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1954-03-19 第19回国会 衆議院 大蔵委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月十九日(金曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 千葉 三郎君    理事 淺香 忠雄君 理事 黒金 泰美君    理事 坊  秀男君 理事 山本 勝市君    理事 内藤 友明君 理事 久保田鶴松君    理事 井上 良二君       宇都宮徳馬君    大上  司君       大平 正芳君    小西 寅松君       島村 一郎君    苫米地英俊君       福田 赳夫君    藤枝 泉介君       堀川 恭平君    池田 清志君       福田 繁芳君    佐々木更三君       柴田 義男君    春日 一幸君       平岡忠次郎君  出席政府委員         大蔵政務次官  植木庚子郎君         大蔵事務官         (主税局長)  渡邊喜久造君         国税庁長官   平田敬一郎君  委員外出席者         議     員 長谷川 保君         専  門  員 椎木 文也君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 本日の会議に付した事件  所得税法の一部を改正する法律案内閣提出第  十五号)  法人税法の一部を改正する法律案内閣提出第  一六号)  相続税法の一部を改正する法律案内閣提出第  一七号)  酒税法の一部を改正する法律案内閣提出第一  八号)  印紙税法の一部を改正する法律案内閣提出第  一九号)  砂糖消費税法の一部を改正する法律案内閣提  出第二〇号)  骨牌税法の一部を改正する法律案内閣提出第  二一号)  酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律の一  部を改正する法律案内閣提出第二二号)  物品税法の一部を改正する法律案内閣提出第  二九号)  入場税法案内閣提出第三〇号)  しやし繊維品課税に関する法律案内閣提出  第三九号)  租税特別措置法の一部を改正する法律案内閣  提出第五三号)  揮発油税法の一部を改正する法律案内閣提出  第六一号)  関税法案内閣提出第六五号)(予)  国税徴収法の一部を改正する法律案内閣提出  第六七号)  関税定率法の一部を改正する法律案内閣提出  第七一号)     —————————————
  2. 千葉三郎

    千葉委員長 これより会議を開きます。  本日の日程にあります所得税法の一部を改正する法律案外十五税制改正法律案一括議題として質疑を続行いたします。質疑は通告順によつてこれを許します。  この際お諮りいたしますが、ただいま厚生委員長谷川保君から、消費生活協同組合に対する課税問題について委員外発言の許可を求められておりますが、これを許可するに御異議ありませんか。   〔異議なしと呼ぶ者あり〕
  3. 千葉三郎

    千葉委員長 御異議ないようでありますから、長谷川君の委員外発言を許可いたします。長谷川君。
  4. 長谷川保

    長谷川保君 諸君承知のように、いわゆる福祉国家、デンマーク、スエーデン、英国、ニユージーランド、カナダ、その他の国々におきましては協同組合がきわめて発達しております。それが健全なる国家の柱になつていることは御承知通りであります。また共産主義国家におきましても、同様に、レーニンが革命後協同組合をつぶしましたけれども、再びこれを復活し、さらにまた中国におきましても、いわゆる合作社といたしまして、これが中国社会の健全な発達の大きな基盤になつております。わが国におきましても、早くこの制度を取入れましたが、いわゆる農協の面におきましては相当進歩いたしましたが、都市の消費生活協同組合におきましては、この発達がきわめて困難であります。長い大蔵省の御努力にもかかわりませず、今日微力であります。これは世界の趨勢から考えましても、われわれといたしましては何とかこれを健全な発達をさしたいというふうに長年努力して参つたのでありますが、そういうような意味におきまして、厚生委員会におきましては、ただいま消費生活協同組合に対しまする改正案を提案し、審議いたしております。昨年第十六国会におきまして、七月二十九日の当委員会におきまして租税特別措置法の一部を改正する法律案に対する修正に関する附帯決議が行われました。当時の附帯決議は、  一、協同組合分配金のうちの事業分量に応ずる分配金と出資に対する分配金計算方法については法人税法第九条第六項の規定趣旨に背反するような取扱は速かにこれを廃止するよう政府に強く要望する。  二、消費生活協同組合に対する課税についてはその非営利法人としての性格にかえりみ最も近い機会において改正すべきことを要望する。  こういうような御決議をしていただいたのであります。われわれといたしましては、今国会租税特別措置法改正案提出されるにあたりましては、これが十分受入れられておることと存じておつたのであります。ところが今国会提出租税特別措置法の一部改正案に対しましては、当委員会の昨年七月二十九日の決議が残念ながら取入れられていない。どういう理由をもつてこういう附帯決議を無視されたか、まず大蔵当局に伺いたいのであります。
  5. 渡邊喜久造

    渡邊政府委員 生活協同組合につきましては、その後われわれにおきましても実態をいろいろ検討してみたのございますが、現実にあります生活協同組合の非常に多くのものと私は考えておりますが、そのものが法令の規定に違反しておるということになるのかもしれませんが、非常に員外取引を盛んにやつておる。それで必ずしも生活協同組合法規通りにやつておりませんし、それに対する取締り等も非常に不完全なものでございまして、あの姿のままで生活協同組合を特殊な扱いをいたしますと、隣同士で並んでいまして、普通の小売をやつている人と協同組合の看板をかけている人とがほとんど違わないといつたような姿が現実に今見えるものでございますから、お話の点は確かにわれわれもわかるのでございますが、どうも現実の姿において、生活協同組合という姿のままですぐ特殊扱いをすることがはたして妥当であろうかどうか、非常に疑問を持つておりますものですから、もう少し検討した上で、あるいは生活協同組合における法の取締りといつた面も並行してお願いしなければならぬのかもしれませんが、その方と相まつとか、あるいは何とかしなければ、ちよつと現状のままでもつてすぐに、理論の上でそれが非営利法人だということのゆえに特殊扱いをするというのもいかがであろうか、こういうような感じで、今回の案におきましては、もう少し検討さしていただきたいという意味で本案に提案することをいたさなかつた次第でございます。
  6. 長谷川保

