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1954-03-03 第19回国会 衆議院 大蔵委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月三日(水曜日)     午前十時四十二分開議  出席委員    委員長 千葉 三郎君    理事 淺香 忠雄君 理事 黒金 泰美君    理事 坊  秀男君 理事 山本 勝市君    理事 内藤 友明君 理事 久保田鶴松君    理事 井上 良二君       大平 正芳君    苫米地英俊君       藤枝 泉介君    堀川 恭平君       池田 清志君    小川 豊明君       加藤 清二君    柴田 義男君       春日 一幸君    平岡忠次郎君  出席政府委員         大蔵政務次官  植木庚子郎君         大蔵事務官         (主計局総務課         長)      佐藤 一郎君         農林政務次官  平野 三郎君  委員外出席者         農林事務官         (農地局管理部         長)      細田茂三郎君         農林事務官         (食糧庁総務部         長)      新沢  寧君         専  門  員 椎木 文也君         専  門  員 黒田 久太君     ――――――――――――― 二月二十六日  日本銀行券預入令等を廃止する法律案内閣提  出第三五号)(参議院送付)  当せん金附証票法の一部を改正する法律案(内  閣提出第三六号)(参議院送付)  国有財産法第十三条第二項の規定に基き、国会  の議決を求めるの件(内閣提出議決第一号)  (参議院送付) 三月一日  国税徴収法の一部を改正する法律案内閣提出  第六七号)  関税法案内閣提出第六五号)(予) 同月二日  関税定率法の一部を改正する法律案内閣提出  第七一号) 国税収納金整理資金に関する法律案内閣提出第  七二号) 外国為替銀行法案内閣提出第七三号)(予) 二月二十六日  入場税国税移管反対に関する請願早稻田柳  右エ門紹介)(第二四三五号) 織物消費税復活反対に関する請  願(淺沼稻次郎紹介)(第二四三八号)  同(早稻田柳右エ門紹介)(第二四三九号)  同(中川俊思君紹介)(第二四四〇号)  同(只野直三郎紹介)(第二五七二号)  同(山口シヅエ紹介)(第二五七三号)  同(淡谷悠藏紹介)(第二五七四号)  同(塚原俊郎紹介)(第二五七五号)  揮発油税軽減に関する請願早稻田柳右エ門君  紹介)(第二四四一号)  同(正木清紹介)(第二四四二号)  同(仲川房次郎紹介)(第二四四三号)  同(尾崎末吉紹介)(第二四四四号)  同(金光庸夫紹介)(第二四四五号)  同(河本敏夫紹介)(第二四四六号)  同(武田信之助紹介)(第二五六四号)  同(塚原俊郎紹介)(第二五六五号)  同(山口丈太郎紹介)(第二五六六号)  同(佐竹新市紹介)(第二五六七号)  同(富田健治紹介)(第二五六八号)  同(吉川兼光紹介)(第二五六九号)  清涼飲料及びし好飲料に対する物品税免除に関  する請願塚田十一郎紹介)(第二五七一  号) 三月二日  所得税制度改正に関する請願武田信之助君紹  介)(第二六六六号)  同(松浦周太郎紹介)(第二七五五号)  砂糖消費税引上げ反対に関する請願武田信之  助君紹介)(第二六七二号)  同(松浦周太郎紹介)(第二七五六号)  織物消費税復活反対に関する請願木村文男  君紹介)(第二六七四号)  同(河野密紹介)(第二六七五号)  同(塩原時三郎紹介)(第二七四七号)  同(大石ヨシエ紹介)(第二七四八号)  同(越智茂紹介)(第二七四九号)  同外一件(山花秀雄紹介)(第二七五〇号)  同(鈴木茂三郎紹介)(第二七五一号)  同外一件(鳩山一郎紹介)(第二七五二号)  揮発油税軽減に関する請願濱田幸雄紹介)  (第二六七七号)  同(岡田五郎紹介)(第二六七八号)  同(山口丈太郎紹介)(第二六七九号)  同(平野三郎紹介)(第二七五三号)  同(高木松吉紹介)(第二七五四号)  生命共済掛金に対する所得税基礎控除に関す  る請願大石ヨシエ紹介)(第二七八四号) の審査を本委員会に付託された。 二月二十七日  入場税等国税移管反対に関する陳情書  (第一一九七号)  同(第一一九八  号)  同(第一一九九  号)  勤労所得税軽減に関する陳情書外二件  (第一二二五号)  織物消費税復活反対陳情書  (第一二二六号)  生糸に対する課税反対陳情書  (第一二二七号)  同(第一二二  八号)  同  (第一二二九号)  同(第一二三〇  号)  生糸に対する課税反対等に関する陳情書  (第一二三一号)  揮発油税軽減に関する陳情書  (第一二三二  号)  地方公共団体中央金庫設立陳情書  (第一二三三号)  凶作県に対する政府指定預金引揚げ延期並び  に国庫余裕金指定預金追加に関する陳情書  (第一二三  四号)  特殊庶民金融業法制化反対に関する陳情書  (第一  二三五号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  関税定率法の一部を改正する法律案内閣提出  第七一号)  国税収納金整理資金に関する法律案内閣出第  七二号)  関税法案内閣提出第六五号)(予)  国税徴収法の一部を改正する法律案内閣提出  第六七号)  外国為替銀行法案内閣提出第七三号)(予)  食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案(  内閣提出第五四号)  開拓者資金融通特別会計において貸付金財源  に充てるための一般会計からする繰入金に関す  る法律案内閣提出第一一号)  当せん金附証票法一部を改正する法律案内閣  提出第三六号)(参議院送付)     ―――――――――――――
  2. 千葉三郎

    千葉委員長 これより会議を開きます。  本日は、まず一昨一日本委員会に付託されました国税徴収法の一部を改正する法律案及び同日予備審査のため付託されました関税法案、また昨二日本委員会に付託されました関税定率法の一部を改正する法律案及び国税収納金整理資金に関する法律案並びに同日予備審査のため付託されました外国為替銀行法案の五法案一括議題として、政府当局より提案趣旨説明を聴取いたします。植木政務次官
  3. 植木庚子郎

