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1954-05-28 第19回国会 衆議院 行政監察特別委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年五月二十八日(金曜日)     午前十時五十一分開議  出席委員    委員長 塚原 俊郎君    理事 高木 松吉君 理事 長谷川 峻君    理事 中野 四郎君 理事 小林  進君       天野 公義君    鍛冶 良作君       鈴木 仙八君    瀬戸山三男君       原田  憲君    岡部 得三君       椎熊 三郎君    久保田鶴松君       杉村沖治郎君    矢尾喜三郎君       小林 信一君  委員外出席者         証     人         (前関東財務局         長)      井上 義海君         証     人         (前大蔵省管財         局国有財産第二         課長)     牧野 誠一君         証      人         (会計検査院検査         第一局長)   池田 修蔵君     ————————————— 五月二十一日  委員橋本清吉君辞任につき、その補欠として岡  部得三君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  国有財産管理処分に関する件(物納国有財産払  下げ関係事件)  証人出頭要求に関する件     —————————————
  2. 塚原俊郎

    塚原委員長 ただいまより会議を開きます。前会に引続き国有財産管理処分に関する件(物納国有財産払下げ関係事件)につきまして調査を進めます。この際お諮りいたします。前に委員会において御了承を願つておいたのでありますが、本件について本日前関東財務局長井上義海君、大蔵省管財局長窪谷直光君、会計検査院第一局長池田修蔵君、以上三名の諸君を本委員会証人として出頭を求める手続をいたしておいたのでありますが、以上の諸君より証言を求めることに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 塚原俊郎

    塚原委員長 御異議なければ、さよう決します。次に、御報告並びにお諮りいたすこ付して委員長のもとまで本日出頭いたしがたい旨の申出が参つております。診断書によりますと、病名は急性虫垂炎穿孔性汎発性腹膜炎で、少くとも六月十八日まで安静加療を要すということでありますので、これにつきましては、正当の理由があるものとして、これを了承するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 塚原俊郎

    塚原委員長 御異議なければ、さよう決します。なお、大蔵省管財局長窪谷直光君が出頭になれませんので、前大蔵省管財局国有財産第二課長牧野誠一君を証人として本日証言を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 塚原俊郎

    塚原委員長 御異議なければ、さよう決定いたします。
  6. 塚原俊郎

    塚原委員長 それでは、ただいまより国有財産管理処分に関する件につきまして証人より証言を求めることにいたしますが、ただいまお見えになつておられる方は井上義海さんですね。
  7. 井上義海

    井上証人 そうでございます。
  8. 塚原俊郎

    塚原委員長 あらかじめ文書で御知いたしておきました通り、ただいまから国有財産管理処分に関する件(物納国有財産払下げ関係事件)について証言を求めることになりますが、証言を求める前に証人に一言申し上げます。昭和二十二年法律第二百二十五号、議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならないことと相なつております。宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言が、証人または一証人配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあつた者、及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁理士弁護人公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあつた者が、その職務知つた事実であつて黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになつております。しかして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは三月以上十年以下の懲役に処せられることになつておるのであります。一応このことを御承知になつておいていただきたいと思います。なお、証人公務員として知り得た事実が職務上の秘密に関するものであるときは、その旨を申出願いたいと存じます。では、法律の定めるところによりまして証人宣誓を求めます。御起立を願います。  宣誓書の御朗読を願います。     〔証人井上義海朗読〕   良心に従つて、真実を述べ、何事もかくさず、また何事もつけ加えないことを誓います。
  9. 塚原俊郎

    塚原委員長 それでは宣誓書署名捺印してください。     〔証人宣誓書署名捺印
  10. 塚原俊郎

    塚原委員長 これより証言を求めることになりますが、証言証言を求められた範囲を越えないこと、また御発言の際にはその都度委員長の許可を得てなされるようお願いいたします。まず委員長から概括的に証言を求め、次いで各委員から証言を求めることになりますから、御了承ください。なお、こちらから質問をしておりますときはお掛けになつておりましてもよろしゆうございますが、お答えの際には御起立をお願いいたします。井上君の御略歴について簡単にお述べ願います。
  11. 井上義海

    井上証人 昭和八年東大を出まして大蔵省理財局に勤務、その後大津の税務署長を振出しに、大蔵事務官、対満事務局事務官、大東亜省殖産課長大蔵省為替課長印刷局労務部長東京財務局総務部長関東財務局長を歴任いたしまして、先月十日付をもつて印刷局長を命ぜられて現在に及んでおります。
  12. 塚原俊郎

    塚原委員長 財務局総務部長をなさつていたのは何年から何年までですか。
  13. 井上義海

    井上証人 昭和二十三年三月ごろだつたと思いますが、三月ごろから昭和二十四年の六月までだつたと記憶しております。
  14. 塚原俊郎

    塚原委員長 そのすぐあとで財務局長になられたのですね。
  15. 井上義海

    井上証人 東京財務局仕事が、国税関係と、その他理財関係管財関係が分離をいたしまして、国税関係国税局、管財理財関係東京では東京財務部となりました。その財務部長になり、翌年東京財務部関東財務局に改名いたしまして、そのまま引続いてやつております。
  16. 塚原俊郎

    塚原委員長 物納下動産の売払い手続概略についてお述べ願います。
  17. 井上義海

    井上証人 物納不動産の売払い手続の最近やつております概略お答えいたします。  まず、税務署へ収約いたしまして、財務局に備わつております国有財産台帳の中で、未処分のものを一応区別町別に集計いたしまして、委託財産目録を作成して委託会社交付をいたします。委託会社は、交付を受けた目録によりまして、まず実態調査をやるのであります。実態調査のやり方は、一応様式が示してございまして、その様式に示された内容調査をいたすのでありますが、ことに物納不動産土地につきましては、賃借関係の有無、また賃借者がだれであるか、またその不動産をその賃借人が買い受ける希望があるかどうかというようなことを調査いたしまして、財務局あるいは出張所報告をいたすわけであります。その報告に基きまして、賃借人が買い受ける希望があるということになりますと、まずもつて財務局あるいは出張所からその不動産の買入れ希望者に対しまして案内書を出すのであります。  この案内書は、はがきにちやんと刷つてありまして、手続が非常に簡略に書いてありますので、一応これを読んで参りますと、「国有物納財産払下手続きについての御案内、貴段が現在御使用になつております国有財産につきまして、当局物納財産売払仲立委託会社から貴殿が払下希望しておられるとの報告がありましたので払下手続等のあらましをお知らせいたします。」希望者があつたと同時に、この手続順序を相手に間違いのないように知らしておるのであります。「記」といたしまして、第一が「委託会社の係員が売払申請書の用紙をお届けいたしましたら、これに必要な事項を記入して手続きを依頼して下さい。」二が「依頼を受けた委託会社では皆様のお求めによつて払下価格既往使用料弁償金)、払下後の登記等のこと等払下手続きについて御相談に応ずることになつております。」三といたしまして「委託会社では皆様との御相談が成立し、添付する書類が完備されますと財務局(同出張所)へ提出します。」四といたしまして「財務局ではその書類を審査しまして払下の価格や代金納入方法等を決定いたしますと売買契約をいたします。」五が「契約手続きが完了しますと売払代金を納入するための納入告知書をお送りいたします。この告知書によつて日本銀行本支店、同代理店(各銀行郵便局あるいは財務局(同出張所)へ直接払込んで頂くのです。」六が「売払代金が完納になりますと引続いて既往使用料弁償金)を納めて頂きますため納入告知書をお送りいたします。この使用料納入方法は(五)の場合と同様です。」七といたしまして「払下代金使用料とが完納されますと皆様から登録税納入領収証あるいは収入印紙を添えた所有権移転登記嘱託請求書によつて委託会社所有権移転登記手続きをしてくれます。登記が完了しますと権利書財務局からお渡しすることになります。登録税の額は登記所査定額の二十分の一に相当する金額です。」八に「御注意」といたしまして「以上の手続きによつて使用財産皆様所有となる訳ですが、これらの手続きを通じて、委託会社には、皆様から国へ支払いになります払下代金弁償金あるいは登録税印紙の場合を除く)の受領の取扱を厳禁さしておりますから、前記の方法によつて必ず直接国庫へお払込み下さい。なお手続きその他について御不審、御不明の点がありましたら御遠慮なく財務局(同出張所)へ御問合せ下さい。」こういう案内書を、ただいま申しました実態調査に基きまして相手方に買入れの希望がありましたら、さつそく出しております。  今の案内書手続が簡略に申し述べてあるのですが、希望がありますと、委託会社渉外人買受人のところに参りまして折衝をいたします。それによりまして、払下申請書を出し、その申請書に基きまして委託会社払下げ決議書案を作成いたします。それに実測図公図あるいは分筆の申請書を添付して、財務局あるいは財務局出張所に出してもらう。財務局あるいは財務局出張所におきましては、その内容を審査いたしまして、適正と思えばそれを決裁する。それに基いて納入告知書を直接本人に送る。その納入告知書によりまして買受人がお支払いになりましたら、今度は弁償金を調定いたしまして、またその弁償金支払いがあつたら、買受人から所有権移転登記嘱託請求をいたしまして、その手続が完了しましたら、登記済み証書を直接本人交付し、それに対する受領証をとりまして、一応手続が完了する。こういうことになります。  なお、代金の問題が従来問題になりましたので、買受希望のありますときに今申しましたような案内書を出しますが、納入告知書を送りますときに、なおもう一度念のために「国有財産売払代金納入について」というものを、これも注意書になりますが、出しております。これによりますと、「現在関東財務局では各不動産会社をして財産税等により物納された土地建物その他普通財産を売払つておりますが、これは単に売払の手続きだけであつて、これらの売払代金局所定納入告知書により日本銀行各支店同歳入代理店(各銀行及信託銀行郵便局及関東財務局、同財務部東京都内出張所に払込んでいただくことになつておりますので、絶対に右の委託業者支払いなさらぬようお願い致します。」納入告知書を出しますときに、再度この注意書を出して、間違いのないようにいたしております。
  18. 塚原俊郎

    塚原委員長 あなたの前におられた関東財務局管内収納した物納国有財産は大体どのくらいありますか。それから、そのうち物納不動産宅地及び建物、これもおわかりになりましたら、どのくらいあつたお答え願います。書類をごらんになつてけつこうです。
  19. 井上義海

    井上証人 宅地が、件数にいたしまして十一万三千六十一件、数量にして九百五十六万三千九百四十五坪、収納価額が八億七千七十五万四千八百五十九円、建物が、一万八千五百十三件、坪数が五十一万四千三百八十一坪、収納価額が六億八千四十一万五千七百七十七円、農地が、これは山林を含んでおりますが、八十六万七千九百十九件、坪数が一億五千七百六十七万九百八十坪、収納価額が三億一千五百十四万六千四百十八円、有価証券が、数量が千四百九十八万七百五十七株、収納価額が七億三千六百二十三万二千二百七十八円、皇室財産として、収納価額が八億一千九百七十万百六十一円となつております。
  20. 塚原俊郎

    塚原委員長 物納不動産払下、げの事務民間業者に委託いたしましたね
  21. 井上義海

    井上証人 はい。
  22. 塚原俊郎

    塚原委員長 その委託した事情及び民間業者の選定はどういう方法でおやりになりましたか、お述べ願います。
  23. 井上義海

    井上証人 物納不動産処分につきましては、物納不動産性質上、大蔵省といたしましては、これを長く管理しておる性質のものでなくて、税にかわつて物納されたものでありますから、できるだけ早くこれを換金いたしまして歳入をあげるというのが当時の基本的な方針であつたのであります。その当時の表現で言いますと、これは突貫売払い、あるいは歳入至上主義と称しておつたのであります。できるだけこれを処分するということでありました。もう一つは、物納財産がどれくらい財産税等によつて物納されるかということがその当時あまり予想されていなかつたのでありますが、ただいま申しましたように非常に厖大件数が物納されたのであります。それから、有価証券等処分というものは、現物を日本銀行に保管しておりまして、逐次これを一般競争入札処分しておりますので、ほとんど問題が起らないのでありますが、土地等になりますと、終戦直後焼けたままで草ぼうぼうと生えておりまして、だれが借地権者であるか、一筆の土地処分するについてもその実態調査しますことは非常に苦労があります。また、これらの払下げの交渉にいたしましても、時間に束縛された公務員ではなかなかむずかしいのであります。御主人のおられる朝早く参りますか、あるいは帰られました夜遅く参りまして折衝しなければならぬ。その当時は、不動産を買つていただくということはなかなかむずかしい状態でありまして、聞くところによりますと、中には四、五十回も足を運んでようやく話がまとまるというようなこともあつたようでありまして、しかも一方突貫的な売払いを基本的な方針としておるものでありますから、とてもこれは役所直接で払い下げるということは非常にむずかしい。それで、これはやはりそういう不動産売買を扱つておる人の経験機構というものを利用しなければ、その目的を達成することはできないということで、これらの物納財産払下げについて経験を有する会社に委託して行こう、こういうことになつたのであります。  そこで、関東財務局指定になつております委託会社の総数は三十八社ございました。そのうち本省指定をいたしましたのが約十社であります。本省指定しておりまする委託会社は、たとえば中央信託銀行とか冨士信託銀行とか、朝日信託銀行東京信託銀行等信託銀行で、これは信用資力等から申しまして問題ないのであります。こういう信用のある会社だけにやらしておけば、おそらく問題も起らなかつたであろうと考えられるのでありますが、その当時といたしましては、今申しましたように非常に早く突貫的に売払いをしなければならぬ。一つには非常に厖大物納財産収納がありましたこと。もう一つは、物納財産処分について、職員人員配置の問題でありまするが、これが、御承知のように二十三年ごろは税務署の方は非常な混乱の時代でありまして、また財務局の方も、国有財産関係では、厖大陸海軍軍用財産を引継ぎまして、これの管理処分、ことに機械につきましては関東財務局管内だけで五、六十万台あつたと思いまするが、その当時はまだ賠償のために梱包して輸出するという建前でありましたので、これの一台ごとの調査ということは監督付の非常にむずかしい仕事もあつたりいたしましたので、物納財産の処理という方面に充当いたしまする職員の数というものが、財務局では初めは一つの係でやつてつたよう状態でありました。最近ではだんだんこれをふやしまして、行政整理で人が減つているのに逆行いたしまして、二十七年には特別の第四課というものを設けたりして参りましたが、その当時としては非常に充当する人員も少かつたということ。もう一つは、今申しましたような信用のある信託銀行等はいいのでありますが、こういう銀行になりますと、今申しましたような、わらじがけでたびたび熱心に買受人のところに通つて折衝するという点で、どうしても熱意が十分に足りないという点もありまして、また地方々々の事情に通じました不動産売買業者指定した方が成績があがるということで、それらの不動産仲介業者経験機構、これを活用して突貫売払い基本的方針に即応しようということから、こういう一流の信託銀行以外に不動産仲介業業者指定して来た、こういうような事情にあるのでございます。
  24. 塚原俊郎

    塚原委員長 三十八社と言いましたけれども、現在は何社ぐらいありますか。
  25. 井上義海

    井上証人 現在は、東京都内指定区域といたしております業者で残つておりますのは六社でございます。
  26. 塚原俊郎

    塚原委員長 そのうちに都不動産とか新郊土地というのがございますね。
  27. 井上義海

    井上証人 はい。
  28. 塚原俊郎

    塚原委員長 この都不動産と新郊土地建物株式会社、この二つの会社指定したいきさつについてお述べ願います。
  29. 井上義海

    井上証人 新郊土地建物株式会社指定を受けましたのは二十三年の十二月十三日付でありまして、このときは、先ほどちよつと申し上げましたように、元の東京財務局時代でございます。私その事情を詳細には承知しておりませんが、知つている範囲におきましてお答えをいたしたいと思います。
  30. 塚原俊郎

    塚原委員長 当時あなたは財務局におられたのでしよう。
  31. 井上義海

    井上証人 当時元の東京財務局総務部長をやつておりました。総務部長の職責は、人事、ことに当時の労務管理の問題で、各部の個々のそういう仕事内容については詳細に承知しておらないのであります。しかし、その後関東財務局長にもなりましたから、以前に指定になつた事情は十分聞いておりますので、その範囲においてお答えいたしたいと思います。  新郊は、昭和八年六月合資会社郊土地商会というものに名前がかわつておりました、さらに昭和二十年三月七日新郊土地建物株式会社、当時は十八万円の資本金でありましたが、後に三百万円に増資されております。会社名がかわつておりますが、これは主として社長の飯沼文二さんの長年やつておられる不動産仲介業であつたわけです。その当時、もう一社ぐらい指定をしてもいいという事情にあつたときに、三社の希望者があつたつた、抽籤の結果新郊土地が当りまして指定を受けた、こういうような事情にあつたようであります。この新郊土地は、今申し上げましたように長い経験を持つておりますし、また二十一年の実績を見ますと、百数十件の件数取扱つて約二千六百万円ぐらいの金額をあげておりますし、また翌年の二十二年には約三百件、約三千万円程度の取引高をあげているようであります。経験実績等から見ても指定したというような事情なつ、ております。  また、都不動産は、やはり二十三年の八月十三日に、大蔵省に稟議いたしまして、その承認を経て指定をいたしておるのであります。これも元の玉田伝平さんの個人的な不動産売買業が中心になつております。二十三年の五月十九日に都土地住宅株式会社に、その後都不動産株式会社にかわつておりますが、これも長年の不動産仲介業者としての経験を持つておりますし、実績も相当の実績を持つておるので指定された、こういうようないきさつであるように聞いております。
  32. 塚原俊郎

    塚原委員長 こういうものを指定する部局はどこなんですか。何部が主としてやるのですか。
  33. 井上義海

    井上証人 一番初めは大蔵省指定しておつたのであります。全国にまたがるような指定区域会社不動産信託銀行等は、大蔵省指定しております。それから、地方財務局がありますが、その地区を指定するような会社につきましては、それぞれの財務局大蔵省に、いろいろな調査した資料をつけまして禀議して、承認を経てやつております。二十三年十月ごろでございましたか、地方的なものは全部財務局長に委任されましたので、その後は財務局長承認経ずして単独に指定をしておつた指定をいたしますのは、財務局管財部というのがありまして、管財部の所管をしております部課によりまして、調査して資料をそろえて、決裁にまわす、こういうことになるのであります。
  34. 塚原俊郎

    塚原委員長 二十五年ごろまではほとんどの委託業者買受人から代金を受領しておつたようでありますが、当時業者代金を受領することは認めておつたのですかどうですか。
  35. 井上義海

    井上証人 この預託金の問題についての御質問でありますが、この点は、関東財務局といたしましても、ことに法律問題として考えまして、非常に難渋、苦慮をきわめた問題であります。この預託金の発生を一番初めの当初にさかのぼつて考えてみますともちろん預託金をやりますことを当局として承認したりしたことはないのでございますが、一番初めの起りを考えてみますと、先ほどもちよつと触れましたように、二十三年、ころ、なかなか買受人に買つていただけないのを、たびたび足を運んで大体話がまとまつた、大体話がまとまると手付を出す。—これは、民間売買だと、大体話がまとまると二割、二割の手付を打つという慣習があるようでありまして、この国有財産処分につきましても、大体話がまとまりましても、手付を打たないと、委託会社あるいは商売人といたしましては、たびたび足代を使つて話がまとまつて来たのに、翌日行くとだめになるというのでは非常に困るということもあろうかと思いまして、商慣習従つて手付金をとつた。それが原因的に申しましても預託金の起ります最も初めの状態ではなかつたかと思います。そのほかに、払下げ代金即納ということになつておりますので、買受人の側から申しましても、資力の乏しい方もありまして、一ぺんに金をお払いになる方はけつこうであるが、分割して納入したいという方には、それを一時預かつて、全額になつた国庫に納付するというような、一つの便法としてそういうことをやつて来た。一つ商慣習としての手付金一つは、即納であつたということから、一部金を預かるというようなことが起つて参りました。しかし、それは、各委託会社ともだんだんそれをやつておりますので金額もふえて来るし、二十四年の半ばごろでございましようか、二十五年の半ばごろに至りましては、財務局としてもそういう事情があることは了知いたしておつたのであります。しかし積極的にとめるという状態には至つていなかつたのであります。しかし、だんだん金額もふえるし、中にはどうも経理がおもしろくなくて、買受人の方から、代金は全部委託会社の方に払つたけれども、まだ登記が済まないという苦情が出たりして、こういう状態を放任しておいてはいけないということから、二十五年半ばごろからたびたび打合せ、通牒等でやつておるのでありますが、預託金整理して、今預かつておるものは、代金の一部であつても、納付日が来たらさつそく国庫の方へ納めるようにというので、相当整理を強行して参りました。さらに、二十五年の終りごろから禁止だというふうに持つて参りました。それから、二十六年委託契約にはそのことを明示して、その委託契約条文にもうたつておりますし、また二十七年四月ごろからは、先ほどちよつと読みましたが、納入告知書を出すときに買受人に直接そういう注意もいたしました。現在におきましては、先ほども申しましたように、非常に徹底した方法をとつておるのであります。預託金の起りましたもとと、それからその間の事情というものは、大体今申し上げました通りであります。
  36. 塚原俊郎

    塚原委員長 委託業者の中で、多額の売払い代金を使い込んだ者があるということが、この間から調査してわかつたのでありますが、その間の事情についてお述べ願うと同時に、その善後処置についてはどういう方法をとられて来たか、処理の現況についてはどういう、ふうになつておるかということをお述べ願います。
  37. 井上義海

