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1954-03-18 第19回国会 衆議院 大蔵委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月十八日(木曜日)     午前十時三十八分開議  出席委員    委員長 千葉 三郎君    理事 淺香 忠雄君 理事 黒金 泰美君    理事 坊  秀男君 理事 山本 勝市君    理事 内藤 友明君 理事 久保田鶴松君    理事 井上 良二君       宇都宮徳馬君    大上  司君       大平 正芳君    小西 寅松君       苫米地英俊君    福田 赳夫君       藤枝 泉介君    堀川 恭平君       池田 清志君    小川 豊明君       佐々木更三君    春日 一幸君       平岡忠次郎君  出席政府委員         大蔵政務次官  植木庚子郎君         大蔵事務官         (主税局長)  渡辺喜久造君         農林政務次官  平野 三郎君  委員外出席者         農林事務官         (食糧庁業務第         一部需給課長) 大口 駿一君         (農林技官食糧         庁業務第二部輸         入業務課長)  大石  碩君         専  門  員 椎木 文也君         専  門  員 黒田 久太君     ――――――――――――― 三月十七日  経済援助資金特別会計法案内閣提出第一〇四  号) の審査を本委員会に付託された。 同日  繊維品消費税創設反対に関する陳情書  (第二〇〇三号)  同  (第二〇〇  四号)  同(第二〇〇五  号)  同  (第二〇〇六号)  同  (第二〇〇七号)  同(第二〇  〇八号)  同(  第二〇〇九号)  同  (第二〇一〇号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  所得税法の一部を改正する法律案内閣提出第  一五号)  法人税法の一部を改正する法律案内閣提出第  一六号)  相続税法の一部を改正する法律案内閣提出第  一七号)  酒税法の一部を改正する法律案内閣提出第一  八号)  印紙税法の一部を改正する法律案内閣提出第  一九号)  砂糖消費税法の一部を改正する法律案内閣提  出第二〇号)  骨牌税法の一部を改正する法律案内閣提出第二  一号)  酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律の一  部を改正する法律案内閣提出第二二号)  物品税法の一部を改正する法律案内閣提出第  二九号)  入場税法案内閣提出第三〇号)  しやし繊維品課税に関する法律案内閣提出  第三九号)  租税特別措置法の一部を改正する法律案内閣  提出第五三号)  揮発油税法の一部を改正する法律案内閣提出  第六一号)  関税法案内閣提出第六五号)(予)  国税徴収法の一部を改正する法律案内閣提出  第六七号)  関税定率法の一部を改正する法律案内閣提出  第七一号)  経済援助資金特別会計法案内閣提出第一〇四  号)     ―――――――――――――
  2. 千葉三郎

    千葉委員長 これより会議を開きます。  まず昨十七日当委員会審査を付託されました経済援助資金特別会計法案議題として、政府当局より提案趣旨説明を求めます。植木政府委員
  3. 植木庚子郎

    植木政府委員 ただいま議題となりました経済援助資金特別会計法案につきまして、提案理由を御説明申し上げます。  政府におきましては、このたびアメリカ合衆国政府との間に締結いたしました経済的措置に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定を本国会に提出いたしまして、御承認を求めているのでありますが、本協定に基いて、米国余剰農産物購入の見返りの円資金のうち、本邦工業助成その他経済力増強に資する目的のためにアメリカ合衆国政府から贈与される金額をもつて、新たに経済援助資金を設置し、その資金に関する経理を明確にするため、特別会計を設けることが適当であると考えられますので、本特別会計法案提出いたしました次第であります。  次に、本特別会計法案の内容について簡単に説明いたしますと、経済援助資金は、前述の贈与円資金及び資金運用収益金等をもつて充て、工業助成その他本邦経済力増強に資するため必要な費遂にこれを運用または使用することとし、また本特別会計は、贈与円受入金運用資金回収金運用収益金等歳入とし、資金運用または使用のための支出金を歳出としてその経理を行うことといたしているのであります。  以上が、この法律案提出いたしました理由であります。何とぞ御審議の上すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。
  4. 千葉三郎

    千葉委員長 次に本日の日程にあります所得税法の一部を改正する法律案外十五税制改正法律案一括議題として質疑を続行いたします。質疑は通告順によつてこれを許します。まず春日君。
  5. 春日一幸

    春日委員 主税局長にお伺いをいたしますが、二十九年度租税及び印紙収入予算説明書の十四ページによりますと、この法人税法の中で、更正決定増差分というのを初めから三百四十一億七千二百万円、これは二十九年度実際申告見込み税額千五百五十三億の二〇%で、これだけは更正決定するということで、初めからこの予算が組まれております。なるほどこれは従来の実績にかんがみというふうにうたつてはありますが、こういうように初めから申告したものに対してさらに二〇%は更生決定をするのだ、こういう政府態度をここに宣言したようなものではないかと思う。そうしますと、納税者の側では、かりにこれだけ申告したところで、しよせんは二割高目更正決定が来るのだから、さすれば実際の収入よりも二割減らして申告しなければつまらない、こういうことで、初めから二割過小申告をして来ることを慫慂するような形になり、しよせんは人情の帰着するところ、当然そういうような経過をたどるのではないかと私は思うのであります。従いまして、明らかに更正決定による増収分があるならば、これは自然増収として期末に処理すべきものであつて、初めから納税者たち過小申告するに相違ないものとして、これだけのものは更正決定するのだということで予算を組まれるということは、税法の建前上、納税者というものはインチキを行うものであるという前提の上に立つて予算を組むやり方ではないかと思うのでありますが、これに対して主税局長の御意見を承りたい。
  6. 渡辺喜久造

    渡辺政府委員 今春日委員お話、私たちも相当検討してみたいと思つておりますが、元来予算見積つております基礎になつておりますものは、まずもつて申告所得税——申告分がどれだけの実積があつたか、これを実はもとにしておりまして、その申告分につきまして、その後における生産物価変動等を加味しまして、一応申告分による納税額というものをまず出して行く。この申告分につきまして、これと多少時期的にずれておりますが、見合つております分につきまして、相当更正決定があつた従つてわれわれとしましては、あらかじめどれだけの更正決定をするということの成心を持つているわけではございませんで、申告が大体正しい申告であれば、もちろん更正決定をする必要は全然ないわけでありますが、ただ基礎にとつております申告につきまして、過去において相当更正決定があつた。従いまして、考え方といたしましては二つあるわけでありまして、一つは、この申告税額につきまして、これは税務署調査し、いろいろ更正決定のあつたその金額に比べますと、相当縮まつた金額でありますから、ここのところでもつて更正決定実績などを考えまして、一応あるべき姿を出しまして、そうして目下の生産の状況を加味いたしまして計算する方法一つあろうかと思います。それからもう一つは、現在やつておりますように、過去における申告実績更正決定実績を見まして計算する方法、これが一つあろうと思います。それでお話のような観点を考えますと、むしろ申告額もとにしまして、そうしてその以前における更正決定実績等考え、あるべき申告額の姿を出しまして、歳入を見込んで行く、これが一つ方法だと思います。ただ過去の経験によつてみますと、どうも申告の場合における税金の納まつておる割合、すなわちわれわれの方で徴収率と呼んでいますが、この徴収率更正決定徴収率との間には、どうも更正決定の場合の徴収率の方がずつと落ちておるような実績がありますので、これを一緒にして計算することにおきましては、そこに見積りに誤差が生ずるということも考えられますので、一応こういうような姿で計算しておるわけでありますが、税務行政といたしましては、この更正決定の多いことはもちろん好ましいことではございません。申告が正しくあればもちろん更正決定の必要がないわけでございまして漸次申告も改善されて来ておることはわれわれ認めておりますが、なかなかそう一挙に改善されるわけにも参りませんので、従来の例によりまして、申告分についての実績もとにしまして申告納税による分を一応推算し、同時に更正決定実績に従いまして、更正決定による収入分見積る、こういうふうにわけて計算しました方が、見積りといたしましては正確な見積りに到達できるのではないか。従いまして、春日委員お話にありましたように、あらかじめこういう見積りがしてあるから、税務署としては当然二割更正決定すべきものであるというような趣旨をもちましてこうした決定をするという意味のものでは全然ございませんで、そこはもつぱら税法の規定に従いまして、正しい申告であればもちろんこれを是認しますし、そうでなければ更正決定という問題が出て来る、これは春日委員よく御承知の通りであります。
  7. 春日一幸