    長谷川保君 もし今日の消費生活協同組合というものを従来の通り扱い方でして参りますならば、これは従来の経験から発達しないのはあたりまえ。そこでわれわれはあらゆる面から見まして、この制度発達するように努力しなければならぬ。そのために、今日厚生委員会において、この問題の改正案政府も提案し、われわれ議員といたしましてもこれが徹底的な修正案を今作成中であります。今のお話のような面もございますけれども、そうなつて行かなければならなかつた、そういう点におきましては、つまりこの消費生活協同組合制度に対しまする国家の保護、指導、発展をさせるような法ができてなかつた。そういう意味で、この租税関係も私どもは重大な問題といたしまして、非常にこの改正を長い間要望しておるわけであります。私はきわめて短かい時間しか与えられておりませんからこれ以上申しません。ただ昨日私ども厚生委員会は、当委員会にこの税租特別措置法の一部を改正する法律案に対する意見書を差出しまして、ぜひとも今回の改正にあたりまして、消費生活協同組合をもそれに取入れられんことをお願いをいたしておるわけであります。どうか当委員会委員諸君におかれましても、この点十分御賢察賜わりまして、厚生委員会より当委員会に対する申入れに対しまして御配慮を煩わし、また政府当局もこれについて十分な御配慮をいただいて、われわれの申入れが取入れられまするように切にお願いをいたしまして、私の委員外発言を終ります。
  7. 千葉三郎

  8. 井上良二

    井上委員 私は国税牧納金整理資金に関する法案国税徴収法の一部改正、この両案にまたがりまして質問をいたしたいのですが、政務次官はまだお見えになりませんので、事務当局に伺いますが、この国税牧納金整理資金に関する法律案は、こういう新しい資金制度を設ける理由といたしましては、従来租税の過納及び誤納等を還付いたしておりましたのを、いろいろ整理の都合があつて、正確に国の税収を把握するという立場からこの制度を新しく設けようというのであろうと思いますが、ここで問題になりますのは、こういう新しい制度を設けねばならぬような過納、誤納、こういうものが一体どういうことからして起りつつあるかという点について、一応御説明を願いたいと思います。
  9. 渡邊喜久造

    渡邊政府委員 現在の過誤納関係でありますが、まず簡単に結論を申し上げますと、一番最近金額が多くなつておりますのは、税制が数年前から改正になりまして、たとえば法人でございますと、青色申告の場合ですが、損失が起きました場合におきまして、従前ですと、損失が起きますと、その損失を翌年度以降に利益があつた場合において納める税金からこれを差引いてよろしいといつたような制度なつていたのですが、二十五年のシヤウプ勧告による改正から、損失が起きましたときに、その前の年に相当利益があり、税金を納めた場合におきましては、翌年を待たないで、前の年に納めた税金からその損失を埋める意味において差引ける、すなわち前の年に納めた税金を返してやる、こういう制度が入つておりますことは、井上委員承知通りでございまして、これがやはり最近における景気が相当大きく波を打ちますものでございますから、たとえば数年前ですと、税収が非常に多かつた年があり、その次に非常に赤字になつた年がある、こうういつたような関係が、やはり一つ過誤納扱いの中に入つて一緒なつておりまして、これが一番金額が大きいのでありますが、これがやはり相当金額になりますから、過誤納払いもどし金として払い出さされる金額が最近において非常にふえて来た、こういうふうに御了解いただきたいと思います。
  10. 井上良二

    井上委員 この二十七年度の分から二十八年度に繰越しました滞納税額及びこの件数、それからその滞納処理をいたしました処理件数というものは、わかつておりますればそれをお示し願いたい。それから時間がかかりますので、長官が急ぐそうですから、あとから資料としてお出しを願いたいと思いますが、私の方で調べたところによると、二十七年度から二十八年度に繰越しました滞納件数は約七百万件に上つて、その金額は一千億に近い金額なつておるということであります。かくのごとき厖大な繰越し滞納件数及び金額というものは、一体どういうわけでそうことが起り得るか。またただいま質問いたしました過納誤納というような件数も、いろいろ理由がございましようけれども、もつと大きな理由が他にありはせぬか。それは政府は、現在定員法の一部を改正する法律案提出いたしまして、税務職員を五万九百六十九名といたして、八百二名ほど定員を削減しようとする方針を立てておるようであります。さらにはなはだしきは、行政機極簡素化、あるいは能率化という美しい名前のもとで、国税徴収に重大な影響を持つておる国税局関係の各機関を整理統合する、あるいは税務職員をただいま申したように整理する、こういうことをやろうとしておるようであります。現在国税局職員は、概数五万二千名くらいじやないかと思いますが、この五万二千名の徴税関係の費用は百五十億に上つておるといわれており、十一国税局と五百四税務署及び協議団本部及び支部、税務講習所等にわかれておりますが、最近の税務行政複雑化、特に申告所得税法人税消費税関係を調べてみますと、申告所得税において、私の調べたところによると、調査担当職員は一人当り三百六十人を対象としておる。そこで受持ち分量が非常に多い関係から、課税基礎となる実額調査の割合はわすかに二割しか調査されておらぬ。あとの七、八割というものはほとんど推定課税を行つておる。また法人税職員一人について百五十の法人を担当しておる。さらに消費税においては、八百五十人の職員でもつて約六万の消費税を納める事業場調査しておる。こういうことからいたしまして、その受持ち事務分量がものすごく多い。このことから徴税事務上非常な支障を来しておるということを、私はこの事実に基く数字によつてうかがうことができますが、国税庁長官はこの実態をどうお考えになりますか。申告所得税においてわずかに二、三割しか課税基礎となる実額調査が行われていない。あと推定課税を行つておる。また法人税においてもほとんどが完全なる調査が行われていない。そういう実態において職員整理するということで、はたして徴税の円滑なる事務が遂行されるとお考えなつておりまが、国税庁長官の御所見事伺いたい。
  11. 平田敬一郎