    植木政府委員 ただいま議題に相なりました国税徴収法の一部を改正する法律案外四法律案につきまして、提案理由説明申し上げます。  まず第一に国税徴収法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を御説明申し上げます。  まず最近における国税徴収の現況にかんがみ、納税便宜をはかるため、収税官吏納税者から歳入納付に使用できる証券以外の有価証券で取立ての確実なものによる納税の委託を受けることができる制度を設けることとしているのであります。このほか、税関において徴収することとなつている輸入品に対する内国消費税滞納による滞納処分につきましては、現在は税務署においてこれを行つているのでありますが、事務簡素化をはかるために、税関においてこれを行うことができることとする等、所要規定整備をはかることとしているのであります。  次に、関税法案につきまして、提出理由を御説明申し上げます。  この法律案は、内外の諸情勢推移に即応して、関税法近代的法制の線に沿つた行政法規とし、関税の賦課及び徴収に関する規定整備するとともに、税関手続簡素化及び保税制度活用をはかり、貿易振興に資する等のため、関税法の全部を改正しようとするものであります。  以下、その大要について申し述べます。  まず第一に、現行関税法は、明治三十二年に制定されたものであり、最近の法制見地から見ると、用語等において適切ではないものがあると認められますので、その全文改正して、保税倉庫法及び保税工場法関税法に統合し、官設保税倉庫規定を廃止するほか、従来行政慣例または解釈にゆだねられていた点を成文化する等、法の近代化見地から規定整備いたしました。  第二に、貿易依存度の高いわが国実情にかんがみ、税関手続簡素化をはかるため、関税担保として金銭を提供した納税義務者に対しては、その担保をもつてただちに関税納付に充てることのできる道を開くとともに、外国貿易船及び外国貿易機入港手続簡素化し、また貨物輸入手続の際の提出書類をできるだけ少くし、その他保税地域における貨物取扱い等に関する税関の規制についても支障のない範囲でこれを緩和することといたしました。  第三に、保税地域活用をはかつて仲継ぎ加工貿易振興に資する等のため、保税地域における貨物保管規則保管料についての監督規定及び保税倉庫の許可を受けた者の担保提供義務規定を廃止して、倉庫業者等の負担を軽減するとともに、加工貿易振興のため必要のある場合には、保税工場外において外国貨物保税作業をなし得ることとするほか、保税工場における内国貨物外国貨物との混淆使用についての便宜取扱いを認め、その他保税地域に関する税関関係手数料軽減または免除範囲を拡張することといたしました。  第四に、私権尊重見地より、税関行政処分に対する行政上の救済制度の適用の範囲を拡張するとともに、税関貨物の収容または留置を行つた際、その貨物について質権または留置権を有していた者は、その貨物保管料立替金等について当該貨物の公売または売却代金の残金から優先弁済を受けることができることといたしました。  第五に、最近における犯則事件実体等にかんがみ、輸入禁制品密輸入の罪及び無免許輸出入の罪に関する罰金の情状による加重の規定を廃止する等、罰則規定調整を行うとともに、いわゆる第三者通報制度を廃止することといたしました。  その他、最近の貿易実績等にかんがみ、千葉港、油津港、松山港等七港を開港として別表に追加するとともに、すでに法律開港としての存続資格を欠いている両津港を別表から整理することといたしました。  次に、関税定率法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を御説明申し上げます。  この法律案は、内外の諸情勢推移に即応して、関税定率法規定整備し、関税軽減免除または払いもどしの制度活用によつて貿易振興に資する等のため、別表輸入税表を除く全文改正しようとするものであります。  以下、改正諸点について概略申し上げます。  まず現行関税定率法におきましては、種々性質の異なる免税を一律に無条件免税として規定しているため、実際の取扱いにおいて適切を欠く点がありますので、これを免税性資に応じまして無条件免税特定用途免税、再輸出免税及び外交官用貨物等免税に分類整備し、無条件免税以外の免税物品については、一定の条件に違反したときは関税徴収することとしているのであります。  次に、輸出振興に資するため、輸出に役立つ特定増殖用動物無条件免税に加えるほか、輸出綿布等のり付け仕上げに必要なコーンスターチの製造に使用するとうもろこしについての関税減税または免税を認め、その他輸出貨物製造用輸入原料品減税免税またはもどし税を行う場合における輸入原料品内国原料品等との混淆使用についての便宜取扱いを認めることといたしているのであります。  次に、最近における貿易実情を考慮し、輸入貨物違約品として返送する場合における関税の払いもどし制度を設けるとともに、複関税その他の関税制度についての規定整備をはかることとしているのであります。  その他重要機械類児童給食用ミルク等関税免税期間を一年間延長する等により、暫定的に関税率の一部についての調整をはかることとしているのであります。  次に、国税収納金整理資金に関する法律案について、提案理由を御説明申し上げます。  現行租税制度のもとにおきましては、過誤納、欠損繰りもどし等の事由により、収納した国税のうち、納税者還付する金額は相当の額に上ることとなるのであります。現在は、これらの還付されることとなる金額をも国税収入として計上し、国の各般の需要を満たすための支払い財源となるべき歳入としているのでありますが、このことは、その性質上適当ではなく、かつ、実質的な意味における国税収入を現わす上におきましても合理性を欠くものと考えられるのであります。のみならず、これらの過誤納等による還付金歳出予算から支出いたしますことは、財政会計制度の面からする諸制約を受けることとなります結果、ときとしてその還付事務処理に円滑を欠き、ひいては納税思想に悪影響を及ぼすこととなるおそれもあるかと思料されますので、国税収入に関する経理合理化過誤納金等還付事務処理円滑化をはかるため、今回国税収納金整理資金を設置いたしまして、国税収納金等はこれを本資金受入れ過誤納等による還付金は、本資金からただちにこれを支払うことができるようにし、当該還付金相当額を差引いた国税収納金等の額を歳入に組み入れることといたしたのであります。  なお本資金受入れ及び支払いにつきましては、歳入歳出に準ずる取扱いをし、その受払い計算書は、会計検査院の検査を経て歳入歳出決算とともに国会提出することとする等の措置を講ずることとして、その経理の明確、かつ適正を期することといたしたのであります。  最後に、外国為替銀行法案につきまして、提案理由を御説明申し上げます。  この法案は、外国為替取引及び貿易金融の円滑をはかるため、外国為替銀行制度を確立し、その業務公共性にかんがみ、監督の適正を期するとともに、金融制度整備改善に資することを目的として所要規定を整えようとするものであります。  申すまでもなく、貿易依存度の高いわが国経済の自立と発展を期するには、外国為替取引及び貿易金融の円滑にして、かつ真に自主的な運営が必要であります。そのためには、広く海外主要為替市場及び貿易市場支店網を持ち、外国為替銀行にも比肩し得るほどの十分の能力信用を備えた為替銀行の出現することが望まれるのであります。  現在わが国銀行で、外国為替業務を営む銀行は相当数ありますが、いずれもなお国際市場において一本立ちできるほどの実力を備えるに至つておりません。またこのままの態勢で、近い将来自然の推移のうちに、ただいま申し上げたような十分な能力を持つた為替銀行ができて来ることを期待することも、きわめて困難であります。従つてこの際業務の主力を外国為替取引及び貿易金融に置いて、これに専念する外国為替銀行制度を新たに確立することが最も時宜に適した措置と考えられるのであります。  このような理由によりまして、各界有識の士にも諮りまして、今般ここに外国為替銀行制度に関する成案を得、法律案として御審議を願う運びとなつたのであります。  なお法律の性格といたしましては、長期信用銀行法に準じた一般法といたしまして、為替銀行は、同法に準拠した民間銀行とすることが所期の目的を達成する上に最も適当であると考えたのであります。以下簡単にこの法案内容の基本となる諸点を申し上げます。  第一に、外国為替銀行大蔵大臣免許を受けなければならないこととし、かつ資本の最低限度を十億円と定めることといたしました。  第二に、外国為替銀行業務は、外国為替取引または輸出入取引その他の対外取引に関する信用供与を主とし、一般国内貨出し業務対外取引関係金融と関連のあるものに限ることといたしました。なお預金受入れは特に制限はいたしておりません。  第三に、店舗でありますが、店舗外国為替取引または貿易金融上重要な地に限つて設置できることとして、国内店舗は、この意味でかなりの制限を受けることとなる反面、海外では、重要な地には広くその設置が認められることといたしたのであります。  第四に、本法の施行に伴つて既存銀行外国為替銀行となることのあることをも予想しまして、その切りかえの円滑をはかるために所要規定を置いてあります。  以上国税徴収法の一部を改正する法律案外四法律案につきまして、その提案理由並びにその内容の概略を申し上げた次第であります。  何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。    ——————————
  4. 千葉三郎

    千葉委員長 次に、食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案開拓者資金融通特別会計において貸付金財源に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案及び当せん金附証票法の一部を改正する法律案の三案を一括議題として質疑を行います。質疑は通告順によつてこれを許します。井上君。
  5. 井上良二

    井上委員 ただいま議題となりました食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案に関連いたしまして、二、三質問をいたしますが、この改正案内容は、食糧証券発行限度額及び借入金限度額を二千四百億円から二百億円引上げまして二千六百億円にいたしたいというのがおもな理由であります。その理由とするところは、政府の米の買入れが非常に多くなつて来、価格も多くなつて来たということを理由にいたしておるのであります。ところが食糧証券及び借入金限度を二百億引上げ理由は、二十九年度は食糧の買入れ数量が増加するというのでありますが、私がもらつております二十九年度予算説明は、これは未定稿ですから、この予算説明に出ておりますのと多少違う。と申しますのは、政府予算案によると、食糧買入れ代金は、二十八年度の四千五百五十五億に比して二十九年度は四千四百六十億に減つております。またこの予算証券及び借入金収入は二十九年度二千二百六十億しか計上をされていないが、そうなりますと、ちよつと数字が違うと思うのでありますが、この点を一応御説明を願いたい。
  6. 佐藤一郎

    佐藤(一)政府委員 いずれ農林省から詳しい御説明を願えると思いますが、井上さんのおつしやつております数字は、予算説明の何ページをおさしなつておりますか、この三十一ページのところに「米麦買予定数量」とございます。そこを見ますと、合計は書いてございませんが、米で申しますと、二十九年が四百八万トン、二十八年が三百二十一万トンという数字なつておりますが、ここのところをおさしなつておるのですか。
  7. 井上良二

    井上委員 予算書です。
  8. 佐藤一郎

    佐藤(一)政府委員 予算書の何ページですか。今ちよつと私の手元にないですが、数量は実は資料を差上げて見ていただくとわかると思いますが、買入れ並び輸入全体を通じましてふえております。
  9. 新沢寧

    新沢説明員 ただいまの点をもう少し立ち入つて説明申し上げますが、今ごらんいただいております説明書では、食糧買入れ費総額につきまして比較をした表が載つております。食糧買入れ費全体を比較いたしますと、お話通り二十九年度は二十八年度に比較いたしまして約九十五億減つておるわけでございます。しかしその内容をわけて申し上げますと、国内食糧買入れ費につきましては、二十八年度よりも二十九年度におきまして多くの国内食糧を買い入れることにしておりますために、この面においては約六百四十七億円ぐらいふえる計算をいたしております。全体として減つておりますのは、外国食糧買入れ費が、量というよりも外国食糧価格が非常に安くなりましたために大幅に減つております。ところで糧券発行限度の方は、各月々資金繰りを見まして、それの最高限度をまかない得るように糧券発行限度をきめておるわけでございます。月々を見ますと、大体十一、十二、一月という月が内地食糧の供出の最盛期になります。従いまして所要資金が非常に大きくなる。そのピークを比較いたしますと、十二月におきまして、昨年度よりも約二百億ぐらいの糧券発行の増がないとまかなえませんので、こういう意味合いにおいて今回の法案改正をいたしておるわけであります。外国食糧の方は、年間を通じまして若干の時期的なあれはありますけれども、大体平均して入つて来ますが、国内食糧につきましてその最も大きなものであります米につきましては、この十二月、一月という月に大量のものを買いつけますために、こういうようなことになつておるのでございます。食糧全体を見ますとお話通り減つておりますが、月別を見ますと、十二月は昨年よりも多くの資金を必要とする、こういうことでございます。
  10. 井上良二

    井上委員 ちよつと主計局の方に伺いたいのですが、この三十二ページに「歳入歳出」という項目がございます。この歳入歳出のうちで、歳出の方に「食糧買入費」と出ております。この食糧買入れ費の二十八年度の数字と二十九年度の数字に開きがございましよう。
  11. 佐藤一郎

    佐藤(一)政府委員 あります。
  12. 井上良二

    井上委員 それは今御説明願つた事情によるのですか。——それはそれぐらいにしておきましよう。  その次に伺いたいのは、政府は本年の産米の買入れ予想を、内地産米二千百万石を大体の限度にしておつたようでありますが、最近の状況はどうなつておるのですか。
  13. 新沢寧

    新沢説明員 二月二十日現在で千九百四十万石程度になつております。
  14. 井上良二

    井上委員 そうすると、大体予定通り集荷は完了されるという見通しでありますか。
  15. 新沢寧

    新沢説明員 当初の二千百万石と、今申し上げました二月下旬におきまする成績を見合せますと、率直に申し上げて、二千百万石の集荷につきましては相当の努力を要することと思います。非常に困難であろうと思つております。しかしまつたく不可能であるとも考えておりません。
  16. 井上良二

