○中野
委員 それでは、否定はしないという意味ですね。そこで、私は共犯関係について少し伺
つて行きたい。このことが明らかにならないと、一体捜査当局はどこに基本を置いてこの
保全経済会と
類似特殊利殖機関を調べておるかという基本線、ポイントが出て来ない。というのは、最初伺つたように、
就任のときに引継ぎもなければ、それから、
就任後においては、
休業中ではあつたが、あなたか非常に熱心にこの問題を
調査研究されたことも私は聞いて知
つておる。ところが、大蔵省側の
見解は、
匿名組合でないと
断定はいたしがたい、
法務省の中でも民事局長は、
匿名組合であると
断定はいたしがたいという建前をと
つておる。政府に一貫したいわゆる
意見の一致を見たとは言えないのであります。現在あなたの方で、
匿名組合でないと
断定できない、いろいろな角度から
考えてみて、その
結論を出すことはむずかしい、しかし
詐欺事犯としてこの問題を調べて行かなければならぬ、
——その前提として、あなたはたいへん遅れたことは申訳ないと言
つておられるのだが、実際上において
全国十数万の多大の実害者を出したことの根本原因はどこにあるかと言えば、
関係官庁である大蔵省がこの判断を故意にかあるいはいかなる
理由によ
つてかは知らないけれ
ども遷延せしめたことが、このような事態を起した
一つの原因であり、
法務省においてもすみやかにこの実体を把握して
調査あるいは捜査を進めて行けば、当然このような実害がある程度救われたであろうという感じがするのであります。そこで、この
保全経済会の内容をだんだんと究明いたしました
一つの力に
なつたものは、
行政監察委員会の
調査が一方において非常に進んで、あなた方にお目にかか
つていろいろ申し上げた段階においてもおわかりの
通りだと思う。すでに私は、国警の中川
刑事部長ですか、国会へおいでを願つたときに、田渕小
委員長とともに、少くともそのポイントは一月二十三日ですぞ、
休業期限が来たときに彼が逃走するか、あるいはそれまでに財産の隠匿をするか、ないしは何らかの危害を加えられるおそれもある、彼が二箇月あるいは三箇月の一回目の
休業を宣告するかもしれない、
従つてあなた方が逡巡しているときではないのであ
つて、かげでぼそぼそと
調査をしておるが、しかし逡巡しておるときではない、むしろ一月二十三日をポイントにしてあなた方は積極的に態度をとらなければいけないということは、国警の
刑事部長にも私らから進言をしております。さらに、十二月四日にあなたのところにお伺いしたときにも、そういうような
意見をひそかに申し上げた記憶を持
つておる。そこで、国会におきましても
保全経済会あるいはこれに関連するような特殊金融機関について積極的に
調査を進める、あなた方の方は一方
犯罪的に捜査をやる、私の方ではあなた方のやれない部分ついて十二分に協力を申し上げる、すやかにこの実体を解明して何らかの形において実害者の財産を保全してやらなければならぬという観点から私らは出発して、かなり積極的な
調査を今日まで進めて来たつもりです。その過程において、平野君の
証言というものは、何と申しましても本
委員会の
調査の過程においては
保全経済会等
類似機関の内容を解明する上においてはよい意味においての
証言であつたと思うのでございます。というのは、この
保全経済会の内容が実際上に
詐欺的な色彩を多分に持
つておるのでありますが、第一番に、つぶれた原因を調べて行けば、先ほど申し上げましたように、使途不明の金が非常に多いということ。四十五億からの金を集めそうしてその実態は十数億しか今日では残
つておらぬ。
損害等を抹殺いたしましてもなお十億なり十五億という莫大な不明の金があるわけであります。これを解明するにあらずんば、
委員会といたしましても本件
調査の目的をかなえるわけには参らない。私は、あなたが現在
詐欺罪として
起訴され、あるいはそれを
調査しておられる過程において、どうしてもこの案件をば明らかにするためには
伊藤斗福あるいは望月京一、井上俊吾の三君をこの
委員会に呼ぼうとしたのですけれ
ども、一月の二十四日でしたかに検挙されました。国会の再開は一月二十六日以後であります。そこで、本件究明の最もポイントであるこの三君は検挙されておりますから、三権分立の建前からも、司法権の発動によ
つて今日被疑者として検挙を受けておる者をば、立法府の
行政監察委員会が
証人として喚問することは不適当であると
考えております一人でありますから、あえてこのことは強要はいたしませんでしたけれ
ども、
伊藤斗福、望月京一、井上俊吾については、どうしてもある
一定の
調査をしなければならないのであります。そこで、今日あなたが御
出席にな
つたのを幸いに、もし支障のある点はということを前提としてお尋ねして、ただ漠然と、今
取調べ中だから申し上げるわけにはいかないという言葉では、私らは了承いたしかねる。でき得るならば、速記をとめてもけつこうです。あるいは秘密会にしてもけつこうです。われわれの気持のあるところを了解せしめ得るだけの御協力が願いたいのであります。捜査に支障があるものを私らがここで伺うことは決して好ましいことではありません。しかし、ある程度固まつたものがあるのです。固まつたものがあればこそ
起訴しておられるのですから、その過程についての御説明は決してさしつかえないのではないか。たとえば望月京一が現段階においては非常な共犯関係にあることも明らかであります。いわんや、彼が児玉誉士夫君の家にわざわざ寄宿しておるというのはどこに原因があるか。ないしは彼が検挙の際摘発されましたピストルとかあるいはその実弾とか、こういうものがどこから出ておるのだとか、捜査の結果どういうものが出たというようなことは一向御説明願
つても支障ないと思う。あるいは井上俊吾が政党献金をしたという証拠書類を、あなたの手元に届いておるかどうかしらないが、警視庁の浅沼捜査第二課長のもとには、本
委員会としての重要な資料として私の方から差上げてあるはずです。これは、警視庁が政党献金を追究しましても、彼らは黙秘権を使
つて一切自供しなかつた。しかしながら、この一札がある限りにおいては、政党献金の内容を言わざるを得ないから、徐々に
伊藤斗福あるいは井上俊吾の自白というような点も私は否定はできないと思う。いわんや、国会において平野力三君の
証言が今日勾留中の彼らに相当大きな心理的影響を与えた事実も私は否定できないと思うのであります。だから、私らの方も相当協力的に
お話を進めておるのですから、あなたの方で許される範囲において、現在の
調査過程、あるいは望月、井上、これらの共犯関係、ないしは国
会議員としてお調べにな
つた人々が数名以上あるはずでありますから、その人たちの名誉に関することならばこれは発表を控えられて一向さしつかえありませんが、しかし、重要な関係者として平野力三君は調べを受けておるはずであります。そういう過程から出て来た政党あるいは政治献金の内容というものが相当本件解明の上に重要な要素を含んでおることだけは事実なんですから、どこに幾ら行
つておるかというくらいのことは大体わか
つておるはずであります。これは
伊藤の自白によ
つてもわか
つておりますし、また井上の自白によ
つても明らかにな
つておるのであります。
従つて、私は、今後の捜査に支障のある場合においては求めません。しかし、本件解明の上においてさしつかえない範囲においては御
証言を願
つても一向支障はないものではなかろうかと思うのであります。この点について何らかの
意思表示が願えるかどうか。