    春日委員 私は、ただいまの答弁ははなはだけしからぬと思います。少くともこの主税局は、税金徴収基準法をつくるところであります。これが二割の過小申告があるか、一割の過小申告があるか、あるいは正しいものであるかどうかということは、これは主税局ではわからない。それは国税庁所管事柄であろうと思うわけであります。従いまして、あなたの方で初めからこういう一つの推算をされるということは、これが末端税務署ではどういう影響を受けるかということについて、あなたはお考えなつたことがあるでありましようか。たとえば本年度法人税の総申告額が、一応千五百五十三億あるであろうということがあなたの方でここに見積られておるけれども、末端税務署においては、個々申告に対して、これが千五百五十三億の中のどの程度のものに当るかということはわかりはしない。従つてこの予算書を読んだところの税務署あたりにおいては、いずれにしてもこれは二割の過小申告があるのだから、従つて更正決定増差分の二割が予算見積られてあるのだ。従つてその申告に対してやはり二割というものを更正決定する方針をとるのでなければ、結局この予算額というものは、すなわちここに書いてあります千八百七十六億ですか、こういうものには到達し得ない、こういう考え方を持つに至るのは当然であります。あなたは首を振つておられますけれども、しかし現実の問題としてこういう申告があつた場合、増差分として二割というものは更正決定ができる、これは過去の経験、実績に徴してそうだ、こういうぐあいに予算が組まれておるのだから、個々申告を見てまず疑つてかかるというのが——主税局ですら疑つてかかるのだから、徴税の現場にいる税務署員が疑つてかかるのは当然であります。それで、やはりその二割というものは更生増額決定をするのでなければこの予算の額に合致しない、こういうような潜在意識をもつて調査するということは、これは当然の傾向であろうと思う。そうすれば、まじめに申告した人は二割加重の決定を受けることになり、こすく二割を減らして申告した人は、ちようどそれでとんとんということになるのである。私はあなた方が予算積算にあたつても、過小申告があるかないかというようなことを前提にするということは、考えてはならないと思う。現在の税制は、とにかく徴税制度民主化ということで、個人においても申告納税という一つの基本的な立場は明確に打立てられておるのだから、法人といわず個人といわず、その申告して来たものは正直なもの、こういうぐあいに考えて、せめて予算だけはお組みになる必要があると思うが、これに対してどういう御見解をお持ちになつておるか、御答弁願いたい。
  8. 渡辺喜久造

    渡辺政府委員 法律趣旨からいいまして、もちろん正しい申告を出していただくことになつておりますし、税務署といたしましても、この予算積算の問題とからみまして、あらかじめ二割更正決定で増加しなければならぬ、こういつたようなことは絶対にないと思つております。いろいろ御心配になつているようですが、そういうことにつきましては、十分そういうことのないような指導を国税庁としていたしております。この予算積算の場合におきましては、何といたしましても、まずもつてやはり実績的な基礎に基いて見積り積算して行く、こういうことになるべきだと思いますが、そういたしました場合におきまして、一応われわれの手元にある数字、これはもちろん国税庁にその数字があり、それをわれわれはとつて使つているわけでございますが、その数字がそこにありますように、二十七年の十月から二十八年の九月までの実績であつたわけであります。その申告額が千五百六十九億であります。ところが二十七年十月から二十八年九月までの実績というものにつきましては、その後の調査をして参りますと、遺憾ながらある程度更正決定の必要がある。従いまして考え方は二つあるわけでございまして、先ほど申しましたように、この申告額自身を一応過去の実績として、更正決定のそうした事実があるのですから、これはあるべき姿であるというふうにここから直して積算をして行く方法があると思います。それからいま一つやり方は、われわれが現在やつておりますように、申告額はそのまま一応過去の実積としてとりまして、そして物価生産変動考えながら申告の分を計上し、同時に更正決定による分を別途計上する、それの二つをわけて計上しておりますゆえんのものは、先ほど言いましたように徴収率等を考慮してやる、こういうやり方の方が正確な見積りができるであろう。ただしかしこの予算積算見積りというものと税務行政の実際との問題は、これは直接の結びつきはないわけでございまして、たとえば物価動きにしましても、生産動きにしましても、現実動きがこの見積り違つてつた場合におきましては、やはり現実動きによつてもちろん課税はなされるわけでありますし、正しい申告であれば、それはそのまま税務署としても是認すべきものでありますし、正しくない申告であれば直す、こういう問題が起るわけでございまして、現実税務行政といたしましては、春日委員が御心配になつておりますような事態はないと申し上げていいと思います。
  9. 春日一幸

    春日委員 あなた方は国家権力をもつて、捜査、臨検、告発権をもつて納税者に臨むのでございますから、あなた方がこれだけとろうと思えば思つただけとれることは、これはあなた方がそういうものすごい権力を集中されておる立場において、そういうことになるでありましよう。けれども私が申し上げたいことは、申告納税制度というものが現行徴税行政一つの基本的な考え方であるとするならば、やはりこういう予算積算の当初から二割というものは必ず過小申告して来るのだという立場予算を組まれるということは、これは申告納税制度そのものを死文に化せしめるものであるということを私は指摘しておる。これは法人税法ではそういうことでありますが、さらにわかりやすく言うならば、個人の場合なんかどうです。たとえば三月十五日で予定申告は締切られたと思うのだが、それにさきがけて各税務署は、お知らせ額というものを全部申告の事前に納税者に発送しておる。あなたの本年度税額はこれこれであります。だからこれに対して申告してください、こういう影響力を与えておる。大体このお知らせというようなものは、一体いかなる法律の根拠によつておやりになつておるのか、私はまずその点から明らかにして行きたいと思うのであります。税法が改正されて、自分の利益のあつた分を民主的に申告するのだという考え方税制民主化が一応はかられてはおるのだけれども、しかしお知らせ額に達しない申告に対しては、更正決定をもつて臨んで行く、こういうことであるならば、この申告納税制度というものは根本から何ら権威を有しないものである。のみならず、法人税においても現実に二割というような過小申告があるので、個人に対するお知らせ額とあたかもうらはらをなすような更正決定がやがて行われるであろうということが、この予算積算の中に明確に意思表示がされておる。このことは、末端税務署員がこれの影響を受けて査定に当ることは当然であります。それでもなおかつあなたの方は、納税者申告が尊重されて、そして申告納税制度方針を堅持しているんだと坑弁ずることができるでありましようか、私はもう一ぺん御答弁を承りたい。
  10. 渡辺喜久造

    渡辺政府委員 お知らせの点につきましては、国税庁の方で御答弁申し上げるのがいいのかもしれませんが、一応私も知つておりますので御答弁申し上げます。今年もどの程度つておりますかはつきりいたしませんが、過去におきまして、納税者に対しましてお知らせしておりましても、これで申告してくださいという意味お知らせはしていないと思います。税務署で調べたところによりますと、あなたの所得はこの程度になるように思いますということを、御参考お知らせしますという意味で申し上げているのでして、それで申告しなければすぐ更生決定だという意味お知らせしているわけではございません。と申しますのは、税務署調査といたしましても、それがほんとうに正しい調査であるかどうかということについては、まだ自信がないわけでございますから、ただ調べましたところにおいてはこういう結果になるということだけを、納税者申告なさる場合の一種の参考意味お知らせしている。ただこういう意味につきましても、今春日委員からいろいろ御批判もございましたように、いろいろ誤解を受けるような面もございますので、従つていういうお知らせもできるだけ順次やめて行こうということで、国税庁としましては、この分も漸次整理して行く方向に進みつつある、こういうように国税庁長官から私は聞いております。
  11. 春日一幸

