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1954-03-26 第19回国会 衆議院 水産委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月二十六日(金曜日)     午前十時五十三分開議     —————————————  出席委員    委員長 田口長治郎君    理事 小高 熹郎君 理事 川村善八郎君    理事 鈴木 善幸君 理事 山中日露史君    理事 田中幾三郎君       遠藤 三郎君    濱田 幸雄君       赤路 友藏君    淡谷 悠藏君       島上善五郎君    辻  文雄君       中村 英男君  出席政府委員         水産庁長官   清井  正君  委員外出席者         参  考  人         (東京魚商業協         同組合理事長) 塩沢 達三君         参  考  人         (東京水産物         卸売人協会長) 寺田 省一君         参  考  人         (東京築地魚         市場仲買協同組         合副理事長)  日暮福太郎君         参  考  人         (東京中央卸         売市場長)   本島  寛君         参  考  人         (日本鰹鮪漁業         協同組合連合会         長)      横山登志丸君         専  門  員 杉浦 保吉君         専  門  員 徳久 三種君     ————————————— 三月二十六日  委員勝間田清一君辞任につき、その補欠として  島上善五郎君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 三月二十五日  漁船保険料国庫補助に関する請願(伊東岩男君  紹介)(第四〇二九号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  ビキニ環礁附近における爆発実験による漁業損  害に関する件  修正意見申入れの件     —————————————
  2. 田口長治郎

    田口委員長 これより会議を開きます。  ただいまよりビキニ環礁付近における爆発実験による漁業損害に関する件について調査を進めます。この際お諮りいたします。先般の理事会におきまして御内定を願いました通り、本日ここに東京中央卸売市場長本島寛君、東京水産物卸売人協会長寺田省一君、東京築地魚市場仲買協同組合理事長日暮福太郎君、東京商業協同組合理事長塩沢達三君、日本鰹鮪漁業協同組合連合会長横山登志丸君、以上五名の御出席を願つているのでありますが、五名を参考人として選定し、本件について意見を聞くことに御異議ありませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 田口長治郎

    田口委員長 異議なしと認めます。よつてそのように決しました。それではただいまより本件について参考人各位より順次御意見を承ることにいたします。なお委員参考人に対する質疑は、参考人全部の意見開陳が終りましてからお許しいたしたいと思いますが、日本鰹鮪漁業協同組合連合会長横山登志丸君と東京中央卸売市場長本島寛君は十二時前にやむを得ざる要件で退席されなければならぬようでありますから、お二人に対する質疑だけは、両人の御意見開陳後ただちに行いたいと思います。  まず東京中央卸売市場長本島寛君に御意見を承ります。本島寛君。
  4. 本島寛

    本島参考人 私、本島でございます。今度の問題につきましては、東京都といたしましては、焼津港に入港いたしました第五福龍丸からの魚が若干十六日の朝市場へ到着いたしまして、これにつきましては、魚がトラック一台で参つたのであります。到着いたしますと間もなく、荷主の方から長距離電話荷受へに連絡がありまして、きよう送つた魚のうちのまぐろ三本、目方にして四十二貫に、当日朝の読売新聞、朝日新聞に出たあの放射能を受けたものが入つているから、これを売らないでくれという電話連絡がありました。その貨車のうちには、そのほかにさめが三十八本、約五百貫程度のものが入つておりましたので、混載されたものが取扱い上一緒に扱われたという点を考えまして、このまぐろとさめは他の大物から全然場所を隔離いたしまして、厳重な監督をいたしておつたのであります。そしてただちに厚生省水産庁にもこれを報告し、厚生省の方から東大、科学研究所予防研究所筆逆襲とりまして、いろいろ協議の結果、同日の午後、これの厳重な科学実験実施されたわけであります。その結果まぐろにつきましては、ガイガー・カウンターをもつて検査いたしましたところ、六ミリアワー放射能を持つていることが確認されました。さめにつきましては、九ミリアワー放射能を含んでおつたのであります。御案内通り、大体危険か危険でないかという分岐点は、六・一ぐらいとされているのでありますが、まぐろについてはややそれに近い程度のもの、さめについてはそれをずつと越えている程度放射能を含んでいることが明らかになりましたので、さらにこの処分について、ただいま申しました関係方面十分協議をとげました結果、埋没することが最も適当であると請いう結論を得ましたので、当日の夜中から、七日の朝の三時ごろまでにかけまして、市場一角に三メートル以上の深い穴を掘りまして、これを埋めてしまつたわけであります。そして埋めた魚の上には二メートル以上土をかぶせて、こうすれば絶対に安全だということで、そのような措置をいたしたのであります。なおこれはあと新聞社等から、市場内に埋めるのはけしからぬじやないかという意見が大分出たのでありますが、私はそうでない、いろいろ場所を考えてみたが、埋めてしまつてそれで責任が足りるということならば、埋立地であるとか、山の方に持つて行くことも可能であろう。しかし運搬そのものにも問題があり、その後の管理についても責任を負うて管理ができるところでなければならない。それには六万坪ある自分の方の中央市場一角で、取引をしている場所から二百メートルないし三百メートル隔たつた、しかも三十四時間交代で職員が出入りを監視をいたしている場所のすぐそばに埋めたのでありまして、将来にわたつて一切の不安がない所であります。  その後入つて来るものにつきましては、国の方と連絡をとり、その指示を得まして厳重な検査実施いたしております。十八日には厚生、農林両大臣の街明がございまして、爾今南方から入つて来る船については、五、つの港を指定して、そこへ国の専門の係官を派遣して検査をする、検査をして合格したものについては検査証をよこす、そのものだけを市販にまわすことにするから安心であるという、いわば社会不安一掃の意味を兼ねているような声明をされ、実施をされたわけでありますが、東京都としましては、その声明まつまでもなく、十六日以後入つたものにつきましては、この検査を厳重に実施をいたしております。五つの港の中の一つ東京都の中央市場も入つておるのであります。従つて直接南方から船が入つて参りますが、これにつきましては、特に厳重に船名はもちろん、船籍関係とか、トン数、船長あるいは漁撈をしておつた位置、航路をどうとつたかというような詳細な調査をいたすのであります。と同時に化学実験をあわせて行いまして、合格品だけを水揚げをし、これに検査証張つて販売をさせるというような処置をいたしております。なお乗組員等につきましても、また船そのものについても十分な化学実験をすることはもちろんであります。その後十七日以後に入つて来る船につきましては全部検査をいたしておりますが、十七、八日ごろ入つて参りました船の中には、若干の放射能が見られたのであります。その一番多いもので〇・五ミリ、あるいはそれ以下の〇・四あるいは三、二、一という程度のわずかな放射能が見られる程度でありますので、これは化学研究所及び予防研究所指示を得まして、絶対これは心配ないということでその後入つたものにつきましては、不安を持たれるようなものは全然入荷いたしておりをせん。さらにまた東京都といたしましては、万一この五つの港以外の所に水揚げされて入つて来るものでもありますと、その影響が非常に大きいことを憂慮いたしまして、貨車なりトラックなりで入つて参りますもの以外では、東京都以外の港から水揚げされました大物なり、これをもつてつくられたと思われる加工品につきましても、一切厳重な検査を毎日夜の十二時ごろから夜明けごろまでの間実施をいたしております。