    井上証人 お答えいたします。最近まで問題になつておりますのは、都不動産株式会社と、新郊土地建物株式会社の二社でございます。  都の方は、累計にいたしまして約二千三百万円くらいの預託金の費消がありました。これにつきましては、大体二十五年の半ばごろから、さような状態はわかつておりまして、費消額についての調査を行つてつたのでありますが、これの補填についてどういうような方法でやつたらよいか、非常に役所の側としては心配し、苦労したのであります。都不動産そのものといたしては、不良な渉外員等は整理して、残つた渉外員で、会社自体は再建意欲に燃えておりましたので、十分な事実上の業務管理を強行いたしまして、政府が支払う手数料をもつて逐次補填いたして参つたのであります。予想より相当遅れてまことに申訳ないのでありますが、最近代金が全部補填がつきました。  それから、新郊土地の方は、累計にいたしまして約四千万円の費消があり、これにつきましては、都と違つて、新郊は自主的に再建するには望みがほとんどないということで、これは、二十七年八月でございますが、委託を取消しました。買受人に迷惑をかけないように、ラジオ、新聞等で公告し、一切取引しないようにしながら、幸いにこれの整理会社大建不動産株式会社ができまして、これを指定して、新郊のあけた穴を、役所側としては大建を監理しながら逐次埋めて参つたのであります。それで、新郊の指定を取消す前に契約して売払つたもので、あとで代金が完納になつて新郊に払うべき手数料と、それから新郊の社長の個人の財産処分これは、新郊につきましては役所の方から和解の請求をいたしまして和解が成立しておりますので、債務名義にして徴しました担保が土地質権、それから社長が渉外員に持つております債権を信託的に譲渡をいたしておりますが、それらの取立てを強行したのが百数十万円、それから今の代金が代理権者に来ております。それらの金額を合してごく最近のところでは三千万円くらいの補填がついて、大体今請求書等を出しておるそうでありますが、現在では一千万円くらいのまだ残があります。これはまだ社長個人の持つております不動産伊東等に山林がありまして、山林の値打はないのですが、鉱泉地が一部ある。これらを岸本不動産が評価しておりますが、できるだけ早くちようど今時期が悪いのでありますが、これらが相当高く売れたら、また大建は指定して売払いをさしておりますので、これらの手数料が今後出て参りますので、おそくとも本年中には全部形がつくのじやないかという見通しを持つております。
  38. 塚原俊郎

    塚原委員長 先ほどの証言の中にもありましたが、苦情が大分持ち込まれるということでありますが、現在の財務局出張所にまたたくさん苦情を持ち込まれておる。その苦情のおもなるものはどんなもんですか。
  39. 井上義海

    井上証人 財務局では、これば正式に認められた機関ではないのでありますが、いろいろこれは委員長から御指摘のような苦情が持ち込まれますので、人手不足の中から苦情相談室という事実上の機関を設けております。これにいろいろ持ち込まれるので、この数字をちよつと拾い上げて見ますると、昨年の十月からことしの四月までの累計を見ますと、約五百件くらいのものが持ち込まれております。その内容を見ますと、境界線の紛争というものがございます。一筆ごとの土地が問題になつて、借地人が数人おる、そのAとBとの境界線がどうも折合わないので、そういう争いがある。あるいは、払い下げ価格について、申請者は相当前に出しておるので、当時の指数を使つてもらいたいというような、払下げ価格の点で苦情を持ち込まれるのが相当ございます。また、代金は相当前に払つておるが、使い込み預託金の費消されましたものが非常に多いのでありますが、代金を払つておるのに登記が非常に遅れておる、登記料の値上りがあるので非常に困るから、前に払つた登記料でやつてくれというものがあります。あるいは弁償金、これは払下げるときに物納時から払下げ代金納入までの使用料弁償金としてとるのでございます。その弁償金の問題。それから権利関係も相当ございます。物納土地に借地権ありと主張される方が二人以上ありまして、それをお互いに譲られないというような、権利関係が基く陳情というものもございます。その他また私道関係、道をつけるのにまたいろいろ甲乙両者の間に問題がある。そういうものがありまして、累計してみますと、この七箇月の期間に大体五百件くらいのものが持ち込まれております。
  40. 塚原俊郎

    塚原委員長 苦情の中にもあつたということを言われましたけれども、業者代金を使い込んだためにまだ登記ができないものが相当あると思うのですが、どれくらいありますか。そのまた処理についてはどういう対策をおとりになつておられますか。
  41. 井上義海

    井上証人 売払い件数の中で代金が完納になつておりまするものが、関東財務局管内で、これは二十九年二月現在の調べでございますが、八万六千八百六十五件、そのうち、登記済みの件数が六万一千七百九十六件、法務局出張所に提出中の件数が千六十六件提出、まだ未提出で未処理のものが二万四千三、この中にはまだ買受人の方が弁償金をお払いになつていないものも若干ありまして、当然登記しなければならぬものはもつと数字的には減るわけであります。しかしながら、その数字は、未処理の件数の数字というものは相当大きいので、今後はこれの処理ということが最も重要な問題になつて来ると思うのです。かような数字が出ましたのは、一つには、従来のやり方が、先ほどちよつと触れましたように、とにかく早く処分するという突貫売払いで参りましたので、どうもこの残務整理の方に手薄であつた。これはどうも非常に遺憾なことでありますが、早く売払うということのために残務整理が手薄なのです。委託会社の方も、残務整理をやるよりも、早く売払つて早く代金が納まると手数料がもらえますから、できるだけ残務整理の方の手を省いて早く売る方にかかつたという、そういう弊害もあつたかと思います。現在におきましては、これは登記が完了しないと手数料を出さないようにしておりますが、従来はそうでなかつたためにこういうような弊害があつた突貫売払いのために、売払いにあまりに力を注いだというようなことでこういうのが残つております。一方では、委託金費消のために買受人としては代金は納めておるのでありますが、国に完納になつていないので遅れたというのも相当残つております。これは、今後物納財産処理の中で最も重要な、最も先行してやらなければならぬ問題であります。私がかわりますとき、新財務局長にもこの点は十分引継いで来たのであります。大蔵省本省もこの点は十分認識しておられるし、できれば、各委託会社を督励いたしまして従来の遅れておりまする未登記のものも処理を早く促進する特別班を編成することになろうかと思います。そうして、本年はできるだけ早くこれの処理をいたすように、むしろ売払いよりも未整理の処理というものに今後は重点を置かなければだめだ、こう考えております。またその方針で現に進みつつあると考えております。
  42. 塚原俊郎

    塚原委員長 あなたはもう財務局長から今度印刷局長に移られているのですから、こういう質問は当るかどうかわかりませんが、こういう問題に深くタッチされた方として、今後の物納不動産の売払い方針についてお述べ願いたいのですが、特に私の聞きたいのは、売払いについて、今日の段階で、未整理のものを処理する特別班をつくるというようなお話もありましたが、委託業者を介在させることが必要でありますかどうですか。その点についての御意見を承りたいと思います。
  43. 井上義海

    井上証人 だたいま委員長の御質問の点は非常に重要な問題だと思うのでございますが、東京都内の数字をちよつと申し上げますと、これは昨年の七月三十一日の調べでございますが、引受けました数量が約五百四十一万坪、処分済みが約三百七十九万坪、比率にしまして約七〇%となつております。あとの三〇%程度のものが残つて、昨年の七月以降現在までに大体五%くらいのものがさらにこれに追加されておりますので、東京都内で申しますと約七五%程度のものが処分済みであるということでございます。そうなりますと、あと残つておりますものが二十数。パーセントになるのではないかと考えております。その中で、どうしても売れないものが、あるいは公道になつておりましたり、あるいはほんとうにがけ地のようなものでありますとか、それから沼地のようなものになつておりますものとか、あるいは買受人がまつた資力がございませんで、いくら交渉してもどうしても買つていただけな  いというものがどれくらいございますか、大体一割くらいではないかと思います。そういたしますと、七五%に一割で八五%ですから、あと十四、五。パーセントというものは処分可能の財産というものが残つておるわけでございます。こういう財産物納財産で、今一般会計になつたのでありますが、これはいつまでも管理しておくべき性質のものでないことは今でもかわりがないのであります。これはできるだけ早く処分して歳入に上げるということは今でもかわりがないのであります。これの売り方は、やはり公務員では非常にむずかしいのでありまして、幸いに、先ほど申しましたように、現在におきましては、昔の貴重な経験を生かしまして、そういう不正事件の起らないような十分の措置をとつておりますから、今後の心配はないのであります。委託会社の数も非常に減つておりますし、これらを十分に監理し督励しながら、今申しました十数。パーセントのものはやはり売つて行くべきではないか。残つているものは、いつまでも宙ぶらりんの状態で放置しておくわけには参りませんで、正式に賃貸契約を結んで、今までの弁償金の形でなく、使用料を調定してとる。一方には売りながら、一方には、売れないものは、相当恒久的にはなりますが、管理状態に移して行くというような措置をとつて行く。何と申しましても、これからの重要な問題は、先ほどちよつと数字も申し上げましたが、未登記のものの整理を早くする。もつとも、大蔵省としても、出先の財務局、財務出張所といたしましても、これには最重点をかけて、買手に御迷惑をかけないで早く処分する、このための予算要求もやつておるそうでありますが、特別班を編成して、未登記、未整理のものをできるだけ早く処分する。一方売払い処分の方は、今申しましたように、一方に管理に移管しながら、売れるものは売つて行くという態勢をとつて行くというよりほかにないのじやないか。売れるものにつきましては、不動産売買は非常に専門的な知識を要しますので、やはり委託業者を使つてやらないとむずかしいのではないかと考えております。
  44. 塚原俊郎

    塚原委員長 高木松吉君。
  45. 高木松吉

    ○高木委員 われわれが最後の考え方をまとめるに、どうしても根本的なものを聞いておかなければならぬので、はつきりさせておきたいと思いますが、最初に証人が読み上げられた注意事項手続等を記載しておる葉書及び告知書に同封してやつた代金を直接委託会社に支払うことを厳禁した文書等は、いつからそういうものを発送されたのですか。言いかえれば、問題が起きてからですか、問題が起きない前からですか。その点をはつきりさせていただきたい。
  46. 井上義海

    井上証人 その点は、大体問題は二十四、五年に起きておりますが、問題が起きて後でございます。そういうことがありましたから、繰返さないようにというので、だんだんそういうものを注意するようになつたのであります。
  47. 高木松吉

    ○高木委員 何年ごろですか。
  48. 井上義海

    井上証人 買受人納入告知書を渡しますときに出しましたのは二十七年の四月からでございます。それから、今申しました非常に懇切にやつております、買受け希望のありますときに案内書を出しますのは、昨年の五月ごろから非常に詳しい案内書を出すようになりました。
  49. 高木松吉

    ○高木委員 むろん、私どもの知識で判断すれば、物納の払下げは一般の法律によつて国も買受人も規定せられると思うのですが、その点はどうなりますか。
  50. 井上義海

    井上証人 今の高木委員の御質問は、一般法律によつて規定されると言われたのですが、その意味は、払下げ関係は私法関係のそういう適用を受けるかどうかということでありますが、これはもちろん私法関係でありますから、そは一般民法その他の適用を受けます。ただ、様式等は、一般個人の売買と違いまして、代金を払う場合は会計法その他の規定によりまして納入いたします。そういう点で若干法律の規定に従わなければなりませんから、形式的には違いますが、実質的には私法関係の適用をもちろん受けると思います。
  51. 高木松吉

    ○高木委員 そうしますと、国が選択して委託した会社というものはいかなる権限を持つことになりますか。
  52. 井上義海

    井上証人 委託会社法律的性格についてのお尋ねでございますが、これは、高木委員は非常に法律の専門家でございますので、いろいろ御検討をなさつていると思うのでありますが、委託会社と国とは委託契約というものを結んでおります。ただ、この委託契約は、今まで経験のない初めてのことでございますので、条文としては十数条のものでありまして、法律的性格から言えば、今から検討してみて必ずしも完備しているものでないと思いますが、趣旨といたしましては、委託会社に対しましては国と買受人との間に立ちまして、物納財産払下げに対する一切の事務あるいは払下げに至りますまでの仲介、仲立ちを委託した、こういうように、契約の精神もそうなつております。また、いろいろな回答や打合せ、通牒等におきましても、その点はどこまでも仲立ち、仲介、売払い事務の委託、こういうことに相なつております。
  53. 高木松吉

    ○高木委員 国、委託会社及び払下げを受ける者との法律関係において、民法及び商法の代理権の規定の表見代理の規定は適用されるものでありますか。
  54. 井上義海

    井上証人 ただいま高木委員の御質問の点は最も重要な問題でありますし、最も困難な問題でありまして、この買受人代金の一部または全部を委託会社またはその渉外員に渡しましたときに、それで買受人が国に対する債務を弁済したと見られるかどうか、あるいはその金が私金であるか公金であるかという問題につきましては、私どもも二十五、六年ごろこの性格について非常に検討はしてみたのであります。それで、預託金の発生時期発生原因、その後の経過等をつぶさに検討いたしてみますと、先ほど申しましたように、もともとは委託会社の仲介によつて手付金を打つた。今ちよつと手元に持つておりませんが、二十三年ごろ、これは都の様式があつたのです。都ばかりでなく、各委託会社もそれをとつてつたと思うのでございますが、買受人から、これも仲介によりまして五分の手数料を委託会社がとるわけであります。そのときに、買受人の中になかなか払つてくれない人がある。それで、委託会社として、やつぱり防衛上買受人の方からそういう事務を依頼するような書類をとつておる。その裏を見ますと、一応話がまとまつたら三〇%の手付を打つ、しかし、これは結局決議書案を役所に出して、役所の決裁をまたぬくとまとまらぬ問題である、その決裁が下りなかつたらそのままお返ししますというような文句を使つております。だから、発生原因的に見ますと、この金は便宜上委託会社買受人からとつておる。その金が公金である、これを使つたら公金の費消であるということは、ちよつと法律的には言いにくいのであります。二十五年の春ごろになりまして、だんだん各委託会社もそういうことをやつて、また役所もそれを了知して、場合によつてはそれは公知の事実、黙認の状態にまでなつてつたということも、これはいなめぬ事実だと思うのです。そうなりますと、非常に表見代理に近い状態であります。また、代金の一部を費消したということは、実際問題としては二十六年の半ばごろまであつたのです。惰性で、整理々々と言いますけれども、なかなか整理がつかない。前の整理をやるためにあとのやつをとるというように、たらいまわしの状態をやつておりまして、二十六年ごろまであつた。役所としては、二十五年半ばころから、整理、禁止ということになつております。それ以後たらいまわしをやつたものは、どうも容認も黙認もない。実際上には納入告知書を、それも非常に間違つたやり方だつたのですが、人手も足りぬし、便宜上委託会社あるいは委託会社を通じてしよつちゆう出入りしておる仲介人を通じて納入告知書を出しておつたことがあります。それによりますと、納入告知書面では、日本銀行あるいは国庫代理店、あるいは郵便局となつてつたのです。もちろん役所でも分任収入官吏でないと国庫金を取扱えませんから、まして仲介人はそういう資格がない。しかし、買受人の中にはそれをよく御存じで便宜上、しよつちゆう接触しているものでありますから、代金国庫に納めて来いというので渡されて、仲介人は名刺の裏にでも簡単に書いておるような場合があるが、時期によつて違いますし、個々の場合をせんさくしませんと、表見代理かどうかということも非常にむずかしい。これは、極端に申しますと表見代理とも言い得るし、表見代理でないとも考えられるが、これは割切つて考えることが非常に困難なものであります。近畿の場合は刑事問題で訴訟になつておりますが、これは結審になつてから一年になるが判決が下つておりません。おそらくこれは非常にむずかしいものであります。新郊の場合は、これもやはり恫喝がありまして刑事問題になりましたが、これは業務上の横領になつております。この問題は非常にむずかしい問題で、なかなか割切つて考えることはできないのであります。率直に申しまして、行政措置としては、とにかく国が被害にあつても、税金にかわつたものであるから、国の被害というものは忍べない。また買受人の被害といたしましても、道義的に見て忍べるものではありません。何とかして早く補填することが法律問題はさておき、行政上の措置としては次善の策ではないかということで、業務監理に移行して、できるだけ早く国庫に入れようという措置をとつたのであります。今の表見代理の問題につきましては、非常にむずかしい——表見代理の時代も若干あつたのではないかと思いますが、しかし、発生原因的に、あるいはその後の状態等から見れば、一概に表見代理とも言えないものであります。これにつきましては、管財局長が法務府の民事訟務部長に照会しまして、訟務部長からも回答があつたのでありますが、その回答も、こういう場合にはこうだ、こういう場合にはこうだということで、なかなか割切つた回答ではなかつた。それで実際の場合、一線の現地においてそれをどう適用したらいいかということもなかなか割切つて考えられなかつたのであります。その点は非常に申し訳ないと思いますが、事実関係がそのような状態でありますから、まことにこの点は苦慮しております。結局、行政措置としては、早く補填することが買受人に迷惑をかけない、あるいは国に迷惑をかけない措置ではないかということで、やむを得ない措置ではありましたが、そういうように関東財務局としては措置をとつてつたわけであります。
  55. 高木松吉

    ○高木委員 ただいまの話では私は了解できないのです。要するに、国の機関がやりそこなつたものは、たとい税収のかわりだとはいいながら、これは国の責任において適当な処置をとるべきものだと思います。買受人法律上保護せられるはつきりした解釈がつくものであるとするならば、国は何も道徳上の責任のごとくに考えるべきものでもなかろうと思う。そこで、私は掘り下げてこの問題をはつきりしておきたいと思う。もしあなた方が今日あることを知つたならば、いま少し的確性のある方法をもつて法律上の条章と照上合せ、問題の起きないようなことをやつたであろうと思うが、あの当時の事情からすれば、これまたいかにあなた方であつても無理からぬところもあると私は解釈しております。しかしながら、私どもこの問題をこうして調査いたしまする以上は、法律的にも道義の上においても、どうあるべきものであつたかということの大前提を確立して行かなければならぬ。そこで私はお尋ねするのでありますが、要するに、委託会社は国から委託されたので国と一体になるべき性質のものだと私は考える。それから、売渡人側と買受人との双方代理は禁ぜられておるものだと思うので、買受人から代理行為を委託されることはないと思います。そうすると、国はいかなる事項委託会社に委託したかということが根本の問題になつて来るように考えられるのだが、そこであなたに聞きたいことは、国はどの程度までどういう権限を委託会社に与えたか。これを与えておるがゆえに民法上の表見代理の規定も適用されるという形になつて来るのじやないかというふうに考えるので、この意味から、委託した内容を明らかにしていただきたいということを先ほど私が申し上げたのでありますから、その点を明らかにしていただきたい。
  56. 井上義海

    井上証人 ただいまの高木委員の御問はごもつともだと思いますが、委託契約書によりますと、先ほどもちよつと申し上げましたように、そういう点については文言の上ではやや明瞭を欠いております。第一条によりますと、甲乙というのは財務局委託会社のことでありますが。「甲乙両者協議の上甲は乙に対して別紙目録記載の不動産の売払事務を委託し、これにつき乙は甲の名において売払を行うものとする。」というようになつておりまして、あとは、その委託関係についての実体的な規定はほとんどないのです。これは非常に簡単な言葉で言い表わしておるのでありますが、私どもの解釈では、先ほど申しましたように、価格の決定、契約の締結権というようなものは当然官側にあるものであります。結局、物納不動産買受人払い下げるまでの中間に立ちましているくな手続なり事務を仲介する、そして媒介をするという仕事を委託しておる、こういうように解釈しております。また、委託業者の方も、いろいろな会合、打合せ等において、その点は十分承知していると思うのです。
  57. 高木松吉

    ○高木委員 そうしますと、売渡しの契約成立時期というのはいつになつておりますか。それが根本問題で、契約が成立して初めて代金支払いとかいろいろな問題が起きて来ると思いますが、時期はいつになりますか。
  58. 井上義海

    井上証人 買受人と国との契約の時期は、委託会社が、買受人から出します売払い申請書をつけまして、売払い決議書という案を当局に出しております。その内容を審査して、部内で決裁をして、よければそれに役所の方の判こを押して、買受人に送付したときに契約が成立する、こう考えております。ただ、預託金関係は、それより以前に先行してすでに預かつておるのが二十七年の状況であります。そのあとから契約したものの代金、これの性格解釈がどうなるかということなのであります。契約契約書を送付したときに正式には成立すると考えております。
  59. 高木松吉

    ○高木委員 ただいまの証人のお話によると、要するに契約の成立前にとつたものと契約成立後にとつたものとがあるわけですね。
  60. 井上義海

    井上証人 そうでございます。
  61. 高木松吉

    ○高木委員 その取扱いにはあなたの方では区別はしておりませんですか。
  62. 井上義海

    井上証人 前後の関係法律的な差異というものは考えておりません。
  63. 高木松吉

    ○高木委員 善意の第三者である買受人が、あなたがただいまお話になつたようなことで、いわゆる売買契約が成立しておるとすれば、委託会社のやつた仕事は国の責任として認めることが相当ではないでしようか。その点どうお思いになりますか。
  64. 井上義海