    春日委員 そのお知らせ額なるものは自信がない、自信がないからそれを強行しようというような方針はとつていない、こういうようなことを言つておられるようですが、まさしくその通りであります。少くとも個人に帳簿はないのだから、本人自体でもはつきりわかつておられない。いわんやそれを遠くからながめるところの税務署員、あるいは税務署に、それに対して現実にはそれぞれお知らせ額を明示しておるが、わかるはずがない。わかるはずがないものをお知らせとして発送しておる現在の徴税方式がけしからぬと私は申し上げているわけであります。現実にはわれわれは町の中に住んでおつて、そういう実情は手にとるごとくにつぶさにわかるのである。そういうような確信のないところのお知らせをお出しになるということ自体がはなはだ非民主的であるということを、私は指摘いたしておるのであります。私は少くとも官庁が確信のないような数字を出して、何のために納税者に対して悪い影響力を与えるか、そのことはすなわち申告納税制度を攪乱するやり方であると思われる。現実にわれわれのところへしばしば陳情も要請も受けておる事柄で、本年の三月十五日に締め切られたところの申告、これにはお知らせが昨年度実績の三割高、ひどいところはその五割高で、盲めつぽうにそういうものが表示されておる。従つて業者たちは非常に周章狼狽して、本年度は不況なんだ、金詰まりなんだ、それだからお知らせに準拠した申告をすることができない。こういう泣きの涙で税務署へ訴える。ところが税務署としては、現在あなたの方に組まれておりまする予算にも明示されておりまする通り所得税納税実額においては、本年度は昨年の当初予算額に比べて二百何十億、これだけの実際の実額を零細所得者たち個人所得者たち所得税について加重された形になつておるので、いずれにしても個人々々が昨年よりもとにかく何がしかの増加した申告をしなければならぬという立場において、その税務署お知らせ額なるものは、なかなか個人陳情に対してもしんしやくされるというようなことはほとんどない。それが問題となつておるのであります。私は現実の問題として、一方においてはそういうお知らせによつて年度よりも何割増しという申告をなさしめ、さらには一方それとうらはらになるところの法人税においては明確に二割高、こういうような明示をされるということは、すなわち納税者そのものは全部インチキをやるのだ、一方にはこういう考えをし、一方においては、去年の額よりも三百何十億を増徴しなければならぬのだから、何でもかんでもいいから、まあ去年の何割高という形でとにかく更正決定をしろ、こういうことをあなた方が頭からきめてかかつておられる態度ではないかと思うが、これに対してひとつ政務次官から御答弁をお願いしたいと思う。こういうような徴税行政が政治的に見てどうであるか。現行税制から考えて、これはあまりに非民主的なやり方であると思うが、それに対してどういうお考えをお持ちになつておるか、ひとつ植木政務次官から御答弁願いたい。
  12. 植木庚子郎

    植木政府委員 更正決定増差分の問題についての手痛い御意見でございますが、この問題につきましては、渡辺政府委員からも申し上げております通り、従来の過去の実績等にかんがみまして、この見込額の計算の立て方が、ちようど前年の税収その他を参考にして、そうして申告についてはどういう実績であつたが、その後いわゆる更正決定においてどういう程度に増加したかというような過去の実績を採用して、こういう露骨ではございますが、ありのままに計上しておるわけであります。この問題につきましては、今春日委員も仰せになりましたが、必ずしも納税者の方でも故意に過小申告をしようとする場合のみならず、事実上の問題として、やはり忘れておる、あるいは誤解しておる、そういうことのために申告過小になつておるという場合もたくさんあります。だからそういう場合と両方あわせて、それが実績的に前年の調査したところによるとこういうふうになるというので、こうした方法を採用しておるのであります。積算方法には、こういうようなことをやらないで、また別途いろいろ積算する方法もございましようが、しかしなるべく前年の実績に合つたようなやり方を採用することが、おおむね現在の社会情勢経済社会における実情を反映しているもの、こう考えまして、適実見積額をやるのにはこうした方がまず適切だろう、こういうことでこうしておる次第であります。しかしこれも渡辺政府委員がやはり申し上げます通り、必ずしもあまりいい制度とも考えられない。従つてお知らせ額等の問題についても十分研究をして、できるだけそういうものを減らして行こう、そういう方針をだんだん緩和して行こう、こういうふうに考えておる次第でございますから、その点御了承を賜わりたいと存じます。
  13. 春日一幸

    春日委員 それでは、まだ引続いてたくさん関連してお伺いしたいことがございますが、農林次官の御都合があるそうでありますから、一応そちらの方に譲りまして、あと引続いて御質問いたします。
  14. 千葉三郎

  15. 小川豊明

    小川(豊)委員 農林次官に御質問申し上げます。先般要求した資料の中で、トルコ米輸入資料を要求して、ここに資料が出て来ておるわけですが、このトルコ米が二十八年十月十三日に五千二百七十一トン輸入されておるわけです。そこで私どもこの政府の発表した輸入計画を見ておると、この輸入計画書というものには、このトルコから輸入するという計画がないのです。それがどういうことでこれを突然トルコから輸入するようになつたか、この点をお尋ねしたい。
  16. 千葉三郎

    千葉委員長 小川君に申し上げますが、平野次官は、今説明員が間もなく来るから、しばらく答弁を待つてもらいたいということなんですが……。
  17. 小川豊明

    小川(豊)委員 では砂糖です。これはわかりますか——それじや保安隊に払い下げた砕米の方はわかりますか。
  18. 平野三郎

    ○平野政府委員 実はきよう砂糖の問題、それから砕米の問題等についてのお尋ねがあるということでありましたが、事務的なことでございますと、こまかいことは私承知いたさないのでありますので、食糧庁長官並びに砂糖のことにつきましては食品課長、砕米の問題につきましては需給課長が来ておるわけでございますが、もうすぐ参りますから、ちよつとお待ちいただきたいと思います。
  19. 小川豊明

    小川(豊)委員 私の質問は、事務的な問題はあとでいいのです。だがここに輸入計画政府で立ててある。その輸入計画に、トルコ米輸入計画というものはないのです。それが突然輸入されていて、いろいろな事故を起してなるのです。そこで、そういう輸入計画があるのかないのか。ないならば、ないものをなぜ突然トルコから入れたか。この点は私は事務じやないと思うのです。決して事務じやないのです。その点を御承知ならば承りたい、こう思つておるわけです。
  20. 平野三郎

    ○平野政府委員 米の輸入に関しましては、もちろん年度当初計画というものを立てるわけでございます。実はトルコ米のことを私承知いたしておりませんが、そういう計画になつておりましても、なるべくならば政府としては良質の安い米を買いたい、こういうことで、世界各国に手配をいたしておるわけで、それに該当するようなものがありました場合においては、計画にないものでも、適当なものはこれを買い入れる、これはまたただ価格の問題ばかりでございませんで、いろいろ外交上の関係等もございまして、予定しておつたものが入らない場合もありまするし、また外交上の関係から、予定していなくても、急に適切なものが買えるようになるということもおるわけでありますから、従つて計画でありまするから、実施上の面において多少変更するということはあり得るのでございます。
  21. 小川豊明

    小川(豊)委員 計画になくても良質低廉の場合には買うことがある、それから外交上から特にそれを輸入することもある、かような御答弁ですけれども、私どもの見ているところでは、トルコから入れた米は良質低廉であるとはどうしても思えない。当時の輸入価格から見ても、低廉だとは思えないのです。しかも入つて来て、ほとんどが変質してしまつた。去年あれだけわれわれによつて黄変米、変質米の問題についてここで論議され、しかもまた入れた。そのほとんどがまた変質している。ここへ出て来ている資料とはなはだしく違うということを私どもは見ている。いま一つは、それならばなぜこういう計画にないもの、しかも入つた結果としてはこういう悪いものになつてしまつたか、これは、私どもの承知しているところでは、外務大臣の方から食管に対して、トルコから米を入れるようにという要請があつて、やむを得ず入れたということを風聞している。どういう必要で外務大臣はこれを要請したのか、この点も聞きたいと思う。これは外務大臣に聞かぬとわからぬと思うが、あなたの方でどういう要請を受けたかということをお聞きしたい。
  22. 平野三郎

    ○平野政府委員 トルコ米の問題について、外務大臣から要請を受けたことは何ら聞いておりません。また大臣から特にトルコ米を買えというような要請をすべき性質のものでもございませんし、そういうことはあり得ざることと思います。
  23. 小川豊明

    小川(豊)委員 それでは、外務大臣からそういう要請はなかつた、同時にそういうことはあり得べきことでない。こういうことになりますならば、前段は良質低廉なるがゆえに買つた、こういうように解釈していいですか。そういうふうに解釈せざるを得ないが、そう解釈して私の質問を進めていいわけですか。
  24. 平野三郎

    ○平野政府委員 政府としては、食管会計において扱つて行きまする上においては、原則として良質低廉なものを買いたい、こういうことで進めておるわけでございますが、いろいろ外交上の都合で、原則に反しない範囲において取引をすることが適当である。一面輸入をいたしますには、輸出振興ということもありまするが、輸入の道を開くことによつて、また一方において、通商貿易上輸出面において非常に益するところがあるというような場合においては、そういう面から貿易を進めるということもあり得ると存じますので、原則といたしましては、食管特別会計におきまして良質低廉なものを買うということを主眼として進めておるわけでございます。
  25. 小川豊明

    小川(豊)委員 私どうもわからなくなつてしまつた。外務大臣から要請がなかつた従つて、御答弁によると、良質低廉であるから買うというのか。今度は外交上そういうものでなくても買う場合もあるということになると、こつちからも悪質高価なものを送り得るという条件で、そういう低質高価なものも買うことが外交上ある。こういうことになるのですが、私はこれは外交上じやないと思う。
  26. 平野三郎