それらにつきましても、今日までの実績を見ますと、何ら魚そのものについての放射能は全然見られないのであります。  こういうような実情であるのでありますが、飜つて都民実情を見てみますと、非常な社会不安が起つておりまして、このことは御案内通り、どこへ出ましても、自分まぐろを食わない、いやもう魚を食うのが気持が悪いというような声を至るところで私どもが聞きますが、これがまた魚の売行きにも現われているわけであります。  入荷量からいたしますと、最近の比較で見まして、十一日から十五日ごろまで総入荷量は三十四万六千九百三十五貫という程度であります。それが大体平均でありまして、これを百として見ますと、十六日から二十一日までの期間の平均は二十五万八千貫余でありまして、七四%に落ちておるのであります。それから一番山が二十一日から二十三日にかけて、こういうふうに数字の上でみなされるのでありますが、逐次盛り返しておるような状況にございます。従つて三十三百には八七%まで行きました。これはちよつと異例でありまして、前日二十二日が休みでありましたものですから、翌日は平素より非常に荷が多いのであります。五割から場合によりましては二倍くらいになる場合があるのでありますが、それにもかかわらず八七%までしか行かなかつた、二十四日が七三%、昨二十五日は六六・五%というところでありまして、入荷量から見まして、最近の百平均からずつと下まわつてしか入つて来ないという状況であります。これはあとで申し上げますが、魚の価格がずつと下つております。これは売れないために非常な値下りをいたしております。これがやはり港それから漁撈をせられる人の方にも非常な影響がありまして、とても採算が合わぬというようなことから、若干漁撈の手控えが出て来るのではなかろうかというように私どもは考えておるのであります。  なお中央市場へ持つて参りましても、このように市販で売れないというようなところから、あるいは他の加工の方にまわされるとかいうものもあると思いますが、ともかくこのように入荷量が減つております。  それから値段について最近の状況を見ますと、これまた非常に下つておりまして、特に南方から入つて参りますまぐろは、きはだとか、あるいはばち、くろかわ等でありますが、これらの一番多く入りますまぐろの種類を見ましても、非常に値下りをいたしております。十六日の朝の状況というものは、一般にまだそういう不安がなかつたわけであります。一般に知られておらなかつたわけでありますから、十六日を百としてその基準で見ますと、一番多く入つて参りますばちあたりで見ますと、これがまた市販には多く出ている関係で、十六日が一貫目当りの卸価格が八百円、これは中値、それを百として見ますと、一番安い二十三日が三七%に落ちておるのであります。すなわち六三%、六割三分安という三百円という値段に落ちております。それが二十五日には四百円まで持ち直しておりますが、これとてもまだ十六日に比較いたしますと五〇%安ということになつております。それからその他の大衆品にまで非常な影響を来しておりまして、あじとか、さばとか、あるいはいかでありますとか、そういうものにつきましても、非常な影響を来しておるわけであります。あじあたりについて見ましても、十六日を百として見ますと三十四日には七四%であります。その他やはり非常な値下りをいたしまして、大衆品につきましても、二、三割程度からの値下りを見ました。まだ昨日あたりにおきましても一五、六パーセント以上の値上りを見ておるような実情でございます。このことは明らかに非常に魚に対する不安が深刻であつて、そうして日本人の食生活から見ますれば、肉食よりはむしろ魚によつて蛋白給源を得ておるのが常態でございますが、それが肉の方へかわつて行つた、あるいは卵の方にかわつたというようなことから、その方は逆に値上りを示しておる。一割以上の値上りを見ておるというような状況になつております。これは家庭生活といたしまして非常な無理をいたしておるのでございまして、高いものを買つて魚のかわりに使つておる、また買わずに間に合わしておるというようなことから、いたしまして、経済的にもまた栄養上からいいましても、都民生活上に及ぼした影響はまことに深刻なものがあると思うのであります。先般主婦連合会奥むめお先生会長をいたしておる会でありますが、支部支部長なり幹部の方々がみな集まつておる席上で、いろいろお話がありましたが、大体不安がないということは国なり都のやつておられる措置によつて一応了解できた、しかしながら感情的と申しますか、気分的にどうしてもまだ魚を食べるような気持にならないということを言われた方があるのであります。まことにどうも主婦方々の考え方は、どうも何か女の人たちにとつては特に深刻であつて、今後何年間かの後にかみの毛でも抜けたり、顔にへんなものが出たのでは女として一番やり切れない。容貌が生命の次に大事なんだから、男子の方が幾ら科学的な説明をしてくださつても、婦人の感情はなかなか深刻ですよということを、特に私たちに言つてくれたのでありますが、そういうことを考慮いたしまして、東京都といたしましては、とりあえず都なり国でやつていることを都民に周知させることが大事だと考えまして、いろいろな手を時を移さずやつておるのであります。これは業界の方ともタイアップいたしまして、毎日宣伝カーを五台ずつ繰出して、魚については厳重な検査をしているから心配はないということを、簡単に知らせる宣伝をやつております。それからラジオにつきましては、東京都がスポンサーとなりまして、二千万円ほど出しまして時間を買い切つておるのがありますが、この時間を利用いたしまして、十六日の夜からずつと引続きやつております。その他ラジオ東京なり文化放送、これらのあいている時間をまた連絡をとりまして、東京都の中央市場長談ということで、検査をしているから心配はないということを放送しております。新聞にも対談式で掲載をしてもらいましたり、またポスターをここにも持つておるのでありますが、業界連名で出しましたものと、それから東京都自体の名で出したものとを、小売市場なり料理屋の店頭に掲示させたものであります。東京都の掲示板は一万五千ほどございますが、それに東京都衛生局と中央市場連名で出しまして、これは業界の名を一切入れないで出したのであります。さらにまた二、三日中に各世帯に全部配付をいたします。これは科学実験をやつていることをわかりやすく、そしてどういうふうに魚が入つて来るかということを、日本の地図と海域、これらから魚を図解いたしまして、そうして入つて来るルート、それから都民の方に流れて行く経路等、その間に検査実施いたします方式等を、どのおかみさんが見ましてもすぐわかるように、図解なり写真を入れまして、各世帯に二、三日中に配れるように印刷にかかつております。そうしたことをやつておりますし、私の方でもガイガー・カウンターを四台ほど買つて、今国のものを借りないで検査の方をずつとやつておるような次第であります。  考えてみますとなかなか深刻でありまして、私どもは、一週間かそこらたてば常態にもどるのではないかという気持もあつたのでありますが、今までの表われている数字値段あるいは数量についてみましても、なかなか深刻なものがあつて、相当これは続くというように考えております。今申しましたような、私ども面接取扱つた経費についてみますと、行政費としてみますれば、東京都の検査なりその他の周知宣伝等に要しました経費としては大体三百方円程等でございますが、業界のこうむつた損害はまことにはかり知れざるものがあるというように、私どもは考えておるのであります。その数字はまだつかむことができないのでありますが、毎日買つたものが次の日には値下りになり、しかも売れ残りができる。これは鮮度がものをいうのでありますから、そう長く置けませんので廃棄しなければならない。また鮮度関係で、売れるものはずつと値を下げてでも処分するということで、これらはまことに遺憾なことではありますが、小売商から仲買人に対する支払いの上にも影響を来しておるのでございます。さらにまた仲買いから卸売人に対する支払いにも影響がある。これが産地の方にも影響があつてはなりませんので、その点についても十分私ども監督をいたしておるわけであります。  今日まで私どもがとりました施策のごく概要だけを申し上げました。
  5. 田口長治郎

