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1954-04-28 第19回国会 衆議院 行政監察特別委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年四月二十八日(水曜日)     午前十一時二分開議  出席委員    委員長 塚原 俊郎君    理事 世耕 弘一君 理事 高木 松吉君    理事 田渕 光一君 理事 中野 四郎君    理事 山田 長司君 理事 小林  進君       天野 公義君    鍛冶 良作君       瀬戸山三男君    原田  憲君       山中 貞則君    久保田鶴松君  委員外出席者         証     人         (新公土地建物         株式会社社長) 飯沼 文二君     ————————————— 本日の会議に付した事件  国有財産管理処分に関する件(物納国有財産払  下げ関係事件)     —————————————
  2. 塚原俊郎

    塚原委員長 ただいまより会議を開きます。  前会に引続き国有財産管理処分に関する件(物納国有財産払下げ関係事件)について調査を進めます。ただちに証人より証言を求めることといたします。  ただいまお見えになつておられる方は飯沼文二さんですね。——あらかじめ文書をもつて承知通り、正式に証人として決定いたしましたから、さよう御了承願います。  ただいまより国有財産管理処分に関する件(物納国有財産払下げ関係事件)について証言を求めることになりますが証言を求める前に証人に一言申し上げます。昭和二十二年法律第二百二十五号、議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならないことと相なつております。宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言が、証人または証人配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあつた者、及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき及び医師歯科医師、薬剤師、業種商、産婆、弁護士、弁理士、弁護八、公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあつた者が、ての職務上知つた事実であつて黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになつております。しかして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだとさは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以二十年以下の懲役に処せられることとなつておるのであります。一応このことを御承知になつておいていただきたいと思います。では、法律の定めるところによりまして証人宣誓を求めます。御起立を願います。宣誓書の御朗読を願います。     〔証人飯沼文二朗読〕   宣誓書良心従つて、真実を述べ、何事もかくさず、また何事もつけ加えないことを誓います。
  3. 塚原俊郎

    塚原委員長 それでは宣誓書署名捺印してください。     〔証人宣誓書署名捺印
  4. 塚原俊郎

    塚原委員長 これより証言を求めることになりますが、証言証言を求められた範囲を越えないこと、また御発言の際にはその都度委員長の許可を得てなされるようお願いいたします。まず委員長から概括的に証言を求め、次いで各委員から証言を求めることになりますから、御了承ください。なお、こちらから質問をしておりまするときはおかけになつてつてもよろしゆうございますが、お答えの際には御起立を願います。  飯沼君の略歴について簡単にお述べを願います。
  5. 飯沼文二

    飯沼証人 私は、昭和三年からこの不動産業務に携わりまして、現在の新郊土地建物株式会社の前身であります新郊土地商会というものを昭和八年ごろに設立いたしまして、そしてその後ずつとその業務に携わつております。しかし、戦争中に一度その会社の名前をかえまして、不動産業というわけでもないのだからということでほかの業務に携わりましたが、大体土地不動産媒介の主とて土地分譲の方に携わつて今日まで参つたわけであります。
  6. 塚原俊郎

    塚原委員長 昭和八年ごろ新郊土地建物株式会社をおつくりになつたという話でしたが、その設立の年月日ははつきりおわかりになりませんか。
  7. 飯沼文二

    飯沼証人 ちようど会社が設立しまして、現在の新郊土地建物が建つております新宿二丁目の土地におつたのですが、昭和十九年に神田の方に一時移動しまして、そうして神田で実は四月十三日の爆撃で全部書類を焼失しましたものですから、その書類がないので、大体その当時に設立したと思つております。
  8. 塚原俊郎

    塚原委員長 昭和八年ですね。
  9. 飯沼文二

    飯沼証人 そうです。
  10. 塚原俊郎

    塚原委員長 新郊土地建物株式会社資本金従業員数業務内容について、御記憶にあるだけ詳しくお述べを願います。
  11. 飯沼文二

    飯沼証人 当時そういつたようなことで不動産土地分譲ということで始めたのでありますが、その後終戦後には資本金を百万円にいたしました。それで土地と建築の方も一緒にやつたのであります。
  12. 塚原俊郎

  13. 飯沼文二

    飯沼証人 百万円であります。
  14. 塚原俊郎

  15. 飯沼文二

    飯沼証人 従業員は、その当時その分譲地状態によりまして多少相違があるわけでありますが、大体十五、六八程度だと思います。
  16. 塚原俊郎

    塚原委員長 あなたの方の会社物納不動産払下げについて委託業者として指定された事情についてお述べを闘います。
  17. 飯沼文二

    飯沼証人 今の土地分譲協同組合というのがございまして、これは昭和八年ごろから私どもの有志が集まつてつておりました。当時任意組合であつたのですが、その後東京都のあれによりまして東京都の規定に基く組合をつくりました。その当時物納の話を聞きましたのですが、それが昭和二十三年か四年ごろだと思うのでございます。当時、そういうものは多少公共性のあるものだし、組合でそれを扱わしてもらいたいということで、組合理事長と、私、当時組合の副組合長をやつておりましたので、再三財務局の方に出頭いたしまして、われわれ組合の方にそれをひとつ委託さしていただくわけに行かないだろうかということを話したわけです。そうしますと、当時不動産というものは、食と衣類の方に非常に押されておりましたので、われわれから言いますと、今日のようにこういうような事情と大分違いまして、不動産売買——土地を買うとか家を買うとかいうようなことは、ある一部の、たとえばやみ市のああいつたような方は盛んに家が建ちますが、一般庶民というようなものは、なかなか住宅に手がまわらなかつたのでございます。従つて業者としてもひまだつたわけでございますので、何とかしてこれを打開する意味で組合に扱わしていただきたいと再三お願いに上つたわけでございます。ところが、当時は、組合でやらしてもいいというような最初の御意向のように承つてつたので、これはたいへんいいことだ、そうしますと、組合東京都内にずつと散在しておりますから、各区々々に扱わせれば大体いいのじやないかということで、私ども非常に喜んでおつたのでございますが、その後再三行きましたら、どうも組合責任の所在がはつきりしないというような御意向で、組合に扱わせかねるというような最後のお話でした。それで、私どもとしましても、それはどうもたいへん困るので、何とかして、せつかくそういうような仕事なんだしするから、われわれにやらしていただきたいということで、いろいろお願いしました結果、それじやあなた方業者の方から一つ委託してもいい、こういう御意向になつたのです。ところが、ちようどその当時、理事長と、副理事長が二名でございましたので、三名で始終行つておりましたから、不公平ができると困るから、ひとつ三人にやらしていただきたい、こうお願いしたのですけれども、もうきまつたので、これから業者指定するのは一箇所であるということなんです。一箇所だと、どうも三人でだれかれというわけにも行かぬものですから、そこで、当時の係長が、それでは抽籤したらどうかということでございましたので、それじややむを得ぬということで、三人で相談して抽籤いたしまして、私がその抽籤に当籤したわけであります。そういつたようないきさつでこの指定を受けることになりました。
  18. 塚原俊郎

    塚原委員長 三人とおつしやいましたけれども、あなた以外のお二人はどなたですか。
  19. 飯沼文二

  20. 塚原俊郎

    塚原委員長 大島さんは理事長ですか。
  21. 飯沼文二

    飯沼証人 理事、長でございます。
  22. 塚原俊郎

    塚原委員長 もう一人はどなたですか。
  23. 飯沼文二

    飯沼証人 小川泰顕と申します郊外土地社長でございます。
  24. 塚原俊郎

    塚原委員長 あなたの方の会社が売払い業務停止を命ぜられておりますが、それはいつですか。
  25. 飯沼文二

    飯沼証人 それは昭和二十七年の八月でございます。
  26. 塚原俊郎

    塚原委員長 その停止を命ぜられるまでにあなたの方の新郊土地が扱つた売払い物件の数量と価格についてお述べを願います。
  27. 飯沼文二

    飯沼証人 その総額は年度々々に財務局の方に報告してありますが、今正確な数字は私ちよつとわかりませんが、当時約……。
  28. 塚原俊郎

    塚原委員長 何かメモみたいなものをお持ちだつたら、それをごらんになつてけつこうです。
  29. 飯沼文二

    飯沼証人 総額はちよつと私控えて参りません、でしたが、二十四年の暮れに指定を受けまして、二十五年の春からやりましたので、大体の数字が約一億五、六千ないし一億だと思つております。
  30. 塚原俊郎

    塚原委員長 一億五十ないし一億ですね。
  31. 飯沼文二

    飯沼証人 そうでございます。もし何でございましたら、帰りまして、はつきりした数字をこちらの方へ差出してもけつこうでございます。
  32. 塚原俊郎

    塚原委員長 二十五年ごろは、業者買受人から代金を受領しておつたというように聞いておりますが、そうでございますか。
  33. 飯沼文二

    飯沼証人 そうでございます。
  34. 塚原俊郎

    塚原委員長 買受人から受領した代金はどういうふうに処理しておりましたか。
  35. 飯沼文二

    飯沼証人 御承知通り、それは、不動産というものは大体契約しますときに手付金を一割ないし三割、商習慣で、私ども始めましてからもらつてつたのでございます。当時財務局の方でも取つてはいけないというような線もあつたのでございますけれども、当時は土地に対する関心は非常に薄うございまして、先ほども申しましたように、食べることが第一番でございましたから、土地を買うなんということは、そんなことというような考え方であつたのであります。そうして現在一万四五千というような中野だとか杉並のような場所が当時三百円ぐらいで売るのですが、ところが、その売りますのに、十数回にわたつて足を運んで売るような状態であつたのです。そんな関係なものですから、せつかく、それじや買います売りますと言うても、そこに手付金というものをもらいませんと、何だか契約というものがはつきりしない。これは私どもの長年の習慣でありまして、ほかの業はどうか知りませんが、不動産というものは契約ができれば大体手付金をいただく。その手付金によりまして、私どもの方といたしましても、向うからいただける手数料もございますので、それを差引いて、会社の経営とか、またその渉外員に支払つて行くというような形になつております。
  36. 塚原俊郎

    塚原委員長 あなたの方の会社買受人から受領した代金のうち約四千万円の金を使い込んだということを聞いたのでございますが、ほんとうですか。
  37. 飯沼文二

    飯沼証人 聞いております。聞いておりますが、その四千万円については、財務局から四千万円だと言われましたが、私の方にしますと二十万近くの金だつたのです。それが毎月入つて来るのですから、——一応四千万円になりますけれども、その月々にずんずん減つて行きますから、私どもとしましては二千万ぐらいだと思つております。
  38. 塚原俊郎

    塚原委員長 どういうのですか、いま一度説説明してください。
  39. 飯沼文二

    飯沼証人 これは、財務局では四千万円と言うので、いやそんなにありませんといつてお話しましたが、財務局の計算から行きますと、今月売つて翌月その金が入ると、その間のところを並べておりますから、四千万円になるのでございます。
  40. 塚原俊郎

    塚原委員長 あなたの方といたしましては、使い込みは二千万円だと言うのですね。
  41. 飯沼文二

    飯沼証人 そうです。
  42. 塚原俊郎

    塚原委員長 その使い込み内容はどういうのですか。
  43. 飯沼文二

    飯沼証人 実は私、社長といたしまして、こういうことになりましたのは、まつたく私の不徳のいたすところで、皆様に対してはなはだ申訳ないと思つているのでございますが、私ども考え方ですと、その当時は、ああいうような、とにかく食べなくてはいかぬというようなことでありまして、二十四年、五年というころは、人の金も自分の金もわからぬというような若い人の考え方つたのでございますが、私どもとしますと、その人に全部の責任を委譲すればかえつて完全にやり得るのではないかということで、ある程度責任をその当時の者にまかしたということが非常に欠点だつたのであります。私どもとしましては、まかされればそこに責任を感じて悪いことができぬと考えまして、全部の責任業務部長その他の者にまかしておつたのでございますから、使い込みはわからなかつたのでございます。それから、もう一つは、それじやなぜわからぬかといいますと、当時財務局からもらいますリトスと申しますのは、たとえば中野なら中野の何々町何番地という、そこへ百坪なら百坪、五百坪なら五百坪というただそれだけのものでございまして、従つて、その相手方が甲であるか乙であるか丙であるかわからぬ。それで、税務署の方に参りまして公図を調べまして——その時分は家というものはほとんど物納されたりしておりますからなかなか権利書は見つからないのです。その権利者を見つけるのに、税務署の方へ行つて公図を見て、公図ですと、大体百坪なら百坪が一区画になつている。ところが、そこに長屋があつたりいたしますと、その百坪が十にもわかれているというような形でございまして、そのわかれている権利者がどこに存在しているかわからぬ。それを調べるのになかなか苦労したわけであります。そういうようなことで、決議書ができましても、外務員がその金を使い込むならば、その決議書を出さぬで、領収書一本で、それを伏せておくということのために、会社といたしましても、その後まだ売れておりませんし権利者がわからぬと言われますと、その事実を調査するということがなかなかたいへんだつたものですから、つい、そういうようなことで、そのすきをねらわれたという形になつたのではないか、こう思つております。
  44. 塚原俊郎