    ○平野政府委員 もちろん外交上の必要がございましても、悪質高価なものでもかまわないというようなことは絶対ございませんわけで、あくまでも原則は良質廉価であるということであります。ただ外交上の都合で、その原則に反しないときには、そういう取引を進めることも好ましい場合があるということを申し上げておるわけでございます。これは、御承知の通り政府といたしましては、なるべく輸出貿易上、国民全体の利益を考えるわけであります。従つてそれには輸出の振興という目的を達成いたしまするならば、非常によいわけでありますから、それに資するところがあるような場合においては、そういう点も考慮のうちに入れることは当然であると考えます。
  27. 小川豊明

    小川(豊)委員 その御議論は成り立たないと思う。国民全体の利益のためを考えるからこそ、良質低廉なものをお買いになるということならば私は納得が行くけれども、国民全体の利益を考えるがゆえに、悪質高価なものでも買い入れる場合がある、そういう議論は成り立たないと私は思う。  しからばお尋ねいたしますが、この五千何百トンかは、トルコから十月十三日に買い入れて入港しておるはずです。これは発地におけるスーパー・インテンデンスという会社と契約しておるらしく、この会社の検定書には〇・九五%ということになつておる、買付の条件が一%。ところが食糧庁の検定の結果五・一四%という変質を生じておる、しかもこの五・一四%の変質は実際はもつと大量の変質を生じておる。あなたの方でその処理に困つておる、こう承知しておる。聞いてないから答弁できないということで、またこの点は事務になるかもしれませんが、こういう悪質な米を輸入をしておるわけです。しかもこれに対してあなたの方は、トルコ側に対して何の損害賠償も要求してない。してありますか。当然一%であるべきものが、あなたの方から出して来たこの資料でも、五・一四%という変質を生じておる。だから当然これは食糧にならないのだから、それに対する損害賠償の要求をすべきであるにもかかわらず、あなたの方ではしてない。どうしてしてないのか、どうしてできないのか、この点をお尋ねいたします。
  28. 平野三郎

    ○平野政府委員 ただいまの御質問は、取引上の事実に基くことでございます。なお先ほど外務大臣の要請によつて計画にないところの悪質高価なるトルコ米を輸入したことも、事実に基く問題でございますので、私よく承知しておりません。今この方の事務を取扱つておる需給課長が出席いたしましたので、需給課長から御説明を申し上げます。
  29. 大口駿一

    ○大口説明員 私は輸入の方を担当しておりません。事務上私の関係ではございませんので、承知いたしておりません。
  30. 小川豊明

    小川(豊)委員 需給課長が来ているなら、需給課長でわかることをお尋ねいたします。  あなたの方で、保安隊の共済組合本部長木村篤太郎という人がある、(笑声)その共済組合の本部長の木村篤太郎という人の指定するものに対して、昭和二十八年二月、六月、九月の三回にわたつて砕米五百トンを保安隊員の菓子用として払い下げているわけです。そこでこの木村篤太郎という人はどういう指定権を持つてどういう人に指定したか、これを伺いたい。
  31. 大口駿一

    ○大口説明員 共済組合本部長の要請に基きまして、砕米の払下げを昨年実施いたしましたが、同時に保安庁の事務当局の方からも、事務上の連絡をいろいろいただきまして、私どもで事務をとり進めたのであります。
  32. 小川豊明

    小川(豊)委員 そうすると、トン当り五万五千五百円で払い下げをしておるわけでありますが、当時、二十八年の外米は百九十八ドルというから、七万二千円くらいになつておるかと思うが、当時の米の輸入価格はどのくらいであつたか、これをお尋ねしたい。これは金利その他諸掛を入れて発表していただいてけつこうです。
  33. 大口駿一

    ○大口説明員 払下げをいたしましたものは輸入の砕米でありまして、ただいまのトン当り百九十八ドル何がしというお話は、多分砕米でない普通の米の値段かと思いますが、払下げを実施いたしました砕米の輸入価格が現実に幾らであつて、その後の経費が幾らであつたかということは、私今ちよつと手持ちの資料がございませんので、取調べをいたしまして御報告申し上げます。
  34. 小川豊明

    小川(豊)委員 さらにお尋ねしますが、保安隊員の菓子用に五百トン払下げられた砕米を、今度は業者を指定して払い下げたが、この指定された業者というものが出ていない。この払い下げられた業者と保安隊をめぐつて、その後この米が横流しされて事件になつているはずですが、あなたはその経過を御存じですか。
  35. 大口駿一

    ○大口説明員 保安庁の共済組合本部長の指定を受けた菓子業者のうちで、昨年度若干事件に関係を持つた業者があるということは聞いておりますが、事件の内容のこまかい点につきましては、私実はまだ承知をいたしておりません。
  36. 小川豊明

    小川(豊)委員 私がこの点についてお尋ねするのは、非常に食糧事情が逼迫している中で、保安隊員の菓子用として砕米を出したとか、出さないとかいう議論は一応ここでおいても、その出された木村篤太郎という人が指定する業者なんだ。この木村篤太郎というのは、おそらく保安庁の長官だろうと思う。指定した業者がその米をよそに流して保安隊員の口に入るといつて入れた砕米が、保安隊員の口に入らず、よそへ流れてしまつた。しかもこれを流すについては、保安隊の給与を扱つている人も関係しておる、そういうことがありながら、——これはあなたの方でどういう措置をとつたのですか。これに対して、今あなたはそれをどう処理されたかよく知らない、事件があつたことは聞いておるけれども、どういうことをしたか知らぬというのは、それは無責任じやないですか。特定の業者に払下げられたものが横流しされている。前から政府の事故米についてあれほど議論して、そういうことは今後絶滅させるということをここで言明されておる。それが二十八年の、ついこの間ではないですか。二月、六月、九月に払下げられて、しかもこれが横流しされている。一体これについてあなた方はどういう処置をされておるか。今私がお尋ねすると、知らないというのですが、それは知らないでは通らないじやないですか。一体どうなんですか。
  37. 大口駿一

    ○大口説明員 先ほどお答えいたしました事件と申しますのは、保安庁の関係で、菓子業者と保安庁との間で事件の捜査が行われているということは、私聞いたことがあるわけでありますが、現実に菓子業者が横流しをしたという問題につきましては、私実は今日お尋ねがあるまで聞いたことがなかつたので、そうお答えいたしたわけであります。   〔委員長退席、内藤委員長代理着席〕
  38. 小川豊明

    小川(豊)委員 そうすると需給課長、さつきあなたは、そういう事件が起つたことを仄聞しているけれども、私は深く知らないという御答弁であつた。今の答弁では、そういうことが起つたのは今ここで初耳だというのは——あれは新聞にも出ているんですよ。それはどつちなんですか。
  39. 大口駿一

    ○大口説明員 事件が起きたことは存じております。事件の内容が、横流し以外の内容であるということは承知いたしておりますが、横流しという内容の事件は、私きよう初めて聞いたわけであります。
  40. 井上良二