  6. 横山登志丸

    横山参考人 私は横山です。この事件につきましては、大体経過はすでに御存じだと思いますが、ごく簡単に申し上げまして、それからいろいろ損害等のことに及んで行きたい、こう考えます。  三月一日にマーシャル群島東南側にありますビキニ局におきまして、強力な原爆実験が行われました。距離の算定の仕方はいろいろありますが、たまたまその東方大体百マイル近くと私は考えておるのでありますが、そこにおりました基地を焼津に持つております第五福龍丸が、その原爆によつてつて来た灰をかぶつたのであります。当時乗組員は、これが有害なものとは考えておりませんので、そのまま漁が終つたものでありますから、片つけまして焼津港に帰つて来ました。それが十四日、ちようど二週間目に帰つて来られた。漁のしまいの方の日であつたものでありますから、ほとんど大部分はいつものようにとつたものをきれいにしまして、硫酸紙で包んで念を入れてつくつてありますところの漁倉、いわゆる冷蔵庫でありますが、その冷蔵庫たる漁倉の中に氷と一緒につめて格納しておつたのであります。この漁獲につきましては多少のまぐろがあつたようでありますけれども、さめが大部分でありまして、そのさめは御承知のように今非常に値が安いのでありまして、船腹の関係もありまして、ひれ肝臓をとりまして、あとはみな廃棄しておるのであります。この肝臓はやはり冷蔵庫の方に入れますが、ひれデッキの上につるしてほすのであります。このひれには相当の灰がくつついておるのでありまして、これを結果的に検査してみますと、そのひれは一番有害であるということになるのであります。その他の魚は、もちろん原爆の直撃を受けたわけではありませんので、灰が多少皮膚についておるというような現象であつたのであります。そして陸揚げされました総量は大体二千四百貫足らずであつたのであります。この中にどうして反能のあつた魚が現われたかにつきましてはいまだに判然しないのでありますが、私どもの判定によりますと、おそらくデッキにまだあつた灰が若干くつついたのではなかろうか、こういうふうな感じをいたしております。これらが十六日に出荷地に着くような状態で、かなり広く出荷しておるのであります。ところが従業員がどうも顔なんかがおかしいというようなことで、船主の注意で医者にみてもらつた。初めのうちは医者は、それほど重要視しておりませんでしたが、どうも容態が普通のできものなんかと違うというので、県の衛生の方や何かと相談をいたしました結果、原爆灰被害だということがわかりまして、出荷地に対して県の方から指示いたしまして、漁獲物については注意してもらいたいというような通知を出し、その結果、東京都といたしましては、今市場長が説明されたような処置をとつたのであります。こういうケースは日本では初めてでありますから、出荷先ではかなりいろいろな形が現われまして、私どもが全面的に納得の行かないようなところも多々あるようでありますが、とにかく疑われるところの漁獲物の処理はもうされてしまつた、こういうふうに私どもは信ずるのであります。しかるにこの報道が時節柄きわめてニュース・バリューがあるために、いろいろ貸出しや何かでもって、かなり興味を引くような形で現われて来たのでありまして、国民に異常な恐怖感を与えまして、それが遂にまぐろはもちろん他の魚にまで及びまして、大きな旋風がここに起りまして、関係者が今多大の損害を受けつつある途上であるのであります。私どもは当のかつお・まぐろ船の方に関係しておる団体でありますから、いち早くこれが対策を講じたのであります。私どもだけではなかなか十分でないと感じまして、まず近まわりの業者の方方、それから荷受関係の方とも相談しまして、とりあえずこれの対策本部をつくつたのであります。そうして第一に私どもが考えましたのは、各般の部門をこしらえまして一時に活動しようといたしましたが、手も足りないし、またこの活動が、非常に感情的になつておる国民大衆にどういう影響を与えるかについて一番悩んだのであります。デモンストレーシヨンや何かいろいろなことをやろうというので、作目までほとんど昼夜兼行でやつておりますが、われわれが一番憂えますことは、もうすでに被害をこうむつた船につきましては、損害についていろいろ見てもらうところもありますので、それはまず静岡県庁及び業者の方にまかせまして、非常な被害の起りつつある、すなわち魚を食わないということで起つておるところの大きな被害の防止に死力尽くしたのであります。先ほど申しましたように、どういう形でこれを処理するかに一番悩みましたが、第一は、現われるところの報道をできるだけ是正してもらう、また報道されない前にこれを是正してもらうことが一つ、それから官庁の方でもいろいろ手をつけておるようでありますが、主として厚生省の方の関係でどうも私どもが必ずしも納得のできないようなあり方であつたことに対しましては、これは通知された先あるいは直接厚生省に向つて、こういう方法で処理していただきたいということも要望いたしました。それからラジオ新聞いろいろなパンフレット等について、かなり多くの手を打つておるのでありますが、何分にも業者名前を出すことは、どうかすると逆効果を、いわゆる売りたいというようなところへすぐ持つて行つて感情を静める上において必ずしも有効でないというようなことで、極力私ども名前を入れないで、そうして公平な立場にあられる方々の発言やあるいは座談会とかいろいろな方面に、新聞でもラジオでもいろいろな部門がありますから、少しでも効果のあるようなところへはみな私どもは手を打つております。そういうようなことで今日まで参つておるのでありますが、まだ十分に効果が上つておらない、まつた効果が現れておらない点ははなはだ遺憾に思つておるのであります。業者によりましては、非常な意気込みでもって、あるいはデモでも何でもやつてくれという要求はずいぶん出るのでありますが、さてこれを取扱う上においては、どうしても慎重の態度をとらざるを得ないというようなことで、苦しい立場活動をしておるような現状であります。  それで私がこの席で各方面にお願いしたいことは、有害である魚と無害である魚とのけじめ——これはもう当初から当局の方にお願いしたのでありますが、これをできるだけはつきりさしてもらいたい。とにかく疑いを持つといういわゆる感情の問題であるのでありますから、それの解決にはどうしてもそれが第一に必要である。ただ安心せい零せいといいましても、なかなか納得をしてもらえないのでありますから、その方法をできるだけとつていただきたい。これが第一の希望であるのであります。  それから大衆啓蒙——というとはなはだなまいきなような言葉でありますが、たとえばガイガーの測定器による数字の表わし方が二つありまして、一つはカウンターが一万以上を出ても、よほどその上でなければ有害とは言えないにかかわらず、その数字がもう一つの単位のいわゆる六ミリぐらいでも有害だという、これとごつちやになりまして、私どもは、新聞社が書かれる前にこれを訂正してくれというようなことも交渉いたしましたが、そういうような点がありまして、どうも出る記事が非常に大衆を迷わすようなことがありまして、私どもはある新聞を使つたり、ポスターなんかを大衆に配つたりなんかもしておりますが、そういうようなこともあるし、また学者などの発育で、海の魚が、ことに南方からとつて来た魚がどうも怪しいといつたような発言をする人もありますから、これをそうでないというふうな御家もしてもらわなければならないというようなことで、いろいろやつてもらつておるのであります。だんだんおちつきつつあることは、非常に私どもは弾んでおるのでありますが、ここで一体どういう被害があるかということを申し上げた方がいいんじやないかと思うのであります。  第一直接の漁業者被害といたしまして、漁場の関係でありますが、御承知の通りまぐろ船活動範囲は日本から四千マイルの距離にまで及んでおるのであります。この問題の位置は大体二千マイルくらいの所であります。活動しております範囲の半ばのような所であるのでありまして、時期によつてその付近で漁業をやつていい場合と、そうでない場合があるのでありますが、中型の漁船の最も先端になる所なのでありまして、大型船でありますと、これを迂回してそこを通らないということになるのでありますけれども、中型船は大体先の方の終りごろでありますから、あそこらでそういうあぶないことがありますと、もう大分手前の方から行かない、あの方向へ行かないというところに相当の被害があるのであります。それから間接的といいますか、この方が一番大きくつて深刻であるのでありますが、船に乗つておるままで売れませんから、荷をはかせない、これが第一にあるのであります。その次が価格の低下であるのであります。価格の低下は、先ほど東京都の卸売市場長の言われましたようなものと、さらに、長く船に置きますために鮮度が落ちる。いわゆるそのもの自体の質が落ちて来るということもまた価格の低下の中にあるのであります。それから出漁をしない。大型の方はただ順送りに遅れるだけであります。小型はもちろん近海でありますから何も関係がありませんが、中型の方は、先ほど言いましたような関係で、迂回はその船の航続の能力から言いましたらできぬのでありますから、手控えて出漁にてんでそちらの方に行かぬということ。それから売つた魚の代金の回収が非常に不円滑になる。魚を売つてもすぐ金が受取れない。これはずつと配給業者の方が困つておるのですから順送りになるのでありますが、その金の受取りが非常に不円滑である。そのために油屋とかその他のところからの買物がスムーズに行かない。銀行が——もつともこれは金融が非常に逼迫しておる関係でもあると思いますが、銀行が今までのようにすらすらと融資してくれないというようなことで、船主は経済の損失でありますが、従業員の方はただちに生活の困難というところに今直面しておるのであります。こういうふうにどうも算定のはなはだしにくい、しかも深刻で大きな損失があるのでありまして、私どもはこの基礎になる今調べはしておりますけれども、金額がどうしてもまだ出て参りませんので、はなはだ遺憾とするのでありますが、大体損害の項目だけを申し上げたのであります。いずれはこれに金額を当てはめまして、そうして補償なりあるいは救済なりをやらなければならぬ、その処置をしなければならぬ、こういうふうに存じておるのであります。  それから最後に原爆のことにつきましてでありますが、これは漁業者といたしまして、こういうふうな直接間接の大きな被害がすでにあつたのでありますから、今後はでき得ることならばあの場所をかえてもらいたい、これが第一であります。もしどうしてもかえられなければ時期を極度に少な目にし、被害の区域をできるだけ狭くする。但しこれは安全度を考えてもらわねばなりません。われわれはそういう希望を持つておるのであります。なおいま少し私ども対策をやりますところの範囲を広げまして、そうしてこの原爆の問題については、協議の結果ある意見を立てたい、こういうふうに存じておるものであります。  それからこれで終りますが、これはこういうところで申し上げていいかどうかわかりませんが、当の第五福龍丸の船主及びこれの出荷をいたしました焼津漁業協同組合の組合長から、知らぬこととはいいながら、非常に大きな損害業者並びに関係者にかけまた国民に非常な恐怖感を与え、それから少しでも栄養に対してのさしつかえを起したことについてははなはだ遺憾であつて、どういう陳謝の仕方をしていいかわからないが、いろいろな私の発言の機会にその意思を伝えてくれということでありましたから、この機会にそれも申し上げたいと思います。
  7. 田口長治郎

    田口委員長 本局君、横山両君に対して質疑があればこれを許します。小高熹郎君。
  8. 小高熹郎

    ○小高委員 私どもはこの水爆問題につきまして、できてしまつたこと自体をどう解決して行くかということが一点と、いま一つは明日の問題をどうするかというこの両方を同時に考えておるのであります。横山日本鰹鮪漁業協同組合連合会長は、きようは時間の都合上早くお帰りになるそうで、おいでになるうちにお尋ねをいたしたいのでございますが、第五福龍丸の救済方について具体的な措置をすみやかに講じてやらなければいけない、私どもはかように思うのでございます。巻聞伝えられるところによりますと、三千数百万円であの船を国が買おうじやないかというような意見もあるやに聞いておるのでありますが、そういう具体的の相談をお聞きになつたかどうかということが一点。いま一つは、国がかりにこの船を買い上げまして、一つの参考資料にこれを保管しておくということになりますと、当然乗組員の失業問題が生じて来るので、この生活保障の問題及び当然代船建造をして行かなければいけないのでありますが、この融資の問題及び船主の損害、こういうことは、組合員である関係上当然横山会長のところに、組合または本人から相談があつたのではなかろうかと私は想像いたしておるのでありますが、直接にあつたか、間接にあつたか、またそれらについて、何らかの脅えを組合としてお持ちになつておるかということを、お尋ねいたしたいのであります。
  9. 横山登志丸

    横山参考人 小高さんの御質問にお答えいたします。私ども対策本部をつくります当初におきまして、もちろん焼津の漁業の方の幹部の方も列席しておられましたが、そこで相談いたしました結果、今言われましたような、ほかにまだいろいろな点もありますが、それはあげて焼津の協同組合及び静岡の鯉鮪協同組合ですべて処置する、そういうことにきまつたのであります。自分の方で、自発的にわれわれの方でやりますから、中央ではまず経過を聞くくらいにしていてくれ、しかし中央でやってもらわなければならぬ場合には、必ずこちらで連絡するからやつてくれ、こういうことでやっております。その後聞くところによりますと、船の処置だけは静岡県が扱うということになったそうであります。でありますから私の方は常にこれに大きな関心を持っておりますが、大体静岡県の方でやってもらうということで、詳細な処理につきましてはまだ報告を受おりません。ただとりあえずの融資ですが、融資というのは操業の融資ではありません。いろいろな家族の扶養や何かのことの関係ですが、その方の融資につきましては、業界の団体が世話をしておるようであります。
  10. 遠藤三郎

    ○遠藤委員 私は横山参考人一つお伺いしたいのでありますが、三月一日の原爆の爆発した当時に、あの方面へ出漁しておつた船で、まだ帰つて来ない船がどのくらいありますか。その帰って来ない船の中には、行方不明になってしまったのもあるかもしれないという議論も出ておるわけであり示す。その点についてのお見通しはいかがでございましようか。
  11. 横山登志丸