    井上委員 そうしますと、外国食糧輸入計画実績はどういうぐあいになつておりますか、最近の事情を御説明願いたい。
  17. 新沢寧

    新沢説明員 会計年度で申し上げまして昭和二十八会計年度、二十九年の三月までに百四十八万トン輸入する計画なつておるのに対しまして、二十七年四月から二十九年の一月までの輸入実績は、米につきましては八十八万トンでございます。従いまして一月から四月までの間に六十万二千トン入れなければならないことになつておりますが、今のところ、そのうちすでに買付済みのものが約五十五万トンございます。これは順次到着をいたしております。あとこれから買いつけなくてはならないものは五万トンほど残つておりますが、これも現在の世界の市場状況から見まして、十分買いつけ得られるものと考えております。
  18. 井上良二

    井上委員 次に、この食糧管理特別会計の中で北海道のてん菜糖、それから澱粉、きりぼしかんしよ、菜種、えさ、こういうものを買い入れておりますが、二十八年度のを調べると百五十二億です。それが決算では百十四億に買つた品物を売つておるのです。そうすると、ここでざつと四十億ほど損しておりますね。ところがことしの予算で見ると、百五十一億ほど買入れて、それを大体百九十二億に売る。今度はもうかる、こういうことになつておる。そうなりますると、昨年買入れたもので今年売却いたしますものは、一体どういうものをお持ちになつておりますか。四十億ほどもうかることになりますが、このうちで特にどういう品物がもうかるのですか。それを説明を願いたい。
  19. 新沢寧

    新沢説明員 二十八年度中におきましては、澱粉、切りぼし、菜種は、それぞれ予算上、計画上は買う予定にいたしておつたのでありますが、実際の政府農産物価格安定法で定めました支持価格よりも、市場価格が上まわつている状況にありますので、現在のところ二十八年産のものにつきましては、澱粉、切りぼし、菜種、いずれの品目につきましても、現在まで買つておりません。てん菜糖のみ約六十万ピクル政府が買上げることにしておりまして、ほとんど買上げの終了間近になつておりますが、このてん菜糖につきましても、ほとんど二十八年度中に売却を終りまして、二十九年度に入りましては、二十八年産のものについては残らないことになろうと思います。二十九年産につきましては、これは現在の価格情勢から見まして、従来は買入れたものを損を予想して売却をするというような見込みで予算が立つてつたのでありますが、二十九年産につきましては、大体買入れ価格売却価格とほとんど見合つた価格で売れるものというふうに考えております。見合つた価格と申しますのは、大体買入れ価格政府が保管中のコストを加算したもの、損をしないで売れるものというふうな一応の想定を立てております。しかしこれも本年の秋以降のことになりますので、単にそういう予想のもとに予算が組み立てられたということでございまして、そのときの実態に応じまして、これがこの計画通り推移いたしますかどうか、今からただちに予想は困難でありますが、一応現在の価格の趨勢から見まして、そういうような観点で予算は立てられております。
  20. 井上良二

    井上委員 食糧証券発行が年々増加しまして、毎年度末現在高を見ると、二十七年度は千四百七十億円、二十八年度は千九百五十億円に上り、さらに二十九年度は二千百六十億円と大体予想される。もちろんこの間価格の値上げや、あるいはまた消費量の増加等による買入れ石数の増加が見込まれた関係もございましようが、一つはこの裏に、政府食糧政策というものが依然として米食中心主義の政策であり、またただいま申し上げました食管特別会計であるにかかわらず、主食として配給でき得ない農産物の一部が、この会計の中に抱き込まれておるということであります。しかもそのことのために赤字を出しておるというこの事実について、一体こういうやり方が妥当なやり方かどうかということであります。農産物の価格を安定する必要から、農産物の一定量を政府が買上げて価格を安定する政策をとることは、当然でありますが、それをこの会計の中に一緒に抱き込ますということが、また一部消費者の負担をそれだけ大きくするということから考えてみても、かような澱粉、切りぼし、菜種、えさというようなものをこの会計の中に持つことが、妥当な会計の姿かどうか、このことについて主計局並びに農林次官はどうお考えになつていますか、これを伺いたい。
  21. 平野三郎

    平野政府委員 政府が米一本やりの政策をとつておるのはどうかというのが、第一点のお尋ねであります。これは昨年十二月に衆議院におきまして、食生活改善に関する御決議が可決されておりますことにもかんがみまして、目下政府としては、食生活の改善方について鋭意研究を進めておる次第でございます。ただ本年度といたしましては、現行の米食率を維持する、こういう方針で進んでおりますが、漸次これらの米一本やりの政策から他に転換するという方策を考える必要があるということで、目下進めておるような次第でございます。  次に農産物価格安定法に基くところの分を食管特別会計の中に抱き込ませておることは、会計の建前からいかがであるかというお尋ねでありまして、この点は御意見として十分拝聴いたす次第でございますが、政府としては、たくさんの特別会計をこしらえることもどうかと考えまして、幸いに食管特別会計がありますので、この中に包含をしてやる方がむしろ適当でないか、こういうことで、食管特別会計の中で農産物価格安定法に基く分についても操作をいたしておるわけでございます。もとよりそれぞれこれは別の性格を持つものでございますので、内容においてははつきりと区分をして、農産物価格安定法に基くところの損失等を一般の消費者に負担させるということのないように、努めておるわけでございます。
  22. 淺香忠雄

    ○淺香委員 ちよつと関連して……。今農林政務次官のお答えの中にありました、昨年十二月二十五日に国会で食生活改善並びに粉食奨励の決議案が出まして、それに対して政府側においては、いろいろこの決議案に基く施策をお進めになつておられると思うのでありますが、粉食奨励に対して何か積極的なお考えをお立てになつておられるものか、もしそういう案をお持ちであれば、一応その輪廓だけでもお示しをいただきたい。
  23. 平野三郎

    平野政府委員 国会の御決議の趣旨に対しまして目下研究を進めておるということで、まだはつきりした結論に達しておりませんので、ここでこまかく申し上げる段階にまで至つておりません。ただ農林省といたしましては、御承知の通り、もうずつと前から食生活改善のための必要なる措置は講じておるわけでありまして、農業改良局の中に生活改善普及員というものがございます。これは現在千名くらいの、婦人を主とする内容を持つてつておるわけでありますが、今回これを若干増員いたして、さらに進めて行くことになつております。御承知の通り政府としては、先般行政整理をして公務員を減らす方向に行つておりますけれども、その中の例外として、これを若干増員をしてやつて行く、こういうことをやつておるわけでございます。これは農林省の所管でありますために、農村だけに限られておりますので、厚生省の方においては都市方面に対する呼びかけをする。こういうことで、まずそうした普及員をある程度増員して、そして進めて行く。しかしながらこれはやはり価格の問題になるわけでありますから、何としても麦を安く国内に放出することが適当でないかということも考えておりますし、また一方、どうしてもこれは子供のときから習慣をつける必要がありますので、学校給食を充実する必要がある。こういうことで、これはつとに農林省の特別会計においてやつてつておるわけでありますが、これをさらに強化して行く。いずれにいたしましても農林、文部、厚生と、政府部内においては三つの省にわかれておりまして、その間いろいろなわ張り争いのようなことの起るおそれもありますので、できれば内閣に国民生活改善推進運動本部というようなものを設けまして、各省がそれぞれ連絡調整をし、政府一本の姿で国民運動として展開をする、こういう構想のもとに、目下いろいろ準備を進めておる次第でございます。
  24. 井上良二

    井上委員 はなはだ抽象的な答弁で、われわれ納得できません。大体食管の会計が年々多額の金を一般会計から繰入れ、かつ食糧証券発行によつて不当な利子を払つて行かなければならぬ、そういう米食中心の食糧政策では、もう日本の食糧政策は行き詰まつておるのです。どうしても粉食を取入れた総合栄養食へ持つて行かなければいかぬということは、早くからいわれている。しかるに政府のやつておる政策は、それを裏づけする実効的な具体策を少しも持つておらぬじやないですか。たとえばあなたの方で人造米を取上げたが、一体人造米は今どうなつているのだ。あれほど大騒ぎをして、わいわい言うて、人造米は今どうなつておるのです。なぜ人造米が一般の台所に取入れられないのです。あるいは、いかに粉食奨励をし、パン食を普及しようとしても、今の砂糖は一体どういう状態に放任してあるのです。砂糖の値段は毎日のように上つておるじやありませんか。そしてこれに対しては何らの手も打たれないじやないですか。また逆にバターにしても、うどんにしても、どんどん値を上げておるじやないですか。これに対して何ら具体的な対策をとつてないじやないか。少くとも粉食をやりパン食を奨励して、総合的な栄養食を普及徹底さそうとするならば、やはり総合的な食糧対策を立ててもらわなければ何にもなりません。それをやつてないじやないですか。単に生活改善がどうとか、学校の何がどうとか——ぼつぼつ子供から食いならすとか、そんなことを今言つておつたつて、現状には間に合いませんよ。現に今パンを食べては行けぬ人がたくさんあるのです。パンは米に比べれば高いのです。だから米に比べてパンを安くするような措置を講じる。またバターや砂糖を安くする。必要があるならば、砂糖とバターくらいは代替でやる。米の配給を辞退する者には、砂糖とパンは安く政府が配給する、この処置を何でとらぬのです。それがとれないのですか。米の方だけ力を入れて、毎年々々どだい大きな金をわれわれの税金からつぎ込んで、だれが一体利益を得ておるのですか。そのことを考えれば、砂糖政策なり、あるいはまた酪農その他によるバター、牛乳等の政策をもつと徹底すべきである。その方にちつとも力を入れていないじやないですか。どうですか、農林次官。また大蔵省も、何かというたら出して来たらいいように思つてけしからぬ。実際こんな会計法に基くべらぼうなことがありますか。米麦中心の主食の食糧会計の中に、えさまで一緒に抱かすとは一体どういうわけですか。切りぼしかんしよやら澱粉やら、そんなものがもうかつておるということならまだ話がわかるけれども、損をしておるじやないか。その損をしたのは、みな米にしわが寄つて行きますぞ。そのしわが寄つたのは、消費者に負担がかかつて行くのではないか。何かといえばあなたの方では窓口を設けて、特別会計設置の法律を出して来るのに、これだけ目をつぶつておるのは一体どういうわけだ。こんな横道へそれたやり方なんてありませんよ。農産物価格安定のための必要な措置に基くのは、別に農産物価格安定の特別会計を設けるというやり方が当然ではありませんか。大蔵次官はどうです。そういう多少筋道をはずれたことでもかまわぬということでおるのですか。そこをひとつ大蔵省の責任ある方から、この会計をわけるか、わけぬかという問題について伺いたい。  それから農林省の方は砂糖政策、パン政策、バター政策に対してどうお考えになつておるか。  特に申し上げるが、外国食糧輸入の中で、米を南方から買い入れるにあたつて、今まで砕米が抱合せで輸入されておつた。最近これが大分直されたようでありますが、ほとんど抱合せの形で砕米が輸入されて来ておる。この砕米を主食化することに努力をせずに、これをお菓子屋やその他しようもないところに払下げて、しかもその中にもち米の砕米がある。これに目をつけて、これをうまいこと引いたら相当もうかるというところから、これに対してものすごい運動が行われておることを聞いておる。しかもこれを労働組合のある団体に払い下げるとかどうとかいうことまで言われておる。これが労働組合へ払い下げられて、労務加配米に用いられるならばよろしい。そうではなしに、全然むだ使いにこれが払い下げられることがあるならば、これはむちやくちやなんだ。これらでも代替食に十分使えるものである。貴重な外貨を使つて輸入したものを、お菓子の原料やその他くだらぬ方面の間食的なものに使うということはもつてのほかです。そういう点から、もう少しあなたが総合的な栄養食を考え、この食管会計の堅実な運営を考えるならば、もう少し検討を要すると私は考えるが、どうお考えになりますか。
  25. 平野三郎

