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1954-02-01 第19回国会 衆議院 行政監察特別委員会 第4号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十九年二月一日(月曜日) 午前十時五十六分
開議
出席委員
委員長
塚原
俊郎君
理事
世耕
弘一君
理事
高木
松吉
君
理事
田渕
光一
君
理事
長谷川 峻君
理事
中野
四郎
君
理事
小林
進君 天野 公義君 遠藤
三郎
君 原田 憲君 三和 精一君 山中
貞則
君
椎熊
三郎
君 園田 直君 橋本
清吉
君
北山
愛郎
君
西村
力弥君
山口丈太郎
君
今澄
勇君
甲斐
政治
君
中村
高一君
矢尾喜三郎
君
小林
信一君
委員外
の
出席者
証 人 (
保全経済会顧
問)
松本
信次
君 証 人 (
保全経済会顧
問衆議院議員
) 早
稻田柳右エ門
君 証 人 (
保全経済会顧
問衆議院議員
)
平野
力三
君
—————————————
昭和
二十八年十二月二十四日
委員栗田英男
君
辞任
につき、その
補欠
として園
田直
君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。
昭和
二十九年一月二十六日
委員青野武一
君及び
古屋貞雄
君
辞任
につき、そ の
補欠
として
山口丈太郎
君及び
木原津與志
君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。 同月二十七日
委員矢尾喜三郎
君及び
今澄勇
君
辞任
につき、そ の
補欠
として
日野吉夫
君及び
佐竹新市
君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。 同月二十八日
委員岡部得三
君
辞任
につき、その
補欠
として橋 本
清吉
君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。 同月三十日
委員山口六郎次
君
辞任
につき、その
補欠
として
高木松吉
君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。 二月一日
委員日野吉夫
君、
佐竹新市
君、
前田榮
之助君及
び木原津與志君辞任
につき、その
補欠
として矢
尾喜三郎
君、
今澄勇
君、
中村高
一君及び
西村力
弥君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。 同日
委員矢尾喜三郎
君
辞任
につき、その
補欠
として
甲斐政治
君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。 同日
理事山口六郎次
君の
補欠
として
高木松吉
君が理 事に当選した。
—————————————
本日の
会議
に付した
事件
理事
の互選 小
委員
の
補欠選任
証人出頭要求
に関する件 小
委員長
の
報告聴取
保全経済会等特殊利殖機関
に関する件
—————————————
塚原俊郎
1
○
塚原委員長
ただいまより
会議
を開きます。 この際
理事
並びに小
委員会
の
補欠選任
についてお諮りいたします。過日
理事山口六郎次
君が
委員
を
辞任
され、また
国有財産管理処分
に関する
調査小委員
は、
栗田英男
君、
山田長司
君及び
前田榮
之助君の
委員辞任
により、それぞれ欠員を生じておりますので、
理事
並びに小
委員
の
補欠選任
をいたさねばなりませんが、これらにつきましては先例に従いまして
委員長
において
指名
いたすに御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
塚原俊郎
2
○
塚原委員長
御
異議
なしと認めます。よ
つて委員長
は、
理事
に
高木松吉
君を、また、
中野四郎
君、
北山愛郎
君及び
小林進
君、以上三君の
諸君
を
国有財産管理処分
に関する
調査小委員
に
指名
いたします。
—————————————
塚原俊郎
3
○
塚原委員長
なお、
保全経済会等特殊利殖機関
に関する件につき、
保全経済会等特殊利殖機関
に関する
調査小委員長田渕光一
君より発言を求められておりますので、この際これを許します。
保全経済会等特殊利殖機関
に関する
調査小委員長田渕光一
君。
田渕光一
4
○
田渕委員
保全経済会等特殊利殖機関
に関する
調査小委員会委員長
といたしまして、ただいままでの
調査
の結果を御
報告
いたします。小
委員会
は、
警視庁
、法務省に出向き、また
関係者
の
出頭
を求めまして、十二月四日以来
調査
をいたしたのでありまするが、以下項目をわけて申し上げます。 まず第一に、
理事長伊藤斗福
の
経歴
について申し上げます。
保全経済会理事長伊藤斗福
は、
朝鮮人
を両親とする
朝鮮生れ
でありまするが、
昭和
十五年四月九日
岩手
県
岩手
郡松尾村第三十二地割七番地
伊藤熊
の婿養子となり
日本国籍
を取得しております。
保全経済会
を創立するまでの同人の
経歴
につきましては、詳細は不明でありまするが、
昭和
二十三年
日新生命保険相互会社
から
告訴
が提起されている事実があ
つたの
であります。この
告訴
の要旨は、
昭和
二十三年三月
伊藤斗福
は、最近
破産宣告
をされた
勧業経済株式会社社長鈴木春一
並びに
同社専務河原崎定助等
とともに、
日新生命
に
外交員
として入社して、
同社
の京浜特設支社なるものを浅草に設け、
保険
に入れば
保険金
の二割を貸すと偽
つて保険
の
勧誘
をいたし、集めた
掛金
を
会社
に納入しないで、ひそかに
貸金業
をやり、四月より八月の五箇月間に約二億円の
保険募集
をして、約一千三十万円の
掛金
を収受横領したのであります。
日新生命
は
昭和
二十三年九月
詐欺背任横領事件
として
東京地検
に
告訴
を提起し、翌年四月
東京地裁
に
民事訴訟
を提起しておるのであります。しかるところ、この
告訴
は、奇怪なことには五年間も
東京地検
の
取調べ
が長引いて、結局
昭和
二十七年十二月、時の
山室検事
のときに、証拠不十分で不起訴となりましたので、
会社
は最高検に
抗告
をいたし、ようやく六年目にして昨二十八年の十二月、すなわち昨年の暮れでありますが、
抗告
を認められておるという状態であります。この
事件
において注目いたすべきは、(一)、
保険
の
掛金
と
融資額
との
差額
を
新規加入者
の
掛金
で次々とまか
なつ
て行こうとしている点でありまして、このときすでに新しい
出資
で過去の
出資
の
配当
を行う
保全会
のいわゆる
自転車ペダル操業
の仕組みが考えられております。(二)、は、この
事件
に
関係
した一味がその後大
部分保全会
と同種の
利殖機関
に
関係
している点。(三)、
昭和
二十三年は
伊藤
がすでに小岩町において
保全経済会
を創設している点。(四)、
伊藤
の自著と称する「私はこう考える」なる著書には、他に
保険会社
の
外交員
をしていたということは書いてあるのでありますが、この
日新生命
に関することは何ら触れていないという点が
一つ
の問題であります。 第二、
休業
当時における
資産
の
状況
につきまして、
昭和
二十八年十月二十四日、
伊藤
は三箇月の期間を
限つて休業
を宣言いたしましたが、十一月五日、現有
財産目録
なるものを
最高裁判所長官
、
大蔵大臣
、
衆参両院議長
、
国警長官
及び
警視総監
に
提出
し、また十一月二十二日、「
全国出資者
の皆様へ謹んで御
報告
申し上げます」と題する
文書
を
発表
しております。この
文書
におきましては、(イ)、
本会
の
経営内容
として、「
出資者
十五万、
出資金額
四十四億九千五百万円、
現有資産
約三十五億、
事業証券
並びに
不動産投資
」と、
資産内容
を著しく誇大に
報告
しておりましたが、その後本
委員会
でこの
財産目録
について
実地調査
を進めましたためか、十二月二十五日には、さきに
財産目録
においては
土地建物造作等
の
関係
は二十七億三千万円を計上していたものを、「
本会所有
の
不動産
は
昭和
二十八年十月二十四日現在において、実
価格
十八億六千百三十二万一千円である」と訂正し、
不動産評価益
の基礎を裏づける
不動産
資料
なるものを
発表
しております。 本
委員会
は、
昭和
二十六年以降の
貸借対照表
、
損益計算書等
の
提出
を求めたのでありますが、それによりますと、この
不動産取得価格
は八億二千二十五万七百七十九円と
なつ
ております。なお、
保全経済会出資者擁護連盟
が、
昭和
二十八年十二月十六日
仮処分決定
によ
つて
調査
した際の
現金出納帳じり
は千四百万六千円でありましたが、そのとき実際の金庫の中の
現金
はわずかに二万七千九百円であ
つたの
で、この
差額
一千三百九十七万八千百円につき同
会出納課員
に説明を求めましたところ、次の
通り
であつた由であり、その後本
委員会
においても
出納課長
より事実なる旨の
証言
を得ました。すなわち、その
内訳
は、
理事長渡し
未
記入
一千万円、
理事
部長渡し未
記入
二十二万五千円、廣川弘禪渡し未
記入
三百万円、新
夕刊渡し
四十万円、新
夕刊社長謝礼
三十万円と
なつ
ております。また本
委員会
の
調査
した十二月末現在
銀行預金残高
はわずかに六万円でありました。 前述いたしましたうちの十一月五日
発表
の
財産目録
には
有価証券明細
並びに
不動産
の
明細
が添付されておりましたので、本
委員会
はまず
不動産
につきましては
架空
の
記載
がないか、また
買得価格
との間に著しい
水増し
の事実がないか等を究明するため、その一部につき
実地調査
を行いましだところ、
架空記載
の事実は認められませんでしたが、
買得価格
との間にはいずれも著しい
水増し
の事実を認めたのであります。その最も著しい例といたしましては、三重県飯南郡
森村字蓮所在
の
山林
百六十八町歩であります。これは
昭和
二十七年十二月三十日三千百万円で買つたことに
なつ
ておりまするが、七億一千百四十八万円として計上されてお
つたの
であります。わずかに三千百万円で買つたものを七億一千百四十八万円と
水増し
計上いたしております。もつとも、これは、その後十二月二十五日
発表
の
資料
におきましては、この
評価益
を改めて買取り当時の三千百万円と訂正いたしております。これは、本
委員会
の
調査
中に、この七億一千万円は非常な
厖大
な
水増し
をしておるというようなことが
擁護連盟
の方で
調査
いたしましたために
資料
が漏れまして、こういうような
秘密事項
が漏れたため、この
価格
七億一千百四十八万円を三千百万円に訂正して来たものと思うのであります。なお、この
山林
につきましては、
買得価格
と
帳簿記載価格
との間の差金その他につきましてはなはだ疑問の点がありまするので、引続き
調査
を進め、
内藤調査員
を派遣いたしておりましたが、今朝帰
つて
参りましたので、本
報告
には間に合わなか
つたの
であります。 また、
有価証券明細
は、日本テレビ、
川南工業株
を除き、他の二十種はいずれも非
上場株
でありまして、
保全会
の
金額
または一部
出資
の
会社
でありますが、これについてはあとで申し述べます。 次に、本年に入
つて伊藤理事長
の了解の上に総
勘定元帳
その他の
帳簿
の
提出
を求め、
調査
を
行つたの
でありますが、
本会経理
の特色といたしましては、(一)、
建物
その他
什器備品等
に対し
減価償却
が全然行われていないばかりでなく、(二)、
理事長
の仮
払い
が多いことでありまして、一千万円くらいの
金額
が随時
理事長
へ仮
払い
されているのであります。九月三十日現在の
貸借対照表
に掲げられた
仮払金
二億五千七百五万余円につきましては、その
内訳明細
の
提出
を求めたのでありますが、そのうち疑問とすべきものは、新
夕刊新聞社
に六千二十五万円、
日本和紡株式会社
、これは
仏教保全経済会
の
大谷
氏
経営
の
会社
であります。この
日本和紡株式会社
に二千万円、不二
林業株式会社
に七百八十万円、
中外日報社
に三百十七万九千八百九十七円、入
丸証券株式会社
に二千三百六十九万五千円、
理事長
に千五百八十三万円、
大谷会長
に五百万円、後藤氏に五百万円、
小柳
氏に二千万円、井上氏に六十八万円、
保全経済研究所
に三十万円、お
中元
五十三万円、
松下
氏に二百十五万四千四百円、これは
弁護士
であります。これらにつきましては引続き
調査
中であります。 第三、過去約三年半の
損益状況
について申し上げます。
昭和
二十五年四月以降二十八年九月三十日までの間における
損益計算書
に現わされた各期の
損失状況
は左記の
通り
で、一回といえども
利益
のあつたことはないのであります。すなわち、
昭和
二十五年十二月三十一日現在五千二百九十六万一千百十四円の
欠損
であります。
昭和
二十六年十一月三十日現在三億一千一百九十一万一千五百十一円、
昭和
二十七年五月三十一日現在三億六千六百五十三万七千一百四十七円、
昭和
二十七年九月三十日現在二億九千八百八十万六千九百七十三円、これは二十七年の五月と九月に決算に
なつ
ております。かようなわけで、
昭和
二十七年度は六億何千万円の
欠損
であります。
昭和
二十八年三月三十一日現在六億五百八万三千八十三円、
昭和
二十八年九月三十日現在七億九千二百三十六万二百九十円でありまして、この
損失合計
は二十四億二千七百六十六万百二十二円の多きに上るのであります。 この事実は、
利益
がないのに
配当
をしていたというばかりでなく、
新規出資者
の
資金
を次々に
配当
にまわす、いわゆる
自転車操業
の
内容
を暴露したものでありまして、誇大な
広告宣伝
、
知名士
の名を連ねて
出資者
の獲得に狂奔しなければ早晩
休業
のやむなきに立ち至
つて
いたことを証明するものであります。しかも、
伊藤理事長
は毎期この実情を十分承知しておつたことが判明しているのであります。 第四、いわゆる
出資会社
の
状況
について申し述べます。
保全経済会
は
出資金
の
運用
の方途として、
証券投資
、
不動産取得
を中心としましたが、これと並んで、いわゆる
出資会社
として約二十社につき株式の全部あるいは一部を取得しており、その
評価額
三億九千万円と称しております。これら諸
会社
については目下
実態調査
を行
つて
おりますが、現在までに
調査
したところでも、解散ないし解散同様の
状況
にあるものが五社に及び、その他の十五社も
利益計上
をしているものは
一つ
もないのであります。ほとんどボロ
会社
であります。
従つて
、この
評価額
は不当なるものと言わざるを得ないのでありますが、それよりもむしろ
出資そのもの
が
零細資金
の集積による
資金
の適正な
運用
と認めがたいものが多いことに注目さるべきであろうと存じます。 これらの
出資
は、一、
知名士
の紹介による政策的なもの、二、幼稚な
伊藤
の
経済的野望
を満足せし
むるような内容
のもの、三、
保全会
の
宣伝
に一役を負わせる
新聞等
に向けられておりまして、真に
事業経営
の純正な立場における
出資
と認められるものはきわめて少いのであります。なお、仮
払い
中のものといたしまして、
南方通商株式会社
、
日蘇貿易株式会社等
の
支出
がありますが、これらは真に
事業遂行
のためのものであつたかいなかも不明なものでありまして、
目下調査
中であります。 第五、
仏教保全経済会
について申し上げます。
仏教保全経済会
は、
昭和
二十六年四月、当時
保全
の滋賀県
長浜支店長
であり、現在同
会理事
、
中外日報社専務
の
疋田桂一郎
が
大谷瑩潤
、
大谷照
乗氏等と話し合
つて
できたもので、
保全経済会
のピンチを救つたものと言われております。
保全経済会
との契約がいかに
なつ
ているかは重大な点でありまして、詳細は
目下調査
中であります。現在までに二億円を集め、
保全会
からは
仏保事務費
として約一千万円が
支出
されております。別に、
大谷瑩潤氏
に対しましても各種の機会に
支出
が行われており、また
大谷
氏のあつせんにより
大谷
氏の
次男坊大谷武
氏の重役をしております
日本和紡株式会社
に五百万円の
出資
が行われ、また
長浜所在
の
山林
を
保全会
が買収している等の事実がありまして、
大谷瑩潤氏
と
保全会
との
関係
は相当深いものがあると認められたものであります。 第六、
顧問
並びに
政治家等
との
関係
について申し述べます。
保全経済会
の
顧問
としては、
衆議院議員平野力三
、
経済学博士松本信次
、
衆議院議員
早
稻田柳右エ門
氏の三氏のほか、元厚生次官
武井群嗣氏
し一時名を連ねておりました。これら
諸氏
に対し
帳簿
上
支出
せられた
顧問料
は、
平野力三
氏に対しましては二十六年十一月二日に二十万円二十六年十一月十七日に三十万円、二十六年十二月一日に二十五万円、二十六年十二月二十四日に二十五万円、二十七年一月三十日に二十五万円、二十七年二月八日に十五万円、二十七年四月二十五日は十八万円、二十七年五月二十四日に十五万円、二十七年六月二十四日に三十万円、二十七年七月八日に三十万円、二十七年七月二十五日に三十万円、これで二十六年に百万円、二十七年に百六十三万円。二十八年三月七日に五万円、二十八年三月三十一月に十五万円、二十八年四月二十五日に五万円、二十八年五月二十七日に五万円、二十八年六月二十五日に五万円、二十八年七月二十五日に五万円、二十八年八月二十五日に五万円、二十八年九月二十六日に五万円、そして最後が
休業宣言
をいたしました二十八年十月二十四日に五万円を渡しておるのであります。
松本信次顧問
に対しましては、二十六年九月十二日に四万円、二十六年十月一日に十万円、二十六年十一月十九日に五万円、二十六年十二月十八日に十万円、二十七年一月十九日に五万円、二十七年二月二十日に五万円、二十七年三月二十二日に十万円、二十七年五月六日に十万円、二十七年五月二十四日に五万円、二十七年六月十二日に十万円、二十七年八月二十五日に十万円、二十七年九月四日に十万円、二十八年三月七日に二十万円、二十八年六月二十七日に五万円、二十八年七月二十五日に五万円、二十八年八月十四日に五万円、二十八年九月十五日に五万円、二十八年十月十四日に五万円、計百三十九万円であります早
稻田柳右エ門
氏に対しましては、二十六年十一月二日に三十五万円、二十七年四月二十四日に四十万円、二十七年九月一日に四十万円、計百十五万円であります。
武井群嗣氏
に対しましては、二十七年四月二十五日に五十万円、二十七年九月三日に二十万円、二十七年九月二十四日に二十万円、計九十万円でありまして、このほかに歳暮あるいは
中元
の名のもとにしばしば
支出
がされております。また多少の
会食費
が
支出
されております。なお、
平野力三
氏は、右のほか、
保全会
の
所有物
である港区
芝西久保明舟町所在鉄筋コンクリート
三階
建建物
を使用しており、二十七年四月及び五月に計八十一万九百五十円の
什器備品費
が
会館用
として
保全会
から
支出
されておるのであります。 これらの
顧問
のほか、
政界人
にして
保全会
の
帳簿
上その他に現われた者は、
参議院議員大谷瑩潤君
、元
衆議院議員駒井重次
君、
衆議院議員山口六郎次
君、
衆議院議員福田篤泰
君、元
衆議院議員頼母木眞
六君、前
衆議院議員廣川弘禪君
の
諸氏
でありますが、
帳簿
上におきましては巷間伝えられるような広汎かつ多額の金は
支出
されておらないのであります。 政党への献金としては、
自由党
へ
昭和
二十七年二月十九日に二百万円、改進党へ
大会協力金
として
昭和
二十七年十二月二十七日に二十万円
支出
されております。
自由党
からは
政治資金規制法
により
昭和
二十七年五月十七日届出られております。このほか、二、三の
社会運動団体
へも
支出
されておりますが、注目されるものといたしましては、二十八年九月二十一日の
殉国青年隊賛助金
十万円の
支出
くらいであります。 また、
保全会
には
弁護士
として
原秀男
、
松下孝徳
、これに元
検事
と言
つて
おりますが、これらが
関係
していますが、
松下弁護士
に対しましては、二十八年九月二十一日に百三十万円、翌二十二日に百五十万円の
支出
がなされております。
参議院議員井野碩哉氏並びに横川信夫
氏は
保全
の
出資会社
不二
林業株式会社
の
設立発起人
に名を連ねたもので、これは
同社社長小柳善治
の
個人的関係
によるものか、あるいはまた
保全会
または
伊藤斗福
との直接
関係
はどうかを
調査
いたしておるのであります。
三浦義一
氏、
兒玉誉志夫
氏は、新
夕刊社長山崎一芳
氏を通じ、あるいは元
保全会経理部長
兼
理事長室望月京一
氏を通じ、
保全会
と何らかの
関係
あるものと推測せられるので、これも
目下調査
中であります。 以上は
帳簿記載等具体的裏付
のある範囲のものであ
つて
、直接
伊藤斗福
氏の供述によるものではありませんから、必ずしも全部を網羅していると断定できぬことはもちろんであります。 第七、
新聞
、
雑誌等
との
関係
について申し上げます。
保全会
の
運営
のためには、次々に
新規
の
出資者
の
勧誘
を必要とするものでありますから、
知名人
の
顧問看板
とともに誇大なる
広告宣伝
を必要とし、
従つて
二十五年四月二十五日より二十八年九月三十日までの間に三億六百六十二万余円という莫大な
広告宣伝費
を
支出
しておるのであります。この莫大な
広告宣伝費
の
昭和
二十八年一月より十月までのおもなる
支出先
は左の
通り
であります。
毎日広告社
に二百三十五万九千八百六十五円、
朝日通信社
に六十九万四千二百六十四円、
東弘通信社
に三百八十万二千八十八円、
東和通信社
に百六十六万八千四百三十円、
青山通信社
に六十万三千百円、
東陽社
に二百三十七万二千二百五十円、
産業経済新聞社
に五百一万五千二百十円、新
夕刊社
に二十七万五千四百円、
社会タイムス社
に五十一万五千円、
婦人タイムス社
に四十万七千三百七十五円、
公安文化協会
に二十五万四千八百円、三幸社に三百九十八万六千円、
産業通信社
に二十七万円、
日東通信社
に二千七百五十五万九千八百四十二円、
日本電報通信社
に二千三百三十四万八千四百六十四円、
日本通信社ラジオ放送
に四千十万三千円、
電通ラジオ
及びテレビに六百一万四千五百二十七円、この
合計
、十箇月間で一億一千九百二十四万九千六百十五円という次第であります。以上のような
厖大
なる
広告宣伝費
の
支出
は、勢いその間にボスの暗躍が行われ、
支出
が政策的に流れ、
言論報道
の真実が歪曲されたことはいなめないのであります。
言論人
で
保全会
に
関係
の深いと認められる者には、
電報通信社木原通雄
、
産業経済新聞社社長前田久吉
、新
夕刊社山崎一芳
、
中外日報社
真溪涙骨の
諸氏
がありますが、特に新
夕刊社
は、その
資本金
二千万円中、千七百万円が
保全会出資
であるばかりでなく、前述のように六千二十五万円の
仮払金
が
支出
されており、
山崎一芳
氏
個人
にも二十七年六月十二日及び八月二十五日に各百万円
支出
されております。また、
下村亮一
氏の
社長
である
雑誌経済往来
は、
保全会
に関する
掲載記事
の
関係号
を一回千部購入されているほか、二十八年八月及び九月、
委任研究費
の名目のもとに計八十万円受領しております。また
警視庁記者クラブ
に対し、ときどき三万円程度の
寄付
が行われております点は、元
内相警視総監安部源基
氏の
会長
と
なつ
ている
公安文協協会
に対する
寄付金
とともに、注目せねばならぬところと存じます。 なお、本小
委員会
は、
関係機関
の
取調べ
及び
取締り状況
についても引続き
調査
を行
つて
おりますが、以上をもちまして大略今回の
中間報告
を申し上げる次第であります。
塚原俊郎
5
○
塚原委員長
以上をもちまして、
保全経済会等特殊利殖機関
に関する
調査小委員会
の
調査経過報告
は終了いたしました。 この際
委員長
より一言申し上げます、ただいま
田渕
小
委員長
の
調査経過報告
を
伺つたの
でありますが、本件の
調査
にあたりましては、小
委員長
初め小
委員
の各位におかれましては、終始きわめて御熱心に、複雑にしてしかも多難な
調査
を進められ、本
委員会
の権威をいやが上にも高められた点、深く敬意と感謝の意を表する次第であります。
—————————————
塚原俊郎
6
○
塚原委員長
この際お諮りいたします。
保全経済会等特殊利殖機関
に関する件につきましては、
理事諸君
とも協議の結果、本
委員会
において
証人
を喚問し
調査
を進めることに意見の一致を見ましたので、本日
保全経済会顧問松本信次
君、
保全経済会顧問衆議院議員
早
稻田柳右エ門
君、
保全経済会顧問衆議院議員平野力三
君、明二月二日、
仏教保全経済会会長参議院議員大谷瑩潤君
、元
衆議院議員駒井重次
君、前
衆議院議員廣川弘禪君
、以上六名の
諸君
に
証言
を求めるため、それぞれ本
委員会
に
出頭
を求める手続をいたしておいたのでありまするが、以上六名の
諸君
を本
委員会
の
証人
として決定するに御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
塚原俊郎
7
○
塚原委員長
御
異議
なしと認めます。よ
つて証人
として決定いたしました。 なお、
証人
の
出頭期日等
に変更を生じました場合の措置につきましては
委員長
に御一任願います。
—————————————
塚原俊郎
8
○
塚原委員長
これより
保全経済会等特殊利殖機関
に関する件につきまして
調査
を進めます。ただちに
証人
より
証言
を求めることにいたします。 ただいまお見えに
なつ
ておられる方は
松本信次
さんですね。
松本信次
9
○
松本証人
そうです。
塚原俊郎
10
○
塚原委員長
あらかじめ
文書
をも
つて
御承知の
通り
、本日正式に
証人
として決定いたしましたから、さよう御了承願います。 これより
保全経済会等特殊利殖機関
に関する件につきまして
証言
を求めたいと存じますが、この際
証人
に申し上げます。
保全経済会
は
全国
に二百箇所以上の店舗を有し、
出資総額
約四十五億、
加入者
は約十五万に達する特異な
利殖機関
でありまして、従来その業務の
運営
につきましてはとかくの風評があ
つたの
でありまするが、昨年十月二十四日突如として
全国
一斉に臨時
休業
に入
つたの
であります。この
休業
に立ち至つた事情につきましては世上幾多の疑惑と関心を有する向きもあり、また一方、これら類似の特殊
利殖機関
の累増を見た今日、これら特殊
利殖機関
の業務
運営
の実態を明らかにし、かつこれら特殊
利殖機関
に対する
関係
官庁の監督の当否について
調査
を進めますることは、国の行政が適正にしてかつ能率的に行われているかどうかを監察し、も
つて
立法その他国政の審議に資するため行政の
運営
上障害と
なつ
ている各般の事情を総合的に
調査
しかつその責任を
調査
する本
委員会
の使命にかんがみ、きわめて有意義なりと考え、本
委員会
は本件の
調査
をいたすことに
なつ
た次第であります。
証人
におかれましては率直なる
証言
をお願いいたします。 それでは、ただいまより
保全経済会等特殊利殖機関
に関する件につきまして
証言
を求めることになりまするが、
証言
を求める前に
証人
に一言申し上げます。
昭和
二十二年法律第二百二十五号、議院における
証人
の宣誓及び
証言
等に関する法律によりまして、
証人
に
証言
を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならないことと相
なつ
ております。宣誓または
証言
を拒むことのできるのは、
証言
が、
証人
または
証人
の配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または
証人
とこれらの親族
関係
のあつた者、及び
証人
の後見人または
証人
の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師、歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、
弁護士
、弁理士、弁護人、公
証人
、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあつた者が、その職務上知つた事実であ
つて
黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には
証言
を拒むことはできないことに
なつ
ております。しかして、
証人
が正当の理由なくして宣誓または
証言
を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した
証人
が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることと
なつ
ておるのであります。一応このことを御承知に
なつ
ておいていただきたいと思います。 では、法律の定めるところによりまして、
証人
に宣誓を求めます。御起立を願います。 宣誓書の御朗読をしてください。 〔
証人
松本信次
君朗読〕 宣 誓 書 良心に
従つて
、真実を述べ、何事もかくさず、また何事もつけ加えないことを誓います。
塚原俊郎
11
○
塚原委員長
それでは宣誓書に署名捺印を願います。 〔
証人
宣誓書に署名捺印〕
塚原俊郎
12
○
塚原委員長
これより
証言
を求めることになりますが、
証言
は
証言
を求められた範囲を越えないこと、また御発言の際には、その都度
委員長
の許可を得てなされるようお願いいたします。まず
委員長
から概括的に
証言
を求めて、各
委員
から
証言
を求めることになりますから、さよう御了承ください。なお、こちらから質問をしておりまするときはおかけに
なつ
ておりましてもよろしゆうございますが、お答えの際には御起立をお願いいたします。 まず、
松本
君の略歴について簡単にお述べを願います。
松本信次
13
○
松本証人
どの程度に申し上げますか。
塚原俊郎
14
○
塚原委員長
学校を出られてから今日に至るまでのことを、簡単でけつこうですが……。それから国も言
つて
ください。
松本信次
15
○
松本証人
本籍は東京都渋谷区代々木大山町一〇六七番地。現住所もそうです。大正十一年に第一高等学校文科乙類に入りまして、大正十四年に東京帝国大学経済学部に入り、
昭和
三年三月東京帝国大学経済学部経済学科を卒業、同時に大学院に入りまして取引所論を専攻、
昭和
三年三月法政大学助教授、
昭和
五年から
昭和
十年までドイツへ留学しまして、ベルリンの工科大学を卒業しまして、
昭和
十五年に経済学博士になりました。以来法政大学教授、東京帝国大学講師、上智大学講師、日本大学講師、立教大学講師等を歴任しまして、その間に東京株式取引所の
顧問
とか、日本証券取引所の
顧問
をいたしました。終戦のときにその職をやめまして、日本ステンレス株式
会社
の
顧問
になりました。そういうのを全部申し上げますか。
塚原俊郎
16
○
塚原委員長
おもなるものでけつこうです。
松本信次
17
○
松本証人
現在は東洋大学の経済学部教授、日本ステンレス株式
会社
の
顧問
であります。
塚原俊郎
18
○
塚原委員長
たとえば証券取引審議会とか、公取
委員会
というものがありますが、そういう
委員会
の
委員
というか、公職におつきに
なつ
たことはありませんか。
松本信次
19
○
松本証人
なつ
たことはありません。
塚原俊郎
20
○
塚原委員長
松本
君は
保全経済会
の
伊藤斗福
、この方とはどういう御
関係
にありますか。
松本信次
21
○
松本証人
大分古い話でありますけれども、
昭和
二十六年の夏ごろに、私が書物を出版しました本屋の紹介で、私に
保全経済会
の
顧問
に
なつ
てくれぬかということを手紙で依頼して参りました。それ以来の
関係
です。
塚原俊郎
22
○
塚原委員長
何年ごろですか。
松本信次
23
○
松本証人
昭和
二十六年の夏ごろだと思います。
塚原俊郎
24
○
塚原委員長
そうしますと、
証人
が
保全経済会
の
顧問
に就任したのはいつになりますか。
松本信次
25
○
松本証人
はつきり覚えておりませんけれども、
昭和
二十六年の八月か九月だと思います。
塚原俊郎
26
○
塚原委員長
はつきり覚えていないとおつしやいますが、やはり辞令みたいなものは出るのでしよう。
松本信次
27
○
松本証人
全然もら
つて
おりません。手紙で依頼を受けて、口頭で承知したのです。
塚原俊郎
28
○
塚原委員長
顧問
というのはどういう仕事をなさるのです。
松本信次
29
○
松本証人
実は、私は普通の
顧問
と違いまして、
調査
研究を委嘱された
顧問
なのです。
塚原俊郎
30
○
塚原委員長
そうすると、
松本
君の
顧問
として活躍された部面は
調査
研究だけでございますか。
松本信次
31
○
松本証人
それだけであります。しかも、その
調査
研究も、実は
保全経済会
のための
調査
研究はあまりいたしておりません。つまり、
保全経済会
が何か投資銀行か何かに転換するというものでありますから、外国の投資銀行制度の
調査
研究を委嘱されてお
つたの
であります。
塚原俊郎
32
○
塚原委員長
調査
研究のお仕事だけに限定されたとおつしやいますが、その面についてお知りに
なつ
ている点をひとつお述べ願いたいと思います。今の投資銀行の面でもけつこうですし、二十六年の八月からどういうお仕事をなさ
つて
来たか……。
松本信次
33
○
松本証人
ただ、お断り申し上げたいのですけれども、私は元来そういうことを研究しておるのでありまして、これが、
保全経済会
から頼まれた
調査
研究と自分の専門の
調査
と、ちよつと区別がつきにくいのであります。
塚原俊郎
34
○
塚原委員長
顧問
としておやりに
なつ
た範囲だけの
調査
研究のことをお答えを願います。
松本信次
35
○
松本証人
大体アメリカの投資銀行というのはどういうものだということを
調査
研究いたしました。
塚原俊郎
36
○
塚原委員長
それだけですか。
松本信次
37
○
松本証人
それに関連しましてアメリカの投資信託のことを研究しております。
塚原俊郎
38
○
塚原委員長
そういつたことを研究されたことは、どういう形で
保全経済会
の方にお出しに
なつ
ておられたのですか。
松本信次
39
○
松本証人
実は、その
報告
書を全然出しておりません。
塚原俊郎
40
○
塚原委員長
それでは、
顧問
として自分の研究だけやつたというのですね。
松本信次
41
○
松本証人
そうです。ただ、こういうことはあります。ときどき秘書が参りまして、アメリカの投資銀行はどう
なつ
ておるというようなことを聞くのであります。そのときには口頭で説明しております。それから、いま
一つ
は、ごく最初の時期に、
伊藤
君が二、三度私の家に参りまして、私の話を聞きましてノートにと
つて
行つた事実はあります。
塚原俊郎
42
○
塚原委員長
特別な
関係
で
顧問
に就任され、しかも二十六年八月から今日までというと相当ありますが、
顧問
としておやりに
なつ
たことはそれだけというのはちよつと解せないのです。
松本信次
43
○
松本証人
もう少しありますよ。
塚原俊郎
44
○
塚原委員長
それを、お隠しにならないで全部お話を願いたい。
松本信次
45
○
松本証人
たとえば、あすこの支店長
会議
あたりで講演を頼まれてやつたことがたしか二度くらいあります。それから、
保全経済会
の支店が落成したようなときに招待を受けたことはあります。これはもちろん
顧問
の資格ですけれども、
調査
研究とは
関係
ないことであります。
塚原俊郎
46
○
塚原委員長
この点についてはまた
委員
の
諸君
からもお聞きになるでしようから、次に進んで行きます。しからば、
松本証人
は
顧問
として長い間や
つて
おられますが、
保全経済会
が前に莫大な
欠損
を続けていたという事実は御承知ですか。
松本信次
47
○
松本証人
全然存じておりません。
塚原俊郎
48
○
塚原委員長
どうもその点が私には割切れないのですが、ほんとうに御存じございませんか。
松本信次
49
○
松本証人
ほんとうに知りません。
塚原俊郎
50
○
塚原委員長
もし御承知ないとするならば、参考までにお聞かせいたしますが、概数で申し上げますれば、
昭和
二十五年十二月末日現在で五千二百九十六万、二十六年十一月末で三億一千百九十万、同二十七年の五月末日現在で三億六千六百五十三万、同二十七年九月末日で二億九千八百八十万、同二十八年三月末日現在で六億五百八万、同二十八年九月末日七億九千二百三十六万、これらの
損失合計
二十四億二千七百六十六万百二十円という額に
なつ
ております。それで一期といえども
利益
のあつたことはありません。
証人
は以上のような事実は御存じないとおつしや
つて
いますが、何に原因してこういうことに
なつ
たというふうにお考えになりますか。
松本信次
51
○
松本証人
その事実は実際私知らなか
つたの
です。というのは、全然そういうふうなことを私に
報告
もしてくれないし、また私が
報告
を求めない。今の御質問についてちよつと伺いたいのですが、どういうわけでそういうような損失が出たかという御質問でございますか。
塚原俊郎
52
○
塚原委員長
あなたは
顧問
として、一期といえども
利益
のあつたことがなか
つたの
は、どういうことに原因してこういうことに
なつ
たかということをお聞きしているのです。
報告
も聞いていない、何も知らない、知らぬ存ぜぬの一点張りではお答えにならないでしよう。いやしくも
顧問
として相当の
顧問料
もいただいているのでしよう。
保全経済会
を足場にしてまさか金だけもら
つて
いるというわけじやないと思います。
顧問
として就任して報酬をもら
つて
いるからには、そのお仕事もなされなければならぬはずですから、何も知らないということは私は解せないのです。
松本信次
53
○
松本証人
初めから申し上げますけれども、
顧問
に就任する際に、そういうふうな
調査
研究の委嘱は受けるけれども、全然
内容
にはタツチしない、こういう約束で
なつ
ておるのです。
塚原俊郎
54
○
塚原委員長
実体には何らタツチしないという約束ということですが、何かその一札でもと
つて
ありますか。
松本信次
55
○
松本証人
一札はと
つて
ありませんが、私は口頭で申しました。私の職業としましては当然のことでありまして、いろいろな
会社
の
調査
を頼まれることがしよつちゆうでありますが、そのときは、
会社
の
内容
というものは全然調べないということが習慣に
なつ
ております。
塚原俊郎
56
○
塚原委員長
それに間違いございませんね。
松本信次
57
○
松本証人
全然間違いございません。
塚原俊郎
58
○
塚原委員長
最初にあなたは宣誓されているのですから……。
松本信次
59
○
松本証人
間違いございません。
塚原俊郎
60
○
塚原委員長
ごまかそうと思
つて
もできないのですから……。
松本信次
61
○
松本証人
そんなことは絶対ございません。
塚原俊郎
62
○
塚原委員長
調査
研究だけということに先ほどから限定しておりますが、少くとも
証人
は経済学博士です。この称号を持たれているのでありますが、
保全経済会
の行つた証券の取引について
関係
せられ、また参考意見を述べられたことはございますか。
松本信次
63
○
松本証人
はつきりお答えいたします。一ぺんもございません。
塚原俊郎
64
○
塚原委員長
一度もない……。
松本信次
65
○
松本証人
一度もございません。特にどの株を買うか、この株を買うかということの相談はもちろんのこと、今株を買うのがいい時期か悪い時期かということの相談も受けたことはございません。
塚原俊郎
66
○
塚原委員長
保全経済会
の営業案内書、これもあなたはお読みにならないとおつしやるかもしれませんが、こういうことが書いてあります。精密な統計
調査
——おそらくこれはあなたの分担されている仕事でしようが、精密な統計
調査
と専門家の管理により最も安全確実な株式操作方法に基いて
資産
の利殖を行
つて
おります、こういうふうなパンフレツトみたいな案内書が出ております。これは御存じでしよう。
松本信次
67
○
松本証人
その営業案内書は見たことはありません。
休業
後知りました。
塚原俊郎
68
○
塚原委員長
そういうものを書いて
出資
の
勧誘
をやつたことはあなたも御存じでしよう。そういうように何か国民が飛びつくようなものを書いて
出資
の
勧誘
をやつたということはわれわれ部外者にもわか
つて
おります。
証人
は
顧問
として、こういう事実をやはり全然御存じなか
つたの
ですか。
松本信次
69
○
松本証人
それは全然知りませんでした。
塚原俊郎
70
○
塚原委員長
お知りにな
つたの
は
休業
後なんですか。
松本信次
71
○
松本証人
そうです。
休業
後私はあそこの幹部や
出資者
の人に会いまして、そういうパンフレツトのあることを知りましたし、そういうふうなうわさが立
つて
いることも知りました。また特に私に会いに来る人がそういう誤解をせられる方が非常に多いのであります。ちよつとお断りしておきたいのでありますが、私は取引所の制度とか銀行制度の専門家ですけれども、株を売買する方の専門家でありませんから、その点、はつきりお答え申し上げておきたいと思います。
塚原俊郎
72
○
塚原委員長
専門家でなくても、経済学博士というのは学がわれわれよりあるのですし、われわれしろうとでも知
つて
いることを……。
松本信次
73
○
松本証人
それはたいへんな誤解です。
塚原俊郎
74
○
塚原委員長
経済学博士というものはそういうものでございますか。
松本信次
75
○
松本証人
経済学博士というものは学者でございます。実際家ではありません。
塚原俊郎
76
○
塚原委員長
それでは次へ行きましよう。
保全経済会
が何
一つ
生産事業というものを営んでない。単に証券の売買と
不動産
への投資で毎月莫大な
配当
金を出して
経営
が成り立つものであるとお考えになりますか。
松本信次
77
○
松本証人
これは、時期によりまして、非常に株式の上りつつあるときと、
不動産
の
価格
の上りつつあるときでありますれば、
不動産
の投資あるいは株式の投資だけで十分に
利益
があげられるはずだと私は思
つて
おります。
塚原俊郎
78
○
塚原委員長
保全経済会
の立法化運動ということで、いろいろの問題を巻き起していますが、その立法化運動についていろいろなことが行われたという事実は御存じですか。
松本信次
79
○
松本証人
あとで知りましたけれども、当時は知りません。
塚原俊郎
80
○
塚原委員長
あとでというのは時期的にいつごろでございますか。
松本信次
81
○
松本証人
休業
後でございます。こういうことがございますから、これははつきり申し上げます。たとえば、私のところに毎月報酬を届けに来るそのときに、断片的に、今こういうことを向うがしている、立法化をだれだれに依頼しているということは聞いたことがございますけれども、私が相談を受けたことは実は一ぺんしかございません。
塚原俊郎
82
○
塚原委員長
いつごろですか。
松本信次
83
○
松本証人
ちよつと記憶はあいまいでございますけれども、一度
保全経済会
の方で投資銀行仮法案と称するパンフレツト——パンフレツトでもないけれども、そういうふうな法案の草稿みたいなものをつくりまして、私に見てくれということを言
つて
来たことがあります。私、ちよつと読みまして、少し
内容
が私の考えているのとは違
つて
愚劣きわまるものであるので、それつきりにしておきました。それから、それをまた来てくれというわけで、ある場所に呼ばれまして、その場所でまた説明を求められた。そのときにもまた、初めからそういう考えでありましたから、全然問題にしないで帰
つて
来ました。
塚原俊郎
84
○
塚原委員長
その投資銀行法案について立案されたのは
保全経済会
のどなたですか。
松本信次
85
○
松本証人
私の聞くところによりますと、望月京一君だと聞いております。
塚原俊郎
86
○
塚原委員長
望月京一君がたびたびあなたのところに——あなたは今一回とおつしやいましたけれども、たびたびあなたのところに指導といいますか教えを願いに参
つたの
ではございませんか。
松本信次
87
○
松本証人
そんなことはありません。一回と申し上げたのはあるいは誤りかもしれませんが、最初私が
顧問
に就任しましたころに、
伊藤
君と望月君が二、三回私のところに参りました。さつき申し上げた
通り
、そのときには私の言うことをノートに書いているわけです。ところが、今申し上げました投資銀行なるものは、それはずつとあとの話になりまして、おそらく二十六年の夏に私が
顧問
に
なつ
たとしますと、二十七年の夏ごろではないかと思います。その間全然参
つて
おりません。
塚原俊郎
88
○
塚原委員長
そうすると、われわれは、それは町のうわさとして聞いているのですが、投資銀行法案はあなたが指導しておつくりに
なつ
たというふうに聞いているのですが、そういう事実はないのですね。
松本信次
89
○
松本証人
そういう事実は絶対ありません。
塚原俊郎
90
○
塚原委員長
望月京一君が、あなたに言わせればちやちな案を持
つて
来て、あなたに見てもらいたい。それについてあなたはどういう処置をとりましたか。
松本信次
91
○
松本証人
それについては全然問題にしませんでした。それは成り立たぬということを言つた。
塚原俊郎
92
○
塚原委員長
別に加筆訂正したということはないのですか。
松本信次
93
○
松本証人
全然や
つて
おりません。
塚原俊郎
94
○
塚原委員長
全然ございませんね。
松本信次
95
○
松本証人
全然ありません。
塚原俊郎
96
○
塚原委員長
もし、あとに
なつ
て、いやそれは
松本
博士からいろいろ聞いて、
松本
博士が実際に手をと
つて
教えてくれたのだということになりますと、あなたのおつしやつたことがへんなことになりますが、その点は間違いありませんか。
松本信次
97
○
松本証人
そんなことはありません。
塚原俊郎
98
○
塚原委員長
念を押して聞きますが、そういうことはありませんね。
松本信次
99
○
松本証人
ええ、絶対ありません。ちよつと補足して発言してよろしゆうございますか。
塚原俊郎
100
○
塚原委員長
どうぞ。
松本信次
101
○
松本証人
元来、初め投資銀行投資銀行ということを
伊藤
君の方で言うのでありますが、私が考えております投資銀行というようもむしろアメリカの投資銀行というものと、
伊藤
君の頭にある投資銀行というものがあまりかけ離れている。最初私は、投資銀行というものが、大体こういうふうな金融制度の上で日本に投資銀行というものはないのでございますから、あることは決して悪いことではないが、話を聞いてみるとあまり
内容
が違
つて
いるものだから、相手にしなく
なつ
た。
塚原俊郎
102
○
塚原委員長
世上こういうことが言われております。
保全経済会
