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1954-03-30 第19回国会 衆議院 行政監察特別委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月三十日(火曜日)     午前十一時二分開議  出席委員    委員長 塚原 俊郎君    理事 高木 松吉君 理事 田渕 光一君    理事 中野 四郎君 理事 山田 長司君       天野 公義君    鍛冶 良作君       瀬戸山三男君    山中 貞則君       久保田鶴松君    古屋 貞雄君       佐竹 新市君    矢尾喜三郎君  委員外出席者         証     人         (法務省刑事局         長)      井本 台吉君     ————————————— 本日の会議に付した事件  調査経過報告書に関する件  保全経済会等特殊利殖機関に関する件     —————————————
  2. 塚原俊郎

    塚原委員長 ただいまより会議を開きます。  この際お諮りいたします。行政監察特別委員会設置に関する決議によりまして、本委員会は少くとも月一回その意見を付して調査報告書議長に提出しなければならないことになつておりますので、ただいま諸君のお手元に配付いたしてあります通りの三月中における簡単なる調査報告書委員長において作成いたしたのでありまするが、これを議長に提出いたすことに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 塚原俊郎

    塚原委員長 御異議がなければ、さよう決しました。なお、字句の整理等につきましては委員長に御一任を願います。     —————————————
  4. 塚原俊郎

    塚原委員長 前回に引続き、保全経済会等特殊利殖機関に関する件につきまして調査を進めます。ただちに証人より証言を求めることにいたします。ただいまお見えになつておられる方は井本台吉さんですね。
  5. 井本台吉

    井本証人 そうです。
  6. 塚原俊郎

    塚原委員長 これより保全経済会等特殊利殖機関に関する件について証言を求めたいと存じますが、この際証人に申上げます。保全経済会全国に二百箇所以上の店舗を有し、出資総額約四十五億円、加入者は約十五万人に達する特異な利殖機関でありまして、従来その業務運営についてはとかくの風評があつたのでありますが、昨年十月二十四日突如として全国一齊に臨時休業に入つたのであります。この休業に立ち至つた事情については世上幾多の疑惑と関心を有する向きもあり、また一方これら類似特殊利殖機関の累増を見た今日、これら特殊利殖機関業務運営の実態を明らかにし、かつこれら特殊利殖機関に対する関係官庁の監督の当否について調査を進めることは、国の行政が適正にしてかつ能率的に行われているかどうかを監察しもつて立法その他国政の審議に資するため行政運営上障害となつている各般の事情を総合的に調査しかつその責任調査する本委員会の使命にかんがみ、きわめて有意義なりと考え、本委員会は本件の調査をいたすことになつた次第であります。証人におかれては率直なる証言をお願いいたします。  それでは、ただいまより保全経済会等特殊利殖機関に関する件について証言を求めることになりますが、証言を求める前に証人に一言申し上げます。昭和二十二年法律第二百二十五号、議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならないことと相まつております。宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言が、証人または証人配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあつた者、及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士弁理士弁護人公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあつた者が、その職務知つた事実であつて黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになつております。しかして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることとなつておるのであります。一応このことを御承知になつておいていただきたいと思います。なお、証人が公務員として知り得た事実が職務上の秘密に関するものであるときは、その旨をお申出願いたいと存じます。  では、法律の定めるところによりまして、証人宣誓を求めます。御起立を願います。  宣誓書の御朗読を願います。     〔証人井本台吉朗読〕    宣誓書  良心に従つて、真実を述べ、何事も  かくさず、また何事もつけ加えない  ことを誓います。
  7. 塚原俊郎

    塚原委員長 それでは宣誓書署名捺印してください。     〔証人宣誓書署名捺印
  8. 塚原俊郎

    塚原委員長 これより証言を求めるごとになりますが、証言証言を求められた範囲を越えないこと、また御発言の際にはその都度委員長許可を得てなされるようお願いいたします。まず委員長から概括的に証言を求め、次いで各委員から証言を求めることになりますから、御了承ください。なお、こちらから質問をしておるときはおかけになつていてよろしゆうございますが、お答えの際は御起立を願います。  井本君が刑事局長に御就任になるまでの略歴を簡単にお述べ願いたいと思います。
  9. 井本台吉

    井本証人 昭和三年東京帝国大学法学部法律学科卒業、ただちに司法省に入り、東京地方裁判所司法官試補昭和五年東京裁判所検事、続いて東京地方裁判所検事司法省刑事局課長東京控訴院検事大審院検事を経て昭和二十一年五月退職、爾来弁護士をやつておりましたが、昭和二十八年一月二十日最高検察庁検事に任ぜられ、昭和二十八年十一月九日現職法務省刑事局長に任ぜられ現在に至つております。
  10. 塚原俊郎

    塚原委員長 保全経済会資金受入れは、相手方が不特定多数人であつて、しかもあらかじめ確定利益分配を予約している点、これが一つ、それから、第二番として、あらかじめ期間を定めて元本返還を約束している点、第三に契約の際の出資者意思なとから判断するならば、出資ではなくして預金であると見るべきではないかと思うのですが、井本君の見解を承りたいと思います。
  11. 井本台吉

    井本証人 お話確定利率の供与、元本の変還等を考えますと一応預かり金のごとき嫌疑が十分でございますか、保全経済会出資者の一部に金を出資したと称する者もありまして、具体的には個々の事案について検討いたしませんと、断定的な結論が出ないと存じます。
  12. 塚原俊郎

    塚原委員長 銀行法違反になるとおお考えでしようか。
  13. 井本台吉

    井本証人 明確に銀行法違反になるという断定はいたしませんが、その容疑濃厚であると思います。
  14. 塚原俊郎

    塚原委員長 容疑濃厚ですか。そういうことであるならば、なぜ早くこれによつていろいろな問題を処断しなかつたのでしようか。
  15. 井本台吉

    井本証人 私、現職に任官いたしました当時、すでに保全経済会休業をしておりまして、三月の休業期間のうちに再開するというようなことを言つておりましたが、この問題が非常に世上騒がれまして、就任早々で非常に忙しい際でございましたが、いろいろ検討をいたしました結果、先ほど申し上げましたように預金ではないかという容疑が濃厚ではございますが、一面取込み詐欺的な色彩も非常に強いので、もし取込み詐欺ということになりますれば、預かり金ということと金を詐取したということとはたして両立するかどうか、非常に疑点があつたわけであります。現在私の見解といたしましては、もしこれが取込み詐欺であるということになりますならば、取込み詐欺許可を要するというような法理はあり得ないことでありまして、預かり金を許可なくして受けたという銀行法違反は成立しないという考えも立ちます。さような法理的のむずかしい問題がありまして、おそらく容易に私の以前において手がつけられなかつたのみならず、私の現職就任後につきましても、銀行法違反として処断するだけの確信が持てなかつたということになると存じます。
  16. 塚原俊郎

    塚原委員長 手がつけられない手がつけられないでほつておいたために、保全経済会とかその他これら類似利殖機関がいろいろの社会悪を犯して一般大衆に非常に御迷惑をかけておると思うのですが、あなたの方がはつきりした考えをもつて手をつけておれば、今回のようにいろいろなこういつた大衆に迷惑をかけたことが拡大しなかつたと思うのですが、その点いかがでしようか。
  17. 井本台吉

    井本証人 現在起訴しておりますように、かりに取込み詐欺ということが初めから明瞭にわかつておれば、はなはだ申訳ない次第であつたと存じますが、捜査機関といたしましても、保全経済会取込み詐欺であるという結論を出すことが非常に困難であつたということを振り返つて感ずる次第でございます。能力が足りなくてさような結論を早急に出せなかつたという点がもしおとがめを受けるのであれば、これはまことにその通り考えますが、実情は断定を下すのに非常に困難であつたということを申し上げたいと思います。
  18. 塚原俊郎

    塚原委員長 伊藤斗福に対しては、二十三年の九月十三日、日新生命保険相互会社から詐欺背任横領として東京地方検察庁告訴が提起されております。この事件は四年余の歳月を経過して二十七年十二月不起訴としてさしもどされている。この事件に関して井本君が知つておる点がありましたら述べていただきたいと思います。
  19. 井本台吉

    井本証人 私も、就任後、伊藤というのはどういう男か、至急取調べる必要がありまして、東京地方検察庁に命じて報告を取寄せたのでございますが、それによると、お話通り昭和二十三年九月十四日に告訴されております。告訴事実の要旨は、被疑者伊藤斗福日新生命保険相互会社京浜支社所属保険外交員であるが、同社取締役東京営業部長大野木昇同社京浜支社長鈴木春一らと共謀の上で、昭和二十三年二月ごろから同年八月ごろまでの間、葛飾区上平井町山田敏雄外百数十名に対して、会社より融資条件付保険契約締結を禁止されているのに、保険に加入すれば相当額融資をする旨虚偽の事実を申し向け、保険契約締結せしめて、保険料名下合計千二百五十六万九千十円を騙取し、第二に、前記保険料業務上保管中、そのころほしいままに内金七百八十二万六千九百六十円を着服して横領し、第三、前記のごとき融資条件付保険契約締結は、会社側において禁止しているため、かかる条件を付すべからざる任務を有しているにかかわらず、募集成績を上げ、これに対する報酬を得ようと考え右任務にそむき前記のごとき融資条件付保険契約締結し、これに対する報酬として前記会社から合計金二百三十万五千円を受取り、その後右保険契約を解約するに至らしめて、右会社報酬額相当損害を加えたのである、これが告発事実でございます。この事実につきましては、東京地方検察庁の平山、小山田、山岸各検事が引続き取調べをしたのございますが、要するに、会社側が当時の情勢である程度融資条件を認可したような形跡があるという点が疑われた点、その他正規な金を支払うべきものを会社側で支払つていない、そのためにやむを得ず他の契約金を支払うべき方向にまわしたというような諸種の事情を加えまして、結局昭和二十七年の十二月にこの事件犯罪として起訴するに十分な資料がないということで不起訴処分にしたのでございます。しかしながら、伊藤事件が今回のように問題になつて参りましたので、最高検察庁もしくは高等検察庁でさらにこの事件について再検討を加えております。ただ、不起訴にいたしました事実につきましては、告訴人その他からは別にこれが不服であるという申立てはなかつたようでございます。  以上の通りでございます。
  20. 塚原俊郎

