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1954-10-09 第19回国会 衆議院 厚生委員会 第67号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年十月九日(土曜日)     午前十時十一分開議  出席委員    委員長 小島 徹三君    理事 越智  茂君 理事 中川源一郎君    理事 松永 佛骨君 理事 長谷川 保君    理事 古屋 菊男君 理事 岡  良一君       有田 二郎君    助川 良平君       高橋  等君    降旗 徳弥君       山口六郎次君    亘  四郎君       滝井 義高君    福田 昌子君       柳田 秀一君    中野 四郎君       山口シヅエ君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 草葉 隆圓君  委員外出席者         厚生事務官         (保険局長)  久下 勝次君         厚 生 技 官         (医務局長)  曽田 長宗君         専  門  員 川井 章知君         専  門  員 引地亮太郎君         専  門  員 山本 正世君     ――――――――――――― 十月九日  委員青柳一郎君及び佐藤芳男君辞任につき、そ  の補欠として山口六郎次君及び中野四郎君が議  長の指名で委員に選任された。 同 日  中川源一郎君が理事に補欠当選した。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  理事の互選  新医療費体系に関する件     ―――――――――――――
  2. 小島徹三

    小島委員長 これより会議を開きます。  本日は新医療費体系に関する件について、大臣及び政府当局に対する質疑の通告が刈りますから順次これを許可いたします。岡良一君。
  3. 岡良一

    岡委員 私は自分が医者の体験から、また多少為政に関係しておる立場からも、現在の特に保険における医師に与えられる医療報酬というものは、いろいろないわば矛盾した積立て方をしてあるために、年中行事のよう医療担当者保険主側が利害をめぐつて対立をする、これはまことにはずかしいことでもあるし、またこういう事態をそのままにとどめておいては、いつまでたつて社会医療保険の発達は望めないというようなことを体験いたしておるにつきましても、今度政府医師専門技術に対する経済的評価というものをはつきり物対価と分離して確立しようという方針は、私は方針としては医薬分業云々という問題を越えて全面的に賛意を表しておるわけであります。ただしかしながら問題は、医薬分業に関しては明治初年の太政官令以来の問題でもあり、かつはまた保険行政の歴史から見ても三十年に近い一つの慣行を打破しようという、いわば革命的な大きな問題でありますから、これに対しては政府としてもよほど周到かつまた慎重な御用意を整えて、この問題の解決に当られなければなるまいということは申し上げるまでもないと思うわけであります。その点から、いよいよ政府の方でもこの新医療費体系というものを御提出になつて、過去一週間余にわたつてそれぞれつぶさに同僚委員諸君もその内容等についての検討を重ねられ、また関係団体の代表の適切な御意見も承ることができたのでありますが、しかしどうもこれまでの御審議検討過程では、私としては納得いたしかねるような点が四、五ありまするので、この点率直に政府の御意見を承りたいと思うのであります。従いましてときには大臣の御答弁、ときにはまた担当局の御答弁、これはどうか皆さんの方で適当にお答えを願いたいと思うわけであります。  そこで私のお尋ねしたい点を要約いたしますると、まず第一には、このように革命的な課題解決するためには、政府のとられた基礎資料、いわゆる昭和二十七年三月の医療実施面調査並びにこれを十月の調査によつて多少補正された、これだけの基礎資料でもつてこの問題の解決あるいはこの新しい医療報酬体系をつくり上げるための資料として、はたして十分であつたかどうか、この点をまず承りたいと思います。
  4. 草葉隆圓

    草葉国務大臣 お尋ねの点につきまして私からお答え申し上げます。  この医薬分業中心とした点から新医療費体系基礎となる資料が二十七年の資料だけを中心としては十分かどうか、この点につきましては、先般来それぞれ私なり局長からお答え申し上げておりまするように、これで万全だと私どもは考えておりません。しかし今とりまする方法としては、これをもつて最大の方法とせざるを得ないのであります。従つて今後におきましても、その新医療費体系による実施の行き方においてはこれが最終的なものでなく、また最後的なものでなく、どなたかの御質問にもありましたように、あるいは第一次として考え、今後さらに十分検討することには決してやぶさかではございませんが、現段階におきましては、私どもこれが最善の方法と実は考えましていたした次第であります。
  5. 岡良一

    岡委員 これまでの新医療報酬体系医薬分業との関係は、皆さんのお考えを総合すれば、新医療費体系というものは医薬分業前提とするものではない、しかし新医療報酬体系、特に薬治料にかかわる分は少くとも医薬分業前提であるという御所論であります。でありますから、私はやはり政府が非常な勇断をもつてまず新医療報酬体系を立てる、たまたまその薬治療にかかわる分については、これが医薬分離を目途として医薬分業とは不可分である、こういうふうに考えております。そこでそのような新医療費体系、いわば日本医師の利益の問題を越えて日本医療行政、特にはおそらく保険行政には至大な影響を持つ問題だと思うから、もしまたやつてみて悪ければ修正にやぶさかでないということでは、私は済まないのではないかと思います。これは私の意見であります。  そこで万全の資料を整えたと言われますけれども、私がお伺いいたしたいことは、御存じのよう昭和二十七生三月あるいは十月の調査で、しかも医療実施面調査、そうしてその調査方法を見ても、これは現在の姿をとらえるためにやつた。いわばあるべきゾルレンの新医療費体系をとるためにはザインである現在の医療費体系をとる、これが重要な参考になるということを私は否定しない。しかしこれがただ一つ資料であるということ、これては私にこの新医療費体系を革命的な課題として考える武器としては十分でない。現在あるがままの姿の医療費というものと組み合せて分析し、これを整理するということだけでは済まないのではないかと私は思う。そこに私は準備の上において、調査資料政府としては欠けるところがある、こういうふうに考えるのでありますが、この点特に当事者のお答えを承りたいと思います。
  6. 草葉隆圓

    草葉国務大臣 ごもつともな点だと存じます。現在のある姿の分析ということよりも、むしろあるべき姿の方向に向つて行くのが理想であり、また目標ではないか、私どもも実はさように考え、従いましてこれにつきましてはあるべき姿、当然そうひつぱつて行くべき方向というものは、確かに学問的にもあるいは科学的にも、一つ理想として持つべきものと考える。しかしそれは一つの見解であつて、必ずしもただちにそれが妥当なる方向に向うかどうかということには多大の問題がありますから、これらの点はよく検討はいたしましたが、現段階を飛躍的に変化させて行くということは、たといそれが理想的なものでありましてもなかなか実施の上においては困難である、従つてなるべく現状というものを考えながら現状理想にひつぱつて行くという方向が、現実の姿としては最もいいのではないか。お話のように、よくこれを検討しますと、理論的にもあるいは実際的にもお示しようなことを十分検討してみなければならないと私どもも考えておる次第でございますけれども実施の面にあたりましては、さような点を中心に実はとりましたために、現状というものを中心としてこれを分解しながら、さらにその中に理想に向つて進む段階をとつて、この段階といたしたような次第でございます。この点はどうぞ御了承をいただきたいと思います。
  7. 岡良一

    岡委員 実はこれはあとからお尋ねをしたいと思つておりますが、今大臣の御発言に関して申し上げたいのは、要するに臨時診療報酬調査会答申をしておる中で、いわゆる医者技術報酬というものについてはG2=(1十A)gtであります。このアルフアが出ておらない。この臨時診療報酬調査会答申案には、(1十A)という技術指数は、診療が高度の専門技術によるものである性質上これを定めることは困難ではあるが、しかし技術料を何らかの経済価値に表現しなければならない以上、これを決定することは必要である、こう強調しております。この答申案意味は、逆に言えばこの技術指数の決定というものが、物の対価から医師専門技術評価するための生命的な要素だと思つております。このアルフアが零である、出ておらない。なぜ出ておらないかということは、私は私なりの考え方あとから申し上げたいと思いますが、これは今大臣の御指摘のようなことも十分わかるので、現在あるザインとしての医療報酬なり医療費というものの内容、これは新しい医療費体系を組み立てるための重要な武器であることはいなめない。非常に重要なものであると思う。しかしそれだけにとらわれて来ると、アルフアが出て来ないという結果になつて来る。こういう点でも、やはり体系基礎となる資料というものについての準備は、いささか手落ちがあつたと思うのです。そこでたとえば、私は先般も第一回の委員会でお願いをいたしておつたのでありますが、諸外国医師に対して支払われておるところの報酬と、その他の業務に従つておる人たち報酬との調べ――これは何も私は外国医師に対する特別な優遇がただちに日本現実にあてはまるということを主張するために提出を求めたのではない。しかしこれは重要な参考になると思う。なぜならば、これらの国々においては、慣例的にでも医師技術というものはやはり一つの基準をもつて評価されておる。これは新しく日本医師専門技術評価する場合には、重要な参考になるべきものではないかと私は思います。こういう顧慮か、今度の新医療費体系においては全然されておらない。さらに、あるいは米価を決定するためには原価生産費というものが重要な要素になつている。ところが医療について言えばおそらく標準医業経営費というようなものがあつてしかるべきだと思います。この資料は、いまだ政府の方でもそれがないからということで御提出になつておらぬ。私はこういう画期的な体系を立てられるためには、少くとも外国における事例、あるいは標準医業経営費――こういうものはある特定の診療所を指定されて厳密に行われてもいいし、あるいは政府みずからが直営されてもいいのです。現実医療報酬体系とあるべき体系との間の方向を求めるためには、このくらいの実験的な努力があつていいのじやないか。こういうようなことがなくて、ただ現在のあるがまま医療費を、しかも矛盾したいわゆる一点単価で割つて医療費診療行為というものをそれぞれ点数で求められるというようなことでは、私はこの医療報酬というもの、正しい医療費体系というものの基礎が非常に薄弱だと思うわけです。たとえば、さらに私はお聞きしたいのですが、御無知の通りわれわれ同僚としても医師諸君をよく見ておりまして感ずることなんですが、われわれが特に医師専門技術評価してもらいたいというときに申し上げたいことは、御承知よう医者というものは他の法学士文学士違つて大学の課程にしても二年長い。その上最近は一年なり二年なりインターンで実習しなければならぬ。それで診療所を開設しても、ほとんど役に立たない。そこでほとんど無給なり恐ろしい薄給で三年なり四年なり臨床経験を積まなければならぬ。国立病院でもたくさんのそういう人がいる。最近の学会を見ると、大学研究室にいる人たちよりも、むしろ私立病院公立病院に勤めている人の研究課題の発表が多い。なかなか優秀な研究をやつておられる。こういうように物質的にも大きな犠牲を払い精神的にも大きな負担をして、そうして相当資本投下をして診療所を開設する。この特殊な過程が、この診療体系の一体どこで考慮されているか、私はこれは全然されておらないと思うのであるが、こういう診療所を開設に至るまでの臨床医師としての試練の過程というものはどこで評価されるか、これが私どもは身近の問題としては一番痛切に感ずるのです。これが全然無視されているような気がする、これは私は考慮さるべきものだと思うが、いかが思われますか。
  8. 草葉隆圓

    草葉国務大臣 私から一応お答え申し上げたいと思います。  ただいま臨時診療報酬調査会答申にも、プラスアルフアが入つております。今回の点にはそれがほとんど考えられておらないではないか。実はこの点につきましては、従来の程度――と申しますか、従来の形のプラスアルフア、いわゆる技術というものは、これに含んでいるのでございますが、これが私は全体としては必ずしも十分とは思つておりません。お示し通り外国等と比べました場合には、日本がもちろんすぐれているとも考えておりませんし、またもつと向上するように、いわゆる技術のための対価が十分になるように努めて行かねばならないと考えております。今岡の中には全然含めておらないというのではなく、ただいま申し上げましたように、従来の程度プラスアルフアは当然入つております。しかしお示しようにそこに至ります旭程においては、普通の法安科系統とはおのずから違つて相当負担と、相当な日時の経過とをたどつて来ているという現状に対しまして、私、先般もお答え申し上げましたように、もつと大事な、人命を左右されるいわゆる天寿を全うするための任務でございますから、従つてこれに人材の集中するよう方向を、政府としてもとつて参らなければならぬ。それには技術に対する対価相当十分にして行かなければならぬ。今回の場合は、プラスアルフアは、従来の形において盛り込んでおりますけれども、これが分離いたしました。この新医療費体系によつて実施されましたあかつきには、国民理解もだんだんと深まつて来ると存じております。従つて技術に対する国民の強い理解も出て参りまして、だんだんとそれらに対する向上を来すことを、私ども期待いたしている次第であります。
  9. 岡良一