が政党あるいは官界方面にいろいろ連絡をする、そういつた渉外
関係
の事務、もちろんこういうことを担当なさる方があるでしようが、
松本
さんがその方面の事務を担当されておつたというような事実はありませんか。
松本信次
103
○
松本証人
全然ございません。それはとんでもない話であります。
塚原俊郎
104
○
塚原委員長
やはり先ほど申された例の
調査
研究、その一点だけでございますか。
松本信次
105
○
松本証人
それに関連しても、たとえば
調査
研究に関してあるいは国会の何かに持ち込んだことがあるかもしれません。そういうときには私には何の相談もしておりません。
塚原俊郎
106
○
塚原委員長
相談も受けてない……。
松本信次
107
○
松本証人
受けておりません。
塚原俊郎
108
○
塚原委員長
国会の方、政界の方、官界の方というような方にお会いに
なつ
た事実はあるのですか、ないのですか。
松本信次
109
○
松本証人
一ぺんあります。
塚原俊郎
110
○
塚原委員長
それはいつごろですか。
松本信次
111
○
松本証人
それは、私は
顧問
になりましたのが二十六年の夏ごろでございますから、そうすると、二十七年ごろに一ぺんだけ元安本の政務次官をしておつた福田君、それから山口六郎次という人と会つたことがあります。
塚原俊郎
112
○
塚原委員長
それはどういう目的で会われたのですか。
松本信次
113
○
松本証人
それは、今の投資銀行法案を私に見てくれという話がありまして、私があまりよく見ない。そこで、それをひとつ福田君とか山口君に説明してくれという話がありました。それである場所に
行つたの
でございますが、元来そういうものを突然説明を求められても説明するわけにも行きません。私がつくつたものなら説明しますけれども、人のつくつたものを説明するわけに行かないのでありまして、いいかげんにお茶を濁して帰りました。
塚原俊郎
114
○
塚原委員長
そのときに行かれたのは、望月君が一緒に
行つたの
ですか。
松本信次
115
○
松本証人
望月君はおりまして、もう一人、
伊藤
久馬という人間ですけれども、今
保全経済会
の
関係
の
会社
に富士航空という
会社
がありまして、そこの重役をしておる男が列席をしておりました。
塚原俊郎
116
○
塚原委員長
その
伊藤
久馬というのは、あなたとどういう
関係
ですか。
松本信次
117
○
松本証人
私が取引所の
顧問
をしておりましたときに、
調査
課の課員であ
つたの
であります。
塚原俊郎
118
○
塚原委員長
それだけの
関係
ですか。
松本信次
119
○
松本証人
ええ、そうです。
塚原俊郎
120
○
塚原委員長
その福田、山口、それ以外には……。
松本信次
121
○
松本証人
それ以外の方には一ぺんもお目にかかつたことはございません。
塚原俊郎
122
○
塚原委員長
二十六年のいつごろですか、これもはつきりはしませんが、やはり秋ごろじやないかと思いますが、
松本
博士
関係
として渉外費が三十五万円
支出
されております。これは御存じですね。いただいていますね。
松本信次
123
○
松本証人
私は、報酬のことは今申し上げますから……。
塚原俊郎
124
○
塚原委員長
報酬はまたあとで触れます。
昭和
二十六年のいつか、日ははつきりいたしませんが、
松本
博士
関係
として渉外費三十五万円という
支出
があります。これは間違いなく
帳簿
にも出ております。これは一体何に使われたのですか。
松本信次
125
○
松本証人
ちよつと私記憶しておりませんけれども……。
塚原俊郎
126
○
塚原委員長
受取
つて
おらぬのですか。
松本信次
127
○
松本証人
そんなことはありません。金はもら
つて
おります。もら
つて
おりますけれども、渉外費とか、三十五万円という額に記憶がない。それから……。
塚原俊郎
128
○
塚原委員長
まだありますよ。あなたの場合には、二十六年の九月ですかな、あなたの
関係
の接待費として十万五千円という
支出
がはつきり出ております。これも御存じないのですね。
松本信次
129
○
松本証人
全然ありません。私は、報酬はと
つて
おりますけれども、あすこの
関係
で宴会に出たということは、今申し上げました投資銀行法案のことだけであります。
塚原俊郎
130
○
塚原委員長
それでは、
証人
は
顧問料
として毎月どれくらいもら
つて
お
つたの
ですか。
松本信次
131
○
松本証人
最初の約束ではこうでございます。毎月五万円、但しこれは
調査
研究費という意味で五万円もらう、そのほかにもし私がさらに人に
調査
研究を依頼した場合、あるいはまた何か本でも買い過ぎましてよけいに金がいつた場合にはもう少しふやしてもらいたいという最初約束をしておりまして、現実には、毎月五万円持
つて
来たこともありますし、また私の方から十万ぐらいと言
つて
持ち込んだこともあります。私は、その場合に、受取りを出したこともありますし、また出さぬこともある。それからまた、私一番たくさんもらつた記憶は、一ぺん大体二十万円を一箇月にもらつたような記憶がありますけれども、それ以外にちよつと記憶がございません。
塚原俊郎
132
○
塚原委員長
二十六年の秋ごろから今日まで、大体概算にして
顧問料
としてどれくらいおとりに
なつ
ておりますか。
松本信次
133
○
松本証人
大体百万円内外だと思
つて
おります。
塚原俊郎
134
○
塚原委員長
百万円内外……。
松本信次
135
○
松本証人
百万円を越えておるかもしれません。越えてないかもしれません。大体その見当だと思います。
塚原俊郎
136
○
塚原委員長
われわれから言えば、百万円と言えばたいへん大きな額だから、大体覚えておりますよ。ことにあなたは経済学博士ですから、内外ということでなくて、はつきり出て来るはずだと思います。
松本信次
137
○
松本証人
今は何もメモを持
つて
おりませんから……。
塚原俊郎
138
○
塚原委員長
メモがなくても、われわれだつたから、あのときは百万円だとか百五万円だとかいうことはわかるはずであります。
松本信次
139
○
松本証人
月ではなくて、二年という期間ですから……。
塚原俊郎
140
○
塚原委員長
二十六年の秋ごろから今日まで、
顧問料
と、それから
調査
研究によけいいるということでも
つて
、あなたは
保全経済会
から金をと
つて
いる。それは大体どれくらいに
なつ
ておるかということをお聞きしているのであります。
松本信次
141
○
松本証人
それは大体百万円内外だと思
つて
おります。
塚原俊郎
142
○
塚原委員長
百万円ですね。間違いないですね。
松本信次
143
○
松本証人
間違いありません。しかし正確な数字は申し上げません。記憶がないのでございますから……。
塚原俊郎
144
○
塚原委員長
保全経済会
がああいうことに
なつ
て
休業
して、大騒ぎしておりますが、その再建工作についてあなたは何か
関係
されておりますか。
松本信次
145
○
松本証人
再建工作を申し上げますけれども、
保全経済会
の再建工作には
関係
しておりません。しかし
出資者
を保護するための再建工作なら
関係
いたしております。但し、これは
保全経済会
の幹部と相談しての話ではないのであります。
塚原俊郎
146
○
塚原委員長
それでは、
出資者
を擁護するという立場からでもけつこうですが、大きな面の再建工作について今日までどういう具体的な対策を立てられたか、その御説明を願います。
松本信次
147
○
松本証人
第一は、
保全経済会
の組織というものが非常に明確でないので、これを
弁護士
に研究させました。その次には、何とかして
保全経済会
の
理事長
から
出資者
の代表者に財産を全部引渡すということを考えました。その次には、その引渡された財産を何とか利殖
運用
して、全部の債務を返すという方法を研究しておりました。
塚原俊郎
148
○
塚原委員長
もう少し何かありませんか。あなたは学者ですし、あれだけ大衆が非常に困
つて
おるのですから……。
松本信次
149
○
松本証人
その詳しい案を申し上げますけれども、大体そういう方針で研究して来たのであります。
塚原俊郎
150
○
塚原委員長
もう少し詳しい案はありませんか。
松本信次
151
○
松本証人
詳しい案は、つまり第二
会社
をつくりまして、その第二
会社
にすべての債権債務を継承させて、おそらく第二
会社
の財産というものは大体
不動産
が大部分になりますが、その
不動産
を担保にするなり処分するなりして金融をする、それで新しい事業を行
つて
、何とかして十年間くらいのうちに全部の債務を償還する案を研究しました。
塚原俊郎
152
○
塚原委員長
これはまたあとで
委員
の
諸君
から聞くと思いますが、
全国
の
出資者
のうちで、あなたも経済学博士という有名な方ですから、その
顧問
の名につられて応募した者が多数あると思いますが、これについて、あなたは、経済会がああいうような騒ぎに
なつ
てどういう責任をとろうとしておられますか。
松本信次
153
○
松本証人
ですから、私は、
出資者
に何とかして債務を全部返すような方法を考えて、それで責任を果そうと思
つて
おります。
塚原俊郎
154
○
塚原委員長
その点は、今までの
証言
の中であまり
関係
がないとおつしやいましたが、その債務者のことを考えた場合には大いに責任を感じており、善後措置を講じたい……。
松本信次
155
○
松本証人
もちろん大いに責任を感じておりますが、
関係
がないということは事実なのでありまして、責任を感ずるということは、これはまた別問題であります。
塚原俊郎
156
○
塚原委員長
その方面に向
つて
今後はできるだけの努力をなさるというのですか。
松本信次
157
○
松本証人
というつもりでありますけれども、これは許されるかどうか、これはまた別問題です。
塚原俊郎
158
○
塚原委員長
委員
諸君
で御質問があればどうぞ。
田渕
君。
田渕光一
159
○
田渕委員
伺いますが、立法化をだれだれに依頼されておるということは聞いたことがありますというただいまの御
証言
でありましたが、そのだれだれというのはだれでございましようか。ひとつ詳しくお聞きいたしたいのであります。
松本信次
160
○
松本証人
私が聞きましたのは、大体立法化をするために各党の政務
調査
会に何か依頼をするということが
一つ
。その次には、直接依頼するのはちよつと変だと思いましたから参議院議員の西郷吉之助氏に頼んでおるということを言
つて
おりました。
田渕光一
161
○
田渕委員
参議院議員の西郷君以外に、だれだれに頼んでおるということを今おつしやいまして、ただ西郷君一人のような発言ではなかつたから、まだ何かありませんかということをお伺いしたのです。 〔
委員長
退席、
高木
委員長
代理着席〕
松本信次
162
○
松本証人
私は、そういう質問を受けますと、答弁がちよつとあいまいになりますけれども、先ほどちよつとだれだれと申し上げましたなら、それは、私がはつきり聞いておりますのは、西郷吉之助さんにお願いしたというふうに秘書課長の井上俊吾という人が私にそう言
つて
おりました。
田渕光一
163
○
田渕委員
先ほど
委員長
の質問に対して、立法化をだれだれに依頼しておるということは聞いたことがあるけれども、そのことは何も知らぬ、だれだれに依頼したということを聞いたことがあると言うから、私は西郷君一人ではないと思うから、念のためにお伺いしたのです。
松本信次
164
○
松本証人
私、だれだれと申し上げたかもしれませんけれども、私がはつきり聞きましたのは、西郷吉之助さんに依頼したということを聞いておりました。あとの人の名前は聞いておりません。
田渕光一
165
○
田渕委員
それは井上秘書からお聞きにな
つたの
ですか。
松本信次
166
○
松本証人
井上秘書課長です。
田渕光一
167
○
田渕委員
もう
一つ
伺いたいのでございますが、
保全経済会
の「利殖のしるべ」——ちよつとごらんに入れますが、りつぱにこうや
つて
経済学博士、
顧問
という名前であなたの名前が出ております。
平野
君、早稻田君……。それでこの仕事をしておるのです。
松本信次
168
○
松本証人
「利殖のしるべ」は、私が
出資者
に頼まれまして、私の友人の
弁護士
にいろいろ
保全経済会
の法律的性格の究明をすることを頼んだそのときに、参考
資料
として、このほかまだたくさんありますが、こういうものを
弁護士
のところに持
つて
来たのです。
出資者
はみんな持
つて
おる。そのときに初めて私これを見まして、私の名前がここに出ておる。しかもこれでは
保全経済会
役員ということで出ておる。しかし、実際は、
顧問
というものは、御承知でしようけれども、役員でも何でもありません。それで、私が依頼した
弁護士
が、これはまるで役員扱いをしておると言
つて
非常に憤慨しました。私はそれを聞きまして初めて知
つたの
であります。
田渕光一
169
○
田渕委員
これに対して印刷
会社
あるいは
保全経済会
に、あなたの名前を抹消しろとでも抗議されましたかどうですか。
松本信次
170
○
松本証人
休業
後でありますから……。
高木松吉
171
○
高木
委員長
代理
松本
君、発言のときは
委員長
の許可を受けてください。
松本信次
172
○
松本証人
はあ。私がこれを知りましたのは
休業
後のことでありますから、
従つて
、その際に取消しを申し入れることも何もならぬわけであります。全然そういうことをしておりません。
田渕光一
173
○
田渕委員
先ほど
委員長
がお聞きになりました
通り
、二十五年の十二月から二十八年の九月三十日まで、
合計
約二十四億三千万円ほどの
欠損
をいたしておる。それにもかかわらず非常にもうかるということがこれに書いてある。たとえば、「要するに飽くまでも安全・確実・有利の三原則に基いて株式の分散投資を図りつつ、優良銘柄を安値の時に買入れ
利益
を挙げております。又株の値下りの場合には一般に考えられている様な
個人
的な小資本による売買では損失を招くような結果にもなり易いのですが、
本会
の様に集中された大きな
資金
を以てする場合には、現物市場で買付けた株式の値下りを信用取引の市場で売継いで補償するという方法も考えられます。ですから株価の値下りが直ちに
本会
の事業
運営
を阻害する事にはなりません。これ等の
関係
は昨今の情況に於いても
本会
が少しも困らない、その事績が何よりよく証明するものだといえましよう。」——二十五億近い損をしていてもうかると書いてある。それにあなたの名前が出ておる。それをあとで知つたと言うのでしよう。
松本信次
174
○
松本証人
しかし、それは事実だからしかたがありません。今お読みに
なつ
たところの安全、確実、有利の三原則に基いて株式の分散投資をはかる云々ということは、これは実は、このパンフレツトを私が書いたわけでもなければ、パンフレツトをつくるときに相談を受けたわけでもありませんけれども、これは常識でありまして、このことが株式投資の原則なのであります。これは私の書物にも書いてありますし、方々で話もしました。但し、そのことを
保全経済会
が実際や
つて
おつたことと全然
関係
ないのであります。実際に私はこれを
休業
後に見た。開業中に見たものなら、少くとも私の名前が出ておることに対して抗議を申し入れますけれども、
休業
後見て抗議を申し込んだところで何にもならぬのであります。
田渕光一
175
○
田渕委員
それでは、あとの方もありますから、この一点で、あとは留保いたしておきます。あなたの第二
会社
案というものは、
平野
構想であると私は伺
つて
おりますが、
平野
君とあなたとの御協議によ
つて
、第二
会社
として、しかもそれを
出資者
の保護のために、あなたが責任感上再建工作をする、こういうようなぐあいにあなたは言われておるのですか。もう一点は、
出資者
の会合がたびたび行われております。たとえば
平野
君その他
伊藤
君等の声明書も出ております。これについて、休店後数回
会議
を開いておる席にあなたは出られたことがありますか、ございませんか。この二点を伺います。
松本信次
176
○
松本証人
第一の問題でございますけれども、第二
会社
をつく
つて
出資者
に債務を返還するということは、
平野
氏と私は相談いたしました。考えは私の考えです。これは常識でございまして、それ以外には方法はないのであります。その点、しかし、私自身がもちろんつく
つたの
ではないのであります。私の助手にそういうことを
調査
さして立案した次第であります。 第二の御質問の、
休業
後再三再四
伊藤
と会見したかという問題でございますが、私自身は、実は
伊藤
君と会いましたのは、
休業
の直後に、
平野
、早稻田、
大谷
、私と四人で
伊藤
君を
平野
君の事務所に呼びましてそうして
休業
のときの原因を究明したわけであります。それ以後私自身は会
つて
おりません。ほかの方は会われたかどうか知りませんが、私自身は会
つて
おりません。それで、もう
一つ
言い忘れましたけれども、何か共同で
新聞
記者に会
つて
くれという話がありましたときに、その前の日か何かに、
平野
君の事務所で私と
平野
君が
伊藤
に会
つて
おります。
高木松吉
177
○
高木
委員長
代理
中野四郎
君。
中野四郎
178
○
中野
委員
二、三点伺
つて
おきたいのですが、あなたが
伊藤
君とお知合いにな
つたの
は
昭和
二十六年の夏ごろというお話でありますが、
保全経済会
が今日まで
経営
をしておるその過程において、二十六年というと創業当時と申しても過言でないと思うのです。そこで、本屋さんの御紹介によ
つて
、
調査
研究のために
顧問
に就任したと先ほどおつしやいました。その節
文書
をも
つて
顧問
を依頼されたと言いますが、あなたは口頭をも
つて
これを応諾したとおつしやるのですから、その場合に
顧問料
等の
金額
についてお約束をなさつたことがあるのか、あるいは単に
顧問
として承知をするだけであ
つて
、約束はなか
つたの
かどうか。この点を一点伺
つて
おきたいと思う。
松本信次
179
○
松本証人
ただいまの御質問にお答えしますけれども、
顧問
を依頼されましたのは、最初に手紙が参りました。それから、事情を聞くために、今の本屋であるとか、もう一人
関係者
もおるものでございますから、それに相談しまして、
伊藤
君を私の家に呼びまして、いろいろ話を聞いた。それで、結局そのときにすぐ承知しないつもりでありますが、しばらくた
つて
私
顧問
になることを承知しました。そのときに報酬はすぐきめておりません。その後きめたはずであります。 〔
高木
委員長
代理退席、
委員長
着席〕
中野四郎
180
○
中野
委員
幾らにきまりましたか。
松本信次
181
○
松本証人
そのとき、私は、先ほども申し上げましたように、月額五万円、但しその他に実費がいる場合にはもう少しふやしてくれというふうにきめておきました。
中野四郎
182
○
中野
委員
そこで、私はさらに伺いたいのですが、あなたの先ほどからの御
経歴
を拝聴しておりますと、各大学の教授あるいは講師として今日お勤めに
なつ
ていらつしやる。いわゆる日本の学界の相当な席においでになる。社会的にもゼントルマンとして各自が見ておるのですが、相当常識の発達した
松本
さんが、いやしくも学究の徒として、金だけを目当てに
顧問
に就任していらつしやるとは、社会一般も認めまいと私は思うのです。また、あなたの御人格からしても、おそらくそういうようなことはあり得ないと私は考うるのですが、先ほど来のお話を伺
つて
おりますると、あなたは五万円の
顧問料
の約束をなすつた、こうおつしや
つて
いらつしやいます。それから、
委員長
が先ほど質問をいたしました中で、三十五万円あるいは十万余円の金についても御存じないというふうに御回答に
なつ
ていらつしやる。ところが、私は、ここにふしぎに感じなければならぬことは、
保全経済会
の
文書
の中に、現在は押収されておりまするが、その中に、
松本
顧問
にとして、大体五万円見当のものが毎月渡されておることは現われておりますけれども、どうも、私がこの
顧問料
の支
払い
を見ますると、ときどき——ときどきと言うよりも、大部分思いがけない金が出ておることなんです。たとえば、
昭和
二十六年の八月に御就任になりまして、九月の半ばごろに四万円という
顧問料
が最初であります。しかし、その後に、十月、十一月、十二月、一月、二月と、順次列記はされておりますが、九月は四万円だが、十月は十万円、十一月は五万円だが十二月は十万円、あるいはこれは年末のことだからいくらか加味したかもしれませんけれども、さらに続いて三月には十万円、五月に十万円、同じく五月に五万円、あるいはさらに二十七、八年にわたりましては、十万円がずつと並んで、二十万円というようなふうに出ておるのですが、これは、今の御回答を伺うと、その他実費のいつたときというふうに御回答に
なつ
ています。ここで私はつじつまの合わぬものを感じる。先刻来お話を聞いておりますと、この会の
運営
にはまつたく関与しておらぬという御答弁であります。しかし研究
調査
は依頼されたけれども、現在は
伊藤
の考え方と私の考え方とは根本的に食い違
つて
おるから、一切かまわぬでおいたという御答弁もなす
つて
いらつしやるわけです。一切かまわないでおおきに
なつ
た方が、どうしてこのような
支出
の面に思いがけない十万円、二十万円というふうに段階をつけてお受取りに
なつ
ていらつしやるか。学究者であるあなたは、少くともゼントルマンであるあなたは、最初相談をした五万円以上の金を受取るにはそれ相当な理由がなくてはならない。なるほど、社会情勢、経済情勢の変転に
従つて
物価が上つたからという御回答ならば、それでけつこうです。しかし、そうは行かない点があると思います。なぜならば、
昭和
二十八年の三月に二十万円を受取
つて
以来、二十八年の六月以降この
休業
に至るまでは五万円ずつに下
つて
おることです。突然物価が下つたわけではないのですから、私はこの点どうも理解に苦しむのです。ひとつ
松本証人
から、その当時の実費にお使いに
なつ
た段階について、当時の記憶を呼び起して詳細に御説明を願いたいと思うのであります。
松本信次
183
○
松本証人
金の出入りのこと、実は私はあまり記憶してないのですけれども、大体大部分の金は私は本を買
つて
おるのであります。書物を買いつけますときにはたくさんの金を要求しております。この書物を買う——書物は、実は、日本の学者の生活は非常に苦しいものでありまして、最近は書物の値段が非常に上りまして、簡単な日本の書物を買うだけでも月に五万や十万はすぐにかかる。特に私は、これはお調べになるとわかりますけれども、戦前は経済学者の中では、おそらく日本で一番とは申しませんけれども、相当蔵書の多い人間だつたが、ほとんど全部戦災でなくしまして、私現在私立大学の教授をしておりますけれども、私立大学の教授としてはほとんど書物を購入する金はございません。御質問の範囲を越えるかもしれませんけれども、先刻も
委員長
から、何か二年間に百万円内外は多いじやないかというお話がありましたけれども、大体図書の購入費というものが一年間に五十万、六十万、百万というものは、ほとんど問題にならぬのであります。何かその辺のことで、私が
保全経済会
から金をもらつたんだ……。 それから、もう
一つ
申し上げておきたいのは、月五万円という原則はありますけれども、今の実費はもらう。もちろん図書の購入費も入
つて
おります。それから、もう
一つ
、ただ五万円ときめてありますから、前借りのような形式に
なつ
ておるわけです。それから、向うの
帳簿
がどういうふうに整理されておるかということは私は全然知りませんから、それにつきましてはどうも御答弁しかねるのであります。
中野四郎
184
○
中野
委員
そうすると、最初御答弁に
なつ
た点に落ちておるのですか、あるいはあなたの言葉が足らなか
つたの
かもしれないのですが、あなたの言われたのは、由来ずつと向うから届けて来るものであ
つて
、あなたの方から要求しておらぬというふうに私は聞いた。今お話を聞いておりますと、あなたは図書を求めるときには、場合によ
つて
はこれを要求したとおつしやるのですが、いわゆるあなたの私物である経済図書をばお手にお入れになるのに、
金額
を今度はこれだけいるからという御要求をなさるとあれば、相当その間に、全然タツチしないという言葉とは違
つて
、深い
関係
がなければならぬと世上では思うのです。 それから、もう
一つ
、今の
金額
の問題について伺
つて
おきたいのですが、あなたは三十五万円ないしは十万円というものを全然知らないというふうに御回答に
なつ
ていらつしやる。これは決して
松本
さんをば問い詰めるのではありませんけれども、この
委員会
の本質上、性格上、このような金銭出納に関して、御記憶がもし呼びもどるならば、今日ここで御訂正になるとか、あるいは新たにお考えに
なつ
て適当な時期にお答えになればけつこうですけれども、この金はあなたが全然受取
つて
おらぬ——
保全経済会
においては、これは何か等としてあるのです。あなたの
関係
としてあるのです。あなたにじかに三十五万円渡したものかどうか明らかに
なつ
ておりませんが、
松本信次
関係
として支払われておるのでありますから、この点についての御答弁をもう一回伺うと同時に、もしそういうような御記憶があるならば、何か私の名前でそういうようなものを何人かが取つたというようなことでも御記憶の中にあるならば、これをお聞きしておきたい。全然これが
関係
ないというふうにおつしや
つて
、もし将来出て参りますと、いやな言葉ですけれども、偽証というような段階に入るおそれが多分にありますから、この点伺
つて
おきたい。
松本信次
185
○
松本証人
ちよつとお伺いいたしたいのですが、二十六年の十万円と三十五万円の件ですか。
中野四郎
186
○
中野
委員
そうです。
松本信次
187
○
松本証人
これは、私実は先ほどちよつと申し上げましたけれども、現在富士航空という
保全経済会
の
関係
会社
の重役をしてる
伊藤
久馬君が、私が日本証券取引所の
顧問
時代、
調査
課の課員をしておりまして、それで私のうちにしよつちゆう出入りしておりました。その
伊藤
久馬君が——今の本屋は神田の三崎町にあります報文社という本屋でございまして、その主人は砂田茂ですが、最初にあつせんをして来たわけであります。あるいはその辺に金が行
つて
おるかもしれません。私は記憶ございません。 もう
一つ
中野
さんの御質問があつたような気がするんですが、今のでよろしゆうございますか。
中野四郎
188
○
中野
委員
それから、もう
一つ
伺いたいのですが、先ほどのやはり
委員長
の質問に関連して伺
つて
おきたい。
保全経済会
が
欠損
を続けておつたかどうか知らぬというお話なんです。
内容
にタツチしないということを裏づけるためだろうと思います。ところが、あなたは一体この制度でもうかるというふうに御研究にな
つたの
かどうか、この点を伺いたい。損をするようなものに
顧問
を置くわけはないですから、もうかるわけです。もうかるという仕組みについては、あなたが何らか
調査
研究の
資料
を御
提出
にならなければならぬわけです。この点、ちよつと明らかになりません点が一点です。 それから、もう
一つ
伺いたいのは、先ほど、言葉じりをとらえるのではありませんが、
伊藤
の考えておる投資銀行と私の構想とあまりにも違うから、
文書
に手を全然入れておらぬ、そういうようなことには
関係
しておらぬ、こういうふうに言
つて
いらつしやるのですが、あなたが、いやしくも五万円という金、場合によ
つて
図書購入、研究費のために金銭を要求しておいでになる立場から考えて、
伊藤
の考えておるところの投資銀行が違
つて
おるなれば、経済学博士として、いわゆる
調査
研究のために
顧問
としておられる限りにおいては、向うが要求しようとしまいと、あなたはあなたの権威をも
つて
、責任をも
つて
当然これに対して反駁を加えて訂正、よろしき方向に向
つて
こそ、十五万のいわゆる被害者に対するところの今後の再建方式の責任あるあなたの行動だと言えるのだが、あなたが先ほどおつしやつた、再建工作については債権者
諸君
のためにという言葉を使
つて
いらつしやるが、私はこの点がわからない。結論においてはそういう言葉を使
つて
いらつしやるけれども、実質においては、最初に
伊藤
の考えておるところの投資銀行の方式とおれの考えておるところの構想はまつたく違うから放
つて
おいたというのは、一体どういうわけでしよう。この二点を伺いたいと思うのです。
松本信次
189
○
松本証人
ただいまの御質問のことについて御答弁申し上げます。 最初に、私は最初のころ
伊藤
君に二、三べん会
つて
おりまして、いろいろ話をして聞いてみますと、大体投資銀行とか、インヴエストメント・システムということを彼は言
つて
おりましたが、だれに聞いたのか、耳学問らしくて、ほんとうにアメリカにある投資銀行はどういうものであるか、あるいはほんとうにドイツの信用銀行というのはどういうものであるかということは全然理解しておらないような考えをしたものですから、最初は二、三回いろいろ説明いたしました。いたしましたけれども、私長年の間大学の教授をしておりまして、いろいろな学生を預か
つて
おりますけれども、学生を啓蒙するのはなかなかむずかしいのでありますが、大学の教授をしておりますから、大学の学生は数えられますけれども、幼稚園程度の頭脳を持
つて
おりますと、教えることがなかなか困難であります。それでもお前は
顧問料
をと
つて
おるからやらなければならぬということをおつしやられましても、私、今どうにもしかたがないのであります。はつきり申し上げまして、
伊藤
君のそれに関する知識は幼稚園程度だ、私はこう思
つて
おります。但し、私が
顧問料
をとりまして勉強する、これは私の方にもいろいろ申し分がありますが、いろいろ研究しておつた。それで、お前はばかだから相手にせぬという気持ではない。現に、
伊藤斗福
君は私の家に全然参
つて
おりません。呼びましても来るはずはない。ところが、今の秘書課長の井上俊吾君というのがときどき連絡に来る。連絡に来るというのは、おもにやはり私に金を届ける用なのですが、一月に一ぺんは必ず来ておりますから、そのときに、井上君に対しては、実際はアメリカの投資銀行というのはこういうものだ、あるいはドイツの信用銀行はこういうものだ、だからこういうふうに
保全経済会
の方も投資銀行に向
つて
転換するのなら考えなければならぬということは、少くとも一月に一ぺんは私は教えてや
つて
おります。ただ井上君の方がこれを
伊藤
君にどの程度伝えたかどうかということになりますと、私にはちよつと御答弁申し上げかねる次第であります。
中野四郎
190
○
中野
委員
それで、先ほどちよつと
伺つたの
ですが、それでは、
伊藤
の考えておる投資銀行は幼稚園程度の頭で、とうていうまく行かぬとお考えにな
つたの
か、あるいはうまく行くとお考えにな
つたの
か。いやしくもあなたは
顧問料
を要求し、
顧問
に就任していらつしやる。これはうまく行くと思
つたの
か、行かぬと思
つたの
か、この点の御答弁が抜けておるのです。
松本信次
191
○
松本証人
ただいまの御質問ですが、
伊藤
の考えている投資銀行というのは、
伊藤
の頭にある投資銀行で、
保全経済会
は決して投資銀行ではなかつた。
保全経済会
は、私の理解しておりました限りにおいては、大衆から
資金
を相当高い金利で集めておる。そうしてこれを株式と
不動産
に投資しておつたというふうに、私は
休業
前まで信じておりました。はたしてそうであつたといたしますれば、朝鮮事変勃発以来、特に
昭和
二十四年に経済が安定いしたまして以来、株価と
不動産
の値段というものは物価に比べて著しく騰貴が遅れておりましたため、その間に株に投資しあるいは
不動産
を買うならば、どんなばかでも金もうけができたはずであります。あとから考えますと、
保全経済会
が株にも投資せず
不動産
にも投資していなかつたからだめだつた。もしそのときに、ほんとうに株に投資し
不動産
に投資しておつたとすれば、必ず
利益
は生むはずであります。私はそう信じておりました。
中野四郎
192
○
中野
委員
よくわかりました。そうすると、株なり
不動産
に投資をしておればもうかるはずであ
つて
、投資をしていなかつたから今日の状態に
なつ
たというふうにお認めになるのですね。
松本信次
193
○
松本証人
私は大体そう考えております。
中野四郎
194
○
中野
委員
そこで、
証人
にもう
一つ
伺いたいのですが、一体
保全経済会
というものの実体はどういうものでありましようか。あなたはしばしばこの保金経済会の問題について
休業
以来いろいろと議論をしておいでになるようでありまするが、これが商法上の匿名組合であるのか、あるいは単なる投資事業であるのかどうか、この点をひとつ
松本
さんの学位の手前からも、きようは責任の上において明らかにしておいていただきたい。
松本信次
195
○
松本証人
委員長
に伺いますが、メモを見てもよろしゆうございますか。
塚原俊郎
196
○
塚原委員長
けつこうです。
松本信次
197
○
松本証人
ただいまの御質問なんでございますが、私は法律は専門家じやございません。ただ、およそ経済学の方でも企業の組織も研究いたしておりますから、法律は専門家でありませんけれども、ある程度法律の知識を持
つて
おりますから、その点でひとつ御
証言
したいと思います。 私は、
保全経済会
は匿名組合ではないと考えております。こういうことを国会の
委員会
で申し上げるのはどうかと思いますけれども、匿名組合というものは、合資
会社
の起源と考えられるコメンダーから発生したものでありますが、このコメンダーというのは一種の委託
関係
あるいは信用
関係
なんであります。
従つて
、匿名組合にも委託
関係
、信用
関係
の性質が多様に含まれておるのでありまして、匿名組合であれば
会社
とかというものとは全然違うと解釈しなければならぬ。但し、
保全経済会
が匿名組合であるかどうかという問題になりますと、私は、
保全経済会
は匿名組合でないということを、
休業
後いろいろ勉強して知りました。その理由は、匿名組合である場合は必ず、商法の五百三十八条でありますが、「
出資
カ損失ニ因リテ減シタルトキハ其填補ノ後ニ非サレハ匿名組合員ハ
利益
ノ
配当
ヲ請求スルコトヲ得ス」という規定があるのであります。この規定を
保全経済会
ははつきりと蹂躪をしております。つまり、毎月損してももうか
つて
も二分の
利益
配当
を約するということは、商法の匿名組合に準用しておりますところの第五百三十八条の規定を明らかに蹂躪しておるわけであります。それからまた、商法の合資
会社
の規定、百五十三条、この合資
会社
の規定が匿名組合に準用されるのでありますが、この中に、「有限責任社員ハ営業年度ノ終ニ於テ営業時間内ニ限リ
会社
ノ
財産目録
及
貸借対照表
ノ閲覧ヲ求メ且
会社
ノ業務及財産ノ
状況
ヲ検査スルコトヲ得」という規定があるのでありまして、ごく簡単に申し上げますと、結局匿名組合員というものは決算期ごとに決算表であるとか
財産目録
、
貸借対照表
を要求できるわけであります。ところが、その
保全経済会
は、これはたしか
出資
総数が十五万件でありますが、匿名組合員の数は七万人ぐらいと記憶しております。そういたしますと、現実の問題といたしまして、きようもある人間と匿名組合規約を結ぶ、あすはまたある人と匿名組合規約を結ぶということになりますと、毎日々々
保全経済会
が
財産目録
及び
貸借対照表
を公表しなければならぬということになる。ところが、普通の常識といたしまして、
会社
が決算をいたしまするには大体一月ぐらいの準備期間がいる。一月ぐらいの準備期間がいるものが、毎日々々
財産目録
や
貸借対照表
を公表することは事実上不可能であります。法律は不可能なことに立脚した制度というものはおそらく認めないだろうと思う。私は、そういう意味で、
保全経済会
は匿名組合でないということを今は考えておる。
中野四郎
198
○
中野
委員
きようの心境はたいへんよくわかりました。しかし、あなたは
昭和
二十六年以来本日まで、実質的にそれにタツチされたされないは後日の問題といたしましても、少しとも
顧問
としての肩書きを連ねられて、そうしてしかも創業以来このパンフレツトが各方面に配られる。あなたのところへは毎月々々
保全経済会
の責任者から適当なる
顧問料
が届けられておる。そして月に一回は、たとい人を通じたにしても、意思を通じておるわけなんです。そのあなたのいわゆる名の連
なつ
たこの
保全経済会
の「利殖のしるべ」にいたしましても、これは明らかに匿名組合としてあります。それから、このすべてのものをば募集いたしまするにも、匿名組合として、その匿名組合の
内容
が明らかに
なつ
ております。特に私の申さなければならぬことは、これを加入せしめるにあた
つて
は、匿名組合加入申込書として一般に渡して、そうして十五万人という多数の人々から、四十数億という
資金
を集めてお
つたの
であります。わけて一月十五日の読売
新聞
には、あなたの談話として、
利益
配当
を確約しても匿名組合として支障はないという前提のもとにあなたの意見が述べられております。 そこで私は伺
つて
おきたいのですが、先ほどからの御
証言
を聞いておると、私は実質的には
関係
していないのだ、ただ単なる
顧問
で、
顧問料
をもら
つて
おつただけだ、そして今日のような状態に
なつ
て、そういうことは申訳ない、責任は感じておる、感じる感じないは別だが、またその
内容
については私のタツチするところではないというふうに御
証言
なす
つて
いらつしやる。私は、一体それだけでいいかと思うのですがね。もしそれだけでいいとするならば、あなたはよほど頭脳のおかしい人じやないかと思う。経済学博士としての肩書きが、この匿名組合を称するところの
保全経済会
の
資金
を集める上においていかなる役割をしたかという社会的な責任をあなたは相当痛感しなければならぬ。単なるロボツト
顧問
として、そうして毎月金をと
つて
おつたとしたならば、あなたはよほど人格低劣な人と言わなければならぬ。いずれの責任も免れぬと私は思う。そこで、今
経済学博士松本信次
として、あなたは、今まで
保全経済会
にただ博士の肩書きだけでつられてお
つて
、多数の
出資者
に迷惑をかけたと考えていらつしやるのか、いやそうじやないのだ、もう少し深いところに私の考えはあ
つたの
だというふうにお考えに
なつ
ていらつしやるのか、この点をひとつ伺いたい。
松本信次
199
○
松本証人
最初にちよつと伺いたいのでありますが、一月十五日の読売
新聞
というのは、今年の一月十五日ですか。
中野四郎
200
○
中野
委員
そうです。
松本信次
201
○
松本証人
実は、私が直接
新聞
記者に話しましたのは、たしか
昭和
二十八年の十月二十五日か六日と記憶いたしますけれども、読売
新聞
の記者に私が話をしまして、それがそのすぐあくる日くらいに読売
新聞
の朝刊に出ております。それから共同通信の記者の人に一ぺん会
つて
おります。みな
休業
後のことでありますが、
新聞
記者に私会いましたのはそれくらいであります。今年の一月十五日の読売
新聞
の談話というものは私は存じません。これがほんとうであるかうそであるかということは、読売
新聞
社を御
調査
願いたいと思います。私は直接読売
新聞
の記者に会いましてそういうふうな談話をした覚えはございません。
中野四郎
202
○
中野
委員
あなたはまつたくこの印刷物には目を通したこともなければ相談を受けたこともなく、あなたの名前が載
つて
おることも御存じなか
つたの
でしようか。
松本信次
203
○
松本証人
私は、その印刷物は
休業
後初めて見まして、名前の載
つて
おることももちろん知りませんでしたし、目を通したこともございません。これははつきりと
証言
いたします。
中野四郎
204
○
中野
委員
そうすると、結論としては、ただ単なるロボツト
顧問
であ
つて
、そうして
伊藤
はあなたの肩書きを中心にして一般投資者に迷惑をかけたのだ、私はただ単なる
顧問料
がほしかつたから
顧問
についておつただけだ、これでよいのですか。
松本信次
205
○
松本証人
言葉のあやはございますけれども、大体そうでございます。(笑声)ここで
顧問
という地位の説明をいたしますと、実は先ほども
委員長
の御質問に詳しくお答えしなか
つたの
でありますが、私どもいろいろな
関係
でいろいろな
会社
の名前だけの重役とか、名前だけの
顧問
になります。その際に、それほど簡単に——考えないでなるのが日本の現状であります。これは、私一人ではなくて、おそらく
顧問
とか何かしていらつしやる方は全部同じ気持だろうと思います。
従つて
、そういうふうにおとりに
なつ
てもさしつかえありません。
中野四郎
206
○
中野
委員
もう
一つ
さかのぼ
つて
伺
つて
おきたいのですが、後にまた皆さん方各
委員
からの御質問に
従つて
補充的に伺いたいと思いますが、あなたは先ほど、
伊藤
久馬という人をよく知
つて
いると言
つて
おられましたが、この
伊藤
久馬というのは、
保全経済会
の
松本
顧問
付の嘱託として、
証人
のブレーンとして相当動いておるはずなんであります。そのことがすべてのものによ
つて
立証されております。しかも、この印刷物の起草等をするにあた
つて
は、あなたは全然知らぬと言
つて
おりますけれども、
伊藤
久馬は当時嘱託料として月に五千円ずつのほか、原稿料という名前でいろいろに金をと
つて
おります。特に
昭和
二十六年の八月、原稿料として、あなたと同じような時期に七万円の金を別個に受取
つて
おります。そしてこの
保全経済会
の性格その他の投資銀行設立案の基礎的な
資料
をいろいろ出しておられますが、あなたは
伊藤
久馬を通じて
保全経済会
に何らかの意思表示をされたことがあるかどうか。まつたく
関係
しておらぬかどうか。この点を伺
つて
おきたい。それで私は打切ります。
松本信次
207
○
松本証人
伊藤
久馬の
関係
は、はつきり申し上げますと、
伊藤
久馬は、私が日本証券取引所の
顧問
をしておりますときに
調査
課の課員であつたと思います。それで、最初に私が
保全経済会
に
関係
いたしますときにも、
伊藤
久馬がいろいろあつせんしております。その後私は、
保全経済会
には、今の
調査
研究に関しましても全然タツチしておりません。またおしかりを受けるかもしれませんが、実際そうなんです。
伊藤
久馬が何をしておつたかは私も知らぬのです。当時私の家に
伊藤
久馬はしよつちゆう来ておりましたが、ある時期に私の家に全然来なく
なつ
た。それ以後のことは私全然知りません。また
保全経済会
で
松本
顧問
付の秘書として
伊藤
久馬がそういう肩書きを持
つて
おつたかどうか、あるいはまた
伊藤
久馬君がそういうふうな原稿料をとつたかどうかということは、私は知りません。但し、私のところに、
保全経済会
の性格、
内容
を説明したような印刷物を送
つて
来たことがありました。それはあとで聞きますと——あとと申しましても、これは
休業
後という意味ではございません。開業中でありますが、
伊藤
久馬が書いたものだというふうに聞いております。但し、それについて私は全然
関係
しておりません。
中野四郎
208
○
中野
委員
今の御答弁なんですが、
伊藤
久馬はどういうわけで、いつごろあなたのところに出入りしなく
なつ
たか。それから、その前に、二十六年の夏に
保全経済会
の
顧問
を応諾なす
つて
から、あなたは、この「利殖のしるべ」とか、あるいは「
保全経済会
の性格について」というようなすべての
文書
を著わすについての意思表示を全然したことはないかどうかということなんです。この点は、
伊藤
君がどういう
証言
をしますかは知りませんですけれども、将来あなたと食い違
つて
参りますと、根本的にきようの
証言
が食い違うことがあるから、この点を伺
つて
おくのです。 それから、——もうちよつとお待ちを願いたい、もう
一つ
だけ伺いたいのですが、この「利殖のしるべ」の中に、あなたのお名前の入
つて
おるパンフレツトの中に、
利益
をあげておると書いてある。毎期損をしておるにかわわらず、
利益
をあげておると書いてありますが、そういうふうに
出資
を
勧誘
しておる。そうして今日の状態に
なつ
てみると、
出資金
の返済ができないということになれば、一体この
会社
はどうなるんでしよう。詐欺罪を構成するのか、一体どういう結果になるのかということは常識としてあなたは御承知だろうと思いますから、この点も敷衍してお答えを願いたい。
松本信次
209
○
松本証人
ただいまの御質問のうち、最初の方だけ要約してお伺いしたい。
中野四郎
210
○
中野
委員
最初の点は、
伊藤
久馬君があなたの家に出入りをしなく
なつ
たある時期にとおつしやいましたが、それはいつであ
つて
、どういう理由であるかという点です。そうして、その前に、
顧問
就任以来、
伊藤
久馬君がこの
保全経済会
の
文書
を作成しておるのです。原案を起草してやるのでありますが、それに対してあなたが直接意思表示をせぬまでも、
伊藤
久馬を通して意思表示をしたことがあるかないかという点です。この点を伺いたいことが
一つ
と、今の第二はおわかりですか。
松本信次
211
○
松本証人
第二の点はあれでありますか。
伊藤
久馬が
保全経済会
に関する
文書
を作成した。その作成することについて、何か私に指示を求めに来たかという御質問だつたと思います。第二の点からお答えしますと、私が知
つて
おる限りは、
伊藤
久馬君がガリ版に刷りました印刷物を執筆したということは、これもあとで聞いたのでありますが、今の「利殖のしるべ」とか、そういうものを
伊藤
久馬君が執筆したということは実は今日初めて伺つた次第であります。もちろん、それについて
伊藤
久馬君が私の指示を受けに来た事実はありません。 もう
一つ
は
伊藤
久馬君は非常にできる男でありますけれども、とかく——私は実は弟子がたくさんあるものですから、ほかの弟子からあまり近づかぬようにと注意がありました。もう
一つ
は、
保全経済会
の
関係
でたしか最初に証券処理調整協議会の何とか課長をしておつたが、やめて、私の世話である鉱山
会社
に入りました。その鉱山
会社
の名前を今ちよつと——倉敷鉱業だろうと思いますが、そこをまたすぐやめまして、それから一時
保全経済会
の手伝いをするということは聞いておりますが、そのころから私のところに来なくなりました。というのは、私のところに用がなく
なつ
たからだと思いますが、そのころから来ておりません。
中野四郎
212
○
中野
委員
第二の方の詐欺罪を構成するかどうかということ……。
松本信次
213
○
松本証人
これは、私法律の専門家ではありませんから、ちよつと何とも申し上げられません。
塚原俊郎
214
○
塚原委員長
椎熊
三郎
君。
椎熊三郎
215
○
椎熊
委員
松本
さんにお伺いします。私のはごく簡単ですから、率直にお答え願います。 あなたは今日日本の学界における有名な学者だと聞いております。経済学者としてのあなたの専門の分野は何であ
つたの
でありますか。現に何が専門ですか。経済の分野と申しましても広いようにわれわれしろうとは考えておる。あなの専攻せられたる学問の分野、現に大学等で講義されておるあなたの専門は何でありますか。