    塚原委員長 これは四年間もかかつてつておられるのですが、その取調べの過程においては、何か特に手心を加えたというか、ずらしてやつたというようなことはないのでしようね。
  21. 井本台吉

    井本証人 さようなことは絶対にないと思います。
  22. 塚原俊郎

    塚原委員長 伊藤斗福が今日こういうような問題を起しているのですから、こういつた告訴事件についても周到にまたすみやかに取調べをしていたならば、今のように大衆が迷惑をすることもなかつたのじやないかということをわれわれとしては考えられるわけです。検察当局事件を大きくしてから検挙するというような傾向も考えられるのですが、そういうことはございませんか。
  23. 井本台吉

    井本証人 さようなことはございません。犯罪があつて、悪質であれば、なるべく早期に検挙いたしまして、大衆の皆様に御迷惑をかけないように、日ごろから心がけております。
  24. 塚原俊郎

  25. 鍛冶良作

    鍛冶委員 今承つておりますと、銀行法違反疑いがあつたが、確定しなかつたと言いますが、その確定しなかつた根本理由は、一面匿名組合と認められる点があるからでございますか。この見解がありましたから、匿名組合だということになれば銀行法違反にはならない、そういうところから躊躇せられたものでなかろうかと思いますが、その点はいかがですか。
  26. 井本台吉

    井本証人 先ほど申し上げました通り、人によつては明らかに確定利付元本返還ということで、預金をするようなつもりおつた人もあるようであります。中には、ほんとうに金を出資いたしまして、株券を買つてもらうというような、出資をしたつもりでおる者も相当あるやに聞いております。さような点が一律に断定しかねたので、一律に全部を銀行法違反として断定するという結論に達しなかつたわけでございます。
  27. 鍛冶良作

    鍛冶委員 そうすると、問題は匿名組合と認められるかどうかということですが、この間から銀行局関係人々の話を聞いておりますると、純然たる匿名組合というわけには行かぬかもしれないが、匿名組合に準ずるものであつて債権者は投資したもの、出資したものと認めてさしつかえないということをしはしば聞いておつたのですが、あなた方の方でもさような見解をとつておられましたか、いかがですか。
  28. 井本台吉

    井本証人 私が申し上げました通り、全部が匿名組合契約だけであるということは、とうてい断定いたしかねたのでございます。それは、ただいま申し上げましたように、金を銀行に領けると同じような気持で、利息をもらい元金をもらうというつもりで出しておる者も相当ございますので、さようなものについては、これは匿名組合ではないと解釈すべきものではないかと考える次第でございます。
  29. 鍛冶良作

    鍛冶委員 銀行局人々や国税局の人の見解をこの間聞いて、われわれも意見を述べたのです。あなたはおいでにならなかつたのだが、その後お聞きになつておると思う。法務省としての確定した見解は、やつぱり純然たる匿名組合ではないが、匿名組合に準じた適法なものと認めておられたかどうか、この点について。
  30. 井本台吉

    井本証人 これは、はなはだむずかしい問題でございまして、私、就任後にもいろいろ検討を加えたのでございますが、どうも利息確定的に払うとか、三箇月後に元金を全部払うというような点を見ますと、これは預金類似行為ではないかと考えられるのでございますが、出資契約書を見ておりますと、金何円を出資いたしますという申込書を書きまして、それを出しておるというような点は、いかにも出資のごとくにも見えます。従つて、私、大蔵委員会等にも就任後に出席を求められまして申し上げたのでございますが、正確に言うと、これは一件々々、一つ一つが状態が皆違うので、ものによつて匿名組合をやるつもりで金を出資した者もあるし、ものによつて預金をするつもりで出した者もあるということにならざるを得ないのでございます。全般的にこれを早急に結論を出してただちに預金行為であるというような断定を下すのはどうも早過ぎるのではないかということが、私ども結論であつたわけであります。  なお、この前申し上げました通り、これは法務省刑事局といたしましては、預金行為でただちに起訴いたしますと、伊藤罰金五千円だけの事件になりまして、相当迷惑をかける段階になつて、しかも罰金ではこれはあまりに刑が軽過ぎるというのがまず第一点、それから、先ほど申し上げましたように、取込み詐欺ということになりますと、取込み詐欺許可を受けてやらなければならぬというようなことはあり得べきものではないので、これは詐欺罪だけが成立して、銀行法違反は成立しないのではないかという法律論もありまして、私どもといたしましても、断定的な結論を出しかねたということを申し上げた次第でございます。
  31. 鍛冶良作

    鍛冶委員 これは、もう起訴されておるから、必要ないかもしれませんけれども、私らも法務委員会でこの点を調べました。そこで私も相当つつ込んで述べたのですが、私は、どうもこれは、匿名組合でないとして、匿名組合類似投資契約である、こう見られることは不服なんです。というのは、先ほど委員長も聞かれたが、第一は、これが不特定多数人を相手にしておる。匿名組合であれば不特定多数人を相手にすべきものではないとわれわれは思う。匿名組合というものは、事業家出資者との特別の信用関係である。そうでなかつたら匿名組合というものはできないのです。そんな不特定多数人からいつでも契約ができるというものでない。これが第一点。その次は、利益があろうがなかろうが月三分もしくは五分の利息配当をやる。匿名組合であれば、事業をやつて利益があれば分配する、こうでなかつたら匿名組合でない。利益があろうがなかろうが、配当を渡すと言うておる。これも匿名組合と根本的に異なるところであると考える。その次は、事業がどうなろうがこうなろうが、一定期間が来れば元本配当も返してやる。しかもこれは三月ですから、いやしくも匿名組合一定事業をやろうというときに、二月や三月でその事業が終了して元本が返るわけはない。それを顧みずして返してやるというところに、これも匿名組合と根本的に異なるところがある。最後に、最も大きいものは、匿名組合というものは事業家事業確定しておらなければならぬ。こういう仕事をやるから、これに金を出してくれ、こう言わなければ、だれも金を出してくれるものではない。また匿名組合になるものではない。しかるに、あなた方も保全経済会定款をお読みになつたろうが、あの定款には、証券売買不動産売買、その次は理事会において決定した事業、こう書いてある。前の二つはきまつておるが、あと理事会できまりさえすれば何をやつてもいいことになる。これはその匿名組合としてあり得べきものではないと思う。さらに、理事会なるものはどういうものかというと、理事というものはおりません。保全経済会には理事はおらない。理事長一人おる。つまり、定款の上で理事会で定めるというけれども、たつた一人の理事長なんです。理事がおらぬで理事会というものはない。伊藤斗福が認定したら何でもやれる、こういうことに結論づけられる。この意味において、私はかようなものは絶対に匿名組合でないと思う。してみれば、不特定多数人から預かつて一定利率をやる目的としてとつておるとすれば、これは銀行法違反になる。もしも銀行法違反ならざりせば、匿名組合と称して人の金を預かつたものであるから、詐欺になることは明瞭である。こういうことをわれわれは認定したが、これ以上はうつておいていいかということを検察当局なり警視庁へ申し出たことがあります、これはあとの祭りかもしれませんが、さような考えは起らなかつたのかどうか、この点をお聞きしたいと思ます。
  32. 井本台吉

    井本証人 お話通り、私も伊藤行為全体がどうも取込み詐欺であるという感じを非常に強く持ちまして、私としては、少し言い過ぎであつたかもしれませんが、昨年の十一月の大蔵委員会でも、これは取込み詐欺として扱うべきものではないかという考えを持つているということを申し上げた次第であります。匿名組合であるかどうかという点は、たとえば損失を分担しない、——というのは元本を返すことになるのだから、これは匿名組合として成り立たないのじやないかというお話でございますが、これは損失分担の特約ということも匿名組合のうちにございます。それから、不特定多数人を相手にしたのだから匿名組合にならないのではないかというお話でございますが、契約する前は不特定多数ではございますが、契約してしまえば相手方がはつきりできるので、その人間と匿名組合契約をするということも可能であります。ただ、伊藤のごとき十何方というような多数の人との間の匿名組合契約をやつたとすれば、一件々々がその匿名組合になるので、計算の基礎なども非常に困難であるということになります。従つて、実際上利益をどう算定するか、損失をどう算定するかということは、ほとんど不可能に類することになりますが、これもまあやつてやれぬことはないのでありまして、当事者が、自分の金を出資して、それで土地を買つてもらい株を買つてもらう、そしてその利益を受取るのである、しかも元本は保証してもらうということであれば、さような匿名組合というものもないとは言えないと私は考えるのでございます。事業確定していないというのも、これも当事者の問の契約で、大体において特定しておれば、それが不動産投資であろうと証券投資であろうとそうこれにごだわるというのでなければ、さような匿名組合もないとは言えないと私は考えるのでございます。従つて、さような点があるからすぐこれが匿名組合でなくて預金行為であるというように断定するのは、少し早過ぎるのではないか。しかも、もしこれが預金行為であるということに認定して、伊藤が金を預かつたのである、それが適法な預かり方をしたのであるということになりますると、この取込み詐欺も一所為数法というか、すでに銀行法では取上げられておつて取込み詐欺では扱えないというような結果になりましては、これはむしろ軽く処罰して大魚を逸するということになりましては、遅ればせではありますが、社会的な均衡を保てないというような考えも持ちまして、先ほど申し上げたような結論を出したのでございまして、鍛冶さんのお話の点だけで、ただちにこれが当事者意思にかかわらず匿名組合であるというように断定する勇気は、現在のところ私にはございません。
  33. 鍛冶良作

