○平岡
委員 私は両派社会党を代表しまして、ただいま上程されました
外国為替銀行法案並びに今苫米地君の述べられました附帯決議に対しまして、賛成の意を表明せんとするものであります。
今回
政府が
外国為替銀行法を提出して参りましたのは、私をして言わしむるならばむしろおそきに失しておる、かように
考えておるものであります。さてせつかく
提案されて参りましたこの
法案をつぶさに検討いたしてみますと、一言にして言うならば、ぬるま湯に入
つておるようなまことに性格のはつきりせざるところに不満があるのであります。あるいはまたしゆうととしゆうとめにいびられたところのいびつな
法案、かような感じがするのであります。しかし春ともなれば、この嫁の装いも一応やらなければなりませんし、こうした点が、あるいは嫁の働き次第でしゆうともしゆうとめも納得しまして、
日本の国家的な大きな立場から、この
法案を契機としまして、われわれの庶幾するところの
外国為替銀行の問題が
日本に有利に展開することを切に祈
つてやまないのであります。そこで私は、こうした点につきまして、むしろこの
法案に
——むろん賛成でございますが、注文をつけたいのでございます。
ただいまの
法律案におきましては、せつかく
為替専門銀行が
設立されましても、はたして完全にその機脳を発揮することができるかどうか、まことに心細いのであります。これは単に一
銀行の経営いかんということにとどまる問題ではないので、ありまして、国家的見地から申しましても、
貿易依存度の高いわが国として最も緊要な
為替取引及び
貿易金融の健全なる発展を企図することができない問題として、このまま捨てておけないのでございます。
為替専門銀行が完全にその機能を発揮して行きます上にまず第一に必要なことは、ただいまの決議案でも指摘された
通り、国内
資金としてある
程度の低利
資金を供与されるということであります。昔はコール
資金の利用ということでこの点が行けたのでありますが、戦前のコール市場、特に東京のコール市場だけを取上げてみましても、当時の金で七、八億円、従いまして約二千億円ぐらいのものがここで求め得られたのでありますが、現在の東京のコール市場ではたかだか百五十億あるいは二百億
程度のものしか求め得られないと思うのです。こうした点にかんがみまして、日銀なりそうした点のバツク・アツブがなければ、むろんこの点に対しましての問題が解決せぬ、かように私
ども考えております。さらに
海外資金として、
政府保有の
外貨の優先的
預託を受けることが必要であることは申すまでもないのであります。しかしてこれに加えまして、
円資金の不足をカバーする
意味から行きましても、輸入ユーザンス制を認めるなど、
為替貿易金融制度の正常化をはかりまして、さらにこれでも足らぬというような場合には、
円資金確保のために、あるいは将来
法律を改正しまして
金融債発行の道を開く、こういうふうなことも必要であろうかと思います。むろんこうした恩典を与えますと、これが一般法で
規定された
銀行である限り、他の
銀行からも文句がつくのでありまして、私
どもはこの
法案はこういう形で出て来ましたが、むしろ昔のように単独法による特銀を要望したいくらいでございます。私
どもといたしましては、むしろこれは国家的な立場において推進さるべき性質のものであるということを主張したいくらいなのであります。これらの
措置を講じますと、いかにも
専門銀行というものに対して特典的な
措置を講ずるように聞えるのでありまするが、今私が申し上げたように、むしろ単独法を出すべしという建前からいいますならば、なまぬるいということになるのでございます。
さて、以上私は
専門銀行育成のためにさしあたり考慮されなければならない点を指摘したのでありまするが、最後に申し上げたい点は、
専門銀行に対してのみ
政府の特別保護施策を施すことは、
自由競争を阻害するという
意味で
金融界の一部になお反対の存する点であります。しかしすでに
専門銀行設立問題
自体が国内商業
銀行の
自由競争ということに対する限界認識から出発し、広く
国際競争という視野に立
つての国家的要請である点を顧みまするならば、かかる主張は、単純幼稚な
自由競争讃美論にすぎないか、あるいは競争の国内面のみあるを知
つて国際面のさらに重要なるを忘れた短見者流の見解と申さなければなりません。問題は
自由競争のもたらす
利益と国家
目的とをどう調整するか、両者の接点をいずこに求めるかという点にあると思うのでありますが、もとよりこの種の問題は理論的には割切るごとができましても、現実問題としては至難のわざに属します。為政者の叡智と果断にまつよりほかないものと言わなければなりません。しかしながら
専門銀行の国民
経済的意義と機能遂行の喫緊性から申しましても、またすでに
専門銀行に対しては、店舗
業務両面にわたる制限によ
つて国内商業
銀行との摩擦を避けている事情から見ましても、これが育成策に
相当積極性を出して決して失当ではないと
考えるものであります。また、このために必要ならば
専門銀行に対する
政府の監督を厳重にし、
考えらるべき弊害を除去することも決して不可能ではないのでありまするから、単なる利害関係筋の功利的主張に抱泥して、政策の基本とタイミングの重要性を忘れるごときことのないように特に要望いたしまして本
法案に賛成を表するものであります。