○
受田委員 今の加藤大臣の御答弁の関連的な御
説明を
総裁及び
岡部部長さんにも
お尋ねしたい。私先ほど
岡部さんに
お尋ねした中に、
人事院の
機構改革によ
つて、
国家人事委員会の
職務権限がはなはだしく縮小された、しかも
行政組織の上においても定員においてもはなはだしく縮小された、一
外局と同じような
立場に置かれたということを申したのですが、その点は今加藤さんから、
人事官においても内部においても、何らその存在が低く
なつたものではない、
機構か縮小されたようにおつしやるが、それは見解の相違であるといこ御答弁があ
つたのですが、見解の相違じやなくして、事実
一般行政組織から
独立してお
つた人事院、すなわち
人事官の身分のみでなくてその
人事院が持つところの、ここに一々あげてありますような能率的な、民主的な公務の遂行をさせるためのいろいろな
機構である職階制とか、任用
制度、給与
制度、あるいは恩給等の
制度、こういうことから服務規律に至るまで、強力なる
職務権限を持
つてお
つたのですが、今度は今私が
岡部さんにもおただし申し上げましたように、従来は俸給が百分の五増減すればすぐ
国会、
内閣に勧告しなければならなか
つたのですが、今度はその俸給表の改訂を必要とするときに勧告するというふうに切りかえられた。今これに対して
岡部さんに御答弁をいただけなか
つたので、御答弁を要求するわけです。
そういうよなことなどを見ると、もうそのときの
政府が閣議で予算がないからということを決定したならば」おそらく加藤さんは
国会通過にお骨折りせられた以上、今度その功績を買われて
国家人事委員会担当の国務大臣になられると私は
考えます。そうなりますと、今まで
人事院は予算というものを抜きにして、一年一回くらい勧告したのです。俸給、給与は
一般の物価指数などを調べてみて、百分の五の増減が適当であると認めたら、ぱつと勧告した。ところが今度は閣議で予算がないということで、加藤さんは今度の勧告を押えろと言われると、
国家人事委員会の三人の人事委員の方々も、少くとも国家
行政組織の一翼をにな
つておる一部局長としての
立場からは、これにさからうわけには行きません。従
つて今は俸給表を改訂する必要なし、まだ時期にあらずということにな
つてしま
つて、従来
人事院が持
つてお
つたような
独立機関としてのすばらしい権能が失われるのですから、もう完全に
内閣の一部局にな
つてしまいますよ。これは火を見るよりも明らかなことです。ただ認証官として残るからという今の御
説明ですが、これは子供に餡餅を焼いて、ちよつと御褒美にあげて喜ばすようなもので、何ら底がないんですよ。従
つて今
機構改革をする暫定
規定として認証官にしますよ、ということだけであ
つて、そのほか
人事院の持つ——ちよつとこの
法律の原案等を比較していただければわかります。ここに上、下に表が書いてありますが、
国家人事委員会の
立場と、今までの
人事院の
立場とでは、この
条文を見ても、すべて
権限が縮小されているんです。これを一一列挙するひまがありませんが、そういう
人事官のみならず、事務総長の
職務権限でさえも今度は哀れなる姿ですよ。これを見ますると、今まで事務総長というものの俸給は、国務大臣としてもはずかしくないような待遇を受けるようにな
つてお
つたのですが、今度は哀れなる一事務官ですよ。こういうような
改正がされておるんです。これをも
つてしても、大臣としては、今度の
改正は従来の人改院の
機構を、はなはだしく骨抜きにした哀れなる部局にした
意味ではないんだ、見解の相違であ
つて、
人事院とあまりかわらないものだと御
説明なさることができましようか。私はそこを
心配するというのが
一つ。
もう
一つは、そういう小さな
機構にされたのにかかわらず、頭でつかちの
権限を持つことははなはだ不穏当だ。従
つて従来の
人事院規則はそのまま生きて残りますけれども、今度新しく
国家人事委員会のつくる
規則というものも、やはり従来の
人事院規則と同じような力を持つわけです。そうなると、閣議決定よりも大きな
罰則をもつくるところの一部局の存在ということは、従来歴史的に見ましても
日本国にはなか
つたと、今
岡部さんがちやんとおつしやいました。
公共事業令に一年以下の
懲役の
罰則規定を設けたのがあるだけであ
つて、あとはないのだ、そして公正取引の方でも
文化財保護の方でも、それぞれの
法規で、
委員会が独自の
罰則を伴う
規則制定をしてはいないのだという御答弁があ
つたのです。かように
政府自身が御研究を積まれて、いまだか
つてない前例をつくるという、この
国家人事委員会の
改正案なるものは、もはや
政府自身としては、従来の前例を越え、国際的な実情も越え、あたかも先般大達文部大臣が、諸外国に例があろうとなかろうと問題じやないのだ、
日本国独自の見解に基いて、
日本独自の国情によ
つてこの
法律をつくるのだとおつしやいましたが、これこそ専制
政治の温存を現
内閣が勇気をも
つて断行されることになるのですけれども、これは今私が申し上げましたように、各般の難点が残
つてちぐはぐに
なつたのです。結局この
法律をほんとうに筋を通すならば、
人事院規則の
法律の
委任規定をうんと縮小して、立法事項として、これを法案としてお出しになるべきである。また
人事院規則をそのまま残すのであるならば、この
人事院の
機構改革をこのような形に切りかえるものではなくして、今までの
人事院が持つよさをと
つてそうして各
条文に示されておるところの手続上の規程などで、
改正すべき点についての
改正案をお出しになるべきではなか
つたか。そのいずれかでないと、
立法技術としては筋が通らないのです。これは将来後世の
政治家たちが、昭和二十九年にはへんてこな
法律をつく
つたものだなあと、後世
政治を志す人々をして笑わしめるものです。私はこの点についてそのいずれかをとるということにされねばならぬと思うんです。この点について国務大臣としては、先ほど見解の相違だとおつしや
つたけれども、私は今いろいろな事例をあげましたように、絶対に
人事院がそのままの姿で
人事委員会と名称をかえたのみではないのだ、実は
内閣の一部局として、時の
政府の鼻息によ
つて俸給の改訂に対する勧告も取下げられ、骨抜きにされるおそれがある法案であるということを御指摘申し上げたわけです。大臣いかがお
考えでしようか。そして関連して
岡部さん及び
人事院総裁にも御答弁願いたいのであります。