    鍛冶委員 議論をすればきりがありませんが、しかし、現在は詐欺として起訴せられたのですから、これはまあいい。ただ、問題は、早くこれをやられたならば、こういう弊害、つまり債権者に迷惑をかけないで、一日でも早ければ早いだけよかつたのでないか、この点だけをわれわれ今日論ずるわけであります。また一般国民もさよう考えておると思います。将来においてもこういうようなことがありますれば、もちろんやりそこなつてはあなた方も責任があるからたいへんであろうが、こういう一般大衆に迷惑のかかるようなことに対しては、できるだけ早く手をつけるようにして、今後かような損害のないことを希望いたすものであります。  そこで、もう一つ聞きたいのは、伊藤斗福の前の行為ですが、先ほど別に何のこともないと言われましたけれども日新生命から告訴しましたのは昭和二十三年の九月なんです。それが二十七年の十二月にようやく不起訴の決定がありました。これはもう四年何箇月間かかつております。これは手落ちがないとおつしやつても、だれが聞いても、どういうわけでかようなことが長くなつたのか、——もしこういうことがいかぬということで世間に公表せられるならば、伊藤斗福がやつたような大きな詐欺事件は起らぬで済んだであろう、こういう疑いは当然起りまするが、この点に対してあなた方は十分お調べになりましたかどうですか。
  34. 井本台吉

    井本証人 伊藤斗福昭和二十三年九月十四日に告訴を受けましたのは先ほど申し上げた通りでございます。その裁決が昭和二十七年十二月になつたということも先ほど申し上げた通りでございます。相当長日月間結論が遅れたということはまことに申訳ない次第でございますが、先ほど申し上げましたように、いろいろ複雑な事情があつて、ことに告訴側から実は融資条件つき契約を許しておるのではないかというような事情がほの見えると同時に、何か告訴状自体だけではなく裏の事情もいろいろあるのではないかというようなことがほの見えましたので、だんだん裁決が遅れて、その間に検事も交代するというようなことで、処分が遅れたと存ずるのであります。ただ、かようなことを今から申し上げてもおそいのでありますけれども、確かに伊藤のような多数の者に迷惑をかける者は、もう少し告訴状の裏にまで目を通しまして、早く処置をすべきではなかつたかという気もいたしますが、何分にも非常に多忙の際でもあり、能力が足らずにかようなことになつたのではないかと考える次第でございます。  なお、つけ加えてはなはだ恐縮でありますが、最近ハムスターなどというものの飼育関係で千葉県あたりでも事件がございますが、かようなものについて早く処置をしませんと、あとあとになつて多数の人に迷惑がかかるということも注意をいたしまして、私の前の刑事局長がちようど千葉の検事正をやつておりますので、調査をやつてもらいまして、これは早いうちに始末しろということで、取込み詐欺罪ですでに起訴しております。さようなことで、今後は、無辜の者はもちろん起訴なんということはありませんが、怪しげな者については、十分前後の事情に注意いたしまして、多数の人に迷惑のかからぬように、ふた葉のうちに処置いたしたいと考えている次第であります。
  35. 鍛冶良作

    鍛冶委員 ことにこの事件で見のがすべからざることは、この詐欺告訴をせられている事件の内容そのものが、今日伊藤斗福がやりましたわれわれのいう自転車金融——先のものを使つてしまつたら、あとから来るのを待つてつてまわす、このやり方をこのときにもうすでにやつておつた。保険金を受取ると、それを貸してやる。そうすると、金があいておりますから保険金を入れなければならぬ。そこでまた次の者をだまして金をとる。そこでようやく金を納めて、次の新しい自転車経営をやつておつた。これは伊藤斗福の性格を調べる上において私は最も重要な点だと着目したのですが、そういうようなことをやつてつた者を早く調べておられるならば、まつたくこのようなことはなかつた。まことに私は遺憾で、手落ちがないならいいが、世上伊藤斗福があまりに勢よくやつているものだから、そこでいろいろなじやまをしたというか、何をしたというか、取調べなかつたのじやなかろうかという疑いの目を持つておるのですから、この点はひとつ明瞭にしていただきたいと思います。  それから、今あなたは当事者から不服の申立てがなかつたとおつしやつたが、当委員会の調べたところでは、不起訴処分に対してただちに抗告しています。昭和二十七年十二月に不起訴になつたのですから、十二月中に抗告したのだと思うが、その抗告によつて受理しようということがきまつたのは昨年十二月、一箇年でようやく受理することにきまつておる。この点、もしお調べでないならば、どういうわけでそう長くかかつたのか、もう一ぺんお調べになつて、御答弁なり御返答なりを願いたい。
  36. 井本台吉

    井本証人 私どもの調べでは、東京高等検察庁最高検察庁も、さような抗告を受けてないという報告でございますが、鍛冶さんからのお話もございましたので、これは帰りましていま少しよく調べてみたいと存じます。ただ、不起訴になる前の昭和二十五年一月中に、告訴人から東京検察庁に対して、もう少し早く調べてもらえぬだろうかというような処理促進に関する申立てがあつたということは私どもも聞いておりますが、お話の点は昭和二十七年十二月以降のことのようでございますので、これは調べてただちに御報告を申し上げたいと存じます。ただ、抗告いたしますると、ただちに上級審の東京高等検察庁で調べるはずでありまして、その間に一年余もはつておくということは、ちよつと私どもとしては想像ができないのでございます。あるいは一度東京地方検察庁で不起訴にはいたしましたが、さらに再考を要するということで、処分を留保してそのまま見送つていたということもないとは言えないので、もしさようであればはつきりすると存じますから、この点につきましては少し時日の余裕をいただきたいと存ずる次第でございます。
  37. 塚原俊郎

    塚原委員長 井本君に申し上げますが、今の問題は非常に大事な問題だと思いますから、お調べができるならば、文書でけつこうですから、御返答願います。
  38. 鍛冶良作

    鍛冶委員 これは、この事件に限りませんが、われわれ長い間の経験ですが、とかくどうも告訴した事件はおろそかにせられる傾向のあることはわれわれ知つておる。民事くずれだというのは、あるいはそういうところから来たのじやなかろうかとわれわれには懸念せられるのです。ところが、こういう重大なことになつて来ますと、そんなことをしておつたからこんなことになつたということになりますので、これらの点に対しましても、ことにこの事件と同じようなことが現に起きてやつておるものなんかを考えましたら、なおさら私は迅速に徹底的に調べられることが当然だと考えますので、今後かようなことのないように、特に私はあなたの方からしかるべく手段を講ぜられることを希望いたします。
  39. 高木松吉

    ○高木委員 関連して。証人は二十八年の十一月においでになつて、その前のことはわからないかもしれませんが、職掌上尋ねておかなければならぬことですから、おわかりになる程度お答え願いたいと存じます。  それは、伊藤のなした行為は、今証人お話のように、匿名組合契約であるか、預金契約か、詐欺か、この三者のいずれかに該当するものということに大体われわれも考えております。もし匿名組合なら違法性がなくなるが、預金ということになれば違法となり、詐欺となれば完全な刑事上の責任を負うということでございます。そこで、現在あなた方の御見解は、この種の行為純然たる詐欺であるという確信を得ておられるようでございます。ゆえに起訴をなされたのだと思います。そこで、この問題が役所として問題になつたの昭和二十六年中であつたろうと私は承知しております。これに対して民事局長も銀行局長もいろいろお話いたしておりますが、匿名組合であるか預金行為であるかが相当論争の中心になつて銀行局刑事局及び民事局等でお話合いになつたらしいが、しかし、刑事局として出られておれば、当然今あなたのお考えになつておるような詐欺罪の問題が起きなければならなかつたのに、この問題については証言されておりません。そこで、刑事局がこの問題について各省との間の話合いのときに詐欺罪として見るべきものじやないかというような見解をお持ちになつておられたのでしようかどうでしようか、その点をお伺いいたします。
  40. 井本台吉