松本信次
216
○
松本証人
私は大学を出まして以来取引所論を専門に研究しております。しかし、そのほかに、
経営
経済学、金融論、銀行論、そういうことも研究しております。現在は東洋大学の金融論と景気論の講義を担当しております。もう
一つ
申し上げます。まだ、申すのを忘れましたけれども、商業学、商業の学問もやはり専攻しております。
椎熊三郎
217
○
椎熊
委員
あなたは、
保全経済会
の
顧問
をせられたときの条件は、主としてアメリカにおける投資銀行の研究にあつたとお答えに
なつ
たように私は今聞いたのですが、その
通り
でございますか。
松本信次
218
○
松本証人
その
通り
でございます。もう少し敷衍して申し上げますと、アメリカにおける投資銀行——投資銀行というのは非常に広い意味になります。投資の制度、さらにヨーロツパにおける投資の制度、そういうように非常に広い意味に解しております。とにかくそういうものは日本にない。外国にあるのだ。それじや外国にはどういうものがあるか調べてやろうというような意味であります。
椎熊三郎
219
○
椎熊
委員
アメリカにおける投資銀行あるいはその投資の
状況
、制度等を御研究になるということは、
保全経済会
が多額の
顧問料
を出してまで研究してもらいたかつた理由には、あなたの御研究がこの
保全経済会
を健全に発達せしめて行く上に非常に有効適切な結論を求められたればこそ、お願いしたのだろうと私は思うのです。
従つて
、各国におけるそういうものも研究せられたが、現にわが国に行われておるこういうような——われわれしろうとから見ると非常に不完全な金融機関のようなものが現在三百も存在しておるというのですね。国内のこういうものについての研究はなさなか
つたの
でしようか。
松本信次
220
○
松本証人
これは日本の学者の通弊かもしれませんけれども、私は国内の問題の研究はあまりいたしておりません。もつぱら外国の投資信託
会社
とか投資
会社
とか、そういうものを研究しております。なお、つけ加えてちよつと申し上げたい。私の研究はもちろんまだ完成していない。現在も研究しております。ただ、国内問題は、実はこの
保全経済会
の
休業
後いろいろな
事件
が起つた。それについて、もちろん学者として関心は持
つて
おりますけれども、特別に研究はいたしもしませんでしたし、してもおりません。
椎熊三郎
221
○
椎熊
委員
保全経済会
があれだけの
資金
を集めるのに、
顧問
たるあなたの名というものは非常に重大な要素であつたと私は考えるのです。世間一般もそう申しております。またあなたの学界における社会的な地位等を考えてみましても、そういう方面を専門に非常に研究せられたあなたが
顧問
に
なつ
ておるということが、この
会社
運営
上に非常な影響力があつたということだけはいなみがたき事実だと私は思うのです。そこで、だんだんや
つて
おるうちに、これはだれかが申したように、ペダル式操作とか何とかい
つて
、集めて来た金で損失を補填して行くというような不健全なやり方がとうてい永続ができないものだということは、だれしもこの
内容
を知
つて
おる者はわかるのです。それをあなたがわからないはずはないのでありますし、ことにあなたは外国における投資銀行の状態なども聞いてお
つて
、
保全経済会
の状態はこれではいかぬのだ、外国でや
つて
おる投資銀行のように改めるべきであるというあなたの構想があ
つて
、
伊藤
何がしが不完全な幼稚園式の頭ではあつたが、この投資銀行というものを考えついたということは、あなたの誘導によるものではないのか、あるいはあなたの暗示によるものではないのか、数回に及んであなたは投資銀行の話をしておられるということだが、そういう
関係
から来ておるのではないかと私は思うのだが、あなたはいかがでしようか。
松本信次
222
○
松本証人
私は、
保全経済会
の
顧問
になる前は、実は
保全経済会
というものはもちろん知らぬわけであります。当時はおそらく光クラブと万世クラブという似たような機関はあつたと思いますけれども、
保全経済会
みたいな機関はなかつたと思います。もちろん私は
保全経済会
がどういうことをしておつたかも知らなかつた。ところが、私に会う最初から、
伊藤
君は、投資銀行、インヴエストメント・システムをやろうと言
つて
おつた。私が
顧問
になりましたのは、私の記憶では
昭和
二十六年の八月ごろだと思います。そのころすでに
保全経済会
が投資銀行とかインヴエストメント・システムということを言
つて
おつたということは、おそらく何かこれは立証できると思います。私はそういうふうに記憶して——投資銀行というものをおぼろげながら考えておつたということは、私はそういうふうに申し上げたい。それから、もう
一つ
は、私は専門の学者としては、実は自分で申し上げるのは変でありますけれども、ある権威と思
つて
おりますが、世間的には別にそう有名なものとは自分でも思
つて
おりません。ただいまの御発言は私にはちよつと意外です。これは水かけ論でありますから、どうでもよろしゆうございますが……。
椎熊三郎
223
○
椎熊
委員
あなたの学者的立場、社会的地位を私はここで評価しようとは思いません。私もあなたを知らないくらいだから、そんなに偉い学者だとは思
つて
おりません。けれども、通俗的には、大学の教授をしておられる経済学博士ともなれば、零細な金などをこんなものに預ける程度の頭の人からは、えらい信用を博しているものなんです。あなたがそんなに権威のない人だということであれば、日本の学界のためにも実に残念なことであります。あなたはもつと自信を持
つて
しかるべきだ。そうでなければ、学生も気の毒ですよ。学界におけるあなたの存在をあなた自身が侮辱しておるという自信のないやり方で、何で教育者、学者になれるか。大いに自信を持
つて
いい。悪いことは悪いとしなければならない。 そこで、申し上げたいのは、あなたの社会的信用、あなたのこれだけの学問的知識、それらが、
保全会
社ともあろうものに、しかもあなたが罵倒せられて、こんなものは日本の商法上の匿名組合でさえあり得ないのだと、それほどの研究を持
つて
おる人が、
顧問
を頼まれると、月五万円になるから、営業の
内容
はどうでもいいんだ、どんなことをしてもいいんだ、おれは本を買う代金さえもらえばいいんだということで
顧問
に
なつ
たとすれば、学者的には軽蔑される存在だ。私は日本の学問のために残念だと思う。ほんとうにあなたはそんな気持で
なつ
たんですか。
松本信次
224
○
松本証人
それは、私ここではつきり申し上げますけれども、たとえば、私どもが奨学
資金
をもらう、あるいは研究費をもらう場合には、そうせんさくしない。また学者として非常に情ないとおつしやいましたけれども、ほんとうの気持は、実は本を買うために
なつ
た。それは何とおつしや
つて
もしようがないんです。
椎熊三郎
225
○
椎熊
委員
ほんとうの気持は本を買うために
保全会
社の
顧問
に
なつ
たということですが、百万円からの金ですから、さだめし相当の本を買われたでありましよう。しかし、あなたの名前だけではありませんけれども、
保全経済会
の世間的信用を博するためには、あなたというものの存在がかなり大きな要素に
なつ
ておつたということは、いなみがたい事実なんです。あなたが知ると知らざるとにかかわらずです。しかも、たとい本を買うためにしても、月五万、十万円という金をもらうのに、くれる相手は何であつたか、そんなことは問題でない、たとえば詐欺、強盗、かつ
払い
でも、本を買う金をくれるならもらうということに
なつ
たら、学者的存在がないではないか。私はそういうことを聞くのでなくして、あなたほどの明敏な頭脳の持主が、この
会社
から十万円、五万円の金をもらう
顧問
として三年も四年も勤めていたにしては、この
会社
がいかなるものであつたかということを知らぬということは常識上信じられないということなんです。あなたは、
顧問
に
なつ
たときから、ほんとうにこのインチキ
会社
を知らなかつたとおつしやるんですか。それが真相でしようか。私はあなたの学者的良識に訴えて御答弁を願いたい。
松本信次
226
○
松本証人
まことに申訳ありませんけれども、私は
顧問
になりましたときには、インチキ
会社
だとは知りませんでした。それからずつといろいろ世間のうわさは耳に入りましたけれども、私はほんとうに株式と
不動産
に投資しておつたと考えておつた。もし株式と
不動産
に投資しておつたとすれば、朝鮮動乱後の経済好況期の時代には必ず相当の収益をあげる。これは、今日私
資料
をも
つて
御説明することはできませんけれども、これははつきり御説明できます。
椎熊三郎
227
○
椎熊
委員
私はこれ以上追究いたしませんが、あなたは、あとに
なつ
てインチキたることを発見した、そういう言葉は使いませんでしたが、あとに
なつ
てそういううわさを聞いた。——そのときでも、あなたは学者として、
顧問
ですから、
会社
に一言の注意をするなり、学者的名誉を維持するためにも、五万円の本を買う金は大切ではあろうが、そういう腐れ
会社
と縁を断ち切ることが学者として、しかも教育者としてそうあるべきではなかつたでしようか。それを、最後のどたんばまで来て、今日は
加入者
の救済までも心配するという深い責任を感じておるというのは、ただ単に本を買うために五万円もらつたとは世間では思わないだろうと私は想像するんだが、どうですか。
松本信次
228
○
松本証人
その点、私が申し上げましたのは、インチキという言葉を使いますと問題になるから改めますけれども、要するに、
経営内容
が不健全だといううわさは
新聞
、
雑誌等
で読んだことがあります。これは
休業
前のことであります。いつごろというと、私は記憶しておりませんが、まず週刊朝日という雑誌に
保全経済会
の記事が出たことがあります。ダイヤモンドという雑誌に
保全経済会
の記事が出たことがあります。そのときは週刊朝日の記者もダイヤモンドの記者も私のところに来た。ところが、私は、実際経理の
内容
といいますか、営業の
内容
は全然知らなかつた。週刊朝日の記者にもダイヤモンドの記者にも、正直に、実は何も知らぬのだ、だから私は
内容
を説明するわけには行かぬ、——これは当時の週刊朝日の記事なりダイヤモンドの記事をお読みになればおわかりになると思う。それを説明した。 それから、そのときに、世間のうわさに上
つたの
になぜおかしいと思わなかつたかという御質問なら、世間のうわさだけではものは判定できるものではない。また私のところへ一月に一ぺん秘書が金を持
つて
参りますときに、私は、ちよつと気になるから、バランス・シートというようなものを見せぬか、あるいは経理の
内容
を知らせてくれと言
つて
おりますけれども、しかし一ぺんも見せてくれず、それ以上私がそれを追究する権利は私にはない。
顧問
というものはそういうもんなんです。また、私、ほかの
会社
の
顧問
をしておりますけれども、日本の
顧問
というものは、実はこういうことをここで申し上げるのはどうかと思いますけれども、アメリカでも
会社
の組織というものはラインとスタツフの二つにわかれておる。ラインというのは、
社長
、専務、常務、支配人、クラーク。スタツフは、課長には課長の助言者がいる。支配人には支配人の助言者がいる。
社長
には
社長
の助言者がいる。
顧問
というものはその
社長
の助言者のようなものである。これは助言を求められた場合にするのであります。私らの場合は、こちらから助言すべき地位ではない。先ほど私の名前を連ねて
勧誘
したと言われますけれども、私はそういう意思がないでも、そういうことはどうも認めざるを得ないと思います。しかし、そのことと私が
顧問
という名前で忠言しなければならなかつたということとは別なんです。
顧問
というものは意見を求められれば答える。求められなければしようがないのであります。そういうことは一ぺんも求められたことがないのであります。
従つて
何も言わ
なつ
たというだけであります。
椎熊三郎
229
○
椎熊
委員
あなたは当
委員会
の性格を御承知だろうと思います。念のために言いますが、私どもはこの
委員会
で世上うわさに
なつ
た人を罪人にしようという気持はちつともないのです、事態が明らかになれば、この
委員会
の大半の目的は達するのです。
従つて
、この世間疑惑の的である大
事件
の事態を明白にするというところにねらいがあるので、何もあなたが
関係
あ
つて
刑法上の責任があるとかないとかということを私どもは追究するのではない。だんだんとあなたと言葉を重ねているうちに、妙にあなたのお答えは前言と違
つて
来ておるということを、私はあなたのために惜しむ。たとえば、投資銀行の問題では、
伊藤
も前からそういう意見を持
つて
お
つて
、あなたのところへ意見を聞きに来たが、とるに足らない幼稚園式の頭の考え方だから、そんなものは問題にしなかつたと、先刻は
中野
君には答えておる。ただいま私には、一度も意見を求められたことはないから、意見を
発表
したことがないと言
つて
おられる。まだ一時間もたたないこの同一の席上で、なぜあなたの
証言
がそんなにかわるのでしようか。私はあなたのために惜しむ。どつちがほんとうですか。
松本信次
230
○
松本証人
それは、はつきりお答えいたしますけれども、言葉の言い方が足らなか
つたの
です。はつきり事実を申し上げますと、投資銀行について、
伊藤
君が、私が
顧問
就任当時に二、三べん来まして、望月京一氏を帯同して来て私にいろいろな投資銀行の話を聞きました。そうして帰りました。それは事実であります。その後——今の御質問はどういうことですか。
椎熊三郎
231
○
椎熊
委員
それは、意見を述べたか述べないかということです。
松本信次
232
○
松本証人
それは取消します。その程度で意見を述べたことはあります。
塚原俊郎
233
○
塚原委員長
松本
君、その点をはつきりしてください。
松本信次
234
○
松本証人
その程度で意見を聞かれたことはございます。
椎熊三郎
235
○
椎熊
委員
あなたはどうも当
委員会
に対するあなたの根本的な物の考え方に何か錯覚があるのではないか。われわれはあなたを被告扱いにしておるのじやない。あなたを罪人だと思
つて
はおりません。尊敬する日本の学界の有為の学者、紳士だと思
つて
おるのです。なればこそ、あなたとともにあなたの宣誓には立ち会
つて
、起立しておるのです。それをあなたは、言葉を巧みに一時間もたたないうちに取消したり、あるいは訂正したりするということは、学者らしくない。学者というものはそんなものじやないでしよう。もつと信念的に、もつと良心的に堂々とお答えに
なつ
てしかるべきであると思う。私はこれ以上あなたに追究いたしませんが、あなたの道義上の責任から言
つて
、日本の学界に存在するあなたほどの地位の人がこんな
会社
に
関係
して、そのほか利用せられて、これだけの金を集められて、全部あなたの責任だとは申しませんが、大半の責任をあなたは道義的にはまぬがれることは相ならぬのだ、学者的な良心から言
つて
も、そういうことを忌避してはならない、私はそういうことを申し上げたのだが、あなたが、そこに反省がないとなればやむを得ない。これ以上追究いたしません。
松本信次
236
○
松本証人
ただいまの御質問に申し上げたいのでありますが、私は初めからこの
委員会
の性質をそれほどはつきり知りませんけれども、別に被告扱いされておるという気持で伺つたわけではない。国民の義務として
出頭
したわけであります。もちろん私の知
つて
いることはみんな申し上げます。しよつちゆう取消すとか何とか申しますけれども、事実上私は被告扱いされていないはずでありますけれども、こういう席へ来たことは初めてでありますので、何か言葉がときどき食い違うことは御了解願いたい。
塚原俊郎
237
○
塚原委員長
小林進
君。
小林進
238
○
小林
(進)
委員
さつきの
委員長
の質問を補足する意味で、二、三お伺いをいたしたいのでありまするが、やはり第一番目には、
顧問
に就任をされたその動機をいま一応明らかにしていただく必要があるのじやないかと思います。書面で申入れがあ
つて
、今度は本人に会われて、しばらくして口頭で
顧問
を承諾をされた、こういうことに
なつ
ておるのでありますが、
伊藤
とお宅でお会いになりましたときに、私は人種、性別にこだわるわけではございませんが、
伊藤
君が日本人ではなくて
朝鮮人
であるということをそのときにお気づきに
なつ
たかどうか、一応参考までにお伺いをいたしたいと思います。
松本信次
239
○
松本証人
顧問
に就任しました
状況
は、初め申し上げましたように、突然手紙で依頼して参りまして、それから私、それを確かめるために本人にうちへ来てもらいまして、いろいろ話をして、しばらくた
つて
から口頭で
顧問
就任を承知したと思
つて
おります。最初に私が
伊藤
君に会いましたときに
朝鮮人
であるということを知
つて
おつたかどうかという御質問でありますが、そのとき私ちよつと変に思いまして——大体韓国人の学生を相当扱つたことがあるのです。韓国人の学生は濁音がなかなか発音できない、なぜ私はそのとき韓国人じやないかと思
つたの
かはつきり記憶がありませんが、ともかくそのときに韓国人じやないかという気持がしまして、いろいろ濁音を言わそうとしたところが、完全に発音する。これはおそらく皆さんは御承知だろうと思う。
従つて
、そのときは韓国人であるとは思いません。韓国人じやないかということがちよつと頭に浮びましたが……。それで実は、ある
新聞
記者に依頼しまして、どうかということを
調査
させました。ずつとあとになりましてから、韓国人だということを発見しました。その
新聞
記者の名前を申し上げられます。これは帝国興信所の編集の記者をしておつた永井仙藏という人です。その人に頼みまして調べてもらつたが、それがわかりましたのが翌年であります。その当時、私、韓国人であるかどうかということは知りませんでした。
小林進
240
○
小林
(進)
委員
その最初にお会いになりましたときに
伊藤斗福
の濁音までも気にかけられて、それほど細密に人物の
調査
も依頼された先生が、
保全経済会
という、そういう日本で初めてできたその
会社
の
内容
について何らの
調査
もされないで、その場ではありませんけれども
顧問
を承諾をされ、しかもそれが
休業
に至るまでなおかつその
内容
状態について全然というに近いほど知らなかつたというようなことは、この
顧問
就任が一般人の常識までもないほどのずさんな就任の仕方ではなかろうかということになります。いま一応この
関係
を明らかにしていただきたい。
松本信次
241
○
松本証人
私、
顧問
の就任を受けましたときに——大体
顧問
なんというのは全然そういうことを調べぬものなんですが、一応今の永井という
新聞
記者に依頼して調べてもら
つたの
は事実でございます。それから、もちろん
伊藤
君が来たときも、私は
伊藤
君に、一体何をや
つて
いるのかということは聞いております。聞いておりますけれども、それ以上は追究しません。追究しないし、調べません。それから、その後私のところには向うの秘書の人間が来て、しよつちゆうよく行
つて
おる、よく行
つて
おると言
つて
、株を買う話とか
不動産
を買う話をしておる。そこで、私がそれに対して実際に向うへ行
つて
調べるわけにも行きません。それからその
資料
をとり寄せるわけに行かぬ。そのことをずさんとおつしやれは、いかんともしようがない。そういう事情でございます。
小林進
242
○
小林
(進)
委員
話が少しこまかくなりますが、帝国興信所の永井仙藏君のことについて、ちようど
資料
がここにございますので、あわせてお尋ねをいたしたいと思うのであります。永井君は先生といかなる
関係
におありになるのか、その
関係
をお伺いいたしたいのでありますが、永井君は実は
昭和
二十六年の十二月の七日に
保全経済会
から歳暮といいますか、そういう名目で二十七万円をもら
つて
いる事実があるのでございます。あわせて先生と永井君との
関係
、永井君と
保全経済会
との
関係
もお知りの点がありましたらお聞かせを願いたいと思います。
松本信次
243
○
松本証人
先ほど申し上げました
伊藤
久馬なる人物が永井仙藏君を私のところに連れて参りました。それは当時帝国興信所へしよつちゆう
保全経済会
について問合せの手紙が来る。その
内容
を知
つて
いるだろうというので私のところへ来た。その後永井君は私のところへ——これは帝国興信所の
新聞
の編集員でありまして、探訪員ではない。その編集員が私に原稿を書いてくれぬかということを二、三べん頼みに来たような記憶があります。最近は全然そういうことは頼まぬ。ごく最近に、
保全経済会
が
休業
したあとで、今度は帝国興信所でなくて、名前をはつきり覚えておりませんが、あるそれに似たような
新聞
の編集員に
なつ
たから原稿を書いてくれということを言
つて
参りまして、その原稿を渡してやつた。その他のことは私は知りません。
小林進
244
○
小林
(進)
委員
そうすると、先生は永井仙藏君が
保全経済会
とはすでにその当時深い
関係
にあることを知
つて
おられたるがゆえに
伊藤斗福
の人種をお尋ねに
なつ
たというふうになるのでございましようか。
松本信次
245
○
松本証人
永井仙藏君が当時
保全経済会
と非常に深い
関係
にあつたかどうか知りませんけれども、
伊藤
久馬君が連れて参りまして、これが知
つて
いるらしいからということを言
つたの
でございます。それで私は頼んだ。それだけのことでございます。
小林進
246
○
小林
(進)
委員
次に、問題がこまかくなりますが、
保全
経済の立法化の問題について一回だけ
伊藤斗福
と某所で会合をして相談を受けた、けれども
伊藤
の頭が非常にずさんであ
つて
、先生の考えられている構想とは非常にかけ離れているから、まあいいかげんの話をしてわかれたと言われたのでありますが、その会われた某所というところを、おさしつかえかなかつたらお聞かせ願いたいと思います。
松本信次
247
○
松本証人
今の御質問がちよつと私の申し上げたのと違
つて
おるのです。立法化については——立法化と言えるかどうか知りませんけれども、最初に
伊藤
君が私のうちに来まして、インヴエストメント・システムとはどういうものかということを聞きまして、それを私のうちで二、三べん話した。それはごく初期であります。おそらく
小林
さんの御質問の某所というのは、その後一年くらいたちましてから、
保全経済会
の方で投資銀行法案というものをつくつたからそれを見てくれと言いまして、私のうちにだれか使いが来たような記憶があります。そのとき、たしか投資銀行法案——あるいは投
資金
融金庫と言つたか、その点ははつきりしませんが、それを持
つて
参りまして、私も実はいろいろな意味で非常に忙しいので、そんなものを一々見ておるわけにも行かないのですが、一応目を通しました。大体私がふしぎに思
つたの
は、金利の点でふしぎに思いました。
内容
のいかんを問わず、一般の金利を付するということなら特殊の銀行もできますけれども、一般の金利以上の金利を付するということでは全然問題にならぬ。その法案には一般の金利以上の金利を付するということが書いてあるのであります。これでは全然問題にならぬ。しかし、その点もたしかもう少し話を聞きたいというようなことを言いまして、私、年月日を全部忘れておりますけれども、赤坂のある待合へ呼ばれて行きました。そのとき
伊藤斗福
は来ておりません。山口六郎次氏と福田という安本の政務次官、望月京一、
伊藤
久馬、これだけおりまして、そのとき話は結局曖昧模糊に
なつ
て、それきりで帰
つて
しま
つたの
であります。
小林進
248
○
小林
(進)
委員
その福田君と山口六郎次君、それから望月君、
伊藤
久馬君、あなたと五人でお会いに
なつ
た。これは
昭和
二十七年でありますが、期日がはつきりしないとおつしやればそれでけつこうであります。場所も今赤坂の待合とおつしやいましたが、あるいは築地の待合ではないか、これもいま一回記憶を呼びさまして、確認しておいていただきたい。その場所の点が一点と、投資銀行法案の
内容
についてこの五人の間でかわされました話の
内容
を、今のように曖昧模糊たる話で終つたということでなしに、御記憶の許す限り具体的にひとつ詳しく伺わせていただきたいと思います。
松本信次
249
○
松本証人
場所は築地の待合では絶対にありません。赤坂の待合です。これははつきり申し上げます。ただ、赤坂の何という待合かと申されますと、それは名前を忘れて、はつきり申し上げられません。期日は記憶にありません。 それから、そのときにどういう話をしたか、その
内容
というものは今ちよつと記憶しておりませんけれども、大体その案を望月京一君が説明しまして、私から説明を聞きたいというのはどういう意味か、おそらくそれに関連して私の学者の立場からして妥当かどうかということを聞きたいという意味に解して話をしましたけれども、大体初めから私の頭の中にそういう法案はできつこないということを考えておりますから、あいまいなことを言
つて
、よく研究しようということでわかれて、それきり何の連絡もないので、そのままにしておりました。
小林進
250
○
小林
(進)
委員
二十七年二月十九日に
自由党
へ二百万円の
政治
献金が届けられておるのであります。もちろんこれは、五月十七日に
政治
資金
規正法によ
つて
ちやんと届けられておるのでございますから、決して私は公党の面目を追究するものではないのでありますけれども、この二百万円の
自由党
に対する
政治
献金のあつせんといいますか、仲介の労をとつた者は、これはいずれまた場をかえて真相を明らかにする機会があると存じますが、山口六郎次氏であると言われております。またその当時福田氏は経済安定本部の現職の政務次官であつたと思われる。いわばこうした経済立法を担当する当面の行政官の最高首脳の一人であつたはずであります。その福田氏と山口六郎次という
政治
献金の仲介をやられた方あなたがお会いに
なつ
て、そうしてそこに望月京一という、いわば
保全経済会
の総参謀長であると言われた当時の経理部長が加わ
つて
談合せられたものは、私の推定をも
つて
すれば、一応この投資銀行法案を立法化することの可能性の裏づけをあなたに求めたのではないかと思う。学者としてのあなたに、これは法律化することは可能である、こういう
証言
に近いものをこの席上で求め、あなたは与えたのではないか、こういう推定が成り立つに足る十分なる他の事実があるのでありますが、この点、当時の会合のお話のぐあいを、どうかひとつ御記憶を呼びもどして具体的に承らせていただきたいと思います。
松本信次
251
○
松本証人
私の記憶では、当時福田君が経済安定本部の政務次官でありました。山口六郎次氏もやはり何かの政務次官という名刺を持
つて
おりました。私は実は福田君とは前に面識があるのですが、山口氏は全然初めての人であります。そのとき話しましたのは、要するに、今の投資銀行法案という何か謄写版刷りのものです。実は私それを現在も持
つて
おります。なぜ持
つて
おつたかということはちよつと何ですが、とにかく持
つて
おります。それを望月君が読んで、要するにそれが妥当か妥当でないかということを研究しようというので話しました。私は学者でありますので、何でもなくそこに行きました。ただ私の意見を述べる段になりますと、大体初めからそういうものは成り立たぬという観念で臨んでおりますから、話がやはりしんみり行かぬわけで、そのところではもう少し研究しようということでわかれたのです。その日にちは多分二十七年くらいじやないかと思います。
従つて
、今記憶を呼びもどせとおつしやいましたが、ちよつとはつきり申し上げられません。
小林進
252
○
小林
(進)
委員
それでは申し上げます。たしかこの二百万円の
政治
献金の行われた直前だと私どもは考えておるのでありまするが、その日付については御記憶がないとおつしやればこの程度でやめておきますが、大よそ寒い時分であつたか、こたつがあ
つて
火ばちがあつたか、いま一応伺いたいのと、なおまだ二、三伺いたいことがありますから、あわせてその会合の時間が大体夕景の何時ごろから何時ごろまでで、その酒宴の席上で、前半戦は話で終つたでしようが、後半戦はあるいは美妓を連ねてにぎやかにお飲みに
なつ
たか、あるいはそこまで至らなかつた会合であつたかということまで、あわせてお聞かせを願いたいと思います。
松本信次
253
○
松本証人
今の二十六年か二十七年かということは、私はつきり記憶いたしませんけれども、二十七年の寒い時期であつたということははつきり記憶いたしております。これは、私外套を着て参りまして、その待合の部屋に入りましたときに、たしか電気ストーブか火鉢があつたと記憶しております。これははつきり申し上げられます。そういたしますと、二十六年の二月に私はそういう会合にともかく招かれるはずはないのでありますから、二十七年の二月と大体記憶いたします。これはそういうふうな
状況
から記憶しておるのであります。それから、大体話は非常は簡単に、こういうことはできない、もう少し考えようくらいで、済んでから酒を飲みました。そのときに美人がおつたかどうかということは、そこまで記憶いたしておりません。
小林進
254
○
小林
(進)
委員
この問題はまたあとでいろいろ事実が浮びました場合に再びお伺いする機会であるかと存じます。 次へ行きまして、やはり問題になる
顧問
の性格の問題でございまするが、この
顧問
の問題は再びまた
中野
、
椎熊
両氏の質問と若干重複をするかもしれませんが、その点ひとつ
委員長
においてお許しを願いたい。 ともかく、あなたは、先ほどの
証言
でも、百万円前後をもらつた記憶があるが数字に正確さはない、こうおつしやつた。われわれの
調査
によれば、
顧問料
として入
つて
いる金だけで百三十九万円、それから、そのほかにいわゆる渉外費として三十五万円、そのほか十万円ということで、
合計
百八十四万円がお手元に届けてあるという
帳簿
上の勘定になるのでありまして、百万円前後というのと百八十四万円じや、ずいぶん受ける感じが違うのでありまして、この点、もう少し御記憶を呼びさましてお答えを願いたいと思うのであります。
松本信次
255
○
松本証人
今の渉外費の十万円、三十五万円というのは、私どう考えても記憶が呼び起せません。これは、邪推いたしますと、私の名前で帳面に何かつけてしまつたかもしれません。私は、この渉外費という点は、実は渉外に携わ
つて
いないのですから、渉外費を私はもらうわけはないのです。
顧問料
の点は、何べんも申し上げた
通り
でありまして、どうも初めからの約束はそういうことに
なつ
ております。そして今の十万円のときもあつたでしようし、それから、私全然そういうものをメモもつけておりませんし、また受取りを出したときもありますが、受取りを出さないときもありました。
小林進
256
○
小林
(進)
委員
先ほどからの
証言
で、
顧問料
について、学者の生活の苦しいことを述べられ、百万円前後の
顧問料
ぐらいはまことに大したものじやないというお話なのでありますが、われわれの方から聞いておりますると、あなたは
顧問
として何もおやりに
なつ
ていない。最初から
調査
研究を条件にして
顧問
に就任したというお話でございましたが、その
調査
研究についても、今までの御
証言
では、金を届けて来た者に口頭で単なる注意を与えたという程度のもの、それから立法化の問題について
伊藤斗福
が一回自宅へお伺いしたことと、某所で福田君と会
つて
飲んだという二回だけの会合で、それ以外に
顧問
として
調査
研究に携わられた実績は
一つ
も残
つて
いない。だから、われわれに言わせれば、これほどどうも無意味な、労せずして毎月多額の
顧問料
をと
つて
おられたという勘定になるのでありまして、これすなわち、こういうような何も労せずして
顧問料
を、しかも平気で、なお少いというくらいな感じでとられておりましたあなたの心境の中には、やはり経済学博士としてのこのおれの名前のいわゆる名刺料である、おれの名前を
顧問
に掲げておれば、いわゆる愚民がついて来て、それで
伊藤
は大いに金を集めて来ておるのだから、名刺料としてはこの
顧問料
はまだ安過ぎるというお気持があなたの心の中に潜在意識があ
つたの
ではないかと思いますが、この点、いま一度正確は御説明願いたいと思います。
松本信次
257
○
松本証人
私、
顧問料
と申しますが、大体書物を買うとか、研究費みたいなものに
なつ
ております。これは、私どもの常識では、今の
金額
全体を見ますと何ですが、今日の書物を見ますと、年五十万円や百万円の本はすぐ消えてしまうのであります。 それから、何か私の名刺料であるという潜在意識を持
つて
お
つて
、これだけの金をと
つて
も一向かまわぬのだという考えを持
つて
いなかつたかということでありますが、何べんも繰返しますけれども、名刺ではないと思
つて
おります。同じ
顧問
であります
平野力三
さん、早
稻田柳右エ門
さんに比べますと、年も若うございますし、世間的に有名だなどと少しも思
つて
おらぬのであります。その点は、たびたび質問を受けますけれども、実際名刺とは思
つて
いないのであります。この点ははつきりお答えをいたします。
塚原俊郎
258
○
塚原委員長
ちよつと申し上げますが、今日はなお早稻田君と
平野
君のお二方を呼んでおります。時間も大分経過いたしておりますので、御質問は重点的に、簡潔にお願いしたいと思います。
小林進
259
○
小林
(進)
委員
承知しました。そういたしますと、あなたは五万円ずつ
合計
百四十万円、接待費を合せて百八十四万円でありますが、これを
朝鮮人
の
伊藤斗福
から毎月もら
つて
いて、ちつともはずかしいとも思わず、余分なものとも考えないで、学者の立場からまだ少い少いとお考えに
なつ
ておつた、こういうようにお考えに
なつ
ておつたと解釈してよろしゆうございますか。
松本信次
260
○
松本証人
どうも、そういうふうに解釈されると、答弁に困ります。私は
顧問料
としてその
金額
をとることは少しもふしぎに思
つて
おりません。ただ、
朝鮮人
の
伊藤斗福
からそういうものをと
つて
はずかしく思わないかなんということになりますと、ちよつと何と答えていいかわからないのであります。
小林進
261
○
小林
(進)
委員
この
顧問料
をもら
つて
いて、少しも仕事をしないで名前を連ねておられて、はずかしいとも思わない、その学者の常識と申しますか、これは私どもはとうてい納得できないのであります。 なお、いま
一つ
納得できないことは、
保全経済会
がいよいよ
休業
いたしましたときに、あなたは、百八十四万円の
顧問料
をもら
つて
おりましたその
社長
伊藤斗福
並びに幹部に対しては、何ら手伝いをしようという気持も、救済しようという気持もなかつたが、ただ
出資者
が気の毒だから、
出資者
を救済するという気持で
休業
後の再建工作に参画をした、こういうことを先ほど
証言
をされた。これも私は非常におかしいと思う。一宿一飯の義理があれば、人の恩義を感じるというのが日本人のあたりまえです。これだけの不労所得をされてお
つて
、この
会社
が倒れても、何らその責任も、また助けようという気持もなかつたという心境は、私にはのみ込めないので、いま一度お伺いいたしたい。
松本信次
262
○
松本証人
今の全体の
金額
に対して私認めませんから——今の渉外費を含んだ
金額
は、私存じません。それははつきりお答えいたします。 それから、何か
保全経済会
から
顧問料
をとりながら、しかも非常に不当な
顧問料
をとりながら、
保全経済会
が
休業
した後に
保全経済会
を救済する何らの対策も立てず、債権者のためにだけ行えたのはけしからぬ、こういうお話であります。これは、私、
保全経済会
が株式投資とか、
不動産
に投資をするとか、ほんとうに仕事をしていたものなら、何らか救済する必要があると思う。しかし、どうも
休業
直後いろいろ調べますと、これはいろいろ
資料
もあるのでありますが、そのときに
保全経済会
が株式にもほとんど投資していないし、
不動産
にも投資していない。またそういうものが何かすぐに合法的に立法化されるとか、あるいはそういうものに政府の救済
資金
が出るとか、これは私の常識では考えられない。こういうふうなことに協力する気持は
一つ
もありません。ただ、そのことと
出資者
がかわいそうだということは別問題です。
出資者
のためには当然協力しなければならぬ。
保全経済会
の幹部と協力する必要は、当時から私認めておりません。また、それが日本人の云々ということになりますと、これはちよつと気持の相違であります。私はそう考えております。はつきりお答えします。
小林進
263
○
小林
(進)
委員
最後に一点お伺いしますが、
保全経済会
が
休業
いたしましたときに、あなたはあなたの父上の時代を通じて住友財閥と非常に深い
関係
におありに
なつ
ている、そういうことから、この
保全経済会
が倒れたあとに
伊藤理事長
一門を
保全経済会
から追い出して、そうしてあなたがかわ
つて
、表面かあるいは裏かもしれませんが、住友と結んで
保全経済会
を俗に言えば再建工作といいますか、乗つ取りといいますか、そういうような画策を大いにおやりに
なつ
ているという、これは私は確証はありませんが、ずいぶん風評が飛んだのであります。この点、一応あなたに伺いたいと思います。
松本信次
264
○
松本証人
私のおやじは住友に
関係
がありますが、私は住友に全然
関係
ありません。また、常識で考えましても、住友財閥が
保全
経済を乗つ取ろうなどということは、ちよつと私の常識では考えられぬことであります。そういうことはちよつと私の常識ではお答えしかねます。
委員長
、今の件につきましては、そういう事実はなかつたということだけ申し上げておきます。
塚原俊郎
265
○
塚原委員長
北山愛郎
君。
北山愛郎
266
○
北山
委員
重複する点を除きまして簡単に二、三お伺いします。先ほどの、二十七年の初めごろでありますが、寒いころの例の赤坂の某所会談、この会談について確かめておきたいのは、それに列席した人は山口さんと福田さん、望月さん、
伊藤
久馬さん、あなたと、五人だけでございますか。ほかにどなたもいらつしやらなかつたですか。
松本信次
267
○
松本証人
私と福田さん、山口さん、望月さん、
伊藤
君、これだけでございます。ほかにはだれもおりません。ちよつと訂正します。井上俊吾という秘書がいたかもしれません。それは記憶あいまいでございます。
北山愛郎
268
○
北山
委員
次に移りまして、先ほど
証人
は匿名組合ではないと思
つて
おるというようなお話がございました。そこで、
証人
が
顧問
に就任された当時、いろいろ
保全経済会
の性格についても
調査
の上でやられたようでありますが、その当時において
保全経済会
は匿名組合という名前を使
つて
おるわけです。その当時においてはやはり匿名組合だと思
つて
お
つたの
か、匿名組合ではない、この看板というものは偽りがある、こう考えて
顧問
に就任されたのであるか、この点をお伺いいたします。
松本信次
269
○
松本証人
実は、この点、私まことに申訳ないと思いますけれども、私は、
顧問
に就任しましたときには割合簡単な気持で
なつ
ておりまして、匿名組合だということを信じて
なつ
ております。また、私、実は匿名組合の経済的な知識を持
つて
おりますが、法律的知識はあまり持
つて
おりませんので、特にそのとき匿名組合が法律的にどういう性格だということを調べもいたしませず、ただ、
休業
になりましてからは、これは調べなければならぬと考えて、法律的にも経済的にも研究しまして、先ほど申し上げましたような考えを持
つて
おります。
北山愛郎
270
○
北山
委員
次に移りまして、
証人
は
会社
に関する
調査
研究を頼まれて、その面での
顧問
の役目をやつたんだというお話でございましたが、
会社
の事務所の方には行つたことはございませんか。もし行つたとすれば何回ぐらい行つたか、たとえば、
会議
に出席する場合であるとか、何か用事で行つたと思うのでありますが、そういうことがあるかないか、行つたとすれば、何回ぐらい行つたか、何の用事で行つたか、それを確かめてみたいと思います。
松本信次
271
○
松本証人
私は、
保全経済会
の
会議
とか、そういうものに出席するために
保全経済会
の事務所に行つたことは一ぺんもございません。ただ、私が
保全経済会
の
顧問
をしておるということをよく人が知
つて
おりまして、
保全経済会
からある
会社
に金を出してくれぬかとか、あるいは
保全経済会
にこの地面を買わしてくれぬかというふうな依頼を受けることはよくありました。そのとき、たしか私の記憶では、一年二、三回は
保全経済会
へ行
つて
おります。但し、これは御質問の範囲外と思いますが、私がこの地面を買わないかと言
つて
持
つて
行つたもの、あるいはこの
会社
に投資しないかと言
つて
持
つて
行つたものに対して、投資をしたり地面を買
つて
くれたりしたことは
一つ
もありません。
北山愛郎
272
○
北山
委員
それでは、次に、あまりそういうふうな
関係
で事務所の方とは
関係
がないようでございますが、それでは、
保全経済会
の役員あるいは職員で、
証人
が会つたり、よく承知をしておる、非常に面識のある役職員はどなたとどなたでありますか。
松本信次
273
○
松本証人
最初の時代には望月京一君というのが私の家に二、三べん来まして、井上俊吾という秘書がよく私どもへ参
つて
おります。これは月に一回くらい連絡——金を持
つて
来る。それから古田という、
理事長
の女の秘書が、これは私どもがあそこへ今申し上げた用件で行くときにちよいちよい顔を見る。あとの幹部は——地方の支店の落成式に呼ばれまして出席したことが、大阪の支店と静岡の支店と二回あります。そのときに、静岡の支店長の顔を見るとか、大阪の支店長の顔を見るとか、あるいは東京で支店長の
会議
をしますときに、私も
顧問
として呼ばれまして、そのときに
保全経済会
の幹部が私に名刺をくれるという程度の連絡がありました。それから、またごく最近、最近と言
つて
も
休業
前半年くらいですか、
休業
当時の
理事長
室の室長をしてい
松本
君に会つたことがあります。特に
保全経済会
の幹部で開業中私と特別接触した人間は、今の井上俊吾という秘書以外にございません。
北山愛郎
274
○
北山
委員
先ほど
証人
から講演に歩いたことがあるというようなお話がありましたが、どこへ行
つて
どういうお話をとされたのであるか、いつごろ歩かれたのであるか、お伺いをします。
松本信次
275
○
松本証人
講演に歩いたことがあるということを御
証言
申し上げましたですか。
塚原俊郎
276
○
塚原委員長
言
つて
おります。
松本信次
277
○
松本証人
講演の方は東京でございます。二十六年のたしか十一月ごろに東京で
保全経済会
の支店長
会議
がありましたときに、私に話をしてくれということで、アメリカの投資銀行の話をしたことがあります。それから、二十八年はもう
休業
しておるわけでありますが、二十七年のやはり十一月か十月ごろの
保全経済会
の支店長
会議
で同様にそういうような投資の話をしたことがございます。その二回でございます。
北山愛郎
278
○
北山
委員
地方へ
行つたの
はそれ以外にありませんか。
松本信次
279
○
松本証人
今申し上げましたのは、地方ではなくて東京の場合でございます。地方へ参りましたのは、静岡の支店が落成したときに静岡へちよつと寄
つて
くれぬかというお話がありまして、静岡へ一ぺん参りました。それから、大阪の支店が落成しましたときに、これは偶然大阪におりましたので、ついでに呼ばれまして立ち寄りました。それから、京都へ一ぺん行つたことがあります。ほかはございません。
北山愛郎
280
○
北山
委員
今のお話ですと、先ほどの
証人
の話と大分食い違いがあるのじやないかと思うのです。
証人
は、
調査
研究を委嘱されたのであ
つて
、ほんとうに事業面においてはさつぱり接触がなか
つたの
だというような
証言
をなさ
つて
お
つて
、今のお話でありますと、支店の落成式であるとか支店長
会議
に出たり、いろいろこの会の
運営
に参加しておる。そういう会合で話をされるということは、結局
保全経済会
のために業務上都合のいいような話をなさ
つて
おるに違いないのです。
従つて
、これは業務に相当
関係
なさ
つて
おると判断されるのですが、先ほどの
証言
と相当食い違うのではないかと思うのですが、その点はどうですか。
松本信次
281
○
松本証人
ただいまの言葉がちよつと足らなかつたかもしれませんが、支店長
会議
に出席したのではないのでありまして、支店長
会議
のあとで宴会がある、その宴会へ出席したのであります。
従つて
、その宴会の席上では
保全経済会
の
運営
の話は全然出ておりません。これははつきり申し上げておきます。
北山愛郎
282
○
北山
委員
時間もありませんから、簡単にいたしまして、最後に、
証人
は
伊藤斗福
という人物についてどういうふうに考えておられるか。あなたが
顧問
に就任なさる当時の
伊藤斗福
に対する考え方、りつぱな人物であると考えたか、あるいは先ほどお話のように、投資銀行については幼稚園程度の知識しかない男である、こういうようなお話がありましたが、大した能力のない人物であると考えたか。それから、二十六年から現在までの経過を顧みてみて、
伊藤斗福
はインチキな詐欺的なというか、社会的に非常な弊害を流した男であると考えておるか。接触をしてから現在までの経過を考えてみて、
伊藤斗福
について
証人
はどういうふうに考えておられるか、それをお伺いします。
松本信次
283
○
松本証人
接触した当時、私、突然の話なものですから、別に何も
伊藤
君に対する予備知識を持
つて
いないのであります。ただ、よくしやべる男だくらいにしか思
つて
おりませんでした。もちろん
経営
上の手腕などは全然知りません。その後だんだん世間のうわさが大きくなりまして、あれは株を買う天才であるとかいううわさをずいぶん聞きました。私はその当時その
通り
相当信じ込んでおつたこともあります。それから、最後の御質問は最近の話ですが、あれだけのことをして世間に迷惑をかけた男に対して、どうもほめるわけには参りませんから……。
北山愛郎
284
○
北山
委員
そうしますと、あなたも
伊藤斗福
の、そういうふうなほめるわけに行かぬような事業に一緒に接触をし協力をしてや
つて
来たのでありますから、その点についての
伊藤斗福
氏に対しては、そういうふうにほめるわけに行かぬという感想を持
つて
、自分自身に対しては、これはただ嘱託であ
つて
、
関係
がないのだとお考えになるかどうか。自分自身も
伊藤斗福
氏と同様に社会的な責任があるというふうにお考えになるか。その点、あなたの御心境を聞きたい。
松本信次
285
○
松本証人
私、はつきり今の
出資者
に対してはある意味の責任を感じますけれども、別に
伊藤斗福
氏に協力したわけでも何でもないのですから、私がそのこと自体について社会的責任を負うということは感じません。
北山愛郎
286
○
北山
委員
しかし、先ほどの御
証言
でも、単に頼まれて
調査
研究を請負
つて
やるような嘱託ではなくて、やはり各地の落成式であるとか支店長
会議
であるとか、そういうことにも出席をしており、しかも投資銀行案について、単に案を見るというばかりではなくて、特殊な準備の会合にまで出席をしたというように、相当深入りをしておるのです。だから、自分だけが責任がない、