    ○井上委員 砂糖消費税の問題に関連して質問したいのですが、ただいま小川君が質問いたしておりますことに関連があるのであります。農林次官及び需給課長は、わが国の本年の食糧需給が一体どういう状況にあるかということはよく御承知のはずであります。しかも大端境期を控えて、内地産米の供出は意のごとくならず、消費者への配給は日に日に内地米を削減しなければならぬ実情になつておる。そういうことから外米を必要量以上に輸入いたし、これの穴埋めをいたしておることは御存じの通りであります。私どもそういう日本の食糧事情の現実から貴重な外貨を使つて輸入します外米が、できるだけ効率的に配給されることを今まで強く政府に要望して来ました。ましてや今問題になつておる砕米の取扱い問題につきましても、できるだけこれを食用化して、これが主食の代替に使えるものは使えるような方途を講ずべきことを、政府にいろいろな方法で強く要望して来た。特に今問題になつております手持ち砕米の利用につきまして、政府は昨年これを主食の代替用として希望配給にし、差引配給の、何といいますか加工要綱案というものをつくりまして、それによつて差引配給を認めて来ておるわけであります。ところがそれはほとんど形式だけであつて、その後今申しますような、主食にこれを活用する道を積極的に推し進めずに、横流しになるような方向に使われておる傾向が最近非常に問題になつて来ております。今の保安隊にやつたものが横流しになつたという話でありますが、私はそこにおいでになります需給課長、あるいは伊東第一部長、あるいは食管長官に、これが主食化への方途を講ずべきである、そうしてこれを間食その他のものにできるだけ使わぬように政府として考えるべきじやないか、特にこの際——聞くところによると、この砕米を労働組合総評議会の方に一千トンから割当をするということであるが、これが労務加配米として活用されるならばけつこうであるけれども、間食用的なものに使われるということならやめた方がいいと思う、よく考えましよう、こういうことであつたわけです。ところがその後これが労働組合総評議会を中心にした方面に流されるということで、入札を許可しております。払下げを、指名随契ですか、それは名前は総評議会になつておりますまいが、もち菓子をつくります菓子屋が労働省を動かして、労働省の名前で農林省に一千トン要求したものを許可しております。あなたは需給課長として、そういうやり方が一体妥当なやり方とお思いになりますか。現実に食糧に活用できるものを、しかも外貨が不足してどうしようかというて非常に困つているときに、そういうものを間食用に流すというのは一体どういうことです。労働組合を中心にした、いわゆる労務加配米をもらつておる方面に間食用としてこれを一千トン払い下げした根拠は一体どこにあるのです。われわれは国会議員として、あなたにただいま申し上げましたようなことから、できるだけ効率的に食用化するようにということを申出た、そのときはまだ許可してない。その後あなたの方ではこれを許可したということはどういうことです。労務加配米を穴埋めするためじやありますまい。非常に国内に食糧が不足しているときに、あなた方みずから例の人造米なんというものをどんどんつくれと奨励までして、何とかひとつ国内の食糧をうまくやろうとして骨を折られておるときに、十分食用化できるものを、どういうわけでそういうことをされるのです。これはどういうことになつておりますか。確かに一千トン払い下げたのですが、それは一体どういう理由に基いてやつたのですか、その経過をひとつ説明願いたい。
  41. 大口駿一

    ○大口説明員 ただいまお尋ねのもち砕米の問題は、昨年の暮れに、労務者の労務加配米が、従来の例と比較いたしますと、本年度は量的には確保されておるが、外米の混入量が多くなつたというような関係で、質的に若干低下を来しておるという問題がありましたが、正月のもちだけは労務者に十分食わせたいということで、正月用のもちの配給にプラスをして、もちの砕米を労務者に配給いたしたいということで労働省の方からお話合いがありまして、当時年末にもちの砕米を積んだ船の入港の予定がありましたので、御要求の数量までは払下げはできないが、若干なりとも払下げをいたしましようということで、食糧庁から労働省の方に回答いたしたのであります。その後予定をいたしておりました輸入砕米を積みました船の出港が遅れまして、本年の二月にその当時予定をいたしておりました船が入港いたしたのであります。従いまして経過といたしましては、当初は正月のもち米の補填という意味で話合いを進めて参つたのであります。
  42. 井上良二

    ○井上委員 そうすると、食糧庁の正月は二月ですか。(笑声)正月のもち用として労務者に増配をしてやるという親心は、われわれは多といたします。多といたしますが、しかしながら正月を過ぎた以上は正月用としての目的は果されておりません。そうならば、当然そこで新しい用途を考えるべきであります。しかもこれが一体どういう経過をたどつてどういう荷さばきをやられておるか、あなたは御存じになつていますか。私はこのことについてあなたに注意をしたい。あなたの良心に対して注意をしたい。そういうことは中止されたがよろしい。そうして正規な配給ルートで流しなさい。そうして一日分でも半日分でも主食の配給を浮かすことが必要でありましよう、これを私はあなたに申し入れてあるはずであります。そういうわれわれの国会における注意もあなた方は耳に入れずに、一体あなた方はどこを信用して行政をやつているのです。そういうことをいかにお考えになりますか。国会の意見なんかどうあつてもいいとお考えになるか、それを伺いたい。
  43. 大口駿一

    ○大口説明員 船が実際に到着が遅れておりますときに井上先生からお話がありまして、私どもいろいろ内部で相談いたしたのでありますが、その後再三労働省の方から督促を受けまして、これは年末の時期は失しておるが、経過としては年末のもち米の特配という経過で始まつたことであるから、当初の予定通りに払下げを実施してもらいたいという労働省の方からの御要求もありましたので、払下げを決定いたしたのでありますが、しかし現在在庫いたしております砕米につきまして、できるだけこれを主食の代替用の用途に向けて活用をはかるということは、今後実施をして参りたいというふうに考えております。
  44. 井上良二

    ○井上委員 問題はそれが労務加配米を生かす上に使われるなら私はよいのです。今でもかまいません。ところがそうでなしに、間食用に貴重な外貨が使われておるではありませんか。われわれは間食をやらすために貴重な外貨を使つておるのではない、不足する米を輸入しておるのではない、そこをもう少し考えていただかなければいけません。しかもこれの運動をやつて来ておるのは労働省ではありません。裏には労働総評議会が運動しておることははつきりしております。お菓子屋が運動しておりますことははつきりしております。もしこれが横流しになつたらあなたは責任を持ちますか。そういう問題になつて来ますから、私はその点を非常に憂える。正規なあなたの方の配給ルートがあるのだから、正規の配給ルートに乗せ、もし労働組合なら労働組合が言うて来るなら、重要産業に対しては非常に彼らがえらいことであるからということで、労務加配米をお渡しになるならけつこうです。私はそこまであなた方のやつておることに干渉するのではないから、正規のルートで正規の方法で効率的に使つてもらいたい。御承知の、まるの精白を入れますならば、百八十五ドルくらいの金を出さなければなりませんけれども、砕米ならば百ドルそこそこで買えますから、そうしたらここで八十ドルも外貨は節約できます。それを一箇月に一ぺんくらい希望配給によつて末端に差引き配給しますならば、一日分でも助かります。また労務加配米も一箇月に一ぺんくらいはこれを活用してくれ、あるいは外米の中にこれを入れますならば、粘りが出て外米の効率も高まつて参ります。そういう効率的にこれを活用する道を開きさえすれば、この砕米の輸入はコスト的にもかえつて経済的であります。そういう面から、砕米を変な方面に流さずに、ほんとうに主食化して行くということが私ども必要じやないかと思う。この点をあなた方はまじめに御検討願わなければなりませんし、現にあなた方が配給確保要綱をつくつておやりになつておるのですから、それによつて十分やり得るのじやないか、そういう正規な方法をとらずに、間食的なもののために貴重な外貨を使われてはたまつたものではない。そういうことをやつておるから、外貨はどんどん雪解けのように減つて行くではありませんか。あなたは大事な国の世帯を握つておる者としてお考えにならなかつたらいけない。たとえば人造米をどんどんつくつて奨励までしようかというときではありませんか。それですから、ほんとうに足らぬときですから、よく国民に了解をしてもらつて協力を求める。そうしてそれをほんとうに効率的に使つて行くという線を出してもらいたい。こういう線について政務次官はどうお考えになりますか。こういうことをやらしますと、さきの小川君の事件にいたしましても、この事件にいたしましても、これが表へ出たら政府は責任を負わなければなりませんぞ。だからそれらの問題について、政務次官もお忙しいだろうけれども、よく政治的に及ぼす影響をお考えになつて、しかも国が当面している外貨節約という重要な点からももう少し考えてもらわぬと、食管が赤字が出たら一般会計から繰入れるの、あるいは食糧証券の増発を認めてもらうのと、そういうことならだれでもやれますよ。それだからもう少しそこはあなたの方で慎重にこの内容を検討して、ほんとうに貴重なものは貴重なものとして、ずつと効率的にこれを活用して行く道を政治的にもつと考慮すべきじやないか、こう私は思いますが、政務次官はどうお考えになりますか。
  45. 平野三郎

    ○平野政府委員 労働省の要請によりまして労務者に対する正月用のもちとしてとりました措置が、輸入船の入港が遅れましたために時期を失したという点は、まことに遺憾であると存じております。しかしながら、根本問題といたしましては、井上委員の御指摘の通り、主食の代替としてこれを進めて行くということが適当であると考えておりますので、御意見を尊重いたしまして、十分検討して、今後は遺憾のないように措置をいたしたいと思います。
  46. 春日一幸