    井上証人 ただいまの御質問の点につきまして、買受人から委託会社契約前あるいは契約後に代金の一部または全部を受取つてそれを費消した、それで買受人に対しては表見代理として国が責任を負担する、こう言えるかどうかということでございまして、これにつきましては、先ほど申しましたように、発生起源的に見れば、容認も黙認もしておるのではなくて、手付としてとつて、役所の方で決裁しなければお返ししますというお金なんですから、純粋に法律論としては表見代理ではないわけであります。これについての民事訟務局長の回答も、かりに委託会社が役所の徴収を側面から援助するという意味において買受人から金を受領して行つて、それについて役所の方で受領することを了知しておつても、その場合においては委託会社の方はこれを受取るべき資格がないと表見代理は成立しないのだというような解釈なんです。結局のわかれ目というものは、それではその委託会社が金を受取ることについて役所の側でそれを容認しておる、ちやんと積極性を持つて容認をしておつた場容認というのはどういうことかというと、具体的に言えば、各委託会社買受人から金の一部または全部を受取るときに役所の交付した領収証をもつて領収をしておる、あるいは買受人に対して本買受け代金については委託会社に支払うように指示しておる、あるいは委託会社買受人から代金の一部をとるようにこれも指示しておる、そういうときには容認であると言える。従つて表見代理は成立する。そうでないときには、純法律論的に言えば、かりに役所の方が了知しておつても、それを受取る資格がなければ表見代理は成立しないというのが民事訟務局長の回答の大体の要旨であります。現に関東財務局でやつておりますああいう事実関係が容認に入るか入らぬかというのが、純法律論としてはわかれ目になつているようです。その点について、先ほども申しましたように、いろいろ事実関係を考えてみて、発生的にはどうもやむを得ない。二十四年の終りころには容認に近い状態、率直に言つて認めなければならぬ状態があつた。それから、整理させると言い出してからも、そうなりますと、この点は表見代理である、この方は表見代理ではない、そういう色わけをすることも非常にむずかしいから、関東財務局としては、一応、買受人には非常に御迷惑であるから、純法律論としてはともかくも、やはり被害にはかえられない、道義的な意味からできるだけ補填したいというところに結論を持つてつたわけであります。
  65. 塚原俊郎

    塚原委員長 鍛冶委員
  66. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 これはもう少しあなたの方は御研究になつて、われわれはあとからやるのだから違うかもしれませんが、どうですか、率直に、仲立ちさせたのですか委託売買をさせたのですか、あなたの観念はどうですか。それを伺いたい。仲立ちだけをさせるものであつたのか、売買の委託をしたものであるか、これがわかれ、ば……。あなたの観念はどうですか。
  67. 井上義海

    井上証人 その点は、高木委員から御質問があつたのでありますが、契約書によりますと、さつき読み上げましたように、売払い事務を委託しております。この売払い事務という文句は非常に簡単でございますが、売払いについての一切の手続、売払いについての仲介、媒介を委託したのであります。従いまして、代金の受領ということは、これは御案内のように、公金を受領するのには、法律論的に、収入官吏でないとできないのであります。役所に持つて来ても、役人でも受取り得る資格のある者は徴収官の分任収入官吏だけで、まして委託会社渉外人などが公金を正式に受領する権限はあり得ない。従つて代金を徴収するにつきましても、会計法その他の規則によりまして、納入告知書を発行して、それによつて代金を受領する。代金を受領するときは、日本銀行代理店、あるいは役所で言えば分任収入官吏がこれをするということになつておる。ただ、買受人から言えば、そうむずかしいことはわかりません。それが表見代理の形になつているかどうか、その点が、さつき申しました、せんじ詰めると、買受人から代金委託会社が受領するについて役所側が容認する程度になつてつたかどうか、その程度を分析すると、さつき言つた状態になつておりました。どうもそうなりますと、容認する程度にはまだ至つてないのではなかろうかというような解釈をとつたのであります。
  68. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 私はどうもこの契約書を見るとそうは解されません。なるほど第一条には「不動産の売払事務を委託し、」と書いてあるから、事務だけで、売払いではないのだという理論が成り立つかもしれませんが、第四条を見ますと、「売払を委託した財産売買契約の締結及びその履行等売払に関する一切の手続きは乙においてこれを行う。」と書いてある。契約締結の権限がある。その契約に基く権利義務履行の権限がある。締結するとしても、代理権がなければ締結はできやしません。その次の履行はと言えば、売買代金を受取つて、受取つた上は登記して物件の引渡しを履行して渡さなければならぬ。こういうことです。みんなそういうものをやつておるからには、表見代理どころじやありません。りつぱな委託契約に基くもの、民法による委託で、代理権を準用するとみなすということになるわけであります。代理権があると見るほかはない。その点はいかがですか。
  69. 井上義海

    井上証人 鍛冶委員からの御質問、ごもつともと思います。四条の文言も、今御質問になりましたように、字句は非常に簡単でありますので、売買契約の締結権はあるように解釈されることもごもつともと思うのですが、この四条の趣旨というのは、締結及びその履行等売払いに関する一切の手続をやつていただくということで、締結権あるいは価格決定権というものは、これは決議書を起して委託会社が役所へ出すのでありまして、そういうような手続をやることであつて、そういう売買締結権、価格決定権を委託することはあり得ないことでありますし、またこの文言としては、確かにおつしやるように疑義が生じますけれども、精神としては決してそうではないのであります。
  70. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 ところが、その後昭和二十六年二月二十日にこの契約を改訂せられましたね。そのときには、今あなたの言われるように書いてある。売買契約書案二通を作成し、士売買当事者の記名捺印を得て、各一通を売買当事者に交付する、これは今あなたが言われた通りなんです。こういう案をつくつて、そして本人にも承諾させる、あなたのところもそれでよろしいという一記名捺印をする。これならば、あなたの言われるように、事務だけをやるのであつて売買契約締結の権限はないことになつている。その前はそうじやないのです。売買契約を締結しとある。それだから、これはいかぬというので改められたものだろうと思います。この二十六年二月二十日以後は、これは問題はないのです。その前は、私はどうもあなたの議論が成り立たぬと思います。またその次には、売払い代金完納の後において遅滞なく所有権移転手続事務を行う、こうなつております。この点は、だれが見ても一応委託であると見なければならぬと思いますが、それ以上は議論になりますので、これは意見だけ聞いておきましよう。
  71. 井上義海

    井上証人 専門家の鍛冶委員の御質問でありますし、この文句から見ればまさに私は反駁の余地はありませんが、ただいま申しましたように、二十三年にこれは本省からひな型を示されて各財務部に配付になつたのでありますが、初めての経験であり、財産を委託して売払うということはいまだかつてないわけであります。こういうひな型でやつたのでありまして、役所の人間といたしましては、売買契約締結権を委託会社にやつて価格決定権を委託会社にやるということは考えも及ばないことで、売払いを委託するという文言は、確かにあるいはそういう解釈は成り立つと思いますけれども、そうではなくて、精神としてはどこまでも仲介、媒介を委託した。そういういろいろの疑問もありますから、逐次今まで疑義のあるような文言を補正して完備して行つたのです。性格の変更とは考えていないのであります。
  72. 塚原俊郎

    塚原委員長 中野委員
  73. 中野四郎

    ○中野委員 もう井上君はうまいときに印刷局の局長に逃げて行つてしまつたものだから、少し質問の都合が悪い。逃げられる点もあるけれども、あなたの関係しておる点だけを少し伺いたい。  今高木、鍛冶委員から伺つておられた点を、私は今ちよつと席をはずしておりましたから、重複するかもしれませんが、きようは少し事実の裏づけをもつてお尋ねをしたいと思う。あまり長い御質問をしないで、簡単に伺いたいのだが、一体、今度の国有財産払下げに対して不正が発覚し、今日司直の手を煩わしておる原因はどこにあるかということなんだが、日本全国で八つの財務局の中で、関東財務局と近畿財務局が一番ひどかつた。わけて関東財務局取扱い方については疑問が相当ある。いろいろ質問の過程にあつたか知らぬけれども、この案件を通じて井上君はどういうふうに考えておられるのですか。これは一体関東財務局長としてりつぱに職責を果したと思つておられるのですか。あなたが完全に職責を果した結果、なおこう’うような事態が起つたのであつて、それぞれのそういう関係した人間は全部刑務所へ送つたから、それでいいと考えておられるのかどうか。あなたは八つの財務局の中で一番大きなこれほどの失敗を繰返されて、どう考えておられるか。また現在印刷局長になられたからといつても、その経緯のほどは知りませんけれども、どうしたならば国民に対してあるいは国家に対して自分の職責の一端を果せるかというふうに考えておられるのか。総括的なあなたの見解をまず伺つておきたい。
  74. 井上義海

    井上証人 ただいま中野委員からの御質問でありますが、関東財務局物納財産数量というものは全国の約六〇%以上を占めておる。いずれにいたしましても、かような事態を発生いたしましたことについては弁解の余地はありませんので、管理人としてまことに申訳なかつたと痛感をいたしております。それで、私といたしましては、かような失敗を繰返さないように、後手ではありましたが、逐次契約の面あるいは委託会社の監督の面におきましても、その他手続の進行過程におきましても、これを取入れまして、現在におきましてはかようなことはないように逐次是正をして来ましたし、また、その当時は、先ほどもちよつと二十三年ころの物納財産処理の状況を話したのでありますが、これは税務署におきましても、あるいは財務局管財関係事務におきましても、非常に混乱の時代でありまして、物納財産の処理に充当する職員の員数というものは非常に少かつた。しかし、これは弁解にならないことでありまして、物納財産というものは確かに数が多くて、これによつて多数の関係人に御迷惑をかけることは、これは何としても忍びないことであるから、二十五、六年から引続いて行政整理があつたのにもかかわらず、一方には二十六年の五月に徴収課を関東財務局が率先して置きました。これも全国で関東財務局だけでありますが、物納財産の先端の第四課というものを置きました。それから、いろいろ陳情、苦情に来られる方もあつて、それをよく聞いて、できるだけ適切な処理をしなければならぬということから、これも人手不足の中から苦情相談室というのを置きました。これもまだ正式に認められておらないのでありますが、訟務室というものを置きまして、遅ればせではありますが、早くこういう失態を回復するように努力して来たつもりであります。私の不敏、至らないために、かような結果を起しましたことにつきましては、まことに申訳ないと痛感いたしております。
  75. 中野四郎

    ○中野委員 役人というものは非常に都合のいいもので、自分の責任に帰するときはさつさと栄転か横転して行つてしまうので、あとは知らぬというのが役人の通弊なんだが、私は、あなたがさつき履歴を申し述べられて、委員長との話合いの中で、あなたは昭和二十一年の十月十六日に東京財務局総務部長になつておられる。二十二年と言つておられたが……。しかもその後東京財務部長になつたのは二十四年六月一日です。そして関東財務局長になられたのが二十五年七月十四日です。そうしますと、この関東財務局の前身である東京財務部、あるいはそれぞれその所管するところの機関には、あなたが最も古い方なんです。全国八財務局長の中であなたが一番最古参なんです。そこで私は伺つておきたいのだが、あなたが先ほどお話の最中に、代金を受取つてよいという点を認められておらぬ。但し商習慣で手付を認めたというのです。これはちよつと私には受取りがたい。あなたの方の東京財務部の第二係長である牧君は、明らかにこれは暗黙のうちに承認しておるという事実があるのですが、これはどういうわけなんでしようか。代金を受取ることを暗黙のうちに認めたということを新郊土地株式会社の社長飯沼君はこの席上で証言しておる。食い違いがある。財務部長がこれを承認しなくて、どうして一係長が承認できたか。あるいは牧君だけが新郊土地と何らかの特別な関係があつて黙認したものかどうか。都不動産関係のものもやはり第二係長の牧君が暗黙のうちに了承したという。してみれば、所管長であるあなたが責任を持つてこれは黙認されたと思うのですが、どうですか。代金を受取つていけないということは明らかに条文のうちに現われておる。にもかかわらずこういうような暗黙の了解ができておるというのはどういう見解に立つてやられたか。この点を伺いたい。
  76. 井上義海

    井上証人 お答えいたします。二十三年ごろ、商慣習として手付金を受取ることを、これは容認したと私は申したのではありませんで、預託金を発生原因的覚ますと、もともとはそういうところから預託金を受取るようになつて来て、それで預託金が発生して来たということを、事実を申し上げておそのであります。それから、二十四年の終りごろから二十五年の初めろにかけては、先ほどからも御質問がありましたのでございますが、これは非常にデリケートな問題でありますが、黙認に近いような場面も一時あつたのではないかということは申し上げておるのでありまして、さような状態でありまするから、これが表見代理として割切つて全部考え得るかどうかということについては非常に苦慮しておる。ただ、法律論的に言いますると、先ほど申しましたように、訟務局長の回答では容認しておるかどうかということがわからないのでございますが、この点につきましては、どうも容認というまでには至つていなかつた。ことに発生原因的に見れば、これはもちろん全然知らなかつたのです。ある時期においては今中野委員の御指摘のような状態を全然否認できないようなことが一部あつたのではないかということも考えられるわけであります。そういう状態で、時期的には逐次推移しておりまするが、また個々の場合を見ませんとわからないので、非常にむずかしいのでありますが、まず財務局の解釈としては、買受人の方に被害があつたのではないかという解釈をとつた。しかし、これも、今申しましたように、自信があるというよりも、どうも割切つて考えることがむずかしかつた、こういうことでありまして、先ほど証言が食い違うというようなお話がありましたが、この前の飯沼さんの言われたことはよく承知しておりませんが、あるいは一時そういう容認に近いような時期のことをおつしやつたのではないかと考えられます。     〔委員長退席、高木委員長代理着席〕
  77. 中野四郎

    ○中野委員 これは、あなたの方が容認したかしないかということがわかれ目なんです。容認した、しないというような曖昧模糊のうちに放任しておいたことが、この事態を起したのです。全国で数万人に近い人たちが、国に金を払つたにもかかわらず、途中の業者がこれをごまかして国に一文も納めない。そうして、あなた方は、その納めない現実を知りながら放任しておいたか、知らずに放任しておいたかという問題なんです。今容認したかしないかということが疑点になるのですが、大体において、あなたの方が知つてつたという事実がある。そういう点が、全国の国民に迷惑をかけて、国にも大きな損害を与えておるのですが、こういうふうな事犯がたくさん発覚しておるはずだが、あなたの方は一番これはわかつておることでしようが、たとえば昭和二十七年の三月には、国家地方警察においては、あなたの方の関係の連中を約二十数名にわたつて検挙しておるのです。これはみんな使い込みです。全部手付金を横領したものです。あるいは分割金と称して国家の金を詐取横領したものなんです。こういうような事犯が、一件どころか、二件、三件と起つておるのでありますが、そういうことは事前にあなたの方は知つておらねばならぬと思うのです。発覚するまで知らなかつたと言われればそれまでですが、発覚して後にどういう処置をとつておるか、これを一点聞きたいのですが、それに付言してちよつと伺つておきますが、関東財務局長の判が七件のうち三件は盗まれておる。四件はあなたの印が盗用されておる。そうして全然金も払つていないにもかかわらず登記所の方には完了という形において登記が行われておる。不公平ではありませんか。まじめに払つた人間には、お前の方は金が満足に入つておらぬから契約第五条に基いて解約をするという強い意思表示をしながら、一面においては、あなたの怠慢の結果、局長の印を偽造されたり盗用された結果、国家に何ら金が入つていないにもかかわらず登記所においてこれは全部完了として登記が行われたという事実がある。これについてはどういう処置をとられたか。たとえば丸の内警察に対してあなたの方から訴え出ておられる点がありましようが、こういうようなものは現在どういうふうに進行しておるか。この二点を聞きたいのです。第一点は、あなたの方はいろいろな事件が発覚したにもかかわらずこれをなぜ放任しておいたか、第二は、今申し上げた局長の印を盗印されあるいは偽造されておるのだが、こういうものについての責任はだれが負うのか、一体どういう処置をとつておるか、これを伺いたいと思うのです。
  78. 井上義海

    井上証人 お答えいたします。委託会社代金の一部または全部を預かつておるということは、二十四年の終りごろから二十五年にかけまして役所の側としては了知はいたしておつたのであります。しかし、積極的にこれをとめるという措置はとらなかつた。この点についてはまことに申訳ないのでありますが、ただ、その当時の事情としましては、即納というような代金支払い方法をとつておりましたし、買受人の便宜もあつた等のことから、ただちにそういう処置をとらなかつたのでありますが、しかし、だんだん金額もふえて来て、これを放任しておきますといろいろ不正も起る、またちらほら不正も見えたということから、二十五年からはこれが整理を強化して参つて、またこれが禁止についての打合せ、通牒等もしばしば出しておりますし、二十六年度の委託契約にはこれを明記して参つてつたのであります。また、先ほど来話しました、二十七年の四月ごろからは、納入のときに間違いのないように買受人注意をしております。現在におきましては、案内書で非常に詳細なる注意までしております。そういうような状態で、一時放任というような状態がありましたことにつきましては、それは私どもの監督上の責任から申しまして、まことに申訳がないと思うのであります。  それから、代金が支払われておらないのに、印が盗用あるいは偽造されて登記が済んでおるという、こういう事態はまことに遺憾な事態でありますが、あつたのであります。これは、新郊につきまして大体新郊の使い込んだ調べをやつてはおるのでありますが、一応総ざらい的に全部の未納調べをやりまして、ほんとうに未納なものと、ただ代金を使い込んで未納なものと、はつきりしておくことが、結局は買受人のために善後措置を講ずる手段であるということから、昨年の暮れに全面的に未納督促をやつたのであります。その中に、苦情相談室に持ち込まれたものが、ただいま中野委員から御指摘のように数件ありました。未納どころではない、もう登記まで済んでいるということで、実は私どもの方でも非常にびつくりいたしまして、事情を調べてみますと、ある新郊の特定の渉外員の関係するものばかりでありまして、これについて十分資料調査をやりまして、丸の内警察に告発の手続をとつたのであります。警察の方もその調べをやられまして、同人が公文書偽造、贈賄等の罪名によりまして起訴されております。また、これもまことに申訳ないのでありますが、職員の一人も、このために警察に留置され、取調べられ、起訴をされるような結果に相なつております。その点につきましては、監督上の責任から申しまして、まことに申訳ない、こう思つております。
  79. 中野四郎

    ○中野委員 ほんとうから言えば、どうも、井上君なんか、相当な減俸か譴責を受けるのだが、栄転をされたので、ふしぎでしかたがないのですが、私はそこまで深く入らぬがいいでしよう。一体委託業者に対する監督がほとんど行われていなかつたように思うのです。係員が業者から収賄の関係がたくさん出て来ておるのですが、今度の業務部長をやつてつた陰山君にしましても、あなたの方の小島君にしましても、収賄で検挙されましたが、この小島君にしましても、ほんとうから言えば、監督が十分であれば、今時分発覚するはずはない。一体監督の方法はどういう処置をとつてつたのでしようか。もつと厳密に監督すれば、もつと早く発覚しておつたはずだ。しかも、その事案がその先にないならばともかくも、二度もある。いわんや、あなたのような古い方は全国的にこの事案が起つたことは御承知のはずなんです。どういう監督をなさつているのですか。監督官との間に何か収賄、贈賄なんかが、現在—現在はどうか知らぬが、今まで贈収賄が行われておつて、そういう不正が行われたと思うのですが、この点についてはどうなんでしようか。
  80. 井上義海

    井上証人 御指摘の点は、まことに私としても遺憾だと思つております。まず、部内の職員の監督につきましては、監督官というのを置いております。これも全国の財務局には全然なかつたもので、私は非常に強調いたしまして、自主的な監督をして行かなければならぬということで、これも人手不足の中から監察官というのを置いておりまして、部内で自主的に不正を発見したのも数件、ございまして、これは内容によりましてそれぞれ諭旨退官をしたのも二、三名ございます。また、私の方の自主的な発見でなくて、外部からの関係から、先ほど来御指摘のように刑事問題になつたのもあるのであります。  それから、委託会社の監督でありますが、これはもう率直に申しまして、今中野委員の仰せられましたように、二十四、五年の状態というものは、委託会社の監督積極的に会社に乗り込んで行つて、その状況を監督するというような程度には至つておらなかつたので、これはもうまことに申訳がないと思います。ただ、その当時の従事人員が非常に少かつたので、部内の帳簿の整備あるいは決裁書類の審査あるいは数度の打合せ、会合、通牒の発送等、いろいろ仕事があつて、従事しおる職員としては手一ぱいであつたのでありますが、さらに積極的に数多い委託会社に出て行つて監督するという状態になかつたために、あるいはそういうことが原因でこういうことが起つたと、う二とこつきましては、素直に申しまして、まことに申訳ないと私は存じております。
  81. 中野四郎

    ○中野委員 どうも財務局関係の中にはいろいろな問題がございます。そこでもう一つ伺いたいのだが、都不動産の株券四万株、額面が約二百万円、現在財務局で保管中であるのはどういうわけでしようか。そのうちの一万株を一時業務監理官の松永繁行の個人名義に書きかえておるのは、いかなる理由に基くものか、伺いたい。
  82. 井上義海

