○中野
委員 とてもそんな金額ではない。あなたが、近ごろいう政党献金の七千万円か八千万円あるいは一億円くらいだという想定の上から言われるのならば、それもうなずけるのです。そんなものではないのですよ。たとえて言えば、先ほど言
つたように、三重県の山が一例をあげてそれなんです。あなたのところは物を買うときに大分水増しをしておるという証拠が明らかにな
つておるじやありませんか。千万円で買
つたものを千万円とつけておらぬ。千万円で買
つたものは千五百万日、二千万円というふうにつけておる。だから、千万円のものは確かに売主に渡
つておる。しかし
あとのものはみな使途不明と言わざるを得ぬ。一億万くらいの金ならば、この間
伊藤が
自分のめかけの山形屋の者への七千万円の金でもすぐ勘定が出て来る。そのくらいの金ではありません。少くとも、私は、現在二億五、六千万円のものが、いわゆる
理事長渡しとして帳簿の上だけでも出ておる。これはなるほど出した先はわか
つております。あなたのところから書類を出して来ておりますから、
内容はわか
つております。しかし、これはみな詐欺にかか
つてしま
つたじやありませんか。二千万円は川上才助なんという、これは行方不明ではありませんか。小柳に金を渡せば、これは、おれは受取
つたが、すぐこれに渡したからおれは知らないというように、詐欺したかどうか、
伊藤君のことは今後の捜査の過程においてきめられることだが、とにかく苦心をして集めて、これが詐欺にかか
つておる事実だけは争えないことがあるのです。だから使途不明の金が相当数なくてはならぬ。使途不明の金が相当数あれば、いくら大きな
財産だからとい
つても経営不振になるのはあたりまえではありませんか。あなたの言葉に矛盾があるのはそこです。あなたは、不振ではない、私らから見れば完全に行けると思う、一番最初に言
つていらつしやるではありませんか。成り立たぬわけではないのだ、常に利潤を追求することに積極的であれば結局成り立つと言
つておる。それはそうであ
つたかもしれぬ。その
通りだと私も思う。しかし、今日
保全経済会がもう動くことができない
状態にな
つた原因はどこかと言えば、先ほど言
つた使途不明の金が一番多きいからなんです。風水害で解除者が出たとか、あるいは課税で大口解除を申し込んで来ておるということは、なるほどあ
つたかもしれぬ。しかしそれは一部分にすぎない。納得のできないのは、今言う水増し過払いをしてその金が不明にな
つて一体どこに使われたかわからぬという
状態をあなた方が知らぬわけはない。これは当然参
つてしまうのはわかり切
つたことではありませんか。かりにあなたの言う一億円の金が使途不明にな
つてお
つたら、これはどうするのですか。二分や三分という金が払えるわけはないじやありませんか。あなたの先ほどからの話はどうも納得できない。いくら筋をつく
つても、上手の手からでもやはり水が漏れる。あなたの先ほどの話を聞いていると、どうもわけがわか
つたようでわからない。この間からここに来る
証人は、非常にわか
つたようなことを言うようだが全然わからないことを言
つている点が非常に多い。あなたもそのうちの一人です。
私は、一つところにお
つてもいけませんから、もう少し聞いて行きますが、九月ごろなんか相当苦しくな
つて、どうにもこうにも行かないというわけで、
休業を十月に宣したわけですね。七月ごろに
小平忠君があなたのところへ金借りに来たとおつしや
つた。私は初めて聞いてびつくりした。
小平忠という人はだしか社会党の方なんです。
平野君がこの前ここに来られたとき、そういう者を
紹介した覚えはないと言う。あなたのお話を聞くと、
紹介して来られた——。人は忘れることが往々ありますから、あるいは
平野君のような御多忙な方だからお忘れにな
つたのだと思うのです。ただ私が一点伺
つておきたいのは、七月のころ相当あなたのところは苦しか
つたわけです。
北海道信機株式会社というのは上場株ですか。上場されておるのですか。非上場株でしよう。しかもこの二百万円から六百万円の金を貸せというのは少しおかしい。あなたのところが苦しい最中に二百万の金を貸すということも少しおかしい。これは何かただの因縁じやないようですね。少くとも
平野君の
紹介状をも
つて、独裁性の最も強い
伊藤理事長の御託宣によ
つて二百万円の金を切
つて出さなければならないというところに、何かがないわけはなさそうに私らには
考えられる。小林君の言葉をそのままこつちがお借りして言えば、見も知らない人間に苦しい最中に二百万円貸せと言われても貸すわけはない。しかも非上場株です。そうして六百万円貸せ、いや二百万円でがまんしろというには、何かここに通常の
関係以上のものを私は
考えざるを得ない。当時のことを御
承知なら、この点を少し伺いたいと思うのです。あなたは御
関係にな
つたのだから、ただ知らぬと言うわけには行かぬ。決して私は人をとがめようとは
考えない。だから、これほど苦しいときにあえて二百万円の金をば出さなければならなか
つたという理由を少し聞きたい。