伊藤斗福
氏だけが責任があるというような言葉は、どうも矛盾していると思うのですが、いかがですか。
松本信次
287
○
松本証人
それに対しては、どうも、何べんお答えしても同じだと思いますから……。特に、支店長
会議
に出席したというようなことは、それは支店長
会議
のあとの宴会に出席しておるのでありまして、別に支店長
会議
に出席したわけではございません。
北山愛郎
288
○
北山
委員
秋の質問はこれで終ります。
塚原俊郎
289
○
塚原委員長
次に
中野四郎
君。簡潔に願います。
中野四郎
290
○
中野
委員
総括的にちよつと締めくくりのために聞いておかなければならぬことがあるのですが、まず、
松本
さんは
保全経済会
の件で
関係
当局から捜索を受けたことがあるか、あるいはどこか
関係
当局に喚問されたことがあるかどうか、この点を伺いたいと思います。
松本信次
291
○
松本証人
家宅捜索を最近受けました。喚問を受けたことはございません。
中野四郎
292
○
中野
委員
その家宅捜索の際に、あなたはこの
保全経済会
の「利殖のしるべ」というような
勧誘
の
文書
について知らないと言
つて
おられるが、古い
文書
がその捜索で
関係
当局に持
つて
行かれておるようなことがあるかどうか。あつたらどうするか。
松本信次
293
○
松本証人
私の家には実はそういうものが全然ないのでありますから、
従つて
、そういうものを持
つて
行かれた事実もないと思
つて
おります。
中野四郎
294
○
中野
委員
これは今後の過程においてはつきりいたしますから……。あなたがまつたく
関係
があつたかなかつたかということをば今後すべてのものを傍証をも
つて
立証することができると思うのです。先ほどからお話を聞いておれば、この
文書
も知らなければ実際上にタツチしていない、または自分みずから、あるいは他を通じて自分の意思を明らかにしたことはないと言
つて
いらつしやる。これは第一番におかしい。ところが、これをごらんになれば、この
文書
の中に「これはアメリカを初め各国で大きな地歩を築いている投資銀行になら
つて
、日本に初めて出来た
利殖機関
です。」ということは、あなたの意思そのままに通じておる。本人から通じようと通じまいと、明らかに
文書
の上から通じておることが一点。それから、さらにもう一点お話をしておきたいことは、先ほど
顧問料
の問題が再々出た。ところが、この
保全経済会
の特色というものがどこにあるかと言えば、
会社
経営
の上における消費面を極端に押えておるという点にあるのです。つまり浪費を慎む。「次に消費の方面は如何であるかを観察して見ましよう。
本会
では一般
会社
で相当大きい部分を占めている高級役員の手当、社内保留金等の控除がないばかりでなく、人件費を始め諸経費を最小限度に切詰めて居るのです。」こうある。この高級役員がないというふうな
保全経済会
のいわゆる職員役員を通じて、いわゆる月給
顧問
というものはあなたが一番大きい
金額
なんだ。
平野力三
君初めあなたと早稻田君が一番大きな
金額
を占めておる、高級役員の最高上位におるということだけはこれで立証できる。このこと自身に照してみても、あなたが実際上この
保全会
に
関係
しておつたかおらなかつたかということは、この
証言
だけでは明らかになりません。当然今後いわゆる捜査当局の捜査の過程において明らかに
なつ
て来ると思いますから、この点はあなたが実際に
関係
ないとそこでおつしや
つて
も、われわれの方では客観情勢としては決してないなどということは言えない。むしろ逆に言えば、あなたは
保全経済会
を今日ならしめたところの中心人物であると言
つて
も過言でないと思う。あなたは
関係
しておらぬとおつしや
つて
も、そういう情勢にあることだけは察知できる。 そこで、第二の問題を伺いますが、この問題で再建のためにいろいろ運動された点を先ほどあなたは詳細に述べられました。そこで、再建のために、あるいはまた他のことで、この
保全経済会
のことに関してあらゆる
関係
方面に陳情に行つたことがあるかどうか、陳情に行つたとするならば、どういう方面へ行
つて
、いかなる人と会
つて
どういう話をしたか、この点を伺
つて
おきたい。これは、将来あなたの今日喚問されたいわゆる運命を決する一番大事な問題が五つ並べてありますから、率直にお答え願いたい。
松本信次
295
○
松本証人
今の最初の御質問に対しては、「利殖のしるべ」ですか、その中に書いてあります——私はいろいろな書物を書いておりますから、その中の文句を一々引合わして、そうしてこれで私の責任と言われることは……。
中野四郎
296
○
中野
委員
責任とは言
つて
おらぬ。その点はそれでいいですから、第二の問題についてお答え願いたい。再建のために
関係
方面に陳情に行つたかどうか、あるいはそういう工作をしたことがあるかどうか。
松本信次
297
○
松本証人
再建のために
関係
方面に陳情に行つたことはございません。
中野四郎
298
○
中野
委員
それから、
保全会
の中であなたはだれと一番懇意にしておりましたか、また
会社
の中で知己のある人の名前、だれとだれを知
つて
おるか、それを明らかにしてもらいたい。
松本信次
299
○
松本証人
今のは名前を知
つて
おる程度ですか、特に親しい人間ですか。
中野四郎
300
○
中野
委員
特に親しい者、それからあなたと面識のある者。
松本信次
301
○
松本証人
特に親しいと言うと語弊があるかもしれませんけれども、元秘書課長をしておりました井上俊吾というのは週に二回来ております。最近、
休業
二、三箇月前から
松本
達夫という今の室長をしておる人間に二、三べん会つたことがあります。それから、あとはほんの面識程度でございます。ただ名前を覚えているだけ申し上げますと、望月というのがおります。
中野四郎
302
○
中野
委員
それは懇意なのですか。毎月来ておるのですか。
松本信次
303
○
松本証人
懇意じやありません。井上というのが毎月一回来ておりますが、望月君は今の話を聞きに二、三回来た。それから、面識程度、名前を知
つて
いる程度では、あそこの
理事
の中の牧原、それから鈴木
不動産
部長、それもむしろ当時あまりよく知らなかつた。ただその名前は知
つて
おりました。その程度でございます。
中野四郎
304
○
中野
委員
それから、あなたは
保全会
以外の類似
会社
に
関係
があるかどうか、またそういうような
一つ
の権威ある意見を述べておいでになり、あるいは研究をしておいでになるのだから、そういう類似
会社
から相談を受けたことがあるかどうか、この点を伺いたい。
松本信次
305
○
松本証人
保全経済会
のような類似
会社
から相談を受けたことはございます。但し、その相談というのはきわめてあいまいな相談でありまして、たとえば株式相互金融なら株式相互金融というものははたして成り立つのかどうかというふうな相談を受けたことがあります。それは二、三ございます。それから、そういうふうな類似団体に
顧問
とか何かで
関係
しておるという事実はございません。
中野四郎
306
○
中野
委員
もう一点だけ確認をしておきたいのですが、毎月の
顧問料
を持
つて
来るときに、領収書や何かに判を押す場合があると思います。先ほどのお話では領収書を出したときもあるし、出さなかつたときもあるとおつしやいますが、出したときはいかなるときであ
つて
、出さぬときはいかなる状態で出さなかつたか。これは金銭出納の上で大事なことですから伺
つて
おきたい。
松本信次
307
○
松本証人
私の方へ向うが受取りを出しまして判を押した場合と、向うは受取りも何も出さないで帰
つて
行く場合がありますから、受取りも何も出さぬ場合には押しておりません。
中野四郎
308
○
中野
委員
そこで、もう一点。この
会社
の中に、適度に信用を持たせるために奨学生制度を設けておる。奨学生制度は、日本の前途を背負
つて
立つところの若い学徒、特に優秀な才能を持ちながら学資の乏しきために学校に行くことの難儀な者に対して奨学
資金
を出す、というふうに書いてある。この点については、あなたは自分からこういうことをやつた方がいいとおつしやつたことがあるか、あるいはそういうことを全然知らぬか、ないしはこの金の配分が、あなたの
関係
しておるいわゆる側近あるいはあなたの
関係者
、知己の中に相当多く行
つて
おるという事実を認めるか認めぬか、この点はどうですか。以上です。
松本信次
309
○
松本証人
今の奨学
資金
の制度は、実は
新聞
の広告で見たことがあります。その範囲のことで、私自身は全然相談を受けたことはありません。最後の、私の知己の範囲が何とかということは、ちよつと了解に苦しむのでありますが、今の奨学
資金
のことが、お持ちに
なつ
ておる「利殖のしるべ」の中に書いてあるということは、私は知りません。
塚原俊郎
310
○
塚原委員長
次に長谷川君。
長谷川峻
311
○長谷川(峻)
委員
二つ、三つお尋ねいたします。百三十余万円の
顧問料
をと
つて
お
つて
、
休業
の当時まで何ら
会社
の
内容
について
関係
していなかつたというお話がありましたが、その間において四億二千万円ほどの
新聞
広告料を使
つて
、誇大な
宣伝
によ
つて
金を集めている。そうして、その広告の中に
顧問
としての
松本
博士の名前が幾たびか出ているのであります。こうなりますと、結局するところ、博士などの名前によ
つて
それほどの金が集ま
つて
いる。ですから、
休業
までの間に全然御承知なかつた、ただ自分は本を買うために金をと
つて
おつたと申しますけれども、その間において
出資者
から問合せ、あるいはまた自分の名前が社会的にこれだけ影響力を
保全経済会
にもたらしておるのだという御認識を持つたことはありませんでしたか。
松本信次
312
○
松本証人
新聞
広告の話ですが、東京の
新聞
に広告してあるのを私は見たことがありますが、そのときには私の名前は出ておりません。それは、広告の出ているのを自分で見た場合に、私の名前が出てないのを知
つて
おります。 その次に、
出資者
から私に
内容
を問い合せて来なかつたかというお話、これは実はふしぎに、
休業
するまでは
出資者
から一ぺんもそういう問合せの手紙は参
つて
おりません。但し、私の住所を知
つて
いるわけではないのですから、
保全経済会
の方へ、あるいは私の名あてで来ているかもしれませんが、私のうちへ来ておりません。
休業
後は
出資者
からの手紙は二、三通私のところに来ております。これはみな持
つて
おります。
長谷川峻
313
○長谷川(峻)
委員
証人
は、ただ
調査
研究のために本代がほしいというふうな観点から、
会社
に対しては無責任なる
関係
においてずつと金をとつたとか申されながら、帝国興信所を通じて
伊藤理事長
なる人物についてその人物を
調査
しておる。そうしますと、あわせて
休業
当時まで全然知らなかつたと言いながらも、その間において経理について若干のやはり
調査
なり、あるいはあなた自身が研究なりされたようなことがあつたんじやないかと私は思いますが、いかがですか。
松本信次
314
○
松本証人
最初に就任しますときには、初めての話でございますから、あるいは帝国興信に頼んだことはありますけれども、だんだんに年月がたちますと、人間というものはなれてしまいますから、あまりそういうことは感じないものです。その間私が経理
内容
について、もちろん使いに来る井上君あたりに質問したことはあります。しかし、それについて特にそれ以上追究したことはありません。また、私のところへ
報告
が来るわけでもなし、こちらで要求しても何も来るわけではないということになれば、私としては
調査
のしようもないわけであります、その程度であります。
長谷川峻
315
○長谷川(峻)
委員
そうしますと、
顧問料
を持
つて
来るときに話を聞いておつた、そうしてその間にずつと
保全経済会
は営業がうまく続いて、自分に
顧問料
が入
つて
来るというふうにお考えに
なつ
ておりましたか。
松本信次
316
○
松本証人
少くともスターリンの死亡による株の暴落のときまではそう考えておりました。いわゆるスターリン暴落で、たしか
昭和
二十八年の二月と思いますが、株価が下
つて
来出してからは、株だけ買
つて
おるなら少しあぶないのじやないか、但し一方において
不動産
を非常に買
つて
おるといううわさを私は聞いております。私はここでお断りしたいのですが、兜町方面ではそういううわさがありまして、これは耳にしておりますから、
不動産
を買
つて
おるなら株の値下りは
不動産
で防止する、
従つて
あぶなくないとかいうぐらいは考えておりました。
長谷川峻
317
○長谷川(峻)
委員
すると、
会社
の経理についての一般的な責任は今まで負
つて
ないということを確認してよろしゆうございますか。
松本信次
318
○
松本証人
もちろんそうであります。
顧問
が
会社
の経理に対して経理上の責任を負うということはどこの
会社
にもありませんから、当然のことであります。
長谷川峻
319
○長谷川(峻)
委員
問題は、四十五億に当る
厖大
なる金について、
全国
から零細な金が集められて、そうしてそれの損益が二十八億、今日はもうほとんどゼロにひとしい問題だと私は思
つて
いるのですが、それで
休業
に至るまで
松本証人
は
会社
の
内容
について全然タツチもしなければ直接的なるアドヴアイスもしていない。そしてずつと
顧問料
が入
つて
来ておる。ところが、今日ここの声明を見ますと、
松本証人
あるいは
平野力三
、早
稻田柳右エ門
氏の名前において、再建の声明が出ております。これについて御存じですか。
松本信次
320
○
松本証人
私は実は四十五億の
出資金
があつたということも
休業
のときに知
つたの
です。また、
休業
したときに私のところへ何らの連絡もしていない。何億
資金
があつたとか、なんとか
財産目録
を持
つて
来るという事実もない。ただ、今の共同の声明のことは、
休業
後しばしば
平野
君と二人で相談しまして、何か
出資者
に対する義務を果さなければならぬということで共同の声明を出したのであります。
長谷川峻
321
○長谷川(峻)
委員
共同の声明以来
会社
の
内容
について検討されていると思いますが、現在われわれの
委員会
において調べたところの
資産
の
内容
というものがあるのですが、今度の
休業
以来直接
関係
されて、再建のために
出資者
に損をかけないように何とかしようとされるあなたが持
つて
いるところの
会社
の経理
内容
あるいは
資産
というものは、どういうふうにお考えになりますか。さらにまた、それが再建が可能であ
つて
、
全国
の大衆に向
つて
損をかけないようにできるというお感じを持
つて
おられるか。
松本信次
322
○
松本証人
ただいまのお話ですが、この共同声明後じやなくて、
休業
してから私が調べた点はあります。この共同声明というのは、
休業
後おそらく二月ぐらいあとのことだと思います。それで、私の
調査
では、大体持
つて
おる財産の大部分は
不動産
だ、有価証券というものはほとんど問題になりません。これは、あそこの
関係
会社
と申しますか、私があとで
調査
しましたところによりますと、
関係
会社
というのは要するに何らかの因縁があ
つて
投資した
会社
である、ちよつとそろばん勘定で投資したと考えられない。もちろんこれは、詳細に研究しますれば、あるいはその中でも
経営
のやり方によ
つて
はうまく行くのがあるかもしれませんが、大体そういうふうに考えられます。その次に、
不動産
は、私の記憶では取得価額が七億八千万円くらいで、大体二五倍から三倍くらいに評価するということは妥当だと思
つて
おります。そうしますと、
不動産
の所有価額は、これは大ざつぱな計算で、今うろ覚えなんですが、大体十七、八億から——二十億にならぬかもしれません。この評価されておるものがそのまま
現金
になるというわけではないのでありまして、これを担保にしたり処分したりして大体十億内外の
現金
にはなる。この十億内外の金で有利な事業をすれば、かりに四十五億の
出資金
があるといたしますと、大体十年くらいで
出資金
だけは返せる。但し、それに対する利息まで負担するということはできない。もしそういうことまでやりますと、また
保全経済会
の二の舞になる。高い利息を払おうとしますと
経営内容
が不健全になる。穏健な合理的な考え方によりますと、大体四十五億くらいの借金なら十年くらいで返済できるのじやないか。これの詳細な案は持
つて
おりますけれども、今日は持参しておりませんから……。
長谷川峻
323
○長谷川(峻)
委員
今まではずつと大した仕事もしないで
顧問料
をと
つて
お
つたの
ですが、今から先は再建で非常に苦しい仕事、一般の投資大衆に対する責任を感じられて苦しい仕事をされるわけですが、今から先は
顧問料
はどうなりますか。
松本信次
324
○
松本証人
私は、苦しい仕事をするとまだ考えておるわけではないのであります。そういう案が立てられるというので、いわんや、今から先
顧問料
云々という問題になりますと、これはどうにもお答えできません。
塚原俊郎
325
○
塚原委員長
橋本君。
橋本清吉
326
○橋本(清)
委員
簡単に一点お伺いします。学者の
松本
博士でありますから、私は、この問題の見方を、少し大きな観点からひとつ聞きたいのであります。 お伺いいたします。
松本
博士は、今日経済撹乱の方途を通じて世界革命の思想がわが日本の国内の一角にも流れているということを御承知でありますか。
松本信次
327
○
松本証人
経済を撹乱して、それを手段にして世界革命をやろうということは、私はそういう具体的事実があるかどうか知りませんが、そういうことは考えられるとは思います。
橋本清吉
328
○橋本(清)
委員
私は、今回の
保全経済会
の問題は、これを典型的なものといたしまして、零細な国民の
資金
を集めている多くの類似のものがある。この問題は、先ほど来お話のごとく、単にこれを興味的にながめるような
事件
にあらずして、その奥底には、ただいま申し上げたような思想の
一つ
の流れがあるのではなかろうかということが、巷間の一部においては流布せられているのでありますが、私が博士にお伺いいたしますのは、あなたは先ほど来いろいろお話がありましたが、その学識と思想を持
つて
いるところの博士が——この表面に現われた現象は、それはあなたのばかになさ
つて
いるところの
伊藤
君の仕事かもしれないけれども、それを指導するところのその思想の流れというものは私は閑却できないと思う。経済学博士の名誉と権威におきまして、その問題を思想的にいかにながめるかという点を重ねてお伺いいたしますと同時に、
伊藤
君の持
つて
おります経済思想というものにつきまして、博士が御承知でありますれば、その一端をお伺いいたしたい。
松本信次
329
○
松本証人
ただいまの御質問は、
伊藤
君が共産主義の思想を持
つて
お
つて
という意味に解していいのですか。
橋本清吉
330
○橋本(清)
委員
松本
先生は経済学博士でありますから、私は詳しくは申し上げませんが、私の申し上げましたのは、すでに御承知と思いますが、経済撹乱を革命の方途とする思想と申しますのは、いわゆるユダヤ思想を申すのであります。
松本信次
331
○
松本証人
それに対しては私はちよつと御答弁しかねるのでありますが、御答弁しなければならぬのですか。
塚原俊郎
332
○
塚原委員長
答えられないなら、わかりませんとおつしや
つて
ください。
松本信次
333
○
松本証人
私は、ユダヤの手先であるかどうかということについては、わかりません。
橋本清吉
334
○橋本(清)
委員
おわかりにならなければけつこうであります。
塚原俊郎
335
○
塚原委員長
最後に
委員長
から
松本
君に一点だけお尋ねいたします。先ほどから各
委員
の御質問にもありましたが、私としてふに落ちない点が一点ございます。いろいろなパンフレツトあるいは雑誌、リーフレツト、それから
新聞等
に
保全経済会
の広告が大々的に出ております。そのときの役員の中に、元農林大臣
平野力三
君、元大蔵
委員長
早
稻田柳右エ門
君、
経済学博士松本信次
君、
理事長伊藤斗福
君、この四人の名前がたいてい一緒に出ております。あなたは東京の
新聞
はごらんに
なつ
たことはないとおつしやいましたが、こういつた広告を出すことについて、あなたは同意を与えたことがあるのですか、ないのですか。
松本信次
336
○
松本証人
偽らず申しまして、今のそういう広告、
保全経済会
で出しま、た営業案内等は、私は実は
休業
までは見たことはありません。これははつきりいたしておきます。
塚原俊郎
337
○
塚原委員長
たとえば、ここにありまするが、
経済学博士松本信次
という広告を出すことについて、了承していないのですね。
松本信次
338
○
松本証人
了承しておりません。
塚原俊郎
339
○
塚原委員長
相談を受けたこともありませんか。
松本信次
340
○
松本証人
ありません。それははつきり申し上げます。
塚原俊郎
341
○
塚原委員長
ほかに御発言はありませんか。——なければ、
松本証人
に対する質問はこれにて終了いたします。
証人
には長時間御苦労さまでありました。 午後は二時半より再開し、早
稻田柳右エ門
君より
証言
を求めることにいたします。 この際暫時休憩いたします。 午後二時九分休憩 ————◇————— 午後三時四分
開議
塚原俊郎
342
○
塚原委員長
休憩前に引続き
会議
を開きます、 ただいまお見えに
なつ
ておられる方は早
稻田柳右エ門
さんですね。あらかじめ
文書
をも
つて
御承知の
通り
、本日正式に
証人
として決定いたしましたから、さよう御了承願います。 これより
保全経済会等特殊利殖機関
に関する件について
証言
を求めたいと存じますが、この際
証人
に申し上げます。
保全経済会
は
全国
に二百箇所以上の店舗を有し、
出資総額
約四十五億円、
加入者
は約十五万に達する特異な
利殖機関
でありまして、従来その業務の
運営
につきましてはとかくの風評があ
つたの
でありまするが、昨年十月二十四日、突如として
全国
一斉に臨時
休業
に入
つたの
であります。この
休業
に立ち至つた事情につきましては、世上幾多の疑惑と関心を有する向きもあり、また一方これら類似の特殊
利殖機関
の累増を見た今日、これら特殊
利殖機関
の業務
運営
の実態を明らかにし、かつこれら特殊
利殖機関
に対する
関係
官庁の監督の当否について
調査
を進めますることは、国の行政が適正にしてかつ能率的に行われているかどうかを監察しも
つて
立法その他国政の審議に資するため行政の
運営
上障害と
なつ
ている各般の事情を総合的に
調査
しかつその責任を
調査
する本
委員会
の使命にかんがみ、きわめて有意義なりと考え、本
委員会
は本件の
調査
をいたすことに
なつ
た次第であります。
証人
におかれましては率直なる
証言
をお願いいたします。 それでは、ただいまより
保全経済会等特殊利殖機関
に関する件につきまして
証言
を求めるごとになりまするが、
証言
を求める前に
証人
に一言申し上げます。
昭和
二十二年法律第二百二十五号、議院における
証人
の宣誓及び
証言
等に関する法律によりまして、
証人
に
証言
を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならぬことと相
なつ
ております。宣誓または
証言
を拒むことのできるのは、
証言
が、
証人
または
証人
の配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または
証人
とこれらの親族
関係
のあつた者、及び
証人
の後見人または
証人
の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師、歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、
弁護士
、弁理士、弁護人、公
証人
、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあつた者が、その職務上知つた事実であ
つて
黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には
証言
を拒むことはできないことに
なつ
ております。しかして、
証人
が正当の理由がなくして宣誓または
証言
を拒んだときには、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した
証人
が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることと
なつ
ておるのであります。一応このことを御承知に
なつ
ておいていただきたいと思います。 では、法律の定めるところによりまして、
証人
に宣誓を求めます。御起立を願います。 宣誓書を朗読してください。 〔
証人
早
稻田柳右エ門
君朗読〕 宣 誓 書 良心に
従つて
、真実を述べ、何事もかくさず、また何事もつけ加えないことを誓います。
塚原俊郎
343
○
塚原委員長
それでは宣誓書に署名捺印を願います。 〔
証人
宣誓書に捺印〕
塚原俊郎
344
○
塚原委員長
これより
証言
を求めることになりますが、
証言
は
証言
を求められた範囲を越えないこと、また御発言の際には、その都度
委員長
の許可を得てなされるようお願いいたします。まず
委員長
から概括的に
証言
を求め、次いで各
委員
から
証言
を求めることになりますから、御了承願います。なお、こちらから質問をしておるときはおかけに
なつ
てお
つて
もけつこうでございますが、お答えの際は御起立を願います。
証人
は
保全経済会
の
伊藤斗福
とどういう御
関係
にあるのでありましようか。また、いつころお知合いに
なつ
たか、その経緯についてお述べを願いたいと存じます。
早稻田柳右エ門
345
○早稻田
証人
お答えをいたします。私が
保全経済会
の
伊藤理事長
と知合いになりましたのは、
昭和
二十六年の四月ごろであつたと記憶いたします。私の親友で、元国会の納税完納本部事務局長をいたしておりました小池和一という人があります。現在では富士航空
会社
の専務をいたしておると存じますが、この小池君から私に、
保全経済会
というのがある、その
顧問
に
なつ
てほしいという要望があるが引受けてもらえないか、こういうお話がございました。私は忙しい身分でもあり、とうていお引受けはできないというので、一応お断りをいたしておきました。その後さらに小池君から、小池君の親しい人からも言
つて
来ておるからぜひひとつや
つて
もらいたいと思うが、いずれにしても一度
伊藤理事長
に会
つて
もらいたい、こういうことでございましたので、お目にかかる約束をいたしました。その後小池君同伴で
伊藤理事長
が本院へ参りまして、私に面会を求めました。そこで私は初めて
伊藤
君に会
つたの
でございます。そのとき、
保全経済会
のあり方等につきましていろいろお話があり、ぜひ
顧問
にという話があつたわけでございまするが、私は忙しい体であり、とうていそうした仕事に関与することはできませんので、お断りをいたしたい、かように申し上げたのでございます。一応考えておいてもらいたい、御再考を願いたいということで、そのときはわかれたのでございますが、その後さらに小池君を通じまして、絶対に御迷惑をかけるようなことはいたしませんから、事業の
内容
とか、その他に御
関係
願わなく
つて
も、ただ
政治
の動きやちあるいは経済の動向についてのお考え等を時折伺うことができればそれでけつこうであるから、ぜひとも
顧問
に就任してもらいたい、こういう申入れがございました。たまたまそのころは、本国会におきまして証券の民主化であるとか、あるいは投資信託法の制定等の気運が醸成されつつあるときでございましたので、私もいろいろ考えましたが、証券民主化という点から申しまして、
保全経済会
のような機関の
一つ
くらいあることもよかろうという考えを持つに至りましたので、事業等には一切
関係
をしない、ただ私の、時局について、あるいは経済についての意見だけを時折お尋ねによ
つて
申し上げましよう、こういう軽い程度で実はお引受けをいたしたのでございます。かくて今日に至
つて
おるのでございます。
塚原俊郎
346
○
塚原委員長
そういたしますと、正式に
保全経済会
の
顧問
に就任されたのは何年の何月でしようか。
早稻田柳右エ門
347
○早稻田
証人
はつきり記憶をいたしておりませんが、
昭和
二十六年の四月の末か、あるいは五月に入
つて
おつたかとも思います。
塚原俊郎
348
○
塚原委員長
顧問
として活動された分野というものは、ただいまお話がありましたように、
政治
の動き、経済の動向等について意見を求められた場合にお答えする以外に、
顧問
としてのお仕事はなされなか
つたの
でありますか。
早稻田柳右エ門
349
○早稻田
証人
さようでございます。
塚原俊郎
350
○
塚原委員長
しからば、
証人
は、
顧問
としてどの程度にこの
保全経済会
の実情というものを御存じに
なつ
ておつたか、その点についてお聞かせ願いたいと思います。
早稻田柳右エ門
351
○早稻田
証人
ただいま申し上げました
伊藤理事長
に会つたときの話、並びにその後小池君を通じまして
保全経済会
の概要を印刷いたしましたものを持
つて
来られまして、それによ
つて
保全経済会
の概要を知つたわけでございます。すなわち、比較的零細な
出資者
、預金者の方々をできる限り優遇し、現行所定の利子よりも高い利子を与える。そしてそうした零細
出資者
が少しでもよけい恩恵をこうむるようにいたしたい、こういうことが重点のようでございまして、事業
内容
につきましては、先ほど
委員長
のお説にもございましたように、
全国
各所に支店、出張所を持
つて
、そこでそれぞれ
出資
の申込みを受付けておる、それを東京に持ち寄
つて
、主として産業資本として株式に投資をする、そうしてその得たる
利益
を
出資者
に配分をするという仕組みであ
つて
、これは匿名組合法に基く組織である、こういうように承
つて
お
つたの
でございます。
塚原俊郎
352
○
塚原委員長
しかし、実際
保全経済会
の動きを見ておりますと、こういう事業はいわゆる
出資金
の自転車式操業とでも申しましようか、
出資金
のたらいまわしを行
つて
、そうしなければ成り立つものではないということにはお気づきになりませんでしたか。
早稻田柳右エ門
353
○早稻田
証人
この点は、最初に聞いたときに私も気づきました。そういうような回転方法をと
つて
おるものではないかということを追究いたしたわけであります。ところが、当時
伊藤
君の答えは、断じてそういうことはありません、相当巨額の
資金
を持
つて
株式投資をいたしておるのだし、この方面の専門家によ
つて
間違いのない投資をしておる、
従つて
相当
利益
をあげておりまするから、決してそういうようなことはない、世に言う投機で失敗をするのは、
資金
なしにからくりをするから失敗をするけれども、相当
資金
を持
つて
やるような場合は、株式投資で失敗をするということはありません。だからそういう点は決して御心配はない、こういう回答でございましたので、私はそれを是認いたしてお
つたの
であります。
塚原俊郎
354
○
塚原委員長
しかし、その前に、どうも不明朗なものがある、いわゆる
出資金
のたらいまわしをや
つて
おるというようなことにお気づきになられたのはいつごろからでございますか。
早稻田柳右エ門
355
○早稻田
証人
最初に会
つて
聞いたときにそういう感じを私は持ちました。そこで、そういう点を尋ねた次第でございますが、今申し上げたような回答でございまして、私は、そういうことであるならば安心してよかろう、こういう考えを持
つたの
でございます。
塚原俊郎
356
○
塚原委員長
休業
になるまで、世間をあれだけ騒がせるまで、そういうことは
伊藤
さんのお言葉を信じておつたわけですか。
早稻田柳右エ門
357
○早稻田
証人
その点につきましては、時折
新聞
に出たり、あるいはほかからも
保全経済会
についてのいろいろなうわさがございました。私はその都度訪問して詰問をしたこともありまするし、また電話で尋ねたこともございまするが、決して
伊藤
君の言うように
利益
があが
つて
いないという話だ、だからはつきりした考課状を持
つて
いらつしやいと要求したこともあり、さらに株式等で損失を招いておるのではないか、または今お説のありましたような回転をしておるのではないかということを詰め寄
つて
尋ねたこともございました。ところが、その折の答えは、いつも軌を同じういたしまして、最初から申し上げたように、絶対に心配はございません、むしろ成績はだんだんよく
なつ
ておる、その証拠には、最初三分五厘でございましたかの
利益
配当
を三分に切り下げ、さらに二分五厘にし、また二分にしというふうにだんだん軌道に乗りつつある、
従つて
本会
の
経営
は万全を期しておる、決して御心配をしていただくようなことはない、こういう答えでございました。さらに、私の申しました考課状を取寄せて見たこともありまするが、その考課状には、数字ははつきり記憶をいたしませんが、相当
利益
のあが
つて
おる
損益計算書
であ
つたの
でございます。なお、
伊藤
君は、そういう折に、いつもつけ加えて、
保全経済会
の発展が既設金融機関に相当影響する、さらにまた同種業界等からも急激な発展をすることが非常に恨まれておる、ねたまれておる。そういう
関係
でよからぬ風評あるいは
新聞
報道等がありますが、決してそういう点は気にとめていただかないように、われわれは万全を期してや
つて
おるから御安心を願いたい、これがいつも、私が質問しましたとき、あるいははげしく問いただしたときの答えでございました。そこで、私は、そこまで信念を持
つて
や
つて
おるならばまず間違いはなかろう、かように考えまして、決して
出資者
の方に御迷惑をかけないように必ず万全を期しておやりなさいという激励の言葉を贈
つて
わかれた場合が多うございます。
塚原俊郎
358
○
塚原委員長
数名の
顧問
の方がおられるようですが、
顧問
会議
というようなものが行われたことはあるのですか。
早稻田柳右エ門
359
○早稻田
証人
顧問
会議
の行われたことは一回もございません。従いまして、
顧問
間の横の連絡というものは全然ございませんでした。ただ
休業
いたしましてから、
平野
代議士のあつせんで、
顧問
が寄
つて
、そうして善後策について相談をいたしたことは三回あつたと記憶いたします。
塚原俊郎
360
○
塚原委員長
保全経済会
が立法化運動について相当動いておつたということを聞いておりまするが、
証人
はこの立法化運動に
関係
されたことがございますか。
早稻田柳右エ門
361
○早稻田
証人
立法化運動に
関係
をいたしたことはございません。ただ、
伊藤理事長
からも立法化について努力してほしいという要請はございました。また、
全国
から上京して参られました
出資者
の代表の方々からも、ぜひ立法化をしてくれるように尽力を願いたいという申入れはございました。しかし、私は、静かに考えまするとき、この段階においての立法化は不可能である、こういう考え方を持
つて
おりましたので、
全国
から来られた方々にもその都度立法化は困難である旨率直にお答えをいたしておきました。また
伊藤
君に対しても、どういう方法でや
つて
おられるか知らぬが私の知る範囲においては非常に困難であるということをしばしば申し伝えた次第でございます。
塚原俊郎
362
○
塚原委員長
昭和
二十七年の十二月に改進党の大会があ
つたの
でありますが、その際協力金として
保全経済会
が改進党に
支出
をしておるということは御存じでございますか。
早稻田柳右エ門
363
○早稻田
証人
全然存じません。
塚原俊郎
364
○
塚原委員長
さらに、お金の問題になりまするが、前
衆議院議員
で駒井重次さんという方がおられますが、実は明日この方も
証人
としておいで願う予定でありますが、今御病気で、あるいは
証人
として出席が不可能になるかと思いますので、早稻田さんにお聞きするのでありますが、
昭和
二十七年九月二日、やはり改進党に一千万円の献金をしておるということをわれわれは聞いたのでありますが、こういう事実を御存じでございましようか。
早稻田柳右エ門
365
○早稻田
証人
そういう事実も全然関知いたしません。
塚原俊郎
366
○
塚原委員長
全然御存じありませんね。
早稻田柳右エ門
367
○早稻田
証人
はあ。
塚原俊郎
368
○
塚原委員長
駒井重次さんが党に出されたということも御存じありませんか。
早稻田柳右エ門
369
○早稻田
証人
それも存じません。
塚原俊郎
370
○
塚原委員長
そうすると、もちろん
保全経済会
と
関係
があるなどということも御存じないわけでございますね。
早稻田柳右エ門
371
○早稻田
証人
駒井先生が元
保全会
の
顧問
をしていらつしやつたということは伺
つて
おります。
塚原俊郎
372
○
塚原委員長
これは
政治
資金
規正法によ
つて
届出があるのでありまするが、そうすると、早稻田さんはこの問題については全然御存じないということに了承してよろしゆうございますね。そうすると、やはり駒井さんに
関係
したことで、二十八年三月十七日に謝礼として五百五十万円
保全経済会
から受取
つて
おるという事実があると聞いておるのでありまするが、この点についても御存じございませんか。
早稻田柳右エ門
373
○早稻田
証人
その点につきましても全然存じません。
塚原俊郎
374
○
塚原委員長
これは
保全経済会
の
帳簿
に
記載
されておるのですが、御存じございませんか。
早稻田柳右エ門
375
○早稻田
証人
存じません。
塚原俊郎
376
○
塚原委員長
昨年末
証人
はほかの
顧問
と連名で声明書を
発表
し、
保全経済会
の再建について意見を述べられております。先ほどの
証言
にもありましたように三回ぐらい
平野
さんのごあつせんでお集まりに
なつ
たということを聞きましたが、現在までに再建につきましてどういう努力をされ、どういう尽力をされて来ましたか、御説明願いたいと存じます。
早稻田柳右エ門
377
○早稻田
証人
その点につきましては、先ほど申し上げましたように、
平野
代議士のところに集まりまして、いかにすることが
顧問
としてとるべき一番いい方途であるかということについて種々懇談を重ねました。その折、同じ
顧問
でありまする
松本
博士から、いろいろ案はあるけれども、しかし最善の方途としては、現在幸いに若干の
不動産
が残
つて
おる、その
不動産
を投売りにすれば大した価値はない、しかし適当な方法によ
つて
これを逐次最善の方途をと
つて
売り払う場合は相当
金額
になると考える、そこで、
一つ
の
会社
をつく
つて
、この
不動産
を処分して、
出資
をなさつた方々に少しでもよけい配分のあるうによ手だてをすることが一番いいと考える、こういうような御提案がございまして、私も
平野
代議士もこれに賛意を表した。従いまして、この
松本
博士案を
顧問
団の案として一応
伊藤理事長
に提示し、幸いに了承を得るならば、
出資者
の代表の方ともおはかりをして、御賛成がもしあれば、そういう方途によ
つて
出資者
の御迷惑にならないようにいたしたい、こういうことに相な
つたの
でございまするが、右のような点についていろいろと苦心をいたした次第でございます。
塚原俊郎
378
○
塚原委員長
保全経済会
の
帳簿
を見ますると、
証人
は
昭和
二十六年及び二十七年に相当多額の
顧問料
をと
つて
おられるように
記載
いたしてありますが、これは事実ですか。
早稻田柳右エ門
379
○早稻田
証人
事実でございます。
顧問料
はおおむね
中元
であるとかあるいは正月であるとか期末であるとかいうような場合に届けられておりました。従いまして、これを受けておつた次第でございます。
塚原俊郎
380
○
塚原委員長
毎月きまつた額というものが支給されたわけではございませんか。
早稻田柳右エ門
381
○早稻田
証人
ございません。
塚原俊郎
382
○
塚原委員長
それはないのですか。同じ
顧問
でも、先ほどの
松本
博士のような場合には、月五万円というような規定があつたと聞いておるのですが、早稻田さんの場合にはそれはなか
つたの
ですね。
中元
とか暮れとかいうような場合にのみ届けられた……。
早稻田柳右エ門
383
○早稻田
証人
さようであります。
塚原俊郎
384
○
塚原委員長
その
顧問料
のほかに、金銭、物品等の受取りはなか
つたの
でしようか、どうですか。何か物品等で支給されたというようなことはなか
つたの
でしようか。
早稻田柳右エ門
385
○早稻田
証人
そのほか物品あるいは陣中見舞、餞別というような形でも若干のものがございました。
塚原俊郎
386
○
塚原委員長
全国
多数の
出資者
の中には、
証人
の
顧問
の名を信じて応募して金を出した者が相当あつたと考えられるのですが、今その連中がたいへん困
つて
おられる、こういうことになりますると、
証人
としてはどういう責任をお考えに
なつ
ておられまするか。
早稻田柳右エ門
387
○早稻田
証人
その点につきましては日夜頭を痛めておりまするが、私の不徳、不明のいたすところでありまして、まことに申訳がないと考えております。場合によりましては、私の私有財産を投げ出してでも
出資者
の方々に少しでも迷惑のかからないようにいたしたいと責任を痛感いたしておる次第でございます。
塚原俊郎
388
○
塚原委員長
委員長
の質問はこれにて終りまするが、
委員
各位のうちで御質問がありましたら、どうぞお願いいたします。矢尾君。
矢尾喜三郎
389
○矢尾
委員
二、三お伺いいたしまするが、
証人
が
顧問
に就任されました日時はさき承りましたのでございますが、
証人
が
顧問
に就任されましたときにおいてすでに三億一千余万円の
欠損
を出しておつたということを
証人
は知
つて
おられたかどうかということをまずお伺いいたします。
早稻田柳右エ門
390
○早稻田
証人
お尋ねの点につきましては全然存じません。
矢尾喜三郎
391
○矢尾
委員
そういたしますと、
顧問
に就任されまするに際しましては、何らその
内容
を調べずして単純に
顧問
に就任されたものと考えてよろしゆうございますか
早稻田柳右エ門
392
○早稻田
証人
お尋ねの点につきましては、先ほど
委員長
にも申し上げましたように、いろいろ事業の
運営
状況
等について尋ねました。その答えは、
利益
が相当あが
つて
いる、健全なる
運営
をいたしている、こういう説明でございましたので、私はそれを信じて引受けた次第でありまするが、今にして考えますると、こんな赤字が出ておつたということを知りまして、みずからその不明を恥じ入
つて
いるような次第であります。
矢尾喜三郎
393
○矢尾
委員
そういたしますと、
証人
は単純に
顧問
を受けられたように考えられておりますが、
保全経済会
といたしましては、あなたを何か利用するというような意味において
顧問
に就任方を要望したのではないかと思うのでありますが、当時は単純に受けられたと思いますが、今日になりまして、特にあなたを
顧問
として迎えられたということにつきまして何か考えておられることがございませんか。その点について。
早稻田柳右エ門
394
○早稻田
証人
若干思い当る節もございまするが、
従つて
別に今深く考えるような点も実はないわけでございます。
矢尾喜三郎
395
○矢尾
委員
そういたしますと、思い当るところがないということになりますが、先に
委員長
があなたにお伺いいたしましたところによると、あなたは
経営
その他には直接参加しておらないように思われるのでありますけれども、しかしながら、
保全経済会
の講演あるいは
出資
の
勧誘
その他につきまして、なされたことがありましたかなかつたかということをお伺いいたします。
早稻田柳右エ門
396
○早稻田
証人
お答えを申し上げます。
保全経済会
の講演あるいは
勧誘
等をいたしたことは一回もございません。
矢尾喜三郎
397
○矢尾
委員
これは報道機関の一部報ずるところで知
つたの
でございますが、あなたの故郷でありまする愛知県の愛知セメント組合あるいは愛知の製陶組合などに対しまして加入の
勧誘
をされたということもございませんか。
早稻田柳右エ門
398
○早稻田
証人
そういう
勧誘
をいたしたことは一回もございません。
矢尾喜三郎
399
○矢尾
委員
直接
勧誘
されたことはないということがそれではつきりいたしましたが、しかしながら、早
稻田柳右エ門
という人を信じて、そうしてこれに投資した人は相当あるだろうと思うのでございますが、その点につきましてはいかがでございますか。
早稻田柳右エ門
400
○早稻田
証人
お説のように、数ならぬ早稻田ではありまするが、私を御信用くだす
つて
御加入願つた方もあると存じております。ただ、私に加入したいと思うがというような御相談のありましたような場合には、私は
保全経済会
を信じている、しかし御加入なさるにあた
つて
はよく御検討の上や
つて
いただきたいと申し上げたのが常でございましたが、そういう場合が二、三回あつたように記憶いたしております。その他は
勧誘
等については一切行動をとつたことはございません。
矢尾喜三郎
401
○矢尾
委員
そういたしますと、
勧誘
その他についてはせられたこともなく、単純に
顧問
に就任したことのみであるという御答弁でございまするが、そういたしますると、あなたに
保全経済会
から出しました
顧問料
というのは百十五万円の多額に上
つて
おるのでございますが、これはどういう意味において
保全経済会
があなたにくれたものであるとお考えに
なつ
ておりますか。
早稻田柳右エ門
402
○早稻田
証人
この点はお説の
通り
であります。しかし、私は、先ほど来申し上げますように、相当成績をあげておる、
従つて
その成績の配分というような意味も加えてくれておるものである、かように考えておつた次第でございます。
矢尾喜三郎
403
○矢尾
委員
そういたしますと、
保全経済会
が最後の目標といたしておりましたのは、
欠損
に
欠損
を重ねておることを救済する道は、これを立法化するということが大きな手段として選ばれなければならない。その立法化を推し進めて行くために、当時大蔵
委員
をしておられましたあなたを特に選んで、これに尽力してもらいたいというような意義におきまして、
顧問
に就任してもら
つて
多額の
顧問料
を支払つたものであると考えますが、この点につきましてほどういうお考えを持
つて
おられますか。
早稻田柳右エ門
404
○早稻田
証人
お答え申し上げます。私の大蔵
委員
在任中に立法化というようなことについては一言も聞いたこともございませんでしたし、またそういううわさすら聞いておりませんでした。それから、
休業
をいたしまして、立法化云々ということが問題になるようになりましたころは、御承知のように私は大蔵
委員
ではなか
つたの
でございまするが、この問題についても、先ほど
委員長
に申し上げたように、私はきわめて消極的でございまして、積極的にこの話を推進したこと等もなかつた次第でございます。