    岡委員 大臣の御答弁は少し認識不足じやないかと思う。なるほどG2=(1十A)gtこのgは一分間における医師技術報酬、四円三十九銭ですか、この四円三十九銭の中に多少アルフアらしきものがあるのではないか、こう大臣は仰せになる。しかしこのアルフアは全然ないのです。この計算基礎というものは一点単価から出ておる。一点単価の構成というものは、五月十四日の久下局長の御答弁にある。とにかくこの計算基礎にもなりました数字個々について申し上げますと言つて、ずつと書いてある。これは全部必要欠くべからざるものなんです。書いてあるのは、その価格が三万二千二百三十三円、それに対して別に世帯数というものを設けてそれが一万八千九百十九円、こういうことになつておるのです。だからもし大臣の御説明が通るとすれば、一万八千九百十九円という医師生計費、この生計費数字があるいは医師にとつては特殊の技術家としての意味で多少上まわつたものを認めておるんだ、こう言つておられる。しかしこれもあとから申し上げますが、それにしましてもこの一点単価にしても、私は今井君から聞いたところによれば、CPSあるいは毎月勤労統計などを見て、その二〇%増にしたんだ、しかもそれは昭和二十六年の話なんです。だからこういう生計費の一世帯四・二人の評価にしても、一万九千九百何円というものは、何らアルファ要素になるものを私は含んでないと思うのです。だから一分間の実働時間の評価が、四円何十銭というふうなものにしても、全然そういうアルファがこの中に含まれておると考えられない。アルファが含まれておつたら、やはりアルファ係数として出さなければならぬ。アルファはコンスタントなものです。生計費は移動するものなんです。だから一点単価計算基礎になつておる生計費は、昭和二十六年の当時においては、あるいは毎月勤労統計よりは二〇%増であつたかもしれない。こういう基本的なものを(1十A)という恒常的な、不変的な技術係数に求めるということは、どんな数字の大家でも不可能だと思う。もしこのアルファ数字が含まれているならば、なぜアルファとして出なかつたか。四円何十銭の中にアルファがあるなら、どういうものか、金額としてもいい、あるいは係数としてでもいいからぜひ出してもらいたい。
  10. 曽田長宗

    曽田説明員 私から御答弁申し上げたいと思うのであります。私どもが了解しておりますのは、Gというものは平均的な医師に対する技術料であるというふうに思つておるわけであります。従つてどもがこの前の審議会答申を受けましたあのアルファは、プラスアルファと式では書いてございますけれども、あれはプラスでもあり、マイナスのものもある。従つてアルファのシグマと申しますか、トータル・サムはゼロになるという性格のものと了解しております。という意味は、もう一ぺん申し上げますれば、Gというものは、平均であるということなのであります。よりやつかいな、手数のかかる技術にはアルファが加わる、ある数値が加わる。そのかわり、より簡易なものは平均的な技術料よりも幾分下るという考え方であります。あるいはプラスマイナス両方の値を取得るものだというふうに解釈されておつたと思うのであります。こういうよう意味におきまして、少し問題を幾つかこまかくわけますとわかれて来るのではないかと思うのでありますが、先ほどの岡委員からの御質問、また大臣から答弁がありましたが、それにつきまして、そのうち一般国民、あるいは技術屋生活費というようなものに何かプラスアルファ医師の場合にはつかなければならぬのではないかというよう意味アルファと、あの答申アルファとは、私は少し意味が違うと考えておるわけであります。この両方の問題が一緒にこんがらがつておるのじやないかという感じを、私ただいまのお話合いを承りまして、感じたのであります。一般技術屋に対して――医師についてはプラスアルファがつかなければならぬということは言うまでもない問題でありまして、たとえば大学を卒業いたしましても、医師の場合には学校で二年、それから今日においてはインターンが一年、三年間余分の教育を受けなければならぬ。もしも学費を借入れて勉強をしたというふうに考えるならば、これを二十五年とかあるいは三十年で償還するというふうに考えたときに、一月にどのくらいそれをよけいに返して行かなければならぬかというよう計算をいたしますれば、私どもがかりに計算をやつてみても相当額になるのであります。こういう意味アルファをつけるべきだという理論が出ますとすれば、私、さきにも申しておりますように、審議会答申があつたアルファとは、別個意味のものである。そうしてこのアルファ現状においてどうなつておるかと申しますと、医師に対する報酬というものが、この点を十分に考慮の中に入れて理論的に組立てられたものではございません。皆様方承知ように、労力に対する報酬だとかあるいは物の価格だとかいうようなものが、いろいろな社会的なあるいは経済的な規則によつて、無規則ようでありながら、ある規則と申しますか、に沿つて、そうとつぴなものにはなり得ないということは御賛成いただけると思うのでありますが、そういうよう意味におきまして、今日の医師に対する報酬の中にも、一般技術者よりも幾分優位と申しますか、よりむずかしい技術を習得しておるというよう意味で、幾分余分のものが支払われておるということは、とにかく一応今私が申し上げたよう意味から行きますと、そういう実状になつておるのではないか、この前提に問題があろうと思うのでありますが、そういうよう意味から行きまして、現状において医師平均収入というようなものは、これは十分であるかどうかはわかりませんけれども、ある程度アルファを含んでおるものではないかというように考えられますので、大臣が言われました意味は、私はそういうよう意味だと思います。ただそのアルファが十分であるかいなかということについては、これはまた別個の問題というふうに私考えております。かえつて蛇足であつたかもしれませんが……。
  11. 岡良一

    岡委員 わかりました。そこのところは、私もそのよう理解をして実はお尋ねしておるのであります。要するに、答申案の方のアルファというものは、診療行為別の専門的な技術者である。だから、零になるということも一応結果から見て零になるかもしれないが、そういたしました場合に、そうすれば、診療報酬別なこの新医療費体系では、一体アルファは、七〇%の、内科小児科診療所が特に重大な関心を払つておるわけです。そうすればこの内科小児科診療所についてのアルファというものは、一体マイナスなのかプラスなのか、マイナスプラスどういう数値なのですか。これをはつきりされなければわれわれ検討できないじやないですか、どういう数字なのです。
  12. 曽田長宗

    曽田説明員 ただいま私ども皆様にお示しいたしました新医療費体系においては、すべての診療行為を取上げてはおりません。診察、それから投薬投薬と申しますか、薬治と申しますか、注射、それに簡易なる処置及び歯科の補綴という、これだけのものを取上げておるわけであります。このうちで平均的にという意味におきましては一応の数字をお示ししておるわけであります。これらの行為の間に、診察というものはもう少しアルファを他の診療行為に比べて付すべきである、処置はもつと簡単でもよろしいというよう考え方が入つていいんじやないかということに問題としては出て来るのでありますが、私ども横引いたしました限りにおいては、その区別をいずれに重く、いずれに軽くというようなことは、今日においてきめかねるというふうに一応結論いたしたのであります。それからその個々行為群の中において、それでは初診と再診というようなものをどういうふうにきめるかということにつきましては、これも一応その所要時間だけではなしに、初診の場合には再診のときに比べて非常に慎重な考慮を要するというよう意味で、もう少し初診の方にウエイトをつけるべきではないかというようなことは、私どももうずいぶん検討いたしました。これは初めにも御説明申し上げましたように、保険で具体的に点数をいわゆるまるい数字できめて行くというような、いわゆる端数整理でありますが、そういうようなときには、その点の考慮も入れてみようというよう考え方を持つておるわけであります。それからまた注射ような場合には、これも御承知よう注射といいましてもいろいろな種類がございます。この個々注射技術料というようなものを定めるときに、高度の技術と申しますか、こういうものを要するものにおいては、ここで資料として提出いたしましたこの実際の費用というようなものよりは幾分余分に見て、そうしてより簡易なものだと思うようなものは四捨五入のときに端数を切るというようなことで、多少その考慮を入れてみようじやないかというよう考え方を持つてつたのであります。さよう考慮と申しますか、将来における考慮前提として、私どもは一応平均としてはこれでもつてよろしいものであろうというように考えたのであります。おそらく保険の方におきましても、今日はそのアルファをいかような割合できめるかということは非常にむずかしいことだと思うのでありまして、これは逐次改訂され、正しいところへもつて行かれるべきものではないかというように考えておる次第であります。
  13. 岡良一

    岡委員 お説のようアルファはゼロではない、すべての増減がひつきようゼロということに相なるべきものであるということですが、そうするとこの新医療費体系というものがかりに実施されるとしても、この(1十A)で、アルファがゼロというものは、ただちにこれは内科小児科初診料並びに再診料の基礎になるということではないとおつしやるわけですか。
  14. 曽田長宗

    曽田説明員 診察料平均といたしましては、これが基準になるというふうに考えております。
  15. 岡良一

    岡委員 こんにやく問答のようでよく徹底しないのですが、まあそれはそうしておきましよう。とにかくアルファがゼロである技術報酬というものはあり得ないと私は思うのです。何らかのアルファをつけなければならない。だから内科なり、小児科なり、各科別にあるいは診療好意別についてもアルファ係数というものもはかつて出されなければ、この新医療費体系というものがほんとうにわれわれを納得せしめ得るかいなかということが出て来ないのじやないかと思う。少くとも七〇%の重大な影響を持つといわれておる内科小児科診療について、アルファというものがゼロであるかもしれないというような姿のままにほうり出されるということでは親切じやない。しかしそれはそれとしておきましよう。私はそれでは非常に不親切だと思う。  そこでこのようにとにもかくにも長い間実務に当つた方々はほんとうに私は御苦労だと思う。しかしせつかくそうして御苦心を積まれ、そうしていただいた資料によりましても、これをいよいよ分析して得たいろいろな数値をさらに組み立てて行くときには、いわゆる国民医療費というものをなるべく動かさないようにしようという顧慮が払われているということである。これは重大な問題だと思う。滝井君もいろいろな角度からこれを指摘しておられる。なぜ一体国民医療費というものを動かさないようにしなければならないというわくを立てられたか、そこのところを承りたい。
  16. 草葉隆圓

    草葉国務大臣 国民医療費考え方が二つあると存じますが、最初の表に出ておりますように年々増加をしております形と、そうじやなしに、基本的に考えますとこれを負担としては増さない。計算の上からすでに増すという計算をとつて来るというのは妥当ではないのである。医療そのものの向上により、その他の社会情勢によつて負担が増しますことは当然であると存じます。しかし計算の基本に立つて負担がずつと増すという計算をとることは、当ではない。それはむしろ現在の状態を持続するという形においてとつて乗る方が、国民全体としての立場からは最も必要ではないか、そういう考え方から出て参つたのであります。従つて第一表に上げておりますように、全体の国民医療費は年々増高しておる。この増高しておる傾向は、時代によつてあるいは増高したり、経済情勢が悪くなりますとあるいは下つて来るかもしれませんが、戦後の情勢は御承知ようにずつと向上して参つておる。これは一つの行き方として、あるいは進歩の行き方として私どもは認めて行くべきものである。計算としては現状計算を基準にしてやつて行くという意味において、国民負担を増さないという、意味を申し上げたのであります。
  17. 岡良一

