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1954-03-02 第19回国会 衆議院 水産委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月二日(火曜日)    午前十一時十八分開議  出席委員    委員長 田口長治郎君    理事 小高 熹郎君 理事 川村善八郎君    理事 鈴木 善幸君 理事 山中日露史君    理事 田中幾三郎君       遠藤 三郎君    夏堀源三郎君       濱田 幸雄君    松田 鐵藏君       白浜 仁吉君    赤路 友藏君       淡谷 悠藏君    辻  文雄君       中村 英男君  出席政府委員         外務省参事官  寺岡 洪平君         水産庁長官   清井  正君         農 林 技 官         (水産庁次長) 岡井 正男君         通商産業政務次         官       古池 信三君         通商産業事務官         (鉱山局長)  川上 為治君  委員外出席者         通商産業事務官         (公益事業局         長)      小出 榮一君         専  門  員 徳久 三種君     ――――――――――――― 三月一日  委員小平忠君辞任につき、その補欠として長正  路君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 二月二十七日  公海漁業による漁船損害補償並びに代船建造特  別融資等に関する陳情書  (第一三〇二号)  同(第一三〇三  号)  漁業災害補償法制定促進に関する陳情書  (第一三〇四号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  漁業用燃油の需給に関する件  水産物冷凍用電力料金の値上げに関する件  北洋母船式鮭鱒漁業許可に関する件     ―――――――――――――
  2. 田口長治郎

    田口委員長 これより会議を開きます。  まず北洋母船式鮭鱒漁業に関する問題について議事を進めます。質疑を許します。松田鐵藏君。
  3. 松田鐵藏

    松田(鐵)委員 昨日の予算委員会はお流れになつたような模様であります。本日は予算委員会が開かれることであろうと思いますが、新聞に報道されている点から行きますと、水産庁の現在の予算に関して、どのような削減または増加があるか、この点次長からお伺いしたいと思います。
  4. 岡井正男

    岡井政府委員 新聞紙上承知した以外に、内容を詳しくまだ承知いたしておりませんので、後刻長官でも参りましたら、それを確かめましてお答えいたすことにしたいと思います。
  5. 松田鐵藏

    松田(鐵)委員 そもそも、この予算修正は、三派修正案なるという見出しになつて出ておりますが、改進党において、漁港予算に対して一億五千万を予算に盛るべく、改進党の案が出たのに対して、白浜君は非常な努力をされて、漁民の立場から、どうしても漁港予算というものはそれではいけないということで、最後の線で二億五千万まで、改進党の修正案というものを出したということを、私は聞いておるのであります。昨日委員長会議があつたはずでありまするが、この委員長会議において、どのように委員長はこの問題を取扱われたか、その経過を承りたいと思います。
  6. 田口長治郎

    田口委員長 昨日委員長会議は、新聞にはそう出ておりますが、委員長会議はございません。
  7. 松田鐵藏

    松田(鐵)委員 私は昨日党の幹部に対して、この問題をいち早くお聞きしたのでありまして、党の幹部に対して、ぜひとも保守三派でもつてこういう修正をすべきであるのではないか、そこで漁港予算に対する増額及び漁船の保険に対する一億の復活を要望したのでありまして、それに対して考慮するというお話でありましたが、委員長においてはそういう交渉をされておられましたか、また幹部はどのような態度で進められておりましたか、その点お伺いしたいと思います。
  8. 田口長治郎

    田口委員長 この問題につきましては、委員長として各方面にできるだけ努力いたしましたけれども与党立場で積極的に、これにどうだ、これに幾らというような、そういう積極的に出られない関係もありまして、その点が非常に困つたわけなんですが、予算委員その他にもできるだけ相談をしてみた次第でございますが、さような立場上おそらく実現することが困難であつたのであろうとも考えておるのでございます。
  9. 松田鐵藏

    松田(鐵)委員 私は与党でありまするが、ただいまも幹事長から呼ばれまして水産委員会がごたごたするじやないか、さようなことはしてはいけないじやないかということで、今夏堀委員と二人呼ばれてして、総務会においてその内容を説明して、非常にりつぱな内容であるから了承するということでありました。そのときも、今の予算の問題を話したところが、君以外には与党水産委員から何ら話がなかつたのだ、(「それはうそだ」と呼ぶ者あり)まあそれはうそかどうか知りませんが、そういうお話でありましたが、その間この修正案われわれがのむという立場から、妥協するという立場からいつたならば、もつと緊密な連絡をとつて、この問題に対して働きかけなければならないものではなかつたか。聞くところによりますと、水産庁予算は前よりも減額される運命になつていると聞くのでありまするが、こういう点に対する内容がどのようであり、またそれに対する善後措置をとられておつたか、この点を委員長に承りたいと思います。
  10. 田口長治郎

    田口委員長 今の御質問ですが、私よりも水産庁から説明した方が都合がいいのではありませんか。
  11. 松田鐵藏

    松田(鐵)委員 ぼくは委員長質問しているのです。
  12. 田口長治郎

    田口委員長 計数については私存じません。
  13. 松田鐵藏

    松田(鐵)委員 どういう御措置をとられておつたかということを承つていのです。
  14. 田口長治郎

    田口委員長 先ほど説明した通りでございます。
  15. 松田鐵藏

    松田(鐵)委員 与党議員であるかり積極的にはできなかつたと、こういうのですか。
  16. 田口長治郎

    田口委員長 私は予算修正折衝にあたり、予算委員を通じてこの問題についてできるだけ協力をしておりました。
  17. 松田鐵藏

    松田(鐵)委員 党幹部に対してその抗衡はされなかつたというのですか。
  18. 田口長治郎

    田口委員長 そうです。
  19. 松田鐵藏

    松田(鐵)委員 わかりました。およそ重要法案であるほど党議を尊重して行くことは、その政党に属している国会議員の努めでなければならないのであります。こうして党議決定というものは党の幹部によつて支配されるものであります。水産委員会予算委員会の各委員は、党議に基いて努力をして、その法律を制定しなければならない職分を打つているものであろうと私は考えているのであります。党の総務会及び政調会、またはそれらの指導者に対して折衝することが一番肝要な問題でなければならないと考えておるのでありまするが、ただいま委員長は、どういうお考えか、予算委員にのみ折衝されましたが、党の幹部折衝はされなかつたというお話でありまして、これも過ぎ去つたことはやむを得ないと思うのでありますが、水産庁においてはどのような経過になつておられますか、もしでき得ることであつたならばお聞かせ願いたい。しこうしてわれわれも、今日これからでも委員長を先頭としてこの問題に対する努力をしたいと存ずるのでありますが、この点を承りたいと思います。
  20. 清井正

    清井政府委員 漁港予算関係につきましては、御承知通り昨年よりも修築費において約七千万円の減額を見たのであります。新規事業はもちろん、二十八年度に着工した分につきましても、その継続ができるかどうかについて非常に疑問に思つているような次第でありまして、その成立いたしましたあかつきにおきましては、その予算の配分についていかになすべきかということについても、苦慮いたしておるような現状であります。
  21. 松田鐵藏

    松田(鐵)委員 委員会が済んだならば、ひとつ委員長においてしかるべき方法をとつて、この問題を議論されて善処あらんことを希望いたします。  次に長官がおいでになつたので、北洋母船許可に対する質疑を行いたいと思います。現在許可になつていない母船大洋冷凍母船、それから函館公海漁業極洋捕鯨の三社であるように聞いておりまするが、大洋冷凍母船は十四の独航船を持つているというので、これはもう問題はなくきようにでも許可をされることだろうと思いまするが、極洋捕鯨函館公海漁業の二母船に対して私は非常に不可解に思つているのであります。水産庁は百六十隻という独航船に対しては、昨年の実績から行きまして、本年は百六十隻はあの北洋の海で独航船として漁獲をすることが適当であるというお考えから、かつて許可方針を定められたことと思いまして、この百六十隻に対しては、どこまでも許可をして出漁させるというお考えだと思いまするが、この点は間違いありませんか。
  22. 清井正

    清井政府委員 お話通り百六十隻の独航船は、昨年、一昨年北洋出漁いたしました実績並びに操業状況並びに資源等いろいろの事情を勘案いたしまして、本年度は百六十隻の独航船を出すことが適当であるというふうに判断をいたしたのでございます。従いまして百六十隻の独航船はぜひ北洋出漁いたさせたいものと考えております。
  23. 松田鐵藏

    松田(鐵)委員 さて私は、土曜日の委員会に、この北洋出漁母船に対して論議をした責任上、昨日この内容調査に当つてみたのであります。ところが長官は御存じないことがはつきり現われて参りました。実は私も意外に思つているのであります。私は港間伝えられておる自由党最高幹部の方々がひもつきになつて、こういう問題に対してとやこうやしておるという世間うわさに対しては耳をかすものではなく、それを土曜日の委員会においてもはつきりと打消しておるのであります。ところが水産庁許可方針というものは、どこまでも公正でなければならない。しかも権威ある許可でなければならない。こういうように私ども安心をしておりましたし、また私もそういう線に進むことを希望しておつたのであります。しこうして調査の結果意外なものを発見した。世間で流布されておる疑惑の目も、一つの論拠があるのではないかと実は杞憂しておるものであります。  その一つは、函館公海漁業実態であります。これはもつと調査してみなければはつきりしたことはわかりませんが、私の調査した昨日までの結果、私の知るところによれば、函館公海漁業資本金幾らだかまだ存じませんが、その払い込みは函館市が一千万円払い込んだということになつておるが、実際は三百万円だとかいう話を聞いております。その他は齊藤某という人が、たつた一人払い込んだということを聞いております。その他は全部にせ金であつたといううわさをきのう聞いたのであります。さてこれが真実であるかどうかということは、調査をしてみなければわかりませんが、さようなうわさまで出ておるというのが私が昨日調査をした第一点であります。  次は函館公海漁業が申請しております共同丸という船の講入資金は、どういうように調達されたかということを調査いたしましたところが、資本金はただいま申し上げたようなものであつて、とうてい自分の力ではその船を買い得ることができなかつたものと存じます。ゆえに他から借入れをしなければならなかつたことであつたろうと思います。そしてその借入金の九千五百万円というものは、大洋漁業から出ておるといううわさがつかまれたのであります。これは公海漁業の社員の人から聞いたのであります。改造費一億六千万円も全部大洋漁業から出すようになつておるということも聞かされて参つたのであります。これが第二点。  第三点は、発起人である重役十二名というものがあるそうであります。しかし従業員はわずかに六名よりないということを聞かされました。しかしそれは真実かどうかわかりませんが、さような会社だそうであります。水産庁は、船さへあればそれで許可される方針であろうと存じますが、こういう会社を一体何と考えておられるか。私はその重役の一人とよく話合つたところが、三年間努力によつて今日ようやく母船の出願をするまでにこぎつけたが、残念ながら手も足も出なくなつた。すべてが大洋の意のままに動かされざるを得なくなつたと、私に直接その重役が話されたのであります。こういうことが北洋母船出漁に際して現われておる。しかも乗組員事業部の編成、これは全部大洋から派遣されるということが、極洋漁業との合同の話合いの中にそういう条件が出ておるということであります。また流動資金の調達は、本社である函館公海漁業は先ほど申しましたように信用がないから、全部大洋漁業から出るものでおるという仕組みになつておるのだそうであります。ところがこれまではまだいい。これまではまだいいが、私は昨日初めて極洋捕鯨を訪問して、この調査に入つたのでありますが、四時三十分に、極洋捕鯨の副社長である法華津という人に初めてきのう会つたのであります。この人が血相をかえて重役室へ入つて来て、名刺をいただいて初めて法華津という人だということがわかりました。ところがこの法華津という副社長が悲憤慷慨して私に申すのには、たつた中部大洋社長廊下会つた中部社長言葉では、水産庁では私の方に許可になることに決定しておる、ゆえに当初話合つたごとく絶対に七、三でなければいけない——私の方というのは函館公社でありましよう、これが七で極洋が三である、この線をくずしてはいけない。君の方では何もできないのだし、許可は私の方に決定しておるのだから、早く話をまとめて水産庁安心をさせたらいいじやないかという申出廊下であつたということで、悲憤慷慨しておつたのであります。私はこうした点から意外な点を発見したのであります。北洋漁業出漁母船は、日本国際漁場へ出てことしで三年目であり、日本信用を保持して行かなければならない重要な段階にあるのでありますが、傀儡会社をつくつて利権をあさつておるこうした柄に対して、水産庁許可される方針であるやいなや。ただいま私は夏堀委員と二人で、幹事長から来いという命令で、総務会出席したのであります。水産委員会でごたごたしてはいけない、党のためにならないことを、言つてはいけないという厳命でありました。それから私は、党のためじやない、今国会が明ければ汚職、暮れれば疑獄疑獄汚職でもつて自由党世間の批判を受け、今日の状態になつておるときに、ひとり水産委員会のみが利権あさりをされるような実態が惹起したときにおいて、これを防止することが少しでも自由党のプラスになることであろうという説明を、夏堀委員と二人でいたしましたところが、そういう実態になつておるのか、それでは君らの意見は正しく持つて行くようにやることはけつこうであるという結論によつて、指示を受けて参つたのでありますが、ただいま私が申し上げたことが事実であつたならば、これを利権会社と認めますか、認めませんか、この点を伺いたい。
  24. 清井正

