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1954-08-10 第19回国会 衆議院 大蔵委員会 第68号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年八月十日(火曜日)     午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 千葉 三郎君    理事 黒金 泰美君 理事 内藤 友明君    理事 久保田鶴松君 理事 井上 良二君       有田 二郎君    大上  司君       苫米地英俊君    福田 赳夫君       藤枝 泉介君    宮原幸三郎君       三和 精一君    福田 繁芳君       本名  武君    小川 豊明君       佐々木更三君    柴田 義男君       春日 一幸君    平岡忠次郎君       山村新治郎君  委員外出席者         大蔵政務次官  山本 米治君         大蔵事務官         (銀行局長)  河野 通一君         国税庁長官   平田敬一郎君         参  考  人         (東京銀行常務         取締役)    太田 輝夫君         専  門  員 椎木 文也君         専  門  員 黒田 久太君     ――――――――――――― 八月十日  委員淺香忠雄君辞任につき、その補欠として宮  原幸三郎君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  参考人より意見聴取に関する件  税制に関する件  金融に関する件  国有財産に関する件     ―――――――――――――
  2. 千葉三郎

    千葉委員長 これより会議を開きます。  税制に関する件、金融に関する件、国有財産管理状況に関する件の三件を一括議題として審査を進めます。     ―――――――――――――
  3. 千葉三郎

    千葉委員長 質疑に入ります前にお諮りいたします。金融に関する件について、本日東京銀行常務取締役太田輝夫君を参考人として当委員会に招致し、意見を聴取することといたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 千葉三郎

    千葉委員長 御異議なしと認めます。よつてように決しました。     ―――――――――――――
  5. 千葉三郎

    千葉委員長 なお太田君は十一時過ぎに当委員会に出席する予定になつておりますので、その前には政府当局に対する御質疑を願いたいと存じます。  それではただいまから質疑に入ります。質疑は通告順によつてこれを許します。福田繁芳君。
  6. 福田繁芳

    福田(繁)委員 国税庁長官に、実はわが党の本名武君が質問いたすために通告いたしてあるのでありますが、今席をはずしておりますので、その時間を拝借いたしまして、私あなたに一言伺いたいと思うのであります。  それはほかではありませんが、先般来問題になつておりましたところのあの保全経済会に対する税の滞納に関する徴収は、その後どうなつておるか、一応この経緯を総括的に伺いたい。
  7. 平田敬一郎

    平田説明員 保全経済会の問題につきましては、国税庁といたしましても従来から調べておりましたが、さらに先般いろいろ問題になりましたので、さつそく東京国税局に命じまして必要な措置はそれぞれとらせることにいたしたわけでございます。課税関係税法解釈等に疑義のありました点は、先般たしかこの委員会におきましても御説明申し上げたことかと思いますが、その方針に従いましてそれぞれ調査をし、さらにそれに基きまして必要な徴収上の措置をとることにいたしました。ただ一番問題の点は、保全経済会全体の収益状況がどうであるかということにつきましてなかなか問題がございまして、その方面の調査はなお現在も続行いたしております。債権者に対して返すべき分、支払うべき分、そういうものがどれくらいあるか、そういう点がある程度解決がつきませんと最終結論は出ないことになつております。ただそのほかに源泉課税等税法を御改正願いまして、税法徴収すべき徴税債権もございますので、そういうものにつきましてはそれぞれ保全措置をとつておりまして、不動産その他のものを現在差押え中でございます。すでにきまりました税金の分につきましては、今後も徴税上の欠陥は生じないものと思つておりまするが、なお諸般事情をすべて調査いたしまして善処いたしたいと考えておる次第でございます。
  8. 福田繁芳

    福田(繁)委員 今の税の決定しておるものを徴収するために、いわゆる債権保全をはかつておられる。言いかえれば不動産に対する強制執行をされておるということでありまするが、大体それは幾ばくくらいの金額を対象にして、どの程度物件差押えておられるか、もしおわかりでありますればこの際お伺いいたしたいと思います。
  9. 平田敬一郎

    平田説明員 その詳細な調査は、実は国税庁にあるのでございますが、本日持参するのをあれしましたので、また後刻御説明申し上げたいと思います。
  10. 福田繁芳

    福田(繁)委員 さすれば当然国税庁においては、強制執行いたしておりまする不動産に対して、追つて法律の定める期日が参りますれば、これは強制手段をとられると思うのでありまするが、その見通しはいかがでございましようか。
  11. 平田敬一郎

    平田説明員 今後の保全経済会整理状況等とも関連して、徴税債権の確保につきましては私ども万全の措置をとりたいと思つております。そういう際に、必要な時期に必要な処分をするということも出て来ると思いますが、目下そういうことに関しまして、手抜かりなくやるよう東京国税局の若干の者を専管さしておりまして、手抜かりないようにやらしております。
  12. 福田繁芳

    福田(繁)委員 私が本日この問題を伺つたのは、ほかではありませんが、あの保全経済会に関する刑事上の問題はさておきまして、御承知の出資者というのが全国三府四十三県に散らばつておる。なかんずく私の郷里のごときにおいては約四億ほどあるわけであります。それで聞くところによりますれば、保全経済会はいわゆる和議が成立するか、あるいは破産決定するかということが目睫に迫つておるというようなわけで、この出資者が、残余財産がどの程度残るものか、勢いそれによつてどの程度和議であろうが破産であろうが返るかということを非常に注目いたしております。そうしてそういう点から見ますれば、非常に目ぼしいところ物件、すなわち保全経済会不動産が、国税庁強制執行によつて税対象として取上げられるというような点が一般出資者にわかりまして、それがために非常に関心を持つておるわけであります。勢いそういつたことも国税庁当局は十分御念頭に置かれまして、そうして今お話のごとくに可及的すみやかに、手抜かりのないように十分御配慮あられんことを御進言申し上げて、この問題に対する私の質問は終ります。
  13. 千葉三郎

    千葉委員長 ちよつとお諮りいたしますけれども、大蔵大臣主計局長は、明日出席するからきようところごかんべん願いたいというのですが、どうでしようか。――ではさよう決定いたします。  次に有田二郎君。
  14. 有田二郎

    有田(二)委員 国税庁長官にお尋ねいたします。最初ビールの問題でありますが、一昨日の夕刊に、宝酒造ビールを製造したいというような趣旨の点が出ておつて、他のビール会社とのトラブルが起つておるというようなことが新聞で報道されておりますが、宝酒造には前の大蔵事務次官が社長をしておられる、こういうように聞いておるのですが、この問題と、さらにキリンビールが今造石をするために八億の設備資金をそれぞれの銀行へ要請しておるというよう事態から見まして、ビール製造合戦というようなものが何か予想せられるのであります。千四百億から千五百億近い酒の税金というものは、国家にとつても非常に重要な問題でありますから、ビール許可というような問題につきましては非常に慎重にやらなければならぬと思うのでもりますが、これらに対する国税庁長官の御所見を承りたいと思います。
  15. 平田敬一郎

    平田説明員 ビール工場の増設につきましては、実は一年ぐらい前からキリンビールその他の会社からその希望が出ております。最初は陳情の形で出ておりましたが、最近は免許申請の形で出ております。それからそれと関連いたしまして新しく宝酒造がやりたいという、これも同様な申請が出ております。これに対しましてどういう方針で臨むかは、お話通り諸般事情考えまして、私ども慎重に態度を決定いたしたいということで目下いろいろ資料を集めて検討中でございます。大体ビールの生産が、昨年度二百二十万石になりましたが、戦前の最高の年が百七十万石、終戦後一時四十万石ぐらいにへこんだものが、その後だんだん伸びて来たわけでございまして、工場の方は戦時中に二工場整理いたしましてそのままになつておりまして、戦後新規の工場一つも認めておりません。既設の工場をできるだけ改良拡張をはかりまして増産に努めて来たのでございますが、最近の状況から見ますると、今後やはり酒類消費の趨勢からいたしまして、ビールの需要は若干ふえて行くのではなかろうか、そうなつて来ますと、どうもやはり工場が今の工場では不足だという、こういう客観情勢にはあるようでございます。ではございますが、いろいろ資金調達の問題、あるいはその他の問題がございまするので、今後の需給の見通し等とも関連いたしまして、よく諸般事情検討いたしまして方針をきめたいと思いまして、目下いろいろ検討中のものでございますので、さよう御了承願いたいと思います。
  16. 有田二郎

    有田(二)委員 ではまだ宝酒造には許可が下つたというわけではないのですね。
  17. 平田敬一郎

    平田説明員 その通りであります。
  18. 有田二郎

    有田(二)委員 許可を与えるとか与えないとかということについては私は意見は述べませんが、十分慎重にやつていただきたいと思います。かつて通産省におきまして、繊維の操短をやらないで四百万錘がまたたく間に八百万錘になつたというようなことの結果、非常に混乱を来しているのですから、酒造の許可につきましては非常に大切な国の財源である酒税を扱つている関係上、慎重にやつていただいて、世間から誤解のないように、また批判を受けないように御処置願いたいと思います。  引続きまして、先般来国政調査であちらこちら参つたのですが、その中でまず調査課所管について長官の御意見を承りたいと思うのです。調査課最初できまして、これが非常に大きな成果を収めたことはわれわれひとしく認めておるのでございます。しかしながら調査課あり方についても、ぼつぼつ検討を加えなければならぬ時期が来ておるのではないか。特に個人所得の問題につきましては、これは一部のものを除いて、全部税務署所管がえをすべきではないかというような感じを私は受けるのであります。もちろん全国的にまたがつた個人所得につきましては、これまた別個に考えることにいたしまして、大半は税務署所管がえをされたらどうか。また国税庁関係の各位の御意見を承りましても、個人所得のものについては税務署に返すということについては、依存がないように私は承つておるのであります。これらに対する長官考えと、さらに今日のように予算が非常に締められまして、余裕が少くなつている折柄、たとえば広島国税局鳥取島根というところは、広島から大阪まで急行行つて大阪からまた急行鳥取島根に行くというよう事態考えましても、これは調査官を何回もやつて、そうして高い旅費を使つてやるよりも、そこの税務署にやらして、そうしてその監督指導並びに決定は、調査査察部長においてこれを行うというようなことにして、旅費の面から見ての調査課運営あり方、こういうものも私は御検討願いたいと思うのでありますが、長官の御所見を承りたいと思います。
  19. 平田敬一郎