    井本証人 部内では、これは自転車操業で詐欺罪になるのではないかということを考えておつた者もあるかもしれませんが、私の聞いております範囲では、そこまで断定した人はほとんどなかつたように存じます。これは余談で恐縮でございますが、私、休業後に検討いたしましたが、もし詐欺ならすくに詐欺罪として検挙していいわけでございますけれども、もし詐欺罪として検挙することによつて伊藤事業が成り立たなくなつて、被害者が多数出て迷惑をこうむる、その責任を官庁が負うのはこれはたまらぬということで、詐欺罪として断定して確かに成り立ち得ればただちに検挙しなければならぬのでございますけれども、その辺の断定休業後においても完全につかなかつたというくらいでございます。昭和二十六年ごろはインフレの非常なはなやかな時代で、投資信託などにおきましても、二年で五千円の金が一万二千円くらいになつて返るような時勢でございますから、月二分やそこらの金を支払うというようなことは、観念上は成り立ち得るというふうなことで、そこまではつきりした見通しを持つた者もあまりなかつたのではないかと考えるのでございます。昭和二十七年七月十八日、二十八年の二月十八、九日ごろにも会議をやつたということは、私就任後に聞いておりますが、詐欺としてただちに検挙すべしというふうな断定的な意見は出ていなかつたという記憶でございます。
  41. 高木松吉

    ○高木委員 いろいろ納得のできるお話もございますが、先ほど鍛冶委員から尋ねられました点もあわせて考えて、伊藤がいかなる意思を持つてこの行為をなしておるかということの判断の資料にされたでしようか。
  42. 井本台吉

    井本証人 当時係属中もしくは処分されておつた伊藤事件、この古い事件検討されたという報告は聞いておりませんので、はたして判断の資料にしたかどうか、私はただいま御返答いたしかねる次第であります。
  43. 高木松吉

    ○高木委員 現在詐欺罪起訴されているのは個々の問題について検討した結果だと言われますが、それはいつごろから起訴されているか、もし起訴されたものが最初の伊藤行為にまで及ぶということになりますと、これは検察庁が相当の責任を負わなくちやならぬようになると思いますが、いつごろから行われた行為に対して起訴されておるのか、その点を明らかにしていただきたい。
  44. 井本台吉

    井本証人 昭和二十九年二月十七日付の起訴状によりますと、昭和二十八年八月一日以後の点が詐欺罪として一応起訴されております。それから、昭和二十九年三月十七日付の追起訴状によりますと、昭和二十八年七月二十四日から十月二十二日までの点が起訴されております。もちろん起訴になつておりますのは調べの済んだ比較的少い部分ではないかと存ずる次第であります。
  45. 高木松吉

    ○高木委員 捜査の過程ですから、はつきりした見通しはつかないでしようが、大蔵省の銀行局、民事局、刑事局等でお互いに検討をしておつた昭和二十六年ごろ、それに近いころの伊藤行為詐欺起訴される事実があるとすると、この問題に対する責任はどう考えられるでしようか。
  46. 井本台吉

    井本証人 最初から全部が取込み詐欺だつたということになりますと、取締り関係といたしましては、はなはだ不明不敏と申し上げるよりほかいたし方ないと思います。その点については、多数の人が迷惑したということについて十分責任を感じておる次第であります。
  47. 高木松吉

    ○高木委員 まことに尊重すべき証言でございます。その銀行局、民事局、刑事局の打合せの会合において、大蔵省はがんとして匿名組合であるという主張をなさつたように私どもは承つておりますが、その点はどういうことになつておりましたか。
  48. 井本台吉

    井本証人 又聞きの報告で恐縮でありますが、昭和二十八年の二月十八、九日ごろの会合の際には関係者が全部集まつて、株主相互金融とかあるいは匿名組合方式の金融機関について検討を加えて、結局匿名組合関係のものにつきましては、伊藤斗福保全経済会も含めまして、その当時の最大公約数として、これが匿名組合ではないというだけのはつきりした材料はないということが、その最後的な結論であつたというように聞いております。もちろんこれは、匿名組合でないと断定する者、匿名組合であると断定する者、いろいろ意見を闘わした結果、全体の最大公約数として、匿名組合ではないと断定するだけの資料がないというのが結論であつたように聞いております。
  49. 塚原俊郎

    塚原委員長 中野四郎君。
  50. 中野四郎

    ○中野委員 井本さんが就任されたとき、何か保全経済会のことで引継ぎというようなことがあつたかどうか。たとえば、匿名組合でないと断定をいたしがたいとか、匿名組合であると断定をいたしがたいというような意見の相違がいろいろあつたようですが、あなたが就任をされたときは休業中なんですから、そのときに前局長からそういうような引継ぎとかなんとかあつたのでしようか。
  51. 井本台吉

    井本証人 当時、この問題をこう従来解釈してこう将来すべきだというような引継ぎはなかつたと私は記憶しております。
  52. 中野四郎

    ○中野委員 そうすると、あなたの方ではあまり重要視してなかつたわけですね。銀行局長の証言では、三月四日に法務省と大蔵省との意見が一致したと言つておるのです。それは匿名組合でないと断定をいたしがたいということに意見が一致したというのです。ところが、先日ここに民事局長もおいでになつたのですが、昨年十二月四日でしたか、私らがあなたのところをおたずねしていろいろ話をしましたときに、今あなたが御証言なつたようなお話がありましたね。だから、私らも法務省と大蔵省は大分見解の相違があるという考えのもとに今日まで来たのですが、銀行局長の河野君は、二十八年三月四日に完全に意見が一致したのたと言つておる。しかし、あなたの方の吉田参事官を通じて大蔵省に答弁をされたのは、そういう意思表示でなく、むしろ、民事局長の言葉を借りて言えば、匿名組合であると断定いたしがたいというような感じを多く持つておられたのが法務省見解ではないでしようか。大蔵省は匿名組合でないと断定をいたしがたいと言つておるのです。ところが、民事局長は、私の気持を率直に言えば、匿名組合であると断定はいたしがたい、この方が私のほんとうの気持だということをこの間ここで言うておられます。それから、現在でもおらく法務省と大蔵省の見解の相違は本質的にあるんじやないかと私は思うのですが、この点はいかがでしようか。
  53. 井本台吉

    井本証人 おそらく、民事局長は、今お話のように、匿名組合であると断じがたいというような結論であつたのかもしれませんが、当時の会合の模様をあとから聞いてみますと、民事局長は直接出席しておられないで、吉田参事官が出席しておつて会議の席では匿名組合でないとはつきり断定するだげの資料はないということで一応結論を出したというように私は聞いておるのでございます。ただ、その結論が満場一致、みな心からさような結論でよつしいということではないので、それぞれ多少不満があつた結論ではなかつかと私は思います。
  54. 中野四郎

    ○中野委員 よくわかりました。結局大蔵省側が一方的に三月四日に意見が完全に一致したというような発表をししおることは、私は少々疑点があるという考えで、今日までみな各委員もそういう気持を持つておるのです。だかつ、河野銀行局長には二日もおいでを願つて、ずいぶんやかましく言うたのですが、彼は速記の上でも、もう十数回にわたつて、三月四日に意見が一致して、政府部内にも意見の相違がないのだということをしばしば言つおるのです。  そこで、現在は匿名組合でないということが断定できる過程にあるのですかどうですか、これを伺いたい。
  55. 井本台吉

    井本証人 冒頭にも申し上げました通り、現在でも、これが全部が匿名組合ではない——一件々々ことごとくが匿名組合でないというだけの断定は私はいたしかねるのであります。中には、もし詐欺でなければ預金と思われるようなものが相当たくさんありますが、ある一部のものは、名を隠して運用してもらうということで金を出しておるという気持の者もあります。従つて、十五万人の契約者が全部これが預金行為匿名組合ではないというだけの断定する結論には達しないと私は考えるのでございます。
  56. 中野四郎

    ○中野委員 そうすると、少し立ち入つて率直にお聞きするのですが、支障のある場合にはどうぞ速記をとめてもけつこうです。私らの方の調査の過程において必要を生じて来ておりまするから、許される範囲で現在の取調べ状況あるいは共犯関係等について御説明を願いたいと思うのです。逐次私の方から伺つて参りまするが、とりあえず現在の取調べ状況と、それから事案の進展状況、すなわち詐欺起訴したものはどことどこで、どういうところに疑点が残されておるかという点を御説明願いたいと思うのです。便法上向支障ありませんから、速記をとめてけつこうです。
  57. 井本台吉

    井本証人 先ほど鍛冶さんにお貸ししました起訴状にある程度の報告を受けておるだけで、現在なお詐欺罪として十分公訴が維持できるというところに全力を注いでおるという報告を受けておる程度でございます。
  58. 中野四郎

    ○中野委員 そうすると、私はあなたの方の取調べ過程についてもいささか疑点を持つのです。起訴状だけでなく、刑事局長としてこれだけの関心を払つておいでになり、御就任以来相当な関心を持つて調査を進めておられたのですから、当然この内容については詳細な報告を受けておられると私は思うのです。支障があればやむを得ません。しかし、支障がない限界において御説明を願うことができ得ないなれば、私の方から個々にお尋ねをいたします。  先日の国会における平野証言、広川証言という二つの問題に端を発して、政治献金ないしは政党献金というものが相当数ある事実が明らかにされておるのです。もし幸いに支障がない範囲であるなれば、この平野君の証言のうちどの点とどの点が明らかになつておるか、あるいは広川君の証言のごとくこれを否定することができるか肯定することができるか、こういう点について御説明を願いたいと思うのです。政党献金あるいは政治献金のわかつておる範囲においてです。私の方も調査の資料を持つておりまするから、ある程度までは了承しておりまするが、この保全経済会が今日のごとく全国の十数万の人間に大なる実害を与えた最大の原因はどこにあるかと言えば、使途不明の金が原因の一つに数えられておるのです。その使途不明の金の内容については、本人が財産を隠匿するとかあるいは浪費をするとか、ないしは政治献金あるいは政党献金等によつて多額の金が費消されておる事実があるのです。これがなければあなたの方でも保全経済会の実態を把握することが難儀でありますから、当然捜査当局においてこのことをなしておるはずであります。してみれば、さしつかえのない範囲において御説明を願うことは私は支障がないと思いますが、御存じの点について御説明を願いたいと思います。
  59. 井本台吉