矢尾喜三郎
405
○矢尾
委員
さきに
委員長
の質問に対しまして、改進党の大会に、大会の費用として二十万円の金が送られておるのでございますが、これに対しましても、自分は知らなかつた、何ら関知しておらない、また駒井重次氏を通じて一千万円の献金が改進党になされておりますが、これに対しましても関知しておらないと申されましたが、あなたが
顧問
といたしまして、また改進党内部における唯一の
顧問
としてあなたが出ておられるのに対しまして、何ら相談もなかつた、また何らあなたはこれにあずかることがなかつたというようなことに対しまして、あなたはどういうお考えを持
つて
おられますか。
早稻田柳右エ門
406
○早稻田
証人
ただいまのお尋ねの点につきましては、私はごく最近に至りまして、そうした献金があつたやに伺つたわけでありますが、現在においても、どういう
関係
であつたか、その辺は判断に苦しむわけでございまして、また自分としてはこれに対して別に深い考えもわいていないわけであります。
矢尾喜三郎
407
○矢尾
委員
最後にお伺いいたしますのは、ただいまの御
証言
によりまして、それに対して何ら関知しておらなかつたと言われますが、あなたの知る範囲において、
保全経済会
から政界あるいは官界に対して相当の金がばらまかれておるという事実が伝えられてやがてはこれも明るみに出るだろうと思うのでございますが、参考のために、あなたの知られる範囲におきまして、そういう事実をお知りに
なつ
ておられるか、おられないかということをお伺いしておきたいと思います。
早稻田柳右エ門
408
○早稻田
証人
お尋ねの点につきましては、最近
新聞
その他でいろいろとうわさされておりまするが、私の知る範囲では、そうした多額の金がばらまかれているというようなことはどうも信用ができません。それは、何とならば、ここでお許しを願
つて
一言申し上げたいことは、私は
伊藤理事長
とは三箇年を通じて数回会
つて
いるのみでございますが、しかし、この数回
伊藤
氏と会つたときの感じを率直に申し上げますと、
伊藤
君はかなり信念的な男であり、しかも経済眼については、かどの人であると私は見ております。
従つて
、そうした無用な金をあつちこつちへばらまくというようなことはあり得ないと、こう実は考えておつたわけでございます。ところが、最近の
内容
検見等におきましていろいろの問題が現われて来る実情を見ますると、あるいはそれを糊塗せんがためにそうしたこともあつたかもしれないというような若干の疑惑を抱くに至
つて
おります。けれども、私に対しては、政党へ金を出したとか、あるいはほかへ金をそういうふうにまいたとかいうようなことはみじんも言つたこともございません。私が、これは日時は記憶いたしませんが、
伊藤
君に、一応これだけ大きく
なつ
て来たんだから、もう少し財界とか、あるいは政界につながりを持つこともいいじやないか、そういう方面へ少しぐらいは金を出すこともいいじやないかと、私から話しかけたことがございます。それに答えて
伊藤
君は、現在の段階ではそういう考えは持
つて
いない、あるいは将来そういうときがあるかもしれぬけれども、現在としてはさような考えはみじんも持
つて
いない、こういうことを私にははつきり言つたこともございます。それで、そういうようなことを考え合せましても、私は多額な金がまかれているということに対して、今も疑惑を持
つて
いる一人でございます。
塚原俊郎
409
○
塚原委員長
山口丈太郎
君。山口(丈)
委員
私は二、三簡単に質問をいたしたいと存じます。 まず最初に、早稻田さんは
昭和
二十六年七月十日から大蔵
委員
として四国方面に出張なさいましたやに聞いているのでありますが、そのときにすでにこの
保全経済会
の
運営
について……。
塚原俊郎
410
○
塚原委員長
山口君、もう少し大きな声でお願いいたします。
山口丈太郎
411
○山口(丈)
委員
いろいろ
出資者
から疑惑が出て、あなたの方に
出資者
が訪問をしていろいろ尋ねられたようなことがあるやに承るのですが、そういうことが事実あ
つたの
か、なか
つたの
か、お伺いいたします。
早稻田柳右エ門
412
○早稻田
証人
お説の
通り
、私は大蔵
委員
をいたしておりますとき四国方面へ
調査
に上つたことがあります。その折、
保全経済会
の高松の支店の人々、あるいは徳島の出張所の人々が私を訪問したことはございます。しかし、
出資者
の方々が私をたずねられたことはございません。ただ、徳島で金融機関の代表の方々と懇談をいたしまして、たまたま
保全経済会
の話が出まして、そして、これはけしからぬ、やみ金融であるというような非常な難詰を受けたことはございます。私はそれを承
つて
帰りましたが、その実情を、
保全経済会
のたれであつたか、電話で、こういう説もあつた、
従つて
ますます健全な
運営
をしないと、いろいろ攻撃もあるから、よほどしつかりや
つて
もらわなければ困る、こういうような注意を与えておいたことを覚えています。しかし、お尋ねのような、
出資者
の代表が私を訪問された事実はございません。
山口丈太郎
413
○山口(丈)
委員
その徳島で、金融
関係者
から、これはやみ金融の機関としてどうも金融を撹乱するおそれがあるというようないろいろの意見があなたの方に伝えられたものと思いますが、あなたはそれに対しては相当良心的にその
運営
については警告をされたようでありまするが、しかし、この類似金融機関的な存在である
保全経済会
の性質そのものについて、どのようなお考えを持たれたか。
早稻田柳右エ門
414
○早稻田
証人
これは、はなはだ失礼なお答えかとも思いますが、私は徳島においていろいろ議論のありました折、高松の支店長、徳島の出張所であつたかと思いますが、そういう面々に即座に、ああいう意見のあることはこの
保全経済会
のどこかに欠陥があるのじやないかというような点について尋ねてみました。御承知と存じますが、
保全経済会
の支店長、出張所長はおおむれ旧軍人が多うございまして、きわめて強固な意思を持
つて
や
つて
おる人が多うございます。高松、徳島の方々もそういう方ではなかつたかと思いまするが、この方々は、われわれは熱心に仕事を進めておる、しかしてそういうような既設金融機関から攻撃を受けるような金銭貸借はしていない、ただ加入せられたものは本店へこれを送
つて
、そして本店はこれを株式投資に使
つて
おるので、地方の金融機関を圧迫するような行為はしていないと思う、しかしそういうお説のあることはわれわれとしても反省をしなければならぬので、本店へも言
つて
やりますし、私からも言
つて
もらいたい、こういうようなお話でございました。そこで、先ほど申し上げたように、本店へもその旨を忠告して反省を求めた次第でありまするが、私自身としては、支店で言われたように、やはりこれは同業
関係
の方々の一部は攻撃であつたかとも思
つて
おつたような次第でございます。
山口丈太郎
415
○山口(丈)
委員
こういう機関は、いわゆるそれがたとえ投資機関であるとしましても、非常な思惑を持つたもので、正常な機関とは考えられない危険性を持
つて
最初から出発しておるものと私は思うのであります。
従つて
、あなたは、高松の支店あるいは徳島で金融
関係
の者からいろいろと言われたそのときに、すでにこういう思惑機関に利用される憂いがあるというようなことをお気づきに
なつ
てお
つたの
ではないか、あるいは気づかれていろいろそういう
内容
について注意をされたのではないかと思いますが、どうでしようか。
早稻田柳右エ門
416
○早稻田
証人
お説の
通り
でございます。
山口丈太郎
417
○山口(丈)
委員
そういたしますと、あなたが大蔵
委員
をなさ
つて
おつたときかもわかりませんが、同七月の二十八日には、大蔵
委員会
におきましてこのような類似金融機関の危険性とその
運用
内容
の乱脈性をいち早く察知してこれを大蔵当局の方に警告されておることがあると思います。そういう点、あなたはそのときに、このような機関に直接
関係
はなくとも
顧問
ということで、一般的な通念で申しますと、その
会社
の首脳部よりもあるいは重い責任を有しておられるような通俗観念を持つこの社会情勢の中で、あなたは
顧問
として、どのようにお考えにな
つたの
でございますか。
早稻田柳右エ門
418
○早稻田
証人
ただいまお説の、大蔵
委員会
から大蔵省へ申し入れられたのは、私が大蔵
委員
をやめてからであつたと思いますが、私はそうしたお話をあとで伺いまして、この種機関がもしいけないとするならば、当然大蔵当局において厳重にこれを取締るなり、あるいは
出資者
の保護をいたすべきである、いいことをや
つて
くれた、かように当時考えたのであります。
山口丈太郎
419
○山口(丈)
委員
今申しますように、こういう類似の金融機関が、その
運用
内容
において危険ありとして、大蔵
委員会
が大蔵当局へ警告されたことについては、あなたは
顧問
として、非常によいことを言
つて
もらつた、——むしろ今のお答えで行きますと、非常に大蔵
委員
には感謝の言葉に受取れるのであります。しかし、それだけに、その当時すでにもう非常な危険をはらんでいたものと考えるのでありますが、そういう危険をはらんでおる機関については、直接の責任はなくとも、社会的、道義的責任から申しても、
顧問
としてその
内容
についてもう少し、その責任を追究されることのないような措置を講ずることが必要ではなかつたかと思いますが、それについてどのような措置をとられたのか、一応承りたい。
早稻田柳右エ門
420
○早稻田
証人
お説の
通り
でございまして、当時私がいま一歩踏み込みまして
保全経済会
の
内容
を追究し、そうしていけなかつたならばこれに対して断固たる態度をとるか、あるいは身を引くかすべきであつたと思います。しかしながら、私は、先ほど来申したように、私の追究の仕方がまだ足りなかつたためとは思いますが、断じて心配はいりません、どんどん成績をあげておりますから御安心を願いたい、こういうことでございましたので、私はそれを信じておつた次第でございまするが、その点に対しては、先ほど来申し上げまするように、自分の至らなかつたことを悔いておる次第であります。
山口丈太郎
421
○山口(丈)
委員
閉鎖後、最近この
保全経済会
の幹部、あるいは業務面に携わ
つて
おりました首脳部が検挙され、あるいは捜査されるというような事態に
なつ
ておるのでありますが、早稻田さんは
顧問
として、このような事態についてはどのようにお考えに
なつ
ておるか、お伺いしたい。
早稻田柳右エ門
422
○早稻田
証人
衷心から恐縮をいたしておる次第でございます。
山口丈太郎
423
○山口(丈)
委員
顧問
として、さらにお尋ねいたしまするが、このような事態を引起していることに対して、将来ただ恐縮だけでは済まされない事態もあるいは起
つて
来ようかと思うのでありますが、これについて、
顧問
として今後どのようにこの
保全経済会
を指導して行こうとなされるか、あるいは今後についてどのように善処して行こうとなさるか、その点をひとつお伺いしたい。
早稻田柳右エ門
424
○早稻田
証人
ただいままだ
事件
が司直の手にございますので、今こうするという具体的方策は、恐縮ですけれどもまだ持
つて
いないのであります。
山口丈太郎
425
○山口(丈)
委員
これは早稻田さん一人にお尋ねをしても、私は無理だとも考えます。しかし、このようにして非常に社会的に大きな多数の人に損害を与えた、あるいは金融
関係
その他についても非常な迷惑を及ぼしていることについては、これは非常に道義的な責任も感ぜられて、私有財産をなげう
つて
でも多少なりともこの損害を防ぐように努力をしたいという先ほどのお答えがありまして、私はそれを午前中に聞きました
松本
博士の態度と比較をいたしまして、その点非常に良心的にや
つて
おられると思います。そのりつぱな態度を今後にひとつ十分に生かしていただきたいと存じますが、しかし、もう一点お尋ねしておきたい点は、この
保全経済会
の
顧問
として、あなたは経済的に何ら直接的な責任というか、そういつた点はないものと思いますが、そういうふうに私ども理解をしてよろしいか、ひとつお聞きしたいと思います。
早稻田柳右エ門
426
○早稻田
証人
たいへん御同情あるお言葉をいただきまして、かたじけなく存じますが、ただいまのお尋ねの点はお説の
通り
でございます。
塚原俊郎
427
○
塚原委員長
中野
君。
中野四郎
428
○
中野
委員
早稻田君は、
保全経済会
の
理事長
の
伊藤
君が検挙されて以来、家宅捜索をされているのですが、一体これはどういうわけで家宅捜索をされたと感じておられますか。あるいは捜索された当時の感想はどういうふうに感じられたか、ひとつ伺いたいと思います。
早稻田柳右エ門
429
○早稻田
証人
率直にお答えいたしますが、私は家宅捜索されました前夜、
伊藤
君の召喚されたことを知りました。しかし、私ども
顧問
の宅を家宅捜索されるなどとはみじんも考えておりませんでした。当時私は、ちようど登院いたしておりまして、本
会議
場に入
つて
おりました。その折に、某
新聞
社の方から連絡があ
つて
知つたわけであります。しかし、そのときも、その真偽を私は疑いました。そういうことはあり得ない、かように答えた次第であります。ところが、その後約一時間を経まして、私の家から電話がありました。私の滝野川の寓居は学生の寮でございまして、私は学生と同居をいたしておりますが、留守居をしておりました学生から、実は突然家宅捜索があつた、そしていろいろなものを探されて、名刺であるとかあるいは預金通帳であるとかいうようなものを持
つて
行かれた、こういう
報告
があつたわけであります。捜査当局としてはこれは当然の行為かとも思いまするが、しかし、私の率直な考え方としては、あまりにもこれは酷ではないか、かように考えております。何となれば、その報道はたちまち郷里の
新聞等
には大々的に報道をされまして、選挙区の人々は非常に心配をしている人もございます。中には笑
つて
いる人もあるかと思いますが、すでに皆様御承知のように、私は
政治
家のはしくれとしてまじめな
政治
家たらんとしております。また人もまじめな
政治
家として私を信頼していただけた方も少くないと考えております。選挙区におきましてもまた同様でございますが、その私が家宅捜索をされたということによ
つて
郷里の人人は愕然といたしているようでございます。こういう点、国会の皆様のお顔にも泥を塗るような結果に相なりまして、重ね重ね相済まぬ次第であると考えておりますが、まつたくこの点は寝耳に水でございました。ただ驚くという一点あるのみでございます。
中野四郎
430
○
中野
委員
従つて
、ラジオの報道するところによりますれば、国会開会中に国
会議
員の家宅を捜索するのは不謹慎であるという抗議を申し込んだ国
会議
員があると伝えられているのですが、御承知の
通り
、国のあり方は三権分立のあり方で、司法権が必要として家宅捜索をし令状を発することは決して不謹慎ではないと思う。ただ、国会開会中この議員の身分は保障されておりますが司法権の発動によ
つて
捜索をしたということについて厳重抗議を申し込まれ、ために捜査当局は一たん家宅捜査を中止したと伝えられておりますが、そういう抗議を申し込まれた事実が、あなたに関する限りありますかどうか、伺
つて
おきたい。
早稻田柳右エ門
431
○早稻田
証人
私はそうした抗議を申し込んでもおりません。また申し込もうとも考えておりません。
中野四郎
432
○
中野
委員
さらに続いて伺いますが、あなたは、先ほどの御
証言
の
通り
、
保全経済会
から相当多額の
顧問料
をと
つて
おられますが、この総額は一体幾らになるのでしようか。たとえて言えば、
昭和
二十六年の二月なり三月に小池君の御紹介でお入りになりまして、そうて
金額
はきめてないというお話でありますが、ここの数字に現われておりますだけでも百十五万円、他にあなたのところに年末あるいはお
中元
として出ている金がありますが、そういうものをひつくるめますと大体幾らぐらい受取つたという感じを持
つて
おりまするか、また受取られましたかをお答え願いたいと思うのです。
早稻田柳右エ門
433
○早稻田
証人
これは、はつきり記憶をいたしておりませんが、概算いたしまして、過去三箇年を通じてまし百二、三十万円に
なつ
ているのではないかと存じております。
中野四郎
434
○
中野
委員
そこであなたは
保全経済会
が
休業
に
なつ
てから再建のためにいろいろ御苦心をなさ
つて
いるように伺
つて
おりますし、また連名でお出しになりましたこの声明等を拝見してもその点は了承できると思います。ところが問題になりますのは、この再建のために、先ほど
委員長
から質問がありましたが、立法化運動についてあずか
つて
いるかどうかという点について、あなたはないという御
証言
をしていらつしやいます。それから、
伊藤理事長
並びに債権者の
諸君
から立法化を頼まれたということを答えておいでになるのです。そうしますと、この場合の返事ですがね。これは非常に微妙なものなのです。たとえて言えば、それはいやだめだよ、とても君立法なんてだめだよと頭から断
つて
しまう場合と、口の中で、承知したともしないとも、まあそこのところは以心伝心でやる方法と、はつきりと承知したという場面とあるのですが、一体立法化を頼まれたときに、はつきりお断りに
なつ
たかどうか、この点を伺
つて
おきたいのです。これは次にお尋ねをすることに重大な問題があるのです。
早稻田柳右エ門
435
○早稻田
証人
私の気持といたしましては、立法化を頼まれなくとも、こうした危機に立
つて
こそ全力をあげてこれが救援方法あるいは再建方法るとるべく挺身するのが私どもの務めであると考えております。従いてまして、
休業
を知りますや、私は急遽上京したわけでございます。これはちよつとほかの点に触れますが、私は御承知のように昨年の八月初めから十月の中ごろまで東南アジア諸地方に行
つて
おりまして、留守にいたしておりました。帰
つて
参りますと愛知県の第十三号台風でございまして、私の選挙区は全滅的な被害をこうむりました。そこで、帰りましてただちに郷里へ飛び、郷里の災害地を見舞つたわけであります。あるいは被害に対する復興方策を講ずることに私は狂奔いたしました。たまたま知多半島に参
つて
おるときに
保全経済会
の
休業
を知
つたの
でございます。そこで、驚いて上京いたしました。そして、まず
保全経済会
をたずねて、なぜ
休業
したかということを詰問したわけでございます。当時
伊藤
君の答えといたしましては、これ以上業務を続ける場合は、ますます
出資
していらつしやる方々に御迷惑をかける結果にならざるを得ない、そこで少しでも
資産
のあるうちにということで涙をのんで
休業
をいたしました、こういう答えであつたわけであります。私は、そのときに、声涙ともに憤激して彼を戒めました。今日まで私がしばしば事業
内容
を尋ねた場合は、いつも大丈夫であります、相当成績をあげておるとりつぱに答えておつた
伊藤
君でもございました。なお入丸証券の
休業
したとき、あるいはその前のスターリン暴落のとき等は、おそらく相当の損害をこうむ
つて
おる、かように聞ておりましたので、その点を私は聞いたこともありました。しかし、それも最少限度に食いとめて、
運営
には大した支障がなかつたというのが当時の答えでもございました。従いまして、そういうように私を偽
つて
、事実は
運営
のできないような結果に
なつ
ておるということはけしからぬ、不届であるとまで実は憤慨をいたしたわけでありますが、
伊藤
君は、ただ、申訳ない、相済みませんということ以外に何事も申しませんでした。私もそれ以上追究はいたしませんでした。私は平素
保全経済会
へはあまり足を運んでもおりません。また
伊藤
君が私を訪問したのもおそらく五、六回程度だと思いますが、常にあまり深く交遊はいたしておりませんでした。しかし、こうしたときこそ全力をあげて再建の方途を講ずべきである、かように考えましたので、私は私なりに、何とかいい方法はないものかと、ずいぶん苦労をいたしたわけでございます。しかしながら、今お尋ねのように、彼に頼まれて行動をしようとか、またはたしたという事実は寸毫もありません。また彼も私の性格を知
つて
おりまするので、私に対しては、こうしてくれろ、ああしてくれろということはほとんど申しません。私に何とか立法化を願えないだろうかというような話がありましたときも、今
中野
君のお説のように木で鼻をくくつたようなことは申しませんでしたが、私はおそらく困難であろうということを申し上げておいたような次第でございます。
中野四郎
436
○
中野
委員
微妙なところなんですが、困難であろうとまでは、わかるのですが困難であろうけれども努力すると言われたかどうかという点なのです。これはこの場合非常に微妙な問題が起
つて
来るのです。か
つて
昭電
事件
における西尾末廣君の場合もそうです。書記長
個人
、西尾
個人
というようなまことに微妙な言葉があ
つたの
ですが、今回の場合もあなたは
保全経済会
の
顧問
でいらつしやる。
顧問料
を現にと
つて
いらつしやる。他にまた
支出
の面においても、非常に少い金ではありますが、いろいろあなたのところに金が入
つて
おる。一方においては国
会議
員、いわゆる
衆議院議員
早
稻田柳右エ門
という立場もあなたにはある。御承知の
通り
、刑法第七条には明らかに「本法ニ於テ公務員ト称スルハ官吏、公吏、法令ニ依リ公務ニ従事スル議員、
委員
其他ノ職員ヲ謂フ、公務所ト称スルハ公務員ノ職務ヲ行フ所ヲ謂フ」とある。この刑法第七条の公務員であることには間違いないのです。問題は、その職務を通じて金銭の収受があつたかという一点に集約されると思うのです。そこで、あなたの今の御答弁の中で、ただ困難だと言い切
つたの
か、困難ではあるけれども努力をしてみるというお言葉をつけられたのか、この点をひとつ明確にしておいていただきたいと思います。もしこの点で
証言
に食い違いを生じますと——現在
伊藤
君は拘束されております。どの程度の捜査が、あるいは発言が行われているかはわれわれのはかり知るところではありませんけれども、この
証言
の食い違いがもし生じますと、やはり今日の行政監察
委員会
の
証人
として一番最初に宣誓をなさつたあの条項にあてはま
つて
来ることをば考られなければいけないと思うので、一点伺
つて
おきたい。
早稻田柳右エ門
437
○早稻田
証人
中野
さんからたいへん御好意によるお尋ねをいただきまして、ありがたいことと存じますが、ここで
委員長
にお許しをいただきまして、一言専門員の方にお尋ねを願いたいと思います。今
中野
さんお説のごとくに、はつきり断つたか、ぜひ努力をしてみようと言つたかということについては、もとよりどう言つたかということもはつきりは覚えてもおりません。そこで、これが今
中野
さんのおつしやいますような重大な
関係
がありとすれば、さらに一応よく考えさせていただいてからでないと、お答えいたしかねるわけでございます。そこで、今の刑法何条でございますか、そういうものに該当するのかどうか、こういう点を専門員の方にお尋ねをいただきたいと思います。 それから、もう
一つ
ここで
委員長
に申し上げたいと思いますことは、私は、先ほど来お説のありましたように
顧問料
も頂戴いたしておりまするが、しかし、
休業
いたしましてから、立法化についての旅費であるとか、あるいはその費用であるとかいうような金品は一切授受をいたしておりません。そこで、さきにもら
つて
おつた
顧問料
をも、もし私が立法化をはかろうと言つたとすれば、それが刑法上の問題になるでございましようか。それから、
休業
後はもとより、
休業
前も、私は東南アジアに出発する八月以降というものは金銭の授受は全然ございません。ございませんが、それでもなお、もし私が立法化に骨折ろうと言つたとすると、それが刑法上の問題になるかどうか、こういうような点についてひとつ専門的なお説をお聞きいただくことができれば実にありがたい次第であります。
橋本清吉
438
○橋本(清)
委員
関連して。今法律の解釈で専門員、けつこうでありますが、非常にお尋ねをしにくいことでありますが、私は、家宅捜索の令状のいわゆる被疑
事件
名が何であるかということをお伺いいたします。
早稻田柳右エ門
439
○早稻田
証人
家宅捜索の折の令状は私の秘書が受取
つて
おりまして、あとから拝見をいたしましたが、これは為替管理法違反
事件
でございますか何かについて家宅捜索をする、かように明記してございます。
橋本清吉
440
○橋本(清)
委員
私は、もちろん専門員の御研究はけつこうでありまするが、これは、法律問題は為替違反と合せて三つあると思う。
一つ
は、ただいま
中野
君の御質問になりました
通り
、受取つた金がその大蔵
委員
とかあるいはその他立法に関する職務に関した場合におきましては涜職罪を構成する。もう
一つ
大きく考えまするときは、この
保全経済会
の仕事自体が、もしも——私はないと思
つて
おりますが、ほんとうに詐欺のようなものになるといたしますれば、その
保全経済会
における
顧問
の職責のいかんによりましては、この本罪の詐欺の共犯が成立するのではないかと思う。他の一点は為替管理法違反であります。従いまして、ただいまその
証人
に示されましたる家宅捜索の令状の文句が為替管理法の被疑
事件
として
検事
局が認定をいたして家宅捜索状を出したのでありますが、職務に関したる涜職罪になるか、あるいは大きな意味における詐欺罪の共犯になるか、これは私は三つのうちの
一つ
になると思います。もし専門員が御研究をなさいますならば、そういう見地に立
つて
や
つて
いただきたいと思います。
椎熊三郎
441
○
椎熊
委員
ちよつと私はこれに関連して重大な発言をしたいと思うのですが、われわれは
証人
にいろいろなことを尋ねる。その際に、宣誓した
通り
良心に基いて率直に答えるような機会を与えなければ効果がない。法律上の解釈問題として、もし立法化を暗々裏に承諾すればこれが刑法の何条にかかわるなどというがごとき言辞を弄しつつ質問をせられることは、答弁者の自由を拘束することであ
つて
、公正なる質問ではないのではないかと思うのです。そこは
委員長
どう御判断になりますか、伺いたい。私は、そういう質問ではなしに、
中野
君の聞きたいところを率直にお聞きに
なつ
たらどうか。法律解釈上の判断はおのずから
委員
各位、また検察当局にも自由に判断ができることでありまして、それを条件として参考人に尋ねることは、参考人の自由を束縛することだと思います。かえ
つて
公平を妨げるゆえんであると思われるので、
委員長
の解釈を聞きたい。
塚原俊郎
442
○
塚原委員長
お答えいたします。ただいまの刑法第七条の問題と職務上の
関係
があるかいなかということにつきましては、この行政監察
委員会
の
調査
員をして答えせしめることではないと私は思います。かかる法律
関係
は、もし必要があれば裁判所の認定すべきものであることは橋本君も言われた
通り
でございますから、そういうように御了承の上、
調査
員をして答えさせることは不当と思います。
証人
として事実の
証言
をお願いしたいと思うのであります。お続け願います。
中野四郎
君。
中野四郎
443
○
中野
委員
私は、筋道を立てて話をして、りくつを言われたのは、きようが初めてなのであります。つまり、立法化を頼まれてこれを簡単に拒否したか、あるいは応諾をしたかということは、きようの
証言
の中の重大な
証言
ではないのですか。しかるに、これに対して私が聞いているのに、どこに曲言があるか、もし曲言があるならば、自分の心に曲言があるのだ。何もそういうばかな質問をせずに率直に聞いており、
証人
がこれに答えておるのですから、一向に支障がない。ただ、関連質問として橋本さんが捜索状の
内容
を聞かれたましから、私はこの点静かにしておりますけれども、その他のことで私の質問が悪いとあるならば、私はこの質問を全部やめてもけつこうです。しかし、大事な問題ですから、早稻田さんに聞いておく必要があるし、御本人もその方がよいと思えばこそ話をしておる。しかし、もしこれが
証人
に対し
委員会
で質問をする事項でないというなら先に譲ります。 そこで、さらに伺いたいのですけれども、今度の再建についてはあなたはたいへん努力をしたと言
つて
おられますが、この再建には二方式あつたように思うのです。世上伝えられており、また行監の方で
調査
をしました過程におきましては、一方においては、国
会議
員あるいは政党に多額な金がばらまかれておる、これを暴露するぞということを中心にして、そうして国会で立法化しようという派と、一方においては、これを新たなるところの事業形態にしてこの再建をはかろうという一派があるように伝えられておるのであります。その証拠には、ここに怪
文書
が二通あります。これは
関係
のない私の自宅にまで送られたものでありまするから、
全国
会議
員に送られたものと思われますから、おそらく早稻田さんもこの怪
文書
は受取
つて
おられるだろうと思います。
内容
をまず一応簡単に読んでみます。「法制化を約束した政党首脳、欺かれた
伊藤
氏捨身の決心、
伊藤
氏自身としては、かねてからアメリカの投資銀行の例にならい、積極的に
保全経済会
のみならず同種企業にたいする法制化を要望していたが、昨年八月の国会解散を前期として、当時の
自由党
首脳部はこれを正式に党の政務
調査
会にとりあげることを条件に、多額の
政治
献金を
伊藤
氏に求めた事実がある。
伊藤
氏としては、むしろこれを保守派による共同の政策として扱われることを希望し、
自由党
のみならず改進党、右派社会党に至るまで、それぞれの要求に応じて献金を承諾し」、こういう
一つ
の文章に連なるものであります。第二回目の怪
文書
は、「未曽有の疑獄か、恐慌か、
保全経済会
の献金暴露せん、
保全経済会
の
休業
声明以来、すでに二週間を過ぎたが、これに対する政府当局の態度は、大蔵、法務両省の事務的対策の表明以上には出ていない。当初この事態の必至なことを知らされた政府と与党首脳者の間では、日銀とも連絡の上、一応これに対する措置を研究したが、政府がインフレの危機を重視し、その抑圧策に力を注いでいるのと、
保全経済会
の
休業
が一挙に金融界の破綻にまで波及することはあるまいとの結論から、当分、これを静視することに落ついたのであつた。然るに
保全経済会
の投資者が、今日まで比較的冷静な態度をつづけているのは、同会の責任者が現有の
資金
を公開し、政府の投資者保護立法を促して、この際抜本的施策に協力することによ
つて
、従来、陽の目を見なかつたこの種大衆の投資機関を安定せしめんとする方針に信頼をつないでいるからであろう。一方政府としては、今次の臨時国会を通じて、
保全経済会
を匿名組合と認めるか否かという点で、大蔵、法務両者の解釈に根本的喰い違いのあることを明らかにすると同時に、小笠原蔵相がこの種の事業に対する新しい立法を次の通常国会に
提出
する旨を言明したのみである。このような政府の態度は、結局、問題の急所にふれることを極力回避して、波紋の自然に収まるのを待とうとする意図と解されるが、その結果は、歳末を目前に控えて、往年、
昭和
二年当時に見たような、恐るべき金融恐慌を激化すると共に、当面の責任者
伊藤理事長
が、自由改進両党をはじめ、社会党右派にまで及ぶ約九十名位の広範囲な
政治
献金の事実とその経緯を公表することによ
つて
、未曽有の疑獄、
政治
的混乱を惹起せんとする形勢にある。」というこの二通の、怪
文書
にひとしいものが私らの手元へ送られました。実は
保全経済会
のことではわれわれの方でも相当
調査
を進めておりましたが、この
文書
を見たときに私は愕然としたのです。そこで、私は、早稻田さんに伺いたいんですが、あなたはこういう
文書
をお受取りに
なつ
たことがあるかどうか、お受取りに
なつ
たとするならば、その当時の感想について述べていただきたいと思うのであります。
早稻田柳右エ門
444
○早稻田
証人
中野
さんから先ほど来非常に御好意のあるお尋ねをちようだいして、感謝にたえません。ただいまの怪
文書
は私の手元へは参
つて
おりません。
従つて
拝見したことはないのでございます。
中野四郎
445
○
中野
委員
まことに私はふしぎに感ずるのですが、これが早稻田さんの手元に行
つて
おらぬということがちよつと私解せないのです。各議員のもとへこれを配つたらしい形跡があるのです。しかも、この怪
文書
をまいたと思わしき者も、大体今日のわれわれの
調査
過程に上
つて
来ております。しかし、ごらんに
なつ
たことがないというなら、さらに伺いたいのですが、あなたは
三浦義一
あるいは兒玉譽士夫、
山崎一芳
ないしは高源重吉、吉田彦次郎あるいは丹羽五郎というものとお会いに
なつ
たことがあるかどうか、この点を一点伺いたい。
保全経済会
のことでですよ。
早稻田柳右エ門
446
○早稻田
証人
ただいま仰せになりました方々は、私は全然存じませんでした。ただ、先ほど申し上げました
保全経済会
をいかにすべきかという
顧問
会議
を開きました折に、三人の
顧問
が打ちそろいまして、
保全経済会
を訪問いたしました。その折来合せておられた中に兒玉さんという方がお見えでございました。さらにお二人の方がお見えに
なつ
たが、その方が何という名前の方であるかを伺い漏らしたわけでございますが、そのお二人の方が今お説のお名前の中の方ではなかつたろうかと考えております。
中野四郎
447
○
中野
委員
そこで、さらに伺いたいんだが、
保全経済会
のこの営業状態に非常に不安を持
つて
おいでに
なつ
て、いろいろ御心配に
なつ
ていらつしやつた点はわかるのですけれども、
保全経済会
を中心として
理事長
の
伊藤
君から兒玉、三浦、山崎、高源というような人々に相当多額な金が流れておるのです。何億という金が行
つて
おるんです。少くともきのうやきように始まつた問題ではなく、
保全経済会
とこれら右翼の一連の
関係
を持つものとの関連は、非常に長い間のうわさに上
つて
おつたものであります。
従つて
、この人人が
保全経済会
を中心としてどういうような行動をと
つて
おられる人かということは、おぼろげながら早稻田さんは御存じではなかろうかと思うのですが、この点はいかがでしようか。
早稻田柳右エ門
448
○早稻田
証人
その点、たいへん自分の不敏を恥じておりますが、少しも存じなか
つたの
でございます。
中野四郎
449
○
中野
委員
それでは、その節兒玉君ほか二、三の人がどういうような発言をなさつたでしようか。これも伺
つて
おきたいと思うのです。
早稻田柳右エ門
450
○早稻田
証人
私は、そのとき終始一貫黙
つて
聞いておりましたが、先ほど申し上げました
松本
博士の再建案を提示せられ、それについての意見の交換があつたわけであります。従いまして、来会の
諸氏
からもその再建案が、こういう点は悪いとか、こういう点はいいとかいうような御発言があつたように覚えております。
中野四郎
451
○
中野
委員
これは再建に関して非常に重大な問題でありますると同時に、先ほど私が微妙な質問を申し上げたこの問題にも関連して来る問題なのですから、いま少し詳しくお教えを願いたいと思うのです。それは、一方の再建派は、このような怪
文書
あるいは言葉の上に相当強い意思表示をしておるし、場合によれば二人や三人ばらすくらいのことは驚かぬというような言葉まで聞えておるのです。つまり恫喝的態度をも
つて
国会をしていや応なく立法せしめようという態度が一方において見える。一方においては、これをば別な機構のもとに再建しようという建前をと
つて
おられて、再建派に二派あつたことは現実の問題であります。
従つて
、この二派の対立しておるものが、双方がここで会合した場合において、相当議論が闘わされなければならぬはずです。もしこれが議論が闘かわされずに、ただ合議の上で行われたとするなれば、この
保全経済会
というものはお互いが右も左もなく謀議を凝らして、
一つ
の手段として、一方においては国会を恫喝し、一方は金銭を授受した者をば恫喝して、そうして窮余の一策として何らかの道を求めようというふうに考えられても、私はふしぎでないと思うのです。
従つて
、あなた方の会見の席上において、この人々はそれらを代表するところの相当強い分子であり、何かここで相当な激論があつたか、あるいは何かお互いに今後のことについて相談があつたかということは、私は当然考えられると思うのであります。この点はおそらく
平野
さんに対しても各
委員
から御質問があろうと思いまするが、早稻田さんがそこにお立会いに
なつ
ていらつしや
つたの
ですから、あなたの品から御
証言
を願
つて
おきたいと思うのであります。
早稻田柳右エ門
452
○早稻田
証人
お説のように、私どもが再建案を持
つて
参りまするについては、この再建案に対しては
伊藤理事長
は絶対反対であろう、おそらく承認しないのではないかという話合いもございました。それは、
伊藤理事長
は立法化一本やりであ
つて
、その他の問題は受付けない、そういうふうにも聞いておりました。従いまして、その案を持
つて
行つたときは、相当議論もあるかと思
つて
私は実は行つたわけでございまするが、その場の空気は案外なごやかな穏やかな空気でございまして、ただ二、三点指摘されて、こういう点は直そう、あるいはこうやつたらよかろうというような、きわめてなごやかな空気のうちに
会議
が進められたのでございます。
中野四郎
453
○
中野
委員
この会合のバツクにあるものがこの
保全経済会
の
休業
以来の一番大きな問題であります。ただ会合では終
つて
おらないのです。その会合に出席した者のバツクにあるものは何を意図しておるかということは、すでに御承知のように、
保全経済会
乗つ取り策というようなものが、われわれの
調査
の過程に出て来ておるのです。しかし、これはあなたにここでお聞きしても無理でありますから、ほかの
委員
の方の御質問もあろうと思いまするから、私はこの程度にしまして、もう二点だけ伺
つて
おきます。
顧問
として名前を出すことを御承知に
なつ
たかどうかということです。つまり、
文書
等に、入会のしおりと申しまするか、あるいは
保全経済会
や何かに
勧誘
いたしまするリーフレツトに、あるいは
新聞等
に、あなたは
顧問
として名前を出すことを御承知に
なつ
たかどうか。それから、これによ
つて
影響することはどういう点が影響するかという点を
一つ
伺いたい。 もう
一つ
、東南アジアの方へあなたが御旅行なさつたときに——はなはだ失礼な伺い方でありまするが、旅行に際してせんべつが来たか来ないか、来たとするなれば幾らおとりに
なつ
たか、この二点だけお尋ねをしておきたいと思います。
早稻田柳右エ門
454
○早稻田
証人
第一点のお尋ねでございますが、広告等に私の名前を使用することについては、了解を求められたこともございません。私も、私の名前が出ておるということをずつと過ぎてから知つたわけでありますが、実は驚いて、困るじやないかと言つたこともございます。 それから、第二点の東南アジアへ参りますときのせんべつは、たしか持
つて
来られたように思
つて
おります。しかし、倉皇のうちに私がたちましたので、あとは秘書なり家内の者どもが受付けておりまして、その
金額
がいかほどであつたかということを今はつきり覚えておりません。
中野四郎
455
○
中野
委員
せんべつのほかに、特別なお金をおとりに
なつ
たような事実はありませんでしようね。
早稻田柳右エ門
456
○早稻田
証人
そういうものはございません。
塚原俊郎
457
○
塚原委員長
小林進
君。
小林進
458
○
小林
(進)
委員
各
委員
諸君
の質問で明らかに
なつ
ておらない点を逐次拾い上げて、落葉拾いのような質問になるかもしれませんが、お尋ねをいたしたいと思うのであります。 まあざつとの話のうちで、このわれわれの
調査
の大まかな分類では、報道
関係
やら
宣伝
費やらに約四億の金が出されておるのであります。 〔
委員長
退席、長谷川(峻)
委員長
代理着席〕その割合に聳動せられているがごとき
政治
献金の方はまだ出て来ないのでありまして、総
合計
いたしまして二千万円程度のものなのであります。その中にあなたに差上げておる
顧問料
等も含まれておるのでありまするが、そのあなたの
個人
関係
の
顧問料
の点にまだ二、三不明の問題がございます。それから、先ほど
委員長
から質問せられたあなたの所属しておられる政党に献金をせられたその点にも不明の点がございます。私どもは、
顧問
たる早稻田さんにこの
証言
台にわざわざ立
つて
いただきます根本のねらいは国
会議
員早稻田氏を通じて、どうもこうした
朝鮮人
経営
のわけのわからぬ
保全経済会
が零細なる地方民の金を集めて、その金が政党献金と
なつ
て政界にばらまかれておる、こういうような考え方から、われわれもみんな間接の被害をこうむ
つて
おりますので、この際ひとつお互いの姿を整えて、そうした世間の疑惑を明らかにしてもらいたいというのが、わざわざ
証人
台に立
つて
いただいた私どものねらいでございますので、この点をひとつ十分お含みの上、できるだけ御答弁をお願いいたしたいと思うのであります。 私どもの
調査
では、あなたへの
政治
献金が百十五万円と
なつ
ておるのでありますが、その百十五万円に対して、あなたは期末とか年末とか
中元
だとかそういう時期々々にこれをちようだいした、こういう御
証言
でございましたが、われわれの調べたところでは、百十五万円を差上げた期日は
中元
の期日でもなければ歳末の期日でもないのでありまして、期日が少し狂
つて
おるのじやないかと思いますので、その点をひとついま一応明確にお知らせ願いたいと思うのであります。
早稻田柳右エ門
459
○早稻田
証人
ごもつともなお尋ねでございますが、私は、期末あるいは
中元
のほかに、正月等のように思
つて
おりますが、この点ははつきり記憶をいたしておりませんので、明確にお答え申し上げることができないのはたいへん恐縮にたえません。いずれこれは税金等も差引いておると思いますので、記帳されておるとすれば、記帳されておるものの方が正しいのではないかと思います。
小林進
460
○
小林
(進)
委員
二十六年の十一月二日に三十五万円、二十七年の四月二十四日に四十万円、同じく二十七年九月一日に四十万円、これ三口で百十五万円ということに
なつ
ておるのでございまして、なお、
中元
、年末でなくて、そのほかに、先ほどのお話では陣中見舞と、それから今のせんべつもあつたというのでありますが、せんべつも東南アジアへ御出張のときのせんべつでございましようから、これもこの期日が狂
つて
おりますし、陣中見舞と言えば、これも陣中見舞には当てはまらぬ期日でございますので、やはりこれ以外に、
中元
と年末と陣中見舞とせんべつ、こういう金があなたの方へ差上げてあるものと私どもは推定しなければならぬのでございますが、この点、いま一応具体的にお聞かせ願いたいと思うのであります。
早稻田柳右エ門
461
○早稻田
証人
ごもつともなお尋ねでございますが、私は先ほど来申し上げますように、持
つて
来られた時期がおおむね何かそういう区切りのときであつたと実は思
つて
おりますが、記帳されておるものがはつきりしておるとすれば、これは私の思い違いであつたかと思います。
小林進
462
○
小林
(進)
委員
陣中見舞でお幾らちようだいされましたか、お伺いいたしたいと思います。
早稻田柳右エ門
463
○早稻田
証人
お答え申し上げます。その陣中見舞もはつきり覚えておりませんが、前の前の選挙の折に若干いただいたように記憶いたしております。その
金額
等は今記憶がございません。
小林進
464
○
小林
(進)
委員
申し上げるまでもなく、自分に不利なことは黙秘権で黙
つて
いていただいてけつこうなんでございますが、願わくは、さしつかえのない程度にお聞かせ願いたいと思うのであります。かんじんのせんべつも若干で、
金額
はおわかりにならない、陣中見舞も若干で、
金額
はおわかりにならないというと、どうも私ども何か
一つ
胸にいま一針納ま
つて
おるのじやないかというような疑いを持たざるを得ないのでありますが、この点はこの程度にいたしておきます。 次に、これは駒井氏がおいでに
なつ
たときに質問するのが順序と思いますけれども、何か急に御病気で入院をされ、あしたの
証言
台には立てないというようなお話でございますので、知る範囲でお聞かせ願いたいと思うのであります。先ほどの御
証言
では駒井さんも同じく
保全会
の
顧問
をや
つて
いたというようなお話があつたかに記憶いたしておるのでありますが、それはあなたが
顧問
に就任される前の話か、あるいは一緒に
顧問
をおやりに
なつ
た重複の期間があ
つたの
かどうか、まずここからひとつお聞かせを願いたいと思います。
早稻田柳右エ門
465
○早稻田
証人
駒井先生の
顧問
をされておりましたときは、私の就任する前でありまして、重複はしていないように思います。
小林進
466
○
小林
(進)
委員
あなたが
顧問
におなりにな
つたの
が二十六年四月末ないし五月の初めといたしまして、そのときにおいてはすでに駒井氏は
顧問
をおやめに
なつ
ていた、こういうことになりまするというと、まず二十六年の四月以降は、
保全経済会
に関する限りは、駒井氏よりもあなたの方が重要なる位置に置かれたとまず私どもは考えなければならないのでありまするが、そういう前提の上に立
つて
勘案いたしまするに、その二十六年も過ぎた二十七年の九月の二日でありまするか、九月二日に、駒井氏の名前で一千万円改進党に
政治
献金がせられてお
つて
、しかもそれを政党の
政治
資金
規正法に基いて改進党ではちやんと届出がしてある、こういう
調査
が上
つて
来ておるのでありますが、それを
顧問
の地位にいられるあなたが御存じないというのは、いささか
顧問
を軽視した
伊藤斗福
君のやり方である、あるいはまたからくりがあるのかどうか。一応疑わしい点がございますので、お聞かせを願いたいと思うのであります。
早稻田柳右エ門
467
○早稻田
証人
ただいまのお尋ぬの点は、先ほど申し上げましたように、まつたく知らなか
つたの
でございます。従いまして、考えようによ
つて
は、今お説のありましたように、私などは
顧問
という
一つ
の看板だけで、あるいは軽視されてお
つたの
ではないかということも一応考えられる次第でございます。
小林進
468
○
小林
(進)
委員
それでは、先ほどのわが党の矢尾君の質問に対するお答えの中に、
伊藤斗福
に会
つて
、むしろ自分の方で、もうここまで
保全
経済が大きく発展して来たのであるから、この際政界、官界にも応分の
資金
を出した方がよいではないかということを忠告したことがあつた、そのときに
伊藤理事長
は、将来はともかく、現在は云々と言
つて
それを拒否する回答があつた、こういうことを言われたのでありまするが、その
伊藤
に
政治
献金を慫慂せられました時期は一体何年の何月であつたか、お聞かせ願いたいと思います。
早稻田柳右エ門
469
○早稻田
証人
これは、はつきり記憶をいたしておりませんが、二十八年の春ごろじやなかつたかと思います。ちよつと今覚えありません。 〔長谷川(峻)
委員長
代理退席、
委員長
着席〕
小林進
470
○
小林
(進)
委員
これは二十八年の何月ごろであるかということを、いま一度御記憶を呼びさましてお答え願いたいと思うのでございますが、これは私は重大な問題であると思う。ともかく
伊藤
