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受田委員 関連して。本格的にはまた次の機会にやりますが、今大臣の御答弁を承り、
岡部さんの御答弁を承
つておりますと、私はなはだ奇怪に感ずる点が発生したのです。それは今
岡部さん御指摘のごとく、私も
昭和二十二年九月に、この
国家公務員法が衆議院に提出されたときに、その委員の一人として終始審査の衝に当
つたのであります。古い話で、まる七年昔の話ですが、この
法案が
国会に出されたときには、ここにおられる
浅井さんも、
政府側を代表した委員として、また
岡部さんも、今の佐藤法制局長官も、もつぱらこの
法案が通過することに汲々として努力されてお
つた人です。ところがこの
法律が通
つて行くときの
事情は、私はあちらさんとの交渉を幾たびもや
つた経験を持
つておりますが、こういう精神だ
つたと思うのです。あちらの指令でや
つたことにな
つておりますが、結局は今国務大臣がおつしや
つたように、パブリック・サーバントとしての
公務員に対しての制約を加える、これは憲法に
保障された基本的人権であるところの
団結権、
団体交渉権あるいは政治活動の自由を認める
権限というようなものを
国家公務員法で
制限をする、
制限したかわりに一方で
人事院という一般国家
行政組織のほかにあ
つて、特別の
身分上あるいは任命上の
地位を有するところの
人事官を置いて、そこにおいて
職員の
福祉等の基準を含むところの
人事院規則その他の強力なる
権能を付与する、こういうことにな
つてお
つたのであ
つて、結局
人事院のような
機関を置かないと、そのときの
政府の鼻息によ
つて公務員の自由が束縛されるという立場であ
つたので、この
人事院が設置されたというふうに私は今記憶を持
つております。
従つてこの
人事院が、
内閣総理大臣のもとの一
外局と
なつた場合には、これはほんとうにそのときの
政府の鼻息によ
つて国家人事委員会規則がつくられ、また例の
勧告のごときも、今までは百分の五という基準を設けられてお
つたが、これも削られておるということを見ると、そのときの
政府が
予算がないということになれば、
国家人事委員会で
勧告できないようになる。これは
浅井さんのように、特別の
権能を持つ
行政機関である
人事院でさえも、時の
政府の鼻息をうかがいながらベース・アップ、地域給の
勧告にも手心を加えられたのであるが、しかし
浅井さんは良心を持
つてお
つたがゆえに、筋が通るときには、一般
公務員法によるところの
勧告を出しました。ところが今度は
内閣総理大臣の鼻息によ
つて一
外局である
国家人事委員会が、そういうところについては、加藤さんがここでいかに弁解されても、そのときの
政府の鼻息をうかがうという形でこれがなされて、
予算などがないというので
勧告などなされない、これでは
人事委員会というものはま
つたく骨抜きになる、これは火を見るよりも明らかなことです。その点において過去七年間の
国家公務員法の歩みをながめてみると、私はくしくも
国家公務員法がここに出されたとき、その後の
公務員法の
改正のとき、それから今度またこの重大な
改正をしようというときに、この委員をずつと続けて来ているはえぬきの、この
公務員法に腐れ縁のある委員であるということにな
つておるようですが、私はずつと歴史を眺めてみても、今度のこの
改正はまさに官僚
機構、今あなたを中心に加藤さんが今度はその犠牲になられたわけですが、今度は行革官僚の犠牲になられた
岡部さんを含んだ加藤さんを中心にした反動的な立法であると断定せざるを得ません。
従つて今
加賀田さんの御
質疑に対する重大なる
政府の御所見として、
人事院は
人事委員会と名をかえても、何ら実質的にはかわらないのだというお言葉がありました。私は
人事院を
人事委員会とすることに対して、名称の上で文句は言いません。名称でわれわれはごまかされてはならぬということを申し上げたいのです。なぜかというと、
人事院が
人事委員会になろうと、機能の上においては今までとかわらないものであるならば、名称の差はどうつけても、現にこの
公務員法をつくるときに、第七十三条に
職員の元気回復に関する事項というのがありますが、このときはレクリエーシヨンという事項を休養と解釈するか、元気回復とするか、いろいろ
議論があ
つた。結局元気回復というとんでもない名前ができて第七十三条に規定されたのでありますが、すつきりレクリエーシヨンという名前ではどうかということを、
昭和二十四年に佐藤さんに言
つた。ところが佐藤さんも、レクリエーシヨンという言葉そのものを用いるのはどうかということで、元気回復ということにしなければならぬということに
なつたのです。私はあの当時の思い出を今皆さんの前に申し上げるのですが、これは、はつきり
職員のレクリエーシヨンに関する事項とや
つておいた方がいい。元気回復なんて何のことかわからぬ。トッカピンを飲んで回復するような形にな
つてしまう。こういう字句は
改正してもいい。そういうのはこのほかにも数箇所ありますからいいが、基本的な
性格をかえるということは行革官僚の反動の現われです。私はそこを憂えるのです。
国家公務員法ができたときには、こういうものはほんとうはつくらなか
つた方がよか
つたのです。占領政策のもとであるから、こういう制約をつくるということに
なつたのであ
つて、これはぎりぎりの占領政策のもとでやむなく
とつた措置だ
つたのです。だからこれ以上のカテゴリーに行
つてはいけなか
つたのです。だから行き過ぎを是正しようとするならば、きわめてかたい制約ができた
国家公務員法をゆるめる方へ行くのならいいけれども、むしろかたい官僚統制の方向へ持
つて行こうというのは、かえ
つて占領政策の行き過ぎの是正じやなくて、占領政策を推進することにな
つてしまうのである、私はそこを心配するのです。
従つて人事院の
権能を一
外局として切りかえようとする立場において、時の
政府の鼻息によ
つて、いかようにもこの
人事委員会が動くようになる懸念がある。この一点だけを申し上げて、
あと私は本格的な
質疑のときに譲ります。
なお一点だけ申し上げますと、大体今申し上げたような
人事院成立の由来は、基本的人権を
公務員から剥奪している、その部分に対して
人事院を置いて、せめて
人事院規則のようなものによ
つて、この
権利を守
つてあげるようにしようということで
独立機関としたわけです。ところがこの間文部大臣もここで答弁したように、教育
公務員特例法を今度
実施した場合に、
人事院規則によ
つて、地方
公務員である教員までが、
国家公務員の
人事院規則の
適用を受ける結果になる。そうなると
国家公務員にのみ
適用を対象にしてお
つたところの
人事院規則は、地方
公務員も含まなければならないような
改正をしなければならぬということを
浅井さんが答弁をされておるのです。
政府もその点については了承しておられる。そうすると
国家公務員法の中の
人事院規則というものは、政治活動
制限の規定については、地方
公務員も含むということに
改正するようにしようという意図があるということになると、今のような
政府の
独立機関として、一般
行政組織法の中よりはずれた特別の
地位が与えられたる
人事院がつくる規則でなくて、一
外局の
人事委員会がつくる規則というものが、そういう基本的人権に影響するところの政治活動の
制限規定を設けるというようなことは筋が通るか通らぬか。これは国務大臣及び行革本部の総司令官の一人である
岡部さんに御答弁いただきたいと思います。