    清井政府委員 ただいま函館公海漁業株式会社実態並びに大洋漁業株式会社のことについていろいろお話を承つたのでありますが、私としては、おつしやつたような事実はよく存じません。それがいわゆる利権会社であるかどうかという問題は、事実の認定を基礎として判断いたさなければなりませんので、今ここで、ただちにそれに対してはつきりお答え申し上げかねますが、ただお話の中に、大洋漁業は一船団許可を受ける内諾を得ておるというような趣旨のお言葉がありましたが、私どもはさようなことをいたしたことはありません。これははつきり申し上げます。その点は、私から土曜日にその趣旨について御説明申し上げて、御納得行かれたと思うのですが、私どもの方の気持としては、あくまでその当時に御了承願つたような気持で目下進んでおるのであります。さよう御了承願います。
  25. 松田鐵藏

    松田(鐵)委員 私は長官人格と御発言になつたことに対しては全面的に信用をしておるものであります。決してさような許可を与えるなどということは言われたためしはないと思います。しかもお互いが独航船の取合いで、また企業を営むべく船を買い、網をつくり、そして努力をしておつたことから、たとえば、経済的に七そうなり八そうなりであつたならば成り立たないことであろうとも考えるが、私の土曜日の発言では、これは落第したものだから、ただちにけれという議論をいたしました。それに対して長官は、なかなか意味深長なお話でありました。これは私も事業をなしておるものだからよくわかります。よつて、こうした経費もかけておるものだから、何とか二船団を一船団にまとめて、そして許可を与えてやろうという水産庁の親心だというふうに私も考えまして、私のけれという議論をひつ込めたものであります。これは長官も私の考え方を了承していた、だいたものと私は考えております。水産庁はこれに対して許可内諾を与えたとは私は決して考えておりません。長官の言われる通りだと思つております。しかし長官の部下のうちにこういうものがあつたとしても、これは長官責任ではありません。長官は確固たる信念を持つて対処されることだろうと思つております。これは司直の手で調査したのでないから、こういう事実がほんとうかうそかまだはつきりわかりません。しかし私の昨日調査した資料がこれであります。こういう点から行きまして、今日政界疑獄汚職といつて騒がれている政党政治のこの段階において、せてて水産庁のみは絶対にかくした汚職疑獄関係するような利権というものは、長官人格においてただの一つであつてはいけない。なすべきではない。またあるべきはずがないと私は考えておりまして、もし疑わしいもがあつたならば、われわれ水産委員会は、水産庁行政の面に対してあらゆる努力をいなしまして、水産庁行政確固不動のものにして行きたいという考え方を各委員は持つておることだろうと思います。私がただいま申し上げましたようなことがあつたとしたならば、これは利権にくみするものであろうと存じます。傀儡会社をつくつてそこで自己の利権をむさぼろうとすることは、最もいまわしい資本主義の行き方であります。これがやがては汚職になり、疑獄になる可能性が濃厚になるものでありましよう。よつて私は、皆さんが御同意なさるかなさらないかは存じませんが——多分同意なさることだろうと思いますが、こうした問題をまだ御許可にならない前に、未然に論議することも、今日の政界の浄化ということから言つたならば、私は非常にいいことであろうと存ずるものでありまして、かくしたことを申し上げるのであります。委員長においても、ただいまの私の議論に対して各委員の御意見をお尋ねあつて、しかるべくこれに対する方法を講じていただくように、お願いを申し上げるものであります。
  26. 田口長治郎

  27. 夏堀源三郎

    夏堀委員 他の質問もありますが、まず、通産大臣がお見えにならぬのはどういうわけでございますか。
  28. 田口長治郎

    田口委員長 それはきのう予算総括質問終つて、きよう各党の態度決定をするために予算委員会が休む予定になつておりましたから、きようを選んだ次第でございますが、御承知通り予算委員会の実情がございまして、きのう予算委員会ができなかつたためにきよう予算委員会をやることになり、通産大臣はどうしても出られないから、古池通商産業政務次官がかわつて出席になつているのでございます。
  29. 夏堀源三郎

    夏堀委員 委員長水産関係の出身でありますから、今問題になつている燃油の問題は十分に御承知のことと存じます。この前から大蔵大臣通産大臣出席を要求しておつたにもかかわらず、いまだにそういうことで、毎日予算だのどうだのということで、この委員会大臣出席を要求してもできないというのはどういう理由であるか。私が大蔵委員長をやつてつた時分に、大臣に要求をしてもし出席しなかつたならば、官房長官のところに私及び理事行つて、きようぜひ何時に出席をしてくださいと要望して、必ずその時間には出席させた覚えがあります。水産委員会だけが、重要な問題を審議するにあたつて大臣出席できないということは、はなはだ納得ができない。委員長に対して強くこの点を要望しておきます。  きようは政務次官がお見えになつておりますので、政務次官からどの程度の御答弁が伺えるわかりませんが、私は石油政策の問題を掘り下げて、現在問題となつている関税定率——ちようど私が大蔵委員長をやつていた時分にこの問題を取上げて、一応従価一割の問題は決定しておりましたけれども、これも一回、二回と延び延びになつて延期し、今度三月に最後決定しなければならぬことになつております。こういう大きな問題は、漁業経営に重大な関係を持つて参りますので、現在のように漁船を繋船しなければならぬという状態は一向納得することができない。よつてこの理由を伺いたいのであります。石油政策全体について通産省はどういうことをお考えになつているのか、そうしてどうしてこういう状態になつたのか、これの概要をまず承りたいと思います。
  30. 田中幾三郎

    田中(幾)委員 議事進行。ただいま松田委員からの発言に関連いたしまして、ありそうなことだと私も思う。許可をとるための偽装会社をつくつてやるということはありそうなことだと思うのでございまして、もしそういうことがありましたら、水産庁においてもこの実態をよく調査して、幽霊のような会社に対する許可をされては困る。実際大洋漁業においても、今の許可の問題ばかりでなしに、定置漁業などにおいても、大洋漁業の方からは資金が出まして、その利益搾取といつては語弊があるかもしれませんが、非常な利益を得ている、こういうことも聞いているのでありまして、松田議員発言は非常に重大だと思いますから、私といたしましては、その実態許可の前に調査をして、慎重にやつていただきたい、こういうことを希望しておきます。
  31. 淡谷悠藏

    淡谷委員 関連して。この問題に関しましては、架空の会社をつくるだけでなく、船団を集めるについても多分に金が飛んでるようなことを聞いております。今日は松田委員及び夏堀委員から、もつとはつきりした質問が出ることを予想して黙つておりましたが、どういうわけかぶすぶすいぶつてしまつたので、かわつて私の方から質問したいのでございます。時節柄多分の金を飛ばして独航船を集める必要が一体どこにあるのか。何か利益が伴うのかどうか、この点が一つ。もう一つは、現在水産庁許可を与えようとしているのでありましようが、この申請されているこの前に御報告いただきました八そうの船舶の内容調査を、どの程度進められているか。世間疑惑を一掃する意味において詳しい御報告を願いたいと思うのであります。まず水産庁長官に一応伺います。
  32. 田口長治郎

