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1954-02-11 第19回国会 衆議院 大蔵委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年二月十一日(木曜日)     午前十時四十二分開議  出席委員    委員長 千葉 三郎君    理事 淺香 忠雄君 理事 黒金 泰美君    理事 坊  秀男君 理事 山本 勝市君    理事 内藤 友明君 理事 久保田鶴松君    理事 井上 良二君       大平 正芳君    小西 寅松君       島村 一郎君    苫米地英俊君       三和 精一君    福田 繁芳君       小川 豊明君    春日 一幸君       平岡忠次郎君  出席政府委員         大蔵政務次官  植木庚子郎君         大蔵事務官         (日本専売公社         監理官)    今泉 兼寛君  委員外出席者         日本専売公社総         務部長     小川 潤一君         日本専売公社塩         脳部長     三井 武夫君         専  門  員 椎木 文也君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 本日の会議に付した事件  農業共済保険特別会計歳入不足を補てんす  るための一般会計からする繰入金に関する法律  案(内閣提出第五号)  製造たばこ定価決定又は改定に関する法律  の一部を改正する法律案内閣提出第一〇号)  開拓者資金融通特別会計において貸付金の財源  に充てるための一般会計からする繰入金に関す  る法律案内閣提出第一一号)     —————————————
  2. 千葉三郎

    ○千葉委員長 これより会議を開きます。  本日はただいま本委員会において審査中の十六法案中、農業共済保険特別会計の相入不足を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律案資金運用部特別会計法の一部を改正する法律案及び製造たばこ定価決定又は改定に関する法律の一部を改正する法律案の三法案一括議題として質疑を行います。質疑は通告順によつてこれを許します。内藤君。
  3. 内藤友明

    内藤委員 ちよつと塩のことでお尋ねしたいと思いますが、塩のいろいろな融資は、われわれ農業団体機関からもたいへん融資しておるのですが、これは農林金融公庫の扱いのものなんですが、ところがその政府へ納めました塩の代金というものは、実はわれわれの関係機関には入つて来ない、銀行取扱いになつておるという問題が実はあるのであります。そこで農林中央金庫でも貸してはおるけれども、代金が入つて来ない、それは普通銀行からまわつて来るのだということで、非常に都合の悪いことがあるのですが、こういう点をもう少し何か是正される必要がないかと思うのですが、それをひとつお尋ねしたいと思います。
  4. 今泉兼寛

    今泉政府委員 タバコ、塩の販売代金を預託する金融機関については、別に今制限は設けてございません。それでそういつた地方に非常に便利な金融機関があつて、ほかに預託するよりかその方が適当だというので、大体塩業者なり、あるいは小売業者なりの希望によつて今認めているような状況でございますが、御指摘の点はどの点になりましようか。よくお聞きした上で検討してみたいと思います。
  5. 内藤友明

    内藤委員 それはあなたのところの規則御存じないのでありますが、あなたのところの規則にはちやんと書いてあるのです。この前の葉タバコ代金収納のときも、農業協同組合の県の連合会で扱わせるようにしてもらいたいということで、あなたの方の規則に入りました。塩の方は入つていない。松山に農林中金の支所がありまして、一億五、六千万円ほどの金を借りておりますが、あそこの塩の代金はほとんど普通銀行へ行きまして、それが農林中央金庫に来ないというようなことがある。これはあなたのところの内規なんです。あなたはその内規があるということは御存じないのですよ。だから、その内規をあらためていただけばよい。農林中央金庫ということをちよつと差し入れていただいたらいいのでありますが、それは今のお話では入れてもよいというふうな解釈もできるのですが、そういうふうに解釈してよいかどうか、もう一ぺん確認しておきたいと思います。
  6. 小川潤一

    小川説明員 今御指摘の点は、塩の代金は直接塩業者に払うという建前になつているのです。塩業者に直接窓口で払うといろいろ間違いがあるから、塩業者希望を聞いて、どこへ振り込むかといつてやると、塩業者は大体自分の取引銀行へ振り込んでくれということになりますので、塩業組合指定する金融機関に入れてやつておるわけです。その金融機関の中に、今言われましたような普通銀行とか、農林中金とか、そういうものがあるので、塩の支払いに関してはそういう内規は別にないと思つておりますが……。
  7. 内藤友明

    内藤委員 それはひとつ内規を見てください。規則ちやんと書いてある、この前葉タバコの場合は改めていただいて、農業協同組合連合会というものを入れていただいて、これは順調に行つております。塩の場合はそうでない。だから委員長、これはあとでひとつ専売公社に御勉強をしていただいて、ぜひ私が申し上げるような目的に沿うようにしていただきたいと思います。正直に申しますと、これは普通銀行がかれこれ申すのですよ。けれども融資はしておるわ、代金取扱いはその機関ができないわでは、私はいかぬと思いますから、いろいろ今までは御関係もありましようけれども、そのときの事態に応じたようにして行く必要があろうかと思いますので、その点何も御答弁をお聞きする必要もないと思いますから、そのようにしていただきたいということをお願いしておきます。  それから次にお尋ねしたいのは、タバコ小売の問題でありますが、これが、そんなことを申してはいけませんけれども、いろいろなことが陰であるようであります。もう少し何かやり方をおかえになつた方がよいかと思うのでありますが、やはり昔の通りのお考えでありますか、これをひとつお尋ねしたいと思います。
  8. 今泉兼寛

    今泉政府委員 小売人指定の問題については、前国会、前々国会等においても各委員の方からいろいろ御指摘がありまして、指定の範囲の問題、特に未亡人あるいは戦災者といつたような者については、優先的に取扱いをするということで、それぞれ従来のやり方等も相当改善いたしまして、そういつた未亡人等には特別な取扱いをするという方針で今進んでおるわけであります。それから申請してから非常に許可までに遅れるのではないかという向きに対しましても、これも本社といたしましては、それぞれ各局を指導いたしまして、申請から許可までにあまり遅れることのないようにということの厳重な通達等もいたしてやつております。あと実際のいろいろな手続等の問題につきましても、従来の方式は、会議その他で招集した場合において、それぞれ検討いたしまして、決して従来きめたからこれを墨守するというやり方ではなくて、改善すべきものは改善するという態度で臨んでいるのでございますが、なお不十分の点がありますれば、御指摘をいただきまして、今後とも改めて参りたいと考えておる次第であります。
  9. 内藤友明

    内藤委員 もう一つお尋ねしておきたいと思いますが、これはあなたの方の内規でありますが、売り方においていろいろ好ましからざることをやつておるのを見つけられると、ただちに販売停止を命ぜられるようでありますが、またそれは、私もけつこうだと思うのですが、実はそこにいろいろな問題がありまして、上手にくぐつて行つた者は免れるし、まじめな者は、ただちに販売停止の命令を受けることがあるのであります。そういうことにつきましてもう少し——たとえば、君のところはこういうことをやつておるのだがと、一度か二度注意を与えるというようなことはできないものかと思うのであります。ぴしやつと死刑の宣告をするということはどうかと思うのですが、その点何か緩和策はないものでありますか。
  10. 今泉兼寛

    今泉政府委員 その面は、情状によりまして寛厳よろしきを得るように取扱うべきものだと私は考えております。ただ現実の問題として、あるいは初犯にもかかわらず、厳重に営業停止の処分にあつたというような者も、御指摘のようにあるかもしれませんが、しかしこれは、中にはそういうことを悪いことと知らずに、善意でやつたという向きもあるようでございますから、そういうものにつきましては、単に違反だからといつて営業停止をすぐやるというようなことがないように、この点は会議その他で十分指導して参りたいと思います。
  11. 内藤友明

    内藤委員 実はそうじやないのです。このごろは、これは脱法行為でありましようが、値引きして売つておるようであります。それが見つけられると、ぴしやつとやつてしまう。それはもちろんおやりになつていい。ところがぴしやつと行かれる反面、上手に立ちまわるものは、うまいぐあいにそれをのがれて行くのがある。だから私は、一、二度そういう事実があることを見つけられて、これはだめじやないかという注意をされて、なおそういうことを犯したならばさつと営業停止にする、こういうことであるならばいいと思うのでありますけれども、これは私、具体的な実例を申し上げるなら幾つも持つているのでありますが、そういう酌量をするようなやり方があるということになると、そこにいろいろなものが入つて来るのじやないかと思いますが、ああいう点にも非常に情味のないことがあり、その情味のないことが、それらをやつておる人たちの唯一の武器となりまして、好ましからざるいろいろな風評が出るというふうに考えるのでありますが、親切にして、なおかつやめなければしかたがない、そこでやめさせるというのならいいのだけれども、そこに私は、もう少し考えるべき余地があるのではないか。ごとに今度は値上げもせられ、しかも収入は前年よりも減らさないというのでありますから、よほど上手に売らなければいかぬと思うのであります。その点はひとつ十分御考慮をいただきたいと思います。
  12. 小川豊明

    小川(豊)委員 関連して塩の問題についてお尋ねいたします。今専売公社では、現行の先売制度をもつと整理されるようなお考えがあるということを聞いておりますが、そういう考えがあるならば、その根拠を伺いたいと思います。
  13. 今泉兼寛

    今泉政府委員 今元売は全国で相当数もふえまして、何か相当濫売の傾向になつておる。それから販路等も非常に入り組んでおりまして、今のような状況では、元売が共倒れになりはせんかという一面の危惧もございまして、これに対して何らかの措置をしなかつたならば、元売自体の方が倒れてしまい、ひいては小売なり消費者の方にまで影響を及ぼすということで、この問題をどういうふうなやり方で行くかということについては、今公社の方で検討中でございますが、それに必要な法律案を出すか、あるいは法律案等は出さずに、指導で今の濫売競争を是正するというような方法で持つて行くかまだ決定はいたしておりませんが、今のあまりに元売が多くて濫売しておるという弊は、何らかの形においてためて行かなければならぬのではないかというふうには考えております。
  14. 小川豊明