    横山参考人 遠藤さんにお答いたします。それは私どもはすぐ調査をしておるのでありますが、まだあの原爆実験のあった位置から五百マイル以内におった船というのは、あのほかには、まだ私どもがあるという報告を受けないのであります。該当なし、該当なしという電報が来ておりますし、あの船にもいろいろ聞いてみましたり、あのときの漁況等も判断いたしまして、詳しくいえば、なぜ福龍丸があの辺におったかということは、これはいろいろ事情がありまして、ほかの津山じやございませんが、たまたま漁の関係であそこに来合わしたことになっておりますが、一隻もなかったということは断言はできませんが、どうもほかにはあの範囲におったものがなかりそうのように、今のところは考えております。しかしまだ詳細にとっておりませんからわかりません。それから行方不明の船、これも何だか問題になりそうで、私どもの方では調べておるのであります。あの付近に行って行方不明になつたというのは、これもどうもいろんな方から判断いたしましてないようであります。一つカロリンの方で暗礁に乗り上げまして、遭難いたしました、その乗組員を三重県の指導船が積んで帰りました。これが誤り伝えられましただどうですか、非常に大けさに取扱われまして、各方面から非常なたくさんの報道陣やあるいはお医者さんが来て調べられましたが、これは全然無関係である。いまだ私どもの方では、あの付近で行方不明になつたというのがあるような関係にある船がまだ見当らないのであります。まだしかし調べてはおります。
  12. 遠藤三郎

    ○遠藤委員 もう一点、私は本島市場長さんにお伺いしたいのでありますが、原爆影響のために消費者がなかなか魚を食わなくなってしまった。それに対してあらゆる努力を払って、実害がないのだということを宣伝していらっしゃるその努力に対しましては、まことに私どもは感謝するわけでありますが、ただ消費者の方から言いますと、日本の物理学といいますか、原子学といいますか、それに対する知識の程度に対してみんな不安を持っておる。ガイガー測定器というものができて調べておるといいますけれども、それで全部のことがわかっておるかどうかということに対して、みんな不安を持つておるのじやないか。放射能にもいろんな種類があるそうでありますけれども放射能のすべての種類について、あれではつきり測定ができておるかどうかという点について、不安を持つておる点が一番大きいのじやないいかと思います。また厚生省医者方面が、もう大丈夫です。こう言つても、何だかまだはかり知れない奥の方にいろんな問題があるのじやないかという感じを、国民は持つていおるのじやないかと思います。私自身も実はそういう感じを持つておるのであります。そこでそれを明らかにすることがまず問題ではないかと思います。この測定器あるいはこの検定器でもつて検査をすれば、もう絶対にその害はないのだということを明らかにすることが、この問題の最も根本的な対策だと私は思うのであります。そこで、それをやるためにはどうしてもどういう種類の水爆であつたとか、どういう種類の水爆であつたとか、放射能はどういうものが出ているんだということは、本家のアメリカがはっきりしてくれなければわからない。アメリカと話し合つて、むしろアメリカの方で、この測定器ならばすべて害がないんだ。もう魚を食べても国民は一人も被害を受けるようなことがないんだということを、アメリカ側に協力させまして、はっきりさせる手が一番大事じゃないかと私は思う。そういうことについてお考えになっておられるかどうか。またアメリカと多少そういう話合いをなさいましたとすれば、どういう意向であったか。それらの点についての傾向なり、お考えを伺うことができればありがたいと思います。
  13. 本島寛

    本島参考人 私どもといたしましても、今遠藤さんのお話のようなことを考えたのであります。ガイガー・カウンターなるものがどれだけ威力のあるものか、そういった点と、日本側の検査だけでいいかどうかという点もありまして、米軍にも連絡をいたしまして、あちらからも調査団が参ったのであります。そしてこちらのの測定器と全然違った機械をもちまして調べたのでありますが、この点はやはりうちの方の小さなガイガー・カウンターで調べたの戸同じ結果であつた。あちらといたしましても、先ほど私が申しましたように、東京南方から直接入りました船について、船体及び船員、器具、魚等について詳細な調査を合同してやつたのでありますが、向こうの機械についても同じようなことであつたのであります。それからあと連絡協議会をいたしまして、米軍の方と科学研究所予防研究所厚生省東京一緒になつて東京都において相談をいたしたのでありますが、その際に学者側の方から今のお話と同じような意見が出たのであります。われわれは唯一の被害者である。この被害者に対してどういう治療をしたらいいかということは、原爆の種類が何であるかということがわからなければ、対症の治療はできないんだ。大体今日までわれわれが調べていること、また今までここで話していることで、われわれの考えていることがどういうものであるかということは、御判断でわかると思うが、はつきりしてもらえないか。これによつてのみはつきりした対策が講ぜられるのだというようなお話がありました。軍の方では、自分として許可なくしてそれを言うことはできないが、大体御要求には応じられるかもしれないという、そのときの話の模様であつたのでありますが、後にそれは内容を明かすことができないという責任の当局から回答がありまして、はつきりしたものは知ることができない。しかしながら先ほども出ましたように、日本の科学陣では大体の想像はできるということは申しているのであります。それから、両方で実際の調べをいたしまして、大丈夫だということが一応確認されておりますので、私どもといたしましては、機会あるごとにそういうこともお話いたしているのでありますが、まだ文書ではその内容をお話するわけには参らないのであります。元素を明らかにすることははつきりだめだということを回答になつておりますので、これ以上要望してもできないと想像されます。
  14. 遠藤三郎

    ○遠藤委員 今のお話はよくわかるのですけれども、そこまで話が行つているとしますれば、アメリカ側と日本側と共同の声明でもいいんですから、ガイガー測定器で、やつたものは確かなんだ、全然心配がないんだということを、はつきりとアメリカの意向として市民に知らせることが一番大事じやないかと思いますが、よくお考えいただきたいと思います。  もう一つ損害の問題についてお尋ねしたいのですが、先ほど横山さんから、大体の直接の損害の方向、あるいは項目についてお話がございました。詳細な数字が出ないことはよくわかります。なかなか困難で出しにくいと思いますが、本島さんの関係で、市場関係あるいは卸売関係、小売関係で、大体どのくらいの損害があるか。もしおわかりでしたらお示しいただきたい。なおこの損害問題については、どうも遠慮しがちな傾向があるんじやないかと思いますけれども、私どもこれは絶対遠慮しちやいけない。アメリカに対して要求すべきものはぴちつと要求するがよろしい。山をかけてごまかしをすることはむずかしいことでありますから、それはやりたくないけれども、実際の損害については一歩もしりぞかないで、これを全部補償せいということを強く要望したいと思うわけであります。そこで御両人とも正確な計算を至急出していただいて、強く要望していただきたいと思います。私どもは及ばずながら、その正しい主張に対してはどこまでもバックする、国会としてもどこまでもアメリカに対して強く当つて行く、こういう考えでおりますから、それをなるべく早く調査を進めていただいて、形をまとめていただきたい。なお本局さんの方の関係でおわかりになつている程度はどの程度か、もしおわかりになつておりましたならば、お示しいただきたいと思います。
  15. 本島寛

    本島参考人 私どもの方でも、できるだけ早く実害の程度をつかみたいと思いまして、荷受機関、仲買い小売商等のそれぞれの機関に対して照会もいたしておりますが、今のところ、横山さんの話にありましたように、個々に受けた損害、組織から見られるところの損害、そういつた面について調べてみませんと、まとまつたものが出て参りませんので、できるだけ早く私どもの方で調べたいと存じまして、業界方々とも話合いをいたしておりますが、あるいは大体の目星でもつく点がありましたら、ここに卸、仲買い、小売の代表の方々も見えておりますから、言つていただいたらと思います。私どもが今まで聞いたところでは、まだつかめないのが実情なのでございます。
  16. 遠藤三郎

    ○遠藤委員 もう一点私は水産庁当局にお尋ねをし、かつお願いをしておきたいのでありますが、焼津の港は、御承知のように今回の原爆のためにでんぐり返されております。第五福龍丸の船員及びその家族、焼津港全体として非常に大きな問題になつているわけであります。そこで初めてのこういう事件であるために、あつちこつちおもしろ半分と言つてははなはだ失礼ですけれども、試験だ、研究だといつてひつぱりまわされて、奔命に疲れているような状況であります。そこで試験もけつこうであるし、大いに学術的な探求をすることもけつこうでありますけれども、それより何より大事なのは漁民を保護するということですから、漁民の人格を尊重し、漁業の本筋を誤らないように、その基礎の上に研究することはいいですけれども、研究が先で、漁民がその研究材料になつちやつて、モルモットやなんかと同じように扱われちやとてもたまらない。ですから水産庁としては、わいわい騒いで漁民をモルモットにしないようにお願いしたい。そうして今生活に困つている焼津関係漁民に対して、できるだけ早く手を打つていただきたい、こういうことをこの際お願いしておきたいと思います。
  17. 辻文雄

    ○辻(文)委員 参考人にお尋ねします。大体概略あなた方がやらんとし、またやられたことはわかつておりますが、外務省あるいはその他関係あたりに、被害を受けられた直後から今日までのうちに、直接どういう動きをあなた方がされたか承りたい。同時にあなた方が交渉され、あるいは陳情をされた場合に、どういう答えをしたかを伺いたい。
  18. 横山登志丸

    横山参考人 私どもは、外務省や通産省にもいろいろ輸出の関係もありますので、いろいろな希望を持ち、またお願いもしなければならぬと思うのでありますが、いろいろデリケートな事情もあるようでありますから、まず面接の指導監督の官庁である水産庁に、いろいろな希望や資料や何かを出しまして、水産庁の方から適宜そういう方面に交渉してもらうような態度を今でもとつておるのであります。
  19. 辻文雄