    平田政府委員 徴税困難性に関しまして非常に御理解のある御質問を受けまして、はなはだ恐縮に存ずる次第でございますが、今御指摘のように、所得調査の方も、それから徴收の方も、率直に申し上げまして現在もなお非常に繁忙をきわめまして、十分な手が届かないという状況にありますことはお話のようなところではないかと私ども思つている次第でございます。滞納の方も、御指摘のように二十七年度数字でございますが、二十七年度は二十六年度から約千百億程度滞納を繰越しまして、それが前年度末に千本億——百億くらい減つておりますが、滞納としてさらにその次の年度に繰越している。もつともこの中には、約三百億程度のものは、それから前の焦げつき滞納がありまして、これは終戦後の混乱時期に課税いたしましたものが、その後納税者状況がかわりまして、なかなか徴収が困難である。とてもとれる見込みがない。その中には、住所を調べてもよくわからないというものも若干入つておりますが、そういうものが三百億くらいございます。そこまで至らないで、差押えはしましたが、公売処分にしてもどうも目的を達成することができない、執行停止といつたようなものもございますが、そういうものを含めますと、六百億程度のものが、純粋の意味滞納ということになつておりますが、いずれにいたしましても、そういう多額の滞納がなお残つておりますことは、御指摘通りでございます。今年度に入りまして、滞納整理につきましては鋭意努力いたしまして、若干減り気味でございますが、大幅に減らず段階にはまだ参つておりません。それから調査の方も、御指摘のように個人の所得税法人税についてなかなか十分な手がまわつていないのでございますが、それにしましても、でき得る限り要点を押えまして、重点的に調査をするという方針を立てまして、できる限り能率を上げて行くことに努めているわけでございますが、そういう現状でありますことは御指摘通りかと思うのでございます。ただ今度の行政整理に関連しまして、どのようにそういう問題を考えたかというお尋ねが御質問要点かと思いますが、率直に申し上げまして、私どもやはり徴税だけの立場ということを考えますと、今の状況では人を減らしてもらつては困る、できれば減らさないでもらいたいという気持ではあるのでございますけれども、ただ一方から言いますと、やはり行政整理輿論でありますし、できるだけ私ども内部で勉強いたしまして能率改善をはかりまして、事務簡素化能率改善、あるいは仕事の重点的な運営といつたようなことに努めまして、この際といたしまして、やはり若干の程度政府方針に順応するのもやむなしという趣旨で、私ども行政整理に対しまして、御指摘通りのような定員法改正と相なつた次第でございます。率直に申し上げまして、行政整理だけの関係で千九百人ほど一応減りまして、入場税繊維消費税関係で千二百人弱ふえまして、差式八百人程度純減になる、こういう整理になる次第でございます。今の一般情勢から見ますと、その程度のものは順応するのもいたし方なし、税務だけの見地から申しますと、できれば減らしてもらいたくないと思つておりますが、率直な立場結論を申し上げますと、そういう状況であります。
  12. 井上良二

    井上委員 納税者納得の上に正確な資料調査に基いて適正な課税が行われておりますならば、われわれは何をか言わんであります。ところが、ただいま申し上げました通り、ほとんどが推定課税を余儀なくされているという実情にあるわけであります。その結果は、あなたの方からは、できるだけ正確な調査と適正な課税を行うようにと、徴税事務に携つております職員に対して矢のような催促がされ、国民もまた正確な調査と適正な課税をやかましく主張いたします関係から、当然これに対して必要な調査及び合理的な査定を行うということが必至の問題になついる。その上から来るのと、輿論がやかましく言うのと、納税者の不平と、この三つが税務職員に大きな負担をしておる。そのことがたとえば税務職員健康状態をわれわれが伺つた場合、各官庁の中で税務職員が一番結核の罹病率が高い。実に一一%という高率を示している。さらにまた超過勤務手当について調べてみましても、月に十五時間を支払つつてあとはほとんど未払い分においておる。一体こういうことはあなた方は監督責任者としてどうお考えになりますか。それで一方では人員を減す。これはあなた方の方でも調べただろうと思いますが、政府戦前基礎資料としていつも昭和十六年当時を使うのでありますが、この十六年以前の納税人員と現在と比べると、約二倍に上つているその上法人会社数は五倍に達しており、滞納件数に三百倍に上つておる。これを昭和十六年当時の定員と今日を比べてみると、昭和十六年当時の徴税の実績と今日との比較をすると、少くとも税務職員は三十一万八千人を要する数字なつて来ます。それだけの人がおらぬと、これだけの仕事はできぬということになつて来る。それを定員法によつて、六万一千人ですか、五万一千人ですかにちよん切つてしまつて、さらに今度はまた行政整理によつて整理をしよう、こういうことになつておる。そこで申告所得税法人税、あるいは消費税等関係において、その課税納税者をして納得、得心さす正確な調査と公正な課税の上に行つているという自信をお持ちになつておりますか。現実事業分量が非常に多くて、片つぱしから病気なつて倒れ、働いても働いても働いただけのものをくれない。それに過超勤務はどんどん課している。役所にいるどころではない、家に持つて帰らなければなかなか調査ができないということさえ、われわれは至るところで聞くのです。これは完全に公務員法に違反することが平気で行われておるでしよう。それで首を切るというのはどういうわけですか。筋がどだい合わぬ。だから納税者納得させる適正な課税をやらすというのには、人的配置と組織、それから能率的な運営のできる機構にしてやらなければいかぬのです。そういうことを考えずに、ただ片一方から行政整理を言うて来たから、そんならおつき合いでこれだけ出そうか、そういうべらぼうな話はありません。行政整理冗員整理であり、不要不急事務分量をできるだけ能率化さして行こうという点で整理するのであつて現実徴税の面においては人手不足でり、能率は一向上つておりません。そういうのに、ここで人をさらに減らすというのはどういうことです。それでこの超過勤務手当は一体払うのですか、払わぬのですか。その点をひとつ明らかにしてもらいたい。
  13. 平田敬一郎