    井上証人 お答えいたします。新郊土地株式会社に対しましては、二十七年の五月和解の請求を台東区裁判所に出しまして、和解をいたしまして、社長並びに社長が渉外員に持つておりまする債権等の信託譲渡等の措置をとつたのであります。都につきましては全然そういうような措置をとつていないので、せめても都の持つておりまする株なりとも担保として提供させておく必要があるだろう、こういうことから、債務確保といいますか、そういう面から新郊との権衡がありますし、せめても株を担保にして提供させたい、これは担保の意味で提供させておつたのであります。  それから、一万株を松永君の名義にいたしましたのは、これは二十五年ごろ都につきましてはだんだんと預託金の費消という問題が出て参りましたし、これについてはきつく会社を叱責をしておつたのでありますが、また会社の首脳部と渉外員との間にいろいろ軋轢がありまして、かような状態ではあるいは国か買受人が迷惑をこうむるわけでありますが、いずれにしても長く存続させておくわけに行かない、これは指定を中止あるいは取り消ししなければならぬというような最悪の状態にまで一時なつたのであります。そういう状態におきまして、渉外員の中で一そういうことになりますと会社としては元も子もなくなるわけでありますから、渉外員の中で都不動産の再建運営委員会というものを組織いたしまして、ここで都は積極的に会社の再建をはかつて行かなければならぬ、ついては四万株のうち二万株を渉外員に譲り渡してもらいたいというような強い要求を出したのであります。これにつきましては相当の折衝があつたようでありますが、結局、会社といたしましても、それでは会社の渉外員に四万株のうち二万株を譲り渡そうということになつたようでありまして、その二万株を今度は渉外員の名義に書きかえたのでありますが、そういう段階になりましたところ、渉外員の中で相当羽ぶりのいいリーダー格の渉外員が逐次会社をのつとるというような野望があるのじやないかということが疑われ始めたために、渉外員仲間にまた軋轢、反目が起つて、こういう状態ではせつかく再建途上にある会社がまたその内容が悪くなつて来る、これではいかぬというので、当時松永君が都の事実上の監督官になつておりましたので、それでは監督官松永君の名義にしておけばそういうようないざこざがなくなるだろうというようなことから、一時監督官松永君の名義にかえたのであります。しかし、これはその後その必要がなくなりましたので、また元の名義人に直して、四万株全部を担保としてとつております。これは都がすべての債務、すべての預託金費消等の完済を行いましたならば、これは当然都に担保としてとつておるのでありますから、返済すべきでありましようが、まだその段階にありません。担保としては四万株そつくり保管しておる、こういう状況であります。
  83. 中野四郎

    ○中野委員 一体財務局がこの一営利会社内容にまでそうタッチしていいものかどうか、そこまで深入りしていいか悪いかという点を伺つておきたい。それから、四万株のうちの一万株をどうして業務監理官の松永君の名義にしたか、その後の処置はどういうふうにしておられるか、この点を伺いたい。
  84. 井上義海

    井上証人 業務監理というのは、事実上の行為としてやつておることで、制度上のものではもちろんないのでありますが、ただこういう不正を行いました会社は、どこまでも事実上相当徹底した監理をやりながら補填させて行くということでありますので、勢い会社内容にある程度タッチして行かなければならぬ。しかし、今中野委員の御指摘になりましたように、かりに紛争があつたにしても、業務監理官の名前にすることがいいかどうかということはこれはいろいろ見方によつて問題があろうかと思うのでありまして、その当時の事情としましては、そうしないと再びまた会社の紛争が起る、渉外員仲間においてそういう反目があり、非常に困つた状態になる、そういうような要望もあつたので、やむを得ずそういう措置をとつた。あるいは、これについて、そういうやり方は行き過ぎたというような御批判もあろうかと思いますが、当時の事情としては、やむを得ず、業務監理をやつております建前上やつたのであります。  それから、その名義書きかえをいたしましたのは、先ほど申しましたように、現在におきましては元の名義人に直しておりまして、業務監理官の名前にはなつておりません。
  85. 中野四郎

    ○中野委員 都不動産には、大蔵省関係あるいは財務局関係が少し深入りし過ぎてはしないでしようか。田村秀吉君が一番最初の社長であつたのですが、その後六人も社長がかわつてつて、現在実権を田村君が持つておるようです。この点については別な角度から伺わなければならぬ点がありますから、次に伺いますが、買受人の中に二重に代金を支払つておる者があるようであります。その事情について述べてください。二重支払いは現在までどのくらいあるか、それからどういう処理をしておるか、この点を伺いたい。
  86. 井上義海

    井上証人 二重支払いの事実も相当あるようでありまして、これは、買受人の側で非常に登記をお急ぎになる、しかし買受人がすでに支払つた代金は渉外員あるいは委託会社の側で預託金として費消されておる、国庫に納入されていないために、急がれても登記手続を進行するわけに行かないというようなことで、買受人の側で、それでは代金をもう一ぺん納めるから早く登記をしてもらいたい、こういうようなことで納められたのでありまして、これはもちろん、二重にお払いになつた買受人については、当該委託会社が今後二重払い等については返して行かなければならない、また返すように指導をすることに相なつております。それから、金額的に申しますと、大体百三十万円程度になつておるようであります。
  87. 中野四郎

    ○中野委員 一体、更地も相当あつたようでありますが、その更地をあたかも借地権があるように売払い手続をして、関係者が不当利得を得ておるように思うものがたくさんあるのです。例をあげてもいいのですけれども、煩瑣ですから申し上げません。あなたの方がよくお調べの上でわかつていらつしやると思うのですが、たとえば文京区原町百二十六番地の三件、籠町百七十五番地、宮下町二十七番地の二件、こういうような例、それから新宿区神楽坂における例もあります。こういう例をらくここであげる煩瑣を避けますが、こういうようなものはみんな財務局との腐れ縁が続いておるからです。今度の陰山君と小島君との間にはどのくらいの金銭の収授があつたか。収賄、贈賄で訴えられたというが、ここに書類で出ておるだけでも、私はあえて一々申し上げませんが、係官の方にいろんな、年末年始、あるいはお中元というような名目で、各役人のところへそれぞれのお手当が行つているようですが、一体陰山君と小島君との間で収賄、贈賄を成立せしめたその金額というものは、あなたが告発をするには相当の調査をなすつての上でありましようが、どのくらいあつたのですか。そして、陰山君、小島君の中で行われました一件だけでよろしい、その例を一応聞きたい。どういうような形においてこういう事件が問題となり、あなたの方では告発しなければならぬ段階になつたという事情を詳細にお述べ願いたい。
  88. 井上義海

    井上証人 お答えいたします。ただいま申し上げましたような、当時公文書偽造、贈収賄について告発いたしましたときには、従来とかくそういうような委託会社の渉外員といろいろ関係があるというようなうわさも聞いておりますので、部内おいて自主的には監察官を動員いたしまして、いろいろ調べもいたしましたし、また調べた結果罷免した職員もいるのでありますが、今回告発いたします場合にも、この点はむしろもうはつきり警察の方で洗つてもらう、そうして、ほんとうにそういう事実があるならきれいにやつていただくという意味において、私どもも非常な悲壮な覚悟をもちまして告発をいたしたのであります。その結果、いろいろお調べになつたのであります。陰山君から小島君が収賄として受取りました額は、総額で大体十五万円程度だと聞いております。
  89. 中野四郎

    ○中野委員 浦和の財務局出張所の方でも、やはり事件が起つておりますが、この詳細は財務局長として十分御承知であろうと思う。この機会に速記にとどめておきたいと思いますから、お調べになつた範囲を詳細に御陳述願いたい。
  90. 井上義海

    井上証人 お答えいたします。川口警察で取調べられました事件は、浦和財務部の太田第一課長が警察に勾引されたのでありますが、事件内容は、二十三年の初めごろだつたと思いますが、埼玉管内の地区を指定いたしました委託業者に東北電建がほとんど関与しないで業務監理を徹底したあまり——ほとた委託業者に東北電建株式会社というんど財務部で直接士売つたものを東北電のがあります。この会社はまことに不建が売つたようにして手数料をとつ正な会社でありまして、指定後間もなた。これが公文書偽造であり横領であく預託金の費消をやつたのでありまるというようなことで調べられたのです。このことが発覚して、財務部の方ありまするが、よくお調べになつた結では、この費消のことを知りまして、果は、東北喧建の社一一査)(と太田君とは、この東北電建自体についてはもう指定幾ら調べられても、少しも贈収賄あるを取消さなければならぬという考えをいは宴会に招待されたということは全持つたのでありますが、そのとき調べ然ない。ただ、買受人に迷惑を及ぽさました費消金が大体五十万程度あつないようにというあまり、そういう措たのであります。これらの補填をいた置をとつたということがわかつたのしませんと、買受人に非常に迷惑を及で、太田君は不起訴処分になつたのでぼす。何とかしてこれの補填をしなけあります。しかし、これも大体新郊、ればならぬというので、東北電建を業務監理しながら、これの売り上げまし都と同じようなものでありまして、金額は非常に少いのでありまするが、そたものについて政府の支払うべき手数ういうふうな状態の起りましたことに料をもつて補填いたして参つたのであついては、まことに申訳がないと考えります。それで、大体五十万円のうちております。三十五万円1もつとありますが、そ
  91. 中野四郎

    ○中野委員 ほかの委員の御質問もあるから、簡単に結論を申します。の程度のものを東北電建が売り払つたるから、大体都にしても新郊にしましても、相当使い込みをして、結論はわかつておるのだが、この使い込みの穴を埋めるためにで手数料によりまして補填をして参つた、のでありますが、いかに業務監理結論はわかつておるのても、東北電建自体は非常に悪いのだが、、業務監理をしながらも、なお不正に、あなたの方では政府支払いの五分をしないかという懸念もあるので、しの手数料をやめて、そうして大建不動かも一方ではこれを補填しないと買受産株式会社にこれを整理させる、ある人に迷惑をかけるというようなことかいは都不動産株式会社整理をさせるら、業務監理をむしろ百。パーセントやりまして、ほとんど財務部がお手伝いというお考えを持つておいでになることはわかつておるのだが、そうなるしたようなかつこうで、この点、その売つたものについての手数料の請求をと、その会社に対して物件を多く渡さなければならぬという現象が現われて来ると思うのです。そうすると、他の業者はきつと不平を言うと思う。現にそういう事実があるのですが、この不平はあなたの方にあつたのかなかつたのか、あるとすれば、どういうふうに処理をしておられるか、この一点を伺いたい。しておりますのは六社でありまして、不正事件の全然ない会社といたしましては、岸本、勧業、大和の三社であります。この三社は指定を始めた当初から非常によストを交付いたしまするときは、大体委託会社の過去の実績とかあるいは渉外員の数とか、こなす能力というようなものも勘案しながらやるのでありまするが、ただ、過去の使い込みの補填をやつておりまする都とか大建不動産等につきましては、できるだけ早く補填したいという考えもありまするので、ある程度のものはリスト等の交付においては考えてやらねばならぬと思いますが、特別いいところをきわ立つて多くやるというような措置は別にとつておらないのでありまして、今申しました岸本、勧業、大和の三者もそれほど不平を私の方へ言つて参るようなことは二十八年度はなかつたように思います。件に関しては、まだ相当いろいろ多角にわたつてお尋ねをしなければならぬ点が多々あります。一日や半日では関東財務局長井上さんとしては済まない問題なのです。しかし、あなたはもう印刷局長に一応行つておられる。あなたの処理をする案件については、考えについては、後任の局長が当然これを行われるものだと私は思います。しかし、今、国会の方も御承知のように会期末に迫つておりまするし、いろいろ複雑な件がありまするので、私も長くは伺つておれませんが、結果はどう  するのですか。たとえば、登記料は二倍も三倍も上つて来ます。それから使用料というような問題もあろうと思う。これはあ、げてあなたの方の監督不行き届きから来たものであります。同時に土地会社の不正手段によつて行われた問題である。結局は買受人というものば非常な迷惑を受けておるものなのです。これについてどういう処理をするか。登記の二、三倍の値上りに対しては、財務局が責任を負つて、それぞれの会社を督励し、大建不動産を督励し、これを全部補填し、あるいは今までの使用料についても十分に考慮をして、一般買受人に断じて迷惑をかけぬという保証がつくか。その保証がつかないと、問題が非常に複雑化して来る。あなたが後任の局長に引き継ぎをされるときにも重大な問題でありますから、前任の局長としてどういう引継ぎをされたか、また現局長は当然あなたの引継ぎの意思を継いで処理をしなければならぬ問題だから、その処理についていかなる決意を持つておられるかを伺つておきたい。
  92. 井上義海

    井上証人 御質問の点はごもつともだと思うのであります。  まず、使用料につきましては、先ほど来いろいろ預託金法律的な解釈について問題があつたのでありまして、ただこれは割切つて考えられませんが、少くとも使用料の問題につきましては、できるだけ買受人の利益のために、今後は—今後と申しましても、これからが大部分問題なのですが、弁償金としてとりまする使用料は、買受人委託会社に全額支払いましたときまでで打切ろう、大体そういうような解釈で、これはもちろん純法理論的にはいろいろ問題がありますけれども、少くとも使用料に関しては、買受人の利益のために、買受人委託会社に全額を納めるまでの使用料をとることにしようじやないかということに大体方針はきめました。大蔵省にも大体了承をしていただきました。後任局長にもそれを引継いだような次第であります。  それから、登記料の借上りの問題であります。これも非常にむずかしい問題でありますが、委託会社代金を使い込んだ、買受人としては早く登記してもらいたいのを、そのときに登記が著しく遅延したというような場合には、やはり登記料の値上りというものは当該委託会社に負担させなければならぬ、こういうように指導するように、後任局長に引継ぎました。後任局長もその方針で行かれるものと私は考えております。  今後の問題といたしましては、先ほど塚原委員長からの御質問もありまして、お答えを申し上げたのでありますが、中野委員からも御指摘のように、何と申しましても、今未登記になつておるものを、早く整理して、登「記を完了するように持つて行かなければならぬ。     〔高木委員長代理退席、塚原委員長着席〕 今までのように売払い重点でなく、売払いはむしろ二の次にして、今までの未整理整理、未登記整理というものに最重点を置いて行かなければならぬ。今聞けば大体予算も請求しておるようでありますが、局の側におきましても、あるいは出張所の側におきましても、それぞれ特別班を置きまして、それぞれの会社事情調査しおります。その原因別、事情別にいろいろ対策を講じて、強力に早く未登記整理をいたしまして、買受人の迷惑にならぬように、これが物納財産に課せられた今後の最大の問題だと思います。そういうように後任局長に引継ぎ、後任局長もその方針で現在着々進行しておるものと私は考えます。
  93. 中野四郎

    ○中野委員 最後に一点、あなたの今後の処置について伺つておきたいのだが、事例をあげて申し上げましよう。新宿出張所長を督励して特になさなければならぬことでありますが、やはり新郊土地関係する問題です。新宿区神楽坂に関する事案であります。事例をあげる必要があるのですが、これは特殊な事情なのです。新郊土地株式会社のある一部の者と、神楽坂における、大した者じやないのだが、それでも従来新聞屋等をやつてつたボス、これらが結託をして、当時の事情に通暁していない人々に対して特別の払下げ方法をとつて、現に非常に紛争をきわめておる問題がある。名前も申し上げましよう。従来めざまし新聞という新聞をやつてつた山本康雄。これらの事案を至急お調べになつて、この紛争を解決する必要がある。これらは私は一つの例をあげたのです。特別なケースなんです。これをここで申し上げることはよくないと思うのですが、実は関東財務局取扱つた事案の中には、非常に複雑多岐にわたつたいろいろな問題が現在なお進行中であります。こういうものに対しては関東財務局はどういう処置をとるか。新たに監督を強化して、今あなたの決意のほどを伺つたように、かかる問題の紛淆しておるものを、すみやかに処置をする意思があるかどうか。むろんあなたは現在局長ではないのでありますから、その意思を後任の局長に伝達して、すみやかになさしめる必要があると思う。これに対してはどういう見解を持つておるかということを伺いたいのです。私はその一つの例を申し上げただけなんです。これは非常に複雑な、しかも怪奇な問題です。けれども自分の知つておる問題だけをここにあげることははなはだ不見識と考えて、今日まで控えておつた。しかし、これに類するケースのものが相当たくさんあるはずであります。こういうような問題に対しては今後どういう監督、処置をして行かれるのか、この際あなたの見解を伺つておきたい。
  94. 井上義海

    井上証人 ただいま中野委員から御指措の点は、さつそく新財務局長に連絡をいたしまして、御期待に沿うような措置を至急とるよう、私からも強硬に連絡をとりたいと思います。
  95. 塚原俊郎

    塚原委員長 長谷川委員
  96. 長谷川峻

    ○長谷川(峻)委員 ほかの委員から大体全部出尽しましたので、ちよつと最後に私疑問に思つておることをお尋ねします。というのは、結局問題を起した都あるいは新郊土地にしても、最初の指定のときがちよつとまずかつたのじやないか。この二つが大体がんになつておるように思うのです。しかも、都不動産の場合には、近畿財務局、東海財務局等においてもそういう指定を受けておつて、当初は、当時売払い物件引渡し等について特に便宜をはかつてもらつておるような様子も聞いております。最初は非常に成績もよかつたというふうな状況でありましたが、これががんになつておる。そこで、何さま関係者が非常に多くて、そうしてまた零細なる人々が多かつたので、この委員会が取上げて以来、委員会の方にも、新聞に出るたびに非常にたくさん投書なり感謝状などが来ておる。ですから、いかに庶民の権利上の問題として関心が持たれておる面があるかということがわかると思うのです。先ほどから前局長との質疑応答を拝聴しておる間に、将来の対策についてよく私了解しました、そこで、今まで述べられたその決意をぜひひとつ具体化されまして、この委員会などに期待されておる向きにつきまして特にお答えしていただくことが、また政府といたしましても大事なことであります。金額において、政府の歳入において減る面もありますけれども、問題は、それに関係する人間が非常に多くて、そうして衣食住の中の住の問題でありますから、問題は深刻であるという点をぜひ御認識の上に、徹底的にこれをこの際片づけてもらいたいということを、最後に要望いたしまして、私の質疑を終ります。
  97. 井上義海

    井上証人 ただいま長谷川委員からの御指摘の点はもつともでございまして、私としても、最善を尽してこれが整理に当り得るように、大蔵省並びに新財務局長に連絡いたしまして、大衆の迷惑を最小限度にとどめるように最大の努力をするように連絡して参りたいと存じます。
  98. 塚原俊郎

    塚原委員長 ほかに御発言がなければ、井上証人に対する尋問はこれにて終りました。  証人には長時間にわたり御苦労さまでございました。  午後は一時四十分より再開することにいたします。  この際暫時休憩いたします。     午後一時六分休憩     午後二時八分開議
  99. 塚原俊郎

    塚原委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  ただちに証人より証言を求めることにいたします。  ただいまお見えになつておられる方は牧野誠一さんですね。
  100. 牧野誠一

    牧野証人 はい。
  101. 塚原俊郎

    塚原委員長 この際証人に申しますが、本日正式に証人として証言を求めることに決定いたしましたから、さよう御了承願います。  これより国有財産管理処分に関する件(物納国有財産払下げ関係事件)について証言を求めることになりますが、証言を求める前に証人に一言申し上げます。昭和二十二年法律第二百二十五号、議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならないことと相なつております。宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言は、証人または証人配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあつた者、及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁理士弁護人公証人、宗教またはの職にある者またはこれらの職にあつた者が、その職務知つた事実であつて黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになつております。しかして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることとなつておるのであります。一応このことを御承知になつていただきたいと思います。なお、証人公務員として知り得た事実が職務上の秘密に関するものであるときは、その旨を申出願いたいと存じます。  では、法律の定めるところによりまして証人宣誓を求めます。御起立を願います。  宣誓書の御朗読を願います。     〔証人牧野誠一朗読〕    宣誓書   良心に従つて、真実を述べ、何事もかくさず、また何事もつけ加えないことを誓います。
  102. 塚原俊郎

    塚原委員長 それでは宣誓書署名捺印してください。     〔証人宣誓書署名捺印
  103. 塚原俊郎

    塚原委員長 これより証言を求めることになりますが、証言証言を求められた範囲を越えないこと、また御発言の際にはその都度委員長の許可を得てなされるようお願いいたします。まず委員長から概括的に証言を求め、次いで各委員から証言を求めることになりますから、御了承ください。なお、こちらから質問をしておりますときはおかけになつておりましてもよろしゆうございますが、お答えの際には御起立を願います。  牧野君の略歴について簡単にお述べ願います。
  104. 牧野誠一

    牧野証人 大正四年の九月に東京で生れまして、昭和十五年の三月に東京商科大学を卒業いたしまして、同年の四月に大蔵省へ入りました。預金部資金局と銀行局へ勤務しておりました。昭和十六年の三月に陸軍にとられまして、南支那派遣軍に入隊いたしまして、大東亜戦争が終るまで南支那におりまして、終戦後一時捕虜になりまして、跡始末をいたしまして、昭和二十一年の五月に久里浜で復員いたしました。二十一年の六月に大蔵省へ帰りまして、銀行局に勤務いたしました。二十一年の十二月に大蔵省の理財局の調査課にかわりまして、二十二年のたしか五月だつたと思いますが、五月に経済安定本部の財政金融局というところへかわりました。その翌年の六月一日に、大蔵省の印刷局の労務課長という職につきました。さらに、その翌年の六月に宮内庁へ参りまして、宮内庁の長官官房主計課長という職につきまして、一年三箇月たちまして、昭和二十五年の九月に大蔵省管財局にもどつて参りまして、国有財産第二課長兼賠償課長ということでその職につきました。二十七年の四月に、平和条約の発効の前後、賠償課がなくなりまして、国有財産第二課長というのの専任になりました。昭和二十九年の四月に理財局の資金課長という職にかわりました。五月に機構改革がありまして、理財局の地方資金課長というのを命ぜられまして、今日に至つております。
  105. 塚原俊郎

    塚原委員長 物納国有財産を全国で収納した数量、価格についてお述べ願いたいと思います。そのうち、物納不動産宅地及び建物はどのくらいあるか、また現在までの売払い状況について知つておるところをお述べ願いたいと思います。
  106. 牧野誠一

