運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1953-12-12 第19回国会 衆議院 水産委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十二月十二日(土曜日)     午前十時四十二分開議  出席委員    委員長 田口長治郎君    理事 小高 熹郎君 理事 川村善八郎君    理事 鈴木 善幸君 理事 中村庸一郎君    理事 辻  文雄君       遠藤 三郎君    夏堀源三郎君       濱田 幸雄君    松田 鐵藏君       吉武 惠市君    白浜 仁吉君       赤路 友藏君    淡谷 悠藏君       田中幾三郎君    中村 英男君  出席国務大臣         農 林 大 臣 保利  茂君  委員外出席者         水産庁長官   清井  正君         専  門  員 徳久 三種君     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  公海における漁船被害に関する件     ―――――――――――――
  2. 田口長治郎

    田口委員長 これより会議を開きます。  公海漁業に関する件について議事を進めます。公海における漁船被害に関する問題について、各委員より発言を求められておりますから順次これを許します。吉武恵市君。
  3. 吉武恵市

    吉武委員 私はただいま委員長のお示しになりました日韓漁業関係いたしまして、農林大臣にお尋ねしたいと思います。  本水産委員会は、九月七日から起りました李承晩ライン拿捕事件に関し、九月以来開会中であるといなとを問わず、数回にわたつて委員会を開いておりますが、私ども農林大臣を本委員会に要求したにもかかわらず一度もお目にかかることができない。これは本年いろいろな仕事が農林関係において御多忙であつたことを、私どもも了承しておるのでありますけれども、この日韓問題は今までの問題と違つて、国家的にきわめて重大な問題であります。またこの方面における漁民にとつても大事な問題でございます。われわれが本水産委員会において、農林大臣とともにこの問題を審議し、ともにこの問題の解決をはかることにおいて、委員各位は党のいかんにかかわらず、熱心にやつて来たのでありますが、われわれは逐に本日ようやくお目にかかるようなことであつては、本問題の解決にはなはだ心細く感ずる次第であります。そこで私は農林大臣にお尋ねしたいのであるけれども、この李ラインに対する漁業問題については、一体どういうお考えを持つておいでになるか、せんだつて大蔵大臣に会つてみると、これはこちらから出かけて行つたのだからしかたがないじやないかというようなお言葉を私は聞いたように思うのでありますが、そんなお考えだとたいへんなことであります。水産所管大臣であるところの農林大臣でありますから、よもやそういうお考えであろうとは思わないのでありますけれども、この対馬海域における漁場というものは、日本における数百年来にわたるところの、日本人が開拓した漁場であります。決して朝鮮水域行つて漁業しているのじやない、日本漁場である。その漁場に突然として昨年一月李承晩ラインを引いて宣言をし、そうして本年の九月七日から突然拿捕を始めたのであります。御承知でありましようが、この水城には年々二、千隻丸の船が行つて漁業をし、年産額としては百三十億に上る漁獲をしておる。その漁獲九州、中国あるいは関西方面におけるいわゆる魚類蛋白質源のもとになつておるのであります。私は今日農林大臣が、食糧増産について懸命なる努力を払つていることについては感謝するものでありますが、魚類日本における食糧の重要な要素であります。米麦ばかりが食糧ではない。この重要な漁場の問題について、根本的にどうお考えになつているか、私は疑問を持つのであります。まず根本的にこの問題をお尋ねしたい。
  4. 保利茂

    保利国務大臣 韓国かこの九月七日以来、われわれといたしましてはまことに理不尽な、また国際正義の上から行きましても容認できないああいう不当な処置をとられましたことにつきましては、両国親善の上からいたしましても、実に遺憾に私どもは存じておるわけでございます。この問題に関しまして、当水産委員会にきわめて熱心に御心配をいただいて、いろいろ対策について御審議をいただいておりますことは、私も逐一承知をいたしております。委員会に出席する機会が少かつたことは、事情いかんにかかわりませずはなはだ遺憾に存ずるところでございます。しかしながら、当委員会の御意向も御審議の経過も十分承知をいたしまして、政府部内におきまして、できるだけ御意向にも沿い得ますように、内部努力をいたして参つて来ておりましたけれども、十分これに答えることができないことを遺憾に存じております。仰せの通り対馬海域漁場はわが国の有数な漁場、しかもわが漁民によつて開拓せられて、あるいは本州を基地とし、あるいは朝鮮基地として長い間操業が続けられて来ておつたのでございます。終戦後の情勢がこの漁場の繰業をきしわめて不安定たらしめておるということにつきましては、私どもも非常に心配をいたしておるわけです。しかし、何さま日本の置かれている現状というものが、すべてに国際的に割切つた形になり得ないが、これはやむを得ないといつて放置すべき問題ではもとよりございません従つてこの不安定な現状をいかにして打開して行くかということは、これはいろいろ御意見も存するわけでございましよう。私どもといたしましては、やはり隣邦韓国との国交関係を調整するということ、これなしにはこの不安定を根本的に除去することはできがたい、そこに全力を置いて今日まで来ておりますけれども、これもまたなかなか簡単に進捗をいたさないという現状であります。しかしこの対馬海域がわれわれにとりましてきわめて重要な漁場である。従つて安定操業を確保するためには、どうしても、他の部分において犠牲を払うことがあつても、この安定を確保するようにしなければならぬという考えを持つて努力をいたしておるところでございます。
  5. 吉武恵市