    平野政府委員 先ほどもお答え申し上げましたが、食管会計の中に他の会計の分が入つておる、これを別にしたらどうかというお話でございますけれども、別にしなくても、事実上その中ではつきり区分をいたしておるわけでありまして、農産物価格安定法や飼料需給安定法に基くような分についての損失等がありましても、これを食管の方にしわ寄せするとか、いわゆる一般消費者の負担になるようなことがないように明瞭に区分をして進めておりますので、その点は技術上そうやつておると存じます。ただ今の食管の方式そのものについていろいろ論議がございますけれども、その点は、政府といたしましても同感でございますので、目下食糧対策協議会というものを内閣に設置をいたしまして、来米穀年度あたりから早急に何らかの適切なる改善をなすために、目下鋭意研究を進めておるというような次第でございます。  なおバターの問題、あるいは砂糖の対策等について何もやつておらぬじやないかというお話でありますが、バターの対策につきましては、何としても国内において畜産の振興をはかるということが必要であり、特に酪農の振興が重要でございますので、昨年度から特に政府は集約酪農の制度を実施いたしておるわけでございますが、昨年度二箇所指定いたしましたものを、本年度の予算におきましてはさらに今回四箇所追加いたしまして、六箇所の集約酪農地区を設けて、このための所要経費も三億程度を計上して進めております。その他全般的に畜産の振興をはかるということのために、有畜農家創設のための各般の施策を進めておる、こういうような次第でございます。  なおまた砂糖の問題につきましては、御承知の通り、特に最近外貨の割当等をめぐりまして、砂糖が暴騰するというような事態にかんがみまして、近く砂糖については、この際根本的な対策を立てるということで、目下これも研究を進めておる次第でございます。
  26. 植木庚子郎

    植木政府委員 ただいま井上委員の御指摘になりました、食糧管理特別会計でもつて農産物価格安定のための操作を同じにやつているのはまずくないかということでございますが、純理論から申しますと、まさにお説の通りだと私も考えます。しかしながら今までのいろいろの経過にかんがみまして、食糧に関連があるというので、先ほど平野政務次官もお答えになりましたように、便宜的な考えで、切りぼしいもとか、あるいは菜種、飼料というようなものについての操作を現在この会計でやつてもらつておるのであります。しかしこの運用の上では、これまた次官の御説明になりましたように、なるべく農産物価格安定のための赤字が起きないように、極力運用上操作をしていただくようにいたしまして、そうして、そのための赤字のしわが主要食糧に寄らないように、できる限りの配意を今日していただいておるわけであります。将来の問題といたしまして、農産物価格安定のために特に別に会計が設けられることがいいかどうかということは、純理論的にはまさにお説の通りだと思いますから、十分検討をして参りたいと考えるわけであります。
  27. 井上良二

    井上委員 この会計のうちで、農産物価格安定のために何か特別な措置を別わくでやられておる、こういうことであります。それは当然そうであろうと思いますが、二十八年度の食糧、農産物等の買入れ費百五十二億、これの売払い額百十四億、そうすると、ここで約四十億ほどのものが損をしておる形になつて来るが、この損はどこから穴埋めをしておるのですか。
  28. 新沢寧

    新沢説明員 食糧農産物売払額が二十八年度に比較して二十九年度は多く計上されておりますが、これは予算を立てましたときの見込みといたしましては、二十八年度中に買い入れたものを二十八年中に全部売りませんで、その一部だけ売る、   〔委員長退席、内藤委員長代理着席〕 そして残余のものを二十九年度に持ち越しまして、二十九年度におきましては、二十九年度に買い入れたものと二十八年度から持ち越したものを合せて売るという形になつておりますために、予算面におきましては、二十八年度におきましては、売払い代と買入れ代と比較いたしまして相当の差が出ている、二十九年度においては逆の差が出ているということでありますが、実態は、持越しの関係で、年度内の買入れ数量と前年度からの持越しの差がここに現われるのであります。予算面においてはこのような数字なつておりますが、実態といたしましては、二十九年度中においての農産物の売払い費につきましては、特に利益が生ずるということではございませんで、大体買入れ価格をベース価格で売り払うということに相なつております。
  29. 井上良二

    井上委員 そうすると、全体で四十億ほどここでストックして持ち越したことに推定が出ると思います。そうなりますと、これがまた二十九年度に買い上げられます農産物の価格の上に非常な圧迫になることは当然であります。たとえばいも産地の方面では、切りぼしかんしよを政府が売らずに、そのまま倉庫に持つているというところから、切りぼしかんしよに対する価格をいかに政府が圧迫しているかという具体的な事例が起つております。また四十億もの物品を持つているために、その金利、倉庫料はだれがもうけているのですか。そういういいかげんな言いのがれをして糊塗せんといてくれ、そういうことになりまつしやろ。やはり倉庫料を払うて行かにやならぬ、金利も払うて行かにやならぬ、そしてまたそれをつくつている農民に価格の上で圧迫を加えて行くことにもなる。だから、そういう点から、こんなものは少くとも他の特別会計にいたして——食管の中でこれを操作することはいろいろな問題を生んでくるから、別個に独立さすべきであろうと思うのであります。  なおさきに私が聞きました砕米の払下げについて、私が申したような事例はありませんか。少くとも貴重な外貨を使つて輸入した以上は、これをできるだけ主食の代替に使うべきである。たとえば労務加配なら労務加配の一部に充て、一箇月一ぺんくらいは砕米を加工したものでがまんしてくれ——あるいは末端においても、それぞれこれの代替配給機構ができているそうでありますから、それを利用すべきである。そういうことをしないで、間食的なお菓子用にこれを払い下げるということはもつてのほかである。また砂糖についても、ここで必要な対策を講ずるそうでありますが、私は先般来砂糖消費税の値上げの問題に関連して、これは少くとも国家が原糖を一手で輸入する、そして一定の市場価格でこれを払い下げるという、米と同じような性質において砂糖を取扱うべきである。進んで行くならば、専売制度にするのが一番いいのでありますけれども、今の自由党ではそこまでなかなか踏み切れますまいから、せめて重要物資の一つとして政府においてこれを輸入管理する。そして一定の価格で払い下げるということにいたしますならば、砂糖消費税なんかとらなくても、それだけそこに大きな利益が生れて来る。そういうところをお考えになつて、主食と同じように安定政策をとるべきであります。またいろいろ酪農その他において御努力願つておることについて、私どもは了といたしますが、せつかくの努力が一体市場においてどう現われておりますか。市場操作において不手ぎわであるために、一般市乳として販売されております乳はどんどん値上がりの状況にあります。またバターも一緒であります。だからわれわれが多額の国税を費し、国家投資をいたして、非常な奨励政策を講じても、少しもそれが結果的に効果を消費者に現わして来ていないという事実については、われわれは黙つておられません。それだけやつたらやつただけの効果、たとえば牛乳において一円下つた、二円下つた、卵も一個十六円、十五円というのが十三円、十二円に下つて来たということならよいが、逆に上つて来ておるじやないか。そんなことをやつてつて、やつておるやつておると言つたつてさつぱり通りません。そういう政策を強行することによつて、食管全体の大きな負担というものができるだけ軽くなつて行くようなことをお考えくださらぬと、食管の会計は、取扱い物資が少いにかかわらず、金だけ大きくなつて来ておるじやないか。その結果は金利、倉庫料に莫大な金を払つて行かなければならないことになるのですよ。それは結局われわれの税金でそれがまかなわれることになるわけですよ。そこをお考えくださらぬと私どもは困ると思うのです。その点についてさきの砕米について労働組合に払い下げておりますか、菓子屋に払い下げておりますか。また払い下げる計画でありますか。それとも代替食としてできるだけ有効に活用しようというのですか。砂糖については、少くとも私は一手買入をすべきであると思うが、一手買入れをする必要はないとお考えになりますか。一手買入れをせずに、砂糖相場を安定させて、少くとも一箇月十五日以上は粉食せねばならぬ国民の食生活に砂糖の不安を解消する政策がとられますか、そこのところをひとつ御答弁願いたいと思います。
  30. 平野三郎

