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清井政府委員 北洋鮭鱒漁業の問題でございますが、これはわが国の現在の水産界全般から見ますと、かつお、まぐろなどと相並んで最も有望なる国際漁業の
一つであると私は確信いたしております。御
承知の
通り、沿洋漁業と底びき漁業といろいろ摩擦があるのでありますが、幸いにして現在のところ、かつお、まぐろの漁業はきわめて健全な発展をいたしておりますし、それから
北洋の鮭鱒、流し網漁業もまた割合に成績をあげておる、こういうふうに見てさしつかえないと思います。ただ
北洋鮭鱒漁業のうち、いわゆる
母船式鮭鱒漁業と申しますのは、ただいまも
お話がありました
通り、カムチヤツカの東方海面において操業いたす
関係上、私
どもは対ソの
関係等に非常に注意を払いまして、操業の海面等につきましても、十分注意を払
つて来ておるのであります。本年で三年目でございます。今までは、一年、二
年間は試験操業という名目で操業いたしましたが、過去二回の成績はきわめて良好な成績を実はあげておるのでありまして、従
つて業界におきましても
北洋鮭鱒の
母船式漁業につきましては、重大なる関心を払
つておられることは、私はあたりまえだと
考えております。ただ問題が
母船式漁業であります。しかしながら
母船式漁業と申しましても、他の
母船式漁業と違う特徴がありますことは、御
承知の
通り、たとえばかつお・まぐろの
母船六式漁業と申しますと、
母船を有しますと、この
母船が
許可を受けた範囲内でも
つて独航船を自分で雇
つて来るのが普通であります。ところがこの
北洋鮭鱒、それから流し網漁業と申しますのは形を違えておるのでありまして、
母船は
母船で
一つの
会社が経営する。ところがそれに従
つて行く
独航船、いわゆるほんとうに流し網をおろして鮭鱒をとる
独航船、この
独航船は、いわゆる内地の底びきの転換という
一つの名目をいたしておるわけであります。この
母船と
独航船とが両々相ま
つて共同で出願をして、それに
許可するというのが
北洋母船式漁業の本質であります。そこで私たちは、最初に百六十隻という
独航船をきめたのであります。これは昨年の操業
実績その他操業海面等、十分専門家に勘案させまして、去年の状況、今年の状況を推移いたしますと、百六十隻の
独航船は
北洋において操業し得るものであるという判断をいたしまして、百六十隻の
独航船のまず数をきめたのであります。その数を過去二箇
年間、またが
つて戦前において
北洋に
出漁しておりました経験のあるところの北海道、並びに東北各見に割当いたしたのであります。A県は何隻、B県は何隻というふうにずつと割当をいたしました。そこで県を通じまして、それぞれの県によ
つて資格ある
独航船を選んでもら
つたのであります。そこで百六十隻という
独航船がきま
つたのであります。そこで今度は
母船の資格をきめなければならぬのであります。
母船の資格につきましては、当初十幾つかの出願があ
つたのでありますが、これは私
どもも昨年
許可いたしました一定の基準に基づきまして、千トン以上の大きさでなくちやならぬとか、あるいはレーダーがあるとか、エバボレーターであるとか、医療設備であるとか、冷凍であるとか、あるいはカン詰の施設であるとか、そういうようにどうしても
母船が備えておらなければならぬところの基本施設というものをきめたのであります。この基本施設に合格して、確かに
母船式として資格を持
つて申請してるものを選んだのであります。それが八社であります。八社の打つ
独航船が、去年の
独航船と比較して同等以上の成績を持
つておる。従
つてこの八社の申請する八つの
母船は、これは
北洋に
出漁し得る資格あるものであるという認定をいたしたのであります。それで今度その
母船と
独航船のつなぎ合せの問題にな
つて来るのであります。本来ならば、普通の
母船式漁業でありますと、
母船を
許可しますと、
母船が
独航船を連れて行くの、でありますが、これは
母船と
独航船と共同経営でありますから、ほかの場合と違いまして、これは一定の
母船については
幾ら、一定の
母船については
幾らという
独航船の数をきめまして、そうして両方で相談をして、契約を結んでこちらに出願して参るのであります。こういう形にな
つております。そこで私
どもは、八出願
会社のうちいわゆる去年出ておりました
実績三社があります。これは御
承知の
通り過去二箇
年間いわゆる開拓者的精神をも
つて出ておりますし、
実績を持
つておるのであります。経験もあるのであります。従
つてこれを新しく出願するものと何らか差をつけた方がよろしいという判断に基きまして、去年
実績のありました三社につきましては、船も割合に大きいのでございますから、それに百隻を割当てたのであります。百隻のうち、それぞれ船によ
つて数をきめまして、
実績三社には百隻を与える。残りの六十隻につきまして、いわゆる最高二十隻でも
つて出願して来るように、但し、出願した
独航船の数があまりにも少くて、
母船経営上不適当と認められた場合には、
許可しないことになるという条件をつけて出願させたのであります。そこでそれが一月末日までに実際に三社が出願を終了し、二月十日に新しい
船団が出願をした、こういう状況であります。ところがこれは
母船と
独航船との契約であります。どういう契約を結ばれるかは私