    岡委員 大臣のお考えも私はもつともだと思うのです。ただ私ども申し上げたいことは、国民医療費昭和二十七年度のものをとつて押えた。ところが二十六年は千百億、二十七年は千五百億、二十八年は二千億、今年は、局長のお考えによれば二割程度だろうと言われた。しかし政府管掌の健康保険なんか見ますと、たいへんな増額になるということが推定される。場合によれば二千七百億にも八百億にもなるかもしれない。しかし国民医療費というものはそうふえるものじやないと私は思う。ある限度があるものだと思う。今はたとえば社会保険医療報酬なんかにもいろいろ手を加えられているということもあるでしよう。いろいろな事情から受診率を〇・二%くらいしか見ておらない。一件当りの治療回数もほとんど変化してない。だからいろいろそういう人為的なものによつて大きく変更して行く。少くとも昭和二十六年、二十七年、二十八年、二十九年と見れば、いわゆるヘラツプヒユーレンドに馬の走るような増加傾向をたどつている。こういう不安定なときの一こまをとつて、そのわく内で押えようということで、二十七年の三月の医療費調査基礎分析、このような不安定な時期を選ぶことは、整理の方法としては非常に大きな矛盾した制約を加えるものであると、私は整理方法について思うのですが、これはどういうお考えですか。  いま一つ大臣国民負担を増加せしめたい。これもわれわれ十分考えなければならぬ。たとえば医師が不当な技術報酬を要求することによつて国民負担を顧みないという態度は、厳につつしまなければならぬと思う。しかし問題は適正な国民医療費というものは、いわゆる国民負担という考え方だけでは割切れない問題だと思うのです。これは釈迦に説法だと思いますが、総合的、生産的出費は、やはり国民の再生産のための資本投下とも言えるものなんです。ですから、国民負担をふやさないために、昭和二十七年度の国民医療費を押えられたということでは、これは論理的にも間違つていると私は思う。問題は重ねて申し上げれば、ヘラツプヒユーレンドに、こういう不安定な国民医療費のわくで押えなければならないというのはなぜかということです。またこれで国民負担が増高しないというならば、国民医療費というものに対するお考えが少し間違つていやしないか、こう思うわけなんです。大臣の御答弁で多少わかつたような気持もしますが、この点重ねて御答弁願いたい。
  18. 草葉隆圓

    草葉国務大臣 私から一応お答え申し上げまして、また不足の分は医務局長からお答えいたします。  実はお話のように二十七年度、二十八年度、二十九年度もそうであろうと思いますが、医療費の増高しておりますことは否定できないと思います。また増高する傾向を人為的に押えることは妥当でないと存じます。従つて今後従来のような増高でありますると、先般来私どもからお答え申し上げておりますように、昭和二十九年度はおそらく二〇%以上の増高を示して来るだろう、また今後医療なりあるいは場合によりまして流行病等が強くありまする場合には、医療費はずつと増して来ましよう。かようなことは当然全体として考えて行くべきものであつて、その総医療費の増高を抑えるという考えはございますせん。これが進歩なりあるいは向上なりによつて当然増局して参ることは、自然の趨勢でございます。決してこれを二十七年の状態に押えようという考えではございません。ただ同じ状態においてこれをなす場合に、直接計算基礎から来る増加ということは慎しむべきではないかというのが、今回の計算基礎なつた次第であります。
  19. 岡良一

    岡委員 いずれにいたしましても国民医療費は、事実上医療の進歩あるいはまた衛生思想の普及などによる保険の利用率の増加とかいうことで自然にふえて来る。そこで給付の額も増額する。それから実際問題とすればやはり政府の政策によつても、一兆億の予算ということで、今度のように生活保護費の医療補助をものすごく切り捨てられるということになれば、その要素は実に可変的な要素です。しかもそれが非常に不安定な、山の途中にある二十七年度をとらえて、それで一つの新しい医療費体系や組立てることをここに求めて行くということは、分析されたいろいろな調査の結果を整理するという方法論としては、そこに無理があつたということを私は指摘したいわけなんです。  そこでこういうふうにして、たとえば点数でわけられて来たわけですが、そういたしますと今大臣も御存じの通り、社会保険の担当医は一般単価の値上げを非常に要求しておるわけです。そこでその単価の合理性は別といたしまして、現在のところ政府としてはこのように分解をされて来た診療行為に対して、初診料なり再診料なりが六・二〇三あるいは四点云々というふうに、現行の一点単価をかけ合されたものがやはり事実上の診療報酬の金額である、こういうふうに実施されるならばいいと思うが、これをやつて行かれるおつもりでありますか、それとも一点単価を動かされる御意思があるのでしようか。
  20. 草葉隆圓

    草葉国務大臣 これを保険単価に翻訳いたしまして――これはどちらかと申しますと基礎基準でございますから、それを忠実に翻訳いたして、協議会に諮問いたしたいと思います。その結果その答申に基きまして、それによる現在の一点単価を倍数したものを実施の基本にいたしたいと思います。しかし保険単価はさらにその後今諮問をいたしております。これに対する答申等がありますと、その際考えて行くべきものだと考えております。
  21. 岡良一

    岡委員 意見答申される機関があつて、目下御諮問されておるということはわれわれ聞いておりますが、そこでもし諮問の結果、あるいは一点単価はこのようなところまで引上ぐべきだという諮問が出れば、大臣はその諮問を十分受入れて実施されるという御所存でありますか。
  22. 草葉隆圓

    草葉国務大臣 諮問は急いで求めておりますが、その諮問の結果は十分検討いたしたいと思います。
  23. 岡良一

    岡委員 そこで政府の御提出なつ資料を拝見いたしますと、こういう点数が出ておるわけなのであります。これはあとで追加してお出しになつ資料であります。この「診療所点数計算過程」と書いてある資料を見ますと、上から四行目に、総点数百六十三万三千、百八十六点、これがEと呼ばれておる。それから最後に一般診療所費消額表、これが合計いたしまして千九百四十五万六千二百八十二円八十六銭……K、こうなつております。そこでお伺いしたいことは、政府は最初二十七母三月にいとも周到なる用意のもとに医療施設面の調査をされておる、その結果一般診療所の費消額の千九百四十五万という数字が出ておる。それを診療行為別に組立てた総点数というものが百六十三万三千百八十六点、そこで昭和二十七年三月当時にわける一般診療所の経費総額を診療行為の総点数で割りますと、十一円九十一銭という数字が出る。この診療所の開設に伴う、土地とか、建物等に伴う利子というものを補正をすれば、これはやはりお宅の方の専門の方の御意見を伺つてみると、十二円三十銭ということになりやしないかと思います。そこでこの事実はどういうことを物語つておるかというと、すでに昭和二十七年三月の御調査の結果においても、現行十一円八十三銭の単価というものに事実よりは下まわつておるということを政府自身示されておる。これで医者としては、この二年越し非常な損害をこうむつております。医師の大きな赤字の上に日本医療行政が評価されておつたということになるわけであります。こういう結果が出ておる。この結果の取扱いはどうなさるつもりでもりましようか。
  24. 久下勝次

    久下説明員 その問題につきましては私から見解を申し上げたいと思います。確かに昭和二十七年の実態調査の結果では、お話のよう点数単価、一点当りの単価に換算をいたしますと、十一円九十一銭という数字が出ておることは事実でございます。しかしながらこれをただちに単価の問題として検討すべきかどうかということになりますと、今日の情勢から申しまして、いろいろ考慮しなければならない点が多いと思うのであります。これは具体的に申しますと、御承知通り単価を構成しておりまするものは医療機関経費とそれから医師生計費というものが加わつて分子になりまして、これを稼働点数で割つておるのであります。問題はこの稼働点数でございまして、最近の状況を御参考に申し上げますると、昭和二十七年末と二十八年末の医師総数は増加率一・七六%にすぎないのであります。ことにその増加の多いのは勤務医師でございまして、開業の医師は〇・九六%の増加にすぎないのであります。しかしながらその間におきまして若干二月ほど時期がずれておりますけれども、社会保険政府管掌健康保険の支払い点数、これは逆に申し上げれば医師の稼働点数でございますが、昭和二十七年十二月と昭和二十八年十二月分を比較いたしますると、一般医師の稼働点数は二九・二三%の増加でございます。さらに昭和二十七年十二月分と昭和二十九年七月、ごく最近の稼働点数を比較いたしますると、八三・九四%というふうな激増ぶりでございます。問題となりまするのは、私がここに数字を申し上げまするのは、結局分母になります稼動点数というものに大きな変化があるということでございます。この点今日私どもが問題にしますのは、単価の問題をそういう意味合いで論じて参りましたときには、簡単な結論が出ないということを実は申し上げたいのであります。問題にしておりますのは、さてこうした一、二年の状況の変化というものが経費の面においてどういうような変化があるかということにつきましては、残念ながら実は今お手元に差上げてあります二十七年の資料以外に、私どもとして信頼し得る資料はないわけでございます。稼働点数においてそういう増加がございます。その稼働点数を働き出すためには、当然経費が伴います。しかしながらその経費がどういう部分にどういうふうに配分されておるかということにつきましての資料がないわけでございまして、私どもといたしましては先ほど大臣からも申し上げましたように、臨時医療保険審議会におきまして、この問題を真剣に今検討を続けておりますけれども、そういうふうな観点から、やはり問題としてはあらためて考えて行くべきものというふうに思つておりまして、今日ただちにこの調査そのものを、単価改訂の資料とすべきものとも考えておらないわけであります。
  25. 岡良一

    岡委員 今の久下局長の御答弁は、昭和二十七年に比べて八年、あるいはまた八年の特定の時期と九年とにおいて分母が非常に増加しておるということを言われる。それは増加もいたしておりましよう。しかし問題は分母が増加しておるから分子はどうなつておるということのお答えのない限りは、やはり昭和二十七年三月の診療所にわける稼働点数、そしてその費消額、これが両方相伴つて出て来た、しかも政府がこの新医療費体系資料として金科玉条のごとく出されたものなのでしよう。これでは分子も分母もちやんと綿密な調査で出ておるのです。この金科玉条ともいうべき資料が出ておるにもかかわらず、その後分母も変化がある、分子はわからないから一点単価については考慮の余地がある、これではほんとうに医者がかわいそうじやないですか。昭和二十七年三月のこの調査でこれだけぽつちの補正された十二円三十銭の単価増も、やはり一箇年間の医師の所得については相当のものですから、二箇年間になつておれば百億ぐらいになりますよ。一方では医者がそのことの是非は別としても、ずいぶん一点単価の引上げには苦心をして悲痛な運動を起しておるのです。そのときこういろ資料を持つていながら、なお分子は増加したからどうこうというふうな態度、そういうような態度では、新医療費体系をお出しになることの誠意を何か実際疑わざるを得ないような気がするのです。こういう事情なんです。ちやんとあなたの方でお調べになつて、われわれの方へ提出された半ば恒久的な新医療費体系の唯一の基礎資料なんですよ。これで一点単価というものは、もう現在の十一円八十三銭というのは安いのだ、補正をすれば五、六十銭増にならなければならないという数字が出ておるのです。あなたの方でこういうことをお気づきになつたら、これはまあ諮問というのだが、どういう腹で詰問されるのか。この事実上分子も分母も出ておるこの数字、しかも政府が出された数字、しかも新医療費体系の唯一の基礎資料、こう明確にあなた方がみずから定義づけておられるこの資料から出ている単価というものが、すでに現行単価よりも上まわつておる。この事実を大臣はどういうふうに解釈されるか、またこういう事実に基いてどういうふうにこれをやるのか、一点単価も当然かわらなければならぬと私は思うのだが、一体どう思うのか。
  26. 草葉隆圓

    草葉国務大臣 単価の問題は先般来もこの審議中においていろいろ御質問がありましたので、率直にお答え申し上げて大体御了承をいただいておると思いますが、さらに今御質問がありました、ただいまの御趣旨等からすると、この諮問というのは増額の諮問じやないかという御意見だと思います。しかし今保険局長からも御説明申し上げましたよりに、これも一つ資料でございます。確かに私ども調査をいたしました厳とした資料には違いない。しかし一点単価計算の場合にはこればかりでは不十分でございますということと今局長からも申し上げたところでございます。それらの点も十分総合して、この社会保険医療協議会において十分検討してもらい、また現在検討しつつありますので政府からもこの点を協議会にはるる説明ながら厳密に検討を急いで進めてもらつておる次第であります。
  27. 柳田秀一