    塚原委員長 二十四、五年ごろと言えば、もう大方戦後の妙な空気がなくなつて来たときだのに、人の金も自分の金もみな同じように考えるというのは少しおかしいじやないですか。そういう人をあなた方は雇つてつたのですか。
  45. 飯沼文二

    飯沼証人 そういうわけでなかつたのですけれども、そういう風習が抜け切れなかつたというときに……。
  46. 塚原俊郎

    塚原委員長 そういう風習が抜け切れないというのは、どうもわれわれにはわからぬのですが、今のあなたのお言葉は、不動産を扱つている人に対しては非常な大きな問題じやないてしようか。そういう風習でみな仕事をしていると言われたら、そうでなくてさえ不動産業者というものは世間から特殊な目で見られているのでしよう。それを、社長であるあなたが黙認しておつたということは、われわれには了解できませんがね。
  47. 飯沼文二

    飯沼証人 黙認じやないのです。そのときはもちろんそういうことは考えていなかつたのですが、あとから考えて、そういうことだつたのに注意が足りなかつた、こういうわけでございます。
  48. 塚原俊郎

    塚原委員長 このお金は、財務局とかあるいはその新宿出張所、こういつたものに対する接待費なんかに使つている面も相当あるのではないですか。
  49. 飯沼文二

    飯沼証人 それは、私の会社限つてはそう大したことはございません。ただ、年末でございますとかお盆に、いろいろお世話になつておりますから、ほんのささやかな贈りものをいたしておる程度でございます。当時、財務局からも、そういうことがあつては困ると言われておりましたから、そういうことのないようにしておりました。
  50. 塚原俊郎

    塚原委員長 ほんのささやかな程度というと、どの程度のものなんですか。われわれにはわからないですが……。
  51. 飯沼文二

    飯沼証人 たとえば靴下でありますとか、そういつたものを、かりにお盆とか暮れに五足なり十足持つて行きまして、これを皆さんでおわけ願いたいというような程度でございます。
  52. 塚原俊郎

    塚原委員長 そうすると、その程度のものでしたら、金額にしてはわずかなものですね。
  53. 飯沼文二

    飯沼証人 そうです。
  54. 塚原俊郎

    塚原委員長 そうすると、二千万円の、ほかは一体どこへ使つているのですか。それはわかりませんか。あなたの方は二千万円と言うし、財務局の方では四千万円と言うし、そのお金はどこに使われているか、わかりませんか。
  55. 飯沼文二

    飯沼証人 それはほとんど渉外員が使い込んだ金なんです。
  56. 塚原俊郎

    塚原委員長 その使い込んだ金はどのようにして補填しましたか。
  57. 飯沼文二

    飯沼証人 それは、私の方で、当時財務局から、仕事ができまして、もらわなくてはならないことなんですけれども、金が納まりませんために、もらえない金が約九百万円くらいございました。それを、いろいろお話しまして、入金を促進しました。そうしますと大蔵省財務局から手数料がもらえるのです。その手数料を全部私の方がその方の補填にまわし、それから、当時の使い込み社員がかり不動産で持つておりましたら、それを提供いたしまして、私も、それに対しまして、地所といつても大したものではなかつたのでございましたけれども家屋敷その他書画骨董そういう自分のものを全部財務局に提供いたしまして、幾らかでもそれを補填したということで、ただいまでも私は借家に住んでおるわけでございます。そういうような形で補填いたしました。
  58. 塚原俊郎

    塚原委員長 けつこうです。  中野四郎
  59. 中野四郎

    中野委員 私は国有不動産払下げに対するところの調査要求をした本人ですが、九十議会のときに、財産税を創設するにあたつて物納を認めた当時の委員であります。由来この問題を手がけて参つて、その結論として、今度現われて来ました不正事件に関しては、まことに遺憾にたえぬと思つておる一人なのであります。しかし、制度が一応国会を通過して確立し、行政府である大蔵省の所管が明らかになつて、それぞれ処置をされておるのであるが、今あなたが委員長質問に対してお答えになつた概略は、私らのまつたく了承できないところであります。従つて一つ一つの事実をあげて今日はお尋ねをいたしたいと思いまするが、それに先だつて、私の感じますることは、全国の財務局の中で一番事件の多かつたの関東財務局近畿財務局であります。その中でも一番悪質なのが関東財務局であります。その関東財務局の四十数社のうちで最も悪質なのが新郊土地建物株式会社であります。あなたはその最も悪質な会社責任者でいらつしやる。今お話を聞きますると、他の方にもそういうようなことがあるとおつしやつていらつしやいますが、あります。全部の会社をことごとく調査をいたしました。詳細に調査をいたしました。しかも帳簿も一切調査をいたしましたが、あなたの会社に限り、最初私の方から調査員を派遣したときには、非常に恫喝的な態度に出た。その結果本件が行政監察委員会に取上げられるという段階になつてから、非常な狼狽をして、あなたの方は資料をやつと少しずつ出すようになつたのであります。特に考えなければならぬことは、あなたの会社責任区域である東京中心地帯におけるところの被害をこうむつたその数というものは非常に大きなものであります。私は、あなたが今日行政監察委員会おいでになつて宣誓をされて証言をされるのでありまするから、あなたの心境最初に伺つておきたい。あなたは、この不動産払下げに対して、はたして妥当な行為を行つたつもりでおるかどうか。少くとも、今度のこのあまたの事件の中でも、あなたのところの会社の取扱われた事件というものは非常に悪質なものがあるというふうに考えておられるか。いや、当時事情が非常に混乱しておつたからしかたがないと考えておいでになるのか。非常に悪い結果を来したことに対する責任を感じておられるかどうかという点を最初に私は伺つておきたいと思います。
  60. 飯沼文二

    飯沼証人 今御指摘通り、私は、これに対しまして、社会の大勢の方に対して御迷惑をかけたという事実については衷心申訳ないと思つております。かりにそれがいかような事情であるにもせよ、責任者といたしまして、たといその自分の使用しておりました者の横領であろうと何でありましようと、結果から言いまして、これはもう私が社長といたしましてまつた不徳のいたすところでございまして、この点何とも申訳ないと私は日ごろ存じておりまして、それがゆえに、できる範囲皆様の御迷惑の点をなるべく早く解決したい、こう言つておりましたので、その点何と申されましても、これは私の全責任でございますので、慚愧にたえないのであります。私も三十年来不動産業務をやつておりますが、これがために私も理事長もやめ、その他もやめまして、公職からしりぞきまして、自分といたしまして、これを一日も早く解決したいという今心境でございますので、はなはだ自分の力の足りなかつたことを自分は残念に思つておる次第であります。
  61. 中野四郎

    中野委員 私がまずあなたの心境を伺つておかなければならぬことは、まだこれから本格的に検察当局において取調べが始まるだろうと思いますが、この事案を行政監察委員会で取上げるに先だちまして、検察当局と十二分に打合せをし、行政官庁の失態に関しては立法府の行政監察委員会から勧告をして、今後かようなことをなからしめる、しかし、その結果によつて生れた犯罪は当然司法部において処置すべきものであるから、これに対する個々の調査の結果を検察当局で取扱うという予定でありまするから、私は犯罪内容にわたつてはなるべくお尋ねを避けるつもりでおりますけれども、たとえば新宿区の神楽坂におけるところのあなたの方との関係の中に相当悪質な事出のあることは争えない事実であります。しかし、これもここで指摘して申し上げる時間はありませんから、あえてここではお尋ねをいたしませんが、あなたに伺つておきたいのは、かつてあなた初めあなたのところの業務部長である陰山哲男あるいは他の人々は国家警察で相当な取調べを受けておるはずだと思います。当時の取調べを受けた内容はどういう点に触れられたかは知りませんが、さらに最近丸の内警察に検挙をされて、公文書偽造あるいは私文書偽造ないしは贈賄、収賄という形においてきわめて最近に起訴をされておる事実があると思いまするが、この点についてあなたの知つておられる範囲をば御説明を願いたいと思うのです。
  62. 飯沼文二

    飯沼証人 ただいま御指摘のそのことは、最近、三月だと思いましたが、丸の内から参りまして、そのことについて私尋ねられました。それは、当時小石川の原町という場所であつたのですが、それは更地である、更地業者売つてはいかぬということであつたのであります。ですから、この話はございましたけれども、それは私の方では売れないのだからということで、それは財務局の方にお返ししたはずです。ところが、この間聞いたところによりますと、それを売つてある、しかも金を納入しないのに納入したことにして登記をしてある、こういう意外な事実を聞きましたので、これについては私も非常にびつくりしました。金を払わないのに登記ができるということは、私には考えられないことである。君は知らぬのかと聞くから、私の方ではそれは存じておりませんと答えました。それから、つまり金を払わぬのに登記ができておる、ですから、それについては私の方もいろいろお話を承り、また申し上げたのですが、それは陰山のやつがやつたのだ—。それから帳簿を調べましたときに、その帳簿が私の方にはついていなかつたわけです。それで、それについては私の方では全然わからない、—資料もございませんものですから、私の意見を聞かれましたけれども、しかし、金を納めずに登記ができるということは、たとえば印鑑を偽造したり何かすればできることだけれども、そういうことは普通の常識では考えられない、そういう事実がありましたのですかと、たいへん驚いて申し上げました。陰山がそのことでやられまして、最近釈放されたそうでございますが、起訴を受けたということを聞いております。
  63. 中野四郎

    中野委員 一体、あなたのところの会社は、業務部長が一切合財やつてつて社長は何も知らないのですか。現に、この事件は、関東財務局長のにせの判をつくつて、そして印鑑偽造によつて登記所をごまかし、国庫に全然金が納まつていないにもかかわらず、国庫には完納されたる形をとつて財務局長の判を押してこれを行使しておる。それのみではない。中におるところの一部役人と結託をして、実際に関東財務局長井上君の判を盗印して押しておるじやありませんか。しかもそれは相当な金額に上ることは、すでに詳細な数字が現われておるからわかると思います。この問題といえども、あなたの方の会社は口をぬぐつて今日まで黙つてつたのですが、行政監察委員会において調査員調査をする段階になつて関東財務局長の井上君は急遽これらをみずからの手で丸の内警察に訴えて来た。従つてこの内容が現われて来たのですが、あなたのところの業務部長ともある重要な職におる者のすべての行為を社長が知らぬというわけはあり得ないと思うのです。陰山君がけは今日起許しておりますから、それはよろしゆうございます。しかし、先ほどもお断り申し上げておいたように、これからの調査が終れば、本格的に新郊土地会社に対してそれぞれの処置のあることは当然であります。私の納得できないのは、あなたのところの会社へかりに金を納めます。先ほど委員長からの質問があつたでしよう。元来は新郊土地建物株式会社というこの業者が金銭を収受してはならぬわけであります。これは明らかにうたわれでおるのであります。しかるに、あなたのところの会社は、買受人のところへ行つて、そしてこの土地分譲するにあたつて便宜上私のところへ金をお預けになればあなたのものになるように努力をいたしますとか、大蔵省の代理だと言うて、金を受取つたり、はなはだしきに至つては、関東財務局新宿出張所に現金を持つて行けば、関東財務局が仮領収書を出して、新郊土地会社が本領収書を出すというような、本末転倒の形を今までずつと行つて来た。その結果、会社側はその集まつた金をば国庫に納めず、むしろあなたの方はあなたのほかの事業に流しておられる事実もあるはずであります。従つて会社の悪質ぶりを見て外交員も自然的に、上やれば下これにならうで、同じように使い込みをしたり横領をする。あなたのところの会社の外交員がこの記録に出ておるだけでも十数名の者が横領、使い込みの行為をやつておるじやありませんか。これだけの人間が横領、使い込みをやつてつて会社がまるきり知らぬというわけはないと思う。当時この使い込みあるいは横領ないしは先ほどの陰山君のような事案をば社長がまつたく知悉していなかつたということは、私らの常識では納得できないのですが、当時少しは知つてつたのでしようか。まつたく知らないとすれば、会社の経理というものは一体どういう形になつてとられておるのですか。われわれは不審に思うのです。まず第一に、陰山業務部長のやつてつたことはあなたは全然知らぬ、外交員のやつてつたことは全然知らぬということが言い切れるかどうか、この点を伺いたいと思うのです。
  64. 飯沼文二