    平田説明員 調査課の分担の範囲をどうするかという問題につきましては、お話通り個人所得税関係税務署に全部おろした方がいいかどうか目下検討中でございます。お話よう意見が大分多うございますが、一面同じ営業者でありまして、法人組織にしているのと個人組織にしているのと規模が同じで程度が同じような場合に、はたして差をつけていいかどうか少し問題があるようであります。概して申しますと、お話ような方向にいろいろ考えておりまするが、ただこういうものはあまりたびたびかえますと、非常に納税者も役所の方も両方が困りますので、よくひとつ利害得失検討いたしまして、一ぺんかえましたらしばらくそれでやつて参るという考え方で参りたいと、実は目下検討中でございます。  それからお話通り地方で遠隔のために出張して調査しなければならぬ、こういう問題も確かに一つの問題でございますから、そういう問題もあわせまして何かいいくふうがないか、よく検討して参る考えでございます。
  20. 有田二郎

    有田(二)委員 さらに査察の問題でありますが、漸次世の中がおちついて参りまして、今日では特にデフレ状態であります。従いまして査察官あり方という問題については、国税庁長官において十分御検討願いたいと思います。先般金沢国税局に参りましたときに、調査官の数が二十五名に対しまして査察官は十三名、すなわち半分以上の人員であります。従つてこの査察官人数から考えまして、大阪国税局管内の滋賀県にはほとんど事件がなかつた。そうして金沢国税局管内の福井には、そういう査察官が非常にこまかく人数がおりますために、よく行き届くといいますか、問題が非常に多いというようアンバランスもここに生じて参りますので、国税局査察課で全体の必要なバランスをお考えになつておられますけれども、そういうようなことではどうしてもアンバランスにならざるを得ない、私はかように思うのであります。従いましてこういうデフレ事態下におけるいわゆる査察官運営査察官あり方、並びに今申しましたように、調査課員が二十五名であるのに対しまして査察課員がその二分の一以上であるというよう状態から考えまして、また関東信越を調べましても約半分であるというような点から考えましても、人員整理、あるいはデフレ下における査察官あり方というものをこの際考えなければ、ならぬと思いますが、長官の御所見を承りたいと思います。
  21. 平田敬一郎

    平田説明員 査察官運用につきましては、実はいろいろ平素から苦心をいたしまして、必要な査察はするように、同時に行き過ぎをしないように、この二つのことをいつもやかましく言いまして、勇気を出すと同時に行き過ぎはやめる、こういうことでできるだけ努めておるわけでございますが、今いろいろ調べている状況からいいましても、全体としては、やはり査察の必要はなお依然として相当強いものがあると考えております。ところによりましては非常にいいところとそうでないところと、割合にしましても程度がございまして、その間よく査察対象誤りなく選定いたしまして調査を加えるということは、全体としては必要なことではないかと思つておりますが、しかし経済情勢等の推移もよく考えまして、だれを査察官にすべきかということについては十分な配慮を加えて参りたいと考えております。  なお地域間の査察官配置の問題でありますが、これはところによりまして若干調整をすべき余地はあるように私ども見受けます。小局になりますと、どうしてもある程度人数を置きませんとうまく動かないということからいたしまして、ある程度人数をほしいわけでございますが、これが総体的に他局と比べて見ますと、少し多過ぎるという点もあるようでございますので、各局間の配置適正化ということについては今後ともよく検討して行きたいと思います。  なお先般の行政整理で若干査察官を減らしましたが、調査官の方はあまり減らさないで、査察官の方は少しよけいに減らすということで新定員をきめたわけでございまして、今お話の点につきましてもよく考えまして、今後とも改善を加えて参りたいと考えております。
  22. 有田二郎

    有田(二)委員 すでにこの査察官定員が減りまして、なお二十五対十三というような数字が出て来ておるのでありまして、さらにひとつ検討を願いたいと思います。  それから協議団の問題でありますが、国税庁長官はこの協議団の問題について非常に力を入れてくださつておることは、私は非常に感謝をいたしておりますが、国税庁の連中の協議団に対する考え方がまだ徹底していない。また国政調査の結果、末端税務署あるいは税務署員協議団に対して協力と理解が乏しいという点は、せつかく国税庁長官の非常なお力添えにもかかわらず、まだ末端において長官の親心が徹底していない感が非常に深いのであります。従いまして、さらにひとつこの点を強調していただきたいと思います。これは間違いであるかもしれませんけれども、先般の局長会議で、局長全体が協議団というものはない方がよいのではないかというような強い要望に対して、長官は断固として協議団重要性を説かれて、しかも人事についても刷新されて、非常に有能な協議官配置された。また協議団の中からも多数の税務署長その他の人事交流をなされたということは、非常にけつこうなことだと思いますが、ぜひともこの協議団あり方について徹底していただきたい。のみならず、来年度の申告につきましてはぜひとも申告書の中に、協議団というものがあるのだ、税金で泣寝入りしないようにということを申告書の中にお入れ願いたいのであります。国税庁長官には非常にけつこうなビラ全国税務署に張つていただいておりますが、納税者の意向を聞きますと、税務署へ行くと心配で、そんなビラは目に入らない、せつかく長官のいいお考えでありましたけれども、そういうものはなかなか目にとまらないという意見が非常に多いのであります。そういうビラも必要でありますが、ひとつ申告書の中に、協議団というものはどんなものであるか、そして税では泣寝入りしてはいかぬというような意味合いの、協議団のことについての文字をお入れ願いたいと思うのでありますが、長官の御所見を承りたいと思います。
  23. 平田敬一郎

    平田説明員 協議団重要性につきましては、私この委員会におきましてたびたび御説明申し上げました通りのことを、実は地方に対しまして徹底方をはかつているわけでございます。最近は大分徹底して参つたよう考えておりますが、先ほどお話国税局長会議で、局長自体協議団そのものに反対だということは、これは何かの誤り伝えだと思いますので、御了承願いたいと思います。ただ協議団に有能な人を配置するにつきましては、やはりなかなか問題が多いのであります。その点につきまして、局との間に相当意見を交換しまして、有能な人材を配置したい、これは確かにお話通りであります。税務署等におきましても、最近は大分徹底して参つたようでありますが、今後ともお話ように、更正決定通知書等につきましては、そういう点の適当な周知方をはかるよう措置をいたしまして、ますます協議団が活用されるようにして参りたい。納税者団体等に会いました際には、常に協議団の宣伝ばかりいたしておるような次第でありますので、御了承願いたいと存じます。
  24. 井上良二

    井上委員 関連。ただいま協議団の問題について御質問がございましたが、協議団協議案件として調査査察の方からさらに審査を要求されて、協議団協議中の事案について、まだ結論がついていないうちに差押えをどんどんやつておる。それから何ぼの結論がつくかわからぬのに金利を計算をしてとる。あなたの方の協議団審査協議といいますか、そういうものを審査請求をいたしましてから相当長時日を要します。早いのでたかだか半年、おそいのになると一年から一年半かかる。まつたくこれは協議団事務能率関係がありまして、慎重な審査をしておるというところから起つておると思いますが、そういうので日が延ばされて、延ばれる間依然として正規の金利はとられて行くことになるわけです。これも早く結論がつけば金利も少くて済むものを、あなたの方でいたずらに長くひつぱる関係から――ひつぱるというと語弊がありますけれども、その結果金利は依然として最終結論がつくまで払わなければならぬ。だから協議団協議期間中は少くとも金利は除外すべきではないか、そうしなければこれは協議団の方で少々公正な査定を受けても、結論がつきましても、その間の金利をとられましたら、何ゆえにまけてもらつたかわからぬというよう結論が出る場合がなきにしもあらずです、従つてその協議団協議中は、少くともこれは公正なお取調べを願つておることですから、そのことを金利を取立てる一つの条件に入れてしまうということはおかしな話ではないかと思う。だから、少くとも協議団案件協議されている間は、差押えをするとかどうとかいうことははなはだ穏当を欠くじやないか、そういうふうに考えますが、どうお考えになりますか。
  25. 平田敬一郎

    平田説明員 お話の点ごもつともなところもあるようでありますが、また一面考えていただきますと、審査の請氷を出しさえすれば税金が延びる、利子もかからないということになりますと、これまた審査が続出するという点もございまして、なかなかむずかしいので、率直に申し上げますと、実際の運用にあたりましては、特にあとの徴収心配がないような場合におきまししは、お話よう差押えとかなんとびいう措置はできるだけ見合すようなやり方でやつた方がいいのじやないかと思いますけれども、これも一律にそういうふうにいたしますと、これまたいろいろ問題がございまして、簡単には参らないかと思います。従いまして、御指摘の問題は、個別的に、はたしてその場合においてそういう強徴処分とつたことが常識上妥当であるかどうか、その辺の判断の問題になるかと存じますが、法律上あるいは建前上、一般的に審査が出たから延ばしてもよいということまではどうも行きかねることを御了承願いたいと思います。なお協議団が早く決定するということにはできるだけ努めております。  平均しますと、大体審査が出ましてからたしか四箇月くらいで審査決定をいたしております。ただ御指摘通り法律の解釈問題、あるいは大きなケースになりますと、一年も一年半もがかるという例がございまして、そういう場合には、特にお話ような点につきましても十分配意を加えまして、納税者に不自然な感を抱かしめないようなふうに持つて行くように今後とも努めたいと考えております。全般的に一律に差押えをしない、利子税もとらないということはどうも困るので、御了承願いたいと思います、なお、もし審査決定になりまして減額になりますと、その分の利子税は当然最初にさかのぼつてつかないことになりますので、その点御了承願いたいと存じます。
  26. 有田二郎