    田口委員長 動議ですけれども、議題を一通りつて、それからあとにやはることにいたしましよう。  夏堀委員質問を続けてください。
  33. 夏堀源三郎

    夏堀委員 答弁を願います。
  34. 古池信三

    古池政府委員 本日は、ただいま委員長からお話がございましたように、ぜひ大臣出席してお答えを申し上げるべきでありましたが、けさほどから閣僚会議その他重要会議出席しておりまして、こちらには出席ができませんので、私がかわりに参つたような次第であります。ただいま夏堀委員からお話がありましたが、ことによりましては大臣でなければ答弁できないこともございます。政務次官はあくまで女房役でありますから、私としてお話申し上げられる限度において御納得の行きますようにお答え申し上げたいと考えます。  ただいま石油政策についてどういうような考えを持つているかというお話でございますが、まず第一には、石油におきましても、できる限り国内の資源を開発いたしまして、石油自立態勢を徐々に確立して行く。もちろん原油の輸入はやめるわけには行きませんけれども、年々できる限り輸入は少くて済むようにしたいと考えまして、先般来政府におきましても、石油及び可燃性天然ガス開発審議会を設けて、慎重に調査研究を進めているのであります。その結論といたしまして、現在は御承知のように、年間約三十四万キロリツター程度の国産の石油の生産をいたしておるのでありますが、地質調査その他の結果によりますると、これに相当資金をつぎ込み、技術を使います。るならば、相当量増産の見込みあり、こういう結論に達しましたので、何とかして数年間の計画によつて、これを年間約百万キロリツター程度に増産をいたしたい、かように考えております。ただ問題はこれに要しまする資金でありまするが、このためには大体百億円近い資金を要するのであります。そこでわれわれ通商産業省としての希望といたしましては、少くとも年々十億円程度予算を補助金として支出をして、五年計画くらいでこの目的を達成したいというふうに考えておつたのでありまするが、本年度は御承知のような次第で、緊縮予算一兆円のわく内に収めるという大基本原則のために、十億円という当初の希望は達成できなかつたのでありまするが、一億三千五百万円の予算を計上することができました。これによつてまず最初の計画の基礎的調査等を進めて参りたい、かように考えておる次第であります。なお現在石油の不足を充足するために輸入に要しまする外貨は、二十八年度においては一億二千万ドルに達しておるような次第であります。従つて相当多量の外貨を要しまするために、できるだけこれは減して参りたいと考えるのであります。  以上は供給の面の話でございますが、一面需要の面から申しますると、この一、二年大分産業方面におきましても、あるいは家庭等におきましても、石炭から石油の方に使用を転換しつつあるような部面が表われて参つておるのであります。その原因はいろいろございましようが、石油の方が値段が安い、また操作等についても簡便であるというようないろいろの利点がありましたために、産業方面においても相当に石油を使うようになつて来ておる、こういうことがあります。そこでこれに対しましては、ただいまの外貨事情、石油事情からいいまして、今後新しく転換することはこの際できるだけ抑制をして参りたい、かように考えます。しかし現在までにすでに転換をいたしておりまするものは、これをさらにまだ元の石炭を使用するように逆もどりするということは、非常な不経済もありむだもありまするので、専用に石油を使うような施設は大体これを持続し、石炭と石油と共用になつておるような場合には、できる限り石炭を使つてもらうように考えております。そうして特に一般の国民生活の上に必要な石油あるいは水産漁業のために必要な石油というものはぜひ優先的に確保して、供給に不安のないようにいたして参りたい、かように考えておるような次第であります。  それから最初にお尋ねのありました、石油に対する関税の問題は申すまでもなく大蔵省の所管でございまするが、現在のところ政府としては従来の線で続けて行くというようなことでございまして、かわつた措置を講ずるという話はまだきまつてはおらないのであります。
  35. 夏堀源三郎

    夏堀委員 全体の問題に対しての御意見を伺いましたが、時間もありませんので、特に水産の問題についてつつ込んでお伺いしたいのですが、最近の漁業用の燃油が極端に不足して来たのは、一体どこに原因があるのか、これを伺いたい。
  36. 古池信三

    古池政府委員 ただいまちよつと触れて申し上げましたように、国内全体の需要供給のバランスの面から行つて、需要が急に増して来た。しかもこれに対して供給の方がやや輸入等が遅れて参つた、そういうような点から考えまして、漁業用に対する石油の供給が円滑を欠いて参つたのではないか、かように存じております。
  37. 夏堀源三郎

    夏堀委員 外貨の関係ではないでしようか。よく新聞紙上に、外貨が不足になつたから石油輸入を制限しなければならないというようなことがいわれておりますが、それはその通りだと思います。外貨について水産方面でどの程度働いておるか。過般の委員会でも私申し上げましたが、三千万ドル以上も水産の輸出品が最近積極的に振興されておる。漁業用の燃油としては、振興外貨としてその一割の三百万ドルだけでも確保することができるということであります。しかるにその振興外貨をなぜ許可しないのか。これはやはり許可しなければならない。許可すればその振興外貨を自由に水産業者が使えるということである。水産業者が自分で働いた魚を輸出し、そして振興外貨を一割は自由に使えるのだから許可すればいいものを、なぜ許可しないで不自由をかけておるのか。もうちつとつつ込んで申し上げますると、油を与えないことによつて漁船は繋船するということになつたならば、元も子もなくつて、極端に言えば三千万ドル以上の水産輸出はとまるということである。外貨の獲得が大きな国策であつたならば、なぜ政府は、その国策を遂行するにもうちつと正確な判断をもつて、勇敢にこの便宜をはかることを水産業者に与えないのか。それがやれないということはない。どういうことをすればいいかとおつしやれば、ただちに私はここに説明してもさしつかえありません。まことに簡単なことである。そういうことを昨年の秋以来問題としてこの委員会で私は取上げておりますけれども、なお遅々として進まない。最近においては閑散期になつておる東北、北海道方面はあまり騒がないかもしれませんが、遠洋漁業の方に出ておる東京から関西方面はかなり騒いでおる。先ほど北洋問題もありましたが、北洋問題等で大きな企業体が活動を起すことになりますと、これも大きな支障を来して来る。カン詰、冷凍品等の輸出振興に支障を来すということになる。時間もありませんので、大臣がお見えになつたときにお伺いいたしますけれども、水産用燃油について、通産省はいかにして水産業者に満足を与えるような方法をお考えになつておるか、これをお伺いいたします。
  38. 古池信三

    古池政府委員 石油の不足に対しましては、先般も外貨の追加割当をいたしまして、若干輸入をいたすことにいたしましたのであります。ただいまお話になりましたごとく、漁業によつて相当な輸出の実績を収め、これによつて外貨を獲得しておるのであるから、これに対して優先外貨の割当は当然認めてもいいではないかということでありますが、ただいま優先外貨という制度は若干これをかえまして、特別割当という制度で運用しておるのでありますけれども、御趣旨につきましては私どももまつたく御同感に存じております。それだけの働きをすれば、よけい外貨がもうかるということになれば、輸入を認めてもいいじやないかという御趣旨には、私も同感であります。ただ制度の問題としまして、一々そういう各業務といいますか、産業ごとにやつた方がいいか、あるいは総括的に割当をして、そうして最終的には油の確保を確実にして行つた方がいいのかという問題があろうかと思うのであります。それでわれわれとしては、ただいま油について、たとえばこれを配給統制をするというような考えは持つておりませんが、水産漁業に不自由をかけないように行政上の指導をいたしまして、石油の業者を十分に督励し、その目的に沿うように努力をして参りたいと考えておる次第であります。
  39. 夏堀源三郎

    夏堀委員 努力をするのはわかつているが、それじや今まで努力しなかつたのかと言いたいんです。この程度努力では納得することは、できません。総合的にやるからその必要はないかのように聞きとれたのでございますが、それは当らないと私は考えております。なぜならば四三%の土地を失つた日本は、公海漁業によつて多くの外貨をかせがなければならず、またその機会が与えられつつある。北洋から南太平洋、濠州沖合いから印度洋からアフリカ沖合いまでは、日本漁業者の開発し得る大きな資源を持つてつて、これを政府が積極的にやらなければならぬの事であつて、それに必要な油さえも与ないということで、それは政府たよるに足らずといえば、またはつたりかと言われるかもしれませんけれども、世界の公海漁業に対しては、日本政府は消極的にして、これに対して協力を与えることはできないということであつたらば、世界の資源を開発するために、人類福祉のために、アメリカその他の諸外国と提携してやるという線が必ず進んで行くであろう。これを押えることはできないであろう。できるだけ政府の協力によつて外貨をかせがなければならぬという誠意から私は申し述べておるのであります。たとい政府がどういう政策をとろうとも、石炭業者の圧力があつてどうしようとも、それは必ず近いうちに私が前に申し上げたように、世界水産政策という線に沿うて、日本政府が協力しなければ、諸外国の資本と提携して、公海の資源を開発することは、世界人類の福祉のためという大きな観点から言つて当然必要だと私は考えておるのであります。これはまたあとの問題として、そういう大きな問題が展開せんとしておる場合に、実際に働いておる漁業者のとつた魚で外貨が入つておるにもかかわらず、それさえも何かしらりくつをつけて、総合計画の上において云々ということは、当らないと私は考えるのであります。つけ加えて意見になりまするが、私の意見としては、必要のトン数はどれくらいかということを算定して、各組合なり各販売店なりに一応ひもつきをもつて、この油を与えなければならない、これは先ほど買つた優先外貨によつて十分である。こういう観点に立つたならば、これくらいのことをやれないというのであつたならば、水産を虐待するということを、言われてもやむを得ないと私は考えております。その場合に、その与えられた油が——現在の市場の油の価格はトン千円から二千円高くなつております。それをどういう方法にしてそういう高値を再び出さぬようにすることができるかと申しますると、その必要数量を組合あるいは販売店に割当して、そうしてそれをよそに流すようなことがあつたならば、その実績を失うものである、いわゆる配給を停止するものである。そういうようなことを政府がおとりになつたならば、あえてきびしい統制がなくとも、今後商売を持続するために、誠意をもつて石油販売店が協力してくれるであろう。その程度でいいじやないか。ただその必要数量を割当するかしないかということであるのであつて、割当しないということであつたならば、必要な数量を働いて持つて来て、輸出して、一割の優先外貨が使えるにもかかわらず、それさえも与えないという理由がどこにあるか、これをお伺いしたいのであります。それをはつきりお答え願いたい。
  40. 古池信三

    古池政府委員 ただいまのお説はまことに私も同感しております。従いまして販売店に対しましての確保といいますか、割当といいますか、そういう問題については十分に研究いたしまして、これによつて、いわゆる配給統制というようなことはやらないでも、所期の目的を達成し得るような手段を講じて参りたいと存じます。
  41. 夏堀源三郎

    夏堀委員 ただいまの御答弁については、まだいわゆる希望的な御意見のように承りましたが、この次の委員会大臣出席を求めて、私が今申し上げたことが妥当であるかどうか伺いたいと思います。そうしてこの割当について、現在トン千円ないし二千円の高値を呼ばれつつある、それをどうして解消するかということは、こういう法以外にはない、私はこう申し上げたのであつて、これに対する明確な案をお立てになつて、お示し願いたいと存ずる次第であります。これをもつて油に対する質問は終ります。
  42. 古池信三

    古池政府委員 ただいまの、お説の通り、いわゆる販売店に対して水産漁業用としてひもつきはつきりすれば、量ばかりじやなく、値段の方もおのずから下つて参るということは、その通りでありますから、ぜひそういうふうにしたいと存じます。従つてその案については、事務当局に話しまして、早急に立案して、できるだけ早い機会に御説明をするようにいたしたいと思います。
  43. 松田鐵藏

    松田(鐵)委員 イランとの関係はどうなつておるかソビエトとの関係はどうなつおるか、その点……。
  44. 古池信三

    古池政府委員 イランの問題は、先年出光興産が船を持つて行つて、向うから油を入れたことは御存じの通りでありますが、今後引続いてイランから入れるかどうかという問題につきましては、これは相当国際的な問題にからみ合つておるのでございます。昨年の秋からこの一月にかけましての日英会談の際に、これがやはり問題になつたのであります。そこで最近日英会談に出席いたしました政府の代表がもどつて参りましたが、その話によりまして、文書によつてはつきりとイランから石油を入れないという約束をしておるわけではございませんが、会議の際の種々な発言の結果、当分イランからの石油は入れないということを大体約束をしたような形になつておるのであります。従いまして、さように御了承を願いたいと思います。  それからソ連との関係は、石炭は昨年バーターで入れました。またただいま木材を入れたいという希望もあるのでありますが、油の問題は具体的に私は聞いておりません。
  45. 松田鐵藏