    ○辻(文)委員 実はあなた方と同じように、同僚議員も心配しておるのでありまして、きよう参考人としておいでいただいたのも、そういうことに大きな原因があるのです。前会などは外務大臣に出て来いということを要求したけれども、外務大臣は出て来ないで次官が出て来た。しかしこれは他の委員会と違つて、与党も野党も内閣に向つてはげしくついてみた。ところがその答えたるや、まことに私どもは不満足であつた。外務省のごときは、今後のあり方について、あなた方が一番要求しておられるような区域の変更とか撤回、こういうようなことには非常に弱い答えをした。ただ船を向うが渡してくれと言つたときには渡さぬということを少し強く雷つただけで、これすらもし学者がそうせよというならばというような、ほんとうに私どもは、かゆいところに手が届かないような残念な答えしか受けなかつた。今まであなた方お二人から承つた範囲だけでも、区域を縮めてくれというようなお話があつたけれども、大体あの爆弾の性能は、区域を小さくしてもそれだけの性能のものを落せば、やはりそれだけ大区域になることは当然なんだ。非常に辺鄙なところでやつてくれる場所があればよいが、なかなかそうは行かない。だから結論としては、そんな危険なものはやめてくれという以外にないのであります。そこでこれはアメリカに対して強く政治的にも動かなければならぬというので、水産委員会ばかりじやないが、ことに直接関係のあるわれわれはそれに懸命になつております。ところが今組合連合会長である横山さんのお答えを聞いても、はなはだ失礼な申分だけれども、私には少々外務省と同じようにぬるいような気がしてならない。私はあなた方を扇動するんじやないが、こういうぬるい外交をしておることはあなた方は御存じなんだから、みずからの食生活あるいは精神生活両面をみずからかちとるという気持で立ち上つていただきたい。それにはいろいろ方法はあるでしようが、まず第一に、あなた方が御自分たち自体の出先機関と急速にお打合せ願つて、そうして漁民大会でも開いて国民の輿論を起して、それをそのままアメリカにあなた方の手で送るというくらいな決意で、ただちにやつていただくと、私どももそれと並行して闘いを開始することができます。開始いたしておりますけれども、懸命にやれるわけであります。政府のアメリカさん一辺倒のような気持を特に与える現段階では、さようなことをやつていただかなければならぬ。遠慮していらつしやると、今お答えのようなことになると私は思う。結局そういうことは、国民にとつて今後非常に大きな損失が来るし、もつと大きくいうと人類の損害だ。人類どころか生物全体だ。こういうことが考えられますから、われわれは直接には漁業の問題に関連しておりますけれども、大事なことによいチャンスができたという気持で、ぜひひとつどものやらんとすることに院外の御協力を願いたい。
  20. 田口長治郎

    田口委員長 島上さんにお願いいたしますが、二人は十二時までということですから、簡単にお願いします。島上善五郎君。
  21. 島上善五郎

    ○島上委員 最初に横山さんに簡単に二、三点ばかり伺います。今辻委員も言われましたように、大分遠慮がちな態度が見られます。私どもは今の本島さんの発言、あなたの発言からみましても、今回の事件は、直接被害を受けた第五福龍丸はもとよりですが、それよりもさらに間接被害は、それこそはかり知れないものがあり、今後もまだまだあると思うので、こういう問題に対しては、私たちは、アメリカに賠償を要求する際に、日本としては当然これを含んで要求すべきであると考えておる。それで私どもはすでに各委員会でこの問題について触れております。たとえば私は先般の厚生委員会で、間接被害について質問いたしました。第五福龍丸以外の南方に出漁しておるまぐろ・かつお船の被害、近海のまぐろその他の魚も売れないというような間接被害に対して、当然要求すべきものと考えますが、政府はどう思うかと二十二日の厚生委員会で質問した際に、こういう答弁をしておる。賠償要求をいたします場合は、そうした賠償額を計上して要求することになると言つております。そうしたということは、要するに間接被害のことです。それで私はさらに念を押して、もつとはつきりしてほしいと言いましたら、その次には、当然賠償として考慮に入れるべきものであると考えておる、こういう答弁をしておる。それから外務委員会で、外務大臣はもう少しぼかしておりますが、こう言つておる。やはり間接被害の問題に対して下川議員が質問しました際に、損害査定を今各関係省に依頼しております。そのうちに間接的の損害がどのくらいになるかは関係省で決定するのでありまして、政府はその決定に基いてこれだけの損害があるということが確定しますれば、アメリカ側にこれを徹底させる、こう言つておる。同じような答弁をこの水産委員会でもしておりますが、どうも政府の答弁が言葉が少しあいまいで、非常に遠慮しがちである。遠慮しがちであるけれども、間接被害が非常に多いということ、それも考慮の中に入れなければならないということは認めておる。私どももしできますれば、きようの委員、会でももつと政府にはつきりした意思表示を伺いたいと思つておりますが、それには何よりも、直接の被害者であるあなた方がもつと強く意思表示をされることだと思うのです。損害の額についても、現にまだ損害が、きまつたわけではないから、はつきりした推定はできなしても、すでに今までにもこのくらいの損害をしておるという額を出して、もつと強く要求するということが必要ではないかと思う。そういう点に対して、どうもあなたの今までの証言は少し遠慮しがちのように考えるが、そう控え目になさらずに、もつと強く、間接被害に対しても賠償してほしいという強い御要求が、私は必ず業者にはあるはずだと思います。その点に対してまずひとつお伺いをしたい。
  22. 本島寛

    本島参考人 私からちよつと申し上げたいのでありますが、いろいろお話承りまして まことに私ども感謝にたえないのであります。しかし手ぬるい点が確かにあつたことは認めざるを得ません、ですが実を申し上げますと、この事件が発生して以来、何とかして間接被害をできるだけ少く食いとめよう、早く事態を収拾しようということで懸命でありまして、これらに携わつております業界なり私どもの方といたしましては、まつたく徹宵の仕事なんであります。通例五人かそこらの宿直で間に合つているところを、三十人から五十人の職員を宿直させておりますし、業界でもそのようなことで対策をやつておるのであります。何とかもう少しおちつくのに従いまして、この損害の実額についても十分調査をしたい。そうしてこの気持は私ども申し上げませんでしたが、実は胸に一ぱい持つております。遅れましたのは、今申しましたように、何とかしてその被害を少く食いとめよう、このままで行きますと、業界が次々と倒れて行くのではないかというふうに懸念をいたしておりますので、これを抱えておる関係の誓いたしましては、それ毒念しておつたわけであります。遅れておりますが、急速に実際調査に着手いたしまして できるだけ早くまとめてお願いするようにいたしたいと思います。
  23. 島上善五郎

    ○島上委員 もう一点。今原爆実験に対しての御希望が横山さんからございましたが、これに対しても私どもは、この問題があつて以来国際的にも非常に輿論が高まつておりますから、単に場所をかえてほしいとか、それができなかつたら時期をせばめてほしいということでは、これまたあまりにも控え目な要求、控えめな御希望ではないかと思うのです。それで伝えられたからということで、第五福龍丸の当事者から、はなはだ遺憾であるという意思を先ほどここで表明されましたが、私はそれは逆だと思うのです。第五福龍丸は直接の最大の被害者であつて、第五福龍丸が遺憾の意を表しておるということはあべこべだと思う。もしこの問題が災いを転じて幸いにすることができるならば、私ども非常にけつこうだと思うのです。災いを転じて幸いにするようにするためには、もう原爆実験をやめてほしい。六月一日に第三回目のもつと性能の強いものをやる、その危険水域も拡大するとかいうことが伝えられおりますが、それはひとつやめてほしい。さらに進んで言うならば、そういうような物騒な原爆、水爆というものを戦争に利用すること自体もやめてほしいというところまで、私ども二度、三度原爆の対象にされた日本国民があげるべき声ではないか、これはもう党派とかなんとかそういうことを抜きにして、そうしなければ災いを転じて幸いにすることができない。そういう点に対してもどうも控え目過ぎるような感じがいたしますので、これはむしろ御質問というよりも、皆さんに対する御希望であり、そうして私どもも私どもの持ち場において、そういうような声を皆さんとともに国内的にも国際的にも、あるいはアメリカに対してもあげて行きたいものだ、そうすることによつて今度の事件を災いを転じて幸いにするということも可能ではないか、こう考えております。  それから本島さんに一つ伺いたいのは、例の第五福龍丸まぐろは、市場の中で深く穴を堀つて屈めて処理されたということでございますが、私どもしろうとですからそれでよかろうと思いますが、町の一般には、今度の原爆あるいは水爆の種類がよくわかつていない。含まれている物質、についても、ストロンチウムとかいつて、五十年たつても四分の一残るという非常に危険な物質が入つておるとかいうようなことも伝えられておつて、その市場の裏へ埋めたのが、それで処理がもう完全なのか、それでもなお危険があるんではないかというような、不安が、一般市民の中に若干残つているわけであります。そういう点に対して、これはもう埋めただけで処理が完全なんだ、安全なんだということを、学者の御意見を十分聞かれて処理されたか、もしそのように処理されたならば、その点をここではつきりしていただくと同時に、市民のそういう不安を一掃するような措置をとつていただきたい。
  24. 本島寛

    本島参考人 先ほどもちよつと申し上げたのでありますが、これは埋める方法についていろいろな議論がありまして、かなり長い時間をかけて各学者間においての議論があつたのであります。結論としまして埋めるのが一番よろしいということになりまして、しかも埋めただけではなく、その後十分監視が行き届いていなければならない。芝浦あたり埋立地でありますと、ときどきルンペンが金属類を探したりなんかして堀つておる状況を見受けますから、物好きにでも堀られたらたいへんだからということで、監視も責任をもつてできる場所ということをにらみ合せてやつたわけであります。二メートル以上土をかけてやつておけば絶対安全だと折紙がついて、意見が一致したわけでありますが、今日までにわからない科学的な今後の問題が起つて来て、それでは危険だということがかりに起つたといたしましても、私どもの方で埋めた場所がはつきりしておりますから、そのときにはそれ以後の処置も考えられると思つて埋めたわけであります。
  25. 中村英男