どもの関知するところではないのであります。これは、
独航船がこの
母船につきましたということで正式に
許可してくださいというふうに申請して来れば、私
どもは形式的に正しければそれを認めざるを得ない
立場にあります。金を出したか出さぬかということは、おそらく
母船が
独航船に前渡金と申しますか、操業
資金の前渡金をや
つたのではないかと思います。おそらく操業する場合には金がかかりますから、その場合には一部先貸しするのではないかと私
ども思うのでありますが、実際はこれは
母船と独航との話合いでありますので、役所のタツチする筋合いでございませんので、私
どもタツチしておりません。そこでお互いに自分の方で
独航船を獲得するのに競争されましたために、
一つ独航船について、二つ三つの
母船会社が競争しまして、私の方へ来い、私の方へ来いとい
つて競争されたのではないかと思います。そこで話が厖大に伝わりまして、あの
会社は
幾ら出した、この
会社は
幾ら出したということまで私の耳に入
つて参りましたが、それはおそらく想像がつかないような大きな金が出ますから、これはデマや宣伝ではないかと思います。そういうことで非常に競争された、その結果が実は百隻は旧
船団がと
つて、あとの六十隻を新しい
母船側が競争されると思
つたところが、実はちよつと違いまして、せつかく
実績三
船団、これは
許可が出ておるから実力があるものだと思
つたところが、実際は百隻は獲得できなか
つたのであります。ダブツてしま
つたのでありまして、その点がこの間から
国会でたびたび御批判の的にな
つておりますが、二重に契約したものをなぜ認めるかということにな
つておりまして、競争の
経過を
考えてみますと、
母船側も
独航船について相当競争されたことがある。従
つて独航船が悪いのでもなければ
母船側が悪いのでもない。悪いといえば両方悪いと思います。その点役所が悪いという御批判もあ
つたのでありますが、そういう
実態でありました。そこで、二月十日までに申請して来たところが、百六十の
独航船のうち二十ばかりダブ
つたのであります。二十だけは形式的には私
どもに有効であります。しかしすでに
許可した
船団にも申請をいたします。新しい
船団にも申請をいたします。両方出しておる。両方どつちがいいか私
どもには判断がつかないのであります。公正に競争しろとい
つた手前、もしもこれがどつちか、お前の方はどうだといいますと、やはり片方有利になりますので、両方に
許可した。新しい先の
船団、一月末日までに済みまして
許可した
船団にそれに
許可したものは、もうあとにつくものは認めないということになると、あまりにも去年出た三
船団に有利になり過ぎると思いましたので、そこは公正にやる。二月十日までに申請があ
つて、そこでダブ
つたものがあれば、
独航船の船主にどつちへつくのですかということを聞いて、最後的に
独航船の配属をきめましようということを申し上げたのであります。もちろんその前になるべくダブ
つた独航船と船主側と相談していただければ一番いいことであります。しかしお互いに
独航船をよけいとりたいという御希望があるものですから、話がつかないのであります。そこでしようがないから、先般私の方へ
独航船の船主を呼びまして、あなたは一体どちらにおつきになるのですかということを聞いたのであります。そこでこの前
松田委員の御
質問にお答え申し上げましたが、結局旧
船団は百隻を割当てたのに、たしか七雙がなくなりまして、九十三雙にな
つた、そして七つが新しい
船団の方へまわ
つたわけであります。そこで最後の結果は、ただいまのところでは
函館公海漁業と
極洋捕鯨と太洋冷凍
母船の三つが残
つてお
つて、
許可したのは日隻と北海道漁業公社であります。これは当初二十ずつ持
つて参りましたが、その後
一つずつ減りまして十九、十九にな
つております。あとの太洋冷凍
母船が十四であります。
函館公海漁業が八隻であります。それから
極洋捕鯨が現在一隻未定がありますから、六隻か七隻になると思います。そういうような状況にな
つておるのが現状であります。そこで私
どもは、この現状に対しましていかに
措置するかということにつきまして、目下研究をいたしておるのでありますが、ただいま
函館公海漁業と
極洋捕鯨が
一つの
母船で一緒にな
つて操業しよう、そうすれば十四か十五の
独航船になるわけでありますから、完全に操業ができるという判断のもとに、両者において合同の手続が行われておりますが、私
どもといたしましては、この問題について関心を持
つておりまして、その問題の推移を見ながら最後的
決定をいたそうと思
つて、現在推移を見ておるというのが
実態なのでありまして、結局
北洋漁業というものは非常に有望な漁業ということによ
つて、各
関係の方が非常に熱心に
出漁を希望しておられる事実のあることは、その
通りであります。また先ほど御
質問にありましたところの、各
母船が非常に金を使
つて競争しているそうだという
お話がありましたが、
うわさですからよくわかりませんが、かりにあ
つたといたしましても、いわゆる先渡しの金ということであろうし、おそらく各
母船が競争されたので、そういうふうにな
つたのであろうと思いますが、この点は
母船と
独航船の問題でありまして、私
どもは関知していないので、その詳細はわか
つておらない、こういうふうな状況であります。