    飯沼証人 ただいまのお話でございますが、これは、私先ほど宣誓いたしましたが、ほんとうに全然存じておりません。それで、この間丸の内署からその事実を聞きまして、私もびつくりしまして、そういうことをどうしてやつたのだろう、私の方も意外に感じたわけでございます。それは、社長なんでございますから、そういう事実について知らないことはないだろうと言われるのはごもつともだと思いますけれども、これに対しては、私は全然存じておりませんと、はつきり申し上げておきます、
  65. 中野四郎

    中野委員 それでは会社社長としての責任は果されないじやないですか。これが普通あなたのところの一人や二人くらいの外交員の不正ならば、これを許します。しかしながら、あなたのところの外交員で不正を働いて一般大衆に迷惑をかけた人間は十数名にわたつておるじやありませんか。これだけの人間がスクラムを組んで悪事を働いておるものを社長が知らぬというなら、社長の価値なんか三文の価値もないじやありませんか。あなたがしろうとの社長で、大蔵省の役人上りかあるいは大蔵省の官僚の一部と結託をして新たに会社社長になつたというほかのケースの人ならばいざ知らず、伺えば、あなたは三十年来不動産業をしておるというじやありませんか。その熟練を買われて大蔵省があなたを委託業者として指名したはずであります。それほどの重大な責任のある仕事を受けたあなたが、しかも三十年来の経験を生かしてりつぱに国家に御奉公するというのがあたりまえにもかかわらず、これだけの人間の不正が行われ、白昼堂々と詐欺・横領を行つている事実をば社長が知らぬというならば、あなたは熟練というものは一体何に熟練しておるのですか。私は今度の件だけは非常な公憤を覚え、義憤を感じるのです。あなたからこれらのお話を聞いておりますると、四千万円か二千万円か、それはいずれでもよろしい。四千万円あるいは二千万円という金額は、現在は貨幣価値が下落しておりまするからきわめて少額になつております。しかし、昭和二十三年から二十四年、二十五年当時の数千万円という金は非常な価値のあるときであります。私は、これだけの犯罪を犯しておる事実を社長が知らぬでおるというような態度に対しては、まつたくあなたが無能なのか、承知をしてやつておるか、いずれかにくみさなければならぬと思うのですが、あなたが知らぬとおつしやればそれもけつこうです。しかし、ここで御証言なすつたことは、念を押しておきまするが、宣誓をされた上においての証言でありまするから、あなたが前言をこの委員会開会中に取消さざる限りにおいては、この証言を真実として私の方は将来の処置をとることは、よくひとつ胸に置いてお答えを願いたいと思います。  それから、もう一点伺いまするが、あなたの方の代金の納入告知書、この事故のあつた当時は一括して業者に渡されておつたという事実があるのですが、これは事実かどうか。それから、その納入告知書はどういうふうにして処理しておつたか。これについて御答弁を願いたい。
  66. 飯沼文二

    飯沼証人 今御指摘通り、それは、私もここに宣誓をしましてやりましたのですが、そのことのいきさつを申し上げますと、私は全然無能であつたのであります。ですから、それは全然わからなかつたのでありまして、それではこういう事実がどこからわかつたのかというと、実に財務局から指摘されまして、つまりお客様が、私の方が金をとつたのだということで、登記ができないから財務局に行かれたものであります。そうして財務局で調べたら納入してない。そうして会社の方に電話をいただきまして、そんなことはないはずだということでそれをだんだん調べて行きましたが、私ども領収書が行つている。それで事実がわかりまして、これはたいへんなことだということで、当時陰山がそういうことをやつてつたということは私全然存じませんので、陰山に相談しまして、そういうことではたいへんだから調べなければいけないということが昭和二十六年の八月だと思いますが、そういうことから知りまして、実際御指摘通り社長として私が、もしおつしやられるなら実際無能な社長でありまして、ほんとうにその点何とも申訳ないことだと私は思つております。それで、財務局からその点を指摘されて、それから私どもも調べ出しました。それで、これはたいへんだからというので、だんだん調べて行きましたときに、いろいろなことでそれが包み切れず、次々と現われまして、昭和二十六年の十一月ごろ、しかもその陰山が大和村の金を、これは四百幾らでありますから一括しておつたのでありますが、これも立川の財務局から納めていないという……。
  67. 中野四郎

    中野委員 それは、あなたがそこでおつしやつても意味をなさないのです。なぜかと言えば、現に陰山君は会社でこの方面に対する前科があるじやありませんか。立川の出張所において合計九十九万六千六百九十円を横領費消している事実があるじやありませんか。その金は遊興飲食またはめかけの飲食店経営費に費消横領したものであるということを明らかにしておるじやありませんか。現に立川事件について国家警察取調べを受けて、そうしてこのような昭和二十四年の一月から二十六年の十二月の間にやつておる事実があるでしよう。そうして当時調べを受けておられる。さらにまた続いて今度出て来た問題は新たな問題なのだ。局長の判を偽造して、ただあなたのところで関東財務局長の判を偽造しただけでは行使はできぬはずであります。従つて、小島君に対して贈賄をしている。大蔵省の官吏はこれを収賄して、局長の印鑑を偽造して、偽造印鑑だということを承知の上に立つて、国庫に納入されていないものを、さも納入されたるがごとき形をとつて登記所を欺瞞して登記を完了する。しかも、はなはだしきに至つては局長の実印を盗印をして押されておる。これは押しておるのでなく、あなたの方が押させておるのである。これは捜査記録によつて明らかになつておる。従つて、この前の立川におきましては、これらの人々がやつていることが現われているじやありませんか。今度もそうでしよう。少くとも陰山君が普通のサラリーマンとしてこれだけの金を——当時の金額にしまして、陰山だけの使い込みの分が七百四十四万九千九百円七銭というものをば、やはり横領をしている事実がある。だから、考えようによれば、この本人らの——もう少し率直に申し上げましようか。その方がわかりいいかもしれませんから……。本人らの自白によれば、あなたのところの売上げ代金のいろいろな金額をば会社の上部の者も相当費消しているということを述べておる。従つてわれわれもついこういう不始末をしでかしたと言つておる。あなたが無能だけでは済まぬと思う。あなたのところの新郊土地建物株式会社の経営の方にまわされた金が幾らかあるはずですが、まつたくないとここで言明できますか。
  68. 飯沼文二

    飯沼証人 それはあります。それは八十何万という金がございまして、これは昭和二十七年この問題が起きましたときに、これは返しました。そのときすでに四十何万になつておりましたが、それは返しました。  それから、今御指摘の立川云々というその事件のときに丸の内に行きまして、この金を、つまり大和村から徴収したときの第一回の調べなのであります。その次に、この間も丸の内へ行きまして、陰山の申立てによると、そういうような金をとりましたのを大和村の方へ埋めた—。そうすると、大和村の方が百七十万か百八十万あつたのです。その中の一部をそういうことをやつて、大和村の方の受取りをもらつて来ましたということで、そのときありましたのです。そうすると、丸の内署でも、そのときなぜそういうことを言わなかつたのかという話がありました。その大和村の消費額が百七十万あつて、それを九十何万に切下げたということは、他からそういうことで持つて来た金であつたということがわかつた。その当時の調べによりますと、私の方としますと、大和村ということは私の方の帳面にもその事実がないものですから……。  それから、官印を私が押さしたというようなお話を承りましたが、そんな事実は全然ございません。それはどういうような御処分に相なりましても、天に誓いまして申し上げますが、私が押させたとか、私が知つていたという事実は絶対にございませんから、ここの楯で私はその点についてははつきり、どんな点から聞かれましても、そういう事実は知らなかつたということを断言するものでございます。
  69. 中野四郎

    中野委員 大蔵省との関係について二、三点伺いたい。あなたのところでは大蔵省の方へ年末あるいは中元などに少しずつ物をやつたと言つておられる。これは儀礼ですからあり得ることです。酒をやるとか、あるいはワイシヤツをやるとか、ウイスキーをやるということはあり得るでしよう。しかし、今度の調べによりまして現われたものを見ますと、当時の金額にしては少し多過ぎるではありませんか。これを見ますと、財務局長とか、あるいは第一課長、あるいは総務課長、物納係長とか、あるいは局長付秘書、役人の上から下までずつと行き届いておる。まことによく行き届いておる。これはお心づけのようだが、金額を見ますと、当時の金額にしては相当多い数量になつておりますが、これは事実として現われておるのだから、あなたの方も否定できないことなのです。私はここでこんな小さいことを洗い立てようとは思いませんが、あなたの方にはたしか係があつて大蔵省の何係はだれ、何係はだれという渉外係があるということを聞いておりますが、一体その渉外係がいろいろ交際する場合の費用は会社の何費用から、つまり機密費とか交際費とか、あるいは渉外費とか何とかいうものがなくてはならぬと思いますが、何費用からお出しになつて、今までどのくらいお出しになつていらつしやるか、念のため伺つておきたいと思います。
  70. 飯沼文二

    飯沼証人 今はつきりした数字はわかりませんけれども、大体会議費というような形で出ておるのじやないかと思うのです。会議費と称しますのは、当時うちの渉外員が二十何人くらいおりまして、月一回こういうことについているく打合せをやるわけなのでございます。そのときに、昼間ではいろいろさしつかえがございますから、やはり夜分になります。夜分になりますと、おなかも減つて来る。それから多少酒も飲みたい者もあるというような形でございまして、近所からどんぶりをとるとか、また酒とかビールをとつて、社員慰労をかねてそういう打合会をやる。そういつたような席に大蔵省からも御出席を願いました場合もございますが、そういう場合には、当時食糧事情も非常に困難でございましたし、私の方の三階に一つ会議室がございましたので、そこへ来ていただいて、時間もおそくなりますので、ビールとか酒とかをとる。数が多いものですから、その点で金額が非常にふえておるのでございます。当時財務局からも言われておりましたし、その前によその関係でそのようなことがあつたので、そういうことは注意してくれというお話もございましたけれども、私も非常に酒がすきなものですから、酒があればついそれにかこつけて自分も飲んだというような事実もあると思います。そういうような形で、たとえば料理屋へ行つたとか待合へ行くとかいうことはほとんどなかつたのでございます。ただ数が多かつたので、金額がたしか三年間を通じまして二百万かその辺になつているのじやないかと思つております。
  71. 中野四郎

    中野委員 三年間を通じて四百二十万ばかりあなたの方でお使いになつていらつしやるのだが、あなたがその中からついでに流用されたかどうかは知らぬが、二十四、五、六年を通じて四百十二万八千四百二円となつておる。お歳暮用、お中元用にしては莫大お金です。しかし、これは検察庁の調べで明らかになつておりまするから、ここではあえて申しません。中で、どこそこの待合で飲んだことまで明らかになつておりますが、それらはこんなところで一々申すべき筋分いではないでしよう。  そこで、伺いたいのですが、代金納入告知書というのは、元来あなたの方に来るべきものではない。あなたの方でご代金を直接買受人からとるべき性質のものではない。あなたの方から本来領収書を出すべき性質のものではないはずなのだが、代金納入告知書は事故のあつた当時は一括して業者に渡されておつたというのですが、これは事実ですかどうですか。
  72. 飯沼文二

    飯沼証人 それは事実だと思います。納入告知書は局から一々本人のところにやるはずでございますけれども、それを、こつちの方で書いて出してくれということで、私の方に納入告知書をよこして、その金を銀行なりそういうところへ納めてもらいたい——。二十四年当時はそうじやなかつたかと思いましたが、その後いろいろ弊害が出たのでかわつたのですが、そういうことになつていたと考えております。
  73. 中野四郎

