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石井国務大臣 お答えいたします。気象台の職務がどんなに重要であるかということは申すまでもないことでありますが、特に昨年の風水害から、いろいろなものの設備の不備ということが明らかになりまして、昨年補正その他によりまして、各地の予報設備、早期に予知して雨の
状況、風の
状況をできるだけ早く適当な
方法によ
つて各方面に早く知らせるということがまず第一の問題だということでありまして、いろいろな設備をすることを補正予算においても認められまして、
全国で速急に必要だと思われます二十県あまりにいろいろな設備を昨年からすることができました。それは今度の風水害においても、相当効果をあげ得たと私
どもは聞いておるのであります。来年度の予算におきましては、それに入
つていない各
府県に設備を充実して行きたい。そうして
全国的に天候を予知し得るようないろいろな設備と、これを早く各方面の要所に知らせ得るような、そして安全に、風水害のときと言え
ども知らせることができるような無線電話の設備等も、必要な向きにはするということがもう差迫
つた問題で、ぜひこれは来年度の予算において実現を期したいと思うておるのであります。
それから定点観測の問題は、これは衆議院の運輸
委員会においても、ぜひこれを復活すべしという決議を私
どもはいただいております。この定点の観測は、ちようど今問題にな
つておりまする北の方面の冷害問題等を知る問題については、非常な大きな力をなすものでございます。これがないからとい
つて全然わからないというのでなく、いろいろな
方法を講じてや
つておりまするが、ふだんの観測がきま
つた船によ
つてできるということになりますれば、これは必ずそれの方がいいにきま
つておりますので、戦争前はこういう制度はなか
つたのでありますが、ひとたびこういうものがあるということを知り、こういう制度を一度使
つた以上は、私
どもはできるだけ万全を期するような意味におきまして、何年目かに一度は来やすいような冷害地帯のいろいろな気象
状況を早く知
つて、早く知りしめて、そうして準備のできる限りのものをしてもらうということは、何としてもやりたいことで、ございまして、今度の予算にその船の計画をいたしておるのでございますが、この問題は、ぜひ本年度の予算においてはこれを組んでもらうようにいたしたいという覚悟をも
つて、いろいろと折衝を今始めておりますから、ぜひ何とかや
つてもらいたいと思います。今度の予算に
ごらんになると、二十九年度よりも三十年度の要求額が減
つております。なぜ減
つておるか、おそまつにしているんじやないかということをお
考えになるかとも思いまするが、本年度全体の予算と来年
考えられまする全体の予算とは、ほとんど同じような範囲を出ないと思います。その際にただ
自分たちだけ満足してこれだけ要求した、それから先は
大蔵省がや
つてくれなか
つたんだというようなことでおさま
つてはならぬと私は思うのであります。それでこれには一番大きな影響は、船を定点観測のために五はい要求しております。これは南方の方に二はいと、それから北方に三ばいという予定でございます。ところが南方の方は二はいの船で今や
つております。そして半年の調べをや
つてことは御
承知の通りでごごいますが、これに支那方面の気象通報というものが、どうかして私たちの手に入ることができますれば、これはまずまず現在や
つておることで一応の形はとれるのでありますが、北方の方は全然ゼロでございます。これは常時は二はいあればいいわけなんです。一ぱいだけ出ておるわけでございましし、二週間ごとくらいに交代をしますために、二はいはいつもいるわけでありますが、一年のうちに二箇月くらいはいろいろな修復をするような必要があります。そこ一箇所としては三ばいは多過ぎるのでありますが、二はいはいる。そして南方と北方と合せまして、そういうふうな予備も含めまして、定点観測のために三ばいというものを今度は出しました。これはひとつ皆さん方のお力添えを得てや
つていただきたい、こういうふうに思うておるわけでございます。支那大陸の話をついでに申し上げておきますが、この方面の気象
状況を向うは
一つも出してくれないのであります。これが台風時期における台風の方向判定に、実に大きな問題を起すのでございます。私はかねてからだれか向うへ行
つて、これは世界的の人類の問題じやないかという意味において
——全然向うに設備がないなら別でございますが、おそらく全然設備のないことはないのでございますから、この方面からの無線通報というものを出してもらえるような折衝をしたいということを念願いたしておりましたが、ちようど運よく今度文化
関係の人たちを中共の方で招待することになりまして、気象台長の和達君を名ざしてその中へどうかという話でありましたので、ちようど学術
会議でローマに出張中でありましたが、和達君をぜひ出してもらいたいということをお願いいたしまして、そして今中共に行
つておるはずだと思います。私
北海道へ旅行したり何かして、あとの様子を知りませんが、そういうことを知らしてや
つて出ましたから、多分一緒に行
つていろいろその折衝もしてくれているはずだと思います。そういうことで何かできますと非常にいいのであります。もしこれが来ないと、実は南方は一応二はいの船があると申しましたが、南方でもこれは定点的には半年や
つておりますが、そのほかにも
もつと充実しなければならぬということは
考えられる。しかしゼロと何かあるものとの
関係に今あるものでございますから、南方は一応そのままにいたしまして、北方の定点と、それから全体に対する予備的な意味におきましてのものを加えまして、三隻は何とかしてこしらえてもらいたい。これが必要だということは、
大蔵省もお
考えにな
つておるように私
ども聞くのでございますが、そのほかの私
どもの方の
関係の海上の訓練
関係の船であるとか、海上保安の船だとか、いろいろなものがありますので、そういうふうなものといろいろあわせて、ものによ
つては共用できないかというような話等もちらちらあるようでございますが、いずれにいたしましても、予算の許す範囲において、また少し無理でありましても、大局的から見ました気象通報という意味からいたしまして、来年は何とかしてこれをや
つてもらいたいというふうに思うておるわけでございます。