    吉武委員 大体農林大臣のお考えも、この漁場は確保したいというお言葉であります。それならば政府は、それを確保するのに一体どういう態度をおとりになつたか承りたい。
  6. 保利茂

    保利国務大臣 これはいろいろ元気のいいことも意見としてあつたこともあるようですけれども、やはり平和的に日韓両国全面的調整を促進する、そこで日韓会談をすみやかに再開して、この漁場問題だけでも早く解決するという方向で、いわゆる外交上の努力に――端的に申しますればこれは外交努力にまつほかはない、こういう考えで来ておつたわけであります。
  7. 吉武恵市

    吉武委員 それは現在のところ実力でもつてこれを確保するということも困難でありましよう。外交交渉によるほかないでありましようが、これはただ外交問題だといつて外務大臣だけにあなたはおまかせになつておるおつもりですか。この水産の問題というものは農林大臣責任である。外交交渉所管の外務省かするのでありましようが、あなたとしても重大な辞任があります。その外交交渉の推進について、農林大臣は一体どういうふうな態度をおとりになつたかお聞きしたい。
  8. 保利茂

    保利国務大臣 むろん国内行政関係におきます限りにおきましては、これは私の与えられておる責任でありますから、その点は十分承知をいたしております。されば外務大臣に対しましても総理大臣に対しましても、とにかくいろいろむずかしい問題もありましようけれども漁業問題を早く解決していただく、その他のものに多少譲歩をしても、実益的に申しましても、この問題を解決してもらうことに中心を置いてやつてただくことを強く、内部的には私の責任を果しますために努力いたして来ておりましたけれども、しかし外国に向つてそれではどういうふうにやつたらよいかこれは韓国に対しましては外交機関の活動にまつほかは実はないと思うわけであります。
  9. 吉武恵市

    吉武委員 これは私はここで議論をしてどうだこうだということはむだでありますから、やりたくはございません。問題はほんとう誠意をもつて、どうしてこれを解決するかという熱意の問題だと思います。これは外務大臣もおやりになつているでありましようが、そう簡単に行く問題じやございません。それは日本の今日置かれた状態は実に情ない状態でありますから、昔のように簡単に問題が運ぶはずはない。しかしこの問題は国民とともに政府が一生懸命にならなければ解決できないのです。私どもこの委員会の者は、アメリカ大使館に押しかけて行つて、そして願つておる。日本の力だけでできないときには、アメリカにも仲介の労をとつてもらつて、この理不尽な問題を解決するように迫つておる。あなたは一体そういうふうにアメリカと折衝されたことがありますか。外務大臣だけにまかせておつて、これは外交交渉だ、誠意でやる、これは口だけの問題ではありませんほんとうにやる気だつたら、できない中からでも何とかし打開の道は出て来るはずです。どうですか。
  10. 保利茂

    保利国務大臣 国会なりあるいは水産委員会という別途の機関によつてあるいはアメリカの認識を深め、あるいは協力を求めることはけつこうなことたと思いますが、しかし外交上の問題に関しましては、むろん私が出て行くことがプラスになれば出ても参りますけれども、ともかくも外交当局が熱心に私どもの話を聞き、そしてやつておりますのに、横から飛び出して行かなかつたということ、それが熱意がなかつたということを言われればこれはいたし方ございませんけれども……。そこで、私どもといたしましては、水産行政当局者として、この打開ができない間は一体どうするのか、まあ業者の方、漁民の方も、危険を冒してある程度操業をされておる。しかしそういう危険なところにはもう行きたくない、自分たちはこういう方面に行きたいのだと言われるようなことに対しましては、いわゆる応急の転換措置を講ずる等、とにかくこの情ない国情のもとにおいて、私どもとしてとり得る最善の措置はわれわれとしてとるべきでありますから、そういう点については今日までも努力して来ておるわけでございます。
  11. 吉武恵市