    小川(豊)委員 濫売があると言うけれども、これは初めから値段がきまつておるもので、濫発はできないだろうと思う。どうして濫発になるか、これはひとつ問題になりますが、この問題については、今あなたの方から、農協は県の連合会が四つか五つか許可になつてつておる、こういうふうに区域をきめて行くと、農協というものは仕事県単位でありますから、仕事ができなくなる。従つてこういうやり方は、農業協同組合の塩の取扱いに対する締出しではないか、こういうふうに考えられるが、これに対する措置はどういうふうに講じられるお考えであるか。今の指導ならばさしつかえないが、そうでないとすると、これは締出しになるが、これに対してあなたの方はどういうふうに考えておられますか。
  15. 今泉兼寛

    今泉政府委員 塩の元売指定更新がこの大月に多分あるだろうと思います。従つて今度の更新期機会に、そういつた入り組んだ関係等を是正し、古いものでも、もう資格のないものはこの際やめてもらうとか、新しい実力者が出ればこれを認めるということで、六月の更新期機会にそういつた点は十分考えて、今後小売その他消費者に対して影響を与えないような配給網考えたいということで、今研究を進めておる次第であります。
  16. 小川豊明

    小川(豊)委員 念を押すようですが、あなたの方で言われるのは、値段をくずして売つておるとか、あるいは取扱い数量がきわめて微少であるとか、また支払いが不円滑であるという場合があつたときには、これは注意され、整理することもある場合には考えられる。そうでない場合今言われたような農業協同組合取扱いに対して、督励というか、さつきあなたは指導ということを言われたが、指導的な立場に立つてこれは認めて行く、こういう立場をとられますか。
  17. 今泉兼寛

    今泉政府委員 更新の際に、実力あるもの等につきましては、それが農協であつたから、従来あまり農協は認めてないから、今後は認めないというような方針はとらずに、実力のあるものは、また配給網として整備すべき特質を持つておるものについては、新規といえども取上げて行きたいというふうに考えております。
  18. 春日一幸

    春日委員 本日の新聞の報道するところによりますと、会計検査院検査の結果が一部載せられておりましたが、いずれこの全貌は国会報告されて後問題になる機会もあろうと思いますが、大蔵省関係の分として、特に専売公社東京地方局外十三箇所で、二十七年度年度末である昨年三月、塩田等改良事業費補助金として、三億四千九百万円を支出したが、会計検査院の法令に基く検査の結果によると、この大部分は不必要なものと断定された。その不必要として断定しておる理由は、まだ工事着手していないもの、あるいはまた着手早々のもの、そういうようなものに対して全額の補助が行われておるというようなことが報道されておるのであります。これはすでに会計検査院等報告によつて、いろいろ指摘されておると思われるのでありまするが、とにかく法律違反をして支出されておると思われるものが多々あろうと思う。これは一体どういうような内容のものであるか、この機会に御報告を願いたいと思います。
  19. 三井武夫

    三井説明員 ただいま御指摘の、昭和三十七年度塩事業に対する補助金の問題でありますが、検査院から指摘を受けました点は、二十七年度末におきましてこの補助金至急支出したのでありますが、たまたまそのあと国会解散になりましたために、この補助金と見合う農林漁業資金の方の支出が非常に遅れておる、そのために予定の時期の間に工事が完了していないものがかなりある、その事情を判断すると、当時、年度末に急いで補助金支出する必要はなかつたのではないかということで、法律違反しておるというようなことではないのであります。補助金支出が、その時期において当を得なかつたのではないかという御指摘であつたのであります。これに対しまして、当時の事情をいろいろ調べてみますと、年度末におきまして、補助金支出する当時におきましては、国会解散になるというようなことは、もちろん予定することもできない事情でありまして、遠からず二十八年度予算成立すれば、農林漁業資金決定がありまして、その決定がありますれば、新年度に入りましてただちに農林漁業資金の方の融通が可能であるという予想のもとに、この農林漁業資金融通と見合う補助金年度末におきまして支出したのであります。ところがただいま申しますように、そのあとにおきまして国会解散があり、かつまた二十八年度予算成立が意外におそくなりましたために、農林漁業資金融通いたしましたときにおきましては、御承知のように塩の非常に忙しい時期になつてしまつたのでありまして、そのためにせつかくのそういう最盛期仕事をやめて工事を進めるということがなかなかできにくいような事情もございまして、工事が非常に遅れた、予定の間に工事完成しなかつたものが相当できたというような事情であつたのであります。公社といたしましては、当時補助金の分だけは少しでも早く出しまして工事の促進をはかりたい、そして予定の時期には必ず工事完成させまして、塩の増産に寄与したいという念願で出しましたものが、ただいまるる申し述べましたように、その後の事情の変化によりまして所期の目的を達しなかつたというようなことになりまして、検査院の御指摘を受けることになつたのでありまして、その点まことに遺憾に存ずるのでございます。当時の事情はただいま申しますように、当然新年度に入りますれば、農林漁業資金融通が行われるという予想のもとに、少しでも工事を促進したいという念願補助金支出を行つたものでございます。検査院の御指摘の中には、せつかく支出した補助金銀行の預金にしておるものがあつたというようなこともあつたのでありますけれども、この点は公社といたしましては、せつかく支出いたしました補助金目的外に使われたなどというようなことがありませんように、その使途を監視する便宜上、地方局でかような指導をしたものもあつたのでございまして、これまた補助金を尊重いたしまして、できるだけそれを当初の目的に誠実に使わせるようにという念願でとりました処置でございまして、その点公社の意のあるところを御了承願いたいと思うのであります。
  20. 春日一幸

    春日委員 それで重ねてお伺いをいたしますが、今御答弁によりますと、至急支出をしたというようなことで、いろいろな手落ちの点が少くなかつたのではないかということを心配するものであります。そこで製塩施設法何条かによつてその後検査の結果、はたして事業計画通り工事が行われておるかいないか、いない場合におけるいろいろな処置につきましてもあると思うが、あなたの方の責任において、そういうような便宜の手段をもつてした緊急支出工事がはたして事業計画通り行われておつたかどうか、しこうしてその返還に関する規定の適用を受けたような事件数があつたかなかつたか、あつたならば、その件数をこの機会に御答弁を願いたいと思います。
  21. 三井武夫

    三井説明員 先ほど申し上げましたように、農林漁業資金の方の支出が遅れたのでありまして、昨年度中に完成予定しておりましたもので、工事の遅れたものも多少あつたのでありますが、農林漁業資金予算成立とともに確定いたしましたので、至急にその方の資金支出いたしまして、その後の工事を促進させておりますので、年度内には大部分のものが予定通り完成したと私は承知いたしております。その完成状況につきましては、各地方局督励いたしまして、ただいま督促をいたし、監督を続けさせておりますが、伺うところによりますと、検査院におきましても、近く人を御派遣になりまして、その状況をさらに御調査になるということでありまして、検査院に御調査をもお願いいたしまして、その工事状況を確実に突きとめるようにいたしたいと思つております。本日までのところ、工事完成しないで、補助金返還を命じたというような例はございません。
  22. 春日一幸

    春日委員 この百十件の支出が行われたのは三月のいつごろですか。
  23. 三井武夫

    三井説明員 ただいまその確実な日付を記憶いたしておりません。実は私の就任する前でございますので、調べまして日付を御報告いたします。三月の二十日過ぎだつたと思いますけれどもはつきりした記憶はございません。
  24. 春日一幸

    春日委員 三月の二十日過ぎであるということは、私は非常に問題があると思う。国会は御承知通り三月の十四日に解散されておる。国会解散されれば、予算は不成立に終ることははつきりしておるわけである。従つて農林漁業資金に見合うところの補助金を、予算成立しないということがはつきりしておるときに支出するということは、明らかに違法なんです。従つて支出できないような状況にあるならば、この補助金というものは翌年度に繰越すなり、あるいはこれを返還して再度新しい予算を組むなり、適当な法律に基いての処理をするのが私は当然のことであろうと思うのであります。それにもかかわらず、国会解散のどさくさまぎれに、火事場どろぼう式にこれを支出したという事態がないわけではないと思うが、この辺のいきさつをひとつ詳細に御報告願いたい。
  25. 三井武夫

    三井説明員 ただいまお尋ねの点でございますが、はつきりした実際に交付いたしました日は、後ほど調べまして御報告申し上げますが、当然公社としての支出決定はその前になされておつたのであります。しかして特に私が御了解を得たいのは、この補助金支出と申しますものと農林漁業資金融通とは並行はいたすのでありますけれども、これは法律上両者が当然並行しなければならない関係に置かれているのではないのでありまして、従つて補助金が交付されても、融資金を出しませんこともございますし、補助金を交付上ませんで融資金を出します場合もあるわけでございます。ただ実際上、この場合に並行いたすべき農林漁業資金の方が、国会解散伴つて支出が遅れることが予想されたのでありますれば、当然補助金の方も押えておくべきではないかということも考えられるのでありますけれども、一方から考えますれば、せめて補助金の方だけは早く出しまして、工事をその部分だけでもやらせておきまして、後ほど農林漁業資金の方が決定されましたときに、その方の資金融通して、さらにあと工事を急がせるという処置をとつた方が適当かとも考えられるのでありまして、この点公社といたしましては、せめて補助金の方だけでも先に出しておきたいという考え処置いたしたのでございまして、公社が違法の処置をしたとは当時考えていなかつたのであります。そういうことで、公社補助金を出したのでありますけれども、業者の方におきましては、一体農林漁業資金の方はどうなるんだろうかということで非常に不安を持ちまして、そのために、補助金だけはもらつたけれども、もう少し模様を見ておつて農林漁業資金の方がはつきりきまつたときに工事を始めてもいいじやないかというような考えで、工事着手を遅らしたというものが出て参つたようでありまして、その点、公社がもう少し厳格な督励をいたしまして補助金工事の方だけでももつと早く着手させなければならなかつたという点に当よろしきを得なかつた点があつたことは、遺憾に存じますけれども、当時の事情はさようなことになつておるわけであります。
  26. 春日一幸