    松田(鐵)委員 ただいま夏堀委員の御意見からいつても、何といつてもないもの高、これが自由経済の原則です。これを入れるということが基本の問題である。自由党の政策として低物価政策をしよういうので、緊縮予算を今予算委員会で審議しておるのです。ところが物価は何も下つていない。およそ何もかも上つておる、これで一体自由党の政策というものが実行できるか。(「党内野党」と呼ぶ者あり)ここから行つたらまず——党内野党じやないぞ。それでわれわれは実際面として苦しまざるを得ない。そこら辺から盛んに党内野党だなんという野次が出て来るけれども自由党の政策を堅実に守つて行くことがわれわれの務めでなければならない。しからばこのように外貨が不足だということによつて輸入が制限されるということになつて、ものがなくなつたならば物価が高くなる。イランとのいろいろな国際情勢から行き、イランの石油を入れないなどということが、政府のどなたが、それをやつたかは知りませんけれども、まつたくの誤りであるのです。通産省はこの点はよく御調査になつておられるだろうが、あそこにはおのおの一つの道があると思う。それがイギリスにのみこび、アメリカにこびてのみいてはだめなんだ。もしイランからできなかつたならば、南のアジアから入れるようにしなければならないのです。その手を打たずして、——強力なる政策でもつてつてつたならば向うはひつ込むのです。イギリス人のあの根強いねばりというものに、日本人はちよつとあきやすいものだから、すぐあきらめることになるのですが、こういう点を十分御考慮なされて、とにかくものを入れるということが一番大事だ。これも原料なんです。原料のうちの一番安い原料なんです。原料を入れなければ日本の経済なんかもつて行くもんじやありません。これは政務次官には釈迦に説法のようになりますが、原料を入れずして日本の経済が立つて行くなんということは、これはとうていでき得るものではない。しからば今少しくこうしたほんとうの原料になるものでありますから、——夏堀委員公海漁業公海漁業言つて自分だけはうまいことを言うように考えておりますが、そうじやない。日本のほんとうの原料なんだからこの点を十分お考えくださいまして、ひとつりつぱな方針をお立てになつて、ただ統制まがいのことをしたつてだめですよ。原料を入れるということが基本政策でなければならぬ。それには外貨は幾らつて出るじやありませんか。原料を入れてその原料によつて外貨を大幅にこうした原料に注ぎ込むことによつて、外貨の獲得が三倍にもなるのです。こういう点をごしんしやくを願わなければなかなか容易なものではないと考えます。こういう点を十分御考慮あつて政策をお立てくださるように、特にお願いを申し上げます。
  46. 田口長治郎

    田口委員長 本日の海産省出席者古池政務次官のほかにただいま鉱山局長の川上氏がおいでになりました。そのほかに小出公益事業局次長がおいでになつております。外務省からは寺岡参事官が御出席でございます。小高熹郎君。
  47. 小高熹郎

    ○小高委員 通産省の政務次官にお尋ねいたします。昨年末当委員会において燃油問題は大問題になつたのであります。そこで大蔵省側の意見を聞きますと、当然何らかの割当をふやさなければいかぬというので、先ほどもその点については論議があつたと思いますが、その後におきまして大蔵大臣と私はエレヴエーターの中で会いまして、つかまえまして、ちようど北海道の開発庁政務次官の玉置信一君が聞き証人みたいなことになつたのですが、どうしてドルをふやさないのか、困るじやないか、通産省とどういう打合せをしてどうなつておるか。いや、それはふやすことになつています、なつておるからつかまえなくても大丈夫だということでしたが、いや、われわれは結果を聞かないうちはあとへ引かぬというので、エレヴエーターから降りてからも、廊下を歩きながら渡り合つたのでありますが、その際の言葉によりますと、早急に燃油輸入するために、ドルの割当をふやすということでありましたが、その後どの程度のドルが、どういう数字によつてふやされて、そうして径路がどういうようようになつておるか、その点をお尋ねいたしたいのであります。
  48. 古池信三

    古池政府委員 先ほど夏堀さんのお尋ねの際にもちよつと申し上げましたように、先般追加の外貨を割当てまして、輸入をいたし、またさらに繰上げ割当もいたしたのであります。その詳細なる数字につきましては、ちようど鉱山局長出席されましたので、鉱山局長からお答え申し上げるようにいたしたいと思います。
  49. 川上為治

    ○川上政府委員 外貨のこまかい数字につきましては、きようちようど持合せて来ておりませんが、昨年の十二月におきまして、約三十万キロリツトル程度燃油を追加輸入を認めております。それから今年の二月に入りまして、さらに繰上げ輸入をしまして、約三十万キロリツトル程度、両方で約六十万キロリツトル程度のものを特別に輸入を認めております。なおそのこまかい数字は、きようは実は持つてつておりませんので、他日はつきりした数字を持つて参りますが、いずれにしましても、昨年の十二月追加輸入をある程度認めた、それからこの二月におきましては、三月以降において使うべきものを、繰上げまして三十万キロリツトル程度認めております。そしてこういう油につきましては、極力漁船関係、船舶関係、農村関係の方にこれが配給できるような措置を、行政指導的にあるいはその実績と申しますか、そういう措置でやりたいということで、この石油の元売業者の団体及び水産関係、農村関係の団体と、再三わたつてそのやり方について打合せをいたしておる次第であります。
  50. 小高熹郎

    ○小高委員 鉱山局長にお尋ねいたします。この足どりでずつと将来も持続する方針でありますか、それを伺いたい。
  51. 川上為治

    ○川上政府委員 農水産船舶用のものとしましては、私どもの方としましては、そちらの方に絶対に不足がないように何とかして確保して行きたいというふうに着ております。ただ最近の重油の需要は、特に一般の大口工場等におきまして、石炭の方から石油の方へ非常に転換されて参つておりますので、そのために非常にふえておりますので、そちらの方に対しましては、専用設備を持つているものにつきましては極力配給して行きたいと考えておりますけれども、石炭の設備と石油の設備を両方持つているものにつきましては、石炭の価格をなるべく引下げて、そうして一面においては石炭の方を使つてもらうようにやつて行きたいというふうに考えております。あるいはビルその他の建物等におきまして、今まで重油を相当使つておりましたが、そうした不要不急の一面におきましては、極力石炭を使つてもらいたいというような行政指導をして行きたいと考えております。
  52. 松田鐵藏

    松田(鐵)委員 鉱山局長の御意見を聞いておるのに、重油については、当初の計画から三十万トンふやした。またその後において三十万トンふやした、合計六十万トンふやしたという御意見でありますが、当初において御計画あつてこの輸入の割当をされておるのでありますか。御計画は皆無であつて、そのとき場当りですべてのことをおやりになつておるのですか。それともまた石炭の価格を維持するために、何らかの政治的考慮でもつてこういうように考えて、ちびちびふやすようになつておるのですか、この点を承りたい。
  53. 川上為治

    ○川上政府委員 私の方としましては今申し上げたように石炭の価格を維持するためにやつておるわけではありません。それから、最初から計画があつたかどうかという問題なのですが、実は二十八年度におきましては、重油の大体の見通しを四百十二万キロリツターと見ておりました。これは、二十七年度の実績を見ますと三百四十五万キロリツターであります。それから以前のものを見ますと、二十五年から申し上げますが、二十五年度の需要量百十九万キロリツター、これが二十六年度になりまして二百十七万キロリツターとなつております。二十七年度が三百四十五万キロリツターとなつております。ところがこの二十七年度の終りのころの状況と、それから二十八年度に入りまして大体どういうふうな状態になつて行くだろうという一応の想定をつけまして、昨年の四月に立てましたのが年間四百十二万キロリツターであります。この四百十二万キロリツターというのが、昨年の九月になつてどうしてもそれでは足りないということになりまして、一躍五十万程度ふやしまして、四百六十万キロリツターを立てました。それからさらに昨年の十二月におきましは五百万キロリツターというような計画を立てたわけであります。何とかして五百万くらいでやれないものだろうか、あるいはやれるんじやないかというふうに考えておつたのですが、それでもなかなかやり切れないということで、実はちよびちよびというとはずかしい話でありますが、五百三十七万というふうに、この二月に計画を立て直しをいたしまして、昨年の実績から比べますと実に二倍近くも重油の需要は伸びておるわけであります。従いまして私の方としましては、一応の計画でやつておるのですが、その見通しがだらしないとおつしやればそれまででありますけれども、この水産関係とか船舶関係とかの需要というものは、実はそれほど大きく伸びてはいないわけでありまして、伸びましたのはやはり鉄鋼とかあるいは電力とかあるいはその他のものが非常に伸びております。しかも船舶、運輸、水産関係を合せましても、両方でこの五百万のうちで百五、六十万程度じやないかというふうに考えておりますので、これだけは、専門に使つておりますから、何とかしてひもつき的に、でも配給を確保したい、こういうふうに考えております。     —————————————
  54. 田口長治郎

    田口委員長 川村君。
  55. 川村善八郎

    ○川村委員 先般の委員会において電力料金値上げの問題で質問いたしたのでございますが、当時通産省の最高責任者の方がおいでになつておらないので、この次の委員会質問するということで打切つたのでありますが、巷間伝うるところによりますと、電力会社から電力値上げの要求があるということで、通産省ではそれぞれその値上げになる場合の立案をしておるということを承つたのでございますが、先般の委員会で事務当局から、普通の場合の電力料金は、高いところも低いところもあるだろうけれども、平均して一・四、五割、それから水産関係では七割もあり二十割もあるということでございますが、これらも平均して四・五割の値上げをするという話があつたのであります。一体電力の値上げをすると産業に及ぼす影響が非常に大きいのでありまして、そのために生産費が高くなる。そうしますと物価に影響する、物価に影響すると生活に影響するということで、主要な会社はこれに対して反対をしておりますし、国民大衆も非常に反対をしておるのであります。そこで根本の問題でございますが、一体今日電力を値上げすべきかどうかという問題は議論の余地がございますけれども、とにかく電力会社の要求をいれて電力を値上げするのかどうか、この点まずお伺いしてから、御答弁によつてはさらに御質問を申し上げたい、かように考えます。
  56. 古池信三