    井本証人 現在、伊藤斗福の関係につきましては、詐欺罪、外国為替管理法違反等につきまして起訴しております。なお、詐欺罪については、この一部を起訴しておるだけで、さらにその大部分につきましても起訴をしなければならぬ状況にある次第でございます。いかにして公訴を維持するか、公訴の維持の資料に全力を尽しておる状況でありまして、その使途についても調べてはおりますが、今この席において発表申し上げる段階には達しておりません。その点については他日おそらくこの事件の全貌がはつきりいたしますれば御発表申し上げることになると存じますけれども、ただいまでは、今申し上げますように、御発表申し上げるような段階ではございませんので、しばらく御猶予を願いたいと存じます。
  60. 中野四郎

    ○中野委員 それでは、こういう角度からどうでしよう。平野力三君の証言を全面的に否定でき得る根拠があるかどうか、これを伺いたい。
  61. 井本台吉

    井本証人 私ども刑事事件になるかならぬかという点について犯罪捜査をしておりますので、刑事事件に直接関係があればその捜査に関連して調べをいたしますが、ただいまのような点について、捜査の過程においては今御発表申し上げる段階ではないと申し上げた次第でありまして、その点についてここで明確なお答えをする段階ではございませんから、この点は御了承を願います。
  62. 中野四郎

    ○中野委員 それでは、否定はしないという意味ですね。そこで、私は共犯関係について少し伺つて行きたい。このことが明らかにならないと、一体捜査当局はどこに基本を置いてこの保全経済会類似特殊利殖機関を調べておるかという基本線、ポイントが出て来ない。というのは、最初伺つたように、就任のときに引継ぎもなければ、それから、就任後においては、休業中ではあつたが、あなたか非常に熱心にこの問題を調査研究されたことも私は聞いて知つておる。ところが、大蔵省側の見解は、匿名組合でないと断定はいたしがたい、法務省の中でも民事局長は、匿名組合であると断定はいたしがたいという建前をとつておる。政府に一貫したいわゆる意見の一致を見たとは言えないのであります。現在あなたの方で、匿名組合でないと断定できない、いろいろな角度から考えてみて、その結論を出すことはむずかしい、しかし詐欺事犯としてこの問題を調べて行かなければならぬ、——その前提として、あなたはたいへん遅れたことは申訳ないと言つておられるのだが、実際上において全国十数万の多大の実害者を出したことの根本原因はどこにあるかと言えば、関係官庁である大蔵省がこの判断を故意にかあるいはいかなる理由によつてかは知らないけれども遷延せしめたことが、このような事態を起した一つの原因であり、法務省においてもすみやかにこの実体を把握して調査あるいは捜査を進めて行けば、当然このような実害がある程度救われたであろうという感じがするのであります。そこで、この保全経済会の内容をだんだんと究明いたしました一つの力になつたものは、行政監察委員会調査が一方において非常に進んで、あなた方にお目にかかつていろいろ申し上げた段階においてもおわかりの通りだと思う。すでに私は、国警の中川刑事部長ですか、国会へおいでを願つたときに、田渕小委員長とともに、少くともそのポイントは一月二十三日ですぞ、休業期限が来たときに彼が逃走するか、あるいはそれまでに財産の隠匿をするか、ないしは何らかの危害を加えられるおそれもある、彼が二箇月あるいは三箇月の一回目の休業を宣告するかもしれない、従つてあなた方が逡巡しているときではないのであつて、かげでぼそぼそと調査をしておるが、しかし逡巡しておるときではない、むしろ一月二十三日をポイントにしてあなた方は積極的に態度をとらなければいけないということは、国警の刑事部長にも私らから進言をしております。さらに、十二月四日にあなたのところにお伺いしたときにも、そういうような意見をひそかに申し上げた記憶を持つておる。そこで、国会におきましても保全経済会あるいはこれに関連するような特殊金融機関について積極的に調査を進める、あなた方の方は一方犯罪的に捜査をやる、私の方ではあなた方のやれない部分ついて十二分に協力を申し上げる、すやかにこの実体を解明して何らかの形において実害者の財産を保全してやらなければならぬという観点から私らは出発して、かなり積極的な調査を今日まで進めて来たつもりです。その過程において、平野君の証言というものは、何と申しましても本委員会調査の過程においては保全経済会類似機関の内容を解明する上においてはよい意味においての証言であつたと思うのでございます。というのは、この保全経済会の内容が実際上に詐欺的な色彩を多分に持つておるのでありますが、第一番に、つぶれた原因を調べて行けば、先ほど申し上げましたように、使途不明の金が非常に多いということ。四十五億からの金を集めそうしてその実態は十数億しか今日では残つておらぬ。損害等を抹殺いたしましてもなお十億なり十五億という莫大な不明の金があるわけであります。これを解明するにあらずんば、委員会といたしましても本件調査の目的をかなえるわけには参らない。私は、あなたが現在詐欺罪として起訴され、あるいはそれを調査しておられる過程において、どうしてもこの案件をば明らかにするためには伊藤斗福あるいは望月京一、井上俊吾の三君をこの委員会に呼ぼうとしたのですけれども、一月の二十四日でしたかに検挙されました。国会の再開は一月二十六日以後であります。そこで、本件究明の最もポイントであるこの三君は検挙されておりますから、三権分立の建前からも、司法権の発動によつて今日被疑者として検挙を受けておる者をば、立法府の行政監察委員会証人として喚問することは不適当であると考えております一人でありますから、あえてこのことは強要はいたしませんでしたけれども伊藤斗福、望月京一、井上俊吾については、どうしてもある一定調査をしなければならないのであります。そこで、今日あなたが御出席になつたのを幸いに、もし支障のある点はということを前提としてお尋ねして、ただ漠然と、今取調べ中だから申し上げるわけにはいかないという言葉では、私らは了承いたしかねる。でき得るならば、速記をとめてもけつこうです。あるいは秘密会にしてもけつこうです。われわれの気持のあるところを了解せしめ得るだけの御協力が願いたいのであります。捜査に支障があるものを私らがここで伺うことは決して好ましいことではありません。しかし、ある程度固まつたものがあるのです。固まつたものがあればこそ起訴しておられるのですから、その過程についての御説明は決してさしつかえないのではないか。たとえば望月京一が現段階においては非常な共犯関係にあることも明らかであります。いわんや、彼が児玉誉士夫君の家にわざわざ寄宿しておるというのはどこに原因があるか。ないしは彼が検挙の際摘発されましたピストルとかあるいはその実弾とか、こういうものがどこから出ておるのだとか、捜査の結果どういうものが出たというようなことは一向御説明願つても支障ないと思う。あるいは井上俊吾が政党献金をしたという証拠書類を、あなたの手元に届いておるかどうかしらないが、警視庁の浅沼捜査第二課長のもとには、本委員会としての重要な資料として私の方から差上げてあるはずです。これは、警視庁が政党献金を追究しましても、彼らは黙秘権を使つて一切自供しなかつた。しかしながら、この一札がある限りにおいては、政党献金の内容を言わざるを得ないから、徐々に伊藤斗福あるいは井上俊吾の自白というような点も私は否定はできないと思う。いわんや、国会において平野力三君の証言が今日勾留中の彼らに相当大きな心理的影響を与えた事実も私は否定できないと思うのであります。だから、私らの方も相当協力的にお話を進めておるのですから、あなたの方で許される範囲において、現在の調査過程、あるいは望月、井上、これらの共犯関係、ないしは国会議員としてお調べになつた人々が数名以上あるはずでありますから、その人たちの名誉に関することならばこれは発表を控えられて一向さしつかえありませんが、しかし、重要な関係者として平野力三君は調べを受けておるはずであります。そういう過程から出て来た政党あるいは政治献金の内容というものが相当本件解明の上に重要な要素を含んでおることだけは事実なんですから、どこに幾ら行つておるかというくらいのことは大体わかつておるはずであります。これは伊藤の自白によつてもわかつておりますし、また井上の自白によつても明らかになつておるのであります。従つて、私は、今後の捜査に支障のある場合においては求めません。しかし、本件解明の上においてさしつかえない範囲においては御証言を願つても一向支障はないものではなかろうかと思うのであります。この点について何らかの意思表示が願えるかどうか。
  63. 井本台吉

    井本証人 いわゆる政治献金といわれる金、これがもし詐欺罪によつて取得した金でありますれば、臓物の処分、臓金の処分ということになりまして、当然調べの対象になるはずであります。ただ、たびたびお叱りを受けてはなはだ恐縮でございますけれども犯罪捜査はなかなかスローモーでありまして、容易にその結論が出ないのが多い次第でございます。鋭意伊藤の使いました金につきましては取調べを進めております。現在では当委員会におきまして私が御発表申し上げる段階ではないということを申し上げた次第でございまして、いま少しく御猶予をいただきますれば、おそらく、先ほど申し上げたような観点からも、どうしても取調べをしなければならない事情に該当しますので、必ず御発表申し上げる機会があると私は考えておる次第でありますので、それまで御猶予をいただきたいと考えております。
  64. 中野四郎