    吉武委員 時間がありませんからそうくどくは申し上げませんが、問題は熱意の問題であります。誠意の、問題であります。これは政府がやるべきものであるとかどうとかいうことは言いません国民政府もともに、こういう国際的な問題は一丸となつてぶつつからなければ解決いたしません。私はくどいことは申しませんが、今お言葉に出たのでありますけれども、抑留されておる漁民については、大部分帰つて参りましたが、まだ残つておる者がおる。気の毒です。この人々を早く救い出さなければなりません。あなたはお聞きになつかしらぬけれども朝鮮に連れられて行つて刑務所に二月ほどぶち込まれてどういう待遇をされたか。あなたお聞きになつたことがありますか。実にひどい待遇を受けておる。しかもこの水域は、先ほどあなたがおつしやつたように日本漁場である。李承晩がかつて宣言をしてそうしてそこに入つたものを拿捕するといつておるだけのことです。あなたも理不尽ということを言つておられる、われわれもそう言つておる、漁民もそう言つておる。それを連れて行かれて、刑務所に二月もぶち込まれて、そうしてわずかな麦飯と大根の葉つぱを塩で煮たものを、それを四人で食べるという待遇を受けて来ておる。そこで、連中は帰つて参りましても、かつぱがおかに上つたようなものです。その日の生活に困つておる。政府はわずか三月、抑留されたときだけ一月に七千円の金を出しただけ、あとはそれきりです。その七千円の金もずつと遅れてやつと出すような状況である。あと生活をあなた方は一体どういうふうにお考えになるつもりです。ほかの者だつたらすぐ転換ができますが、漁民というものは、船から上げられたらそう簡単に他で飯が食えるものじやないのです。みな困つておる。この暮が越せない、早く船を取返してくださいといつて泣いて叫んでおるのです。われわれは何も代船融資をやつてくださいとかいうのが趣旨じやありません。不当の行為によつて奪われたこの船を。国の力によつて奪い返してもらうことがわれわれの念願です。国民念願です。それが外交交渉をやつております。やつておりますで今にまだ日韓会談も再開ができない。そして、取返すことができなければ、それにかわる船をつくつてやることが私は政府責任だと思う。大体李承晩ライン行つて奪われたところの問題は、政府責任がありますよ。海上警備というものは一体何のために置かれております。これもあなたから言わせれば保安庁関係だと言われるかもしれませんが、保安庁であろうとなかろうと政府責任がある。国民ただで税金を出しているのじやありませんよ。海上警備というのは、海上における日本人の生命、財産を保護するために置いておる。それに何らの処置も講じていません。しかももしこの水域が危険であつてお前たちが行けば、理不尽ではあるけれども身に危険があるから注意をせいというのなら、その通知出したらよい。政府はそうじやない。この李承晩は不当である、われわれは認めぬ、こう言つておる。それだから漁民は出かけて行く。昨年までここで漁ができたから行つたんです。そうして行つてつかまつた。つかまつたらほつたかし転換するなら転換融資あるいは代船をつくるなら代船の融資、これについて私どもは先般からあなたにも何べんも言つておる。研究する、研究するで一回線が出ぬじやないですか。水害について三分五厘の低利をもつて農民に貸しつける政府であり、冷害だといつたならばそれに対して三分五厘の営農資金を出し、そしてまた外航船については三分五厘で融資をしておる。損失補償をしておる政府であるならば、どうしてこの李承晩ラインでつかまつた漁船に対して、三分五厘の融資ができないのですか。どういうわけでできないか、その理由を述べてください。
  12. 保利茂