    平野政府委員 砕米を主食の方にまわしたらどうかということにつきましては、やはりこれの性質上適当でないのではないか。やはりこれはみそ、菓子原料等にまわすべきものであると考えますが、ただ配分につきましては、ただいま労働組合にやつたらどうかというお話でございますが、実は聞いておりませんので、さつそく取調べをいたしまして、適当な機会に御報告申し上げますが、私としては、できるだけ近い将来にこういうものの配分については、やはり入札制度をもつて売り払うことが適切ではないか、そういう方向で進むように、今事務当局に指示をいたしておるような次第でございます。砂糖につきましては、先ほども申し上げましたように、目下抜本的対策を樹立するために、政府部内において研究を進めておるわけでありますが、私個人の考えとしては、ただいまの井上委員お話とまつたく同感でございまして、これはすみやかに政府が一手買取りをし、国内についてはやはり入札の方法をもつて売払いをするということが妥当ではないかというふうに考えております。というのは、現在の砂糖の設備が非常に過剰になつておるわけであります。これは、やはり設備に対して外貨の割当をするという方式があつたために、必要以上に過剰に陥つておるので、そういうようなことから考えましても、こうした状態を続けて行くということは適切ではないと考えますので、そういう方向に進むように目下努力をいたしておる次第であります。
  31. 柴田義男

    ○柴田委員 今井上委員から、いろいろと食管特別会計が年々増額しておるということを指摘されました。こういうことは、いろいろな食糧政策上やむをえないといたしましても、私ども納得の行かぬことは、食管特別会計法第八条の二を見ますると、たとえば農林大臣は毎年度歳入歳出予定計算書と同一の区分によつて、同会計の歳入歳出決定計算書を作製して大蔵大臣に、報告せよという義務が規定されております。この義務がはたして実行されておるかどうか、こういうことを両次官にお尋ねいたしたいと思います。
  32. 植木庚子郎

    植木政府委員 会計法の法令の施行につきましては、法定の通り実行されております。
  33. 平野三郎

    平野政府委員 大蔵次官のお答えいたしました通りであります。
  34. 柴田義男

    ○柴田委員 それではお尋ねいたしますが、たとえば二十六年度、二十七年度の経過いたしました状況によれば、食管特別会計で非常にわれわれの納得せぬ部分がたくさんございました。これを例証いたしますならば、二十六年度におきましては、全然不要な麻袋を三百万袋も、しかも市価から見まして莫大に高く買つておる。こういう状態が決算委員会等におきましても、あるいは農林委員会等におきましても指摘されておる。そしてその不要な麻袋を三百万袋、八億七千万も買つてつて、一箇月三百万の食庫料を支払つて寝かしておる、こういう現実があつた。そしてそれがまだ処理がつかぬうちに、昭和二十七年十二月には重ねて五百万袋を購入したという問題があつたのであります。こういう問題の場合に、はたして農林大臣は正直に大蔵大臣に御報告になつておられましようか、その点をもう一度承りたいと思います。
  35. 平野三郎

    平野政府委員 その問題は、決算委員会におきまして非常に精細に御審議に相なつたわけでありまして、その節詳しく御説明申し上げたわけでございます。その間の会計法規に基きますところの手続につきましては、遺憾がないと存じておりまするが、ただいまの麻袋の問題は、取扱い上不当であるという会計検査院の批難事項にもなつておつたわけで、いろいろ決算委員会においてお調べがあつたわけであります。結論的にはやむを得なかつたということで、大体御了承をいただいたわけでありまするが、しかし農林事務当局として若干遺憾の点があつたということも私どもは考えまして、決算委員会としては不問に付するということになりましたが、われわれとしては、当時の事務上の責任者に対しまして、先般訓告の手続を実はとつて、処置をいたしたような次第であります。
  36. 柴田義男

    ○柴田委員 私は今決算委員会の問題をむし返そうとは考えておりません。ただこういう現実の問題があつたし、今後もあつてはいけないと思いますので、われわれ大蔵委員会におきまして予算の増額を決定いたしますにあたつて、こういう問題が繰返されては困る、こういうので、特別会計法第八条の二をほんとうに正確に行うのであるか、あるいは単に形式的に予算書を提示いたしまして、大蔵大臣がそれにただ判を押してしまつて処理されるのかどうかを聞きたい。もう少しその内容をほんとうに検討されるのであつたならば、農林省の特別会計があまりにも乱暴な処理をやつた場合は、決算委員会、あるいは会計検査院から指摘を受けるのでなく、大蔵省においても当然これに対しましては何らかの処置をとるべきであると思う。黄変米の問題にいたしましても、昨年度の決算を見ますると、九億ばかりの損失を生じておる。しかもそれが正当な損失ではないということが指摘されておるのであります。こういうことを大蔵省当局は、農林省の食管特別会計から御報告になつた場合に、正確にこれに目を通しておるのかどうか、こういうことを大蔵次官にお尋ねいたしたいと思います。
  37. 植木庚子郎

    植木政府委員 大蔵当局といたしましては、各省大臣から提出にかかる書類につきましては、正式な書類はもちろんのこと、関係のいろいろな資料の提出を求めまして、でき得る限りの精密な決算上の審査もいたしておるのでございます。時あつてか、あるいは係員の知識不足等によつて見のがしてしまうようなことがあるかもしれませんけれども、しかしでき得る限りの最大級の努力を払つて審査をいたしており、従つてその場合におけるまずい点につきましては、随時当該省事務当局に対しまして注意を喚起しておるというのが実情でございます。
  38. 柴田義男

    ○柴田委員 もう一つ最後に申し上げておきますが、今平野次官から、決算委員会審議をいたしまして、いろいろな問題があつたんだけれども、不問に付するということになつた、こういう御答弁がありましたが、これは間違いでございます。まだ決算委員会では結論をつけておりません。私も決算委員の一人でありますが、どういう形において農林省にこの責任を負わせようか、これは実はまだ結論はついておりませんから、その点はお間違いなく御承知置き願いたいと思います。
  39. 内藤友明

    ○内藤委員長代理 小川君。
  40. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 私は食糧会計の問題で、今ちよつと議論になりました食生活改善運動の問題についてお尋ねしたいと思います。食生活改善運動をやらなければならぬ、やることは非常にけつこうだと思います。しかしながらこの問題は、池田さんが貧乏人は麦を食えと言つて、たいへんに不評判であつたので、今度はそれをかえて、食生活改善運動になつたような気がしないでもない。そういう議論は別として、今も柴田委員から指摘されたように、食糧会計の中では、黄変米の問題、砕米の問題、あるいは麻袋の問題等があつて、いやな問題を投げかけた。今度食生活改善運動をするというと、当然粉食になつて来る。そうすると砂糖の問題、ミルクの問題が出て来るけれども、これを推進して行くと、学校給食の問題等も出て来る。従つて製粉会社との関係が非常に大きく出て来るので、こういう食生活改善運動を進めることによつて、黄変米や砕米等のような、ああいう不愉快な問題を今度は製粉会社と起す可能性がまた再び出て来る、こういう心配があるわけです。あなたの方でこれについては十分な対策を立てる、こうおつしやつておられるから、私どもも立ててからこれは議論すべきかと思いますが、この点については十分にひとつ御検討をされないと、また再びそういう問題が起つて来る。  そこで次に砂糖の問題でお尋ねしたいのですが、先ほどのてん菜糖は、食糧として農林省は買い入れておるのですか。
  41. 新沢寧

    新沢説明員 てん菜糖につきましては、これは食糧管理特別会計法に特に規定を設けまして、てん菜生産振興臨時措置法に基いて政府が買い入れるということになつております。
  42. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 それは食糧としてですか。、
  43. 新沢寧

    新沢説明員 食糖としてではございません。てん菜糖ということでございます。
  44. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 そうすると、先ほど井上委員から砂糖の問題が論ぜられたのですが、粗糖を日本はたいへん輸入しております。この粗糖の割合ですが、この間私お聞きしたが、生産用原材料とかいう名前で輸入されておるわけですね。これはどういうわけで生産用原材料として粗糖を食管で輸入するのか。この名前は違つておるかもしれません。あるいは原料用何とかとなつておるかもしれませんが、一体どういうわけでこういう名前で輸入されておるか、どういう必要があつてこれを輸入なさつておるか伺いたい。   〔内藤委員長代理退席、淺香委員長代理着席〕
  45. 新沢寧

    新沢説明員 御承知の通り昭和二十六年度までは政府が砂糖を輸入しておりましたが、そのときは、実際に砂糖も総合配給の中において配給したというような例もかつてありましたので、このてん菜糖の生産振興臨時措置法ができますまでは、解釈上食糧という解釈で政府が砂糖を輸入しておりました。二十七年度から政府輸入がやめになりまして、一般の民間貿易で入つてつたのでありますが、その場合の外貨の取扱いにおきまして、砂糖はほとんど全部粗糖の原料糖の形で入つて参ります。そしてその粗糖はそのまま直接消費するのに適当でありませんので、一応精製という過程を経て消費されるのが適当であるという見解のもとに、原料としての取扱いをしておるわけであります。
  46. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 戦前輸入された粗糖等は、大体その六〇%はごく低位なもので消費されておつた、こういうふうに私は記憶しておるのです。ところが今日そういう姿ではいけないというので、全部これを精白にしておるわけですが、それはどういう見地から全部精白にしておられるのですか。
  47. 新沢寧