    春日委員 事業計画書には、資金計画資金構成というものもきちつと書いてあると思います。それに基いてあなたの方はその助成金決定を行つておると思うが、はたしてこの事業ができるかできないか、農林資金の方からこれこれの融通を受けるということで、事業がはつきりできるという見通しの上に立つて、その後に助成金支出できるのだと思います。それを、国会解散されたら次の政府がだれになるやらわからない。従つて次の政策がどういう方向をたどるかわかりやしない。そういう架空的な事業に対して、あなた方がそういう金を支出してよいのか。少くとも大蔵省は国の財政の総元締めだ。次の国会においてどういう予算がどういうふうに組まれて行くかわかりもしないのに、そういうことをしてはいけない。これに見合うところの資金構成は、あなたの方の事業計画申請に基くと、この分は農林資金の方から融通を受けるなら融通を受ける、こういうふうに書いてあるが、一方その予算は何ら確定していない。そういうようなものにあなたの方が支出をしたということ自体が、少くとも財政の総元締めたる大蔵関係予算行使のあり方としては、法律に触れるか触れないかは別問題として、はなはだしく適切妥当を欠く処理だということを私どもは指摘しておる。大蔵省がこういうようなやり方をしておるから、地方公共団体等においても、いろいろとそういう便宜支出の仕方をやつて来るのであつて、これは大蔵省が範をたれているようなものだと私は思う。専売公社総裁は来ておるかおらぬか知らぬが、こういうばか、げた予算の使い方はあり得ないと思う。監理官は一体これをどういうふうに考えておるか。監理官答弁を願いたい。
  27. 今泉兼寛

    今泉政府委員 御指摘の点もつとものことと存じますが、塩脳部長が申し上げました通り解散はございましたけれども、大体農林漁業のわくは予想されておりまして、それが全然不成立になつて終るという予想は立つておりませんので、大体この程度の金は毎年の例からいつて、かりにどういう内閣になりましても御認定いただくという予想のもとにやつたのでありまして、その点は他意ありませんので、御了承願います。
  28. 春日一幸

    春日委員 少くとも専売公社監理官が、次の内閣がどういう内閣ができて、できた内閣がどういうような予算を組むだろうかということを想定して、国の財政支出を行つて行くことは言語道断だ。こんなばかげたものなんか許されるはずがない。当然国会の大きな問題となつて、決算委員会、あるいは大蔵委員会等において、さらに会計検査院から詳細な報告を求めることによつて、この問題は十分糾明される機会があろうと思います。少くともこういうようなばかげた国の予算成立をかつて予想しながら、四億近いところの厖大な金を支出して、その支出した金が、工事ができないままに一部は銀行預金に預け、られているというような財政の運営の仕方は、十分糾弾されなければならぬと思いますが、これはいずれさらに資料をそろえて、次の機会に継続質問をすることにいたします。
  29. 井上良二

    ○井上委員 関連して。質疑応答を聞いておりますと、専売公社特に今泉監理官の監理の状況はなつてないと思う。そもそも製塩施設法という法律がありますが、この法律によつても、工事の完了しないのに補助金を先渡ししてよいという規定はどこにもありません。どの規定によつて先渡ししたのですか。
  30. 今泉兼寛

    今泉政府委員 先渡しという考え方ではありませんで、ただ補助金と農林漁業の融資とが結びつくものについて、補助金の分だけは当然その年度内に支出が可能なものでありますから、これは支出した。ただ国会解散のために、あとこれに結びつくべき融資の方が遅れた、こういうことでございまして、当初出したことが決して違法だとは私どもは考えておりません。ただその出したものが、今言つたあとの結びつきにおいて一体にならなかつたために、工事が非常に遅れた、中には銀行の預託もあつた、こういう事実かと考えております。
  31. 井上良二

    ○井上委員 少くとも補助事業に対して補助金を出します場合は、補助事業計画書というものが出て参り、それを詳細にあなたの方で検討して、これに対してはこれだけの補助を出してもよいということが決定され、それに基いて事業は進行して行つて、その進行のぐあいによつて補助金は出て行く性質のものであります。     〔委員長退席、内藤委員長代理着席〕  それをやつとらへんやないか、やつておると言えますか。少くともこれが不当支出であり、不当経理であるということに会計検査院が断定を下した理由はどこにあるのです。会計検査院の断定を不当とお考えになりますか。
  32. 今泉兼寛

    今泉政府委員 検査院の御指摘は、支出が不当ということじやなくて、支出したもをが所望の時期に実際に使われて、工事となつてできていなかつたということが適当じやないという御判定であろうと考えておる次第であります。
  33. 井上良二

    ○井上委員 従つて、そこにあなた方のやつたことについて反省をしなければならぬことがあるでしよう。現実に金を渡して仕事をやつていないということなら、もつてのほかじやないか。あらゆる土木災害でも農林災害でも、補助事業の対象なら、事業ができ上つた後に補助金を大体において交付するのです。一応補助額全体のわくは、この事業に対してこれだけの補助を渡すということはきめますけれども、現実に金を渡しますのは、工事完成しなければ渡さないことになつておる。しかも年度末のどさくさにまぎれて、全体で三億四千万円も出しておるじやないか。しかも塩の会計内容というものは、なかなか容易ならぬ状態にあるのですよ。決してタバコのように、大きな益金があるわけじやないのです。そういう非常に困難な会計内容にあるときに、三億四千万円もの補助を出すという場合において、その使途に対して十分な監督経理を行つて行くということは、当然の義務じやないか。それをあなたはやつていないじやないか、それをはつきりしていただきたい。
  34. 今泉兼寛

    今泉政府委員 補助金の出し方は、工事が完了してからこれを出すという場合もあり得ますけれども、そうではございませんで、事業計画を見て、これが適当だという場合において、それを事前に分割して出す場合もございますし、それから工期等が非常に早いというような場合は、これを事前に全額出す場合もございますので、工事を完了しなければこれを出さぬという筋合いの問題ではございません。ただ御指摘通り、それは出したけれども、あと農林漁業資金との結びつきにおいて、業者の方が非常に遅れておつた従つて所望の時期に完成すべき工事が遅れて適当でなかつたということは、御指摘通り非常に遺憾だと考えておる次第であります。
  35. 井上良二

    ○井上委員 そうすると、この工事上いうものは、二十八年の三月末のことですから、その後どの程度完成しておりますか。
  36. 三井武夫

    三井説明員 先ほど申し上げましたように、その後農林漁業資金の交付がございましたので、予定の時期よりは遅れたものもあると思いますけれども、大部分のものは完了しておるように地方局からは報告を受けております。その点につきまして、さらに検査院からも人を出されまして、詳細に実地の御調査があるということを伺つております。
  37. 井上良二

    ○井上委員 会計検査院が調べなければ、あなたの方では補助工事がどの程度進捗し、どの程度完成しておるということについての確信がございませんか。
  38. 三井武夫

    三井説明員 もちろん私の方でも、各地方局から毎月工事の進行状況をとつておりまして、ほとんど全部のものは完了しておると私は承知いたしております。その点なお検査院もお確かめになるということを聞いております。
  39. 井上良二

    ○井上委員 完了しておるのですか。
  40. 三井武夫

    三井説明員 全部とは言い切れないと思いますけれども、大部分のものは完了しておると信じております。
  41. 春日一幸

    春日委員 この問題は重大問題であり、とにかく事業計画が確たる見通しに立つていないところへ、どさくさまぎれに支出したということは、会計検査百院が指摘した通りなんです。国会の重大な問題として、さらに質問をして真相を明らかにし、その責任を追究しなければならぬと思いますので、これは後日に譲ることといたします。  次にお伺いしたいことは、最近非常に問題となつておりまするタバコ小売免許の問題であります。母子福祉資金の貸付等に関する法律によつて未亡人、ことに母子家庭に対しては、タバコ小売申請が行われたときには許可するように努力しなければならぬ。こういうことがはつきり法律にも規定してある。ところがその未亡人からずいぶん申請するんだが、一向何のかんのと因縁をくつつけて許可しない。一体専売公社は、この法律をどういうふうに考えておるか。さらにはまた、この法律が施行されたのは昨年の三月だが、この法律に基いて特別母子家庭にタバコ小売の認可を与えた件数がどのくらいあるか、その点をひとつ明らかにしていただきたい。
  42. 今泉兼寛

    今泉政府委員 昨年の法律通りましてから今日までの調査によりますと、つい最近の統計はまだ出ておりませんが、昨年の四月から九月までの間に母子福祉関係指定しましたのは、全国で四百二十二件になつております。この指定の率は五三%。一般の関係でありますと、申請に対して指定のあれは二四%で、一般に比べて母子福祉法の関係は率から行つてまあ倍以上というふうになつております。
  43. 春日一幸

    春日委員 一般の申請に対して許可を与えた件数の総数、それから母子家庭に対して許可を与えた件数、これをお知らせ願いたい。
  44. 今泉兼寛

    今泉政府委員 昨年の四月から九月までの統計でありますが、一般の関係は、申請が二万二千五十七件、それに対して指定しましたのが四千五百九十八件、そのパーセンテージが二四%ということになつております。それから母子福祉関係につきましては、申請が七百九十六件、このうち指定が四百二十二件、パーセンテージにいたしまして五三%ということになつております。
  45. 春日一幸