    中野委員 一体納入告知書はどういうふうに処理しておつたのですか。第一あなたの方へ来る性質のものでない。財務局長からあなたのところで納入告知書を扱わすべき性質のものではないはずだ。これは財務局の出張所からそれぞれ買受人のところへ送つて、それぞれの指定された日本銀行の本支店あるいは指定された銀行に納めなければならぬはずだ。これがあなたの手にまわつたからこれを悪用した。だから、この処理を社長としてはどういうふうにしたのです。外務員の問題は外務員でよろしい。あなたは社長としてどういうふうに処理されておつたか。
  74. 飯沼文二

    飯沼証人 納入書が向うから来ました場合に、こつちの方で聞きまして、それを本人の方に差上げて、銀行なり郵便局へ持つてつて納入していただく、そうして受取りを会社の方に届けていただくということになつておりました。
  75. 中野四郎

    中野委員 それは違う。事実とまつたく違う。あなたの方の領収書が出ておるのですよ。あなたの方では何がゆえに新郊土地建物株式会社という領収書を出したのですか。一部や二部じやないのです。あなたの方でお取扱いになつた大部分がそれでしよう。あなたにいかなる立場に立つて領収書を発行する権限があつたかと聞くのです。どういうわけで、新郊土地建物株式会社領収書をもつて金を領収したのですか。
  76. 飯沼文二

    飯沼証人 それは、先ほども申し上げましたように、不動産の売買の契約ができましても、手付金が入りませんと、それを破棄されるおそれもございます。同時に、さつきも申し上げましたように、食糧事情が非常に困難で、今日のような、おちついて土地・住居というものに非常に関心があるときならそうではなかつたのですが、今から考えてみると、現在一万五、六千円もする土地が、二百円でも三百円でもなかなか売るに困難を来した。従つてせつかく十数回にわたりまして折衝して、さて話ができたけれども代金が納入ならないと困るということで、一割ないし二割の手付金というような形で私の方としてはいただいた。これは決して納入告知書によつていただいたのでございません。お客様の方にもその向きを申し上げて、その中から手数料をいただいたというような形になつております。
  77. 中野四郎

    中野委員 あなたのところで手数料をいただくというならば、政府から五分、買受人から五分、いわゆる五分五分の手数料をとる規定があるのだ。そのためにあなたのところの会社の名前で領収書を出して金を扱わなければならぬ理由は一体どこにあるか。もしそういうような場合があるならば、大蔵省指定された銀行に預けてもらつて、その銀行の受取りをあなたの方で受取るというのならば、弁法としてありますが、あなたのところで直接現金を扱わねばならぬ理由がどこにあるのです。これがわからない。事の発端はここにある。どういうわけてそういう領収書をお出しになつたか。
  78. 飯沼文二

    飯沼証人 それは、今申し上げましたように、財務局の方では、そういう形でとるのはいいという話はなかつたのでございますけれども、私の方も経費もかかることでございますし、その当時は金の方もとつて来いというような形もありましたので、手数料以外に金を扱うなというはつきりした線もなかつたものでございますから、こういうふうなことでもらつておるということを、私もちよつと当時の係の方に話しまして……。
  79. 中野四郎

    中野委員 だれですか、当時の係は。
  80. 飯沼文二

    飯沼証人 二十四年の当初のあの係長さん、何といいましたか、今ちよつと記憶に出て来ないのですが……。
  81. 中野四郎

    中野委員 係長ですね。
  82. 飯沼文二

    飯沼証人 そうでございます。
  83. 中野四郎

    中野委員 よろしい。名前はあとで調べますから……。そうしますと、あなたの方は、公式文書では許可を得ておらなかつたが、その係長と口頭で暗黙のうちに了解を得ておつたというふうに了承してよろしゆうございますな。
  84. 飯沼文二

    飯沼証人 その預託金をとつているということは、私どもは、そういうような意味合いで、手付金をもらわなければ、それを破棄された場合に、私どもせつかく努力されたものが、渉外としても能率給なものですから、それがいかなければその本人にやれない。当時やはり相当費用もかかることでございますから、そのうちから向うに払うという事実は、やれとかやるなとかいうようなことでなくて、事実私どもでもらつておることは知つていたと思います。
  85. 中野四郎

    中野委員 これは重夫な問題です。大蔵省の今後の私の方の調査に重要な一言でありますから承つておきます。そこで、当局より監査を受けたことがあるのですかないのですか。大蔵省は監査をしないであなた方にそういう国の金をまかしておくわけがない。買手の方では、すでに御承知のように、自分の金は新郊土地を通じて全部完納してしまつたから、もう自分土地だと安心しきつてつたのです。昨年の十一月の十五日に、関東財務局は全管下のいわゆる買受人に対して、あなたの方はこれだけの未払金があるから、この未払金を完納せざる限りにおいては契約第五条に基いて解約するからそう思えという通達を全契約者に出した。そこで、新宿出張所に対しても、各出張所にしても、関係者が殺到して、日日百人、多い日には二百人近くの人間が、窓口で灰ざらを投げたり、なぐり合いをしたり、あの喧々ごうごうたる醜態を繰返し続けて来た。今日でも少くとも二十人、三十人の事情に暗い人間が、われわれは金を納めたのに、どうして私の名前になつていないのです——。これは新郊土地建物株式会社が使い込んだのだから、その金は今大建不動産株式会社を立てて、それの方で五分やる手数料をとつて埋め合せるから、しばらく待つてください——。少しうるさいのが出れば、これを先に片づける。そういう方面の知識のない、知己のない人に対しては放任して、非常な悩みを持つておる人は東京都内だけでも相当数いる。少くとも、私は、この現金をあなた方に扱わしめることを暗黙のうちに黙認したいわゆる大蔵省の係というものは、何かそこに大きな欠点がなくちやならぬと思う。しかしこれは一個人の問題でありますが、大蔵省としては少くともあなたらにすべてのことを委託しておる限りにおいては監査しているでありましようが、監査を受けたことがあるのか、どの程度の監査を受けて来たのか、この二点を伺いたい。
  86. 飯沼文二

    飯沼証人 監査は受けました。一度ないし二回だと思いました。それは、売払いの帳簿を全部あれしまして、その当時の銀行預金が幾らあるかということで、全部調べていただきました。
  87. 中野四郎

    中野委員 それではおかしいじやないですか。監査を受けて、銀行預金とちやんと合せて、そうして監査人が捺印して行けば、横領も、いわゆる使い込みもできないわけじやありませんか。
  88. 飯沼文二

    飯沼証人 それはつまり、決議書が出て来ますと初めて私ども帳簿に載る。決議書が出て参りませんと私たちはわからないわけであります。つまり、渉外人が使い込むといたしますと、決議書が出ない。そこから金をもらうべきものをもらわぬでおいて、決議書が出ているならいいが、決議書そのものを会社に出さぬということになる。自分で金をとつておりますと、それが出るとばれるということから、決議書を出さぬ。だから、会社帳簿に載つているものは金が何ぼということがわかる。
  89. 中野四郎

    中野委員 そうすると、あなたのところの新郊土地建物株式会社では、——きようは持つて来ませんが、証拠物件もちやんとそろつているのですが、あなたのところで出している領収書は、会社みずからが出して、そうして会社責任者が判を押して、一々請求して出しておるのですか。これはどういうわけですか。外交員だけが領収書を一冊ずつ持つていて、取引して、切つて出すのではなくて、あなたの会社から持つて来るのですか。どういうわけですか。
  90. 飯沼文二

    飯沼証人 それは、監査を受けましたときに、どういうようにやつているかというので、領収書をつづつたものを先に預けてあるということで、監査の結果、そういうことでは困るといので、それから複写にしまして、複写によつてもらつた金に対して本領収書を出すというようにしたのは、ちようど二十六年の終りか二十七年ごろだと思います。その前までは新聞屋さんが持つておりますようなことでやつていて、その辺は私の至らぬ点でございまして、今日になりますと、そういつたことが悪かつたんだと思いまして、まことに慚愧にたえないのでありますが、当時は領収書のつづりを渉外人に預けておつたのであります。でありますから、それを調べるわけにはなつているのでございますけれども、これはそうなつたということになつて、その行先までは調べなかつたのであります。そこに手落ちがあつたのでありますが、当時はそういうように預けておつたのであります。
  91. 中野四郎

    中野委員 ずいぶん苦しい答弁ですが、領収書を一人々々渡しておいた——。あなたのところの外務員が使い込んだ金は、あなたのところで取扱つた給金羅のどのくらいになりますか。あなたのところでお取扱いになつた全部の金額から使い込まれた金額を差引してごらんなさい。パーセンテージを出してごらんなさい。立川だけで千三百三十八万円。あなたが所管の、取扱つておられるところにおいては相当数のものでありませんか。一体、社長会社を経営するにあたつて会社領収書を外交員に全部一冊ずつ渡しておくということは少し変です。どう考えても常識じやない。むろんあなたはこの外交員の責任を全部お負いになるつもりでありましよう。会社責任において今日までの負債を全部払わなければならぬ。始末をしなければならぬことは当然でありましようけれども、少くともそういうようなことが監査の上で——監査をする人間もよほどうつかりしていたのか、故意にやつたのか知りませんが、また監査を受ける方が故意にこういう態度をとつたのか知らないけれども、非常に不自然じやありませんか。  しかし、これは後ほどにまわすとして、もう一点伺いたいのですが、手数料は一体幾らもらつているのですか。あなたの方の規定は五分でしよう。ところが、あなたの方の手数料は、その他に手数料と称して各個人から金をとつているのはいかなる理由でありますか。これは歴然たる——所も番地も申し上げてよろしい。名前もいくらでも申し上げます。お望みとあれば、私のところで今日までわかつて来たところのものをすべて明らかにしてもけつこうです。しかし、その煩瑣を避けて率直にお尋ねいたしますが、あなたのところの会社手数料というものは、政府の定められたる手数料があるにかかわらず、その他に三百円なりあるいは千円なりというような、当時の金にすれば相当の金額ですが、こういうものを受取つておられる事実が多数にあるのですが、いかなる根拠に基いてこの手数料をおとりになつたのでありますか。またその手数料はだれが使つたか、会社の収入になつているのかどうか。この二点を伺いたい。
  92. 飯沼文二

    飯沼証人 その手数料は、会社が受取りました以外の手数料というものは会社にはちつとも入つておりません。従つて、この手数料をとりました本人がどういうふうに使つているか、会社ではわかりません。会社でとりましたのは、先ほど指摘されましたように、会社の方から領収書が出ており、それ以外に手数料をとつたということは、これは考えてみると一外交がいろいろこうだとかああだとか言うてとつたんじやないかと思います。会社にはその金は入つておりません。
  93. 中野四郎

    中野委員 あなたの会社では、社長はずつと何も知らぬでおつて、この事件を検察庁が指摘し、行政監察委員会指摘するようになつてから愕然として知つたというようなことで済むと思うのでありましようか。ちよつと常識では、飯沼さん、考えられぬことではありませんか。うすうすあなたは知つてつたはずでありますが、全然知りませんか。
  94. 飯沼文二

    飯沼証人 それでは申し上げますが、先ほど申し上げましたように、昭和二十六年だと思いますが、財務局からそういつたような事実を指摘されて、それから私の方で調べ出したのであります。そして調べていた途中に大和村の問題が出て来まして、そして大和村も、私の方とすれば相当な金が納めてあるのに、大和村から直接立川へ打つた人の金が納まつておらぬ。それから所長に直接電話で話して、そうじやない、自分陰山を通じて納めてあるのだ——。いやそんなことないから来てくれというので行きましたときに、初めて大和村の金が納入していないことがわかつた。それから陰山に聞きましたら、こうとかあるとかいろいろ言つていまして、これはたいへんだというので、私の方で大体二十六年の暮れまでの渉外人の使い込みのリストをつくりまして調べておつたのであります。
  95. 中野四郎

    中野委員 手数料は知らぬと言うのですね。あなたの方では、会社に入つおらないから知らぬ——。そうすると、売払い代金以外に登記料も相当使い込んでおるのですが、これは一体どうなるのです。登記してやると言つて、金を納めてしまつた。当然登記してもらわなければならぬ、よろしい登記料も領収しましたといつて、あなたの方で受取つておる事実がありますが、これはどうしたのですか。
  96. 飯沼文二

