一掃していただくような、適切な措置をなさることを強く要望をいたします。  さらにジヨンス・マンビルの問題については、一昨日大臣に質問をいたしましたけれども、これは大臣が別にアメリカにおいて言質を与えたこともなく、外資導入については、全然対外的に政治的な何らの了解を与えたことはない。これは純然たる経済的な事柄であるとのことでございますので、これもどうか関係労働者諸君、関係企業体の反対をいたしておりまする趣旨が十分貫徹ができますように、これも早期に結論を出していただいて、そうしてこれに後続する一切の事柄が未然に措置できるような聰明な措置を講ぜられることを強く要望いたしまして、私の質問を終ります。
  74. 小川豊明

    小川(豊)委員 関連してお尋ねいたします。これは私今お答えを聞いてたいへんな問題ではないか、日本の植民地化から来ておる問題ではないか、こういうふうに杞憂かもしれませんが、非常におそれを持つているのですが、資本の導入とか技術の導入とかいう名目のようですが、単にこれは資本の導入とか技術の導入という問題でなく、日本の低賃金が非常な魅力になつて、外国の資本を導入することになつて来ておるのじやないか、こう思うのですが、もしこういう形を一社なり二社なりに許して行くと、これは日本の低賃金政事とらえてどんどんアメリカの資本が日本へ入つて来る。のみならず外国の資本が日本へ入つて来る。これは日本の経済の将来にとつてほんとうにゆゆしい問題ではないか、こう心配されるのです。外資委員会においてどういうふうな論議をされておるかわかりませんが、あなた方としてはこの点は十分お考えなつて、これは阻止するように努力することが正しい行き方ではないか。いろいろ日本の技術の面において劣つておるところもあるかもしれません。資本の乏しいこともわかつている。しかしこれは困難の中から立ち上つて行けばいいのであつて、日本の低賃金だけが魅力であつて、そういう形で資本が導入されることは、日本経済にとつてゆゆしい問題ではないか、かように私は考えますので、十分にこれは御検討を願いたいと思います。私はこれで質問を終ります。
  75. 太田亮一

    ○太田説明員 いろいろ御意見を承りまして、たいへんわれわれの今後の参考になりましてありがとうございました。今国内産業に対しまするいろいろな影響の面これにつきましては、従来とも慎重に考慮して参つたつもりでございますが、なお単に日本側の技術が遅れているからということだけで、必ずしもわれわれの方としては全面的にこれを認めるという趣旨ではございませんで、国内に別のものが伸びつつあるような場合には、たとい向うの方が相当程度進んでおり、日本のものではとてもそこまで急には追いつけない間にこちらが取残されて行くというような場合は別といたしまして、国内の技術を伸ばすという点も十分留意して考えておりますし、外資委員会委員の各位におかれましても、そういう御配慮を十分されておるまうでありますので、今後ともわれわれとしてはこの点については十分関与いたしまして、研究を進めて参りたい、かように考えております。
  76. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 最近労働省案としまして労働中央金庫の構想ができて、それが検討されているやに聞いております。新聞もこのことを伝えております。私も労働省の案を拝見させていただきました。しかし私の見解を申し上げますれば、労働行政の手段としてこの金融機関をからましているように見受けられるのです。大蔵省としては、労働金庫といえどもこれは金融機関の正常を歩むべしという見解があるが、労働行政をひつくるめさせてやるような手段を容認されるかどうか、この点をまず聞きたい。
  77. 加治木俊道