    有田(二)委員 それから引続きまして徴収のことをお尋ねしたいのであります。  先般石川県の小松税務署に参りましたときに、差押えをいたしますのに、警察官を連れて行つて差押えをしているという件が現われているのであります。納税者差押えを拒否している場合におきましては、警察官を連れて行くことは当然でありますが、何も拒否していないのにかかわらず、おまわりさんを連れて行つて差押えを強行した。しかも滞納残額はわずか一万円、一万円であるのにもかかわらず二階に上りまして、二階の障子から、ふすまから、見えるところへどんどん張る。ほかに差押えをする物件がなかつたのかどうか、この点の問題であります。残額がわずか一万円であります。一万円の残額に対して、拒否していないのにおまわりさんを連れて行つたということが一件、わずか残額一万円に対して、障子とか、ふすまとか、そういう見えるところヘべたべた張る。一万円くらいの滞納であるならば、差押え物件は見えないところの他に何物かなかつたかどうか、私はあつたろうと思うのであります。  さらに大阪北税務署の問題でありますが、先般大阪の北の伊藤重という料理屋さんに五月の一日、七十七、八万円払うべき税金のうち一期二十五万円、二期二十五万円、三期二十五万円のうち二十万円を払いまして、あとわずか五万円余しか残つていないが、その五万円の滞納に対して、五月一日午後五時お支払いをいたしますというのに対して、朝参りまして全部差押え行つた。さらに応接間にあるセットとか、あるいはラジオとか、あるいはガス・ストーブとか、その他のものを全部トラックに積んで持ち帰つたのであります、五時になりまして金が入りましたので、全部返したのでありますが、その際私どもとして非常に遺憾に思うことは、各部屋の机の上に差押えの紙を張つたことであります。これは営業妨害であります。私が北税務署へ参りましたときに、徴収課長は何と言つたかといいますと、差押えは明確にしなければならぬ、明確にしなければならぬから机の上に張るのがあたりまえであるかのごとき言動であつたのであります。大阪北税務署のいわゆる徴収課長がかかる暴言を吐くとはもつてのほかであります。その当時北署長は、これは有田さんの意見の方が正しい、というのは、そういう机の上に差押えの紙を張る、そうすると、そこへ行かれた方が差押えの紙を見ながら酒を飲まなければならぬことになる。これはりつぱな営業妨害であります、かような趣旨のもとに長官は御指導になつていないと私は確信しておりますが、親の心子知らずで、末端においてこういうことがあり、さらに徴収課長がそういう暴言を吐くのは許すべからざることであります。従いまして、このことについての御所見を承ると同時に、徴収課長並びにその係官に対しては――その係官は、もう一人行つた係官がそういうむちやをするなといつてとめておるにもかかわらず、家へ上り込んでどんどん張つて行つた。最近徴税あり方が非常によくなつて来ておるにもかかわらず、第一線でなおこういうことがあり、それをかばうところ徴収課長の言動というものは許すべからざるものである。私は国家公務員法によるはつきりした処分を要求いたしたいのであります。長官の御所見を承りたいと思います。
  27. 平田敬一郎

    平田説明員 差押え事件につきまして、事実に基いた、いろいろ御調査の上での御質問でございますが、今のお話の点につきまして、実は私どもの方にも若干報告文が来ております。その要点をちよつと申し上げますと、小松税務署事件につきましては、たまたまほかの納税者が何回か差押えを拒否いたしましたので、警官を同行して行つたらしいのであります。その途中、今御指摘納税者ところに立ち寄りまして、納税を督促した。ところがその際、最初差押えを拒否したので、たまたま連れて行つた警官を立ち会わせた、こういうことの報告のようでございます。ただそれは、そういうことでございましたので、たまたま同行した警官を立ち会わせたということは、常識の点においてややどうかと思いますが、特に最初からその納税者のために警官を同行したのではないかという説明のようでございます。しかし事柄はやはり若干常識的でないところがあるよう考えます。  なお封印その他の点につきましては、実際上いろいろ問題が多いのでございます。私どもといたしましては、差押え、つまり徴収の目的を達成すると同時に、営業妨害その他にはできるだけならぬように配意いたしているわけでございますが、具体問題になりますと、ときどきどうもいろんな問題が起きまして、実際におきまして指導する際に実は骨を折つているところでございます。差押え物件はどういう点を対象にすべきか、あるいは今お話ように、封印する場合にどういうところに封印するか、これはなかなか問題があるようでございます。確かに大阪税務署事件の、テーブルの真上に張つたというのは、これは私も非常に常識を欠くやり方じやないかと考えます。違法ではないと思いますが、事柄自体は、そういうやり方はなるたけ避けまして、もう少し適当な方法があるのではないかと考えておりまして、そういう点につきましては、今後現場を指導いたします際にさらに注意を加えまして、そういう非常識なことはできるだけなくするように努めたいと考えている次第であります。
  28. 有田二郎

    有田(二)委員 今長官は違法でないとおつしやいますが、そのときの徴収課長の言葉も違法ではない、こういうのでありますか。しかしこれを違法でないと言うなら、法律をかえて行かなければならぬ。少くとも国税十なり国税局というものは、われわれがつくつた漠たる税法運営を十分やつていただくために国税庁なり国税局があるのであります。税法通りそのままどういう運営をやつてもいいということになれば、国税庁国税局も廃止して、大蔵大臣の下に税務署だけがあればいいという感を深くするのであります。従いまして、机の上に張ることが違法でない、こういうような御答弁を長官からなさることは私は非常に遺憾であります。それは徴収課長と同じことです。しかも八十万円近い税金のうちわずか五万円しか残つていない。それに対してトラックで半分近く持つて行かれて、あとの残りには営業のできないように机の上に差押えの紙を張つて行つた。それは税法上違法でないかも上らぬけれども、営業妨害であります。ですから、違法という言葉はどういうことでおつしやつたかわかりませんが、こういうことは許すべからざることである。長官としてはつきり言つていただきたい。違法でないということになると全国徴収官は、国税庁長官が違法でないと言つたからというので、料理屋の机の上なり、あるいはあらゆる商売の机の上にどんどん差押えの紙を張つて行くことになる。これが違法でないということになれば許すべからざることである。それなら税法を改めて、何らか法的処置をとらなければならぬと思いますが、長官の御所見を伺いたいと思います。
  29. 平田敬一郎

    平田説明員 違法でないという言葉が大分問題にされているようでありますが、私は違法ではないが妥当性を欠く、常識的でない、こうはつきり申し上げているわけでありまして、その点は御了承願いたいと思います。法の運営につきましては先ほど申し上げましたように、常識的で、納税者の立場もできるだけ考えまして、不当な権利侵害がないように、あるいは行き過ぎがないようによく努めなければならぬことは当然であります。そういう趣旨で今後とも指導して参りたいと思つております。
  30. 千葉三郎

    千葉委員長 先ほど来山本政務次官から発言を求められておりますが、簡単でありますからこの際これを許したいと思います。
  31. 山本米治

    ○山本説明員 私参議院議員であります山本米治と申す者でございますが、このたびはからずも大蔵政務次官に任命いたされました。ところが私ちよう国政調査のため関西の方に参つておりまして、先週末こちらに帰りまして、きのうきよう引継ぎやらあいさつまわりやらをしているような次第であります。  私は学校を卒業しましてからずつと日本銀行に長くいた者でありまして、その後外国為替管理委員会委員となり、また経済安定本部におりまして、昭和二十五年愛知県地方区で参議院議員に出た者であります。勉強もあまりいたしませんし、学もなく、経験も浅く、まことにつまらない者でありますが、どうぞ今後よろしくお引きまわしを願いたいと思います。
  32. 久保田鶴松

    ○久保田(鶴)委員 長官に伺いたいのですが、協議団の問題で有田君なり井上君からもいろいろお話がありましたが、差押えというものはどこでもやられております。その差押えはおろか、三十五万Kほどの問題で今協議団にまわつております。その協議団にまわつておりますのに対して差押えされ、それが協議団の方で結論が出ていない。にもかかわらずその差押えされた物件大阪の豊能税務署の方では税務署の方に引上げてしまつたといたしますと、協議団の方でこの問題の結論が出されて、それを納税者が払いましたら、税務署の方に引上げました物件をまた元のところに返しに行かせるのですか、どうなんですか、それを伺いたい。至るところでそうしたことをやつている。
  33. 平田敬一郎

    平田説明員 審査請求が出た場合におきましては、原則といたしまして、徴収上の必要な手続は実はとれることになつております。実際の運用におきましては、審査が出まして、それに対しまして、事案の内容を見まして、これは相当問題に値する事案であるか、あるいはとうてい問題にならぬ事案であるか、その辺のところ徴収係ともできるだけ連絡をとりまして、そうして必要な措置をとつて行く。結局相当修正の見込みがある――まだ決定にはなりませんが、そういう場合におきましては、お話ような強徴処分をとことんまでやるということは避けることにいたしております。でありますが、そこまで見通しがつかない、しかも長くかかりまして、ほうつておきますととうてい徴税上の目的は達成できない、こういう場合におきましては、場合によりましてお話ようなこともやる場合があるかと思います。ただその問題も、具体的にどういう場合にとることが妥当であるか、その辺の事情をよく調べてみませんと一般的には申し上げかれると思います。もしも何でございましたら、私ども大いに一般の参考にもなりますから、お話ような事案につきましてはよく調査いたしまして、その上でさらにまた必要な御説明を申し上げたいと思います。
  34. 久保田鶴松

    ○久保田(鶴)委員 長官お話はわかりましたが、これは納税者の方では、協議団の方でこの話を結論を出してもらうならいつでも払いたいと言つている。払う意思がないというのではない。払いたいと言つているにもかかわらず、これを引上げてしまつたということは非常に行き過ぎではないか。だからおつしやつたように、払うか払わぬか、納税の意思があるかないかということでなくいはつきり払うと言つている。それなのに――これは豊能の方で野かじをやつている人ですが、そういうようなことは行き過ぎだと言わざるを得ない。
  35. 平田敬一郎

    平田説明員 お話のケースは、一般の参考にもなると思いますので、後ほどその具体的ケースといたしましてちようだいいたしまして、監督官等を派遣いたしまして調べさせてもよいと思います。その上でさらにお答えいたします。
  36. 有田二郎