    古池政府委員 ただいま御指摘のように、電力会社からは料金改訂の認可をしてくれという申請が提出されておるのであります。この料金の改訂は、中には料金を値上げするという問題と、料金の制度を変更するという問題と、二つの事項が含まれておるわけであります。ただいまお話がございましたように、料金を値上げするということは、ただちに一般の国民生活なり産業に影響をする、それかといつてこのまま値上げを全然認めないという場合には、現在最も必要とされておる電力不足というものを克服するための電源開発の工事がそれによつてストツプするとか、非常な障害を受ける。長い目で見ればそのために日本の産業の発展が遅れるんじやないかという心配も出て来るというので、その両方のバランスをどういうふうにとつたらいいかということがこの問題の中心事であろうと存ずるのであります。それで政府としましては、法規にきめられたように一応利害関係者の聴聞会を開くことにいたしまして、この月の中旬に各地でこれを催すのであります。聴聞会におきまして関係者の御意見を十分伺うことができますので、それらを伺つた上で値上げをするかしないか、あるいはするとすればどの程度にすべきか、また値上げの時期はどうするかというような問題について、さらに検討を加えて決定をしたいと考えておるのでありまして、ただいまのところでは、いずれともまだ政府態度はきめておりません。今後十分に検討いたしたいと考えております。
  57. 川村善八郎

    ○川村委員 ただいまの御答弁で、まだ最終段階行つていないということでありますが、事務当局の立案しておる水産関係、特に冷凍製造の問題でございます。これは平均して四割五分を値上げしなければならないという案になつておるそうでございますが、われわれ水産人から考えますと、冷凍に要する電力の四割五分の値上げということは、ただちに漁業の問題に影響しまして、いわゆる魚価に直接の関係が出て来る、こうしたようなことからいたしまして、普通の電力の一割四分何厘かの問題ならばこれはいたし方がないが、急に四割五分を上げなければならぬというのは、理由はあるでありましようけれども、われわれは納得が行かないのでございますが、この四割五分値上げをしなければならぬという事務当局の案は、いかような理由からそうなつておるか、この点をお伺いしておきたいと考えます。
  58. 古池信三

    古池政府委員 ただいまの事務当局で検討しておるという案につきましては、私は正式に報告は受けておりません。おそらく事務当局としては、料金制度は非常に複雑でありますからいろいろな場合を想定して試算をやつておる段階であろうと考えるのであります。従つてその四割何がしということも、はたしてどういう基礎において算出したかを私はつまびらかにしておりませんが、ただ常識としまして、従来冷凍用の電力というものは一般から見て比較的安く扱われておつたということは考えられると思うのであります。しかし今回の料金の値上げと同時に制度も改正になるわけでありますから、この際は、冷凍用電力のごとく非常に季節的に多く使う場合と少く使う場合があり、また負荷率も季節的に見れば非常にいいのでありますから、そういうような点を加味しまして、なるべく従来の事情に大きな影響は与えたくないと考えております。これをかりに認可するといたしましても、そういう場合にも、できるだけ従来の事情にあまり大きな影響を与えないようにして参りたい。これは単に冷凍ばかりでなく、そのほかにもそういう問題があります。たとえば、よけいなことかもしれませんが、農事電化の方面であるとか、あるいは交通機関であるとか、こういう一般の国民大衆にただちに影響するような問題は十分に考慮せねばならぬということをわれわれは考えております。
  59. 川村善八郎

    ○川村委員 政務次官は四割五分の値上げが実施されるかどうかという問題について、まだ詳細にしておらないという御答弁でありますが、ただ私が承つていたことで自分のふに落ちないことは、製氷冬凍に使つておる電力は比較的安いとおつしやつたのでございますが、これはまつたく違います。逆に普通の料金より高い。というのは、かつて電力をその工場の能力によつて割当をしておつた。ところがその割当が不足なために、どうしても割当てられた電力より超過する。超過すると罰則みたいな普通料金より何より何十倍という料金をとられる。しかし電力を使用しなければ製氷もできないし、冷凍もできないので、がまんをして来た。また今日火力発電も発展しておるので、一面には火力も使つておる。従つて私が申し上げるまでもなく、火力と水力とは料金の差ができるのだというようなことで、この水産の電力は非常に高い。だから事務当局は、いろいろ勘案したのでありましようけれども、そういう罰則的な電力料金を多く払つておるから、それをただパーセンテージでずつと行つた場合には、結局率が高くなるというふうな計算をしたのではないか、この私想像します。いろいろ資料を持つておりますけれどもこの資料に基いて質問をするのは、政務次官が事務屋でありませんから差控えますが、とにかくどちらにいたしましても、四割五分の値上げということは決して耐えられるものではない。この点について水産方面の電力を使用する方々の意見を求たのですが——政務次官が言われたように、電力開発のために若干の値上げもやむを得ないけれども、四割五分の値上げをするということになれば、氷も高くなるし、冷凍料金も高くなるということで国民が困るのだから、何とか普通の料金と同じように値上げをしてもらわなければならぬというような要望が非常に強かつたのでございます。そこでこれは事務当局の方でございますが、どういう計算で四割五分の値上げをしなければならないという案が立てられておるのかどうか、この点を詳細でなくても、概略的にでも御説明願えればけつこうだと存じますので、ひとつお答えを願いたいと思います。
  60. 小出榮一

    ○小出説明員 ただいま事務当局で試算しております影響の調査を大体基準にして数字の御指摘がございましたので、その点について御説明申し上げます。  前回の委員会で一応御説明申し上げましたように、ただいま事務当局といたしましては、料金を値上げするかしないかという大前提の問題は、先ほど政務次官からお答えになりました通りでありますが、ただいま出ております電力会社の案をそのまま適用いたした場合にどういう影響が現われるかということを、各産業別に計算をいたしておるわけであります。特に製氷冷凍につきましては、この前申し上げましたように非常に影響の大きな産業である。特に値上げ率が高くなるということは十分承知しております。ただいま電力会社の方でサンプル的に取上げました製氷関係の十七社についての試算を見ますと、各社によつていろいろ違いますけれども、高いのは二十割ぐらい上るものもございますし、あるいは一割三分程度のものもございまして、四割五分という平均数字については、私ども承知しておりませんけれども、そういうような意味で、電力会社の申請案をそのまま適用した場合にはどういう影響が現われるかという影響調査を一応いたしておりますが、そこに現われた影響を見ますと、お話のように製氷冷凍は影響が非常に大きいのであります。そこでこういうふうに業種によつて、特に重要産業である製氷冷凍に非常な影響を及ぼすということは望ましいことではございませんので、業種別のアンバランスを是正いたしまして、特に製氷冷凍に大きな影響を与えないように何らかの調整措置を講じたいと考えております。従つてある程度の値上げはやむを得ないといたしました場合におきましても、たとえば大口産業等が平均一割なら一割の値上げ率と仮定いたしました場合に、その平均値上げ率とほとんどかわりのない値上げ率にとどめたい。そのかわりのない価上げ率に押えます方法といたしましては、先ほど政務次官からお答えになりましたような負荷率のある程度の割引をするとか、あるいは契約電力は季節的な契約の仕方をするとかいうようなことによりまして、できるだけ値上げの幅を狭めて行く。前会申し上げましたように、製氷冷凍は非常に影響が大きい業種であるということも私ども十分承知しておりますので、その影響をできるだけ緩和する方法はないかということで、ただいま作業をいたしておるような次第であります。
  61. 川村善八郎

    ○川村委員 ただいま事務当局から御説明がありましたが、四割五分というのは、私は製氷あるいは冷凍業者から聞いたのであります。そうしますと、今のお説から行きますと、事務当局は、それは電力会社から現在申請されておるものを平均しますと大体四割五分になるというふうな御答弁のように承れるのですが、通産省では四割五分というのは、各産業に及ぼす影響、特に水産関係に及ぼす影響が大きいから、できる限りそうしたようなことでなく、普通の料金とあまり差のないように検討して行こう、こういうふうに解釈してよろしゆうございますか。
  62. 小出榮一

    ○小出説明員 その通りでございます。
  63. 川村善八郎

    ○川村委員 了承いたしました。
  64. 小高熹郎

    ○小高委員 関連して政務次官にお尋ねいたします。電源開発が国策として進められつつあることは申すまでもありませんが、今まで電源開発に対して、どういうような径路でこの電源開発が進められつつあるか、水力電気においてはどういう状態で、どのくらいの期間を置けばどういう結果が生れるであろう、また火力発電においてはこういうような計画を持つておるという大網を、まずお尋ねしたいのであります。今水産界においては、ただいま川村委員からも御指摘がございましたが、現在別当制の悩みが一つ。それからただいま冷蔵庫が政府の特融で着々建設されておるのでありますが、そこにおいてはこの資金難を克服して、水産庁が中心になつて政府資金を冷蔵庫建設に出してやろう。それでやれやれ何とかやれるという場合において、電力でつかえてしまう、こういう悩みが非常に大きいのでございます。この問題を解決するには、値上げ問題はもちろんでございますが、国の電源開発計画の大体を伺つておきませんと、この答えが出ないのではなかろうかと思いますので、その点をお聞きしたいと思います。
  65. 古池信三

    古池政府委員 ごく大要を申し上げたいと存じます。大ざつぱに申しまして、現在のところわが国の電力の供給力は水力、火力を一緒にいたしまして大体千百万キロでございます。一昨年以来五箇年計画を立てて、ぜひとも急速に増強したいというのが大体五百二十万キロとなつております。これは水力も火力も含めた数字でございます。そうしますと、従来に比べて約五割増しということに相なります。そこで計画通りに実現いたしますならば、三十二年度におきましては需給のバランスが少し足りない程度で大体とれる、こういう予想をしておるのであります。もつともこれは今後の需要の伸び方いかんによつて、非常に大きな影響を受けるわけでありますが、いろいろのデータから考えまして、五年後の三十二年度には、若干の不足はありますけれども大体バランスがとれよう、こういうつもりでおつたのであります。ところが二十九年度の予算におきましては、いわゆる財政投資が相当に減らされた。これによつて電源開発会社の工事あるいは各地の電力会社の工事が相当影響を受けるのではないか。と申しますのは、ただいま継続しております工事は、これによつてほぼ所定の工事ができますけれども、今後新規の工事が大幅に押えられる結果になる。これを心配いたしまして、何とか打開の道はないかと考えて、今苦心をいたしておるような次第であります。
  66. 小高熹郎

    ○小高委員 三十二年度になれば大体解決するということがわかつたのでありまするが、さすれば今回の値上げ問題につきましては、その間を政策的にどう解決するかということは、これは事務家よりも政治家として、政務次官あるいは大臣に負うところが非常に多うございますので、これらのことを政策的にひとつ御解決を願いたい。値上りはただいま千葉県等においても、農林漁業等大きな叫びになつておりますので、特にこの点を強調いたし質問を打切つておきます。     —————————————
  67. 夏堀源三郎

    夏堀委員 水産長官、外務省にお伺いいたします。昨年の暮れ以来日水専務であつた大西氏がソ連に参つて、何か北洋の漁業問題に関連して日ソ水産貿易というような形において何かしら計画を立てておる、こういうことを聞きました。過般の経済新聞に、はつきりと外務省及び水産庁がこれに何か了解を与えたかのように見えておりましたので、北洋問題が非常にやかましい問題になつておる折柄、この問題が実際はどういうようなことになつておるのか、これは当然知つておかなければならず、当委員会においても、この機会に、もしあつたならばどういう方法でやらせるのか、あるいはそれはまだ時期尚早であるというのか、また今後の方針とにらみ合して御説明を願いたいと存じます。
  68. 寺岡洪平

