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三井説明員 福田
委員からの御質問でございますが、お話がございましたように、私どもの今心から
念願いたしておりますところは、国内塩の増産によりまして、一般用塩が自給できる段階に一日も早く到達したいということです。御
承知のように、本年は天候不良の
関係もございまして、当初五十五万トンくらいの産額を期待したのでございますけれども、ただいまのところでは大体四十五万トンくらい、計画に対して十万トンくらいの減になるのではないかと思
つております。非常に遺憾でございますけれども、そういう現状でございます。そこで一応ごく大ざつぱに現状五十万トンの生産能力ありという前提に立ちまして、私どもはいろいろと計画を立てておるのでありまするが、この五十万トンの現状に対しまして、私どもは二つの大きな方策によりまして今後の増産をはか
つて参りたいと思
つております。
その第一は、御
承知のように現在の塩田は、非常に古い方式をそのまま踏襲しておりますいわゆる入浜式塩田というものが大
部分でございまするが、これを
公社が長年研究いたしました結果のいわゆる流下式塩田に転換することによりまして、少くとも五割の増産は可能ではないかというふうに私どもは期待いたしております。さらにこれを、まだ現在確信を持
つて実用化し得るまでの段階には至
つておりませんので、さらに慎重な試験等を経まして、一日も早く実用化したいと思うのでありますけれども、この流下式塩田にビニールを張ることによりまして、従来流下式塩田の底に張りました粘土を通しまして海水がしみ込んでしまう。そのためのロスが、多いところは四割、平均いたしましても二割くらいのロスがあると思います。このロスを完全に阻止することによりまして、さらに二割くらいの増産が可能であるというようなことにな
つて参ります。この転換いたしました流下式塩田の生産鹹水量に適応いたしましたところの新しい煎熬方式であります。いわゆる真空式と、言
つておりますけれども、経済単位を
考えまして、この真空工場を全国に適当数配置することによりまして、従来の塩田方式によります製
塩事業の形態というものを一方には確立して参りたい。もちろんこれには、御
承知のように非常な設備
資金を要するのでありまして、
補助金あるいは
農林漁業資金と冊いうようなものも相当導入しなければならないのであります。来
年度の
予算におきましても、この点が非常にわれわれの
希望と反しまして、
財政の現状
等から十分な
資金を獲得できておりませんので、私どもの
希望する
通りの業績がなかなか収められないのでありますけれども、与えられました
資金を最高度に活用いたしまして、この流下式転換をできるだけや
つて参ることによりまして、増産をはかりたいという計画でおります。二十八
年度は、ただいま申し上げますように大体四十五万トンくらいの生産成績だと思いまするが、来
年度ただいまわれわれの
考えております計画を実現できますれば、大体生産高は五十三万二千トンくらいになり得る目標でございます。流下式に転換いたしましても、すぐにその
年度に大きな効果をあげるといことはなかなかむずかしいのでありまして、漸増してこの成績を上げて参ることにいたしたいと思うのでありますが、これによりまして、先ほど申しますように、現在の五十万トンが五割増せば七十五万トン、さらにその二割増産ができるといたしますれば、大体九十万トン以上のところまでは流下式転換によりまして達成し得るのじやないかというふうに
考えております。
それからもう一つの方策といたしましては、御
承知のように
公社におきましては、福島県の小名浜に試験工場をつくりまして、長年研究をいたしておりました加圧式の海水直煮の方法による製塩工場、これが小名浜の工場を建設いたしまして、操業をいたしました結果では、一般の民間企業としても十分成り立ち得るというところまでただいま到達いたしております。そこで私どもといたしましては、たとえば東北
地方、あるいは北陸
地方、あるいは北海道
地方とい
つたような電気が比較的豊富でありまして、しかも従来気象条件等によりまして塩の生産に恵まれておらないところには、この電気の
状況と適合いたしました新しい加圧式工場を適当数つくることによりまして、相当の新しい塩の生産を期待したいという
考えであります。しかし加圧式工場をつくるにつきましては、これまた非常な
資金を要するのでありまして、加圧式工場におきましては、大体一工場十万トンというのが経済単位といわれておるのでありますけれども、十万トン工場となりますると、少くとも十五億円、二十億円くらいの
資金を要するのであります。この方は電気の供給が確保されるところを選びまして、何とか
資金の見通しを得られまする範囲におきまして、この海水直煮の方法による加圧式工場を今後適当数助成して参りたい。それによりまして、十万トン工場を二箇所つくれば二十万トン、三箇所つくりますれば三十万トンという新しい塩の生産が期待できるわけでありまして、ただいま申しました流下式への転換と、この新しい方法による加圧式製塩との両方の業績を合せますれば、目標の百万トン、国内一般用塩の自給ができる時期は、やがて速からず実現できるというふうに私ども
考えておるのであります。何べんも申し上げるようでありまするけれども、この
事業を達成しますためには非常な
資金を要するのでありまして、私どもの一番の心配は、
資金をいかにして獲得するか、また
塩業者のために獲得してあげられるかという点でございまするので、その点はぜひともひとつ
国会方面の御援助をお願いしたいと思います。