    ○柳田委員 ちよつと関連して。きようはたいへん重大なことを承りました。私に先般の委員会大臣にこの現在の一点単価が構成されておるものは、分子の方は二十四年九月の医療経費に関する実績調査を二十七年一月現在の物価賃金指数にスライドしたもの、さらに一般家計調査の報告二割増、さらに税、こういうものを加えたもの、それを分母の一箇月稼動点数平均四千九百点で割つたものである。その四千九百点の分母はかりにコンスタント――かわらざるものとして、分子の方は私はいろいろ例を引きましたが、物価住民金指数が上昇しておるのだから当然原則論的にはかわらなければならぬが、これもどうかと言つたところ、大臣は非常に奇妙な答弁をされた。それにどういうことかというと、現在の一点単価は妥当と思うが、必ずしも適正とは言えぬ、こういうことです。これは非常に私はメイ答弁だと思うのです。これは速記が間違うといけませんから、メイ答弁というのは米にしんにゆうをつけた方です。私も考えた。大臣もこの委員会でそう無責任な答弁をされるわけではない。どういうところに大臣の真意があるか、私はいろいろ考えてみた。しかし私の頭の論理構成では、どうも妥当と思うが必ずしも適正とは言えぬということはわからない。私はずいぶん苦しんだ。大臣もそう言葉の上のあやとか、答弁技術とか、何とかしつぽをつかまれぬとか、そういうようなただみえを張つてだけの御答弁をされておるとは、私はこの委員会の権威からもそういうことを信じません。従つてやはりまじめな御答弁をなさつておると思う。私は大臣の御人格を信ずるがゆえに、いろいろ考えてみた。どうも考えられない。考えついたとどのつまりはこういうことだ。大臣にこの新医療費体系をわれわれに提出されたときの冒頭の説明に、この医療費体系の目途としておるものは、第一には適正なる医療報酬ということや言つておられる。そうすると私の結論は、必ずしも適正でないというところの現在の一点単価を積み上げてきたこの資料から、適正なる医療報酬が出て来るという矛盾が、私の論理過程からは当然出て来たのです。適正でないところの一点単価、ことに今承りますと分母がコンスタントだと仮定した。ところが分母の方はすでに二十七年から二十九年に八三・九四%増加している。ますますこれは絶対値は低くなつている。そういうふうに必ずしもどころかこれは明らかに数学的に適正でない一点単価を積み上げて現在厖大なる新医療費体系が出て来た。適正なる診料報酬が出て来るという、これは答弁のあやとか答弁技術というものではなしに、そういうような論理過程はつきりここでお示し願いたい。そうでなければわれわれの審議はこれ以上進んで参りません。
  28. 草葉隆圓

    草葉国務大臣 新医療費体系の求めておりまする点あるいは企図しておる点と、それから単価の改訂とはおのずから私は違うと思う。これは新医療費体系に切りかえましても切りかえませんでも、単価の問題はおのずから別に単価として当然出て来る問題であります。それで新医療費体系に切りかえてしまいますると単価の問題が解決するかというとこれはおのずからまた別でないか。現在の状態の単価におきましての場合と、あるいは、これを上げあるいは下げた場合におきまして考えて参りましても、新医療費体系という形はまたそこにおのずから別な世界があると存じております。従いましてこの新医療費体系とは別に今協議会にその点を諮問をいたしております。
  29. 岡良一

    岡委員 この際はつきり承つておきたいことは新医療費体系数字はやはり資料が出されておりますので、そこで私ども技術料の敵正評価技術料というものはその医師医療担当者としての生活を営み得る保障でなければならぬことは当然です。同時にやはりその与える医療内容が別荘の医学の水準に合致したものを低めないようなものでなければならぬ。同時に日進月歩の医学に応じ得るだけのものを経済的に与えるというようなことも技術料の要請です。そういう人の命を預かるという大きなものがある。こういうものが総合的な技術料評価が出て来るので、そこでわれわれは技術料の精神的な概念的なファクターを論ずるだけでは済まないわけです。医費療体系として出ている以上はやはり数字を問題としなければなりません。そこで単価問題は一応この際そう切りかえしを私は言いたくないがどうなんです。久下さんは分子ばかり言われたが、分母を見てもお宅の方からいただいた資料を見ても、昭和二十六年が百三十七億、それが百九十六億、二百五十七億、昭和二十九年度は三百五十億になる。まつたく八九%どころかもう一〇〇%以上に形が増加しておるわけです。だから私ははつきり承つておきたい。数字ということはとこかくとしまして、この政府の出され、しかも権威づけられて新医療費体系基礎資料として金科玉条としておられる三月支出画における調査が、とにかく単価は少くとも補正をして十二円三十銭程度に上げなければならぬということ、従つて少くともこれは最低実施されなければならぬと思う。二年間非常に医者は大損をしておりますから、これに実施さるべきものと思われるかどうか。この際最低これは実施するということをぼくは当然約束していただきたいということを申し上げて無理はないと思う。
  30. 草葉隆圓

    草葉国務大臣 これは何べんもお答え申し上げましたように、これらの点も資料を十分提供して、臨時社会保険診療協議会にこの単価の問題は諮問をいたしておる次第であります。この諮問を待つて検討したいと存じます。
  31. 岡良一

    岡委員 とにかくその審議会も法律に基く権威あるものであるから、十分尊重はされることと思うけれども、何しろこういう問題は国会としてもやはり看過できない問題である。政府みずからがこういう資料をお出しになつたのであるから、これに対する政府としての具体的な御方針は承つておかなければ――こういう問題は医療行政の根本であるから、制度ばかりいじくつても担当するものにおいて十分の機能を発揮できないようにしたのでは、これは仏つくつて魂入らずですから、このことははつきり答弁していただきたい。しかし大臣としてはいろいろ事情がおありでありましようからそのことは申しますまい。  もう一つお尋ねしたい。それから私は保険のことが非常に心配になりますのでお伺いするのですが、こういうふうに初診料とか再診料とかいうことで医師に支払われるときに、この支払い方法について医務局と保険局との間で何らかお打合せがあつたのかどうか、保険行政を預つておられるあなたとして、どういうふうに支払われようとしているか、この間もちよつと意見が出たとき、あなたの方の御意見がなかつたように思うのですが、御意見を承りたいと思います。
  32. 久下勝次

    久下説明員 社会保険点数表の中にこの考え方を表わすつもりであることは再三申し上げております。その具体的な方法についてのお尋ねように伺つたのであります。実は私どもとしてはまだ作業の途中でございまして、最終的なところまで行つておりません。打明けて申しますと、この基本的な方針そのものを作成いたしますために私どもも御相談に応じ、また御協力をして、医務局が中心で作成するのに先月一ぱいかかつてしまつたような状況であります私どもとしてはこの方針をさらに社会保険点数の中に具現化して行かなければならない。まず第一に一般的な考え方だけこの機会に申し上げておきたいと思います。まず根本的にはたびたび申し上げております端数整理をして、まるい数字で表現をするということをいたしたいと思います。これによりまして若干の総点数の上から余剰が出て参ると思いますので、これを他の検査、処置等の点数の中に配分をして参るような措置を講じたいと思つております。それからもちろんこれもこの間滝井先生のお尋ねお答えしたのですが、現在の健康保険法によりますと、初診相当額は、被保険者の負担になつております。これをそのまま初診料として四点を六点にかりに上げたといたしますと、被保険者の負担がふえることになります。そこで現在の建前からいうと、これは当然保険者が支払つてつたものでありますから、法律の規定の関係もありますので、何か別の表現にいたしまして、二点分だけは保険者の負担になるように、しかも初診のときに払えるような措置を講じたいと思つております。それから注射及び調剤料につきましては、この方針では一般的な平均化された点数が出ておりますけれども、これを保険点数に表わします場合には、たとえば調剤料につきましては、やはり薬の形に応じまして、現在調剤手数料が区分してございますような区分をいたしたいと思つております。注射料につきましてもまた同様でございます。それから注射及び調剤に必要な薬の値段につきましては、これは当然実質上必要な費用が各個に支払われるような形にいたしたいと思つております。大体以上のよう方針でただいま社会保険点数表をつくる作業を続けておるところであります。
  33. 岡良一

    岡委員 この際局長の大体の心構えを承つておきたいと思うのですが、今のようにとにかく医師専門技術がこれまでのような給付の中では別わくとして分離されていたということですね。そこで私は根本の方針を承りたいのですが、現行健康保険法等では、四十六円が適正なる医師技術料であるということは、事実上は根拠はなかつた。そのために現在こういう改正をしなければならぬ。むしろいわば濫診濫療に対する一つの防波堤というような役割がやはりあつたと思うのです。ところが今度いよいよ医師専門技術が経済的に評価されることになつた。そこで私はこれは医者としての立場から申し上げるのだが、しかし真理だと思う。とにかく医者にとつては、患者にとつても、診断という行為が何よりも、優先するのです。薬をやるかあるいは注射をするか、あるいは手術をするか、あるいはレントゲン照射をやるかということは、診断に従属する手段です。診断し治療をするというところに医師としての一貫した道徳的な責任がある。だから医薬分業なんという言葉は実際問題としてはおかしいのです。どこの国へ行つたつてそんな言葉はありはせぬ。調剤などというものは医師診療行為の一環にすぎない。治療の目的を達する手段にすぎない。事実上医療体系の責任というものは一つでなければならぬ。人間の生命に対する責任というものは分散されることは絶対に許されない。そういう意味から、このよう技術料がいろいろ切り離されて来たときに、何と申しましても医療給付の中では、要するに医療給付によつて保険者の疾病をなおそうとする場合における第一義的な要素である診療というものは、これまでは一部負担というものが現金の窓口支払いで被保険者に課せられていたが、ああいうやり方は全部やめてしまわなければならない。もう被保険者にとつて給付の中でも事実上最も大きな役割をなすこの技術料というものは、当然国が国の責任で払うべきものだと私は思う。これを四点だけは従前通りにして二点は保険財政で払うなどということでは、私はこの技術料を分離しようという政府の意図というものがわからないというよりも、もう非常に私どもとしては納得ができない。だからこれはあくまでもそうすべきだと私は思う。その点局長はどうお考えですか。
  34. 草葉隆圓

    草葉国務大臣 御質問の点私どももよく了承いたします。そこでこの初診料の場合において従来は四点が自己負担であつた。もしや技術を分離する場合には国の財政等において見る。保険としてはこれを二点、四点と分離するようなことは不合理であるという大体の御質問の御趣旨だと存じます。そこで実はこれは最初に申し上げましたように、理論的に申し上げまするとまつたくお示しの点のように行くべきものだと考えます。もしや自己負担であるならば六点もそのまま自己負担にすべきものである。あるいはこれをそうではなしに保険財政負担とするならば、従来の四点も保険財政負担とすべきではないか。ただ一つ考え方といたしまして、従来の負担区分なりあるいは行き方なりというのに急激に変化を来さないというのを一つ前提といたしておりまするために、初診料は自己負担であるから今回計算すると六・二分何ぼになるので、これをかりに全部患者の自己負担にしますると、患者の負担分がそれだけ増して参る。従つてこの新医療費体系によつて患者の負担を増すということは、当初の根本方針といたしておりまする患者の負担を増さないという方針違つて参ります。従つてただいま率直に保険局長から申し上げましたように、この二点何分というのは他の方法によつて保険負担とする方が妥当である、こういうふうに考えたのであります。だんだんとこれらの点、根本的な保険の行き方というのを検討して参りまする場合には、お示しの点等は私どもは十分尊重して参りたいと考えております。
  35. 岡良一

