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松田(鐵)
委員 私は先ほど申したように、この問題は人為的に阻止できるものであるという確信を持
つておるのであ
つて、そうした問題に対してこうした
法律をつく
つて融資を受ける。これは小さな
漁民というものは、先ほど申したように、全然その環境を知らずして、安全なりと
思つて出漁したものである。それが
拿捕されたというものに対しては、ま
つたく気の毒であるから、こうした
法律をつくるべきであるが、りつぱな
会社まで
開発銀行から
融資を受けるようにしなければならないという議論はとんでもない話である。
中小の
漁民はたとい一千五百万円でも二千万円でも、かつお、まぐろの
資金を
開発銀行から受けようとして今日非常に苦労をしておる。私は常に言う、資本
漁業は沿岸から手を引けということを常々論議しておるものであります。これに対して四つある資本
漁業が三つまでも手を引いておる。そうして
漁民の要望を体得しつつ
漁業を営むりつぱな
漁業会社もある。一方において、零細な
漁民が金を出し合
つてまでかつおまぐろの
漁業をやらんとしても、これらが
開発銀行に
融資を受けんとしても、なかなか容易なものではない。しかるにこうした
法律をつくり、
鈴木委員の議論から行きましたならば、こうしたりつぱな
会社に対しても、気の毒であるから、
開発銀行から
融資を受けられるように
政府は責任を負えという議論である。いくらでも人為的に防備できるものが、自己の利益のためにこうした問題に
なつたものを何で――日本の
漁船であるから同様にそれは保護してやるべきではあり、
日韓会談によ
つてこうしたものを
解決すべきことが
政府の責任である。沿岸の
漁民を一人でも多く救
つてやり、
融資をしてやるのが、
政府の責任でなければならない。しかるにそれが逆に、人為的に防備できるものに対して、
開発銀行から
融資をするように責任を負えなどという議論は、私は実際において受取れないと考えておる。しかもこのうちに、この資料から見ると、百トン近い底びき
漁船が十一隻もある。一そうの底びきをやろうとしたならば、これは二千万からかかるものでありましよう。これには完全に
特殊保険もつけておることでありましよう。これらが零細な
漁民に便乗して、この
法律の姿に隠れんとする。
長官はよく御
承知でありましよう。か
つて免許料、許可料を全廃したことがどういう結果にな
つておるか。資本
漁業が一社において何千万という利得を得ておるじやないか。沿岸
漁民はどのようであるか、わずか一億何ぼという金にすぎない。六億の免許料、許可料において四億近いものを資本
漁業が利得しておるじやないか。要するに零細な沿岸
漁民を扇動して、自己の利益をはからんとするやからのや
つておることである。この
法律にも
はつきり現われておるじやないか。百トンも持
つておる底びき
漁船が、その代
船建造する
資金の幾分かを貸してくれというのならまだしものことである。それを
漁具の
資金まで貸せということに当
委員会が賛同できるか。かかる零細な
漁民の名をか
つて、これに便乗せんとするようなことは、国会の権威にかかわることである。今日財政はどのようなことにな
つておるか。また重ねて言う。こうした
法律を制定するときにおいて、議員提出であ
つてはいけない、
政府提案にせよと言
つたのは、私である。しかも
政府の責任において
利子補給もやるべきである。しかし
公庫は、日本の
漁民に対して、水産行政の上から金融をして行かなければならないから、
公庫のわくをはばむようなことがあ
つてはいけない。当然これは中金から出すべきであるという議論をしたものである。
政府は一向にその考え方をこの
法案には表わしていない。しかして代
船建造のわくは十五億である、これは当然中金が出すべきものである。
長官の曲に答えたこの資料から行くと約三億である。三億の金が
公庫の十五億の中からとられておる。しかして
一般の全国の
漁民は、三億というわくをこの一部の者にとられておる。そうしたならば、これらを調整するのが中金でなければならぬ。中金は系統機関の金融機関であ。中金が出すのが理の当然であ
つて、そうしたものでなか
つたならば、中金の存在がない。ただ事業にのみ貸すのが中金ではない。幾らでも
方法があ
つたはずなんだ。しかも
利子補給は、三十隻かそこらのほんとうに零細な
漁民だ
つたならば、幾らの
利子補給が必要であるか。そこからい
つたならば、いかに緊縮内閣といえ
ども、わずかの
利子補給はしてやるものだと私は考えておる。しかも
中小漁業も百トンの機船底びきもこの中に入
つておる。ゆえにそれらをカバーしなければならない。政治的圧力によ
つてこれはや
つたものだ。これに対して私は反対するものだ。水産げにおいてこうした
法律をつくることに反対するものではない。しかしてこれは人為的に防げるものである。どうしてもでき得ない港の中に入
つておる
漁船まで本今日の
災害によ
つて全部破壊されている問題をどう
解決されるか。これも当然
公庫から出さなければならぬものであろうが、しかしこれらに対しては、
政府も
公庫から出すか、中金から出すか、そのわきまえを
はつきりして行かなければならぬ。中金は系統機関であり、また
中小漁業融資保証法もあるのだ。かような面を
水産庁においてよく勘案して行かなければならないものであろうと私は考える。みだりに
法律ばかりつく
つて、それでも
つて漁民が右往左往しておるのが今日の姿であります。一つも軌道に乗
つていない。一部業者の政治的圧力によ
つてかかる
法律をつくるなどということはも
つてのほかだ。現にこの
法律を制定するとき、どこで一体会合したか。会合の場所はどこか。吉武君が血を吐くような言辞でこの
委員会においてや
つたのは、この零細
漁民を救うためにや
つたものである。底びき
漁船だとか、トロール船だとか機関も備わり、レーダーも無電も備わるものが、この
法律に便乗せんとする考え方である。水産
長官ばかりではなく政務次官もよくこういうことを勘考されて、この
法律に対する影はどこにあるかということを考えなか
つたならば、日本の政治はめちやめちやにな
つてしまうことでありましよう。私は、根本的にもつとこの
法律に対するその裏を論議して行かなか
つたならば、この
法律の制定に対してまつこうから反対するものであります。しかし小さな
漁民が知らずしてこうした結果によ
つて生じたものに対しては、
政府もわれわれもこれに対して大いに同情をして立ち行くように導いて行かなければならないものと思います。私の議論にもし反駁があるなら、どなたからでも反駁していただきたい。