    有田(二)委員 今の徴収お話でありますが、久保田さんからお話があつたことはこれはまだまだ各地に問題があるのです。これは国税庁の指導がもう一つうまく行つていないことも原因しておりますが、地方税との摩擦の問題も大きく原因している。本委員会で、議員提出法案で貯蓄納税組合というものをつくりましたが、あのときは占領下でありまして、交付金が非常に少いという関係上、出先の徴収、国税の徴収地方税の徴収の間に非常に地方税の方が有利にできておる。従つて出先の徴収官吏が焦つているという点も私はわかるのでありまして、これは国税庁長官においてぜひとも地方自治庁とお話を願つて、これらの調整を十分はかつていただくとともに国税庁の方でも徴収部長を通じて全国的に――今の久保田さんのお話よう行き過ぎは豊能税務署だけでないと思う。各地にある。北税務署は私がたつた一ぺん調べただけでもこういうことがあるので、私が北税務署に一週間がんばつた相当おみやげがたくさんあることを私は確信を持つている。全国的に枚挙にいとまく、久保田さんなり私が申し上げたようなことはたくさんあると考えるのでありまして、十分この点の調整をはかつていただきたいと思うのでございます。  さらにもう一点でありますが、小坂税務署を調べましたときに野坂という事務官がおりまして、これが私が局の総務課長を連れて参りましたところでは、ある土建屋さんでありますが、昨年協議団へ出した。それは却下になりましたが、本年も協議団に出すべく用意していたところが、野坂事務官がやつて来て、できている書類をまつたく見ない。書類があるから見てくれと言つても、書類なんか見ない。そしてお前のところは再調査を要求しているが、再調査を取下げなければお前のところを徹底的にやつつけるぞ。今五十万円の更正決定であるが、百万円、二百万円になる。こういつた強迫的な言辞を弄しているのであります。そこで再三小坂税務署へ業者の方がお願いにあがりましたが、税の係長からも一喝されまして、再調査の取下げの判を押さざるを得ないことになつたのであります。さらに藤枝委員が別の班で調べに行きましたところ、ある洋品店では三十三万円の申告に対して、宮崎事務官と三十五万円で話合いがついて調印をした。そこへ野坂事務官がやつて参りまして、お前は宮崎事務官にわいろをやつて三十五万円ということに判を押したのではないか、けしからぬといつて、罵詈雑言をして四十七万円に更正決定をして帰つたのであります。この野坂事務官のごときは、最も模範的な悪例の一つであると思う。従つて私は、当時監督官並びに監察官に、野坂事務官が扱つた事件を全部調査して国税庁長官の手ともまで送るようにお願いして帰つたのですが、私は野坂事務官のごときは懲戒免職に値すると思うのであります。これに対する長官の御所見を伺いたいと思います。
  37. 平田敬一郎

    平田説明員 今の具体的な人の問題につきましては、さらによく前後の事情並びにとつ措置に関しまして調査いたしまして、善処するつもりであります。
  38. 有田二郎

    有田(二)委員 最後に人事の問題でありますが、これについて一点だけ長官にお願いをしたいのであります。国税庁のあちらこちらに参りまして一番朗らかに感じましたのは、三年ほど前にいわゆる昔の高等文官有資格者というのではなく、無資格者の方ですが、大阪調査査察部長の吉本君が四国の国税局長になり、東京の調査査察部長の石田君が北海道の国税局長になつたということで、税務委員を非常に明るくいたしました。しかもその後絶えざる人事の動きを見ましても、名古屋の国税局の直税部所得税課長の杉山君が金沢国税局の直税部長兼調査査察部長として非常に研究もし、努力もし、非常に成績を上げておられる。こういうように無資格の方でも局長にもなれ、部長にもなれるという道をせつかくお開きになつて徴税事務が非常に明るくなつているのですが、今後ともこういう人事運営の妙を得ていただきたいということを長官にお願いをするのですが、長官の御所見を伺いたいと思います。
  39. 平田敬一郎

    平田説明員 御趣旨同感でありまして、私もそういう考え方で今後とも人事をはかつて参りたいと思つております。
  40. 柴田義男

    ○柴田委員 国税庁長官にお尋ねいたしますが、前の当委員会でも同僚佐々木委員からもいろいろ問題とされたのですが、青森の税務署の署長の問題と、塩竈の税務署の問題、この二つが東北におきまして最も大きな問題として取上げられておつたのであります。われわれはこのたび東北、北海道の国政調査に参りまして、たまたま青森税務署に立ち寄つて調査をして参つたのですが、青森税務署は、御承知の通り六億五千万円くらいの全決定税額であつて、その中三億二千万円という申告源泉徴収がございますから、三億そこそこの徴税をしなければならないという小さな税務署なんであります。この税務署の署長にも会いましたし、職員組合の幹部の数名にも会つて参りましたが、どうもわれわれの観測では、署長の感覚に相当ずれがある。しかも相当年配で、仕事に対しては熱心だというような観点からではございましようが、実際やつておる一々の状況を見ますと、たとえばどの課に入つた文書であつても、決して庶務課を経由せしめない。一切を署長が回付しなければ気が済まない。こういう態度で、税務署に対するいろいろな納税者からの書面等も、一切をあげて署長室へ持つて来させている。こういう現実が一つあるのであります。  それから具体的には、たとえば税務署の署員が遅刻をいたしますると、一分間遅刻をいたしましても大きな小言を言う、あるいは課長などにいたしましても、三分、五分の遅刻に対しましても、非常に聞くに耐えないような小言を言つておる。こういうのが現実の状況なんですが、これに対しまして国税庁は十分御調査が進んでおると思うのですが、仙台の国税局局長から聞きますると、どうも大した問題ではないというように、署長の申告あるいは署長だけを究明いたしました一方的な考え方で終始しておるというようなきらいがございます。国税庁長官といたしまして今後どのよう方針をとられるのか。  同じような問題は塩竈にもございますが、塩竈の問題は、一人の職員が疲労困憊のため列車に触れて死んでしまつたという問題なんですが、これらに対し国税庁はどういう態度で臨んでおられるか、承りたいと思います。
  41. 平田敬一郎

    平田説明員 御指摘の塩竈税務署と青森税務署の署長と職員間の問題につきまして、先般来いろいろ問題がありましたことは、もう柴田委員御承知の通りでございます。こちらにおきましてもその後いろいろ調査いたしておるわけでございますが、どうも青森の場合におきましては、二、三年来青森税務署の秩序が一時乱れまして、その建直しに署長が行きまして、その結果少しどうも普通ならば言わないようなやかましいことを言つて来ているようでございます。その関係からいたしまして、職員との間におもしろくないことができまして、ごたごたがあつたようでございますが、しかしこの問題はその後さらに署長としても反省するところは反省いたしまして、現在のところでは一応話合いと申しますか、現場におきましてはそう大きなトラブルは解消しつつあるよう考えております。私どもといたしましては、こういう問題の場合におきましては署長の立場、職員の立場、それから一方におきましては外部の納税者がどういうふうに考えておられるだろうか、その辺のところもよく見まして、あまり熱いときではなくて、少し模様を見た上で必要な考え方をきめたらどうであろうかということで、目下いろいろなことを調査すると同時に、成行きを見ておるところでございますので、その措置につきましてははなはだ恐縮でございますが、御一任願いたいと思う次第でございます。
  42. 柴田義男

    ○柴田委員 これは私も署長にも会いましたし、職員組合の諸君にも会つて、われわれは単にこの職員組合の立場だけを云々するというものでは決してありませんが、実際署長に会つてみますと、態度といい、あるいは人柄といい、普通の人であります。だけれども、ただいろいろ会話の中に発見されますることは、非常な年輩であつて、今の新しい感覚というものはさらに持つていない。それから新しい職員の仕事に対する考え方というものは残念ながら全然持合せがない、そうとしか判断がつけようがなかつた。人間そのものとしてはまじめな、実直な署長さんだけれども、実際はその職員のやつておること、なすこと、すべてが気に食わぬ。そういう態度からああいう問題が起きたと想像されるのであります。今の新しい職員の仕事に対するいろいろの見方というものがあまりにも相違しておる、こういうところからああいう問題が起きたと思いますので、でき得れば、ああいう問題ができました場合には、やはり人心を一新するというような意味合いにおいても、どこかにこれを転任せしむる。そういたしますることは、かえつて青森税務署全般の明朗なことにもなりましようし、また次の職場を求めました場合には、菅原署長も態度がもつとかわつて来るであろう、こう考えられまするが、そういう御意思はございませんかどうかをお伺いいたします。
  43. 平田敬一郎

    平田説明員 いろいろ問題がありましたので、先ほど申し上げましたように、その後の状況、成行き等をよく見ました上で、できるだけ適当な方法をとりたいと考えておりまするが、現在のところ言明いたすことを差控えたいと存じますので、御了承願いたいと思います。
  44. 千葉三郎

    千葉委員長 山村君。
  45. 山村新治郎

    ○山村委員 各委員の諸君から税務署の個々の国民の不満の声を表明せられておりまするが、実際にこの類例をあげましたならば、おびただしいところ税務署員の横暴あるいは違法等が発見されるのじやないかと私は思います。そこで長官にお尋ねしたい点は、実はこれは税務署の個々の名前は申し上げませんが、ある税務署へ先般こういうことで交渉に参つたことがあるのでございます。それは私の知つておりまするある有力な、しかも相当その市では営業を盛んにやつておる商店の電話が差押えをされた。商店として電話が差押えをされたということになりますと、その商店の信用にもかかわりまするから、私が交渉に行つて、すぐ税金滞納分を払いますから、ひとつこめ電話を何とかしてくれないかという話をしましたところが、それはすでに競売になつておるということを一方的に宣告された。競売になつたといつても、これだけの税金を払うというのにどうして競売にしちやつたのだというような押問答をしましたところが、それではすでに、競売になつているのですが、何とかしましようという係官の話でもつて、たまたま税金を納めたら、競売になつたはずの電話がまた元の持主のところにいつの間にか返つて来てしまつた。こういうところに、私は非常に何か税務署を取巻くところの競売屋のようなものが、その係官となれ合いでもつて、一方においては恐喝、一方においては不当な利益をむさぼるような傾向があるのではないかということを察知したのでございます。その税務署の名前を申し上げると私もあまり小さくなりますから、かんべんしていただきましよう。必要であれば申し上げますが、そういうような事例は、ことによるとおそらく各税務署に頻繁に行われておるのではないかと思うのでございますが、いわゆる税務署お出入りの御用商人といいましようか、競売屋というようなものが、相当固定的になつておると思いますが、この点につきましての長官としての御見解をまず第一に伺いたい。
  46. 平田敬一郎