    平田政府委員 率直に申し上げまして、気持といたしましては、私の方から国会の方にお願いしたいようなことをおつしやつていただきましたような感じがいたしまして……。ただ私、そういう問題はもちろん無責任な態度ではなく、深刻な問題といたしまして、実はいろいろ検討もし、苦慮もし、実は考えてもみたわけでございます、行政整理の問題、機構改革の問題は、率直に申し上げまして、一般に今の情勢はわれわれ仕事必要性から来る要請と、どうも大分相衝突するようなことになつておりますので、その間の調整に実は私どもといたしましても非常に苦心をいたしたのでございますが御指摘のように、なるほど納税者の人数も非常にふえております。それからもう一つは、やはり税の負担率が高い、同じ所得税を払うにいたしましても、所得の一割くらいでしたら、それほど調査も厳密にしなくても何とかなると思います。三割も四割も税金でとられるということになりますと、ちよつとした課税標準調査の差で、えらい大きな差が出ている。そうなつて来ますと、勢い納税者の方にも深刻な影響がありますので、なかなか簡単に話がきまらない。こういう点がありまして、二重な意味戦前と比べて今では非常に仕事仕事がふえております。税務官吏の数も戦前に比べますと相当やはりふえておりますが、戦前徴收市町村でやつておりまして、市町村の吏員で国税徴收に従事したと認められる者これは推定でございますが推定国税事務にどれくらい従事したか調べてみますと、一万四、五千名が従事して来た。国の職員だけですと、八千人くらいが従事していたのです。それが現在は、徴収も全部こちらでやるということになつておりまして、税務官吏が現在五万一千人くらいではないかと考えるのでございます。この数が多いか少いか、これはいろいろ議論がございまするし、私ども税務だけの見地から申しますと、これではまだ足らぬくらいに思つておるのでございますがただやはり一方におきましては、できるだけ事務改善を行い、簡素化を行い、それから運用につきましても重点的な処理をはかりまして、徴税費をできるだけやはり少くするというふうに努めますことは、これまた私どもに課せられた要請ではないかと思うのであります。そういう見地から行きますと、できるだけ少い人間で、できるだけいい仕事をする、経費もできるだけ少い経費で所期の目的を達する、こういうことにつきましても、やはり十分配慮し努力して行くべきじやなかろうかと実は思うのでございまて、行政整理の現在の一般的な環境、行政能率改善というような社会的な要請のもとにおきましては、やはりこの際といたしまして、若干の人減らしをいたしまして、できるだけ計画よろしきを得て、能率を上げて、そういう要請にもこたえる必要があるのではないかと考えておるわけであります。ただおつき合いということではなく、深刻に問題を考えた上で、実はそういう判断にいたした次第でございます。  それから非常に忙しいので超過勤務を大分やつておるじやないか、その超過勤務手当が出ていないじやないかというお話でございますが確かにそういうところもあろうかと思いますが、この点につきましては、やはり今後できるだけ事務のやり方を考えまして、超過勤務の予算が不足をしない範囲内で、何とか仕事をまかなつて行くように努力してみたいと思つております。ただ勤務秩序等関係もありまして、なかなか機械的な、工場のような仕事と若干違いますので、理想的には行きがたいと思いますが、方向といたしましては、できるだけ勤務時間内にまじめに働いて能率を上げ、勤務時間外の勤務はできるだけ少くいたしまして、いやしくも勤務時間外に残つた場合におきましては、できるだけ超勤は支給する、こういう方向で、事務計画、あるいは事務の動かし方等考えまして、理想に一歩でも近づくような方向にやつて行きたいという趣旨で、現在いろいろ苦慮をいたしておる次第であります。
  14. 井上良二

    井上委員 政務次官が見えましたが、ただいま私は国税滞納及び過納、誤納の問題等に関連をいたしまして、現在税務署員が、雇いの人員がさらに整理されようとしておる。問題は課税の適正な調査をいたしますために人員が非常に少い、そのために実際は二、三割くらいしか適正な調査検討がされていない、あとは全部推定です。推定課税の結果が滞納をさらに一層多くし、また過納、誤納の問題を起しつつあるのじやないか、こういうことをわれわれは知るわけであります。このことについて国税庁長官は、他の行政整理と歩調を合す意味において、国税関係において八百人の人員整理する、こういうことにいいしておるそうでありますが、現在でも二、三割しか調査ができぬのに、さらに整理をして、それで国民を納得さすことのできる課税が行われ得るかどうかという問題です。あなたは自信をお持ちですか。現実に二、三割しか正確な調査が行われていない、あとはほとんど推定課税の実情にある。そういう税のとり方が妥当な税のとり方とお考えなつておりますか。そうしてその上にさらに八百人を減す。もし奢侈織物消費税ですかそれと入場税が実現した場合、それを担当する者千二百人という予定をしておるが、この法案が通らなんだ場合はまた千二百人がこの上で減ることになる。現に非常に大きな負担税務職員にかけて、必要以上の能率を上げるようにしておるが、ただそれでなおかつ六、七割は全然調査されておりません。こんな税のとり方を妥当な税のとり方と思つていますか。そういうことを全然検討せずに、おつき合い整理したらいいという考え方は、はなはだもつてのほかで、政府当局としてはどうこの実情をごらんになりますか、あなたの御意見を伺いたい。平田政府委員 はなはだ恐縮でございますが、調査の実情を少しばかりつけ加えて申し上げさしていただきます。その上でお答えいたしたいと思います。  個人の所得税につきまして、実額調査が二割程度しかできてない、これはもう井上委員お話になる通りでございます。その他の納税者について全然調査してないのかということになりますと、実はそうではございません。その他の納税者につきましても、店舗等につきましてある程度調査はいたしておるのでございます。ただ調査の内容程度等で、場合によりますと記帳がなかつたり、あるいは御指摘のような十分な時間と税務官吏の数がなかつたり、そういうことのために調査のできないのも相当ございますが、そういう場合におきましては、一応各種の事情をできるだけ考慮に入れまして、最も有効と思われる調査を限られた時間内にいたしておりまして、それによりまして、課税をしておる。推定というお話でございますが、帳面がない場合はどうもやむ得ず推定せざるを得ないような事情もございまするし、また今申し上げましたように、十分手の届かなかつた場合におきましては、売上げ金額等の調査だけで、収支を調べないで課税をする、こういう場合も率直に申し上げてある次第でございます。従いまして実額調査以外のものはまつたくでたらめにやつているというふうに受取られますと、私どもちよつとあれでございますが、調査不十分の点がありはしないかという点でございますと、私ども率直に申しまして、そういう点がないとは言い切れませんけれども、実情はそういうところにあるということを、先に私から申し上げさしていただきたいと存じます。
  15. 植木庚子郎

    ○植木政府委員 ただいま平田政府委員から申し上げたような実情にあるのでございますが、政府といたしましては、税の最も適実なる課税ということで常に、職員を指導しておるところなのであります。従いまして最も適実な課税といえば、それは仰せのように、でき得るならば少しでもたくさんできる納税者について実願調査と申しますか、帳簿を開き、十二分に推問その他研究もして、そうして課税額を決定して行くのが親切であり公平な課税ができるというふうに考えることは、もちろんでございます。従いまして、できるだけ税務職員について十分な人員を保持したいのでございますが、これもまた他面におきまして、税務職員の非常に勧勉なる努力によつて、でき得る限この公務員の数を減らして行きたいという国家的な大きな要請にもこたえるという趣旨から、忍びがたきを忍んでこうした整理計画しておるわけであります。御承知のように五万有余の税務職員がおりますが、他の省のことを申しげ上げてははなはだ失礼でありますが、従来比較的税務職員はよく働くということが、昔からの伝統的な美風として世間からも称揚されておる点も、少からずわれわれ喜んでおる次第であります。今後につきましても、この従来のいい風をさらに伸ばしまして、そうして足りない手の中からも、でき得る限り親切な適実な課税ができるようにさして行きたい、かような指導方針で行きたいと存ずる次第でございます。  奢侈繊維税の計画に任いましての人員お話がございましたが、これはわれわれ当局といたしましては、ぜひとも皆様の御了解を仰いで通過きしていただきたい、かようにかたくお願いしたいと思つている次第でございます。
  16. 井上良二