    飯沼証人 登記料が完納になりますと、弁償金をもらうわけです。その当時、弁償金が出ますと、登記ということで登記料をもらつたと思うのでありますけれども登記料は、当時いろいろそういつたことで使い込みができたり、その方を早く埋めてやらなくちやならぬというような形ができたので、二十七年ですが、それを登記の方へまわさずにその方へ流用したのじやねいか、こう思つております。
  97. 中野四郎

    中野委員 これじや、まるで詐欺じやないですか、登記もしてないのに登記料をとつて、新郊土地詐欺横領株式会社じやないですか。登記もしねいのにみんな登記料をとる。手数料は定められておるもの以外にとる。買受人の金はみな使い込んでしまう。会社の親方は、流用するところはある程度流用する。下の者は、待つてました、上に見ならえというので、片つぱしから使い込んで、めかけを置いたり料理屋を経営したりする。これではあなたの方は政府の信託にまつたく背反した行為をとつておる。そして国民の膏血をしぼりとつたような結果になるじやありませんか。何としても、飯沼さん、了承できないじやありませんか。あなたは責任をとるのがあたりまえだつたと私は思うのです。しかし、これもここで重ねては申し上げますまい。  そこで、私はさらに一点伺いたいのですが、あなたの方の不始末——不動産の不始末についてはまた別な角度がありますが、あなたの方にも一部ありますいわゆる不正入手です。自分が目をつけた最もよい場所をば、そのリストが来たのをいい機会にして、自分の名前ではこれを買い受けすることができませんから、あらゆる角度から買受人としてこれを入手して、今日土地が非常な値上りをしておるときに売り払つて、それによつて、今日の金額とはおよそ相場の違う赤字をば埋めて、わが会社はこの国有財産払下げについてのすべての不始末を決済したというように豪語しておる会社もある。しかし、これは別の過程において、二、三日のうちに調査を進めますから、ここでは伺いませんが、あなたのところのいわゆる会社の不始末をば、財務局あるいは政府の方でも何らかの処置をしなければならぬというので、あわてて大建不動産株式会社というものをつくつたはずであります。これを委託業社として指定しておる。私は先日新宿出張所の井上第一課長にこの事情を直接聞きました。彼の言葉をもつてすれば、政府から五分出すところの手数料をば、この際この大建不動産株式会社にはやらないでおいて、そしてその金でバランスをとつて、今までの不始末の赤字を埋めると称しておる。ところが、私の納得できないのは、四十に余る委託業者の中の大部分の者が、ことごとく、新興土地会社とでもいうか、あなたの新郊じやありません、新しく生れた、戦後派のいわゆる新興土地会社であるとか、あるいはこの社長たる者が大蔵省の古手官僚とか大蔵省の官僚と直接関係のある者であるとかいうものが八〇%を占めておる。そこで、この大建不動産株式会社というものをつくつて、そうしてこれで埋合せをして行こうというのだが、私はこの間の事情があなたの品から聞きたい。あなた方の不始末の始末は、この大建不動産株式会社の今後の経営においてやれるでしよう。それは当然のことです。近ごろはうんと土地が上つたのですから、手数料つてまるで額が違つて来た。あなた方の一件の穴埋めをするには一箇所やればほとんど始末のつくくらい土地が値上りしておる。結局あなたのおつしやつた、当時三百円くらいの土地が今日は場合によりまして何十万とするところもあります。そういうところの手数料ですから、けたが違つて来たのですから、幾らでもつきましよう。しかし、それでは政府が国民に対して正しい行為をしておるということは言えないのであります。しかし、この会社を仕組んで、一つの株式会社として、営利会社として行く限りにおいては、片方の五分と片方の五分が法律で定みられておる限りは、両方合せて収支がつかなければならぬにもかかわらず、ことさらここで政府が払う五分の手数料をやめてもうかるほど、土地会社というものは一体もうかるものなんでしようか。そこで、私は、この大建不動産株式会社をつくつて委託業者として指定をして来ておるその間の事情について、あなたの知つておる限りのことをばこの際承りたいと思う。御存じの限りでけつこうでありますから……。
  98. 飯沼文二

    飯沼証人 それでは申し上げます。それは、昨年この不始末が起りましたときに、私の方が約九百万程度——これは調べて行けばもつとあつたのではないかと思いますが、大体九百万くらいの政府からもらう金があつた。それは二十四年、二十五年のことです、仕事はほとんだ九分通り終りまして、金さえ入ればその金はもらえる。つまり業務は九〇%程度は進行してできておつたわけであります。ただ金が入らぬので、その金がもらえない。それがためにいろいろのことで会社の方でもそれを流用したという形になつて今日になつたのでありますが、二十七年のときにこれが表に現われまして、そのときに大体千何百万かの金でございましたが、その金をもらつて、私どもの個人財産やその他をやれば、大体この穴が埋まるという考え方でおつたのでございますが、その後方だんだん、その当時の調査が完全でなかつたために、それから現われて来たのがありましたので、約二千万くらいになつた。それでは、これをどうして行くかということで、とにかくその責任に対しては私も何とも相済まぬのだが、どうかこれを私の責任——そういう言葉も出せないのだけれども、はなはだおそまきでも、最後に完全なものにして、皆様に差上げて、責任の一半をとりたいということで、とにかく今後も売払いを持続させていただきたい、そうすればこれに対してこういうことで皆様の御迷惑が埋まるという考え方でいろいろお願いいたしました結果、それではそういうことにしようという一応の結論が出まして、そうしてやつてつたのであります。ところが、当時、今大建におります松久さんどいう方がうちの方に専務で来られまして——とにかく私も社長でありますし、先ほどから申し上げますように、ほんとうにだらしのない、社長の資格もない人間であつたのでありますけれども、そういうふうになつてそこで私がやめても、そういうことについて責任を持つて社長にかわるべき人もないものでありますから、私として便々としてそこの位置にとどまつておるという形であつたのであります。では新郊にやらせてその利益をその方に穴埋めして行けば、一年か二年かで埋まるというような考え方から、私の方もその線を極力お願いいたしまして、それはそれだし、これはこれだということで、和解調書をつくれば、その金はこういうことで納めるというふうにやつたのであります。それでやりましたけれども、上の方はそういうことで一応御了承を得たのでありますが、やはり下の方——下の方と申しますと語弊があるかもしれませんが、実際の事務に携わる者になると、新郊てはまた変なことをやるのではないかという線も出たり、かたがたぞれでやりにくい点もあるのではないかということで、松久さんを一応専務に迎えまして、私は名義の社長であるけれども、実権を松久さんにやつていただいて、そうして再建するという段取りにいたしまして、松久さんもその気になりまして何箇月かおつたわけでありますが、どうもこれではちよつとやりにくい点もあるしということで、当時の財務局の御意向で、君の方にやらしておけば今までのいろいろないきさつがあつたりして何かとうまく行かぬと思われるので、どうだろう、こういう線をつくつてつたらいいのではないかということは、松久さんの方からも話がございましたし、それから、こちらの方は、その線は松久さんの方から出たのか、事務局から出たのか、私はその辺は存じませんが、松久さんもそういうふうな意向でありましたから、これはけつこうだ、もしそういうことで一日も早くそいつが解決がつくものなら、私は自分の立場とかそういつたものはどうでもいいから、この際は何としても御迷惑をかけた皆様方に対しては自分は裸になつてやらなくちやならぬから、ぼくの会社の面子とか、あるいはこうしなくちやならぬとか、そんなことはどうでもいいですから、とにかく私も御承知通り大した財産もないのですが、家から何から、不動産もあつたのを全部売り払つて提供しているのだから、社員もそういつたような形になつているのだから、そのことが一日も早く解決がつくものならどうでもいいというふうに私は申し上げたわけなんです。それなら実はこういつたような線で第二会社をこしらえて、そうして政府の手数料を先方の大建の方から出すという原案のようなものを示されましたので、それは非常にけつこうな話である、それでうまく行くならば、私の方の受払いは停止されてもけつこうであるということで、どうかそういうふうにしてくれということを私どももお願いしまして、そうして大建が発足したわけであります。
  99. 中野四郎

    中野委員 そうすると、あなたの方の外交員の使い込みは全部会社責任を負うのでしような。もちろん、外交員が使い込んだら外交員の責任で、それを刑事事件にして、あなたの方では黙つておるわけではないでしような。外務員にしましても何にしましても、使い込みは一切責任を負うのでしような。
  100. 飯沼文二

    飯沼証人 そうでございます。全部私の方で責任を負いまして、現在、だれかれの区別をせず、もらいました金を事情によりまして早い方の方から先に処置をしております。大分少くなつております。
  101. 中野四郎

    中野委員 そうしたら、あなたの方では、昨年の暮れ大蔵省の方がああいう通知を出した直後、自分関係者のところで、これは自分会社責任において払いますからしばらく御猶了くださいとか、何らかの処置をとるのがあたりまえと思うが、なぜ放任しておいたか。新郊土地建物株式会社というものは一体あるのかないのかわからぬというので、全部の買受人が動揺したのです。どうしてそういう処置をとらなかつたのですか。
  102. 飯沼文二

    飯沼証人 それは、皆様に通知を出さなければならなかつたのですけれども、そういうことを申し上げるとはなはだ何ですが、現在では会社の収入がないのでございます。現在社員が二人おるのでございますけれども、これはつまり収入がございませんので、一昨年から、私の一身上のことを申し上げてはなはだ恐縮するのですが、私物とか何かそういうものを売りまして、細々ながら整理係の給料その他をやつているわけなんでありますが、それがなかなか思うように出せないわけであります。それで、それが相当長期にわたつておりますものですから、私自体もそういうふうに出せない。それで、社員の方にもたいへん気の毒で、申訳ないと思つておりますが、そんなような形でございまして、従つて、それに告訴を出すというと相当な経費もかかりますので、それで、財務局へその方の方が来るものですから、新宿財務局と、それから、そこへ出張社員が行きまして、来た方にそのことを申し上げて、私の方から進んでやればよかつたわけなんでございますけれども、いろいろ経費の点やその他を考えまして、そうも行かない。しかし、その当時、この直後から会社責任を負うという線ははつきり押し出しましてやつておるのでございますが、それが不徹底な個所もあると思うのですけれども、大体これは会社の全部の責任においてやりますからもう少しお待ち願いたいということで話を進めております。
  103. 中野四郎

    中野委員 その事実は、あなたの方にあるかどうか知りませんが、私の知る限りにおいては参ありません。しかし、これはあなたの方がやつておいでになると言うなれば、それはわずかに二名か三名の人の、いわゆる外交員の力でおやりになつていらつしやるのですから、これは否定いたしません。  そこで現在新郊土地代金を受領した中に、登記のできない買受人が相当あるのですね。つまり、現在新郊土地代金を受取つた中に登記ができない買受人が相当多数あるのですが、これはあなたの方の調べた範囲にはどれだけあるか、件数にして幾ら、金額にして幾ら、この点を明らかにしておいていただきたい。
  104. 飯沼文二

    飯沼証人 四月現在で、全部私の方の責任で支払うべき金が一千三百万ございます。それから、件数にしまして、これは多少相違もあると思うのでございますが、大体千九百件と見ております。それで、この解決は大体今年の八月ないし九月で全部終る見通しになつております。
  105. 中野四郎

    中野委員 あなたは、解決のつくというのは、大建不動産の方でつくというのですか、あるいは、あなたの第二会社がまだ存在しておるはずなんだが、あなたの関係の別会社の方のすべてのものを整理して払うつもりなのか、どういう処置によつて八月ごろまでにつくと思つているのですか。
  106. 飯沼文二

    飯沼証人 実は、大建さんの方から相当の金を私の方で拝借する、それと同時に、その金を拝借することによりまして私の方が直接に財務局からもらう金がまた相当出て来るわけであります。つまり、金を納めますから、その手数料をもらえる。ですから、大建と私の方が大蔵省からもらえる金によりましてやるということになります。
  107. 中野四郎