    牧野証人 物納財産としまして、昨年、昭和二十八年の三月の末までに収得いたしました累計は八十三億四千八百十八万百五十二円五十三銭と相なつております。そのうち、農地所管がえとか、あるいは売払いとか、いろいろ処分をいたしまして、二十八年の三月末に残つておりまする累計は二十四億二千八百七十八万九千二百四十八円七十九銭と相なつております。ただいま申し上、げましたのは物納財産全体でございますが、そのうちの宅地建物につきましては、収納されました大蔵省の下部機構である税務署から、財務局、財務部等が引継ぎましたものでございます。これの累計は、これはちよつと時期が違いますが、二十八年の七月三十一日で調べましたもので、宅地が十三億三千四百三十八万九千百五十五円となつております。同じく建物が十一億八千三百九十八万二千三百三十三円、宅地建物合せまして二十五億千八百三十七万千四百八十八円となつております。その後処分いたしましたものが、宅地につきまして七億六千五百四十六万五千三百六十四円、建物につきまして六億六百四十七万六千七百九十四円、宅地建物合計いたしまして十三億七千百九十四万二千百五十八円となつております。それで、売払い契約未締結ということで昭和二十八年の七月三十一日現在で大蔵省の手元に残つておりますものが、宅地が五億六千八百九十二万三千七百九十一円、建物が五億七千七百五十万五千五百三十九円、合計いたしまして十一億四千六百四十二万九千三百三十円ということに相なつております。
  107. 塚原俊郎

    塚原委員長 この物納不動産の売払い事務民間業者こ委託した事盾及び業者の選定方法はどういう方法でおやりになつたか、御説明願います。
  108. 牧野誠一

    牧野証人 これは、委託をいたしましたのは昭和二十三年、四年、五年ごろに委託したものが大部分だと存じます。それで、当初の事情は、私は前任者あるいは残つておりました係の人たちから聞いた事情をもとにして申し上げます。これは戦争中大蔵省国有財産事務というものは、戦争前に比べまして職員の数を非常に減らしました。昔は営繕管財局という外局がございまして、そういうところでやつておりました。それを非常に小さくいたしまして、一つの課も構成しないくらいの人数に小さくなつてつたようでございます。それで、終戦後陸軍、海軍が解体いたしまして、その財産が行政財産から昔のいわゆる雑種財産という性格にかわつて大蔵省に引継がれて来るというようなことと、それから財産税の物納その他戦時補償特別措置法に基く物納、ああいうような物納制度が活用されましたが、厖大財産陸海軍から引継いだ人たち、そういうようなものが相当大蔵省に入つて参りまして、大蔵省では国有財産部、その後は国有財産局、現在では管財局という機構をつくりまして、この仕事に当つたわけでございます。何分にも急に膨脹いたしまして、仕事がなかなかルートに乗りにくいというような事情、特に物納財産につきましては件数が非常に多く、散在しておるというような事情のために、これの処理には当初非常に困窮した模様でございます。それで、役人がじかにこれの処分をするというようなことはなかなか困難だつた模様でございます。一方、財産税という形でとつたものでございますから、国の歳入として現金化するという必要が急がれたわけでございます。それで、やむなく不動産会社あるいは信託銀行等を委託して、売払いをさせようじやないかというようなことに当時相なつた模様でございます。最初は、大きな信託銀行あるいは大きな普通の銀行、そういうようなもので日本の国の中でも有数であるというものだけ大蔵省本省委託会社として指定しまして、物納財産の売払い業務を委託させておつた模様でございます。ところが、不動産売買業務というものは、大体小さな業者が小さな窓口で、小人数でやつておるものが多いというような実情から、こういう大きな信託銀行あるいは一流の銀行では思うように能率が上らなかつたという事情もありまして、委託会社範囲をふやしてほしいという要望が財務局から非常に強かつた模様でございます。それで、本省から委託しておりました事務を、財務局が委託できるような制度に中途でかえております。初めは本省承認を要するということにいたしまして、幾つかの会社を委託いたしました。その後さらに、ただいま申し上げました歳入は急がなければならぬというような事情等もございまして、財務局に全面的に権限を委譲してしまつて財務局指定し得るという制度にかえてしまうという経過になつております。その後は財務局で自己の権限において委託会社を委託して行つたという形に相なつております。しかし、選定をいたします際には、もちろん、能力があり資力があり信用があるという会社を選びまして、きちんとした仕事をやらせなくてはならないことは当然でございますから、そういうような基準で選べということで、選ぶために各財務局でかなりいろいろ骨を折つて選択をしたことだろうというふうに存じております。
  109. 塚原俊郎

    塚原委員長 二十五年ごろまでは、ほとんどの委託業者買受人から代金を受領しておつたようでありますが、当時業者代金を受領することを認められておつたのですかどうですか。
  110. 牧野誠一

    牧野証人 業者代金を受領いたしますことは、制度といたしましては認めがたい制度であると存じます。国の役人にいたしましても、国の財産を売り払つた代金を受領するという権限のある者というのは、これはだれでも受領できるというもので、ございませんので、特殊な者にしか、収入官吏というような命令を受けた者でなければ受領できないことになつておりますから、いわんや、委託業者が受領できないということは、これは理論上形式的には明瞭に言えることだというふうに存じております。
  111. 塚原俊郎

    塚原委員長 委託業者のうち不心得の者があつて、多額の預託金を使い込んだという者があつたようでありますが、もしお知りでしたら御説明を願います。
  112. 牧野誠一

    牧野証人 委託会社の中で、幾つかは、買受人から売払い代金の一部あるいは全部を受領いたしまして、国の代理をしておるというような形で買受人から受領いたしまして、その金を使い込んでおつた、跡始末に非常に困つてつたという会社は幾つかございます。そのうちおもなものを申しますと、東京関東財務局管内で、都不動産株式会社という会社、これが相当な金額を費消しておつた事実がございます。それから、同時に、ほとんど同じような時期に、関東財務局管内で新郊土地建物株式会社、これが同じく買受人から金を預かりまして、それを費消しておつたという事実がございます。
  113. 塚原俊郎

    塚原委員長 数字はわかりませんか。
  114. 牧野誠一

    牧野証人 わかります。都不動産株式会社は、昭和二十八年の十二月までに調べた結果でございますが、費消した額は二千三百十一万二千六十八円十一銭となつております。それから新郊という会社の方は、三千九百三十六万四千三百四十円という額を預託金として受取つて、弁済がなかなか困難であつたという事情に相なつております。  それから、近畿の財務局で二件やはり同じような事例がございます。これは近畿物納不動産という会社と宝不動産株式会社という会社でございますが、これは私手元に資料がございませんで、当初幾らあつたかはちよつと申し上げられないのでございますが、昨年の十二月十五日現在で、まだ整理がついていないということで残つている金が、両方合せて千百二十一万九百四十円九十一銭という預託金費消の金がございます。その内訳は、宝不動産株式会社が二百九十万三千百二十三円四十七銭、それから近畿物納不動産は、大阪の本社が六百十七万六千六百五十四円二銭、京都の営業所が二百十三万千百六十三円四十二銭という、昨年の十二月十五日現在で預託金を使い込んで穴埋めができないという金がございます。
  115. 塚原俊郎

    塚原委員長 使い込んだ預託金の処理については、どういうような措置をとられましたか。
  116. 牧野誠一

    牧野証人 できるだけ早くその会社から回収をして、買受けた人、すなわち委託会社代金を支払つた人に御迷惑をかけないようにということでやらなくてはならないわけでございます。それで、会社のいろいろな手持ちの現金だとか預金だとか、あるいはその他の物品、そういうようなものはできるだけ押えまして、埋めさせるということをいたしましたが、金額も多うございますし、それから会社自体で費消したものと会社職員が費消したものといろいろございましたようで、なかなか思うように埋まらないという事情がございましたので、近畿の財務局におきましては、これは全部民事訴訟を提起しまして、この会社に求償をするという解決の方法をとることにいたしました。東京関東財務局におきましては、この二件について、国が委託業務をやらしたことに対して支払わなければならない手数料というものがございますので、その手数料を押えまして、それから順々に穴を埋めさして行くという方法で解決に努力いたしておつた次第でございますが、都不動産という会社につきましては、どうやら大体の穴は埋め終つたというふうに承知しておりますが、新郊土地という会社の分につきましては、まだ十分に穴が埋まらずに残つておる額が相当ございます。
  117. 塚原俊郎

    塚原委員長 関東財務局のとつた処置と近畿財務局のとつた処置、これについて大蔵省内部で相当議論がかわされたという話を聞いておるのですが、そういうことは実際あつたのですか。
  118. 牧野誠一

    牧野証人 私どもこの仕事を担当しておりますときに、いういろいろ議論がかわされたことは事実でございます。この取扱いの方法については非常にむずかしい問題が多いようでございまして、理論上いずれによるべきかという問題のほかに、またどういう方法をとつた買受人に御迷惑を—すでにかけておるわけでございますが、その御迷惑を少しでも少く、できるだけ早く解決し得るかということにつきましては相当議論がわかれまして、内部でもいろいろ両論ございまして、ずいぶん議論をしたということを覚えております。
  119. 塚原俊郎

    塚原委員長 結論は出なかつたのですか。
  120. 牧野誠一

    牧野証人 結論といたしまして、近畿財務局のごとく——実は近畿の財務局では、委託業者に対しまして預託金と今は称しておりますあれを受領することを容認しておつたというような、これは客観的に見まして容認しておつたと世間から申されましてもどうにもしようがないような事実というものが、文書の形なんかでございますので、預託金を受領する権限というものは、国の立場において見ますと、これは無権代理であると言うのはむちやではないか、表見代理であるというふうに見えることが妥当ではないかということで、さように処置するということに相なりました。それから、関東財務局取扱いました分の新郊あるいは都という会社の分につきましては、これは、結論として、いろいろ疑義もございますが、一応無権代理であるという結論で、われわれといたしましては、ただいま申し上げましたような方法で、できるだけ早く穴を埋めて御迷惑をかけないように—かけないようにというよりも、かけたことの償いをし、できるだけ早く結末をつけて、おわびを申し上げたいというようなことで、現在現実にとる方法としてはこの方法のほかにやむを得ないじやないかという結論でございます。
  121. 中野四郎

    ○中野委員 ちよつと関連して……。同じ大蔵省の管轄の中で、近畿財務局関東財務局と二本建になるのはおかしいじやないか。なぜ一本になりませんか。そんな便法論でいいわけはありません。大蔵省の見解ではかくすることが正しいと確定したら、近畿財務局関東財務局も同じようなケースをとるべきである。しかるに、近畿財務局では、今あなたの述べられたように、いわゆる国の損害としてこれを訴え、関東財務局においては会社の中において起きた問題としてそれぞれの収拾をつける、そういうような考え方が大蔵省で従来行われているが、こういうことをする過程においては何かわけがある。示せと言えば示しもします。こういう二本建にしなければならぬ理由がどこかにあるわけである。大蔵省の管轄の中で二つの方針をとつて、そんな便法論で片づく問題でない。起つた問題は、複雑多岐にわたつているけれども、同一ケースである。なぜ大蔵省はこれを一本建にして処理しなかつたか。この点をこの際はつきり伺つておきたい。
  122. 牧野誠一

    牧野証人 これは非常に複雑多岐な問題であることは事実でございまして、どちらが正しいかということにつきましては、先ほど申し上げましたように、大蔵省の中でもいろいろ議論がございました。ただ、これはりくつをこねるわけじやございませんが、近畿の財務局関東財務局では一つ大きな違いがございました。近畿の財務局では、関東と違いまして、委託会社に対しまして預託金を集めて持つて来いというようなことを、何回にもわたつて口頭あるいは文書で督促をいたしておるのでございます。関東財務局につきましては、さような事実が必ずしもあつたというふうにはどうも思えません。それで、近畿財務局の場合においては容認をしておつたということと、関東財務局の場合においては容認しておつたとは言えないじやないだろうかというようなことが、取扱いを異にいたしました理由でございます。りくつを申し上げるのは非常に恐縮なんでございますが、むしろそういうりくつより、便宜論ということでおしかりを受けるかもしれませんけれども、関東財務局におきましては、委託会社に金を集めて持つて来いというような督促の事実はそれほど形の上では現われておらないというようなことで、これは国から支払う手数料で穴を埋めて行くという方法でやつた方が現実の問題としてはいいのではないだろうかということで、そういうことに取扱つた次第であります。
  123. 中野四郎

    ○中野委員 非常にあいまいなんであります。これはあとで総括して伺うのですけれども、あなたの方では、関東財務局においても督促している。もう一つは、関東財務局井上君と近畿財務局の吉橋君との見解を聞いてみても、これは非公式に聞いた意見ですが、お互いにいずれも自分の処置を是なりとして、それでいいという見解を持つている。ただ、問題は、関東財務局においては当時第二係長の牧君が暗黙のうちに了承しているという事実がある。こういう問題に照してみても、同一ケースのものをなぜ大蔵省は一本建の処分をしなかつたか。今の御答弁では、近畿財務局の分についても私は納得できない。関東財務局に関する処理の方法でも、これでは納得できない。幾らりくつをこねてもいいのですどつかにこれは大きな問題があつたはずです。従つて、これは正確には断定を下すことができないから、おのおの近畿、関東の処置にまかしたという結論を出したのだろうと私は思うのですが、その当時の経緯がもう少しはつきりわからなければいかぬと思うのです。おかしいと思う。どう考えたつて大蔵省の一本の管轄下においてこういう二本建の処置をするというのはおかしい。しかも、吉橋君なんか、その方が非常に成功であつたということを率直に述べておる。井上君は、近畿財務局のやり方がむしろ間違いで、私の方が正しいという主張を非公式に私に述べておる。そういう見解から、大蔵省は一体なぜ一本建にできなかつたのか。何かそこに関係があるはずだ。当時の非常な監督の不十分、そうしてあなた方の曖昧模糊のうちにこの事件を処理しようとした傾向が今日顕著に現われておる。だから、その一点だけ今関連して質問しておきたいのです。
  124. 牧野誠一

    牧野証人 何か二つの局におきまして処置を異にしておつたということ、これは事実でございます。それからまた、それぞれの処置をいたしました財務局長も自分の処置が正しいというふうに信じてやつたことであるというふうに存じております。その間に何か妙なことがあつたということ、これは私はなかつたというふうに信じております。
  125. 塚原俊郎

    塚原委員長 現在財務局出張所委託業者に毎日のように多くの苦情が持ち込まれておるということを聞いておりますが、その苦情のおもなものはどういうものでしようか。
  126. 牧野誠一

    牧野証人 苦情は、数も多うございますし、いろいろ種類も非常に多く持ち込まれておるようでございます。そのおもなものは、値段を下げるようにというような話、これがかなり多いようでございます。それから、登記がおそいということで、促進をしてもらいたいという話、これもやはり相当あるようでございます。それから、土地の分筆その他の関係で境界線の紛争があるという問題、これがかなりあるようでございます。それから、地代、家賃これをいつからいつまでとるかという時期につきましていろいろ苦情が申し出られておるようでございます。それから次に、大蔵省の手違い等のために二重に売払つたものがあるというようなものがございますので、けしからぬという苦情、これがございます。それから、道路に関する問題でいろいろ苦情がございます。それから、権利関係がいろいろ入りまじつておりまして大蔵省の処置適切でないというような苦情、そういうようなものがおもなものでございます。
  127. 塚原俊郎

    塚原委員長 買受人の中で、業者代金登記料等を使い込んだため、いまだ登記のできない者が現在どのくらいありますか。
  128. 牧野誠一

    牧野証人 私の今申し上げますのは、必ずしも全部が代金が使い込まれたために登記できなかつたということばかりではないのでございますが、売り払つた件数のうちで登記が済んでおらないという件数は相当ございます。売り払いました件数は全国で十五万八千二百五十七件ございます。そのうち登記未済が四万七千件ございます。
  129. 塚原俊郎

    塚原委員長 今度の物納不動産の売払い方針についてお述べ願います。
  130. 牧野誠一

    牧野証人 物納不動産は非常に件数が多うございまして、しかもこまかいものが各地に散在しておるというような関係、それから財務局の役人などの手もあまり十分ではないというような関係からいたしまして、大蔵省の役人が自分で直接に売り払うことが本来の筋ではございますが、委託業務会社に売払い仕事を委託してやらせるということは、やはり今後も続けて行かざるを得ないのではないかと存じております。それから、一昨年、昭和二十七年度までは、これは明瞭に、大蔵省方針といたしまして、物納財産であるから、金のかわりに入つたものであるから、早く売り払つて現金化さなければならないということを方針にいたしてありましたが、昨年度あたりからは、これは必ずしもそう言つておれぬのではないかということで、貸付という形で、物納財産を現在使用している方たちと国との間の権利関係を、売払いということに固執することなく、はつきりさせることが大事ではないかという考え方にだんだんかわつて参りまして、今後の方針といたしましては、売るということだけではなく、貸すということと両方相まつてつて行かなくちやならないじやないかというふうに存じております。ただ、貸すという制度をとります際にも、国の役人が自分で貸す、あるいは売るということをやるには、地方の割合に取扱う物件の少い財務局あるいは財務部等においては可能かと存じますが、相当大きな量のものを取扱わなくちやならないという財務局、財務部にとりましては、じかに自分でやるということは必ずしも全部できるとは申せないと思います。これは適切な会社を選びまして委託するという方法を続けて行かなくちやならないのではないかというふうに存じております。
  131. 塚原俊郎

    塚原委員長 中野四郎君。
  132. 中野四郎

    ○中野委員 あなたは当時二年くらい御関係になつたというのですが、業者の選定にあたつて資力とか信用経験などを十分に調べて指定をしたというふうに財務局長は述べておるのですが、どうも、結果から見ると、資力信用経験というような過去のものだけにとらわれて、その後こういう醜態を演じたという責任をとつておらない。しかし、当時指定する前に十分調べたというのだけれども、これには相当情実が入つておると思うので、その指定方法の当時の状況を述べてもらいたい。たとえて言えば、世間一般から見て信用ある業者は別として、この不動産あるいは物納財産払い下げるにあたつて、その制度ができてから新たに設立された会社が多く指定を受けておる。その会社の社長あるいは重役ないしはあつせん人というものは大蔵相の過去の官吏が非常に多い。あるいは官吏と関連のある者が相当多い。一例をあげれば、東海財務局局長をしておつた松崎君なんかも一時は社長をしておる。そういう例をあげれば数限りないほどある。たとえて言えば、都不動産の社長をしておつた田村君なんかもやはり大蔵省の参与官なり政務次官をしておつたのです。そうしていろいろと関連が多い。こういう情実によつて指定をされた人が多くて、実際上にあなた方の文書の上に現われておる資力信用経験というものが十分に勘案されていない。これは何らかのいわゆる情実、因縁等によつて指名されたものと思うのだが、あなたの知つておられる範囲のことをここで述べてもらいたいと思う。
  133. 牧野誠一

    牧野証人 当時の委託業者の選定につきまして、東京の中枢部に本店を持ち全国に支店網を持つている非常に有数な銀行とか信託銀行、こういうものはどなたが見ましても比較的信用があるということに相なるかと存ずるのでございますが、だんだん財務局指定いたしました地方的な不動産取扱業者などにつきましては、これら有数の会社に比べますと、きわめて規模も小さく、経験も浅く、あるいは資力的にも不備であるというようなものがあつたかと存じます。これにつきましては、これは言訳がましいのでございますが、不動産取扱業者というのは、りつぱな不動産銀行とか、いろんな信託銀行とか、その他一流の不動産会社というのがやつておりますものかなりございますが、方々にございます不動産取扱業者というのは、とかく個人商店にちよつとものはえた程度というようなものが多う、ございまして、また、そういうものが、財務局物納財産でいろいろごたごたしているものを丹念に売つて歩くというような仕事については、あるいは犬馬の労をとると申しますが、よく働くという関係で、その後になりまして、子飼いのものをかなり指定しておるという事情があるようでございます。情実によつて指定したようなことは、私ちよつと承知しておらないのでございます。ただ、指定されました会社の役職員その他の中に、元大蔵省関係のあつた人とか、あるいは大蔵省関係のあつた人と近しかつた人というような者があつたことは、これは率直に申しまして事実幾つかあつたと思います。また、そういう会社の中から、本日この委員会で問題になつておりますようないろんな問題を起した会社も出ているのでございまして、非常に御迷惑をおかけいたしました。これは選定の当初にあたつて処置よろしきを得なかつたというおしかりを受けることがあるかと存じますが、私ども、あるいは私の前の者、あるいはその他私の周囲の者等、私どもを含めまして大蔵省全体の者が、いささか処置よろしきを得なかつたということで、深くお詫び申し上げなくちやならないことだというふうに思うのであります。
  134. 中野四郎

    ○中野委員 二つにわたつて伺いたいのですが、情実があつた事実をあげて言いましよう。まず第一に、都不動産が一体なぜ愛知県に進出したかということ。そして、なぜ当時の松崎君が無理に中村区という名古屋市内においても屈指のいわゆる繁華街をあてがつておるかということ。しかも、その当時この中村区を割当てられるについては、大蔵省の相当の地位の者のいわゆるあつせんがあつて松崎君はこれを了承したという事実。これは松崎君自身でなく、その下におつた総務部長名前をあげてもよろしいが、この総務部長らが当時極力反対したにもかかわらず、都不動産は名古屋に割込むことを強く主張して、しかも大蔵省からの相当な圧力というか、あつせんによつて都不動産が東海財務局管内の名古屋市中村区を担当区として持つたという事実がある。情実はあげればかなりいろいろあります。しかし、ここでは申すまでもないことだから重ねては申しませんが、情実関係によつてこれが指定されだとすると、また、あるいは指定されないにしても、その区分によつてえらく違うのです。受持つ区域なんかはどういう方法によつてやられたのですか。この二つです。後者の方をおもに伺いたい。抽せんによつてつたのか、あるいはあなたの方の課長が、これとこれとはここを受持たせるというふうにしてやつたのか、どちらの道をとられたのですか。
  135. 牧野誠一