    春日委員 議事進行について場……。この不良米、砕米の払下げ処置に関する問題は、今や国民の大きな疑惑にさらされておると思うのであります。わけてただいま小川君から述べられておりまする保安隊に対する五百トンの払下げ、この問題は、農林当局の答弁によつても何ら明確にされてはおらないのでございまして、相手の木村篤太郎氏がこれを一体いかなる方法で配給したか、現実の問題といたしましてこの問題は十分調査をいたしまして、国民に対してその疑惑のあるところを明快に解明しなければならぬと考えます。そこで、この五百トンの砕米が菓子屋に流され、この木村篤太郎が指定したところの菓子屋が横流しをすることによつて巨大な利益を収めておる。国民の乏しい外貨がこういう木村篤太郎氏及びこれに関連する菓子屋によつてその利益を壟断されたというような疑惑をこのまま残しておくことは重大な問題でありますので、本件については、すみやかに本委員会の名において、専門員その他適当な機関を動員して、その真相を調査いたされたい。しこうして次回本委員会に、その払下げをされた五百トンの砕米の配分された菓子屋の氏名並びにその数量、それからそこからできた菓子の消費された実情、さらにこの問題について、その横流しに関連した菓子屋並びにその事犯の実態、こういうものの調査報告を求めるものであります。  さらに加えて、ただいま井上委員から質問されておりましたところの労働省に対する一千トンの払下げ問題、これも同様菓子屋が横流しをしたことによつて相当の利潤が占められておる。しかのみならず、これに関連したところの人々によつて、それぞれ不正の事柄があつたがごとくにこれもまた流布されておりますので、これまた保安隊に関する調査事項と同様の調査をいたされまして、すみやかに本委員会にその資料を御提出されたいということを動議として提出をいたします。
  47. 内藤友明

    ○内藤委員長代理 ただいま春日君から動議を御提出なつたのでありますが、この件につきまして、後刻理事会において相談いたしまして善処いたしたいと思うのですが、いかがでありますか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  48. 内藤友明

    ○内藤委員長代理 それではさよう決定いたします。
  49. 小川豊明

    小川(豊)委員 それでは、この保安庁に対して菓子用として払い下げた五百トンの米の問題は、そういう動議があとで理事会で御決定になるということですから、それはおきます。  次に、先ほどお聞きしたトルコから輸入した米の問題をお聞きしますが、このトルコから入つた米がたいへんに変質してしまつた。これに対して私どもは、当然これはトルコ側に対して損害の要求がなさるべきだ、こう思うのですけれども、その損害の要求を政府はなされていない、なぜなされていないのか、その点をお尋ねいたします。
  50. 平野三郎

    ○平野政府委員 先ほど来トルコ米輸入に対しましてお尋ねがあつたわけでございますが、まだその間の経過につきまして、事実の問題でございますが、御説明申し上げておりませんが、ただいま大石輸入業務課長が参りましたので、その後の事実を詳細に御報告申し上げます。
  51. 大石碩

    ○大石説明員 その件につきましては、航行中の状況といたしまして、スエズ、シンガポール間において荒天が続きまして、波が甲板を洗うというような難航をいたしました。それから船体が非常に老朽しておるという事情もありまして、海水が非常に多く侵入しております。それでそのためにぬれ損を生じたものもはつきりいたしておりますが、その関係でハツチ内が高温を続けて参つた。ことに熱帯地帯を通過しておりますので、その間に非常な変質が起つたということに松本烝治先生等の御意見が一致して参つたわけであります。それでこの事故は、私どもとしては保険事故というふうに考えておりまして、トルコに対しては何ら求償すべきものはないのではないか。ことにトルコ側では、第三国的な機関でありますスーパー・インデンデンスという会社の検定証を添えておりますが、それには〇・九五%という黄変米の混入率になつておりまして、これは私どもの許容しておる範囲でございます。それがこちらに来て五%以上になりましたということは、その海水による損害によるものというふうに考えております。
  52. 小川豊明

    小川(豊)委員 私はここに物理的な変化と化学的な変化の二つが出て来ると思うのです。あなたの方で買い入れた米の中に、初めから変質しておるものが入つておれば、これは一つの化学的な変化になつて来る。それから熱帯地方を航行しておる、あるいは海水が入つたというような形での変化というものが出て来る。そこに責任がトルコ側にあるのか、日本側にあるのかという問題の分岐点が出て来る。それで、この場合船は十月十三日に入港しておるのですが、これは向うで買いつけて、輸送その他の問題は一切当方の日本側の責任としてこれを輸入しておるのか、それとも入港までの責任はどつちが持つておるのか、向うが持つておるのか、どつちですか。
  53. 大石碩

    ○大石説明員 現在までのところ、まだ船会社との間のはつきりした交渉は結末を出しておりませんが、日本側としては、船会社の責任として考えております。
  54. 小川豊明

    小川(豊)委員 私が今お尋ねしておるのは、向うで買いつけたがゆえに、買いつけたそのときから日本側の責任になるのか。入港するまでの責任を向うが持つのか、それとも、それは別個に輸送中のものは全部船会社の責任であるのか。今あなたの御説明では、トルコを出発して日本に着くまでは船会社の責任だ、こういうことになるのですが、その船会社はどこの船会社ですか。
  55. 大石碩

    ○大石説明員 ちよつと問題をとり違えましたので、恐縮でございますが、トルコを出ますれば、それ以後の事故につきましては全部日本側の責任でございます。(「EOBかCIFか」と呼ぶ者あり)FOBに基いて買つております。従つてその後の事故につきましては、トルコ側に求償するあれがありませんで、海難事故ならば船会社にという意味で申し上げたのであります。
  56. 小川豊明

    小川(豊)委員 そうすると、この船会社はどこの船会社ですか。
  57. 大石碩

    ○大石説明員 ギリシヤ船でございます。
  58. 小川豊明

    小川(豊)委員 そうすると、このギリシヤの船会社に対して、あなたの方は損害の請求をしておるわけですかどうですか。
  59. 大石碩

    ○大石説明員 取扱い商をして請求をさしております。しかし船会社としましてもいろいろな故障を申し立てて、その辺は今協商中であります。
  60. 小川豊明

    小川(豊)委員 そこであなたの方では、老朽の船であつたがゆえに海水等も入つた、あるいは熱帯等を通つて来ればこうだと言うが、熱帯を通つて来ることはわかり切つている。なぜ船会社と契約するときに、そういう海水の浸入するような船会社と契約して、そうしてこういう変質米を出すようなことになつてしまつたか。これに対してどういうふうに考えられ、どういう責任をとられるのか、その辺を伺いたい。
  61. 大石碩

    ○大石説明員 これにつきましては、今まで契約をいたしましたときに十分念を押しておりますので、この件につきましても、船会社としてはロイドの検定を受けておりますし。それでわれわれとしては、それ以上の保証を求めるということは現在でき得ない状態になつております。
  62. 小川豊明

    小川(豊)委員 あなたの方で老朽の船を頼んでおるのだ。そこでこれに対しては、老朽であるがゆえに、そういうことが当然考えられるから、あなたの方の責任として当然保険をつけるべきだ。その保険はどこへおつけになつて、幾らおつけになつたか。
  63. 大石碩

    ○大石説明員 取扱い商社は江商でございます。保険金額についてはすぐ調べますから……。
  64. 小川豊明

    小川(豊)委員 それでは、これは私の方で資料を要求しますが、第一ここには買い入れた条件は出ておるけれども、買い入れた価格が出ていない。従つてあなたの方では幾らで買い入れたかという買入れ金額、それからこの損害の額、それから保険を幾らつけてあるか、どれだけ要求をしているか、こういうことをひとつ資料として出していただきたい。それから保険会社が再保険をしてあるかどうか。こういう点をあなたの方から至急資料として出して  いただきたい。
  65. 大石碩

    ○大石説明員 至急提出いたします。
  66. 苫米地英俊

    ○苫米地委員 関連して。ただいまの質問応答を聞いておると、農林省は貿易というものをさつぱり知らない、無知だということです。いかなる貿易でも、船会社が船会社自身の大きな責任を負うべき理由がない限り、船会社に要求することはできないのです。それを要求しているなどというのは、これはおかしな話です。たとい船会社が火事を出しても、浅瀬に乗り上げても、沈没しても、その貨物の損害について船会社に要求することができないのです。これは政府が輸入するならば、どういう保険を幾らつけて送れと、こういう指定がなければならないはずなんです。それを保険をどこへつけたか、幾らつけたかわからない、こんな無責任な、貿易のいろはも知らない人が輸入課長さんだ。これはおかしいです。こういう大きな外貨を使つて重要食糧を輸入するときに、調べなければ保険会社がわからない、保険金がわからない、こんなばかなことがありますか。今後もあることですから、少し考えてください。こういうものを輸入するときには、FOBで買つたならば、それについているくな積出しの条件、保険金、すべて指定して輸入商に扱わせなければいけないのです。それを何もやつていないということを暴露しているのですよ。こういうようなことは今後もう少しおえ考になつた方がいいと思うんです。私は御注意までに申し上げておきます。
  67. 大石碩

