○
松田(鐵)
委員 国の
財政を預かる
大蔵省とすればごもつともな御答弁だと思うのであります。しこうしてそうなりますと、大体私は、私
個人の問題でございますが、
オホーツク海の
災害のときに、あの
法律を
議員立法としようというときにおいて、私の船も遭難したが、しかし私はあの
法律に対しては不満を持
つておる。ただいまの御
意見のようなことから、局部的な問題であ
つたからそうや
つたならば
最後にどこからでもああした問題が出て来るんじやないか、もつと
考えなければならないじやないかという
考え方を持
つてお
つた、あなたの御
意見と同じような
考え方を持
つてお
つた。しこうして今度の
災害は、あの当時の
災害より根本的に異なる
災害であります。これは決して
大蔵省や
水産庁に対して、私は文句を言うものではないが、しいて言うならば、この
災害の
責任がどこにあ
つたかということから論議して行かなければならないものがあるのであります。大体
水産庁のあの
流し網漁業というものに対する
考え方が、まだ
沿岸漁業という
考え方を持
つてお
つた。それが
ために船のトン数を三十トン
未満を
北海道の
知事許可としてお
つた、三十トン以上五十トン
未満を
農林省の
許可として与えてお
つたのであります。さてこの
災害について、
老朽船であ
つた四十四トンという船一そうだけが遭難した、あとは全部十八、九トンという船でございます。ところがその十八、九トンという船、二十トン
未満というものが多い、その二十トン
未満という船は、実を申せば全部が二十四、五トンあるのであります。だがこれは
長官もよく心得られておるから、いまさらそんなことを論議する必要はないが、それは
さんまの
漁業が一箇月内地より早い、そういうところに二十四、五トンの船をつく
つて、検査官に頭を下げて十八トンや十九トンにしてお
つた、こういう点が
一つ。
さんまとの兼業というものを
考えてお
つたことが
一つ。その次は、これはか
つてわれわれが、どうしても
日本の
漁業そのものの現在の勢力というものはどういうものであるかということは、
大蔵省の
当局よりもわれわれの方が実地において詳しい。そこで
漁船の
保険制度を百トンまで上せた。それを
大蔵省は一億何がしの
予算の
金額になりますが、本年の
緊縮予算の結果どこでもよいから苦しい
思いをして
——決して
大蔵省の
考え方はそうでないと思う、しかし
予算が一兆円になるが
ために、わずかたとえば一億であ
つてもこれを切らなければならないという、非常
なつらい
思いをして切
つた。今まで二十トンまであの
保険に入る、ことができ、それ以上は入れないというところから、
漁船は二十トン米満としてお
つた。これらがこの
災害における一番の大きな
原因にな
つたのであります。四十メーターもある
風速であたからそれが一番の
原因でありますけれ
ども、
漁業者の
装備というものが非常に欠けてお
つた、こういう点が大きな
災害を起した
原因にな
つたのであります。三十トン以上の船はただいま申したようなことである。三十トンから四十トンあると、あの強い
風速にも耐え得るだけの船体を持
つてお
つたのであります。こういうことがこの
災害の大きな
原因にもな
つたのであります。ここを申せば、先ほど原
次長が言われるように、国の
社会保障制度をどこまで持
つて行かなければならないかという点からい
つて、わずか一億足らずの金をも
つて百トンまでのあの
保険制度を確立してお
つたならば、もつと船は大型なものになり、
水産庁も三十トン
未満ということにしなか
つたならば、もつと
装備は完全にな
つてお
つたろうと
思います。しかしそれはあなた方ばかりの
責任じやない。私
どもがそこまで力説し、しかして
大蔵省、
水産庁に強く希望し得なか
つたのが、すなわちわれわれの怠慢であります。私
ども自体もその怠慢ということを深く認識しておるものでありまして、
政府に対して
責任呼ばわりをするものではありません。ただこの結果が現在の結果にな
つたが
ために、災いを変じて福となす