    新沢説明員 今戦前の数字についてお話がございましたが、私ども承知しております数字ちよつと違うように存じますが、それにいたしましても、戦前においては、相当精製度の低いものが四割前後使われていたと思います。現在はお話通り、ほとんど大部分が精製糖の形で消費されておりますが、戦前は輸入先と申しますか、台湾から大部分の砂糖が入つておりまして、台湾においてはいろいろの段階の砂糖が生産され、非常に精製度の低い黄ざら等も相当多量に生産されまして、そういう形で輸入されたものが大量にあるわけでございます。従いまして統計上は、糖度の低いものが当時相当輸入され、かつ消費されたような形になつておりますが、しかしその糖度の低いものも、これは現在の粗糖と同じには見られないのではないかと思います。一応粗糖から、まつ白ではありませんが、若干精製の過程を経ておるものが輸入されて、それが消費されたように承知いたしております。現在は輸入先が、台湾も若干ございますが、それ以外の諸外国から入つて来るものが大部分でありまして、その現地の生産事情から言いまして、昔内地で消費されておりましたような精製度の低い黄ざら、ざらめというような形での生産はあまりないように承知しております。従いまして輸入しますとすると、粗糖で輸入するか、あるいは精製糖で輸入するかということになりますが、精製糖で輸入することは、いろいろ加工賃を外貨で払うというふうな不経済な点もございますので、粗糖で輸入いたしますと、戦前のような手を経たものと若干違いますので、やはりこれは加工の段階を経て消費した方が適当ではないかというので、今のような形をとつております。
  48. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 そこで粗糖を輸入する場合には関税が二十に安くしてあり、精白糖で見ると三十五にしてある。それから今の部長の答弁では、私なぜこれを粗糖で前には入れていたものを今は入れておらぬのかということに対しては、私の聞くところによると、だにがいるから、これは使わしてはいけないのだということが厚生省あたりから出たから、これは使わしていないのだ、こういうことを言うているわけです。そこでこの問題の根本は、せんだつて申し上げましたように、日本に十八社か十九社の製糖会社があつて、この製糖会社がこの貴重なドルの割当を受けて砂糖を輸入すると、一万トンあたり二億七千万、今日では三億三千万くらい、まつたくこれはだまつてもうかる利益があるわけです。そしてこれを二十万トンなり入れておつたとすると、六十億、七十億という厖大な利益を製糖会社がとつて行くことができた。それに対する非難がかなりあつた。全部原糖を精白したものを入れるのは、精白料を払わなければならぬから、原糖で入れなければならぬ。しかし原糖で入れたのではだにがいるから——そのまま国民に配給しなければならないから、これは全部精製しなければならぬ、精製するには製糖設備のないところにやつてはいけないから、これは全部製糖会社にやるのだ、こういうことで、全部この十八社か十九社ほどのものがやつておる。そこでこの十八社か十九社がここ二、三年のうちに、あなたの方からもらつた資料で見ると、厖大な製糖設備をつくり上げている。今後この製糖設備を製糖会社が運転して行くようにするには、日本は絶えず厖大な砂糖を入れて行かなければならぬことになつて来る。それでこの砂糖を入れるたびごとに、この砂糖会社がドルの割当分をもらつただけでも六十億、七十億という利益が出て来る。これに対して政府としては、どういう対策を一体立てようとなさるのか。食生活改善運動が行われておる、そうすれば安い砂糖を出すことに努力しなければならないにもかかわらず、消費税を上げたために一般の消費者の砂糖は今日どんどん高くなつておる。こういうように、砂糖は各家庭における消費が高まつて行くにもかかわらず、一方において製糖会社が厖大な利益を上げておる、これを見のがしておいて消費税をかけて行くというのは、私はこれは実に矛盾きわまるのじやないか、こういうふうに考える。  もう一つは、その輸入されている砂糖が家庭用には四〇%、あとの六〇%は全部業務用ということになつておる。こうなつて来ると、この今の食生活改善運動ともはなはだこれは違つたことであつて、もつとこれは家庭用にまわしたらいいじやないか、こう思われるが、あなたの方ではこれをどういうふうにお考えになつておるか、この点をひとつお伺いしたい。  それからいま一つ、井上委員の問題に関連して、少し違う問題ですがお伺いしておきたいのは、さつき井上委員の方から、砕米を菓子商組合その他へまわしてはいけないという意見があつた。私も同感なんですけれども、これは砕米だから、食糧にできないからまわすこともあるだろうけれども、これが去年は保安隊用としてあなたの方で払い下げたか何かして問題を起しておる。これは保安隊にどういう名目でこれを払い下げ、その数量はどのくらいであつたのか、そしてこの事件の経過はいいですが、その点二つお伺いいたします。
  49. 平野三郎

    平野政府委員 砂糖の問題につきましては、先ほども井上委員にお答え申し上げました通り、現在砂糖会社に対して外貨の割当を行いまして、砂糖会社が厖大な利益をあげておるという点におきましては、これは何らかひとつ手を打つ必要がある、かように考えておりまして、目下研究を進めておるわけでありまするが、私個人の考えとしては、先ほど申し上げましたように、政府が一手に外貨の分についてはこれを買い取つて、そうして各会社に対しては入札というような方法をもつて配分するということが、一番公正ではないかというふうに考えて、そういう線で今研究を進めておる次第でございます。それから保安隊の砕米のことにつきましては、事務当局の方からお答え申し上げます。
  50. 新沢寧

    新沢説明員 保安隊に対して払い下げました数量につきましては、これは手元に今資料を持つておりませんので、後ほど資料として御提出いたします。
  51. 淺香忠雄

    ○淺香委員長代理 春日一幸君。
  52. 春日一幸

    ○春日委員 砂糖会社が粗糖を輸入して、それを少数の限られた会社の精製によつて、これが白砂糖として最高価格で売られておる、そこで製糖会社が厖大な利潤を上げておることが、ようやく社会的な非難の的になつて来ておるわけであります。従つて主食の管理をいかにするかということについて、われわれは十分検討を加えなければならない段階に到達したと思うのであります。そこでわれわれがこれをいろいろ研究して行く資料といたしまして、さらにまた食管会計等に対するわれわれの審議の重要資料といたしまして、次の資料をひとつ御提出願いたいと思うのであります。  それは、これが自由輸入に切りかえられて以来の、すなわち二十七年度並びに二十八年度における原糖の輸入総量、それからそれに要したる輸入の総金額、これが一つ。それから二は、これらの輸入の割当を受けたところの製糖会社の名前、それからその会社の二十七年度並びに二十八年度において受けた原糖割当のそれぞれの総量、それから次は製糖会社の二十七年度並びに二十八年度における収支決算書、大体その会社の収支の状況がよくわかる決算書、並びに二十七年度、二十八年度において粗糖の輸入に要したる輸入関税の総金額並びに砂糖消費税によるところの税収入の総金額、それから次は、現在の砂糖が主として精製されて配分されるところの主たる用途並びに用途別総量、これだけの資料をひとつすみやかに御提出をお願いいたしたい。これはこの議案審査に必要な資料でありますので、明日もしくは明後日、いずれにしてもこの議案があがる前にひとつ御提出をお願いいたします。
  53. 新沢寧

    新沢説明員 ただいま資料の御要求がございましたが、五つありまして、そのうち一つは、大蔵省関係でございますので、大蔵省にお願いすることといたしまして、あと四つは私の方で準備いたしますが、そのうち会社の収支決算書でございますが、これは深く立ち入つての調査ということができませんので、公表された考課状みたいなものしか出し得ないのじやないかと思いますが、それでよろしゆうございますか。
  54. 春日一幸

    ○春日委員 考課状でよろしい。
  55. 淺香忠雄

    ○淺香委員長代理 加藤清二君。
  56. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 砂糖の問題が論議されておりますようでして、関連いたしましてお尋ねしますが、一斤五十円前後のものが今日百円ほどにこの数箇月の間にはね上りまして、業界はもちろんでございまするが、国民生活に非常に大きな影響を及ぼした結果、これが大きく社会的な問題として取上げられようとしておるやさきに、ただいま春日委員がそれの審議をスムーズに進めるための材料の提出を要求されましたが、私もそれに附加いたしまして、製糖会社の設備、これの稼働率、これの外貨割当の金額、それから輸入粗糖の量、これを二十六年度、七年度、八年度と比較いたしますると、大体ここから将来の目安、先ほど農林政務次官が言いましたところの方策が樹立されると思います。これがわからずに食管特別会計を審議してもむだだと思いますので、ぜひこれを御提出願いたいと存じます。私の今まで調査いたしましたところによりますると、製糖会社の設備は完全に二重投資、三重投資に相なつております。政府は今物価を引下げるということを言うておられるようでございまするが、この過剰設備ということからして、決して砂糖の値段が下るという材料はどこにも見出すことができません。上る材料はあります。特に設備が過剰になつ理由がいろいろございまするけれども、その最も大きいものは、政府の行つておりまする設備台数に対する外貨割当の基準なんです。外貨というものは御承知の通り、もらつたとたんに四割の得がある。これをもらわないと輸入ができない。従つて各会社は全部設備台数の増加の競争をやつた。そこでどんどんこれがふえて来た。ところが悲しいことに今日では、これが戦争中の幽霊人口と同じような状態に置かれておる。ほんとうに会社がこの設備の合理化をするということならば、古い設備は廃棄して行かなければならぬはずなんです。にもかかわらず、この設備に外貨を割当てるものだから、すでに死人にひとしいところの、もう老朽した設備をそのまま生かしたかつこうにして、外貨の割当を受けておる。これに対して政府は、今まで二十七年度以降というものは、ずつと割当をやつて来ておる。つまり古い企業を切りかえなければならぬのに、それをそのまま放任して——いや、放任じやない、死んだものを生きたかつこうにして外貨の割当を受けておる。これはいわゆる幽霊人口だ。そのおかげで、工場としては稼働率がずつと少いということになる。従つてここから生ずるものは何かといえば、コストの値上りということなんだ。物価を引下げるなんて言つたつて、こういうものを生かしておいては、とうてい砂糖の値下りなんということは期して待つことができません。これに対して政府は一体どのように考えているか。これは砂糖に例をとつたのですけれども、鉄鋼の圧延にしても、あるいは毛の紡績にしても、みな同じことが言える。これは外貨割当の方法を誤つていたところの政府の責任以外の何ものでもない。これに対して今農林政務次官は、すみやかに方策を立てると言いましたけれども、はつきりと示してもらいたい。それから示す時期でございまするが、この時期が悪いと決して値下りが来ません。いつも農林とか通産とかあるいは大蔵の政府の発表によつて、ものの値ががらがらつとかわるのです。今日のあなたの発言——いや、あなたではいかぬだろうが、大蔵次官か農林次官の発表いかんによつて、今日の午後の新三品に影響がありますよ。あなたがほんとうに砂糖を安くするという気があつたら、はつきりここで発表してください。ところがそれがいつも時期を誤るものですから、最初は輸入量は少ないぞ少いぞと言うものだから、製糖会社の方がそれつといつて高くして来る。ところがいよいよ値ぎめがきまつて、新三品の市場ではつきり取引がきまつて、高値で中小企業が買い取つたころに、いや、外貨割当はよけいやるんだと言うものだから、だだだだつと値下りが来て、原料高の製品安で、菓子製造業者を初めとして、砂糖を消費する者がみな困つてしまつた。原料高の製品安ということはこういうところから来ている。だから発表の時期というものをはつきりとよく心得てもらいたい。あなたたちの発表する時期いかんということは、やがて製糖会社をもうけさせて中小企業だけをいためつける、こういう結果になつているのですから、ここでひとつはつきりしてもらいたい。以上お尋ねして、あなたの答弁いかんによつては追つて質問いたします。
  57. 植木庚子郎