    中野委員 時間が迫つて”いますから、もう二点だけ。あなたの方の会社の持ち土地というのがあるのですか、それから、あなたの会社の財産はどのくらいあるか、これが一点。  それから、現在陰山君らが丸の内警察から送検をされて、両君は数日前に保釈になつたのだが、地検で竹内検事に取調べを受けておる。その贈賄をした金額、つまり、陰山君が小島君に金を贈つて、そうして関東財務局長の局長印をば偽造したものを行使し、あるいは実印を盗印して行使してみずからの利益を得たという、これは公文書偽造でもありましようし、行使でもありましよう。しかし、そのほかに陰山君から小島君に金を贈つておる。小島君はこれを収賄をしたことを認め、陰山君は贈賄をしたことを認めて、贈賄罪として送られて起訴され、収賄罪として起訴されておる。あなたも丸の内警察で聞かれたはずでありますから、その金額は一体幾らで、いつごろの事件たと思うか。  この二点をお述べを願つて、私の質問を終ります。
  108. 飯沼文二

    飯沼証人 会社の財産と申しますのは、その当時八王子の国警で私の身辺を全部調査しました結果、それからまた、私の方で申し出まして、これとこれとこういうものがあるということを全部財務局の方へ私の方が抵当権を設定いたしまして提供してございます。それを時々売り払いまして、今残つておりますのは、伊東に私の方の温泉が一本と、それから土地が何千坪かございます。ところが、その土地は、まあ早く言えば分譲しまして売れ残つた土地なものですから、あまりいい土地ではない。それから、温泉も、昭和十三年に私が掘りまして、ちようど二本ございましたので、一本はそういつたようなわけで利用しておつたのですが、一本は掘りつぱなしであつたのであります。ところが、それから戦争になりまして、温泉どころの話ではないということと、それから、その後別荘なんというものが——今日になりますと大分おちついて参りましたから別荘ということもありますが、つい二、三年前までは別荘に行つて温泉に入るというような姿ではないものですから、そのままに放置してありました。これを早く売りたいということで、財務局の方でもいろいろ手をまわしているような処置をとつているのでございますが、私の方へも、実はこの間、厚生省の方から、伊東に療養所がございまして、そのすぐ近所に私の温泉があるのでございますが、君の温泉だとたいへん都合がいいからどうだろうというので、価格はと言うのですが、価格は、これは私ともう一人の持物になつておりますので三百万円に売りたいがと話しましたのですが、三百万はそれはあんた高い——。高いなら、実はこういう関係もあるから、向うに適正な値段で、適正な値段なら私の方も別にどうこうというわけではないから、何とかしてくれ——。ところが、そういう厚生省関係なものですから、予算がない、予算はどの程度もらえるか、予算さえもらえれば買つてもいいが、予算は多分くれないのじやないか、月々幾らか損料を出すから貸さないか、というような話もありまして、最近私は向うに行きまして、買つてくれるのか買つてくれにいのかということをはつきりして、そうして財務局の方へその点を申し上げたい、こう思つておりました。土地も売れればいいのですが、そういつたようなわけで、別荘なものですから、ちよつと利用する人が現在少いということで、そのままになつております。それから、ほかのいろいろなところも全部抵当権を設定しまして、赤坂とかそういうところにありますが、売れるものは私の居宅が一番最初に売れました。そういうものが売れれば相当になるのじやないかと思いますが、これは、どうも、温泉とかそういうものは、東京土地と違いまして、評価が非常にむずかしい。それから、昭和十三年からそのままほつたらかしておつたものですから、お湯がはたして出るかどうかというような心配もありまして、まだ決定に至つておりませんが、そういうものが売れれば、千三百万ですから、私どもの方が財務局からもらう手数料、それから大建不動産から値り入れる手数料というものが八月ごろから九月ごろまでに——皆様にたいへん御迷惑をかけたのですから、その線は大体解決がつくのじやないか、こう思つております。
  109. 中野四郎

    中野委員 あとの、地検に送られている小島君と陰山君の方は……。
  110. 飯沼文二

    飯沼証人 それは丸の内へ行きましたときに、この物件は君の方で扱つたのかどうかという第一の質問でありました。それも、私どもの方の帳簿の記載がないので全然存じませんということを申し上げました。その中に二つか三つかは私ども帳簿にあるのでありますけれども、ただ帳簿に載つていただけで、その金が入つていたか入つていないかということは帳簿に記載がないのであります。当時その帳簿が浦和の方に行つておりましたものですから、そのことを申し上げました。  それから、小島と陰山の贈収賄とか印鑑を偽造したとかいうことは、私が先ほど申し上げたように、全然存じませんで、ただ、丸の内へ行つたときに、実はこういうことで入つているのだ——、先ほど申し上げたと思うのですが、金が入らないのに登記ができておる、その印鑑はどこから出たのかと聞いたら、偽造したとかいうようなことを言つておるということでした。これは、陰山が小島に贈賄したとか、小島が収賄したとか、印鑑を私が承知して押させたとか押させないとかいう点については、全然存じません。
  111. 中野四郎

    中野委員 知つておればあなたは共犯なんだから、知らぬと言うのはあたりまえなんだが、これは、取調べていることだから、おのずとわかりましよう。  もう一点だけ伺つておきますが、あなたの取扱つておる区域のうち、相当な繁華街——場所はあえて申しませんけれども、相当な繁華街の一ボスと組んで、そうしてこの新郊土地との間に共謀をして、共謀という言葉が少し強ければ談合してと申しますか、相当な坪数をば現在手に入れて、実際上の持主に迷惑をかけておる事件を御存じかどうか。場所はあえて申しませんが、新宿区内の繁華街の相当な場所であるということを御指摘申し上げればおわかりだろうと思うが、この事件は、最も悪質な事件として、近い将来にそれぞれの処置がとられると思うが、これもあなたが関知しておるかどうかということだけを伺つておけばけつこうです。  それから、もう一つは、文京区原町の、この局長印烙印あるいは公文書偽造行使によつて登記が完了しておりますが、ここのは金が入つておりません。従つて、もし公文書偽造行使としての犯罪が成立いたしますると、その結果これらの人々が被害者となるおそれがある。被害者となつた場合においては、当然新郊土地株式会社を相手取つていわゆる損害賠償の請求をするという結果になると思う。たとえて言えば、現在八月までに大体見通しがつくだろうということは、大建不動産考え方でもありましようし、関東財務局考え方であることもわかる。しかし、ここに一つ問題が残される点は、あなたの方の使い込みによつて生じたる損害——登記料は今日二倍も三倍も上つてしまつたことが一つ、いま一つは、自分は全部金を完納しておるにもかかわらず、あなたのところのおかげで、その金が完納されておらぬ。従つて、損害を受け、登記ができておらぬから、その間の使用料というものは当然政察がその買受人に請求する。この使用料は相当な金額につく。この二点の補填を、あなたの方で責任をもつてつけるつもりかどうか。これは関連して来る。つまり、あなたの方の横領あるいは使い込みによつて買受人に実害を与えた場合においては、この実害をあなたの方で全部補填をするのか。そうでなく、ただ使い込んだ金額だけを補填するというのでは筋が通らぬと思う。登記料は当時から考えれば非常な倍率になつておる。特に最近登記料が三倍にも上つておる事実、それから使用料の負担、これを払うにあらずんば、せつかく当時自分が買い受けて持つておる土地登記をすることが不可能です。こういうような損害は一体だれが持つのか。実害を与えた金額で済むわけじやない。あなたの与えた損害によつて、さらにこの実害がこの人々に及んだのであります。このことは新郊土地建物株式会社として当然責任を持つて負担をするだけの用意があつてしかるべきだと思う。大蔵省の一部の者と結託して、当時の使い込み、横領をば赤字として処理しようという不心得な考え方を一擲して、この際進んで、自分がほんとうに申訳ないというのならば、当時受けられた実害者に対して、すべての損害を補償するのがあたりまえである。損害賠償をしろとは言わない。実害を受けておる人々に損害補償をするのがあたりまえである。この使用料の高騰によるところのすべての負担、登記料の値上げによるところのすべての負担、これを含めて、新郊土地建物株式会社というものが、まことに申訳なかつたという誠意を披瀝して、この人々に弁償するのがあたりまえだと思う。たとえば、今の文京区の原町の七名の人々の名前を列挙してもしかりであります。こういう実害をあなたは全部補償するつもりであるかどうか。この一点を伺つておきたい。
  112. 飯沼文二

    飯沼証人 ただいまの御説、ごもつともであります。会社としましては、かりに横領したから、それがために登記が延びた、従つてこの借地料の問題が出て来た、これは当然会社で負担すべきものと存じております。それから、今御指摘の原町の問題は、これは、私の方としてどういうふうにして処置すべきか、今ここでちよつとはつきりは申し上げられないのですが、これは当然きめてやるべき性質のものだとおつしやられれば、また当然私どもの方でもそれを気持よく受けて、そうして申訳ないことだということで、わびるところはおわびして、できる範囲においてそちらの方を解決したいと思います。これは、私、法律ちよつと存じませんので、ここで申し上げられませんが、当然そうすべきだということになれば、当然私の方でやるこにとなると思います。
  113. 中野四郎

    中野委員 もう一ぺん念を押しておきますが、あなたの方には使用料の完納をしておるのですね。
  114. 飯沼文二

    飯沼証人 ええ。
  115. 中野四郎

    中野委員 完納したときから今日まで、あなたの方が使い込んで未納になつておるのだから、その間の使用料はあなたの方で負担をし、それから、当時の登記料の値段は、むろんこれは買受人が払うべきものでありますが、あなたのために登記料が三倍にも上つておるのですから、この差額というものはあなたの方で補償する、こういうのですね。
  116. 飯沼文二

    飯沼証人 そうでございます。
  117. 中野四郎

    中野委員 これは間違いありませんね。
  118. 飯沼文二

    飯沼証人 そうでございます。しかし、それは金額も非常に……。原則は当然そうなんでございます。やはり金の問題が出て来ますので、その事情を申し上げて御同情願えればけつこうでありますけれども、いや、それはだめだとおつしやられれば、これは当然会社で負担すべきものだと思います。
  119. 中野四郎

    中野委員 そうしますと、大建不動産のいわゆる利益によつて、大建不動産が仲介あつせんをしたことによつて政府から受けるべき五分の手数料、あるいはその他のいわゆる収入によつてあなたの方のバランスをはかるというのか、そうでなく、あなたの方は、それはそれとして、別途これに対して責任を負うというのか、どういうことなんですか。
  120. 飯沼文二

    飯沼証人 それは、今も申し上げましたように、今のところ、私の個人財産も全部提供しておりますし、会社には財産は全然ない。財務局の方に差上げてありますから、どうしても大建さんから借入れをする。それから、私の方で大蔵省からもらえる金もまだ相当あると思いますから、それによりましてこれを解決したいと思つております。
  121. 中野四郎

    中野委員 あなたは大建不動産の方は一体役は何をしておられますか。
  122. 飯沼文二

    飯沼証人 私は大建不動産には関係ありません。
  123. 中野四郎

    中野委員 関係なくして、どうして大建不動産のもので払えるのでしようか。
  124. 飯沼文二

    飯沼証人 それは、大建が指定を受けますときに、先ほど申しましたように、私の方の債務を大建で肩がわりをするというお話のもとに、私の方の売り払いを中止しまして、そうして大建に新郊の売り払いを譲渡したということですから、大建さんもその気持で、私の方へやつてくれるという条件のもとに売り払いを向うで引受けた。従つて、新郊は売り払いを中止したという形になつておりますが、これは金も相当大きな額でございますから、将来返さなくちやならぬのですけれども、向うも、とれなくてもやむを得ないというようなことで、非常に大きな犠牲的精神で、松久さんが私の方におつた関係でやつておりますから、そういうふうにしていただけるものと存じております。
  125. 中野四郎

    中野委員 そうしますと、あなたが今お答えになつたことは、大建不動産との条件の中で解決ができ得るという話合いができておるのでしようか。
  126. 飯沼文二

    飯沼証人 そうでございます。
  127. 中野四郎

    中野委員 できておりますね。
  128. 飯沼文二

    飯沼証人 できております。  それから、もう一つ、先ほど、繁華街のボスと結託して新郊土地が何かそこの利権をあさつて、それを補填に充てておるというような御質問があつたのですが、そういう事実は絶対にございません。もしありましたとすれば、先ほど私が無能な社長であるというお話があつたのですが、私は一言も聞いておりませんから、これは申し上げておきます。  それから、何か更地を買つて、つまり会社が買つてはいけないものを買つて、それを穴埋めに高く売つているという事実が新郊にもあるという御指摘ですが、そういう事実は絶対にございませんから……。
  129. 中野四郎

