○山本(勝)
委員 大蔵大臣、
国税庁長官のどちらからでもけつこうですけれ
ども、実は
徴税上のいろいろなトラブルが毎年々々繰返されているけれ
ども、次第に
税務行政というものが改善されたことば認めます。しかしどうも
国税局の方では、青色
申告というものに非常な期待を持
つてお
つて、できるだけ青色
申告をや
つてもら
つて行けば、この問題は大体解決するのだ。こういうふうに、ひどく青色
申告に期待をかけておられるように見えるのですけれ
ども、私は青色
申告はもちろんけつこうだと思います。これはだんだんふえて行くように
努力しなければなりませんけれ
ども、これが徹底すれば解決できるのだというふうに簡単に
考えられない点があるのです。それは結局青色
申告をやりましても、必要
経費というものをどういうふうな計算でどこまで認めて行くかということです。この点について私は再検討しなければ、青色
申告をやりましても牛はり問題が残
つて、結局幾らかはトラブルは少くなりましようが、最後は本人は脅迫ではありませんけれ
ども、もう泣寝入りにな
つて行くということで不満は鬱積して来る。それでいろいろ今度の医者の例の問題に関連して、かなり方々の
税務署を歩いてみた、また医者の実態を調べてみて感じた、それで申し上げるのでありますが、元来戦争で非常に日本は蓄積を消耗した、また敗戦によ
つて領土も四割五分も失
つた、そういうふうに非常な蓄積を失い、領土を失
つた日本が、消費水準だけが戦前の最高水準をはるかに越えておるということ、まあ奇異なる現象でありますけれ
ども、この奇異なる現象がどうして可能にな
つておるかという根本問題を
考えて行きます~、結局これは外国の援助と資本の食いつぶした、外国の援助と資本の食いつぶしによ
つた、こういうふうに見るよりほかはない。そうでなければ、富の厖大な蓄積を消耗し、領土の半分近くも失
つておいて、そうして消費水津だけが戦前の最高水準、
昭和九年ないし十一年の最高水準をはるかに突破して行
つておるわけです。それで外国援助の問題はしばらくおきまして、資本の食いつぶしの問題でありますが、個人の営業とか個人の生活を見ておりましても、結局家屋の償却、家財道具の償却というふうなものはほとんど度外視して、その日の生活を続けておるのが私は
実情だと思う。例外はあります。それは会社は御承知の通り資産を過小に評価し、利益を過大に評価して、そうして配当に充て、賃金に充て、また社用族の費用に充てておる。こういうつまり個人も会社もそういう
実情で、結局資産、資本の償却というものをしないで食いつぶして行
つておる。それはたけのこ生活という、そこらで着物や道具を売
つておるということは最近なくなりましたけれ
ども、しかし家屋その他のかなり恒久的なものの償却というふうなものはほとんど無視されておる。個人も会社もそうです。しかもそういう個人や会社から国家が
税金をと
つて――
税金の種類にもよりますが、
所得ありとして
税金をと
つてや
つて行
つておるという
事態は、国家の財政そのものも資本の食いつぶしの土にささえられておると言
つても過言ではない。全部が全部じやございません。少くとも会社の資本の食いつぶしの上に利益を出して、その利益を前提として
税金をと
つて国家財政をささえて行くということになれば、国家自身が会社の要するに資本の食いつぶしの上に立
つておると言えないことはない。個人営業についても同様だと私は見ておる。ですから
ほんとうに日本の自立経済を達成するという大蔵大臣のねらいから申しますと、一足飛びに完全な資本償却というものを見て、その上に財政を立
つて行くということは不可能でありましようけれ
ども、少くともどのくらい
ほんとうに個人も会社も十分に資本償却をして行
つた場合にはどれくらいの
税金、財政はどの程度になるかということを私は知
つておく必要があると思う。そうでないと、今度の医者の問題などでも、
国税局の方の計算から見ると五割五分ないし六割五分くらいの
所得があるのだ、これは五、六百軒について実態
調査をした結果は
所得率はどのくらいあるのだと、こういうふうに出て来ておる。ところが私が実際に調べてみますと、これは地方の郡部の個人医者の場合ですけれ
ども、これまでの三割ですらも実は高過ぎる、これはうそを言
つておるのでもかけひきを言
つておるのでもない、実際高過ぎる、医者自身の直感でだんだんと自分の地位が落ちて行く、資産が消耗して行くということを感じておる場合に、
税務署の方では、そうではなくして三割などというものは安過ぎるのであ
つて、五割か六割にすべきだ、こういうふうな見解の相違がどこから出て来るかというと、私は必要
経費というものの見方から来ておると思う。ですから地方の
税務署員としては
国税局から通達されたものによ
つてや
つておる。だから必要
経費の見方、この点に再検討を加えて通達でも出さないと、青色
申告をやりましてもやはり問題は残る。だからむしろ帳面などない場合に、昔の
所得税の
調査委員、こういうふうなものを考慮する余地はないのか、そういう気持はないかということを伺
つておきたいのです。つまり二点でありますが、
経費の
調査について、これまでいろいろ償却ついてはこういうふうにしろ、ああいうふうにしろと通達を出しておりますが、それではとうてい私は
ほんとうの償却はできないと思う。それを検討することと、それから
所得の
調査委員、これで補
つて行くのが日本の
実情であるのではないか。