方法を御
研究願わなければならない、われわれの将来の
漁業制度に関心を持
つていただかなければならないということを、一応述べておかなければならないのであります。
さて次に、たとえば国が五割の
補償をする
ために、それだけ国の
負債になる、これはごもつともな話であります。が、これもただいまの
保険制度が二十トンであ
つて、百トンまでない、その結果がどうしたか、すなわちフリゲート艦、海上保安庁の船また民間の
捕鯨船、これらが出た実際の
経費——給料やそういうものを入れずに、
油代だとかそうした実際の
経費が一億三千万もかか
つておる。そうして国をあげてこの
災害を心配したということである。それだから何もかもふやして行けということは
議論にはなりますまい。しかしそうしたむだもここに
はつきりと現われておるのであります。こういう点からい
つたならば、国の
財政をどのように上手に
使つて行くかというところに
大蔵当局の御手腕があり、また
責任があるものと思うのでありまして、
保険制度に対してはいま少しく御
研究を願
つておきたいとお願いするものであります。
そこで国の
負債になるというその額は、
相当な額になりましよう。しかしこれは前の
十勝沖災害の場合は、全体の
金額から見たらば二割五分より
相当しない。全部国の
負債にな
つたところで幾ばくでもない。ところがこうした
災害を
金融機関から
融資を受けるとすれば、
金融機関は
大蔵省でお
考えにな
つておるようなものではない。ま
つたくこれは
ユダヤ人と同じ
考えを持
つておる。担保だとかがんじがらめに何もかもやらなければ貸さないというのが、
金融機関の
考え方である。またそれも
金融機とすればやむを得ない。その
金融機関から
融資を受ける。この
融資を受けたものを生かして
使つて、早く
生産を上げて立ち直りして、そうしてその借りた金を完全にお返しすることによ
つてのみ、初めて
補償するという意味が成り立つものであります。
十勝沖災害の場合においては二割五分よりなか
つたが、その
返済はなかなか容易でない。ところが、
オホーツク海の
災害に対しては至急に出していただき、
水産庁もあらゆる
努力をして
大蔵省の
了解を得て
融資をしてもら
つた。それが
ために、
北海道としても三割を
補償し、
漁連、水連、
単協すべてが
一体の
責任をも
つて返さなければならないという一致した
考え方から、今日の成果を上げておるのであります。こうした
考え方からい
つたならば、同じ金を生かして使うか殺して使うかという点を、ひとつ政治的にお
考えを願いたいと
思います。
大蔵省に対して政治的にものを
考えろということは非常に無理なことでありましようが、要するに、金を生かして
使つて行つて、
生産を高めて
行つて、その
返済を完全ならしめる。たとえば岩手県であろうと
北海道庁であろうと、
漁民に対して、こうした
方法によ
つて融資を与えて、君らの生業を援助するのだということによ
つて、初めてその返還もスムーズに行く。それは
オホーツク海の
災害を通じて
はつきりした現われがここにあるのであります。そうしたならば、一時的には、国の
補償そのものは国の
負債になるが、これは帳面によ
つてのみ
負債になるものでありまして、完全に返
つた場合においては
負債にならない。
負債にならないようにされることが
大蔵省の一番大事なことであり、
水産庁の一番
考えなければならないことだろうと思うのでありますが、こういう点に対して深い御認識を願いたいと存ずるものであります。
水産長官は、どのようにお
考えにな
つておられるか。
大蔵当局もどうかこうした点をお
考えくださいまして、でき得るだけ早くこの
災害を解決する
方法を御考慮いただかなければいけないと思うのでありますが、この点についてもし御異論があるようでありましたならばもつともつと
お話を申し上げて
了解を得なければならないというのが当
委員会の
考え方でありまして、この点に関する御
意見をもう少し伺いたいと
思います。
水産長官も御答弁願いたいと存ずるのであります。