    ○大石説明員 ただいま私船会社にと申し上げましたのは、私の誤りでございます。事故の原因について船会社とネゴシエートいたしておりますので、損害額の賠償は保険会社が対象になるわけであります。それから保険金額、積出し条件等については、全部ここに書類を持つておりますから、ただいますぐにでも書き抜いて申し上げます。
  68. 内藤友明

    ○内藤委員長代理 井上良二君。
  69. 井上良二

    ○井上委員 砂糖消費税の一部改正で、先般来から大蔵省といろいろ質疑をいたしておるのですが、この際農林省に伺いたいのは、砂糖消費税を昨年二割値上げをいたし、本年再び二割近い増税をいたす。この増税というものが砂糖価格の値上げに影響すると考えておりますか、影響なしと考えておりますか、これを伺いたい。
  70. 平野三郎

    ○平野政府委員 消費税が上りますれば、当然砂糖の販売価格に影響すると存じます。
  71. 井上良二

    ○井上委員 これは先般も申し上げたのですが、今日政府は国民の主要食糧を、政府の責任においては米だけ十五日配給をいたしております。従つてあと十五日は粉食によらなければならぬ。従つて粉食における砂糖の需要というものは、これは切つても切り離すことのでき得ない必需品になつております。この国民生活の中心をなします主食の価格についてそういう値上りを来すというような事態に対して、消費税がさらに拍車をかけるということについて、農林省はこの消費税の値上げに対して何らの意思表示をせずに来ましたか、意思表示をいたしましたか、それを伺いたい。
  72. 平野三郎

    ○平野政府委員 お話のように、粉食を奨励いたしまして国民の食生活を改善することが、今日必要なる重大政策でございまするが、それがためには砂糖の価格の低廉なることがもちろん必要であるわけでございます。しかしながら砂糖消費税の値上げによりまする砂糖の値上りというものは、家計に及ぼす影響はごくわずかでありまするので、この程度のことをもつて食生活改善の方遂に重大な影響が及ぶというふうには考えておりません。
  73. 井上良二

    ○井上委員 砂糖消費税の値上げが、砂糖の価格のつり上げの一つの要素になるということは事実であります。今日糖価がいろいろの思惑によつて暴騰したということの説明を承つておるのでありますが、その一つに、やはり砂糖消費税の値上げというものが一つの思惑の中に入つておることは事実であります。そうしますと、この糖価の値上げを来す一つの要素になる砂糖消費税の値上げに対して、砂糖価格全体の暴騰というよりも、国民生活にさほど影響を来さない、こういう見地から、この問題についてはさほど強力な反対的な意思表示はしなかつた、こういう意味に承れるのであります。先般来国会において、この糖価の暴騰問題に関連して、衆参両院ともこの問題に対する政府の指置を要求しているのはどういうわけですか。これが国民生活に影響なしとして論議をしているのと違います。この糖価の暴騰が直接国民生活に重大な影響を来すがゆえに、これが安定に必要な対策を政府に要求しておるのであります。その価格の暴騰の一つの要素となる消費税の値上げに対して、農林省がこれに何ら反省を促す発言をしないというのは、あまりに食生活に対する無関心とは言えませんか。そういうことになりませんか。
  74. 平野三郎

    ○平野政府委員 砂糖の消費量は、今日まで年間百万トンといたしまして、そのうち家庭用の分は約三分の一くらいでございます。従つてこれを斤で計算してみますと、大体一人当り七斤くらいになるのであります。かりに八十円といたしましても、五百六十円になるわけでありまして、一箇月にすれば五十円以内になりましよう。従つてその一割上るといたしましても五円ということになりますから、家計に及ぼす影響としてはそう大きなことではないというふうに考えます。ただ国会において非常に今問題になつておりますことは、この値上りによる利益が一部の製糖工場にのみ超過利潤を上げさせておるというところに大きな問題があるわけでありまして、この点につきましては、政府としては特別な措置を講じなければならぬと考えているわけでございます。
  75. 井上良二

    ○井上委員 なるほど斤当りには五円か六円しかしりますまいけれども、消費税が二割上るということによる思惑が、砂糖全体をつり上げておるではありませんか。このことが非常に糖価を高めておる原因になつておるのです。それが全部でないにしても、一つの思惑の要素になつておることは事実です。従つて一斤六十二円くらいが妥当な採算が合う価格であると言われておるが、今日八、九十円にも値上げされておる。八、九十円にも値上げされたことによつて及ぼす国民への影響と、そしてわずか十九社くらいの製糖会社の独占的利潤というのが問題になつて来ておるでしよう。そこで伺いますが、しからば糖価安定に対して、一体政府はいかなる手を具体的に考えておるのでしようか。そしてまた二十九年度の外貨割当による砂糖の輸入の見通しを一体どのくらいという見当でされておりますか、それを伺いたい。
  76. 平野三郎

    ○平野政府委員 八、九十円というお話でありますが、今日のところでは、若干値下りをいたしておるわけでございます。また政府がどういう措置をとるかということにつきましては、ただいま慎重に検討を進めておる次第でございます。なおまた外貨の見通しでございますが、これは全体として相当削減をせざるを得ないという情勢にありますことは御承知の通りでありまして、従つて砂糖につきましても、前年度より若干下まわるということはあり得ると存ずるわけでございます。
  77. 井上良二

    ○井上委員 もう一点伺いますが、砂糖の有効需要は、二十九年度は戦前の比率から申しますならば、百十五、六万トンを必要とするのではないかと思います。ところが現実の外貨割当その他からわれわれが常識的に推定されますのは、おそらく百万トンをはるか下まわるのではないかと推定いたします。たとえばこれは内地甘味料等も勘案をして、砂糖の輸入は八十万トンということに推定をされました場合、はたして糖価値下げが実現するかといえば、そういう数字が予想される今日、私はあなたの言われるように非常に下つて来るとは考えられません。そこで砂糖の価格を安定するのには、どうしても強力な砂糖の価格安定への一つの措置が講ぜられなければならない。自由取引の現状に放任して置いたのでは、全体の外貨割当が少くなる見通しに立つておる今日においては、砂糖の価格は下落をしない。逆に暴騰する情勢にあるのではないか、こう私は推定するのであります。従つて今日まだ外貨の割当がどのくらいになるかということは、政府としてははつきり申されないでしようが、少くとも今お話のように、かりに家庭用として年間三十万トンくらい必要とするということになりますならば、あと六、七十万トンというものは、いわゆる不要、不急の方面に使われておるということが言い得られる。そうなりますと、どうしても割当が非常に峻厳に削減を要求されて参る。さような意味から、二十九年度の砂糖の外貨割当は、百万トンをはるか下まわるということが想定される。そうなつた場合、これは現状のままに放任して置いたのでは、とうてい砂糖の価格を安定する措置は講ぜられないということに私はなると思う。そういう見通しをお持ちになつておりますか。それとも逆にあなたは依然として下るとお考えになつておりますか。
  78. 平野三郎

    ○平野政府委員 お話通り、砂糖の輸入量を前年度程度に確保するということは困難であると存じます。従つて価格が順次下落するということも考えられないのでありまして、従つてそういう見通しにおきましては、何らかの措置を講じなければならないということも、これまた当然と思つておる次第であります。その意味で、ただいまその方途について研究いたしておる次第であります。
  79. 春日一幸