    井上委員 もう一点伺いますが、あなたは大蔵税務当局として、税務職員が他の官庁職員よりも一層能率的に、かつより以上の仕事をしてくれておること誇りを感じておるが、その誇りの裏にあるものは、さきにも申します通り、他のいずれの官庁職員よりも結核罹病率が一番高いということです。それだけからだを無理して使つておることがこれに現われております。それから超過勤務が一番多いです。勤務手当を払わぬのも一番多いです。これは明らかに人事院規則に違反することであつて、当然支払うべきものを払つてない。徴税事務は非常に重要な国家事務であり、職員がいかなる権力、圧力にも屈せず、いろいろな誘惑に負けずに課税を適正にやるためには、税務職員を不動の地位に置く必要があるというところから税務職員に対しては他の官公庁職員よりも二割方高い俸結を支給し、それに伴う諸般の待遇を付与するということを一応きめてあつたのです。ところがその後各官庁の職階制その他いろいろ規則が改討されるに及んで、最近では、税務職員の特別待遇というものはほとんど問題にならぬ実情に置かれて来ておる。これでは税務職員事業分量の多いのと、非常に過労に陥つておるということと、これを取巻くいろいろな誘惑に打勝つだけの経済的な地位が保障されてないというような点から、非常に危険な立場に置かれておる。そういうときに、税務職員が汚職があつたということで、片つぱしからそれを検挙してしまえばそれでよいということではないと思う。そういう誘惑やそういう圧力に負けないだけの地位を保障しておく必要がある。それに対して一体あなたはどうお考えなつておるか。また国税庁長官は、この税務職員の待遇に対して一体どういう新しい対策をお考えなつておりますか。そうして具体的にどう一体実現されようとしておりますか。この点を政務次官及び長官に伺いたい。
  17. 平田敬一郎

    平田政府委員 私から先に申し上げさせていだたきたいと思います。税務官吏が非常に困難な仕事をやつておる、しかも厳正公平に、また親切に納税者に対処してもらわなければならないということはお話通りでございまして、私もそのことをやかましく言つておるのでございます。それに応じまして、できるだけ待遇の点については考えていただくのが当然ではなかろうかという趣旨で、税務については、一般の役人と違いまして特別職階ができております。これはたしか二十三年に新しくつくつたかと思います。その当時は、大体一般の場合に比べて号俸で六号ないし七号くらい差かついておりまして、御指摘通り、むしろ二割強くらいよくなつていたかと思うのでございます。ただその後一般に公務員のベースも大分上りましたのと、上るに応じまして、その開きを少くしたらどうかという外からの強い意見がございまして、最近では、その後の改正で四号俸だけの差をつけるという原則になつております。ところがこの原則が、私よく調べてみましたところが、必ずしもそのまま実行されていないというので、昨年来よく調査いたしまして、少くとも原則として認められております四号俸だけの差は、税務官吏全般にやはり差がつくようにしたいということで、号俸調整等の措置を人事院と協議いたしまして、やつてもらつております。一部実行に移しておりましたが、なおまだ完全に解決しておりませんので、そういう点につきましても解河をいたしたいと思つております。  それからもう一つは、税務官吏は何と申しましても、戦後に入りました関係で、若い職員が多いのでございます。従いまして普通の役所でありますと、新陳代謝が行われましても、平均年齢が若干上まわるくらいのところになるかと思いますが、税務職員は非常に若い層が多い関係上、平均年齢が徐々に上つて行くことは非常にいいことで、現在は二十七、八歳でございますが、私の理想は三十二、三歳くらいまでに行かないと、ほんとうのいい仕事はできぬと思つているのであります。そのいう関係もありまして、ゆだんしておりますとすぐ頭打ちと称しておりますが、級の一番上になつてしまいまして、つつかえて昇級できなくなる、こういう事態が毎年生じて来ております。こういう点につきましては、これもやはり人事院と相談いたしまして、年齢が相当上り、経験を積みますれば、それに応じて給与をよくするということも、昨年も一部ございましたが、今後もできるだけそういう措置を講じまして、税務官吏の待遇を実質的によくするように努めて参りたい、こういうふうに考えております。  それからもう一つは、結核の罹病率が多いということは、これも御指摘通りでありまして、率直に申しまして、各役所の中でどうも税務職員の方が一番率が高い。労働基準監督署がそれに次いで高くなつておりますが、調べてみますと一番高い。この原因もいろいろ調べておりますが、御指摘通り仕事が非常に忙しい。しかも期限付の仕事が多くて劇務であるということ、それからもう一つは若い職員が多いということこういうところから来ておると思つておりますが、結核対策等につきまして、部内におきましては予防対策もできるだけ考える。さらになつた場合の療養所等の施設につきましても、予算の許す範囲内におきましてできるだけ施設をよくいたしまして、そういうものに対しましても、あたたかい療養ができるようにというので、非常に若干ずつではありますが、改善をはかつておるところであります。こういう点につきましては、今後相当どもとしましても、主計局、大蔵省全体、あるいは国会の御理解を得まして、拡充する方向に持つて行きたいと実は考えておるわけであります。
  18. 植木庚子郎

    ○植木政府委員 ちよつとお答え申し上げます。ただいまの井上委員の御質問は、まことに税務行政、あるいは税務職員に対して御理解の深い御質問で、私は税務職員を代表いたしましてほんとうに感謝の意を表します。今後の方針といたしましては、ただいま平田政府委員から申し上げましたように、ただいまの四号俸ばかりの差を原則として違えて行こうという、それさえ実行されておらない部分があるということでありますから、さしあたりはまずそれの充実の点について努力しまして、今後につきましては、なお御趣旨の点に対しまして十分研究も遂げ、職員のためにでき得る限り努力しますとともに、職員をしてなお一層その職域で奉公の実をあげさせたい、かように考えておる次第であります。
  19. 井上良二

    井上委員 私はくどいことを申し上げませんが、現実において税務職員は、絶対量が不足しております。不足しているところへ行政整理による政府方針がきまつたから、単におつき合いに、このくらいは出さねばなるまいだろうという、そういう甘い考え方がけしからぬと思つております。現実に正確な調査や公正な課税を行う実額調査が行われておらない実情にあることを、一体何ゆえに行政管理庁にやかましく言われんのか。それよりも実はほんとうに国民の納得し、かつ徴税事務を円滑に遂行して行くためには、これだけの定員がどうしても必要だというもつと科学的、具体的に必要な実需人員を出して、国会及び行政管理庁に了解を求めて、無理のない仕事ができるような方法にやるべきではないか、そういう点について、もつと御検討を願うことを要求しておきます。
  20. 山本勝市