    ○加治木説明員 まだ正式に新聞紙上に伝えられておりました中央金庫の話は、労働省からも受けておりません。ただ内々非公式にそういう構想を承つたことはあります。しかし労働省側の考えておることと、金庫当局考えていることと大分隔たりがあるようでございますので、われわれとしては両者の一致した見解でなければ検討しがたいと、こういう返答をしてあるのであります。従つてまだ十分つつ込んだところまで考えておりませんが一応労働省から承つたことについては、内々の検討はある程度進めております。お話のありましたような角度からわれわれはもちろん考えておりません。いかにして労働金庫がその本来の機能を現実に伸ばして行くようになるか、それについては、現在一応制度上は連合会ということで制度が打立てられているのでありますが、連合会方式がいいか、あるいは中央金庫方式がいいか、もつぱらそういう観点から検討すべきものと、かように考えているのであります。
  78. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 新聞の論調に労働金庫を設置する必要のジヤステイフイケーシヨンとして、これが争議資金に投入されることを押えるために、中央金庫をかなり官製的な方式でつくる必要ありというようなことを暗示させるように出ておりますが、今までの全国で四十一のこの労働金庫が、あなたの調査によつて争議資金を貸し出した事実がございますか。
  79. 加治木俊道

    ○加治木説明員 検査の結果によりますと、どういうのを争議資金と見るか、争議資金あるいは政治的資金は出してはいけない、この通知は出ておりますし、これは第五条の金庫の中立性ということから出て来るのでありますが、具体的に争議で生活資金に困つて出すという場合は、これは争議資金として見ずに、生活資金として当然見るべきだと思う。あるいは争議の最中に出す生活資金の出し方について若干そういう色目で見ればあるいは争議資金であろうかというような、そういつた問題はなきにしもあらずでありますが、しかしはつきりと大きな数字で争議資金が出ておるという話は聞いておりません。
  80. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 争議資金の定義ですが、ストライキの際の生活資金は争議資金ではない、これはもう争う余地はない。ただ争議資金という概念があるとすれば、それはストライキの情宣活動のために使うとか、そういうケースであろうと思うのでありますが、今までの事例としてはそういうことはないわけですね。
  81. 加治木俊道

    ○加治木説明員 全然ないとは私断言いたしかねますが、しかし非常に目につくような、そういつた問題は、特に取上げなければならぬようには聞いておりません。
  82. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 そうしますと、角度をかえたお尋ねをしますけれども、今の岡山から発足しました労働金庫四十一の業務関係につきまして、あなたの所期した効果が上つているか、健全に運営されていると御判断なさるかどうか、その点をお聞きしたい。
  83. 加治木俊道

    ○加治木説明員 私は、労働金庫は非常に理想的とまでは言いかねると思いますが、非常にいい経過を示していると考えております。金庫本来の使命をよく自覚して、それぞれの金庫が運営されておるように私は見ております。
  84. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 まだ連合会は発足していないようですけれども、あそこに協議会ですか、そういう機関がありますので私もそこから資料を取寄せましていろいろ調べてみたんですが、これは良にあらずして優をつけてもいくらいの運営であろうと思います。他の信用金庫あたりよりはるかに優秀だと思います。これは七月末現在で、四十一の労働金庫の預金総額が六十五億円、そのうち六〇%以上の四十億円が定期性の預金、貸出しが四十八億円のはずでございますけれども、この不況下にもかかわらず非常に健全に発達している。しかも預金、貸出量とも昨年の同期に比べまして大体倍額になつておるわけです。ただこれだけ健全な労働金庫が政府資金を仰ぎたいというふうな気持になつている最大の理由は、今の賃金遅欠配資金がほしいということだと思うのです。ですから、むしろ政府の秕政の反映がここに出て来て、それを背負つているというのが労働金庫の現状であろうと思います。そこで政府とすれば、遅欠配資金というものに対しましては、今の機構の問題を別にして、やはり積極的に何らかの資金を貸し出す、こういうことが必要であろうと思います。第十次造船にからまる造船関係だけに限定された資金がこのほど出たようですけれども、単にそうした造船だけに限定せずに、九州の炭鉱の問題とかいろいろな問題がありますが、そういう方面に政府資金を特にまわす必要があろうと思います。しかも昨年十二月の年末資金の貸出し、それからもう一つは災害資金ですか、あれもやはり全部今までに回収されておると思います。たとえば尼崎製鋼の争議があつて、その遅欠配の資金がかなり貸し出されましたが、あそこで尼崎製鋼がつぶれて退職資金をもらつた、その退職資金から、労働者はわれわれの労働金庫だという観点から積極的に返済しています。この自主性が非常に大切なので、せつかく今軌道に乗つて来たこの金庫に対しまして、官製的な、いらざる一つの行政的なひもをつけるような行き方でこれをスポイルするような方向は、ほんとうに望ましくないと思います。ですから、労働省の見解はさておきまして、大蔵省としては非常に高所からこの問題を処理してほしいと思います。私が結局最後に結論的にお聞きしたいことは、この労働省の中金構想に対して大蔵省はどう結末をつけるかということであります。
  85. 加治木俊道