    平田説明員 お話ような点につきましては、実は二、三年前でしたが、大阪で少し事件がございまして、いろいろ責任者をそれぞれ追究しまして、措置とつたことがございまするが、実はまあ起りがちな弊害でございますので、私どもとしましては、そういうことが起らぬように、監督者並びにいろいろな方面がよく監督いたしまして、不注意を来さぬように、あるいは変なあやまちを起さぬように、あるいはまたはなはだしいのは不正にまで至るようなことがないように、実はいろいろ注意をいたしまして、監督いたしておるところでございます。今お話ような点につきまして、お話の問題がはたしてどういう問題であつたかは、もう少し事実を調べませんと、はたしてなれ合いでやつたのか、あるいはやつたばかりであつたので、納まつたから、便宜取消すことを簡単にやつちまつたのか、その辺の事情はちよつと調査しませんとわかりかねますが、しかしそういつたような弊害が従来でも若干ございましたので、従来も努めて来ましたが、今後ともそういうことがないように、監督を加えて参りたいと、実は監察官等がございまして、そういう場合におきましては、ときどき現在も監察を加えております。その加えた結果、若干遺憾ながら不正が出て来ておる例もあるようでございます。ますます監督を厳重にいたしまして、そういうふうなことがないように、できるだけ努めたいと考えております。
  47. 山村新治郎

    ○山村委員 私のお尋ねしたい点は、個個のそういうたちの悪い役人連中を懲らしめてもらいたいのも一つの国民の声としてのお願いですが、問題は各税務署相当いわゆる御用商人的な競売屋があつて、密接な悪因縁が結ばれているような感じがするのです。これは私のいる前で、電話でもつてすぐ何か競売屋に命令をするようなかつこうでいつの間にか競売をすでに終了したと称する電話が元へ返つてしまつた。競売になつた電話ですから、おそらくこれを落した者は、それに対して幾らか口銭をつけるとか、あるいは幾らかそれに対する手数料でもなければ、落した者はほんとうは返してくれないというのが常識じやないかと思うのですが、その係官がちよつと電話をかけたところが、いつの間にかその競売になつた電話が元へ返つて来るということは、その競売屋自身が他の面においては相当うまい汁を吸つておるか、あるいは実際はなれ合いの競売であつて、実際の競売ではなかつたか、そのどつちかの一つだと私は言わざるを得ないのであります。もし必要でございましたら、公開の席でなくても、別に長官にじかに行つて具体的な問題を申し上げてもよろしいのですが、私の憂うる点は、全国各地の税務署でもつてそういう腐れ縁が相当結ばれておるのじやないか、またその競売屋との腐れ縁がどれくらいあるか、競売屋というものが何人くらい各税務署に巣食つておるかということについての何らの御調査も、まだ長官ところにはないのでございましようか。その点がお尋ねいたしたい点の一点。  なおそれから、そういうように、相当に、さつきからも青森の問題、あるいは有田君等からもいろいろな事例が発表されておりますが、これらの問題は、もう税務署ににらまれるというと今は警察官ににらまれるよりこわいと、いう感じのもとに不問に付されている問題が相当あると思います。あるいはこう言う私自身がそういう問題を相当不問に付している傾きがあるのでありますが、こういう点に関しましてはもしその事実がはつきりと鮮明になりましたあかつきにおきましては、長官としては相当いわゆる信賞必罰的な厳正な処罰をされるお考えがありやいなや、この二点を私はお尋ねいたします。
  48. 平田敬一郎

    平田説明員 競売の関係から起りがちないろいろな業者との関係につきましては、先ほど申し上げましたように、実は前から事件等もありまして非常に注意を加えております。ただ今ここに全国どのくらいの人間がいるか、手元に資料がございませんが、各国税局におきましては相当厳正に監督を加えておるかと思います。しかしそういたしましても、どうしても公売処分をいたしますと、勢い普通の方法では売れませんので、そういう公売専門の落札者が出て来る。ひとり国税だけではなくて市町村あるいは普通の裁判所等の競落物件の入札、そういうことに従事する人々がいるようでございまして、そういう点につきましては平素からよく注意いたしまして、今後とも監督をますます厳重にして、参りたいと思つております。  それからもう一つの点は、その間におきましていろいろ税務官吏がとつた行動に対しましては、もちろん厳重な監督を加えておりまして、私ども国税庁あるいは各局に特に監督官というものもございますので、そういう人々をしまして個別ケースで複雑なものは調べさせております。公売処分に関連しましても、私来ましてから三、四件非常に複雑な事案を監督官をして調査せしめまして、前よりもいい解決をはかつているようでございますが、なおそういう点につきましても一層運用よろしきを得まして、御期待に沿うように努めたいと考えております。
  49. 千葉三郎

    千葉委員長 春日君。
  50. 春日一幸

    ○春日委員 国税庁長官に伺うこともたくさん残つておりますが、時間も大分迫つておりますから、金融問題に入つて長官にも一つ伺いたいことがありますので、まず銀行局の方に質問をいたしたいと思います。  この金融問題の解決は当委員会に課せられておる大きな問題であるのでございまして、先般来本委員会においてこの金融梗塞打開のための議決も行い、さらには五月三十日本会議の議決も行われておるのでありまするが、どうしたことか政府は、その議決された一項目だにこれを実施に移してはいないのでございます。ほとんど破れかぶれになつておるのか、あるいは国民の意思などというようなものは全然認めていないなのか、はなはだもつて理解に苦しむあり方であるのでございまするが、こういうようなさ中においても、われわれはあとう限りの範囲内において、この金融難打開のための方策を講じ進めて参らなければならぬと思うわけでございます。従つてそれらの一つ考え方として、前の大蔵委員会において河野銀行局長に私が質問いたしましたことは、すなわち地方自治団体、公共団体が信用保証協会をつくつておる、ところがこの保証協会の基金なるものが十分ではないので、従つてその地方における資金需要をまかなうほどの信用度を獲得するに至つてはいない。従つてこの信用保証協会の資金力、すなわち保証能力をさらに増大することのだめに、その地方における金融機関からの寄付の受入れをしやすいようにしてはどうか。その方法としては、すなわち法人税法施行規則第八条によるところの、損金に算入することのできるところの寄付団体の指定を行つていただければよろしいわけであるが、それについてこの信用保証協会を法人税法施行規則第八条の指定するところの、すなわち損金算入の適格団体として指定してくれ、このことについてどういう考え方を持つかということであります。現在地方におきまする信用保証協会の基金は、ほとんど公共団体、自治団体が出捐をいたしておるものばかりでございまして、同時にその地方金融機関からも当然協力をせなければなりませんのに、本日まで何ら目ぼしいところの寄付が行われていない、ただ名目的な出捐というような形になつておりまして、公共団体が三億五億という巨額の出捐をいたしておりまするのに、金融機関は百万円とか三百万円とかいう、ほんのおつき合い程度のことしか行われていない。このことを考えてみまするとき、貸倒れになつたならばこれは地方の公共団体が代払いをする、金融機関の損というものは全然ないのである、すなわち利益保証のようなものである。従つてその受益団体として金融機関も相当額の出捐を行つてしかるべきであると私どもは考えるわけでありますけれども、彼らのユダニズムはなかなかそういうような問題について協力をいたして参つておりません。従つて彼らのユダニズムを満たしてやることのためには、当然税金で納めるのでとられてしまうような金なんだから、そんならその金をひとつ保証協会に寄付しようか、こういうようないわゆる法律的な措置を講じてやるということであるならば、私はやがてこの保証協会の基金増大のために好ましい結果が得られるのではないかと考えるのであります。従つて私はこの問題について河野局長質問をいたしましたら、趣旨としては非常に賛成ではあるが、国税庁長官の御意見等もあろうし、いずれ税金収入も相当減少を来すことであろうから、協議の結果ひとつ早急にその点の意見を発表いたしたいということでございました。爾来一箇月を経過し、この重要な問題については、当然両者の間において検討が加えられておると思うのでありますが、この際法人税法第八条の中に指定する団体としてこの保証協会を指定するの意思があるかどうか、できないならばその理由は何であるか、この機会に御意見を承りたいと思うのであります。
  51. 河野通一

    ○河野説明員 お答え申し上げます。お話の点につきましては、先般の大蔵委員会お話がありまして、当時私は私の立場からいたしますならば、そういつた損金算入ということが認められることによつて信用保証協会の出資というものが、つまり損失填補の見返りになるものが樹立されるということは非常にいいことである。しかしながら、これは税法との関係等から主税局ともよく相談してみたいということをお答え申し上げたのであります。爾来この問題につきましては、実はサボつてつたわけではざごいません。たびたび主税局とも検討させたのでございますけれども、いろいろな観点から今にわかに踏切り――踏切りという言葉はあまりよくないかもしれませんが、損金算入をいたすという結論を出すことがまだ税法の建前から決定できないというような主税当局の意向でございました。なお私どもといたしましては、さらにこれらの問題については折衝を続けて、できれば春日さん御指摘よう結論に持つて行けることが望ましいと私は現在でも考えておる次第でございます。なお国税庁長官も参つておりますので、そちらの方からもお話があるかと思います。
  52. 春日一幸