    牧野証人 ある財務局で幾つかの委託会社があります際に、どの会社にどの地域を、何区を持たせるかということにつきましては、私詳しく存じませんので、私の想像でございますが、向うからの申入れとこちらの判断ということで、これはくじ引ということでなく、おそらく業者みな集まつて相談した上でやつたということではないかというふうに存じております。
  136. 中野四郎

    ○中野委員 これは窪谷君が来ても答えられぬ。保安庁のことは知つておるかもしれないが、大蔵省のことは知らぬのだ。あなたに聞いてもはつきりしたお答えはできないかもしれないが、かりにあなたのお言葉を信じて、そういう話を基礎にして考えてごらんなさい。これは、大蔵省関係のある者が勢い自分によいところをは配分区域として求め、あるいは、知らない人間よりも知つた人間を個人的にも信用できるから、この方にまわすという結果が多く生れて来る。だから、第一問のいわゆる情実というものはこういうところから生れて来ておるおそれが多分にある。たとえば、新郊土地株式会社にしても都不動産にしても、今度問題を起した会社六つばかりの中で、東京都内における一番の繁華街をおもに受持つておるじやありませんか。今新郊土地は新宿区といつて、元淀橋、四谷、牛込というこの三区を中心にして範囲も広いけれども、何といつても新宿は終戦直後繁華街としてみな非常に目途としておつた。そういうところへいわゆる特別の情実のある会社をば指定するということは、初めから不正の起ることが想像できるのだね。それからもう一つ、たとえば、この新郊土地なんかは、長い間の経験を持つておると飯沼君は言つておる。しかし、その時分には、新円切りかえ後ですから、非常に現金が不足しておつた。中には、はなはだしいやつは、近ごろはやりの映画館を盛んに建てて現金収入をはかつて、これを右に左にふりまわして金をもうけたやつも相当ある社会情勢だつた従つて、分納にしましても、手付金にしても、本来ならば国有財産の一部として現金が国庫に収入さるべきものを、私しておつたやつが、第二会社、第三会社をつくつてつた事実がある。あなたの方の今日の被害の状況を全部調べてみると、その経過においては明らかに第二会社、第三会社にその金をば浮貸ししておつた事実をば知つてつた。知つてつて放任しておいたところに間違いのもとがあつた。だから一つ一つ名前をあげて申し上げておるのだが、これは情実、因縁によつて業者を選定し、その業者に対して情実、因縁によつて区域をば配分したという根本的な責任問題が起つて来るわけである。この責任は一体だれが負うのでしよう。当時あなたが課長をしておられたか、あるいは前の方が課長をしておつたか知らないが、当然課長が責任を負わなければならぬと思う。そういうことには一体だれがタッチするのでしようか。課長みずからがタッチして指定を、あるいは区域の配分をきめるのでしようか。または第二係長をやつてつた牧君のような人が一切合財をやるのでしようか。現金を出納すべからざるものをば暗黙のうちに了承しておつたというのは、第二係長の牧君が今やめてしまつたからしかたがないというわけには行かない。その責任はあげて局長にあり、大蔵省にあるわけですから、従つて、私は、この情実関係というものについてはどうしても納得のできぬ点がある。しかし、あなたが今ここですぐ答弁してみたところで、責任のない答弁なんだから、これはあとに保留してけつこうです。  そこで、もう一つ、今のに関連して承つておきたいのですが、業者に対する監督が十分行われておればこういう乱脈にはならなかつたと私は思う。そこで、この監督は一体どういう方法をとつてつたか。監督が厳重であればこんなことはとつくにあらゆることがわかつておるはずです。すでにあなた方が今日ここまで来る段階においては二度も三度も刑事事件が起つておる。渉外人と称する外交員になり、あるいは会社みずからが外交員の集めて来た金を浮貸しをしたり、あなたの方から言えば、国家の税金にかわるべき非常に大事な金であるから急いだ、その急いだ結果によつて非常に粗雑なところがあつたということを先ほどの井上さんも言つておられたし、あなたの言葉の節々にも現われて来る。急ぐだけがいいことじやない。せつかく業者を急がせて、その金が業者のふところにころがり込んでしまつて、国家の方に一向急いで入らぬというような結果を見たのは、監督不行届きの結果だろうと思う。どういう監督をしておられたか、あるいは当局はどういう責任をとるつもりであるか、この二点について伺つておきたい。
  137. 牧野誠一

    牧野証人 監督の方法につきましては、これは徐々に改善されまして、現在におきましては預託金委託会社買受人から受領して使い込む、受領するというような事実が発生しないようにということで、そういうふうにやつておると信じております。それまでに至る間、監督はだんだんに改善はされて行きましたが、最初のころは、そうした、ただいまのお話にもございましたが、急ぐんだ急ぐんだというようなことでルーズであつたという事実、これは私否定し得ない事実であるというふうに存じております。まことにこれは深くおわび申し上げなくちやならぬことだと思つております。  それで、その責任でございます。この責任につきましては、直接は財務局のその仕事を担当しております出張所長あるいは財務局長管財部長というような者にもちろん第一次の責任がございます。それから、さらに、私ども、大蔵省本省におつて全国を見ておりまして適時適切な指令を発して指導をし、役所の出先のやつておることを見ておらなくちやならない立場におります者の重大な責任であるというふうに存じております。それから、突き詰めて申しますれば、管財局長あるいは大蔵大臣、そのほかの者の責任に当然なると存じます。
  138. 中野四郎

    ○中野委員 あなたがきよう窪谷君のかわりに出て来られるのがいやなことはよくわかるのです。また私の方も、あなたに出てもらつていやなことを言うのは、あなたに対してまことにお気の毒だと思つておるのですが、これは既定の事実でして、監督不行届きであつた結果がこういう結論として出ておることは論をまたぬところであります。ところが、その責任を負うべき財務局長がとにかく印刷局長に栄転している。役人というものは仕合せなものなんです。責任を負つて減俸なりあるいはやめるというような人がどんどん栄転してやつて行けるという、日本の役人に対する制度というものはありがたいものだと思つている。しかし、私が  一番痛切に感ずることは、実際上は役人と業者との間に非常にデリケートな情実因縁の生ずるような事態があつたことは否定し得ないということです。たとえて言えば、名前を申すことは控えますが、ある会社なんかに至つては、役所に対する渉外係というものがあつて、お役所の管財局長初めその係係の人々、課長さんから係長、係に至るまで、なお関東財務局あるいは近畿財務局に対しては局長からその部課に至るまで、だれはだれを担当するというので、年末には年末に適当なものを、お中元にはお中元に適当なものを、あるいは中には現金で常に送られておる。こんなことをここで並べ立てることは、残念ながらこれは書類に出ておる。どの方には何月何日何を持つてつた、どの方にはいつ幾日何を持つてつたというようなことが書いてあるのです。会社の帳簿ですからしかたがありませんけれども、とにかくそういうことがあらゆる角度から国家に迷惑をかけたんだと私は思う。従つて監督不十分であつた。しかも妥当なる公務員としての職責を尽していなかつた。こういう点は、現在丸の内警察にあなたの方から告発されて検挙されておる陰山君にしましても、あなたのところの職員であつた小島君にしましても、あるいは浦和の財務局事件にしましても、あらゆる角度から否定はできない。まことに遺憾にたえぬことだと思いますが、とにかく将来この行政監察委員会から何らかの処置をば大蔵大臣にあてて求めるつもりでおります。  そこで、もう一点伺いたいのですが、業者の使い込んだ預託金の処理について、関東財務局のとつたような方式と近畿財務局のとつた方式について、先ほど委員長質問がありましたときに関連して伺つた。ところが、あなたの方は、両方がいいというので便法論として結論を与えたというふうに言つておられたが、私は、そうでなく、これは相当論議されたが、結局結論が出なかつたので、出先機関である関東財務局長、近畿財務局長の適宜の処置にまかしたということを聞いておるのですが、あなたの方では、そうでなく、大省の見解として便法的にこの方はこの方法でやつてみろ、関東財務局はこの方法でやつてみろという指令を出したかどうか、命令を出したかどうか。この点を明確に伺つておきたい。
  139. 牧野誠一

    牧野証人 ただいまの最後の点でございますが、近畿財務局はかくのごとくやれ、あるいは東京財務局はかくのごとくやれという、個々にわたる指令というようなものは出ておりません。それで、一般的に起り得る場合をあげまして、こういうような場合にはこういう処置をしろ、こういう場合にはこういうような処置をしろというような基準というものは大蔵本省から示しております。そのものさしに当てはめまして、近畿は先ほど申し上げましたような処置をとり、関東はやはり先ほど申し上げましたように近畿と違います処置をとるということに相なつたわけでございます。その後、そういう方針をとりたいというようなことで、そういう方向にそれぞれが進んで参ります際に、大蔵省から示しましたものさしに合せてみて、あれははたしていいか悪いかというような点につきまして、あるいはまた具体的な問題として解決の促進というものにどちらが役に立つと申しますか、よい方法であるかというようなことについては、その後いろいろ議論がかわされましたことは、これも先ほど申し上げました通り事実でございます。しかし、その後も結局、近畿はかくやれ、関東はかくやれという指令というものは発しておりません。それで、ものさしに当てはめまして、近畿はああいうふうにやり、関東はそれと違つた方法をやつたということがやむを得なかつたのではないかということで、追認したと申しますか、是認をしたと申しますか、そういうような形に相なつております。
  140. 中野四郎

    ○中野委員 今日の段階では、どちらがいいと思つていらつしやいますか。近畿財務局のとつた処置の方が国のためになる、公務員として妥当なる処置をとつたと思うか、関東財務局のとつた処置が妥当と思うか、どういうふうに考えておられるか、それを伺いたいと思います。
  141. 牧野誠一

    牧野証人 これは私の個人的な見解のようになりますが、でき上つた事態というものが非常に申訳ない事態で、しかも複雑で、解決が困難な問題で、始末の悪い問題と申しますか、きわめてむずかしい問題であると存じますので、この両方のその後それぞれとりました処置につきまして、いずれがかよかつたかという結論は、私、今のところ、どうもちよつと決しかねているような次第であります。両方がいいとはとても申し上げられませんので、それからまた、それじやほかに何かいい方法があつたかというと、私も実は、それじやこうやればよかつたというような方法も思いつきません。そこで、両方それぞれ最善を尽してできるだけ早く処置をするということによつてつて行くよりほかにしかたがないじやないかというような、まことに煮え切らないようなへんなお答えでございますが、そういうふうに考えております。
  142. 中野四郎

    ○中野委員 煮え切らぬのは初めから煮え切らぬ。初めからしまいまで煮え切らない。これじや、あなた、国の財産を預かつて処理するというような職員は果しておらない。ほかの財務局全部調べましたけれども、ごらんの通り、大きな問題を起しているところはないじやないか。それは区域の性格もありましようけれども、特に近畿財務局関東財務局と、この二つが一番大きな問題を起している。これは代表的なものなんだ。そこで、あなたの方では、一本の指令を発して、いずれをとるにいたしましても適切な処置を大蔵省が命令するのがあたりまえなんだ。その立場においでになるあなたの方が煮え切らないのだから、しまいまで煮え切るはずがない。このままじや、いずれにも軍配を上げるわけに参らない。現在の段階では、関東の財務局の方が幾らかいろいろなテニツクを使つているだけに早くその道がつくかもしれない。裁判の結果、近畿財務局の方がおそくなるかもしれない。しかし、国に与えた損害というものは、いずれに結論がつきますか知らぬが、同一損害を与えていることは事実だ。買取人に与えた精神的、物質的な損害というものは相当大きなものだ。  そこで、もう一点伺つておきたいのだが、弁償金、つまり使用料、これは買受人業者代金を支払つた日の前日までの分を支払えば一体よいのかどうかということなんです。この使用料の問題もありまするし、それから登記の問題もあります。登記料が二倍、三倍に上つて来ておりますから、これをどうするか。これはもう今一番問題になつている、事件をば解決するには基礎的な問題になるだろうと思うのです。つまり、二倍、三倍に上つた登記料を払つて今新たに自分の名前にする。なるほど、物価の高騰によつて貨幣価値が下つておりますから、あるいは払つてもかまわぬ、しかたがないと言う人が出て来るかもしれない。土地なんかが非常に値上りしておりますから、そういう場合に諦めるかしらぬが、これは妥当な道ではない。公正な道としては、少くとも、当時の紛糾の最大原因は何だと言えば、大蔵省の怠慢あるいは関東財務局のいわゆる不正等によつてつた問題でありますから、その責任は全部当局が負うべきなんだ。しかし、関東財務局と近畿財務局とではその処置において異なつた処置をとつているのですから、いずれにいたしましても、結論をつけるには、登記料が二倍、三倍に上つているものをどこで一体コントロールするのか、買取人に損害を与えないようにするか、あるいは使用料についてどのように勘案するかということが基礎的な問題になつて来ると思います。これについて、どことどこをきめ手にしているのか、この際明らかにしておいていただきたい。
  143. 牧野誠一

    牧野証人 使用料につきましては、これは買受人委託会社に買受代金支払いましたとき、そのときまでの使用料を国が買受人に請求するということで、その後のものについては委託会社の責任ということにせざるを得ないのじやないかというふうに存じております。それから、登記料につきましては、登記料の値上りによつて買受人に御迷惑をおかけしている例がかなり発生しております。これは著しく遅れましてこの責任が会社にあるというようなものにつきましては、これは会社に負担させるようにということで指導して行きたいというふうに存じております。
  144. 中野四郎

    ○中野委員 そうすると、そこに大分無理が生じてきますね。つまり、会社へ完納したという事実を立証すべきものがあつた。その日までを使用料として買取人は支払う。登記料も当時の事情を勘案し、当時の登記料を換算して支払う。そうすると、その日から後今日に至る間には使用料も相当上つております。それから長い時間にもなつている。特に登記料なんか二倍、三倍という金になつている。会社の方はこれを全部負担するということになると、ここに無理が生じて来るわけです。今度は、たとえば新郊土地なんかにいたしましても、大建不動産をつくつて、国の払う五分をば削除して行く、そして、その分を含めて国に納めて行くということになると、相当会社側の負担というものは大きくなつて来る。一体その、バランスがとれるのでしようか、—会社の段階で。とれないものをつくつたつてしようがない。とれるようなうまい道があるのでしようか。それほど会社はもうかるような仕組みになつているのでしようか。その点を伺いたい。
  145. 牧野誠一

    牧野証人 会社がそんなにもうかる仕組みになつているとは存じません。会社の経理の内容をずつと詰めさせますことによりまして何とかやらして行きたいというように存じております。
  146. 中野四郎

    ○中野委員 まつたく心もとないですね。やらして行きたいと言つたつて、やれないんだ。もう少し深く言えば、会社側の不正事実をなぜもう少し厳重に取締らないのですか。その不正事実の大きな原因は、会社の社長あるいは社員の自分個人が買入れるわけに行きませんから、自分の親戚あるいは友人等の名前によつて会社には相当隠し財産があるはずであります。良い土地を手に入れて、今日土地の値上りによつて相当バランスをとつている事実がある。だから、そういうようなものをもつと監督を厳重にして、今の新郊土地なんかでも、ただ会社の社長飯沼文二君が出しただけの財産で、それで終りだと考えていることは大きな間違いなんだ。彼が第二会社、第三会社に浮貸しをした事実をあくまでも追究して、さらに、その第二会社、第三会社を通じて、大蔵省がいわゆる払下げを彼に委託したそのときを非常に利用して多くの不正な事実を抱き込んでいるのだから、こういうものを指摘して、もつとどんどんと国の欠損鐘めて行くような監督を厳重にする考え方がなければだめなんです。そうしない限りにおいては、これはなかなか払いきれません。会社としても、払いきれないものを何として行くのでしよう。何とかなるでしようという曖昧模糊のうちに行つたつて、この問題は解決しません。当時の土地の価格と今日の土地の価格はえらい違いでありますから、バランスのとれるように考えられませんと、手数料もかわつて参りましよう。しかし、それくらいのものでは解決のつかぬ段階にあるのです。まだまだ、あなたの方で厳重に調べてごらんなさい。先ほど井上君にも申し上げたが、新郊土地都不動産に関する限り、まだまだ複雑多岐にわたるところの不正事件がたくさんある。これをすべて暗黙のうちにごまかしてしまつて、そしてただ端的に大建不動産というものを立てて、いわゆる政府の面子だけを立てて帳面づらだけをごまかそうという考え方を捨てて、物価も上つて来たし、土地も上つて来たんだ、そしてこれらのものをさらに追究して行けば、当然今まで国に与えられた損害を埋め合すだけの事実はたくさんあるはずなんです。監督官がちつとも厳重にやりやしない。監督をしていない。これが間違いのもとなんです。私は、今あなたの御答弁のような、何とかなるだろうと思つておりますというようなあいまいなことでは、これは許されない問題だと思います。でありますから、厳重に監督権を強化して、もつともつと峻酷にやるべきなんです。会計検査院なんかあとで来るでしようけれども、ふざけた話なんだ。あなたの方のいわゆる省内監察なんかだめなんだ。省内で監督する限りにおいては、みななあなあだから、ちつともやらない。会計検査院の検査も、責任の所在がない。立法府も責任を負うものでない、行政府も負うものでない、単独に会計検査院長が負うだけでありますから、今日のようないろいろな問題がたくさん出て来ても、会計検査院なんか、くその役にも立たないと同じなんです。近ごろ。いわゆる補助金の問題で、山口県において自由党の幹事長のところならば二重でも三重でも補助金をやる、愛知県の大蔵大臣の地元ならば二重も三重も一つのころに補助金をやつて、金が千九百万円もだぶついているというような非行をあえてしているのは、会計検査院が厳重に監督すれば何でもないのです。あなたのところの省内監察が厳重に監督すれば何でもない。問題は起つて来はしないのです。ところが、あなたの方の監督や会計検査院やあらゆる角度における監督の方法というものがなあなあで、非常にまずいやり方をやつておるものだから、立法府における行政監察委員会がこういうものに手数をかけなければならないのですから、そういう曖昧模糊のうちに問題を解決しようとしないで、徹底的に追究するように監督権を発動してください。それだけお願いしておきます。  もう一つ伺いますが、業者預託金を使い込んだために登記が遅れておる場合に、先ほど登記料の二、三倍上つたものについては何らかの考え方をする、業者に負担をさせる、こう言つておられたのだが、この弁償金登記料の問題が解決しない限り、未登記の問題は一切解決しないのであるが、大蔵省が今のような見解が持つてつても、実際上において業者がその気になるかどうか。業者の方では、払込みができなくなれば、大蔵省はそうお考えになつていらつしやつたでしようが私の方ではできませんという場面がまた出た場合には、大蔵省はこれを強硬に業者から取立てるだけの用意があるかどうか、この点を承つておきたいと思います。
  147. 牧野誠一

    牧野証人 最初の監督の問題でございますが、これにつきましては、私ども約二年間この仕事に携わつておりました間、だんだんに詰めて参りまして、将来にわたつては間違いを起さないようにというふうに指導して来たつもりでございましたが、不敏にいたしまして、非常に不十分な点が多かつたかと存じます。これは、ただいま後任者もきまつておりますし、私からも、私の足らなかつた点を補いましてさらに厳重に御趣旨に合うようにやりますように申し伝えたいと存じております。  登記料の値上りの問題あるいは弁償金の問題でございますが、これは、不始末を起しました委託会社に対しまして、これは私どもも厳重に会社の責任であるということを申して参りました。今後も買受人に御迷惑をできるだけかけないようにということで、不始末を起しました会社に対しては強硬に措置するようによく申し伝えたいと存じております。
  148. 中野四郎

    ○中野委員 会社側の監督も大いにするように、一面においては省内監督も大いにやりなさい。たとえば会社側と、この間の陰山君と小島君のように、金のやりとりによつていろいろな事犯を起しておる。局長の判がどんどん内緒で押されたり、いわんや、偽造の判で登記をしてしまうという不始末をほつておいて、だれも責任を負う者がない。こんなばかな話はないでしよう。どう考えても他人にはやれないのです。偽造をやるのは別ですが、それでも登記所にはだれかが行かなければならないのだから、だれか関係の者が、関東財務局の者が行つておるはずだ。だから、省内監督を厳重にやるとともに、会社に向つても厳格な監理、監督をするという方向に進まなければだめだ。当面の問題として、あなたの方は監督方法を強化して、その徹底を期するということに全力をあげる必要があるのです。だから、ただ一片のここだけの答弁でなく、あなたがここに証言を求められたからには、このことをば実際に実行するように、省へお帰りになつたら、ただちに今日この話のあつたことを明らかにして、それぞれの者を督励して、監督権を発動するようにしていただき、再び行政監察委員会においてこういう問題を取上げられるような醜態を天下にさらさないようにしていただきたい。このことを私は特にお願いしておきたい
  149. 塚原俊郎

    塚原委員長 高木松吉君。
  150. 高木松吉

    ○高木委員 私どもは、要するに、最終の結論を出さなければならないので、はつきりした事実をつかみたい。あなたのそこで責任がありますという言葉だけで、内容がはつきりしないと、私どもの方の意思決定ができないのであります。そこで、いまさらあらためて申すまでもなく、行政監察委員会の使命は、過去における行政の運営が適正に行われておるかどうか、これを参考にして将来に対する適正なる行政運営をはかつて行かなければならぬという見地から考えるのでありまして、この問題は、要するに被害を受けておるものは、総体から見て、国家であり、それからまた買受人であります。そして、その原因となつたものは何かというと、これは委託を受けた会社がその原因となつておるのであります。その委託会社と国の関係委託会社買受人関係を明らかにしない限りは、この事案は明瞭になつたとは言えないし、明瞭にならない事実の上にわれわれの判断はできないので、これからお尋ねするのでありますが、その点、あなたはあるいは立場によつて答弁できない点もあるかもしれない。しかし、できるだけわれわれに協力して、明瞭にしていただきたいと思うのであります。  まず第一に、この物納財産処分するにあたつて大蔵省はどういう方法処分するのが一番よろしいかという二とについて慎重審議してやられにであろうかどうかという点を明らかにしていただきたいのであります。
  151. 牧野誠一