    植木政府委員 製糖会社の設備過剰の問題と、さらに外貨割当の問題についての御指摘でございますが、関係省間におきまして十二分に研究調査いたしまして、適切になるべく早く善処いたしたいと考えます。
  58. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 先ほど農林次官も言われましたが、外貨の割当の方策をかえる、今までのような設備割当ではいけないから、入札制度にするというお話でございましたが、その入札制度にするとか、あるいは方法を改めるとかいう発表の時期はいつごろでございましようか。あるいはここで審議される時期は一体いつでございましようか。
  59. 新沢寧

    新沢説明員 先ほど政務次官からお断り申し上げました通り、この砂糖の対策の問題は明年の外貨の問題にもからまつておりまして、たいへん重大な問題でありますので、私ども今関係省寄り集まつて研究を重ねておる最中でございまして、いつ発表できるかということはあらかじめ申し上げにくいのでありますが、できるだけ早い機会に対策を決定したいと、せつかく努力をしておる最中であります。
  60. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 できるだけ早い時期と申しましても、今砂糖が六割も七割も値上りして消費者が困つている。あるいはこれを材料として加工する組合が非常に迷惑をこうむつている。つまりいわば国民一般、砂糖を消費する者というのは、全部この悪影響のために苦しんでいるというのが今日の状況です。これは新聞面でも盛んににぎわつているから、あなたはよく御存じのはずだ。ところがこれに対して救いの手を延べるというのは政府以外にない。そこでこれは早いがいい、遅れては何にもなりません。値ぎめがきまつたあとでは何ともなりません。そういうことをするということを発表するだけで、あす、あさつての砂糖の市場の値段がかわります。そこで、できるだけ早くではいかぬから、せめて目安を伺いたいのです。たとえば三月の上旬であるとか、あるいは三月の中旬であるとかいうことだけで取引市場における量がかわるのですが、いつごろでございますか。
  61. 新沢寧

    新沢説明員 砂糖の問題につきましては、恒久対策と応急対策と申しますか、二通りあろうと思いますが、一応現在の値上りの状況に関しましては、第四・四半期におきます外貨の割当が遅れているというようなことに原因する点が多々ありますので、その残の割当につきましては、急速に割当をするように通産省等とも話をしております。それから現在政府が手持ちしておりますてん菜糖三万トンのうち、一万トンを過日入札にしましたが、残余の二万トンにしましても、輸送の関係もありますので、中旬ころになろうかと思いますが、これも引続き放出をするということによつて、当座の砂糖価格をあまり高騰させないという点については、そういう手を打つて参りたいというふうに取運び中でございます。  将来の外貨割当につきましては、簡単に結論を出し得るものではございませんので、あらかじめいつまでと言われても、ちよつと私からお答えしにくいことであります。(「見通しはどうか」と呼ぶ者あり)見通しでございますが、これも来年度の外貨割当がもう近くきまらなくちやならないのでありますから、それに間に合せるようにという考えでいたしておりますが、いつということをはつきり申し上げるのは、ちよつと自信がございません。
  62. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 見通しがつかぬような計画では困つたものです。大体今日の砂糖の値上りの原因は、あなたのところの第四・四半期の発表が遅れておるということが大きな原因ですよ。それはあなた自覚しなければならぬ。そのために国民が六十円で買える三盆白を七十円、八十円はおろか、百円以上はね上つて買わなければならぬ。つまり三十五円から四十円というものは、政府の外貨割当の方式の誤りと、その発表の時期のいかんによつてそれだけ余分の負担をかけ、国民及びこれを原料として製品をつくるところの業者が迷惑をこうむつておる、こういうことなんです。それで、それをあなたは今おわかりになつていらつしやるようでありまするから、それだつたらそれを自覚して、その罪滅ぼしのためにも、一刻も早くやつてもらわないといけないと思うのです。  次に、入札制度にするとおつしやいましたが、この入札制度いかんということは、食管法を審議するにあたつては非常に重要な関係が生じて参ります。いかにこの食管法をうまくつくつてみたつて、この入札制度に誤謬がありますると、遺憾ながら政府の意図するところの物価引下げということはとうてい不可能になります。そこでこれについて、どういうような考え方で、どういう形式の入札制度を行おうとしていらつしやるかをお尋ねするわけですが、この際私の意見を申し上げれば、こういうことなんです。過去において、いや過去と言うよりも最近において、バナナであるとかその他ですでに入札制度は行われております。ところがこの入札制度にわくを設けずに行うから、資格者というものに対しての限定が甘過ぎるおかげで、もうかるというところへわれもわれもと集まつて来る。砂糖だから一層ありの集まるように、もうかるから集まつて行く。そこで、そうなるとこれがせり上げを行う。政府の意図しておるところは、入札制度をして、その差益金を国家の財政収入に入れよう、こういう考え方でしよう。ところがそれは行えるかもしれませんが、金を持つておるだけのいろいろのしろうとが、わんわんと入つて来る。おかげでこれは業界を乱すのみならず、コストの引上げを来す、こういう結果に相なるわけでございます。さりとて過去の政府のやり方のように、原料糖であるからというので、工場にだけ、メーカーにだけこれを渡すということは大きな間違いである。なぜならば、需要の用途でございますが、先ほどのあなたの御答弁では、ほとんど加工へ使われておるということですけれども、これは何か調査の間違いではございませんか。今日菓子をつくるには原料糖の方がロスも少く、効率も多いというので、原料糖の方がいい、黒砂糖の方がいい。こういうわけで、原料糖に使われているのは三盆白よりも粗糖、黒砂糖の方が多い。現に町を歩いてごらんなさい、白砂糖にまじつて、加工しない砂糖がうんと売られている。これはどういうことかというと、工場が貴重な外貨を割当ててもらつて、それを加工するという名目で割当ててもらつたものを横流ししているという証拠である。その証拠には、粗糖の輸入量、かけるロス、イクオール製品が出て来なければならぬのに、製品の方がずつと少い。調べてごらんなさい。机上の計算でもできます。私は市場も調べてみました。  そこで今日では、その粗糖及び黒砂糖を材料として、第二次加工をしたい——あえてそう言葉をやわらげておきますが、第二次加工をしようとして、菓子の業界からも当然、われわれのところへも製糖会社と同じように外貨を割当ててもらいたいという希望が出て来ることは、あなたの方がよく御存じのはずです。それに対して一体どう処置なさろうとするのか、ないしは今度の入札制度の場合の入札資格者をどうわくづけようとなさつておられるのか。この方法いかんによつては値下りどころか、値上りが来ると同時に、消費者は非常な迷惑をこうむらなければならない、こういう結果になりまするので、審議に先だつてお尋ねするわけでございます。
  63. 新沢寧

    新沢説明員 食糧庁の立場から申し上げますれば、砂糖は大量に安く入つて来ればいいということでございますが、砂糖につきましては、現在もすでにそうでありますように、他の貿易政策と関連いたしまして、いろいろな輸入の形態がとられております。従いまして、農林省だけでどういう制度にしたい、あるいはいつまでにきめたいと申しましても、なかなかきまりません。これは通産省関係の貿易政策との関連でいろいろきまつて来ると存じます。私どもの希望としては、最初に申し上げました通りに、たくさんの砂糖が安く入つて来る方法を専一に考えて、これを主張すればいいわけですが、一方今申し上げたような事情がございますので、今御質問のありました、細部に入りましてどういう計画でいるかということは、まだ申し上げる段階には至つておりません。今後何回かの折衝が重ねられて、だんだん形が整つて行くものと存じます。現在まではそういう状況でございます。
  64. 淺香忠雄

    ○淺香委員長代理 井上君。
  65. 井上良二

    井上委員 大分時間が迫つて参りましたから、審議の都合がございますので、食糧管理特別会計の質問は一応その程度にいたしまして、開拓者資金融通特別会計において貸付金財源に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案について、一、二伺つておきたいのであります。  二十二年からこの制度は始められて参りましたが、今日まで約百二、三十億これに貸し付けており、そのうち償還期が来て、返されたものが五億二千万円ほどありはせぬかと推定をいたしておりますが、この法律案によると、今度十四億八千五百五十六万五千円を予算の定むるところにより一般会計から繰入れることができるということが書いてございます。これは大体営農資金、共同施設資金、中期資金いずれも五年、二年、一年と捨て置きをいたしまして、それからぼちぼち三年ないし十五年の長期にわたつてこれが返されることになりますが、その年度間の返済の計画はどうなつているか、それが一点。  それから、開拓者資金融通特別会計が扱います場合における営農資金、共同施設資金、それからいわゆる中期資金と申しております部分の今後の全体の資金需要の見込額というものは、およそどういうことになつておりますか、その見込額を一応お知らせ願いたいと思います。  それから第三番目に伺いたいのは、大体開拓地に対しましては、主食の供出を一定年限免除いたしまして、その後供出をしなければならぬことになつておるのでありますが、開拓地において、免除後における主食の供出状況はどういう事情なつていますか、今それがおわかりになりませんでしたら、後ほど資料としてお出し願いたいですが、この場合、全体の開墾、干拓等による耕地拡張の実面積、それからその開拓者戸数、それに要しました所要資金、それから今申しました供出の対象になつて供出を現に行つておる開拓地、それからその供出の実績、これをひとつ資料として御提出を願いたいと思います。おわかりでしたら、今以上申しました三点について御説明願いたいと思います。
  66. 細田茂三郎

