○林
政府委員 この
官吏服務紀律でありますが、
官吏服務紀律は御
承知のように旧
憲法時代に
独立の命令として出た勅令であります。従いまして新
憲法下における効力いかんという問題が、まず第一にあるわけでございます。これは新
憲法施行当時に従来の勅令等は昭和二十二年十二月三十一日まで一応効力を持たされてお
つたのであります。その後昭和二十二年に
法律第百二十一号というのが出ておりまして、
官吏その他の
政府職員の任免とか分限等、に関しましては、
国家公務員法の
規定が施行されますまでの間は、なお従前の例によるという
法律が出まして、これによりまして実は
官吏服務紀律もなおその効力を存せしめられておるのであります。ところが一方には
国家公務員法というものが昭和二十二年に制定せられまして、
一般職の国家
公務員につきましてのあらゆる分限、服務、
給与その他につきましての身分上の取扱いにつきましての
規定をいたしております。
国家公務員法が二十三年以来順次
適用されて参りました現在におきましては、
一般職につきましては、
官吏服務紀律の働く道はほとんどま
つたくなく
なつたと考えられるのであります。ただ
国家公務員法の特別職の職員につきましては、実はほとんどその身分上の取扱いについての規制はいたしておりません。ある特定の特別職の職員につきましては、たとえば
国会の職員なり保安庁の職員につきましては、それぞれ特別の
法律が出ておりますけれ
ども、
一般的にはまだ特別職の
公務員につきまして規制する
法律は新しくは出ておらない。その
意味におきましては、なおこの
官吏服務紀律を初めといたしまして、従前の
官吏服務に関する勅令等の
規定が、今申し上げました二十二年の
法律第百二十一号の
規定によりまして、なお従前の例によるという形で生きている。従いまして、あるいは
ちよつと御質問の趣旨を取違えているかもしれませんが、今御提案にな
つておりますこの特定の
公務員の
営利企業等への関与の制限に関する
法律案の内容を拝見いたしますれば、これは大体いわゆる特別職の職員についての規制であります。特別職の職員の、たとえば営利企業への関与その他の
事務に従事することについての一応の制限をしようという
法律のように見受けるわけでございますが、これは御
承知のように、ただいままでのところでは
官吏服務紀律がなお特別職の職員について生きていると見られる関係上、大体同様のことは実はその
官吏服務紀律にも
規定があるわけであります。第七条、第十三条というような
規定がございまして、営利会社の職員になるとかあるいは報酬を得て他の職務に従事するという場合に、一応全部本属長官の許可を受けるという
規定がございます。そういう
意味におきましては、現在でもやはりそういう
規定は存続されているというのが現在の状況でございます。
官吏服務紀律は今申しましたようなかつこうで生きているわけでございまして、ただその形はただいまも仰せられましたが。昔の明治二十年の形は新しい
憲法下の形においては必ずしも適当でございませんので、これは昭和二十二年に
改正にな
つております。これは主として第一条等が
改正に
なつたものと考えておりますが、そういう形である
程度現在の
憲法下においても、そういう効力を持
つてもさしつかえないような形に実はな
つていると思うわけであります。ただこれはいろいろ考えてみますれば、実は全体として非常に古い時代の
規定でございますので、新しい時代に即応するように特別職の
規定もいろいろもつと全般的な特別職の
公務員につきましての規制、身分上の取扱いに関する
一般法規をつくるということは、これはあるいは必要ではないかと、実は私
どもも考えております。これらも年来実は研究しておりますような状況であります。