    ○加治木説明員 まだ最終的にわれわれ結論は下しておりません。まず労働省と、それから今協会がありますが、協会として金庫側の意向が非公式に伝えられております。この間協会の理事長ともお会いいたしまして、大体どういうふうに協会側が考えているかということはわれわれの方にすでに意思の表明方があつたのであります。いずれにしても、一応この間非公式に労働省側から伺つた意向とはまだ隔たりがあるようであります。従つてこの両者の見解が一致した上でわれわれは正式に取上げよう、かように思つております。従つて向うの一致した見解がどういう形になりますか。問題は、おつしやるように政治的な配慮を多分に加えていじやないかという点が金庫側の一応る反対される理由であります。もちろん労働省から伺つている案は、われわれはそういう政治的な配慮ということでなくて、たとえば労働者の住宅の建設とか、そういつた更生資金の確保のために中央金庫という強力な機関の方が一層ベターじやないかというふうに表面的には伺つているわけであります。従つてこの方面のつつ込んだことになりますと、どうしても中央金庫の構想をめぐる労働省と金庫側との一本の意見でこちらへ出された上で正式に検討いたしたい、そうしないと、今向うの両者の意見がわかれわかれのままでわれわれが結論を出すこと自体が、いずれの結論を出しても、何か大蔵省が政治的に事を考えているじやないかというようにかえつて受取られる懸念もあると思います。われわれはそういつた観点からこの問題を取上げるべき筋合いでない、一応足並のそろつたところでわれわれの最後的な結論を下したいと考えておりまして、今ここでいずれともわれわれは態度をきめかねている段階にございます。
  86. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 いずれとも態度をきめかねないのはけつこうです。しかしこういう場合も考えられる、両者の意見が一致しないままわかれることもあり得るのです。ですから、そのときはあなた方がやはり結論を下さなければならぬと思います。
  87. 加治木俊道

    ○加治木説明員 両者の意見が一致しないということであれば、少くとも現在は連合会という制度ができているのでありますから、これを発足せしめる以外におそらく方法はないと思います。新しい立法をしなければ中央金庫という構想は考えられないと思います。今の制度では連合会という制度が打ち立てられているのであります。従つて結論が出ないという場合は、当然連合会が発足するという形にしかなり得ないと思います。
  88. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 今資金運用部資金を労働金庫に直接貸し付ける制度にはなつていないと思います。ですから、地方の労働金庫に国家の資金を出すときにも、各府県を通じて出すというような形がとられています。これも大分改めなければならぬと思うのですが、その改める際に、中央金庫をつくらなければならぬというようなネックをつくらしてそこに追い込むというふうな考え方をしているとするならば、これは労働金庫側は非常に迷惑しごくな話で、あなた方は今のところ中央金庫の構想いかんにかかわらず、必要とする労働金庫側の資金を、連合会の形であつてもこれは流し得ると思うのです。これは法制上の問題で改正しなければならぬと思いますけれども、しかし今労働省がこういうふうな制度をつくつて、そこにネックを設けて、そこのところで規制して行くということは好ましくないと思うのです。これは資本家は操業に参加するよりは増資に参加しろ、この方式をもつて、せつかく今労働金庫が非常にいいスタートをしているのですから、そこへ持つてつて、今の人事権とか、あるいはざつくばらんに言えば、労働省の古手官吏がそこに納まるとか、そんなふうな意味で、変な持参金的な八億くらいのものを持つてそこに入り込む――そういうふうなことは私はないと思うのですけれども、往々世間からそういう点が懸念されているのです。この労働省案をずつと読んでみますと、評議員制度とかその他の点から、こういう危険が多少あるように思う。これは悪く思い過すこともないと思いますけれども、労働省の案がこの表面通りのものとするならば、そうした懸念のない方式は連合会の形でもできるはずですから、そういう点に対しましては、大蔵省は叡知をもつて御処置ありたいと思うのです。今日特に銀行局長に念を押してお聞きしたがつたのですけれども、多用でおいで願えないそうですから、あなたからその点をよく申し上げおいてほしいのです。また直接にその点を確認する機会もあろうと思いますが、以上申し述べまして、労働金庫をほんとうに健全な意味で育てるために、大蔵省の積極的な御処置を期待いたします。
  89. 春日一幸