    ○春日委員 私は今の御答弁からそんたくをいたしますと、この問題についてさして深い検討が両者の間になされていないのではないかというかがわれるようなニュアンスがあるのであります。すなわちその場で聞き流しでおいて、そうして下僚どもに折衝させておいて、今質問されてあわてて耳打ちをして持ち越そうというふうに見受けられるのでございまして、こういうようなやり方は、さしも保全経済会の問題を三箇年も捨てておいた河野君においては当然あり得る事柄ではございまして、まことにもつて遺憾千万にたえないと思うものでございます。税金相当収入減になることは当然のことでございますが、しかしそういうようなことは今までずいぶん行政措置として行われておるのでございまして、すなわち私が五月に本会議において提唱いたしましたあの中小企業に対する貸倒れ準備金の損金算入限度率の引上げ、これなんかも相当税金の収入減になるはずだが、しかしながらこれは中小企業に対して金融を幾らかでもプラスすることができるならばという政府の理解によつて、ああいうような行政措置も現実に行われている。同様趣旨にのつとるところのこの信用保証協会に対する寄付金損金算入の問題が、私はできないはずはないと思うわけであります。私はこういうような指定預金の問題を三月以来あなたに強調しているのだけれども、どうしてか、かたくなに心をとざして、全然その措置に出てはおられないのであります。せめて自分の金を預託することができないならば、そういうような行政措置を講じて、中小企業の金融梗塞打開の一助にもなるようなことをやるという気にはなれないのでしようか。私はこの信用保証協会に対する出資を――地方金融機関からどうせ税金に出すのだから、じやこれをひとつ、この地域内に保留して、そうして保証協会の信用増強のために資するところがあるならばというので、いわば一〇〇%免税したところで、法人税は四二%課せられるわけだから、寄付者には結局はその半額近い負担が加わるだけなんです。いずれにしてもこういうような問題は、少くとも一箇月間の長い時間の間において、当然これに対して何らかの深い検討が行われて、そうしてかりにどの程度の税の収入減になるのか、あるいはどういう理由によつてそういうことが行きはばまれておるのであるか、せめてそういうような理由ぐらいはあなた方からこの機会に明確に御答弁を願い、そうしてわれわれがさらにその御答弁の上に立つて検討を進めたいと私は考えたのです。こころがあなたの御答弁によると、下僚どもに相談をさしたのだが、何となく今踏み切れない、そんなばかな答弁はあるものではないのであります。一体国会におけるわれわれの言論というものに対して、あなたはもう少し真剣に考えてもらわなければならぬ。われわれは伊藤斗福ではないのだから、もう少しわれわれの主張に対しては真剣に言論を尊重して、その必要な責任者と十分その意見の調整をはかり、資料の上に立つて、できることならばできる、できないならばこういうようなわけでできない、そういうことをはつきりしてもらわなければならぬ。何となく踏み切れないというようなばかなことでは、われわれは承知できません。われわれはセンチメンタルな女学生に対するような答弁では承服できない。
  53. 河野通一

    ○河野説明員 おしかりを受けたのでありますが、私どもはこの問題の放置をいたしておつたわけではございません。しかし税の立場からこれらの問題を判断せられるにあたりましては、そう簡単には処置ができないという点は、私は立場をかえて言えばもつともだと思うのであります。   〔委員長退席、黒金委員長代理着席〕 たとえばこの信用保証協会の出資の性質というものが、一体どういうものであるか、普通のいろいろな団体等に寄付をして、そのままそれがなくなつてしまうような金であるかどうか、こういうものであれば、あるいは税法上それが公益的目的である限りにおいては、損金算入が許されるということがあろうかと思うのでありますが、信用保証協会に対する出資、あるいは寄付金といたしますか、そういつたものが必ずしも普通のように消費されてしまうものでは実はない。それはどういう形で将来金融機関にもどつて来るかという問題は、それは必ずしもはつきりいたしておりますまいが、それが出しつばなしで消えてしまうものとも考える必要はないという意見もあるようであります。それらの点につきまして、さらに私どもといたしましては研究を続けて参りたいと考えておるのであります。お話ように、こんな問題を一月も二月もかかつてなお結論が出ないでどうするのだというおしかりはまことにごもつともだと思いますけれども、私どもといたしましては、さらに今お話の点についての未解決の点を促進いたしまして、できるだけ御要望の点に沿うように努力いたしたい、かよう考えておる次第であります。
  54. 春日一幸

    ○春日委員 それではこの問題は早急にひとつ結論を得られることによりまして、できるものならば実施してもらう、できないものならばそのできない理由を明示していただいて、その理由の上に立つてさらに検討を進めて行くことにいたしたいと思います。  それからさらに外国為替銀行法によりまして、今回いよいよ外国為替の専門銀行として新しくスタートされました東京銀行について、二、三の問題についてお伺いをいたしたいと思うのであります。これは今まで単なる商業銀行として、きわめて自由な立場にあられたと思うのでございますが、今度は外国為替銀行法によつてそれぞれその監督を受け、この法律に基いて運営をされて行くという意味におきまして、いずれにしてもその業務の公共性は一段と増大されたのではないかと思うのでございます。そこでお伺いをいたしたいことは、私どもがこの法律を審議いたしておりまする過程において最も心配をいたしましたことは、こういうような輸出入為替の操作されておる現段階において、さらには貿易資金の調弁されておる現状のもとにおいて、ここに東京銀行が為替専門銀行としてその大転換をされるにあたつては、どのようにしてこの為替資金を集めて行かれるのであるか、さらにはまた輸出入に伴うところの貿易金融と、それから特に輸出の場合、その生産資金、産業資金、これはある意味において貿易資金とは一段とまた別の意味を持つ産業資金である。こういうような円資金を弁じて行く上においてどういう方法をとられるであろうかということは、特に私どもが心配をいたした事柄であつたのでございます。その心配をいたしておりましたのは、現在政府並びに日銀その他が持つておりますところの外貨は、その大多数のものは外国銀行に預託されておるということ、これも早急に奪還をして、この法律に基くところの為替専門銀行相当額の外貨を自分の手に握つて、為秘銀行としてのすべり出しをするのでなければ、実際的にはたいへんその運営に支障を来すのではないかということを心配をいたしましたし、さらに今まで東京銀行の傘下に幾多の輸出業者があり、しかもそれらはそれぞれの円資金を東京銀行から供給を受けておつたのだが、しかし今回為外専門銀行に転向するにあたつては、相当の営業設備の譲渡、閉鎖、こういうようなものが行われ、円資金の東京銀行が持つておる量の相当の減少を来すであろう。そういうような場合、東京銀行にもつぱら依存をしておつたところの商社、こういうようなものがたちまち円資金の供与を受ける立場において支障を来すのではないか。そのことが関係輸出業者に対して大きな衝撃を与える結果になりはしないか。こういうことを案じておつたのでございますが、これらの二つの問題が八月一日にスタートされた現在、まだ的確な処置は完了されていないのでありましいうが、どういうような方向に向つて進みつつあるのであるか、大体の概要について、この際お知らせをいただきたいと思います。
  55. 太田輝夫

    太田参考人 お答え申し上げます。ただいまのお説の通り、今般東京銀行が為替専門銀行になりまして、貿易金融を主として円滑にやつて行くためには、御説の通り相当量の円資金と外貨資金が必要なことは、申すまでもないのであります。但しこの問題につきましては、この経過において一般市中銀行から非常に反対があつたことは、御承知の通りであります。東京銀行にそういう円資金を供給し、外貨資金を供給しては、強力になり過ぎはしないかというような反対がございまして、大蔵当局もその点は非常に苦しい立場にお立ちになつようであります。しかし幸い国会の皆様が御理解ある附帯決議をしてくださいまして、できるだけ豊富に円資金を提供するように、また外貨資金の面でもできるだけ便宜を与えるという御理解ある附帯決議を得ましたので、市中銀行に対する大蔵省の、東京銀行にはそういう特別の円資金を与えないというお立場も非常に緩和されたのであるというふうに私どもは感じておるのであります。幸い今回日本銀行から二見さんが頭取として参りましたし、吉岡君が常務として参りましたので、日本銀行もこの問題については漸次お考えをくださるものと期待をしております。ただいまのところは円資金につきましては、そう簡単には参らない。極力資金を増強するように各店に指令して努力しておるわけであります。  次に外貨面におきましては、御承知のように、従来政府の余剰資金は主として全部外国銀行に預託されておるわけでありまして、輸入その他に必要な資金は、その都度日本側の為林銀行に渡されたわけであります。今般東京銀行が為替専門銀行になりました以上は、少くとも外国為替銀行並に日本政府の余剰外貨を預ける銀行、つまり英語でデポジット・バンク、これに指定していただくように大蔵省にお願いをしておりまして、大体御了承願えるくらいにまで参つておりますので、遠からず外銀並に東京銀行もデポジット・バンクとしてある程度の自由な預託資金をいただける段階になつたのであります。まず外貨面でその余裕がつきまして、さらに漸次円資金も何らかの方法によつて御考慮いただけるならば、その運営はきわめて円滑に行くであろうと期待しております。  さらに国内店二十一箇店を他行へ譲渡いたしました結果、円資金の圧迫が起るのではないかという御質問がございましたけれども、これは幸いに譲渡いたしました五つの銀行、第一銀行、三井銀行、大和銀行、京都銀行、大分銀行、非常に深い理解のもとにこの二十一箇店はいずれも預金超過でございまして、貸出しより預金が余つて、それだけ本部に回金されておつた。その回金分については、一箇年間一銭六厘の低利で東京銀行へすえ置いて預けるという了解ができましたので、この面からの圧迫は全然ございません。御安心いただきたいと思います。
  56. 春日一幸

    ○春日委員 それでは重ねてお伺いをいたしますが、すなわちわれわれが案じておりましたところのドル資金並びに円資金、これは大蔵省と銀行との交渉によつて、最近政府からデポジツトを受ける見通しが立つたとのことでありますが、その金額並びに政府からデポジットを受けるというのはどの金からどの程度の金額をデポジットを受ける予定であるか、その額並びに時期をひとつ河野銀行局長から御答弁を願います。
  57. 河野通一