    春日委員 パーセンテージでは五〇%になつているけれども、件数は一般に対する一割にも満たない。一般は四千五百九十八件許可されておるが、母子家庭については四百二十二件なんだ。このことは非常に重大だと思うのです。現在タバコ小売の免許を受けるということは、ほとんど恩給がついたようなもので、安んじて生活をまかなうことができるわけなんです。従つてこの母子家庭というものに対して特別優先権を認めるということは、これは社会保障政策を強力に推進して行くという立場において、特に法律によつてこれが強調されておるところなんだが、私はあなたの方がこの母子家庭から申請された場合、いろいろな理由をくつつけて却下するのだが、受理しない前にこれを却下しておる分も相当あろうと思う。この問題は、私はこの機会に特にお願いしておきたいが、少くともタバコ小売などというようなものを実際的にながめてみると、盛り場では副業的に店にちよつと置かれておるとか、タバコ専業でやつて行くという店は非常に少いと思う。従つてこの母子家庭が何もほかにやることもないし、やろうと思えば相当の資金もいるし、のみならずそれぞれ利権も伴つておるから、タバコなら比較的小資本でできて、しかも収入が確実である、こういうことで申請する数が非常に多いと思う。ところが地方専売公社ではいろいろタバコ小売の団体と結託があつて、特にそういうような申請が行われた場合に、いろいろな理由をしつらえて、たとえば制限区域に近いとかなんとかいうことで、大部分のものが却下されておるようなきらいが多い。さらにまた申請書を受理しない先に、その申請書をひつこめるような圧力が加えられておる向きが少くない。特にこういうような法律があつて、全国的にとにかく二万件も申請されておるが、その中でわずか七百九十六件しか未亡人家庭から申請されていないというこの過小の数字というものは、あなた方の行政指導の中において、母子家庭がタバコ申請をされれば、これに対して公社は特別優先許可を与えるのだ、こういうようなことをもつともつと宣伝して、そうして法律の趣旨を十二分にあなたの方の営業を通じて実現されるような努力が私は必要だと思う。そこであなたにお伺いしたいが、この法律が施行されて、未亡人家庭はタバコ申請を行えば、特別の詮議が加えられるのだ、こういうようなことを一般に徹底したことがあるかどうか、あるいはこういう法律の特例を未亡人に周知徹底せしめることのための何らかの措置を講じたことがあるかどうか。今まであるならばある、なければ将来そういうことをやつてみる気はないかどうか、この点をひとつお伺いしたい。
  46. 今泉兼寛

    今泉政府委員 あの法律通りました当時、新聞社の方からもあれがありまして、たしか各新聞にこういう法律が通つた、こういうふうに優先的な取扱いを受けるということで、新聞に出たことは御承知かと思いますが、それ以上に、公社が特に新聞雑誌等に広告いたしまして、どうこうということはいたしておりませんが、ただ機関誌の  「専売」というもの等がありまして、それ等においても、こういう法律が通つたという趣旨は徹底してございます。それからあの直後に、地方局の担当の販売部長等も呼びまして、あの趣旨の徹底方について十分留意するように、それから窓口事務等につきましても、そういう相談があつた場合は親切に、懇切丁寧に取扱つてあげて、中には申請手続等承知しないものもあるだろうから、その点は優先的に取扱うように、それから処理件数としてたくさん出た場合も、まず母子関係から調査を始めて、そうして優先できるものは優先的にやるようにという指導のもとにおいてやつております。それでも、御指摘通り全国の数の多い未亡人等につきまして、こういう恩典があるということを、あるいは承知していない向きもあるとも思いますので、今後において、そういつたことの周知徹底方については、なお一段と考究して、御趣旨に沿うようにやつて行きたいと思います。
  47. 春日一幸

    春日委員 とにもかくにも一箇年間にわずか七百九十六件というような小さな申請件数しかなかつたということは、この法律の周知徹底とか、あるいはこの法律に基く申請に対する特別の配慮とかいうことが、はなはだしく足らないことを示す数字であろうと思うわけでありまして、私が特に指摘したいのは、地方におけるタバコ小売業者の団体と、それからあなたの専売公社そのものとの間にいろいろなつながりがあつて、いたずらに競争者をふやすことによつて既存の小売業者の営業を脅かすことのないようにというような圧力が加えられておるきらいがあるのではないかということを非常に心配しております。従つて特別に母子家庭が申請した場合においては、比較的容易に免許が受けられるということの周知徹底を十分ひとつ宣伝してもらいたいことと、そういう申請があつたときには、地方公社において既存業者との間のつながりのために、そういうものがいろいろな圧迫を加えられることのないように、十二分の御指導が願いたい。  次に、現在パチンコ屋がタバコを景品に出しておりますが、今日パチンコ屋の事業というものは、次第に経済的、社会的の基盤を持つて来たのではないかと思われますが、いずれにしても、一つのレクリエーシヨンとしての地歩を築きつつあると思います。そこでこのパチンコ屋で景品に出されておるところのタバコなんだが、これは結局大量にタバコ屋から仕入れて来る。従つてタバコ小売販買者は、このパチンコ屋にタバコを供給することのために、いろいろと値引きをするとか、あるいは定価通り売れば何らかの反対給付をして、それによつてそのタバコ小売店からパチンコ屋がタバコを買つてくれるような、いわば競争が行われておる。このことはいなみがたい事実であろうと思う。このことは、すなわち法律違反をしてタバコ定価より安く売られておるか、あるいは何らかの反対給付を受けることによつて、そういうつながりが現在できておると思うのであつて、これはこのまま放つておくということは好ましいことではないと思う。ところが今パチンコ屋からタバコをとつてしまうということになると、パチンコ屋へ行つてああいう遊戯を楽しむ、都合によつてタバコを手に入れようという一つの楽しみからなんであつて、このパチンコ屋からタバコをとるということは、敗戦国民がそんな方向にせめてもの哀れな楽しみを求めておるわけなんであつて、そういう楽しみを制限するということも好ましいことではない。だからパチンコ屋が合法的にタバコを取扱えるような何らかの措置はないかということを、ひとつ検討を加えるべき段階に今立ち至つておると思う。  そこで地方ではいろいろと試みられておるようだが、中にはその地域におけるそのパチンコ屋の協同組合が中で一人代表者を立てて、タバコ申請を行つて、そして正当にそのタバコの配給を受けて、そして組合がそのタバコを適当に定価で販売する、そうすると販売ではないが、その組合員のところへ定価でこれを配付する。従つて値段もくずさないで、定価通りタバコの販売はそれによつて行われるわけなんで、そうすると組合員の中で指定されたところのその免許された人は、定価で売るから相当の利益がある。その利益には所得税がかかる。当然法律による任務を果すわけです。残つたところの費用は、その組合のいろいろな費用に充てて行くという、このことは協同組合をいろいろ指導助長する立場においても、あるいはタバコ法律に基いて取扱わせて行くという立場においても、一挙両得の施策のように考えられるが、これに対して今泉監理官はどういうようなお考えをお持ちになつておるか。さらにはまた、現在パチンコ屋において景品に出されておるタバコ定価をくずして売買されておるというこの実情を、何らかの措置を講じて修正する必要があると考えてはいないかどうか、この点ひとつお伺いしたい。
  48. 今泉兼寛

    今泉政府委員 パチンコ屋に売込み競争のために、小売業者の間においてはこれを値引きして売つているという事実があることも、公社といたしましては遺憾ながら承知しております。従つてこれを是正する方法としては、いろいろな、手を公社として考えておるわけでございますが、一つはそういつたことが発見された場合、非常に累犯的なものについてはタバコ指定を取消すというような厳重な処置を講ずることも一つであります。それから御指摘のように、そういつた場合小売業者からパチンコ業者に出すと今のようなやつが出て来るから、パチンコ業者の組合に今言つたように一括払い下げて、そこから出す方法はないか、こういう問題も従来検討はしないわけではございませんけれども、これにもまたよくよく検討してみますと、いろいろな弊害というようなものも考えられるわけでございまして、その点まだ正式に、パチンコ屋の組合の方には全然やらぬというはつきりした態度もいたしておりませんけれども、御指摘の面もありますので、今後今のような値引きの販売ということを絶滅さすにはどういう手段、方法がいいかという問題については、今の春日委員の御指摘のような点も十分考究してみたいと考えております。
  49. 春日一幸

    春日委員 これは検討されるということであるならば、ひとつ急速に検討の上——現在タバコが値をくずして売られておるということは現実なんです。どんなパチンコ屋でも、みなタバコを山に積んで景品に出しておるわけであります。現実は現実としてこれは認めて、それに対して合法的な処置考えて行くということが親切なやり方だと思うのだが、いずれにしても、私は今やパチンコ屋も事業としては経済的な基礎も固まつたようだし、また大衆にあのくらい楽しまれておるレクリエーシヨンを、タバコをそこから奪うことによつていろいろ制限を加えるということも好ましくない。だからこういうタバコを合法的に供給する措置考えるということは、専売公社の義務だと思う。法律違反して売買されておることを等閑に付して、研究々々ということではよろしくない。従つてその協同組合の団体に一括払い下げるというような法律はいろいろな疑義もあるようだから、なかんずく一般大衆への小売もかねて、特別申請があつた場合には、その協同組合の機関としてこれに売らせる。そうしてそこから定価でみなが配分を受ける、そうしてその利益を協同組合の費用にし、さらにはその所得に対して所得税をかけて行く、こういうような行政指導は当然必要なことと考えられますので、いずれにしても本件はひとつ急速な御処理を願いたい。いずれなお機会があろうと思いますので、次の機会までに公社側の成案を得られて、当委員会に対して何らかの御報告を願うことにいたしまして、私の質問を終ります。
  50. 井上良二