    ○寺岡説明員 私から御説明申し上げます。大西氏は実はパリに行かれるということで旅券を申請されまして、それがおりたわけでございます。しかるにその後新聞などで、ソ連に行つて漁業のことについて交渉をされるというふうなうわさを耳にいたしましたので、外務省に来ていただきましてお話を伺いましたところ、もしそういうことがあつて御迷惑をかけてはいかぬから、この旅行は思いとどまるということで旅券を返されました。従いまして本件は外務省といたしましては片づいたものと考えます。
  69. 清井正

    清井政府委員 大西氏が北洋関係会社を設立しておられることは私も知つております。過般ソビエトへ行かれて、いろいろ話をされたということも知つております。それがどういう話の内容であつたか、私も正確には聞いておりませんが、ソ連の領海関係で何か魚を買おうとかいうような話をしておられたようであります。しかしその後帰つてからの話によりますと、何ら話が進展しなかつた、こちらの話をして来ただけだ、こういうような話のようでございました。その後私としても、問題が国際関係の問題でございますし、北洋の漁業とも非常に関係がありますので、問題を十分注意いたしておりますが、何ら発展をしておるという話は聞いておりません。それで私の方としては何ら関知していない、こういうような状況でございます。
  70. 夏堀源三郎

    夏堀委員 かに工船は大洋漁業の白洋丸をチヤーターしてやる、さけ、ますの船はノールウエーから年賦のようなことで買い取つてやるというような具体的なことが書いてありましたが、全然それは関知しておらぬということであればそれでよいでございましよう。それでは今後ソ連に対しての漁業問題は、たとえばカムチヤツカの西海岸において、あちらの方で、それではひとつ提携してやろうじやないかという空気がもしあつた際に、政府としては、これに対してはどういう態度で臨むお考えでありますか。
  71. 清井正

    清井政府委員 ソ連の問題になりますと国際的な問題になりますので、その辺は単に水産庁だけの問題ではなしに、十分よく考えて行かなければならぬ問題があると思います。水産だけの見地から申しましても、現在カムチヤツカの東海岸で鮭鱒の流し網漁業をやつておるわけでありますけれども、その場合におきましても、私どもといたしましては、なるべく陸地より距離を離すようにという建前から、四十海里近く離れて用心をしておるような状況でありまして、鮭鱒の流し網漁業がソ連に影響を与えることのないようにという、細心の注意を払つて今までも来ておるわけであります。そこでかりにこれが西海岸の方で操業をしたいという御希望があるといたしましても、私どもといたしましては、これはソ連関係の漁業という全般的な見地からこれを見て、いろいろ判断いたさなければならぬと思うのであります。かつて日魯漁業がソビエトにおいてやつた経験があるのでありますが、これは漁業という見地と国際関係という見地とを両方あわせて、この問題については慎重に考えて行かなければならぬ問題であるというふうに考えておりまして、漁場問題については慎重に考えて参りたいと思います。
  72. 寺岡洪平

    ○寺岡説明員 ソ連との関係につきましては、御説明のようにまだ国交が回復されておりませんので、もしも漁船拿捕のような問題が起りますれば、政府として手を打つ方法がございません。従いましてソビエト近海において漁撈をすることにつきましては、今水産庁長官がおつしやいましたように、なるべく慎重にいたすように考えております。先ほどソ連側と日本の漁業会社との間に話が成立した場合はどうするかという御質問がありましたが、ソ連側といたしましては、これは政府でありまして、政府と漁業会社との話合いが成立するということはちよつと考えられないのですが、その場合でも、政府といたしましては、これを正式のソ連側の意思表示というふうにとるわけには参りませんので、外交交渉とすることができない関係から、慎重を期するということも程度問題ではありますが、その意味で、その場合は具体的な案につきまして検討いたしたいと考えます。要するにこれは事実問題として処理いたします関係上、比較的な問題でございますので、なるべく具体的に考えまして、できるだけ日本の業者の操業については便宜をはかると同時に、これを保護するという立場から考えて行きたいと考えております。
  73. 夏堀源三郎

    夏堀委員 この問題については政府は関知しておらぬ、こういうことに聞きとりました。よつてこの問題の見解がまだあるだろう、こう存じますので、いずれそのときにはそのときとしてまたお伺いすることにして、質問を打切ります。
  74. 淡谷悠藏

    淡谷委員 さいぜんの質問でございますが、例の独航船母船の問題につきまして、水産庁が現在どの程度許可準備として調査を進められておられるかどうか。特にその際、競争いたしました独航船母船から金を受けて、その母船に所属するような事実があるように承つておりますが、そういう点なども水産庁がお聞きになつておるならば、ひとつ御説明を願いたいと思います。特に私ども納得行きませんのは、母船はなぜ金を出してまでこういう独就航を自分の周囲に集めて許可を受けようとしておるか。母船になることによつて何かそれに相当する恩恵があるのか、こういう点を、忌憚のない長官の御意見を承りたいと思います。
  75. 清井正

    清井政府委員 北洋鮭鱒漁業の問題でございますが、これはわが国の現在の水産界全般から見ますと、かつお、まぐろなどと相並んで最も有望なる国際漁業の一つであると私は確信いたしております。御承知通り、沿洋漁業と底びき漁業といろいろ摩擦があるのでありますが、幸いにして現在のところ、かつお、まぐろの漁業はきわめて健全な発展をいたしておりますし、それから北洋の鮭鱒、流し網漁業もまた割合に成績をあげておる、こういうふうに見てさしつかえないと思います。ただ北洋鮭鱒漁業のうち、いわゆる母船式鮭鱒漁業と申しますのは、ただいまもお話がありました通り、カムチヤツカの東方海面において操業いたす関係上、私どもは対ソの関係等に非常に注意を払いまして、操業の海面等につきましても、十分注意を払つて来ておるのであります。本年で三年目でございます。今までは、一年、二年間は試験操業という名目で操業いたしましたが、過去二回の成績はきわめて良好な成績を実はあげておるのでありまして、従つて業界におきましても北洋鮭鱒の母船式漁業につきましては、重大なる関心を払つておられることは、私はあたりまえだと考えております。ただ問題が母船式漁業であります。しかしながら母船式漁業と申しましても、他の母船式漁業と違う特徴がありますことは、御承知通り、たとえばかつお・まぐろの母船六式漁業と申しますと、母船を有しますと、この母船許可を受けた範囲内でもつて独航船を自分で雇つて来るのが普通であります。ところがこの北洋鮭鱒、それから流し網漁業と申しますのは形を違えておるのでありまして、母船母船一つ会社が経営する。ところがそれに従つて行く独航船、いわゆるほんとうに流し網をおろして鮭鱒をとる独航船、この独航船は、いわゆる内地の底びきの転換という一つの名目をいたしておるわけであります。この母船独航船とが両々相まつて共同で出願をして、それに許可するというのが北洋母船式漁業の本質であります。そこで私たちは、最初に百六十隻という独航船をきめたのであります。これは昨年の操業実績その他操業海面等、十分専門家に勘案させまして、去年の状況、今年の状況を推移いたしますと、百六十隻の独航船北洋において操業し得るものであるという判断をいたしまして、百六十隻の独航船のまず数をきめたのであります。その数を過去二箇年間、またがつて戦前において北洋出漁しておりました経験のあるところの北海道、並びに東北各見に割当いたしたのであります。A県は何隻、B県は何隻というふうにずつと割当をいたしました。そこで県を通じまして、それぞれの県によつて資格ある独航船を選んでもらつたのであります。そこで百六十隻という独航船がきまつたのであります。そこで今度は母船の資格をきめなければならぬのであります。母船の資格につきましては、当初十幾つかの出願があつたのでありますが、これは私どもも昨年許可いたしました一定の基準に基づきまして、千トン以上の大きさでなくちやならぬとか、あるいはレーダーがあるとか、エバボレーターであるとか、医療設備であるとか、冷凍であるとか、あるいはカン詰の施設であるとか、そういうようにどうしても母船が備えておらなければならぬところの基本施設というものをきめたのであります。この基本施設に合格して、確かに母船式として資格を持つて申請してるものを選んだのであります。それが八社であります。八社の打つ独航船が、去年の独航船と比較して同等以上の成績を持つておる。従つてこの八社の申請する八つの母船は、これは北洋出漁し得る資格あるものであるという認定をいたしたのであります。それで今度その母船独航船のつなぎ合せの問題になつて来るのであります。本来ならば、普通の母船式漁業でありますと、母船許可しますと、母船独航船を連れて行くの、でありますが、これは母船独航船と共同経営でありますから、ほかの場合と違いまして、これは一定の母船については幾ら、一定の母船については幾らという独航船の数をきめまして、そうして両方で相談をして、契約を結んでこちらに出願して参るのであります。こういう形になつております。そこで私どもは、八出願会社のうちいわゆる去年出ておりました実績三社があります。これは御承知通り過去二箇年間いわゆる開拓者的精神をもつて出ておりますし、実績を持つておるのであります。経験もあるのであります。従つてこれを新しく出願するものと何らか差をつけた方がよろしいという判断に基きまして、去年実績のありました三社につきましては、船も割合に大きいのでございますから、それに百隻を割当てたのであります。百隻のうち、それぞれ船によつて数をきめまして、実績三社には百隻を与える。残りの六十隻につきまして、いわゆる最高二十隻でもつて出願して来るように、但し、出願した独航船の数があまりにも少くて、母船経営上不適当と認められた場合には、許可しないことになるという条件をつけて出願させたのであります。そこでそれが一月末日までに実際に三社が出願を終了し、二月十日に新しい船団が出願をした、こういう状況であります。ところがこれは母船独航船との契約であります。どういう契約を結ばれるかは私どもの関知するところではないのであります。これは、独航船がこの母船につきましたということで正式に許可してくださいというふうに申請して来れば、私どもは形式的に正しければそれを認めざるを得ない立場にあります。金を出したか出さぬかということは、おそらく母船独航船に前渡金と申しますか、操業資金の前渡金をやつたのではないかと思います。おそらく操業する場合には金がかかりますから、その場合には一部先貸しするのではないかと私ども思うのでありますが、実際はこれは母船と独航との話合いでありますので、役所のタツチする筋合いでございませんので、私どもタツチしておりません。そこでお互いに自分の方で独航船を獲得するのに競争されましたために、一つ独航船について、二つ三つの母船会社が競争しまして、私の方へ来い、私の方へ来いといつて競争されたのではないかと思います。そこで話が厖大に伝わりまして、あの会社幾ら出した、この会社幾ら出したということまで私の耳に入つて参りましたが、それはおそらく想像がつかないような大きな金が出ますから、これはデマや宣伝ではないかと思います。そういうことで非常に競争された、その結果が実は百隻は旧船団がとつて、あとの六十隻を新しい母船側が競争されると思つたところが、実はちよつと違いまして、せつかく実績船団、これは許可が出ておるから実力があるものだと思つたところが、実際は百隻は獲得できなかつたのであります。ダブツてしまつたのでありまして、その点がこの間から国会でたびたび御批判の的になつておりますが、二重に契約したものをなぜ認めるかということになつておりまして、競争の経過考えてみますと、母船側も独航船について相当競争されたことがある。従つて独航船が悪いのでもなければ母船側が悪いのでもない。悪いといえば両方悪いと思います。その点役所が悪いという御批判もあつたのでありますが、そういう実態でありました。そこで、二月十日までに申請して来たところが、百六十の独航船のうち二十ばかりダブつたのであります。二十だけは形式的には私どもに有効であります。しかしすでに許可した船団にも申請をいたします。新しい船団にも申請をいたします。両方出しておる。両方どつちがいいか私どもには判断がつかないのであります。公正に競争しろといつた手前、もしもこれがどつちか、お前の方はどうだといいますと、やはり片方有利になりますので、両方に許可した。新しい先の船団、一月末日までに済みまして許可した船団にそれに許可したものは、もうあとにつくものは認めないということになると、あまりにも去年出た三船団に有利になり過ぎると思いましたので、そこは公正にやる。二月十日までに申請があつて、そこでダブつたものがあれば、独航船の船主にどつちへつくのですかということを聞いて、最後的に独航船の配属をきめましようということを申し上げたのであります。もちろんその前になるべくダブつた独航船と船主側と相談していただければ一番いいことであります。しかしお互いに独航船をよけいとりたいという御希望があるものですから、話がつかないのであります。そこでしようがないから、先般私の方へ独航船の船主を呼びまして、あなたは一体どちらにおつきになるのですかということを聞いたのであります。そこでこの前松田委員の御質問にお答え申し上げましたが、結局旧船団は百隻を割当てたのに、たしか七雙がなくなりまして、九十三雙になつた、そして七つが新しい船団の方へまわつたわけであります。そこで最後の結果は、ただいまのところでは函館公海漁業極洋捕鯨と太洋冷凍母船の三つが残つてつて許可したのは日隻と北海道漁業公社であります。これは当初二十ずつ持つて参りましたが、その後一つずつ減りまして十九、十九になつております。あとの太洋冷凍母船が十四であります。函館公海漁業が八隻であります。それから極洋捕鯨が現在一隻未定がありますから、六隻か七隻になると思います。そういうような状況になつておるのが現状であります。そこで私どもは、この現状に対しましていかに措置するかということにつきまして、目下研究をいたしておるのでありますが、ただいま函館公海漁業極洋捕鯨一つ母船で一緒になつて操業しよう、そうすれば十四か十五の独航船になるわけでありますから、完全に操業ができるという判断のもとに、両者において合同の手続が行われておりますが、私どもといたしましては、この問題について関心を持つておりまして、その問題の推移を見ながら最後的決定をいたそうと思つて、現在推移を見ておるというのが実態なのでありまして、結局北洋漁業というものは非常に有望な漁業ということによつて、各関係の方が非常に熱心に出漁を希望しておられる事実のあることは、その通りであります。また先ほど御質問にありましたところの、各母船が非常に金を使つて競争しているそうだというお話がありましたが、うわさですからよくわかりませんが、かりにあつたといたしましても、いわゆる先渡しの金ということであろうし、おそらく各母船が競争されたので、そういうふうになつたのであろうと思いますが、この点は母船独航船の問題でありまして、私どもは関知していないので、その詳細はわかつておらない、こういうふうな状況であります。
  76. 淡谷悠藏