は二十七年の九月二日には一千万円を改進党に駒井君の名前で、あつせん者として献金をしている。しかも二十八年の三月十七日には五百五十万円を駒井君に謝礼金として出しておるのであります。われわれ貧乏人はまつたく胆をつぶすような大金でございます。こういう大金を
個人
にもやり、政党にも献金をしておつた。その同じ八月に、あなたは、
伊藤
君に政党献金を奨励をしておいでだ。それに対して
伊藤
は、現在はまだ政党献金をするような段階ではないからと言
つて
、あなたにはこれを拒否している。ここにどつか私は大きなからくりがあるのじやないかと思うのであります。
伊藤
がよほど
顧問
のあなたを軽蔑して、頼むに足らず、やはり同じ改進党でも、これを立法化し法制化する力は駒井重次をおいてほかにないというので、前の
顧問
の駒井氏の力を予定して、あなたはロボツトとしていたのか、あるいはあなた自身が何か御記憶違いをされておるのではないか、この点をいま一度お聞かせ願いたいと思うのであります。
早稻田柳右エ門
471
○早稻田
証人
その点、ごもつともでございますが、まつたくその日時等はおぼろげにも記憶がないわけであります。ただ、そういうようなことを、いつのときだつたか談笑のうちに話したことがあつたように存じましたので、先ほど率直に申し上げたわけであります。
小林進
472
○
小林
(進)
委員
これで終りたいと思いまするが、先ほどの
松本証人
にかわりまして、早稻田先生が終始
顧問
としての責任を感ぜられて非常に謙虚な発言を与えられましたことは、われわれ国
会議
員の一員としてまことに感謝にたえない次第でございまするが、ただ、最後に、あなたの政党との結びつきの
関係
は今のところ全然ない、ただ
顧問
として
顧問料
通計百二、三十万円をもらつた程度のものである、こういう御
証言
でございましたが、私どもの正確な
資料
で集めました百十五万円に、
中元
やら陣中見舞やら、あるいはせんべつやら、その他を加えますると、どうしてもこの
金額
には仰せのように私どもは承服できない点がまだございまするので、これはいま一度よくお考えをくださいまして、願わくば真実を国民に知らせるという気持で、もう一度お答えを願いたい。 それから、政党
関係
であります。今申し上げました政党
関係
もほんとうにないのかどうか。巷間多額の金が
伊藤理事長
を通じて政界にばらまかれているという、その大きなうわさの中心にすわられた
政界人
にして
顧問
であられたあなたの耳に、はたしてそれが入らなかつたか、入
つて
いたけれども、なおかつ、今おつしやつたように、全然先生みずからに関する限りはそうした政党献金にいささかも
関係
がなかつたか、最後に今一度これを再確認さしていただきたいと思うのであります。
早稻田柳右エ門
473
○早稻田
証人
いろいろ御配慮いただきまして恐れ入ります。第一点の
顧問料
につきましては、あるいは私の記憶が間違
つて
おるかもしれませんが、いずれそうしたものは
保全
済経会の記録に残
つて
おると思います。従いまして、私の申し上げることよりも記録に残
つて
おることの方が正しいんじやないか、かように存じております。 それから、第二点につきましては、何度もお尋ねをいただきまして恐縮でございまするが、この点はまつたく知らなか
つたの
でございますので、御了承をちようだいいたしたいと思います。
塚原俊郎
474
○
塚原委員長
田渕
君。——
田渕
君に申し上げますが、なお
平野
君も控えておりますから、簡潔にお願いします。
田渕光一
475
○
田渕委員
結論だけ三点お伺いします。
証人
に伺いますが、十二月二十三日に、
伊藤斗福
と
顧問
団三人との同時声明というものにお立会いになりましたかどうかをお伺いしたいのであります。
早稻田柳右エ門
476
○早稻田
証人
同日私は国へ帰
つて
おつたと思います。おりませんでしたので、立会いいたしませんでした。
田渕光一
477
○
田渕委員
それでは、もう
一つ
伺いまするが、十一月二十二日に、
保全経済会理事長伊藤斗福
という名前で相当長文な「
全国出資者
の皆様へ謹んで御
報告
申し上げます」という声明書が出ておるのであります。この
保全会
の十一月二十二日の「皆様に申し上げます」というのに、タツチなさいましたのでございましようか、いかがでございますか。
早稻田柳右エ門
478
○早稻田
証人
これも全然存じませんでして、あとから、
新聞
でございましたか、そういうものが出たということを知つた程度でございます。
田渕光一
479
○
田渕委員
これは
証人
はお知りになりますまいが、非常に重大な問題でありますので私申し上げるのでありますが、この声明書中にこういうことがあるのであります。「十一月中旬、十七日衆議院大蔵
委員会
に於て、結局
保全経済会
を如何にするかとの
委員
の質問に対して河野局長は、法務省と連絡の上立案通常国会に
提出
する、その
内容
については目下研究立案中と改めて言明するに至つた、今や
本会
を含む類似金融機関の法制化は朝野を挙げて常識化するに至り、而して当局の法律案の審議はあと旬余に迫られる通常国会に上程せらるる事に
なつ
ております。以上
休業
後に於ける再建工作の結果僅に二旬にして法制化の朗報を御
報告
申し上げし次第であります。」こういう、
委員会
とまつたく違つた
報告
をしているのであります。これは御参考までに申し上げておきまするが、十一月十七日の大蔵
委員会
におきまする速記録の九ページの三段目から読みましよう。河野銀行局長でありますが、「これは先ほど申し上げました
通り
、立法論としてはそういう措置をとるべきであろうということは私は先般この国会でも申し上げた。その考え方で、
大蔵大臣
も同じ考え方を申し上げたと思います。ただだれがやるかということは、これは政府がやることであ
つて
、大蔵省がやるか法務省がやるかということは、これはむしろ枝葉末節の問題であ
つて
、最後は政府の決定にまちますけれども、方向としては、先ほど来申し上げておりますように、法務省と私どもと同じ方向をたど
つて
おる。先ほど申し上げましたのは、私は現行法の解釈としてはどうなるかということを三月四日に申し上げておる。」——これは二十八年の三月四日の議事録なのであります。「立法論として、預金者を保護育成する建前の投資銀行法とかいつたようなものを立法するつもりはございませんということは、三月四日にはつきり申し上げておる。しかしそれは取締らなければならぬという事態が立法論として新しく起
つて
いるかどうかという問題は、先般来当
委員会
でも、私どもの意見として申し上げたところを実現するのが筋であろうという考え方のもとに、現在事務当局間で法案について今検討を続けている。その趣旨は今井上
委員
からおつしやつたような、
大蔵大臣
が予算
委員会
で答弁いたしましたようなラインに
従つて
これを立法化した方がいいであろうという考え方のもとに、今検討いたしておるわけであります。」これは、
大蔵大臣
も、決して私企業を救おうなどということは考えておりませんということをはつきり言
つて
いる。大蔵
委員会
でもこうはつきり言うておるのに、十一月二十二日の
休業宣言
一週間後に、立法をすることが明瞭と
なつ
て来た、こういうようなことを出しておる。これはあとで
平野
君に聞くのでありますが、こういうようなことを出した声明を
顧問
団として見ておつたかどうか、あなたがタツチなさつたかどうかということを私は
伺つたの
であります。
早稻田柳右エ門
480
○早稻田
証人
ただいま御朗読いただきましたような問題については、私どもは全然タツチした覚えはございません。
田渕光一
481
○
田渕委員
それから、先ほど社会党の
委員
にお答えに
なつ
た点でありまするが、
証人
は
昭和
二十六年七月十日より二十日まで大蔵
委員会
委員
として四国に出張した際、
証人
が
保全経済会
の
顧問
だというので、同会の
運営
について疑惑を抱いている
出資者
の訪問を受けたという事情をお聞きになりましたが、当時早稻田さんは宿にいなかつたということが
委員会
の記録ではつきりしているのであります。この場合に、大蔵
委員会
に一度深澤君が出ておるのでありますが、元共産党の議員であつた深澤義守君が、
証人
として十一月二十七日の大蔵
委員会
で
証言
しておるのとちよつと食い違いがありますので、これも信用上ひとつあなたに伺
つて
おきたい。ここでちよつと速記録を読んで申し上げましよう。十一月二十七日の大蔵
委員会
の、二十ページから二十一ページにわたるのでありますが、深澤
証人
がごう言
つて
おります。「深澤(義)
証人
日時ははつきり私記憶がございませんが、
昭和
二十六年の七月の中旬だと記憶しておりますが、大蔵
委員会
が当時国政
調査
に四国へ参
つたの
であります。その当時同行者は、内藤友明氏、早
稻田柳右エ門
氏と私と、専門員の抜井さんでございました。高松の駅へ着いたときに、四国の財務局の方々のお迎えを受けたのであります。そのほかに、二人の
保全経済会
高松支店という名刺を持つた人が、われわれに名刺を通じて参りました。そこで、初めて早稻田さんが、その
保全経済会
の
顧問
に
なつ
ておられるということも聞いたのであります。」こう参りまして、それから中略いたしますが、「
保全経済会
はそういう性格のあるものである、
従つて
これは十分国会でも政府と相談をして、何らか取締
つて
もらわなければ困るというようなことがどこへ参りましてもあ
つたの
であります。そこで早
稻田柳右エ門
氏が徳島県から用事があ
つて
帰
つて
しま
つたの
であります。
顧問
としての立場にある早稻田さんが特に徳島の金融機関の人々の会合においては、相当非難をされたようでありました。」こういうようなことを言
つて
おるのでありますが、こういうことがございましたかどうか、これもこの際はつきりしておいていただいた方が御信用上いいかと思いますので、伺
つて
おきます。
早稻田柳右エ門
482
○早稻田
証人
ただいまの速記は、大体そういう経過であつたと思います。私どもが高松へ着きましたときに、今お説の
保全経済会
の方がお迎えに来ておりました。それから徳島におきましては、なるほど問題は出たのですが、さほど非難というような面は少かつたと思います。私が徳島から帰りますのは、これは初めからの予定の行動でございまして、別に逃げたわけでも何でもございません。これは同行の専門員の方も初めから知
つて
お
つて
くれたわけでございます。実は私は、何か他の用事で行けないのを、行き手がないからということで、それじや一日でもということで、無理に行つたわけでございます。それから、先ほどお説のあつた、宿におらなかつたということは、ちよつとはつきり記憶がございませんが、とまつた晩にどこかからの招待がありまして、これは全員行つたわけでありまして、そしてそのまま宿へ帰
つて
休んだわけでございますから、その間に、出たあとへでもいらしつたならば別でありますが、私のいる間には、
出資者
の方の訪問は受けませんでした。
田渕光一
483
○
田渕委員
もう一点、それじやだめを押しておきますが、われわれ国
会議
員が地方に国政の
調査
に参りましたときには、おおむね、党が違いましても
一つ
の宿にとまるのを常識といたしております。そこで、早稻田さんがこの場合に宴会に行かれたということは、
保全経済会
の高松支店とか、あるいはそういうような意味の招待ではなくして、結局国
会議
員の
調査
団の招待であ
つて
、同時にその宴会あるいは招待されたところに行き、同時に帰られて、その宿へおとまりに
なつ
たと伺
つて
よろしゆうございますか。
早稻田柳右エ門
484
○早稻田
証人
その
通り
でございます。
塚原俊郎
485
○
塚原委員長
ほかに御発言もなければ、早稻田
証人
に対する尋問はこれにて終了いたします。
証人
には長時間にわたり御苦労さまでございました。
—————————————
塚原俊郎
486
○
塚原委員長
引続き
平野力三
君より
証言
を求めることといたします。 ただいまお見えに
なつ
ておられる方は
平野力三
さんですね。
平野力三
487
○
平野
証人
はあ。
塚原俊郎
488
○
塚原委員長
あらかじめ
文書
をも
つて
御承知の
通り
、本日正式に
証人
として決定いたしましたから、さよう御了承願います。 これより
保全経済会等特殊利殖機関
に関する件につきまして
証言
を求めたいと存じますが、この際
証人
に申し上げます。
保全経済会
は
全国
に二百箇所以上の店舗を有し、
出資総額
約四十五億、
加入者
は約十五万に達する特異な
利殖機関
でありまして、従来その業務の
運営
につきましてはとかくの風評があ
つたの
でありまするが、昨年十月二十四日突如として
全国
一斉に臨時
休業
に入
つたの
であります。この
休業
に立ち至つた事情につきましては世上幾多の疑惑と関心を有する向きもあり、また一方これら類似の特殊
利殖機関
の累増を見た今日、これら特殊
利殖機関
の業務
運営
の実態を明らかにし、かつこれら特殊
利殖機関
に対する
関係
官庁の監督の当否につきまして
調査
を進めますることは、国の行政が適正にしてかつ能率的に行われているかどうかを監察しも
つて
立法その他国政の審議に資するため行政の
運営
上障害と
なつ
ている各般の事情を総合的に
調査
しかつその責任を
調査
する本
委員会
の使命にかんがみ、きわめて有意義なりと考え、本
委員会
は本件の
調査
をいたすことに
なつ
た次第であります。
証人
におかれましては率直なる
証言
をお願いいたします。 それでは、ただいまより
保全経済会等特殊利殖機関
に関する件について
証言
を求めることになりまするが、
証言
を求める前に
証人
に一言申し上げます。
昭和
二十二年法律第二百二十五号、議院における
証人
の宣誓及び
証言
等に関する法律によりまして、
証人
に
証言
を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならないことと相
なつ
ております。宣誓または
証言
を拒むことのできるのは、
証言
が、
証人
または
証人
の配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または
証人
とこれらの親族
関係
のあつた者、及び
証人
の後見人または
証人
の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師、歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、
弁護士
、弁理士、弁護人、公
証人
、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあつた者が、その職務上知つた事実であ
つて
黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には
証言
を拒むことはできないことに
なつ
ております。しかして、
証人
が正当の理由がなくて宣誓または
証言
を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した
証人
が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることと
なつ
ておるのであります。一応このことを御承知に
なつ
ておいていただきたいと思います。 では、法律の定めるところによりまして、
証人
に宣誓を求めます。御起立を願います。 宣誓書の御朗読を願います。 〔
証人
平野力三
君朗読〕 宣 誓 書 良心に
従つて
、真実を述べ、何事もかくさず、また何事もつけ加えないことを誓います。
塚原俊郎
489
○
塚原委員長
それでは宣誓書に署名捺印をお願いします。 〔
証人
宣誓書に署名捺印〕
塚原俊郎
490
○
塚原委員長
これより
証言
を求めることになりますが、
証言
は
証言
を求められた範囲を越えないこと、また御発言の際には、その都度
委員長
の許可を得てなされるようお願いいたします。 まず
委員長
から概括的に
証言
を求め、ついで各
委員
から
証言
を求めることに
なつ
ておりますから、御了承願います。なお、こちらから質問をしておるときはおかけに
なつ
ていてよろしゆうございますが、お答えの際は御起立を願います。
証人
は
保全経済会
の
伊藤斗福
、この人とはどういう御
関係
がおありになりましたか。またいつごろお知合いになられたのでしようか。
平野力三
491
○
平野
証人
昭和
二十六年の四、五月ころ小宮君という人の紹介で知るようになりました。
塚原俊郎
492
○
塚原委員長
保全経済会
の
顧問
をなす
つて
おられたようでありまするが、そうしますと、
顧問
に就任された年月日もそのころでございますか。
平野力三
493
○
平野
証人
さようです。
塚原俊郎
494
○
塚原委員長
証人
が
保全経済会
の
顧問
として御活動なされたことにつきまして、どういう御活動をなされたか、お述べ願いたいと思います。
平野力三
495
○
平野
証人
保全経済会
自体のことについて特別にそのことの運動等をいたしておりません。
伊藤斗福
君のいろいろ——農村の経済問題とかあるいはその他
政治
上の問題等について問われるので、いろいろお話をしたのであります。
塚原俊郎
496
○
塚原委員長
顧問
として活躍なされたのは、そうしますると経済上の問題についての相談相手に
なつ
たというふうに了承してよろしいのですか。
平野力三
497
○
平野
証人
まあ今申し上げたように、そういうような問題について問われたときには自分の考えを答える、こういうのであります。また若干は
保全経済会
の役員の会合とかあるいは新築等の場合に出て、若干自分の
政治
上の話をしたようなことがあります。
塚原俊郎
498
○
塚原委員長
そうしますと、ただいまのお答えによりますと、御相談を受けたときにお答えする、新築等があつた場合には出て自分の
政治
上の立場をお話されたということで、どの程度に御
関係
にな
つたの
か、まだあまりはつきりいたしませんが、相当
保全経済会
との御
関係
はあつたと私は了承しておるのですが、この
保全経済会
の実情というものはどの程度に御承知だつたでしようか。その点御
証言
願います。
平野力三
499
○
平野
証人
私の承知いたしておりまする
保全経済会
自体の
内容
といいますか、これは投資銀行と申しますか、あるいは投資信託銀行と申しますか、まあそういうよう、機関に
伊藤
君とてしはこれを発展せしめるというような考えでこれをや
つて
おつたと思います。かように承知しております。
塚原俊郎
500
○
塚原委員長
保全経済会
のような事業が月八分とかあるいは五分とかいうような高い
配当
金を支払うためには
出資金
のたらいまわし、世の中で言われているような
自転車操業
的営業というものをしなければ成り立つものではないというには、お気づきに
なつ
ておられましたですかどうですか。
平野力三
501
○
平野
証人
私が
顧問
になりました当時、今
委員長
のおつしやつたような八分というようなものではなか
つたの
ではないか、二分ないし三分程度のもののように記憶いたしております。それから、私は経済人でありませんので、ただいま
委員長
の御指摘に
なつ
たように、この
保全経済会
が普通に言うあぶないものというような考え方は持
つて
おりませんでした。
塚原俊郎
502
○
塚原委員長
新聞
で大分騒がれて、今
休業
とかいうことで大問題に
なつ
ておりますが、
保全経済会
の経理というものは大分乱脈をきわめて、毎期莫大な赤字を出しておつたというようなことについては、いつごろお気づきになられましたか。
平野力三
503
○
平野
証人
今御指摘のような経済上の問題については、
休業
後しばらくして知るに至
つたの
であります。
塚原俊郎
504
○
塚原委員長
そういう場合、
伊藤斗福
に対して何か注意をなさつたようなことはございましたでしようか。また何か意見あるいは献策をしたようなことはあつたでしようか。
平野力三
505
○
平野
証人
保全経済会
の開業中には、
伊藤
君に対して特に希望とか注意をしたことはほとんどありませんでした。
休業
後は相当意見を言いました。
塚原俊郎
506
○
塚原委員長
二十六年の四月、五月ということを申されましたが、それ以来最近まで
証人
は相当多額の
顧問料
をと
つて
おられたようでありますが、その点は事実ですね。
平野力三
507
○
平野
証人
さようでございます。
塚原俊郎
508
○
塚原委員長
どの程度の
顧問料
をいただいておりましたか。
平野力三
509
○
平野
証人
非常にこまかい数字はちよつと記憶いたしませんが、大体今頭で記憶し得る範囲内のことを申し上げますと、
昭和
二十六年は約百万円、二十七年は百五十万円余、二十八年は六、七十万円、
合計
三百万円ほど受取
つて
おるように思います。
塚原俊郎
510
○
塚原委員長
そのお金以外に物品等でも
つて
保全経済会
から何らかの便宜を受けておつたような事実はございませんでしようか。
平野力三
511
○
平野
証人
これは率直に申し上げますが、すでにいろいろ
新聞
その他においても問題と相
なつ
ておることでありますので、ちようど適当の機会なので、はつきりと
証言
させていただきたいと思うのであります。
保全経済会
所有のビルデイングを賃貸契約で借用いたしております。これは、
委員長
の御質問ですが、便宜を与えてもらつたか、もらわないかという判断については、私もこのビルデイングを借りるときに、自分も百万円ほど敷金を出して他のビルを借りようというような考えのあつたときですから、この百万円の金をそのビルの建設のときに出してもおりますので、私も多少そういう金を出しておるわけであります。その他私が自動車を使用しておるということもはつきりいたしておりますが、これは
保全経済会
さしまわしの自動車を乗りまわしておるというような解釈をされる方も一般的にあろうかと存じますが、はつきりいたしておりますことは、これは私の自動車です。百十幾万か、この自動車を買うときにたしか私が
保全経済会
から借りておる。これは実は帳面を一回、新しい
経営
者にもなりましたので、見せて明らかにしたいと思います。自動車そのものは向うから金を借りて買つたというような形に
なつ
ております。
塚原俊郎
512
○
塚原委員長
ビルデイングを借りておられたと言いますが、いわゆる什器類等はやはり向うが全部提供されたものですか。
平野力三
513
○
平野
証人
そういうようにもなります。
塚原俊郎
514
○
塚原委員長
そういうようにも……。その
通り
なんですね。
平野力三
515
○
平野
証人
大体一切の所有権は
保全経済会
のものに
なつ
ております。
塚原俊郎
516
○
塚原委員長
証人
は、
政治
家を
伊藤斗福
または
保全経済会
のどなたかに御紹介なすつたようなことはございますか。たとえば、
塚原
俊郎なら
塚原
俊郎、
田渕
光一
なら
田渕
光一
という議員を
伊藤斗福
に紹介されたという事実はございますでしようか。
平野力三
517
○
平野
証人
一般人を若干紹介したことはあろうかと考えますが、特に
政治
家を紹介したことはないように思います。
塚原俊郎
518
○
塚原委員長
昨年の九月だつたと思いまするが、小平忠という
衆議院議員
がおられます。われわれの同僚議員ですが、この方が北海道通信機株式
会社
の株券四千株を二百万円で
伊藤斗福
に買わせておりまするか、この事実には
平野
さんは御
関係
はありませんですか。
平野力三
519
○
平野
証人
これはもちろん私が紹介をしてそういうことができたというのではなくて、御本人たちの話合いと私は考えております。
塚原俊郎
520
○
塚原委員長
永楽倶楽部というのを御存じですね。
平野力三
521
○
平野
証人
承知しております。
塚原俊郎
522
○
塚原委員長
二十六年の六月に
保全経済会
が永楽倶楽部に百万円の
寄付金
を出しておりまするが、このことには御
関係
はないのでしようか。
平野力三
523
○
平野
証人
それはよく知らないのでございますが、ただ、この間もちよつとそういう話がありましたので、あるいはそういうことを私の
関係
のごとく受取りを出したり、そういう金銭問題というようなことがあつたかもしれませんが、これは、この際におきましては、もう一回
帳簿
とかあるいは受取り等をよく見せていただかないと、はつきりした
証言
をいたしかねる。はつきりはわからないのであります。
塚原俊郎
524
○
塚原委員長
伊藤斗福
が
昭和
二十六年の秋アメリカに渡
つて
おりまするが、その際の身元保
証人
に
なつ
ておりますね、
平野
さんは。
平野力三
525
○
平野
証人
これは、当時
顧問
でありまして、あるいはそういうことを
保全経済会
の事務当局が扱つたかもしれませんが、はつきりした記憶はございません。
塚原俊郎
526
○
塚原委員長
その記憶を呼びさましていただきたいのですが、身元保
証人
であつたかどうか。
平野力三
527
○
平野
証人
それは、何か当時私が判を押したとか、あるいはいろいろなことがあるといたしますれば、あるいは当時の
状況
でありますので、(「簡単にわかる問題じやないか」と呼ぶ者あり)はつきり記憶がありません。
塚原俊郎
528
○
塚原委員長
そうしますと、はつきりしないということは若干あるというように了承するのですが、
伊藤斗福
がアメリカに渡つた目的、また今問題に
なつ
ております
資金
の出所などについて、もし御存じの点があつたならば、ひとつお聞かせ願いたいと思います。
平野力三
529
○
平野
証人
当時
伊藤
君がアメリカへ行くという話のあつたことはもちろん承知いたしております。ただ、ただいまの点について記憶がないと申しますのは、身元保証と言えば、たしか判を押さなければならぬことだと考えますので、
伊藤
君自身から何か判を押してくれというようなお話があ
つて
判を押した記憶はない。ただいまおしかりを受けたようですが、はつきり
伊藤
から頼まれて判を押したというような記憶がないと申し上げているのですが、あるいは事務当局その他においてこういう判を押してくれと言
つて
、判を押したというような場合がないとは、
顧問
をや
つて
おりましたので保証はできません。
塚原俊郎
530
○
塚原委員長
私はおしかりしたようなことは全然覚えがありません。
平野力三
531
○
平野
証人
いや、こちらの方で……。
塚原俊郎
532
○
塚原委員長
伊藤
さんが渡米された目的はどういうものであつたか、御存じありませんか。
平野力三
533
○
平野
証人
アメリカにおける投資銀行というようなものの
調査
に行くというようなことを言
つて
おつたように思います。
塚原俊郎
534
○
塚原委員長
それは御相談なか
つたの
ですか。
平野力三
535
○
平野
証人
そのことについては相談ありません。
塚原俊郎
536
○
塚原委員長
そうしますると、大分はでな旅行をなさつたというように聞いておりますが、その
資金
の出所などについては御存じありませんか。
平野力三
537
○
平野
証人
もちろん、その当時の
資金
の出所とか、あるいはどういうスケールで旅行するというようなことは全然承知しておりません。
塚原俊郎
538
○
塚原委員長
昨年末
休業
後、他の
顧問
たちと連名で声明書を
発表
いたしております。
保全経済会
の再建について
平野
さんご自身も意見を述べておられるようでございますが、今日まで
保全経済会
の再建についてどういう御尽力をなす
つて
来られたか、その点について知
つて
おるところをお述べ願いたいと思います。
平野力三
539
○
平野
証人
私は、
休業
を宣しました翌々日くらいからは、
保全経済会
の問題については非常な責任を痛感いたしました。まず第一に考えたことは、投資者の
利益
のために自分の力のある限りは尽さなければならぬ、こういう考え方のもとに、まずどうすれば
出資者
が一番助かるか、これを真剣に考えました。そこで、同じく
顧問
をいたしております
松本信次
さんが経済学博士という肩書を持
つて
おられるので、一番最初に
松本信次
さんの意見を伺いました。こういう場合にどうすれば投資者が一番助かるか、これに対する
松本
さんのお答えが、第二
会社
に切りかえることであるというお説でありました。いろいろ伺
つて
みますと、私としても
松本
さんのおつしやる第二
会社
案というものが
出資者
救済の案ではないか、こういうように考えましたので、
休業
後はその点について相当努力を
払い
ました。
塚原俊郎
540
○
塚原委員長
元農林大臣
平野力三
とか、あるいは元何とか大臣
塚原
俊郎というようなことになりますと、大衆は相当これを信用するのですが、今度の
全国
多数の
出資者
の中では、
保全経済会
の
顧問
に
平野
さんが名を連ねられている、この名前を信用して応募された者が多数あると私は考えるのですが、この点について
証人
はどういうふうにお考えになりますか。
平野力三
541
○
平野
証人
休業
後投資者の人にも会いまして、いろいろ
委員長
の質問のような点について意見を伺
つて
みましたが、もちろん投資者の中には、君らが
顧問
をや
つて
おるから安心したというような御意見もあり、やはり利回りがいいから投資をするというような御意見もあり、そういう点については、結果から見れば
委員長
御指摘のようなことがあつたろうと想像し、その件に関しては深く恐縮をいたしておるのでございますが、しかし、それは必ずしも私の名前があつたからこれだけ集まつたというようにのみ論断されることは——当時の経済
状況
あるいはその他の問題も御判断願いたいと考えておるのであります。
塚原俊郎
542
○
塚原委員長
今日大分
出資者
の方にも御迷惑をおかけしておりますし、世間でも大問題に
なつ
ておりますが、
平野
さんもこれに
顧問
として重要な役をされているというようなことを言われている今日、
平野
証人
としてどういうような責任をおとりになりたいとお考えでありますか、その点を最後にお聞きしたいと思います。
平野力三
543
○
平野
証人
まず第一には、はなはだ微力ではあるけれども、投資者が助かるようになるために、たとえば
保全経済会
の再建というようなことについて、自分の尽し得る範囲があればこれは尽さなければならぬ、かように考えております。具体的に若干自分の考えを申しますと、
伊藤斗福
君がとにかく
休業
のとき持
つて
おつた相当の
資産
があるわけですから、これはすみやかに
出資者
団体に投げ出してしまうというような点については、相当私どもが
伊藤
君を説いて、早く再建の方途を考えさせるというようなことを考えておりました。それから、道義上の責任については、一応この問題がどういう結末をつけるかという結論を得た上に、自分としては真剣に考えてみたい、これが現在の心境でございます。
塚原俊郎
544
○
塚原委員長
庶民の零細な
資金
をたくさん吸収している
利殖機関
の
顧問
として、どういう心境に今あられますか。
平野力三
545
○
平野
証人
それは、ただただ申訳ないと思い、かつこの団体の
顧問
をいたしました不明を自分は深く心の中では謝しております。ただ、こういう問題でありますので、ただ自分が恐縮したとかあるいは相済まぬということを言うだけで、それで済まされるべきものないので、実は大いに悩んでおります。
塚原俊郎
546
○
塚原委員長
委員
の中で御発言があれば……。
今澄勇
君。
今澄勇
547
○
今澄
委員
それでは、私は
証人
に二、三点お伺いをいたしますが、まず第一番にお伺いをいたしたいことは、先般来の怪
文書
において、社会党右派に至るまで
保全経済会
の献金を受けた等々の記事が載
つて
、非常に世間の疑惑を招いているが、
証人
の手を通じ、あるいは人を介しても、社会党の右派にさような献金があつたということは、私どもは党本部
調査
の結果断じてないのであるが、この点についてまず
証人
のはつきりした御言明をひとつ承
つて
おきたいと思います。
平野力三
548
○
平野
証人
私の知る範囲におきましては、あくまで私対
伊藤斗福
君
個人
の
関係
でありまして、右派社会党には何らの
関係
もありません。
今澄勇
549
○
今澄
委員
そこで、私は第二点としては、
保全経済会
が
休業
後、
平野
証人
、早稻田
顧問
並びに
松本
さんと三人で
保全経済会
ビルに集ま
つて
、三浦、兒玉さん等とこの
保全経済会
の再建等について協議をされた旨、先ほど早稻田
証人
から
証言
がありました。その際
平野
さんも一緒におられたのであるか、それは一体いつであ
つて
、そのときに集まられた人々はだれだれであつたか、ひとつ御
証言
を願いたいと思います。
平野力三
550
○
平野
証人
休業
後の再建については、率直に申しますると、しばしば会合をいたしました。しばしばと申しますのは、
顧問
の私ども三人並びにその他の人とも、大いに意見の交換をし、会合をいたしました。但し、日にちというような点については、はつきり
一つ
一つ
の記憶がございませんので、ただいま
今澄
君御指摘の会合と称するものは、どういう種類の、何の目的の会合かというような御指摘がないと、ちよつとだれだれが集まつたということは、はつきりお答えができないのですが……。
今澄勇
551
○
今澄
委員
この会合には、三浦さんも兒玉さんも出ておられて、あなた方三人と、この
保全経済会
を今後や
つて
行くには、第二
会社
をつくり、
伊藤
氏に手を引かして、今後の再建についてはこういう方向がよかろうという話をされた会合で、そのあとで
保全経済会
の
出資者
擁護連盟
に
平野
さんが会われて、私どもはこれこれこういうことを考えておるということを言われた、いろいろの会合の基礎と
なつ
ておる会合です。
平野力三
552
○
平野
証人
こういうことを申し上げてみたいと思います。実は、
休業
直後、
松本信次
さん、早
稻田柳右エ門
君、私は、かりに
顧問
団と称すれば
顧問
団ということになるのですが、
顧問
といたしまして、再建案としては、いち早く第二
会社
をつく
つて
、その
資産
運営
によ
つて
出資者
に
出資金
の返還をして行く、こうなれば被害は最小限度に食いとめられるし、また場合によれば
出資金
の全額も返せる場合もある、こういう考え方は、ほぼ私ども三人も意見の一致を見ておつたかと思います。ところが、これに対して
伊藤斗福
君はまつこうから反対をいたしておる。どういう意味で反対をしたかと申しますと、自分は立法化によ
つて
再建の自信があるということを非常に強調いたしますので、率直に申しますれば、
伊藤理事長
と
顧問
団というものの意見の対立というようなことにまで遺憾ながら
なつ
たかと思われるのであります。しかし、そうは申しましても、何とい
つて
も、
出資者
のためにお互いが考えて上げなければならない
事件
でありますので、今
今澄
君御指摘のような会合が行われて、そこで、何らかの協調をして行こうじやないか——何らかの協調というのは、私どもの方は、
伊藤
君に第二
会社
案に賛成してくれ、先方では、それにも賛成するけれども、その時期とかあるいは方法などについて、もう少し考えさせてくれというような会合が行われました。それがそのときの会合であります。
今澄勇
553
○
今澄
委員
その会合はいつでありましたか。覚えはありませんか。
平野力三
554
○
平野
証人
日にちは、今申します
通り
、はつきり記憶がないのであります。
今澄勇
555
○
今澄
委員
その会合で、
伊藤斗福
君に、三浦、兒玉等の御両所から、お前はこの際遠慮をしたらどうか、それで第二
会社
に移して、それを
顧問
団を中心に
運営
をして行くという案を大体決定をせられたということですが、その間のいきさつはどうですか。
平野力三
556
○
平野
証人
顧問
団を中心として
運営
するという
証言
には、ちよつと違うのです。すべて
伊藤斗福
の
資産
に
なつ
ておるので、これを
出資者
の団体に移してしま
つて
、
出資者
がその
資産
の
運営
をやれ、これが第二
会社
案です。こういうように私どもは解釈して、
伊藤斗福
にその財産を
出資者
団体に早く渡せ、こういう会合であります。
今澄勇
557
○
今澄
委員
そのあとで、
出資者
との相談の際には、
出資者
擁護連盟
の代表者の言によると、
平野
氏を中心に、いかにもあとの
出資
をやらせて
保全経済会
を乗つ取るがごとき印象を与えた、そういうような情報を私どもは持
つて
おるが、私に言わせれば、それは兒玉、三浦氏等のいろいろの計画があつたものと思うので、その話合いにおいて兒玉、三浦両氏が今後の
運営
についていかなる賛を述べたか、この際ひとつ
平野
さんからお聞きをしておきたいと思います。
平野力三
558
○
平野
証人
御質問の点が、はつきりいたしておるようではありまするが、私から申しますと、ちよつといろいろな会合をやりましたし、特に人の名前も出たことでありますので、間違
つて
も困りますが、こういうことなんです。
出資者
の中に二種類の考えがありまして、
伊藤
はもう絶対に信用できないから、
顧問
が早く
出資者
の会をつく
つて
、
伊藤
の財産を投げ出すように強力にやれという
出資者
の方々の集まりがありました。これは、後にたしか
保全経済会
出資者
同盟というような名前に
なつ
たかと思います。
顧問
の
松本
、早稻田、私の三人は、率直に申しますならば、この団体に相当に力を入れて、そうしたいと思
つて
お
つたの
であります。しかし、投資者の中には、なお
伊藤
がやるのがよいのだという考えの人も、この途上においてはまだあ
つたの
であります。
従つて
、そういう意味において、
出資者
の考えも二分したということは、はつきり言えます。
伊藤
が立法化できると言
つて
おるのだから、立法化できるものであれば、何も
会社
なんかつくる必要はないのじやないか、こういう見解が
出資者
の中にあつた。それから、もう
一つ
は、率直に申しまするが、これは何でもかんでも裁判でや
つて
行けという近藤航一郎氏らの
出資者
擁護連盟
という団体があるが、これは、裁判で
帳簿
を見せろ、あるいは財産を差押えろというようなことで、
出資者
団体も私の解釈では三つにわかれております。
顧問
団としては、先ほど申し上げましたような
出資者
の意見を尊重した。これは、別に乗つ取るとか乗つ取らぬとか、そういう言葉を用いられることは迷惑千万なのですが、
出資者
のためによかれと思
つて
努力をした。
従つて
、誤解のないようにお願いいたします。
今澄勇
559
○
今澄
委員
そこで、それらの会合に兒玉、三浦氏らは何の
関係
で出られたのか。そして、その
出資者
擁護連盟
の会合のあと、
伊藤斗福
氏と
証人
は非常に反目の仲に
なつ
たと伝えられておるが事実かどうか。兒玉、三浦両氏が何の
関係
でそれに出て、どういう発言をされたかということも、もしさしつかえなければ伺いたいと思います。
平野力三
560
○
平野
証人
この途上において、兒玉譽士夫君には会つたことがあります。
三浦義一
君には会つたことがありません。兒玉譽士夫君は私をたずねられたこともあります。また会合をいたしたこともあります。しかし、それがただいま
今澄
君御指摘の会に当るかどうかということもはつきりいたしませんので、私は
証言
を差控えておるのでありますが、兒玉君がどういう考え方を
保全経済会
に持
つて
おられたかということの深いいろいろなことについては知るよしもありませんが、しかし、私ども
顧問
が、
伊藤
の財産を
出資者
にみな投げ出すべきものだ、これがこういう事態に陥つた場合においてとるべき、だれに聞いても一番常識的のことでないかと言
つて
、この点については兒玉君も
伊藤
君に相当強く主張したのであります。この点に関しては、大体兒玉君と私どもは意見の衝突をして争つたという点はないのであります。
今澄勇
561
○
今澄
委員
そこで、この
保全経済会
の問題をわれわれが行政監査
委員会
に申し出て
調査
をしていただいた本来の目的は、少くとも世間に疑惑を与え、
保全経済会
が過ぐる二十七年九月の総選挙前に、将来立法化を国
会議
員を通じていたさんがための底意を持ちながら、その選挙に臨んで選挙
資金
の応援をいたし、政党並びに
政治
家に金を渡しておるという点について、当
委員会
において断じて明らかにしたいというのが、私どもがこの
保全経済会
問題を当行政監察
委員会
にお願いをした趣旨である。八月末の解散以来、
保全経済会
伊藤斗福
氏は、これらの兒玉氏その他の人々といろいろ相談しながら、駒井重次氏に千五百万円、これは九月二日と大体推定せられる。九月三日に廣川、池田両氏は
伊藤斗福
邸においておのおの二千万円、大麻唯男氏が二千万円、三木武吉氏も伝えられておるが、これらの日本
自由党
を通ずる人々に選挙に際して献金がせられたということが、私どものいろいろな情報を通じて流れて来ておる。この際日本の国会の権威とわれわれ国
会議
員の名誉のために、
平野
顧問
がこれらの問題について
伊藤理事長
から何らかのお話を承わられたとか、あるいはそういつた情報を和
つて
おられるということがあるならば、ぜひこの際虚心坦懐にひとつ明らかにせられることを私はお願いをいたします。
平野力三
562
○
平野
証人
本件について私が行政監察
委員会
のお調べの中の
証人
として一言附加させていただきたいと思うことは、立法化という問題であります。率直に申しますと、私は
休業
直後先ほどの
松本信次
さんをたずねて伺つたときに、こういう場合は
会社
で行く以外にないということを聞かされて、私も経済のことはわからぬのであるが、私自身としてもこれがいいと思
つて
お
つたの
に、
伊藤斗福
君自身は、立法化できるのだ、これについては非常に強い信念を持
つて
おつたようでありまして、投資者団体も、あるいは法務
委員会
に、あるいは大蔵
委員会
に、あるいは衆議院の
議長
などに立法化という非常な根強い運動を展開せられてお
つたの
であります。もし立法化が可能であつたといたしますならば、またこの
保全
経済的なものに、どんな軽い法律であ
つて
も、何らかの法の庇護があるということであつたといたしますならば、あるいは
休業
にならずに、もつと営業ができたかと考えられる節、またあるいは
休業
にならなかつたというふうにも思われる節も、
休業
後私ども考えたのであります。ただいま御指摘の立法化ということについては、
伊藤
君が相当力を入れておつたということについても、当時私どもは
休業
後に考えたわけであります。
今澄勇
563
○
今澄
委員
今私が申し上げました、去年の九月選挙に際して、これらの人々にいろいろ献金の事実があつたかどうかということを、あなたは
伊藤斗福
氏から聞かれたことはありませんか、どうですか。その点を重ねてお尋ねします。なお、もうちよつと詳しく申し上げますならば、
昭和
二十七年九月三日、これは情報でありますが、廣川弘禪氏は、池田勇人氏を伴
つて
伊藤斗福
邸に参られたということであるが、かようなことをあなたは
伊藤斗福
氏からお聞きに
なつ
たことがあるかどうか。なお、駒井重次氏に対して九月二日こういつたような献金がなされたという話を
伊藤理事長
はあなたに話したということであるが、あなたはそういう話を聞かれなかつたかどうですか。
平野力三
564
○
平野
証人
今の立法化のことを
伊藤
君が期待するために種々なる運動があつたということが、いろいろな
新聞
あるいはその他情報、通信等に流れておりますことについては、私も皆さんとお同様承知いたしております、
今澄勇
565
○
今澄
委員
私が聞いているのは、
伊藤理事長
から非公式なりあるいは公式なりを問わず、あなたはこういつた、今私が申し上げたようなことについて話を聞かれたことがあるかどうか。なければない、あればあつたと、ひとつお答えを願いたいと思います。
塚原俊郎
566
○
塚原委員長
平野
君に申し上げますが、質問についてお答えを願います。質問の要点についてお答えを願います。
平野力三
567
○
平野
証人
要点を特に避けているわけでもございませんが、事は非常に重大である。私は、
今澄
君の先ほど来の御質問でありますが、言葉を返すようで恐縮千万なのでございますが、人の名前その他も出ていることでありますので、的確に今少しくきちんとしたお話であれば、知
つて
いる、知らぬと申し上げるのですが、ただいまの御質問の程度においては、ちよつと私としてそうである、ないということを申し上げるのに……(「なぜ拒否するんだ」と呼ぶ者あり)拒否いたしておりません。
今澄勇
568
○
今澄
委員
証人
に申しますが、質問の的確、不的確はともかくも、あなたは、そういうことがなければない、それから
金額
のいかんにかかわらず、そういう献金をしたと
伊藤
氏が話したなら話した、少くともその点はわれわれ行政監察
委員
に対して明確なお答えをなさる義務があなたにはあると思います。
平野力三
569
○
平野
証人
言葉を返すようですが、
伊藤斗福
が立法化運動をやつたという、それじや立法化運動について具体的にどういうことをしたかということを私がどういう範囲で知
つて
いるかというようなお話ならば、ある程度知
つて
いることは申し上げたいと思います。しかし、ただいまの御質問は、人の名前までさしてあり、時間とかいろいろなことがさしてあ
つて
、しかもその御質問そのものにやや不明確さもあるので、私としては、同僚議員のことでもあり、ちよつと躊躇いたしているのであります。
甲斐政治
570
○
甲斐
委員
関連して。先ほどから
今澄
君の質問に対して、いささかおわかりにならないところもあつたかと思います。また、私察するに、他の名前をあげることをはばか
つて
おられ、その人々の立場を顧慮しておられるというような、いわば男気があ
つて
のことだとも思うのでありますけれども、しかし、事はきわめて重大であります。すでに国民がこの問題をめぐ
つて
国会に対し疑惑の念を日に日に強くいたしておるのであります。(「その
通り
」)この疑惑をわれわれは払わなければならない責任を持
つて
おる。ただ疑惑に当らないものはこれを払わなければなまらない。もしこれに当るものありとすれば、涙を振
つて
馬謖を切らなければならない。これは国会の権威を保持するゆえんである、国民に忠実なるゆえんであると考えるのであります。私は、あなたが自分の身をかば
つて
事をうやむやにせられるような方ではないと信ずるのでありますが、この問題はもつと具体的にはつきりお答えを願いたいのでございます。言葉はいささか失礼があるかもしれませんけれども、われわれ、この問題を鮮明にしなければならない責任から申し上げるのでありますが、まず今のお話、当時廣川農相が
伊藤斗福
氏を伴
つて
、当時の
大蔵大臣
池田氏のところに参りまして、立法化に関しての請託をした。そのとき手みやげ三百万円を持
つて
行き、さらに
現金
数千万円の授受がここで行われたということがわれわれの
調査
に上
つて
来ておるのでありますが、この事実はあなたは
伊藤斗福
から御相談をお受けに承りましたかいなかということが一点。さらに、こういう行動が
伊藤斗福
氏によ
つて
なされたことを
伊藤
氏からお聞きに
なつ
たかどうか、いつお聞きに
なつ
たか、この点についてお答えを願いたいと思います。
平野力三
571
○
平野
証人
どうも質問の要点をそらすというような
委員長
からの御指摘もありまして、御答弁をいたすのにまことに苦慮いたしておるのでございますが、少し焦点をぼやかすようなことを申し上げて恐縮ですが、こういうことはをつきり私は申し述べてみたいかと思います。