    ○井上委員 タバコの値上げ問題に関連をしまして、塩の販売価格の問題について一応伺つておきたいのですが、先国会に専売小委員会を設けまして、専売小委員会でいろいろ検討をいたしましたところによると、現在政府が払い下げます塩のうち、ソーダ塩と一般家庭用塩との価格が非常に開いておる。御承知通りソーダ工業塩はトン当り四千円で払下げをしておるのに、一般家庭用のものにつきましては一万二千円から一万四、五千円で払い下げておる。これが特にみそ、しようゆの原料になる関係からしまして、みそ、しようゆの値上げの問題を生んでおる関係から、ソーダ工業塩を使います関係産業の状況を調べてみると、いずれも関係産業はそれぞれ多額の配当をいたしており、またその産業自体も殷賑をきわめておるというところから——もちろんこれは海外の塩の市場価格の関係もありますけれども、政府が一手専売をいたしておりまする現状からいたしまして、工業塩をある程度値上げをいたし、値上げをいたしました分を反対にみそ、しようゆの原料塩、さらにまた家庭塩を引下げる予算処置を次の国会には講ずべきであるということを、私は先般も申し上げておいたのであります。当局の方では、このソーダ工業塩のいろいろな関係を検討し、また実際そういう引下げの余地がありやいなや、いろいろの点でよく検討いたしますという答弁を当時いたしておりました。ところが二十九年度予算を見ましても、少しも価格改訂のわれわれの希望する点は実現をいたしておりません。一体どういうわけでかくのごとく工業塩に安い塩を供給し、みそ、しようゆうの原料塩及び一般家庭塩を高く売らなければならぬかという点について、その後当局としてどういう検討を加えられたか、どういうわけで一般家庭塩などが下らず、ソーダ工業塩が値上げできないかという根拠について、ひとつ御答弁を願いたい。
  51. 三井武夫

    三井説明員 ただいま御質問のございました塩の価格の問題でございますけれども、これは御指摘のように重大な問題でございまして、公社といたしましても、従来からこれにつきましてはいろいろと検討もいたし苦慮をいたしておるのでございます。御指摘通りに、国内の一般用塩の販売価格と工業用塩の販売価格とは非常に開いており、一般用塩の万をもう少し下げ、工業用塩の方をもう少し上げて、その間の調整をはかるべきじやないかということは、御指摘をまつまでもなく公社といたしましてもいろいろと研究いたしておるのでございますが、御承知のように一般用塩と申しますか、食料用塩につきましては、公社としての目標は、国内の産塩でもつてこれを自給するという段階まで何とかして一日も早くこぎつけたいということでございまして、従つて一般用塩につきましては、国内用塩でこれに充てるという方針をとつておるのでございます。そうして工業塩につきましては、輸入塩でもつてこれをまかなうという方針であるわけでございます。と申しますのは、一般用塩と申しますものは、一旦緩急ありましても、これはなかなか減らすわけに行かない増減を自由に調節するわけには行かないものでございまして、この点は、国内産塩をもつて万一の場合にもまかなうところまで何とかして努力いたしたいという考え方でおるのでございます。ところが現状におきましては、国内塩の収納価格というものは御承知のように非常に高いのでございます。昨年の八月にもすでに価格の改訂をいたしまして、一トンにつきまして六百円だけ引上げるというような措置をとらざるを得なかつたような状況なのでございまして、従つて国内用塩を主として充てまする一般用塩の販売価格がどうしても高くなるという点は、まことに私どもといたしましては遺憾に存じておりまするけれども、やむを得ない事情があるのであります。それかと申しまして、それでは現在の価格が、工業用塩を非常に安く払い下げておりまするために、その負担の一部を一般用塩の方へかぶせているのではないかという点なのでありまするが、この点は工業用塩につきましては、御承知のように輸入価格の平均の価格のをもつて販売するということになつておりますので、工業用塩の負担を一般用塩にかぶせるということはいたしておりません。と申しまするよりも、現在の工業用塩の払下げ価格四千円は、ただいまのところ輸入の平均価格よりは少し高いのでありまして、その点かえつてソーダ工業界あたりからは、もつとこれを下げてもらいたいという要求があるのであります。と申しますのは、御承知のように日本のソーダ工業のコストが非常に高いのでありまして、かりに塩をゼロに計算いたしましても、なかなか外国のソーダ工業と競争ができないというような状況にありまするので現在の払下げ価格につきましても、何とかしてこれを引下げるべしという要求がしばしばあるのであります。公社としては、現在は四千円ということで払い下げておるのでありまするけれども、そういう高い払下げ価格でありますれば、自分たちは直接に自己輸入をして、もう少し安い塩を輸入してみせるというような議論までが出て参るのであります。その点、一般用塩と工業用塩との間に御承知のような開きがありますために、そこにまたいろいろの問題が派生して参るのでありまして、私はもその点になかなか苦憂いたしておるのであります。もちろん私どもといたしましては、現在の一般用塩の払下げ価格は御指摘のように非常に高いのでありまして、何とかしてこれは引下げなければならぬ。そのためには、やはり主たる方法といたしましては、国内産塩の生産費を何とかして下げなければならぬ。そのためには一方では増産をはかつて、一トン当りの生産費を下げますと同時に、また他方におきましては、さらに生産費そのものにつきましても、できるだけこれを切り詰めるような方法をとつておるのでありまして、少しでも安い払下げ価格を何とかしてわれわれの努力によつて実現させたいという念願はいたしておりますけれども、現在のところは、なかなかこれを一般的に引下げるという段階に至りかねておる次第でありまして、価格の高い点まことに遺憾に存じておるのでございますが、ただい申しまするようになかなか複雑な事情がございまするので、御了承を願いたいと思います。
  52. 井上良二

    ○井上委員 今の答弁はなつておりません。と申しますのは、国内塩が相当生産コストが、高くつくから一般用塩もやむなくコストを高くしなければならぬという御意見のように聞きとれますが、国内塩の生産コストが高いということについての問題は、これは専売会計というわくの中でどのくらいあがいてみたつて解決のつくものじやない。だから国内における一定量の自給塩を確保するということは絶対に必要であるということからいたしまして、これに対する生産の保護育成については、一般会計の方から別途の保護育成の対策を考えてもらうという手を打たなかつたら、この問題は解決できないと私どもは考えておる。しかもその輸入塩はトン三千円余りで輸入されて来ておる。もし輸入塩によりまするならば、それに多少の精製工賃を加えましても、たかだか五、六千円なら一般用塩として売り出すことができるのです。それを何と工業用原料だけに四千円で出して、他は一万三千円にも一万四千円にも上げておる。そんなべらぼうな話はありはせぬ。そういう点から考えて、何とか対策を講ずべきです。そうしなければ、これは一般の消費者に及ぼす影響は大きいですから、この問題は単にぜいたく品とかどうとかいうことでなしに、真剣に取組んで価格政策に対する適正な対策を講じてもらうことを要求いたしまして、これ以上は議論になりまするから申し上げません。
  53. 春日一幸

    春日委員 関連して……。この塩の価格、公社指定価格ということは非常に政治問題になつておると思う。新聞に載つておりましたが、前の専売公社総裁秋山さん、この方が先般吉田・重光会談のあつせん役になつておられる。一専売公社総裁に両党総裁を会見させるあつせんをするというような巨大な政治力があるかないかということは、多少の疑義があると思う。ところが秋山専売公社総裁が両党総裁を会談せしめるというこの政治力の背後には、やはり大きな経済力があるのではないかというようなことが巷間伝えられておる。そのことは、すなわち、われわれ一般消費者はトン一万四千円の塩を使つておるのに対して、工業塩は四千円で、一万円も安い塩を使つておるところのソーダ工業界が、年間百万トン使えば、百億円という余分の利益を得られるわけです。すなわちみそ、しようゆうに使う高い塩よりも、ソーダ工業界は年間百億円安い塩を使つておるという考え方が成り立つ。従つて公社がこの工業塩の価格を決定できるという権限をめぐつて、いろいろな経済力から政治力へ、政治力からいろいろなあつせん力へと、こういうようなぐあいに飛躍する場合も考えられないことはないわけなんです。事ほどさように、この一般食料塩と工業塩との価格の対比が政治問題となつて論ぜられるゆえんはそこにある。そこで私が申し上げたいことは、一旦緩急あるときに塩はなければならぬ、そういう立場において、いろいろなこういう政策価格がきめられておるということはわかるが、しかし一旦緩急ある場合に、ではお互いの消費生活は塩さえあれば何とかなるかという問題になるが、これはそんなわけではあるまい。われわれは、羊毛にしても綿花にしてもガソリンにしても、その大多数のものを海外からの輸入にまつて、お互いの消費生活がまかなわれておる。生活必需物資に対する政府の政策は、必ずしも塩のようなぐあいに政策価格によつて決定されてはいない。だから今あなたがおつしやつたが、工業界で工業塩を直接輸入にしてくれという議論が成り立つならば、一般消費大衆だつて、みそ、しようゆ用、あるいは食料用の塩も直接輸入にさしてくれという理論が成り立たないはずはない。一万四千円、小売ではおそらく二万円を越えると思うが、この高い塩を、海外から直接輸入にまてば四千円の塩で、とにかく安いしようゆと安いみそが食べられるわけである。政府は物価を切下げるとか、いろいろな価格をだんだんと低下せしめるための政策をとると言つておるけれども、現実には何一つやつてはいない。電力料金も上ろうとしておる。砂糖も上ろうとしておる。さらに塩などは一トン一万円も高い塩を押しつけておいて、それでどうしてお互いの消費生活のコスト切下げができるか。こういう問題は、先国会以来の懸案であつて今泉監理官もここで答弁しておる。すなわち工業塩が安過ぎて、一般塩が非常に高過ぎる。ここに何らかの調整が必要であろうから、検討の結果御趣旨に沿うような処理をしたいと言つておるけれども、一年をすでに経過しておるのに、何らその変化がここに現われて参りません。このことは、われわれがそんたくするところによると、やはりソーダ工業界の政治的圧力がある。すなわち工業塩に対してはできるだけ安い価格におちつけて、一般消費塩についてはこういう高い値段によつて犠牲を大衆にしいておる、こういう結果が現われておると思うが、政務次官は一体この問題についてどういうふうにお考えになつておるか、御答弁願いたい。
  54. 植木庚子郎