    ○春日委員 簡単に、今中小企業の賃金遅欠配の問題が大分問題になつておつて、その遅欠配されておる賃金を何らかの金融機関で融資をしなければならないが、これを労働金庫に担当させてはどうかという論議が行われておる。これを一体どうしたらいいかという問題でありますが、われわれの側で検討したところによりますと、中小企業の遅欠配賃金はしよせんは事業資金である、事業資金を労働金庫をして融資せしめるというところにいろいろな問題があるであろう、こういうところにあると思う。ところが労働金庫の業務方法書の中においてそれを適切にうたい込んで、当局がこれを認可すればごうもさしつかえない形に私はなつて来ると思う。これは法律の改正を必要としないで、労働金庫と大蔵当局との間の了解で目的が達成いたし得ると思う。そこで私が検討したところによると、全国に保証協会というのがあります。この保証協会に労働金庫を加盟せしめるのです。そうすると労働金庫がその融資を行う場合、これは最も危険である中小企業の賃金融資でありますから、もし貸倒れになつてはいけない。だから貸倒れになつた場合には労働金庫がつぶれるから、労働金庫をつぶさないためには信用保証協会によつてこれを保証にかければ、信用保証協会が貸倒れに対しては代理決済を行うから、労働金庫の運営にはごうも支障を来さない。だから労働金庫を信用保証協会に加盟せしるめことをあなた方が考えてくれたならば、この問題は一挙に地方の問題として解決することができると思う。保証融資をした場合においては、その保証協会から適当額の預託が行われるでありましようし、地方公共団体からの預託もあるし、保証協会からの預託もあるし、資金量はそれに伴つて用意されて来る。全国に労働金庫が相当数あるが、なかんずく幾つかのものはこの保証協会に加盟をしておるところが現実にある。加盟していないものもある。ことろが加盟しておるものが相当の成果を収めて、そうして地方公共団体との有機的な連携という点で、たとえば保証協会が保証するから貸倒れの心配はない、保証協会は信用保険にかけるからさほどの損失はないという国家の一連の施策が、こういう方法を通じて労働金庫に加えられて来るわけです。そのことが中小企業の賃金遅欠配融資に対する最もいい行政的措置であると私は思うが、これについてどういうふうに考えておるか。
  90. 加治木俊道

    ○加治木説明員 労働金庫の融資についての保証の問題、あるいは保険につながるわけでありますが、われわれの方でもよりより検討を進めております。労働省側に対しても、意見が固まつたらこつちへ持つて来てくれということを頼んでおりますがまだ持つて来ておりませんが、私は十分検討に値する問題だと思つております。ただ中小企業者に面接貸すような形が望ましいかどうかということは、これは中小企業者に貸さなくても、遅欠配資金は端的にやはり労働者に貸す形をとるのが正道だろうと思います。また中小企業者に出して、中小企業者が遅欠配賃金を出すという形でも結論は同じでありますが、一応会員組織の金融機関でありますから、会員たる労働者あるいは労働者の組合を通じて遅欠配資金は貸す、従つて保証も、金融的にはやはり中小企業に実際力があるかどうかということを見なくちやなりませんが、労働者に対する貸付を保証する、こういう形にならざるを得ないと思います。
  91. 春日一幸

