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赤路委員 今度は別な面から
当局の御
見解を
伺いたいと思いますが、非常に
関連性がある問題でございますのでお尋ねするわけであります。今度の
予算案を見てみますと、
漁船損害補償法の第百十二条の一項に示されておりますところの
漁船義務加入百トンを全然無視いたしまして、二十トンの
義務加入としての
予算措置がなされておるのであります。最近
政府はこれら
法律を改正するために
一括特別委員会を持つとか、あるいは大蔵
委員会等において改正の意思があるやに聞いておるわけでありますが、私たちがか
つて国会においてこの
漁船補償法の改正をいたしましたことは、単に場当りや思いつきでや
つたのではないのでございます。過去三箇年間の
漁船の
被害状況を見てみますと、
昭和二十六年度においては一万九千百八十隻、それを金額にいたしますと十五億五千六百万円余りにな
つております。二十七年度は落ちまして二千九十四隻、これが約三億円、二十八年度では一万二百九隻で六億三千六百万円、この三箇年間の
漁船の
被害を総計いたしますと三万一千四百八十三隻で約二十四億という
損害にな
つておるのであります。しかもこれら
漁船を含む
漁業災害等に毎年
政府が支出いたしております
利子補給と
損害補償の金額を見てみますと、二十七年度は三千二百五十二万八千円、二十八年度が六千六百四十七万七千円、三十九年度で一億百六十一万六千円と年々増加の傾向を示しておる。また
政府が組みましたこの災害に対します
融資金額にいたしましても、二十六年度は十月台風に対して十五億、二十七年度は十勝とオコック
関係だけでも十九億、こういうふうに非常に多額なものにな
つておるわけであります。私たちはできるだけ相互扶助、協力の上に立
つて、こうした面はお互いの力でできるだけ補い合
つて行きたい、われわれが国政に参画いたします限りにおきましては、全国民の血税を預
つておりますので、国費は支出する場合十分
考えられて行かなければならない、こういう観点の上に立つのでございまして、二十トンが百トンにわくを拡大するということによ
つて生ずる
政府の負担金額というものは約一億四千万円程度のものであろうかと思うのであります。先ほどから申しますように、毎年々々
政府の
利子補給なり、あるいは
損害補償の支出というものが大きくな
つて行きつつある、しかも依然としてこの
漁船の
損害、
被害というものが累年ふえるというような形になります。これを当面の場当り的な
考え方でなしに、少くとも将来を見通して、真に
日本の
漁業というものの進展をはかるといたしますなれば、ここで一億四千万円程度の予算が増加いたしたといたしましても、将来に対しては十分これらを補い得るだけの財源が出て来るんだ、こういうふうに私たちは
考えますがゆえにこの
法律の改正をや
つたのであります。しかるに国会においてかような見通しと水産全体の進展の上に立
つてなされたものが
政府によ
つて無視される、これはあまりにも場当り的な、あまりにも目の前の条件のみにこだわ
つた拙策であると私は
考えるのであります。こういうような点につきまして、この
法律案との
関連性もございますので、この際
水産庁長官の明確なる御所見を承
つておきたい、かように思う次第でございます。