○平岡委員
生活協同組合法
改正の厚生省案が目下
厚生委員会で審議されておりまして、その結果
租税特別措置法中
消費生活協同組合に対する
課税につき、特別な措置をとらるべき旨が申し入れられておるのであります。その
趣旨につきまして、先ほど
厚生委員の
長谷川保氏からるる説明がありました。私はこのことに関連しまして、
政府の意向をただしたいと思
つております。
まず私は、
消費生活協同組合に現在
課税されておることが異例であろう、かような
考えに立
つております。率直に申し上げまして、
協同組合に対する
課税というものは、少くとも流通過程における点を
考えまして不当である、かように
考えております。具体的に言いますと、今のいわゆる小売のマージンとか問屋のマージンとかを組合員に
利益として配分するという限りにおいては、これは消費者の生活の合理化運動でありまして、決して
課税の対象になるべき筋合いではないと思うのであります。それから、その
消費生活協同組合がその運動を進展させて行きまして、自己生産の段階に入
つて工業生産をや
つて行く場合、このときには、やはり他の私企業の生産工場との均衡上
課税さるべきことはやむを得ぬと思います。そこで先進国を見ましても、デンマークにおきましても、それからスエーデンにおきましても、イギリスにおきましても、今の流通過程における消費組合運動に対しての
課税はや
つておりません。ただやつた事実があるのは、戦時の特例法としまして、イギリスにおいて
課税されたことがあります。日本もそれになら
つて、戦時中の特例
規定として
課税されて来たということを思い起していただきたいのであります。すでにその要素がなく
なつておりますから、戦時特例は現在は必要ではございません。そこであるべき元の状態に復元するのが至当であろう、かように
考えております。ただ、昨年本
委員会におきまして、
消費生活協同組合の
課税を特別措置によ
つて軽減してくれという
申入れがあつたにもかかわらず、単なる
附帯決議でその
趣旨を尊重する点が明記されただけであります。そのときの
理由というのは、
主税局長からその
程度にとどめるよりほかはないという
理由としましてあげられたことは、員外販売の弊害があるということと、それから
消費生活協同組合の名をかた
つてというのですか、名において、普通の小売業者が特定の官庁なり、あるいは学校なりの
消費生活協同組合の請負をや
つて、そこで普通の小売商に対して不当なるフェーヴァを与えることはいけないという点が
指摘されたのであります。そこで私は昨年のその事情を顧みまして、その点について現在の
状況と比較して、今回この機会に、やはり特別措置によ
つて消費組合には
課税せぬということをくぎを打
つていただきたいのであります。第一に、現在厚生省案として審議されている消費組合の
改正案におきましては、いわゆる擬態的消費組合、つまり小売商が消費組合の名をかりて営業するという点の弊害を除去するために
改正案の第三条の三項におきましてそのことを禁止しております。第三条の第三項において今の名前を貸すことを禁止いたしております。ですからそのおそれも何らございません。それから員外販売の問題です。員外販売の問題は私は
消費生活協同組合の純粋な
立場において認めらるべきである、こういう見解を持
つております。それはどういうことかと申しますと、要するに
消費生活協同組合は合理的な仕入れによ
つて配給すべき物資の価格を安くするということがねらいでありまするから、いわゆる営業技術におきまして、商品のミニマム・コンペテイシヨンを必要とします。そこで揺籃期にある小さな
消費生活協同組合におきまして、やはりミニマム・コンペテイシヨンを満たす条件として、多少の今の員外販売を認めてもらわなければ困る点があります。その点が消極的な
理由です。それからもう
一つ積極的には、
ちようどスエーデンがや
つていますように、
消費生活協同組合は、メンバーがふえればふえるほど合理化されますから、そうした点から、いわゆる員外者にも販売しまして、およそ一年のうち二回くらいの期末に、その利用
分量に比例して、今のいわゆる余剰品が消費者に返される際に、その余剰品を保留いたしまして、今の員外者をほんとうのメンバーにして行くという仕組みに
なつておりますが、そうした点で積極的な
理由もあるのです。ところがこれは、小売商とかそういう問題との相対的な観点から
政府も考慮しなければならぬことも私わかります。そこで今言つたように、員外販売はまかりならぬというようなことに頭を固定させて行く点だけはひとつやめてほしいのです。それを御
承知の上で、実際の問題として小売商との権衡をはかるための
配慮を必要とする、こういう相対的な
意味でのあなた方の議論でしたら、これに対してその問題をなお討議して行くということには、われわれはやぶさかではないつもりです。そこで今の問題点の員外販売の弊害というものをどこで調和するかということになりますが、私は、先ほど
主税局長が
長谷川さんの
質問に対して、員外販売の問題に対しての制限というものが与えられる限りにおいては、この
租税特別措置法において、
消費生活協同組合のための免税措置をとる点に対して大いに好意的
検討を加えるというふうに承
つたのでありますが、今まで
消費生活協同組合以外の
協同組合に員外販売を二〇%までは認めるという
規定があります。ですから、そうした点を今度の
消費生活協同組合法の
改正に
厚生委員会の方で盛
つていただきまして、そこで
租税特別措置法による緩和を
考えていただきたい。具体的に申しますと、
消費生活協同組合の現行法では、第十二条の三項で員外利用を禁止しておるのです。ですけれ
ども、私がただいま申し上げましたような消極的
理由並びに積極的
理由から、この全面的な員外利用の制限を二〇%くらいに緩和しまして、そういう措置の上で今の税法上の臨時措置を
考えていただきたいということであります。
それからもう
一つ予想される
一つの反対は、こういう点であろうと思います。それは中小企業等
協同組合というようなものが、又これを機会に免税要求を出して来やせぬかというようなことをお
考えに
なつておろうと思いますしかし今の
消費生活協同組合は中小企業等協同組とは画然と異なる特質があります。それは
消費生活協同組合は営利を自的とする事業を行
つてはならないということを
規定しておるのであります。その点で十分区別される
理由があります。私はこういうような点を当局においてどうぞ御勘案くださいまして、この今回の
改正に、ぜひこの消費組合に対する減税特別措置をや
つていただきいと思います。大蔵大臣が今の施政
方針の大綱としまして、いわゆる生活の合理化ということを声を大にして主張されております。私は今の予算の性格がいわゆる財政インフレであり、また金融デフレである性格にかんがみまして、消費者自身の
一つの生活の防衛が、この
消費生活協同組合を通じてなり、こうした今の当局の施政
方針というものに対応して出て来る機運が醸成されなければならぬと思います。今の予算では財政インフレ、金融デフレの性格があるわけですから、こうしたところで大蔵大臣の意向に沿うためにも、こうした消費者の自主的な生活の防衛態勢、合理化態勢というものは大いに育成をしなければならぬと思います。こうした
意味におきましてこの点を当局は積極的に御
検討くださいますよう特に
お願いします。
それから
課税の特例法で
消費生活協同組合のためにする
租税特別措置がなされたとしましても、連合会並びに単位組合で減税さるべき
金額はわずかに千二百九十八万にすぎません。ですから
影響もございません。しかし
協同組合自身の持つ好ましき萌芽は、減税の少額とは逆に無視できないのでありますから、この点は特に御
配慮をいただきたいと思います。
主税局長の御答弁を願います。