    ○植木政府委員 ただいまの春日委員のお説、一応ごもつともの点もたくさんございます。私かつて専売局長官をいたしておりましたので、こうした塩の価格のきめ方についても、当時のことは一応知つておるつもりであります。仰せのように外国塩を安く輸入して、それでもつて国内産の塩との間で適当な価格調整ができないかという問題ももちろん考えたこともございます。しかしながら当時以来常に専売公社が大体方針として持つておりますところは、先ほど今泉監理官からも申しましたように、国内の食料用塩は何とか国内で生産をして、そうして非常に困つた事態が起つた場合でも、それでやつて行けるというふうにして行こうというのが、一番根本の趣旨に一つ流れております。さらに工業用塩につきましては、わが国のソーダ工業の発達の状況、その他この用品がたくさん輸出の原料になりますので、これまたとても国内産塩をもつてまかなうことができず、外国産塩を買わなければならぬ。その場合に一体内地の産塩と外国塩とを通じて、そうして安くすることができないかというようなことは非常に考えてみておるのでありますけれども、どうもこれは適切な方法じやない。と申しますのは、そういたしますと、工業塩の値段を相当上げなければならぬ。相当上げると、現在の工業用塩の値段であつてさえも、実はわが国の第二次的な製品が外国に出て行くのに非常にコスト高で困つておるというような実情にあるのであります。そうして専売当局としましても、大体従来もいろいろ研究してみたので、ございましようが、従来の方針を踏襲しまして、食料用塩については、おおむね国内産塩の価格そのものを目標として値段をきめる、外国産塩につきましては、これはやはり専売公社が損失しないような程度において、そうして工業家にもなるべく安い原料を供給する方法を講ずるよりほかに方法がないという結論に達して、おおむね従来の方針を踏襲して来たと思います。しかしそういう場合に、先ほどいろいろ政治的圧力というようなことが考えられるということをおつしやいましたが、外国から持つて来ました輸入塩の価格決定の際にも、公社といたしましては、きわめて公正妥当な態度でもつて常にきめておるのでありまして、御推測と申しますか、あるいは想像ができるとおつしやつたようなことは、少くとも専売公社には全然ないということを私は確信いたしております。反駁するのもおとなげないと思いますが、さように御了承願いたいと思います。
  55. 小川豊明

    小川(豊)委員 関連して。輸入塩では一般用には不適当ですか、この点が一点。それからソーダ工業には非常に安く塩を払い下げておるわけだが、ソーダ工業を育成しなければならないという立場、こういうふうな御回答があつたが、ぼくの知つておる範囲内では、ソーダ工業は相当の配当をしておると思うが、そうすると、ソーダ工業がそういう配当ができるのはどこに原因があるか。それからソーダ工業に対しては延納を認めてあるかどうか。認めてあるならばどのくらいの期間を認めてあるのか。それからそういうものに対する未払いがあるかどうか。
  56. 植木庚子郎

    ○植木政府委員 外国産塩がそのまま食料用塩に役立つかどうかという第一の御質問でございますが、この点は、外国における産地の状況によりましては、若干そのまま使えるものがないでもございませんが、しかし内地の一般食料用塩に比べますと、品質その他におきまして、そのままただちに食料用に使うことは非常に困難であります。かつて戦時中に塩に非常に困りましたときに、粉砕をいたしまして、それでもつて間に合せておつた時代もございますが、これではどうも優秀な食料、みそ、しようゆをこしらえるのにはあまり適切ではないというような状態であります。  それから、ただいま外国産塩を安く払い下げておるというふうに仰せになりましたが、公社が価格指定の際に安く払い下げておるんじやないのでありまして、なるほど国内産の食料用塩よりも、値段が比較しますと安いけれども、しかし輸入の代金及びコストその他を計算いたしまして、なお専売公社としては若干の利潤というとおかしゆうございますが、マージンをとつてつておるのであります。特に公社が損をして安く売つてどうするというようなことにいたしておる次第ではないのであります。
  57. 小川豊明

    小川(豊)委員 政務次官。私はそういうことを今お聞きしたのでなくて、輸入された価格よりも何ぼかのマージンをとつてつておることは認めておる。私どもはそれは承知しておる。国内の一般塩より非常に安く、一般塩は一万三千円か一万四千円で出ておるにもかかわらず、ソーダ工業を育成しなければならぬというので、これを四千円程度で出しておる。そういうふうに、国が保護しているとは言わないけれども、安く出していながら、ソーダ工業は相当の配当をしておることをぼくは見ておる。ソーダ工業はそれほど国が犠牲を払つて——犠牲を払つていないかもしれないけれども、一般より非常に安い価格で出しておるにもかかわらず、ソーダ工業が配当しているのは一体どういうことなんですか。おかしいじやないか。消費者の犠牲がここに入つている。これだけの配当ができるならば、もつとソーダ工業へは高くしてさしつかえないのじやないかということが一点言いたいところであります。  それからソーダ工業に対しては、塩は元売と同じように延納を認めているのか、いないのか、認めているならばどれだけの期間を認めており、しかもこのソーダ工業等は未払い等は一つもないかどうか、こういうことです。
  58. 植木庚子郎

    ○植木政府委員 工業用塩につきましては、古い沿革を申しますと、いわゆる業者が自己輸入をいたしまして、そうして専売当局としては、これて付して専売でありますから手続その他において十分監督をして行く、こういう建前が従来の工業用塩の取扱いつたのであります。その沿革が戦時中からかわりまして、いわゆる工業用塩も政府が一括輸入いたして、そうしてこれを業者に払下げるといいますか、売り渡すようになりましたが、そうした沿革等から考えましても、わが国のソーダ工業の従来の経営状態から考えまして、これをにわかに高くするということは適切じやないというので、専売公社としては、輸入コストに対して若干のマージンを見てこれを売り払うという、従来自己輸入をやつてつたのとほぼ似たようなかつこうにおいての処置を講じておるわけであります。  それから、なるほど配当している有力な会社があるかもしれませんが、これは当該会社の経営の優秀さと申しますか、あるいは製品がよくて、いいぐあいに外国に品物が出て行つて、そうしたことからおのずから彼らの経営上の勉強によつて配当も可能になつておる、かように考える次第であります。
  59. 春日一幸

    春日委員 これはちよつと政務次官にお伺いしますが、考え方がどうも違つている。そうしてあなた方は、自分たちの今までやつて来たことを一番正しい考え方だと思つているから、ちつとも問題の解決ができないのです。そこでこういうことをお考え願いたい。国民はとにかく一万円高い塩を年間五十万トン消費する、そうすると五十億円だけ余分に払つておるという形になるわけです。これは税金みたいな形になるわけなんです。五十億円だけ余分に税金を払つた形になつておる。少くとも国家権力によつて物を統制する場合、その目的はそれの配分とそれから価格をできるだけ押えて行くというところにあると思う。安い物を十分供給するというところが国家統制の目的である。これは一般的な一つの概念である。ところが塩の場合は、国家権力による統制によつて高いものを売つておる。特に生活必需物資である塩に対して、年間五十億円だけ高いものを大衆に押しつけておるという、このあり方がよいか悪いかということについて検討を要求しておるのです。そこでどうしたらいいかという具体案になるのだが、その具体案は、五十万トンの消費を五十万トンだけ生産しようと思つておるから、ここに五十億という負担を大衆がしなければならぬ形になつておるので、従つてその一旦緩急というような場合のことはあまり考えないで——一旦緩急、一旦緩急ということで、いつでも戦争をやるのだ、こういうような心構えが政府にあるならは別だが、わが国があくまでも平和的文化国家として国を運営して行こうということならば、少くとも通商あるいは貿易というようなことは、当然国の経済の一つの基礎的な考え方の上に立つて考えられなければならぬと思う。一旦緩急あつたときには、塩はおれの方にあるのだと、上杉謙信の言うようなことを言つてもだめだ。  そこであなたにお伺いしたいことは、一旦緩急というようなことをある程度捨てて、この五十万トンの生産計画を二十万トンとかあるいは十五万トンとか小さく圧迫して、その足らざるところは外国から輸入して行けば、これは水が割つて行ける。だから一万四千円のこの売渡し価格を六千円に、あるいは七千円に切り下げることによつて、とにかく生活コストを切り下げるというような方法もできて行く。あるいはいつ何時自由党政府は戦争をやるかわからぬのだ、塩だけはどうしても国内でまかなわねばならぬという考え方が不動のものならば、さすればこの生活必需物資にそういう間接税のような税金を五千億円とらないで、これは国際価格の四千円なら四千円で一般大衆にこれを売り渡して、その足らぬところを一般会計で補給するなり何らかの価格調整を行うことによつて、少くとも貿易は国際価格にマツチしなければならぬ。ところが一般消費生活は国内コストよりも大体三倍も高いところでくぎづけしておけば、生活費が高くなれば労働賃金は高くならなければならない。高い労働賃金でつくつた商品は高い。そういうことでソーダ工業だけはどんどん外国へ出て行つた。ところが他の製品というものは、結局生活コストが高ければ労働賃金が高い。労働賃金が高ければ製品が高いということで、結局よつてつて輸出というものに対しては、とにかく悪い影響力をこおむつて行くということは当然考えられることです。だからあなた方がソーダ工業界だけのことをそう夢中になつて保護しなくても、ほかの産業も同じように、わけて国民大衆の生活コストを切り下げて行くという点にやはり焦点を置いて具体策を考えて行かなければならぬ。その考え方は、国内の生産をある程度切り縮めて、そして足らざるところを安い四千円の塩で水を輪つて行く、そうすれば今一万四千円の塩が七、八千円になつて、しようゆも下りみそも下る。そういう生活物資が下つたら労働賃金も安く行く。安く行くから、これでもつてつくる品物も安い。よつてつて輸出振興というようなことも考えられる。だから総合施策の一つとして、当然塩の問題なんか考えて行かなければならぬと思う。あなた方が今まで何年かやつて来たことだから、マンネリズムに堕して、そして今までやつてつたことが一番いいのだからこれで行こうという考え方は、これはやはり時代に適応した形においてやつてもらいたい。戦時経済によつて生活必需物資は国内生産で確保するというような考え方は古くない。やはりコマーシヤル・ベースによつて、世界経済の基礎の上に立つて、そういう問題を考えて行かなければならぬ。どうかこの問題を抜本塞源的に考えて、塩の政策価格の変更ということについて、もう少し時代に合つた検討を加えて、最もすみやかなる機会に、当委員会にその成案を示されたい。これを強く要望しておきます。いつまでもわれわれのやつたことがいいという上杉謙信、武田信玄時代の考え方を捨てて、もう少し新しい感覚の上に立つて物事を処理されたいということを、強く申し上げておきます。
  60. 植木庚子郎