    中野委員 絶対にないというのは、あなたがここではつきり申すべきでない。ないと言うなら、事実をあげて……。
  130. 飯沼文二

    飯沼証人 取消します。それは私は存じておりません。
  131. 中野四郎

    中野委員 事実はあくまでもある。場所神楽坂なんです。繁華街の中心なんだ。場所も番地も名前も、全部列挙してもよろしい。しかし、ここでさような煩瑣を避けて、知つているか知つておらぬかというのであつて、ないと言うなら、あなたの方の関係者を列挙してもよろしい。
  132. 飯沼文二

    飯沼証人 ただいまの言葉は訂正いたします。これは私は存じておりません。
  133. 塚原俊郎

    塚原委員長 山田長司君。
  134. 山田長司

    ○山田(長)委員 二、三点伺います。ただいま中野さんの伺つたことについての重複を避けて伺うのです。今度の物納によつて土地払下げ代の一時請求の期間と、それから一時請求が終つてから月賦で土地を買うことのできる期間とがあつたと思うのですが、その間大体一年半くらいの期間があつたようですが、その間に一時支払いをしなければならぬので、これはなかなか困難であるということから、権利を自分のものにしたくても、これを自分のものにしないで権利を放棄している人がたくさんあると思う。あなたが受持つている中に、やはり権利を放棄している人があると思うのですが、こういう場合にはどういうふうな処理をされたか、一応参考に伺つておきます。
  135. 飯沼文二

    飯沼証人 ただいまの御質問ですが、その権利放棄ということは、かりにこの土地はいらない、この土地をほしい、たとえば隣地関係、そういつたような場合には、私の方から、借地権をこちらの方とおかえなさいというように勧めまして、権利を無料で放棄することはないんじやないかと思います。そういう場合には、借地権を譲渡して、何がしかの金をもらいまして、その人に借地権を提供するというふうに考えております。
  136. 山田長司

    ○山田(長)委員 これも参考に伺つておくのですが、実は測量する人がむやみに測量したことによつて、道路もつけられずに測量されてしまつて、あとになつて非常に困つているというような例があるのですが、しかも、無断に測量しておいて、あとになつて、測量したからというので代金の請求をしたという例があるのです。あなたの会社であつたかどうか知らぬが、そういうことがあり得たかどうか、あなたは専門家として何かそういう心当りがあると思いますが、どうですか。
  137. 飯沼文二

    飯沼証人 申し上げますが、それは、一つ土地を甲の会社が売り、乙の会社が売つた場合に、最初に売りましたかりに百坪なら百坪の一角に、二十坪の自分の権利があつた、その二十坪だけをその当時測量して、売れるところから先に売つたわけです。ところが、その後リストが入れかえになりまして、そのリストがかりに私の方にある。そうしますと、全部の百坪を基準にして、その中から二十坪の境界をはかつてやりませんと、そこに食い違いが出るわけで。そういつた場合に、もう一度測量をやり直さなければならぬということになりますので、そういう場合には、やはり御了承を得て、つまり代金を二度払うような形になることもあるのですが、実はその境界が間違つている——その二十坪だけはかれば、いかにも二十坪あるのですが、こちらの方からどんどんはかつて行きますと、その二十坪の位置が多少ずれるというようなことで垣根が完全にないものですから、境界としてもはつきりした境界を入れていないというようなことで、それをもう一度測量のし直しをしなければならぬというようなことがあつたのじやないかと思つております。その場合には、実はこういうわけだからと言うて、御了承を得て、あるいは二度ちようだいした場合もあるんじやないかと思つております。
  138. 山田長司

    ○山田(長)委員 今度の戦争の場合には、一家全滅したというような例があると思う。同時に、それがために不在地主があつたと思うのですが、そういう場合に、不在地主の持つていた土地はどういうふうに不動産会社は処理をされたか、これを一応伺つておきます。
  139. 飯沼文二

    飯沼証人 不在地主の場合には、疎開して、たとえば福島の方に行つておられるというようなことを聞きますれば、福島の方に手紙を出して、お宅の土地はこういうことなんですが、お買いになりませんかといつて勧誘して、そうしてなるべく元の権利者の方に売る。そうして、もし一家族全滅して、その中に権利者がない場合は、これは私どもが俗に言う更地の場合ですが、更地の場合は信託会社売つてはならないというのですから、それは売らない。財務局の方でどういうふうに御処分なさつているか存じませんが、私の方ではそういう場合には売つておりません。私どもの方はあくまでも権利のあるものという建前であります。
  140. 山田長司

    ○山田(長)委員 どうしても理解できない点が一つあるのは、先ほどあなたの方の会社についても中野さんがいろいろ強く伺つたようですが、一体どういう形で指定されて、資格の選考をされてあなたの方は選ばれたのですか、参考にそれを詳しく話してください。
  141. 飯沼文二

    飯沼証人 その点、先ほども質問がありまして、申し上げたのでございますが、物納のものを売り払いするという話を私ども承りまして、私の方に東京土地分譲建設協同組合というものがございますが、これはそういう公共性のあるものだから組合で扱わせていただきたいというて、当時御承知通り食べる方に追われておりまして、今も中野先生から御指摘があつたのですが、三百円の土地が今では一万五十円もしているが競つて買うという状態であるが、当時二十四年、二十五年ごろは、食べる方に忙しいものですから、今日一万五千円もするような土地が三百円か四百円で、それを売るということについては非常に困難を来したわけであります。はなはだしいのになると十何回も訪問をしてそれをきめるというような状態であつたものですから、従つて不動産業者とすれば非常にひまだつたわけです。それで、こういうのがあるなら何とかして不動産業者にやらせていただきたいということで、再三財務局の方にお願いに出たわけであります。最初組合でやるのならそれはよかろうというお話つたものですから、たいへん私どもは喜んでおつたわけです一ところが、だんだん行きますと、どうも組合員に扱わせるということは困難だ、つまり責任の所在がはつきりしないということなんでありまして、それで、せつかくわれわれもこうやつて詳細にあれしてやつたのだから、何とかひとつ私の方にも扱わせていただくわけには行かぬだろうかというお願いをした。そうしましたら、ほかの方の業者指定してあるから、業者では絶対いけないということはないのだけれども、ただ君方三人来ても三人に与えるわけには行かない、一つなら今許可して指定してもいい、こういうお話つたのですが、いろいろ問題が出まして、だれにするということもどうかと思うということで、それはもつともな話だ、それで、向うの係の方から、くじ引きをしたらどうだと言うので、その場でくじ引きをした。そうしたら幸いに私が当つた。それからそういうことになつたのであります。
  142. 塚原俊郎

    塚原委員長 飯沼さんにお伺いしますが、そのときにあなたが折衝した財務局の方はどなたですか。くじ引きに立ち会つた当該の責任者はどなたですか。
  143. 飯沼文二

    飯沼証人 くじ引きのときですか。
  144. 塚原俊郎

    塚原委員長 くじ引きのときといわず、三人が行つて、やらせていただきたいという交渉をされた当面の責任者はどなたですか。まさかそれがわからないわけはないでしよう。局長ですか。
  145. 飯沼文二

    飯沼証人 いや、そうじやありません。部長さんだと思います。
  146. 塚原俊郎

    塚原委員長 思いますではないでしよう。それだけの重要問題だつたら、おわかりでしよう。それだけ折衝されたんだから……。それもわからないのですか。
  147. 飯沼文二

    飯沼証人 私の方で部長さんに聞きまして、詳しいことは係長の方へ行けというので……。
  148. 塚原俊郎

    塚原委員長 部長と係長の名前をお  つしやつてください。
  149. 飯沼文二

    飯沼証人 係長さんの方は古屋さんとおつしやいまして、こちらの方と非常に接触しておりまして、部長さんの方は二、三回でございましたものですから、今水戸へ行かれた方なんですが、今ちよつと私記憶してないのであります。
  150. 中野四郎

    中野委員 今度の不動産払下げに対する事案は、調べれば調べるほど奇々怪々なんです。大蔵省もでたらめであり、土地会社もでたらめなんです。そうして、被害をこうむつた者はまつた買受人です。従つて、現在の大建不動産というものの設立経過から考えてみて、非常に不審の点が多いと思う。場合によれば土地の売払いを一応停止せしみて、そうして厳重なる行政監察を行うと同時に会計検査を行つて、そうして適当なる処置を大蔵省をしていたさしめなければならぬ段階にあると思うのです。というのは、近畿財務局関東財務局においてはその処置がまつたく異なり、相反しておつて大蔵省には一貫したる処置をする誠意がない。従つて、次の理事会においてこの点を十分審議したいと思いますから、どうぞ委員長においてさようおとりはからいを願いたいと思います。
  151. 塚原俊郎

    塚原委員長 了承いたしました。  高木松吉君。
  152. 高木松吉

    ○高木委員 大体中野君や山田君からの質問によつてある程度わかつて来たのだが、基本的な問題がはつきりしないので、ぜひその点を明らかにしておきたいと思います。  証人関東財務局といわゆる委託契約をされたのはいつですか。日から聞きましよう。
  153. 飯沼文二

    飯沼証人 指定書類を受取りましたのは二十四年の十二月だと思います。
  154. 高木松吉

    ○高木委員 その契約内容を詳細に述べてもらいたい。これが基本的な問題です。
  155. 飯沼文二

    飯沼証人 契約内容でございますが、それは何か向うでタイプに打ちましたもので、新郊土地建物株式会社委託業者として指定するということでございました。そうして、その後いろいろ向うから指示があつて書類はこういうふうにごしらえろ、あるいはこういうふうにしろというような指導を受けましたわけで、契約書には別にその内容をどうこうということはうたつてありません。
  156. 高木松吉

    ○高木委員 そこで、私どもの聞きたいのは、要するに、財務局としての解釈の仕方と、あなた方としての解釈の仕方とがあると思う。むろん、そこであなた方がどういうことを財務局からまかされたか、それを把握せずにはあなた方の業務はできないわけです。従つて、あなた方が財務局からいかなる事項を委託されたか、はつきり基本的に押えない限り業務を進めて行くことができないと思うが、その内容はどうですか。
  157. 飯沼文二

    飯沼証人 それは、向うに物価と土地の指数がございまして、その指数とこれをかけ合せてその単価を出す、それから権利者である者以外には売つてはならない。それから、価格の点は、それによつて大体の線は出すのでございますが、その最後の決定は各出張所に仰ぎます。そうして、たとえば、三百円なら三百円という線を出しまして、これは三百円で売つてよいとか、これは三百円ではだめだから三百二十円にしろというようなことで決議をやりまして、その決議録を正式に出張所に出します。そうして、それがそのまま向うで認められて、それによつて先ほど申し上げた決議書をもらつて措置するという段階になつております。
  158. 高木松吉

    ○高木委員 あなたのお話になることは、手続を進行するときの関係はわかつて参りますが、いわゆる財務局が元来行うべき仕事をあなた方にまかせてあるわけですね。
  159. 飯沼文二

    飯沼証人 そうであります。
  160. 高木松吉

    ○高木委員 まかされてある仕事内容というものはどういうものかということを、言いかえれば法律的に聞きたい。どういう権限を付与されたかということを聞きたいのであります。
  161. 飯沼文二

    飯沼証人 それは、権限と申されますと、今私どういう権限だからよつとわからないのですが、とにかく、この土地はこういう価格で売り払えというようなことでやつてつた、こういうふうに私は考えております。
  162. 高木松吉

    ○高木委員 土地を売り払うには、いわゆる土地を買う人に対して、どうするとか、それから売れば代金をとることになるが、それらのことについてどの程度の権限を財務局からあなた方が受取つておるか、どの程度の権限を付与されたか、これが基本的な重大な問題です。そこがあいまいだからいろいろな問題が起きて来る原因になつたと私は思います。そこさえはつきりしておればよい。もちろん偽造したり変造したりしてやる問題は別ですけれども、普通の取引においては間違いがないと思う。どういう権限をあなた方は財務局から付与されていたか。その権限の限度、内容をひとつ説明してもらいたい。
  163. 飯沼文二