    淡谷委員 ただいまお話で大体わかりましたが、なお私の納得の行きませんのは、試験操業の時代には危険が伴うし、利益はつきりいたしませんから、これはあまり疑獄的なにおいはしないと思います。但し実際にこの仕事が有利なものになつて来れば、自然その利権に伴うさまざまな願わしからざる結果が出て来ることになると思いますので、ひとつ水産庁としても十分に御注意願いたいと思うのであります。特にこの母船独航船確得のためには、まるでわれわれの選挙以上の競争が行われまして、さつき夏堀委員から聞いたところによりますと、一そうの独航船に一千万円を投じたという事例があるそうであります。もう一つ、小笠原大蔵大臣が葉書に麗々しく名前を刷つて、それでこの独航船確得の運動をやつておる事実の資料を見ております。これは自由党総務会に呼びつけられまして、どういうことに納得をされたか知りませんけれども、まだ現在は夏堀委員が持つておるはずでございます。こういうように現職の大臣までがこうした独航船確得の中に巻き込まれるようであつては、これはやはり深い疑惑を招く一つの原因になると思いますので、もし水産庁長官がお気がついておられないならば、こういう事実も存在するということを念頭に置かれて、残つたこの漁船許可決定の前に、ひとつ慎重に御調査あるいはさまざまの御配慮を願わしいと思うのであります。それだけ申し上げておきます。
  77. 田口長治郎

    田口委員長 辻文雄君。
  78. 辻文雄

    ○辻(文)委員 北洋漁業については、きようばかりじやない、水産委員会のたびに問題が出て参ります。その点きようは松田委員が、愛党精神と粛正と並行して質疑を行われたようでありますが、私どもから言わせれば、たとえば長官が慎重に今後残つておる許可をされたとしても、そのうちに何らかの疑惑があるという世間からの輿論があるとするならば、あなた方も非常に御迷惑だと思う。同時に松田委員の御発言のように、私ども自体、水産委員会としても、今日のような疑惑の最中ですから、デマが飛ばなければけつこうであるけれども、飛んだ場合ははなはだ迷惑である。同時に、さつきの松田委員の温情ある言葉とともに、今後かような問題を未然に防ぐという意義を生かすためにも、私は委員長申し上げるが、委員会自体も調査することが必要だと思う。そうして今後こういう問題が他の法案の審議にじやまにならぬように、どこかでけりをつけて、お互いが納得が行くように結論を出したい。かように存じますので、私が申し上げたこの趣旨に沿つて委員長が善処していただくことを要望いたします。
  79. 田口長治郎