    牧野証人 当時、この仕事が出発いたします際に、大蔵省当局としましては、できるだけ慎重に審議いたしたというふうに承知しておりますが、あとから見ますると粗漏な点があつたということは、これもまたいなめないと存じております。
  152. 高木松吉

    ○高木委員 先ほど中野君から尋ねられた、いわゆる委託会社の選定問題に対する責任とか疑義とかいう問題もありましたが、まず第一に、委託会社にあなた方が委託する以上、これは権利の得喪に関する仕事をやらすのですから、どういうような法律的効果を結ぶかについての検討はなさいましたか。言いかえれば、わかりやすくお尋ねすれば、委託会社との契約です。この契約法律上の内容及び効果等について御研究になつたことがございますか。
  153. 牧野誠一

    牧野証人 当時研究してやつたことというふうに存じますが、その後不十分な点というふうなものが若干現われて参りまして、これについてその後手直しを加えたということに相なると思います。
  154. 高木松吉

    ○高木委員 ただいまの手直しの点は私どももわかります。むろん、悪かつたら改めることはけつこうですが、最初委託会社との間の契約内容はどういうもので、ございましたか。これがそもそもこの問題を引起す大きな原因となつておるのですから、この点を克明に説明していただきたいと思います。
  155. 牧野誠一

    牧野証人 委託会社との関係は、最初におきましては、物納財産の売払い仕事につきまして間に入つて払い事務手続をやるようにということで、かなり広汎に委託したものであるというふうに存じております。ただ、代金の受領という点につきましては、これは、委託会社が受領する権限があるという見解は現在もちろんとつておりませんし、初めからそういう見解は大蔵省の方といたしましてはとつておらなかつたというふうに存じております。
  156. 高木松吉

    ○高木委員 この委託契約の第一条にあります「売払事務を委託し、」と書いてあります。事務というのは、その事務内容、裏づけとなるものは権利の得喪その他の条件等についても一体をなすものと思うが、事務と離れて権利の得喪の決定権などはあるのですか。この点に対する解釈をひとつ明らかにしてもらいたい。
  157. 牧野誠一

    牧野証人 やはりこれは権利の得喪というものには密接な関係があるというふうに存じております。ただ、役人が、これは少し独断と申しますか、ひとりがつてな議論かと存ずるのでございますが、金を扱う権限が、役人の中でもまかされる人は少い、特別な人に限るのだということをあまりにも常識的のように考えておりましたので、権利の得喪と申しましても、物件の権利が国から買受人に移るということと、それからその対価たる代金が入つて来るという関係両方あるわけでございますが、対価が入つて来る方の関係につきまして、役人の社会だけで常識的に考えておる事柄というようなもので律して、それを世間のだれでもが知つているものというような錯覚を起しておつたのではないかと存じております。それで、契約書の表現自体が、若干外部から見ますといろいろ誤解が生ずると申しますか、役人が考えていたのといささか違うという点が出て来たのではないかというふうに存ずるのであります。
  158. 高木松吉

    ○高木委員 第四条にあります「売払を委託した財産売買契約の締結及びその履行等売払に関する一切の手続きは乙においてこれを行う。」というこの解釈はどういうふうにしておられて、いわゆる委託会社との間にどういう意思表示の内容となつてつたものでしようか。
  159. 牧野誠一

    牧野証人 これは「一切の手続きは乙においてこれを行う。」と書いてございます。これは、特に除かれているというものでない限り、売払いという仕事について大蔵省の役所で公務員というものが自分でやらなくちやならない仕事、これを国にかわつてつてもらうという意味で委託したのだと存じます。ただ、不動産の売払い事務という。この七条に書いてございますが、売払い事務というものの範囲につきまして、金を受取る仕事までは入つていないというふうに考えます。第四条第二項に、前項の場合において乙は関係法令に準拠すると書いてございます。これは、関係法令というものは財政法、会計法その他国のいろいろな法令がございます。大原則といたしまして、現金を収納し得る官吏というものは役人でも非常に限られております。これによつて代金受領の権限はないということは明瞭であるというふうに人も思うだろうということを大蔵省の役人が即断をしたということじやないかというふうに考えております。
  160. 高木松吉

    ○高木委員 そこで、最初にお尋ねしたように、これらの問題によつて第三者たる善良な買受人が迷惑するという事実が現実に現われて来た。こういう事実が将来現われることを予見していろいろな心配りをされたでしようか。要するに、官吏が独断的に自分かつてにでなしに、善良なる第三者のいわゆる大きな損害を予測し得るのであるから、いま少し厳重にあらゆる点に対して手配をとるべきであつたと思う。しかるに、その当時官吏が独断的で、そういうことをやらずに、研究及び検討が足りなかつたために起きた問題ではないかと考えるのでありますが、その点に対してはどうお考えになりますか。
  161. 牧野誠一

    牧野証人 これは言訳がましいのでありますが、当時不動産を売払うというような仕事などにつきましては、これは、国の財産でいらなくなつたものを売るということは昔から常に若干あつた問題でございますが、終戦後突然厖大なものがそういう状態に置かれたというような関係で、それを、今までいろいろ税金をとつたり、あるいは陸海軍仕事をやつてつたとか、あるいは大蔵省の予算や金融の仕事をやつてつたというような、いずれかと申せば不動産売買にはあまり熟しません連中が—私などもその一人でございますが、こういうような仕事をやらざるを得なかつたという関係で、注意が行き届かなかつた——関係法令を書いておけばわかるじやないかというところも、そういう感覚でやつてつたのではないかというふうに考えます。この要領を出しましたのが二十二年の終りごろでございます。その後二十三年、二十四年ごろに少し誤解を招いておるのではないかということで、二十五年くらいから厳重に注意をし出して、こういう事態が起きないようにということで、いろいろ通知を出したり、ラジオで公告をしたり、始めたわけでございますが、いささか手遅れになりまして、そういうようなことをやりますまでの間に、あるいはやつてから、その直後は若干効果があつたかもしれませんが、不始末をしでかしたものと存じます。
  162. 高木松吉

    ○高木委員 別にあなたの責任を問うというのではないが、この問題を処理するためにどうしても究明して行かなければならぬことは、要するに、会社対国、それから国及び会社買受人法律関係、これを明瞭にしておかなければならぬ。先ほど井上君から聞くところによると、要するに会計法上権限のない者が行動したものに対しては国は責任を負えない、こういうお話でございました。なるほど、一面から考えればそれもうなずけられないではありません。しかし、民法に規定している表見代理の規定と会計法の規定がここにおかしな風にからまり合うわけです。このときに行政官庁である大蔵省はこの問題をどういうふうにはつきりさせているのか、この点を明らかにしておきたいと思うし、われわれもこの点は重大な問題だと思うので、大いに世間の関心事でもありますし、明瞭に御説明を願いたいと思います。
  163. 牧野誠一

    牧野証人 この国対委託会社関係、あるいは委託会社買受人関係、あるいは国対買受人関係、この関係につきましては、代理権があつたかどうか、表見代理と言えるかどうか、あるいは無権代理ではないかということについては、非常にむずかしい問題であるというふうに存じております。国の側から申しますれば、権限のなき者が受取つたことは知らぬというふうに言つてしまいたいところでございます。これは必ずしもそういうふうに言い切れないというケースもかなりあるのではないかというふうに存じております。それで、いろいろ当時の記録を調べてみますと、法務省へ相談をしてみたり、あるいは財務局が法務局へ相談をしてみたり、あるいはいろいろな方に御相談を申し上げたりして、内部でもいろいろ話をして検討した模様でございます。当時東京財務局におきましては、無権代理ということで行かなければならないのじやないか、それによつて、別途買受け人には御迷惑がかからないようにというような方法を講ずることによつて、実際問題を解決して行きたいということで処置をとつた次第でございます。これを今振り返つてそのいろいろな実態を見みまして、法律理論としてどつちが正しいのかというようなことを考えますと、これは表見代理であると言い得るもの、これも場合によつて、あるいは時期によりまして、若干あつたのじやないかというふうに存じております。
  164. 高木松吉

    ○高木委員 これはどこまでも法律的に解決すべき問題ではあるが、一方が国である、買受人が善良なる第三者である、委託会社指定したのは国であるという一環の関係にあるわけでございます。そこで、そういう見地から、おそらくは、理論的、法律的には無理なやり方と私は思いますが、使用料の問題も、会社代金払い込んだときまでは国家がとる、その後のものは云々というさいぜんの話がありました。これも、両方面を考えて、売渡し人がいわゆる国家であるために、善良なる第三者に迷惑をかけないという見地からやられた適切なる方法であると私どもは思うのです。そういう意味合いにおいて、国家は、むろん国民全体の面における利害関係があると同時に、一方において善良なる買受人を保護するという責任も、普通の売渡し人より以上に強い関係になければならないと思うのです。そういうことになりますれば、買受人が結局善意であつて、二度、三度あなた方が委託契約を是正された前に被害をこうむつておる者に対しては、国家としては保護してやらなければならぬという観念もおのずから生れて来るように私どもは思う。こういう意味において、客観的に普通人が見てまつたく手落ちのなかつたという買受人に対しては、今の弁償金を適当な線において画されたような観念と同様の気持で、登記料も持ち、そうして所有権の移転もしてやる方が国家の仕事としては適切のように思うのです。この点に対する考え方はどうであるかをひとつ聞きたいことと、なお、先ほど弁償金の問題で、会社が国家に対して支払いの責任を持つわけですが、その国家に対して持つ支払い能力の有無ということもありましよう。そういう場合、債権債務の関係ではいわゆる会社が国家に対してそのやりそこないの責任を負うという形になるならば、善良なる第三者を救つてやるというようなことになるわけには参りませんでしようかどうでしようか。それらに対しての大蔵省の見解はどうであるかをお聞きしたいと思うのです。
  165. 牧野誠一

    牧野証人 登記料につきましては、これは何年かたらますうらに不動産の価格自体が非常に上つておるということがございますために、法務省におきましても登録税を昔のままですえ置くということを困難のように承知しております。それで、私どもも、これの値上りになつた分につきましてどういうふうに処置するか、買受人にできるだけ迷惑がかからないように処置するのにはどうしたらよいかということにつきましては非常に苦慮いたしたのでございますが、著しい会社の怠慢によつて遅れたというようなものについては会社に負担しろということで処置する一方、法務省に対しましても、国と買受人との契約で、契約の当事者の一方は国でございますから、不動産の価格が上つたということも事実ではございましようけれども、これは売買の行われたという契約内容、その代金等についてはかなり御信頼をいただいて、なるべく同情ある取扱いをしていただくように、われわれの方からもお願いをしておりました。私はかわりましたけれども、今もいろいろお願いをしておることというふうに存じております。  それから、弁償金につきましては、会社が金を受取つたあとの地代家賃、こういうようなものについては買受人からはとらない、会社の責任において国に対して解決をするということで、これは会社といたしますれば相当痛いということを申すかと存じますが、そういう方法で解決せざるを得ないのじやないかというふうに存じております。
  166. 塚原俊郎

    塚原委員長 他に御発言がなければ、牧野証人に対する尋問はこれにて終了いたしました。  証人には長時間御苦労でありました。
  167. 塚原俊郎

    塚原委員長 引続き会計検査院検査第一局長池田修蔵君より証言を求めることにいたします。  ただいまお見えになつておられる方は池田修蔵さんですね。——これより国有財産管理処分に関する件(物納国有財産払下げ関係事件)について証言を求めることになりますが、証言を求める前に証人に一言申し上げます。昭和二十二年法律第二百二十五号、議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならないことと相なつております。宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言が、証人または証人配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあつた者、及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁理士、公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあつた者が、その職務知つた事実であつて黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになつております。しかして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることとなつておるのであります。一応このことを御承知になつておいていただきたいと思います。なお、証人公務員として知り得た事実が職務上の秘密に関するときには、その旨をお申出願いたいと思います。  では、法律の定めるところによりまして証人宣誓を求ます。御起立を願います。  宣誓書の御朗読を願います。     〔証人池田修蔵朗読〕    宣誓書   良心に従つて、真実を述べ、何事もかくさず、また何事もつけ加えないことを誓います。
  168. 塚原俊郎

    塚原委員長 それでは宣誓書に署名捺してください。     〔証人宣誓書署名捺印
  169. 塚原俊郎

    塚原委員長 これより証言を求めることになりますが、証言証言を求められた範囲を越えないこと、また御発言の際にはその都度委員長の許可を得てなされるようお願いいたします。なお、こちらから質問をしておるときはおかけになつていてよろしゆうございますが、お答えの際は御起立を願います。  池田君の略歴を簡単にお述べ願います。
  170. 池田修蔵

    池田証人 昭和二年に会計検査院に入りまして、四年に病気のため一時退職をいたしまして、その後民間の団体等に勤めまして、あと昭和十三年にまた会計検査院にもどりまして、その後課長等を歴任しまして、昭和二十六年の十一月二十七日に今の第一局長になつたのでございます。その当時は国有財産の検査課は私の部局にはございませんで、昭和二十七年の一月十六日に国有財産検査課が私の局の所管になりまして、以後引続き現在も国有財産の検査を所管しておるのでございます。
  171. 塚原俊郎

    塚原委員長 物納国有財産払下げについて今までに会計検査院が検査した状況を御説明願います。
  172. 池田修蔵

    池田証人 ただいまも略歴を申しましたように、二十七年の一月十六日に国有財産の検査の担当が私のところに参りましたので、それまでは私は国有財産の検査については関係を持つておりません。課長としても国有財産の検査については課長になつたことはございませんでしたが、二十七年の一月十六日から私のところに参つたわけですが、二十七年の一月といいますと、大体二十六年度の決算及び国有財産の経理を検査する年度でありまして、その前は、実はほかの局ではありましたが、伝え聞いたこともありますし、そのほか書類等によつてもその当時の事情はわかりますので、その範囲でその以前のことを申し上げます。  物納財産の売払いの検査につきましては、検査院におきましても非常な関心を持ちまして検査をやつてつたのでありまして、現に昭和二十三年、それから二十四年、二十五年の検査報告におきまして、すでにその一部の批難事項は載つておるわけであります。二十六年度の検査報告におきましては、すでに事態が相当改善されたあとでありまして、特に検査報告にも載せておりませんが、二十五年度までに批難した事項で、同じ事項でありながら、その後になつて発見されたものも私どもは知つてつたのでありますが、事態が同じことで、ただその当時わかつていなかつた範囲が広がつたというだけのことでありましたので 特に検査報告としては批難しませんで、事後処理という報告を別に出しますので、その事後処理の報告のところで、批難という形ではなしに、前年度までに批難したことのその後の情況の報告ということで若干記述した部面はございます。大体はそういうことであります。
  173. 塚原俊郎

    塚原委員長 今委託制度というのが大分問題になつておるのですが、この委託制度について検査院としてはどういうようなお考えを持つておられますか。
  174. 池田修蔵

    池田証人 売払いの委託制度ということは、国の経理におきましては非常に少いのでありまして、ずつと昔は、これは売払いではございませんが、買入れ等につきまして、私が聞いておりますところでは、外米を買入れるときに三井物産なんかに外米買入その方の委託をしたという事例があつたことは聞いておりますが……。
  175. 塚原俊郎

    塚原委員長 何年ごろですか。
  176. 池田修蔵

    池田証人 それはずいぶん古い話で、大正時代でないかと思います。大体国が売買をいたします場合に委託するということは非常に例外なことでありまして、本件のいわゆる委託は、単なる事務上の委託と私どもは解釈しておりますので、もちろん契約そのものの法律行為の内容を持つた委託とは思つておりません。単なる事務上の委託を解釈いたしております。その事務の委託をする程度のことは、国の経理を実際に行います上に非常に性質の薄いものである、そう思いますが、あまりいい制度とは実は思つておりません。しかしながら、だんだん事情を聞いてみますと、この物納財産が非常に数が多くて、ことに零細な者が買受けをするというような状態で、国有財産を管理しておる官吏がその全部についてみずから売払い事務をやるということはとうていその煩にたえないし、また予算なり人員の点で事情が許さなかつた、そこで、やむを得ず会社不動産売買に熟練したその技術を借用したという意味で、やむを得なかつたという説明を聞いております。これはあるいは確かにそうじやなかつたかと思いますが、そういうふうに事務の委託をさせる場合に、これは国の官吏がやるべき仕事民間の人に委託させることでありますから、その監督なりその結果の処理ということについては細心の注意をもつてやるべきであると思つております。
  177. 塚原俊郎

    塚原委員長 二十五年ごろまでは業者代金を受領しておつたようでありますが、この点はどういうふうにお考えになりますか。これは会計法第七条に抵触するのじやないかと思うのですが、その点いかがでしようか。
  178. 池田修蔵

    池田証人 受託会社が金を受取つたということが、どういう意味で受取つたかということは問題でございますが、私は、結論的に言いまして、受取つたその受取り方の問題であると思います。そういう受取る制度にしておつたというならば、これは会計法の違反でございますが、そういう意味ではなくて、事実上ただ会社が受取つてつた事実があつたというだけでは、別に違法の問題は起らないと思います。会社が受取つてつたということは単なる事実でありまして、別にそれを制度として受取るような制度にしておつたということでなければ、違法じやないと思います。それから、かりに、本件ではありませんが、一般的に申しまして、たとえば収入官吏でないところの者が、単なる手足として小使に金を受取りにやつた、これは収入官吏でも何でもありませんが、小使が収入官吏の手足として金を受取りに行くということは、これは好ましいこととは思いませんが、そういうことは事実上は行われている実際の事態と思います。
  179. 塚原俊郎

    塚原委員長 当時代金納入告知書は一括して業者に渡され、買受人のところには入つていないようでありますが、どうでしようか。これはやはり会計法第六条に抵触するのじやないでしようか。
  180. 池田修蔵

    池田証人 納入告知書は、納入すべき義務のある者に渡すべきものでありまして、それが納入すべき人に渡つていなかつたということ、これは違背すると言いますか、何と言いますか、渡すべきものであるわけなんであります。
  181. 塚原俊郎

    塚原委員長 委託業者のうち多額の預託金を使い込んでおる者がありますが、こういつたことについて会計検査院はどういうような処置をとられましたか。
  182. 池田修蔵

    池田証人 その点につきましては、先ほどもちよつと申し上げましたが、二十四年と二十五年の決算の検査報告におきまして、そういう処置はよろしくないということを報告してございます。二十四年の検査報告では三三二号、それから二十五年の検査報告では一七〇号から一七六号までに記述しております。
  183. 塚原俊郎

    塚原委員長 預託金の処理について、関東財務局と近畿財務局とが違つた措置をとつておるのですか。この点についてはどういうふうにお考えになりますか。
  184. 池田修蔵

    池田証人 預託金の処置といいますのは、その回収方法でございますか。
  185. 塚原俊郎

    塚原委員長 これは使い込みの回収方法ですがね。
  186. 池田修蔵

    池田証人 回収方法につきましては、関東財務局は、これを直接回収といいますかにしませんで、その後も事業をやらせまして、その事業に対する手数料を払いまして、その手数料と相殺してだんだん回収して行くという方法をとつておりますし、近畿財務局の方では訴訟に訴えて回収するという方法で、両方違つた方法をとつておるようでございます。これは、私たち、どつちがいい、どつちが悪いということはただちに言い得ないのでありますが、まあ理論としては、裁判にでも訴えて回収するというのが非常にすつきりした通常の形だと思つております。ただ、相手方の能力が、たとい訴えて財産を差押えてみたところで、どうせ全額回収は見込めない、全額というよりも、そのうちの大部分は回収できないほどの財産の少い会社であるというふうな場合に、爾後も事業をやらせまして、それに対する手数料で埋め合せて行くということ、それは非常に便宜論でありまして、形としては好ましいものとは思つておりませんが、実利から言いますと、今すぐ裁判に訴えて財産を差押えて回収するといつても、実質上国に入る金は幾らもないということであれば、そういう不始末をした会社にあとまで事業をやらせて続けさせるごとには非常に不安もありますし、非常に気持の悪いことではありますが、それによつて回収される実質上の国の利益と言いますか、損失をこうむらないという消極的な利益ですが、それを確保するという意味からは、あるいはやむを得ない処置ではなかつたろうかというふうにも考えております、ただ、その場合には、そういう不始末を起した会社にあと仕事をやらせることでありますから、これはよほど監督を厳重にするなりしませんと、どろぼうに追銭とでも言いますか、悪い者にだんだん悪いことを重ねさせるというおそれがありますので、非常に気持の悪い制度ではありますが、先ほど申しましたように、国の損失をむしろ少くするという実利を考えますときには、あるいはそういう方法も便宜やむを得ないんじやないかと思つております。
  187. 中野四郎

    ○中野委員 それに関連して……。何も業者にやらせぬでも、ほかに方法はあるじやありませんか。たとえば、信用の非常にある、信用度の高い委託業者がおるのですから、それに振りかえればよいにもかかわらず、大建不動産という、同一ケースの中にある者が、参画はしておらないけれども、コネクシヨンの深い者が新たなる段階でそういうものをつくつて、これによつて処理させることを認めるということは、おかしいじやありませんか。信用度の高い、いわゆる同一委託者にこれを整理せしめ、そうして国の収入をすみやかならしめる、これが一番正しいと思うのだが、会計検査院はどうしてそれを放任してあるのか。
  188. 池田修蔵