    飯沼証人 それは、要するに、物納財産を権利者に、その価格は出張所の認められた価格で、それを第一番にして売り払うこと、それから、それに対して金の方は当時とるなということだつたと思います。しかし、そこに、私の方で金をとらなければ、要するに、先ほども申し上げたのですが、せつかく不動産売買の契約ができても、今日のように土地というものに対して関心のある時期と違いまして、今一万五千円もするものを三百円ぐらいで売るにしても非常に骨が折れまして、十数回にわたつて訪問して、そうして買うとか買わぬとか、どうだとかこうだとかいうような状態の時代であつたものですから、それについて私の方としても、何といいますか、契約の平付金をもらう。
  164. 高木松吉

    ○高木委員 昭和二十六年の二月二十日ごろ、最初の委託契約と違う、何か関東財務局から契約を変更して来た事実はありませんか。
  165. 飯沼文二

    飯沼証人 ございます。
  166. 高木松吉

    ○高木委員 それと最初の委託契約との違うところをひとつ述べてもらいたい。
  167. 飯沼文二

    飯沼証人 それは、主たるところは、前には多少手付金をもらつても黙認するという形でおつたのですが、そういうことは一切まかりならぬということが眼目と、それから、金詰まりで、一時納入ということは困るということで、延納してもいい、たとえば十箇月とか十二箇月とか、そういう二つのことたと私は思つております。
  168. 高木松吉

    ○高木委員 暗黙に許されるということはどういうことですか—。法律的に解釈して。少くとも土地の所有権を動かすのですから、どこまでも法律的でなければならぬと思うのですが、そうすると、あなたのおつしやる暗黙に金をとつてもよろしいというようなことはどういう法律的解釈になるのですか。
  169. 塚原俊郎

    塚原委員長 飯沼君に申し上げますが、速記がとりにくいそうですから、こちらの速記台の方に向つて明瞭に御発言を願います。
  170. 飯沼文二

    飯沼証人 その御指摘のことは、今私も、法律上のことを言われましても、ちよつとはつきりした御返事ができかねるのでございますが、二十六年度のかわつたことは、納入はすべて告知書によるということ、それから、今までは延納ということはなかつたのですが、延納を認めるという二つのことだと思つております。
  171. 高木松吉

    ○高木委員 どうも、そういう考え方で所有権の得喪をやるということになると、まことに相手方は不安定なもので、あなた自身は、少くとも指定されて責任を持つてこの業務を行わんとするときに、法律上の根拠、法律上の関係等を明瞭にせずに、いいかげんなことをおやりになつてつたのですか。その点について……。
  172. 飯沼文二

    飯沼証人 いいかげんというわけではありませんけれども、そういつたようなことについては全部出張所の御指示に従つて、こういうふうにしろ、ああいうふうにしろということで、毎日のようにうちの社員が出張所へ参つておりましたから、その御趣旨に従つて私の方はやつて来たのであります。
  173. 高木松吉

    ○高木委員 その売買代金を受取るということですが、それをあなた方が受取りさえしなければ、大半の迷惑はかからぬで済んだと思う。その受取つてよろしいような意思表示を財務局がしておつたのですか。二十六年二月二十二日にそれを特に改めるために契約の更新といいますか条件変更をやつたわけですか。
  174. 飯沼文二

    飯沼証人 そうだと思つております。
  175. 高木松吉

    ○高木委員 それに間違いありませんか。そうすると、暗黙の意思表示といいますか、暗黙に認めたということは、法律的に一つの意思表示の形式でいわゆる関東財務局はそれを了承して、契約内容をなすものとあなたの方は解釈されておつたのですか。
  176. 飯沼文二

    飯沼証人 最初、二十四年度当時は、そういう金銭の面では会社責任で納入しろというような御指定つたと思つております。その後、それによつていろいろあれしたので、二十六年に改正されたのじやないかと思います。     〔「契約にそんなことは全然書いてないじやないか、契約書は金をとつてはいかぬと書いてあるじやないか、それはどういうわけだ」と呼ぶ者あり〕
  177. 高木松吉

    ○高木委員 そうすると、暗黙の了承を得たという時期や、その相手方はだれですか。何か、あなたの説明によると、雲をつかむような話で、言葉には現われておるが、そういう法律上の相手方というものがあるのだから、相手方がだれであるか。当然その相手方を代表されるべきものは関東財務である暗黙の意思表示をして了承したというのはだれですか。
  178. 飯沼文二

    飯沼証人 それは当時財務局の係長さんだつたと思うのでございますが、こういうふうにしてやつておる、それについて別にそれを……(「係長さんだつたと思うというのは、もつと具体的に言わなければだめじやないか」と呼ぶ者あり)いや、係長です。(「何という人だ、こんな重大な問題で名前がわからないはずはないよ」と呼ぶ者あり)いや重大ですから、間違うと、その人に御迷惑がかかると悪いと思いますので、よく自分の記憶をたどりましてやろうと思つたもので……。私の方でそういうような手付金と称してとつておるということは、その当時の係長さんも認めておつたと私は思つております。
  179. 高木松吉

    ○高木委員 その話が要領を得ないのです。何か知らぬけれども、あなた方の取引の中にはそういうあいまいなことがあるかどうかわからぬが、われわれの常識ではそういうことは受入れられぬ。了解できない。要するに、はつきりした権限を持つた人間がいわゆるあなた方の行動を容認するにあらずんば、暗黙の意思表示じやないでしよう。少くとも国家の仕事をあなた方が委託を受けておる。そのときに、そのようなあいまいな心構えを持つておられることが、本件のような問題を引起した原因となるのではないかと思う。そこで、私どもは、その責任がどちらにあるかをはつきりさせたいために、言いかえれば、財務局側にあるのか、あなたの方にあるのか、これをはつきりさせたいためにお尋ねしておるのですから、あいまいな答弁でなく、法律的な答弁をしていただきたいと思う。少くとも物のいわゆる権利の移動というものは、どこまでも法律的の問題であつて、決して単なる常識的の問題や感情的の問題ではありません。それを取扱うことを業とされるあなた方で卑る限り、あいまいな言葉でここを濁されては、私ども真実を追求するのに大きな迷惑をこうむるのですから、その点をお考えの上、はつきりした御回答を願いたいと思うのであります。
  180. 飯沼文二

    飯沼証人 それは、私の方で手付金として若干の金をとつておるということは、当時の係長さんもはつきり御存じでいらつしやいました。それをやるな、またやれということはお話がなかつたのですが、私の方でとつてつたということだけは向うでも御存じであつたのです。
  181. 中野四郎

    中野委員 係長と言うけれども、ただ係長だけではわからぬ。第一から第五までの係長がある。あなたが契約した年月日さえ明らかになれば、ここに別表がある。だれが一体やつたかという係長の名前も全部出ておる。だから、それが二十四年の十二月ならば、あなたはだれということがわかるでしよう。第何係ですか。
  182. 飯沼文二

    飯沼証人 売払いは第四かと思います。現在は第四なんですけれども、当時は……。
  183. 中野四郎

    中野委員 当時は何ですか。第二ですか。
  184. 飯沼文二

    飯沼証人 第二は軍用ではなかつたでしようか。
  185. 中野四郎

    中野委員 何の係です。
  186. 飯沼文二

    飯沼証人 物納の売払いの方の係です。
  187. 中野四郎

    中野委員 なら、何係です。
  188. 飯沼文二

    飯沼証人 第四じやなかつたかと思います。
  189. 中野四郎

    中野委員 そうしたら、すぐわかるじやないですか。早坂君であるとか牧君であるとか、あるいは松永君であるとか、係長なんてそうたくさんありはしない。あなたは、大蔵省関係があつて、あれだけ交渉しておられるのに、係長の名前がわからぬことはない。ここに別表があるのだから、名前は歴然としてすぐ出て来る。だれだということがわかればいいのです。
  190. 飯沼文二

    飯沼証人 それは係長の牧さんだと思います。
  191. 中野四郎

    中野委員 これが一番悪いんじやないですか。問題を起している人間じやないか。牧公好というのでしよう。これが一番問題を起している男なんです。間違いありませんか。
  192. 飯沼文二

    飯沼証人 牧さんもその事実を知つておりました。
  193. 中野四郎

    中野委員 当時の当面の係長ですね。
  194. 飯沼文二

    飯沼証人 そうです。
  195. 中野四郎

    中野委員 今高木委員から質問した、暗黙のうちに了承しておつたというのは、牧君ですね。
  196. 飯沼文二

    飯沼証人 牧さんだと思います。(「古屋というのは何だ」と呼ぶ者あり)古屋さんというのは、指定を受けましたときに、抽籤をしましたときの係です。
  197. 高木松吉

    ○高木委員 そうしますと、あなた方の方で問題になつておる事案は、あなたが契約してから昭和二十六年二月二十一日までの間に起つたものですか、その後に起つた事案があるんですか。要するに、金を受取つておりながら登記ができなかつたとかいろいろな事件がありますが、あなたの扱つた案件の中で、あなたが委託契約した二十何年かから二十六年の二月二十一日までの事案と、それから後に起きた事案とでは、その事故の性質と内容がどういうふうな形にかわつておるかということを聞きたい。
  198. 飯沼文二

    飯沼証人 ただいまのお話は、二十六年の五月か六月ということでございますか。
  199. 高木松吉

    ○高木委員 二十六年の二月二十二日に、最初の委託契約をかえて、あなたのおつしやるように別なものにしている。直接受取つてはいかぬということを厳重にして、分納をも認めるということにしたのでしよう。
  200. 飯沼文二

    飯沼証人 そうです。
  201. 高木松吉

    ○高木委員 その契約を境として、その前に起きた事件の性質と、それから後に起きた事件の性質との異なるところを説明してもらいたい。
  202. 飯沼文二

    飯沼証人 二十六年の二月にはまだ私の方のこういう使い込みというか横領という問題は出ておらなかつた。それが、二十六年の八月に財務局から、こういう事実があるというふうに指摘をされまして、二十六年の暮れに、私の方ではそれはたいへんだというので調べて、この問題が持ち上つて来たわけです。
  203. 高木松吉

    ○高木委員 あなたは聞きとり方を間違えている。発覚した時期ではない。事故の起きた時期を聞いている。事故の起きた時期は二十六年二月二十一日前ではないんですか。
  204. 飯沼文二

    飯沼証人 全部二十六年二月二十一日前のことなんです。
  205. 高木松吉

    ○高木委員 そこを聞いているんです。そうすると、二十六年二月二十一日前に起きた事件ばかりですね。
  206. 飯沼文二

    飯沼証人 そうです。
  207. 高木松吉

    ○高木委員 そうすると、結局、財務局契約を改訂して厳重に一項入れなかつたために起きたような事件ですね。
  208. 飯沼文二

    飯沼証人 そういうことにもなると思いますが、先ほどお話しましたように、多少金をもらつてつたのでございますが、それをもらうなということも言われませんでしたから、そのままもらつておいた。
  209. 高木松吉

    ○高木委員 要するに、使い込んだ者なり横領した者は、その責任において悪いんです。けれども事件は、財務局があとのような契約をしておけば、こういう問題を起す機会がなかつたかもしれぬということを考えて、私はあなたにその事情を聞くんだから、そういう意味でお答え願いたい。
  210. 飯沼文二

    飯沼証人 それは、今おつしやる通り、全然金を扱つてはいけない、それから、もし一部でも仕事の金が入つたら、政府手数料をもらえるとすれば、こういう事故は起きなかつたのではないかと実は現在考えております。
  211. 中野四郎

    中野委員 その牧という人は、今やみられておりますか、現職でおられますか。
  212. 飯沼文二

    飯沼証人 やめられておりません。今浦和にいると聞いております。
  213. 中野四郎

    中野委員 浦和財務局で検挙された中の一人ですか。
  214. 飯沼文二

    飯沼証人 そんなことはありません。
  215. 中野四郎

    中野委員 現在浦和におりますね。
  216. 飯沼文二

    飯沼証人 いると思います。
  217. 塚原俊郎

    塚原委員長 ほかに御質問がなければ、飯沼証人に対する尋問はこれにて終了いたしました。  証人には御苦労でありました。  本日はこれにて散会いたします。     午後一時十八分散会