○春日
委員 火災保険
会社といたしましても、おそらくは戦況が拡大されて参りますれば、それぞれ空襲を受けて相当の被害を生ずるということは当然
考えるのでございましよう。従いまして、そういう大損害を受けたときには、一社の資力をも
つてしては
支払い能力を欠くに至るであろう。そのことのためにこの戦時特殊損害保険法という
法律ができた。この
法律ができた以上は、火災保険
会社がその
法律の保護を受けないで、みずから進んでその裸保険の危険を負うということはあり得ないと私は思う。相当あ
つた、こう言われるからには——あなたは当時からこういう方面の
権威者であられますから、われわれしろうとがとかく批判的なことを申し上げても
権威がないかもしれませんが、常識的に
考えられないことでありますので、これは資料として御提出をしていただきたいと思います。
さらに私がこの機会に申し上げたいことは、この保険というものはなるほどその一年々々の契約ではあるが、しかし実質的にはこれは継続的な事柄であります。期限が到来すればあらためてその点を——まあ
会社はかわるといたしましても、いずれにしてもその保険をかけて行く。
従つてこのことは全国にある
ところの十八社か十九社かの全体的な責任、すなわちプール計算においてやはり物事は判断をしてさしつかえない問題だと思うわけであります。保険事業というものが日本にできましてから何十年——おそらくは火災というものは五十年に一ぺんか、統計によりますと七年に一ぺん、一生のうちに一回か二回しかそういう災害にはかからないけれ
ども、そのときのために年々歳々火災保険
会社に被保険者は金を
払つておるのです。従いましその戦争のときに、今こそ長年かけて来たこの保険料が生きてみずからに返
つて来るという期待のもとに、さらに高い料率をも被保険者は意に解さないで、この戦時特殊損害保険というものにかか
つてお
つたと思う。従いましてその
法律の正面からの判断によりますると、なるほど国営保険でありますから、保険
会社がそれに責任を負わないというような一応の形態にはな
つておりましようけれ
ども、その実質は、すなわちその保険
会社がずつと過去何十年かにわた
つて上げて来た
ところの
利益に対して、何らかの寄与をなさなければならないということは、道義上から
考えてみても私は当然
考えられることであろうと思うのであります。私もちよつとは調べてみたのだが、
法律の
建前からは、なるほど国がや
つたのだから損失があ
つた場合には国が補償し、
利益があ
つた場合には国へ出すという一応の形にはな
つておりますけれ
ども、しかしこの火災保険料と火災保険事業というものは、これは百パーセントが戦時特殊損害保険料ではなか
つたわけなのです。普通の火災保険料。プラス戦時保険の料率が加わ
つてこういう形にな
つております。従いましてその火災保険料の
一定歩合のものは、保険
会社が自分の事業収益として加えるわけでありまして、
従つてこれが
打切られたことによ
つてはなはだしき
利益を得ておるものは、これは
一つは国であり、
一つは保険
会社でなければならぬ。しかもその保険
会社が全
財産を継承して今日隆々たる勢いである。私が今申し上げました数字があやまちであるかもしれませんが、今わずかに六、七年間の事業経営によ
つて何百億という
ところの、おそらくは六百億を越える
ところの大
資産を有しておるのに、何十年かかけて来た
ところの被保険君たちは、その当時唯一の自力更生の頼みの綱としておりました
ところの保険金をちつとももらえないで、今日四苦八苦生活にあえいでおるこの状態が——今いろいろの戦時、戦後の
債権債務がここで復活されようとするならば、政府は当然このことをよく
考えて、すなわち権衡を失しない
ところの
措置を講ずる義務があると思う。しかしながらこの問題はなお大きな問題でございましようし、すでに倒れかけておる
ところの内閣に向
つてこのような貴重な理論を申し述べましても、何ほどの
価値もないかと思われますので、これは今後の
委員会の政治問題として、あなたの方も十分御検討を願うことといたしまして、なお私
どもの方におきましても、さらにこれに対するいろいろな基礎的な研究を加えて、最も近い将来にこういう均衡を失しないことのための合理的な立法
措置を講じたいと
考えますので、政府の方におきましても十分御検討を願
つておきたいと思います。
まだいろいろ問題がございまして、これらはまことに重要な問題でございますけれ
ども、
井上君から注意がありまして、これはおそらくは内閣の生命に関する問題であろうと思いますので、一応
理事会におはかりをいたしましてから、あらためて
質問を継続することにいたします。