    岡委員 それからこれの資料をいただきたいと申し上げておつたのだが、まだいただきませんけれども、たとえば処方箋を交付する調剤手数料が金額にして従前は四円だつたのを今度は七円に上げた。そうするとこの健康保険の財政に大きな影響がある。なるほど医薬分業は今ある部分的な地域である、むしろ被保険者の密集地域だというようなことでは済まされない。医療費体系医薬分業と別途に恒久的なものとして策定されなければならぬのだが、そうであればあらゆる場合を考慮されたものでなければならぬ。そうすれば保険経済の中では、これまでの四円が七円に三円上つた。これは局長のこの間のお話のように、五十億ばかりの赤字だと言われておるところへまたプラスして来るわけだけだ。プラスして来ることは私は必至だと思う。そこで問題は、これをプラスせしめないようにしようとすれば、結局保険経済のわくにプラスアルフアーとなるから、このアルフアーをわくの中で処分しようとすればマイナスアルフアーをどこかで求めなければならぬ。こういう点については一体あなた方の方では何か具体的な一つの対策というようなものがあるのか、この点をひとつお話願いたい。
  36. 久下勝次

    久下説明員 実態調査の結果調剤技術料相当いたしますものに〇・五九点でありまして、これを現行単価で換算いたしますと七円十八銭になりますことは御指摘の通りであります。ただこれは基本的な資料の御説明の際に大体申し上げてありまする通り、数百箇所の病院、診療所調査をいたしまして、個々診療行為、これは調剤も含めました原価計算をして、その結果調剤手数料としては〇・五九点を支払うべきであるというふうになつておるのであります。従つてこれは現在の診療報酬全体の支払いのやり方を簡単に申せば再配分をするということになると思うのであります。全体の形の上におきましては、それはもちろんどこかにマイナスは出て来るでありましようけれども、そういうことによつて調整がとれるということになると思うのでありまして、調剤技術料が一律に一剤七円になるということによつて保険経済全体としてはそのままの形としてはプラスにならないものと考えている次第であります。
  37. 岡良一

    岡委員 そういう点は私は非常にはつきりしないのてす。これは五月二十二日の曽田さんの参議院における答弁ですが、これは少し違つて来たようですが、こういうことを言つております。薬治料が今度云々ということで総医療費のうち一五%くらいになる――私は一五%にこだわるのじやないのですよ。そういたしますと、このうち大体医師の実収入と申しますか、いろいろ薬品の原価及び調剤の人件費或いはいろいろの消耗器材類というようなもの、かようなもの、かような三つに分けるといたしますと、ほぼ三分の一ぐらいずつになつているわけであります。そこで三分の一が薬品の原価で、これが総医療費の五%である。医師の純収入が薬治料の中に含まれていて、これが医師の総収入のうちの五%である調剤に要する人件費あるいは調剤用の器材費が五%であるということで、一応のパーセントのわく内でこの三分の一ずつにわけると、五%浮いて来るから、これを何とか操作するというのです。操作をされることは自由ですが、こういう大ざつぱなつかみ方をされたのでは、やはりその医師の実質上の所得に対して不当に、悪く減少を来すような操作がされる危険性があると思う。数字は大ざつぱですが、今度の調査では、内容的に吟味はされておる。しかしそれにしても、私はここのところにやはり問題が残るのじやないかという心配を持つておるわけてす。そのことを申し上げておきたいと思います。  そこで一応これまで一週間以上もいろいろと皆さん審議を尽され、政府の意図せられたところも十分聞かしてもらいましたし、きようはそれに加えて、多少ダブリましたけれどもお尋ねをしたのですが、結論としてはやはり、医療施設面の調査、三月の調査を十月の調査で補正するというこの基礎資料だけでは、この重大問題の解決には不用意だという私の考え方は解けない。それは結局ザインをもつてゾレンを出す――ゾレンを出すにはザインは重要であり、参考にはなるけれども、しかしやはりまだ他にデータを求められる必要があつたのじやないか。この点資料に不足があり、その資料を分析された結果をまた再び組み立てられて、新しい医療費体系をつくろうとしておられる。しかし何と申しましても、いわゆる昭和二十七年は動きつつある。また動くべきものである。その国民医療費というわく内に押えて、そしてそこで按分比例をするという考え方。これはやはり技術というものの評価――ある程度までいわば不変的なものをつくらねばならないものを、こういう可変的なものを総わくとして押えられることは、方法論的にも矛盾だし、事実上もそれでは正しくないのではないか。特に総医療費国民負担の増減ということを勘案されてこのわくをつくられることになると、国民医療費そのものの概念規定が、私どもと非常に違つて来るということさえも言い得ると思う。それからその結果、こうして医師技術指数についても、そのアルフアはゼロであり得ないのであるから、重要な内科小児科等については、やはり新医療費体系としての内科小児科アルフアがある。これくらいの実数はお示しになるのがあたりまえだと思う。それが何も示されておらない。結局医師技術料は、単位稼働の実働というものを価格評価して時間を策する、最も素朴なマルクスの剰余価値説の方法をとつておる、こういうことでそういう科学的な技術評価できるという考え方が私はおかしいと思う。だからそういう点、これはそんなゼロになるからというので、アルフアをゼロとして一プラス・ゼロの技術料などというような方式でわれわれのところに提示されるということは、方法論としても現実問題としても好ましくない。しかもそんな新医療費体系をお出しになるのに、これが実施された場合において保険行政上これをどう受入れて行くかという保険局の受入れ態勢が何もない。これは重大な問題であるから、やはりこれを受入れる保険局の方にはどういう受入れ態勢があるかということが、この裏づけとしてわれわれの納得の行くように御説明をいただかなければ、ただぽんと投げやりにほうり出されたということだけでは十分な審議が尽されないわけです。理論的には尽せるとしても、これでは日本医療行政上の保険行政一つについて見たつて何も出て来ない。政府から検討せよと言われても、検討する材料をわれわれに与えられていない。これでは十分な検討が尽せないという結果になる。  もう一つ申し上げたいのは、このようはつきりと政府の方の御調査から、一般単価は最低現行の単価より上げなければならないということが、しかも実数で出て来ておる。だからこの体系実施する単価は、少くともこの単価で行くなら行く、行くべきであるくらいな政府方針は示されなければならぬ。それをいろいろ政治的な御発言で、私ども雲をつかむようなことになつておる。こういうことをそう水かけ論で追究しようとは思いませんが、そういう点私ども非常に不満です。これは厚生省の皆さん、特に実務に当られた方々としてはたいへんな御苦労であつたことは私ども十分推察をいたしますが、やはりこれにあらゆる必要なものをもう少し加えられて、また及ぼす影響についても、その影響に対する受入れ態勢というものをも添えて、もう一度出し直されなければいかぬと思う。われわれはこれだけでは、そう素朴に、反対とも賛成とも言い切れないということを申し上げて、私の質問を終ります。
  38. 小島徹三

    小島委員長 高橋等君。
  39. 高橋等

    ○高橋(等)委員 私は厚生大臣に、一昨日の新聞に出ておりました医薬分業に関しまする厚生大臣談話のことにつきまして質問をいたしてみたいと思います。私がここで読み上げたりします材料は、十月七日付の東京新聞の夕刊でございます。あなたは七日に千葉県庁で記者会見を行つて談話をなされた。この新聞によりますと、その第一段は、国会を通過した医薬分業法が三十年一月一日から実施されるが、厚生省ではこの準備を行つている、こう書いてあるのです。それから第二段は、政府は現在の方針を急激にかえぬ建前で準備を進めておるが、次期国会でこの延期法を提出したい。もし通過しなければ予定通り実施するが、医薬分業法が施行されても医者の収入が減らぬようにするし、患者の負担を軽くする方針を堅持する、こういう談話が載つておるのであります。前段と後段を読みますとまつたく反対のことが載つておるのでありまして、私もこの記事のつかまえ方に実は非常な疑問を持つておるのでございますが、何しろこうした記事が非常に大きく新聞で扱われておりますし、これにつけます見出しといたしましても、医薬分業延期を考慮する、こういうようなことを書いてあります。そこでこの大臣の談話の御真相というもの、実はどういう談話をなさつたのか、この通りなのかどうかというような問題、また実際延期の法律を提出される意思があると書いてありますが、これは現在のところそういうお考えがあるのかどうかというような問題につきまして、この機会にぜひ承つておきませんと――この新医薬費体系が、今度実施されます分業と可分であるか不可分であるかという議論は、私は大して深く意にとめませんが、いずれにしましても、この医薬分業実施いたしました場合に、新医薬費体系国民負担にどう影響するのか、医師及び薬剤師にどういう影響を与えるかこれが非常に不利な影響を医師に与えるといたしますれば、非常に優秀な人が医師にならぬでありましよう。また薬剤師に不利な影響を与えても同様なことが起る。ことに国民負担を与えたらたいへんな問題であります。実はそういう角度から検討いたしておる最中でありますので、ひとつ談話につきましての正確なお話を承りたいと思うのであります。
  40. 草葉隆圓

    草葉国務大臣 実は私もそのことを聞きましたが、私が記者会見をいたしました談話の内容とは全然違つておる。昨日参議院におきましても御同様の御質問がありましたので、はつきり申し上げておつたのであります。さような談話はいたしておりません。かつまた現在政府におきましては、次期国会において延期法を出す考えは持つておりません。この点ははつきりお答え申し上げます。
  41. 高橋等

    ○高橋(等)委員 そうすると何にもおつしやらなかつたことをこういうふうに書いたのですか。それとも何か…。そこらへんを承つておきたい。
  42. 草葉隆圓

    草葉国務大臣 それは多分何かの間違いではないかと存じまするが、現在延期法が出ておるということは記者会見で話題に出ておりました。これは記者会見でございますから、もしも政府が延期法を出すということでありますと、各社とも大きい見出しで取扱われたことではないかと存じますが、従つて現在出ておりまする延期法が誤つてそう伝えられたのではないか、あるいはそういう感覚を持たれておるのではないかと考えます。
  43. 高橋等

    ○高橋(等)委員 そうするとこれは参議院における継続審議になつておる延期法の問題とこんがらかつた話だ、こう了承いたします。今大臣のお話で了承いたすのですが、いずれにいたしましても、こうした記事が出たことに対しまして、新聞社に対して何か大臣からお申入れをなさつておりますかどうですか。
  44. 草葉隆圓

    草葉国務大臣 その翌日の国会における委員会が、昨日の参議院における新診療体系審議中心としました委員会でございます。従つてそのときにもさような御質問がありましたので、その御質問がありました際に私からはつきりさような談話ではなかつたことを申し上げたことが一番国会を通じての意思表示でございますから、それ以上かれこれする必要はないだろうということをお答え申し上げたのであります。
  45. 有田二郎