    ○河野説明員 政府の持つております外貨を東京銀行に預託いたしますることは、現在でも実はやつておるわけであります。これを新しく専門銀行として発足いたしますのに応じまして、これは前国会中にもたびたび申し上げましたように、専門銀行に対して預託外貨の量を徹底的にふやして行くという考え方を申し上げた通りでありますが、その考え方に進んで、現在具体的に検討を続けております。量等につきましては、相当多額にこれを増加いたしたいと思いますが、さらにしばらく検討を続けて行きたいと思つております。それから方法は、これは先ほど太田さんからデポジツト・バンクになるというお話でありましたが、これは方法としてはいろいろな方法がありますので、これらの問題はごく技術的な問題にもなりますから、一番適当な方法をとりたいと考えておりますが、少くとも政府の持つております外貨を直接にデポジットすることについては間違いございません。
  58. 春日一幸

    ○春日委員 円資金については……。
  59. 河野通一

    ○河野説明員 円資金の問題につきましても、先般の国会中に申し上げました通り、専門銀行に対して特に、たとえば金利上とかその他の点において特に低利のものを出すということはいろいろ御要望もあつたのでありますけれども、この点はもうしばらく考えさしていただきたい。しかしながら量的には十分に必要とする貿易金融のための円資金の裏づけはいたして行きたいという考え方に立つて、現在それぞれの方面で折衝は続けられております。私どもも側面的にこれらの点についての応援はいたして参りたいと考えておる次第であります。
  60. 春日一幸

    ○春日委員 内地金融機関に対する政府の指定預金の問題は、先般来本委員会でも本会議においてもしばしば論及されておるわけでございまして、ここに貿易生産を調弁することのための円資金の政府預託というのが、東京銀行に対して別途行われんとしておる事柄は一つの新しいニュースではないかと思うわけであります。従つてその額がどの程度、またいつごろ行われるのであるか、この問題はわれわれが金融難を打開することのために別途政府の指定預金、新規預託の問題をずいぶん強調いたしております、この事柄と関連をいたしますので、東京銀行に円資金をいつごろ、どの程度預託をせんと政府は考えておるか、この点を今明らかにしておいていただきたい。
  61. 河野通一

    ○河野説明員 ちよつと誤解がおありになるようでありますからお断り申しておきますが、私は政府資金の預託ということを申し上げたのは、外貨の面における預託のことを申し上げたのであります。東京銀行に対して政府の余裕金を円資金として預託をいたす考えは現在のところつておりません。円資金の面におきましてはできるだけ正常のルート、つまり日本銀行との取引を通じてこれらの問題の処置をはかつて行きたい。外貨の面におきましては、先ほど申し上げましたように預託という制度をとつて参りたい、かよう考えておる次第であります。
  62. 春日一幸

    ○春日委員 そういたしますと、結局日本銀行から借入れという形に相なつて参るでありましようが、それにいたしましても、これは従来東京銀行が日銀に対して持つておる実績をはるかに越えたものがやはり日銀によつて考慮されなければ、為替銀行としてスタートをしたところの使命を達成いたしがたいと私は思うのでありますが、それは政府のあつせんにおいて日銀とどの程度の交渉がなされつつあるものであるか、その見通しについてお伺いをいたしたいのであります。
  63. 太田輝夫

    太田参考人 ただいまのところは、今銀行局長のおつしやいましたように、特別の資金を受けるということはできないと考えております。現在行われております方法で量的にふやしてもらいたい。それを換言いたしますと、従来は普通銀行で、ございましたために、たとえば私の方の預金が七百億程度、そうしますと、日本銀行としては三百億を越える貸出しは、いかに担保があろうとも、それが輸出入関係金融であろうとも、あまりに預金額に比して多くなるから困るということを言われております。今後は正常な取引の裏づけがありますならば、つまり日本銀行へ持ち込みます担保がありますならば、かつそれが貿易関係のものでありますならば、日本銀行は預金が七百億だからこれ以上はいかぬというようなことは今後は申されないはずであります。さしあたつては、このライン程度で行くよりほかないのではないかと思います。漸次研究をいたしまして、いろいろ折衝いたしたいと思います。
  64. 春日一幸

    ○春日委員 それではさらに問題を進めまして、今回あなたの方に長くめんどうを見てもらつて参りましたところの二十一支店の傘下にありましたいろいろな企業体、これが今回のあなたの方の転換によりまして結局は五大銀行に振りかえられてしまうという形に相なると思うわけであります。そういたしますと、従来この二十一店舗の傘下にあるところの企業体は、あなたの方とは非常に深いつながりがあるでありましようけれども、しかしながら、今回新たにそれを継承したところの五つの金融機関とはいわば因縁が浅い。従つてこの際その内容のいいものは継承した金融機関が当然これのめんどうを見て行くでありましようけれども、中には内容の悪いのがある。悪いのはてんで悪いというのではなく、生きるか死ぬかというすれすれのものがある。これは当然いろいろの金融機関がてこを加えて、そうして悪いときには銀行が援助して健全になつて、またそれを返したり何かして経営が保たれて参つておると思うのでありますが、しかしこの二十一店舗の傘下の企業体は、悪いやつは今度何の情実も、何のつながりもないから、切り捨てられてしまうのではないかと心配をいたすわけであります。こういうような事柄もありまするし、さらには今回あなたの方が為替専門銀行に転換されて、今までのような立場と本質的に異なつた立場に置かれることによつて、いいものは当然継承して東京銀行でめんどうを見て参られるでありましようが、しかしながらそのいいか悪いかすれすれのもの、むしろ悪い方、今までならばこれもめんどうを見て行こうと考えられていたかもしれないところの企業体が、今回為替専門銀行に転換されるにあたつて、悪いものは全部切つてしまうのだということで、無情のなたを振われるというような場合もないわけではないと私は考えるわけでありますが、どうかそういうような面に対しても十分ひとつ配慮をいたされたい。現在ただでさえ中小企業者は金融難で生きる死ぬのせとぎわにあるわけであります。あなたの方は十一大銀行一つとして傘下の何千かの企業体をめんどう見ていらつしやる。その中の半分近いところのものが、今回あなたの方の転換によつてそういうような危険な関頭にさらされているということを私はおもんばかるわけでありますが、こういうような企業体に対して、大体継承銀行にどういうような申継ぎがされているか。あるいはその上に、あなたの方に引継がれないところの今までの企業体でありまして、今回転換に伴つて悪いものは全部切り捨ててしまうのだというようなことが行われているかのごときいろいろのうわさがあるのでありますが、そういうような面については実際的にどういう処理が行われているか、この機会に伺つておきたいと思うのであります。
  65. 太田輝夫

    太田参考人 ただいまのお話は、東京銀行の転換が確定いたします前からすでに取引先には非常に不安動揺を与えた問題であります。もちろん私たちといたしましても、この転換のために取引先に対して非常な迷惑をかけることがあつてはならないと思いまして、十分注意をいたしたわけであります。それで、今般譲渡いたします二十一箇店の貸出しにつきましては、一本々々につきまして相手先銀行と打合したわけであります。そして全般といたしまして非常に感心をされたわけであります。東京銀行の貸出しは思つたよりも非常に健全であるということを引取先銀行の方で言つてくれまして、私の方は安心したのであります。一本々々当りまして、あちらさんがこれならば企業体として成り立つ、りつぱに東京銀行以上にめんどうを見て行けるという先は安心して渡したわけであります。これらの取引先は非常に満足し、安心せられたわけであります。ただ貸出しの約五%程度は引取先銀行におきまして、どうもこれは引取りにくいと言われるものが発生いたしました。これまたまことにやむを得ない次第でございます。これらの取引先につきましては、残存のもよりの店舗へ引継ぎまして、それでそのうち貿易関係のものはもちろんずつと当行としてめんどうを見て行けるわけでございますが、貿易に全然関係のない取引先につきましては、今後三年間以内私どもとしてできるだけのごめんどうを見て、すみやかに健全な状態にもどした上で、ほかのしかるべき銀行へ漸次お譲りして行きたい、こういう方針でやつております。
  66. 春日一幸

    ○春日委員 大体わかりました。ついででありますからこの機会にさらに伺つておきたいのでありますが、あなたの方の銀行は、今度はこの法律によりましてとにもかくにもその公共性というものが今までより何十倍か附加されており、従つてあなたの方の運営こそは、国民が特に注意をしてこれを見つめておると思うのであります。そこで私がお伺いしたいことは、ここに昭和二十九年の二月の公正取引委員会の十一大銀行における集中融資の状況調査がありますが、これによつて報告されておるところによりますと、あなたの方は兼松一社に対しまして、実に六十四億八千八百万円という集中融資を行つておる。あなたの方は資本金が――これは資本金、資本剰余、その他繰越し、貸倒れ準備金一切を合計して自己資金と仮称いたしましても、四十四億四千万円しかない。四十四億四千万円の自己資本のものが兼松一社に対して六十四億八千八百万円という集中融資を行つておる。このことはわれわれとしてはなはだ解しがたい事柄でなければならぬ。これは一体どうしてこういうようなばかげた集中融資が行われたのであるか、この一点をお伺いをいたしたいと思うわけであります。  なお、この調査報告は勇名融資ばかりが計上されておると思いますが、このほかに商手割引その他のものがいろいろあると思いますが、兼松一社に対して一体このほかにどの程度の商手割引がなされておるのであるか、単名プラス商手、つまりこの六十四億八千八百万円に両手を加えて総額どの程度のものであるか、まずこの機会にその点をひとつつておきたいと思います。
  67. 太田輝夫