    ○中村(英)委員 私もこれは横山さんへの希望ですが、きわめて強い希望ですからお聞き取りを願いたい。いろいろお話をお伺いしますと、関係団体はデモでもやつてもらいたいというような御意向もあつたが、いろいろ政治的な事情等も考慮されておるようです。一つは試験区域を狭めてもらいたいという考え方がある。もう一つは静岡県なり、あるいは今度の直接の関係者である静岡の組合がこの問題を担当しておる、こういうものの考え方から推して、この問題の取上げ方が非常に、何といいますか従来のものの考え方で取上げられておるように考えます。私どもは、これは今日いろいろ政治的な問題もあるし、政治的な角度もあると思います。ございますが、おそらく今後これで実験が終わつたということであれば、従来起こつた損害をどう処理して行くかという問題ですが、すでに区域は拡大される、こういうことですから、これは将来非常に大きな実験があるということを予想しなければならない。そうするとまぐろをアメリカが買わない、そういう漁業上大きな問題がありますが、それにもまして世界的な規模で取り上げなければならぬ問題なんです。そこでいろいろな点から考えて、単に今までと同じような考え方でなくして、こまごまとしたそういう気を使わずに、単刀直入にあなた方漁業に関係のある者としての考え方、あるいはもう少し広く言えば、単にまぐろだけでなくして、また全部の水産業に関係するもの、それはそれだけの立場もですが、その人たちも世界的な規模に立たなければならぬし、またこういうことは将来大きな世界戦争の規模、行き方を徹底的にかえることなんですから、大きな世界的な規模に立つて取上げてもらいたいと思います。時間がありませんから簡単に申し上げますが、世界的な規模に立つて、率直に、あまりこだわらずに取上げてもらいたい希望でございます。
  26. 横山登志丸

    横山参考人 皆さんからいろいろ御批判なり御激励なりを伺つてまことにありがとうございました。冒頭に申し上げましたように、私どもは魚の売行きをどうするかということに専心ある期間までは努めよう、これに少しでも逆効果の来るようなことは、この際考えておつても差控えるというようなことから、まだその期間になつておるものですから、私の言うことがはなはだ手ぬるいとお感じになつたかと思いますが、私もその点はよく了承をしておりますので、言いかえて言いますと、こうやつてくれということを率直に言うことがますます不安定を与えやしないか。実は表現の仕方まで詳細にみんなで検討しているわけなんであります。強い議論は私を初めずいぶん持つておりますが、そうなると今魚の売行きはどうなるか、これからまだこの被害がずっと連続することがあつては、業者の代表としてはいかぬじやないか。君が叫ぶなら非常に痛快でいいかもしれないが、こういう意見はどうするかということで、皆さんの御批判のように少しなまぬるくなつてしまつておるのであります。原爆が今までの程度ならば、空中で原爆を落としても水中の魚には被害がないということはあらゆる方面から私どもは信じておりますが、それにまた疑惑をこうむるようなことになつてはいかぬというので、少し行動の手ぬるい点、それから発言の手ぬるいてん、そこらの考慮を払つておる点をどうか御了承ねがいます。業者並びに私の心事はかなり強硬な意見を持つております。どうかこれ以上は御判断をお願いしたいと思います。
  27. 田口長治郎

    田口委員長 本島横山両君には御苦労様でした。東京水産物卸売人協会長寺田省一君。
  28. 寺田省一

    寺田参考人 私御指名いただきました寺田でございます。御承知の通り十六日の朝第五福龍丸漁獲物東京へも参りました。その処理につきましては先ほど来本島市場長、横山会長からお話のありました通り、万全を期して処理に当たつた次第でございます。  その日の状況は、朝のところは格別の異常はございませんでしたが、その日のうちから品物の売行きについて懸念をいたしまして、その後の状況は先ほど本島市場長からお話がありましたので、重複を避けたいと存じますが、二十三日以後は大分調子も回復いたしまして、まだ値段は十分とは参りませんが、十六日以前の状況にだんだん回復を見つつあるという状況でございます。私ども対策につきましてさつそく十六日、十七日東京都の御担局とお打合せを願いましたり、水産庁の方へもお打合せを願いまして、大体市場関係といたしましては、東京都の市場当局を中心といたしまして、関係各団体、仲買いさん、小売さんの方とも連携をとつて万全を尽くすという態勢をつくりました。それから一般関係につきましては、かつお、まぐろ横山さんの方に本部を置き、その方と連絡をとりまして、万全を期するという態勢をとつた次第でございます。それで取上げました問題といたしましては、魚が売れないでは困る、しかしただ売るだけの宣伝ではこれもなるまい、権威のある、上で行動をとろうということになりましたので、その点発足が一日、二日遅れた点はございますけれども、先ほどのお話のように、大体の方向がはつきりいたしましたらさつそくそれぞれの分担分野に従いまして、魚は安心してあがつていただいてよろしいということで万全を尽して参つた次第であります。何分にも十六日の様子としましては、、まぐろばかりでなく、一般の魚もあぶないのじやなないかという懸念もありましたので、この懸念を一掃するということにつきましては、一番頭を悩めて参りました。幸いだんだん化学的な究明も進みましたし、われわれの宣伝あるいは御理解を願うという方向もきまりまして、その上でやつて、先ほど申し上げたようなきのうきようの状況になつております。ただ損害という点になりますと、まだいろいろ一般の消費者の方々に御理解を願う方法も継続してやつておりますし、それから実際の取引上の問題は、まず魚を食べていただくということが中心でありますから、今後もまだその点継続する面もありますので、はつきりそういう経費についての締切りもできませんし、それから今後の問題もまだ残されておる部分が少くありませんで、はつきりどの程度損害ということを申し上げる時期になつておりませんが、われわれとしても、それらのことにつきましてはできるだけ御好意ある措置をお願い申し上げたいと考えておるのであります。大部分ほどのお話で尽きておりますので、簡単で恐縮ですが、要点だけを申し上げました。
  29. 田口長治郎

  30. 日暮福太郎

    ○日暮参考人 大部分開設者である本島市場長によつて言い尽されております。なお原爆まぐろの処理ということにつきましてはお聞きの通りでございます。また市場の動きも大体場長から申し上げましたので、あまり重なりましてもどうかと思いますので、魚を取扱う市場の人間といたしまして、間接の損害を一応申し上げておきたいと思います。  大体におきまして、は、十六日の朝のできごとでありまして、買出しに行く者はこれを一知りませんで、平素の通り買出しに来た。およそ市場に入ります魚を扱つております末端の業者、あるいは料理屋、すし屋、宿屋、これは範囲が広うございます。これらが十六日の朝のできごとは何ら知りませんで、買出しをスムーズにしたのでありますが、俄然御案内のごとく、報道機関によりましてああいう騒ぎが持ち上りまして、従つて十七、十八、十九というものはほとんど開店休業というありさまであります。たまたま原爆まぐろは処理したにもかかわらず、他の魚にまで影響を及ぼすということは、国家経済から行きまして、また保健という考えから行きましてもどうかということで、組合はすぐ総会を開き、あるいは他都市との連絡をとりまして、地元でも市場長を訪問して、これをいかにすべきかということの応策は日夜これに尽したのでございます。ただ何分にもこれを、業者が他の魚は心配ないものだと申し上げましても、すでに神経戦にひつかかつちやつて、これが我田引水になりまして、かえつて魚を売りたいがためにやるのじやないかというようなことになりましては、まことに私ども迷惑をいたしますので、とりあえず各省を訪問しましてお話を申し上げました。  なお六大都市の本部が当組合にございますために京都、大阪、神戸、名古屋あたりが飛行機で東京へ参集をした。これが十九日でございました。従つて他の情勢も聞きとりまして、とりあえずそのあくる日は公休日にもかかわらず、各省へ事の方法をお願いし、また学者の説といたしましても、よくわれわれに納得の行くよう、また何ら関係のない魚にまで影響を及ぼすことをおそれまして、ひとえに御協力願いたいということで申し入れておきました。私どももあまりに事件が大きくなりまして、ちようど十七、十八、十九ぐらいの三日間は入場者の七割減、十のものならば三割しか来なかつた、こういうような現状でございます。  こういうような状態から組合は、これでは営業にならぬというので休止をしようという意見がたまたま出ましたので、場長にもこのことを通達し、末端の組合、塩沢氏にもお話をしましてるる協議をいたしました。どうもここでもつて休止をした場合、かえつて誤解を招くのじやないか、まだ悪い魚があるんじやないかというような考えを持たれてはたいへんだというようなことをもつて、休止をいたしませんでした。売れる売れないは別として、利害関係を離れて、市場である関係上これは業者が継続しなければならぬだろう。市場という責任からいつて、これはどうしてもやらなければならぬというので、開店休業のありさまではありましたが、そのまま継続した次第でございます。なお横浜のごときは、どうしても末端の方から強要されて、これでは営業にならぬ、苦痛にたえられないというようなことで休止をした。京都あたりも末端の方はぜひ休んでほしいというのでありましたが、これも東京と同じように、かえつて誤解を招く、間接の損得を考える場合ではないじやないか、市場を休むということはこれは重大な問題であるのだから、これは継続して行こうというので、休止をいたさなかつた次第でございます。  なお私どもの仲買の立場といたしましては、御案内のごとく市場で朝早くせりに立ちまして、適正価格をそこにまわすということが私どもの仕事でありますために、どうしても休業ということができない。入荷に対しましてはそのせりに乗せなければならぬ。せりに乗せるものは必ず買うのだ、こういうのが現状でございますが、魚も相当下落をいたしました。またその下つた魚をお持ちしてもなおかつ売れない、こういうような現状で、中にはたまたま十六日に売つた魚でございますが、それが十七日、十八日あたりに返して来る。また東京は御案内のごとく集産地でありますために、その近県にも発送した。これがみんな返されて来た。聞くところによりますと、はなはだしきは県令で魚を入れてはいかぬというようなところがあつたかのように聞きますが、まさかそうでもないと思います。いずれにせよ返品されたということは間違いない。ことにマグロと練り製品のごときは、その被害がはなはだしゆうございまして、その以前につくつたちくわでさえすら、これはさめでつくつたんだからいけないというようなことで、これらも冷蔵庫ヘストックする。従つてせりへ行つても手持ち商品が多いために買えない、さりとていつまで手持ちの商品をそのままにしておくわけにも行かない。御案内通り生でありますために、廃業もしなければならぬ、これが現状でございます。それで仲買の立場は、品物をせりましてから、あくる日には必ず払う、三日目にまだ払わない場合は、これは売りどめにする、こういう強い責任を持たせるという関係上、どんなことがありましても、在庫があろうとあるいは貸し売りになりましても、これは払わなければ、自分の営業は成り立たないというのが、仲買の立場でございます。また取引関係で末端の方に売りました魚におきましては、ほかが売れないからあの魚は当分待つてもらいたい。あとの魚もお断りだ。これが経済機関に及ぼす影響はまことに甚大でありまして、いかに漁業が発達しようとも、市場が発展し、あるいは国民が魚に認識を持たなければそれは金になりません。私どもの使命も相当多いのであります。また末端の方の話を聞きますと、これは私の部門を離れておりますが、これも相当ひどい、こういうような現状でございます。今私ども当面の問題といたしましては、仲買の立場から見ますると、この経済方面をいかにするか、ひいては三日目に払わなければ、売りどめになる。売りどめになれば平素使つている銀行でも相当あやふく考えて来る。こんなことがいろいろ織り込まれますので、相当私ども幹部といたしまして、これの対策を何か講じなければならぬ。市場長もこの経済面に対して、支払い方法を引延ばすという点もありますけれども、それはうつかり引延ばすこともできない。責任を持たなければならないというようなことが、開設者としては多少おありだろうと思います。宣伝につきましても、これは自分の方の商売でありまして、先ほども申し上げました通り業者がやりますと、かえつて誤解を招く、いわゆる権威ある筋から御発表願い、あれは心配ないというところにおちつかなければならない。その間の苦しみが私どもの方としてまことに苦痛なんでございます。目下まだこれが平常に直つたというわけではない、何分か直つたというような程度でございます。この点よくお考えおき願えればまことにけつこうだと思つております。
  31. 田口長治郎

