○安武
参考人 信用金庫の数字を通じまして、
中小企業金融の問題を述べさせていただきたいと思います。お手元に資料を若干お配りしておるのでございますが、
預金の
状況が二十七年、二十八年と見ますと、大体六百五十億、二十八年は百億ほど減りまして、五百五十億の純増を示しております。しかしながら額におきましても若干減
つて参りましたが、
増加率におきましては相当低くな
つて参りまして、特に昨年の下期以降は、
増加が停滞をしておるという数字が見えるわけでございます。けれ
ども、本年に入りましては、一月の
減少が四十数億という厖大なものに上
つております。と同時に二月の数字は、やや推定が加わ
つておりますけれ
ども、今までか
つて二月に減つたという事例がないにかかわらず、五億程度の
減少を示しておる、こういうことに相な
つております。これを見ますと、一つは
金融引締めによります効果が
中小企業、特に
信用金庫の
対象にしております零細なところまで
資金の詰まりがだんだんひしひしと押し迫
つておるということが言えるのではないかと思います。
それからもう一つ私
どもの方で目立
つてこの
預金増をはばんだのは、御承知のように町の利殖
機関が相次いで破綻を来しまして、これによりまする
預金の不安というものを見受けるのでありまして、特にこれらの
機関の中で、金庫という名前を使
つておりましたものがぼつぼつ倒れて参りますと、
信用金庫もやはりその一族でないかという
一般大衆の認識が、どうしても
信用金庫の
預金を伸ばすことにな
つて来ない、むしろそれが大きなマイナスにな
つておるということが、特に一、二月の現象を一番強めた
原因でなかろうかというふうに推察いたしております。それに反しまして貸出しの方は、二十七年、二十八年を見ますと、大体五百億ちよつと上まわつた程度の新規の
増加に相な
つておるのでございますが、これも昨年の上期以降の
預金の伸び悩みを反映いたしまして、かたがた
政府預金の引上げというようなものも加わりまして、貸出しの率が
——先ほど
銀行の貸出率のこと等についても御議論かありましたが、二十七年三月に七〇%程度にとどま
つておつたのでありますが、九月には七五%、二十八年の二月に七七%、しかも昨年の十一月には一番高くなりまして、八二%近くの貸出率にな
つておるわけでございます。ほかの
銀行さんに比べますれば、この率は非常に低い方でございますが、私の方は
日銀さんから直接金を借りて来てどうするというルートがございません。
従つてどうしても一定の
支払い準備をするということに特に大蔵省からもやかましく言われておりますので、
資金の
増加が望まれない
段階に参りますと、当然ここにまた貸出しを急激に締めて来なければならない、こういう
状況でございます。しかしながら御承知のように
信用金庫、あるいは
信用協同組合でもそうでございますが、会員
制度の
金融機関でございますので、今まで会員として出資の
増加、
預金の
増加、あるいは金庫の発展のために相当協力をしてくれたメンバーに対しまして、今
金融が苦しいからということで
銀行さんのようにあつさり引締めを断行して行くということが、なかなかやりにくいという特殊事情がございまして、今申しますように、貸出しの率も自然増高せざるを得ない、こういう
状況でございます。
〔
委員長退席、内藤
委員長代理着席〕
従つて一、二月におきましての
預金の
減少に伴いましては、ここに少しブレーキをかけ過ぎたかと思いますが、貸出しもまた減らざるを得ない、こういう
状況でありまして、これは
資金源がないために結局貸出しも手控えしておつた、こういう現象に相な
つておるわけであります。
なお最近協会等にも地方の金庫の
理事者が上
つて参られましての話に、先ほ
ども話がありましたように、大手筋の倒産がだんだん目立
つて参つたのでありますが、新聞でも出ないような小さい会社なり個人が非常にたくさん倒産をしておるという凄惨な報告を受けておるのでございまして、それらに対しましては、やはり
金融の面で相当バツク・アップしなければならぬのではないかということを痛感しておる次第でございます。それで私
どもといたしましては、何といたしましても
資金源の獲得に大いに
努力をいたしておるわけでございまして、特に昨年下期からは比較的零細な
資金というものを目当に
——郵便貯金が
増加しております
状況を見まして、やはり小口に、零細な
資金の獲得ということに一段の
努力を払うという対策を立てまして、小口
預金の吸収に努めておるわけでございますが、何といたしましても、今申しますように金庫窓口だけから見ましても
資金繰りが非常に悪くな
つておる、
資金源が非常に枯渇しておるということが言えるのでありまして、
指定預金の問題も、
政府の方では、今後の
指定預金についてはあらためて考慮しがたいような言明をしばしば耳にするのでありますが、この
制度はどうしても残していただいて、
中小企業専門の
機関に対しましてこの
指定預金の
制度を活用していただきたい。特に先ほど
日銀の方からのお話もありましたが、
日銀には
中小企業向けの別わくがあるそうでございますが、これらは商中なり興銀、勧銀、拓銀ということで、
相互銀行なり私
ども信用金庫につきましては、そういう別わく
融資の道はありません。
従つてこうした道もひ
とつぜひとも
日銀当局は
考えてもらわなければならぬのじやないかということで、私
どももこれは
日銀にしばしば陳情しておるような次第でございますので、この点もひ
とつ御考慮を願いたいと思います。
なお
指定預金の問題と関連いたしまして、私
どもしばしば主張しておりますのは、
政府の方の
資金を導き入れるためには、
資金運用部
資金がか
つてはわれわれの方にも低利の
資金としてまわされておつたこともあるのでありますが、これが現在の
法律では禁ぜられておりますので、皆さん方のお力で、
資金運用部
資金法を改正し、
中小企業専門
機関に貸しつけられるなり
預託の道が講ぜられますように、格段の御配慮を願いたいということを重ねて申し上げまして、一応私の報告を終りたいと思います。