    ○中野委員 委員会では近いうちに駒井重次君の証言を求めます。もつと近いうちに池田勇人君の証言も求めるつもりです。この喚問の理由はすでに御承知の通りです。従つて、広川君と池田君との御意見の相違を中心として、当然広川君を再喚問しなければならぬのであります。そういう過程に入つて来ておる。しかも捜査当局はこの使途不明の金という点に重点を置いているはずであります。だから、もうここまで来れば、そう逡巡するときではないのではないでしようか。率直に申し上げて、私はこの点についておそれておる点が一つある。決して検察当局や警視庁を疑うものではありません。しかし、今日社会一般の通念として、ふしぎに感じておりますことは、造船疑獄等については、検察庁はきわめて慎重を期して、警視庁の手を使つておりません。すなわち検察事務官あるいはその直属の者をおもに使つております。本件は警視庁がおもにこの問題を取扱つておりますが、どうも従来からの例を見ますと、初めは非常にはでに出ますけれども結論は雲散霧消するおそれが多分にある。速記の上においてとかくの論議は差控えますが、もし不幸にして、このような重大な事件をば解明することなく、単なる微々たる問題でこれを治めるということがあるなれば、再び伊藤斗福が、あるいは第二、第三の伊藤斗福が社会にどんどんと出て来るかもしれない。そういうことを私はきわめておそれる。従つて、もみ消しとか、ないしはこういう問題について各方面の圧力はもちろんないでしよう。ないと信じたいけれども、こういう問題が新聞などの報道によつてはでに扱われておる間は、かなり真剣にやりますけれども一つ事がよそへ転嫁されると、ともすればこれがうやむやのうちに葬られるおそれがあるのであります。私らは、行政監察委員会においても、すでに御承知のように、池田君の喚問の問題のとき、世間にたいへん御迷惑をかけるほど騒ぎました。しかし、われわれは、本来の行政監察の使命であるところの事案の解明という点に重点を置きまして、しばらくの冷却期間を持つて、今日この通り軌道に乗つております。そして、もはや井本君の御証言を得ますれば、あと数日を出ずして駒井君なり池田勇人君の喚問を求めて、本件の解明にピリオドを打たなければならぬ段階に来ております。だから、もはや時期的には今日発表するのが最も適当な時期ではないか。しかし、捜査当局としてはそうむやみなことは言えませんから、重ねて申し上げて置く。秘密会でもけつこうです。ないしは速記をとめてもけつこうですから、でき得る限りの御協力を願う意味において、捜査の状況を御説明願えぬか、重ねて御依頼を申し上げるのですが、できぬとあればやむを得ませんからあきらめはいたしますが、この点について、もし政党献金等の問題が支障があるということなら、望月、井上についての捜査の内容について御説明を願いたいと思うのであります。
  65. 井本台吉

    井本証人 警視庁に保全経済会の関係を捜査してもらつておりますのは、まつたく手の関係でやむを得ない結果に出ているのでありまして、警視庁にはこまかいことをやつてもらつておりますが、要所々々は必ず主任の検察官が関与いたしまして、決して自由かつてにやつてもらつておるわけではございません。私も、伊藤斗福保全経済会のごとき詐欺事件につきましては、多数の人が非常に迷惑をこうむつて、中には自殺者も出るというようなことで、これこそ詐欺罪としてはほんとうの悪質の犯罪であると考えておるので、この追究にごうもほこをゆるめるというような気持はございません。力の許す限り徹底的に調べたいと考えておる次第でございます。望月、井上の関係者も、これは伊藤の共犯でありまして、現在はつきり問題になつておりますのは、ここに望月等の関係の起訴状がございますから、これは印刷物でありますけれども、後ほどごらんに入れたいと存じます。ただ、私どものやつておりますのは、あくまでも犯罪捜査でありまして、捜査に現われました事情については、完結の上である程度御発表申し上げる機会がもちろんあると存じますが、現在の段階では、いろいろ調べの都合もありまして、この程度でぜひ御猶予いただきたいということを御懇願申し上げる次第でございます。
  66. 中野四郎

    ○中野委員 けつこうです。  そこで、二点だけ伺つておきますが点は、伊藤、望月、井上は、内容は必要ありませんが、検挙以来黙秘権を使つて自白をしなかつたようでありますが、近来は大体捜査当局の納得の行く程度の自白をしておるかどうか。  それから、もう一つ私の非常におそれておるものがあるのですが、これは私が感ずるだけでありますから、事実を立証するものはありません。しかし、相当注意を要することは、近ごろの警視庁の保全経済会に対する捜査の問題において、その内容が断片的ではあるが情報漏れをするけはいが多分に私は感ぜられる。しかも、その情報漏れは、下部から出るものではなくて、いわゆる刑事とかあるいは捜査に当つておるところの捜査官から出るとは考えられない総合性を持つたものであるが、ややともすると警視庁等の上層幹部からこういうものが漏れるおそれが従来しばしばあるのであります。今回あるとは私は断定いたしませんが、このようなことについては、厳に刑事局長として係検事に督励をされて、さようなことが本件解明の上にないように御努力願いたいと思うのであります。これは非常に重要な問題でありまして、委員会で私が御説明を求めたのもここに基因しておるのでありまして、思いがけない方面から思いがけないいわゆる真相を漏らされることがあるのであります。従つて、私は、この事実を立証する何ものも持つていないということを前提に申し上げてありますし、本件に関してあるとは申しませんが、ないと否定することのできないような感じを私は受けるので、この点については刑事局長より適当なる処置をとられたい。  この二点ですが、前者の方の問題を御答弁願いたいと思います。
  67. 井本台吉

    井本証人 伊藤、望月、井上がある程度事情を供述しております。  第二点の、捜査の秘密が漏れるという点は、この事件に限らず、私どもも非常に憂慮しておりまして、捜査の秘密が漏れぬように極力努力しておりますが、なお御要望の趣旨もございますので、その点は、私どもといたしましても、さらに一層自分自身が注意すると同時に、関係の者どもにも十分注意いたしまして、捜査の秘密が漏れて捜査の障害を来すようなことが絶対にないように、極力努力いたしたいと考える次第でございます。
  68. 中野四郎

    ○中野委員 望月、井上、伊藤がもはやある程度の自白をしておることは認められるのですね。  今の後者の方の問題です。これはたいへんよけいなおせつかいのようですが、近ごろ議会で起つた中曽根康弘君の大野、石井両君に対する問題です。私はこれをたいへん心配しておる一人ですが、もしあれが懲罰委員会にかけられて、そして本人の趣旨弁明という段になりますれば、一つ問題になりますのは、人的証拠を持つておると中曽根君が言うておることであります。これは容易ならぬ問題であります。人的証拠と申しますものが、その真相を真に把握する者、つまりその犯罪者であるか、犯罪の共犯者であるか、ないしはその犯罪者を取調べていわゆる調書をとつた者であるとすれば、これは一番確かな方なんです。中曽根君は、若い元気な人ではありますが、慎重な人でありますから、めつたなことは言わないと思うんだが、予算委員会においては、御承知のように、政治生命をかけて言うんだ、これには確たる物的証拠と人的証拠があるのだ、石井、大野両君はだれそれから何々をとつたというような、国会開闢以来こういう質問というものは私はまれに聞くのです。かつての小川平吉さんの事件も承知しておるし、内田信也さんのときも承知しておりますが、人的証拠を持つておるというようなことを聞いたことはかつてないのであります。ところが、今回は、この問題を中心に世間の批判を買つたのでありますが、私は、この人的証拠なんという問題がはつきり言われることは、どこかにこの根拠がなくちやならぬと思う。あれは途中何か証人をすりかえられたようだが、保釈になつた人間から聞けばわかるというお話ですが、検挙を受けて勾留中の人間が人的証拠を持つなんということは言えるものじやないのだから、もつとほかの側に人的証拠があつたのじやなかろうかということは、世間の常識としてだれでも考える。そこで、ある人なんかは、河井検事とか、あるいは何々検察事務官がだれそれの親戚であるとか、知人だから、どこそこへ集まつて何を話すであろうと言う。これはもうデマにきまつております。河井君はわれわれの同郷の人間ではありますがそんなふしだらな人間でないことを私はよく知つておる一人です。しかし、そういううわさを世間から立てられる原因として、捜査当局の中に何か特殊な関係があつて、一言でも二言でも漏らしたものが、針小棒大式に大きくなつて全国の問題となることも相当考慮に入れなければならぬのであります。いわんや、今日検察当局の出処進退いかんによつては政局に重大な影響があろうというときなんでありますから、後者の点については所管大臣と十二分に御相談になつて、厳にさようなことのないようにひとつ御尽力を願いたい。どうも大臣自身もときどき軽口をきくおそれが多分にあるようなので、上層部の方にそういうおそれを抱いておるのです。どうかそういう事件の捜査過程にある者が漏洩しないように御尽力を願いたいと思つておる次第であります。
  69. 鍛冶良作

    鍛冶委員 これに関連して、井上メモというものが世上喧伝されておりまして、この井上メモなるものが検察当局に出ておるとか、写真が出ておるとか、いろいろうわさを聞いおりますが、さようなことを御承知ですか。
  70. 井本台吉