    田口委員長 承知しました。
  80. 川村善八郎

    ○川村委員 北洋母船式さけ、ます漁業については、いろいろ今日まで議論もございましたし、長官が苦慮されておることも私は非常に気の毒なので、実はもう質問をしないという考えでありましたが、先ほど松田君の発言に対する最後の結びというものが、どうも私にはピンと来ない。ということは、一生懸命に大洋をたたきつけて、函館公海をたきつけて最後に極洋捕鮮が共同出願するならばいいといつたような結び方でございますが、この点にはどうも私は承服できない。それから長官の今までとつて来られた態度と、ここにおいての答弁とは、またこれも食い違いがある。私はもう、許可をするか、いわゆる母船経営が成り立たないというものを切るか、この二つだと思います。極端に言うならば、六船団許可、して二船団を切るか、さもなければ八船団全部を許可するか。こうでなければ、どうも水産庁で出しました方針と沿わないし、長官の御答弁あるいは平野農林政務次官の御答弁とはまつたく違つた方向に行つている。これは明らかにしなければいかぬじやないか。とにかく長官の善処と委員諸君の善処を促したい。以下これは持論になりまするけれども、参考のために申し上げます。  先般も私申し上げましたが、この要綱というものは、当時こんなに混乱するとはおそらく長官考えておらなかつたでありましようし、水産当局は全部そうであつたと思います。ところで私たちは、こんな方針を出すと必ず混乱する、百隻割当てた旧船団でとれない事態が来る、あるいは削つたために残余の母船団に対してもいろいろ複雑な事情ができるから、こういうことに方針が出されたけれども方針はこうだということを告示か指示で関係都道府県や独航船にただちに通告をすべきであるということで、勧告的な意見を申し上げたのでございますが、それをやつたかどうかわかりませんけれども、実際にわれわれの予想した通りになつてしまつたのであります。そこで新聞発表になりました水産庁の本年度の北洋母船式さけ、ます漁業についての方針は、先般も申し上げたが、第一項は、今年の北洋さけ、ますの許可は、昨年同様に各船団ごとに母船側と独航船側との共同出願に対して行う。これはいい。第二項には、母船としての最低の適格要件がうたわれております。第三項には、その条件に基いて行きますと、左記の八船団が出願するところの権利があるというふうになつております。第四項には、前記三のうち実績船の三船団、すなわち大洋と日魯と日水に対しては、大洋には三十六隻、日魯には三十隻、それから日水には三十四隻をはつきり割当てております。そこで水産庁の検査合格済みの独航船中より該当隻数だけ所属契約を結んで、これを証明する書面とともに一月の末日までに申請をする、こうなつております。そこでそういうふうに申請した。ところが第五項に、「残余の申情船については、水産庁検査合格済の独航船と所属契約を結び之を証明する書面と共に二月一日から同月一〇日までの間に申請すること。この場合一母船に対する附属独航船数の最高限度は二〇隻とし、所属独航船数が少く、母船経営に不適当と認められる場合は許可しないことがある。」第六項には調査船のことが出ているが、これに対して松田君も私も警告的発言をして、こういう混乱を防ごうとしておるのでありますが、さて今度はこの質問に対して長官はこう答弁しておる。松田君の発言から申し上げますと、「私はさきの水産委員会において水産長官に対して、警告といおうか、また参考意見といおうか、意見を申し述べ、川村委員もその他の委員もそうした意味の意見を申し上げてあつたはずであります。この二十九年度の北洋母船式さけ・ます漁業許可方針から行きまして、昨年の実績会社会社に対しては一月の三十一日が独航船と共同の許可申請をする期日になつており、これが提出されて許可になつたことと存じます。」以下省略いたします。そうして清井長官はこの松田君の質問に対して、「ただいま御質問のありました点でございますが、お話通り最初の一月末日までに申請をすることになつておりました昨年の実績三社の分はすでに許可してあります。」こう答弁しております。そうすると、百隻というものを許可しておるということを、はつきりあなたは言明しておる。さらに長官は、松田委員質問に対してこういうことも答弁しております。「残る六十隻を新しい船団のために充てました。しかもそれぞれの母船は、一母船につき二十隻を最高限度とするということをつけ加えまして、しかもなお所属独航船の数が少くて母船経営に不適当と認める場合は許可しないことがあるということをはつきりとつけ加えてあるのであります。しかもこの点は、この方針を発表いたしますると同時に、関係会社の方々に全部私のところへ来ていただいて、いろいろ御懇談を申し上げたのであります。そのときにも、私から、この所属独航船が少くて母船経営に不適当と認められる場合は許可しないこともあるという言葉は、そう弾力性のあるものではないというふうに私は考えておるということをはつきりと申し上げてあるわけであります。」こう言つている。それから平野政務次官は、これも松田君の質問に対する御答弁でありますが、「詳細はただいま水産庁長官から御説明申しました通りでありまして、それにつけ加うべきものは何らございません。ただこれは常識で判断いたしまして、百六十隻の独航船に対して、すでに実績の三社を許可し、ただいま百隻きまつておるわけでありまして、残余の六十隻を五船団で争奪される、こういうことであれば、どうしてもこれは無理があるわけでありまして、おのずからある程度の規制もやむを得ないのではないか、かように考えざるを得ないわけで、」というふうに答弁をしている。それから、しつこいようでありますが、私の質問に対しましても、長官はこういうふうに言つている。「端的に何隻を出す腹であるかという趣旨の御質問でありますが、先に新聞にも発表いたしましたし、現にただいまの御質問の中にもあつたわけでございますが、私どもはこの方針によつて、ただいま業界からの出願の実情を見守つているという状況であります。いわゆる実績を持つている船団には百隻を割当てましたため、新しい船団に対しましては六十隻しか残つていないのであります。」こう言つている。そうしますと当時長官は、もう百隻というものは三社に割当てたから、これは許可したのだということを言つております。この水産委員会に、いわゆる国会に、そういうことを報告している以上は、三社に対してはつきり百隻をやらなければならぬ義務があるのだと私は思う。それははつきり前回の委員会において言つている。ところが今になつて、さあとれなかつたとか、あるいはこういう競争があつたとか言つてのがれておりますけれども、当初はそういう気持で、百隻というものを実績のある三船団にやつている。そうしますと、結局あとの五船団で競争させて、上からとりますと、いわゆる日魯の第二船団と北海道漁業公社と大洋冷凍母船の三船団許可してしかるべきだ。あとの二船団は切るか切らないかということは、母船経営が成り立つかどうかという判定によつて許可すべきであつて、当初の考え通り行くならば、あなたは必ず六船団より出さないという腹であつたのに、今あなたがぐらぐらするから、さあおどかされたり、それから党の幹部があなたにどういう圧迫を加えたか加えないかはわかりませんけれども、とにかく八船団を共同させても、松田君の意見から言つても出すことになる。そうするならば、共同させて無理をしてけんかさせるよりも、最初から八船団出せば一番問題はない。それでありますから切るか出すかということです。それは許可方針に基いても、そういうことをはつきり良心的にうたつてあるのでありますから、やはり私の言う通り切るか、あるいは期日が、一月三十一日までの申請で、以後は許可しないのであるか、これははつきりきめてしまつて、それからあとの五船団の残余の六十隻に対しては競争させて、母船に所風船がつかなくて経営が成り立たなければ切る——私は切れとは申し上げませんが、結局混乱させて、そして何かの圧迫を受けて長官がぐらぐらして、今度共同させてでも許可しなければならぬ。一体この方針からいつて、つまり母船の共同をさせるということになると、書数が全部事務的にかわらなければならぬはずです。委任状もわかつて来る。それから母船の要望も、どこそこの会社の何々丸に付属独航船としてついて行きますという書類になつておりますから、母船がかわればおのずから今度書願がなければならぬ。そうしますと、書類をかえて出すということになると、いわゆる二月十日までという期間が切れる。つまりあなたが新しく共同させて出すということになれば、今度新しい書願になる。新しい書類になると、一体この残余の分の二月一日から二月十日までという期間に支配される。その後に出したものは無効だということになる。ですから私の言うのは、それを固執するのじやありませんけれども、あまりに漁業方面を騒がしてしまつて新聞にあなたのほかに三、四人首にするとかしないとか、あるいは今度は水産疑獄ができたかといつたようなことが出て、われわれも非常に迷惑しておるのです。ですから私は松田君の意見を決して否定するものではありませんけれども、でき得るだけ早く、期日を切つてあなたの方で決意さえあればついて来る。いついつかまでに共同出願して書類を出さなければ切りますぞと言つてごらんなさい。極洋でも函館公海でもただちにまとまるのです。あなたの方で、意見を聞きますからまあまとめなさいなんてやわいことを言つているから、その間金を使いいろいろな疑惑を生んで、そして政治屋も仲間に入らなければならぬ、こういうふうな混乱になるのだ。要は長官の決意いかんによつては早くまとまるのだ。われわれはこういう混乱から一日も早く脱却して、そして笑つて北洋漁業に出漁させる方がいいんだということから行くと、松田君の最後の結びというものには、決して私は反対するのではない。ですから理論から行くと、私当初に申し上げた通り、いわゆる八船団許可するか、つまり落第点に達しておるものを切るか、この二つなんだ。しかし私は議論をどこまでも主張するものではございませんけれども、とにかく一日も早くこれは解決つけなければ、迷惑するのはあなた方とそれからわれわれだ。われわれは党の幹部から何か言われるとやはり反発したい。それがために党内もおかしくなる。同僚同士もやはりいろいろな問題で摩擦を生じなければならぬというようなことになる。いろいろこのほかにも申し上げたいことがありますけれども、これはあとで松田君と私と相談することもありますが、現に北海道漁業公社に二十隻許可になつた。そのうちに二隻も三隻も重ねて来た。われわれが書類を出す間には一隻も重なつていなかつた。ところがあとから出て来たものは重ねて来たのだ。これは極洋が重ねて来たのだ。ところが今度独航船意見を聞くなんてやつこいことを言つているから、あつちへ行きこつちへ行つて金を出さなければならぬ。そして今度は不正が——不正でないかもしれぬけれども、忌わしいことを世間の耳にするということでありますので、こういうことは一時も早く解消して、第三年目の本格的操業にはなばなしく出漁さして、皆さんを喜ばせるには、やはり長官の決意も早くして、まとめることが必要じやないかということを私はつけ加えまして、私の意見でございますから長官の御答弁はいりません。どうかすみやかに解決つけて行くようにお願いいたす次第であります。
  81. 松田鐵藏

    松田(鐵)委員 今川村委員から非常にりつぱな意見が出て敬服しておるのでありますが、私の意見というものは、先ほど申したように、この八船団のうちに函館公海というものは船によれば適格船であろうけれども、私の調査から行くと会社自体が不適格なものであるという立場において議論しておるのであります。そこでその点をはつきりすることが将来の水産行政の面から見ても好ましいことであろうと考えるので、辻委員が、当委員会においてもこの調査を進めるような御意見があつたのでありまするが、私どももその点に対して、将来の災いの来ないようにこの点を当委員会においても調査を進めて、水産庁行政の面に悪い結果をもたらせたくないという考え方でありますから、委員長も了承されたのでありますが、どうかこの点はひとつ至急に調査方法を講ぜられんことを希望いたします。
  82. 淡谷悠藏

    淡谷委員 この問題は個人的の利害を離れて処理しなければ、あとでどうせ疑惑を残すと思います。これは私は一隻も船を持つておりませんから、一番利害関係もなし、また党の立場からいつても何ら圧迫も受けておりませんので、はつきり申し上げますが、すでに昭和二十九年度の北洋母船式鮭鱒漁業許可というものがわれわれに提示されておりますので、第一段として、この方針にのつとつて申請されているこの八の母船がはたして適格であるかないか、このことを委員会としても責任を持つて十分調査の上まず決定することが第一条件だと思います。それによつてその事後の処置、六十隻の独航船あるいは独航船をとるについて不正があつたかなかつたか、この点までも水産委員会は、一旦世間疑惑を受けておるのでありますから、この委員会責任として、厳重に考えて、公正に処理されるように、私は意見を申し上げておきます。
  83. 清井正

    清井政府委員 ただいままでに各委員らいろいろな角度からいろいろ御批判を受け、あるいは御注意、御鞭撻を受けたのであります。御鞭撻を受けました点につきましては、ありがたく拝聴いたしました。私は今までいろいろ各母船より出願がございましたが、終始事務的に最も公正だという見地に立つて処理をして来たつもり、であります。また今後もその立場から処理いたしたいと思つておるのでありますが、残念ながら最後になりまして、なかなか思うように行かないで、私自身非常に残念だと思つておるのでありますが、一日も早くこの問題は処理いたしたいと思つているのであります。なおただいま淡谷委員からお話がございました、母船がはたして適格であるかどうかということについて調査するということであります。委員会において調査をおやりになることは、むろんけつこうでございますが、ただこの点は私が先ほど申し上げました通り、昨年とまつたく同じ基準なのであります。船が一千トン以上であること、あるいは冷凍なりあるいはカン詰の施設を持つていること、いろいろな施設の設備基準がございまして、この基準は昨年とまつたく同じなのであります。それから会社につきまして問題がございます。が、たとえば先ほど松田委員お話になりました函館公海漁業という会社は、今年初めて出願した会社ではございません。昨年も出願しておるのであります。これは私聞くところによりますと、函館市というものが、昔非常に北洋漁業の栄えた所だつた。ところが最近ちつとも栄えない。何とかして函館を繁栄させたいという見地から、函館関係の漁業者並びに函館市の人々が中心となりまして、かつて北洋漁業に出漁した方々が中心となつてこの会社をつくられたものだというふうに私は聞いておるのであります。これは昨年も出願して来ておる会社でありまして、今年初めて出願したものではないのであります。昨年は船は持つておりませんでしたが、今年は船ができまして、二千三百トンの第三共同丸という船を持つておりますので、形式的に何らさしつかえないという見地に立ちまして、私どもはこれは適格船であるということに自主的判断をしたということでありますので、松田委員からもいろいろお話がありましたが、私の判断だけを一応申し上げておきます。
  84. 田口長治郎

    田口委員長 辻委員の動議につきましては、明日理事会を開きまして、調査事項その他具体的の相談をいたしたいと思いますので、さよう御了承願います。  第二に、昨日各党から一名ずつ御苦労願いまして、二十八年度及び二十九年度の代船建造資金増額につきまして、農林漁業金融公庫総裁とお目にかかつたのでございます。その第一点は、今ちようど各部門の調整をやつておる、こういうような時期でありましたから、調整された上で、多少でもどこかに余裕があれば、これは全部こういう事情だから代船建造の資金の方にまわしてもらいたい、この問題が一つ。それから二十九年度のこの資金額と需要量との関係でございますが、需要効率といいますか、この比率の問題を考えてみますと、二十九年度水産が十五億、しかるに二十八年度の状況を見ても、二十四億程度の申し込みがあるのでございまして、大体四十五%強ぐらいになつております。しかるにほかの部門では九〇%程度まで充足をしているような部門もあるように聞いておりますから、資金全体の総わくが小さいということはやむを得ませんけれども、少くとも乏しきを公平にわかつような意味におきまして、ある程度の充足率を地ならしをする必要がある。そのためには、公庫で認めておりますところの各事業部門別の借入れ申請額と、実際のわくとを比較した、いわゆる充当率がわかるような資料がほしいのでございますけれども、昨日は個人的にはどうも資料を出すわけには行かない、こういうような事情がございましたから、先ほど理事会でいろいろ研究いたしました結果、委員会の総合的意思といたしまして、公式にその資料を提出していただく、こういうことをきめた次第でございますが、さように取扱つて御異議はございませんか。   〔「出議なし」と呼ぶ者あり〕
  85. 田口長治郎

    田口委員長 御異議がないようでございますから、かように取扱います。本日はこの程度にとどめ、次会は公報をもつてお知らせいたします。本日はこれにて散会いたします。    午後一時四十二分散会