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竹内参考人 私は
日本薬剤師協会を代表いたしまして、
参考人として今日まかり出た
竹内でございます。
政府が今回御作成になり、御
発表になられましたところの新
医療費体系に関しましては、いろいろ御
説明も承りまして
検討いたしたのであります。今回の新
医療費体系は現実的な新
医療費体系の
構想といたしましては、私
どもはきわめて合理的なものではないかと、このように存ずる次第でございます。また新
医療費としての理論的の
構想といたしましてもまずこの
程度ではなかろうかと、このように考えられるのでございます。
次にこの
体系につきましての
資料についてでございますが、
資料の
信憑性につきましても、あるいはいろいろな
考え方、
見方もあると思うのでありますが、しかしながらこの
体系の算出の
基礎並びに
検算等におきましても、理論的であり、実際的である、まことに無理のないところの
体系ではないかと、
ありていに申しまして私
どもは
敬意を表しておる次第でございます。
そこでこの
体系につきましての若干の所見と申しまするか、この点を申し述べさしていただきたいと思う次第でございます。第一に、この
体系は新たな
基礎に立脚いたしまして、
現行の
医療制度を無視するというような態度ではないと存ずるのであります。現在の
医療制度におきまして
支払いをされておりまするのを
基礎としてつくられておりまする点。第二は、
現行の
医療報酬体系の分析によ
つて得られたところの
医療費の合理的な
配分計画の要綱であると、私
どもは
了解いたしておるのであります。現在行われておりまするところのこの
診療体系というものを克明に分析いたしまして得られたところの、
医療費の合理的な
配分計画だ、このように私
どもは
了解せられる点でございます。第三でございまするが、第三には原則的に
国民の総
医療費と申しますものを、
医薬分業に
なつたからとい
つて増加させない、この
方針が明瞭に採用されておる。
医薬分業というものにつきまして、現在の
国民の総
医療費というものが増加しない。伺いますると、昨年はすでに二千億円に達するところの
国民の総
医療費である。
国民がこのような
厖大な
医療費を支払うということは、おそらくもう限度に達しておる。このような
状態であるからして、この新
医療費の
確立によりましてもこの総
医療費を上げない、増加せしめないという
方針がとられておるという点であります。第四には、
医薬分業が成り立
つたからと申しまして、急激に現在の
医療状況というものを変化させない、
現状の
医療というものに急激なるところの変化をもたらさないように
配分計画が行われておるという点でございます。第五には、この
医療費体系におきまして、総括的なところの克明な
医療費の
改正ということにつきましては、これを行おうとすれば、非常に複雑、広汎、多岐である。従いまして、
分業実施のための暫定的な措置として新しい
体系を打ち立てたものである、このように私
どもは全体を通じて考えられるのでございます。この点でございます。
以上の五つの点を中心といたしまして種々考究いたしますると、
医薬分業実施に伴うところの新
医療費体系と申しますものは、
現状の
医療費の範囲内におきまして、そうして物と
技術とを分離させまして
支払い科目と
金額との
結びつきをきめたものでございますから、この新
医療費体系は新しい
医療費の分配である、こういうように解釈いたしまする上におきまして、先ほど申しましたように、この
体系に
敬意を表する次第でございます。
最後に一言申し上げておきたいと思いますることは、一体この新
医療費体系というものが
実施された後において、
医療界に及ぼすところの
影響は一体どうであろうかという点でございます。この点を申し上げて御
了解を得たいと存じまするが、これはいろいろの観点から、いわゆる
分業実施後と申しまするか、新
医療費体系によるところの
実施後におけるところの点は、いろいろな
影響があると存じます。
ありていに申しますると、この新
医療費体系の
実施によ
つて医療費が上るか下るかというような問題が大きな問題である、このように私
どもも存ずるのでございます。いろいろな
見方もあると思いまするが、
一つ例をあげましてこの点に及んで御
了解を得たいと存じます。
現在の
医療制度におきまして一体どのくらいの
投薬剤数が出ておるかという点でございます。薬剤がどのくらい投与されておるかという点でございます。この点につきましては、
日本薬剤師協会におきましても、