    ○植木政府委員 ただいまの春日委員の、たいへん筋の通つた御意見は、一つの考え方として私も傾聴いたします。しかしながら今お説の中に、たとえば国内の産塩を減らしてでも、外国から安い塩を持つて来て、そしてそれをプールして適当な安い値にすべきじやないかというお話がございましたが、その根本的なお考えに対しましては、私どうしても共鳴できません。私といたしましては、やはり八千五百万の国民が食料用塩として必要な分は、何とかしてひとつ国内でまかなうように将来も伸ばして行きたい、かように考えているのであります。それでは国内の食料用塩をもつと安くするのにはどうすればいいかと申しますと、これは先ほど井上委員の仰せになりましたような、一般会計からめんどうを見て、そして適当に考えて行くべきじやないかというお話もございましたが、これは一種の二重価格制をとるようなかつこうにも相なるし、財政の都合もございますから、十分研究はいたしますけれども、今ここでこれを引受けることはできない状態でございます。
  61. 福田繁芳

    ○福田(繁)委員 先ほどから塩に関する同僚諸君と当局との質疑応答を拝聴いたしておつたのでありますが、要するところは、国内製塩をいかにして増産するかというところに問題が帰すると思う。それで専売当局も、いかにしてこの国内製塩を増産さすかということに対して、たいへん御心痛されていることはわかる。井上なおまた春日両君から、冒頭に質問されたところの会計検査院の問題も、およそそこに原因があるであろうと思う。幸いにきよう三井塩脳部長が御就任されて初めて本委員会に来られたのだから、三井塩脳部長は、いかにして国内製塩に対する増産計画を持つておられるか、できることならばここ三年、既往にさかのぼつて昭和二十七年より八年はこれだけ増産できた、九年はこうだというところの実績に徴して、そしてあなたの新しい角度に立たれての御計画を漏らしてもらうとこの法案審議に非常に正しく公平なわれわれの資料になると思うので、それをお願いしたいと思います。(「法案はまだ出ない」と呼ぶ者あり)
  62. 三井武夫

    三井説明員 福田委員からの御質問でございますが、お話がございましたように、私どもの今心から念願いたしておりますところは、国内塩の増産によりまして、一般用塩が自給できる段階に一日も早く到達したいということです。御承知のように、本年は天候不良の関係もございまして、当初五十五万トンくらいの産額を期待したのでございますけれども、ただいまのところでは大体四十五万トンくらい、計画に対して十万トンくらいの減になるのではないかと思つております。非常に遺憾でございますけれども、そういう現状でございます。そこで一応ごく大ざつぱに現状五十万トンの生産能力ありという前提に立ちまして、私どもはいろいろと計画を立てておるのでありまするが、この五十万トンの現状に対しまして、私どもは二つの大きな方策によりまして今後の増産をはかつて参りたいと思つております。  その第一は、御承知のように現在の塩田は、非常に古い方式をそのまま踏襲しておりますいわゆる入浜式塩田というものが大部分でございまするが、これを公社が長年研究いたしました結果のいわゆる流下式塩田に転換することによりまして、少くとも五割の増産は可能ではないかというふうに私どもは期待いたしております。さらにこれを、まだ現在確信を持つて実用化し得るまでの段階には至つておりませんので、さらに慎重な試験等を経まして、一日も早く実用化したいと思うのでありますけれども、この流下式塩田にビニールを張ることによりまして、従来流下式塩田の底に張りました粘土を通しまして海水がしみ込んでしまう。そのためのロスが、多いところは四割、平均いたしましても二割くらいのロスがあると思います。このロスを完全に阻止することによりまして、さらに二割くらいの増産が可能であるというようなことになつて参ります。この転換いたしました流下式塩田の生産鹹水量に適応いたしましたところの新しい煎熬方式であります。いわゆる真空式と、言つておりますけれども、経済単位を考えまして、この真空工場を全国に適当数配置することによりまして、従来の塩田方式によります製塩事業の形態というものを一方には確立して参りたい。もちろんこれには、御承知のように非常な設備資金を要するのでありまして、補助金あるいは農林漁業資金と冊いうようなものも相当導入しなければならないのであります。来年度予算におきましても、この点が非常にわれわれの希望と反しまして、財政の現状  等から十分な資金を獲得できておりませんので、私どもの希望する通りの業績がなかなか収められないのでありますけれども、与えられました資金を最高度に活用いたしまして、この流下式転換をできるだけやつて参ることによりまして、増産をはかりたいという計画でおります。二十八年度は、ただいま申し上げますように大体四十五万トンくらいの生産成績だと思いまするが、来年度ただいまわれわれの考えております計画を実現できますれば、大体生産高は五十三万二千トンくらいになり得る目標でございます。流下式に転換いたしましても、すぐにその年度に大きな効果をあげるといことはなかなかむずかしいのでありまして、漸増してこの成績を上げて参ることにいたしたいと思うのでありますが、これによりまして、先ほど申しますように、現在の五十万トンが五割増せば七十五万トン、さらにその二割増産ができるといたしますれば、大体九十万トン以上のところまでは流下式転換によりまして達成し得るのじやないかというふうに考えております。  それからもう一つの方策といたしましては、御承知のように公社におきましては、福島県の小名浜に試験工場をつくりまして、長年研究をいたしておりました加圧式の海水直煮の方法による製塩工場、これが小名浜の工場を建設いたしまして、操業をいたしました結果では、一般の民間企業としても十分成り立ち得るというところまでただいま到達いたしております。そこで私どもといたしましては、たとえば東北地方、あるいは北陸地方、あるいは北海道地方といつたような電気が比較的豊富でありまして、しかも従来気象条件等によりまして塩の生産に恵まれておらないところには、この電気の状況と適合いたしました新しい加圧式工場を適当数つくることによりまして、相当の新しい塩の生産を期待したいという考えであります。しかし加圧式工場をつくるにつきましては、これまた非常な資金を要するのでありまして、加圧式工場におきましては、大体一工場十万トンというのが経済単位といわれておるのでありますけれども、十万トン工場となりますると、少くとも十五億円、二十億円くらいの資金を要するのであります。この方は電気の供給が確保されるところを選びまして、何とか資金の見通しを得られまする範囲におきまして、この海水直煮の方法による加圧式工場を今後適当数助成して参りたい。それによりまして、十万トン工場を二箇所つくれば二十万トン、三箇所つくりますれば三十万トンという新しい塩の生産が期待できるわけでありまして、ただいま申しました流下式への転換と、この新しい方法による加圧式製塩との両方の業績を合せますれば、目標の百万トン、国内一般用塩の自給ができる時期は、やがて速からず実現できるというふうに私ども考えておるのであります。何べんも申し上げるようでありまするけれども、この事業を達成しますためには非常な資金を要するのでありまして、私どもの一番の心配は、資金をいかにして獲得するか、また塩業者のために獲得してあげられるかという点でございまするので、その点はぜひともひとつ国会方面の御援助をお願いしたいと思います。
  63. 福田繁芳

    ○福田(繁)委員 三井塩脳部長の非常に意気盛んな頼もしいお言葉を拝聴して、私は大いに敬意を表する次第であります。しかしながら当委員会では、先ほどあなたがおつしやつたようなことを、大体おかわりになられるたびに塩脳部長から何回となしに伺つておるのであります。この国内製塩に関しては、御承知のように現内閣であります吉田内閣において四、五年前に五箇年計画というものをつくりまして、大体六十万トンは是が非でも確保しなければならぬというので、閣議決定まで見たわけであります。これはおそらく大蔵政務次官は御記憶新たなものがあるであろうと思う。その五箇年計画を立てて、六十万トンの目標に基いて、今日までに国家資金を投じたものは莫大なものであります。しかるに今承りますれば、何と四十五万トンないし五十万トン、六十万トンを目標にして五箇年計画を立てて、莫大な国家資金を投じながら、増産したのはわずかに十五万トンか二十万トンにしかならない。これを聞きまする場合に、あなたの意気盛んなところは了とするのでありますが、われわれはこれこそ慨嘆にたえぬわけであります。できる限りの全知全能を傾到されて、——八十万トンも百万トンもいりませぬ。七十万トンでよいのでございますから、これをぜひとも確保できるように、流下式なり真空式設備をどんどん活用されてやつてもらいたいと思うのであります。  それでこれを機会に伺つておきたいのでありまするが、なるほど本年度五万トンの減産になつたのは、天候の関係があつたためというお話でありましたが、私はちようど選挙区が御承知のように、塩業中心の瀬戸内海に面しておりまするので、しばしば現状見るわけでございまするが、生産意欲が非常に衰えておるというきらいがある。なぜ生産意欲が衰えるかというならば、言いかえれば専売公社の収納代金が的確でないというところに原因があるのではないかと思います。つい最近聞くところによりますると、どうしてもこの収納代金を幾らか値上げをして、引合うようにし、増産できるようにして、お互いのためになるようにしてこそ、初めてわれわれが塩の全生産力を発揮できるのだということを実は耳にするわけでありまするが、国内生産塩を大いに増産するか、あるいは必要があれば外塩に求めるかということは各党のイデオロギーの相違によるので、これはやむを得ない。そこで私は伺いたいのでありまするが、この収納代金に対して再検討を加えて、生産意欲がより以上高揚するように、もう少しお引上げになられるところの御意図があるかないかということを、政務次官と塩脳部長にお伺いいたして、私の質問を終りたいと思うのです。
  64. 植木庚子郎