    ○有田(二)委員 関連して。今の大臣の御答弁では、東京新聞に対して訂正の申込みその他はしてない、かように解釈してよろしゆうございますか。
  46. 草葉隆圓

    草葉国務大臣 さようでございます。
  47. 有田二郎

    ○有田(二)委員 私はこの東京新聞の記事というものは東京新聞の記者の勉強の足りなかつた点からこういう誤解が招かれたのではないか、こう解釈いたします。きのうも全国労働組合生活対策協議会幹事吉田秀夫さんのお話を聞いておりましても、医薬分業ということをやかましく一月一日から実行される、二十六年六月二十日の法律をそういう解釈をしておられます。私は先般も申しましたように、これは当時医師と薬剤師の七十年の争いをこの辺でいいかげんに終止符を打つたらどうか、こういう考え方で、国会もまん中に立つて医師会側も薬剤師会側もそれぞれ不満はあるけれども、大体ああいうことで治まつて、社会党も改進党も自由党もまた参議院の各派も一致してできた法案なんであります。きのうも吉田さんのお話を聞いておると、これが何かいかにもお医者さんの調剤権を取上げるように見受けられるのであります。お医者さんの調剤権を取上げたのでは患者が非常に迷惑をする、お医者さんの迷惑する以上に患者が迷惑をするのであります。二十六年六月二十日の医師法、歯科師法、薬事法の一部改正法律案はそういつた趣旨ではないのであります。ただ患者の自由選択にまかせろ、患者を中心として考えてできた法案でありまして、私は当然一月一日からこれは実行されなければならぬ、こういうように考えておるものであります。政府当局におかれても医薬分業医薬分業という言葉を盛んにお使いになるものですから、結局全国労働組合生活対策協議会幹事というよう相当有識な方でもお医者の調剤権を取上げるのだとか、またわれわれのところにも地方医師会から強制医薬分業というような電報がひんぴんと参つておりますが、決してそういうものではなくして、全国の医者諸君も誤解しておるのではないか。これは決してそういうように強制的に、薬は薬剤師でなければ売つてはいけないのだ、医者医療のみにとどめるのだというような法案ではないのでありまして、医者においても調剤をしていただいて、患者が望むところによつて医者から薬を買うことができるのでありますから、何らかわるところはない。現状でも患者が薬局で買おうと思つたら買えないことはないわけです。ただ処方箋を書かなければならぬというお医者さんに一つの仕事が課せられたことはまことに申訳ないのでありますが、患者を中心に物事を考えて、二十六年六月二十日に、各党がまん中に入つて、どうにかこうにかこの辺で終止符を打とうというところが当時の解決のところであります。従いまして厚生省としましても、二十六年六月二十日の状態をよく勘考願いまして、もうこの辺でいわゆる医師、薬剤師の争いに一応終止符を打つということに御協力賜りたいと思うのですが、厚生大臣の御所見を承りたい。
  48. 草葉隆圓

    草葉国務大臣 二十六年に成立いたしましたいわゆる医薬関係の三法案は当時政府提案ではございましたが、国会におきまして十分検討され、論議を尽して国会の修正によつて現行法と相なつたのであります。従いまして私どもはその国会の意思を十分尊重いたしまして、明年の一月一日に実施期間が迫つておりますから、先般来これに対する準備の作業に努力して参り、その一つとして十九国会におきましては医薬関係審議会設置法を御審議をいただき、今回また新医療費体系を御報告を申し上げたような次第であります。明年の一月一日からの実施準備万端進めて参ることに最大の努力を払つておる次第であります。従いまして先ほど高橋さんの御質問等にもありましたが、現在その一途をたどつてつておりますことを御承知をいただきたい。
  49. 滝井義高

    ○滝井委員 今高橋委員から御質問があつた点はきわめて重大な点を含んでおりますので、ちよつと関連して二点ばかりお尋ねしたいのですが、大臣の談話は、私はここに共同、政治十一号、二十九年十月七日のを持つておりますが、「一、医薬分業は二十六年に法律で決定、明年一月実施することになつているので、政府は既定方針通り準備を進めている、国会において反対意見が強いが、これは同法の実施をやめるということより、同法の実施を延期するかどうかということになろう、医薬分業医者の収入をへらすことなく、国民負担をふやすことのないようにはかりたい、保険単価引下げ問題は私はすでに解決したと思つている」こういう談話になつておるようでございます。そこで問題は、同法の実施を延期するかどうかということになろうと思いますが、これの実施を延期するかどうかということは、これは国会において意思を決定されることになるわけであります。そうしますと、現在の客観的な政治情勢というものはきわめて不安定でございます。先般私は医薬関係審議会の法案が審議せられるときにおいても、もしこの医薬関係審議会法というものが十九国会で通らなかつたというときにはあの二十六年に実施されておる本法はどういう運命になるかということをお尋ねしたのです。そうしたらそれは但書が実施されなくて、そのまま本法のところだけは生きて行くだろうという小山さんの答弁もあつた、これは法理論的にはそうですが、実際的には非常に困難です。ところが現実の事態はすでに医薬関係審議会が設置をせられて、薬事法の二十二条あるいは医師法二十二条あるいは歯科医師法の二十一条ですか、そういう関係の地域の問題、薬局の普及の問題とかあるいは診療所、特に処方箋を与えなくてもいいような場合の検討は着々と進んでおります。そうしますと、その地域の問題や、特殊に処方箋を与えなくてもいいという場合は進んでおりますが、問題は今度は医師と薬剤師との調剤技術料はつきり区分をする姿というものを、この医療費体系でなくてはできないことになるわけなんです。そうしますと、いよいよ国会か十一月になつて解散になつた、こういう事態になりまして、この体系委員会審議未了あるいは否決をされた、そういう事態になつて参りますと、当然これに体系というものがなければできないということになるわけですね。そうなると、審議会はできた、体系というものは不十分で、委員会がまだもう少し審議したい、こういうここになつて来まして、国会というものは全然ないのですから、来年の一月に当然その法律が突入されて行くという形は、現在の情勢では、有田委員も解散があるとこの前以来盛んに言われております。それでそういう事態になりますと、この体系そのものがまだ関係諸機関の十分な納得を得られない前に、来年の一月一日が到来する情勢というものは、現在の政治情勢から十分あるわけです。これは十分その情勢は現実の具体論としてあるわけです。その場合に、政府は大体来年一月から社会保険あるいはその他においてそのまま通されますか。この前はそつくりそのままやるのだということを小山さんはおつしやつた。これはもつとあのときよりかきわめて具体的な現実になつて来ておる。今高橋さんのいわゆる延期法とか、あるいは共同通信の同法の実施を延期するかどうかということになろうという、これはあなたの談話なんです。高橋さんは東京新聞、私は共同ので来ておるわけなんですが、これが一番ポイントなんです。この医療費体系はきわめて不完全であつて、まだはつきり結論が出なかつた場合にそのままやるのかどうかということなんです。
  50. 草葉隆圓

    草葉国務大臣 これは御承知ように、二十六年の法律は、原案はたしか二十八年からの実施つたと記憶いたしております。それを国会でいろいろ勘案され、各関係者の御意見を国会が十分とらえて、三十年の一月一日の実施、また内容においても十分これを修正して、明年一月一日となつたとたしか記憶いたしております。そういう関係で、国会自身はもちろんのこと一月一日の実施ということに最大の御協力をいただけるものと私どもは考えております。また実施にあたりましては、その遺漏のないことを期するように、事務当局といたしましては厚生省は万全の努力をいたすべきものといたしまして、現在進んでおるような次第であります。
  51. 滝井義高

    ○滝井委員 そうすると政治情勢のいかんにかかわらず、あるいはこの体系が当委員会でどんな結論が出ようとも、厚生当局は来年の一月からこれをそのまま実施して行く、こう断言してはばかりませんか。これはどうしてかというと、実はあなたの方の党の大橋組織局長が、自由党の吉田内閣の現在の閣僚の中には、何ら党と連絡せずにでたらめな発言をする方がある。たとえば、小原大臣の民法の改正、それから草葉厚生大臣の新医療費体系というようなごときはその最たるものだということが堂々と新聞に出ておるのです。こういう大事な党との問題もありますので、これはよその党のことでありますから、われわれ関係ありませんけれども大臣として、この委員会の結論いかんにかかわらず来年からやる、こう今御言明になつたのでありますが、その通り確認してさしつかえありませんか。これは重大ですから…。
  52. 草葉隆圓

    草葉国務大臣 国会において御審議をいただき通過されました法律の実施というものは、当然私ども貨任を負うべきであります。国会において新しい意思表示のない限りは、私どもは明年一月一日から実施することにいたさねばならないと考えております。
  53. 滝井義高

    ○滝井委員 わかりました。
  54. 小島徹三

    小島委員長 柳田秀一君。柳田君に申し上げますが、本日は土曜日でありますから、大臣に対する質疑だけにして、残りの部分に対してはあとに願います。
  55. 柳田秀一

    ○柳田委員 私は全部大臣に対する質問のみをいたします。局長を煩わさなければ答弁できないようなことは一切言いませんから、局長は一切答弁に立たぬようにしていただきたい。  この新医療費体系の作業の大まかな計数整理というものは、いつごろできたものと大臣は了承しておりますか。   〔委員長退席、松永委員長代理着席〕
  56. 草葉隆圓

    草葉国務大臣 これは提出いたしまする前までずつと作業を続けて参つております。作業が終りましたから、さつそく提出をいたしたような次第であります。
  57. 柳田秀一

    ○柳田委員 この資料作成にあたりましては、医務課、国立療養所課、あるいは計析課その他東京第一国立病院等にも御協力を願われましておやりになつたと聞いております。大体二十七年三月と十月にサンプリングしたものが、しかもぎりぎりまぎわに、あとの計数整理等の最後の仕上げというものにできたでありましようが、大まかな計数整理というものは当然できておらなければならぬ、そうでなければ、こういうものは今すぐできるわけはない。そういうような大まかな計数整理はいつごろできましたか。
  58. 草葉隆圓

    草葉国務大臣 事務的なことは事務当局からお答え申し上げますが、大体この計数整理は二十七年の三月並びに十月、その後ずつといたしております。そうして、それが大体でき上り、これをいろいろな方面から資料中心にしてどういうふうに組み立てるかということを再三私の方で検討して、そうしてその方針に基きまして決定いたしましたのが、お手元に差上げました報告となつてつたのであります。従いまして今春来それらの総合的な資料は調製をし、さらにそれに基きました方針を決定いたしたという次第になつております。
  59. 柳田秀一

    ○柳田委員 本来ならば、こういうような新医療費体系というような、いわば日本医療の革命とも称すべきものをおやりになるからには、まず大体の基本方針、骨子、こういうものは、あるいは国会の審議なりあるいは大臣の付属諮問機関であるところの、閣議決定事項であるところの臨時医療保険審議会、あるいは法に基いてできているところの中央社会保険医療審議会、そういうところに大体の骨子だけは一応御説明になつて、そうしてその骨子のもとにおいて積み上げた作業の末出て来たところの計数整理等をおやりになるのが至当ではないか。そうではなしに、いろいろ積み上げたところの数字を再配分されて最後に出て来たものは、これは既定事実であると言つて、これで強行されるということは、私はいささか非民主的であると思う。そういう意味において、これは済んだことですから、いまさらどうもなるわけではありませんけれども、本来ならばそういうような行き方をなさる方がより民主的でなかろうか、またこの新医療費体系実施する上において摩擦もより少いし、また各界の意見も取入れて、そうしてその結果の最後の仕上げというものはより公正妥当に参る、かように私は考えますが、大臣の御所見をお伺いしたい。
  60. 草葉隆圓

    草葉国務大臣 御意見の点も一つ方法だろうと思います。ただ現在の実際上の問題といたしましては、国会で先回の御審議の際にもございました、また国会にこれを御報告申し上げることを先回お約束いたしておりました点からも最も必要であろうと思いまして、こちらの方のいろいろのご意見等を拝承いたしまして、これを方程式として、さらに厚生省にあります機関にそれぞれ諮りたいと思います。
  61. 柳田秀一