    ○山本(勝)委員 今の井上さんの質問はまことにごもつともな質問で、われわれからもよくお考え願いたいと思うのでありますが、私は、その問題は確かに過労ということもあるからそれもお考え願いたいし、もう一つは、税務官吏とか基準監督署の官吏が結核率が多いという理由は、仕事がおもしろくないという点がやはりあると思う。仕事がおもしろく行かないというのは、やはり税法上にも——税に無理がある。この税法の無理は、われわれ国会議員の責任ですから、実際に当られた結果こういう点に無理があるということでありましたならば、国会の方に十分知らせてほしい。その一例として考えられるのでありますけれども滞納の焦げつけの処分、これが実際差押えられておる。しかしその税金を納めればつぶれてしまう。細々やつて行くという場合に、前の滞納処理が二年間しか猶予がない。ところが滞納を二年間というのは、法律できまつておると税務署の方で言うのですが、たまつている利子は払いたい意思がある。しかし二年間ではとうてい払えない。そうすると、もう少し長い期間で、幾らずつ払うという予定を立てて払つて行きたいという希望を持つておる者もたくさんあるのですが、法律上二年以上延ばせない。結局ある程度納めて行つて、二年来たときにやはり納められなかつた。次から次に延ばして行く。これより法律上しかたがないのだということを税務署で言われる。こういう点なども何とかしてくふうしていただいて、原則は二年でもいいですけれども、事実納めさせるという意思ならば、その期限をもう少し延ばして、もちろん滞納したのですから、ある程度の苦痛は普通のものよりも多いということは当然でありますけれども、とにかく細々納められる程度に分納できるようなことを制度的にも考えてほしい、これをひとつ御考慮願いたのであります。  それから先般主税局長に私は具体的な実例を申しましたけれども、きようは国税庁長官が来ておられるが、時間がないから今お答えを求めませんが、ひとつきよう済んだあとででも御相談願つて、この席でなくてもいいですが、結論を出していただきたいと思います。
  21. 千葉三郎

  22. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 生活協同組合改正の厚生省案が目下厚生委員会で審議されておりまして、その結果租税特別措置法消費生活協同組合に対する課税につき、特別な措置をとらるべき旨が申し入れられておるのであります。その趣旨につきまして、先ほど厚生委員長谷川保氏からるる説明がありました。私はこのことに関連しまして、政府の意向をただしたいと思つております。  まず私は、消費生活協同組合に現在課税されておることが異例であろう、かような考えに立つております。率直に申し上げまして、協同組合に対する課税というものは、少くとも流通過程における点を考えまして不当である、かように考えております。具体的に言いますと、今のいわゆる小売のマージンとか問屋のマージンとかを組合員に利益として配分するという限りにおいては、これは消費者の生活の合理化運動でありまして、決して課税の対象になるべき筋合いではないと思うのであります。それから、その消費生活協同組合がその運動を進展させて行きまして、自己生産の段階に入つて工業生産をやつて行く場合、このときには、やはり他の私企業の生産工場との均衡上課税さるべきことはやむを得ぬと思います。そこで先進国を見ましても、デンマークにおきましても、それからスエーデンにおきましても、イギリスにおきましても、今の流通過程における消費組合運動に対しての課税はやつておりません。ただやつた事実があるのは、戦時の特例法としまして、イギリスにおいて課税されたことがあります。日本もそれにならつて、戦時中の特例規定として課税されて来たということを思い起していただきたいのであります。すでにその要素がなくなつておりますから、戦時特例は現在は必要ではございません。そこであるべき元の状態に復元するのが至当であろう、かように考えております。ただ、昨年本委員会におきまして、消費生活協同組合課税を特別措置によつて軽減してくれという申入れがあつたにもかかわらず、単なる附帯決議でその趣旨を尊重する点が明記されただけであります。そのときの理由というのは、主税局長からその程度にとどめるよりほかはないという理由としましてあげられたことは、員外販売の弊害があるということと、それから消費生活協同組合の名をかたつてというのですか、名において、普通の小売業者が特定の官庁なり、あるいは学校なりの消費生活協同組合の請負をやつて、そこで普通の小売商に対して不当なるフェーヴァを与えることはいけないという点が指摘されたのであります。そこで私は昨年のその事情を顧みまして、その点について現在の状況と比較して、今回この機会に、やはり特別措置によつて消費組合には課税せぬということをくぎを打つていただきたいのであります。第一に、現在厚生省案として審議されている消費組合の改正案におきましては、いわゆる擬態的消費組合、つまり小売商が消費組合の名をかりて営業するという点の弊害を除去するために改正案の第三条の三項におきましてそのことを禁止しております。第三条の第三項において今の名前を貸すことを禁止いたしております。ですからそのおそれも何らございません。それから員外販売の問題です。員外販売の問題は私は消費生活協同組合の純粋な立場において認めらるべきである、こういう見解を持つております。それはどういうことかと申しますと、要するに消費生活協同組合は合理的な仕入れによつて配給すべき物資の価格を安くするということがねらいでありまするから、いわゆる営業技術におきまして、商品のミニマム・コンペテイシヨンを必要とします。そこで揺籃期にある小さな消費生活協同組合におきまして、やはりミニマム・コンペテイシヨンを満たす条件として、多少の今の員外販売を認めてもらわなければ困る点があります。その点が消極的な理由です。それからもう一つ積極的には、ちようどスエーデンがやつていますように、消費生活協同組合は、メンバーがふえればふえるほど合理化されますから、そうした点から、いわゆる員外者にも販売しまして、およそ一年のうち二回くらいの期末に、その利用分量に比例して、今のいわゆる余剰品が消費者に返される際に、その余剰品を保留いたしまして、今の員外者をほんとうのメンバーにして行くという仕組みになつておりますが、そうした点で積極的な理由もあるのです。ところがこれは、小売商とかそういう問題との相対的な観点から政府も考慮しなければならぬことも私わかります。そこで今言つたように、員外販売はまかりならぬというようなことに頭を固定させて行く点だけはひとつやめてほしいのです。それを御承知の上で、実際の問題として小売商との権衡をはかるための配慮を必要とする、こういう相対的な意味でのあなた方の議論でしたら、これに対してその問題をなお討議して行くということには、われわれはやぶさかではないつもりです。そこで今の問題点の員外販売の弊害というものをどこで調和するかということになりますが、私は、先ほど主税局長長谷川さんの質問に対して、員外販売の問題に対しての制限というものが与えられる限りにおいては、この租税特別措置法において、消費生活協同組合のための免税措置をとる点に対して大いに好意的検討を加えるというふうに承つたのでありますが、今まで消費生活協同組合以外の協同組合に員外販売を二〇%までは認めるという規定があります。ですから、そうした点を今度の消費生活協同組合法の改正厚生委員会の方で盛つていただきまして、そこで租税特別措置法による緩和を考えていただきたい。具体的に申しますと、消費生活協同組合の現行法では、第十二条の三項で員外利用を禁止しておるのです。ですけれども、私がただいま申し上げましたような消極的理由並びに積極的理由から、この全面的な員外利用の制限を二〇%くらいに緩和しまして、そういう措置の上で今の税法上の臨時措置を考えていただきたいということであります。  それからもう一つ予想される一つの反対は、こういう点であろうと思います。それは中小企業等協同組合というようなものが、又これを機会に免税要求を出して来やせぬかというようなことをお考えなつておろうと思いますしかし今の消費生活協同組合は中小企業等協同組とは画然と異なる特質があります。それは消費生活協同組合は営利を自的とする事業を行つてはならないということを規定しておるのであります。その点で十分区別される理由があります。私はこういうような点を当局においてどうぞ御勘案くださいまして、この今回の改正に、ぜひこの消費組合に対する減税特別措置をやつていただきいと思います。大蔵大臣が今の施政方針の大綱としまして、いわゆる生活の合理化ということを声を大にして主張されております。私は今の予算の性格がいわゆる財政インフレであり、また金融デフレである性格にかんがみまして、消費者自身の一つの生活の防衛が、この消費生活協同組合を通じてなり、こうした今の当局の施政方針というものに対応して出て来る機運が醸成されなければならぬと思います。今の予算では財政インフレ、金融デフレの性格があるわけですから、こうしたところで大蔵大臣の意向に沿うためにも、こうした消費者の自主的な生活の防衛態勢、合理化態勢というものは大いに育成をしなければならぬと思います。こうした意味におきましてこの点を当局は積極的に御検討くださいますよう特にお願いします。  それから課税の特例法で消費生活協同組合のためにする租税特別措置がなされたとしましても、連合会並びに単位組合で減税さるべき金額はわずかに千二百九十八万にすぎません。ですから影響もございません。しかし協同組合自身の持つ好ましき萌芽は、減税の少額とは逆に無視できないのでありますから、この点は特に御配慮をいただきたいと思います。主税局長の御答弁を願います。
  23. 渡邊喜久造