  32. 塩沢達三

    塩沢参考人 ただいま御紹介を受けました東京魚商業協組合理事長塩沢であります。  今度の事件か発生いたしましてから後の販売対策とか、その他につきましては、先ほど場長から申し上げました通り市場当局者と御売人、仲売人、買出人の代表者が寄りまして魚類部の連絡協議会を開きまして、その協議会のもとに統制した運動を展開するということになりまして、現在もそれを継続しておるのでありますが、実は十六日は、ただいまお話がありました通り、魚屋が全部平常通り仕入れに行つたのでありますが、その日は魚屋さんがどうして売れないのだろう——というのは、魚屋さんは新聞等を見るようななにが少いものですから、そういう今度のような大きな事件が起きたということを知らないで、なぜお客が来ないのだろうというので、実は非常にふしぎに思つてつたのであります。ところがたまたまお客さんの方はそれを知つておるので、一人も来ない。これは弱つたものだというので事務所へ制日押しかけまして、一体どうするのだということでわれわれに詰め寄られたのであります。そこで私どもとしてはすぐに対策を講ずるということで、われわれの組合単独でも宣伝カーでも出して宣伝しようじやないかというような話もありました。しかし一応今申し上げたように連絡協議会で一切の対策を立てて、経費もそれぞれ分担してやるということになりましたので、そういうことになつたのです。さつき仲買いの日暮さんからお話がありました休むということですが、これも商売にならぬから休もうということで、私どもにその要求があつたのであります。しかし私といたしましては、とにかく二割でも二割五分でも売れる、そのお客様に対して、われわれが商売を休むということに対してはつきりした理由が立てばいいけれども、ただ休むとまだ原爆の不安があるということに逆にとられるおそれがあるから、とにかく損害を覚悟でやれ、こういうことで営業を継続して参つたのであります。従つて損害の点につきましても、昨日損害の計算をして出すようにというお話でありましたので、事務に命じましてさつそく概略の計算は出したのであります。しかしながら、これが必ずしも正鵠を得たものとは思わないのでありますが、十七日が二割、十八日も二割、十九日が三割、二十日が三割、二十一日が四割というふうにだんだん上昇して参りましたけれども、しかしながら、こういうふうな営業を継続することは、御承知のようにむしろ営業する利益があるようなふうに、帳面の上では計算すると出て参ります。しかし実際におきましては休んだ方が利益であつて、こういうわずかな品物を扱うことの方がむしろ大きな損害であるというふうに私は思いますので、事務のこしらえた計算以上にもつと大きな損失が生れるのじやないか、一方におきまして、業者の力でもこれでは食えぬ、もう納税をしてしまつた人はいいが、まだ納税の済まない人は、こういうことになると、魚屋さんは平素それだけのたくわえがないから、この集めた金で納税しようと予想しておつたものもできない、こういうことだから、この損害の要求に東京都へ押しかけて行こうじやないかという話も出ました。しかし私としましては、今せつかくわれわれがすべての誤解を解くために対策協議会をしておるのだ、もう少し待てということで押えておるのでありますが、先日も、実は学校で給食をする、それに納める魚屋さんの話でありますが、持つて行つたところが、これは原爆に何の関係もない魚だからぜひとつてくれということを頼んだのでありますが、校長がどうしてもそれを受けない、どうして受けないのかということを詰問いたしますと、その際に校長の言うのには、なるほどあなた方が大丈夫だと言うのだから大丈夫だと思うけれども、もしそれを食べさして、その期間に他のもので子供が下痢でも起したとき、責任を校長に追究されても、私どもとしてはどうも返答のしようがない、しかたがないから、食べさせぬということの方がむしろ私の責任が軽いということで、私どもは絶対に魚を食べさせません、こういうことをはつきり校長が言われたのであります。各方面におきましてそういうことが言われる。学校の先生の言われることに対しましては、父兄はより以上その言葉をまるのみに信頼するというような形でありまして、そういうところにも今度の売行きの悪い一つの大きな原因があると思います。  それから中心になるまぐろでありますが、これは魚屋の内情を申し上げてはどうかと思いますが、とにかくまぐろが魚屋の商売の三分の一を占めておる、こういうのが魚屋の商売の実情であります。そのまぐろが全然売れぬ。今後におきましてもこれはなかなか長く継続されるのじやないかということは、先ほど来も出ておるような学者の結論が、そう早く出ない、何年目に出るのかわからぬような現在の状況でありましては、おそらくわれわれの懇意な人でも、どうも君はそう言つても、ぼくはそのまぐろだけは恐れをなして食えぬというようなことで、いまだにこれが回復をしない。こういうことは今後の売れ行きに対しましては、非常な大きな問題だと私は思うのであります。しかしながらだんだん回復をいたして参りまして、現在におきましてはやや六〇%から七〇%の線へ来ております。これは今後当分の間これ以上に回復するということは、ちよつと困難だと思うのであります。そういうようなぐあいで、魚屋が今非常に苦しんでおります。従つて仲買いさんの方への清算も遅れておるものもあるとは存じますが、今のその日暮しのような魚屋で、その収益は組合の統計でなにしますと、一箇年三十万円ということが大体のことになつておりますので、それから税金を納めてやる。その魚の売上げのあら利益が二割五分という計算になりまして、そのうちの一割五分は税金その他の経費にかかる。生活の費用としては一割か一割五分、これが今日の実情でありますから、そういうことを基礎にいたして清算をいたしました損害実情はわかるのでありまして、個々のほんとうの損害は、なかなか今申し上げたようにむずかしいと思います。しかし私は、手取り早く非常に大まかだことを言うようでありますけれども、なまじつかな二割、三割の商いをするよりはむしろ休んだ方が利益であつて、商いをするということは、まつたく消費者の何人かに対する義務としてやるのだ、こういうことでありまして、全部今日のように七〇%近くになりますればさようではありませんけれども、最初の五、六日間というものはまつたく休業したのと同じ結果の損害が生れておる、かように存ずるのであります。
  33. 田口長治郎

    田口委員長 参考人に対する質疑があればこれを許します。赤路君。
  34. 赤路友藏

    赤路委員 ちよつとお尋ねいたします。どういうふうになつておるかわからないのですけれども、従来平常の場合において不渡りが出ているかどうかは存じませんが、この事件発生後現在まで約十日程度の間に、不渡り等が相当出たり、あるいは引取つた品物に対する代価等が支払われないような面が相当出ているかどうか、この点お聞きしたい。
  35. 寺田省一