    ○細田説明員 第一点の償還計画がどういうふうになつておるかというのは、きわめてこれは詳細なこまかい数字の表になつておりますが、資料として提出いたしましようか。
  67. 井上良二

    井上委員 ええ、そうしてください。
  68. 細田茂三郎

    ○細田説明員 ちよつと申し上げても長くなりますので、それで差上げたいと思います。  それから中期資金の今後の必要見込みがどのくらいになつておるかというお尋ねでございますが、御承知のように中期資金は、大家畜、主として牛であります。牛に必要とする資金を考えておるわけでございまして、本年度までは御承知のように大体役畜としまして、乳牛を除外して考えて来たわけでございます。今後いまだ役畜が導入されておりません対象農家の必要とする頭数がどのくらいあるかということが、今後の必要額ということになりますが、私どもの推算では、大体現在の開拓農家でありまして今後必要といたしますものの役畜の必要頭数は、一万九千頭近いものがあると思つております。これは大体予算の関係もございますから、三箇年くらいに分割をしまして充足をして参りまして、結局役畜のない農家を解消したいと考えております。そういたしますと、金額にしまして約五億円くらいのものが必要になつて来るのじやないだろうかというふうに考えております。それから御承知のように、本年度から開拓農家の営農の基礎が大分固まつて参りまして、どうしても開拓地には乳牛を入れまして、酪農というものに主眼を置かなければならないのは言うまでもないことでありますが、だんだんその需要が熾烈になつて参りましたので、二十九年度の予算におきましては、この中期資金の中で、乳牛の対象といたしまして約五千五百頭分の所要資金二億六千万円というものを計上いたしておりますが、この乳牛につきましては、まだ何ぼ入れなければならぬかという数字ははつきり出ておりませんけれども、今後これは精査をいたしまして、乳牛につきまして、極力この中期資金でもつて増加をして行くような方法を考えたいというふうに考えております。  それから御承知の開拓農家十五万戸のうち、供出対象になつておるものがどのくらいあるかというお尋ねでありますが、実は私の方にそういう調査がございませんので、的確なことを申し上げかねますけれども、御承知のように、開拓農家はむしろ畑作が主体でございますので、おそらく米について供出をしなければならぬというような農家は、きわめてまれではないかというふうに考えております。
  69. 井上良二

    井上委員 共同施設資金というようなものは、今後の見込み資金はどういうことになつておりますか。  それからかくのごとく厖大な国家資金の繰入れをいたしまして、そうして開拓営農をねらつておるわけでありますが、その効果というものが全体にどう現われて来ておるかということは、やはり必要でございます。私がその点を聞いておりますのは、一定資金を注ぎ込み、独立農家としての経済的な基盤ができましたならば、もうこの資金融通の道から離して、一般の農林中金の資金にたよるとか、あるいは農林漁業資金にたよるというのが筋合いではないかと考えます。そうでないと、たとえば二十二年に開拓をいたしまして、今日八年にもなつておつて、なおかつ開拓組合に入つて、そうしてこの資金にたよるとしますれば、新規の地帯の開拓農家が非常な圧迫を受けて参ります。だから営農としてどうにかやつて行ける事態になりました以上は、それは当然普通の農林漁業資金なり、あるいは農林中金の資金にたよつて行く、そしてこれはできるだけ新しい人を対象にして資金融通をはかつて行くというように、政府としての資金対策を考えるべきじやないかということから、今申しました供出の面がどうなつておるかという点をお尋ねしましたのも、実はそこにございますので、それらの点は、二十二年ごろに入つたものでもまだとても独立営農はできない、だから依然として開拓資金にたよらなければならぬということになつておるといたしますならば、開拓政策というものに対してもう少し全体的な措置政府としても考えて、早く一般独立農として経営のできるように指導援助を与えて行かれたらいかん、こう私どもは考えますから、その点に対してひとつ必要な資料をお出し願いたいと思います。  なお開拓農政策についていろいろ伺いたい点がありますけれども、法案自体が非常に簡単にして重要なものでありますし、時間もございませんから、これ以上この問題に私は質疑をいたそうといたしません。その資料をお出し願いたいということだけを申し上げておきます。  次に当せん金附証票法、これはあした上るんですから質問しておきたいんだが、この法案で伺つておきたい点が一点ございます。この法案によると、従来地方公共団体が証票を発行いたします場合は、自治長官と大蔵大臣が協議することになつておりました。今度はその協議の必要がない、こういうことにいたしております。政府みずから例の富くじによる当籤金附証票の発行というものが賭博行為を意味するものであるというところから廃止を決意されたことについて、われわれは非常に喜ぶものでありますが、同時にこの法案の一環としてありました、地方公共団体が発行しておるものはやむを得ない、いわゆる今日政府の地方財政確立に対する不手ぎわの結果、ばくちをやらしてもしようがない、こういうことでこれは当分残すことにいたしましたのか、そこのところを一点伺いたいのと、それから従来大体政府に相談して発行限度というものを押えて来たが、今度はそれがなくなると、もちろんいろいろの制約や事情も当然起つて来ようと思いますけれども、当該地方公共団体がかつてに必要な発行限度をどんどんやつた場合、一体それによる悪影響をどこでどう押えて行こうといたしますか。その二点について伺いたいと思います。
  70. 植木庚子郎

    植木政府委員 お答え申し上げます。今回当せん金附証票法改正に当りまして、国の発行する宝くじは将来これを廃止することにして、地方にだけ残しましたのは、最近におきまして中央、地方を通じてのいろいろな財政計画を研究いたしたのでございますが、当該特殊の都市もしくは地方団体における宝くじの発行は、さしあたり当分の間なお認めた方がよかろうという方針でこれを認めたのであります。しかしながらその限度の問題につきましては、今度は大蔵大臣は協議を受けないことになりますが、しかし自治庁長官がこれを監督して参ることに相なります。なおこの法案改正の際にあたりまして関係省で十分に協議を遂げ、かつ閣議におきましても、今後地方における宝くじの発行もなるべく制限して行こうという趣旨の了解を遂げております。これによりまして、無制限に当該団体がどんどん発行できるのではなく、十分に相談の上で、しかもこれを漸減するという方針で今後地方も進んで参ることに相なつております。
  71. 井上良二

    井上委員 地方長官と大蔵大臣が協議をすることになつておつたのを、協議しなくてもいいと書いてあるのだが、それはどういうことです。あなたの今の説明と違うのですね。発行限度は自治庁長官が制約を加えて行くという規定はこれにはありませんよ。
  72. 植木庚子郎

    植木政府委員 大蔵大臣が協議を遂げることは、今回法律の上で廃止になつておりますが、自治庁長官はこれに対しまして、一般地方財政の監督の立場からこれに制肘を加えて行くということに相なると思います。
  73. 井上良二

    井上委員 それから地方の証票の発行実績はわかつておりますか。そうしてそれは従来の実績で大体やらすということですか。従来の実績を越えた部分は認めない、大体従来の実績によるものは認めます、こういうことに了解してよろしゆうございますか。
  74. 植木庚子郎

    植木政府委員 ただいま手元に資料がございませんが、従来の実績はもちろんわかつておることと思いますから、適当な機会に提出いたします。また今後の方針としましては、やはり一定の計画がございまして、その計画のもとに運営されることに相なると考えます。
  75. 井上良二

    井上委員 それからいま一つ、これは当分の間ということですが、その当分の間というのはどの程度認めますか。それとこのことが一つの賭博的な射倖心を国民にそそらせるということからして、道義的にもよくないという建前で政府は当籤金附証票の発行を廃止したのでありますが、そうすると、これも大体いつまでは許すというおよその見当をつけて、その間に次の財源を考えろ、あるいは政府で考える、こういう提案の方が親切な行き方なのです。三年なり五年の期間を切れば、各地方団体としても所要措置が講ぜられることになるわけです。当然そうすべきでないかと思う、これが一点。それからいま一つ、非常に問題になつておりますものに競馬、自転車競技、パチンコ、その他たくさんございますが、こういうものを依然として放任しておくつもりですか。これは別にあなたの所管ではないけれども、少くとも政府としては、宝くじの廃止に伴つて、そういう賭博行為を助長するごとき公認的な行為はやはりやめさせて行くということが必要でないかと思います。あなたにお聞きするのは見当違いかも存じませんけれども、一応政府としてお答えを願つておきたいと思います。
  76. 植木庚子郎

    植木政府委員 当分の間の意味は、政府としましてもなるべく早い機会にこれはやめてほしい、またやめさせて行きたい、かように考えておりますので、二年で済むのか一年を目標とするかというようなことはございますが、さしあたつて政府は、なるべく早い機会と考えておる、従つて当分の間で、一年で終り得るものならば一番ありがたいと思いますけれども、なかなかそうも参らぬのじやないか。従つて一両年くらいの間に、ぜひやめる方に持つて行きたいという希望ではおりますが、ただちにそれをこの際計画化することも困難でございましたので、当分の間として御審査をお願いしておる次第でございます。なお競馬、競輪の問題等につきましては、仰せの通り、一面においてたしかにまずい点もございます。しかしながら、他の面においてやむを得ざるに出たる理由もございますので、これまた十二分に研究をして参りたいと考えます。
  77. 淺香忠雄

    ○淺香委員長代理 本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十一分散会