    池田証人 それは、先ほども申しましたように、そういうことをさせないのか一番すつきりした、筋の通つた処置であると思つております。これは理論としてはおそらくだれも異論はないだろうと思いますが、かりにその会社財産が何もないということであれば、その穴埋めは結局国庫が負担しなければならぬ。これは決していい制度ではありませんが、きわめて便宜な、権道ではございますが、監督を十分にやつて、そうしてそういう今までのような不始末をさせない、経費も切り詰めて行つて、手数料をそれに対して払う、その手数料で埋めて行くということであれば、国の損失は少くとも埋まる。そういう実利の面を考えまして、非常に気持の悪い制度ではあるけれども、あるいはそういう方法もやむを得ないのではないだろうか。これは決して承認するという意味ではありませんが、しいてそれをさしとめさせることまではしなかつたという程度のものでございます。
  189. 中野四郎

    ○中野委員 それでは、さらに伺いたいが、近畿財務局関東財務局とはその処理方法に違つた面がある。これはあなたは一体いずれも同一ケースと考えて同一処理がつくと考えておられるかどうか。これはまつたく違つた考え方に立つて処置がされておる。この場合はどう考えるか。
  190. 池田修蔵

    池田証人 実は、私たちも、近畿財務局で裁判所に訴えておりますが、その訴えられた会社の資産内容等が、訴えてどれくらいとれるかということまでは実は詳しくは調べておりません。おりませんし、またどういうわけでそういうふうに両方異なつた処置をしたかということは、事前にはわからなかつたわけでありますが、私どもは、そういう方針の違つたことまでも特に取上げてさしずをするということまでは、普通には検査院としてはやらないのでありまして、特にそれを認めておつたとかいう意味じやございません。
  191. 中野四郎

    ○中野委員 会計検査院の役割を果す上において、もつと厳重に、こういうような不正が行われないように、また不正が行われた事実がわかつたならば、なぜもつと厳重な処置をしなかつたのですか。
  192. 池田修蔵

    池田証人 そういう事実を知つておりましたから、検査報告では十分批難しますし、また、その後の回収につきましても、十分国の損失をなからしめるために、回収措置を講ぜよということは相手官庁に言つてつたのであります。言つておりましたが、その方法として、訴えてとるべきであるか、あるいは手数料で回収して行く方法がいいかということまでは、一応相手官庁のやることに干渉はしなかつたのでありますが、決して回収について監督を怠つたということはございません。
  193. 中野四郎

    ○中野委員 この不動産土地払下げに関して不正が行われて、検察庁にあげられておつた事実がたくさんある。これについてあなたの方はタッチせぬでいいのですか。こういう問題をやはり大蔵省の会計検査のときに発見したら、これに対して適当な処置がとられていなければならぬはずですが、どういう処置がとられておるのですか。
  194. 池田修蔵

    池田証人 それに対しては、検査院としましては、相手官庁に監督の意味で照会を出しております。照会ということは、形は質問の形でございますが、これは、相手官庁に、そういう事実の起つた原因なり、あるいは監督が不十分ではなかつたか、今後の処置はどういうふうにするつもりかということを、質問の形ではありますが、それによつて監督をしておる意味が十分あるのでありまして、照会は一々は今申し上げませんが、検査院で知り得た事実に対しては照会の形で監督をしておつたつもりでございます。
  195. 中野四郎

    ○中野委員 私がもつと言いたいのは、会計検査院がこの問題をもつと深く追究してこの事件が次々と続発しておるのです。なぜこういうことを事前に防ぐようにしなかつたか。もう事犯が出て来ないのじやない。事犯がどんどん出ておる。出ておるものに対しては、あなたの方はそれぞれわかつておるから、警告を発し、勧告を発するということもできるでしよう。しかし、まだ引続いて出ておるのだから、これに対して処置をしないということはないでしよう。ただあなたの方から通知を出した程度で済むものじやない。会計検査院の本来の意味から言えば、さような軟弱なものではない。今後もつと厳重にこれを行わしめない段階まで持つて行かなければならない。その処置がついていなかつたのは一体だれの責任なんですか。
  196. 池田修蔵

    池田証人 今問題になつておりますような事態の起りましたのは二十五年度までの売払い代金でありまして、もう二十六年度になりましたときには、財務当局の売払い代金の受領の制度が大分改善されまして、その改善されたことにつきましては、私どももずいぶんその前から厳重な警告を発しておりましたので、そういうことも参考として、刺激されて制度が改善されたと思いますが、あとあと出て来るのは、元の制度が悪かつた時分に起つた事態があとあと発見されておるのでありまして、二十六年度以後においては新たに事態の起つたものはあまり聞いておりません。
  197. 中野四郎

    ○中野委員 あなたの方の監督不十分という点は認めるでしよう。あなたの方は職責を全うしておるのですか。全うしておつてこういう事犯が出たというのなら、なおさら悪質なものである。あなたの方の会計検査院の職責を厳格に全うしておれば、こんなことが起るわけはないのです。昭和二十五年どころじやない。二十六年にも起つておる事犯がある。最も近い最近には、関東財務局長は自分の部下であつた者を涙を振つて告発しておる。それは、自分は元から知つてつたのだが、それも行政監察委員会で取調べが開始されたので、あわをくつて丸の内警察署に告発しておる。こういう事実もある。だから、あなたの方も職責をほんとうに全うしていないのじやないですか。要するに、会計検査院関東財務局業者の方でなあなあでやつておるような結果じないでしようか。少しおかしいと思うのです。
  198. 池田修蔵

    池田証人 私どもは内閣から独立の官庁でございまして、内閣なり大蔵省から制肘を受けることは全然ございませんので、何も相手官庁とどうしだこうしたということは全然ございません。  それから、監督の点でありますが、私どもは監督に別にみずから職責を果さないというような考えは毛頭ございません。私どもは昼夜をわかたず国の会計の監督には心胆を砕いておるのでありまして、現に、私なんか、日曜でもほとんど郊外散歩にも行かぬくらいにこれは健康もあまりよくありませんが、それくらいに努力をしまして国の会計がいかに適正に行われておるか、また会計職員の指導啓発をいかにすべきかということに実は日夜心胆を悩ましておるくらいでありまして、ただ、人員なり予算なりの点で、そう無限に何から何まで行き届くということは、人力のいかんともしがたいところでございます。とにかく、国有財産というものが、終戦後今まで軍が所管しておりました財産が非常に普通財産となつて、これが売払いなり貸付なりをするという状態になりましたので、その事務が相当多いし、われわれも、今までの限りある予算や人員をもつて百パーセントにすべてを検査するということは、人力なり現在の状態ではよくし得ないことでありまして、私どもは、今の許されたる機能なり予算なり人員なりの範囲で自分たちのベストを尽しておることについて、天地に俯仰して恥じません。
  199. 中野四郎

    ○中野委員 それは制肘を受けることはないでしよう。当然あなたの方は定められたる法律のもとに行つておられるのだから、それはよくわかる。しかし私は、会計検査院として実際上の職責を尽しておらぬと言つておる。事例をあげましようか。たとえば、山口県におけるあの補助金の問題はどうなんですか、愛知県における補助金の問題はどうなんでしようか。あなたの所管じやないと思うが、第三局長かもしれませんが、とにかくあれほどの事件が起つた後といえども、まだ事件が起つているじやありませんか。これは、会計検査院が厳格にやつて、再びそういうことをやらしめないということになれば、出ないで済んだ。これはあなたの方が職責をやはり尽しておらぬと思う。今度の問題でもやはりそうだ。あなたの方で、事犯を知つたならば、これに対して厳重な処置をとつておけば、次々とこういうものは出て来ない。制肘されるわけはないですけれども、従つてあなたの方には手落ちがあつたと思うのです。これは少し考え方が甘いのだ。今後においては、会計検査院は、いわゆる独自の権限に立つて厳重勧告をして、そうして再びこういうことをなからしむるようにするのが当然の職責だと私は考えておるのです。  そこで、二点ばかり伺いたいのですが、関東財務局の場合、使用料業者の使い込んだ代金が実際に国庫に納入される日の前日までの分を支払わなければならぬということでありますが、これについてはどういうふうに考えられておりますか。
  200. 池田修蔵

    池田証人 国庫に納入される前日まででございますか。
  201. 中野四郎

    ○中野委員 そうです。
  202. 池田修蔵

    池田証人 国庫に納入される前日までの使用料を払うというのは当然だと思います。
  203. 中野四郎

    ○中野委員 そこで、今までの買取人は全部払つたのですが、業者が使い込んだのです。その業者に使い込みせしめたものは財務局なりあるいは大蔵省なんだ。従つて使用料をこれから払うについて、買取人の方は一応形は完納している。ところが、業者や監督官庁の不行届きからこれは国庫に納まつていない。それを買取人に要求する。そうすると、買取人は承知できないじやないか。一旦払つておる。そういう場合の処置をどう考えるか。だれがどういうふうに払うべきものか。
  204. 池田修蔵

    池田証人 これについては二つの場合が考えられると思います。買取人は代金を全額払つておる、しかしその代金が国の方に納まつていない、こういう事態がありますときに、買取人の払つたその払いが、いわゆる国に対する債務の弁済として完済されたものであるならば、そのときに相手方の債務は終了したと考えられまして、それ以後の使用料を払う必要はありません。相手方はたとい委託会社代金を完済しましても、それが国に対する債務の弁済になつておらないという事態でありますならば、国は所有権を移転する義務はありませんし、所有権はまだ国にありますから、使用料をとるのは当然だと思います。
  205. 中野四郎

    ○中野委員 すると、あなたの言う話と大蔵省側の言う話と大分食い違いが生じて来る。大蔵省の方は、その使用料は、少くとも完納された日、つまり国庫に完納したのじやなくて、買取人が一応十万円で買つたものなら十万円を、途中で詐取横領されているにしても本人の方で完納した日、その完納した日からずつと今日までの間はこの業者をして払わしめると言う。あなたの方はそうではない。今のは普通の見解なんです。国庫に完納された日から今日までというのです。それは当然のことなんです。この場合はまつたく趣を異にしておるのだが、大蔵省が今言う見解で、あなたは了承するのですかどうですか。
  206. 池田修蔵

    池田証人 それは、先ほども申しましたように、買取人が会社に完納した、その完納が民法上から言いまして国に対する債務の弁済として完済されたものでありますればよろしいのですが、それが、会社にまでは買取人は払つたけれども、国の債務に対する完済が行われておらぬということであれば、使用料をとるべきものだと思つております。そこで、買取人が会社に払つたその代金が、国に対する債務の完済であるか、完済にならぬかということは、各事態について調査しなければ言えないことでございます。
  207. 中野四郎

    ○中野委員 その場合に、会社がそれを国に弁済するということになればそれでいいと言うのですか。便法論をあなたは認めると言うのですか。
  208. 池田修蔵

    池田証人 会社が弁済するというのは、何を弁済する意味でございましようか。
  209. 中野四郎

    ○中野委員 大蔵省使用料登記料を弁済させると言う。
  210. 池田修蔵

    池田証人 それはりくつには合いません。
  211. 中野四郎

    ○中野委員 合わぬけれども、大蔵省はそうすると言うておる。今ここへ来られた第二課長財務局長も、そういうことを言うておる。会計検査院はそういう場合を認めるかどうかということを聞いておる。あなたが認めないと言うならば、私は別の角度から聞かなければならぬ。
  212. 池田修蔵

    池田証人 もし買受人会社に納めたけれども、それは国の債務に対する完済にはなつておらないということであれば、理論上使用料をとるのが当然だと思つております。
  213. 中野四郎

    ○中野委員 私は実際上を聞いておる。財務局長はその便法論によつて新たに大建不動産株式会社というものをつくらしめた。財務局が介入してつくらしめた、しかも、その大建不動産株式会社というもののグループは、従来信用ならざるところの行為を行つた者をばタッチせしめておる。あるいはこれらのコネクシヨンのついた者が入つておる。松久とかいう者が入つておる。そうしてみれば、そういう会社によつて便法的に国に今までの未完納の代金を払わしめる、そういうことがいいのですか悪いのですか。会計検査院ではそれは便法上認めると言うのか認められないと言うのですか。
  214. 池田修蔵

    池田証人 もし、委託会社の方で自分の方で滞つておる預託金を国の方に完済して代金国庫として全部入つておるというのならば、使用料をとる必要はありませんが、その前は使用料をとるべきだと思うのですが……。
  215. 中野四郎

    ○中野委員 たとえて言えば、昭和二十六年の一月なら一月に買取人は完納した、買取人は完納はしたけれども、たまたま会社がこれを使い込んで国に入つておらぬわけです。ところが、今度の場合、いよいよすべてのものをば自分のものに登記がえをしようとすれば、実際は入つていないんだから買取人はその使用料を払わなければならぬでしよう。ところが、買取人は完納をしたと思つておるんだから、関東財務局の前局長井上君は、その買取人が会社に完納した日から今日までの使用料会社をして払わしめると言うのです。つまり、会社は詐欺をした、横領をしたんだから、その会社に支払わしめると言うのです。だから、買取人には迷惑をかけぬと言つておるのです。ところが、一体財務局がそれほど深くそこまでタッチしてやることが妥当であるかどうかは問題でありますが、そういうような便法論を会計検査院は認めるのかどうか。そういうようなことは正しくないんだ、順当から言えばあくまで買取人が払うべきものだというケースをとるのか。いや、会社がそういうふうにして横領したという事実を認めて、今日までの使用料を払え、登記料も二倍、三倍になつておるのですから、それを全部弁償すると言えば、それはそれでいいという見解を検査院はとつておるかどうかと言うのです。
  216. 池田修蔵

    池田証人 使用料を必ずしも買取人からとらなければならぬというりくつも立たないと思います。というのは、第三者の代位弁済も世間には行われることであります。買取人にかわつて会社が、私の方で不始末しましたから買取人にかわつて私が弁済しましよう、これは世間に普通行われておることで、もしそれが完済されれば、買受人自身が使用料を払つたのと同じ効果を来すのではないかと思つておりますが……。
  217. 中野四郎

    ○中野委員 もう一つつておくのですが、現在関東財務局管内代金を二重に支払つておる買受人もあるようですが、これについてはどう考えておりますか。たとえば、ケースをあげましよう。一応金を払つた。ところが事実において会社が使い込んでおつたという。けれども、いろいろ土地も値上りしておるし、自分の登記名義にしたいから登記がえをしたいというので、涙をのんで二重に払つておる。こういうケースがある。これは検査院で調べてわかつておるでしよう。
  218. 池田修蔵

    池田証人 買受人が二重に払つておりますのは、買受人委託会社との間の関係だと思います。これは国との関係は直接起らぬのじやないかと思いますが、それは国に払つたのでしようか、委託会社に払つたのでしようか。
  219. 中野四郎

    ○中野委員 それは国との関係が起つて来るでしよう。近畿財務局においては当然国との関係は起つて来る。関東財務局会社との間に仲介を入れておるから話はわかる。関東財務局では同じケースを曖昧模糊のうちに許しておる。近畿財務局では、関東財務局とはまつたく趣を異にして、国を相手にして損害賠償を訴えられておるのです。この場合どういう処置をとるつもりですか。
  220. 池田修蔵

    池田証人 会社が二重に買取人から受取つておるという事実は……。
  221. 中野四郎

    ○中野委員 会社じやない。それは会社へ一旦納めて、足りない分を国に納めておる。二重に払つておる。
  222. 池田修蔵

    池田証人 その場合は非常に好ましくない事態でありまして、国がそういう二重の払いをさせるということは、国が直接の当事者ではありませんが、委託会社事務を委託しておる国の監督としては、はなはだ遺憾な点であると思うのです。
  223. 中野四郎

    ○中野委員 遺憾の点だけじや困るのです。どういうけじめをつけるかということです。もう一つ例をあげれば、局長の判をないしよで押してしまつたやつがある。無断で、金をもらつたから、これを全然金が入つていないにもかかわらず入つたとして登記所へ行つて名前をかえてしまつたやつがある。それから、はなはだしいのは、局長の印を偽造して押してしまつて、国に入つていないのだけれども入つた形をとつておるものがある。こういうのはどうなるのですか。あとの段階で、あなたの会計検査院の方でだんだん調べれば、すぐ事犯が出て来るのだから、その場合には会計検査院はどういうふうな処置をとるのですか。遺憾で済むのですか。一体どうするのですか。
  224. 池田修蔵

    池田証人 偽造の判をつくつた者に対しては、これは当然損害賠償を請求すべきものだと思います。  それから、先ほどの委託会社が二重に金を受取つておるものは、買受人に対しては当然返還すべきものだと思つております。
  225. 中野四郎

    ○中野委員 委員長から聞かれたかどうか知らぬが、委託会社が大分預託金を使い込んでおる。これはあなたの方にわかつてつたのだが、いつごろからこれはわかつたのでしようか。検査院で調べてみて何年度からわかり出したものですか。どの事犯からわかり出したか。あなたの方で警告を発したものは大体何件あるのですか。
  226. 池田修蔵

    池田証人 会社の方で使い込んでおりました事実は二十五年度の検査報告に出ておりますから、大体二十五年の四月ころからそれが検査院にわかつてつたかと思います。それから、額自体につきましては、総額にしますと、二十四年度のときが七千万円で、二十五年の検査報告が五千万円ばかりありますが、そのうち五千万円以上のものは検査報告の一七〇から一七六号に記載してありますが、それ以下のものは一応記載を省略しておりますので、あと資料によつてでも差上、げてはいかがかと思いますが、この二十五年度の検査報告でわかつております計数は、これは二十六年の十月末でありますが、都不動産が八百六十万円ばかり、それから新郊土地建物が五百四十万、それから近畿物納不動産が八百六十万円、それから宝不動産というのが三百万ばかりでありまして、これは営業費に充当したり、社員や外交員によつて費消されたりしたために、これだけの横領をされたものであるということが記載されてあります。
  227. 中野四郎

    ○中野委員 要は、あなたの方の会計検査院の本分を今後全うされることが大事だと思うのです。このような事態を放任しておけば、次々と起つて来ます。先ほどあなたのお話のように、好ましからざる者が好ましからざる形において依然としてこの処理に当るということは、決してよいことじやないのです。ほんとうから言えば、あなたの方から厳重に警告を発して、新しい信用度の高い業者にまかすべきものだ。そうして国の収入を健全ならしめるというのが、私は会計検査院一つの使命であろうと思うのです。だから、こういうようなケースを許さずに、もつと大蔵省に対して厳重にあなたの方が監督する必要があると思う。警告を発する必要があると思うのです。こういう点については特にあなたの方の今後の心構えをこの際承つておきたいと思う。
  228. 池田修蔵

    池田証人 ただいまの御注意を十分感得しまして、その線に沿つて監督をして行きたいと思つております。なお、ちよつと、照会につきまして、私の方で、やはり二十七年の十月に、今の不始末を起したような会社に対して継続して事業をやらせるということはよくないから、そういうものに対しては委託業務を将来やらせぬような処置をすべきではないかということは、今の照会で警告を発した事実はございます。ちよつと先ほど言い落しましたので……。
  229. 中野四郎

    ○中野委員 それは、警告したつて、やらない。大蔵省はちつとも聞いておらない。それではあなたの方の権威がまつたくない。会計検査院つてなきがごとしだ。そんなことでは、あなた、権威ないじやありませんか。これは、あなたの方の権限を十二分に発揮して、そういうことのないように努力しなければだめなんだ。どうも私は会計検査院信用する気持には今日の段階においてはなれません。どうかひとつ、十分に今後さようなことのなからしめるように御努力を願いたいと思うのです。
  230. 塚原俊郎

    塚原委員長 他に御発言がなければ、池田証人に対する尋問はこれにて終了いたしました。  証人には御苦労さまでありました。
  231. 中野四郎

    ○中野委員 ぼくは、この行政監察委員会の運営についてこの際一言申し上げたい。すでにこの委員会の本日の調査状況においてもおわかりのように、社会党の諸君は一名も本委員会に出席をされない。これは、先日の理事会においてすでに決定をしておりまする保全経済会問題を中心とする証人の喚問問題にあると思うのであります。第一は駒井重次君、第二は池田勇人君を証人として喚問するしないということについて理事会において議論の結果、社会党の諸君の退席という結果から、この委員会においても出席をされないのであります。私は、委員の意思によつて出席されないことは自由とは考えまするけれども、行政監察委員会の本質から考えても、超党派的に、あくまでも委員会なり理事会において決定したことをばお互いが守り合つて、このことを遂行して行けば、当然円満なる運営がつくものだと考えておるのであります。しかるに、たまたま保全経済会の証人喚問についてこのような事態を起したことはまことに遺憾の至りでありまするが、しかも会期は余すところあと三日間というような逼迫した状態であります。行政監察委員会においても当然それぞれのけじめをつけなければならぬ段階へ来たと思うのです。特に物納国有財産払下げに関する関係者の証人は余すところ一、二名になつたのでありまするから、当然、私は、この今日の段階においては、明日委員会を開いて、池田勇人君並びに駒井重次君の証人喚問の処置をすべきだと思うのであります。そこで、委員会を要求するよりも、その前に、明日さつそく理事会を開かれて、池田喚問と駒井重次君の喚問に対するところの日時の決定をされんことを希望したいのであります。あえて、委員長委員諸君の良識によつて、どうか明日はぜひ午前十時ぐらいから理事会を開いて、この証人喚問の問題を決定し、引続いて委員会を開いて証人等の調査を行いたいと思いますから、この点委員長においておはからい願いたいと思います。
  232. 塚原俊郎

    塚原委員長 お話は承つておきます。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時三十九分散会