    保利国務大臣 韓国拿捕抑留せられた漁民の先方の扱い方に対しましては、私も九月七日以前に拿捕され、抑留された関係者を身近に持つております。実に残酷な措置をするものだということは身にしみて感じております。この問題に関しまして、たとえば抑留漁民の国としてきわめて不十分ではございましたけれども、一応の措置ができましたのも、かかつてまた吉武委員を初め当水産委員会の御協力によつて、この措置がとられて来ておりますから、この点につきましては、私は漁民にかわつて深く感謝をいたす次第でございます。そこで今回帰還をせられた漁民人たちが、すぐ他の漁場に働きに出られるとかあるいは操業ができるということであれば、お話のようなことはないわけでございますけれども、実際問題としてはそう行かない。そうなれば海を離れての生活ということが、なかなかそう簡単に行かないという実際の事情は想像するにかたくないわけでございます。むろん私どもとしましては、あの家族援護措置を講じます際に、あの漁場が不安定だから、今後ほかの方面漁業をやるというような人たちに対しましては、あるいはかつお、まぐろの漁業転換をしていただくとか、あるいは船が拿捕されておるその代船をどうするかということは、本来でありますれば漁業信用基金協会の運用によるわけでございますけれども、これは金利が高い。本来はそうであろうと思いますけれども、しかしそういうことではとうてい金利にたえないということにもなりますし、農林漁業金融公庫融資を、――これも高いと言われれば高い。けれども漁業金融の実態から申しますれば、かなり負担の軽くなります公庫金融によつて措置を講じて参り、あるいはまた切迫している公庫等運営資金につきましては、行政措置をもつて金融のごあつせんをするというようなことで、努力をして行くべきではないか。お話のことにつきましても、私どもとしましても、内部におきましては、御趣旨はその通りでございますから、措置をいたすことができればという努力も払つて来ておりますし、なお今後も払うことは惜しみませんけれども、当面の問題といたしましては、農林漁業金融公庫特別融資によつて資金のごめんどうを見、運営資金としては中金その他の融資あつせんによつて、とにかく急場をおしのぎ願えないかということで、現状からいたしますれば、そういうところに最大の努力を払わざるを得ないという現状にあるわけでございます。
  13. 吉武恵市

    吉武委員 農林大臣がそういう意図のあるということは、私はこれを真にとりましよう。御誠意があるでしよう。またあるべきです。水産責任大臣としてそれは当然です。しかし私か今聞いておるのは、もうせつぱ詰つておる問題です。九月に捕われて、何箇月になります。九、十、十一、十二、四箇月ですよ。そうして年を越せばこれで五箇月になります。一体漁民はその間どうして生活をします。生活をあなたは保障されますか。そこでこれは急ぐから、船を返すのを早く返してください。しかしこれは相手のあることだから簡単に行かない。行かないからもし見通しが困難であるならば、融資をして、代船をつくるなり転業をするなりさして生活をするようにということを申し入れている。それに対してまだ処置がとられていない。水害についてあるいは冷害について、政府は三分五厘の低利で金をお貸しになるのに、なぜ一体この李承晩ラインによつて犠牲なつ漁船の代船融資に三分五厘の融資ができないか、これを私は聞いておる。政府はまた外航船、大きい船の建造に三分五厘の融資と、そうして損失補償をされておる。大きい船会社の船について三分五厘の低利金融をし、損失補償をする政府か、なぜこの李承晩ラインでつかまつた船に三分五厘の低利によつて融資することができないか。それを私はお聞きしているのです。
  14. 保利茂

    保利国務大臣 家族措置を講じましたときに、一連の措置として政府として考えて行くべきあるいは漁業転換、あるいは代船の建造融資措置等は、あわせて方針を決定して参つております。業務的に遅れておりますことはまことに申し訳ございませんが、ただお話のように外航船にこれこれ、災害にこれこれ、それ等をやつて、これには同様の措置をとらないか。これは率直に一言申し上げます。私どもの今日までの努力をもつてしては、政府全体の賛成を得るところにまでこぎつけていないわけでございます。
  15. 吉武恵市

