○
福田(昌)
委員 私が御
質問申し上げましたのは、
アメリカの実験に対する認識不足の原因についてどのようにお
考えになるかということを
お尋ね申し上げたのでありましたが、お答えいただきました点は多少ずれておりまして、それに対する御答弁がなか
つたように存じます。私
どもが想像いたしますに、
アメリカ側の実験に対する認識不足は、これは
安藤国務大臣が御答弁なさいましたことと同様に、私
どももきわめて
アメリカ側は認識不足であると
考えます。なぜ
アメリカ側の認識不足が起
つているかということの点でございますが、これにつきましてはいろいろな角度から原因が見出されるでありましよう。もちろん一つには
アメリカの国際的な立場を
アメリカ側にと
つて有利に導くために故意に認識不足を装
つている点もあるかもしれません。しかしそのことはまた別の機会に
お尋ねさしていただくといたしまして、一つはやはり
日本の国内側にも
アメリカ側を認識不足にさせている大きな原因があるということを
考えていただきたいと思うのであります。私
どもはこの
事件に対しまして、閣僚の中では
安藤国務大臣が最も御熱心であり、
担当大臣である御
責任もありましようが、それよりもなお
安藤国務大臣のお人柄においてこの
事件に非常に御熱心であるということに対しまして非常に敬意を表しておりますが、その閣僚随一の
安藤国務大臣におかれましても、この
ビキニの
被害者第五
福竜丸の漁夫二十三名の
放射能症に対しまする御見識と申しますか、そういう点においていささか私
ども残念な点を感ずるのでございます。
久保山愛吉氏が死んだなら
補償の点もさらに追加
要求するであろうというような御言明があ
つたのでありますが、こういうことははなはだ失礼でございますが、原爆症に対しまする医学的立場においての
安藤国務大臣のいささか御認識において足らない点があるか、あるいはまた軽く見ておられたというそのお気持が災いしているのではないかということを感じます。こういう立場でございますれば、そのお気持というものがやはり
被害者に対しまする
病状を軽く外国に向
つても御
報告なさるというようなことにもな
つて参りましようし、これを受取る
アメリカ側も軽く評価するというようなことにもな
つて参ると思うのであります。私
どもは
安藤国務大臣におかれてもそういうように軽く見ておられるということを、はなはだ失礼でございますが、多少遺憾に存じておりますが、さらに不幸にして第二、第三の
久保山氏が出て参らないとも限らないのでありますが、これに対しまして、
安藤国務大臣がそういう第二、第三の
犠牲者が出られた場合に、また
賠償問題に対してどういう
態度をおとりになるのか、また
アメリカ側にこういう第二、第三の
犠牲者が出るかもしれないという
報告をすでにしておられるのかどうかという点もあわせて承
つておきたいと思います。風聞いたしますところによりますと、今なお白血球の数が三千以下、すなわち
久保山氏の
症状に類する重態の
患者が数名あるそうでございます。こういう
人たちが不幸にしてまた次の
犠牲者を出すということでございましたならば、これはまたさらに重大な問題となると思うのでありますが、これに対して
アメリカ側にそういう説明をしておられるのかどうかという点を重ねて伺います。それともう一つやはり同僚の中におかれましても、岡崎国務
大臣のごとく、こういう病者が出たにもかかわらず、そういう苦悶いたしております病者の頭を越えて
アメリカ向けに二へんも三べんも原爆実験には協力するというような放送をなさる、こういう閣僚があるということは、やはり
アメリカ側がこの問題に大いに認識不足になる当然の理由になると思うのであります。この点よく閣僚各位の中におかれまして
安藤国務大臣は、私
どもから見ますと、まことに良識のある適切な胸のすくような御
発言をときどきなす
つておられますが、その意気をもちまして
閣議におきまして
——英国の議会でさえも原
水爆実験に対する反対の決議をいたしたわけでありますから、
日本の
閣議でもこれくらいの反対を要望するくらいの決定をいたしてしかるべきと思うのでありますが、そういう御決心があるかどうか、この点を重ねて承
つておきたいと思うのであります。こういうように全般的に
日本の閣僚の
方々、
日本の指導的立場にある時の
政府の
担当者それ自身が、原爆症に対しましてやすく低く軽く評価している。
日本人の生命というものを非常に軽く評価しているというところに、
アメリカの大きな認識不足があるということを私
どもはいささか
考えざるを得ません。従いまして私たちが
期待いたしておりまする
安藤国務大臣の今後のそのお心構え、御健闘というものをお願いしたいわけでありますが、一、二御要望申し上げました点について御答弁願いたいと思います。