○黒金
委員 私は
自由党を代表いたしまして、簡単に本案について賛成の意を表そうとするものであります。
地方自治の確立と同時に、その裏づけにな
つております
地方財政を確立することは、わが党といたしましても非常に熱望いたしておるところであります。しかるに
現実の状況を見まするときに、非常に税源が偏在いたしておりますことも疑うことのできない事実であります。ある
一つの県の一人当りの県民の所得は他の県の二分の一にも及ばない、あるいはまたある県の県
税収入総額は東京における歌舞伎座あるいは日本劇場の
入場税額にも及ばない。この事実を
考えました際に、独立税を持ちますと同時に、あるいは
交付税の制度、あるいは譲与税の制度によりまして、この間の均衡を保つことの必要なことはいまさら申すまでもないところだと存じます。従いまして、今回
政府はこの
入場税を
国税に移管いたしまして、その
収入金の九割を各
府県に譲与しようということにつきましては、むしろ立案のおそきを憂えてお
つたくらいでありまして、われわれといたしましては衷心賛成をいたす次第であります。しかるにこの案につきましても、いろいろな輿論があ
つた次第であります。大体県側からいたします
財政上の理由に基く反対もありました。これは今申し上げたような趣旨から
国税移管が行われるのでありますから、
従つてしばらくがまんしていただくといたしましても、
映画を見られます国民大衆から、せめて
映画ぐらいは文化国家として気楽に見られるようにという切なる御要望があ
つたわけであります。これに対しまして
政府提出の
原案は、
税率がはたして現状に即応しているかどうか、この点につきましていろいろと検討をいたして参
つた次第であります。その結果、
日本自由党の御配慮によりまして一昨日
修正案ができ、昨日この
修正案の提出となり、われわれといたしましては、熟慮の結果賛成いたすことにな
つた次第であります。両社の方々は、この
修正の結果非常に
税収の激減を来すであろう、
従つて地方財政への影響が大きいという点を考慮せられておるようであります。
映画をごらんにな
つた方はおそらくおわかりになると存じますが、非常に売れのよい
映画がかかりましたときには小屋が満員になりますが、その翌日売れない
映画がかかりましたときは、がらがらであります。このような状態でありますために、会社におきましてもしも非常によい
映画をつくりました際には入りがよくて、
収入がふえるものと
考えます。同時にまた
税率の引下げによりまして、その結果
入場料の引下げ、あるいは引下げがないまでも、設備の改善その他サービスの改善にまわるところが大きいと思います。その結果消費の増高を示しまして、私
どもといたしましては、いろいろと研究をいたしたのでありますが、
先ほど政府で御
説明になりましたほどし
かく激減を示すものとは
考えていないのであります。しかも一歩譲りまして多少の
減収があ
つた場合に処しまするため、別途
入場税の
譲与税法案におきまして、
地方財政に懸念のないような考慮まで払
つておるのでありますから、今回の
修正によりまして、国民大衆に益するところがありましても、
地方財政に対して害は絶対にない。かような確信のもとにここに賛成いたす次第であります。
最後に
政府御当局に対してお願いをいたしたいのであります。この
国税移管に対して反対の大きな理由の
一つは、
地方の課税は比較的ルーズに行われてお
つた。これが
国税に移管されるために苛酷と申しますか、峻厳な課税が行われるであろう、この点を考慮しての反対がかなり多か
つたように思うのであります。何事も初めが大切でありますから、どうか十分な御考慮を払われまして、
国税に移管されて非常によか
つたという大衆の声が起りますように、
政府として格段の配意をせられることを希望いたしまして、賛成をいたす次第であります。(拍手)