    渡邊政府委員 消費生活協同組合につきましては、昨年の当委員会におきましていろいろ御論議があつたことを私よく存じ上げております。同時に附帯決議がございましたことも、もちろん私承知しておりまして、実は今回提案いたします際におきましていろいろ検討してみたのでございますが、先生ども申し上げましたように、現実の姿におきまして、個々の消費協同組合が員外取式をやつている、しかもわれわれの方で幾つか調べた事例——これはおそらく平岡委員をもつてすれば、一番悪いところが調べられたのだというふうにお話になるのじやないかと思いますが、幸か不幸か、われわれの方でもつてほんとうにアトランダムに調べに組合は、組合員に対する取式とか、組合員外に対する取引とかいうことについては全然関心を持つておりません。とにかく来た人に売つている。それで看板は消費協同組合。こういう姿になつているのがかなり目につきます。そうなつて参りますと、企業組合の問題で昨年御審議をしていただいて、いろいろ御議論もあつた同じような姿におきまして、協同組合の形態があるがゆえに規制がないということになれば、企業協同組合においていろいろなめたごたごたと同じようなことがまたそこに出て来ることがありはしないか。結局制度そのものについては、相当われわれもその純粋な性格が考えられるのですが、それがいろいろ悪用される危険があるといつたような場合におきまして、われわれとしましては、よほどそこに慎重なものを考えなければなるまい。それから平岡委員の主張のように、消費生活協同組合に対する規制はすべきでないという御議論の根拠が、その非営利性にあるというようなことになつて参りますと、組合員外に普通の卸価格で売りながら、それに対しては払いもどしも別に何にもしてない、結局残つた剰余金というものは組合員の中に何らかのかつこうで配分されるとすれば、あるいは本来の趣旨には必ずしもそれが入つていないかもしれませんが、現実の姿としては、けつこう営利的なものがその組合員の中に分配されるのではないだろうか、こういうような姿が実は相当目についておるのであります。従いましてわれわれとしましても、特に員外取引のものについてはたしてどうだろうか現在の消費生活協同組合法を拝見いたしますと、監督官庁の許可がなければ員外取引はできない。監督官庁が一体どういう方針でもつて許可しているかということを伺つて参りますと、今まで伺つたところでは、たとえば山間僻地でもつて協同組合これは主として職場の協同組合かもしれませんが、そういうものがあつて、ほかには大して小売業者のような施設もない。従つて組合員以外であつてもそこで買わざるを得ない場合でありますとか、きわめて限定した場合に限られているというお話なんです。そうしますと、員外取引というものはそれだけに限定されるならば、あるいはそう目に角を立てるほどの大きな問題ではないかもしれませんが、東京都内なんかで、ある消費協同組合員外取引相当大幅に平気でやれるということになりますと、監督官庁といたしましても、二割といいましても、はたして二割かどうかという点の取締りに実はなかなかむずかしい点があるのではないかと思います。そうなりますとおそらく付近の小売商との関係などから見まして、かなり問題が出て来るのではないだろうかという点で、私はよほど慎重に考えて行かなければならぬものじやないかというふうに考えております。
  24. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 員外取引した分から上る利益を員外を除いたメンバーだけに配付する懸念があるとあなたはおつしやいましたけれども、もしその懸念がありますれば、これに法制化してもよろしゆうございます。今の二割なら二割というものは、今の消費生活組合が積極的にメンバーを獲得するために各国で行つていることでありますが、ただその剰余金は員外取引の方にももどしてやる。実際この制度の中でやつておりますのは、員外取引の方にもいわゆる利用しました分量に対しまして剰余金をもどしてやります。その剰余金をもどす際に、それを出資に振りかえるという措置をやつております。ですから、今言つたきわめて山間僻地の特例だけでなしに、やはり消費組合運動自身の一つの要素として、員外取引をある制限のもとに許容するということが望ましいと思うのです。ですからそれを無制限に、どつちかというと員外の方が本来の組合員の利用率より多いというようなことでは困りますけれども、ほかの協同組合にも例がございますから、その点は二〇%なら二〇%に制限するということと、それから員外者の利用分に対しても剰余金を配分する、こうした法的規制を設けてその点を調和していただくような措置が望ましいと思うのです。そういう法制的な問題は、ちようどここに長谷川さんもおられますし、厚生委員会の方で検討していただいて、そういう今の前提的な事柄は御了承をいただかないと、渡邊主税局長は、今の員外はいけないものだと頭からきめてかかつていますけれども協同組合の各国の例は、そうしたきゆうくつなことをしておりません。しかしその本道を踏みはずすこともしていないのであります。ですからその点に関する限りは、渡邊さんの再考を私は要望せざるを得ないのであります。
  25. 渡邊喜久造