    吉武委員 私はこれをどうして言うかと申しますと、ただ私は安いからいいだけで言つているのじやありません。あなたは水産に対する所管大臣ですから、内情は御承知であろうと私は思います。この沿岸漁民は今日普通でさえ生活に困つておるのです。普通の漁でも沿岸の小さい漁民、私の方ではわずか二十トンです。二十一トンというと、この部屋の長さしかありませんよ。そんなちつぽけな船で向う行つておる。昔はろをこいで行つたものです。親代々三百数十年にわたつてろをこいで行つた漁場ですよ。それに二十トンくらいの船を連中借金をしてつくつておる。借金をしてつくり、借金をして仕込みをして出かけて行つて、それが拿捕されている。その借金を返さなければならないのに、その代船を、普通の金利で金を貸してやるからそれでつくつたらいいだろうといつて、それができますか。それは金持の言うことですよ。今日の窮迫したところの沿岸漁民のあの零細漁民に、そんなことで金を貸してやるから借りろといつて、借りられると思いますか。三分五厘で借りても、普の船、拿捕された船の借金も返さなければなりませんよ。そうして今度のわれわれの計画しているのは、ただで貸してくれといつているのではありません。三分五厘でいい、利子は安くしてくれ、五年間で返すということを言つている。大きい船舶の建造に三分五厘で融資するところの政府が、政府責任において補償すべきところの零細漁民漁船に対して、しかも、ただで貸せといつているのではない、安い利子で貸してくれ、返すからといつているのに、それが三分五厘で貸せないということを、あなたはどうして言えるのですか。それでは所管大臣として、今日の沿岸漁民に対する心得がない、温情がありませんよ。今日沿岸漁民がどんな生活をしているか行つて見てごらんなさい。農村もお気の毒ですか、沿岸の一人々々の小さい漁民というものは、ほつておかれたらたいへんなことになりますよ。大きな会社漁船なんかわれわれ問題にしているのではない。これを普通の金利で金を貸してやる処置をしているから、借りに来たらいいだろうといつて、そんな金が借りられますか。昔の借金をどうするのです。奪われた船というのはただで人からつくつてもらつた船ではない。借金をしてつくつているのですよ。これをただ普通の金利で貸してやるといつて、普通の金利で借りろというのですか。水害冷害について農民に三分五厘の融資ができ、普通の外航船について三分五厘でやれるのに、どうして沿岸漁民に三分五厘の融資ができないのです。一体農林大臣は、政府全体としてまだそこに行けないというのだつたら、それを提案されたことはありますか。あなたは大蔵大臣に要求されたことはありますか、これを私は聞きたい。
  16. 保利茂

    保利国務大臣 この問題につきましては、むろんお話のように、非常に困つておられる方があることはもうその通りだと思います。しかしこの漁業金融は、全体として当委員会で一番最初から問題になつておりますのは、漁業金融が非常に不円滑であるということが指摘せられて、その改善には私ども努力をしなければならないという考えを持つて来ておりました。そこで、船をつくる、その船をつくるについて、七分五厘という公庫金利ではやれぬという御事情のあることも私はむろんあると存じます。しかし今当面すぐとにかく船をつくるから金を心配しろと言われれば、やはり公庫からの特別措置を講ずることが一番手近なところでございますし、これにつきましては、だんだん遅れて来てはおりますけれども、必ずいたすつもりでおります。いたします。ただ、それではお前は大蔵大臣にそういう要求をしたかとおつしやれば、むろん話はいたしております。いたしておりますが、今日までは、先ほど申しました通り状態でございます。
  17. 吉武恵市

    吉武委員 これは私どもは、この問題については、政府にもそう無理は言えないので、実は穏健な考え方で、水産委員連中は党派を離れて研究をしておりますよ。漁民はこれで承知しておりませんよ。あなたは現地行つてお聞きなさい。あなたは月曜日から今度は東北の方へお出かけになるということである。こういう問題を控えておつて外に出歩かれるなんて、そんなのんきなときじやありませんよ。現地行つて聞いてごらんなさい。九州あるいは山口県の方へ行て聞いてごらんなさい。漁民は、これを補償せいと育つている。金を貸してくれなどということは言つておりません政府責任であるからこれを政府でまとめてくれ。早く取返せ、取返すことができなかつた政府の力で船をつくつてくれと要求している。それをわれわれは、それは無理だ、それはなるほど政府責任かあつても、政府に全部をつくつてくれと言うことは無理だから、金を安い利子で貸てやるから、それでひとつ新しい船をつくつて金を返せということを言つてなだめて来ているのですよ。連中は、こんな金利まで払つて金を借りるなんということは考えておりません漁民は、政府補償せいと言つている。これは政府責任がある。もし、ここへ行つたら危険かある、捕われるというのならばなぜ政府注意しないのですか。捕われるから行くなといつてなぜ注意しない。むしろ政府は、この李承晩ラインはけしからぬ、われわれはこれを認めないといつて、反対の宣言をしている。それはいいと思うが、それならばそれを保護する処置を講ずべきである。保安庁つてあるじやないか。その注意もしないで、そうして外交交渉もやらないで、向うが聞かないからといつてつたかしにしておく。漁民は、政府はこれを賠償してくれと言つているのです。もちろんそれは韓国が不当なんだから、国と国との間で韓国に損害の賠償を請求してくれと言つているか、しかしそんな基本の問題を言つてつたのでは間に合わないから、今、日本政府によつて融資している最低の利子だけは払えと言つているのです。冷事水害へ三分五厘で金を貸しているものを、どうして漁民に貸せない。さしあたり当面の問題として、しかたがないから七分五厘だとおつしやるが、当面の問題といつて、これをやるのは何でもないじやないか。三月までの間に、われわれか計算しているところでどれだけになるかというと、いいですか、拿捕船と転換船だけで二十億の融資に対して利子補給が何ぼですか。三月までの間にわずか二千万円か三十万円ですよ。二十万円か三千万円の金かどうして出ないのです。冷害水害だといつて何百億という金を出しておるのに、三月までの間にわずか二千万円や三千万円の金がなぜ出ない。一年にしてみたつて一億五千万円にしかなりませんよ。三分五厘でただで補給しても、一年に一億五千万円ばかりの金がどうして出ないのです。国会は召集されている、間に合わないことはない。そこでわれわれはは要求したじやないですか。十一日に提案すれば、衆参両院ともに十二日には上げてやるということで各党話がついている。政府ほんとう熱意があるならば、十一日に提案されれば十二日に通るじやありませんか。それをほつたかしにして、そうして月曜日から東北の方へ旅行する。一体これは何です。一体季承晩ライン漁場は放棄されるのですか。もう四の方では、政府かそういう態度つたら船舶はみな差上げましよう、政府に差上げるから、政府でかつてにしてくれ、こういうやけ気分になつている。うそだと思つたらひとつ西へ行つてごらんなさい。佐賀県なら佐賀県へ、「自分のところへ行つて聞いてごらんなさい。なぜ七分五厘でなければ貸せないのですか。もう一ぺんはつきり育つてくたさい。
  18. 保利茂

