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松田(鐵)
委員 長官の考え方はわかりました。八隻でも母船の経営というものは技術的にや
つたら成り立つという考え方を持
つておられるようでありますが、さて百六十隻の独航船が、われわれはその個々の独航船に対して
許可を無条件に与えたものとは考えていないのであります。六百隻からの
申請者がありまして、これらの中から百六十隻というものが
水産庁の方針によ
つて与えられたものである。しからばこの百六十隻という独航船は、六百隻の出願した者の代表として及第したものである。よ
つて独航船の品位というものも、漁民の自粛という点からい
つても十分考えなければならないということは前にも申し上げた。しかし八
船団の母船というものに対してこの人人が八隻や七隻でも
つてこの母船を出さなければならないという議論はどうしても受取れない。独航船も漁民の総意というものを蹂躙している。しかもまた母船側の考え方も蹂躙している。漁業法の精神からい
つても、こういう問題は
水産庁の行政の問題ではない。もつと高度の、漁業法の精神からこれを考えて行かなければならないものと私は考える。
水産庁の行政も、漁業法の建前からい
つて、すべての日本の行政を考えて行かなければならないものと考えているのでありますが、八隻、七隻でもって、
長官が持
つている独航船に対する考えをも
つて、二
船団を
許可するというようなことがあ
つたならば、一体本年の
水産庁の北洋漁業というものに対してどういう問題が起きるかということを、あらかじめ目をつけておいていただかなければ、なかなか容易な問題ではないという考え方を私は持つのでありますが、そうなると国会の審議というものが必要に
なつて来ると私は考える。これは
ほんとうに大きな問題と思います。行政の面にわれわれはタツチすべきじやない、しかし漁業法そのものの精神からい
つて、あわせて国会が審議する権限を持
つている。こういう点が政治問題として当
委員会が審議して行かなければならない問題と私は考えている。こうして行
つた場合において、もし八隻ないし七隻の船に対して母船を
許可するということはあり得ないことだと私は断定する。そこでしからばこれをどういう方法にするか。
長官も苦慮されておることと思う。
新聞にあるように共同出願というものは最後の手に残されたものと思う。これはわれわれの考え方ではない。
長官は御苦労なさ
つて、どういうふうにわれわれに報告でき得るかという報告の義務があることだろうと思うのであります、今までの論議から行きまして。さてそこでもし仮定として八そう七そうが共同出願をした場合を考えるときにおいては、私はここで意外なものを発見したのです。実は、今日の
水産委員会があるので、その
調査をすべく昨日函館公海に行
つて見たところが、函館公海の議論というものは、私どもでは何もわからないのだ、全部大洋がや
つておるのだということであります。それから極洋へ、私は会
つたことはないのだが行
つてみた。ところが共同出願するということをお互い話し合う相手がだれかというと、社長じやない、中部謙吉なんだ。しかもこの
新聞にはこうして大洋中部社長の仲介の労というものが現われておる。か
つて夏堀委員が、日魯が
自分ばかり手前が
つてに二
船団も出す。不都合だと言
つてお
つた。ところが日魯ははつきりと二
船団を日魯漁業の名前にして出して来ておる。ところが名前は函館公海で、すべての問題は大洋漁業がや
つているということになれば、大洋の常套手段がここにまた現われておる。どこでも沿岸に対してあらゆる進出をしておる。それは第二
会社、第三
会社をつく
つて、自己の資本をも
つてそれらの沿岸に食い入
つているのが今日の大洋のやり方である。それと同じようにこの極洋漁業に対してもそういう問題が起
つて来た。この論議は
委員長も知
つておる。だからこの
委員会がこれまで時間を遅らせておるのだ。(「ばかなことを言つちや困る」と呼ぶ者あり)発言席にある立場において言
つておるのであります。こういうふうに業界をまどわせるようなことであ
つて、どこに
水産庁の公正な方針がや
つて行かれますか。これをわれわれは心配するのであります。しかもまた、
長官は御
承知かどうかしりませんが、現役の大洋の社員が
水産庁へ毎日日参して、函館
公海漁業の運動をしておるじやありませんか。しからば何のための函館
公海漁業なんです。こういう人の名前をも
つて自己の勢力を張ろうとするやり方、しかも漁業法の
根本精神を蹂躙しておるではないか。こういう点が
長官におわかりに
なつていないのか。漁業法の精神からい
つて私は
反対しなければならない。
水産行政をゆがめられておる。何も緒方や池田、小笠原、これらが運動しておるのじやないことがはつきりわか
つたのだ。私は意外に思
つてきのう函館公海の
事務所へ行
つて初めてわか
つた。これなどはとんでもないことです。こういうことで
水産行政を濁らされたならば、これからの
水産行政は非常な災いをするのではないかという心配であります。
長官は心配しなくてもいいと言われるかもしれませんが、いらない心配であるかもしれないけれども、われわれは国会として、漁業法の精神を守るためにこの議論をや
つて行かなければならないはめに陥
つた。
ほんとうにこの二
船団に対しては
許可を打切るか、ないしはすべての
内容をもつともつと御
研究されて
——いな、されておる、
長官は裸に
なつてこの二
船団の共同出願をさせるか、この二つの道よりないと私は思う。この点を十分お考えに
なつて、資本主義の世の中であるから、個人の自由だとい
つて、どなたがどう入
つてもかまわない、どういう資本が出てももかまわないということは、言われ得ることでありましようが、それよりも高度のものは、日本の国の漁業は漁業法の精神から持
つて行かなければならないことである。これから言
つたならば、毅然たる態度でもって、
ほんとうに函館公海の自己の資本と、極洋漁業の自己の資本と、他から一切
関係のない資本によ
つて共同出願をされるような方法をと
つて行かなか
つたならば、ゆがめられた
水産行政と
なつて行くことを私は恐れるのです。この点に対する
長官は、めんどうな問題だから即答はできないと言われるかもしれません。きようは土曜日で、もはやきようはきまらなければならない。いつまでも審議しておる筋合いではないと私は考えておる。いましばらくお待ちなされて、切るか共同させるか、漁業法の精神を守
つての行動をしていただかなければ、国会としてもなかなか大きな問題に
なつて行くものではないかという考え方を持
つておるのでありまするが、
長官の御意思がもしあ
つたならばお聞かせを願いたい。また考えてというのであるならば、お考えに
なつてからでもけつこうでありますが、われわれの考え方を十分参考と
つていただきたいと私は思うのであります。