    井本証人 まだその点に関する報告は参つておりません。従つて、私どもの方ではまだ見ておりません。
  71. 塚原俊郎

    塚原委員長 田渕君。
  72. 田渕光一

    ○田渕委員 先ほど能力が足りなかつたというようなお話がありましたが、その能力とは一体どういう能力が足りなかつたとあなたが言われるのか、それを伺いたいと思います。
  73. 井本台吉

    井本証人 捜査能力であります。捜査に対する力であります。
  74. 田渕光一

    ○田渕委員 つまり、検察官としてこれを詐欺罪と判定する、割切る能力がなかつたように私は聞いたのですが、そういうのじやなかつたんですか。つまり、すべての能力という意味におつしやつたのですか。ちよつとここに誤解があると思うのですが……。
  75. 井本台吉

    井本証人 この伊藤斗福関係の事件詐欺罪と非常に早い機会に断定するだけの能力が足りなかつた、そういう趣旨で申したのであります。
  76. 田渕光一

    ○田渕委員 最初に日新生命伊藤斗福告訴いたしました際のこの事件の係検事が平山検事、小山田検事、山岸検事となつておりまして、最後に山室検事が関係して、そのときに不起訴にしたというようにも伺つておりますが、関係はございませんか。
  77. 井本台吉

    井本証人 ちよつと落しましたが、最後に扱いましたのは山室章君であります。
  78. 田渕光一

    ○田渕委員 山室検事は現在も東京地方裁判所におられると思いますが、山室検事があらゆる検事からずつと引継いで来て、先ほど御証言のあつたような場合に敢然と割切れなかつたので最後に不起訴にした—。もう一つは、会社側の方にも何かあつた、告訴人の方にも煮え切らぬところがあつたというお話がありましたが、先ほどの証言以外に、二十三年九月十三日に告訴して約一年目の二十四年八月二十七日に、当時の堀検事正に事件の処理の促進を言うておる。さらにまた、御証言のありました二十五年一月十七日に、当時の佐藤検事長にも処理の促進を申しておるのでありす。そうして、二十七年の十二月に山室検事が不起訴にされた。それが、先ほど御証言なつたはどういうぐあいな過程であつたか、昨年の十二月に最高検ではこれを受理しておる。これについてはあとで御証言が出ることでありましようが、先ほどの中野委員の御質問にありました、全責任を持つておる当時の刑事局長から、あなたが赴任された昨年の十一月十九日のときに事務引継ぎがなかつた—。これだけ大きな問題です。なぜ事務引継ぎがなかつたかということで私たちはふしぎに思うが、御承知の通り十月二十四日に保全経済会休業いたしております。それから喧々ごうごうたる世論がわき、ことにあなたが赴任されるまでというものは、それに類似した機関がどんどんばたばた倒れておるのでありますから、私は何か前局長からお引継ぎがなければならぬと思うのですが、言も触れなかつたということと、それから二十三年九月からの不起訴、つまり今日まで四年も引きずつて起訴にきめたことが最高検で受理されたこと、一面また今回の造船汚職あるいは陸運汚職等に対しまして非常にスピーディにやつておられる。こういうような点から、何かここに私たちの割切れないものがある。国会議員ですらどんどん逮捕して行こうとしておるとき、——きようも第二号が来ておるというわけだが、それほど熱心な検察当局が、これほど大きな問題を四年も握りつぶしておいて、そうして最後に引継ぐときに引継ぎがなかつた。私たちは検察当局を信じておりますけれども、ここに何か割切れないものがあるのです。四年も握りつぶしておつた。これは早くすればここまで大きくならなかつたろう、火事はボヤのうちに消せたであろうと思いますけれども、少くとも四年も握りつぶし、五年目に不起訴にし、そうして休業後の喧々ごうごうたる世論のうちにこの問題をこういうぐあいにやるというような、今の引継ぎがなかつたという点について私は非常に不可解に思うのでありまするが、これは、証人としては、なぜ引継ぎがなかつたのであろうというようなことについて、今日何か御感想がございませんでしようか。
  79. 井本台吉

    井本証人 私非常に記憶が悪いので、たくさんいろいろな事務を引継ぎましたので、私の記憶にはつきりなかつたのでさように申し上げたのでございます。ただ、前局長の下部のスタツフが、総務課長、刑事課長、公安課長、参事官室以下全部そのままでございまして、かような事件刑事課でずつと引継いでやつておりますので、私に直接こまかく引継がなくとも、刑事課長が全部事情を知つておりますから、前局長の関係しておられた事情及びこの事件の重大性等につきましても時々刻々私どもに話がありましたので、具体的にかくかくかくかくということの引継ぎがなかつたということで申し上げたわけでありまして、趣旨は別に引継ぎをネグレクトした、軽視したということではないのであります。
  80. 田渕光一

    ○田渕委員 大体、当時の局長においで願うなり、あるいはまた、この告訴事件の長い問題について最後の不起訴処分にした山室検事なり、あるいは地検の検事正、高検の検事長なりにおいでいただいて真相を究明したいと思うのでありますけれども、御承知の通り、今汚職問題で検察当局が非常にお忙しいということと、もう一つ、ここへうかつに呼んで、それが今捜査をされておる方面に何らか国会が干渉するように見られてもいかぬというわけで、現職の局長においでいただいたわけでありまするが、先はど中野委員の御質問に対しても、それは捜査の過程だから証言のできない点もございましようけれども、私たちはどうも、今日までの過程において、東京国税局長、それから河野銀行局長、この間の村上民事局長の御証言等から見まして、結論をどこに——つまり、この行政上の取締りをする大蔵省に優柔不断のところがあつたのか、結局この問題は法務省と大蔵省のいずれかにこの責任がななければならぬので、これはいろいろ証言あるいは速記録等を調べてわれわれは結論を出すのでありますけれども、帰するところは、銀行局としては銀行法違反としてこの問題をやれなかつたと逃げております。民事局長ははつきり、これはこういうものだということをおつしやつておりますが、刑事局としても、能力が足らなかつた、非常に相済まぬことであつたと言うだけでこの責任をのがれるかどうかという点に、私たちは非常に疑問を持つておりますが、局長の現在の御心境はどうですか。すなおに伺つて銀行局長、国税局長、民事局長は、こう伺つた結果が、全部責任があるようなないようなぐあいに逃げております。これはわれわれがあとで判定いたしますけれども、私は、少くとも市井の小さい犯罪なら今日まで遠慮なくびしびしやつて来た検察当局としては、この問題に対して非常に優柔不断であつたというところに、何か伊藤斗福の、つまり朝鮮人であつたというような意味、あるいはまた平野君や早稻田君が顧問をしておつた、加えて仏教保全会の関係で大谷瑩潤参議院議員が関係しておる、——こういうような政治的圧力などに今日仮借なくやる検察当局であろうと思いまするけれども、そういうような点から考えまして、これはやはり責任のあるところはとつてもらわなければいかぬ。先般有田問題においてもそういう問題が議運で論ぜられたのでありまするが、これだけの大きな問題を起して六人もの検事が四年もかかつてつて、そうして不起訴にして、それが最高検で受理された。そうした結果今日詐欺起訴するということになつておる。その詐欺も去年八月一日からのことが詐欺であろうというようなことで今やつておるというのだが、私が思うのに、ちつとも責任をとつていない。これらに対して、もしその当時の六人なり四人の担当検事が調べるべきものを調べずして、先ほど鍛冶委員の質問があつたごとく、民事くずれというような意味でその当時の熱意を欠いたとするならば、われわれはその当時の検事、最後は山室検事、私に言わせれば山室検事を当委員会証人として出頭を求めて実際を聞いてみたいのですが、ここらを聞く前に、聞かないでもいいかどうか、検察行政の元締である刑事局長の率直な御心境なりあるいは責任感の点を私は伺つてみたい、こう思うのであります。できれば率直にひとつ
  81. 井本台吉