休業
後、第一私自身としても非常に疑問に考えたことは、立法化という問題について、一般人が立法化困難だ、こう言うときに、
伊藤
君自身が、立法化可能である、こういうことを確信したことについては。
伊藤
君として何らか期するところがあつたかもしれない。ここに行政監察
委員会
の皆さんの疑惑がある。言いかえますならば、私は、本件において、まことに
証人
であ
つて
僣越なことを申し上げて、おしかりを受ければおしかりを受けたいと思
つて
おりますが、これも当事者のためになれば
平野
のごときは何ごとも、私は再度申すように、自分の一身上の都合なんかは考えておりませんが大蔵省——この際は大蔵省と申し上げておきますが、大蔵省というものが、これに対する監督と申しますか、
保全経済会
をどう見ておつたか、また
伊藤斗福
君が、これをやる上においてもちろん一番取締りの官庁であり、一番自分の切実なる監督を受ける官庁についてどう考えておつたか、また
休業
しても、われわれは
会社
にするよりほかに再建困難だと言うのに、
伊藤
君は立法化できるのだ、法の援助を受けられるのだと言う、これを深く強調したという点についての疑惑をほんとうに国民大衆の前に説くべきだ、将来の類似機関、これらの問題についての立場からも、そういう問題を解明せなければならぬのだという御所論であれば、
伊藤
君の私に申したこと、それがある程度当
委員会
の御参考になれば申し上げたいと思います。ただ、お言葉を返すようたが、ある特定の
政治
家をマークして、これがどこで幾ら、どうしたこうしたというような、そういうことについては、まことに事重大であるから、私といたしましても、知
つて
おることを言わぬというわけではありませんが、答弁の仕方については、十分これらの点を
委員長
もおられることでありますから、どうぞ整理していただいて、私が
証言
しやすいようにしていただきたいかと存じます。
塚原俊郎
572
○
塚原委員長
証人
に申し上げますが先ほども冒頭に申し上げましたように、
証言
を求められた範囲を越えない程度の
証言
をお願いしたいと思いますから、御質問に対して、一、何々、二、何々というふうにお答え願えれば簡単に済むんじやないかと私は考えております。
中野四郎
573
○
中野
委員
関連質問一点だけ……。
平野
さんの長い間の
政治
家生活の間で、私らも古くからの知己といたしましてたいへん聞きにくいことではありますけれども、それだけにまた話もしようと思うのです。ただ、今
今澄
君の発言に関連してあなたの御答弁を伺
つて
おると、何か奥歯にものがはさまつたような、知
つて
はおるがうつかりは簡単に言えぬぞというようなふうに聞える。そこで、問題は、今お話がありました、
伊藤斗福
君に対してあなたがいろいろとお話をなすつたときに、立法化に自信があるという
伊藤
君の態度が見え、そういう言葉じりがあつたと御
証言
に
なつ
ておる。これは当然あると思うのです。そこで、問題は、
伊藤
君はむろん国
会議
員でもありませんし、役人でもないのでありますから、立法化に運動はするという気持はわかりますが、自信をたつぷり持つと言うからには、この裏づけがなくてはならぬことは論をまたぬところであります。いやしくも
平野
さんほどの人がこれを聞いてどういうふうにお感じに
なつ
たか。少くともこれが立法化に自信を持つと言うからには、
今澄
君の御質問の裏づけが当然出て来る。ましてやあなたは相当鋭利な頭を持つた方なんだから当然
伊藤
君に対して、それじやどういうふうにして立法化をする、お前はそれほどの自信があるかと、こう御反問になるのもまた理の当然なんです。そこで、
伊藤
君がそれとなく話す、思わず、おれは実はこうだとか、ああだというような感じをあなたに伝えられるのもまた当然のことなんです。この過程なんです。私は、なるほどあなたが
政治
家として少くとも他の人々に特定の人にマークをしてその人々に迷惑をかけることをおもんぱかられる
政治
家としての気持を私は十分察します。しかし、あなたも今日は社会党の右派の
顧問
として国会に重きをなしていらつしやる方でありますから、この国会の権威を保持したいという点については、
平野
さんといえどもわれわれに断じて劣らぬ方であることをかたく信じております。しかる上からは、この行政監察
委員会
においてわれわれが
証言
を求めるからには相当な
資料
をも
つて
お伺いをしておるつもりであります。
従つて
、その
資料
に基いてお尋ねをするのでありますから、今日はたいへん恐縮に存じますが、率直に、ただいまの
今澄
君の御質問に対して、イエスかノーかの御答弁を願いたいと思うのです。
塚原俊郎
574
○
塚原委員長
今澄勇
君、質問の要点をいま一度申し上げてください。
今澄勇
575
○
今澄
委員
それでは、私は
一つ
ずつ区切
つて
申し上げますが、政界各方面に、
伊藤斗福
氏は、過ぐる十月の選挙前並びにその前の四月選挙前——これはわずかであるようですが、において
政治
献金をしたというような話を、
証人
に立法化の問題にからんで話されたことがありますか、どうですか。
平野力三
576
○
平野
証人
先ほど来申し上げておりますように、
伊藤斗福
君は、
休業
直後私ども
顧問
に対して、
顧問
は
会社
と言うけれども、
伊藤
としては立法化で確実に救済できる、これを断言いたしましたことについてはお話の
通り
であります。
今澄勇
577
○
今澄
委員
そうすると、もつとはつきり申しますが、その立法化は自信があると言うたその
伊藤斗福
氏の言葉は、明確な言葉をも
つて
あなたに政党献金をしたと言うのか、政党献金をしたとは言わなか
つたの
か、その言葉裏は政党献金をしたというふうにとられたのかどうか、ひとつはつきりお答えを願いたいと思います。
平野力三
578
○
平野
証人
たとえば、
休業
が十月の二十四日ですから、十日ごろのはずですが、池田さんがアメリカから帰
つて
来れば必ず
保全
経済の再建はできる、そういつたことを相当強く
顧問
のわれわれに言うたところに、私としては、今
今澄
君の御指摘の、どうも
顧問
の考えとは違
つて
おる、
伊藤
君がここに相当の立法化の自信を持
つて
おる、かように判断をいたしました。
今澄勇
579
○
今澄
委員
そこで、私は、この
保全経済会
の問題について、過ぐる予算
委員会
において、昨年の七月以来三回にわた
つて
質問をしたのでありますが、予算
委員会
における大蔵省の答弁は、当
保全経済会
は匿名組合であるとこれを断定し、法務大臣犬養氏は、匿名組合とは認めがたい、かように断定をして、内閣における意見が別であ
つたの
です。なお、いま
一つ
、池田勇人氏が、渡米の際に、大蔵省に対して、この
保全経済会
の問題はおれが帰
つて
来るまでまあひとつ待
つて
くれと言うたような話をわれわれは情報として受けておる。なお、もう
一つ
、諸外国からの外国電話で、
保全経済会
に関する問題を池田氏がかけて来ておるわけであるが、これらの点について
伊藤理事長
からあなたがお聞きに
なつ
た点がありましたら、ひとつ遠慮なく教えていただきたい。
平野力三
580
○
平野
証人
伊藤
君に、立法化もできないようなときに立法化と言
つて
日を延ばして投資者に迷惑をかけてはいかぬじやないか、できたことはいたし方ないのだから、早く、俗な言葉で言うならば、かぶとを脱いで、全
資産
を投資者に投げ出しなさい、これは、私ばかりでなく、
顧問
の
松本
さんでも、早稻田君でも、相当に当時主張いたしましたことはその
通り
でありますが、しかし、
伊藤
君としては何らかの自信を持
つて
おる、とにかく保守党は助けてくれる、こういう言葉を用いて
顧問
のわれわれに対して相当な対立をいたしておる。今、池田さんについての言葉でありますが、アメリカからも国際電話で
保全
経済のことを言
つて
おられるじやないか。——
従つて
率直な言葉で表現しますが、
顧問
のお前らみたいな者は大したことはない、もつとこの問題については大きなところで助けてくれる、こういうことを相当に
伊藤
君が言いましたことは、私はここに率直に申し上げます。
今澄勇
581
○
今澄
委員
そこで、今の
保全経済会
に対して大蔵省が匿名組合であるとこれを断じ、法務省は匿名組合であるとこれを断じなかつた、なお、最高検においては、司法
関係
新聞
が伝えておりますように、この
保全
経済の問題について十分手を入れるべきであるという見解があつたにもかかわらず、
東京地検
においてこの問題についての見解が相違しておる、最高検と
東京地検
との見解が対立をしたためにしばらく今日まで延びたように、私どもはいわゆる司法
関係
新聞
紙上を通じて知
つて
おるが、これらの問題について
伊藤斗福
が何か
証人
に言質を与えたことはありませんか。
平野力三
582
○
平野
証人
伊藤
君としては、割合にそういうような点については
休業
後もきわめて平気で、悠々と再建ができるというような気分を持
つて
おりました。その点では私どもはむしろ非常にいらいらいたしまして、そんな悠長なことをや
つて
お
つて
、投資者が大会を開いて押しかけたらどうするのだということを考えたのですが、案外悠々として、再建ができる、——その点においては何らかの確信を持
つて
おるかのような感じがいたしました。
今澄勇
583
○
今澄
委員
なお、話がここまで出て来たのでありますから、いろいろ質問もしたいのでありますけれども、わが党の中にも、これらの
資料
をも
つて
の同僚
諸君
の質問がありますから、私はこの程度において、あと引続き次の質問者にお願いいたします。
長谷川峻
584
○長谷川(峻)
委員
関連して一言だけ……。ただいま
証人
は、池田勇人氏がアメリカから国際電話をかけて来て、
保全
経済の問題について非常に心配しておるという
証言
がありました。また、
伊藤斗福
氏が、池田氏が帰
つて
来たならば必ず立法化ができるのだかり、君たち
顧問
は大体問題にならないと言つたというふうな
証言
もあ
つたの
ですが、
証人
は
休業
以来
伊藤斗福
君よりもだれよりも
政治
家的責任を感じて非常に熱心にこの再建、すなわち投資者に対するところの損害のないように苦労をしておつた。そういうような場合に、その
伊藤斗福
の話を聞かれた
平野
証人
は、池田さんにお会いに
なつ
て、それじや一体立法化ができるものかどうかというところまでお確かめに
なつ
たかどうか、これを一点お伺いしておきたい。
平野力三
585
○
平野
証人
池田さん自身には会いませんが、私は大蔵
委員長
あるいは法務
委員長
には尋ねまして、この立法化ということについて両
委員長
の意見を伺
つて
みました。両
委員長
とも、私に対するお答えは、なかなか立法化は困難であるというような意味の御趣意があ
つて
、われわれとしては
諸君
の言う
会社
がいいというような意味のお話はありましたが、池田さん自身には私は会
つて
聞いておりません。
長谷川峻
586
○長谷川(峻)
委員
そうすると、池田勇人氏が来れば立法化ができると言うたことは、
平野
証人
は、これは
伊藤斗福
の通弊であるところのうそを語るものであるというふうに今日信じておられますか、どうですか。
平野力三
587
○
平野
証人
これは、人の心の中に立ち入
つて
の判断ですから、わかりません。しかし、先ほど来繰返し申しますように、
伊藤
君自身としては、池田さんが帰
つて
来れば
保全
経済の再建はできるのだし、こういうことを繰返しましたことは間違いございません。
塚原俊郎
588
○
塚原委員長
中村高
一君。
中村高一
589
○
中村
(高)
委員
問題は立法化について
伊藤理事長
が政党に働きかけたのかどうかという点が非常に重要だと思うのでありますが、今
平野
証人
の言葉によりますと、
伊藤理事長
は立法化に対して非常に自信を持
つて
おつたように説明をされるのでありますが、私は
伊藤理事長
の人間を必ずしも信用するに足りるとは思
つて
おらぬのでありますから、この辺のところはどこまでほんとうかうそかわかりませんが、立法化ができるのだということで
顧問
団の
諸君
と対立をして、あくまでおれは立法化してみせると言うのには、これは相当に政党側に働きかけができておらなければそういうようなことを言うはずもないように思うのでありまするが、
証人
がごらんに
なつ
て、これはいろいろの運動の結果必ず立法化できるのだという確信を持
つて
おるようにあなたには話しておりましたかどうか、この点をひとつ伺いたい。
平野力三
590
○
平野
証人
率直に申しますが、
伊藤
君自身としては、どうも立法化できると思つたようで、私どもは実際そこはふしぎに思
つたの
です。先ほど本人の性格とか思想判断がありましたが、これは私も率直に言
つて
よくわかりません。わかりませんが、当時
休業
後、法制化、立法化によ
つて
再建ができるということについては、十一、十二、二箇月にわた
つて
、彼は熱心な運動を展開し、ほんとうにそう信じていた。一月の十五日に至
つて
やや断念した、こういうのが真相です。
中村高一
591
○
中村
(高)
委員
これは、いろいろの
文書
あるいは雑誌、今までに発行されたもの、うわさ等を大体総合して私は質問をいたしたいのでありますが、そういう事実は聞いてなければ聞いてないでよろしいのでありますから、具体的にお聞きをいたします。去年の九月の四日ごろに東京会館の別館で廣川君が
伊藤理事長
と面会をしておるのではないかと思うのでありますが、その際
伊藤理事長
は、廣川君に、立法化について
自由党
の方の工作をしてもらえないかどうかという話をいたしたところが、廣川君はそれを引受けて実際の行動に移られたというようなことを聞くのでありますが、そういう点についてお聞きに
なつ
たことがありますか。
平野力三
592
○
平野
証人
休業
前はよく承知をいたさなか
つたの
でありますが、
休業
後
伊藤
君から聞いたところによりますと、廣川さんにはもちろん会
つて
おつたようであります。
中村高一
593
○
中村
(高)
委員
そこで、廣川君に対しては、
伊藤理事長
としてさもあろうと思うのでありますが、あなた一人では信用するわけには参りません、どうも運動費を差上げても、あなたを全幅的に信頼できないが、党の方の責任のある人がもしよろしいと言うことができるならば運動費を差上げてもよろしいけれども、責任のある人を承諾させることができるかどうかという質問をせられたところが、廣川君の話では、池田君と佐藤君が責任を負つたらどうだと、そういうことであつたが、その際廣川君は、よろしいと言うて引受けられて、運動費を受取つたということを聞くのでありますが、この点はいかがでありますか。
平野力三
594
○
平野
証人
廣川さん、佐藤さん、池田さんらに
休業
後の再開について多大の期待をかけておつたようではあります。
中村高一
595
○
中村
(高)
委員
期待をかけられたということをもう少し具体的に聞かなければ、どうも、どうして期待をかけられたのかわからぬのでありますが、廣川君は、よろしい、おれが引受けると、
伊藤理事長
に言うておるのではないかと思われるのであります。そこで廣川君には三千万円の金が駒込の
伊藤理事長
の屋敷で渡
つて
おるということを聞いておるのでありまするが、これは、廣川君が何か責任あることを言わなければ、自宅で
伊藤理事長
が三千万円の金を渡すということはちよつと想像ができないのであります。事きわめて重要であり、池田、佐藤両氏の名前も出ておるのでありまするから、その私が申し上げたうちのどういう点だけは御存じか、お答えを願いたい。わからなければよろしゆうございます。
平野力三
596
○
平野
証人
そのことを私が知
つて
おるということについてはお答えできません。
伊藤
君がそういう趣意の話を
休業
後私にいたした。これはそういう話をいたしました。
中村高一
597
○
中村
(高)
委員
そういう事実はどこまでが事実か、あなたとして
伊藤
から聞いた点ではつきりした点だけをもう一度……。ほかの
委員
の
諸君
もはつきりしておる点だけを聞きたいらしいから。
平野力三
598
○
平野
証人
委員長
、そういうこともやはり申さなければなりませんか。 〔「重大な問題じやないか」「それを言うために
証人
に呼んでいるのだ」と呼び、その他発言する者多し〕
塚原俊郎
599
○
塚原委員長
御静粛に願います。
証人
にいま一度申し上げますが、
証言
は、先刻も申し上げましたように、法律により、たとえば
証人
やその親族等の刑事上の訴追または処罰を招くおそれがあるとか、または恥辱に帰すべきごとき事項に関するときには
証言
を拒むことができるのでありますが、単に言いにくいとか、あるいは信義上とかいうようなことでは、法律上
証言
を拒むことのできる正当な理由にはならないのであります。それを御承知の上でなお
証言
を拒まれるとなりますれば、それは、先ほども申し上げましたように、法律の定めるところによりまして本
委員会
としても考慮しなければならぬということにもなろうかと思うのでありますから、さよう御了承の上で御
証言
をお願いしたいと思います。
平野力三
600
○
平野
証人
それでは、誤解のないように、どうも率直にお答えできなくて、おしかりを受けますが、多少前提を置いてただいまの
中村
君の質問にお答えをしたいと思います。私どもは、なぜに立法化ということをそれほど言うのかということは、
伊藤
君も相当に窮地に陥つたと思うのです。つまり、投資者に対しても、
顧問
のわれわれに対しても、立法化できると言う限りにおいては、立法化できるという何らかの裏づけを持たなければならないようなはめに
なつ
たと思う。私は、ことに先ほども御質問があつたように、こういう人間ですから、いよいよ投資者のためにやらなければならぬということになれば、向うは自分の財産を投げ出さない限りは承知せぬから、
伊藤
君に早く財産を投げ出せと言つた。立法化があれば投げ出さなくても済むことなんです。相当問題が急迫的な論議に
なつ
たときに、
伊藤
君が申し述べたことには、東京会館の別館で廣川さんにお会いした、それで私は立法化を頼むと言つたら引受けてくれた、よ
つて
、あなただけではできない仕事だろうから、佐藤榮作、池田勇人等は当時の
自由党
の最高首脳部であるから、あなた方がほんとうにや
つて
いただけるならばと言うておつき合いをした、これは自分が、これらのいわゆるおえら方が引受けてお
つて
くれるのだから、まあここの皆さんよりは——こういう言葉は用いなかつたけれども、彼の言葉を付度すれば、現在の力がある人だから、この線に沿
つて
行けば立法化ができる、こういう説明のあつたことは事実です。
中村高一
601
○
中村
(高)
委員
そうすると、そのために広川君に金を渡したということですか。
金額
は三千万円とかで、そのうちの一千万円は廣川君がと
つて
、二千万円は
自由党
へ献金したとかいうことを聞いておるのでありまするが、この点は、
金額
その他もしはつきりしておりましたならば……。
平野力三
602
○
平野
証人
ここまで来れば率直に申し上げますが、(笑声)これも
伊藤
君が私一人のところで言うたことでありますので、そのことを前提としてお聞取りを願いたい。廣川さんに三千万円、これは佐藤さんも池田さんも承知してお
つて
くれる、池田邸に行
つて
池田さんにお目にかかつた、こういう手続が踏んであるから、立法化ということはこの点において承知してくれた、さように私には言つた。但し、これは
伊藤
君自身としても今日御承知のような状態にあることであり、また問題はきわめて重大なことでありますので、私がそのことをどう信じており、またどうであるということは、私として、
伊藤
君があるいは苦しまぎれに、立法化もできないのに立法化できるということを……。
中村高一
603
○
中村
(高)
委員
次は改進党
関係
。(笑声)これは日がはつきりいたしませんが、九月の五日ごろに築地の秀花という待合で、重光、大麻、
伊藤理事長
の三人で三者会談を開かれたというのでありまするが、そういう事実を
伊藤
から聞いておるかどうか。
平野力三
604
○
平野
証人
伊藤
から聞きました。
中村高一
605
○
中村
(高)
委員
重大なことでありますから、さらにもう少し事実をお尋ねするのでありますが、もちろんこれは立法化を促進するかあるいは立法化の運動をしてくれという依頼だと思うのでありますけれども、その点についてはその
通り
でありますか。
平野力三
606
○
平野
証人
この
休業
後は
全国
の投資者が非常に真剣にこのことを考えたことでありますので、
証言
に立つた次第であるから私は一身上を顧みず率直に述べますが、普通に
政治
家に金を出した、あるいはこういう用だから御用立てたというようなことではなくやはり彼は立法化ということに非常に力点を置いて先ほどの重光、大麻との会談もやつた、こういうことを言
つて
おる。
中村高一
607
○
中村
(高)
委員
その待合の会合で承諾をされたというので、それならば運動費を差上げる、こういうことに
なつ
て、駒込の自分の屋敷で差上げるということで、駒井重次君が金をとりに行かれて、
自由党
よりは少し安いようでありまするが、二千万円を駒井重次氏に差上げたそうでありますが、その点はいかがでございましようか。
平野力三
608
○
平野
証人
それも
伊藤
君が私に語つたところではその
通り
であります。
三和精一
609
○三和
委員
関連して。
中村
君の質問の中に、東京会館の別館で廣川君に三千万円渡した、そのうち廣川君が一千万円、あとの二千万円は
自由党
にやるようにということでありましたが、その当時は
自由党
が二つあつた。どちらの
自由党
であるか。
平野力三
610
○
平野
証人
それは、はつきりどの
自由党
であるということを
伊藤
君から聞いたわけではありませんが、それは
昭和
二十七年ごろのときでありますから、もちろん廣川君が大きい
自由党
に籍のあるときであります。(笑声)
中村高一
611
○
中村
(高)
委員
これは御存じかどうかわかりませんが、改進党総裁の重光氏の鎌倉の屋敷で二千万円を献金をしたというのでありまするが、そういう事実をお聞きに
なつ
ておりませんか。
平野力三
612
○
平野
証人
それは知りません。
中村高一
613
○
中村
(高)
委員
どうも各党にわたりましてまことに恐縮でありますが、事実をはつきりしておく方がいいので、次は鳩山
自由党
に関してお尋ねいたします。鳩山派の方はだれが交渉に当りましたかわかりませんが、石橋湛山氏の手形で、鳩山三木の裏書きで一千万円を貸してくれないか、そういう申出をいたしたところが、これはただ金を貸すわけには参らぬということに
なつ
て、結局のところ、立法化運動についてもし骨を折
つて
くれるならば金を出してもいいという交渉に入つたけれども、どういう理由か存じませんが、鳩山
自由党
には一度は不調に
なつ
たんだ、そういうことをお聞きに
なつ
ておりますか。
平野力三
614
○
平野
証人
ただいま
中村
君指摘のような話も、話ですから、言葉の使い方その他については、私もお問いも正確を欠くと思いますが、ほぼそういうような意味の話を
伊藤
君がいたしました。
中村高一
615
○
中村
(高)
委員
今の手形で金を貸してくれろという話は、どこで、いつごろのことだか、おわかりになりませんか。記憶はありませんか。
平野力三
616
○
平野
証人
ただいまのお話は、全部時刻は同じころのようです。
中村高一
617
○
中村
(高)
委員
ところが、この問題が不調になりましてから後に、はつきりわからないのでありまするが、三木武吉さんかどうか明確ではありませんが、立法化に協力させるから金を出してくれろ、そのかわりに鳩山氏にも話をするから、立法化のために協力すればいいだろうということで、結局のところ鳩山邸で三木、鳩山両氏の面前で一千万円を出した、そういう話を聞いておりますか。
平野力三
618
○
平野
証人
さような話は聞きました。
中村高一
619
○
中村
(高)
委員
今申し上げたことは、これは数回にわた
つて
あなたがお聞きにな
つたの
か、それとも一度にお聞きにな
つたの
でありますか。いつお聞きに
なつ
た話でありますか。
塚原俊郎
620
○
塚原委員長
中村
君に申し上げますが、先ほどからの御質問は年月日がはつきりいたしておりましたら、その点にも触れられたらいいと思います。
平野力三
621
○
平野
証人
中村
君るる御質問のような話を、私が
伊藤斗福
君から聞いたのは、
休業
後十日くらいしてからと思います。日にちははつきり覚えておりません。
塚原俊郎
622
○
塚原委員長
そうすると、去年の十二月の初めですか。
平野力三
623
○
平野
証人
十一月の初めごろだと思います。
中村高一
624
○
中村
(高)
委員
この三つとも二十八年ですか。
平野力三
625
○
平野
証人
それは二十七年九月。私が聞いたのは去年の十一月です。
中野四郎
626
○
中野
委員
ここに政党
資金
の届出書がありますが、お話を裏づけるような点が二、三見えております。非常に大きな
金額
が見えております。そこで、今の
平野
さんのお話はこうじやないでしようか。二十七年の九月ごろというと、金銭を出したときのつじつまが合わなくなるのです。昨年の九月から十月半ばころへかけて、一部の政党からは政党献金として多額の金がここに
記載
されております。これは
政治
資金
規正法に基いて出したものでありまするから、おそらく間違いがないと思いますが、二十七年と八年の御記憶が違
つて
やしないかという点を伺
つて
おきたいのです。
平野力三
627
○
平野
証人
もう一回はつきり申し上げますが、今るる
中村
君の述べられたことに当るような話を私が
伊藤
君から聞いたのは昨年の十一月の上旬で、
伊藤
君がその金をこれこれの人に出したという時は、私の
伊藤
君に聞いた判断では、二十七年の九月ごろと記憶しております。
中野四郎
628
○
中野
委員
なるほど調べてみますると
金額
が合いますね。二十七年の九月ですね。それから二十八年にも同じ形が見えままが、あなたの御記憶の方が正しいかもしれません。二十七年の九月ごろ、選挙前を通じて相当多額の金の名前が現われておりますから。
長谷川峻
629
○長谷川(峻)
委員
その際に、これは手形でやつたか、
現金
でやつたか、これを御承知の範囲でお伺いしておきたい。
平野力三
630
○
平野
証人
そこまでは確かめておかなかつたが、常識上キヤツシユでなかつたかと思います。
田渕光一
631
○
田渕委員
キヤツシユならば、銀行からすべてあが
つて
来ると思いますが、かりに
現金
であるといたしままならば、千円札でまずりんご箱一ぱいで千五百万円であります。少くとも二千万円とするならばりんご箱以上のものでありまするが、たとえば
自由党
の廣川君に東京会館の別館で渡した三千万円は、千円札といたしましてもビール箱二箱の千円札であります。トランクに入れたものであるか、ふろしきに入れたものであるか、これは重大な問題であるから、この点をひとつはつきり願いたいと思います。
平野力三
632
○
平野
証人
ちよつと
証言
のことについて再確認しておきたいと思うのですが、これは
伊藤斗福
君が私に話したことを前提として私から申し上げたので、それがキヤツシユであるとか、札は持ちにくい、手形はこうだとかいうことまで私に
証言
を求められることは、それは
証言
の範囲ではないと思います。
田渕光一
633
○
田渕委員
少くとも
保全経済会
の最高
顧問
の
平野
君であります。これだけの金を渡したと言うのに、小切手であつたか、そうならば君も証拠をと
つて
ある、銀行に行けばわか
つて
おるから、洗
つて
やると言える強い立場の
平野
氏であります。
現金
であつたか、小切手であつたか、それくらいのことを聞かない
平野
氏ではないと思いますから、この点、念のお押しがあつたかないかをお聞かせ願いたいのであります。
平野力三
634
○
平野
証人
これは、当時の心境をひとつ申し上げておきたいのですが、今ここで私が社会党に籍があ
つて
いる
中村
君の問いに答えると、あたかも何か非常に
政治
色があるようで恐縮をし、私もその意味で実際偽証さえなければお断りしたいのですけれども、実際は、
休業
したのは
出資者
側に対しては申訳ない、こういう胸で一ぱいらしい。
伊藤
としては、
休業
したけれども、おれはあくまでやるという旺盛な
一つ
の考えを持
つて
おる。私は、これは忘れもいたしませんが、
保全
経済の
伊藤
君の
理事長
の部屋で、大談判と言うこともおかしいが、大いに詰め寄つた。君、ほんように投資者にこれだけの迷惑をかけて、
顧問
であるわれわれも腹を切らなければならぬ際に、実際立法化もできもしないのに、なぜそういうことをするのかと詰め寄つたときに、彼の語
つたの
は、実は
自由党
、改進党においては手が打
つて
あるからと、こういうことを言うて、
平野
さん、私はこれだけのことをや
つて
あるのだから、立法化について自信があるのだと言うから、私はそうかなと思うたが、実は、率直に申し上げますが、大それたことが行われたと思うた。これは今ここで申し上げますが、あくまで
伊藤
君が
個人
として私に話したことであります。話であります。君、それじや一札書いて証拠をよこしてくれるか、そんな私の気持の中に余裕はありません。それはどうぞ誤解のないようにしていただきたい。
田渕光一
635
○
田渕委員
私たちは、十二月四日
調査
開始以来いろいろな情報を聞いておりまするが、
伊藤斗福
君はこういうことを言
つて
ることも聞いております。これは情報でありますが、はつきり領収書を持
つて
おるのだから、もしもこれをぶちこわして来たらばらしてやるんだというようなことを
伊藤
は言うておりますが、そうすると、
平野
さんは、その話を聞いたときに、重光さんにしろ、あるいは廣川さんにしろ、その間に受取りの一本もと
つて
おいたかという話はございませんでしたか。この
状況
をひとつ伺
つて
おきたい。
平野力三
636
○
平野
証人
私としては、先ほど申し上げるように、君、受取りをとつおいたかという質問はいたしません。
三和精一
637
○三和
委員
ただ、ふに落ちないのは、あなたが
昭和
二十七年と言われたことです。
昭和
二十七年ですと、立法化運動をそのときにはや
つて
いましたか。
平野力三
638
○
平野
証人
これは、実は、
伊藤
君自身としては、私どもに立法化ということを言うたのは
休業
後なんですが、その後われわれが聞いてみますると、彼は、立法化して、将来
保全
経済的なそういう機関が認められて、大衆がこれによ
つて
相当
利益
を得て行くということは、大分前から考えておつたようです。
塚原俊郎
639
○
塚原委員長
中村
君、まだありますか。
中村高一
640
○
中村
(高)
委員
自由党
の池田政調
会長
に対しては非常な大きな期待をしてお
つて
、アメリカから帰
つて
来るのを非常な期待をしておつたと言うて、
伊藤理事長
は、池田さんさえ帰
つて
来れば再建がどうにかなるんだということを非常に言
つて
おつたそうでありまするが、池田氏とは
伊藤理事長
は洋行前あるいは洋行後において会見をしておつたかどうか聞きたい。
平野力三
641
○
平野
証人
それは、はつきり池田さんには会
つて
おつたと言いました。
中村高一
642
○
中村
(高)
委員
洋行前ですか、洋行後ですか。あるいは日時がおわかりになりますか。
平野力三
643
○
平野
証人
中村
君先ほど御質問に
なつ
たその時分です。
中村高一
644
○
中村
(高)
委員
わかりませんですね。それじや日時や場所、そこまでは……。
平野力三
645
○
平野
証人
池田さんのお宅をたずねた……。
中村高一
646
○
中村
(高)
委員
池田さんのうちへ……。それは一人ですか、それともだれか同道しておりますか。池田さんのところに行つたときは。
平野力三
647
○
平野
証人
廣川さんと一緒に行きました。
中村高一
648
○
中村
(高)
委員
廣川さんと二人で池田さんのところに……。わかりました。 それでは、公平を期するために、あと社会党両派に対して何か立法化運動をした事実があるかどうか、御存じあるかどうか。あるいは献金の事実がありませんか。
平野力三
649
○
平野
証人
右派社会党に対しての問題は先ほど
今澄
君にお答えした
通り
であります。左派社会党のことについては何事も……。
長谷川峻
650
○長谷川(峻)
委員
ただいま
平野
さんは、右派社会党に対して何もないということでありましたけれども、過去二年間にわた
つて
三百余万円、それから自動車あるいはまた事務所等々に入つた収入などで、社会党の方に
平野
証人
の方から何かの便宜を与えたような事実はないんですか。全部
顧問料
として自分のふところに入つたんですか。それとも、党員等にこれをばらまかれたことはないんですか。
平野力三
651
○
平野
証人
それは全部私が使
つたの
であります。
塚原俊郎
652
○
塚原委員長
甲斐
君。
甲斐政治
653
○
甲斐
委員
平野
さんも政界のわれわれの先達であ
つて
、また同じく社会党に籍を持
つて
おいでになるという
関係
で、こうした席でお尋ねをいたしますのはきわめて心苦しいのでございますが、しかし、先ほども申し上げた
通り
に、国民の疑惑の焦点に
なつ
ておるこの
事件
は、あくまでわれわれとしては鮮明にしなければならない責任もございます。さらにまた、近来頻発するスキヤンダル、これはいよいよ国会、政府その他に対する国民の信頼を失墜しつつあるわけでございますから、この際忍びがたきを忍んであえてお尋ねいたしたいと思いますが、了とせられて、率直なお答えをお願い申し上げておきます。 まず三点についてお尋ねいたしますが、第一点は、
平野
さんが
伊藤斗福
氏とお知合いに
なつ
た事情、どなたか紹介をせられたか、あるいはどういう事情で近づかれて、またその後しばしば面会をしておられると思いますが、その辺の消息を承
つて
おきたいと思います。
平野力三
654
○
平野
証人
伊藤
君を知るに至つた動機は先ほど
委員長
の御質問にお答えした
通り
で、
伊藤
君とは、率直に申しますと、非常に長く会わなかつたときもあるようなわけであります。まあ
休業
当時、再建というようなことに
なつ
たときには、ちよいちよい会いましたが、どちらかというと、
顧問
はや
つて
おりましたけれども、比較的会う回数は、今から考えれば少かつた、むしろ少きに失したのじやないかと思う。
塚原俊郎
655
○
塚原委員長
甲斐
君に申し上げますが、大分時間もた
つて
おりまするし、ひとつ質問は重複しないように要点についてお願いいたします。
甲斐政治
656
○
甲斐
委員
平野
さんが
伊藤
君に対してどれだけの指導するお力を、影響力を持
つて
おられたかどうかということについてお尋ねしたいのであります。
伊藤
君は年まだ若い。のみならず、他国の出身者であるのに対して、
平野
さんは政界にも著名な方でございますから、あなたのおつしやることは、
伊藤
君がほとんど全幅的にこれを受入れ、敬意をも
つて
その言葉に従うような
関係
であつたかどうかという点から伺います。
平野力三
657
○
平野
証人
率直に申しますと、なかなか言うてもよく聞かぬたちであります。
甲斐政治
658
○
甲斐
委員
伊藤
君に対して、
平野
さんは、その学問あるいは知能、手腕あるいはその人物についてはどういう評価をなさ
つて
おられたか、お尋ねいたします。
平野力三
659
○
平野
証人
私としては、率直に申しまして、最初
顧問
に
なつ
たときは、
伊藤
君が他国の人であることを知らずにおりました。その後わか
つたの
でありますが、私は
政治
的なことについては自分として相当な見解もあり、また
政治
的には日本の将来というようなことについても相当な抱負もあ
つたの
ですが、彼は私から話を聞くだけで、そういうことで私を特に尊敬するとか、私の言うことを聞くというように点はあまり見受けられなかつた。
甲斐政治
660
○
甲斐
委員
しからば、
保全経済会
の
経営
に関して
伊藤斗福
氏があなたに助言を求めるとか、あるいは相談を持ちかけるとかいうようなことがあつたかどうかについて、あるいはまた、あなたの方から積極的にアドヴアイスをせられたというような事実があつたかどうかを伺
つて
おきます。
平野力三
661
○
平野
証人
割合にそういうことはありませんでした。言いかえれば、私が専門家ではありませんので、ああいう業態自体についてのことを私から彼はそんなに聞くというようなことはなく、主として
政治
問題、農村問題等についてときどき私の話を聞く、こういう程度でございました。
甲斐政治
662
○
甲斐
委員
それでは、
伊藤斗福
氏は朝鮮の出身でございますが、その出身地の南北いかんを問わず、思想的、
政治
的
関係
において、いわゆる南鮮系であるか、北鮮系であるか。これは、
伊藤
君のもとには元共産党の代議士であつた人も出入りをしておるし、また明らかに共産党員であると思われる人も近づいておりまするし、北鮮の連絡員とおぼしい者もしばしば
伊藤
君をたずねておるかに聞いております。もちろん、
伊藤
君のことですから、極右
関係
も相当あるようでございますが、この北鮮系であるか南鮮系であるかということについて、何らかの疑惑を持たれたことがあるかどうか、承
つて
おきたいと思います。
平野力三
663
○
平野
証人
後に
伊藤
君が釜山出身の人であることは承知したわけですが、思想系統として右であるとか左であるとかいうことについては、特に考えませんでした。
甲斐政治
664
○
甲斐
委員
しからば、
伊藤
君の思想的あるいは
政治
的な立場を全然中立無色である、かように解してよろしゆうございますか。
平野力三
665
○
平野
証人
まあ大体そうです。
甲斐政治
666
○
甲斐
委員
それでは、
平野
さんが
保全経済会
に対して
顧問
としていかなる尽力をせられたか。もちろん、あなたの政界における名声を看板として
保全会
の
伊藤斗福
氏はかつぎ出したということも考えられまするが、同時に、あなたの持
つて
おられる農村組織も頭にあ
つたの
ではないか。この農村組織の人人も相当
保全会
に投資をしておつたということでもありまするし、またあなたの選挙区の方々も多数投資をしておられたと聞いておりまするが、この点については、あなたは
勧誘
をなすつたことがおありになりまするかどうか。あるいはまた、投資をしようと思うがどうだろうかという相談を受けられたことがあるかどうか。この相談をお受けに
なつ
たときに、いかなる返答をなす
つて
おられるか。これについてお答え願いたい。
平野力三
667
○
平野
証人
自分自身が特定の人に向
つて
、あなた
保全経済会
に投資したらどうかということを勧めたことはないのです。それから、
保全経済会
について抽象的に問われたことはありますが、私のところへ来て、
保全経済会
に投資しようと思うがどうだというような相談を受けたことも、ほとんどありませんでした。
甲斐政治
668
○
甲斐
委員
別の観点からお尋ねしますが、この
保全経済会
に対して
平野
さんは何らかの形で投資でもしておられますか。その有無をお答えを願いたい。
平野力三
669
○
平野
証人
私自身は投資しておりません。
甲斐政治
670
○
甲斐
委員
御家族その他にはございせんか。
平野力三
671
○
平野
証人
今投資しておりません。
甲斐政治
672
○
甲斐
委員
先ほどから繰返されたことでありますから、重複は避けますが、
顧問
として、今回のような
保全会
が破綻を来したことに対する責任をいかに痛感しておられるかという点についてお伺いしたいのであります。もちろん、先ほどから大いに痛感をしておられるということではございましたけれども、この一月十七日であつたかと記憶いたしますが、私は、
平野
さんに対してはなはだ僣越ではありましたけれども、社会党の
顧問
であるとか、執行
委員
であるとかいうような話があ
つて
も、これをお受けになるべきではない、この際大いに謹慎をせられてしかるべきものだということを勧告いたしたのであります。できれば、私忍びないところでありますけれども、この際議席をどうするかということも考えられてもいいような道義的責任がある問題だと考えておるのでありますが、そこまでは申し上げられなか
つたの
ですけれども、しかるに、党の
顧問
として就任をなさ
つたの
であります。ここに、はたしてこの問題に対する道義的な責任の反省がおありになるかどうかということを、私はいささか疑いを持
つて
見ておるのであります。もちろん、消極的にそうしたことを一切断るとか遠慮するとかいうことが責任を感ずる唯一の道ではないと思うけれども、さらに積極的にこの責任を感じこの償いをするという働く決意がなければならぬと思うのでありますが、これについて、これは重複いたしますけれども、重ねてあなたの御心境を承
つて
おきたいと思います。
平野力三
673
○
平野
証人
その点、先ほども申し上げたのでございますが、私がどれほど内心恐縮しておるかというそのことは、ちよつと用いる形容詞がございません。御推察を願いたいと思います。但し、こういう場合に処する私の人間から来る性格と申しますか、たいへん自分自身のことを申して恐縮ですが、まず投資者に対して自分が持
つて
おる力というものを——これはないのですが、自分の能力とか、自分の働き得るだけのことは働いて差上げなければならぬ。これは、それだからとい
つて
、私が今何をするということも大してできなく
なつ
ておりますけれども、その気持を持
つて
おります。それから、こういう問題についての
政治
家の出処進退というものは、一応この問題の答えが出てから自分で冷静に判断したい、かように考えておりますので、御趣意の点はありがたく拝聴いたしておきます。
甲斐政治
674
○
甲斐
委員
それでは、さらに進んでお尋ねいたしますが、この
保全経済会
が立法化にからんでさまざまの
政治
工作をなし、多額の金を保守政党やあるいはその他の政党に対してばらまいておるというようなうわさは、単なるうわさにとどまらず、ほとんど国内これを信じ切
つて
いるような状態でございますが、これに対して、そのいわゆる
政治
工作を担当したものは
理事長
である
伊藤斗福
氏であると思いますが、それ以外に、私の知るところでは、その
理事長
の秘書である井上それがしが大いに活躍して立法化工作に多額の金を融通し、ばらまいたということが出て来ておる。特に井上秘書については、
伊藤斗福
氏とともに
平野
さんは接近しおられる方であると承知をいたしておりますが、井上秘書がどういうぐあいにどんな方面にどういう程度の金をばらまいたのかということについて御承知でいらつしやると思います。これを承りたいと思います。
平野力三
675
○
平野
証人
御指摘の
伊藤斗福
の秘書井上なる者は知
つて
おります。しかし、井上がどういうように金をまいたか、ちよつとそれはよく知りません。
甲斐政治
676
○
甲斐
委員
私は、
保全経済会
が
平野
さんを
顧問
として迎えるには、若干の、あるいは相当のかもしれませんが、農民組織をして
保全会
に投資せしめようという意図ではなくして、
平野
さんの政界における存在に着目してお願いしておつたものと解しております。しからば、こうしたいわゆる
政治
工作をなすに際しては、当然
理事長
もあなたにまず第一番に御相談をするのが常識だ、かように感じております。
従つて
、井上あるいは
伊藤斗福
氏がかような多額の金をばらまいたについては、事前に、あるいは直後かもしれませんが、相当の相談なり
報告
なりがあ
つたの
ではないか、かように推察するのが当然だと思うのであります。何らこれがないのだということを先ほどからも質疑応答ではなす
つて
おりますけれども、重ねて私は、あなたは小節にとらわれて、あるいは博徒の間の仁義みたいなものにこだわ
つて
、他をかばおうとする仁侠心というのか知りませんが、かようなものは、もうこの際この段階になると一切捨て切
つて
、事実を白日のもとに明々白々として出していただきたいと思います。これくらいのことはあなたにおいてはできるはずだと思う。また国民はそれを希望しております。また国会の権威がこれを要求しております。どうぞ
平野
さん、いろいろ躊躇されるところでしようが、思い切
つて
みなひとつ話していただきたいと思います。これが
保全会
の十五万に達するあのいわば貧乏な国民の受けた痛手に対する報いであるとともに、われわれ国会の権威を保持するゆえんでもあるのです。国会の信頼が日に日に失われんとしておる。国会の信頼が失われるとともに、わが国は他の条件とともに次第に転落しつつある状態をわれわれは感じておる。だから、私は、いかなる政党がどうあるかというような、いわゆる、派閥抗争の観念からではなく、日本国民を立て直さなければならない、民主
政治
を真に清浄のものに確立しなければならない、政界の浄化粛正のためにやらなければならないと決意して立
つて
おるのであります。こうしたことに対して、
平野
さん、私は心からお願いしますが、ひとつ協力して、あなたの知
つて
おることを全部話してもらいたいと思うのです。どうかお願いします。
平野力三
677
○
平野
証人
ちよつと申し述べておきますが、
甲斐
君のお話によると、私が
保全経済会
の
顧問
だから
政治
献金のことやあるいは政界にどうこうということを非常によく知
つて
おるのではないかという前提の御質問ですが、これは相当違うのです。先ほど
中村
君がるる述べて、私がお答えしたことなどは、私が先ほど申し上げたような事情で問い詰めて、向うがしやべつたことをそのまま述べたのです。どこへ金をどうするのああするのということは、私は決して今自己弁解するのではないのですが、
伊藤
君という人は、われわれにそんなことを相談してやるような人ではなか
つたの
です。
従つて
、御指摘になるような、こつちが
顧問
だから、巷間流布されておるような政界にまいた金を、ここで
平野
全部話してくれと注文されても、ちよつとできないのであります。
甲斐政治
678
○
甲斐
委員
しからば、
政治
工作中、
休業
前においてさような相談には一切あずかり知らなかつたとおつしやるわけですね。それであるならば、その後において、先ほど
中村
委員
の質問に対して、
伊藤斗福
氏が相当あなたに対してお話したということでございましたが、秘書の井上君は、あなたに対しては何らそういう話がなか
つたの
でございますか。この点を確かめたいと思います。
平野力三
679
○
平野
証人
休業
後は 先ほど申し上げたようなわけで、
伊藤
君にも会えば、井上君あるいはその他の
理事
にも会いました。しかし、それは一々こちらは再建ということを目標としていろいろ折衝したわけです。
政治
献金の取締りのようなことを、こちらは
政治
家だからそういうことに興味を持
つて
や
つたの
ではないかというようなお尋ね。ごもつともだと思うけれども、実はあまりやらなか
つたの
であります。
甲斐政治
680
○
甲斐
委員
それでは、井上秘書がさような
政治
工作をし、金をばらまいたということについては、爾後においても一切御承知ない、何もお聞きに
なつ
ておらないのか、重ねてお答えを願いたい。何かお聞きに
なつ
ておることはないのですか。
平野力三
681
○
平野
証人
井上君は
伊藤
君の秘書をや
つて
お
つたの
ですから、もちろんそういうことをある程度扱
つて