    ○春日委員 それはあなたは研究が足らない。そんなことではだめなんです。私の申し上げておるのは、たとえば東京なんかでも、保証協会は五億、八億という出資をしておると思うし、私は愛知県だが、愛知県なんかは四億出しておる。そこに名古屋市がすでに三億円出しておる。こういうことで、保証協会というものは大きな資力を持つておるのです。だから保証協会が保証する場合には、労働金庫は貸倒れになつた場合は、代理決済が行われるから、ちよつと心配はない、ところが保証協会法というものはあなたの方でつくつていると思うのだが、これはすなわち生活資金の融資に対する保証の任務を負つていない、これはやはり事業資金ということで限定されておる。従つて労働金庫をして中小企業への労務賃金の遅欠配分を融資せしめようと思えば、労働者に直接貸す場合には、労働金庫法においては法にかなうであろう。ところがその場合には保証協会法とタイアップすることができない。保証協会というものは、地方にすでにそれだけの金を準備されておるのだから、これを活用して、この中小企業者の事業資金をまかなわしめる、そしてその事業者を通じて現にその金を労務賃金として給付せしめる、こういう方法をとつて行けば十分やつて行けるのです。そういうような場合には、一つのパイプから流れて行くわけだから、国の資金の預託も直接の道が開けて来るし、特に地方公共団体が、融資せしめた一定のパーセンテージにおいてみなその銀行に預託をしておりますから、従つて資金源も現地において調弁ができて行くのです。この点は労働省に関係ないことです。これは一つ金融行政として、あなたの方で単独でできることなんだから、結局地方においてこの労働金庫が保証協会に加盟できるように、あなたの方が業務方法書の認可を与えるその場合において、そういうような場合にも加盟でき得て、しかも事業資金の融資ができるように、ただ業務方法書の中にそれを盛り込んで行けば、問題は一挙に解決するのです。だからこの問題はひとつ御検討を願つて保証協会に入つておるものがある、すでは四十幾つの労働金庫の中で三つか四つ――八つばかりはこの保証協会に入つておる労働金庫があつて、他の加盟について大蔵省がとかくの批判をしておるということでありますから、これは進んでそういう任務をも負わしめるように、すなわち本中企業の労務賃金遅欠配はそういう方法によらなければ一挙に解決ができない。そういう方法ならばこれは解決できるのだから、深く御検討願つて要望に沿うように善処願います。
  92. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 関連。今保証協会の制度は、中小企業への融資という建前から事業資金だけを扱つておる。従つて今の労働金庫は事業資金じやなしに生活資金なんです。そこに食い違いがあろうと思うのです。あなたの方で簡単に行政的措置で、今の保証協会ですか、そこに労働金庫も入り得る、ここまではいいと思う。入り得た労働金庫への債務、それが避欠配の場合、今の労働者の方から還元されずに、困難ができたときに、これは事業資金ではないけれども、生活資金のままでそういう今の保証協会からの保証を受け得られる態勢ができれば一番理想的だと思う。その点はどうなんですか。
  93. 加治木俊道

    ○加治木説明員 労働金庫の性格から言いましても、今あなたのおつしやつた線が、保証の対象とするということであれば、そういつた形で処理する方が好ましいと思います。しかしいずれにしましても、先ほど春日さんのおつしやつたような方向で行くにしましても、あるいは今あなたのおつしやつたような方向でやるにいたしましても、法律の改正なりあるいは業務方法書の改正なりという必要はあるわけでございます。しかしもしやるとすれば、今おつしやつたような線の方が好ましいのじやなかろうか、労働金庫自身の性格をかえずに、従来のすなおな形のままで、一応保証は保証として別個に道をあける、こういうことになりますから。いずれにしましても十分御趣旨は検討いたしまして、できるだけ御趣旨に沿うようにいたしたいと思います。
  94. 内藤友明

    内藤委員長代理 それでは本日はこの程度にとどめ、次会は追つて公報をもつて御通知申し上げます。  これにて散会いたします。    午後一時二十九分散会