    渡邊政府委員 どうも私の方で調査しました幾つかの事例が、あまり好ましくない組合を調べたのかどうか知りませんが、私どもちよつと調べた結果によりますと、今平岡さんのおつしやつたように、だれに幾ら売つた、それが組合員の甲乙内に売り組合員外である丁戊に売つた、こういうことがはつきりしておつてこそ、今あなたのおつしやいますように、あるいは将来の分配金を出資に振りかえるということが可能なのかしれませんが、私の方で調べた幾つかの例は、全部がほとんどそうだつたのですが、だれに売つたなんということまで全然書いていないのです。しかも現金売りなんです。その人が組合員であるかないか、奥さんは始終買いに来てくださるから顔はわかるけれども、旦那さんが買いに来たときに、これは組合人であるか組合の人でないかわかりませんから、私のところでは同じように売つておりますといつたような調子で、しかも現金売りですから、だれが幾ら買つたということはてんでわかつていない。私、あまりものを知りませんけれども、ロッチデールの組合などの歴史をいろいろ伺つてみますと、これはとにかく販売する値段は、普通の市場価格と同じ値段で売つて行く。同時に決算期になつて各組合員に対して、その売上高に応じて適当な払いもどしをする。これが消費組合の一番いい、健全な発達を促す姿であるというふうに伺つておるのですが、どうも私の方で調べてみました幾つかの事例は、そういう払いもどすも払いもどさないも、あるいは組合員のどなたに売つたということが大体わかるわからぬというよりも、その従事していらつしやる方自身があまり関心を持つていらつしやらない、こういうふうな状態になつております。それは、お前の言うのは一番悪い例ばかりあげるのではないかとおつしやいますが、東京の地域の組合員の中には、どうもそれが相当多そうだ。そうしますと、今平岡さんのおつしやつた意味はよその国に限られ、——日本にも私はそういう組合もあると思いますが、例にあげられるような組合の姿と現実の組合の姿とは、かなり隔たつたものがあろう。従いまして、もちろん厚生省でいろいろ監督していただいて、あるいは指導していただく方についてもいろいろな改善が必要であろうと思いますが、同時に税法の方におきましても—万事厚生省にお願いしてしまつて、こちらの方はただそれに乗つかつて行くというだけでは、おそらく負担の均衡の上から言いまして、隣同士の小売屋さんの方から、私どもの方だけなぜそんなに税金を納めなければならぬのだろうかということが出て来る。これが一番私のおれておる問題でありまして、協同組合法の方は協同組合でありますが、税法の方としましても何か考えて行く必要があるのではないだろうか、こういうふうに考えております。
  26. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 要するに今のゾルレンとしての協同組合論と現実のザインとしての協同組合論との食い違い、しかし揺籃期にはそういう点もあります。でありますからその点を、目をつぶつてでなしに、指導して行くという建前か必要であると思います。そこで今あなたが言われたような懸念があるので、今度厚生省の方でそれを制限する規定を出して来ておるのですから、去年の十六国会の場合とそこだけ違うわけで、その点を渡邊さんから去年と同じ答弁を繰返されてもらつても私は困ると思います。  それからもう一つの問題は、今度は地方税法が改正になりまして、そこで出資配当に対する課税分がまた重課されて来て、追討ちをかけるような問題も出て来ております。でありますから、どうしても本法といいますか、国税としての今の消費組合課税は、やはりこの機会に改めてもらわぬと、われわれが望むと逆な結果の重圧が消費組合にかかるわけです。それから今あなたはそういうふうな消費組合だか何だかさつぱりわからぬやつが横行しておるということをおつしやつております。ですからそれは取締ればいいわけです。それは、消費生活協同組合の適格欠如者として除外すればいいのです。ですからその点、今のあなたのおつしやるりくつが消費生活協同組合に対する租税特別措置を妨げる理由にはならぬと思う。だからその点を明確にしておきたい。要するに、それは今の厚生省の指導と監督に信頼されて、やはり善意な立場においてこの問題を取扱つていただきたい。渡邊さんのおつしやるように、それは消費組合以前の問題である。どうぞお願いします。
  27. 千葉三郎

    千葉委員長 内藤君に発言を許します。
  28. 内藤友明

    ○内藤委員 今平岡さんの御質疑ですが、生活協同組合は、ねらいはできるだけ生活費を切り詰めようということなんです。それは現実には少し悪いものはあるか存じませんけれども、そういうねらいを持つておるものを育て上げて、できるだけ日本の生活が楽になるようにしてやつたらどうですか。そんなものをいじめてみても、税金は一千万円かなんかで——ちよつと局長はあまりえげつないような、涙も何もないようです。これは皆さんの同意を得て、この前からの約束なのだから、ぜひ特別措置法の中に入れたいと思うのですが、それはひとつお含み置きを願いたいと思います。  そこで委員長、議事進行についてお許し願いたいと思うのでありますが、実はずいぶんたくさんの法律をこの委員会は抱いておるのでありまして、だんだんと日も切迫して来まするし、一生懸命にこの法律の成立にお互い協力いたしておるのであります。そこできようの午後からでも、委員長の御配慮によりまして、全員の懇談会をひとつお開きいただきまして、腹の底から党派を超越してゆつくり相談を申したいと思うのでありますが、皆さんにお諮りいただきまして、もし皆さんの御賛成を得ますれば、委員長でしかるべくおとりはからいいただきたい、この動議を提出いたします。
  29. 千葉三郎

    千葉委員長 ただいまの内藤君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  30. 千葉三郎

    千葉委員長 御異議ないと認めます。さように決定いたしますが、時刻は何時にいたしましよう。   〔「二時半」と呼ぶ者あり〕
  31. 千葉三郎

    千葉委員長 午後二時半からにいたします。  それから秘密ですか、公開ですか。   〔「秘密」と呼ぶ者あり〕
  32. 千葉三郎

    千葉委員長 それではさように決定いたします。   休憩いたします。    午前十一時五十八分休憩      ————◇—————