    春日委員 関連して……。砂糖の価格をいかに安定せしめるかということは、われわれが当面する大きな政治課題の一つなんだが、そこで昨日の大蔵大臣の答弁によると、ほとんどきめ手も何もないというような状態であります。そこで私どもは、先般精製糖会社の各期貸借対照表という資料をちようだいして、砂糖に関する行政指導がどんなふうに行われておるかということをいろいろ検討してみたところ、驚くべき二、三の事柄が頭を出して来たのであります。   〔内藤委員長代理退席、淺香委員長代理着席〕 そこで、その二、三の資料を申し述べて、大蔵政務次官並びに農林政務次官の御答弁を願いたいのでありまするが、この資料をいろいろ整理して参りますると、たとえば二十七年の上半期におけるこの十九の製糖会社の利潤であります。これは、この十九会社の独占事業になつておるわけだが、一番大きいのは、大日本製糖のごときは、資本に対して一九八%の半期利潤をあげておる。明治製糖のごときは一六四%、名古屋精糖二四五%フジ製糖九五二%、塩水港精糖のごときは、資本に対して一七四%という厖大利潤をあげておるわけであります。このことは、明らかに外貨の割当と輸入された原糖を独占的に精製することからあがつて来るところの医大利潤なんです。製糖会社がこういう大きな利益をあげておるということは、すなわちそれだけ砂糖の値段が高いということなんです。すなわち、十九社がお互いにいろいろと価格操作——独禁法でどういう制肘を加えておるかまだ調査はいたしておりませんが、いずれにしても、資本に対してはなはだしきは一七四二%、三〇〇%、四〇〇%というのはざらなんです。こういうような厖大利潤を製糖会社が得ておる。このことを政府が見のがしておるということは、すなわち政府と製糖会社とが暗黙のうちに了解をし合つて、こういう糖価の暴騰を結局野放しにしておるというきびしい批判が起きて来ることは当然であろうと思う。そういう会社がその後一年間にどういう企業の経営をして来たかということをさらにいろいろと分析して参りますと、次のことが明らかになつて来る。すなわち、彼らは設備能力に対して外貨、原糖が割当てられて来るのだから、その設備能力をふやせふやせということで、二十七年の上期から二十八年の三月までの間にどのくらいの設備の増大をはかつて来たかと申しますると、大体において、たとえばこの表によりますると、大日本製糖のごときは一・三倍、芝浦精糖三・五倍、東洋精糖二倍、名古屋精糖一・九倍、フジ製糖二倍というふうに、ほとんど一年間のうちに、そのもうけた金でもつて、そういう割当をたくさん獲得し得る資格を得ることのために、設備の増強を行つてつたわけであります。ところがこれに対しては自己資本のみではとうてい償えるものではない。従つて、それぞれの金融機関から相当巨大な設備に対する融資を受けておることは当然でありまするが、その結果現在どういう状態になつておるかということをさらに調べてみると、たとえばこういう厖大な設備をして、結局その設備がフルに回転しておれば問題はない。ところがこの登録されたところの月産精製能力と配当されたところの砂糖の分量との対比較によつてその稼動パーセンテージをここで算出をしてみたが、大日本製糖のごときは六百五トンの日産能力を持ちながら五四%しか回転していない。明治製糖は八百四十トンの日産能力で三八%の稼動率である。おおむね四三%、四〇%、六〇%というようなぐあいに、ほとんど半分以上のものが遊んでいるわけです。そこで私が大蔵政務次官にお伺いしたいことは、先般来日銀その他銀行局長も、あなたもさような御答弁をなすつたと思うのだが、今日金融梗塞の実情にかんがみて、過剰投資、二重投資のごときは断じてこれを抑制して、やつてはいないとあなたは答弁しておられるのだが、少くとも製糖会社十九社に対しては、現実に稼動率五〇%未満のものが大部分であるわけだが、必要を越えたところの設備に対して何十億というところの融資が現実に行われている。すなわち、二十七年の上期から二十八年の三月までの間にそういう厖大な施設をしたのだが、それは原糖を精製するための施設ではなくて、外貨の割当を獲得する資格を捏造するための設備増強であつたわけだ。こういうところに現実に銀行が融資しているではないか。すなわちこれは、過剰投資、二重投資があるということをわれわれが指摘していることがはからずもここに暴露されたのだが、こういうような事実から考えてみて、あなたの方は、現在の日銀並びに政府が指導しているところの金融方式が、大企業に対する過剰投資、二重投資はないといつてなおかつ断言できるかどうか。さらにはまた、現在のこういう精製能力に対して外貨を割当てるというあり方が、結局はこういうような設備増強闘争の姿となつて現われて参つたのだが、農林政務次官は、今のような割当方式でよいと思つているかどうか、まずこの一点を御答弁願いたい。
  80. 平野三郎

    ○平野政府委員 お話通り、現在非常に過剰設備になつているということは事実でございます。これは、従来必ずしも設備能力に応じた外貨割当をいたしたわけではございませんで、その他実績等もいろいろ勘案しておりまするけれども、一つの要素であつたことは事実であります。従つて、こういう方法を続けて参りまするならば、さらに過剰に陥るおそれがあるわけであります。これはこの程度をもつて抑制すべきもので、あるというふうに考えておりますので、政府といたしましては、過剰設備能力というものを外貨割当の基準にしないような措置をただいまとることにいたしておるわけでございます。
  81. 植木庚子郎

    植木政府委員 ただいまのお話の中の私に対しての御質問で、過剰設備になるようなものに対して金融をつけていないということを私が申しておつたようにおつしやいましたが、私は、先般の委員会のときは、製糖会社方面に過剰設備になつているような状況になつていることは、私も知つておりますということを申し上げたのでありまして、従つて、事実の結果といたしまして、製糖業界にかような過剰設備が今日できていることは私たちも認めるのであります。ただ、なぜこれがかようなことにならぬようにできなかつたかというおしかりと考えますが、御承知のように、現在は戦時中とは違いまして、いわゆる金融統制を完全にやつているわけではございません。大蔵省といたしましては、日本の資本蓄積が非常に少い際でございますから、日銀その他の金融機関を通じて、いわゆる指導的な立場で、なるべくそうした設備が過剰にならぬように、最も有効に使われるように事実上指導しておるのでありますが、何しろ金融機関を隔てての問題でございますから、個々の具体的な問題で一々これを抑制、制限することができなかつたことははなはだ遺憾に存じます。従いまして、私といたしましては、あるいは大蔵当局といたしましては、政府方針にのつとつて、なるべく資金の有効な効率的な使用が行われるように、今後とも一層金融機関等に督励して参りたいと考えます。
  82. 春日一幸

    春日委員 私は、まことに問題は大きいと思います。こういうような生産設備に対して外貨が割当てられるというような過去の実績というものは、ひとり砂糖の問題ばかりではなく、羊毛の輸入だとか、原綿の輸入等においても相当の影響力があると思うのだが、現実の問題として、一方には中小企業は非常な金詰まりで、先般本委員会においても決議いたしました通りで、三月四日のごときは、東京手形交換所で三千四百五枚の下渡り手形が出ている。そういう方面にはあなた方は金を貸そうとしていないで、同時に、こういうような大企業に対しては、必要を越えたところの設備に対してもじやんじやん金を貸しているではないか。あなた方は口にはいろいろなことを言つておられるけれども、現実にはこういうような姿となつて現われている。私どもは、このことを国民とともに怒らざるを得ないのです。たとえばこの砂糖会社のごときは、一年間に七十二億の利益を得ておるが、こういうような会社が国民にとても高い砂糖を売りつけて利益を得て、さらにその金を政治資金に活用して、銀行からじやんじやん金を借り受けて、こういうようなとほうもない設備をここにつくり上げておる。こういうようなあり方に対して、私はあなた方にもう少し責任ある答弁を願わなければならぬ。少くとも大蔵大臣は、日銀政策委員会を通じて、日銀の金融政策に大きな影響力をお持ちになつておる。従つて、すでに精製能力は今日のものをもつて足りるのだから、製糖会社に対して金融する必要がないならないということで、どうしてもう少しこういうようなものを抑制することができぬか。この点十分御明答を願い、今後の日銀政策に大きな規制をお願いしたいと思う。  それから農林政務次官にお伺いしたい。これを調査してみると、さらにこういうことが明らかになる。たとえば二十八年度の原糖割当量をずつと推算してみると、結局あるものはその生産設備の八三%くらい稼働できるようなたくさんの割当をもらつておる。それは名古屋精糖である。その他のものは三八%、四〇%というようなことで、あるものはたいへんたくさんの割当をもらい、しからざるものは大体において四〇%とか四五%とかいうことに、期せずして数字が並んでおる。これは一体どういうわけで特定の会社がずば抜けてそういう巨大な原糖の割当を受けることに成功したのであるか、どういう理由でこういうような計数がここに出て来たのであるか。この点についてひとつ説明を承りたい。   〔淺香委員長代理退席、山本(勝)委員長代理着席〕
  83. 平野三郎

    ○平野政府委員 現在約二百万トンの設備があるわけでありまして、これに対して百万トン程度の輸入量でありますから、稼働率が平均五〇%くらいになるということであります。このうちいろいろ高低があるではないか、その間に不公平なことがあるではないかというふうなお尋ねと存じまするが、実は私個々のこまかい内容については存じませんけれども、今までは設備能力だけでなしに、過去における実績とか、いろいろな要素も加味して割当をいたしますので、若干そういう不均衡が起ると存するわけでございます。この割当方式の詳細につきまして御必要がございまするならば、事務当局より御説明申し上げます。
  84. 春日一幸

    春日委員 質問の玄関口に入つたばかりだけれども、やめろということですから、引続いて明日いたします。本日はこれで質問を打切ります。
  85. 山本勝市

    ○山本(勝)委員長代理 本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十五分散会