    寺田参考人 お尋ねの不渡り等につきましては、ただいままでのところはつきりした調べができておりませんので、どの程度出ているかということを申し上げかねるのでございます。ただ平常にもないかというお話につきましては、ないとは申し上げません。
  36. 日暮福太郎

    ○日暮参考人 仲買い立場を申し上げてみたいと思います。大体先ほど申し上げました通り、せりをいたしまして翌日払いというのが規定でございます。たまたま青払いということ喜ざいますが、いずれにいたしましても三日目には支払うという建前上、約手は出ておりません。但し特に塩干物あたりは相当約手も出ておりますが、牛に限つてはあまり約手は出ておりません。しかし先ほど申しましたように、三日目の払いということでありまして、末端の方から品物が返される、あれは売れないから待つてくれということは規定がございませんで、通常五日払いとか、半月払いとかみそか払いとかいうことになつております。これが入りませんために、仲買い立場から申しますと、この支払いができなくなつて来る。いわゆる銀行の取引がありましても小切手が書けない。こういうことはたまたまあるのであります。中には——そこまで調べておりませんが、約手ではなくても、小切手の不渡りぐらいは相当あるんじやないかと私どもは考えます。これはまたいずれ六大都市も詳細に調べて、情報が私どもの方に集まつて参ることになつておりますので、その際当会の方へ書面で出すことも準備しているわけでございます。
  37. 島上善五郎

    ○島上委員 小売関係の方に簡単に一つだけお伺いしたい。先ほど質問した際にも申し上げましたが、政府では間接被害をも考慮の中に入れなければならぬという答弁をされておりますが、政府の態度自体が非常に弱腰であつて、ほんとうに間接被害の問題の賠償が、われわれの棄するように、あるいは皆さんが希望するように解決するかどうか、はなはだ心もとないと思う。それには相当の時間がかかる。そこで私は、実は先般も厚生委員会で、その日暮し、その日の生活に困ると言つては失礼かもしれませんが、そういう人もあるはずだ。それに対してさしあたつて政府が何か考えているかと言いましたら、その答弁には、まぐろ、かつお業者は資本的にも相当強力であつて、そう困つている人はないはずだ。今直接対策は考えていない、こういう答弁であつた。時間がなくて私はそれ以上追求しませんでしたが、今小売関係のお話では小売屋さんは非常に困つているという。これは一箇年を通じて三十万程度の利益であつては、そうであろうと思うのです。むしろ商売を休んだ方がいいくらいであるが、しかし二割でも、三割でも、お客さんのことを考え、かつは一般市民の不安がより増大してはならぬという考慮から、損を覚悟で休まずにやる。私どもしろうとなりに考えましても、店を開いてふだん千円なり二千円なりの利益がある。それが結局生活費となり、その他の経費にかかつて来る。ところがその利益がなくとも経費はかかる。損をして経費はかかるとなつたら、大きな損害だろうと思うのです。そういたしますと、たとえば税金の納期になつて、これを下げてほしいとか、延ばしてほしいとかいう問題もありましようし、特に小売屋さんの場合には、ごく差迫つての解決策が講ぜられなければならない。もちろんそれについては、国会で取上げて措置すべきもの、あるいはたとえば東京都で処理できる問題もありましようが、さしあたつて小売屋さんとしては、こういうことをひとつしてほしいという御希望がありましたら、この際率直に伺わしていただきたいと思います。
  38. 塩沢達三

    塩沢参考人 先ほど申し上げましたのは、日常の経営上の問題でありますが、一番大きい損害を受けましたのは、十六日に平常通りに仕入れをいたしましたものが、そのうち二割ばかりは売れたのでありますが、その他のものは翌日にまわりまして、幾分売つたものがないとは申しませんけれども、長く持つことができず、廃棄処分にいたしました金額は、非常に大きなものだと思うのであります。それでこういうものに対しては、ぜひ一つどこかで何らかの形でめんどうを見ていただかなければならぬのではないか。平常のことに対しましても、もちろんそういうことに対しても、できる限り何らかの救済の形で手が伸びて行けば、たいへん仕合せだと思うのでありますが、今さしあたつてどもの困つている実情は、どれをどうしてはつきりするかというところまでは参つておりませんが、実情はそういうぐあいで非常に窮迫しているわけです。大体東京都における魚屋は五千人でございます。もうちよつと多いですけれども、正確の数字を今日持つて参りませんが、大づかみに行けば五千人で、市場取扱荷の約七〇%を魚屋が扱つているいうふうにお考えを願えばいいと思いますが、全国では、東京が約一割ですから、魚屋の数は相当に上るのであります。全国的に私どもの連合会ができておりますけれども、まだ各地の報告が参つておりません。従つて全同でどういう損害を受けているかということはわかりません。北海道であるとかあるいは裏日本方面がはたしてこの六大都市方面被害のような被害をこうむつているかどうかということははつきりわかりませんけれども、しかしながらおそらくこれだけの宣伝が行きますと、おびえてただ何となく食べたくないというか、いやだということであるのと、それからもう一つは、原爆は普通の症状のように、食べてすぐ出て来るならばはつきりわかるのですが、非常に長く——長いものは十五年も二十五年もというようなことを言われますから、食べない方が安全じやないかというような考え方から食べない人が多くなつておりまして、小売業者の窮迫はちよつと回復ができないじやないか、かように存じます。
  39. 田口長治郎

    田口委員長 参考人には長時間御苦労でございました。     —————————————
  40. 田口長治郎

    田口委員長 この際川村善八郎君より発言を求められております。これを許します。川村君。
  41. 川村善八郎

    ○川村委員 私は委員長に申し上げて皆さんにお諮りを願いたい。御承知の通り、かねて補助金等臨時特例に関する法律案が特別委員会を設置しまして、これが審議されているのでございます。一昨日大体本法案は質疑を終了いたしまして、本日理事会にかけて、明日本会議に上程しようという案を出すような含みになつております。そこで水産関係にいたしますれば、もう私説明するまでもなく、漁業法中の海区漁業調整委員会の費用の一部の削減、それから水産資源保護法中の指定保護海区の補助金の一部の削減、さらに漁船損害補償法中の二十トン以上百トンまでの保険料の国家補助の全面的削除、この三つが取上げられておるのでございます。今日までの各委員の議論を聞いてみますると、いずれも今日の処置をとつたということについては、はなはだ不可解であるという議論が圧倒的でありまするけれども、改進党の意見を大体察知しまするに、一兆円の緊縮予算が確定しておるのだから、事情やむを得ないのではないかといつたような意見もありますので、これが通ると思わなければならぬと私は考えております。そこでこの問題について、水産委員会からは、かねがね御意見は拝聴いたしておりますけれども、正式に特別委員会に申入れがありませんので、まだ意見がはつきり固まつておらないと考えておりますが、今日の理事会でどうなるかわかりませんけれども、水産委員会の意向をここでとりまとめまして、特別委員会に要求することもいいんじやないかと考えるのでございます。  それから第二の問題は、国会法を改正して農林委員会と水産委員会と合併をするということが取上げられておるのでございまするが、これは内容は私申し上げなくても、かねて委員間におきましては、どうしても水産委員会は存置しなければならぬという議論が強いのでありますから、この二つの問題を、委員長におかれましては各委員に諮られまして、その結論を出しまして、それぞれとりまとめまして、委員長においてしかるべくおとりはからい願いたいと思います。
  42. 田口長治郎

    田口委員長 ただいまの川村委員の発言については、後刻懇談いたします。
  43. 鈴木善幸

    ○鈴木(善)委員 ただいま川村委員から御提案になりました件につきましては、後刻懇談されることになつたわけでありますが、私はこの際さらにただいま地方行政委員会におきまして審議中の地方税法案につきまして、当委員会から、地方行政委員長に対して、お手元に配付いたしております要望書を提出して、その善処方をお願いしたいと希望するものであります。これは水産業協同組合共済会は旧来非課税団体になつてつたのでありますが、今回の税法改正案によりまして、事業税におきましても、また道府県民税におきましても課税団体になる、こういう内容に相なつておるのであります。これは農業協同組合における共済会が非課税になつておるというような面から見ましても、明らかに立案者のミスでありますが、今日一たび提案されました関係から、いろいろの理由を付して原案を固執しておるやに仄聞いたしておるのであります。私どもは、水産業協同組合の特殊性にかんがみまして、あくまで農業協同組合共済会と同じような取扱いをすることが当然な措置であると考えますので、本要望書を委員会において御決定の上、委員長名をもつて地方行政委員長に強く要望されんことをこの際提案するものであります。
  44. 田口長治郎

    田口委員長 ただいま鈴木委員より提案になりました地方行政委員長あての要望書を朗読いたします。   要 望 書  水産業協同組合共済会は、水産業協同組合法第六章の二の規定により設立される非出資の法人であつて、現在、事業税等は非課税となつている。  しかるに、今回畳委員会において審議中の地方税の一部を改正する法律案の政府案によれば、本共済会は、事業税においては非出資組合である水産業協同組合として扱われていないとともに、道府県民税等においては協同組合法による組合及び連合会に含められていないため、全面的に地方税を課税されることになつている。  よつて本共済会の行う事業の性格及び他の協同組合との取扱いの均衡に鑑み、政府案を修正して非課税の適用を受けられるように、貴委員会の特段の御配慮を得たく、右要望する。以上の要望書を提出するに御異議ありませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  45. 田口長治郎

    田口委員長 それではさつそく提出することにいたします。本日はこの程度にとどめまして、次会は公報をもつて御通知いたします。本日はこれにて散会いたします。   午後一時九分散会