おつただろうという想像は十分いたします。
甲斐政治
682
○
甲斐
委員
この点については、私は単なる想像でなくして相当のお話を
平野
さんが聞かれおるものといろいろな点から推測をするのでありますが、いずれまたこれは別の機会に譲ることにいたしまして、最後に、私は、これはむしろ
委員長
に申し上げてお願いをしたいと思うのですが、実は昨日私は久しぶりに新宿の人ごみの中に出たのでありますが、そこでふと、映画館から出て来て群衆の中におりましたときに、
保全会
という言葉が耳についたので、注意をして見ますと、四十かつこうの紳士と二十過ぎの青年が話をしておるのであります。
保全経済会
云々——少し距離が遠か
つたの
で、わかりませんが、その言つたうちの
一つ
のもの、なあに
伊藤
に一服盛ればおしまいだよ。——あとで考えてみまして、私は実は愕然としたのであります。昔わが国でも、まだ未発達の時代でありますが、生き
証人
の口をふさぐために一服盛られたということを聞きますし、お隣りの中国でもそれが相当あつたことを私は知
つて
おりますが、今日こういうことがあり得べからざるものとは存じます。しかし、民衆の間に、国民の中にそういう声が起るということは、われわれの政府に対し、国会に対してはもちろんでありますが、司法権に対してすらもこういう疑惑がわいて来ているのであ
つて
、非常に愕然としたのでありまして、心打たれました。
従つて
、私は、この問題の本
委員会
あるいは国会における取扱いにも、こういう点に思いをいたされまして、慎重に周到にお運びを願いたい。今日までいろいろの人の名前が出ましたけれども、これは決して犯罪をすでに予定するということはできないもので、こういう人々にはお気の毒だと思います。しかし、事実そういうことがあつたならば、私どもとしては国会の権威のために断固とした態度をとらなければなりませんが、同時に、今申し上げたところの一服盛ればいいのだというこの声を、私ども深く心にとめたいと思うのであります。そうして、願わくば、もし
伊藤斗福
君が何らかの不慮のことによ
つて
死ぬというような事態でも起りましたならば、国民の疑惑はますます高まるのみでございます。この問題が波及するところ大きければ大きいほど、そういう事態が起つたとき、国民は
払い
切れない疑惑を存して政府や国会、司法権を見るのでございますから、そういう点についてもしかるべく
関係
箇所にある程度の申入れをなさるとかなんとかいう措置をお願いして、
伊藤
君その他
関係者
の保護に遺憾なきを期するようにしていただくようにお願いしたい。
塚原俊郎
683
○
塚原委員長
よくわかりました。——
中野四郎
君。
中野四郎
684
○
中野
委員
たいへん時間もおそいことでありますし、もう古くから
平野
さんの
政治
経歴
を知
つて
おります私ですから、よけいなことは伺いません。率直に伺いますけれども、この再建をするにあた
つて
二派あつたですね。一派は、いわば非常に恫喝的に、政党献金
政治
献金等をばらすぞ、すみやかに立法化をしたらどうだというような強硬派と、それから一面の方では、あなた方のように、まじめにこれを別な構想のもとに再建しようという派とあつたことは、もう歴然たる事実です。それがゆえにこそ、御承知の
通り
、まことに奇怪な
文書
が二度も配られておるのです。そこで伺いたいのですが、あなたは
三浦義一
君や兒玉君、あるいは山崎君とか高源君、これはどちらでもよろしゆうございますが、この再建について御相談に
なつ
たことがありますか。いろいろ話し合つたことがおありになりますかどうか。もしありとすれば、これは相当具体的な問題が含まれておると思うのですが、これについて御承知の範囲を御説明願いたいと思います。
平野力三
685
○
平野
証人
先ほど申し上げたように、
三浦義一
さんには直接再建の問題で会つたことはありません。兒玉譽志夫君、
山崎一芳
君には会つたことはあります。
中野四郎
686
○
中野
委員
これは、あなたの古い
関係
から、三浦さんとは非常にお親しいのでもあるし、それから兒玉君は昨今の人ですからとにかくとして、しかし、あなたが農林大臣就任当時から茂木久平君の家を中心にいろいろと各方面の人と会
つて
おられることも私は承知しているのですが、そこで、問題は、この問題でこの兒玉君らを中心として、大分一部においては、ある財閥——財閥という言葉が当らなければ某銀行方面の資本力をバツクとして、もう
伊藤
はだめなんだ、こう
なつ
て来れば現在の
保全経済会
を何とかその方面でひとつとる、という言葉が悪ければ把握したいという考え方に基いて相当な動きがあつたと私は思うのですが、この点についていろいろお話が出たか、どうか。 それから、もう
一つ
ついでに伺
つて
おきたいのですが、これには相当脅迫あるいは暴力的な行動が見えているのです。現に望月京一君が兒玉譽志夫君宅において逮捕されたときにおいては、その身辺にどういうような場面が起
つて
もその万全を期する意味で、ピストルを一ちよう、あるいは実弾数十発のものを持
つて
おつた事実も現われているのですが、これはやはり今申し上げたような問題の裏づけとなる問題でありますから、もしお許しを願えるならば、ひとつ具体的に、いろいろな兒玉君やあるいは高源君、山崎とお話になりました
内容
等について、再建の方途についてどういうようなお話をなすつたか、御
証言
を願えればけつこうだと思うのですが。
平野力三
687
○
平野
証人
先刻申し上げた
通り
に、兒玉譽志夫君、
山崎一芳
君と
休業
後会いましたが、私と会う前に、兒玉君、山崎君がどういうことをや
つて
おつたかということは、これは想像はできますけれども、知らないこんなんですから、これは想像を申し上げることは差控えさしていただきます。山崎君、兒玉君と会
つて
からのことは、先ほど申し上げた
通り
に、
伊藤
は財産を
出資者
に投げ出すべきだ、そこで兒玉君も
顧問
のわれわれの言うことに同調して、
伊藤
の財産を投げ出すことに大体賛成して、賛成したから会つた、こういうことになるであります。御指摘の二派あ
つて
、つまり強力に立法化して、怪
文書
を出してでも何でもしてやろうという運動が、だれらに根源があつたかということは、これは想像になりますので、私もちよつと
証言
いたしかねるのです。ただ、私どものやつたことは、先ほど申し上げた
通り
に、財産を……。こういうことでひとつ御了承願いたいと思います。
中野四郎
688
○
中野
委員
ごもつともだと思います。これは相当重大な問題でありまして、本問題をば追究する上において一番大きな問題に
なつ
て行くだろう、別の過程においてこれは発展して行くと思います。これはあなたも相当御承知の問題が多々あるのですが、ただ推定論をここで私が
証言
を求めることの方が無理かもしれません。またその及ぼす影響は政党の献金などと違
つて
実際上に相当影響があることも考慮に入れられてのこともわかるのであります。 そこで私はきわめて簡単に箇条的に伺うのですが、あなたは株主相互金融会から何か相談を受けたことがありますか。あるいは何か金を受取
つて
おられる事実がないか。その
金額
の多少にかかわらず伺いたいと思うのです。
平野力三
689
○
平野
証人
私は株主相互金融のいかなるものにもまつたく
関係
はありません。なお、
保全
経済については先ほど申し上げたようなわけでありますが、類似機関として他のものにも私自身は全然
関係
ありません。いわんや金銭をと
つて
おりません。
中野四郎
690
○
中野
委員
これは間違いないですね。株主相互金融会ですよ。誤解のないようにしていただきたい。私がこれを突如
伺つたの
には根拠があ
つて
伺
つて
いるのですが、記憶がないならけつこうです。 それから、あなたは電通の木原通雄君と会見されてこの再建案について協議されたときに、兒玉、山崎を中に入れて協議しておられるはずですが、その場合にどういう話をなす
つたの
ですか。少し具体的にお話願えませんか。
平野力三
691
○
平野
証人
前に電通の木原君に会つたことはあります。これは、兒玉君、山崎君、木原君は、三人とも一体として、
一つ
の考えとして会つたというわけです。
中野四郎
692
○
中野
委員
そこで、
保全経済会
からあなたは借金をどれくらいしておられますか。失礼な言い方ですが、手形や
現金
、いろいろな形がありましようが、どれくらい現在あなたはあると想定できますか。つまり、先ほどの御
証言
を聞いておりますと、いやそれは書類を見なければなわからぬとおつしやるのですが、そうでなく、何十何円まで私は伺おうとは思いませんが、大ざつぱに見積
つて
、あなたがいわゆる借入金としておられますものはどのくらいあるかということを伺いたい。
平野力三
693
○
平野
証人
私が借金としておるのは、百十幾万の自動車の金が借金に
なつ
ておりますが、それ以外に手形とかその他いろいろなもので借りておる借金はありません。
中野四郎
694
○
中野
委員
そこで、融資のごあつせんをなすつたことがあるかどうか。あるいは
出資
のあつせんをしたことがあるかどうか。あるとしたなれば、いつごろで、幾らくらいの
金額
であるということを御説明願いたい。
平野力三
695
○
平野
証人
保全
経済の
休業
以前に融資のあつせんとかあるいは投資の勧めなどをしたことはありません。
休業
後といえどもそういうことを具体的にしたことはない。
休業
後いろいろ意見は述べましたが、そういうことはや
つて
おらぬ。いわんや、
休業
以前には経済
関係
のそういうものは全然ない。
中野四郎
696
○
中野
委員
それでは、さらに、
休業
後にあなたは
保全経済会
から何か運動
資金
あるいはそういう名目でなくても金を受取
つて
おいでになるかどうか。これはちよつと問題ですから、あなたは立法化に運動をしていらつしやるのだから、現に署名運動までなすつた経験もあるのですから、その
休業
後に金を受取つたという事実があるかないか。これはやはり国
会議
員
平野力三
と
保全経済会顧
問
平野力三
の立場もありましようけれども、やはり議員が議員の職責を通じて金銭をとつたとらぬということになりますと、やはりここは問題の焦点に
なつ
て来る。だから、
休業
後に金を受取つたことがあるかどうか、この点を伺いたい。
平野力三
697
○
平野
証人
休業
後はまつたくありません。
中野四郎
698
○
中野
委員
そうではないようなんですがね。あなたのお手元へおとりにな
つたの
は、二十八年の十月末、すなわち十一月の初めごろに、多少の
金額
にかかわらず金を受取
つて
おられる。先ほど来、早稻田君にしましても
松本
君にいたしましても、両君の
証言
を求めましたが、
休業
前はとにかく、
休業
後には一切さような金は受取
つて
おらぬと言うのです。そうして、当然
顧問料
等は払われるわけもないし、そういう金ももらえるわけもないのですからもら
つて
おらぬと言
つて
おられる。ところが、
平野
さんに限
つて
、二十八年の十月二十四日に幾ばくかの金を受取
つて
おられるという証書があるのですが、これはうそなんでしようか。
伊藤
はうそつきなんだからというのでうそなんでしようか。あるいはほんとうなんでしようか。この一点を伺
つて
おきたい。
平野力三
699
○
平野
証人
休業
後金を受取つたことは絶対ありません。それは、もしそういうことがあれば逆で、それから、十月二十四日に
顧問料
を五万とついておるようですが、あれは二十四日の午後突如として
休業
したのでありますから、その日の日付でついてお
つて
も、それは
休業
後とつたということは絶対にありません。これはちよつとつけ加えて申し上げておきますが、いかに何でありましても、
休業
後
保全経済会
から金をとるというような考え方は、
平野力三
、失礼でありますけれども考えておりません。それははつきり申し上げます。
中野四郎
700
○
中野
委員
そうなくてはかなわぬと思いまするが、そこで、もう一点だけ聞いておきたいのですが、これはまことにつかぬことを伺うのですが、
伊藤
君は非常に品行方正な人だということがうわさに乗
つて
お
つたの
ですが、今度調べてみると、何号さんか知らぬが、おめかけさんが四人もあ
つたの
ですが、宮澤、金子、古田、京都の山形屋とあるのですが、
調査
によりますと
平野
さんはこの人々と同じ場所で
伊藤
といろいろお話をなさつたことがあるように出ておりますが、そういう事実はあ
つたの
でしようか、どうでしようか。この四君のうちいずれでもかまいませんが、いつごろどこで会つたか。このお話はあとでこの四人を
証人
として食い違いを生じても困りますから、どうかこれだけお答えを願いたい。
平野力三
701
○
平野
証人
休業
後会つたことはありますが、今御指摘のような、
伊藤
のそういう、何といいますか婦人の方というようなことは、私は一向不得手で、知
つて
もおりませんし、そういうところで会つたとは記憶しません。
中野四郎
702
○
中野
委員
そうしますと、古田、金子、宮澤というのは、——京都の山形屋という人は別でありますが、他の三人はいずれも
保全経済会
の
伊藤
君の秘書というような形で部屋に終始出入りしてお
つたの
でありまするが、この人人がやはりあなたと
伊藤
君との話の
内容
について少し知
つて
おられるような傾向があるのですが、やはり場所はどこか知りませんが、
伊藤
と同席の上で何か話合いをされたことがあるのでしようか、ありますまいか。この一点だけ伺
つて
、私は質問を終ります。
平野力三
703
○
平野
証人
私は、
伊藤理事長
とその部屋でよく会つたことがありますので、その部屋にだれか人がおつたこともないことはありません。しかし、御指摘のような婦人
関係
のことはよく知りません。
中野四郎
704
○
中野
委員
それはそうでしよう。あなたもきらいな方でしようから。 それで、ここに怪
文書
——これは各代議士みんなに来たのですが、怪
文書
と言
つて
ははなはだ言い方が悪いかもしれませんが、ごらんにいれます。 〔
証人
に書類を示す〕 これをあなたがお受取りに
なつ
たことがあるかどうか。一枚中をおいて二枚ですが、ごらんに
なつ
たことがあるかどうか。ごらんに
なつ
たとすれば、当時これはどこから出たものであると想定をなさいましたか。あるいは当時あなたの気持はどうであつたかということを聞きたい。またほかに
日東通信社
の号外もありますし、他にプリントしたもので四枚にわたる
内容
を詳細に書いた手紙が私のところに来ておりますが、これは今日ここでお尋ねすべきではない。明日廣川君に聞こうと思
つて
おるのですが、この点をひとつ御説明を願いたいと思います。
平野力三
705
○
平野
証人
この
文書
は、私の家にも郵送をして来て、たしかに見ました。しかし、私もこれが当時どこから出たかということはよく判断できませんでした。
中野四郎
706
○
中野
委員
先ほど政党献金の点でいろいろお話が出たので、きようあなたが明快に、しかもこういうように大胆率直な御説明をなさつたことに私は敬意を表しておる。池田君のところ、あるいは廣川君、あるいは私の方の重光、大麻なんというのに金が行つたということまで御
証言
をなさつたんですから、しかも相当の
内容
にもタツチをしていらつしやると私は拝察しておつたんですが、しかも再建方途にあた
つて
は非常にデリケートな問題のあることは、私がここで説明するまでもない。あなたも御想像していらつしやるはずです。また事実知
つて
おいでになる点もあるのです。
従つて
、この
文書
がいかなる意味をも
つて
配られたかということは、一見すればすぐわかることなんです。これは国会に対する
一つ
の圧力なんです。か
つて
の政党献金をし
政治
献金をして立法化を頼んだという裏づけをそこに証したものとも、先ほどからのあなたの
証言
に律して私は考えるのであります。そう
なつ
て参りますと、その
文書
を出したグループというものはおよそ御想像がつくはずであります。だから、少くともあなたが自分の考えで、どこからこういうものを出したか、出したことがよかつたか悪かつたかという結論はいざ知らず、大体の御想像はつかぬでしようか。
平野力三
707
○
平野
証人
どうも、想像を
証言
することは、先ほど来……。
中野四郎
708
○
中野
委員
ただ感じだけでけつこうです。
平野力三
709
○
平野
証人
差控えたいと思いますが、この種のものが当時出たときの私の感想を率直に申しますれば、それはあなたの想像と大体同じなんです。(笑声)
塚原俊郎
710
○
塚原委員長
田渕
光一
君。
田渕光一
711
○
田渕委員
先ほど来の
中村
委員
と
証人
との間の質疑応答、並びに先ほどの
甲斐
委員
の懇切なる御熱意あるお言葉等を勘案いたしまして、私は
一つ
提言をいたします。この
事件
は目下捜査当局の手に移
つて
おりまするが、大体逮捕令状あるいは捜査命令は外国為替管理法違反ということで、はつきり確証を握
つて
当局は身柄を拘束し、家宅捜索を執行し、あるいは
全国
二百四十何箇所を二日間にわた
つて
家宅捜索し、証拠をあげております。本人もすでに拘置所に移され、
検事
勾留を過ぎて判事勾留に
なつ
ているやに伺
つて
おりますが、この詐欺
事件
あるいは外国為替管理法違反
事件
の捜査上一向関連のない政党献金というものについて——先ほどの
甲斐
君のお話を伺いましても、人生のことはあすがわからない、今夜のことがわからないのであります。かような意味におきまして、まずこれを裏づけるために、
平野
証人
は
伊藤
から聞いたのである、こういうお話でありますが、この
伊藤
がはたしてそういうことをや
つたの
かどうかということの事実をとるためには、緊急を要しますので、廣川弘禪君を呼ぶ前に、まずこの
伊藤
君を当
委員会
に喚問して、
平野
さんのおつしやつたことが、聞いたことが事実であ
つたの
か、あるいはまた、捜査当局が兒玉譽志夫君のうちの居室で、つまり望月京一君を逮捕するときに、その席からピストルが出ているのでありますが、こういうなようなあらゆるものがあつたために、あるいはそれらのところでこういうことがあ
つて
、向うは立法化で行くと言
つて
この
出資者
に資財を投げ出すことを拒否したのかどうか、そのような重大な問題と、緊急性がありまので、まず廣川
証人
を呼ぶ前に、駒井君が病気らしいですから、ひとつ
伊藤
氏を呼んでもらいたい。こういうことを提言しておきます。 それから、これはぜひともはつきりしなくてはいけませんが、一服盛ればよいというようなこと、あるいは捜査の最中において、兒玉君のうちの望月君の居室からピストルが出ているのでありますから、こういうことを考えまして、事が非常に重大でありますから、もし
理事
会をお開きになるならば
理事
会をお開きに
なつ
ても、さつそく今明日中に調べていただき、そうして本人の身柄に対しては厳重な監視をつけて
調査
をしなければならぬ。この点、お願いするのであります。 その点において、ただいまの
中村
委員
と
平野
証人
との間の問答が、かりにもしそれがうそといたしますならば、革新派の陣営にあるところの、しかも農民階級を基盤とするところの
平野
君が、こういう大きな四十億のしでかしをしたそのとばつちりを——こういう保守陣営に献金したというようなことが
伊藤
のまつたく根も葉もない虚言としたならば、これは重大問題であります。改進党の重光君にいたしましても、大麻君にいたしましても、わが党の佐藤君にいたしましても、池田君にいたしましても、重大な問題でありますから、これはもちろん明日の
新聞
にも出るでありましようけれども、明日即刻に開くことを、これはもちろん動議として出してもよろしゆうございますけれども、動議でなくても、当然言うべきであろうと思うのであります。 そこで、
平野
さんに伺うのでありますが、かようなことを、もし
伊藤
が、実はこういうからくりがあるためにあなたに心ならずも言つたと言う場合においては、こういう重大なことに対してあなたはどういう責任をとられるかという点をひとつ伺
つて
おきます。
平野力三
712
○
平野
証人
私は、実は、先ほども申し上げたように、人の名前をさしたり、金の話が出るようなことは、いくら
証人
でも、私の
政治
生活として実は言いたくなか
つたの
です。また、ここへ出るまでは、そういうことに触れないということを念願しながら来たのであります。しかし、
委員長
からも御注意があつたように、やはり知
つて
おることを隠すわけには参らぬ。
中村
君の質問も、るる人もあげ、金もあげてのお話。率直に言えば、
伊藤斗福
君が十一月の上旬私に話したのですから、これはうそを言うわけには行かないから申し上げたのであります。
従つて
、そこは、私の責任を今ここでお問いになるということより、まず事実をほんとうにお調べになることの方が先であります。私は、本問題についての責任は、繰返して申し上げますが、実際すべて恐縮いたしております。
事件
のほんとうの結末がついたときに、私がどうするかということは私みずからの判断においていたしたいと思います。これが責任であります。
田渕光一
713
○
田渕委員
そこで、立法化の問題は努めてタツチしなかつたとおつしや
つて
おるのですが、あなたは、この国会内においていわゆる立法団、つまり
保全経済会
の
出資者
の陳情団と同席され、あるいは同時にたすきをかけられてこの立法化の促進運動をするのに御活躍なさつたと伺
つて
おりますが、こういうことがございましようか。
平野力三
714
○
平野
証人
これははつきり申し上げておきますが、
保全経済会
の当事者が、大蔵
委員長
、法務
委員長
、衆議院
議長
に陳情に参りましたときに、私は案内をしました。しかし、そのときに、はつきり私が当事者
諸君
に言うておつたことは、ぼくは
伊藤理事長
のいわゆる立法化運動というものには賛成しておらぬのだ、
従つて
、案内だけはする、しかし、案内をして、あなた方が
委員長
に会
つて
いろいろなさることは御自由だが、自分はそれに賛成するものではない、かように言
つて
おります。それから、現に請願書等もよこしておりますが、私は署名しておりません。これは、どうもだれか案内人をつけなければならぬという話でありましたので、案内だけを私はして来た。これは
委員長
にお聞きに
なつ
てもよくわかります。同時に、念のために申し上げておきたいことは、その前に、
委員長
に陳情者を会わす場合に、私は
会社
案がよいということを念を押して当事者に言
つて
おります。
田渕光一
715
○
田渕委員
立法化を求めることは、
伊藤
君もそうであり、また
出資者
もそれを何してお
つたの
でありますから、つまりその
出資者
の団体と、あなたがたすきをかけて立法化促進運動の先駆をとられたということに対して、あなたは立法化にまつたくタツチしておらぬのだ、第二
会社
案に対しては
松本
博士の言うところに乗
つて
おるのだけれども、私は立法化するということは全然言
つて
おらぬのだとおつしやるのであります。しかし、実質において、国会内においてその陳情団の紹介をしたにすぎないと申しておりますが、いわゆる
保全経済会
の立法化促進陳情団のたすきをかけた方々と一緒におられたということについて、第三者は一体どうとりますか。
衆議院議員平野力三
氏と見るか、あるいはこの
保全経済会
の最高
顧問
である
平野
君が立法化するために来たのだというように相手方は見ると思うのでありますが、あなたの御心境はいかがでありますか。
平野力三
716
○
平野
証人
御判断は
田渕
さんにおまかせするよりいたし方がありませんが、私はたすきなどかけておりません。議員であるので、一般論であ
つて
、自分が、たとえば選挙区等から陳情が出て、そのことに同意していないような問題であ
つて
も、どこそこで会わせろというような場合は、議員の任務として御案内をするという程度までは、これはやむを得なかろう、こう思
つたの
で、私はあくまで、自分が立法化運動をやつたとは思
つて
おりません。 〔「動議はどうする」「動議とすればぼくの方に異論がある」と呼ぶ者あり〕
塚原俊郎
717
○
塚原委員長
申し上げます。
委員長
はあれを動議として受取りませんでした。山中
貞則
君。
山中貞則
718
○山中(貞)
委員
先ほどからの質問の及ばなかつた点、及びもつと聞きたい点について二、三簡単に御質問を申し上げます。 まず第一に、
証人
は
保全経済会
所有のビルを有償で借りておる、こういうふうに言われたのでありますが、家賃は
保全経済会
にお
払い
に
なつ
ておりまするかどうか、お伺いをいたします。
平野力三
719
○
平野
証人
それは、私もこのビルを買うときに百万円出しておりますので、それを差引くというわけでもありませんが、賃料はまだ納めておりません。
山中貞則
720
○山中(貞)
委員
差引くという考えで納めておらないということでありますが、家賃については、月ぎめ幾らというとりきめは最初行
つて
いらつしやらなかつたわけでございますか。
平野力三
721
○
平野
証人
契約書には月五万円と
なつ
ております。
山中貞則
722
○山中(貞)
委員
次に、
証人
はただいまのビルの一部を東邦硫黄に転貸しておられるそうでありますが、それは
保全経済会
と了解の上で転貸しておられるか、あるいはまた
平野
証人
自体で転貸されて、権利金あるいは家賃等を
平野
氏自体でおとりに
なつ
ておるかどうかをお聞かせ願いたいと思います。
平野力三
723
○
平野
証人
これは、
伊藤理事長
から、そのビルの管理ということもございますが、賃借をしておるわけであります。私が返すまでは自由採量、こういうことでや
つて
おります。
山中貞則
724
○山中(貞)
委員
そうすると、転貸したことによ
つて
生ずる
利益
、すなわち権利金あるいは家賃というものは、
平野
証人
自体が
個人
の収入としてお受取りに
なつ
ておるわけでありますか。
平野力三
725
○
平野
証人
その点はまだ厳密にはつきりいたしておりませんけれども、大体私がそのビルを賃借しておる間は私が自由にしていい、かように考えております。
山中貞則
726
○山中(貞)
委員
次に、
証人
は
保全経済会
の自動車を使
つて
おられるわけでありますが、それの代金については、
保全経済会
から借りて、もしくはもら
つて
乗
つて
おるのではなくて、百五十万円を借りてその自動車を購入し乗
つて
おるのだ、こういうふうな微妙な表現があ
つたの
であります。そのお借りに
なつ
た百五十万円の金をお返しに
なつ
て、いわゆる返済しておられますれば、そういうことが言えるのでありますが、返済しておられないとすれば、実際上は
保全経済会
の自動車をもら
つて
乗
つて
おるということに
なつ
て来るわけでありますが、百五十万円はお返しに
なつ
ておるかどうか、お聞きいたします。
平野力三
727
○
平野
証人
それは返しておりませんが、その自動車は、私自身の活動上必要なものとして、現在乗
つて
おるわけであります。
山中貞則
728
○山中(貞)
委員
ということは、
政治
家
平野力三
氏として必要なのか、あるいはまた
保全経済会
の
顧問
平野
氏として必要なのか、そのいずれでありますか。
平野力三
729
○
平野
証人
もちろん私
個人
として自動車がひつようなのであります。
山中貞則
730
○山中(貞)
委員
個人
としてということでありますが、ところが今度は、
顧問料
というものが、武井さんまで含めて四人でありますが、いろいろ段階がついております。すなわち、武井さんが九十万。
松本
さんが百三十九万。早稻田さんが百十五万。
平野
さんが三百十八万、これに加うるに、先ほどの
内容
のビル、もしくは先ほどの
内容
の自動車、あるいはそのビル等に使用する物件、そういうもの等を提供されておるということは、
金額
が一番大きい上に、さらにそういう便宜を提供せられて、いわゆる
顧問
としての待遇の段階差が非常にはなはだしい。
従つて
、
平野
証人
は今、
個人
として必要だから、こう言われたのでありますが、私どもとしては、明らかにこれはいわゆる
保全経済会
の
顧問
グループの中で
平野
氏が最も大きな立場にあり、あるいはまた大きな動きを示されるために必要として提供されたものというふうにしか受取れないのであります。事実、午前中に呼びました
松本証人
は、私は
平野
代議士あるいは早稻田代議士のようないわゆる重要な
顧問
と違
つて
、まつたく名士でも何んでもないものでありますから、こういう表現等もなされておるのであります。
従つて
、この段階差が非常にはなはだしくて、ことに
平野
証人
に特別の便宜が提供されておることは、単に自動車のみならず、あなたに対して
保全経済会
あるいはそれを代表する
伊藤斗福
というものが非常な信頼感を置いておつた、こういうようないわゆる信頼にこたえるために、あなたも
顧問
グループの中では最も動かれたというふうにわれわれは了解しなければならぬと思うのですが、おさしつかえありませんかどうか、お伺いいたします。
平野力三
731
○
平野
証人
これは第三者の御判断にまつ以外にないことでありまして、運不運とか、多過ぎるとかいう判断については、私としては大体適当であろうと思います。
山中貞則
732
○山中(貞)
委員
顧問
の本人が適当であるとお考えに
なつ
ているようでありますから、われわれ第三者は何をか言わんやでありますが、しからば、その三百十八万円については、所得税の申告は正当なる手続をも
つて
しておられるかどうか、お伺いをいたします。
平野力三
733
○
平野
証人
これは、
保全経済会
の税務署と折衝をいたします係員が源泉で税金をはつきり払
つて
おると承知いたします。
山中貞則
734
○山中(貞)
委員
ところが、この書類によりますると、
顧問料
に対する申告納税の手続については、現在の
調査
段階では申告されておらないというふうに
なつ
ておりまするが、そういうことになりますと、これは脱税ということになりますが、そこらのところはもう少しはつきりなりませんか。
平野力三
735
○
平野
証人
この点は、
保全経済会
にも日本橋の税務署と常に折衝をいたしております税の担当者があつたわけでありまして、その担当者に、脱税等のことがあ
つて
はならないということはよく注意をいたしておりましたから、万間違いなくや
つて
おるものを承知いたしております。
山中貞則
736
○山中(貞)
委員
もしや
つて
おらないとすれば問題でありまするが、そういう問題については、確信をも
つて
や
つて
おると信じておられますかどうか、お伺いをいたします。
平野力三
737
○
平野
証人
もちろん、先ほど来
委員長
のお問いの中にも若干明確を欠いたお伺いもあつたように、
帳簿
自体の中に、われわれそうは思
つて
お
つて
も、あるいはそうでないというような場合もあつたり、その係員は、源泉で税金を払
つて
おります、こう言
つて
いるのだから、こつちは払
つて
おると思
つて
いるのです。いよいよ投資者団体がいろいろな管理をしてみて、そういうようなことがなかつたというような場合があるとすれば、それはそのときに十分考えなければならぬ問題である。しかし、私としては、はつきり払
つて
ある、かように考えております。
山中貞則
738
○山中(貞)
委員
先ほど
証人
は、他の
政治
家を
伊藤斗福
または
保全経済会
に紹介したことはないというはつきりした御答弁であ
つたの
でありますが、それに付随して、小平忠
衆議院議員
が北海道通信機株式
会社
の株券四千株を金二百万円で
伊藤斗福
に買わせているけれども、この事実に
関係
はないかという質問に対しては、よく知らないが、それは本人同士の話合いでや
つたの
ではないか、こういう話でありますが、知らないということなら、本人同士の話合いがあつたかどうか、あるいは株券四千株が二百万円で取引が行われたかどうかということ自体も知らないはずでありまして、本人同士で話合いが行われたのではないかと言うのは、
平野
さんは知
つて
おられる証拠ではないかと思うでありますが、事実知
つて
おられないかどうか、再度お伺いをいたします。
平野力三
739
○
平野
証人
この点は小平君と
伊藤
君との話できまつたことでありまして、私はその
内容
には直接タツチしておらないのであります。それではそういう事実を全然知らぬかとおつしやれば、それはその後雑誌に出たこともあるし、また小平君も
伊藤
君に会つたことがあるというくらいのことは知
つて
おるのですが、そのこと自体に私が仲立ちして、私がバツクしたというものではないのです。
従つて
、さようにお答えした。
山中貞則
740
○山中(貞)
委員
ただいまのお答えの中にありましたが、もう一ぺん念を押してお聞きいたします。小平忠君が
伊藤斗福
とこういう株の取引をするまでの
関係
を生じたことについて、あなたは全然関与しておられないかどうか、お伺いをいたします。
平野力三
741
○
平野
証人
先ほど申し上げたように、全然というような言葉になれば、私は小平君も
伊藤
君も知
つて
おるのですから、その点については全然知らぬのじやないというお答えをしたつもりであります。しかし、そのこと自体に私が中へ入
つて
それを操作したのではない。
山中貞則
742
○山中(貞)
委員
私の言うのは、この質問をする前段として、
証人
は、他の
政治
家を
伊藤斗福
または
保全経済会
に紹介したことはないかという質問に対しては、ないと言われる。ところが、その次の、いわゆる先ほど申し上げました事実については、全然知らないことはない、こういうことでありますが、私の言うのは、その事実、——
内容
を知
つて
おるかどうかでなくて、小平忠君が
伊藤斗福
にこういう
内容
の取引ができるまでいわゆる親しくなるきつかけと申しますか、会うためにはぽかつと会うわけには参りませんから、そこらの、会わせる意味でなくて、あるいは紹介する意味でなくて、会つたということについてあなたが何らかの動きをしたか、あるいは中にはさまつた立場にあつたかどうかということをお聞きしておる。
平野力三
743
○
平野
証人
これは先ほど
証言
いたしました程度で御判断を願いたいと思うのですが、
政治
家を紹介したことがあるかどうかという問いだつたから、はつとして、
政治
家を紹介したということはその人間について何かしたかということになりますので、
委員長
の問いにちよつと間違
つて
答えた。お問いの方が、ああいう事実をどうだこうだというので……。裏から言えば多少知
つて
おるけれども、その結論は
伊藤
君と小平君と二人で話合いがついた、こういうようにお答えすればよか
つたの
じやないかと思います。
山中貞則
744
○山中(貞)
委員
最後に、その問題でもう一ぺん念を押しておきますが、小平忠君はあなたの口ききもしくは紹介、仲介等によ
つて
保全経済会
ないし
伊藤斗福
なる者に
関係
がついたという事実は断じてございませんか。お伺いをいたしておきます。
平野力三
745
○
平野
証人
それは
伊藤
君の判断でもあるし、それから小平君といえども
衆議院議員
であり、北海道における相当の人ですから、それくらいのことは必ずしも私が紹介しなくた
つて
いい。 この際一言申し上げておきたいのですが、元来
伊藤
君という人は、人がただ紹介したからというようなことでそう簡単にものをどうこうする人じやなかつた。これは小平君のことじやない。一般のことについて。ですから、私はそういうふうに申し上げたのであります。
山中貞則
746
○山中(貞)
委員
次に進みます。先ほど
中村
委員
の質問に答えられまして、非常に詳細にかつ具体的に、各党に対する
伊藤斗福
の手を通じた
保全経済会
の
政治
献金の事実を聞いたという話を
証言
されたわけでありますが、その事実の
調査
はいずれ後ほど待つといたしまして、では、そういう事実を承知されておりまする
平野
証人
は、そういう目的をも
つて
献金されたいわゆる
政治
献金が、立法化という目的に向
つて
どういう役目をなしたか、あるいはなしつつあるかという点については、どういうふうに観察しておられますか、お尋ねをいたします。
平野力三
747
○
平野
証人
これは、繰返し申します
通り
に、私の想像や判断を加えて申し述べたくないことであります。つまり、そういうことを聞いたというだけのことを申し上げた。どうもそれ以上私に、その金がどう使われたと思うかというような判断まで
一つ
の
証言
をお求めに
なつ
ても、ちよつとお答えしなくてもいいんじやないか。
山中貞則
748
○山中(貞)
委員
私の質問が足りなかつたらあやまりますが、私の言うのは、そういう意味ではなく、どういうふうに動いたかじやなくて、そういう金が政党の権威ある立場の人々の手を通じて一定の目標を持
つて
献金されたならば、その金の効果つまりそういう金が献納されたことに対する事実というものが浮び上
つて
来なければなりませんが、そういう立法化への目標に向
つて
の具体的な動きを、その金が納められたことによ
つて
あなた自身がはだで感じられたかどうかということです。いわゆるあの金のきき目が出て来たなと思われるようなことがありましたかどうか、お伺いをいたします。
平野力三
749
○
平野
証人
それは、繰返し申し上げておるように、
伊藤斗福
の立法化という決意があまりにも牢固であつた。そのことがあるいは先ほど申し上げたようなそういう事実の上に非常に強固であ
つたの
ではないかという、そのことを
伊藤
と私との問答の間に感じたので、私は申し上げた。私は、その金がどう
なつ
たとか、こう
なつ
たとかいう判断をここで
証言
する必要はない。
山中貞則
750
○山中(貞)
委員
では、もう一ぺん別な角度から伺いいたしますが、国会の中に現在立法化、いわゆる
保全経済会
の希望する方向への立法化の動きがあるとお考えになりますか、ないと御判断になりますか。
平野力三
751
○
平野
証人
それは、大蔵
委員会
におきましては、こういう特殊金融機関についてのいろいろな御研究がなされており、またときどき
新聞等
においても発見されておることでありますので、大きな抽象的な意味におきましては、やはりこういう特殊金融機関がつぶれたことについての原因を究明し、今後何らかの立法措置を考える、こういう議員の方は相当おありになるのではないかと思います。
塚原俊郎
752
○
塚原委員長
長谷川君。——長谷川君に申し上げますが、時間も大分経過しておりますから、簡単に、重複しないようにお願いいたします。
長谷川峻
753
○長谷川(峻)
委員
証人
が第二
会社
案というものを考えられまして以来、今までお会いに
なつ
た
政治
家、それをひとつ。たとえば大蔵
委員長
、法務
委員長
、それらにお会いに
なつ
たというお話がありましたが、先ほどまでにずつと話の出た献金
関係
の
政治
家などにお会いに
なつ
たことはありませんか。
平野力三
754
○
平野
証人
会つたことはありません。
長谷川峻
755
○長谷川(峻)
委員
廣川さんにはお会いに
なつ
たことはありませんか。
平野力三
756
○
平野
証人
会つたことはありません。
長谷川峻
757
○長谷川(峻)
委員
この際にお尋ねしたいのですが、
証人
は私の大学の先輩でもあり、しかも農民運動のために岐阜県から山梨県に来られてあれだけの農民組織をや
つて
来られた、その
政治
力、組織力に対して非常に尊敬しておるのであります。ところが、今度のこの
保全
経済においては、四十五億の金が集ま
つて
、約二十八億の金がほとんど損失に
なつ
て、しかも
証人
の先ほどからの
証言
を聞いておりますと、
休業
に至るまでは何ら
顧問
団において横の連絡もなかつたというふうに伺
つて
おりますが、それを再確認してよろしゆうございますか。
平野力三
758
○
平野
証人
顧問
団
会議
というものをやつたことはなかつた。
長谷川峻
759
○長谷川(峻)
委員
私はきのう山形県を旅行して帰
つて
来たのですが、あの雪の山形市においてやはり
保全
経済の大きな
建物
があり、そばにまた敗戦後の時代を象徴するような新興宗教の
建物
がある。しこうして、ここに四十五億の金を集めたこの
保全
経済におい、農民組織の指導者であるところの
平野
さんの
顧問
という名前を信用して、ことに東化などでは非常に多くの被害者が出ておる。こういう実情をどういうふうにお考えに
なつ
て、将来また対策を練られて行くか、その御決心をお伺いいたしたいと思います。
平野力三
760
○
平野
証人
責任問題につきましては、先ほど自分が申し述べた
通り
の心境でございます。それから、御指摘の点は、この会の
顧問
に
なつ
たことは不明であつた、かように考えます。
長谷川峻
761
○長谷川(峻)
委員
東北の場合においては、驚くなかれ五億五千七百万円、これは青森が一番多いのです。その次は山形の一億二千九百万、宮城の一億二千二百万、これは私の手元に集まつた東北の累計でありますが、ああいう非常は貧乏しておるところの農民がやはり農民組織におけ
平野
先生の名前というものを信用してここまで来ておる。これについての道義的な責任というものをこの際にほんとうにお感じ願いたい、私はこう思うのですが、いかがありましようか。
平野力三
762
○
平野
証人
いろいろ弁解いたしたい言葉もございますが、御指摘の道義的責任はもとより痛感しております。
長谷川峻
763
○長谷川(峻)
委員
最後にお伺いいたします。今まで
平野
証人
が、ここに来られるまで、
伊藤
より重大なることを聞きながら、なぜこの問題をはつきりしなか
つたの
か。国会は
保全
経済に
関係
して非常に疑惑のまなこをも
つて
見られておつた。われわれは、国会の姿を正しゆうし、議員としての心を正しゆうする意味において、あらゆる政党を超越してここに今日の会合を開いたのでありますが、その
顧問
団においても最も中心人物であつたところの
平野
さんが、なぜ今日までこういう問題についてはつきりしなかつたか。はつきりすれば、すでに対策というものが出ていたのではないかと思いますが、この点についていかがでしよう。
平野力三
764
○
平野
証人
その点は、私がそういうことをいろいろ言うたところで問題が解決するわけのものでもないので、本日は
証人
として出たので知
つて
おることを申し上げておるということであります。
小林進
765
○
小林
(進)
委員
先ほどの
中村高
一氏の質問で落したことがあるから、あとで追加をして私に質問をしてくれという依頼をして
中村
君が帰られましたから、依頼を受けました分だけお伺いいたしたいと思うのであります。 その
中村
氏が落しました第一の問題は、
伊藤斗福
から非常にけつこうな話を聞いていただいて、この
証言
は非常に価値があつたが、同じくそのお話の中で、大野伴睦氏に三百万円を
政治
献金したという話をお聞きに
なつ
たかならなかつたか。その当時大野伴睦氏は国務大臣であつたはずでありますが、その点をひとつ御記憶を呼びさましてお答え願いたいというのが第一。 第二は、同じく池田勇人氏を
伊藤斗福
が廣川弘禪氏を通じてたずねたという先ほどの
証言
の中に、三百万円を別口にして池田勇人氏に手みやげとして持
つて
行つた、こういうことをお聞きに
なつ
たかどうかという点が第二点であります。 それから、池田邸における池田勇人と
伊藤斗福
の会談の
内容
についても、確かに概略
伊藤斗福
からお話があ
つたの
だろうから、その点もお聞きに
なつ
た程度のことをお明かし願いたいというのが第三点でございます。 それから、第四点は、同じくその池田勇人氏と廣川氏と
伊藤斗福
と三人会見いたしましたその当時、池田勇人は確かに
大蔵大臣
であつたはずだが、この点、
大蔵大臣
であつたかどうか。 以上四点をかいつまんで聞いておいてくれという
中村高
一氏の依頼でございましたから、お願いいたします。
平野力三
766
○
平野
証人
大野伴睦さんのことは、
伊藤
君からは何も聞いておりません。 それから、池田邸での話ですが、三百万円を持
つて
行つたということは別に聞いておりません。廣川氏とともに池田邸をたずねた、そこで立法化ということを頼んで了承を得た、これを彼は私に強調いたしましたので、頭に残
つて
おります。 それから、その時分池田さんが
大蔵大臣
であつたかどうかということは、私の
証言
より、ちよつと調べればわかることですから、これはどうぞひとつ……。
橋本清吉
767
○橋本(清)
委員
時間もありませんから、一分か二分、私の議事進行に関する希望を申し上げたいと思います。二点あるのでありますが、私は今日初めてこの
委員会
に出たのであります。そして、敬愛する
委員長
以下
委員
各位の真剣なる御態度に対しまして、一年生議員である私は心から感謝の意を捧ぐるものであります。ただ、他山の石といたしまして、この一年生議員が何ものにもとらわれないで二つのことをお願い申し上げたい。 第一点は、もとよりこの
委員会
の目的は、正しからざるものを正しからずとなし、正しきものを正しとするというのが任務であります。正しきものを正しからずとなし、正しからざるものを正しとするような誤りに陥
つて
はならないと思うのであります。従いまして、
委員会
の活動は、興味本位を離れて、あくまで、ものそのもの、事実そのものを直視する——そこには形容詞はいらない。名詞と動詞でいい。イエスとノーでいい。くだらないまわり道はいらない。そして、ものそのものを直視していただきたいというのが第一点であります。 第二点は、何党のだれだれがということは、この
委員会
においては必要ないと思う。綱紀粛正に政党なし、国家あるのみ。私は、できまするならば、行政監察特別
委員
の在職中は党籍を離れるのが最も理想だと思いますけれども、これは現実にはあるいは困難性もあるかと存じますが、どうぞ、敬愛する
委員長
におかれましては、この一年生議員が何ものにもとらわれないで信念を吐露いたしまするこの趣旨をよくおくみとり願いまして、今後のこの
委員会
を指導せられんことを切望するのであります。
塚原俊郎
768
○
塚原委員長
橋本君にお答え申し上げます。行政監察特別
委員会
は、御承知のように、
理事
会におきましても、
委員会
におきましても、常に超党派的な立場をとりまして行政の正悪をただしております。ことに、本日問題に
なつ
ておりますような国会に対する疑惑というような点につきましては、橋本
委員
のおつしやる
通り
であります。各人が、私から申し上げるまでもなく、超党派的な気持で
運営
されているということを私は確信いたします。その点御心配は御無用と存じます。
三和精一
769
○三和
委員
先ほどの山中君の質問に関連しますが、先ほど
平野
さんは源泉課税でや
つて
おるというようなお話でありましたが、あなた御自身から総合所得の申告をしておりますかどうか。
平野力三
770
○
平野
証人
それは、源泉を払
つて
おればよい、そういう考え方です。
三和精一
771
○三和
委員
大分認識不足のようでありますが、これは総合所得の申告をしなければならぬ。昔は兵役義務とともに二大義務と言われておりましたが、現在は兵役義務というものはないけれども、いやしくも代議士が、その重大なる義務を忘れるなどということは、これは言語道断である。
塚原俊郎
772
○
塚原委員長
ほかに御発言がなければ、
平野
証人
に対する尋問はこれにて終了いたしました。
証人
には長時間御苦労さまでございました。 本日の
証人
尋問はこれをも
つて
終了いたしました。明日の
証人
尋問の件につきまして
理事
会を開きますから、
理事
の
諸君
は暫時お残りを願います。 暫時休憩いたします。 午後八時十七分休憩 ————◇————— 〔休憩後は開会に至らなかつた〕