    井本証人 詐欺罪という犯罪自体が捜査の面としては非常に困難な犯罪でございます。これをまず第一に御理解願わぬと、どうしてこんなに遅れたかということの御理解がいただけないと思うのでございます。この種の犯罪は、もつとささやかな犯罪でありましても相当手数がかかります。たとえば京都で三平鉱山の取込み詐欺事件がございました。これは、幽霊鉱山のようなものを利用いたしまして、約数千万円の金を集めた事件でございますけれども、それでも数名の検事が相当長い期間熱心にやつてようやくとりまとめたというようなことでございまして、本件のような取込み詐欺全国の被害者を全部入れますとおそらく本数万になると思います。この調書をとるだけでもたいへん数になるのでございます。しかも、詐欺罪といいましても自転車操業でありますから、最初に受取つた金は三箇月たつともとしております。金をとつてはおりまが、金を全部もどしておるというようなもの、これをすぐ詐欺としてやつていいかどうか、それが時々刻々相当長い期間つておるので、いつから詐欺になるのか、その時期の認定等も非常に困難でございます。このために実は財政係の検事も何回かの会同を開きまして、あるいは次席検事の会同も開きまして、その都度前局長から、この保全経済会その他の類似金融機関について十分注意して、犯罪の嫌疑がはつきりしたならばただちに検挙するように指示しておるようでございますが、昨年十二月二十四日——保全経済会はふしぎに一件も事故を起さずにともかく事業を継続して参つたのでございます。そのために検挙が非常に遅れたのでありまして、私ははずかしいことを申し上げますが、自分が就任した後においても、これだけ明瞭な事件をなぜ検挙できないかと言われると、はなはだ申し上げにくいのでございますが、もしこれを検挙した結果、そう大した事件でなくて、そのために事業がつぶれて何十万かの人が金がもらえないという迷惑をこうむつたら、これは自分たちの責任だけでは済まぬというようなことで、はたしてこれが犯罪になるのかならないのか、幸い休業中でありましたから、大きく伸びるということはありませんでしたけれども、これを検挙することによつて、連中が金を返さない口実にして、被害者が迷惑するということでは、これはたいへんなことになるということで、さらに慎重審議を続けたのでございます。さような関係でありまして、起訴した事実は、もう数箇月かかつておりますが、ごく一部分でございます。その調査が非常に困難だという点をぜひ御理解願いたいのでございます。先ほど能力が足りなかつたと申し上げましたのは、何十人力、何千人力かの力のある人がたくさんそろつてつて、てきぱきやれば、もつと早く検挙もできたし、解決もできたということになるのでございますけれども、現在の普通の検事の能力でこれを調べますと、相当長日月かかるのが常識でございます。笑い話でございますけれども、ただ一人の検事に調べさせたら何十年もかかるじやないかというふうな話も出たわけでございまして、さような非常に困難な事件であるということを御理解いただきたいのでございます。  それから、古い事件がなぜ三年も四年もかかつたかという点でございますけれども、これは、冒頭に申し上げました通り会社側にある程度黙認しておつた事情があるのではないか、自分たちが融資条件保険を集めろと言うておきながら、あとでさような条件は認めないというふうなことで告訴事件を立てたのではないかというような容疑も相当あるのではないかと考えるのであります。純然たる加害者だけが悪いということであれば、これは処置するのに何ら躊躇する余地はないのでありますけれども詐欺罪といたしましても、簡単に被害者だけがよくて加害者だけが悪いというような事件だけでもないのでありまして、中には犯罪の成否にまで影響するというようなことがありまして、だんだん日がかかり、かつ昭和二十五、六年当時は東京地方検察庁も非常に多忙でございましたために、何回も検事が交代して、あつという間に、というと恐縮ですが、三年も四年もたつてしまつて、一応起訴できないから不起訴にするということで、昭和二十七年十二月に不起訴処分にしたと考えるのでございますが、冒頭に申し上げました通り、この事件も現在ではもう一度今かかつておる事件とにらみ合せて処置しなければ適当ではないということで、さらに最高検並びに東京高等検察庁検討を加えておるという次第でございます。  事件の内容をくだくだ申し上げて恐縮でございますが、とにかくかような事件の処理が検察処理上非常に困難であるという点をぜひ御了承いただきたいのでございます。その以外に、政治家が顧問になつておるから躊躇したとか、あるいは著名な人が関係しておるから躊躇したとか、さようなことは絶対にございません。この事件がかように長引いて、そのために被害者がたくさんふえたという点につきましては、もう少し能力があれば、もつと早く処置して、被害者を少くできたのではないかという点については、私どもも大いに反省しなければならぬという点を痛感しておる次第でございます。事件の性質上、また人間の数が非常に足りなかつた点、あるいは能力が不敏であつたというような点で、多数の人が迷惑を受けたという点については、私ども責任を痛感しておるということを申し上げる次第であります。
  82. 田渕光一

    ○田渕委員 刑事局長から責任を痛感しておるという良心的な御証言をいただいて、結局今後も検察当局はなお馬力をかけられることと思いますが、私が一言申し上げたいことは、この保全経済会の顧問弁護士の松下孝徳君は元検事であります。そうして最近伊藤が逮捕されて以来非常に運動しておるということを聞いておりますが、弁護士として職掌柄やるのは当然でございますが、元の最高検の次長検長をしておつた木内君が関係しておるということも聞いております。とかく検事一体の、つまりわれわれの観念から見まして、検察庁当局の首脳部におつた者がこの弁護士になられて、それらに向つて運動される場合に、私はそういう職務の遂行上に妨害になるようなことは決してなかろうとは思いますけれども、やはり人間は機械じやありませんから、そこに情実因縁ができると思うのであります。先ほどの御証言で、政治家が顧問をしておるからといつて何らそれに躊躇しておらぬのだとおつしやられましたが、松下君には私はお目にもかかりませんが、自分が証人に出て、自分の知つておることを言おうというような話もありましたが、私はまだ聞かないで今日になつておるのでおりますが、いろいろそういうふうに伺つております。あるいは木内さんの名前を出したことは失礼かもしれませんか、私は木内さんという人はそんな人じやなかろうと思う。しかし、最高検の次長検事をしておつた人弁護士になつておるのです。こういうような方がする場合に、まずあなたの管轄下にある検事諸君が、圧力を受けるとか、あるいは先輩であるからそれらの言うことを聞かなければならぬとかいうことは決してないとは思いますが、あなたの御心境はいかがでございましようか。あなたの御感想だけを……。
  83. 井本台吉

    井本証人 検察庁へ行つてその状況をお聞取りになるとすぐわかると思いますけれども、前にどういう方がおられて、どういうことがあつたかというようなことは、関係の検事は全然関知いたしません。弁護士弁護士として全部平等に扱つております。むしろ前におつた人の関係で何か自分が特別な便宜をはからつたというようなことを疑われても困るというくらいに、普通の人よりも便宜を与えないくらいに扱つているのじやないかと私は考えております。さようなわけでありますから、御懸念のようなことは決してございません。
  84. 田渕光一

    ○田渕委員 たいへんはつきりしてけつこうでありましたが、往々、被疑者となりますと、そういう検察庁におつた弁護士に多く依願する。つまり、何かの利益がなければ——被疑者といえども犯罪を犯すくらいだから、りこうなもんだ。ことに大勢の弁護士がそういう方面に食い入つてそれに依頼するということについて、私たちは非常に目をつけておつたのでありまするが、その御証言を伺いまして、私は検察当局を信ずることといたします。ただ、われわれがこの委員会で調べることにつきましても、私個人としましては、今の造船疑獄においても、あるいは陸運汚職においても、保全経済会の問題においても、政治家が関与しているからというので政党の圧力はないということをおつしやいましたが、もし時間が許されるならば、われわれはそういう問題にも御協力を申し上げて、那辺にまでやつているかというようなことまでも調査するのが私は当委員会の責務だと思つておるのであります。たれがこうだああだというような、犯罪ありやいなやということ、起訴、不起訴ということはあなた方の方でやればいいことで、われわれは法の盲点がどこにあるかということを伺いたいのでやつておるのであります。井本君は、検事の能力がもう少しあればというようなことを言われましたが、しかし、こういうようなことは、先ほど中野委員からも御質問がありまして、今証言する時期じやないということでありますから、しばらく時期を待つことにいたしますが、御承知の通り大衆が非常に困つているのであります。これは十五万人にも達し、全国的でありますから、非常に骨も折れましようが、そのように相当の懸案で三年も四年もかかつて来たという責任の一端を痛感されて、保全経済会の問題を早く結論を出していただくことが、他の類似機関にもいい結果をもたらすことと私は思いますので、これはなお促進するように、そして厳正公平にやられるように重ねて希望いたしておきます。
  85. 塚原俊郎

    塚原委員長 ちよつと申し上げますが、藤田君の問題について議院運営委員会井本君の出席を要求している面もありますから、質問は簡潔にお願いいたします。
  86. 鍛冶良作

    鍛冶委員 先ほど聞きました井上メモの件ですが、これは、井上メモのみならず、今日非常にメモばやりで、あなたも廊下で言われたように、メモというものは一種の怪文書です。これによつて世上に疑惑を起すことおびただしいと私は思います。しかも、このメモなるものは、いかにも犯罪に関係あるがごとく流布されるメモである。それでありますから、あなたが先ほど中野君の尋問に対して答えられたように、忙しいでしようし、また犯罪ありと思うものだけをやつているから、そんなものにかかわれぬと言われるかもしれないが、近ごろ出るメモはみな犯罪に関係があるごとく言われているが、その世上の疑惑を解く意味においても、私はぜひともこういうものの真相を究明せらるべき責任があると思うが、いかがでしようか。
  87. 井本台吉

    井本証人 犯罪に関係があれば私どもも捜査いたしますが、犯罪に関係ないものまで調べる権能もありませんし、関係ある限りにおいては調べまして、これを何らかの機会に、当人の名誉を毀損しないというようなことを十分考慮いたしまして発表する機会もあるのじやないかと考えております。
  88. 鍛冶良作

    鍛冶委員 なるほど、今この保全経済会のことについても、詐欺の点を維持するために一生懸命やつておられるということはわからぬでもありませんけれども、それと同時に、これほど世上やかましく言われたのですから、この集めた金の行方、ことにそういう汚職に流れておるかどうかということは一日も早く調べてもらわぬと、世上の疑惑は解けぬと思います。あるものならひとつぴしぴしやつてもらう、ないものならないとして、この疑惑を解くだけのことをやつてもらわなければならぬと思いますから、忙しいではありましようが、今その詐欺の点を調べられると同時に、この点をも急速に全力をあげて調べていただくことをお願いし、またの機会にそれらの結果についてもお伺いいたしますから、井上メモ等についてもできるだけお調べを願つておきたいと思います。
  89. 塚原俊郎

    塚原委員長  ほかに御発言がなければ、井本証人に対する尋問はこれにて終了いたしました。  証人には長時間にわたり御苦労さまでした。  本日はこれにて散会いたします。     午後一時二分散会