    太田参考人 最初にただいまの数字は本行の全与信総額であるということであります。私はその資料を持つておりませんから何でございますが、私の方の数字からいたしますと、それは与信総額に当るわけであります。現在はそれから約八億ほど減少いたして、五十四億四千八百万円に減少いたしております。兼松につきましては、正金銀行を通じて東京銀行との関係は六十年の長きにわたつておりまして、発祥当時から正金銀行が今日まで営々として育成をしたわが国一流の貿易商社の一つであります。特に兼松は、ほかの大商社の日綿その他との非常に大きな取引もございますが、ほかの商社は他銀行相当つておりますので、本行の与信額はそれほど大きくなつておりませんが、兼松は本行一行が大部分めんどうを見ている関係上、与信額が非常にふえておるのであります。特に兼松はわが国で第一番の羊毛輸入業者であり、かつ食糧輸入におきましても毎月第一あるいは第二の実績を持つておるわけであります。羊毛の金融につきましては御承知と存じますが、非常に長期を要するわけであります。輸入信用状を発行してから回収まで大体半年以上かかるわけであります。かつ食糧は非常に金額がかさむのであります。小麦、大麦、米、船一ぱい入れまして約百万ドルないし百五十万ドル、三億五千万円ないし五億円を要するわけであります。そういう輸入関係に重点を置いておる商社でありますだけに、与信額は増大せざるを得ないというわけでもります。特に二、三年前の新三品時代に非常に輸入がございました関係で、さつき出ております数字は最高の与信額を示したわけであります。御指摘通り、現在本行の自己資本の五〇%、これは二十五億六千万円でありますが、これをはるかに上まわる数字になつておりますので、極力圧縮をはかりまして、ただいま申し上げましたように、たとえば五十五億まで圧縮いたしており、さらにもう一度圧縮するつもりでおります。しかし本行の資本も今般の改組によりまして遠からず三十六億に増大して、この比率もかわつて参るわけでありますから、できるだけすみやかに自己資本の五〇%以内に圧縮したい、来年の秋には大体そのラインまで持つて行けるという方針でただいまやつております。
  68. 春日一幸

    ○春日委員 この集中融資の問題は、預金者の安全、金融の公共性、こういうような立場から、さきには河野銀行局長から五〇%を越える集中融資は好ましくないというような通牒も発せられておると思うのであります。しかし少くともわれわれとしてはなまぬるいと思つておる。こういう五〇%を越えるというような集中融資を規制するという金融規則はどこにもない。アメリカでも一〇%というのが大体銀行法によつての集中融資の規制限度になつておるそうであります。私は五〇%は、これは集中融資そのものであるというふうに指摘しておつたのでございますが、銀行局長がいわば規制したところの通達を越えて、百パーセント融資するなどということは、これは東京銀行としてはなはだけしからぬ。だれだつてそのような集中融資を受ければ兼松でなくつたつて日本一の貿易商社に育成できますよ。あなたの方の株主は兼松を育成してもらうためにそういう出資をしていないかもしれない、またあなたの預金者の金、日本銀行から借り出されておる金は、兼松のためばかりでなく、すべての企業へ行くということを対象に出されておる。しこうしてその金が一方的なあなた方の独断によつて、明治以来六十何年の貿易商社だから注ぎ込むべきだと言われてどんどん注ぎ込んで行けば、銀行局長の通達も一片のほごではないか。のみならず金融の公共性もない。他の企業体が資金不足のために困つておる。ずいぶんあなたの方に金を貸してくれと言つて来るだろう。それをあなたの方は兼松ばかりでなく、岩井、伊藤忠、日綿、こういう関連の企業体に対して、ほとんど集中融資が行われておる。従つてあなたの方は他の産業に対して金を借そうにも、集中融資のために貸すことができない。あなたに伺いたいのは、銀行局長の通達に沿うだけの運営をなぜやつて行けないのか。しかもそのようなふらちきわまる金融機関を為替銀行に指定するというのはけしからぬ、こういう方法で今後も東京銀行運営がなされて行くというならば、われわれはこの国の法律を審議した立場において重大な責任を感じなければならない。あなたは、五十億円の集中融資をして、それでさしつかえないと考えておられたようだが、今後その方針でやつて行かれるのかどうか、この機会にもう一回伺いたい。
  69. 太田輝夫

    太田参考人 先ほど申し上げましたように、私どもといたしましては、これが多過ぎることは銀行局長通達をまつまでもなく感じておりまして、極力圧縮をはかつております。先ほどの数字よりすでに十億近くの縮小を見て、今後も引締めを続行して過度の集中融資はできるだけ回避したいと思つております。しかし兼松も、ただいま御指摘のごとく、伊藤忠、岩井、日綿と申しますようところは、三井物産、三菱商事がなくなりました後のわが国の最上級の貿易商社でありますし、東京銀行は正金銀行以来どうしても貿易金融に重点を置いてやつて参りました関係上、こういう一流商社の貿易金融に対しまして融資が増大することはやむを得ない点があるので、その点は御了承いただきたいのであります。ここいらが非常に大きな日本貿易のパーセンテージを占めているようであります。御参考までに申し上げますと、私の方は資本金一千万円以上の取引先が九百八十五社、三百万円以上一千万円以下の商社が五百七十一社、三百万円以下の商社が三千五百三十社でありまして、決して集中ばかりしているわけではないのであります。三百万円以下の取引先の数が六九・四%を占めております。一千万円以上の商社というものは九百八十五社で、数において一九・四%であります。決してここにばかり集中して他を顧みないということはないので、その点は御了承いただきたいと思います。
  70. 春日一幸

    ○春日委員 時間も十二時半で、太田さんとのお約束の時間でありますから、私は結論に入りますが、いずれにしても今回あなたの方はこの法律に基くところ銀行になられたわけです。今までのよう考え方でおやりを願うとするならば、少くとも現在の重役陣は全部更迭を願わなければならぬと思う。兼松だろうと、第一通商だろうと、だれだろうと、歴史が古いから、日本の代表商社だからということで――これはひとりあなたの東京銀行ばかりではない。三和、第一、富士、協和、すべての銀行からそういうような金を大体において受けておるわけだ。従つてそういうような各金融機関から集中融資を受ければ、その会社は栄えて行く。けれども他の何百かの会社は枯れて行く。独占禁止法という経済憲章が日本にあります限りは、お互いが全面的に同時に栄えて行く、すなわち優勝劣敗という形で、お互いの自由競争で、特定のハンデーをつけたり特定の情実によつて一つだけを生かして一つを殺すというような、そういうばかげた金融政策ではなくして、お互いに全面的に栄えて行けるという経済憲章、独占禁止法の精神を生かして金融をやつてもらわなければならぬ。そういう意味合いにおいて、われわれは過ぐる十九国会において銀行法の一部改正法律案を出して、そういうばかげた融資を法律によつて禁止して、そういう集中融資を行う銀行屋どもを一年以下の懲役に処そうとしておるわけである。  そこで私はこの際委員会にお諮りをして、資料の提出を政府当局に求めたいと思うのでありますが、昭和二十八年度の銀行局年報によれば、貸付額が銀行の自己資本に対して一〇%を越えるもの全貸出しの三〇%、しかして上述のパーセンテージが二五%を越えるものが一七%といわれておる。そういたしますと、年間の総貸出し金額は二兆五千億ないし二兆七千億といたしますならば、このパーセンテージから推算いたしますと、九千五百億円余のものがこの集中融資、偏向融資によつて聹断されておる。従つてわれわれは、ここにわずか百億や五百億の政府指定預金を河野さんがどうだこうだと言つておるよりも、この銀行法を改正して、この集中融資を法律で規制すれば、中小企業並びに一般産業の金融梗塞打開の法律措置ができるのではないかと考えるわけです、今ここに公正取引委員会が出しておりますところの集中融資の大体の実情というものは、これは公正取引委員会の能力の限界である、単なる単名手形の分しか報告されていない。われわれは集中融資の全貌を明らかと見るためには、やはり単名手形、商手割引、その他一切の受信行為の総額を個々の企業について調査しなければならぬと思う。なお私どもの提出いたしました銀行法の改正法律案は継続審議になつておりまして、休会中も継続審議をしなければならぬ。この法律を審議する上において必要な重大資料といたしまして、政府当局に次の資料の提出を求めたい。すなわち現在における十一大銀行について、その集中融資の状況、これをひとつ銀行の自己資本の一〇%を越えるもの全部について御調査の上、次の本大蔵委員会に御提出を願いたい。そして偏向融資と集中融資がどういう形において行われており、なお現在の金融無政府状態と非難されておるところのわが国金融制度をどういうぐあいに規制して行くかということについて、的確なる判断の資料としたいと思いますので、ただいま申しました資料の御提出を願うよう動議を提出いたします。
  71. 太田輝夫

    太田参考人 ただいま大貿易商社に融資が偏向しているような御避難を受けましたが、私どもは決して中小業者をボイコットするわけではないのでありまして、国内業務と国際業務はちよつと違うという点も御了解おき願いたいのです。これらの商社は、社員をアフリカでもどこでも送りまして、その社員が未開の土地に入りまして商売をとるのであります。日本としてはどうしても輸出を伸ばさなければならない現状でありますから、大貿易商社がそういう人を出すことのできるという特典もございますけれども、とつて来た商売に対してはわれわれは援助しなければならぬ、それは結局国のためになる、従いまして、これらの商社の融資がふえる、それを通じてまた中小の下の下請の方も栄えるということもございますから、その点もひとつ考えおき願いたいと思います。
  72. 春日一幸

    ○春日委員 いずれにいたしましても、本委員会に付託されて継続審議になつております銀行法改正法律案を審議いたしますためにも、現在の十一大銀行の融資がどういうぐあいに行われているか、その真相を調査しなければなりません。従つてただいま申し上げました資料を次の大蔵委員会までに御提出をいただく動議を提出いたしておりますから、お諮りを願つて、御決定願いたいと思う。  質問はこれで終ります。
  73. 黒金泰美

    ○黒金委員長代理 ただいまの動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  74. 黒金泰美

    ○黒金委員長代理 では委員長においてそのようにとりはからいます。  ちよつと委員会の開会についてお諮り申し上げます。今月はきよう十日と明十一日の二日にわたりまして委員会を開催する予定の旨を先日各委員に御通知いたしましたが、なお明後十二日午前十時から補助金等にかかる予算適正化に関する調査委員会を開催いたしたいと存じます。この点御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  75. 黒金泰美

    ○黒金委員長代理 御異議ないようでありますから、さよう決定いたします。  なおこの際参考人に一言お礼を申し上げたいと存じます。本日は御多忙中にかかわらず、酷暑の中を長時間にわたり当委員会に御出席をいただき、忌憚のない御意をお述べいただきましたことは、当委員会審査の上にたいへんに参考になりました。ここに厚くお礼を申し上げます。  本日はこれをもつて散会いたします。    午後零時三十四分散会