日本医師会におきましても、一応のデータが
発表されておるのであります。
日本薬剤師協会におきますいわゆる
年間の推計でございます、大体どのくらいの
剤数が出るという
年間推定でございまするが、
日本一薬剤師協会におきましては、大体
年間十三億剤であるというように
発表いたしておるのであります。また
日本医師会におきます御
発表を見ますると、大体十五億
剤程度にな
つておるのであります。
薬剤師会の
推定と
医師会の
推定と二億
剤程度の差がございまするが、これはいずれも
推定でございます。
薬剤師会の
推定の十三億剤と申しますものを、一応ご
説明の便宜のために、Aと申し上げたい。それから
日本医師会の
推定の十五億と申しまするものを便宜上これをBとして、これから御
説明を申し上げたいと思うのであります。そこでこのAなるもの、Bなるものにおきましても、いわゆる
病院というものと
一般の
診療所では、この
剤数にどのくらいの差があるかと申しますると、大体半々、二分の一
程度と私
どもは考えております。でありますから、この
剤数の中の
一般の
診療所におきますところの
剤数は、その二分の一といたしまして、Aは六億五千万剤となりまするし、Bは七億五千万剤になるのでございます。そこで
薬事法の第二十二条の規定がございます。今後
薬事法が
実施になりますると、この二十二条によりまして、
患者または現に
看護にあた
つておる者から
要求がありますれば、
医師は自己の
処方箋によ
つて調剤ができるという条文があるわけであります。そこで一体今後どのくらい
医師が
調剤をし、
薬剤師が
調剤をするようになるかという点でございます。この点につきましては、
まつたくの仮説のもとに立つものでございまして、
国民が
医薬分業ということを十分に理解いたしまして、そうしてどんどん
処方箋をもら
つて行つて町の
薬局へ参りますれば、町の
薬局における
調剤がふえて来る。しかしながら依然として
医師が
患者の
要求によ
つて調剤をするということになりますると、非常に町の
薬局の
調剤は少くな
つて来る。こうした
意味合いでございますから、私は何とも申されませんけれ
ども、かりに
医薬分業になりましたがゆえに、
医師のところで
調剤する
剤数は四〇%である、
薬局において
調剤するものが六〇%になる、これは非常に便宜な解釈でありまして、
まつたくの
推定でございますが、一応六割が
薬局の
調剤になると仮定いたしますると、Aは三億九千万剤、Bにおきましても、四億五千万剤というような
数字に相なるのでございます。そこでこの点につきましては、もう
一つ私
どもは考えてみたいのでございまするが、一体新
医療費体系に移行しましたあかつきにおいて、
医師が現在の
医療制度下におけるように
調剤をするか、あるいは
処方箋を出すかという点を考えてみますと、これはあるいは私の表現が悪いかもしれませんが、どうも今後は相当
注射というものがふえて来る
可能性があるのではないか、このように考えて参りますので、率直に申し上げますると、まず今までよりも将来は
処方箋の発行ということは三分の一ぐらいに減るのではないか、このように考えられるのでございます。かりにこの点につきましてもまず二分の一
程度に減るということの便宜な仮定のもとに、なおこれを考えて参りますると、Aは一億九千五百万剤に相なります。Bにおきましても二億二千五百万剤というような
状態に相なるのでございます。そこでこの
剤数につきまして、これを新
医療費体系によりまして、一体これがどのくらいの料金になるかという点を
計算いたしてみますると、Aにおきましては三十五億二千二百七万円、Bにおきましても四十二億九千四百六十八万円、そんな
程度に相なるのでございます。これを二千億円というような総
医療費に比べますと、まことに微々たる
金額に相なるわけでございます。従いましてこの
医療費体系の
確立によりまして
医薬分業というものが
実施に移りましても、
国民の
医療費というものにつきまして
はさほど大きな
影響はない、このように考えられるのでございます。
なおその他新
医療費体系の
影響と申しまする点におきましては、いろいろありましよう。抽象的に申し上げますならば、要するに今まで
医師によりまして
投薬されました二
剤主義、三
剤主義ということが、漸次一
剤主義ということに減りまして、
剤数も
減つて参りましよう。もちろん
技術の向上、いろいろな点があると思いまするが、とにかくその一例を申し述べまして、今後大きな
影響はない、このように考えられる次第でございます。なおいろいろ御
質問もあると思いますが、一応私の
意見といたしましては以上をも
つて終らしていただきます。