    ○植木政府委員 国内産塩の増加のために、まことにごもつともなる御議論であります。私も塩に関係がある一人として、国内産塩の増産のために収納価格を十分検討する余地があるのじやないかということは、私としても一つの持論として持つておりました。ただ専売公社立場になりますと、この収納価格が上ることによりまして、おのずから消費者へこれを転嫁せざるを得ない立場におりますので、そこが非常なジレンマで苦しんでおるところだろうと思うのであります。しかし御説のごときこともまことにごもつともでありまして、今後とも公社としましては、毎年の生産費その他を調査いたしまして、でき得る限り無理にならないようにさして行きたい、かように考える次第であります。
  65. 三井武夫

    三井説明員 ただいま政務次官からも御答弁があつたのでありますが、収納価格を幾らにし定めるかということに  つきましては、公社といたしましても非常に慎重に検討をし、実情に適するように配慮いたしておるのであります。昨年一万三千円から一万三千六百円に引上げをいたしましたときにも、業界方面からは、少くとも一万五千円ぐらいまでの引上げをしてもらいたいという御希望があつたのでございますが、私どもといたしましても、一昨年以来個々の業者につきまして一切の生産費の調査をいたしておりまして、相当の資料も整備して参りましたので、そうした資料をも十分検討いたしまして、一応昨年八月当時の現状としましては、一万三千六百円程度で収支償う。地域によりまして非常に生産能率が劣つておりますところは、あるいは無理かと思いまするが、普通の条件を備えた地域でありますれば、一万三千六百円で十分償うという見当をつけまして、大蔵省の了解を得まして、六百円の引上げをいたしたのでございますが、もちろん業者の方からは、一万三千六百円の引上げでは不十分であるという話が当時ずいぶんございました。それで一応当時としては、六百円の引上げでしぶしぶ満足してもらつたのでありますが、私どもといたしましては、ただいま申しますように、一応この程度の引上げで十分行けるのではないかという考えであつたわけであります。従つて、その後地域によりましては多少労賃等が高騰しておるところもあるかと思いますが、一応現状では一万三千六百円の価格で十分行けるというふうに考えておるのであります。将来の問題といたしまして、この現状の収納価格でどうしても収支償わないというような状況になりますれば、もちろんこの引上げも考えなければならなでありますが、先ほど来いろいろお話がございましたように、この収納価格を引上げますると、どうしても塩の販売価格の方に響いて参りますので、そうした関係考えますると、私どもといたしましては、収納価格の引上げということにつきまして消極的にならざるを得ないのであります。そこでわれわれといたしましては、ただ手をこまぬいているのではないのでありまして、何とかして積極的に生産費の引下げをはかりまして、その一万三千六百円で将来とも収支償うように、そうした技術面の改良、あるいは経営面  の改善といつたような方面にも十分指導督励を加えまして、業者指導に遺憾なきを期しておるところであります。願わくば現在の一万三千六百円の再引上げを企図するような事態になりませんように、私どもとしては念願しておる次第であります。
  66. 大平正芳

    ○大平委員 ただいまの塩脳部長のお話の中に、小名浜の加圧式の工場の試験は成績がよくて、東北、北海道方面に普及して行こうというお話がありましたが、加圧式の工場として建てられて、この工場は一応工業化して大丈夫だという確証を得られたということになりますと、今後加圧式の工場は、一体公社の方でずつと所有されて経営されて行くつもりなのか、それとも使命が終つたから、これを塩業者の団体に移して、民間の経営に移して能率的に運営をしてもらうのか、その点ひとつ公社方針をこの際承つておきたいと思います。
  67. 三井武夫

    三井説明員 小名浜の工場につきましては、先ほど申し上げましたように、創業以来いろいろと試験的な生産を続けて参りまして、われわれといたしましても、大体あの式でもつて十分に一般企業として工業化し得るという確信を持つまでの段階に至つております。従いまして、先般も民間の一社から、多少細部にわたつては違うのでありますけれども、大体小名浜と同じような加圧式の方法によつて製塩業を始めたいという申請がありましたので、それをも許可したような状況でございまするが、公社といたしましては、あの小名浜工場を今ただちに民間に払い下げるというような点につきましては、まだあの小名浜工場にいろいろと技術的な研究なり、あるいは試験なりをしてもらいたいような問題も多々残つておりますので、当分は、あの工場は、試験工場としてさらに操業を続けて参りたいというふうに考えております。民間からは、小名浜工場を払い下げてもらいたいという意向があるやにときどき聞くのでありまするけれども、ただいまのところは、公社としてはそれをただちに民間に移す意思は持つておりません。
  68. 井上良二

    ○井上委員 製造タバコの問題について質疑をいたしたいのですが、質疑はたくさんありますが、時間がありませんからきようは二、三点だけにとどめておきたいと思います。  今度の法案によると、製造タバコ中。ヒースを五円値上げをいたしまして、四十円を四十五円にする、これによつて年間四十五億の増収をはかる、こういうことでございます。現在ピースは、工場の原価は十本当り八円九十銭、これに管理販売経費を加えた総原価は九円五十九銭二厘ということになつておるのであります。これを小売店に三十六円八十銭で売り渡しまして、差引利益が十本当りで二十七円二十一銭ある、こういう計算になつておるようであります。そこでこれを四十五円に改訂をするとすると、小売店への売渡し価格は四十一円四十銭になつて、差引治利益は三十一円八十一銭となりますから、この売上げによる利益増加は、十本当りで四円六十銭になるわけであります。専売公社では、二十九年度のピースの販売予定数量を百二十九億九千八百万本といたし、この予定量を販売すると、現在の価格で売るより五十九億八千万円の増収となるのであります。ところが一方値上げによる販売量の減少を見通しますと、二十八年度百三十八億五千五百万本の予定が、約八億五千七百万本くらい減るのではないか。そこで概算してみますと、現行価格でも三十一億減収になる計算になります。従つて実際には二十九億程度の増収しか予定されてないのであります。ところがさきに申しますように、提案理由には四十五億増収となる、こういうように言うておる。その四十五億増収になるという根拠は一体どこにあるかこれを明らにかしてもらいたい。ピースの値上げに伴う需要減が必然に他のひかりとか、あるいはバツトとか、そういうものに需要がかわるということでありますならば、そういう方面がどうかわつて行くか、それを伺いたい。私の方の計算によると、実際は二十九億か三十億くらいの増収にしかならぬのに、あなたの方では四十五億増収になる、こういうことを言うておるが、増収になる根拠を示してもらいたい。
  69. 今泉兼寛

    今泉政府委員 今計数でいろいろ御説明になりましたが、おはじきになつた計数と私どものはじいた計数とは大分相違がございますし、計算が大分ややこしくなりますので、これは皆さんに御承知いただく大事な点でございますから、計数といたしまして資料で後刻提出いたしたいと思います。決して過大な見積りではございません。むしろ逆に、地方税、例の消費税として地方に還元するものをさらに八億ほども見込んで四十五億よりももつと上になる、こういう計数になつております。ので、後刻その方は計数でお示しいたしたいと考えます。
  70. 井上良二

    ○井上委員 ただいまお話の地方税法の改正案によりますと、今度タバコ消費税を新設しまして、府県、市町村合せて専売公社売渡し価格の百十五分の十五を公社に課税することになつておる。これによつてタバコの値上げは大体しないという条件がついておるようにわれわれは聞いておつた。ところがタバコ消費税の新設と今回のタバコの値上げとは全然関係なしにやられたのですか。先般の主税局長の説明や政務次官の説明によると、御存じの一般税制改革に伴う減税の穴埋めに、物品税その他の増徴や新設によりましてなおかつここに四十四、五億の金が足らぬということから、タバコを値上げするような感じに私どもは伺つたのでありますが、このタバコ消費税を新設することによつてタバコの値上げはしないということになつてつたのじやなかつたか。それと今回の値上げは一体どういう関係を持つているか。と言いますのは、二十九年度タバコの消費税として予定してありますものは二百九十一億くらいでないかと思いますが、これが専売益金の中から払われるということで、二十八年度には千五百億ほど国庫納付をいたしておりましたのを、本年度では約二百億減少しているということから考えまして、どうもタバコの値上げが、やはり専売局の国庫納付の穴埋めをしようというところをねらつて来ておりやせぬかというふうに考えられますので、その間の事情を御説明願いたいと思います。
  71. 今泉兼寛

    今泉政府委員 ピースを五円値上げすることによつて専売益金として四十五億ほど増収をはかりたいというその目的は、今御指摘になりました通り、減税その他の措置で財源がどうしても四十五億ほど国庫に不足する、それがために特に高級タバコであるピースを五円ほど値上げして四十五億の穴埋めをする、これは御説の通りであります。ただ、それでは消費税との関連において何か関係があるかという御質問でございますが、これは直接の関連はございません。値上げをするから消費税をやめる、あるいは値上げをしないからそのまま置くという議論は、いまだ大蔵省部内その他においてもやられたことはございませんので、ピース値上げの問題はあとから起つた問題でございます。消費税の問題は前々から起つておりまして、かりにピース値上がなくても消費税の方は実現した——実現したといつても、まだこれからの問題でございますが、原案としては生れて来た次第でございます。ただ消費税二百九十一億の中に、八億ほどは値上げの分が含まれておりますから、値上げすればそれだけ地方税に還元さるべき消費税が八億ほどふえる、こういうことになりますが、値上げと消費税創設との関係は、直接の関連はございません。
  72. 井上良二

    ○井上委員 このタバコの値上げの問題は、一般財政計画や国民生活に及ぼす影響が非常に大きいのでありまして、これは政務次官か大臣が来なければいけませんから、きようはこの程度にしておきます。
  73. 内藤友明

    内藤委員長代理 次会は公報をもつてお知らせいたします。  本日はこれをもつて散会いたします。     午後零時五十分散会