    保利国務大臣 東北の方に旅行するということは、実はこれは米の方の問題でございますけれども、まあ今年の供出についてもいろいろ御批判を受けておるわけですけれども、私どもとしては、どういう手段であれ、国内の供出をできるだけ多く確保しまして、本年度の需給を保ち、家計を脅かすようなことにならないようにという大きい責任を持つておるものですから、山形、秋田、新潟の三県――これはもうほとんどかけ足で、三県だけちよつと行つてお願いをして来るつもりでおります。決してのんびり旅行をするというような気持で出かけるわけでないことは、ひとつ御了承を願いたいと思います。ただいまお話の点はごもつともでございますけれども現状までにおきましては、これを明言するだけの実を結んでおりませんから、今後努力いたすことを御了承願うほかはなかろうと思います。
  19. 田口長治郎

    田口委員長 ちよつと速記をやめてください。   〔速記中止〕
  20. 田口長治郎

    田口委員長 速記を始めてください。
  21. 吉武恵市

    吉武委員 米の供出も必要でありましよう。それでお出かけになるのならば、あえてとめようといたしません。しかしこの問題のけりをつけて出かけなさい。けりもつけないでのこのこと旅行しているときでにありませんぞ。とうするんです、抑留者が刑務所につながれて、そして栄養不良で帰つて来ているのが五百六十三人ですぞ。この連中はどうして生活して、この年を越すつもりですか。わずか三月七千円だけ出して、これでお茶をにごして済むなんてお考えなつたらたいへんです。一月まであなたが待つてくれというなら、その間の抑留された漁民生活を保証して出なさい。食えるようにして出なさい。それをお前らがかつてだなんてほつたかしにできませんよ。これを一体どうするつもりです。
  22. 保利茂

    保利国務大臣 これは私思いますのに、吉武さんも特に広く社会福祉の面に責任を持ち、かつ非常な努力を傾けられた方でありますから、御承知通りです。数箇月の抑留によつてつて来られた人の、帰つて来られたあとの困難は察するに余りある。いわんや数年にわたる抑留等によつてつて来られた関係等もございましよう。いろいろこれはあると思います。今日のところは先ほど申し上げましたところで御了承願うほかは、私としては何とも申し上げようはございません
  23. 吉武恵市

    吉武委員 私は時間がありませんから、最後に一言申し上げます。私はここでいいかげんな答弁を聞いたつて、何の意味もありません。あなたが農林大臣として水産責任を持つ大臣であるならば、腹の底から誠意のある態度をとつてこの問題を解決しなさい。これを一言申し上げておきます。
  24. 田口長治郎

    田口委員長 それじやちよつと速記をやめてください。   〔速記中止〕
  25. 田口長治郎

    田口委員長 速記を始めてください。暫時休想いたします。     午前十一時二十八分休憩      ――――◇―――――    〔休憩後に開会に至らなかつた