    ○柳田委員 私のよう意見一つ方法だろう、それも確かに一つ方法です。大臣が今現におやりになつたの一つ方法、ただ私の方がはるかに民主的であるということを言つておる。そうしてそういうふうにやられるならば、現在の医療費のわくをただあつちやこつちに持つて行くのでなしに、大きく言うならば日本の製薬業に対するところの国家管理、あるいは国家管理まで行かなくとも、それに対するところの何らかの規制もそこに入つて来るでありましよう。あるいま公的医療機関の公布による国家財政のロスもその中に入つて来ましよう。そうして幾多の衆知を取入れて、ほんとうの新医療費体系というものが生れて来たと私は思うのです。一つ方法ではなしに、この方がより正しい、より合理的、より民主的な方法であると私は思つております。これは将来大きく日本医療行政に響くものでありますから、私はこの点は時にはつきりと申し上げておきます。   〔松永(佛)委員長代理退席、委員長着席〕  そこで厚生大臣は、三月三十一日の滝井君の質問に、新医療費体系が二十六年から本年まで遅れたのは、早く一般に発表して検討をしてもらいたい。これは必要と思つたが、しかしがつちりその間の経済の動きをよく見て、従つて二年、三年の期間はあつたが、急ぐことを欲せず、十分体系をつくるに力を注いだ、こう答えておられる。ただいまのお答えと多少違つて来る。ただこのお答えの中で問題になるのは、もう少し前に発表して皆さんの御審議も煩わしたかつた、それも必要であると思つたが、経済の動きを勘案して、そうしてがつちりと体系を組み立てたい、このときの大臣の御答弁はよくわかる。今までの既成事実から何とかこれを、やはり正当化するがために大臣としては苦しんだ御答弁をなさいましたが、前の三月三十一日の御答弁の方が私は正しいと思う。そうなつて参りますと、この経済の動きというのはどういうことかと言いますと、先般私が質問いたしましたように、食管特別会計と米価の決定のごとく、単位基本米価というものを、百六十九の農家購入必需物資、そういうものの物価指数の動きと比べて、いわゆるパリテイ指数の動きを見て、そうして単位米価を決定する、基本米価を決定する。さらにそこに本年度六千四百万石といつておるそのうちからいわゆる政府の義務供出量が出て来る。その数字というものはますます違つて参ります。そこへ単位米価の生産石数、政府が買い上げるところの強制義務供出の石数というものをかけ合せます。従つて食管特別会計というもののわくは、いつもそこに経済の動きとつながつてかわつて来るわけです。さらにそこにいろいろの奨励金であるとか、あるいは特別報奨金であるというようなものがついて来る。これが経済の動きと勘案して、そうしてここに比較的正しいデーターが出て来るのであります。だからこの新医療費体系も、もともと二十七年のときのこの計算基礎になつておる単価そのものが、私が言いましたように、これでは現在通用しない。しかしそれからでき上つた基礎でありまして、そしてまた医療を受ける側の受診係数というものもかわつて来ておる。現に分母であるところの稼働係数四千九百点が、現在医務局長が言われるように大きく変動して来ております。そういうものを勘案して、そこに補正をつけるなり、幾多の数字的の、それこそ経済の動きを勘案したものをそこに補正して、そうして出すのが正しいのである。これが経済の動きなんです。ところが出て来ましたのは経済の動きでも何でもない。二十七年のときのあるべき姿、ザイン、それを三十年になつてこうあるべきだという今度はゾルレンになつて来ておる。さらにそれを強硬にこれまでやらなければならないミユツセンというものに持つて来た、これで経済の動きも何にも勘案されたものはこの資料の中に一つも入つて来ておりません。これに対して大臣はどういうようにお考えになつておりますか。
  62. 草葉隆圓

    草葉国務大臣 さきの問題は実は私国会へ先に御報告申し上げていろいろ御検討をいただくのが最も民主的であり、かつまた最高機関であると存じまして、国会にまず第一に御報告申し上げる次第であります。  それから第二の問題は、ただ二十七年度だけの資料じやない、これは御説の通りであります。これを二十八年、二十九年の最近までの資料をずつとそろえてあらゆる検討をいたしますことが、一番最初にも申し上げたように最も万全であります。なかなか実際上の問題としてできなんだのであります。ようやく二十七年のが最大の力を注いでそうしてこの資料なつような次第であります。これで治療がオールマイテイとは決して私は考えておりませんが、今あり得る中ではこれ以外に方法はないではないか、従つてそれを基準にしての検討をいたした次第でございます。
  63. 柳田秀一

    ○柳田委員 であるからこそ何らかそこに補正もつけるべきであるということを言つておるのでありますが、そういう点は何ら大臣は触れません。今ここで大臣と押問答いたしましても大臣のこれ以上誠意ある御答弁はいただけないと思いますからこれは問題点に残して留保しておきます。  さらに先に進みますが、この資料を出される前に、私の聞いたところによりますと、非常に基礎資料が貧弱である、この貧弱な基礎資料からは十分な体系が出て来ないというので、事務当局はこの資料の中から新しい体系をつくることには非常に不安を持つておられるということを聞いております。人の名前は言いませんが、私はもう手を上げたと言つている人もあります。これでは私の職責は勤まらないというようなことを言つた人もあります。しかし国会には約束した、そこで何とかして九月中には出さなければならないというので、大体の資料はすでにでき上つたのはあたりまえのことでありますが、それから最後の仕上げをしておる、いわゆる本文をおつくりになるのにずいぶんお苦しみになつているということを聞いております、さもあらんと思います。もともと砂上に楼閣をつくられるのではずいぶん大工さんも御苦労と御同情申し上げますが、しかもこれを保険局に移して保険経済をやつて行くということは、保険局の方においてもこれでやれるか、どうかということの大きな問題もあつたように私も聞いております。そこでお尋ねいたしますが、私はこの統計の信憑性というものはどういうところから出て来るかということを考えて、大臣もひとつお考え願いたい。  それは第一にはこれを抽出してサンプリングした実態を十分に把握しているということが第一条件であります。客体を十分に把握しておるということが第一要件、それからその数字要素かだんだん積み上げて分析して結論を出す、その過程において統計学的にも誤りがあつてはならないということが第二であります。算出方法に誤りがあつてはならないということであります。この二つのほかにもいろいろ要素がおりますが、この二つを兼ね備えて初めてこの数字というものの――数字でなしにこの数字示しておる背後の大きな客体というものを正確に把握しておくということであります。それでなければ単なるこれは数字の集計をして、さらにそれを集めたものであつて、これは数字の遊戯であります。そこで先般申し上げましたように、統計とは数字によつてまことしやかなごまかしを言うものなりというアイロニーが出て来るのであります。そういう意味からも見て参りますと、この抽出にはずいぶんと問題点があります。ことに新医療費体系をもつて手段、方法として目的に到達するところの医薬分業大臣の言われるところの適正なる医療を行い、そうして医療をやる側においても、医療を受ける側においても、報酬あるいは負担の増減なからしめるようにくふう、こうおつしやつておるところが七〇%を占める内科小児科、しかもベツトを持たざるところの一般診療所医薬分業によつて受ける打撃が一番大きいのであります。ところがこれは表はごらんにならなくてもけつこうでありますが、病院診療所経営の実態、これは精密調査でありますが、四ページを見ますと、ベツトを持たざるところの診療所の集計はわずかに九件であります。これからサンプリングをやつておる。九つと申しますと、今度の医療費体系内科小児科一つの群におけます。耳鼻咽喉科とか眼科というものは非常に大きくかわつて参りますから、これも一つの群にわけます。あるいは泌尿器科、外科というもので四つくらいにわけます。そういう群あるいは部門というかどうか知りませんが、その群にわけますと、一つ当り二件くらいになつておる。しかもその二件そのものも、現在一般開業医の保険点数平均五千点であります。今度は診療所の五千点のところもありましようし、八千点のところもありましようし、二千点のところもありましようが、そういう階層は全然考えておらない。さらにそういう部門別階層にわけてみると、三つも四つもわけて行くのがサンプリングの最も正しい客体をつかむ方法なのです。こういう客体から出て来ました数字というものは――これは単に数字を並べ立てたにすぎぬと思う。ここに基礎資料の持つ脆弱性というか信憑性の全然ないという点がはつきり出ておるのであります。であるからこそ事務当局はこの数字基礎にして新しい体系をつくることに非情に不安を持ち、自信がなかつた。これに対して大臣はどういうふうにお考えになりますか。
  64. 草葉隆圓

    草葉国務大臣 御指摘のように、この調査は実態を把握しながら、統計的には最も練達な立場から検討して行かなければならない、私どももさよう考えております。従いましてこの中心は医務局を担当といたしまして――医務局はその実態を最もよくつかんでおります。かつまた私が申し上げるのもいかがかと存じますが、医務局長は統計学的にも私どもたいへん尊敬をいたしております。これらの点からこの医務局を中心としましたこの統計は、また資料は、最も信憑性のあるものとして私は取上げて参つたのであります。お示しように、中には数件というのがありますが、これは九月、三月、十月等の調査のそのときどきによりまして、あるいに多くあるいは少く調査いたしましたのが現われて参つておりますから、資料の前後をごらんいただきますと、これらの点は御了承いただけると思います。そういう意味におきまして、現在新医療費体系をつくつて参ります上から、あるいは実態を把握する、あるいは統計学的にそれを検討いたします上において、私ども最善の立場においてなし得る最大の方法を講じたと存じておる次第であります。
  65. 柳田秀一

    ○柳田委員 いかに厚顔無恥といえども、最善の努力で、最大の効果が上つたというようなことを、この資料から言われるとは思わなかつたのですが、大臣はよほど部下を信頼されておるので、そういうことをおつしやるのでしよう。いずれそれがいかに信頼するに値しなかつたかを、私は局長に御質問いたしますから、大臣にはこの程度にいたします。しかし悪声耳に入らずと申しますか、まさか局長がこれはごまかしてありますということを大臣の耳に入れることはないと思います。それで今のように最善にして最大というようなことを言われておると思いますので、私の方から多少申し上げておきます。いかに無理があるかということは幾らも出て来るのであります。現にこういう作業をやられるのは、厚生省から出しておられる病院診療所原価計算要綱試案というものから出ておるのであります。医療行為に対しては原価計算をなさつておられる。その原価計算というのは、等価係数Tと件数Nと掛けたもの、そしてTは=(1+A)tこういうものが出ておる。(1+A)というのは技術指数であります。そこでこの等価系数Tというものは、その技術指数の(1+A)に実働時間のtをかけたものから出ておる。こういうものを積み上げてここに出て来ておるわけです。そういうものから出て来ておるのですが、そういうもの自体の数字のつかみ方というものが実にでたらめなのです。これはいずれまた大臣の方で、きようこういう質問を聞いたがどうかとおただしになつてもけつこうであります。たとえば本文の二ページに2のaという表があります。これは最後にわざわざ紙をはつてあるところを見ますと、よほど御苦心なさつて、最後にぎりぎり結着に紙まで張つてお出しになつたらしい。そこに千六百三十九万六千人となつてプラスマイナスゼロになつております。これはわかります。どちらも千六百三十九万六千人にして、それから逆算しておるのですから、千六百三十九万六千というのはAもBも同じ数でプラスマイナスゼロはわかつておる。ところがこの中に大事なものは往診料が抜けておる。往診料というものは無床診療所にとつては入院にかわる非常に重要な診療行為なんです。しかも往診というものは、回数、頻度と距離によるところのnTというものは非常にかわつて来る大きな要素を持つておる、こういうものが抜けておつて、しかも最後にゼロになつて来ておる。従つてこの資料は信憑性がないということははつきり言えるのです。そういうことは局長からお聞きにならなかつたと思いますから、私の方からお示ししておきます。  そこで先般医務局長は、この新医療費体系は大体確実なものである、こう言つておる。これはこういうことだと思います。大臣もそういうことをお聞きになつておると思いますが、なるほど集計して来たものをいろいろ数字でやつて、最後にこういう答えが出たという、その算術過程においては、あるいは医務局長の言われるように正しかつたかもしれない。が正しい統計とは数字を言うのではありません。この資料が正しいということは、先ほど私が申しましたようにサンプリングが正しかつたかどうか、さらにその集計して来た一つ一つ数字が正しいかどうか、たとえば先ほどあげましたようにたつた九件で、これを部門別にすると二件にしかならない。これを大臣に卑近な例でお示しいたしますと、ここに二つの例がある。一つは百の数字になる、一つはゼロの数字になる。平均値は五十の数が出て参ります。もしこの二つが百ならば平均値は百になつて参ります。どちらもゼロであつたならばゼロになつて参ります。こういうものを平均いたしますと、ただ二例の場合には、パーセントに直して、二例の動きで、〇%、五〇%、一〇〇%にもなる。これは統計学上は全然信頼に値しない。数の上の平均値にすぎぬのです。いわゆる許される誤差範囲というものが非常に大きいので、統計学上は問題にならない。統計というものは、非常にたくさんの数の中からしぼつて、さらにその出て来た数でも、これははたして誤差がどのくらいあるか、いわゆるプロバブル・エラーをプラスマイナスして、初めてその数字が正しいということになる。ただ二例や三例のものでは、それが零か百かによつてその平均値は大きく動いて来る。そういうものの集計がここに出て来ておるのでありますから、その集計した算術がいかに正しくとも、これは実態を正確に把握しておらぬ、こういうことになるということを御了承願いたいと思います。  そこでまたさきの問題に帰りますが、一点単価は一応妥当であるが、必ずしも適正でない――分子がかわつておるのだから、当然これはかわるべきだ。ところが今聞いてみると、分母までかわつて来ておる。こうなると、一点単価というものは全然現実に合つていない。そういう一点単価基礎にして積み上げてこの資料ができた。そうしてそれを配分していわゆる初診料、再診料、注射技術料、調剤技術料、そういうものの点数が出て来た。ところが、大臣はこれに対してこういう答弁をしておられます。その答弁はどういうことかというと、そういうよう基礎にならざるところの単価を土台にして積み上げた数字からいろいろ各診療行為を割当てた、その数字を表わしたのが新医療費体系。ところが大臣の方は新医療体系である。それを混同されておる。なるほど技術と物の対価とは区別する、そういうふうな新医療体系を持つて来られるならば、一点単価基礎がどのようになりましようとも、新医療体系は、私は大臣の言われる通りだろうと思う。しかし今この資料から出ておりますところの新医療費体系は、そのよう基礎にならざるところの単価を積み上げて来て、それを再配分したものでありますから、これはもう内容検討に至り及ばずしてそのまま返上申し上げる。こういうものがこれなんです。大臣はその点を混同されてお考えになつておるのじやありませんか、もう一度重ねてはつきりと伺いたい。
  66. 草葉隆圓

    草葉国務大臣 統計のとり方についていろいろお示しをいただきましたが、私どもも大体その考え方でいたしたのであります。二ページの、診察はあるけれども、往診が含まれていないではないか、というお話ですが、診察の中に往診も含んでおります。  それからお示しになりました零と百と二つをとつた場合に、統計学的には平均は五十であるが、さような場合には誤差が最も甚しくなつて、誤りが大きいのじやないか、お示し通りであります。従いましてここで取上げましたのは、技術の立場からそれらの点まで十分検討して抽出いたした次第でございます。  なお最後の最も大きい問題として医療体系医療費体系は、医療体系の問題よりも医療費体系じやないか、これもお示し通りであります。従つてども医療費体系としての立場から、技術と物の対価医療費の上にわけるという態度をとつてつた次第でございます。
  67. 柳田秀一

    ○柳田委員 そこで医療費体系として出て来るものと、基礎にならざる単価を積み上げたものとでは、この資料は全然信憑性がなくなつているということを申し上げたいのであります。そのまま肯定されては大臣の立場がありませんから、のどまで出て来ておつても、おそらく私の言うことを肯定されぬと思いますから、これ以上申し上げません。  そこで私は何も大臣の言葉じりをとらえたり、あるいはあげ足をとる意味質問しているのではありません。日本医療の革命とも言うべきこのような大きな事業をなされた大臣に対して、またこの事業に対して満腔の敬意を払うとともに、そのねらつているところにも賛意を表します。そういうようにやつて来られた大臣のお仕事に対して、またお仕事に対する大臣の御説明に対してはひとり十万の医療担当者のみならず、日本国民大衆が大きな関心を持つております。大臣の一言隻句に大臣の熱意と誠意を見守つておるのであります。よろしゆうございますか、国会で何か一つ言質をとられると、将来にまた問題を残すから、そういうことはなるたけ残すまい、われわれはそういう御答弁技術を要求しておるのではありません。このよう日本医療の革命とも称すべきものをやつて来られたが、真に大臣が言われるように、医療を担当する者にも、医療を受ける者にもあたたかき誠意を持つておられるかどうかということをわれわれは見守つておるのであります。その意味において大臣はまじめに御答弁願いたい。  その意味におきまして、特に新医療費体系で問題になつて参ります日本の社会保険というものは、何といつて保険者と被保険者、療養担当者の三者が一体となつて――、政府管掌の健康保険でいいますと、政府保険者の立場であり、監督者で、その他の保険でいいますと、政府は監督者の立場でおられる、その監督者も医療担当者も被保険者も、心からほんとうに協力するにあらずんば、そのうちのどの一つ、どの歯車が欠けても、円滑には社会保険というものは動いて参りません。その意味において、この新医療費体系ではこの三つの歯車、――その一つ政府でありますから、これは別として、残つた二つの歯車がいずれもうまくかみ合つてまわつて行くと大臣はお考えになりますかどうか。
  68. 草葉隆圓

    草葉国務大臣 いろいろとお話を承りまして、私もつつしんで拝聴し、また同様さように考えております。また大きい問題でございまするから熱意を持つて国民階層にこれが徹底するように努力をいたして参らねばならないと考えます。従つてその意味において、政府と申しますか、厚生省だけではこれはなかなか不十分でございまするから、どうぞ皆さん方の強い御協力を衷心よりお願いを申し上げる次第であります。  次に、三つの歯車の中で、ほかの歯車も同様にうまいこと行かないと都合が悪いじやないか、これは私どももさよう考えております。従いまして、ほかの歯車にもこの新医療費体系を十分御了解をいただき、御協力をいただくように今後努力をいたして参りたいと存じます。
  69. 柳田秀一

    ○柳田委員 私も協力するにはやぶさかでございません。しかしながら今までの大臣の御答弁を聞いておりますと、遺憾ながらまだ誠心誠意大臣に御協力申し上げる気持に私は至つておりません。大体昨日の参考人の神崎さんからお聞きしましても、新医療体系は月足らずで出て来た未熟児だと言う、有田君は月足らずだけれども、まあ育ててやつてくれ。これはなるほど八箇月、九箇月で出て来たものならば、われわれ育てるにやぶさかでありませんが、これは今まで私が申しましたように、八箇月、九箇月まで行つておりません。これは三箇月か四箇月で流産するやつを帝王切開して無理やり出したようなものである。これはいかにわれわれが育て上げようとしても、育て上げることができぬのです。大臣はそれをもつてしてもなお二つの歯車に協力してもらえるものと御期待されておるようでありますが、悲しいかな私が見ております現実は、それほど甘いものではないと思います。従来医師の動きというものは、われわれ苦々しく思つたことは再三ございます。医師が動くと、いつも業権擁護であるということをわれわれは批判したことがございます。また現在の動きにおいてもそういうきらいがなきにしもあらずであります。しかしながら現在の保険医がどれほど苦しんでおるかということは私も身をもつて体験しましたが、これは従来の考え方では律し得ないと思います。厚生当局が従来折衝された日本医師の代表である日本医師会というものは、いわば従来の支配階級であつた医師のそういう方たちと折衝されておる。そういうところから受取られた医師というものに対する考え方と、現在黙々として苦しんでおるところの保険医の考え方というものの中に、階層の分化というものが今大きく起つております。これは大臣が十分お考え願わなければならぬ。主として大臣の耳にはなお従来のそういう支配階級的な医師の声が入つておると思います。が、現在の十万の保険医というものはほんとうに苦しんでおる。その声なき声というものは大臣の耳にはあまり達しておりません。それが先般来のあのすわり込みであり、一日休診の姿になつて来ておるのであつて、ここにはだれがアジつたのでもなく、やはり生活苦から来る必然の要求が期せずしてああいう運動になつておる。医師というものは昔の支配階級的な残滓の中から出て来ておる人間が多いのです。その必要がなければどうしてああいう大衆行動に訴えましようか。もう事態はそこまで来ておるのであります。社会革命などというものは労働者中心ではできません。それに大きく農民がくつつき、あるいは一般知識階層がついたときこそ初めて大きな社会革命ができることは世界の歴史が示しております。従来の医師というものはそういう支配階級的、搾取階級的な立場にあつた、それが今や保険者たる政府から搾取され、大製薬会社から搾取され、被搾取階級に転落して保険経済の中で生活に苦しんでいる、そういうように苦しんでいるからこそこんな大衆運動をやつている。その大衆を前にしてこれで協力が得られると思つているならば、これははなはだ甘い考えでありまして、私はそのよう大臣のお考えはいかぬということを申し上げたいのであります。もしもそういうような協力態勢がとられなかつた場合に、大臣はなおかつ行政権という強権をもつて臨まれますかどうか、これを承りたい。
  70. 草葉隆圓

    草葉国務大臣 これはだんだんお話のようにいろいろ最近の動きがありますことは私もよく無知をいたしておるのであります。しかし大事な任務についておられます医師の方々でございまするから、その意見もよく尊重し、また医療の正しい進展向上のために政府といたしましても十分努力をいたして参らねばならないと考えております。  ただいま最後のお示しの、これが協力を得られなかつた場合に権力をもつてでもこれを押しつけるかという点、実は私どもはさようなやり方はおもしろくないと存じております。やはりどこまでも理解を得、それぞれの機関に諮りまして、これを今後の保険経済に移し、保険医療に移しまする場合には、保険医療の機関を通じてよく意見を聞いて実施するようにいたして参りたいと存じております。またこの新医療費体系自体においては、先ほど柳田委員も御指摘のように、実は従来よりも進歩した医療費体系だと私は考えております。少くとも技術と物とをわけて考えて参りまする体系におきましては、必ず一歩前進のものだと存じております。これをもつて全部満点とはもちろん考えておりません。従つてそういう意味におきまして、それぞれ十分御了解をいただく、またいただけるものではないか、いただくように努力をして参らなければならないと考えておりまするが、保険医療等におきましては、それぞれの機関に十分諮りましてその意見を尊重して参りたいと存じております。
  71. 柳田秀一

    ○柳田委員 これでやめておきますが、大体こういう問題は、本来超党派的で行くべきものであり、また現実においてもさように私は参りたいと考えております。  そこ今大臣からいろいろと各方面に諮つて検討して行きたいという話でございますが、たびたび申しますように、今後またさらに局長等にこの中のいろいろ不備な点を追究いたしますが、この不備の点は数え上げ切れぬくらいたくさんあるのです。そこで大臣の面子もありましようが、もしも今後いろいろとこの不備の点が現われて参りまして、さらに各方面ともこれではどうにもならぬというような声が起つて来ると思いますが、そういう声が起つて来たときに、進むを知つて、しりぞくことも知らなければならぬ。あまりにも強権を発動したならば、それに対する団結権というものが当然起つて来る。そこのところは将来大きく響く問題でありますから、十分御勘案になつてもらいたいと思います。われわれも単にこれをもつて今の吉田政府攻撃の材料にしようというようなけちな考えは持つておりません。また従来の医療のあり方をもつて決して正しいと思つておりません。考え方としては、この中に盛られた考え方こそ正しいと思つております。従つて大いに協力して参りたいと思いますが、ただ出したものだからあくまでも強行突破するのだという態度だけはおとりにならないで、われわれとともにお互いに日本医療費体系のために虚心坦懐に大臣も今後善処していただきたい。それでなければ、保険経済、保険運営にとつて不測のむずかしい問題が起つて来るじやなかろうかということを私はおそれるわけであります。その点は大臣におきましても、どうか十分お考えおきを願いまして、私の、質問を終ります。
  72. 小島徹三

    小島委員長 資料要求で長谷川保君に発言を許します。長谷川君。
  73. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 きようは土曜日でたいへん恐縮でありますが、月曜日の審議のために必要でございますので、月曜日の朝まででいいのでありますが、武長その他日本の大きな製薬会社の、新聞に広告いたします程度のものでけつこうでありますから、最近の決算報告書を五つくらい御提出願いたいと思います。     ―――――――――――――
  74. 小島徹三

    小島委員長 本日の質疑はこの程度にとどめ、次に理事の補欠選任を行いたいと存じます。  理事中川源一郎君が去る七日委員を辞任されたのに伴いまして、現在理事に欠員を生じております。この補欠選任に関しましては、委員長より指名するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  75. 小島徹三

    小島委員長 御異議なしと認め、再び委員に選任された中川源一郎君を理事に指名いたします。  次会は明後月曜の午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十八分散会